JPH1158988A - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents

可逆性感熱記録材料

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JPH1158988A
JPH1158988A JP9308078A JP30807897A JPH1158988A JP H1158988 A JPH1158988 A JP H1158988A JP 9308078 A JP9308078 A JP 9308078A JP 30807897 A JP30807897 A JP 30807897A JP H1158988 A JPH1158988 A JP H1158988A
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哲也 天野
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一己 鈴木
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篤 久田見
Yoshihiko Hotta
吉彦 堀田
Kunichika Morohoshi
邦親 諸星
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 初期の画像濃度及び画像消去濃度がよく、コ
ントラストに優れ、更に、画像形成状態或は画像消去状
態で長期間放置しても、サーマルヘッド、ホットスタン
プ等による画像消去後、或は画像形成後の反射濃度が悪
化することがなく、コントラストが低下することのな
い、視認性に優れた可逆性感熱記録材料を提供するこ
と。 【解決手段】 支持体上に温度に依存して透明度又は色
調が可逆的に変化する感熱層を設けた可逆性感熱記録材
料において、該可逆性感熱記録材料の人工汗液印字感度
変化率が50%以下であり、且つ人工汗液消去感度変化
率が80%以上であり、且つ該感熱層の極大平均粒子径
が2.5μm以下であることを特徴とする可逆性感熱記
録材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可逆性感熱記録材
料に関し、詳しくは感熱層の温度による可逆的な透明度
又は色調変化を利用して、情報の書込み及び消去を繰り
返し行なうことのできる可逆性感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一時的な画像形成(情報の書込
み)が行なえ、不要となった時にはその画像の消去(情
報の消去)ができるようにした可逆性感熱記録材料が注
目されている。その代表的なものとしては、ガラス転移
温度(Tg)が50〜60℃から80℃未満である低ガ
ラス転移温度の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のよう
な樹脂母材中に高級脂肪酸のような有機低分子物質を分
散した可逆性感熱記録材料が知られているが(特開昭5
4−119377号公報、特開昭55−154198号
公報等)、透光・透明性を示す温度範囲の幅が2〜4℃
と狭いという欠点があり、透光・透明性や遮光・白濁性
を利用して画像を形成する際の温度制御に難があった。
【0003】この点に配慮して、我々は特開昭63−3
9378号公報、特開平2−1363号公報、特開平3
−2089号公報、特開平5−294066号公報等に
おいて、感熱層中に用いる有機低分子物質種類を変更、
又は数種類組み合わせて用いることにより、透明になる
温度範囲を拡大させた可逆性感熱記録材料を提案してい
るが、これらの記録材料では、ヒートローラや熱板等の
比較的長い時間の加熱では白濁画像の消去(透明化)は
十分可能であったが、サーマルヘッド等の短時間加熱で
の画像の消去(透明化)は不十分であった。
【0004】そのため我々は特開平7−820491号
公報において可逆性感熱記録材料の透明化開始温度変化
率又は感熱層の透明度変化率或いは膜厚変化率を規定し
たものを用いることにより、サーマルヘッド等の高速消
去特性を向上させた可逆性感熱記録材料を提案してい
る。この可逆性感熱記録材料の使用によれば、前記の欠
点が相当緩和される。
【0005】また、これらの他に、特許第259726
8号公報において可逆性感熱記録媒体の感熱記録層に用
いる有機低分子物質として融点50〜100℃の長鎖ア
ルキル基含有化合物の少なくとも1種と、融点110℃
以上の飽和脂肪族ビスアミドの少なくとも1種を98:
2〜80:20の割合で用いることで、画像消去するた
めの透明化温度幅を拡大し、サーマルヘッド等による画
像消去性を向上させた可逆性感熱記録媒体が提案されて
いるが、この記録媒体に用いられている該有機低分子物
質として飽和脂肪族ビスアミドはTHF(テトラヒドロ
フラン)等の溶剤への溶解性が著しく悪いため、感熱記
録層塗膜を均一に成膜することができず、更に感熱記録
層の高分子マトリックス樹脂中に有機低分子物質粒子を
均一に分散することが著しく困難であるため、これによ
り感熱記録層を白濁状態(画像形成状態)にすることが
非常に困難であるため、コントラストが悪く実使用には
耐えがたいものであった。
【0006】ところで、この種の可逆性感熱記録材料
は、繰り返し使用でき耐久性が高いことから多様な環境
下で使用又は放置されるが、特にこの記録材料をポイン
トカード等のリライタブルカード用途として使用される
場合には、使用者によって該カードの保管方法はかなり
異なったものとなる。そこで多様な保管環境に置かれて
も初期品質を維持し続けることが、この種の記録材料に
は必要である。しかしながら、最近、この種の可逆性感
熱記録材料において、画像形成状態(白濁状態)、或は
画像消去状態(透明状態)で長期間放置(数か月)した
後に、サーマルヘッド、ホットスタンプ等で画像消去或
は画像形成を行なうと、放置前の画像消去濃度(透明反
射濃度)或は画像濃度(白濁反射濃度)に比べて、画像
消去濃度或は画像濃度が著しく悪化し、コントラストが
低下してしまい、視認性が悪化するという問題があるこ
とが判明した。この問題は新たな課題であり、その解決
策は従来提案されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような問題を解決することにあり、初期の画像濃度及
び画像消去濃度がよく、コントラストに優れ、更に、画
像形成状態或は画像消去状態で長期間放置しても、サー
マルヘッド、ホットスタンプ等による画像消去後、或は
画像形成後の反射濃度が悪化することがなく、コントラ
ストが低下することのない、視認性に優れた可逆性感熱
記録材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような本発明の目的
は、(1)「支持体上に温度に依存して透明度又は色調
が可逆的に変化する感熱層を設けた可逆性感熱記録材料
において、該可逆性感熱記録材料の人工汗液印字感度変
化率が50%以下であり、且つ人工汗液消去感度変化率
が80%以上であり、且つ該感熱層の極大平均粒子径が
2.5μm以下であることを特徴とする可逆性感熱記録
材料。」、(2)「前記感熱層が樹脂母材と該樹脂母材
中に分散された有機低分子物質とを主成分とし、該有機
低分子物質が、低融点有機低分子物質の少なくとも1種
と高融点有機低分子物質の少なくとも1種以上とを混合
したものであり、且つ該有機低分子物質が分子構造中に
フリーカルボキシル基を含有しないものであることを特
徴とする前記(1)記載の可逆性感熱記録材料。」、
(3)「前記低融点有機低分子物質と高融点有機低分子
物質の融点の差が20℃以上であることを特徴とする前
記(2)記載の可逆性感熱記録材料。」、(4)「前記
