JP5223211B2 - 画像処理方法及び画像処理装置 - Google Patents
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Description
このような熱可逆記録媒体に対する、様々なレーザを用いた記録及び消去方法が提案されている(例えば特許文献2、特許文献3、特許文献4、及び特許文献5参照)。
前記特許文献3には、2つのレーザ光を使用し、一方を楕円形や長円形レーザとして消去を行い、他方を円形レーザで記録する方法、2つのレーザの複合として記録する方法、2つをそれぞれ変形させてそれぞれの複合として記録する方法が記載されている。2つのレーザを用いることで、1つのレーザで記録するよりも高濃度の画像記録が実現できるようになる。
しかし、上記の方法ではミラーを変位させるための特殊な装置が必要となり、一般的に使用されているレーザ記録装置には適用できないという課題がある。
<1> 温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより前記熱可逆記録媒体に画像を記録する画像記録工程、及び、前記熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより前記熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、
前記画像記録工程及び前記画像消去工程の少なくともいずれかにおいて、前記レーザ光が平行光であり、レーザ光軸中心部に対する周辺部のレーザ光走査速度が、レーザ光軸中心部のレーザ光走査速度よりも遅いことを特徴とする画像処理方法である。
<2> 温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより前記熱可逆記録媒体に画像を記録する画像記録工程、及び、前記熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより前記熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、
前記画像記録工程及び前記画像消去工程の少なくともいずれかにおいて、前記レーザ光が平行光であり、レーザ光軸中心部に対する周辺部のレーザ出力が、レーザ光軸中心部のレーザ出力よりも高いことを特徴とする画像処理方法である。
<3> 温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより前記熱可逆記録媒体に画像を記録する画像記録工程、及び、前記熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより前記熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、
前記画像記録工程及び前記画像消去工程の少なくともいずれかにおいて、前記レーザ光が平行光であり、レーザ光軸中心部に対する周辺部のレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複が、レーザ光軸中心部のレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複よりも大きいことを特徴とする画像処理方法である。
<4> レーザ光軸中心部に対する周辺部の光照射エネルギー量が、レーザ光軸中心部の光照射エネルギー量と同等以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<5> レーザ光軸中心部が、レーザ光源から熱可逆記録媒体に対して垂直に照射されるレーザ光ビームによって形成される熱可逆記録媒体上の照射部位である前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<6> レーザ光軸中心部に対する周辺部が、画像処理装置における走査制御手段によって、レーザ光が熱可逆記録媒体上に照射される前記レーザ光軸中心部を除いた全範囲である前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<7> レーザ光の熱可逆記録媒体までの照射距離が、任意に設定される前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<8> 熱可逆記録媒体が、支持体上に少なくとも可逆性感熱記録層を有してなり、該可逆性感熱記録層が樹脂及び有機低分子物質を含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<9> 熱可逆記録媒体が、支持体上に少なくとも可逆性感熱記録層を有してなり、該可逆性感熱記録層がロイコ染料及び可逆性顕色剤を含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<10> 画像記録工程及び画像消去工程の少なくともいずれかにおいて照射されるレーザ光における、該レーザ光の進行方向に対して略直交方向の断面における光強度分布において、中心部の光照射強度が周辺部の光照射強度と同等以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<11> 配送支援システムにおける物流ラインを移動する搬送用容器への画像記録及び画像消去の少なくともいずれかに用いられる前記<1>から<10>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の画像処理方法に用いられ、
レーザ光出射手段と、
該レーザ光出射手段におけるレーザ光出射面に配置され、かつレーザ光の光照射強度を変化させる光照射強度調整手段とを少なくとも有することを特徴とする画像処理装置である。
<13> 光照射強度調整手段が、レンズ、フィルタ、マスク及びミラーの少なくともいずれかである前記<12>に記載の画像処理装置である。
前記画像記録工程及び前記画像消去工程の少なくともいずれかにおいて、前記レーザ光が平行光であり、レーザ光軸中心部に対する周辺部のレーザ光走査速度が、レーザ光軸中心部のレーザ光走査速度よりも遅いものである。
本発明の画像処理方法は、第2形態では、温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより前記熱可逆記録媒体に画像を記録する画像記録工程、及び、前記熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより該熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、
前記画像記録工程及び前記画像消去工程の少なくともいずれかにおいて、前記レーザ光が平行光であり、レーザ光軸中心部に対する周辺部のレーザ出力が、レーザ光軸中心部のレーザ出力よりも高いものである。
本発明の画像処理方法は、第3形態では、温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより前記熱可逆記録媒体に画像を記録する画像記録工程、及び、前記熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより該熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、
前記画像記録工程及び前記画像消去工程の少なくともいずれかにおいて、前記レーザ光が平行光であり、レーザ光軸中心部に対する周辺部のレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複が、レーザ光軸中心部のレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複よりも大きいものである。
