JP5651935B2 - 画像処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像記録及び画像消去の繰返しによるダメージを軽減して熱可逆記録媒体の劣化を防止できる画像処理方法及び該画像処理方法に好適に使用可能な画像処理装置に関する。
従来より、熱可逆記録媒体(以下、「可逆性感熱記録媒体」、「記録媒体」、又は「媒体」と称することがある)の表面に凹凸が生じた場合や、離れたところから記録媒体に対して画像の記録及び消去を行う方法として、非接触方式のレーザを用いた方法が提案されている(特許文献1参照)。この提案では、画像記録はレーザを用いて行い、画像消去は熱風、温水、赤外線ヒータなどを用いて行うことが開示されている。
また、特許文献2には、レーザ光の光照射時間、照射光度、焦点、及び光照射強度分布のうちの少なくとも一つを制御することにより、熱可逆記録媒体の第1の特定温度と第2の特定温度に加熱温度を制御したり、加熱後の冷却速度を変化させることにより画像記録及び画像消去を全面又は部分的に行うことが可能となることが記載されている。
また、特許文献3には、2つのレーザ光を使用し、一方を楕円形や長円形レーザとして消去を行い、他方を円形レーザで記録する方法、2つのレーザの複合として記録する方法、及び2つのレーザをそれぞれ変形させてそれぞれの複合として画像形成する方法が提案されている。この提案によれば、2つのレーザを用いることで、1つのレーザで記録するよりも高濃度の画像記録が可能になるとされている。
また、特許文献4には、レーザ光のエネルギー、レーザ光の照射時間、及びパルス幅走査速度を、レーザ記録時の25%以上65%以下となるようにして消去することにより、明瞭なコントラストの画像が記録でき、可逆性感熱記録媒体への高耐久性な画像記録を実現する方法が提案されている。
上述した先行技術に記載の方法においては、レーザによる画像記録と画像消去を繰り返して行うことができるものの、レーザの制御を実施していないため、画像記録時に線が重なり合う箇所にて局所的な熱ダメージが発生するという問題があった。
そこで、例えば特許文献5には、直線画像記録を行う場合に所定間隔ごとにエネルギーを低下させることにより、局所的な熱ダメージを軽減して可逆性感熱記録媒体の劣化を防止することが提案されている。また、特許文献6には、レーザ光の進行方向に対して略直交方向の断面における光照射強度分布において、中心部の光照射強度を周辺部の光照射強度と同等以下にすることにより、可逆性感熱記録媒体に均一なエネルギーが加わるために画像記録と画像消去を繰返し行っても可逆性感熱記録媒体の劣化は少なくなることが記載されている。
また、特許文献7及び特許文献8には、光走査手段としてのガルバノミラーと、集光手段としてのfθレンズを用いてレーザビームを熱可逆記録媒体の広い範囲に照射できる画像記録装置が提案されている。しかし、この提案では、ガルバノミラーとfθレンズを用いているために収差が生じ、走査線速度を変化させて画像記録と画像消去を繰り返し行うと、熱可逆記録媒体の劣化が生じるという問題がある。
前記問題を解決するため、例えば特許文献9には、ガルバノミラーとfθレンズを用いた光学系に、更にレーザ光の光照射強度を調節する光照射強度分布調整手段としての光学レンズを組み合わせて走査線速度を変化させた場合でも、fθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布を熱可逆記録媒体に過剰なエネルギーがかからないよう制御する方法が提案されている。この提案によれば、レーザによる画像記録と画像消去を繰り返し行っても、fθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光による熱可逆記録媒体の劣化を起こりにくくすることができる。
しかし、前記特許文献9では、fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布がfθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光に比べシャープな形状に変化し、fθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光に比べ部分的に強度の大きいレーザ光がfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射され、画像記録と画像消去を繰り返し行うと、熱可逆記録媒体が早期に劣化してしまうという問題がある。
したがってfθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光、及びfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光のいずれにおいても熱可逆記録媒体に過剰なエネルギーが加わることがなく、繰り返し画像記録及び画像消去を行った時の熱可逆記録媒体の劣化を減少させることができ、かつ均一な画像を記録することが可能な画像処理方法及び画像処理装置の提供が望まれているのが現状である。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、fθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光、及びfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光のいずれかにおいても熱可逆記録媒体に過剰なエネルギーが加わることがなく、繰り返し画像記録及び画像消去を行った時の熱可逆記録媒体の劣化を減少させることができ、かつ均一な画像を記録することが可能な画像処理方法及び画像処理装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより該熱可逆記録媒体に画像を記録する画像記録工程、及び、該熱可逆記録媒体に対して加熱することにより該熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含む画像処理方法であって、
前記画像記録工程が、レーザ光出射手段と、該レーザ光出射手段におけるレーザ光出射面に配置される光走査手段と、レーザ光の光照射強度分布を変化させる光照射強度分布調整手段と、レーザ光を集光させるfθレンズと、を少なくとも有する画像処理装置を用いて行われ、
前記fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光のエネルギーを、前記fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録該媒体上に照射されるレーザ光のエネルギーよりも低くすることを特徴とする画像処理方法である。
<2> fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力P2を、fθレンズをの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力P1よりも低くなるように調整する前記<1>に記載の画像処理方法である。
<3> (P2/P1)×100が、80%〜99%である前記<2>に記載の画像処理方法である。
<4> fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度V2を、fθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度V1よりも大きくなるように調整する前記<1>に記載の画像処理方法である。
<5> (V2/V1)×100が、101%〜120%である前記<4>に記載の画像処理方法である。
<6> 画像記録工程及び画像消去工程の少なくともいずれかにおいて、fθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布が、下記式(1)で表される関係を満たす前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像処理方法である。
0.40≦I/I≦2.00・・・(1)
ただし、前記式(1)中、Iは、熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の中心位置における光照射強度、Iは、熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の全照射エネルギーの80%面の光照射強度をそれぞれ表す。
<7> 熱可逆記録媒体が、支持体上に少なくとも熱可逆記録層を有してなり、該熱可逆記録層が第一の特定温度と該第一の特定温度よりも高温の第二の特定温度とで透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<8> 熱可逆記録層が、樹脂及び有機低分子物質を含有する前記<7>に記載の画像処理方法である。
<9> 熱可逆記録層が、ロイコ染料及び可逆性顕色剤を含有する前記<7>に記載の画像処理方法である。
<10> 移動体の画像記録及び画像消去の少なくともいずれかに用いられる請求項1から9のいずれかに記載の画像処理方法である。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の画像処理方法に用いられ、
レーザ光出射手段と、該レーザ光出射手段におけるレーザ光出射面に配置される光走査手段と、レーザ光の光照射強度分布を変化させる光照射強度分布調整手段と、レーザ光を集光させるfθレンズと、を少なくとも有することを特徴とする画像処理装置である。
<12> 光照射強度分布調整手段が、非球面素子レンズ、回折光学素子及びファイバカップリングの少なくともいずれかである前記<11>に記載の画像処理装置である。
<13> 光走査手段が、ガルバノミラーである前記<11>から<12>のいずれかに記載の画像処理装置である。
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、fθレンズを透過して熱可逆記録媒体の中心部に照射されるレーザ光、及びfθレンズを透過して熱可逆記録媒体の周辺部に照射されるレーザ光のいずれかにおいても熱可逆記録媒体に過剰なエネルギーが加わることがなく、繰り返し画像記録及び画像消去を行った時の熱可逆記録媒体の劣化を減少させることができ、かつ均一な画像を記録することが可能な画像処理方法及び画像処理装置を提供することができる。
図1は、レーザヘッドの位置と媒体上での光ビーム形状の変化との関係を示した図である。 図2は、レーザヘッドと記録媒体との焦点距離と消去可能範囲との関係を表した図である。 図3Aは、レーザ光が照射することができる範囲を説明するための図である。 図3Bは、図3A中のfθレンズを示す図である。 図4は、本発明で用いられる照射レーザ光の強度分布の一例を示す概略説明図である。 図5Aは、レーザ光の光照射強度分布を変えたときの光照射強度分布の一例を示す概略説明図である。 図5Bは、レーザ光の光強度分布を変えたときの光照射強度分布の一例を示す概略説明図である。 図5Cは、レーザ光の光照射強度分布を変えたときの光照射強度分布の一例を示す概略説明図である。 図5Dは、図5Cのレーザ光の光照射強度分布が収差の影響により歪んだ光照射強度分布の一例を示す概略説明図である。 図5Eは、通常のレーザ光の光照射強度分布(ガウス分布)を示す概略説明図である。 図6Aは、本発明の画像処理装置の一例を説明する図である。 図6Bは、本発明で用いた非球面素子レンズの一例を説明する図である。 図7Aは、熱可逆記録媒体の透明−白濁特性を示すグラフである。 図7Bは、熱可逆記録媒体の透明−白濁変化のメカニズムを表す概略説明図である。 図8Aは、熱可逆記録媒体の発色−消色特性を示すグラフである。 図8Bは、熱可逆記録媒体の発色−消色変化のメカニズムを表す概略説明図である。 図9は、RF−IDタグの一例を示す概略図である。
(画像処理方法)
本発明の画像処理方法は、画像記録工程及び画像消去工程の少なくともいずれかを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
本発明の前記画像処理方法においては、画像記録及び画像消去の両方を行う態様、画像の記録のみを行う態様、画像の消去のみを行う態様のいずれをも含む。
本発明において、前記画像には、文字、記号、線図、図形などが含まれる。
<画像記録工程及び画像消去工程>
本発明の前記画像処理方法における前記画像記録工程は、温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより、前記熱可逆記録媒体に画像を記録する工程である。
本発明の前記画像処理方法における前記画像消去工程は、前記熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより該熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する工程である。
前記熱可逆記録媒体に対し、前記レーザ光を照射して加熱することにより、前記熱可逆記録媒体に非接触の状態で画像の記録及び消去を行うことができる。
本発明の画像処理方法においては、通常、前記熱可逆記録媒体の再使用時に初めて画像の更新(前記画像消去工程)を行い、その後、前記画像記録工程により画像の記録を行うが、画像の記録及び画像消去の順序はこれに限られるものではなく、前記画像記録工程により画像を記録した後、前記画像消去工程により画像を消去してもよい。
本発明においては、前記画像記録工程が、レーザ光出射手段と該レーザ光出射手段におけるレーザ光出射面に配置される光走査手段とレーザ光の光照射強度分布を変化させる光照射強度分布調整手段とレーザ光を集光させるfθレンズとを少なくとも有する画像処理装置を用いて行われる。なお、画像処理装置の詳細な説明については後述する。
fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光のエネルギーをfθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光のエネルギーよりも低くなるように調整する。これにより、熱可逆記録媒体に過剰なエネルギーが加わることがなく、繰り返し画像記録及び消去を行ったときの熱可逆記録媒体の劣化を抑制することが可能となる。
前記エネルギーとは、走査する方向の単位長さ当たりに熱可逆記録媒体上に照射するレーザ光のエネルギー量を指し、レーザ光の出力をP、レーザ光の走査線速度をVとしたときにP/Vに相当する特性であり、レーザ光の出力を高くすることでエネルギーは高くなり、レーザ光の走査線速度を速くすることでエネルギーは小さくなる。
ここで、fθレンズ17の中心部とは、図3A及び図3Bに示すように、レーザ光源を搭載する画像処理装置に設けられたミラー16の制御によってレーザ光15が熱可逆記録媒体に照射することのできる範囲14のうち、fθレンズにおけるレーザ光照射部位の中心点19から2/5*R内(ただし、Rは、fθレンズの有効半径を意味する)の範囲を示す。
前記レーザ光照射部位の中心点18とは、図3Aに示すように、レーザヘッドから熱可逆記録媒体に対して垂直に照射されるレーザ光ビームによって照射される部位を意味する。レーザ光照射部位の中心点18は、使用するレーザ光のスポット径に依存して、その照射部位の面積が変更する。
fθレンズ17の周辺部とは、図3A及び図3Bに示すように、レーザ光源を搭載する画像処理装置に設けられたミラー16の制御によってレーザ光15が熱可逆記録媒体に照射することのできる範囲14のうち、前記fθレンズ17の中心部を除く範囲を含み、その周辺部の面積は、熱可逆記録媒体とレーザ光の光源との距離に依存する(図1、図2、図3A及び図3B参照)。
前記fθレンズの有効半径Rとは、レンズとして機能する部分の半径を意味する。
fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光のエネルギーをfθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光のエネルギーよりも低くする方法としては、例えば(1)fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力P2をfθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力P1に対して小さくする方法、(2)fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度V2をfθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度V1に対して大きくする方法などが挙げられる。これらの方法は、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
前記(1)の方法は、fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力P2をfθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力P1よりも低くすることで、熱可逆記録媒体に過剰なエネルギーが加わることがなく、繰り返し画像記録及び画像消去を行ったときの熱可逆記録媒体の劣化を減少させることが可能となる。
(P2/P1)×100は、80%〜99%が好ましく、85%〜95%がより好ましく、88%〜92%が更に好ましい。前記(P2/P1)×100が、80%未満であると、fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光において、熱可逆記録媒体のレーザ照射部の繰り返し耐久性は向上するものの、画像線幅が細くなり、画像がかすれるという問題が起きてしまうことがあり、99%を超えると、fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光において、熱可逆記録媒体のレーザ照射部に過剰なエネルギーがかかり熱可逆記録媒体の劣化が起こり、繰り返し耐久性が悪化してしまうことがある。
前記画像記録工程において照射されるレーザ光の出力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1W以上が好ましく、3W以上がより好ましく、5W以上が更に好ましい。前記レーザ光の出力が、1W未満であると、画像記録に時間がかかり、画像記録時間を短くしようとすると出力が不足して高濃度の画像が得られない。