低融点有機低分子物質の融点が40℃以上100℃未満
の範囲であり、且つ前記高融点有機低分子物質の融点が
100℃以上200℃未満であることを特徴とする前記
(2)又は(3)記載の可逆性感熱記録材料。」、
(5)「前記感熱層の熱圧力段差量が40%以下であ
り、且つ熱圧力段差変化率が70%以下であることを特
徴とする前記(1)記載の可逆性感熱記録材料。」、
(6)「前記感熱層中に含まれる樹脂が電子線照射、紫
外線照射又は熱により架橋されたものであることを特徴
とする前記(5)記載の可逆性感熱記録材料。」、
(7)「前記可逆性感熱記録材料に前記感熱層以外に情
報記録部を設けたことを特徴とする前記(1)記載の可
逆性感熱記録材料。」、(8)「前記情報記録部が磁気
記録層であり、磁気記録層を支持体と感熱層の間の全面
又は一部分か、支持体裏面の全面又は一部分か、或いは
磁気ストライプを表示面の一部分かのいずれかに設けた
ことを特徴とする前記(7)記載の可逆性感熱記録材
料。」、(9)「前記情報記録部がIC又は光メモリで
あり、前記可逆性感熱記録材料の一部分に設けたことを
特徴とする前記(7)記載の可逆性感熱記録材料。」、
(10)「前記可逆性感熱記録材料が2種類以上の支持
体を貼り合わせた構成からなることを特徴とする前記
(1)、(7)、(8)、(9)のうち何れか1に記載
の可逆性感熱記録材料。」、(11)「前記可逆性感熱
記録材料の前記感熱層上に耐熱性樹脂を主成分とする保
護層を設けたことを特徴とする前記(1)記載の可逆性
感熱記録材料。」、(12)「前記保護層上の一部分か
支持体裏面の全面又は一部分のいずれか又は全てに、着
色剤及び樹脂バインダーを主成分とするカラー印刷層を
設けたことを特徴とする前記(11)記載の可逆性感熱
記録材料。」、(13)「前記保護層上又は前記カラー
印刷層上に耐熱性樹脂及び無機顔料を主成分とするヘッ
ドマッチング層を設けたことを特徴とする前記(11)
又は(12)記載の可逆性感熱記録材料。」により達成
される。
【0009】また、上記課題は、(14)「支持体上に
温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱
層を設けた、人工汗液印字感度変化率が50%以下であ
り、且つ人工汗液消去感度変化率が80%以上であり、
且つ該感熱層の極大平均粒子径が2.5μm以下である
可逆性感熱記録材料を、加熱により画像形成及び/又は
画像消去することを特徴とする画像形成・消去方
法。」、(15)「前記加熱をサーマルヘッドで行なう
ことを特徴とする前記(14)記載の画像形成・消去方
法。」、(16)「前記画像消去をサーマルヘッド、セ
ラミックヒータ、ホットスタンプ、ヒートローラ、ヒー
トブロックの少なくとも1種を用いて行なうことを特徴
とする前記(14)記載の画像形成・消去方法。」によ
り達成される。
【0010】本発明の可逆性感熱記録材料に用いられる
「温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感
熱層」とは、温度変化によって目に見える変化を可逆的
に起す材料である。目に見える変化は色の状態の変化と
形状の変化に分けられるが、本発明では主に色の状態の
変化を起たす材料を使用する。色の状態の変化には、光
学的な透過率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化が
あり、実際の可逆性感熱記録材料はこれらの変化の組合
せで情報の表示を行っている。より具体的には、熱によ
り透明度や色調が可逆的に変化するものならばどのよう
なものでもよいが、例えば常温より高い第1の特定温度
で第1の色の状態となり、第1の特定温度よりも高い第
2の特定温度で加熱し、その後冷却することにより第2
の色の状態となるもの、等が挙げられる。
【0011】特に第1の特定温度と第2の特定温度で色
の状態が変化するものが好適に用いられる。これらの例
としては、第1の特定温度で透明状態となり、第2の特
定温度で白濁状態となるもの(特開昭55−15419
8号公報)、第2の特定温度で発色し、第1の特定温度
で消色するもの(特開平4−224996号公報、特開
平4−247985号公報、特開平4−267190号
公報等)、第1の特定温度で白濁状態となり、第2の特
定温度で透明状態となるもの(特開平3−169590
号公報)、第1の特定温度で黒、赤、青等に発色し、第
2の特定温度で消色するもの(特開平2−188293
号公報、特開平2−188294号公報)等が挙げられ
る。これらの中でも特につぎの二つの材料が代表例とし
て挙げられる。 透明状態と白濁状態が可逆的に変化する材料 染料等の色が可逆的に変化する材料
【0012】としては、従来の技術の中で繰り返し示
されているような、ポリエステル等の樹脂母材中に高級
アルコール、高級脂肪酸等の有機低分子物質を分散した
感熱層が代表例として挙げられる。また、としては、
ロイコ系感熱記録材料の可逆性を増強したものが代表例
として挙げられる。
【0013】前記の透明度に変化を生じせしめるタイ
プの感熱層は、樹脂母材及びこの樹脂母材中に分散され
た有機低分子物質を主成分としたものである。ここでの
可逆性感熱記録材料は、後述するように、透明になる温
度の範囲がある。本発明の可逆性感熱記録材料は、前記
のごときの透明度変化(透明状態、白濁不透明状態)
を利用しており、そのメカニズムについては次のように
推測される。
【0014】すなわち、(I)透明の場合には樹脂母材
中に分散された有機低分子物質の粒子は有機低分子物質
と樹脂母材は隙間なく密着しており、また粒子内部にも
空隙はなく、片側から入射した光は散乱されることなく
反対側に透過するため透明に見えること、また、(I
I)白濁の場合には有機低分子物質の粒子は有機低分子
物質の微細な結晶で構成されており、結晶の界面若しく
は粒子と樹脂母材の界面に隙間ができ片側から入射した
光は空隙と結晶、空隙と樹脂の界面で屈折し、散乱され
るため白く見えること、等に由来している。
【0015】図1は本発明に係る感熱層の熱による透明
度の変化を表わす図である。図1において、樹脂母材と
この樹脂母材中に分散された有機低分子物質とを主成分
とする感熱層は、例えばT0以下の常温では白濁不透明
状態にある。これを加熱していくと温度T1から徐々に
透明になり、初め温度T2〜T3に加熱すると透明とな
り、この状態で再びT0以下の常温に戻しても透明のま
まである。これは温度T1付近から樹脂が軟化し始め、
軟化が進むにつれ、樹脂が収縮し樹脂と有機低分子物質
粒子との界面若しくは粒子内の空隙を減少させるため、
徐々に透明度が上がり、温度T2〜T3では有機低分子物
質が半溶融状態となり、残った空隙を溶融した有機低分
子物質が埋めることにより透明となり、種結晶が残った
まま冷却されると、比較的高温で結晶化し、その際樹脂
がまだ軟化状態のため、結晶化にともなう粒子の体積変
化に樹脂が追随し、空隙ができず透明状態が維持される
ためと考えられる。
【0016】さらにT4以上の温度に加熱すると、最大
透明度と最大不透明度との中間の半透明状態になる。次
に、この温度を下げていくと、再び透明状態をとること
なく最初の白濁不透明状態に戻る。これは温度T4以上
で有機低分子物質が完全に溶融した後、過冷却状態とな
りT0より少し高い温度で結晶化し、その際、樹脂が結
晶化にともなう体積変化に追随できず、空隙が発生する
ためであると思われる。ただし図1に示した温度−透明
度変化曲線は代表的な例を示しただけであり、材料を替
えることにより各状態の透明度等にその材料に応じて変
化が生じることになる。
【0017】このように感熱層の熱による透明度変化に
は、有機低分子物質の融点及び樹脂の軟化点が重要であ
り、前記した長期間放置後の画像形成或いは画像消去で
の反射濃度を悪化させることなく、コントラスト、視認