前記第1形態から第3形態のいずれかに係る画像処理方法においては、レーザ光を平行光とし、レーザ光軸中心部に対する周辺部のレーザ光走査速度をレーザ光軸中心部のレーザ光走査速度よりも遅くするか、レーザ光軸中心部に対する周辺部のレーザ出力をレーザ光軸中心部のレーザ出力よりも高くするか、あるいは、レーザ光軸中心部に対する周辺部のレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複が、レーザ光軸中心部のレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複よりも大きくすることにより、平行光のような無焦点化されたレーザ光であっても、レーザ光が照射される媒体上の位置に関係なく、均一な光照射エネルギーを与えることができ、印字領域が拡大して広範囲に印字が可能となり、消去に利用可能な時間を十分に確保できると共に、均一な消去が可能となる。
本発明の第1形態から第3形態のいずれかに係る画像処理方法は、画像記録工程及び画像消去工程の少なくともいずれかを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含んでなる。
本発明の前記画像処理方法においては、画像の記録及び画像の消去の両方を行う態様、画像の記録のみを行う態様、画像の消去のみを行う態様のいずれをも含む。
前記第2形態に係る画像処理方法では、前記画像記録工程及び前記画像消去工程の少なくともいずれかにおいて、前記レーザ光が平行光であり、レーザ光軸中心部に対する周辺部のレーザ出力が、レーザ光軸中心部のレーザ出力よりも高いものである。
前記第3形態に係る画像処理方法では、前記画像記録工程及び前記画像消去工程の少なくともいずれかにおいて、前記レーザ光が平行光であり、レーザ光軸中心部に対する周辺部のレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複が、レーザ光軸中心部のレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複よりも大きいものである。
例えば、図5に示すように、レーザヘッド90から出射された円形状のレーザ光は、熱可逆記録媒体91のE上では、レーザヘッド90で出射された形状、略同じ大きさで照射されるのに対して、E1上では、楕円形状となり、短軸はレーザヘッド90で出射された大きさとなるが、長軸は1/cosθ倍となり(前記熱可逆記録媒体の法線方向に対するレーザ光の出射角:θ)、単位面積当たりのエネルギーが小さくなるので、エネルギーを媒体上で均一に与えるためには、照射エネルギーを調整する必要がある。
熱可逆記録媒体の法線方向に対するレーザ光の出射角θは、45°以下が好ましく、30°以下がより好ましい。レーザ光の角度変更を行うガルバノミラーに制限があり、前記の出射角を大きくするのが困難であり、長軸、短軸の比率が大きい楕円形状での画像記録工程を行うと、記録の方向で線幅が異なり、狙いの画像を得ることができない。
本発明の前記画像処理方法における前記画像記録工程は、温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより、前記熱可逆記録媒体に画像を記録する工程である。
本発明の前記画像処理方法における前記画像消去工程は、前記熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより該熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する工程である。
前記熱可逆記録媒体に対し、前記レーザ光を照射して加熱することにより、前記熱可逆記録媒体に非接触の状態で画像の記録及び消去を行うことができる。
本発明の画像処理方法においては、通常、前記熱可逆記録媒体の再使用時に初めて画像の更新(前記画像消去工程)を行い、その後、前記画像記録工程により画像の記録を行うが、画像の記録及び消去の順序はこれに限られるものではなく、前記画像記録工程により画像を記録した後、前記画像消去工程により画像を消去してもよい。
従来、レーザを用いて何らかのパターンを形成する場合には、レーザ光の進行方向直交断面の光分強度布はガウス分布となっており、光照射の中心部は周辺部に比して光照射強度が極端に強いものであった。このガウス分布のレーザ光を前記熱可逆記録媒体に照射すると、前記中心部では温度が上がりすぎて画像の記録と消去とを繰り返すとその部分が劣化し、繰り返し回数が低下することとなり、また中心部の温度を劣化する温度まで上げないようにレーザ照射エネルギーを低下させると、画像のサイズが小さくなり、画像コントラストの低下や画像記録に時間がかかってしまうという問題があった。
そこで、本発明の前記画像処理方法では、前記画像記録工程及び前記画像消去工程の少なくともいずれかにおいて照射されるレーザ光の進行方向直交断面の光分強度布において、前記中心部の光照射強度が前記周辺部の光照射強度と同等以下となるようにすることにより、画像の記録及び消去の繰返しによる前記熱可逆記録媒体の劣化を抑制しながら画像のサイズを小さくすることなく、画像コントラストを維持したまま繰返し耐久性の向上を実現している。
前記レーザ光における該レーザ光の進行方向に対して略直交方向の断面の光強度分布における「中心部」は、該光強度分布を表す曲線を2回微分した微分曲線において、下に凸の2つの最大ピークのピーク頂部に挟まれた領域に対応する部位を意味し、「周辺部」は、前記「中心部」を除く領域に対応する部位を意味する。
「中心部の光照射強度」は、前記中心部における光強度分布が曲線で表される場合には、そのピーク頂部であって、かつ光強度分布曲線の形状が上に凸であるときにはピークトップにおける光照射強度を、前記光強度分布曲線の形状が下に凸であるときにはピークボトムにおける光照射強度を、それぞれ意味する。また、前記光強度分布曲線が、上に凸及び下に凸の両方の形状を有する場合には、中心部内のより中央に近い部位に位置するピーク頂部の光照射強度を意味する。
また、前記中心部における光強度分布が直線で表される場合には、該直線の最高部における光照射強度を意味するが、この場合、前記中心部において、前記光照射強度は一定である(前記中心部における光強度分布が水平線で表される)のが好ましい。
一方、「周辺部の光照射強度」は、前記周辺部における光強度分布が、曲線及び直線のいずれで表される場合にも、その最高部における光照射強度を意味する。
図6A〜図6Dは、本発明の前記画像処理方法に用いられるレーザ光の光強度分布を示しており、前記中心部の光照射強度が前記周辺部の光照射強度と同等以下となっている。
一方、図6Eは、通常のレーザ光の光強度分布を示しており、該光強度分布は、ガウス分布しており、前記中心部の光照射強度が、前記周辺部の光照射強度に比して、極端に強くなっている。
前記中心部の光照射強度が、前記周辺部の光照射強度の1.05倍以下であると、前記中心部での温度上昇による前記熱可逆記録媒体の劣化を抑制することができる。
一方、前記中心部の光照射強度の下限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記周辺部の光照射強度に対して0.1倍以上が好ましく、0.3倍以上がより好ましい。
前記中心部の光照射強度が、前記周辺部の光照射強度の0.1倍未満であると、前記レーザ光の照射スポットにおける前記熱可逆記録媒体の温度が充分に上がらず、前記周辺部に比して前記中心部の画像濃度が低下したり、充分に消去できなくなったりすることがある。
前記光照射強度調整手段としては、例えば、レンズ、フィルタ、マスク、ミラーなどが好適に挙げられる。具体的には、カライドスコープ、インテグレータ、ビームホモジナイザー、非球面ビームシェイパー(強度変換レンズと位相補正レンズとの組合せ)などが好ましい。また、フィルタ、マスクなどを用いる場合、前記レーザ光の中心部を物理的にカットすることにより光照射強度を調整することができる。また、ミラーを用いる場合、コンピュータと連動して機械的に形状が変えられるディフォーマブルミラー、反射率あるいは表面凹凸が部分的に異なるミラーなどを用いることにより光照射強度を調整することができる。
また、前記熱可逆記録媒体と前記レンズとの間の距離を、焦点距離からずらすことにより光照射強度を調整することも可能であり、更に、半導体レーザ、YAGレーザ等をファイバーカップリングすると、光照射強度の調整を容易に行うことができる。
なお、前記光照射強度調整手段による、光照射強度の調整方法については、後述する本発明の画像処理装置の説明において詳述する。