また、前記レーザ光の出力の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200W以下が好ましく、150W以下がより好ましく、100W以下が更に好ましい。前記レーザ光の出力が、200Wを超えると、レーザ装置の大型化を招くことがある。
前記(2)の方法は、fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度V2をfθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度V1に対して大きくすることで、熱可逆記録媒体に過剰なエネルギーが加わることがなく、繰り返し画像記録及び消去を行ったときの熱可逆記録媒体の劣化を減少させることが可能となる。
前記(V2/V1)×100は、101%〜120%が好ましく、105%〜115%がより好ましく、108%〜112%が更に好ましい。前記(V2/V1)×100が、101%未満であると、fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光において熱可逆記録媒体のレーザ照射部に過剰なエネルギーがかかり劣化が起こり、繰り返し耐久性が悪化してしまうことがあり、120%を超えると、fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光において熱可逆記録媒体のレーザ照射部の繰り返し耐久性は向上するものの、画像線幅が細くなり、画像がかすれるという問題が起きてしまうことがある。
前記画像記録工程において照射されるレーザ光の走査線速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300mm/s以上が好ましく、500mm/s以上がより好ましく、700mm/s以上が更に好ましい。前記走査線速度が、300mm/s未満であると、画像記録に時間がかかる。また、前記レーザ光の走査線速度の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15,000mm/s以下が好ましく、10,000mm/s以下がより好ましく、8,000mm/s以下が更に好ましい。前記走査速度が、15,000mm/sを超えると、均一な画像が記録し難くなる。
前記画像記録工程において照射されるレーザ光のスポット径としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、0.02mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.15mm以上が更に好ましい。また、前記レーザ光のスポット径の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3.0mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、2.0mm以下が更に好ましい。
前記スポット径が小さいと、画像の線幅が細くなり、コントラストが小さくなって視認性が低下する。また、スポット径が大きくなると、画像の線幅が太くなり、隣接する線が重なり、小さな文字の画像記録が不可能となる。
前記レーザ光の進行方向直交断面の光照射強度分布を測定する方法としては、前記レーザ光が、例えば、半導体レーザ、YAGレーザ等から出射され、近赤外領域の波長を有する場合には、CCD等を用いたレーザビームプロファイラを用いて行うことができる。また、例えば、COレーザから出射され、遠赤外領域の波長を有する場合には、前記CCDを使用することができないため、ビームスプリッタとパワーメータとを組合せたもの、高感度焦電式カメラを用いたハイパワー用ビームアナライザなどを用いて行うことができる。
前記画像記録工程及び前記画像消去工程の少なくともいずれかにおいて、fθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布が、0.40≦I/I≦2.00を満たすことが好ましい。ただし、Iは熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の中心位置における光照射強度、Iは熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の全照射エネルギーの80%面の光照射強度をそれぞれ表す。
ここで、前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の全照射エネルギーの80%面とは、図4に示すように、fθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度を高感度焦電式カメラを用いたハイパワー用ビームアナライザを用いて測定し、得られた光照射強度を三次元グラフ化し、Z=0となる面に対して水平な面で全照射エネルギーの80%が含まれるように光照射強度分布を分割した時の面を指す。
熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の強度分布を変化させたときの照射レーザ光の最大値を含む断面における光照射強度分布曲線の例を図5A〜図5Eに示す。図5Eはガウス分布を示し、このような中央部の光照射強度が強い光照射強度分布では、Iに対してIが小さくなるため、I/Iは大きくなる。また、図5Aのような図5Eの光照射強度分布より中央部の光照射強度が弱い光照射強度分布では、Iに対してIが大きくなるため、I/Iは図5Eの光照射強度分布よりも小さくなる。また、図5Bのようなトップハット形状に近い光照射強度分布では、Iに対してIが更に大きくなるため、I/Iは図5Aの光照射強度分布よりも更に小さくなる。図5Cのような中央部の光照射強度が弱く周辺部の光照射強度が強い光照射強度分布では、Iに対してIが更に大きくなるため、I/Iは図5Bの光照射強度分布よりも更に小さくなる。よって、前記比I/Iは前記レーザ光の光照射強度分布の形状を表していることになる。
本発明において、前記比I/Iが2.00を超えると、中心位置の光強度が強くなり、熱可逆記録媒体に過剰なエネルギーが加わり、繰返し画像記録を行ったときに熱可逆記録媒体の劣化による消え残りが発生することがある。一方、前記比I/Iが0.40を下回ると、周辺部に対して中心位置にエネルギーが加わらなくなり、画像を記録した時に線の中央部が発色せずに線が2本に割れてしまう。これより線の中央部を発色させるように照射エネルギーを上げると周辺部の光強度が強くなり過ぎて熱可逆記録媒体に過剰なエネルギーが加わり、及び消去を行ったときに線の周辺部に熱可逆記録媒体の劣化による消え残りが発生してしまう。
更に、前記比I/Iが1.59より大きいと、中心位置の光照射強度が周辺部の光照射強度に対して強い光照射強度分布となることから、画像の記録及び消去の繰り返しによる前記熱可逆記録媒体の劣化を抑制しながら、照射パワーを調整することにより照射距離を変更しなくても描画線の太さを変えることができる。本発明において前記比率の下限としては、0.40が好ましい、好ましくは0.50、より好ましくは0.60、更に好ましくは、0.70となる。また本発明において、前記比率の上限は、2.00が好ましく、1.90がより好ましく、1.80が更に好ましく、1.70が特に好ましい。
前記レーザ光の強度分布を、ガウス分布から、照射レーザ光の中心位置における光照射強度のIと照射レーザ光の全照射エネルギーの80%面の光照射強度Iの関係が、0.40≦I/I≦2.00を満たすように変化させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、特に光照射強度調整手段を用いることが好ましい。
fθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の強度分布を0.40≦I/I≦2.00を満たすように調整しても、光学レンズを使用することでfθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光とfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光において光照射強度分布が異なる形状となってしまう。例えばfθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光において図5Cのようなレーザ光照射強度分布に調整しても、fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光においては図5Dのような部分的に強度の大きな分布に変化してしまい、fθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光に比べfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の方が照射部位が早く劣化してしまう。このため本発明においては劣化抑制のために上述したように、fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力をfθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光よりも低くする、又はfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度をfθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光よりも大きくする。
<画像記録及び画像消去メカニズム>
前記画像記録及び画像消去メカニズムには、温度に依存して透明度が可逆的に変化する態様と、温度に依存して色調が可逆的に変化する態様とがある。
前記透明度が可逆的に変化する態様では、前記熱可逆記録媒体における前記有機低分子が、前記樹脂中に粒子状に分散されてなり、前記透明度が、透明状態と白濁状態とに熱により可逆的に変化する。
前記透明度の変化の視認は、下記現象に由来する。即ち、(1)透明状態の場合、樹脂母材中に分散された前記有機低分子物質の粒子と、前記樹脂母材とは隙間なく密着しており、また、前記粒子内部にも空隙が存在しないため、片側から入射した光は散乱することなく反対側に透過し、透明に見える。一方、(2)白濁状態の場合、前記有機低分子物質の粒子は、前記有機低分子物質の微細な結晶で記録されており、該結晶の界面又は前記粒子と前記樹脂母材との界面に隙間(空隙)が生じ、片側から入射した光は前記空隙と前記結晶との界面、あるいは前記空隙と前記樹脂との界面において屈折し散乱するため、白く見える。
まず、図7Aに、前記樹脂中に前記有機低分子物質が分散されてなる熱可逆記録層(以下、「記録層」と称することがある)を有する熱可逆記録媒体について、その温度−透明度変化曲線の一例を示す。
前記記録層は、例えば、T以下の常温では、白濁不透明状態(A)である。これを加熱していくと、温度Tから徐々に透明になり始め、温度T〜Tに加熱すると透明(B)となり、この状態で再びT以下の常温に戻しても透明(D)のままである。これは、温度T付近から前記樹脂が軟化し始め、軟化が進むにつれて該樹脂が収縮し、該樹脂と前記有機低分子物質粒子との界面、あるいは前記粒子内の空隙を減少させるため、徐々に透明度が上がり、温度T〜Tでは、前記有機低分子物質が半溶融状態となり、残った空隙を、前記有機低分子物質が埋めることにより透明となり、種結晶が残ったまま冷却されると比較的高温で結晶化し、その際、前記樹脂がまだ軟化状態にあるため、結晶化に伴う粒子の堆積変化に前記樹脂が追随し、前記空隙が生じず、透明状態が維持されるためであると考えられる。
更にT以上の温度に加熱すると、最大透明度と最大不透明度との中間の半透明状態(C)になる。次に、この温度を下げていくと、再び透明状態になることなく、最初の白濁不透明状態(A)に戻る。これは、温度T以上で前記有機低分子物質が完全に溶融した後、過冷却状態となり、Tより少し高い温度で結晶化し、その際、前記樹脂が結晶化に伴う体積変化に追随することができず、空隙が発生するためであると考えられる。
ここで、図7Aにおいて、前記記録層を温度Tを大きく超えた温度Tに繰返し昇温すると、消去温度に加熱しても消去できない消去不良が発生したりする場合がある。これは、加熱されることによって溶融した前記有機低分子物質が前記樹脂中を移動することにより記録層の内部構造が変化するためと思われる。繰返しによる前記熱可逆記録媒体の劣化を抑えるためには、前記熱可逆記録媒体を加熱する際に図7Aの前記温度Tと前記温度Tの差を小さくする必要があり、前記加熱手段がレーザ光である場合、該レーザ光の強度分布において前記比(I/I)は1.29以下が好ましく、1.25以下がより好ましい。
ただし、図7Aに示す温度−透明度変化曲線は、前記樹脂、前記有機低分子物質等の種類を変えると、その種類に応じて、各状態の透明度に変化が生じることがある。
また、透明状態と白濁状態とが熱により可逆的に変化する前記熱可逆記録媒体の透明度変化メカニズムを図7Bに示す。
図7Bでは、1つの長鎖低分子粒子と、その周囲の高分子とを取り出し、加熱及び冷却に伴う空隙の発生及び消失変化を図示している。白濁状態(A)では、高分子と低分子粒子との間(又は粒子内部)に空隙が生じ、光散乱状態となっている。これを加熱し、前記高分子の軟化点(Ts)を超えると、空隙は減少して透明度が増加する。更に加熱し、前記低分子粒子の融点(Tm)近くになると、該低分子粒子の一部が溶融し、溶融した低分子粒子の体積膨張のため、空隙に前記低分子粒子が充満して空隙が消失し、透明状態(B)となる。ここから冷却すると、融点直下で前記低分子粒子は結晶化し、空隙は発生せず、室温でも透明状態(D)が維持される。
次に、前記低分子粒子の融点以上に加熱すると、溶融した低分子粒子と周囲の高分子との屈折率にズレが生じ、半透明状態(C)となる。ここから室温まで冷却すると前記低分子粒子は過冷却現象を生じ高分子の軟化点以下で結晶化し、このとき前記高分子はガラス状態となっているため、前記低分子粒子の結晶化に伴う体積減少に、周囲の高分子が追随できず、空隙が発生して元の白濁状態(A)に戻る。
次に、温度に依存して色調が可逆的に変化する態様では、融解前の前記有機低分子物質が、ロイコ染料及び可逆性顕色剤(以下、「顕色剤」と称することがある)であり、かつ融解した後であって、結晶化する前の前記有機低分子物質が、前記ロイコ染料及び前記顕色剤であり、前記色調が、透明状態と発色状態とに熱により可逆的に変化する。
図8Aに、前記樹脂中に前記ロイコ染料及び前記顕色剤を含んでなる熱可逆記録層を有する熱可逆記録媒体について、その温度−発色濃度変化曲線の一例を示し、図8Bに、透明状態と発色状態とが熱により可逆的に変化する前記熱可逆記録媒体の発消色メカニズムを示す。
まず、初め消色状態(A)にある前記記録層を昇温していくと、溶融温度Tにて、前記ロイコ染料と前記顕色剤とが溶融混合し、発色が生じ溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると、発色状態のまま室温に下げることができ、発色状態が安定化されて固定された発色状態(C)となる。この発色状態が得られたかどうかは、溶融状態からの降温速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が生じ、初期と同じ消色状態(A)、あるいは急冷による発色状態(C)よりも相対的に濃度の低い状態となる。一方、発色状態(C)から再び昇温していくと、発色温度よりも低い温度Tにて消色が生じ(DからE)、この状態から降温すると、初期と同じ消色状態(A)に戻る。
溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は、前記ロイコ染料と前記顕色剤とが分子同士で接触反応し得る状態で混合された状態であり、これは固体状態を記録していることが多い。この状態では、前記ロイコ染料と前記顕色剤との溶融混合物(前記発色混合物)が結晶化して発色を保持した状態であり、この構造の記録により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は、両者が相分離した状態である。この状態は、少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを記録したり、結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより前記ロイコ染料と前記顕色剤とが分離して安定化した状態であると考えられる。多くの場合、このように、両者が相分離して前記顕色剤が結晶化することにより、より完全な消色が生じる。
なお、図8Aに示す、溶融状態から徐冷による消色、及び発色状態からの昇温による消色はいずれもTで凝集構造が変化し、相分離や前記顕色剤の結晶化が生じている。
更に、図8Aにおいて、前記記録層を溶融温度T以上の温度Tに繰返し昇温すると消去温度に加熱しても消去できない消去不良が発生したりする場合がある。これは、前記顕色剤が熱分解を起こし、凝集あるいは結晶化しにくくなってロイコ染料と分離しにくくなるためと思われる。繰返しによる前記熱可逆記録媒体の劣化を抑えるためには、前記熱可逆記録媒体を加熱する際に図8Aの前記溶融温度Tと前記温度Tの差を小さくすることにより、繰返しによる前記熱可逆記録媒体の劣化を抑えられる。
[熱可逆記録媒体]
本発明の前記画像処理方法に用いられる前記熱可逆記録媒体は、支持体と、可逆性感熱記録層とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、光熱変換層、紫外線吸収層、第1及び第2の酸素バリア層、保護層、中間層、アンダーコート層、バック層、接着層、粘着層、着色層、空気層、光反射層等のその他の層を有してなる。これら各層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
−支持体−
