JP3350836B2 - 画像記録消去方法 - Google Patents

画像記録消去方法

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JP3350836B2
JP3350836B2 JP30309194A JP30309194A JP3350836B2 JP 3350836 B2 JP3350836 B2 JP 3350836B2 JP 30309194 A JP30309194 A JP 30309194A JP 30309194 A JP30309194 A JP 30309194A JP 3350836 B2 JP3350836 B2 JP 3350836B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、温度による可逆的な透
明度変化又は色調変化をもたらす可逆性感熱記録媒体を
長期にわたってかつ繰り返し使用しても鮮明な記録が得
られるようにした画像記録消去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一時的な画像形成が行なえ、不要
となった時にはその画像の消去ができるようにした可逆
性感熱記録媒体が注目されている。その代表的なものと
しては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のごとき樹脂
母材中に高級脂肪酸のような有機低分子物質を分散した
可逆性感熱記録媒体が知られている(特開昭54−11
9377号、特開昭55−154198号などの公
報)。
【0003】ところが、かかる従来の熱可逆性記録媒体
(以降単に「記録媒体」ということがある)は、加熱に
よる画像の形成と消去を繰り返すと、特にサーマルヘッ
ドを用いた場合表面が加熱されながらこすられるため、
表面にキズが発生し、それがひどくなると均一な画像が
形成できないという不都合がみられていた。
【0004】また、サーマルヘッド等のように熱と圧力
を同時に加える加熱方式を用いると記録回数が増えるに
つれ有機低分子物質粒子が凝集し、コントラスト(白濁
度)が低下してしまうという欠点もあった。もっとも、
このような記録媒体の劣化を補う手段として、非接触で
感熱層(可逆感熱層)を加熱する方法が知られている。
これは可逆感熱層が軟化しても圧力がかからないため、
記録媒体の劣化を低減することができるというものであ
る。例えば特開昭57−82088号公報には可逆感熱
層中若しくは可逆感熱層に近接した層中にカーボンブラ
ックを含有させ、レーザー光により記録する方法が開示
されている。この提案された方法によれば、非接触での
記録は可能となるものの、カーボンブラックを可逆感熱
層中に含有させた場合は勿論、可逆感熱層に近接した層
にカーボンブラックを含有させた場合にも画像全体が灰
色となり、コントラストの低下が著しいという欠点があ
った。更に、特開昭64−14077号公報には、カー
ボンブラックの代わりに赤外線吸収色素を用いる方法が
開示されている。この提案によれば、カーボンブラック
よりコントラストは改善されているが、赤外線吸収色素
は可視光にも吸収を有するため、依然として画像のコン
トラストは低いものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような欠点を解消し、繰返し耐久性を向上させること
ができ、しかも、高コントラスト、高精度、かつ鮮明な
画像が形成できる熱可逆性記録媒体を用いる画像記録/
消去方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱により透明
度若しくは色調が可逆的に変化する感熱層を有する熱可
逆性記録媒体上に、光熱変換シートを配置した後、該光
熱変換シートにレーザー光を照射して発生する熱により
該熱可逆性記録媒体に画像を形成及び/又は消去する
像記録消去方法において、該熱可逆性記録媒体と該光熱
変換シートとをスペーサーを用いて接触しないように配
置し、その間隔が0.1μm以上20μm以下になるよ
うにすることを特徴とする。
【0007】本発明の方法には下記ののような手
段が採用できる。 光熱変換シートと熱可逆性記録媒体とが接触しないよ
うにスペーサーを配置し、その間隔0.1以上20μ
m以下とするスペーサーとしては、スペーサー粒子、
又は液体を使用することが好ましい。 熱可逆性記録媒体上に光熱変換シートを配置した後若
しくはその直前に、少なくとも熱可逆性記録媒体を予備
加熱する。この予備加熱はレーザー光照射以外によるの
が望ましい。 熱可逆性記録媒体として、樹脂中に有機低分子物質が
粒子状に分散され、透明状態と白濁状態が熱により可逆
的に変化するものを用い、レーザー光照射により画像を
形成し及び/又は画像を消去する際、該有機低分子物質
の最低結晶化温度より高温に加熱される。 光熱変換シートへのレーザー光照射により画像形成す
るが、その画像の消去はレーザー光照射に代わる他の手
段(例えばホットスタンプ、サーマルヘッド、ヒートロ
ーラなどによる)で行なう。 光照射時間、照射光量、及び光強度分布の少なくとも
一つを制御することにより画像の形成と消去の両方をレ
ーザー光照射により行なう。
【0008】以下に本発明をさらに詳細に説明する。図
1は本発明の画像記録/消去方法の原理を示すものであ
る。熱可逆性記録媒体1と光熱変換シート2とを、感熱
層1b側に光熱変換層2b側を非接触状態で重ね合わ
せ、レーザー光源3からレーザー光4を照射し、レンズ
5で光熱変換層2bに集光し、集光した部分を発熱さ
せ、その発熱部2b’の熱で感熱層1bに記録する。図
中、1b’は感熱層1bの記録部である。
【0009】光熱変換層2bはレーザー光4を吸収する
ものであれば良い。この場合には、図1に示したよう
に、目で見る場合には熱可逆性記録媒体1と光熱変換シ
ート2とを分離して熱可逆性記録媒体だけを観察するた
め、光熱変換層2bの着色によるコントラストの低下は
なく、良好なコントラストが得られる。
【0010】図1では、光熱変換シート2側からレーザ
ー光4を照射しているが、熱可逆性記録媒体1側より照
してもよい。その場合には熱可逆性記録媒体1の支持
体1aが照射される光に対し、透明若しくは半透明であ
ることが必要である。
【0011】図2に本発明における画像記録方法で用い
られる画像記録装置3の一例を示す。熱可逆性記録媒体
1と光熱変換シート2はドラム31に巻きつけられ、画
像記録位置はドラム31の回転と光学ヘッド32を移動
ステージ33の動きを制御することにより決定される。
【0012】図2に示した装置以外に熱可逆性記録媒体
と光熱変換シートをX−Yステージ上に置き、ステージ
位置の制御により画像記録位置を決定することも可能で
あり、また光学系にガルバノミラーを用いレーザー光の
光路を変更することにより画像記録位置を決定すること
も可能である。
【0013】本発明における可逆感熱層に用いられる
「(温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化す
る)可逆性感熱記録材料」とは、温度変化によって目に
見える変化を可逆的に起こす材料である。目に見える変