性を低下させることがない、すなわち、経時安定性を向
上させるためには、前記した有機低分子物質の融点及び
樹脂の軟化点の経時での変動を防止することが必要であ
ると考えられる。
【0018】我々は、可逆性感熱記録材料を、画像形成
状態(白濁状態)、或は画像消去状態(透明状態)で長
期間放置(数か月)した後に、サーマルヘッド、ホット
スタンプ等で画像消去或は画像形成を行なうと、放置前
の画像消去濃度(透明反射濃度)或は画像濃度(白濁反
射濃度)に比べて、画像消去濃度或は画像濃度が著しく
悪化し、コントラストが低下してしまい、視認性が悪化
する現象が何故生じるかについて検討した。
【0019】その結果、まず画像濃度の低下は、画像形
成をサーマルヘッド等の数msecオーダーの熱印加で
行なう場合、又はホットスタンプ等の数secオーダー
の熱印加を行なう場合の両方で見られることがわかり、
更に、サーマルヘッド、ホットスタンプの両方で印字エ
ネルギー(印字温度)と反射濃度の関係を確認したとこ
ろ、長期間放置前(以下初期)の白濁飽和状態を得るた
めの印字エネルギー値(以下白濁飽和エネルギー)或は
印字温度(以下白濁飽和温度)に比べて長期間放置後
(以下経時)では、白濁飽和エネルギー或は白濁飽和温
度が大きく高エネルギー、高温側へシフトしており、す
なわち画像形成のための熱感度が大きく低下しており、
時には全く白濁不可能になっていることが確認された。
【0020】我々は、前記現象のメカニズムを解明する
べく検討を行なった。その結果、前記現象は大気中の塩
基性物質(特にアンモニア)の濃度が高い場所に、長期
間保管した時に多く発生することがわかり、更にこのよ
うな場所に保管された記録材料の記録層塗膜の熱物性及
び記録層構成材料の化学構造について検討をしたとこ
ろ、まず熱物性ではDSC測定により、保管後で有機低
分子物質の融点(特に有機低分子物質二成分系(低融点
と高融点組み合わせ)の場合は高融点有機低分子物質)
が大きく高温側へシフトしていることがわかり、次に化
学構造についてはIR測定により、保管後で有機低分子
物質構造中のカルボキシル基ピークが消失し、新たに
O、Nイオン結合吸収帯ピークが見られることがわかっ
た。
【0021】すなわち、前記した有機低分子物質融点の
高温側へのシフトは、有機低分子物質構造中のカルボキ
シル基が塩基性物質のアンモニアと反応・結合し、カル
ボン酸アンモニウム塩となり、そのため融点が上昇した
と考えられる。これらのことから、前記した白濁飽和エ
ネルギー、温度が高エネルギー、高温側へシフトする、
すなわち画像形成するための熱感度が低下するメカニズ
ムは、経時により有機低分子物質融点が高温へ変動して
しまうためと考えられ、さらに具体的には、この融点の
上昇により、前記した透明状態から白濁状態へ転移させ
る時の有機低分子物質を完全溶融するための温度が高く
なり、すなわち初期において完全溶融できた温度では、
経時後には完全溶融できず、そのため初期の画像形成濃
度に対して、経時での画像形成濃度が悪化するものと考
えられる。
【0022】次に画像消去濃度の低下は、前記した画像
濃度の低下と同様に画像消去をサーマルヘッド、ホット
スタンプで行なう場合の両方で見られることがわかり、
特にホットスタンプにより白濁状態から透明状態へする
ことが可能な温度巾及び範囲を確認したところ、初期の
温度巾及び範囲に比べて経時後では温度範囲での下限値
が大きく高エネルギー側へシフトすると共に、上限値も
大きく高エネルギー側へシフトし、温度巾は初期とあま
り変わらないが、消去可能温度範囲が全体的に高エネル
ギー側へシフトするため、初期温度範囲と重なる範囲が
極端に狭くなり、場合によっては全く重なる範囲がない
こともあるのがわかった。
【0023】我々は、前記現象のメカニズムを解明すべ
く検討を行なった。その結果、前記現象は大気中の塩基
性物質(特にアンモニア)の濃度が高い場所に、長期間
保管した時に多く発生することがわかり、更にこのよう
な場所に保管された記録材料の記録層塗膜の熱物性及び
記録層構成材料の化学構造を測定したところ、まず熱物
性ではDSC測定により、保管後で有機低分子物質の融
点(特に有機低分子物質二成分系(低融点と高融点組み
合わせ)の場合は低融点有機低分子物質が大きく高温へ
シフトしていることがわかり、次に化学構造ではIR測
定により、保管後で有機低分子物質構造中のカルボキシ
ル基ピークが消失し、新たにO、Nイオン結合吸収帯ピ
ークが見られることがわかった。すなわち、前記した有
機低分子物質融点の高温へのシフトは、有機低分子物質
構造中のカルボキシル基が塩基性物質のアンモニアと反
応・結合し、カルボン酸アンモニウム塩となり、そのた
め融点が上昇したと考えられる。
【0024】これらのことから、前記した消去可能温度
範囲が大きく高エネルギー側へシフトする、すなわち画
像消去するための熱感度が低下するメカニズムは、経時
で有機低分子物質融点が高温へ変動してしまうためと考
えられ、さらに具体的には、有機低分子物質二成分系の
場合の低融点有機低分子物質の融点上昇により、前記し
た白濁状態から透明状態へ転移させる時の有機低分子物
質を半溶融状態にするための温度が高くなり、すなわち
初期で半溶融できた温度では経時後で半溶融できず、そ
のため初期の画像消去濃度に対して経時での画像消去濃
度が悪化するためと考えられる。
【0025】我々は上記問題を改善すべく検討を重ねて
行なった結果、上記のように (1)支持体上に温度に依存して透明度又は色調が可逆
的に変化する感熱層を設けた可逆性感熱記録材料におい
て、該可逆性感熱記録材料の人工汗液印字感度変化率が
50%以下であり、且つ人工汗液消去感度変化率が80
%以上であり、且つ該感熱層の極大平均粒子径が2.5
μm以下であることにより、本発明の目的が確実に達成
されることを見い出した。この場合の好ましい態様は以
下のとおりである。
【0026】本発明において可逆性感熱記録材料におけ
る人工汗液印字感度変化率(以下印字感度変化率)とは
以下のとおり定義されるものである。印字感度変化率と
は、画像消去状態(透明状態)の記録材料を塩基性物質
に長時間接触させた後に、画像形成(白濁状態)するた
めの印字熱感度が変化する度合を表わす数値であり、数
値が小さいほど熱感度の低下が少ないことを示してい
る。すなわち数値が小さいほど、初期と経時後での画像
形成濃度の変動が少なく、経時後でのコントラストが安
定していることを示している。このような目的達成のた
めの印字感度変化率は50%以下が良く、好ましくは3
0%以下であり、更に好ましくは20%以下である。
【0027】印字感度変化率は次の方法により測定され
る。印字感度変化率測定装置として、東洋精機製作所社
製の熱傾斜試験機HG−100を用い、印字感度変化率
測定条件としては、熱傾斜試験機の印字タイマーを2秒
に設定し、次に圧力ゲージが1kg/cm2になるよう
に印加圧力を設定する。この条件において、予め最大透
明状態にある可逆性感熱記録材料に50℃から5℃毎に
加熱温度を変化させて熱印加を行ない、室温まで冷却し
て、これをマクベス反射濃度計(RD−914)で反射
濃度測定を行なう。この際、白濁濃度が飽和状態になる
温度、つまり5℃低い温度での反射濃度との差が0.0
5以内で、且つ反射濃度が(最大透明反射濃度+最低白
濁反射濃度)÷2の値より低くなる最低温度、を決定
し、この温度での白濁濃度を初期白濁濃度(ODWI)
とする。
【0028】次に、この記録材料をアルカリ性人工汗液
(塩化ナトリウム10g、炭酸アンモニウム4g、及び
リン酸二ナトリウム(12水和物)2.5gを蒸留水に
溶かして1リットルにしたもの(pH約9.0))に1
00時間浸漬後、乾燥させてから、前記と同様に測定を
行ない、初期白濁濃度で決定した温度での反射濃度を測