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記熱可逆記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の材料としては、例えば、無機材料、有機材料などが挙げられる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、SiO、金属などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、紙、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体、合成紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のフィルムなどが挙げられる。
前記無機材料及び前記有機材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、有機材料が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
前記支持体には、塗布層の接着性を向上させることを目的として、コロナ放電処理、酸化反応処理(クロム酸等)、エッチング処理、易接着処理、帯電防止処理、などを行うことにより表面改質するのが好ましい。
また、前記支持体に、酸化チタン等の白色顔料などを添加することにより、白色にするのが好ましい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜2,000μmが好ましく、50〜1,000μmがより好ましい。
−熱可逆記録層−
前記熱可逆記録層(以下、単に「記録層」と称することがある)は、温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する材料を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する材料は、温度変化により、目に見える変化を可逆的に生じる現象を発現可能な材料であり、加熱温度及び加熱後の冷却速度の違いにより、相対的に発色した状態と消色した状態とに変化可能である。この場合、目に見える変化は、色の状態の変化と形状の変化とに分けられる。該色の状態の変化は、例えば、透過率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化に起因し、前記熱可逆記録媒体は、実際には、これらの変化の組合せにより色の状態が変化する。
前記温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリマーを2種以上混合し、その相溶状態の違いで透明及び白濁に変化するもの(特開昭61−258853号公報参照)、液晶高分子の相変化を利用したもの(特開昭62−66990号公報参照)、常温より高い第一の特定温度で第一の色の状態となり、該第一の特定温度よりも高い第二の特定温度で加熱し、その後冷却することにより第二の色の状態となるものなどが挙げられる。これらの中でも、温度制御しやすく、高コントラストが得られる点で、前記第一の特定温度と第二の特定温度とで色の状態が変化するものが特に好ましい。
例えば常温より高い第一の特定温度で第一の色の状態となり、該第一の特定温度よりも高い第二の特定温度で加熱し、その後冷却することにより第二の色の状態となるもの、更に前記第二の特定温度よりも高い第三の特定温度以上で加熱するものなどが挙げられる。
これらの例としては、第一の特定温度で透明状態となり、第二の特定温度で白濁状態となるもの(特開昭55−154198号公報参照)、第二の特定温度で発色し、第一の特定温度で消色するもの(特開平4−224996号公報、特開平4−247985号公報、特開平4−267190号公報等参照)、第一の特定温度で白濁状態となり、第二の特定温度で透明状態となるもの(特開平3−169590号公報参照)、第一の特定温度で黒、赤、青等に発色し、第二の特定温度で消色するもの(特開平2−188293号、特開平2−188294号公報等参照)などが挙げられる。
これらの中でも、樹脂母材と該樹脂母材中に分散させた高級脂肪酸等の有機低分子物質とからなる熱可逆記録媒体は、第二の特定温度及び第一の特定温度が比較的低く、低エネルギーでの消去記録が可能な点で有利である。また、発消色メカニズムが、樹脂の固化と有機低分子物質の結晶化とに依存する物理変化であるため、耐環境性に強い特性がある。
また、後述するロイコ染料と可逆性顕色剤とを用いた、第二の特定温度で発色し、第一の特定温度で消色する熱可逆記録媒体は、透明状態と発色状態とを可逆的に示し、発色状態では、黒、青、その他の色を示すため、高コントラストな画像を得ることができる。
前記熱可逆記録媒体における前記有機低分子物質(樹脂母材中に分散され、第一の特定温度で透明状態となり、第二の特定温度で白濁状態となるもの)としては、前記録層中で、熱により多結晶から単結晶に変化するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、融点が30℃〜200℃程度のものが好ましく、融点が50℃〜150℃のものがより好ましい。
このような有機低分子物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカノール;アルカンジオール;ハロゲンアルカノール又はハロゲンアルカンジオール;アルキルアミン;アルカン;アルケン;アルキン;ハロゲンアルカン;ハロゲンアルケン;ハロゲンアルキン;シクロアルカン;シクロアルケン;シクロアルキン;飽和又は不飽和モノ若しくはジカルボン酸又はこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;飽和又は不飽和ハロゲン脂肪酸及びこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;アリールカルボン酸及びそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;ハロゲンアリルカルボン酸及びそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;チオアルコール;チオカルボン酸及びそれらのエステル、アミン又はアンモニウム塩;チオアルコールのカルボン酸エステル;などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの化合物の炭素数としては、10〜60が好ましく、10〜38がより好ましく、10〜30が特に好ましい。エステル中のアルコール基部分は、飽和していてもよいし飽和していなくてもよく、ハロゲン置換されていてもよい。
また、前記有機低分子物質は、その分子中に、酸素、窒素、硫黄及びハロゲンから選択される少なくとも1種、例えば、−OH、−COOH、−CONH−、−COOR、−NH−、−NH、−S−、−S−S−、−O−、ハロゲン原子等を含んでいるのが好ましい。更に具体的には、これらの化合物としては、例えば、ラウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、アラギン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸メチル、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン酸オクタデシル、ラウリン酸オクタデシル、パルミチン酸テトラデシル、ベヘン酸ドデシル等の高級脂肪酸のエステルなどが挙げられる。これらの中でも、前記画像処理方法の第3の態様で用いられる有機低分子物質としては、高級脂肪酸が好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸などの炭素数16以上の高級脂肪酸がより好ましく、炭素数16〜24の高級脂肪酸が更に好ましい。
前記熱可逆記録媒体を透明化することができる温度範囲の幅を拡げるためには、上述した各種有機低分子物質を適宜組み合わせて使用してもよいし、該有機低分子物質と融点の異なる他の材料とを組み合わせて使用してもよい。これらは、例えば、特開昭63−39378号公報、特開昭63−130380号公報、特許第2615200号公報などに開示されているが、これらに限定されるものではない。
前記樹脂母材は、前記有機低分子物質を均一に分散保持した層を記録すると共に、最大透明時の透明度に影響を与える。このため、該樹脂母材としては、透明性が高く、機械的安定性を有し、かつ成膜性の良好な樹脂であるのが好ましい。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体等の塩化ビニル系共重合体;ポリ塩化ビニリデン;塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニリデン系共重合体;ポリエステル;ポリアミド;ポリアクリレート又はポリメタクリレート若しくはアクリレート−メタクリレート共重合体;シリコーン樹脂;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記記録層における、前記有機低分子物質と前記樹脂(樹脂母材)との割合は、質量比で2:1〜1:16程度が好ましく、1:2〜1:8がより好ましい。
前記樹脂の比率が、2:1よりも小さいと、前記有機低分子物質を前記樹脂母材中に保持した膜を記録することが困難となることがあり、1:16よりも大きくなると、前記有機低分子物質の量が少ないため、前記記録層の不透明化が困難になることがある。
前記記録層には、前記有機低分子物質及び前記樹脂のほか、透明画像の記録を容易にするために、高沸点溶剤、界面活性剤等のその他の成分を添加することができる。
前記記録層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂母材及び前記有機低分子物質の2成分を溶解した溶液、又は、前記樹脂母材の溶液(溶剤としては、前記有機低分子物質から選択される少なくとも1種を不溶なもの)に前記有機低分子物質を微粒子状に分散させた分散液を、例えば、前記支持体上に塗布及び乾燥させることにより行うことができる。
前記記録層の作製用溶剤としては、特に制限はなく、前記樹脂母材及び前記有機低分子物質の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼンなどが挙げられる。なお、前記分散液を使用した場合はもちろん、前記溶液を使用した場合も、得られる記録層中では前記有機低分子物質は微粒子として析出し、分散状態で存在する。
前記熱可逆記録媒体における前記有機低分子物質は、前記ロイコ染料及び前記可逆性顕色剤からなり、第二の特定温度で発色し、第一の特定温度で消色するものであってもよい。前記ロイコ染料は、それ自体無色又は淡色の染料前駆体である。該ロイコ染料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、トリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、チオフェルオラン系、キサンテン系、インドフタリル系、スピロピラン系、アザフタリド系、クロメノピラゾール系、メチン系、ローダミンアニリノラクタム系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系等のロイコ化合物が好適に挙げられる。これらの中でも、発消色特性、色彩、保存性等に優れる点で、フルオラン系又はフタリド系のロイコ染料が特に好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、異なる色調に発色する層を積層することにより、マルチカラー、フルカラーに対応させることもできる。
前記可逆性顕色剤としては、熱を因子として発消色を可逆的に行うことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)前記ロイコ染料を発色させる顕色能を有する構造(例えば、フェノール性水酸基、カルボン酸基、リン酸基等)、及び、(2)分子間の凝集力を制御する構造(例えば、長鎖炭化水素基が連結した構造)、から選択される構造を分子内に1つ以上有する化合物が好適に挙げられる。なお、連結部分にはヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していてもよく、また、長鎖炭化水素基中にも、同様の連結基及び芳香族基の少なくともいずれかが含まれていてもよい。
前記(1)ロイコ染料を発色させる顕色能を有する構造としては、フェノールが特に好ましい。
前記(2)分子間の凝集力を制御する構造としては、炭素数8以上の長鎖炭化水素基が好ましく、該炭素数は11以上がより好ましく、また炭素数の上限としては、40以下が好ましく、30以下がより好ましい。
前記可逆性顕色剤の中でも、下記一般式(1)で表されるフェノール化合物が好ましく、下記一般式(2)で表されるフェノール化合物がより好ましい。
前記一般式(1)及び(2)中、Rは、単結合又は炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数2以上の脂肪族炭化水素基を表し、該炭素数としては、5以上が好ましく、10以上がより好ましい。Rは、炭素数1〜35の脂肪族炭化水素基を表し、該炭素数としては、6〜35が好ましく、8〜35がより好ましい。これらの脂肪族炭化水素基は、1種単独で有していてもよいし、2種以上を併用して有していてもよい。
前記R、前記R、及び前記Rの炭素数の和としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下限としては、8以上が好ましく、11以上がより好ましく、上限としては、40以下が好ましく、35以下がより好ましい。
前記炭素数の和が、8未満であると、発色の安定性や消色性が低下することがある。
前記脂肪族炭化水素基は、直鎖であってもよいし、分枝鎖であってもよく、不飽和結合を有していてもよいが、直鎖であるのが好ましい。また、前記炭化水素基に結合する置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
X及びYは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、N原子又はO原子を含む2価の基を表し、具体例としては、酸素原子、アミド基、尿素基、ジアシルヒドラジン基、シュウ酸ジアミド基、アシル尿素基等が挙げられる。これらの中でも、アミド基、尿素基が好ましい。
nは、0〜1の整数を示す。
前記電子受容性化合物(顕色剤)は、消色促進剤として分子中に−NHCO−基、−OCONH−基を少なくとも一つ以上有する化合物を併用することにより、消色状態を記録する過程において消色促進剤と顕色剤の間に分子間相互作用が誘起され、発消色特性が向上するので好ましい。
前記消色促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記記録層には、バインダー樹脂、更に必要に応じて記録層の塗布特性や発色消色特性を改善したり、制御するための各種添加剤を用いることができる。これらの添加剤としては、例えば、界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、光安定化剤、発色安定化剤、消色促進剤などが挙げられる。
前記バインダー樹脂としては、支持体上に記録層を結着することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、従来から公知の樹脂の中から1種又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、繰り返し時の耐久性を向上させるため、熱、紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられ、特にイソシアネート系化合物などを架橋剤として用いた熱硬化性樹脂が好適である。該熱硬化性樹脂としては、例えば、水酸基やカルボキシル基等の架橋剤と反応する基を持つ樹脂、又は水酸基やカルボキシル基等を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などが挙げられる。このような熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、等が挙げられる。これらの中でも、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂が特に好ましい。
前記記録層中における前記発色剤とバインダー樹脂との混合割合(質量比)は、発色剤1に対して0.1〜10が好ましい。バインダー樹脂が少なすぎると、前記記録層の熱強度が不足することがあり、一方、バインダー樹脂が多すぎると、発色濃度が低下して問題となることがある。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソシアネート類、アミノ樹脂、フェノール樹脂、アミン類、エポキシ化合物、等が挙げられる。これらの中でも、イソシアネート類が好ましく、特に好ましくはイソシアネート基を複数持つポリイソシアネート化合物である。
前記架橋剤のバインダー樹脂に対する添加量は、バインダー樹脂中に含まれる活性基の数に対する架橋剤の官能基の比は0.01〜2が好ましい。これ以下では熱強度が不足してしまい、また、これ以上添加すると発色及び消色特性に悪影響を及ぼす。更に、架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。
前記熱架橋した場合の熱硬化性樹脂のゲル分率は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましい。前記ゲル分率が30%未満であると、架橋状態が十分でなく耐久性に劣ることがある。
前記バインダー樹脂が架橋状態にあるのか非架橋状態にあるのかを区別する方法としては、例えば、塗膜を溶解性の高い溶媒中に浸すことによって区別することができる。即ち、非架橋状態にあるバインダー樹脂は、溶媒中に該樹脂が溶けだし溶質中には残らなくなる。
前記記録層におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、画像の記録を容易にする観点から、界面活性剤、可塑剤などが挙げられる。