化は色の状態の変化と形状の変化に分けられるが、本発
明では主に色の状態の変化を起こす材料を使用する。色
の状態の変化には、透過率、反射率、吸収波長、散乱度
などの変化があり、実際の可逆性感熱記録材料はこれら
の変化の組合せで表示を行なっている。より具体的に
は、熱により透明度や色調が可逆的に変化するものなら
ばなんでも良いが、例えばポリマーを2種以上混合し
て、その相溶状態の違いで透明、白濁に変化するもの
(特開昭61−258853号公報)、液晶高分子の相
変化を利用したもの(特開昭62−66990号公
報)、常温より高い第一の特定温度で第一の色の状態と
なり、第一の特定温度よりも高い第二の特定温度で加熱
し、その後冷却することにより第二の色の状態となるも
の、等が挙げられる。特に第一の特定温度と第二の特定
温度で色の状態が変化するものが好適に用いられる。こ
れらの例としては、第一の特定温度で透明状態となり、
第二の特定温度で白濁状態となるもの(特開昭55−1
54198号公報)、第二の特定温度で発色し、第一の
特定温度で消色するもの(特開平4−224996号、
特開平4−247984号、特開平4−247985号
などの公報)、第一の特定温度で白濁状態となり、第二
の特定温度で透明状態となるもの(特開平3−1695
90号公報)、第一の特定温度で黒、赤、青等に発色
し、第二の特定温度で消色するもの(特開平2−188
293号、特開平2−188294号などの公報)等が
挙げられる。
【0014】光熱変換シートと熱可逆性記録媒体とを用
いた画像記録/消去方法においては、光感変換シートと
熱可逆性記録媒体とを接触させるように配置することに
より低いエネルギーで画像の記録又は消去が可能とな
る。この場合に、光熱変換シートと熱可逆性記録媒体が
90℃以下では接着性を有しないことが好ましい。接着
性は図1に示したように光熱変換シートの光熱変換層側
と熱可逆性記録媒体の可逆感熱層側を向い合わせに配置
し、接触させ、熱傾斜試験機(東洋精機社製TYPE
HG−100)を用い、1g/cm2の圧力で60秒間
加熱した後、両者を分離した際、反対側への転写、表面
の剥離の有無で評価される。
【0015】すなわち「90℃以下で接着性を有しな
い」とは常温から90℃までの温度で上記の試験機を用
い、光熱変換シートと熱可逆性記録媒体を重ね合わせ上
記条件で加熱した後、両者を分離しても、転写、表面剥
離が生じない状態をいう。この温度条件は150℃以下
であることがさらに好ましい。上位の温度以下で接着性
を有すると前述した記録又は消去の後、光熱変換層の一
部が熱可逆性記録媒体側に転写したり、逆に熱可逆性記
録層の一部が光熱変換シートに転写したり、剥離したり
することによって画像に悪影響を及ぼす。
【0016】具体的な方法としては、光熱変換シートの
最上層と熱可逆性記録媒体の最上層のどちらか一方又は
両方に耐熱層を設けること、若しくは、光熱変換層と可
逆感熱層のどちらか一方又は両方の耐熱性を向上させる
こと、例えばガラス、転移温度(Tg)の高い樹脂を用
いること、樹脂を架橋させること等が好ましい。架橋す
る方法は、熱、紫外線、電子線を用いることが好まし
い。
【0017】通常、90℃以下で接着性を有しないよう
にするには、光熱変換シートと熱可逆性記録媒体のどち
らか一方の最上層に耐熱層を設けるか、光熱変換層と可
逆感熱層のどちらか一方の樹脂を架橋すればよい。さら
に150℃以下で接着性を有しないようにするには、光
熱変換シートと熱可逆性記録媒体の両方の最上層に耐熱
層を有するか、光熱変換層と可逆感熱層の両方の樹脂を
架橋すれば良い。また、耐熱層を設けることと架橋する
ことの両方行なっても良いことはもちろんである。
【0018】光熱変換層2bは光を吸収し発熱する役割
をもつものであり、それの主な材料としては無機系材料
と有機系材料とに大別できる。無機系材料としてはカー
ボンブラックやGe、Bi、In、Te、Se、Cr等
の金属又は半金属及びそれを含む合金が挙げられ、これ
らは、真空蒸着法や粒子状の材料を樹脂等で接着して層
状に形成される。有機系材料としては吸収すべき光波長
により各種の染料を適宜用いることができるが、光源と
して半導体レーザーを用いる場合には700〜900n
m付近に吸収を持つ近赤外吸収色素が用いられる。具体
的には、シアニン色素、キノン系色素、インドナフトー
ルのキノリン誘導体、フェニレンジアミン系ニッケル錯
体、フタロシアニン系色素等が挙げられる。
【0019】これらは通常、樹脂と併用して用いられ
る。光熱変換層に用いられる樹脂は上記の無機系材料、
有機系材料を保持できるものならばなんでもよく例えば
下記のものが挙げられる。
【0020】熱可塑性樹脂としては、エチレン−塩ビ共
重合樹脂、エチレン−酢ビ共重合樹脂、エチレン・酢ビ
−塩ビグラフト重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビ
ニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレ
ン、塩素化ポリプロピレン、酢酸ビニル樹脂、フェノキ
シ樹脂、ブタジエン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド、ポ
リアミドイミド、ポリアリレート、熱可塑性ポリイミ
ド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリカー
ボネートポリスチレン、ポリサルホン、ポリパラメチル
スチレン、ポリアリルアミン、ポリビニルアルコール、
ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルホルマール、ポリフェニレンエーテル、ポリプロピレ
ン、ポリメチルペンテン、メタクリル樹脂、アクリル樹
脂などがある。
【0021】熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、キ
シレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹
脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタ
ン、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂などが
ある。
【0022】これらの樹脂はそれぞれが共重合してもよ
いし、二種以上混合して用いても良い。無機系材料、有
機系材料と樹脂との比率は95:5〜5:95が好まし
く、90:10〜10:90がさらに好ましい。また、
これらの樹脂に必要に応じて水酸基、カルボキシル基等
の官能基を付与し、架橋剤を用いて熱、紫外線、電子熱
により架橋してもよい。なお、紫外線で架橋する場合に
はさらにベンゾフェノン等の光重合開始剤を用いる。
【0023】架橋剤としてはイソシアネート類や下記の
アクリレートモノマー等が挙げられる。ヘキサンジオー
ルジアクリレート(HDDA)、ネオベンチルグリコー
ルジアクリレート(NPGDA)、ジエチレングリコー
ルジアクリレート(DEGDA)、トリプロピレングリ