定し、これを経時白濁濃度(ODWD)とする。また、
これらの測定の前に予め地肌濃度(ODB)を測定して
おく。地肌濃度は恒温槽を用いて任意の加熱温度にて最
大透明状態にして、次に可逆性感熱記録材料の反射濃度
測定を10か所について行ない、その平均値を用いる。
また、上記の反射濃度測定は、感熱層の背面に金属蒸着
層や着色層がある場合ではそのまま測定でき、金属蒸着
層や着色層がなく、支持体が透明である層構成では記録
材料を反射濃度1.90の黒色板の上に置いて測定す
る。これらの白濁濃度ODWI、ODWD及び地肌濃度
ODBにより印字感度変化率(%)は下記式により求め
られる。
【0029】
【数1】 また、前記試験方法とは別で、前記アルカリ性人工汗液
をアンモニアガスに変更して以下の試験にすることもで
きる。印字感度変化率測定装置、測定条件を前記と同様
にして初期白濁濃度(ODWI)を求め、次に記録材料
を900mlマヨネーズびんの中に入れ、更にアンモニ
ア水溶液(アンモニア濃度25%)0.1gをマヨネー
ズびん中に滴下(記録材料に直接滴下しない)してか
ら、すぐにマヨネーズびんにふたをして密封する。次に
このマヨネーズびんをあらかじめ40℃に設定されてい
る恒温槽の中に1時間入れた後にふたを開けて記録材料
を取り出してから前記と同様に測定を行ない、反射濃度
を測定し、これをNH3ガス接触後経時白濁濃度(OD
WD)とする。これらのODWI、ODWD及び地肌濃
度ODBを用いて、前記式により計算すれば、前記と同
様に印字感度変化率を求めることができる。
【0030】次に本発明において、可逆性感熱記録材料
における人工汗液消去感度変化率(以下消去感度変化
率)とは以下のとおり定義されるものである。消去感度
変化率とは画像形成状態(白濁状態)の記録材料を塩基
性物質に長時間接触させた後に、画像消去(透明状態)
するための消去熱感度が変化する度合を表わす数値であ
り、数値が大きいほど、消去熱感度の低下が少ないこと
を示している。すなわち、数値が大きいほど初期と経時
後での画像消去濃度の変動が少なく、経時後でのコント
ラストが安定していることを示している。このような効
果に対して消去感度変化率は80%以上が良く、好まし
くは85%であり、更に好ましくは90%以上である。
【0031】消去感度変化率は次の方法により測定され
る。消去感度変化率測定装置として、東洋精機製作所社
製の熱傾斜試験機HG−100を用い、消去感度変化率
測定条件としては、熱傾斜試験機の印字タイマーを2秒
に設定し、次に圧力ゲージが1kg/cm2になるよう
に印加圧力を設定する。この条件において、予め前記印
字感度変化率で決定した温度にて加熱して白濁飽和状態
にある可逆性感熱記録材料に任意の温度にて熱印加を行
ない、室温まで冷却して、これをマクベス反射濃度計で
反射濃度測定を行なう。この際、反射濃度が地肌濃度の
−0.1の値以上になった時の消去下限温度と消去上限
温度から消去中心温度を決め、この消去中心温度での消
去濃度を初期消去濃度(ODTI)とする。
【0032】次にこの記録材料をアルカリ性人工汗液
(塩化ナトリウム10g、炭酸アンモニウム4g、及び
リン酸二ナトリウム(12水和物)2.5gを蒸留水に
溶かして1リットルにしたもの(pH約9.0))に1
00時間浸漬後、乾燥させてから、前記と同様に測定を
行ない、前記消去中心温度での反射濃度を測定し、これ
を経時消去濃度(ODTD)とする。これらの消去濃度
ODTI、ODTDと前記印字感度変化率で測定した初
期白濁濃度ODWIにより消去感度変化率(%)は下記
式により求められる。
【0033】
【数2】 また更に、この試験においても前記したごとく、アルカ
リ性人工汗液をアンモニアガスに変更して、前記と同様
に試験を行ない消去感度変化率を求めることもできる。
【0034】次に、本発明において、該感熱層における
極大平均粒子径とは以下のとおり定義されるものであ
る。極大平均粒子径とは、感熱層の高分子マトリックス
樹脂中に分散されている有機低分子物質粒子の分散状態
を表わす数値であり、数値が小さいほど分散状態がよ
く、有機低分子物質粒子が均一に分散されていることを
示している。すなわち、数値が小さいほど初期の画像濃
度及び画像消去濃度がよく、コントラストがよいことを
示している。このような効果に対して極大平均粒子径は
2.5μm以下がよく、好ましくは2.0μm以下であ
る。
【0035】極大平均粒子径は次の方法により測定され
る。極大平均粒子径測定装置としては、透過型電子顕微
鏡(以下TEM、日立社製H−9000)を用いる。次
に、測定方法については、まず記録材料をエポキシ樹脂
に包埋し、ダイヤモンドカッターを用いて超薄切片試料
を作製する。次に、この試料を用いて感熱層断面の任意
の5箇所について加速電圧300kVにて観察し、倍率
10000倍にて写真撮影を行なう。次に、この写真を
用いて写真画像面積中(10cm×10cm)の有機低
分子物質粒子個数を調べ、全個数に対して粒子径の大き
い10%の個数を決める。更に、この10%の個数の各
粒子径から平均粒子径(S)を算出する。この測定を前
記した5箇所について行ない、それぞれの平均粒子径S
1〜S5を算出し、その平均値を極大平均粒子径(Sm)
とする。また、この測定方法において写真画像面積中の
有機低分子物質粒子が均一な円形となっていない場合に
は、各粒子においての最大となる粒子径を用いる。また
更に、写真画像面積中の粒子が著しく大きく、個数が1
0個未満の場合には、これらの中での最大粒子の粒子径
を測定し、極大平均粒子径(Sm)とする。
【0036】更に、前記感熱層が樹脂母材と該樹脂母材
中に分散された有機低分子物質とを主成分とし、該有機
低分子物質が、低融点有機低分子物質の少なくとも1種
と高融点有機低分子物質の少なくとも1種以上とを混合
したものであり、且つ該有機低分子物質が分子構造中に
フリーカルボキシル基を含有しないものであることによ
り、前記した長時間放置後の画像形成或は画像消去での
反射濃度を悪化させることなく、コントラスト、視認性
を悪化させることがない、すなわち経時安定性を向上で
きることとなる。これは前記した有機低分子物質と塩基
性物質との反応について、その主要因と考えられるカル
ボキシル基が分子構造中にないため、反応が起らず、有
機低分子物質の融点が安定しているためと考えられる。
【0037】また更に、本発明において前記有機低分子
物質としては、低融点の有機低分子物質と、高融点の有
機低分子物質とを組み合わせて用いることにより、前記
した透明化温度巾を拡大させ、サーマルヘッドによる消
去性を向上することができ好ましい。前記低融点有機低
分子物質と高融点有機低分子物質の融点の差は20℃以
上が好ましく、更に好ましくは30℃以上であり、特に
好ましくは40℃以上である。また、このような有機低
分子物質は、低融点有機低分子物質としては、融点40
℃以上100℃未満のものが好ましく、50℃〜80℃
のものが更に好ましい。高融点有機低分子物質としては
融点100℃以上200℃未満のものが好ましく、11
0℃〜180℃のものが更に好ましい。
【0038】本発明で用いられる有機低分子物質として
は下記のものが挙げられる。有機低分子物質としてはア
ルカノール;アルカンジオール;ハロゲンアルカノール
又はハロゲンアルカンジオール;アルキルアミン;アル
カン;アルケン;アルキン;ハロゲンアルカン;ハロゲ
ンアルケン;ハロゲンアルキン;シクロアルカン;シク
ロアルケン;シクロアルキン;飽和又は不飽和モノ又は
ジカルボン酸のエステル、アミド又はアンモニウム塩;
飽和又は不飽和ハロゲン脂肪酸のエステル、アミド又は
アンモニウム塩;アリルカルボン酸のエステル、アミド
又はアンモニウム塩;ハロゲンアリルカルボン酸のエス
テル、アミド又はアンモニウム塩;チオアルコール;チ
オカルボン酸のエステル、アミン又はアンモニウム塩;