本発明の画像処理装置は、本発明の前記画像処理方法に用いられ、レーザ光照射手段と、光照射強度調整手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を有してなる。
前記レーザ光出射手段としては、レーザ光を照射可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CO2レーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザ(LD)などの通常用いられるレーザが挙げられる。
前記レーザ光出射手段から出射されるレーザ光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視領域から赤外領域が好ましく、画像コントラストが向上する点で、近赤外領域から遠赤外領域がより好ましい。
前記可視領域では、前記熱可逆記録媒体の画像記録及び画像消去のために、レーザ光を吸収して発熱させるための添加剤が着色するため、コントラストが低下することがある。
また、前記YAGレーザ、及び前記ファイバーレーザは高出力であるため、画像の記録及び消去速度の高速化を量ることができるという利点がある。前記LDはレーザ自体が小さいため、装置の小型化、更には低価格化が可能であるという利点がある。
前記光照射強度調整手段は、前記レーザ光の光照射強度を変化させる機能を有する。
前記光照射強度調整手段の配置態様としては、前記レーザ光照射手段における前記レーザ光出射面に配置される限り特に制限はなく、前記レーザ光照射手段との距離等については、目的に応じて適宜選択することができる。
更にレーザ光源として、半導体レーザ、YAGレーザ等をファイバーカップリングすると、光照射強度の調整を容易に行うことができる。
例えば、強度変換レンズと位相補正レンズとの組合せを用いる場合には、図7Aに示すように、前記レーザ光出射手段から出射されるレーザ光の光路上に、2枚の非球面レンズを配設する。そして、1枚目の非球面レンズL1により、目的とする位置(距離l)にて、前記光強度分布における前記中心部の光照射強度が前記周辺部の光照射強度と同等以下(図7Aでは、フラットトップ形状)となるように、強度変換する。その後、強度変換されたビーム(レーザ光)を平行伝搬させるために、2枚目の非球面レンズL2で位相の補正を行う。その結果、前記ガウス分布した光強度分布を変化させることができる。
また、図7Bに示すように、前記レーザ光出射手段から出射されるレーザ光の光路上に、強度変換レンズLのみを配設してもよい。この場合、ガウス分布した入射ビーム(レーザ光)について、強度の強い部分(内部)は、X1に示すように、ビームを拡散させ、逆に強度の弱い部分(外部)は、X2に示すように、ビームを収束させることにより、前記光強度分布における前記中心部の光照射強度が前記周辺部の光照射強度と同等以下(図7Bでは、フラットトップ形状)となるように変換することができる。
更に、前記光照射強度調整手段として、ファイバーカップリングした半導体レーザとレンズとの組合せによる、光照射強度の調整方法の一例について、以下に説明する。
ファイバーカップリングした半導体レーザでは、レーザ光がファイバー中を、反射を繰り返しながら伝搬していくため、ファイバー端より出射するレーザ光の光強度分布は、前記ガウス分布とは異なり、前記ガウス分布と前記フラットトップ形状との中間に相当するような光強度分布となる。このような光強度分布を、前記フラットトップ形状となるように、ファイバー端に複数枚の凸レンズ及び/又は凹レンズを組み合わせたものを取り付ける。
図1に示す画像処理装置は、出力40WのCO2レーザを有するレーザマーカー(サンクス株式会社製、LP−440)の光路中に、前記光照射強度調整手段として、レーザ光の中心部をカットするマスク(不図示)を組み込み、レーザ光の進行方向直交断面における光強度分布を、前記周辺部の光照射強度に対し中心部の光照射強度が変化するように調整可能としている。
なお、レーザ照射ユニット、即ち、画像記録/消去用ヘッド部分の仕様は、可能レーザ出力範囲:0.1〜40W、照射距離可動範囲:特に限定なし、スポット径範囲:0.18〜10mm、スキャンスピード範囲:最大(max)12,000mm/s、照射距離範囲:特に限定なしである。
前記レーザ発振器10は、光強度が強く、指向性の高いレーザ光を得るために必要なものであり、例えば、レーザ媒質の両側にミラーを配置し、該レーザ媒質をポンピング(エネルギー供給)し、励起状態の原子数を増やし反転分布を形成させて誘導放出を起こさせる。そして、光軸方向の光のみが選択的に増幅されることにより、光の指向性が高まり出力ミラーからレーザ光が放出される。
前記スキャンニングユニット5は、ガルバノメータ4と、該ガルバノメータ4に取り付けられたミラー4Aとで構成されている。そして、前記レーザ発振器10から出力されたレーザ光を、前記ガルバノメータ4に取り付けられたX軸方向とY軸方向との2枚のミラー4Aで高速回転走査することにより、熱可逆記録媒体7上に、画像の記録又は消去を行うようになっている。
また、前記画像処理装置は、レーザ光の光照射強度を変化させる前記光照射強度調整手段を有しているので、画像の繰返し記録及び消去による前記熱可逆記録媒体の劣化を効果的に抑制することができる。
前記画像記録及び画像消去メカニズムには、温度に依存して透明度が可逆的に変化する態様と、温度に依存して色調が可逆的に変化する態様とがある。
前記透明度が可逆的に変化する態様では、前記熱可逆記録媒体における前記有機低分子が、前記樹脂中に粒子状に分散されてなり、前記透明度が、透明状態と白濁状態とに熱により可逆的に変化する。
前記透明度の変化の視認は、下記現象に由来する。即ち、(1)透明状態の場合、樹脂母材中に分散された前記有機低分子物質の粒子と、前記樹脂母材とは隙間なく密着しており、また、前記粒子内部にも空隙が存在しないため、片側から入射した光は散乱することなく反対側に透過し、透明に見える。一方、(2)白濁状態の場合、前記有機低分子物質の粒子は、前記有機低分子物質の微細な結晶で形成されており、該結晶の界面又は前記粒子と前記樹脂母材との界面に隙間(空隙)が生じ、片側から入射した光は前記空隙と前記結晶との界面、あるいは前記空隙と前記樹脂との界面において屈折し散乱するため、白く見える。
前記記録層は、例えば、T0以下の常温では、白濁不透明状態(A)である。これを加熱していくと、温度T1から徐々に透明になり始め、温度T2〜T3に加熱すると透明(B)となり、この状態で再びT0以下の常温に戻しても透明(D)のままである。これは、温度T1付近から前記樹脂が軟化し始め、軟化が進むにつれて該樹脂が収縮し、該樹脂と前記有機低分子物質粒子との界面、あるいは前記粒子内の空隙を減少させるため、徐々に透明度が上がり、温度T2〜T3では、前記有機低分子物質が半溶融状態となり、残った空隙を、前記有機低分子物質が埋めることにより透明となり、種結晶が残ったまま冷却されると比較的高温で結晶化し、その際、前記樹脂がまだ軟化状態にあるため、結晶化に伴う粒子の堆積変化に前記樹脂が追随し、前記空隙が生じず、透明状態が維持されるためであると考えられる。
更にT4以上の温度に加熱すると、最大透明度と最大不透明度との中間の半透明状態(C)になる。次に、この温度を下げていくと、再び透明状態になることなく、最初の白濁不透明状態(A)に戻る。これは、温度T4以上で前記有機低分子物質が完全に溶融した後、過冷却状態となり、T0より少し高い温度で結晶化し、その際、前記樹脂が結晶化に伴う体積変化に追随することができず、空隙が発生するためであると考えられる。
ただし、図8Aに示す温度−透明度変化曲線は、前記樹脂、前記有機低分子物質等の種類を変えると、その種類に応じて、各状態の透明度に変化が生じることがある。
図8Bでは、1つの長鎖低分子粒子と、その周囲の高分子とを取り出し、加熱及び冷却に伴う空隙の発生及び消失変化を図示している。白濁状態(A)では、高分子と低分子粒子との間(又は粒子内部)に空隙が生じ、光散乱状態となっている。これを加熱し、前記高分子の軟化点(Ts)を超えると、空隙は減少して透明度が増加する。更に加熱し、前記低分子粒子の融点(Tm)近くになると、該低分子粒子の一部が溶融し、溶融した低分子粒子の体積膨張のため、空隙に前記低分子粒子が充満して空隙が消失し、透明状態(B)となる。ここから冷却すると、融点直下で前記低分子粒子は結晶化し、空隙は発生せず、室温でも透明状態(D)が維持される。