コールジアクリレート(TPGDA)、ポリエチレング
リコールジアクリレート(PEG400DA)、ヒドロ
キシピバリン酸ネオペンチルグリコール(MANDA)
(HPNDA)、ネオペンチルグリコールアジペートの
ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグ
リコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレー
ト、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)
−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキ
サンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ
アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリ
レートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサン
ジオールのジグリンジルエーテルのジアクリレート、ト
リメチロールプロパントリアクリレート(TMPT
A)、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアク
リレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロー
ルプロパントリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタ
エリスリトールのテトラアクリレート、ジトリメチロー
ルプロパンテトラアクリレート、プロピオン酸ジペンタ
エリスリトールのペンタアクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエ
リスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン
付加物(DPCA−20)(DPCA−30)(DPC
A−60)、ネオペンチルグリコールのプロピレンオキ
シド付加物のジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネ
オペンチルグリコールのエチレンオキシド付加物のジア
クリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキ
シド付加物のトリアクリレート、ペンタエリスリトール
の高級脂肪酸エステル化物のトリアクリレート、1,3
−ジオキサンペンタノールのペンタアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールのε−カプロラクトン付加物のヘキ
サアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグ
リコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレー
ト、トリシクロデカンジメチロールのε−カプロラクト
ン付加物のジアクリレート。
【0024】光熱変換層上には耐熱層を設けてもよい。
耐熱層は通常樹脂を主成分とし、必要に応じて、有機も
しくは無機フィラー等を添加してもよい。耐熱層は前述
の光熱変換層の樹脂のうち、ガラス転移温度(Tg)が
90℃以上のものを用いることができる。Tgは150
℃以上がさらに好ましい。また、光熱変換層の樹脂と同
様に前述の架橋剤、光重合開始剤を用いて熱、紫外線、
電子線等により樹脂を架橋してもよい。
【0025】耐熱層の材料としては、上記以外に、プレ
ポリマー及び架橋剤を用いて架橋し、形成する方法があ
る。プレポリマーとしてはポリウレタンアクリレート、
ポリエポキシアクリレート、ポリオール等が挙げられ、
架橋剤としては前述のアクリレートモノマーが用いられ
る。これらは、電子線や紫外線により架橋される。紫外
線を用いる場合には前述の光重合開始剤や増感剤を用い
てもよい。また塗液の粘度を調整するために、反応性希
釈剤として単官能アクリレートモノマーを添加してもよ
い。
【0026】耐熱層の厚みは0.01μm〜5μmが好
ましく0.01〜2μmがさらに好ましい。光熱変換層
2bの厚さは100Å〜3μm程度が好ましく、500
Å〜2μmが更に好ましい。
【0027】光熱変換シート2の支持体2aにはガラ
ス、プラスチックシート等が用いられ、プラスチックシ
ートとしてはPET、ポリサルフォン、ポリイミド、ポ
リカーボネート等が用いられる。その厚さは2μm〜1
mm程度が好ましく、4μm〜500μmが更に好まし
い。なお、必要に応じて、支持体2aと光熱変換層2b
との間に接着性を向上させるための樹脂を主体とした接
着層を設けてもよい。
【0028】光熱変換シートと熱可逆性記録媒体は、ス
ペーサーを用いて接触しないように配置されることが望
ましい。その間隔は、好ましくは0.1μm以上20μ
m以下であり、更に好ましくは0.1μm以上10μm
以下であり、特に好ましくは0.2μm以上7μm以下
である。
【0029】接触させないための具体的方法としては両
者の間にスペーサー粒子を配置することと液体を配置す
ることが挙げられる。スペーサー粒子の大きさは前述の
両者間の間隔に応じて選択すればよく球状、板状、針
状、不定形のいずれでも良いが、大きさが均一であるこ
とが好ましい。材質は無機材料、有機材料のいずれでも
良く、無機材料としては各種金属、酸化アルミニウム、
酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属化合物、有機材
料としてはポリスチレン、フッ素樹脂、シリコーン樹
脂、シリコーンゴム等が挙げられる。一方、両者の間に
配置する液体としては、シリコーンオイル、フルオロカ
ーボンオイル、脂肪酸類、フェノール類、アルコール
類、ケトン類、エステル類などが挙げられる。
【0030】熱可逆性記録媒体1の画像が記録される部
位は加熱されていることが望ましい。常温より高い一定
の温度に加熱されることにより、環境温度の変動による
感度の変化がなく、常に一定の鮮明な画像が得られ、さ
らに均一に画像を消去することができ、また、感度の向
上にもつながる。例えば加熱手段は熱可逆性記録媒体1
若しくは光熱変換シート2が接触している部分をヒータ
等で加熱する方法が用いられ、例えば、図2に示したも
のではドラム31の中にヒータを組み込むことにより、
ドラム31及び熱可逆性記録媒体1を加熱する。もっと
も、必ずしもレーザー照射時に加熱されている必要はな
く、レーザー照射の直前に加熱し照射時に所定の温度以
上となっていれば良い。
【0031】第1と第2の二つの特定(変化)温度を有
する熱可逆性記録媒体を用いる場合には、加熱温度を第
1の特定温度とすれば画像の消去を同時に行なうことが
でき、さらに第2の特定温度にレーザー光による部分的
に加熱すれば画像を形成することができ、感度もさらに
高感度とすることが可能である。
【0032】熱可逆性感熱記録媒体として、樹脂中に有
機低分子物質が粒子状に分散され、透明状態と白濁状態
が加熱温度の違いにより、可逆的に変化する媒体を用い