前記記録層用塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、記録層の塗工方法、乾燥・硬化方法等は前記バック層で用いられた公知の方法を用いることができる。なお、記録層用塗布液は前記分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散してもよいし、各々単独で溶媒中に分散して混ぜ合わせてもよい。更に加熱溶解して急冷又は徐冷によって析出させてもよい。
前記記録層を記録する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)前記樹脂、及び前記電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を溶媒中に溶解乃至分散させた記録層用塗布液を支持体上に塗布し、該溶媒を蒸発させてシート状等にするのと同時に又はその後に架橋する方法、(2)前記樹脂のみを溶解した溶媒に前記電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を分散させた記録層用塗布液を支持体上に塗布し、該溶媒を蒸発させてシート状等にすると同時に又はその後に架橋する方法、(3)溶媒を用いず、前記樹脂と前記電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物とを加熱溶融して互いに混合し、この溶融混合物をシート状等に成形して冷却した後に架橋する方法、などが好適に挙げられる。なお、これらにおいて、前記支持体を用いることなく、シート状の熱可逆記録媒体として成形することもできる。
前記(1)又は(2)において用いる溶剤としては、前記樹脂及び前記電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物の種類等によって異なり一概には規定することはできないが、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼンなどが挙げられる。なお、前記電子受容性化合物は、前記記録層中では粒子状に分散して存在している。
前記記録層用塗布液には、コーティング材料用としての高度な性能を発現させる目的で、各種顔料、消泡剤、顔料、分散剤、スリップ剤、防腐剤、架橋剤、可塑剤等を添加してもよい。
前記記録層の塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ロール状で連続して、又はシート状に裁断した支持体を搬送し、該支持体上に、例えば、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法で塗布する。
前記記録層用塗布液の乾燥条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温(25℃)〜140℃の温度で、10秒間〜10分間程度、などが挙げられる。
前記記録層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1μm〜20μmが好ましく、3μm〜15μmがより好ましい。前記記録層の厚みが薄すぎると発色濃度が低くなるため画像のコントラストが低くなることがあり、一方、厚すぎると層内での熱分布が大きくなり、発色温度に達せず発色しない部分が発生し、希望とする発色濃度を得ることができなくなることがある。
−光熱変換層−
前記光熱変換層は、レーザ光を吸収し発熱する機能を有する層である。
前記光熱変換層は、前記レーザ光を高効率で吸収し発熱する役割を有する光熱変換材料を少なくとも含有してなる。光熱変換材料は前記熱可逆記録層または前記熱可逆記録層の近接層の少なくとも一方の層に含有させることが特に好ましい。前記記録層中に光熱変換材料を含有させる場合、前記記録層は前記光熱変換層を兼ねることとなる。また前記熱可逆記録層の近接層に光熱変換材料を含有させる場合、光熱変換材料を含有する層を熱可逆記録層で挟み込むことで、光熱変換層で発生した熱を効率よく利用することができ、層分離により発生する記録感度消去感度の低下を抑えることができる。ここで熱可逆記録層と光熱変換層が近接とは、熱可逆記録層と光熱変換層を接する又は、熱可逆記録層と光熱変換層の間に記録層膜厚以下の層を形成させることを指す。熱可逆記録層と光熱変換層の間に両層が相互作用を抑制する目的でバリア層を形成することがあり、材料として熱伝導性の良い層が好ましい。前記熱可逆記録層と光熱変換層の間に挟む層は、目的に応じて適宜選択することができ、これらに限定されるものではない。
前記光熱変換材料は、無機系材料と有機系材料とに大別できる。
前記無機系材料としては、例えば、カーボンブラックやGe、Bi、In、Te、Se
、Cr等の金属又は半金属及びそれを含む合金が挙げられ、これらは、真空蒸着法や粒子
状の材料を樹脂等で接着して層状に記録される。
前記有機系材料としては、吸収すべき光波長に応じて各種の染料を適宜用いることがで
きるが、光源として半導体レーザを用いる場合には、700〜1,500nm付近に吸収
ピークを有する近赤外吸収色素が用いられる。具体的には、シアニン色素、キノン系色素
、インドナフトールのキノリン誘導体、フェニレンジアミン系ニッケル錯体、フタロシア
ニン系色素などが挙げられる。及び消去を繰り返すためには、耐熱性に優れた光熱変換材
料を選択するのが好ましい。
前記近赤外吸収色素は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光熱変換層を設ける場合には、通常、前記光熱変換材料は、樹脂と併用して用いられる。該光熱変換層に用いられる樹脂としては、特に制限はなく、前記無機系材料及び有機系材料を保持できるものであれば、公知のものの中から適宜選択することができるが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが好ましく、前記記録層で用いられたバインダー樹脂と同様なものを好適に用いることができる。これらの中でも、繰り返し時の耐久性を向上させるため、熱、紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられ、特にイソシアネート系化合物などを架橋剤として用いた熱架橋樹脂が好ましい。前記バインダー樹脂において、その水酸基価は100mgKOH/g〜400mgKOH/gであることが好ましい。
前記光熱変換層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜20μmであることが好ましい。
−紫外線吸収層−
本発明においては、前記熱可逆記録層中のロイコ染料の紫外線による着色及び光劣化による消え残りを防止する目的で、熱可逆記録層上に紫外線吸収層を設けることが好ましく、これによって前記記録媒体の耐光性が改善できる。特に紫外線吸収層が390nm以下の紫外線を吸収するように、紫外線吸収層の厚みを適宜選択することで、耐光性は大きく改善される。
前記紫外線吸収層は、少なくともバインダー樹脂と紫外線吸収剤を含有し、更に必要に応じて、フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記熱可逆記録層のバインダー樹脂や熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂成分を用いることができる。該樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミドなどが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、有機系及び無機系化合物のいずれでも用いることができる。
また、紫外線吸収構造を持つポリマー(以下、「紫外線吸収ポリマー」と称することもある)を用いることが好ましい。
ここで、前記紫外線吸収構造を持つポリマーとは、紫外線吸収構造(例えば、紫外線吸収性基)を分子中に有するポリマーを意味する。該紫外線吸収構造としては、例えば、サリシレート構造、シアノアクリレート構造、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造などが挙げられる。これらの中でも、ロイコ染料の光劣化の原因である340〜400nmの紫外線を吸収することからベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造が特に好ましい。
前記紫外線吸収ポリマーは架橋されていることが好ましい。従って紫外線吸収ポリマーとしては、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基等のような、硬化剤と反応する基を有しているものを用いることが好ましく、特に水酸基を有しているポリマーが好ましい。該紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の強度を向上させるためには該ポリマーの水酸基価が10mgKOH/g以上のポリマーを用いると十分な塗膜強度が得られ、より好ましくは30mgKOH/g以上であり、更に好ましくは40mgKOH/g以上である。十分な塗膜強度を持たせることで繰り返し消去印字を行っても記録媒体の劣化が抑えることができる。
前記紫外線吸収層の厚みは、0.1μm〜30μmが好ましく、0.5μm〜20μmがより好ましい。前記紫外線吸収層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、紫外線吸収層の塗工方法、紫外線吸収層の乾燥・硬化方法等は、前記熱可逆記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
−第1及び第2の酸素バリア層−
第1及び第2の酸素バリア層は、熱可逆記録層に酸素が進入することを防ぐことにより、前記第1及び第2の熱可逆記録層中のロイコ染料の光劣化を防止する目的で、熱可逆記録層の上下に酸素バリア層を設けることが好ましい。即ち支持体と熱可逆記録層との間に第1の酸素バリア層を設け、熱可逆記録層上に第2の酸素バリア層を設けることが好ましい。
前記第1及び第2の酸素バリア層には、可視部の透過率が大きく、酸素透過度が低い樹脂又は高分子フィルム等が挙げられる。該酸素バリア層は、その用途、酸素透過性、透明性、塗工のしやすさ、接着性等によって選択される。前記酸素バリア層の具体例としては、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリロニトリル、ポリアルキルビニルエステル、ポリアルキルビニルエーテル、ポリフッ素化ビニル、ポリスチレン、酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、アセトニトリル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン−6及びポリアセタール等の樹脂、又はポリエチレンテレフタレートやナイロン等の高分子フィルム上に無機酸化物を蒸着したシリカ蒸着フィルム、アルミナ蒸着フィルム、シリカ/アルミナ蒸着フィルムなどが挙げられる。これらの中でも高分子フィルム上に無機酸化物を蒸着したフィルムが好ましい。
前記酸素バリア層の酸素透過度としては、20ml/m/day/MPa以下が好ましく、5ml/m/day/MPa以下がより好ましく、1ml/m/day/MPa以下が更に好ましい。前記酸素透過度が、20ml/m/day/MPaを超えると、前記熱可逆記録層中のロイコ染料の光劣化を抑制できないことがある。
前記酸素透過度は、例えばJIS K7126 B法に準じた測定法により測定することができる。
前記酸素バリア層は前記熱可逆記録層の下側又は支持体の裏面など、前記酸素バリア層で熱可逆記録層を挟み込むように設けることもできる。これにより、熱可逆記録層への酸素侵入をより効果的に防ぐことができ、ロイコ染料の光劣化をより少なくすることができる。
前記第1及び第2の酸素バリア層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、溶融押出し法、コーティング法、ラミネート法、などが挙げられる。
前記第1及び第2の酸素バリア層の厚さは、樹脂又は高分子フィルムの酸素透過性によって異なるが、0.1μm〜100μmが好ましい。これより薄いと酸素バリアが不完全であり、厚いと透明性が低下するので好ましくない。
前記酸素バリア層と下層の間には、接着層を設けてもよい。前記接着層の形成方法は、特に制限なく通常のコーティング法、ラミネート法等を挙げることができる。接着層の厚さは特に制限ないが、0.1μm〜5μmが好ましい。前記接着層は、架橋剤により硬化してもよい。これらは前記熱可逆記録層で用いられたものと同様のものを好適に用いることができる。
−保護層−
本発明の熱可逆記録媒体には、前記記録層を保護する目的で該記録層上に保護層を設けることが好ましい。該保護層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、露出している最表面に設けることが好ましい。
前記保護層はバインダー樹脂、更に必要に応じて、フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記保護層のバインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱硬化性樹脂、紫外線(UV)硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、等が好ましく、これらの中でも、紫外線(UV)硬化性樹脂、熱硬化性樹脂が特に好ましい。
前記UV硬化性樹脂は、硬化後非常に硬い膜を記録することができ、表面の物理的な接触によるダメージやレーザ加熱による媒体変形を抑止することができるため、繰り返し耐久性に優れた熱可逆記録媒体が得られる。また、前記熱硬化性樹脂は、前記UV硬化性樹脂にはやや劣るが同様に表面を硬くすることができ、繰り返し耐久性に優れる。
前記UV硬化性樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル系のオリゴマーや各種単官能、多官能のアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、エチレン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。これらの中でも、4官能以上の多官能性のモノマー又はオリゴマーが特に好ましい。これらのモノマー又はオリゴマーを2種類以上混合することで樹脂膜の硬さ、収縮度、柔軟性、塗膜強度等を適宜調節することができる。
また、前記モノマー又はオリゴマーを紫外線を用いて硬化させるためには、光重合開始剤、光重合促進剤を用いる必要がある。
前記光重合開始剤又は光重合促進剤の添加量は、前記保護層の樹脂成分の全質量に対し0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。
前記紫外線硬化樹脂を硬化させるための紫外線照射は、公知の紫外線照射装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、光源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置等を備えたものが挙げられる。
前記光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、カリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどが挙げられる。該光源の波長は、前記熱可逆記録媒体用組成物に添加されている光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外線吸収波長に応じて適宜選択することができる。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂を架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出力、搬送速度等を決めればよい。
また、搬送性を良好にするため、重合性基を持つシリコーン、シリコーングラフトをした高分子、ワックス、ステアリン酸亜鉛等の離型剤、シリコーンオイル等の滑剤を添加することができる。これらの添加量としては、保護層の樹脂成分全質量に対して0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜40質量%がより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、静電気対策として導電性フィラーを用いることが好ましく、更に針状導電性フィラーを用いることが好ましい。
前記無機顔料の粒径としては、例えば、0.01μm〜10.0μmが好ましく、0.05μm〜8.0μmがより好ましい。前記無機顔料の添加量としては、前記耐熱性樹脂1質量部に対し、0.001質量部〜2質量部が好ましく、0.005質量部〜1質量部がより好ましい。
更に、前記保護層には、添加剤として従来公知の界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤のなどを含有していてもよい。
また、熱硬化性樹脂としては例えば、前記記録層で用いられたバインダー樹脂と同様なものを好適に用いることができる。更に紫外線吸収構造を持つポリマー(以下、「紫外線吸収ポリマー」と称することもある)を用いてもよい。
ここで、前記紫外線吸収構造を持つポリマーとは、紫外線吸収構造(例えば、紫外線吸収性基)を分子中に有するポリマーを意味する。該紫外線吸収構造としては、例えば、サリシレート構造、シアノアクリレート構造、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造などが挙げられ、これらの中でも、耐光性が良好である点でベゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造が特に好ましい。
前記熱硬化性樹脂は架橋されていることが好ましい。従って熱硬化性樹脂としては、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基等のような、硬化剤と反応する基を有しているものを用いることが好ましく、特に水酸基を有しているポリマーが好ましい。該紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の強度を向上させるためには該ポリマーの水酸基価が10mgKOH/g以上のポリマーを用いると十分な塗膜強度が得られ、より好ましくは30mgKOH/g以上であり、更に好ましくは40mgKOH/g以上である。十分な塗膜強度を持たせることで繰り返し画像記録・消去を行っても記録媒体の劣化が抑えることができる。