次に、前記低分子粒子の融点以上に加熱すると、溶融した低分子粒子と周囲の高分子との屈折率にズレが生じ、半透明状態(C)となる。ここから室温まで冷却すると前記低分子粒子は過冷却現象を生じ高分子の軟化点以下で結晶化し、このとき前記高分子はガラス状態となっているため、前記低分子粒子の結晶化に伴う体積減少に、周囲の高分子が追随できず、空隙が発生して元の白濁状態(A)に戻る。
図9Aに、前記樹脂中に前記ロイコ染料及び前記顕色剤を含んでなる可逆性感熱記録層を有する熱可逆記録媒体について、その温度−発色濃度変化曲線の一例を示し、図9Bに、透明状態と発色状態とが熱により可逆的に変化する前記熱可逆記録媒体の発消色メカニズムを示す。
まず、初め消色状態(A)にある前記記録層を昇温していくと、溶融温度T1にて、前記ロイコ染料と前記顕色剤とが溶融混合し、発色が生じ溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると、発色状態のまま室温に下げることができ、発色状態が安定化されて固定された発色状態(C)となる。この発色状態が得られたかどうかは、溶融状態からの降温速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が生じ、初期と同じ消色状態(A)、あるいは急冷による発色状態(C)よりも相対的に濃度の低い状態となる。一方、発色状態(C)から再び昇温していくと、発色温度よりも低い温度T2にて消色が生じ(DからE)、この状態から降温すると、初期と同じ消色状態(A)に戻る。
溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は、前記ロイコ染料と前記顕色剤とが分子同士で接触反応し得る状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態では、前記ロイコ染料と前記顕色剤との溶融混合物(前記発色混合物)が結晶化して発色を保持した状態であり、この構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は、両者が相分離した状態である。この状態は、少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり、結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより前記ロイコ染料と前記顕色剤とが分離して安定化した状態であると考えられる。多くの場合、このように、両者が相分離して前記顕色剤が結晶化することにより、より完全な消色が生じる。
なお、図9Aに示す、溶融状態から徐冷による消色、及び発色状態からの昇温による消色はいずれもT2で凝集構造が変化し、相分離や前記顕色剤の結晶化が生じている。
本発明の前記画像処理方法に用いられる前記熱可逆記録媒体は、支持体と、可逆性感熱記録層とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、保護層、中間層、アンダーコート層、バック層、光熱変換層、接着層、粘着層、着色層、空気層、光反射層等のその他の層を有してなる。これら各層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記熱可逆記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、SiO2、金属などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、紙、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体、合成紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のフィルムなどが挙げられる。
前記無機材料及び前記有機材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、有機材料が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
また、前記支持体に、酸化チタン等の白色顔料などを添加することにより、白色にするのが好ましい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜2,000μmが好ましく、50〜1,000μmがより好ましい。
前記可逆性感熱記録層(以下、単に「記録層」と称することがある)は、温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する材料を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する材料は、温度変化により、目に見える変化を可逆的に生じる現象を発現可能な材料であり、加熱温度及び加熱後の冷却速度の違いにより、相対的に発色した状態と消色した状態とに変化可能である。この場合、目に見える変化は、色の状態の変化と形状の変化とに分けられる。該色の状態の変化は、例えば、透過率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化に起因し、前記熱可逆記録媒体は、実際には、これらの変化の組合せにより色の状態が変化する。
これらの中でも、温度制御しやすく、高コントラストが得られる点で、前記第一の特定温度と第二の特定温度とで色の状態が変化するものが特に好ましい。
例えば常温より高い第一の特定温度で第一の色の状態となり、該第一の特定温度よりも高い第二の特定温度で加熱し、その後冷却することにより第二の色の状態となるもの、更に前記第二の特定温度よりも高い第三の特定温度以上で加熱するもの等が挙げられる。
これらの中でも、樹脂母材と該樹脂母材中に分散させた高級脂肪酸等の有機低分子物質とからなる熱可逆記録媒体は、第二の特定温度及び第一の特定温度が比較的低く、低エネルギーでの消去記録が可能な点で有利である。また、発消色メカニズムが、樹脂の固化と有機低分子物質の結晶化とに依存する物理変化であるため、耐環境性に強い特性がある。
また、後述するロイコ染料と可逆性顕色剤とを用いた、第二の特定温度で発色し、第一の特定温度で消色する熱可逆記録媒体は、透明状態と発色状態とを可逆的に示し、発色状態では、黒、青、その他の色を示すため、高コントラストな画像を得ることができる。
このような有機低分子物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカノール;アルカンジオール;ハロゲンアルカノール又はハロゲンアルカンジオール;アルキルアミン;アルカン;アルケン;アルキン;ハロゲンアルカン;ハロゲンアルケン;ハロゲンアルキン;シクロアルカン;シクロアルケン;シクロアルキン;飽和又は不飽和モノ若しくはジカルボン酸及びこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;飽和又は不飽和ハロゲン脂肪酸及びこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;アリールカルボン酸及びそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;ハロゲンアリルカルボン酸及びそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;チオアルコール;チオカルボン酸及びそれらのエステル、アミン又はアンモニウム塩;チオアルコールのカルボン酸エステル;などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記有機低分子物質は、その分子中に、酸素、窒素、硫黄及びハロゲンから選択される少なくとも1種、例えば、−OH、−COOH、−CONH−、−COOR、−NH−、−NH2、−S−、−S−S−、−O−、ハロゲン原子等を含んでいるのが好ましい。