チオアルコールのカルボン酸エステル等が挙げられる。
これらは単独で又は2種以上混合して使用される。これ
らの化合物の炭素数は10〜60、好ましくは10〜3
8、特に10〜30が好ましい。いずれにしても有機低
分子物質は分子中に酸素、窒素、硫黄及びハロゲンの少
なくとも1種、例えば−CONH2、−COOR、−N
H−、−NH2、−S−、−S−S−、−O−ハロゲン
等を含む化合物であることが好ましい。
【0039】これらの有機低分子物質の中で本発明で用
いられる低融点有機低分子物質としては下記の脂肪酸エ
ステル、二塩基酸エステル、多価アルコールジ脂肪酸エ
ステルが好ましい。これらは少なくとも1種あるいは2
種以上混合して用いられる。
【0040】本発明で用いられる脂肪酸エステル、二塩
基酸エステル、多価アルコールジ脂肪酸エステルは、同
じ炭素数の脂肪酸(2分子会合状態)より融点が低く、
逆に同じ融点の脂肪酸よりも炭素数が多いという特徴を
持つ。サーマルヘッドでの画像の印字−消去の繰り返し
による劣化は、樹脂母材と有機低分子物質の加熱時の相
溶による有機低分子物質粒子の分散状態の変化が原因と
考えられ、樹脂母材と有機低分子物質の相溶性は有機低
分子物質の炭素数が多いほど低下し、画像の印字−消去
の劣化が少ないものと考えられる。更に白濁度も炭素数
に比例して増加する傾向にある。そのため、同じ透明化
温度(融点付近にある)の可逆性感熱記録材料におい
て、樹脂母材中に分散させる有機低分子物質として脂肪
酸エステル、二塩基酸エステル、多価アルコールジ脂肪
酸エステルを用いることにより、脂肪酸を用いた場合に
比較し、白濁度が高く、つまりコントラストが高く、し
かも繰り返し耐久性が向上するものと思われる。そし
て、このような脂肪酸エステル、二塩基酸エステル、多
価アルコールジ脂肪酸エステルと高融点の有機低分子物
質を混合して用いることにより、透明化温度巾を広くす
ることができ、サーマルヘッドでの消去の性能も高く、
そのため、保存により多少消去特性が変動しても、消去
可能であり、材料自身の特性から繰り返し耐久性も向上
することができる。また、これらは前記した塩基性物質
と反応すると考えられるフリーカルボキシル基を分子構
造中に持たないため経時安定性が高いものとなる。
【0041】本発明で用いられる脂肪酸エステルは、例
えば下記一般式(I)で表わされる。
【0042】
【化1】 R1−COO−R2 ・・・(I) (式中、R1、R2は炭素数10以上のアルキル基を表わ
す) 脂肪酸エステルの炭素数は20以上が好ましく、25以
上が更に好ましく、30以上が特に好ましい。炭素数が
多くなると白濁度が高く、繰り返し耐久性が向上すると
いう特徴を有する。脂肪酸エステルの融点は40℃以上
が好ましい。これらは1種又は2種以上を選択して用い
られる。
【0043】本発明で用いられる脂肪酸エステルの具体
例を以下に示す。 パルミチン酸オクタデシル パルミチン酸ドコシル ステアリン酸ヘプチル ステアリン酸オクチル ステアリン酸オクタデシル ステアリン酸ドコシル ベヘン酸オクタデシル ベヘン酸ドコシル
【0044】二塩基酸エステルとしては、下記一般式
(II)で表わされるものである。
【0045】
【化2】 ROOC−(CH2)n−COOR’ ・・・(II) (式中、R、R’は炭素数1〜30のアルキル基を表わ
し、R、R’は同一であっても異なっていてもよい。n
は0〜40の整数を表わす) 上記一般式(II)で表わされる二塩基酸エステルにおい
て、R、R’のアルキル基の炭素数は1〜22が好まし
く、nは、1〜30が好ましく、2〜20が更に好まし
い。また融点は40℃以上が好ましい。
【0046】具体的には、 コハク酸ジエステル アジピン酸ジエステル セバシン酸ジエステル 1−18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジエステル 等が挙げられる。
【0047】本発明で用いる有機低分子物質の多価アル
コールジ脂肪酸エステルとしては、下記の一般式(II
I)で表わされるものが挙げられる。
【0048】
【化3】 CH3(CH2)m-2COO(CH2)nOOC(CH2)m-2CH3 ・・・(III) (式中、nは2〜40、好ましくは3〜30、更に好ま
しくは4〜22の整数である。mは2〜40、好ましく
は3〜30、更に好ましくは4〜22の整数である。)
具体的には以下のものが挙げられる。 1,3プロパンジオールジアルカン酸エステル 1,6ヘキサンジオールジアルカン酸エステル 1,10デカンジオールジアルカン酸エステル 1,18オクタデカンジオールジアルカン酸エステル
【0049】また、本発明で用いられる低融点有機低分
子物質としては、下記の脂肪酸エステルアマイドが特に
好ましい。脂肪酸エステルアマイドは従来にない新規な
有機低分子物質である。本発明で用いられる脂肪酸エス
テルアマイドとしては下記一般式(IV)で表されるもの
が挙げられる。
【0050】
【化4】 R’CONHROCOR’ ・・・(IV) (式中、R、R’は炭素数1〜30のアルキル基を表わ
し、R、R’は同一であっても異なっていてもよい。) 上記一般式(IV)で表される脂肪酸エステルアマイドに
おいて、R、R’のアルキル基の炭素数は1〜30が好
ましく、1〜22が特に好ましい。具体的にはエタノー
ルアミンジステアレート等が挙げられる。
【0051】また次に、本発明で用いられる高融点有機
低分子物質としては、高級アルキル基を有するケトン、
該ケトンから誘導されるセミカルバゾン、脂肪酸金属
塩、α−スルホ脂肪酸エステルナトリウム塩などが挙げ
られ、融点100℃以上200℃未満の下記のものが好
ましいが、これらに限定されるものではない。これら
は、1種又は2種以上選択して用いられる。
【0052】本発明において用いるケトンは、ケトン基
と高級アルキル基を必須の構成基として含み、その他無
置換又は置換基を有する芳香環あるいは被素環を含むこ
ともできる。前記ケトンの全炭素数は16個以上が好ま
しく、更に好ましくは21個以上である。また、本発明
に用いるセミカルバゾンは、上記ケトンから誘導された
ものである。
【0053】本発明において使用するケトン、セミカル
バゾンとしては、例えば次に示すようなものを挙げるこ
とができる。 3−オクタデカノン 7−アイコサノン 14−ヘプタコサノン 18−ペンタトリアコンタノン テトラデカノフェノン ドコサノフェノン ドコサノナフトフェノン 2−ヘンエイコサノンセミカルバゾン
【0054】次に本発明において使用する脂肪酸金属塩
としては、例えば次に示すようなものを挙げることがで
きるが、これらに限定されるものではない。 ステアリン酸銅 m.p.125℃ ステアリン酸マグネシウム m.p.135℃ ステアリン酸カルシウム m.p.150℃ ステアリン酸アルミニウム(モノ) m.p.155℃ ステアリン酸アルミニウム(ジ) m.p.145℃
【0055】また次に、本発明において使用するα−ス
ルホ脂肪酸エステルナトリウム塩としては、例えば次に
示すようなものを挙げることができるが、これらに限定
されるものではない。 α−スルホステアリン酸エステルナトリウム塩
【0056】
【化5】
【0057】また更に、本発明で用いられる高融点有機
低分子物質としては、下記の飽和脂肪酸モノアマイド、
メチロールアマイドが特に好ましい。特にメチロールア
マイドは従来にない新規な有機低分子物質である。本発
明において使用する飽和脂肪酸モノアマイドとしては、
例えば次に示すようなものを挙げることができるが、こ