前記硬化剤としては例えば、前記記録層で用いられた硬化剤と同様なものを好適に用いることができる。
前記保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、保護層の塗工方法、乾燥方法等は前記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。紫外線硬化樹脂を用いた場合には塗布して乾燥を行った紫外線照射による硬化工程が必要となるが、紫外線照射装置、光源、照射条件については前記の通りである。
前記保護層の厚みは、0.1μm〜20μmが好ましく、0.5μm〜10μmがより好ましく、1.5μm〜6μmが更に好ましい。前記厚みが、0.1μm未満であると、熱可逆記録媒体の保護層としての機能を十分に果たすことができず、熱による繰り返し履歴によりすぐに劣化し、繰り返し使用することができなくなってしまうことがあり、20μmを超えると、保護層の下層にある感熱に十分な熱を伝えることができなくなり、熱による画像記録と消去が十分にできなくなってしまうことがある。
−中間層−
本発明においては、前記記録層と前記保護層の接着性向上、保護層の塗布による記録層の変質防止、保護層中の添加剤の記録層への移行を防止する目的で、両者の間に中間層を設けることが好ましく、これによって発色画像の保存性が改善できる。
前記中間層は、少なくともバインダー樹脂を含有し、更に必要に応じて、フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記記録層のバインダー樹脂や熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂成分を用いることができる。該樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミドなどが挙げられる。
前記中間層には、紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。該紫外線吸収剤としては、有機系及び無機系化合物のいずれでも用いることができる。
また、紫外線吸収ポリマーを用いてもよく、架橋剤により硬化してもよい。これらは前記保護層で用いられたものと同様のものを好適に用いることができる。
前記中間層の厚みは、0.1μm〜20μmが好ましく、0.5μm〜5μmがより好ましい。前記中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、中間層の塗工方法、中間層の乾燥・硬化方法等は、前記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
−アンダー層−
本発明においては、印加した熱を有効に利用し高感度化するため、又は支持体と記録層の接着性の改善や支持体への記録層材料の浸透防止を目的として、前記記録層と前記支持体の間にアンダー層を設けてもよい。
前記アンダー層は、少なくとも中空粒子を含有してなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記中空粒子としては、中空部が粒子内に一つ存在する単一中空粒子、中空部が粒子内に多数存在する多中空粒子、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記中空粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、熱可塑性樹脂などが好適に挙げられる。前記中空粒子は、適宜製造したものであってもよいし、市販品であってもよい。該市販品としては、例えば、マイクロスフェアーR−300(松本油脂株式会社製);ローペイクHP1055、ローペイクHP433J(いずれも、日本ゼオン株式会社製);SX866(JSR株式会社製)などが挙げられる。
前記中空粒子の前記アンダー層における添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10質量%〜80質量%が好ましい。
前記バインダー樹脂としては、前記記録層、又は前記紫外線吸収構造を持つポリマーを含有する層と同様の樹脂を用いることができる。
前記アンダー層には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルクなどの無機フィラー及び各種有機フィラーの少なくともいずれかを含有させることができる。
なお、前記アンダー層には、その他、滑剤、界面活性剤、分散剤などを含有させることもできる。
前記アンダー層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜50μmが好ましく、2μm〜30μmがより好ましく、12μm〜24μmが更に好ましい。
−バック層−
本発明においては、前記熱可逆記録媒体のカールや帯電防止、搬送性の向上のために支持体の記録層を設ける面と反対側にバック層を設けてもよい。
前記バック層は、少なくともバインダー樹脂を含有し、更に必要に応じて、フィラー、導電性フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱硬化性樹脂、紫外線(UV)硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、等が挙げられ、これらの中でも、紫外線(UV)硬化性樹脂、熱硬化性樹脂が特に好ましい。
前記紫外線硬化樹脂、前記熱硬化性樹脂、前記フィラー、前記導電性フィラー、及び前記滑剤については、前記記録層、前記保護層、前記又は中間層で用いられたものと同様なものを好適に用いることができる。
−接着層又は粘着層−
本発明においては、支持体の記録層記録面の反対面に接着剤層又は粘着剤層を設けて熱可逆記録ラベルとすることができる。前記接着剤層又は粘着剤層の材料は一般的に使われているものが使用可能である。
前記接着剤層又は粘着剤層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。
前記接着剤層又は粘着剤層の材料はホットメルトタイプでもよい。剥離紙を用いてもよいし、無剥離紙タイプでもよい。
前記熱可逆記録媒体には、前記支持体と前記記録層との間に視認性を向上させる目的で、着色層を設けてもよい。前記着色層は、着色剤及び樹脂バインダーを含有する溶液、又は分散液を対象面に塗布し、乾燥するか、あるいは単に着色シートを貼り合せることにより記録することができる。
前記熱可逆記録媒体には、カラー印刷層を設けることもできる。前記カラー印刷層における着色剤としては、従来のフルカラー印刷に使用されるカラーインク中に含まれる各種の染料及び顔料等が挙げられ、前記樹脂バインダーとしては各種の熱可塑性、熱硬化性、紫外線硬化性又は電子線硬化性樹脂等が挙げられる。該カラー印刷層の厚みとしては、印刷色濃度に対して適宜変更されるため、所望の印刷色濃度に合わせて選択することができる。
前記熱可逆記録媒体は、非可逆性記録層を併用しても構わない。この場合、それぞれの記録層の発色色調は同じでも異なってもよい。また、本発明の熱可逆記録媒体の記録層と同一面の一部もしくは全面、又は/もしくは反対面の一部分に、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷、又はインクジェットプリンター、熱転写プリンター、昇華型プリンターなどによって任意の絵柄などを施した着色層を設けてもよく、更に着色層上の一部分もしくは全面に硬化性樹脂を主成分とするOPニス層を設けてもよい。前記任意の絵柄としては、文字、模様、図柄、写真、赤外線で検知する情報などが挙げられる。また、単純に構成する各層のいずれかに染料や顔料を添加して着色することもできる。
更に、前記熱可逆記録媒体には、セキュリティのためにホログラムを設けることもできる。また、意匠性付与のためにレリーフ状、インタリヨ状に凹凸を付けて人物像や社章、シンボルマーク等のデザインを設けることもできる。
前記熱可逆記録媒体は、その用途に応じて所望の形状に加工することができ、例えば、カード状、タグ状、ラベル状、シート状、ロール状などに加工される。また、カード状に加工されたものについてはプリペイドカードやポイントカード、更にはクレジットカードなどへの応用が挙げられる。カードサイズよりも小さなタグ状のサイズでは値札等に利用できる。また、カードサイズよりも大きなタグ状のサイズでは工程管理や出荷指示書、チケット等に使用できる。ラベル状のものは貼り付けることができるために、様々な大きさに加工され、繰り返し使用する台車や容器、箱、コンテナ等に貼り付けて工程管理、物品管理等に使用することができる。また、カードサイズよりも大きなシートサイズでは画像記録する範囲が広くなるため一般文書や工程管理用の指示書等に使用することができる。
<熱可逆記録部材;RF−IDとの組み合わせ例>
本発明で用いられる熱可逆記録部材は、前記可逆表示可能な記録層と情報記憶部とを、同一のカードやタグに設け(一体化させ)、該情報記憶部の記憶情報の一部を記録層に表示することにより、特別な装置がなくてもカードやタグを見るだけで情報を確認することができ、利便性に優れる。また、情報記憶部の内容を書き換えた時には熱可逆記録部の表示を書き換えることで、熱可逆記録媒体を繰り返し何度も使用することができる。
前記情報記憶部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ICメモリー、光メモリー、RF−IDタグなどが好ましく用いられる。工程管理や物品管理等に使用する場合には特にRF−IDタグが好ましく用いられる。なお、前記RF−IDタグはICチップと、該ICチップに接続したアンテナとから構成されている。
前記熱可逆記録部材は、前記可逆表示可能な記録層と情報記憶部とを有し、該情報記憶部の好適なものとしてRF−IDタグが挙げられる。
ここで、図9は、RF−IDタグ85の概略図の一例を示す。このRF−IDタグ85はICチップ81と、該ICチップに接続したアンテナ82とから構成されている。前記ICチップ81は記憶部、電源調整部、送信部、受信部の4つに区分されており、それぞれが働きを分担して通信を行っている。通信はRF−IDタグとリーダライタのアンテナが電波により通信してデータのやり取りを行う。具体的には、RF−IDのアンテナがリーダライタからの電波を受信し共振作用により電磁誘導により起電力が発生する電磁誘導方式と放射電磁界により起動する電波方式の2種類がある。共に外部からの電磁界によりRF−IDタグ内のICチップが起動し、チップ内の情報を信号化し、その後、RF−IDタグから信号を発信する。この情報をリーダライタ側のアンテナで受信してデータ処理装置で認識し、ソフト側でデータ処理を行う。
前記RF−IDタグはラベル状又はカード状に加工されており、RF−IDタグを前記熱可逆記録媒体に貼り付けることができる。RF−IDタグは記録層面又はバック層面に貼ることができるが、バック層面に貼ることが好ましい。RF−IDタグと熱可逆記録媒体を貼り合わせるためには公知の接着剤又は粘着剤を使用することができる。
また、熱可逆記録媒体とRF−IDをラミネート加工等で一体化してカード状やタグ状に加工してもよい。
(画像処理装置)
本発明の画像処理装置は、本発明の前記画像処理方法に用いられ、レーザ光照射手段と、光走査手段と、光照射強度分布調整手段と、レーザ光を集光させるfθレンズとを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を有してなる。
−レーザ光出射手段−
前記レーザ光出射手段としては、レーザ光を照射可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、COレーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザ(LD)などの通常用いられるレーザが挙げられる。
前記レーザ光出射手段から出射されるレーザ光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視領域から赤外領域が好ましく、画像コントラストが向上する点で、近赤外領域から遠赤外領域がより好ましい。
前記可視領域では、前記熱可逆記録媒体の画像記録及び画像消去のために、レーザ光を吸収して発熱させるための添加剤が着色するため、コントラストが低下することがある。
前記COレーザから出射されるレーザ光の波長は、遠赤外領域の10.6μmであり、前記熱可逆記録媒体が該レーザ光を吸収するため、前記熱可逆記録媒体に対する画像の記録及び消去のために、レーザ光を吸収して発熱させるための添加物を添加することが不要となる。また、該添加物は、近赤外領域の波長を有するレーザ光を用いても、若干ではあるが、可視光をも吸収することがあるため、該添加物が不要となる前記COレーザは、画像コントラストの低下を防ぐことができるという利点がある。
前記YAGレーザ、前記ファイバーレーザ、及び前記LDから出射されるレーザ光の波長は、可視〜近赤外領域(数百μm〜1.2μm)であり、現状の熱可逆記録媒体は、その波長領域のレーザ光を吸収しないため、レーザ光を吸収して熱に変換するための光熱変換材料の添加が必要となるが、波長が短いため高精細画像の記録が可能であるという利点がある。
また、前記YAGレーザ、及び前記ファイバーレーザは高出力であるため、画像の記録及び消去速度の高速化を量ることができるという利点がある。前記LDはレーザ自体が小さいため、装置の小型化、更には低価格化が可能であるという利点がある。
−光走査手段−
前記光走査手段は、前記レーザ光出射手段におけるレーザ光出射面に配置される。このようなレーザ光の熱可逆記録媒体上における走査手段としては、例えば、ガルバノミラーによりレーザ光を走査させる手段、熱可逆記録媒体をXYステージに固定してステージを移動させる手段などが挙げられるが、XYステージを移動させる手段では、微細な字を高速に走査させるのが困難であり、走査方法としては、ガルバノミラーを用いるのが好ましい。
−光照射強度分布調整手段−
前記光照射強度分布調整手段は、前記レーザ光の光照射強度分布を変化させる機能を有する。
前記光照射強度分布調整手段の配置態様としては、前記レーザ光出射手段における前記レーザ光出射面に配置される限り特に制限はなく、前記レーザ光出射手段との距離等については、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光照射強度分布調整手段は、照射レーザ光の中心位置における照射強度(I)と、照射レーザ光の全照射エネルギーの80%面での光照射強度(I)の比(I/I)が0.4≦I/I≦2.0となるように変化させる機能を有する。そのため、画像の記録及び消去の繰返しによる前記熱可逆記録媒体の劣化を抑制し、画像コントラストを維持したまま繰返し耐久性を向上させることができる。
前記光照射強度調整手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばレンズ、フィルタ、マスク、ミラー、ファイバカップリング、などが挙げられる。これらの中でも、エネルギーロスが少ないレンズが特に好ましい。該レンズとしては、例えばカライドスコープ、インテグレータ、ビームホモジナイザー、非球面ビームシェイパー(強度変換レンズと位相補正レンズとの組合せ)、非球面素子レンズ、回折光学素子、などが挙げられる。これらの中でも、光強度調整の素子設計上の自由度が高い、図6Bに示す非球面素子レンズが特に好ましい。
例えば図6Bに示す非球面素子レンズと、併せて熱可逆記録媒体と集光レンズであるfθレンズとの間の距離を焦点距離からずらすことにより光照射強度を調整することができる。
フィルタ、マスクなどを用いる場合、前記レーザ光の中心部を物理的にカットすることにより光照射強度を調整することができる。また、ミラーを用いる場合、コンピュータと連動して機械的に形状が変えられるディフォーマブルミラー、反射率あるいは表面凹凸が部分的に異なるミラーなどを用いることにより光照射強度を調整することができる。また、光照射強度の調整は半導体レーザ、YAGレーザ等をファイバカップリングすると、更に容易に行うことができる。
−fθレンズ−
fθレンズは、レーザ光を熱可逆記録媒体上に集光させる手段である。ガルバノミラーを使用した場合には、熱可逆記録媒体上の走査位置により集光レンズ(凸レンズ及びfθレンズを含む)からの距離が変動するため、通常の凸レンズでは走査位置により集光ビーム径が変化するが、fθレンズを用いることで、熱可逆記録媒体上の走査位置に依存せず、集光ビーム径を一定に保つことが可能となり好ましい。
また、fθレンズには通常表面に反射防止膜(ARコート)が形成されているが、レンズの周辺部の膜厚をレンズ中央部よりも小さくする、反射防止膜の材料を反射率の低い材料に変更するなどを行うことで、fθレンズの中央部と周辺部の光照射強度分布の差異を小さくすることもできる。
本発明の前記画像処理装置は、レーザ光照射手段と、光走査手段と、光照射強度分布調整手段と、レーザ光を集光させるfθレンズとを少なくとも有している以外、その基本構成としては、通常レーザマーカーと呼ばれるものと同様であり、発振器ユニット、電源制御ユニット、及びプログラムユニットを少なくとも備えている。
ここで、図6Aに、本発明の画像処理装置の一例をレーザ照射ユニットを中心に示す。
図6Aに示す画像処理装置は、出力40WのCOレーザを有するレーザマーカー(サンクス株式会社製、LP−440)の光路中に、前記光照射強度調整手段として、光学レンズを組込み、レーザ光の進行方向直交断面における光照射強度分布を、変化するように調整可能としている。
なお、レーザ照射ユニット、即ち、画像記録及び消去用ヘッド部分の仕様は、可能レーザ出力範囲:0.1〜40W、照射距離可動範囲:特に限定なし、スポット径範囲:0.18〜10mm、スキャンスピード範囲:最大(max)12,000mm/s、照射距離範囲:特に限定なし。
前記発振器ユニットは、レーザ発振器1、ビームエキスパンダ2、スキャンニングユニット5などで構成されている。