更に具体的には、これらの化合物としては、例えば、ラウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、アラギン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸メチル、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン酸オクタデシル、ラウリン酸オクタデシル、パルミチン酸テトラデシル、ベヘン酸ドデシル等の高級脂肪酸のエステルなどが挙げられる。これらの中でも、前記画像処理方法の第3の態様で用いられる有機低分子物質としては、高級脂肪酸が好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の炭素数16以上の高級脂肪酸がより好ましく、炭素数16〜24の高級脂肪酸が更に好ましい。
このような樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体等の塩化ビニル系共重合体;ポリ塩化ビニリデン;塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニリデン系共重合体;ポリエステル;ポリアミド;ポリアクリレート又はポリメタクリレート若しくはアクリレート−メタクリレート共重合体;シリコーン樹脂;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂の比率が、2:1よりも小さいと、前記有機低分子物質を前記樹脂母材中に保持した膜を形成することが困難となることがあり、1:16よりも大きくなると、前記有機低分子物質の量が少ないため、前記記録層の不透明化が困難になることがある。
前記高沸点溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばリン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、オレイン酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジオクチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなどが挙げられる。
前記記録層の作製用溶剤としては、特に制限はなく、前記樹脂母材及び前記有機低分子物質の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼンなどが挙げられる。なお、前記分散液を使用した場合はもちろん、前記溶液を使用した場合も、得られる記録層中では前記有機低分子物質は微粒子として析出し、分散状態で存在する。
前記(1)ロイコ染料を発色させる顕色能を有する構造としては、フェノールが特に好ましい。
前記(2)分子間の凝集力を制御する構造としては、炭素数8以上の長鎖炭化水素基が好ましく、該炭素数は11以上がより好ましく、また炭素数の上限としては、40以下が好ましく、30以下がより好ましい。
前記R1、前記R2、及び前記R3の炭素数の和としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下限としては、8以上が好ましく、11以上がより好ましく、上限としては、40以下が好ましく、35以下がより好ましい。
前記炭素数の和が、8未満であると、発色の安定性や消色性が低下することがある。
前記脂肪族炭化水素基は、直鎖であってもよいし、分枝鎖であってもよく、不飽和結合を有していてもよいが、直鎖であるのが好ましい。また、前記炭化水素基に結合する置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
X及びYは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、N原子又はO原子を含む2価の基を表し、具体例としては、酸素原子、アミド基、尿素基、ジアシルヒドラジン基、シュウ酸ジアミド基、アシル尿素基等が挙げられる。これらの中でも、アミド基、尿素基が好ましい。
nは、0〜1の整数を示す。
本発明の熱可逆記録媒体には、前記記録層を保護する目的で該記録層上に保護層を設けることが好ましい。該保護層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1層以上に形成してもよく、露出している最表面に設けることが好ましい。
本発明においては、前記記録層と前記保護層の接着性向上、保護層の塗布による記録層の変質防止、保護層中の添加剤の記録層への移行を防止する目的で、両者の間に中間層を設けることが好ましく、これによって発色画像の保存性が改善できる。
本発明においては、印加した熱を有効に利用し高感度化するため、又は支持体と記録層の接着性の改善や支持体への記録層材料の浸透防止を目的として、前記記録層と前記支持体の間にアンダー層を設けてもよい。
前記アンダー層は、少なくとも中空粒子を含有してなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明においては、前記熱可逆記録媒体のカールや帯電防止、搬送性の向上のために支持体の記録層を設ける面と反対側にバック層を設けてもよい。
前記バック層は、少なくともバインダー樹脂を含有し、更に必要に応じて、フィラー、導電性フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
本発明においては、支持体の記録層形成面の反対面に接着剤層又は粘着剤層を設けて熱可逆記録ラベルとすることができる。前記接着剤層又は粘着剤層の材料は一般的に使われているものが使用可能である。
前記光熱変換材料はレーザ光を吸収し発熱する役割をもつものであり、それの主な材料としては無機系材料と有機系材料とに大別できる。無機系材料としてはカーボンブラックやGe、Bi、In、Te、Se、Cr等の金属又は半金属及びそれを含む合金が挙げられ、これらは、真空蒸着法や粒子状の材料を樹脂等で接着して層状に形成される。有機系材料としては吸収すべき光波長により各種の染料を適宜用いることができるが、光源として半導体レーザを用いる場合には700nm〜1500nm付近に吸収を持つ近赤外吸収色素が用いられる。具体的には、シアニン色素、キノン系色素、インドナフトールのキノリン誘導体、フェニレンジアミン系ニッケル錯体、フタロシアニン系色素等が挙げられる。繰り返し印字消去を繰り返すため耐熱性に優れた光熱変換材料を選択することが好ましい。
これらの近赤外吸収色素は前記記録層中に混ぜ込んでもよく、2種類以上を混ぜ込んで用いてもよい。この場合、記録層は光熱変換層を兼ねることになる。
本発明で用いられる熱可逆記録部材は、前記可逆表示可能な記録層と情報記憶部とを、同一のカードやタグに設け(一体化させ)、該情報記憶部の記憶情報の一部を記録層に表示することにより、特別な装置がなくてもカードやタグを見るだけで情報を確認することができ、利便性に優れる。また、情報記憶部の内容を書き換えた時には熱可逆記録部の表示を書き換えることで、熱可逆記録媒体を繰り返し何度も使用することができる。
また、熱可逆記録媒体とRF−IDをラミネート加工等で一体化してカード状やタグ状に加工してもよい。
納品された原材料が入っているコンテナが搬送される工程ラインには、搬送されながら表示部に可視画像を非接触で書き込む手段と非接触で消去する手段が備えられ、更に、電磁波の発信によりコンテナに備えられたRF−IDの情報の読み取り、書き換えを非接触で行うためのリーダライタが備えられている。また更に、この工程ラインには、コンテナが搬送されながら非接触にて読み書きされるその個別情報を利用して、物流ライン上で自動的に分岐や計量、管理などを行う制御手段が備えられている。
配送支援システムは、図12に示すように管理サーバ20、コンテナの搬送ライン、工程管理ユニット30を備えている。この配送支援システムにおいては、コンテナ100にICタグ510付き熱可逆記録媒体500を貼付し、梱包管理を行う。この場合、梱包に用いるコンテナ100をコンベア40に載置して搬送する。そして、梱包エリア45において、必要な商品をコンテナ100に格納する。