れらに限定されるものではない。 パルミチン酸アマイド(C1531CONH2) m.p.100℃ ステアリン酸アマイド(C1735CONH2) m.p.100℃ 精製ステアリン酸アマイド(C1735CONH2) m.p.101℃ 高純度ステアリン酸アマイド(C1735CONH2) m.p.107℃ ベヘン酸アマイド(C2143CONH2) m.p.100℃ 高純度ベヘン酸アマイド(C2143CONH2) m.p.110℃ ヒドロキシステアリン酸アマイド[C1734(OH)CONH2] m.p.110℃
【0058】次に、本発明において使用するメチロール
アマイドはモノアマイドの末端のアミノ基の水素をメチ
ロール基で置換した形のアマイドであり、例えば次に示
すようなものを挙げることができるが、これらに限定さ
れるものではない。 メチロールステアリン酸アマイド(C1735CONHCH2OH) m.p.111℃ メチロールベヘン酸アマイド(C2143CONHCH2OH) m.p.110℃
【0059】これらの低融点有機低分子物質と高融点有
機低分子物質の混合重量比は95:5〜5:95が好ま
しく、90:10〜10:90が更に好ましく、80:
20〜20:80が特に好ましい。また、これらの低融
点有機低分子物質、高融点有機低分子物質以外に前記し
た他の有機低分子物質を混合して用いてもよい。これら
は下記のものが挙げられる。
【0060】これら化合物としては C1633−O−C1633 , C1633−S−C1633 , C1837−S−C1837 , C1225−S−C1225 , C1939−S−C1939 , C1225−S−S−C1225
【0061】
【化6】
【0062】
【化7】
【0063】
【化8】
【0064】
【化9】
【0065】
【化10】
【0066】
【化11】
【0067】
【化12】
【0068】
【化13】 等のエーテル又はチオエーテル等がある。
【0069】なお、感熱層中の有機低分子物質と高分子
マトリックス樹脂(以下樹脂)との割合は、重量比で
2:1〜1:16程度が好ましく、1:2〜1:8が更
に好ましい。樹脂の比率がこれ以下になると、有機低分
子物質を樹脂中に保持した膜に形成することが困難とな
り、またこれ以上になると、有機低分子物質の量が少な
いため、不透明化が困難になる。
【0070】また次に、上記の他で前記した有機低分子
物質と塩基性物質(アンモニア等)との反応を防止する
ためには以下の方法がある。第1に、該感熱層上に気体
透過性の低い層を設けることにより反応は防止される。
気体透過性の低い層とは、気体透過性の低い樹脂(塩化
ビニリデン系共重合体;塩化ビニル−エチレン共重合
体)を用いたバリアー層や保護層中に用いられるUV樹
脂の架橋密度を上げた保護層等が挙げられるが、これら
に限定されるものではない。第2に、該感熱層中又は該
感熱層上に設けられた層中に、該塩基性物質をトラッピ
ングする構造を持つ材料を用いることにより、前記した
反応は防止される。該構造を持つ材料としてカルボキシ
ル基、スルホン酸基等を分子構造中に持つ樹脂、架橋剤
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0071】次に本発明者等は、可逆性感熱記録材料へ
の画像の形成及び消去の繰り返し使用により発生する画
像濃度やコントラストなどの低下が何故に生じるかにつ
いて、そのメカニズムを解析、検討した。その結果、サ
ーマルヘッド等の発熱体を該記録材料表面に押圧して画
像形成を行なった場合には、次のような現象が認められ
た。樹脂母材中に有機低分子物質粒子を分散させた記録
層(感熱層)を有する可逆性感熱記録材料に於いて、発
熱体で画像形成及び消去をする際にエネルギーの印加前
又は繰り返し回数が少ないときには記録層を構成する材
料の存在状態が変化するような歪みがなく、図2(a)
に示されるように、樹脂母材(2)中に有機低分子物質
粒子(3)が均一に分散された状態になっている。この
図2は、従来の可逆性感熱記録材料を繰り返し使用する
際の有機低分子物質粒子の状態変化をモデル的に説明す
るものであって、図中の符号(1)はサーマルヘッド
を、(2)は樹脂母材を、(3)は有機低分子物質粒子
を、(4)は支持体例えばPET(ポリエチレンテレフ
タレート)フィルムを、(5)はプラテンロールを、
(6)はずり応力を、(7)はずり応力により変形した
有機低分子物質粒子を、(8)は変形した有機低分子物
質粒子が凝集した状態を、(9)は凝集した有機低分子
物質粒子が凝集を繰り返し極大化した状態を、(10)
は可逆性感熱記録材料の相対的な進行方向を、それぞれ
表わす。(後の説明から理解されるように、本発明の記
録層は繰り返しの記録・消去によっても有機低分子物質
粒子の均一分散状態は維持される) ところが画像形成
の際、記録材料にサーマルヘッド(1)のような発熱体
などの画像形成手段を押圧しながら進行方向(10)に
相対的に移動させると、記録層内部にずり応力(6)が
かかる。同方向のエネルギー印加(ずり応力(6)の印
加)が繰り返されるうちに、この応力(6)が主たる原
因となって図2(b)に示されるように記録層内部にエ
ネルギー印加方向への歪みが発生し、それにより有機低
分子物質粒子が変形した状態(7)となる。そして更に
エネルギー印加(6)を同方向に繰り返すうちに歪みが
進行し、図2(c)に示されるように変形した有機低分
子物質粒子どうしの凝集(8)が始まり、最終的には図
2(d)に示すように凝集粒子どうしが再凝集をして、
有機低分子物質粒子が極大化した状態(9)となってし
まう。このような状態になると、画像の形成がほとんど
不可能となり、所謂劣化状態となる。これらの現象が、
可逆性感熱記録材料への画像の形成及び消去の繰り返し
後の画像濃度が低下する原因に関係していると考えられ
る。
【0072】本発明において、可逆性感熱記録媒体にお
ける画像表示部である感熱層の熱圧力段差量及び熱圧力
段差変化率は以下のとおり定義されるものである。熱圧
力段差量とは、加熱時の塗膜の硬さを表わす物性であ
り、数値が小さいほど塗膜が硬いことを示している。熱
圧力段差量の値が40%以下になると、特に前記したサ
ーマルヘッド等による繰り返し画像形成消去に対する耐
久性の向上が顕著になる。その理由は、有機低分子物質
粒子間の接触による粒子の凝集拡大を抑制する力が急に
大きくなるものと考えられ、その結果サーマルヘッド等
によって熱と圧力をかけても感熱層の変形が少なくなる
ものと思われる。
【0073】熱圧力段差量は、特開平7−172072
号公報に記載されている方法により測定される。先ず熱
圧力印加装置としてユニークマシナーリ社製のホットス
タンプ型エアー式卓上TCフィルム消去装置テスト機を
用いる。
【0074】次に熱圧力段差量測定のための熱圧力印加
条件としては、前記熱圧力印加装置において、エアレギ
ュレーターを調整し、エアーゲージ圧力値が2.5kg
/cm2になるように印加圧力を設定し、次に印字タイ
マーを調整し、印加時間が10秒になるように設定し、
また次に温調器を調整し、印加温度が130℃になるよ
うに設定する。ここで印加温度についてはヒータ及び温
度センサーにより調節されている値であり、印字ヘッド
表面の温度にほぼ近似している。
【0075】次に熱圧力印加装置により印加される熱圧
力段差値の測定方法について説明する。測定装置とし
て、小坂研究所社製の二次元粗さ解析装置サーフコーダ
AY−41、記録計RA−60E及びサーフコーダSE
30Kを用い、まずサーフコーダSE30Kの設定を縦
倍率(V);2000、横倍率(H);20に設定し、
次にサーフコーダAY−41の設定を基準長さ(L);
5mm、送り速さ(D);0.1mm/secに設定
し、測定結果をRA−60Eに記録させ、その記録され
たチャートにより熱圧力印加部の熱圧力段差値(Dx)
を読み取ればよい。またこれらの設定は例を示したもの
であり、測定に応じて任意に変更可能である。なおこの
測定は熱圧力印加部の巾方向について2mm間隔で位置
を変更し、D1〜D6の6点について測定し、その平均値