前記レーザ発振器1は、光強度が強く、指向性の高いレーザ光を得るために必要なものであり、例えば、レーザ媒質の両側にミラーを配置し、該レーザ媒質をポンピング(エネルギー供給)し、励起状態の原子数を増やし反転分布を記録させて誘導放出を起こさせる。そして、光軸方向の光のみが選択的に増幅されることにより、光の指向性が高まり出力ミラーからレーザ光が放出される。
前記スキャンニングユニット5は、ガルバノメータ4と、該ガルバノメータ4に取り付けられたガルバノミラー4Aとで構成されている。そして、前記レーザ発振器1から出力されたレーザ光を、前記ガルバノメータ4に取り付けられたX軸方向とY軸方向との2枚のガルバノミラー4Aで高速回転走査することにより、熱可逆記録媒体7上に、画像の記録又は消去を行うようになっている。
前記電源制御ユニットは、放電用電源(COレーザの場合)又はレーザ媒質を励起する光源の駆動電源(YAGレーザなど)、ガルバノメータの駆動電源、ペルチェ素子などの冷却用電源、画像処理装置全体の制御を司る制御部等などで構成されている。
前記プログラムユニットは、タッチパネル入力やキーボード入力により、画像記録又は画像消去のために、レーザ光の強さ、レーザ走査の速度等の条件入力や、記録する文字等の作製及び編集を行うユニットである。
なお、前記レーザ照射ユニット、即ち、画像記録/消去用ヘッド部分は、画像処理装置に搭載されているが、該画像処理装置には、このほか、前記熱可逆記録媒体の搬送部及びその制御部、モニタ部(タッチパネル)等を有している。
本発明の前記画像処理方法及び前記画像処理装置は、ダンボールやプラスチックコンテナ等の容器に貼付したラベル等の熱可逆記録媒体に対して、非接触式にて、高いコントラストの画像を高速で記録し、高速で消去することが可能である。しかも繰り返しによる前記熱可逆記録媒体の劣化を抑制することができる。このため、物流・配送システムに特に好適に使用可能である。この場合、例えば、ベルトコンベアに載せた前記ダンボールやプラスチックコンテナを移動させながら、前記ラベルに画像を記録及び消去することができ、ラインの停止が不要な点で、出荷時間の短縮を図ることができる。また、前記ラベルが貼付されたダンボールやプラスチックコンテナは、前記ラベルを剥がすことなく、そのままの状態で再利用し、再度、画像の消去及び記録を行うことができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
<熱可逆記録媒体の作製>
温度に依存して色調が可逆的(透明状態−発色状態)に変化する熱可逆記録媒体を、以下のようにして作製した。
−支持体−
支持体として、厚み125μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルムU2L98W)を用いた。
−アンダー層−
スチレン−ブタジエン系共重合体(日本エイアンドエル社製、PA−9159)30質量部、ポリビニルアルコール樹脂(株式会社クラレ製、ポバールPVA103)12質量部、中空粒子(松本油脂株式会社製、マイクロスフェアーR−300)20質量部、及び水40質量部を添加し、均一状態になるまで1時間撹拌して、アンダー層塗布液を調製した。
次に、得られたアンダー層塗布液を前記支持体上に、ワイヤーバーにて塗布し、80℃にて2分間加熱及び乾燥して、厚み20μmのアンダー層を記録した。
−熱可逆記録層(記録層)−
下記構造式(1)で表される可逆性顕色剤5質量部、下記構造式(2)及び(3)で表される2種類の消色促進剤をそれぞれ0.5質量部ずつ、アクリルポリオール50質量%溶液(水酸基価=200mgKOH/g)10質量部、及びメチルエチルケトン80質量部を、ボールミルを用いて平均粒径が1μmになるまで粉砕分散した。
−−可逆性顕色剤−−
−−消色促進剤−−
次に、前記可逆性顕色剤を粉砕分散させた分散液に、前記ロイコ染料としての2−アニリノ−3−メチル−6ジブチルアミノフルオラン1質量部、下記構造式(4)で表されるフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGANOX565)0.2質量部、及びイソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)5質量部を加え、よく撹拌させて記録層用塗布液を調製した。
次に、得られた記録層用塗布液を、前記アンダー層記録済みの支持体上に、ワイヤーバーを用いて塗布し、100℃にて2分間乾燥した後、60℃にて24時間キュアーを行って、厚み11μmの記録層を記録した。
−中間層−
アクリルポリオール樹脂50質量%溶液(三菱レーヨン株式会社製、LR327)3質量部、酸化亜鉛微粒子30質量%分散液(住友セメント株式会社製、ZS303)7質量部、イソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)1.5質量部、及びメチルエチルケトン7質量部を加え、よく攪拌して中間層用塗布液を調製した。
次に、前記アンダー層、及び前記記録層が記録された支持体上に、前記中間層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱及び乾燥した後、60℃にて2時間加熱し、厚み2μmの中間層を記録した。
−保護層−
ペンタエリスルトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)3質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業株式会社製、アートレジンUN−3320HA)3質量部、ジペンタエリスリトールカプロラクトンのアクリル酸エステル(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPCA−120)3質量部、シリカ(水澤化学工業株式会社製、P−526)1質量部、光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)0.5質量部、及びイソプロピルアルコール11質量部を加え、ボールミルにてよく攪拌して平均粒径が約3μmになるまで分散し、保護層用塗布液を調製した。
次に、前記アンダー層、前記記録層、及び前記中間層が記録された支持体上に、前記保護層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱及び乾燥した後、80W/cmの紫外線ランプで架橋させて、厚み4μmの保護層を記録した。
−バック層−
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)7.5質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業株式会社製、アートレジンUN−3320HA)2.5質量部、針状導電性酸化チタン(石原産業株式会社製、FT−3000、長軸=5.15μm、短軸=0.27μm、構成:アンチモンドープ酸化スズ被覆の酸化チタン)2.5質量部、光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)0.5質量部、及びイソプロピルアルコール13質量部を加え、ボールミルにてよく攪拌してバック層用塗布液を調製した。
次に、前記記録層、前記中間層、及び前記保護層が記録された支持体における、これらの層が記録されていない側の面上に、前記バック層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱及び乾燥した後、80W/cmの紫外線ランプで架橋させて、厚み4μmのバック層を記録した。以上により、製造例1の熱可逆記録媒体を作製した。
(製造例2)
<熱可逆記録媒体の作製>
温度に依存して透明度が可逆的(透明状態−白濁状態)に変化する熱可逆記録媒体を、以下のようにして作製した。
−支持体−
支持体として、厚み175μmの透明PETフィルム(東レ株式会社製、ルミラー175−T12)を用いた。
−熱可逆記録層(記録層)−
塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン株式会社製、M110)26質量部を、メチルエチルケトン210質量部に溶解させた樹脂溶解液中に、下記構造式(5)で表される有機低分子物質3質量部、及びベヘン酸ドコシル7質量部を加え、ガラス瓶中に直径2mmのセラミックビーズを入れて、ペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)を用い48時間分散し、均一な分散液を調製した。
次に、得られた分散液に、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン株式会社製、コロネート2298−90T)4質量部を加え、よく撹拌させて記録層用塗布液を調製した。
次に、前記支持体上に、得られた記録層液を塗布し、加熱及び乾燥した後、更に65℃環境下に24時間保存して樹脂を架橋させて、厚み10μmの感熱記録層を設けた。
−保護層−
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の75質量%酢酸ブチル溶液10質量部(大日本インキ化学工業株式会社製、ユニディックC7−157)、及びイソプロピルアルコール10質量部よりなる溶液を、ワイヤーバーで前記感熱記録層上に塗布し、加熱及び乾燥した後、80W/cmの高圧水銀灯で紫外線を照射して硬化させて、厚み3μmの保護層を記録した。以上により、製造例2の熱可逆記録媒体を作製した。
(製造例3)
−熱可逆記録媒体の作製−
製造例1において、前記熱可逆記録媒体の作製の際に、前記記録層中に光熱変換材料(株式会社日本触媒製、イーエクスカラーIR−14)0.03質量部を添加した以外は、製造例1と同様にして、製造例3の熱可逆記録媒体を作製した。
<レーザ光のエネルギー>
レーザ光のエネルギーとは、走査する方向の単位長さ当たりに熱可逆記録媒体上に照射するレーザ光のエネルギー量である。
該レーザ光のエネルギーを下記式により求めた。
E=P/V・・・ (2)
ただし、前記式(2)中、Eはレーザ光のエネルギー、Pはレーザ光の出力、Vはレーザ光の走査線速度をそれぞれ表す。
<レーザ光照射強度分布の測定>
レーザ光の強度分布測定は、以下の手順で行った。
レーザとしてCOレーザ装置を用いた場合は、ハイパワー用レーザビームアナライザー(Spiricon社製、LPK−CO−16)を用い、レーザ出力が0.05%となるようにZn−Seウエッジ(Spiricon社製、LBS−100−IR−W)及びCaFフィルタ(Spiricon社製、LBS−100−IR−F)を用いて減光してレーザ光強度を測定した。次に、得られたレーザ光強度を三次元グラフ化してレーザ光の照射強度分布を得た。
レーザとして半導体レーザ装置を用いた場合、まず、照射距離が熱可逆記録媒体に記録するときと同じ位置になるようにレーザビームアナライザー(Point Grey Research社製、Scorpion SCOR−20SCM)を設置し、レーザ出力が3×10−6となるように透過ミラー、フィルタを組合わせたビームスプリッター(OPHIR社製、BEAMSTAR−FX−BEAM SPLITTER)を用いて減光し、レーザビームアナライザーでレーザ光強度を測定した。次に、得られたレーザ光強度を三次元グラフ化してレーザ光の照射強度分布を得た。
を照射レーザ光の中心位置における光照射強度から求め、Iを照射レーザ光の全照射エネルギーの80%面の光照射強度から求めた。
−fθレンズの中心部及び周辺部の特定−
ここではレーザ光源を搭載する画像処理装置に設けられたミラーの制御によってレーザ光が照射することのできる範囲をレーザ光照射可能部位の中心点から75mmまでに設定し、fθレンズの中心部としてレーザ光照射可能部位の中心点、fθレンズの周辺部としてレーザ光照射可能部位の中心点から60mm離れた点で熱可逆記録媒体の評価を行った。
(実施例1)
<レーザ出力条件の調節>
<<No.1>>
−画像記録工程−
製造例1の熱可逆記録媒体を用い、レーザ光の光路中にレーザ光の光照射強度分布を制御する光学レンズである非球面素子レンズと該レーザ光の走査を行うガルバノミラーと、集光光学系fθレンズ(焦点距離:189mm、有効半径R=32.5mm)を少なくとも設置したCOレーザ(サンクス株式会社製、LP−440)により、fθレンズから熱可逆記録媒体までのレーザ照射距離を184mmに調整してfθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布I/Iを、1.6とした。fθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を20W、走査線速度を1,800mm/sとし、fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を22W、走査線速度を1,800mm/sとして、熱可逆記録媒体上に画像を記録した。
−画像消去工程−
製造例1の熱可逆記録媒体を用い、レーザ光の光路中にレーザ光の光照射強度分布を制御する非球面素子レンズと、該レーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:189mm、有効半径R=32.5mm)を少なくとも設置したCOレーザ(サンクス株式会社製、LP−440)により、照射距離245mm、走査線速度1,750mm/s、スポット径3.0mmとなるように調整して、熱可逆記録媒体の画像を消去した。fθレンズの中心部及び周辺部を照射するレーザの出力は22Wとした。
<<No.2>>
No.1において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を20Wに変えた以外は、No.1と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.3>>
No.1において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を19Wに変えた以外は、No.1と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.4>>
No.1において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を18Wに変えた以外は、No.1と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.5>>
No.1において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を16.6Wに変えた以外は、No.1と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.6>>
No.1において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を14Wに変えた以外は、No.1と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
次に、No.1〜No.6について、以下のようにして、画像線幅及び繰り返し耐久性の測定を行い評価した。結果を表2に示す。
<画像線幅の測定>
画像線幅の測定を行った。画像線幅の測定は、グレースケール(Kodak社製)をスキャナー(キャノン社製、Canoscan4400)で取り込み、得られたデジタル階調値と反射濃度計(マクベス社製、RD−914)で測定した濃度値との間で相関を取り、上記で記録した画像を前記スキャナーで取り込んで得られたデジタル階調値を濃度値に変換して濃度値が0.5以上となるときの幅を線幅として前記デジタル階調値の設定画素数(1,200dpi)から算出し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:fθレンズの中心部の画像線幅〔mm〕が0.35以上であり、fθレンズの中心部画像線幅〔mm〕とfθレンズの周辺部の画像線幅〔mm〕の差が0.05以下、
△:fθレンズの中心部の画像線幅〔mm〕が0.27以上であり、fθレンズの中心部画像線幅〔mm〕とfθレンズの周辺部の画像線幅〔mm〕の差が0.06〜0.13である。
×:fθレンズの中心部の画像線幅〔mm〕が0.27未満であり、fθレンズの中心部画像線幅〔mm〕とfθレンズの周辺部の画像線幅〔mm〕の差が0.14以上である。
<繰り返し耐久性の測定>
画像記録と画像消去を繰返し、10回おきに消去部の画像濃度を測定し、消去後の画像濃度が、0.15以上の値を示す(消え残り)時の回数を測定し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:fθレンズの中心部の繰り返し耐久性〔回〕が200以上であり、fθレンズの中心部の繰り返し耐久性〔回〕とfθレンズの周辺部の繰り返し耐久性〔回〕の差が120以下である。
△:fθレンズの中心部の繰り返し耐久性〔回〕が140以上であり、fθレンズの中心部の繰り返し耐久性〔回〕とfθレンズの周辺部の繰り返し耐久性〔回〕の差が130〜230である。
×:fθレンズの中心部の繰り返し耐久性〔回〕とfθレンズの周辺部の繰り返し耐久性〔回〕の差が240以上である。
表1及び表2の結果から、No.3〜No.6では、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力をfθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力に対して低くすることで、fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光とfθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光において照射部位の繰り返し耐久性と画像線幅が両立できていた。
なお、No.6では、(P2/P1)×100が80%未満であるため、fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光を透過して該媒体上に照射されるレーザ光において照射部位の繰り返し耐久性は良好であるものの、画像線幅がやや低下した。
これに対してNo.1及びNo.2では、(P2/P1)×100が99%を超えるため、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光において照射部位の繰り返し耐久性が大幅に低下してしまうことが分かった。