そして、コンテナ100が工程管理ユニット30の設置エリアに到達した場合、まず、管理コンピュータ21は、コンテナ100の特定を行う(ステップS1−1)。具体的には、工程管理ユニットのユニット制御部31は、ICタグ通信部32を用いて、熱可逆記録媒体500のICタグ510のタグIDを読み取る。そして、ユニット制御部31は、このタグIDに関するデータを、ネットワークを介して管理サーバに送信する。
そして、ユニット制御部31は、搬送駆動部35における搬送速度と、撮像部によって撮影された画像に基づいてレーザ照射領域とレーザ光強度とを算出する。即ち、レーザ光に対してコンテナ100が傾いている場合、レーザ照射領域の面積が狭くなる。また、熱可逆記録媒体500表面上のレーザ光強度が低下する。このため、搬送速度に基づいて、レーザ光の走査範囲を決定し、更に、表面温度が120℃〜160℃になるレーザ光強度を算出する。この場合には、書込処理の場合に比べて、デフォーカスにしてレーザ照射面積を大きくする。これにより、表面温度を下げて消去に適した温度に設定することができる。更に、レーザ照射面積が大きくなるため、短時間に消去を行うことができる。
そして、ユニット制御部31は、消去用レーザ光源と光学機構部とを用いて、消去のためのレーザ照射を指示する。
そして、ユニット制御部31は、搬送駆動部35における搬送速度と、撮像部によって撮影された画像に基づいてレーザ照射領域とレーザ光強度とを算出する。即ち、搬送速度に基づいて、レーザ光の走査範囲を決定し、更に、表面温度が180℃になるレーザ光強度を算出する。これにより、コンテナ100が傾いている場合にも、適切なレーザ照射領域を特定することができる。
そして、梱包エリア45では、熱可逆記録媒体500に描画された商品の梱包作業が行われる。
<熱可逆記録媒体の作製>
温度に依存して色調が可逆的(透明状態−発色状態)に変化する熱可逆記録媒体を、以下のようにして作製した。
支持体として、厚み125μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルムU2L98W)を用いた。
スチレン−ブタジエン系共重合体(日本エイアンドエル社製、PA−9159)30質量部、ポリビニルアルコール樹脂(株式会社クラレ製、ポバールPVA103)12質量部、中空粒子(松本油脂株式会社製、マイクロスフェアーR−300)20質量部、及び水40質量部を添加し、均一状態になるまで約1時間撹拌して、アンダー層塗布液を調製した。
次に、得られたアンダー層塗布液を前記支持体上に、ワイヤーバーにて塗布し、80℃にて2分間加熱及び乾燥して、厚み20μmのアンダー層を形成した。
下記構造式(1)で表される可逆性顕色剤5質量部、下記構造式(2)及び(3)で表される2種類の消色促進剤をそれぞれ0.5質量部ずつ、アクリルポリオール50質量%溶液(水酸基価=200mgKOH/g)10質量部、及びメチルエチルケトン80質量部を、ボールミルを用いて平均粒径が約1μmになるまで粉砕分散した。
アクリルポリオール樹脂50質量%溶液(三菱レーヨン株式会社製、LR327)3質量部、酸化亜鉛微粒子30質量%分散液(住友セメント株式会社製、ZS303)7質量部、イソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)1.5質量部、及びメチルエチルケトン7質量部を加え、よく攪拌して中間層用塗布液を調製した。
次に、前記アンダー層、及び前記記録層が形成された支持体上に、前記中間層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱及び乾燥した後、60℃にて2時間加熱し、厚み2μmの中間層を形成した。
ペンタエリスルトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)3質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業株式会社製、アートレジンUN−3320HA)3質量部、ジペンタエリスリトールカプロラクトンのアクリル酸エステル(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPCA−120)3質量部、シリカ(水澤化学工業株式会社製、P−526)1質量部、光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)0.5質量部、及びイソプロピルアルコール11質量部を加え、ボールミルにてよく攪拌して平均粒径が約3μmになるまで分散し、保護層用塗布液を調製した。
次に、前記アンダー層、前記記録層、及び前記中間層が形成された支持体上に、前記保護層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱及び乾燥した後、80W/cmの紫外線ランプで架橋させて、厚み4μmの保護層を形成した。
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)7.5質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業株式会社製、アートレジンUN−3320HA)2.5質量部、針状導電性酸化チタン(石原産業株式会社製、FT−3000、長軸=5.15μm、短軸=0.27μm、構成:アンチモンドープ酸化スズ被覆の酸化チタン)2.5質量部、光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)0.5質量部、及びイソプロピルアルコール13質量部を加え、ボールミルにてよく攪拌してバック層用塗布液を調製した。
次に、前記記録層、前記中間層、及び前記保護層が形成された支持体における、これらの層が形成されていない側の面上に、前記バック層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱及び乾燥した後、80W/cmの紫外線ランプで架橋させて、厚み4μmのバック層を形成した。以上により、製造例1の熱可逆記録媒体を作製した。
<熱可逆記録媒体の作製>
温度に依存して透明度が可逆的(透明状態−白濁状態)に変化する熱可逆記録媒体を、以下のようにして作製した。
支持体として、厚み175μmの透明PETフィルム(東レ株式会社製、ルミラー175−T12)を用いた。
塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン株式会社製、M110)26質量部を、メチルエチルケトン210質量部に溶解させた樹脂溶解液中に、下記構造式(5)で表される有機低分子物質3質量部、及びベヘン酸ドコシル7質量部を加え、ガラス瓶中に直径2mmのセラミックビーズを入れて、ペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)を用い48時間分散し、均一な分散液を調製した。
次に、前記支持体(磁気記録層を有するPETフィルムの接着層)上に、得られた感熱記録層液を塗布し、加熱及び乾燥した後、更に65℃環境下に24時間保存して樹脂を架橋させて、厚み10μmの感熱記録層を設けた。
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の75質量%酢酸ブチル溶液10質量部(大日本インキ化学工業株式会社製、ユニディックC7−157)、及びイソプロピルアルコール10質量部よりなる溶液を、ワイヤーバーで前記感熱記録層上に塗布し、加熱及び乾燥した後、80W/cmの高圧水銀灯で紫外線を照射して硬化させて、厚み3μmの保護層を形成した。以上により、製造例2の熱可逆記録媒体を作製した。
<熱可逆記録媒体の作製>
製造例1において、前記熱可逆記録媒体の作製の際に、前記記録層中に光熱変換材料(株式会社日本触媒製、イーエクスカラーIR−14)0.03質量部を添加した以外は、製造例1と同様にして、製造例3の熱可逆記録媒体を作製した。
レーザマーカーとして40WのCO2レーザを使用しているサンクス株式会社製LP−40を用い、製造例1の熱可逆記録媒体にレーザ出力6W、照射距離185mm(焦点距離)、スポット径約0.2mm、走査速度2,000mm/sとなるように調整し、50mm×620mmの領域に画像を記録した。
続いて、上記レーザマーカーのfθレンズを取り外し、スポット径が照射距離185mm〜1,000mmの範囲で約3mmになるようにビームエキスパンダを調整した。