を熱圧力段差平均値(Dm)とする。
【0076】この熱圧力段差平均値(Dm)と感熱記録
層膜厚(Ds)により熱圧力段差量(D)は下記式によ
り求められる。
【0077】
【数3】D%=(Dm/Ds)×100 D :熱圧力段差量(%) Dm:熱圧力段差平均値(μm) Ds:感熱記録層膜厚 ここで感熱層膜厚(Ds)とは、支持体上に形成された
感熱層の膜厚であり、いずれもTEM(透過型電子顕微
鏡)、SEM(走査型電子顕微鏡)等の断面観察により
調べることができる。
【0078】先述したように、可逆性感熱記録媒体にお
ける感熱層の熱圧力段差量を40%以下にすると、特に
前記した繰り返し耐久性の向上に寄与する傾向がある。
これは本発明の記録媒体が従来のものに比べて感熱層の
熱圧力段差量が非常に少なく、すなわち感熱層の耐熱
性、機械的強度が非常に優れるためであると考えられ
る。これにより感熱層中に有機低分子物質を含有させる
場合、この物質の粒子どうしの凝集や極大化が発生しに
くく、画像形成及び消去の繰り返し後の劣化が少なく、
高コントラストが維持されるものと推測される。このよ
うな効果に対して、熱圧力段差量は40%以下が良く、
好ましくは30%以下であり、更に好ましくは25%以
下であり、特に好ましくは20%以下である。
【0079】次に熱圧力段差変化率とは、加熱時の塗膜
の硬さの経時での変化度合を表わす物性であり、数値が
小さいほど塗膜が安定であることを示している。熱圧力
段差変化率が70%以下になると、本発明の効果が顕著
に表われ、特に記録媒体の透明化温度の範囲、巾等の特
性の安定性が顕著に表われるのは、この数値を境にして
塗膜の熱的物性の安定性が特に向上するものと考えられ
る。
【0080】熱圧力段差変化率は、下記式によって求め
られる。
【0081】
【数4】Dc(%)=|(DI−DD)/DI|×100 Dc:熱圧力段差変化率(%) DI :初期熱圧力段差量(%) DD :経時熱圧力段差量(%) ここで初期熱圧力段差量(DI)とは感熱層が形成され
てからまず1回目の測定した値であり、形成直後の値で
なくともかまわない。次に経時熱圧力段差量(DD)と
は初期と同時期に感熱層を形成したサンプルを50℃環
境下に24時間放置してから測定した値である。これら
はいずれも前記した熱圧力段差測定方法により測定、算
出された値であることはいうまでもない。この熱圧力段
差変化率を測定する場合、前記の条件(2.5kg/c
2、130℃)で段差ができない場合には圧力、温度
を上げることも可能である。この熱圧力段差量測定は、
先述の可逆性感熱記録媒体において、1)記録層のみの
もの、2)保護層を有するもの、の双方に適用可能であ
る。
【0082】前記したように、感熱層の熱圧力段差変化
率を70%以下にすると、特に前記した透明化温度巾の
縮小の抑制に寄与する傾向がある。これは、本発明の記
録媒体は感熱層の熱圧力段差変化率が非常に小さいこと
から、すなわち初期と経時での感熱層の物性が変化して
いないと考えられ、これにより透明化温度範囲の変動及
び透明化温度巾の縮小もなく、消去特性が安定したもの
となると推測される。このような効果に対して、熱圧力
段差変化率は70%以下がよく、好ましくは50%以下
であり、更に好ましくは45%以下であり、特に好まし
くは40%以下である。
【0083】前記した可逆性感熱層中に含まれる樹脂を
架橋する方法は加熱することにより又は紫外線照射(U
V照射)、あるいは電子線照射(EB照射)により行う
ことができるが、好ましくは紫外線照射、電子線照射で
あり、更に好ましくは電子線照射である。これらの架橋
方法の中でEB照射が最も優れるのは次のような理由に
よる。
【0084】まず、EBによる樹脂の硬化とUVによる
それとの大きな違いは、UV硬化では光重合開始剤、光
増感剤が必要であること、UVではほとんど透明性のあ
るものに限られることである。一方、EBによる反応で
は、ラジカル濃度が高いので急速にラジカル反応が進行
し、瞬間的に重合が完結することや、EBによる反応で
は、UVの場合に比べ、大きいエネルギーが得られるた
め硬化膜厚が厚くできることがある。また、前記のよう
にUV硬化では光重合開始剤、光増感剤が必要であり、
架橋反応後にこれらの添加物が記録層中に残存するた
め、記録層の画像形成、消去及び繰り返し耐久性等に悪
影響を及ぼすことが懸念されるという不都合が生じてし
まう。
【0085】次に、EB硬化と熱硬化との大きな違いと
して、熱硬化では架橋のための触媒及び促進剤が必要で
あり、これらを用いても硬化時間がEB硬化に比べてか
なり遅く、またこれについても架橋反応後に上記添加物
が記録層中に残存するためUV硬化と同様な不都合が生
じ、更にまた架橋反応後も少しずつ架橋反応が起こりう
るため、架橋直後と経時で記録層特性に変化が生じるこ
とがある点が挙げられる。これらの理由によりEB照射
が架橋方法の中で最適であると言える。また、これらに
より高エネルギー印字での画像濃度劣化も少なくなり高
コントラストを維持することも認められた。
【0086】本発明における感熱層中の樹脂を架橋させ
る手段としては、加熱することにより又は紫外線照射、
電子線照射により行なうことができるが、これらの中で
電子線照射するのが最適である。これら架橋させる方法
は具体的には以下のとおりである。(i)樹脂に架橋性
のあるものを用いる方法、(ii)架橋剤の添加による
方法、(iii)紫外線、又は電子線の照射によって架
橋させる方法、(iv)架橋剤の存在下で紫外線、又は
電子線の照射によって架橋させる方法、等がある。架橋
剤としてはウレタンアクリレート系、エポキシアクリレ
ート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルア
クリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル等のオリ
ゴマーや、各種単官能、多官能のアクリレート、メタク
リレート、ビニルエステル、スチレン誘導体、アリル化
合物等のモノマーが挙げられる。また、非官能性モノマ
ー、官能性モノマーとしては、具体的には特開平7−1
72072号公報に挙げられたものと同様なものを用い
ることができる。
【0087】これらの架橋剤は単独で又は2種以上が混
合して使用される。これらの架橋剤の添加量としては、
樹脂1重量部に対して0.001〜1.0重量部が好ま
しく、更に好ましくは0.01〜0.5重量部である。
添加量が0.001重量部以下であると架橋効率が悪く
なり、逆に1.0重量部以上になると白濁度が低下し、
コントラストが低くなる。前記したように、架橋剤の添
加量を少量にして架橋効率を向上させるためには、前記
した架橋剤の中では、非官能性モノマーより官能性モノ
マーが好ましく、更に単官能モノマーよりも多官能モノ
マーが好ましい。
【0088】また次に本発明における感熱層の樹脂を架
橋させる手段として紫外線照射を用いる場合には次のよ
うな架橋剤、光重合開始剤、光重合促進剤を用いてもよ
い。具体的には下記のものが挙げられるが、これらに限
定されるものではない。
【0089】まず架橋剤としては光重合性プレポリマー
と光重合性モノマーに大別することができ、光重合性モ
ノマーとしては前記した電子線照射で用いる架橋剤とし
て挙げた単官能性モノマー及び多官能性モノマーと同じ
ものを挙げることができる。また次に光重合性プレポリ
マーとしてはポリエステルアクリレート、ポリウレタン
アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルア
クリレート、オリゴアクリレート、アルキドアクリレー
ト、ポリオールアクリレートなどが挙げられる。これら
の架橋剤の添加量としては、樹脂1重量部に対して0.
001〜1.0重量部が好ましく、更に好ましくは0.