(実施例2)
<走査線速度の調節>
<<No.7>>
−画像記録工程−
製造例1の熱可逆記録媒体を用い、レーザ光の光路中にレーザ光の光照射強度分布を制御する光学レンズである非球面素子レンズと該レーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:189mm、有効半径R=32.5mm)を少なくとも設置したCOレーザ(サンクス株式会社製、LP−440)により、fθレンズから熱可逆記録媒体までのレーザ照射距離を184mmに調整してfθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布I/Iを、1.6とした。fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を20W、走査線速度を1,800mm/sとし、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を20W、走査線速度を1,620mm/sとして、熱可逆記録媒体上に画像を記録した。
−画像消去工程−
製造例1の熱可逆記録媒体を用い、レーザ光の光路中にレーザ光の光照射強度分布を制御する光学レンズである非球面素子レンズと該レーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:189mm、有効半径R=32.5mm)を少なくとも設置したCOレーザ(サンクス株式会社製、LP−440)により照射距離245mm、線速1,750mm/s、スポット径3.0mmとなるように調整して、熱可逆記録媒体上に画像を消去した。fθレンズの中心部及び周辺部を照射するレーザの出力は22Wとした。画像消去時のレーザ光の光照射強度分布I/Iは2.3であった。
<<No.8>>
No.7において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザの走査線速度を1,890mm/sに変えた以外は、No.7と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.9>>
No.7において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザの走査線速度を2,000mm/sに変えた以外は、No.7と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.10>>
No.7において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザの走査線速度を2,170mm/sに変えた以外は、No.7と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.11>>
No.7において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度を2,570mm/sに変えた以外は、No.7と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
次に、No.7〜No.11について、実施例1と同様にして画像線幅の測定及び繰り返し耐久性の測定を行い評価した。No.2とともに結果を表4に示す。
表3及び表4の結果から、No.8〜No.11では、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度をfθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度に対して高くすることで、fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光とfθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光において照射部位の繰り返し耐久性と画像線幅が両立できている。
なお、No.7及びNo.2は(V2/V1)×100が101%未満であるためfθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光において照射部位の繰り返し耐久性が低下してしまう。これに対してNo.10は(V2/V1)×100が120%を超えるため、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光において照射部位の繰り返し耐久性は良好であるものの、画像線幅がやや低下した。
(実施例3)
<光照射強度分布条件の調節>
<<No.12>>
−画像記録工程−
製造例1の熱可逆記録媒体を用い、レーザ光の光路中にレーザ光の光照射強度分布を制御する光学レンズである非球面素子レンズと該レーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:189mm、有効半径R=32.5mm)を少なくとも設置したCOレーザ(サンクス株式会社製、LP−440)により、fθレンズから熱可逆記録媒体までのレーザ照射距離を178mmに調整してfθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布I/Iを、0.2とした。fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を37.5W、走査線速度を1,800mm/sとし、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を出力33.8W、走査線速度を1,800mm/sとして、熱可逆記録媒体上に画像を記録した。
−画像消去工程−
製造例1の熱可逆記録媒体を用い、レーザ光の光路中にレーザ光の光照射強度分布を制御する光学レンズである非球面素子レンズと該レーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:189mm、有効半径R=32.5mm)を少なくとも設置したCOレーザ(サンクス株式会社製、LP−440)により照射距離245mm、線速1,750mm/s、スポット径3.0mmとなるように調整して、熱可逆記録媒体上の画像を消去した。熱可逆記録媒体の中心部及び周辺部を透過するレーザの出力は40Wとした。
<<No.13>>
−画像記録工程−
No.12において、画像記録工程におけるfθレンズから熱可逆記録媒体までのレーザ照射距離を188mmに調整して、fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布I/Iを2.3に変え、fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を11.3に変え、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を10.2Wに変えた以外は、No.12と同様にして、画像記録を行った。
−画像消去工程−
No.12において、fθレンズの中心部及び周辺部を透過するレーザの出力を13Wに変えた以外は、No.12と同様にして、画像消去を行った。
次に、No.12〜No.13について実施例1と同様にして、画像線幅の測定及び繰り返し耐久性の測定を行い評価した。No.3とともに結果を表6に示す。
表5及び表6の結果から、No.3は、fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布が、0.40≦I/I≦2.00を満たし、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光のレーザ光出力をfθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力に対して小さくすることで、照射部位の繰り返し耐久性が良好となった。
No.12及びNo.13は、光照射強度分布が、0.40≦I/I≦2.00を満たしていないので照射部位の繰り返し耐久性がやや低下した。
(実施例4)
<非球面素子レンズの有無>
<<No.14>>
No.2において、COレーザ(LP−440、サンクス株式会社製)から非球面素子レンズを取り外して画像記録を行った以外は、No.2と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
次に、No.14について実施例1と同様にして、画像線幅の測定及び繰り返し耐久性の測定を行い評価した。No.4及びNo.2とともに結果を表8に示す。
表7及び表8の結果からNo.4は、非球面素子レンズを設置しているため繰り返し耐久性及び画像線幅が良好であった。
No.2は、非球面素子レンズを設置しているが、fθレンズの周辺部を透過するレーザ光の出力がNo.4よりも大きいので繰り返し耐久性が低下した。
No.14は、No.2において、非球面素子レンズを取り除いたものであり、非球面素子レンズを設置していないのでfθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光とfθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光において同等のエネルギーがかかるために、中心部と周辺部の繰り返し耐久性及び中心部と周辺部の画像線幅に差はなかった。しかし、fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光における光照射強度分布が制御できないために過剰なエネルギーが熱可逆記録媒体全面にかかることになり、照射部位の繰り返し耐久性が悪化してしまうことが分かった。
(比較例1)
<製造例2の熱可逆記録媒体を使用>
−画像記録工程−
製造例2の熱可逆記録媒体を用い、レーザ光の光路中にレーザ光の光照射強度分布を制御する非球面素子レンズと該レーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:189mm、有効半径R=32.5mm)を少なくとも設置したCOレーザ(サンクス株式会社製、LP−440)により、fθレンズから熱可逆記録媒体までのレーザ照射距離を184mmに調整してfθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布を、1.6とした。fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を18.3W、走査線速度を1,800mm/sとし、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を18.3W、走査線速度を1,800mm/sとして、熱可逆記録媒体上に画像を記録した。
−画像消去工程−
次に、レーザ光の光路中にレーザ光の光照射強度分布を制御する非球面素子レンズと該レーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:189mm、有効半径R=32.5mm)を少なくとも設置したサンクス株式会社製COレーザ LP−440により照射距離245mm、線速1,750mm/s、スポット径3.0mmとなるように調整して、画像を消去した。熱可逆記録媒体の中心部及び周辺部を透過するレーザの出力は19Wとした。
−画像線幅の測定−
画像線幅の測定は、グレースケール(Kodak社製)をスキャナー(キャノン社製、Canoscan4400)で取り込み、得られたデジタル階調値と反射濃度計(マクベス社製、RD−914)で測定した濃度値との間で相関を取り、上記で記録した画像を前記スキャナーで取り込んで得られたデジタル階調値を濃度値に変換して濃度値が0.5以上となるときの幅を線幅として前記デジタル階調値の設定画素数(1,200dpi)から算出し実施例1と同様に評価した。結果を表10に示す。
−繰り返し耐久性の測定−
次に、画像記録と画像消去を繰り返し、10回おきに消去部の画像の濃度を前記測定方法により測定し、消去後の画像濃度が、0.15以上の値を示す(消え残り)時の回数を測定し実施例1と同様に評価した。結果を表10に示す。
(実施例5)
<製造例2の熱可逆記録媒体>
比較例1において、fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布I/Iを2.3に変え、fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を18.0Wに変え、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を16.5Wに変えた以外は、比較例1と同様にして、画像記録を行った。
次に、比較例1と同様にして画像消去工程、画像線幅の測定、及び繰り返し耐久性の測定を行い評価した。結果を表10に示す。
(実施例6)
<製造例2の熱可逆記録媒体>
−画像記録工程−
比較例1において、fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布I/Iを2.3に変え、fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を18W、走査線速度を1,800mm/sに変え、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を18W、走査線速度を1,980mm/sに変えた以外は、比較例1と同様にして、画像記録を行った。
次に、比較例1と同様にして画像消去工程、画像線幅の測定、及び繰り返し耐久性の測定を行い評価した。結果を表10に示す。
表9及び表10の結果から、実施例5、6では、製造例2の熱可逆記録媒体を用いても、P2の値をP1の値より小さくする、又はV2の値をV1の値より大きくすることで照射部位の繰り返し耐久性、画像線速が良好であった。なお、比較例1では、P2の値とP1の値が同一、V2の値とV1の値が同一であるため繰り返し耐久性が低下した。
(実施例7)
<レーザ出力条件の調節>
<<No.15>>
<製造例3の熱可逆記録媒体>
−画像記録工程−
製造例3の熱可逆記録媒体を用い、レーザ光の光路中にレーザ光の光照射強度分布を制御する非球面素子レンズと該レーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:150mm、有効半径R=30mm)を少なくとも設置したLIMO社製ファイバカップリング半導体レーザLIMO25−F100−DL808(中心波長:808nm)により、fθレンズから熱可逆記録媒体までのレーザ照射距離を158mmに調整してfθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布I1/I2を、1.3とした。fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を14W、走査線速度を1,000mm/sとし、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を15.4W、走査線速度を1,000mm/sとして、熱可逆記録媒体上に画像を記録した。
−画像消去工程−
次に、レーザ光の光路中にレーザ光の光照射強度分布を制御する非球面素子レンズと該レーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:189mm、有効半径R=30mm)を少なくとも設置したLIMO社製ファイバカップリング半導体レーザLIMO25−F100−DL808(中心波長:808nm)により、照射距離195mm、線速500mm/s、スポット径3.0mmとなるように調整して、画像を消去した。fθレンズの中心部及び周辺部を照射するレーザの出力は16.5Wとした。
−画像線幅の測定−
画像線幅の測定は、グレースケール(Kodak社製)をスキャナー(キャノン社製、Canoscan4400)で取り込み、得られたデジタル階調値と反射濃度計(マクベス社製、RD−914)で測定した濃度値との間で相関を取り、上記で記録した画像を前記スキャナーで取り込んで得られたデジタル階調値を濃度値に変換して濃度値が0.5以上となるときの幅を線幅として前記デジタル階調値の設定画素数(1,200dpi)から算出し実施例1と同様に評価した。結果を表12に示す。
−繰り返し耐久性の測定−
次に、画像記録と画像消去を繰り返し、10回おきに消去部の画像の濃度を前記測定方法により測定し、消去後の画像濃度が、0.15以上の値を示す(消え残り)時の回数を測定し評価した。結果を表12に示す。
<<No.16>>
No.15において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を14Wに変えた以外は、No.15と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.17>>
No.15において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を13.3Wに変えた以外は、No.15と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.18>>
No.15において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を12.6Wに変えた以外は、No.15と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.19>>
No.15において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を11.6Wに変えた以外は、No.15と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.20>>
No.15において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を9.8Wに変えた以外は、No.15と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
次に、No.16〜No.20についてNo.15と同様にして、画像線幅の測定及び繰り返し耐久性の測定を行い評価した。No.15とともに結果を表12に示す。
(実施例8)
<走査線速度の調節>
<<No.21>>
<製造例3の熱可逆記録媒体>
−画像記録工程−