レーザマーカーとして40WのCO2レーザを使用しているサンクス株式会社製LP−40を用い、製造例1の熱可逆記録媒体にレーザ出力6W、照射距離185mm(焦点距離)、スポット径約0.2mm、走査速度2,000mm/sとなるように調整し、50mm×620mmの領域に画像を記録した。
実施例2のレーザマーカーと、製造例1の熱可逆記録媒体を用い、実施例1と同様に画像を記録した。続いて実施例2と同様にして、上記レーザマーカーのfθレンズを取り外し、スポット径が照射距離185mm〜1,000mmの範囲で約3mmになるようにビームエキスパンダを調整した。
実施例2のレーザマーカーと、製造例1の熱可逆記録媒体を用い、実施例1と同様に画像を記録した。続いて実施例2と同様にして、上記レーザマーカーのfθレンズを取り外し、スポット径が照射距離185mm〜1,000mmの範囲で約3mmになるようにビームエキスパンダを調整した。
40WのCO2レーザマーカーであるサンクス株式会社製LP−440のfθレンズを取り外し、スポット径が照射距離185mm〜1,000mmの範囲で約3mmになるようにビームエキスパンダを調整した。
40WのCO2レーザマーカーであるサンクス株式会社製LP−440のfθレンズを取り外し、スポット径が照射距離185mm〜1,000mmの範囲で約3mmになるようにビームエキスパンダを調整した。
この装置を用い、製造例1の熱可逆記録媒体に対してレーザ光の照射方向を媒体の法線方向に固定して、レーザ出力16Wとして、照射距離950mmで、図11に従ってレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複が2.7mmとなるように、X−Yステージを用い、Xステージに媒体を貼り付けて、X軸方向を1,200mm/sの走査速度で動かし、Y軸方向をミラーで走査させて、レーザ光軸中心部から遠ざかるにつれて走査速度を1,200mm/sから1,100mm/sへと段階的に変更して、50mm×620mmの範囲内にレーザ光を照射したところ、全領域で均一なベタ画像が得られた。
実施例5のレーザマーカーを用い、照射距離950mm、照射可能領域620mm×620mm、走査速度2,400mm/sとなるように調整し、製造例1の熱可逆記録媒体に対して、照射可能領域をレーザ光軸中心部を中心にして10分割したとき、図11においてレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複が2.7mmとなるように直線状にかつ同方向にレーザ光を走査し、レーザ光軸中心部から遠ざかるにつれてレーザ出力を32Wから35.2Wへと段階的に変更して50mm×620mmの範囲内に照射したところ、全領域で均一なベタ画像が得られた。
実施例5のレーザマーカーを用い、レーザ出力32W、照射距離950mm、照射可能領域620mm×620mm、走査速度2,400mm/sとなるように調整し、製造例1と同じ熱可逆記録媒体に対して、照射可能領域をレーザ光軸中心部を中心にして10分割したとき、図11のように直線状にかつ同方向にレーザ光を走査し、レーザ光軸中心部から遠ざかるにつれてレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複が2.7mmから2.8mmへと段階的に変更して50mm×620mmの範囲内に照射したところ、全領域で均一なベタ画像が得られた。
実施例5のレーザマーカーを用い、照射距離950mm、照射可能領域620mm×620mm、走査速度2,400mm/sとなるように調整し、製造例2と同じ熱可逆記録媒体に対して、照射可能領域をレーザ光軸中心部を中心にして10分割したとき、図11においてレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複が2.7mmとなるように直線状にかつ同方向にレーザ光を走査し、レーザ光軸中心部から遠ざかるにつれてレーザ出力を32Wから35.2Wへと段階的に変更して50mm×620mmの範囲内に照射したところ、全領域で均一なベタ画像が得られた。
次いで、この装置を用い、レーザ出力32W、照射距離950mm、照射可能領域620mm×620mm、走査速度2,400mm/sとなるように調整し、上記で形成した画像の中央部がレーザ光軸中心部となるように配置した画像に対して、画像記録領域をレーザ光軸中心部を中心にして10分割したとき、図11のように直線状にかつ同方向にレーザ光を走査し、レーザ光軸中心部から遠ざかるにつれてレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複が2.4mmから2.5mmへと段階的に変更して50mm×620mmの範囲内に照射したところ、画像は全領域で完全に消去可能であった。
レーザマーカーとして40WのCO2レーザを使用しているサンクス株式会社製LP−40を用い、製造例2の熱可逆記録媒体にレーザ出力5W、照射距離185mm(焦点距離)、スポット径約0.2mm、走査速度2,000mm/sとなるように調整し、50mm×620mmの領域に画像を形成した。
続いて、上記レーザマーカーのfθレンズを取り外し、スポット径が照射距離185mm〜1,000mmの範囲で約3mmになるようにビームエキスパンダを調整した。
この装置を用い、レーザ出力25W、照射距離950mm、照射可能領域620mm×620mmとなるように調整し、上記で形成した画像の中央部がレーザ光軸中心部となるように配置した画像に対して、画像記録領域をレーザ光軸中心部を中心にして10分割したとき、図11においてレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複が2.4mmとなるように直線状にかつ同方向にレーザ光を走査し、レーザ光軸中心部から遠ざかるにつれて走査速度を2,400mm/sから2,200mm/sへと段階的に変更して50mm×620mmの範囲内に照射したところ、画像は全領域で完全に消去可能であった。
実施例5のレーザマーカーを用い、レーザ光の光路中に、該レーザ光の中心部をカットするマスクを組み込んだ。そして、レーザ光における該レーザ光の進行方向に対して略直交方向の断面における光強度分布において、周辺部の光照射強度に対し中心部の光照射強度が0.5倍となるように調整した。次いで、レーザ出力12W、照射距離950mm、照射可能領域620mm×620mmとなるように調整し、製造例1の熱可逆記録媒体に対して、照射可能領域をレーザ光軸中心部を中心にして10分割したとき、図11において、レーザ光の照射部と隣接する照射部の重複が2.8mmとなるように直線状にかつ同方向にレーザ光を走査し、レーザ光軸中心部から遠ざかるにつれて走査速度を1,000mm/sから920mm/sへと段階的に変更して50mm×620mmの範囲内に照射し、全領域で均一なベタ画像を記録した。
次に、照射距離950mm、走査速度1,000mm/sとなるように調整し、上記で形成した画像の中央部がレーザ光軸中心部となるように配置した画像に対して、画像記録領域をレーザ光軸中心部を中心にして10分割したとき、図11においてレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複が2.4mmとなるように直線状にかつ同方向にレーザ光を走査し、レーザ光軸中心部から遠ざかるにつれてレーザ出力を12Wから13.2Wへと段階的に変更して50mm×620mmの範囲内に照射したところ、画像は全領域で完全に消去可能であった。
上記条件で画像記録と画像消去を300回繰り返したところ、均一な画像の記録と消去が可能であった。
半導体レーザマーカーとして、140Wのファイバーカップリング式高出力半導体レーザ装置(イエナオプティック社製、NBT−S140mkII、中心波長:808nm、光ファイバコア径:600μm、NA:0.22)を用いて、レーザ出力12W、照射距離91.4mm、スポット径約0.6mmとなるように調整し、XYステージの送り速度1,200mm/sで、製造例3の熱可逆記録媒体に対し、50mm×620mmの領域に画像を記録した。