た場合には、レーザー光照射時に該有機低分子物質の最
低結晶化温度より高温に加熱されていることが望まし
い。温度が最低結晶化温度以下では充分な白濁度が得ら
れにくい。これは、レーザー光照射による加熱では、加
熱後急冷となるため有機低分子物質の結晶化より、樹脂
のガラス転移が遅くなり、充分な白濁度が得にくくなる
ものと考えられる。
【0033】最低結晶化温度は可逆感熱層を剥離もしく
は削りとり、DSCで有機低分子物質が溶融しおわる温
度まで加熱後冷却することにより測定することができ
る。最低結晶化温度はDSCカーブの発熱が完了する温
度すなわち、結晶化が完了する温度をいう。DSC測定
時の冷却速度は2℃/min以下とする必要がある。
【0034】また、図2のドラム31の加熱以外に、図
2に示した以外の加熱装置で別途記録画像を消去及び加
熱することも可能である。この消去加熱手段(装置)と
しては、ホットスタンプ、ヒートローラ、サーマルヘッ
ド等が挙げられる。
【0035】更に、図2に示したような装置を用いレー
ザー光の照射条件を制御することにより、画像の形成と
消去の両方を行なうことが可能である。すなわち、光照
射時間、照射光度、焦点、光強度分布のうち少なくとも
一つを制御することにより、前述の熱可逆性記録媒体の
第1の特定温度と第2の特定温度に加熱温度を制御した
り、加熱後の冷却速度を変化させることにより画像の形
成及び消去を全面若しくは部分的に行なうことが可能と
なる。
【0036】光照射装置の光源としては、光を照射し光
熱変換層に吸収され発熱するものならばなんでも良い
が、集光しやすさからレーザー光が好適に用いられ、さ
らに装置の小ささから半導体レーザーが好適に用いられ
る。
【0037】本発明における熱可逆記録媒体の「(温度
に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する)感熱
層」とは、温度変化によって目に見える変化を可逆的に
起こす材料である。目に見える変化は色の状態の変化と
形状の変化に分けられるが、本発明は重に色の状態の変
化を起こす材料を使用する。色の状態の変化には、透過
率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化があり、実際
の熱可逆記録材料はこれらの変化の組合せで表示を行な
っている。より具体的には、熱により透明度や色調が可
逆的に変化するものならばなんでも良いが、例えば常温
より高い第一の特定温度で第一の色の状態となり、第一
の特定温度よりも高い第二の特定温度で加熱し、その後
冷却することにより第二の色の状態となるもの、等が挙
げられる。特に第一の特定温度と第二の特定温度で色の
状態が変化するものが好適に用いられる。これらの例と
しては、第一の特定温度で透明状態となり、第二の特定
温度で白濁状態となるもの(特開昭55−154198
号公報)、第二の特定温度で発色し、第一の特性温度で
消色するもの(特開平4−224996号、特開平4−
247985号、特開平4−267190号などの公
報)、第一の特定温度で白濁状態となり、第二の特定温
度で透明状態となるもの(特開平3−169590号公
報)、第一の特定温度で黒、赤、青等に発色し、第二の
特定温度で消色するもの(特開平2−188293号、
特開平2−188294号公報)等が挙げられる。この
中でも特に下記の二つの材料が代表として挙げられる。 透明状態と白濁状態が可逆的に変化する材料、 染料等の色が化学的に変化する材料。
【0038】としては、従来の技術でも及びこれまで
にも繰返し述べてきたように、ポリエステル等の樹脂母
材中に高級アルコール、高級脂肪酸等の有機低分子物質
を分散した可逆感熱層が代表例として挙げられる。ま
た、としては、ロイコ系感熱記録材料の可逆性を増強
したものが代表例として挙げられる。
【0039】前記の透明度に変化を生じせしめるタイ
プの可逆感熱層は、樹脂母材及びこの樹脂母材中に分散
された有機低分子物質を主成分としたものである。ここ
での可逆性感熱記録材料は、後述するように、透明にな
る温度の範囲がある。本発明における熱可逆記録媒体
は、前記のごとき透明度変化(透明状態、白濁不透明状
態)を利用しており、この透明状態と白濁不透明状態と
の違いは次のように推測される。すなわち、(I)透明の
場合には樹脂母材中に分散された有機低分子物質の粒子
は有機低分子物質と樹脂母材とは隙間なく密着してお
り、また粒子内部にも空隙はなく、片側から入射した光
は散乱されること無く反対側に透過するため透明に見え
ること、また、(II)白濁の場合には有機低分子物質の粒
子は有機低分子物質の微細な結晶で構成されており、結
晶の界面若しくは粒子と樹脂母材の界面に隙間ができ片
側から入射した光は空隙と結晶、空隙と樹脂の界面で屈
折し、散乱されるため白く見えること、等に由来してい
る。
【0040】図3(熱による透明度の変化を表わしてい
る)において、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散された
有機低分子物質とを主成分とする可逆感熱層は、例えば
0以下の常温では白濁不透明状態にある。これを加熱
していくと温度T1から徐々に透明になり、始め温度T2
〜T3に加熱すると透明となり、この状態で再びT0以下
の常温に戻しても透明のままである。これは温度T1
近から樹脂が軟化し始め、軟化が進むにつれ、樹脂が収
縮し樹脂と有機低分子物質粒子との界面若しくは粒子内
の空隙を減少させるため、徐々に透明度が上がり、温度
2〜T3では有機低分子物質が半溶融状態となり、残っ
た空隙を溶融した有機低分子物質が埋めることにより透
明となり、種結晶が残ったまま冷却される比較的高温で
結晶化し、その際樹脂がまだ軟化状態のため、結晶化に
ともなう粒子の体積変化に樹脂が追随し、空隙が出来ず
透明状態が維持されるためと考えられる。更にT4以上
の温度に加熱すると、最大透明度と最大不透明度との中
間の半透明状態になる。次に、この温度を下げて行く
と、再び透明状態をとることなく最初の白濁不透明状態
に戻る。これは温度T4以上で有機低分子物質が完全に
溶融した後、過冷却状態となりT0より少し高い温度で
結晶化し、その際、樹脂が結晶化にともなう体積変化に
追随できず、空隙が発生するためであると思われる。た
だし、図3に示した温度−透明度変化曲線は代表的な例
を示しただけであり、材料をかえることにより各状態の
透明度等にその材料に応じて変化が生じることがある。
【0041】従って、熱を選択的に与えることにより可
逆感熱層を選択的に加熱し、透明地に白濁画像、白濁地
に透明画像を形成することができ、その変化は何回も繰
り返しすることが可能である。そして、このような可逆
感熱層の背面に着色シートを配置すれば、白地に着色シ
ートの色の画像または着色シートの色の地に白色の画像
を形成することができる。また、OHP(オーバーヘッ
ドプロジェクター)などで投影すれば、白濁部は暗部に
なり、透明部は光が透過しスクリーン上では明部とな
る。更に、この可逆性感熱記録材料の画像を反射画像と
して用いる場合には、可逆感熱層の背面に光を反射する
層を設けると可逆感熱層の厚みを薄くしてもコントラス