製造例3の熱可逆記録媒体を用い、レーザ光の光路中にレーザ光の光照射強度分布を制御する非球面素子レンズと該レーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:150mm、有効半径R=30mm)を少なくとも設置したLIMO社製ファイバカップリング半導体レーザLIMO25−F100−DL808(中心波長:808nm)により、fθレンズから熱可逆記録媒体までのレーザ照射距離を158mmに調整してfθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布I1/I2を、1.3とした。fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を14W、走査線速度を1,000mm/sとし、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を14W、走査線速度を900mm/sとして、熱可逆記録媒体上に画像を記録した。
−画像消去工程−
次に、レーザ光の光路中にレーザ光の光照射強度分布を制御する非球面素子レンズと該レーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:189mm、有効半径R=30mm)を少なくとも設置したLIMO社製ファイバカップリング半導体レーザLIMO25−F100−DL808(中心波長:808nm)により、照射距離195mm、線速500mm/s、スポット径3.0mmとなるように調整して、画像を消去した。fθレンズの中心部及び周辺部を照射するレーザの出力は16.5Wとした。
−画像線幅の測定−
画像線幅の測定は、グレースケール(Kodak社製)をスキャナー(キャノン社製、Canoscan4400)で取り込み、得られたデジタル階調値と反射濃度計(マクベス社製、RD−914)で測定した濃度値との間で相関を取り、上記で記録した画像を前記スキャナーで取り込んで得られたデジタル階調値を濃度値に変換して濃度値が0.5以上となるときの幅を線幅として前記デジタル階調値の設定画素数(1,200dpi)から算出し実施例1と同様に評価した。結果を表14に示す。
−繰り返し耐久性の測定−
次に、画像記録と画像消去を繰り返し、10回おきに消去部の画像の濃度を前記測定方法により測定し、消去後の画像濃度が、0.15以上の値を示す(消え残り)時の回数を測定し評価した。結果を表14に示す。
<<No.22>>
No.21において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度を1,050mm/sに変えた以外は、No.21と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.23>>
No.21において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度を1,110mm/sに変えた以外は、No.21と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.24>>
No.21において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度を1,200mm/sに変えた以外は、No.21と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.25>>
No.21において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度を1,420mm/sに変えた以外は、No.21と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
次に、No.22〜No.25についてNo.21と同様にして、画像線幅の測定及び繰り返し耐久性の測定を行い評価した。No.21及びNo.16とともに結果を表14に示す。
(実施例9)
<レーザ出力条件の調節>
<<No.26>>
<製造例3の熱可逆記録媒体>
−画像記録工程−
製造例3の熱可逆記録媒体を用い、レーザ光の光路中にレーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:150mm、有効半径R=30mm)を少なくとも設置したLIMO社製ファイバカップリング半導体レーザLIMO25−F100−DL808(中心波長:808nm)により、fθレンズから熱可逆記録媒体までのレーザ照射距離を151mmに調整してfθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布I1/I2を、1.6とした。fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を11W、走査線速度を1,000mm/sとし、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を12.1W、走査線速度を1,000mm/sとして、熱可逆記録媒体上に画像を記録した。
−画像消去工程−
次に、レーザ光の光路中にレーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:189mm、有効半径R=30mm)を少なくとも設置したLIMO社製ファイバカップリング半導体レーザLIMO25−F100−DL808(中心波長:808nm)により、照射距離195mm、線速500mm/s、スポット径3.0mmとなるように調整して、画像を消去した。fθレンズの中心部及び周辺部を照射するレーザの出力は16.5Wとした。
−画像線幅の測定−
画像線幅の測定は、グレースケール(Kodak社製)をスキャナー(キャノン社製、Canoscan4400)で取り込み、得られたデジタル階調値と反射濃度計(マクベス社製、RD−914)で測定した濃度値との間で相関を取り、上記で記録した画像を前記スキャナーで取り込んで得られたデジタル階調値を濃度値に変換して濃度値が0.5以上となるときの幅を線幅として前記デジタル階調値の設定画素数(1,200dpi)から算出し実施例1と同様に評価した。結果を表16に示す。
−繰り返し耐久性の測定−
次に、画像記録と画像消去を繰り返し、10回おきに消去部の画像の濃度を前記測定方法により測定し、消去後の画像濃度が、0.15以上の値を示す(消え残り)時の回数を測定し評価した。結果を表16に示す。
<<No.27>>
No.26において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を11Wに変えた以外は、No.26と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.28>>
No.26において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を10.7Wに変えた以外は、No.26と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.29>>
No.26において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を9.9Wに変えた以外は、No.26と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.30>>
No.26において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を9.1Wに変えた以外は、No.26と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.31>>
No.26において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を7.7Wに変えた以外は、No.26と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
次に、No.27〜No.31についてNo.26と同様にして、画像線幅の測定及び繰り返し耐久性の測定を行い評価した。No.26とともに結果を表16に示す。
(実施例10)
<走査線速度の調節>
<<No.32>>
<製造例3の熱可逆記録媒体>
−画像記録工程−
製造例3の熱可逆記録媒体を用い、レーザ光の光路中にレーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:150mm、有効半径R=30mm)を少なくとも設置したLIMO社製ファイバカップリング半導体レーザLIMO25−F100−DL808(中心波長:808nm)により、fθレンズから熱可逆記録媒体までのレーザ照射距離を151mmに調整してfθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布I1/I2を、1.6とした。fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を11W、走査線速度を1,000mm/sとし、fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力を11W、走査線速度を900mm/sとして、熱可逆記録媒体上に画像を記録した。
−画像消去工程−
次に、レーザ光の光路中にレーザ光の走査を行うガルバノミラーと集光光学系fθレンズ(焦点距離:189mm、有効半径R=30mm)を少なくとも設置したLIMO社製ファイバカップリング半導体レーザLIMO25−F100−DL808(中心波長:808nm)により、照射距離195mm、線速500mm/s、スポット径3.0mmとなるように調整して、画像を消去した。fθレンズの中心部及び周辺部を照射するレーザの出力は16.5Wとした。
−画像線幅の測定−
画像線幅の測定は、グレースケール(Kodak社製)をスキャナー(キャノン社製、Canoscan4400)で取り込み、得られたデジタル階調値と反射濃度計(マクベス社製、RD−914)で測定した濃度値との間で相関を取り、上記で記録した画像を前記スキャナーで取り込んで得られたデジタル階調値を濃度値に変換して濃度値が0.5以上となるときの幅を線幅として前記デジタル階調値の設定画素数(1,200dpi)から算出し実施例1と同様に評価した。結果を表18に示す。
−繰り返し耐久性の測定−
次に、画像記録と画像消去を繰り返し、10回おきに消去部の画像の濃度を前記測定方法により測定し、消去後の画像濃度が、0.15以上の値を示す(消え残り)時の回数を測定し評価した。結果を表18に示す。
<<No.33>>
No.32において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度を1,030mm/sに変えた以外は、No.32と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.34>>
No.32において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度を1,110mm/sに変えた以外は、No.32と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.35>>
No.32において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度を1,200mm/sに変えた以外は、No.32と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
<<No.36>>
No.32において、画像記録工程におけるfθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度を1,420mm/sに変えた以外は、No.32と同様にして、画像記録及び画像消去を行った。
次に、No.33〜No.36についてNo.32と同様にして、画像線幅の測定及び繰り返し耐久性の測定を行い評価した。No.32及びNo.27とともに結果を表18に示す。
(実施例11)
−移動体での評価−
製造例1の熱可逆記録媒体をプラスチックの箱に貼り付け、コンベアに載せて10m/分の搬送速度で移動させながら、実施例1のNo.3の条件で画像処理した。その結果、移動体に貼り付けた熱可逆記録媒体に均一に画像記録でき、かつ均一に画像消去することができた。また、繰り返し耐久性及び画像線幅は、No.3と同様の結果を示した。
比較として、製造例1の熱可逆記録媒体をプラスチックの箱に貼り付け、コンベアに載せて10m/分の搬送速度で移動させながら、実施例1のNo.2の条件で画像処理した。その結果、移動体に貼り付けた熱可逆記録媒体に均一に画像記録でき、かつ均一に画像消去することができた。また、繰り返し耐久性及び画像線幅は、No.2と同様の結果を示した。
本発明の画像処理方法及び画像処理装置は、例えばダンボールやプラスチックコンテナ等の容器に貼付したラベル等の熱可逆記録媒体に対して、非接触式にて、繰り返し画像記録及び画像消去が可能で、しかも繰り返しによる前記熱可逆記録媒体の劣化を抑制することができ、物流及び配送システムに特に好適に使用可能である。
1 レーザ発振器
2 ビームエキスパンダ
3 光学レンズ
4 ガルバノメータ
4A ガルバノミラー
5 スキャニングユニット
6 fθレンズ
7 熱可逆記録媒体
81 ICチップ
82 アンテナ
85 RF−IDタグ
特開2000−136022号公報 特許第3350836号公報 特許第3446316号公報 特開2003−246144号公報 特開2003−127446号公報 特開2007−69605号公報 特許第3682295号公報 特開2006−126851号公報 特開2008−68630号公報

Claims (11)

  1. 温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより該熱可逆記録媒体に画像を記録する画像記録手段、及び、該熱可逆記録媒体に対して加熱することにより該熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する画像消去手段のいずれかを含む画像処理装置であって、
    前記画像記録手段が、レーザ光出射手段と、該レーザ光出射手段におけるレーザ光出射面に配置される光走査手段と、レーザ光の光照射強度分布を変化させる光照射強度分布調整手段と、レーザ光を集光させるfθレンズと、を少なくとも有し、
    前記fθレンズの中心部が、前記fθレンズにおけるレーザ光照射部位の中心点から2/5*R内(ただし、Rは、fθレンズの有効半径を意味する)の範囲であり、前記fθレンズの周辺部が、前記fθレンズの中心部を除く範囲であるときに、
    前記fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力P2を前記fθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の出力P1よりも低くする方法、又は前記fθレンズの周辺部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度V2を前記fθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の走査線速度V1よりも大きくする方法により、前記fθレンズの周辺部を透過して前記熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光のエネルギーが、前記fθレンズの中心部を透過して前記熱可逆記録該媒体上に照射されるレーザ光のエネルギーよりも低くなり、
    前記レーザ光のエネルギーが、走査する方向の単位長さ当たりに熱可逆記録媒体上に照射するレーザ光のエネルギー量を指し、レーザ光の出力をP、レーザ光の走査線速度をVとしたときにP/Vに相当することを特徴とする画像処理装置。
  2. (P2/P1)×100が、80%〜99%である請求項1に記載の画像処理装置。
  3. (V2/V1)×100が、101%〜120%である請求項1から2のいずれかに記載の画像処理装置。
  4. 画像記録及び画像消去の少なくともいずれかにおいて、fθレンズの中心部を透過して熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の光照射強度分布が、下記式(1)で表される関係を満たす請求項1から3のいずれかに記載の画像処理装置。
    0.40≦I /I ≦2.00・・・(1)
    ただし、前記式(1)中、I は、熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の中心位置における光照射強度、I は、熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の全照射エネルギーの80%面の光照射強度をそれぞれ表す。
  5. 熱可逆記録媒体が、支持体上に少なくとも熱可逆記録層を有してなり、該熱可逆記録層が第一の特定温度と該第一の特定温度よりも高温の第二の特定温度とで透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置。
  6. 熱可逆記録層が、樹脂及び有機低分子物質を含有する請求項5に記載の画像処理装置。
  7. 熱可逆記録層が、ロイコ染料及び可逆性顕色剤を含有する請求項5に記載の画像処理装置。
  8. 移動体の画像記録及び画像消去の少なくともいずれかに用いられる請求項1から7のいずれかに記載の画像処理装置。
  9. レーザ光出射手段と、該レーザ光出射手段におけるレーザ光出射面に配置される光走査手段と、レーザ光の光照射強度分布を変化させる光照射強度分布調整手段と、レーザ光を集光させるfθレンズと、を少なくとも有する請求項1から8のいずれかに記載の画像処理装置。
  10. 光照射強度分布調整手段が、非球面素子レンズ、回折光学素子及びファイバカップリングの少なくともいずれかである請求項9に記載の画像処理装置。
  11. 光走査手段が、ガルバノミラーである請求項9から10のいずれかに記載の画像処理装置。
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