続いて、上記レーザマーカーの照射距離90mm〜1000mmの範囲で約3mmになるようにビームエキスパンダを調整して、レーザ光の照射方向を媒体の法線方向に固定して、レーザ出力15Wとして、照射距離950mmで、図11に従ってレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複が2.4mmとなるように、X−Yステージを用い、Xステージに媒体を貼り付けて、X軸方向を1,200mm/sの走査速度で動かし、Y軸方向をミラーで走査させて、レーザ光軸中心部から遠ざかるにつれて走査速度を1,200mm/sから1,100mm/sへと段階的に変更して、50mm×620mmの範囲内にレーザ光を照射したところ、画像は全領域で完全に消去可能であった。
<ラベルの例>
前記製造例1の「熱可逆記録媒体の作製」で用いた支持体上に、前記製造例1のアンダー層、及び前記記録層を順次塗布した。
−紫外線吸収構造を持つポリマー含有層(中間層)塗布液の調製−
紫外線吸収性ポリマーの40質量%溶液(大塚化学株式会社製、PUVA−60MK−40K、水酸基価:60mgKOH/g)20質量部、キシレンジイソシアネート(三井武田ケミカル株式会社製、D−110N)3.2質量部、及びメチルエチルケトン(MEK)23質量部からなる組成物をボールミルにて十分に撹拌して紫外線吸収構造を持つポリマー含有層塗布液を調製した。
−粘着層用塗布液の調製−
アクリル系粘着剤(東洋インキ製造株式会社製、BPS−1109)50質量部とイソシアネート(三井武田ケミカル株式会社製、D−170N)2質量部からなる組成物を十分に撹拌し、粘着層塗布液を調製した。
−タグ、カンバンの例−
前記製造例1の「熱可逆記録媒体の作製」で用いた支持体に同じく前記製造例1の記録層、中間層、及び保護層を塗布した上面用シートと、前記製造例1の「熱可逆記録媒体の作製」で用いた支持体に前記製造例1のバック層のみを塗布した下面用のシートをそれぞれ作製した。それぞれ210mm×85mmのサイズにカットし、これらのシートの間にRF−IDのインレット(DNP社製)とインレット周囲用スペーサーとしてPETGシート(三菱樹脂株式会社製)を挟みこみ粘着テープ(日東電工株式会社製)にて貼り合わせて、厚み500μmのRF−ID入り熱可逆記録タグを作製した。
実施例1の消去条件において、Y軸方向のミラー走査速度を1,200mm/sに固定した以外は、同条件で実施例1と同様にして、50mm×620mmの領域に形成した画像を消去したところ、レーザ光軸中心部は完全に消去できたが、レーザ光軸中心部から遠ざかるにつれて消去不良が発生した。
実施例2の消去条件において、走査速度を2,400mm/sに固定した以外は、実施例2と同条件に設定して、50mm×620mmの領域に形成した画像を消去したところ、レーザ光軸中心部は完全に消去できたが、レーザ光軸中心部から遠ざかるにつれて消去不良が発生した。
実施例6の画像記録条件において、Y軸方向のミラー走査速度を1,200mm/sに固定した以外は、実施例6と同条件に設定して、50mm×620mmの領域に画像を記録したところ、レーザ光軸中心部は均一なベタ画像が得られたが、レーザ光軸中心部から遠ざかるにつれて濃度ムラが生じて均一なベタ画像は得られなかった。
実施例5の画像記録条件において、走査速度を2,400mm/sに固定した以外は、実施例5と同条件に設定して、50mm×620mmの領域に画像を記録したところ、レーザ光軸中心部は均一なベタ画像が得られたが、レーザ光軸中心部から遠ざかるにつれて濃度ムラが生じて均一なベタ画像は得られなかった。
実施例10の消去条件において、走査速度を2,400mm/sに固定した以外は、実施例10と同条件に設定して、50mm×620mmの領域に形成した画像を消去したところ、レーザ光軸中心部は完全に消去できたが、レーザ光軸中心部から遠ざかるにつれて消去不良が発生した。
レーザマーカーとして40WのCO2レーザを使用しているサンクス株式会社製LP−440を用い、実施例13で作製された熱可逆記録ラベルを50mm×70mmのサイズにカットし、プラスチックの箱に貼り付け、レーザ出力6W、照射距離185mm(焦点距離)、スポット径約0.2mm、走査速度2,000mm/sとなるように調整して、70mm×50mmの範囲に画像を記録した。
4 ガルバノメータ
4A ミラー
5 スキャニングユニット
7 熱可逆記録媒体
10 レーザ発振器
40 コンベア
81 ICチップ
82 アンテナ
85 RF−IDタグ
90 レーザヘッド
91 熱可逆記録媒体
100 コンテナ
500 熱可逆記録媒体
501 ICタグ
Claims (12)
- 温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより前記熱可逆記録媒体に画像を記録する画像記録工程、及び、前記熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより該熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、
前記画像記録工程及び前記画像消去工程の少なくともいずれかにおいて、前記レーザ光が平行光であり、レーザ光軸中心部に対する周辺部のレーザ光走査速度が、レーザ光軸中心部のレーザ光走査速度よりも遅いことを特徴とする画像処理方法。 - 温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより前記熱可逆記録媒体に画像を記録する画像記録工程、及び、前記熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより該熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、
前記画像記録工程及び前記画像消去工程の少なくともいずれかにおいて、前記レーザ光が平行光であり、レーザ光軸中心部に対する周辺部のレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複が、レーザ光軸中心部のレーザ光の照射部と隣接する照射部の重複よりも大きいことを特徴とする画像処理方法。 - レーザ光軸中心部に対する周辺部の光照射エネルギー量が、レーザ光軸中心部の光照射エネルギー量と同等以上である請求項1から2のいずれかに記載の画像処理方法。
- レーザ光軸中心部が、レーザ光源から熱可逆記録媒体に対して垂直に照射されるレーザ光ビームによって形成される熱可逆記録媒体上の照射部位である請求項1から3のいずれかに記載の画像処理方法。
- レーザ光軸中心部に対する周辺部が、画像処理装置における走査制御手段によって、レーザ光が熱可逆記録媒体上に照射される前記レーザ光軸中心部を除いた全範囲である請求項1から4のいずれかに記載の画像処理方法。
- レーザ光の熱可逆記録媒体までの照射距離が、任意に設定される請求項1から5のいずれかに記載の画像処理方法。
- 熱可逆記録媒体が、支持体上に少なくとも可逆性感熱記録層を有してなり、該可逆性感熱記録層が樹脂及び有機低分子物質を含有する請求項1から6のいずれかに記載の画像処理方法。
- 熱可逆記録媒体が、支持体上に少なくとも可逆性感熱記録層を有してなり、該可逆性感熱記録層がロイコ染料及び可逆性顕色剤を含有する請求項1から6のいずれかに記載の画像処理方法。
- 画像記録工程及び画像消去工程の少なくともいずれかにおいて照射されるレーザ光における、該レーザ光の進行方向に対して略直交方向の断面における光強度分布において、中心部の光照射強度が周辺部の光照射強度と同等以下である請求項1から8のいずれかに記載の画像処理方法。
- 配送支援システムにおける物流ラインを移動する搬送用容器への画像記録及び画像消去の少なくともいずれかに用いられる請求項1から9のいずれかに記載の画像処理方法。
- 請求項1から10のいずれかに記載の画像処理方法に用いられ、
レーザ光出射手段と、
該レーザ光出射手段におけるレーザ光出射面に配置され、かつレーザ光の光照射強度を変化させる光照射強度調整手段とを少なくとも有することを特徴とする画像処理装置。 - 光照射強度調整手段が、レンズ、フィルタ、マスク及びミラーの少なくともいずれかである請求項11に記載の画像処理装置。
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