トを上げることができる。具体的にはAl、Ni、Sn
等を蒸着することが挙げられる。
【0042】本発明におけるこのタイプに係る可逆性感
熱記録材料を作るには一般に(1)樹脂母材及び有機低
分子物質の2成分を溶解した溶液、又は(2)樹脂母材
の溶液(溶剤としては有機低分子物質のうちの少なくと
も1種を溶解しないものを用いる)に有機低分子物質を
微粒子状に分散した分散液を例えば支持体上に塗布乾燥
して可逆感熱層を形成せしめればよい。
【0043】可逆感熱層又は記録媒体作成用溶剤として
は、樹脂母材及び有機低分子物質の種類によって種々選
択できるが、例えばテトラヒドロフラン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩
化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられ
る。なお、分散液を使用した場合はもちろんであるが、
溶液を使用した場合も得られる可逆感熱層中では有機低
分子物質は微粒子として析出し、分散状態で存在する。
【0044】可逆感熱層に使用される樹脂母材は有機低
分子物質を均一に分散保持した層を形成すると共に、最
大透明時の透明度に影響を与える材料である。このため
樹脂母材は透明性が良く、機械的に安定で、且つ成膜性
の良い樹脂が好ましい。このような樹脂としては、ポリ
塩化ビニル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−
アクリレート共重合体等の塩化ビニル系共重合体;ポリ
塩化ビニリデン;塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合
体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の塩
化ビニリデン系共重合体;ポリエステル;ポリアミド;
ポリアクリレート又はポリメタクリレート或いはアクリ
レート−メタクリレート共重合体;シリコン樹脂等が挙
げられる。これらは単独で或いは2種以上混合して使用
される。
【0045】一方、有機低分子物質としては可逆感熱層
中で熱により多結晶から単結晶に変化するものであれば
よく、一般に融点30〜200℃好ましくは50〜15
0℃程度のものが使用される。このような有機低分子物
質としてはアルカノール;アルカンジオール;ハロゲン
アルカノールまたはハロゲンアルカンジオール;アルキ
ルアミン;アルカン;アルケン;アルキン;ハロゲンア
ルカン;ハロゲンアルケン;ハロゲンアルキン;シクロ
アルカン;シクロアルケン;シクロアルキン;飽和また
は不飽和モノまたはジカルボン酸又はこれらのエステ
ル、アミド又はアンモニウム塩;飽和または不飽和ハロ
ゲン脂肪酸またはこれらのエステル、アミド又はアンモ
ニウム塩;アリールカルボン酸またはそれらのエステ
ル、アミド又はアンモニウム塩;ハロゲンアリルカルボ
ン酸またはそれらのエステル、アミド又はアンモニウム
塩;チオアルコール;チオカルボン酸又はそれらのエス
テル、アミンまたはアンモニウム塩;チオアルコールの
カルボン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で又
は2種以上混合して使用される。これらの化合物の炭素
数は10〜60、好ましくは10〜38、特に10〜3
0が好ましい。エステル中のアルコール基部分は飽和し
ていても飽和していなくてもよく、またハロゲン置換さ
れていてもよい。いずれにしても有機低分子物質は分子
中に酸素、窒素、硫黄及びハロゲンの少くとも1種、例
えば−OH、−COOH、−CONH−、−COOR、
−NH−、−NH2、−S−、−S−S−、−O−、ハ
ロゲン等を含む化合物であることが好ましい。
【0046】更に具体的には、これら化合物としてはラ
ウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカ
ン酸、アラギン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ステア
リン酸メチル、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン
酸オクタデシル、ラウリン酸オクタデシル、パルミチン
酸テトラデシル、ベヘン酸ドデシル等の高級脂肪酸のエ
ステルなどがある。中でも本発明では高級脂肪酸、特に
パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン
酸等の炭素数16以上の高級脂肪酸が好ましく、炭素数
16〜24の高級脂肪酸の使用が更に好ましい。
【0047】透明化できる温度の巾を広げるには、この
明細書において記載した有機低分子物質を適宜組合せる
か、または、そうした有機低分子物質と融点の異なる他
の材料とを組合せればよい。これらは例えば特開昭63
−39378号、特開昭63−130380号などの公
報や、特願昭63−14754号、特願平1−1401
09号などの明細書に開示されているが、これらに限定
されるものではない。なお、可逆感熱層中の有機低分子
物質と樹脂母材との割合は、重量比で2:1〜1:16
程度が好ましく、1:2〜1:8が更に好ましい。樹脂
母材の比率がこれ以下になると、有機低分子物質を樹脂
母材中に保持した膜を形成することが困難となり、また
これ以上になると、有機低分子物質の量が少ないため、
不透明化が困難になる。
【0048】可逆感熱層には以上の成分の他に、透明画
像の形成を容易にするために、界面活性剤、高沸点溶剤
等の添加物を添加することができる。これらの添加物の
具体例は次の通りである。 高沸点溶剤の例;リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−
エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレ
ジル、オレイン酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸
ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フ
タル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキ
シル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジオクチルデシ
ル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、ア
ジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2
−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ
−2−エチルヘキシル、ジエチレングリコールジベンゾ
エート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラ
ート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノー
ル酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセ
チルクエン酸トリブチル。
【0049】界面活性剤、その他の添加物の例;多価ア
ルコール高級脂肪酸エステル;多価アルコール高級アル
キルエーテル;多価アルコール高級脂肪酸エステル、高
級アルコール、高級アルキルフェノール、高級脂肪酸高
級アルキルアミン、高級脂肪酸アミド、油脂又はポリプ
ロピレングリコールの低級オレフィンオキサイド付加
物;アセチレングリコール;高級アルキルベンゼンスル
ホン酸のNa、Ca、Ba又はMg塩;高級脂肪酸、芳
香族カルボン酸、高級脂肪酸スルホン酸、芳香族スルホ
ン酸、硫酸モノエステル又はリン酸モノ−又はジ−エス
テルのCa、Ba又はMg塩;低度硫酸化油;ポリ長鎖
アルキルアクリレート;アクリル系オルゴマー;ポリ長
鎖アルキルメタクリレート;長鎖アルキルメタクリレー
ト−アミン含有モノマー共重合体;スチレン−無水マレ
イン酸共重合体;オレフィン−無水マレイン酸共重合
体。
【0050】続いて、前記の可逆感熱層が電子供与性
呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利
用した可逆的熱発色性組成物により形成されるものにつ
いて述べることにする。電子供与性呈色性化合物と電子
受容性化合物との間の発色反応を利用した熱発色性組成
物は、該電子供与性呈色性化合物と該電子受容性化合物
を加熱溶融混合させたときに非晶質の発色体を生成し、
一方、該非晶質の発色体を該溶融温度より低い温度で加
熱したときに該電子受容性化合物が結晶化を起して該発
色体が消色することの現象を利用したものである。
【0051】熱発色性組成物は、加熱により瞬時に発色
し、その発色状態は常温においても安定的に存在し、一
方、発色状態にある組成物は、これを発色温度以下の加
熱により瞬時に消色し、その消去状態は常温においても
安定的に存在するものである。
【0052】この組成物を感熱記録媒体として用いた場
合の発色と消色、即ち画像形成と画像消去の原理を図4
に示したグラフによって説明する。グラフの縦軸は発色
濃度を表わし、横軸は温度を表わしており、実線は加熱
による画像形成過程を、破線は加熱による画像消去過程
を示したものである。Aは完全消去状態における濃度で
あり、BはT6以上の温度に加熱した時の完全発色状態
における濃度であり、Cは完全発色状態のT5以下の温
度における濃度であり、DはT5〜T6間の温度で加熱消
去した時の濃度を示している。
【0053】本発明に係るこの組成物は、T5以下の温
度においては無色の状態(A)にある。記録(画像形
成)を行なうにはサーマルヘッド等によりT6以上の温
度に加熱することにより発色(B)して記録画像を形成
する。この記録画像は実線に従ってT5以下の温度に戻
しても、そのままの状態(C)を保持しており記録のメ
モリー性は失われない。
【0054】次に記録画像の消去を行なうには、形成さ
れた記録画像を発色温度よりも低いT5〜T6間の温度に
加熱することによって無色の状態(D)になる。この状
態はT5以下の温度に戻しても、そのままの無色の状態
(A)を保持している。即ち、記録画像の形成過程は実
線ABCの経路によりCに至り記録が保持される。次に
記録画像の消去過程は破線CDAの経路によりAに至り
消去状態が保持される。この記録画像の形成と消去の挙
動特性は可逆性を有し何回も繰り返し行なうことができ
る。
【0055】可逆的熱発色性組成物は発色剤及び顕色剤
を必須成分としている。そして、発色剤と顕色剤の加熱
溶融により発色状態を形成し、一方、発色温度よりも低
い温度の加熱により発色状態は消去され、発色状態及び
消色状態が常温で安定的に存在するものである。組成物
におけるこのような発色と消色の機構は、先に触れたよ
うに、発色剤と顕色剤を発色温度で加熱溶融混合した時
に、組成物が非晶質化を起こして発色状態を形成し、一
方、発色温度よりも低い温度で加熱した時に、発色した
組成物の顕色剤が結晶化を起こして発色の消去状態を形
成する特性に基づくものである。ただし、この場合にお
いても感熱層はT6以上の温度に加熱してから消色する
過程がとられることによって、発色剤及び顕色剤の粒子
が元に戻り、新たな発色状態を形成するのに有利であ
る。
【0056】通常の発色剤と顕色剤、例えば、従来の感
熱記録紙に広く用いられている色素前駆体であるラクト
ン環を有するロイコ系化合物と顕色作用を示すフェノー
ル性化合物からなる組成物は、これを加熱によって溶融
混合させると、ロイコ化合物のラクトン環の開環に基づ
く発色状態となる。この発色状態は両者が相溶した非晶
質状態を呈している。この発色した非晶質状態は常温で
安定的に存在するが、再び加熱を行っても結晶化は起こ
らず、フェノール性化合物のロイコ化合物からの分離が
ないためにラクトン環の閉環がなく消色はしない。
【0057】これに対して、本発明に係る発色剤と顕色
剤の組成物も加熱によって溶融混合させた時に、発色状
態となり、従来の場合と同様に非晶質状態を呈し、常温
で安定的に存在する。しかし、本発明の場合は、この発
色した非晶質状態の組成物は、発色温度以下、即ち溶融
状態に至らない温度で加熱すると、顕色剤の結晶化が起
こり、発色剤との相溶状態による結合が保持できなくな
り、顕色剤が発色剤から分離する。そして、この顕色剤
の結晶化による発色剤からの分離により、顕色剤は発色
剤から電子を受容することができず、発色剤は消色する
ものと考えられる。
【0058】熱発色性組成物に見られる前記の特異な発
消色挙動は、発色剤と顕色剤との加熱溶融による相互溶
解性、発色状態での両者の作用の強さ、顕色剤の発色剤
に対する溶解能、顕色剤の結晶性等が関係しているが、
原理的には、加熱溶融による非晶質化を起こし、一方、
発色温度よりも低い温度の加熱により結晶化を起こす発
色剤/顕色剤系であれば、本発明における組成物成分と
して利用し得るものである。さらに、この様な特性を有
するものは、熱分析において溶融による吸熱変化及び結
晶化による発熱変化を示すことから、本発明に適用し得
る発色剤/顕色剤系は、熱分解析により容易に確認する
ことができる。また、本発明に係る可逆的熱発色性組成
物系には、第三物質が存在してもかまわず、例えば、高
分子物質が存在してもその可逆的な消発色挙動が保持さ
れることが確認された。本発明の熱発色性組成物におい
て、その消色は顕色剤の結晶化による発色剤からの分離
に起因することから、消色効果のすぐれたものを得るに
は、顕色剤の選択は重要である。
【0059】次に、本発明で好ましく用いられる顕色剤
を例示すると以下の通りであるが、前記のように、本発
明に適用できる顕色剤は熱分析により容易に知見し得る
ので、それらのものに限定されるものでない。 (1)下記一般式(1)で示される有機リン酸化合物 R1−PO(OH)2 (1) (但し、R1は炭素数8〜30の直鎖状又は分枝状アル
キル基又はアルケニル基を表わす) この有機リン酸化合物の具体例としては、例えば、以下
のものが挙げられる。オクチルホスホン酸、ノニルホス
ホン酸、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、テト
ラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタ
デシルホスホン酸、エイコシルホスホン酸、ドコシルホ
スホン酸、テトラコシルホスホン酸。
【0060】(2)下記一般式(2)で示されるα−位
炭素に水酸基を有する有機酸 R2−CH(OH)COOH (2) (但し、R2は炭素数6〜28の直鎖状又は分枝状アル
キル基又はアルケニル基を表わす) このα−位炭素に水酸基を有する有機酸の具体例として
は、例えば、以下のものが挙げられる。α−ヒドロキシ
オクタノイック酸、α−ヒドロキシドデカノイック酸、
α−ヒドロキシテトラデカノイック酸、α−ヒドロキシ
ヘキサデカノイック酸、α−ヒドロキシオクタデカノイ
ック酸、α−ヒドロキシペンタデカノイック酸、α−ヒ
ドロキシエイコサノイック酸、α−ヒドロキシドコサノ
イック酸等。
【0061】ここで用いられる発色剤は、電子受容性を
示す化合物であり、それ自体無色あるいは淡色の染料前
駆体であり、特に限定されず、従来公知のもの例えば、
トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化
合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミン系化
合物、ローダミンラクタム系化合物、スピロピラン系化
合物、インドリノフタリド系化合物等がある。
【0062】顕色剤は単独もしくは二種以上混合して適
用される。また、発色剤についても同様に単独もしくは
二種以上混合して適用することができる。熱発色性組成
物は、支持体上に可逆感熱層として形成させて可逆的感
熱記録媒体として用いることができる。この場合、可逆
感熱層は、従来公知の方法に従い、発色剤及び顕色剤を
バインダーと共に水、又は有機溶剤により均一に分散も
しくは溶解して、これを基体上に塗布することによって
得られる。
【0063】バインダーとしては慣用の種々のバインダ
ーを適宜用いることができ、例えばポリビニールアルコ
ール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、メトキシセルロース、カルボキシメチル
セルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、ゼラ
チン、カゼイン、澱粉、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビ
ニールピロリドン、ポリアクリルアミド、マレイン酸共
重合体、アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化
ビニール、ポリ酢酸ビニール、ポリアクリル酸エステル
類、ポリメタクリル酸エステル類、塩化ビニール−酢酸
ビニール共重合体、スチレン共重合体、ポリエステル、
ポリウレタン等がある。
【0064】本発明では必要に応じて塗布特性或いは記
録特性の向上を目的に、通常の感熱記録紙に用いられて
いる種々の添加剤、例えば分散剤、界面活性剤、填料、
発色画像安定剤、酸化防止剤、光安定化剤、滑剤等を加
えることも出来る。
【0065】可逆感熱層の樹脂は、光熱変換層の樹脂と
同様に必要に応じて官能基を付与し、熱、紫外線、電子
線等により架橋してもよい。架橋剤、光重合開始剤等も
同様のものが使用可能である。可逆感熱層上には耐熱層
を設けてもよい。この耐熱層は光熱変換層上の耐熱層と
同様のものが使用できる。
【0066】
【実施例】次に、実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。ここでの部はすべて重量基準である。
【0067】約100μm厚の透明なポリエステルフィ
ルム(東レ社製:ルミラーT−60)上に カーボンブラック 20部 ポリエステル(東洋紡社製:バイロン200) 20部 メチルエチルケトン 80部 トルエン 80部 よりなる液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥して約
1.0μm厚の光熱発熱層を形成し、光熱変換シート
(A)を作成した。
【0068】また、 カーボンブラック 20部 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 20部 (UCC社製:VAGH) イソシアナート(日本ポリウレタン社製、コロネートL) 2部 トリエチレンジアミン(東京化成社製、試薬) 0.2部 メチルエチルケトン 80部 トルエン 80部 よりなる液を用い、約1.0μm厚の光熱発熱層を形成
し、次に、50℃環境下に24時間放置し、光熱変換層
を硬化させ、光熱変換シート(B)を作成した。
【0069】前記の光熱変換シート(A)の光熱変換層
の上に ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の75%酢酸ブチル溶液10部 (大日本インキ化学社製:ユニディックC7−157) イソプロピルアルコール 10部 よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後80
w/cmの紫外線ランプで紫外線を照射し、硬化させ約
1.5μm厚の耐熱層を形成し、光熱変換シート(C)
を作成した。
【0070】次に、約125μm厚の透明なポリエステ
ル(東レ社製:ルミラーT−60)上に ベヘン酸(日本油脂社製:NAA−22S) 5部 エイコサン2酸(岡村製油社製:SL−20−99) 5部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 40部 (鐘淵化学工業社製:カネカM2018) THF 200部 トルエン 20部 よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、130℃で3分
間加熱乾燥して約10μm厚の可逆感熱層を設けた後、
90℃で1分間加熱し、可逆感熱層を透明化した熱可逆
性記録媒体(D)を作成した。
【0071】前記の熱可逆性記録媒体(D)の溶液にD
PCA−30(日本化薬社製DPCA−30)を6部添
加した以外は同様にして可逆感熱層を設けた後、電子線
照射装置(日新ハイボルテージ社製EBC−200−A
A2)を用い、照射線量が20Mradになるように電
子線を照射し可逆感熱層を架橋した後、90℃で1分間
加熱し、可逆感熱層を透明化した熱可逆性記録媒体
(E)を作成した。
【0072】さらに、前記の熱可逆性記録媒体(D)の
感熱層上に、 ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の75%酢酸ブチル溶液10部 (大日本インキ化学社製:ユニディックC7−157) イソプロピルアルコール 10部 よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後80
w/cmの紫外線ランプで紫外線を照射し、硬化させ約
3.0μm厚の保護層を設け、90℃に加熱して感熱層
を透明にした熱可逆性記録媒体(F)を作成した。
【0073】比較例1〜9 以上のようにして作成した光熱変換シートと熱可逆性記
録媒体とを感熱層側と光熱変換層側とが接触するように
重ね合わせ、熱傾斜試験機(東洋精機社製TYPE H
G−100)を用い1g/cm2の圧力で60秒間加熱
した。さらに、感熱層側と光熱変換層側が接触するよう
に、熱可逆記録媒体と光熱変換シートを重ね合わせ、図
2に示したレーザー記録装置で画像記録を行なった。す
なわち、この記録装置を用い20.7mm/secの速
度でレーザー光を走査し、レーザー出力と12mWと2
0mWとに変化させ記録した。その後光熱変換シートと
熱可逆記録媒体とを分離した。その状況をまとめて表1
に示す。また剥離、転写のないものは鮮明な白濁画像が
形成できた。
【0074】
【表1】
【0075】実施例1 光熱変換シート(A)と熱可逆性記録媒体(D)との間
にスペーサー粒子(積水ファインケミカル社製ミクロパ
ール SP−206、粒子径約6μm)を配置し、比較
例1と同様な試験を行ったところ、熱傾斜試験、レーザ
記録とも剥離・転写なしで、鮮明な画像が形成できた。
【0076】実施例2 比較例1 で用いた熱可逆性記録媒体(A)と光熱変換シ
ート(D)とを用い、これらの接触部にシリコーンオイ
ル(信越シリコーン社製 KF54)を付着させ、比較
例3と同様にして画像記録を行なったところ剥離・転写
はなく、12mW、20.7mm/secで白濁画像が
形成でき、その線巾は比較例3より均一なものであっ
た。
【0077】実施例3 比較例9で用いた光熱変換シート(C)と熱可逆性記録
媒体(F)とを用い、ドラムを45℃に加熱して画像・
記録を行なったところ8mW、20.7mm/secで
も約16μm巾の今までより鮮明な白濁画像が形成され
た。ちなみに、熱可逆性記録媒体(F)の有機低分子物
質の最低結晶化温度はDSC(マックサイエンス社製D
SC3100:昇温、降温速度2℃/min)を用いて
測定したところ約42℃であった。
【0078】実施例4 ドラムを90℃に加熱する以外は実施例3と同様にして
画像記録を行なったところ、4mW、20.7mm/s
ecで約15μm巾の白濁画像の形成が可能であった。
この熱可逆性記録媒体をもう一度同じ装置条件で別の位
置に画像を形成したところ、前の画像は消去(透明化)
され、別の位置に白濁画像が形成された。
【0079】比較例10 比較例9で用いた光熱変換シート(C)と熱可逆性記録
媒体(F)とを用い、レーザー出力を12mWとし、2
0.7mm/secの速度でレーザー光を走査したとこ
ろ、約15μm巾の白濁画像の形成が可能であった。そ
の白濁画像の上から、レーザー出力12mW、速度1
5.8mm/secでレーザー光を走査したところ透明
化することができた。
【0080】比較例11 比較例1で作成した光熱変換シート上に比較例1と同じ
感熱層を形成した。その媒体を用い、比較例1と同じ装
置で画像記録を行なったところ、8mW、24mm/s
ecで約12μm巾の白濁画像が形成でき、高感度であ
ったが、その白濁部は灰色がかり、目視でやっと認識で
きる程度のコントラストの低いものであった。
【0081】
【発明の効果】本発明の画像記録方法は、熱可逆性記録
媒体と光熱変換シートとを別体として非接触状態で記録
するため、高コントラスト、高精度で鮮明な画像が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像記録方法を行なっている様子を表
わした図。
【図2】レーザー記録装置の一例の概略を表した図。
【図3】本発明で用いられる可逆性感熱記録媒体におけ
る可逆感熱層の特性を説明するための図。
【図4】本発明で用いられる他の可逆性感熱記録媒体に
おける可逆感熱層の特性を説明するための図。
【符号の説明】
1 熱可逆性記録媒体(1a 支持体、1b 感熱層、
1b’ 記録部) 2 光熱変換シート(2a 支持体、2b 光熱変換
層、2b’ 発熱部) 3 レーザー光源 4 レーザー光 5 レンズ 31 ドラム 32 光学ヘッド 33 移動ステージ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小夫 真 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 平5−177955(JP,A) 特開 平4−212884(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/28 - 5/34 B41M 5/36 B41J 2/32

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱により透明度若しくは色調が可逆的に
    変化する熱可逆性記録媒体上に、光熱変換シートを配置
    した後、該光熱変換シートにレーザー光を照射して、発
    生する熱により該熱可逆性記録媒体上に画像を形成し及
    び/又は画像を消去する画像記録消去方法において、該
    熱可逆性記録媒体と該光熱変換シートとをスペーサーを
    用いて接触しないように配置し、その間隔が0.1μm
    以上20μm以下になるようにすることを特徴とする画
    像記録消去方法。
  2. 【請求項2】 該スペーサーとしてスペーサー粒子を
    いることを特徴とする請求項1記載の画像記録消去方
    法。
  3. 【請求項3】 該スペーサーとして液体を用いることを
    特徴とする請求項1記載の画像記録消去方法。
  4. 【請求項4】 熱により透明度若しくは色調が可逆的に
    変化する熱可逆性記録媒体上に、光熱変換シートを配置
    した後、該光熱変換シートにレーザー光を照射して、発
    生する熱により該熱可逆性記録媒体上に画像を形成し及
    び/又は画像を消去する画像記録消去方法において、
    熱可逆性記録媒体上に該光熱変換シートを配置した後若
    しくはその直前に、少なくとも該熱可逆性記録媒体を予
    備加熱し、続いて、該光熱変換シートにレーザー光を照
    射して該熱可逆性記録媒体上に画像を形成し及び/又は
    画像を消去することを特徴とする画像記録消去方法。
  5. 【請求項5】 該熱可逆性記録媒体として樹脂中に有機
    低分子物質が粒子状に分散され、透明状態と白濁状態と
    が熱により可逆的に変化するものを用い、該光熱変換シ
    ートにレーザー光を照射し画像を形成し及び/又は画像
    を消去する際、該熱可逆性記録媒体は該有機低分子物質
    の最低結晶化温度より高温に予備加熱されていることを
    特徴とする請求項4記載の画像記録消去方法。
  6. 【請求項6】 該熱可逆性記録媒体上の画像消去をレー
    ザー光照射に代わる他の加熱手段で行うことを特徴とす
    る請求項1記載の画像記録消去方法。
  7. 【請求項7】 光照射時間、照射光量、光の焦点及び光
    強度分布の少なくとも一つを制御することにより、画像
    の形成と消去の両方をレーザー光照射により行う請求項
    1記載の画像記録消去方法。
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