01〜0.5重量部である。添加量が0.001重量部
以下であると架橋効率が悪くなり、逆に1.0重量部以
上になると白濁度が低下し、コントラストが低くなる。
【0090】次に光重合開始剤としてはラジカル反応型
とイオン反応型に大別でき、更にラジカル反応型は光開
裂型と水素引抜き型とに分けられる。具体的には特開平
7−172072号公報に挙げられたものと同様なもの
を用いることができる。
【0091】これらの光重合開始剤は、単独で又は2種
以上混合して使用される。添加量としては架橋剤1重量
部に対して0.005〜1.0重量部が好ましく、更に
好ましくは0.01〜0.5重量部である。
【0092】次に光重合促進剤としては、ベンゾフェノ
ン系やチオキサントン系などの水素引抜きタイプの光重
合開始剤に対し、硬化速度を向上させる効果があり、芳
香族系の第3級アミンや脂肪族アミン系がある。具体的
には下記のものが挙げられる。 P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル これら光重合促進剤は単独で又は2種以上混合して使用
される。添加量としては光重合開始剤1重量部に対して
0.1〜5重量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜
3重量部である。
【0093】また本発明に用いる紫外線照射装置は、光
源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置から構成されてい
る。光源には水銀ランプ、メタルハライドランプ、カリ
ウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプが
あるが、前記した光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外
線吸収波長に対応した発光スペクトルを有する光源を使
用すればよい。また紫外線照射条件については、樹脂を
架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出
力、搬送速度を決めればよい。
【0094】本発明において、可逆性感熱記録材料の感
熱層の樹脂を架橋するのに特に効果的な電子線照射法は
以下のとおりである。まず、EB照射装置としては、走
査形(スキャンビーム)あるいは非走査形(エリアビー
ム)の2種に大別できるが、照射面積、照射線量等の目
的に応じて決めればよい。次に、EB照射条件について
は、樹脂を架橋するために必要な線量に応じて、電子
流、照射幅、搬送スピードを考慮し下記式から決められ
る。
【0095】
【数5】D=(△E/△R)・η・I/(W・V) D:必要線量(Mrad) △E/△R:平均エネルギー損失 η:効率 I:電子流(mA) W:照射幅(cm) V:搬送速度(cm/s) 工業的には、これを簡略化し、 D・V=K・I/W とし、装置定格をMrad・m/minで示す。電子流
定格は、実験器では20〜30mA、パイロット機では
50〜100mA、生産機では100〜500mA程度
が選ばれる。
【0096】ここで樹脂を架橋するために必要な線量に
ついては、樹脂の種類および重合度、架橋剤の種類およ
び添加量、可塑剤の種類および添加量等により架橋効率
が変わり、線量に対してのゲル分率が一定でないため、
これらの可逆性感熱記録材料の感熱層の構成因子水準を
決めて記録層を作成し、ゲル分率目標値を決め、それに
応じての線量を決めればよい。またここで、照射線量
は、樹脂を架橋させるために高エネルギーを必要とする
場合には、支持体または樹脂等が照射により発生する熱
によって変形、熱分解をするのを防ぐため、照射を複数
回に分けて、1回当たりの照射で高熱になるのを防ぐこ
とが好ましい。また、EB照射を行なう前に、記録層に
含有される有機低分子物質の少なくとも一部を溶融する
温度以上で加熱した後、架橋することが好ましく、また
更に有機低分子物質が全て溶融する温度以上に加熱した
後、架橋することが好ましい。感熱層構成因子それぞれ
がゲル分率との関係は以下のとおりである。まず、樹脂
の種類としては前記した樹脂が選択できるが、これらの
重合度は平均重合度(P)が高くなるにつれてゲル分率
が向上する傾向にあり、好ましくはP=300以上であ
り、更に好ましくはP=600以上である。
【0097】架橋剤の種類及び添加量については前記し
たとおりであり、また可塑剤の種類としては、前記した
可塑剤の中で脂肪酸エステル、ポリエステル系可塑剤、
エポキシ系可塑剤等が好ましく、特にエポキシ系可塑剤
が照射変色、架橋効率からみて最適である。可塑剤の添
加量については、その添加量の増加につれてゲル分率が
向上する傾向にあり、樹脂1重量部に対して0.01〜
1.0重量部が好ましく、更に好ましくは0.05〜
0.5重量部である。
【0098】上記の他で、繰り返し耐久性を向上させる
ためには、以下の方法がある。第1に感熱層の軟化温度
を高温側へ上げることによって耐久性は向上する。軟化
温度がより高い方が更に耐久性は向上する。軟化温度の
測定方法としては、感熱層塗膜を用いて、熱機械分析装
置(TMA)や動的粘弾性測定装置を用いて測定するこ
とができる。また、更に前記したように形成された記録
層を剥離せずに剛体振り子法・動的粘弾性測定装置によ
り測定することができる。
【0099】第2としては、後に述べるように、支持体
上に形成された感熱層上に前記した保護層を積層し、そ
の積層間の層間強度を強くすくことによっても耐久性は
向上する。層間強度がより強い方がより耐久性は向上す
る。層間強度測定方法はTappi UM−403に準
じて行うことができる。
【0100】第3としては、感熱層のTMA針入測定に
よる針入度が少ない方が耐久性は向上する。針入度がよ
り少ない方が更に耐久性は向上する。針入度測定方法と
しては、支持体上に形成された記録層を用いて、軟化温
度測定に用いたTMAを用い、先端断面積の小さなプロ
ーブ(針入プローブ)を記録層上に乗せ荷重を加え、必
要により加熱してその変位量により測定することができ
る。
【0101】第4としては、EB架橋後に感熱層中に残
存する架橋剤量が少ない方が耐久性は向上する。残存量
がより少ない方が耐久性は更に向上する。残存量測定方
法としては下記方法が挙げられる。測定装置としてフー
リエ変換赤外分光光度計に取り付けられるATR測定付
属装置を用い、測定サンプルとしては上記ゲル分率測定
に用いた感熱層塗膜を使用し、EB照射後の試料の81
0cm-1付近に現われるアクリロイル基のCH面外変角
振動による吸収帯強度を測定する。この吸収帯強度は架
橋剤残存量と比例関係にあり、残存量が減れば、強度も
減少する。これにより残存量を知ることができる。残存
量値としては感熱層中樹脂1重量部に対して0.2重量
部以下がよく、好ましくは0.1重量部以下であり、更
に好ましくは0.05重量部以下であり、特に好ましく
は0.01重量部以下である。
【0102】また、これらの他に、感熱層中の樹脂と有
機低分子物質粒子との界面及び/又は粒子中に樹脂及び
粒子の屈折率と異なる空隙があると、白濁状態での画像
濃度が向上し、コントラストが向上する効果がある。空
隙の大きさが不透明状態を検知するために用いる光の波
長の1/10以上であるとより効果が顕著である。
【0103】本発明の前記した可逆性感熱記録材料は、
熱を選択的に与えることにより感熱層を選択的に加熱
し、透明地に白濁画像、白濁地に透明画像を形成するこ
とができ、その変化は何回も繰り返しすることが可能で
ある。そして、このような感熱層の背面に着色シートを
配置すれば、白地に着色シートの色の画像又は着色シー
トの色の地に白地の画像を形成することができる。ま
た、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)などで投
影すれば、白濁部は暗部になり、透明部は光が透過しス
クリーン上では明部となる。
【0104】感熱層の厚さは1〜30μmが好ましく、
2〜20μmがさらに好ましい。記録層が厚すぎると層
内での熱の分布が発生し均一に透明化することが困難と
なる。また、感熱層が薄すぎると白濁度が低下しコント
ラストが低くなる。
【0105】本発明の可逆性感熱記録材料を作るには、
まず例えば次の方法により支持体上に感熱層を形成す
る。場合によっては、支持体上を用いることなくシート
状の可逆性感熱記録材料として成形することもできる。 1)樹脂母材及び有機低分子物質を溶媒中に溶解し、こ
れを支持体上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あるいはシ
ート状にするとともに架橋するか、又はシート状とした
後、架橋する方法。 2)樹脂母材のみを溶解させる溶媒に樹脂母材を溶解さ
せ、その中に有機低分子物質を種々の方法で粉砕又は分
散し、これを支持体上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あ
るいはシート状にするとともに架橋するか、又はシート
状とした後、架橋する方法。 3)溶媒を用いず、樹脂母材と有機低分子物質を加熱溶
融混合し、これを皮膜あるいはシート状に成形して冷却
した後、架橋する方法。
【0106】感熱層又は感熱記録材料作成用溶剤として
は、樹脂母材及び有機低分子物質の種類によって種々選
択できるが、例えばテトラヒドロフラン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩
化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられ
る。なお、分散液を使用した場合はもちろんであるが、
溶液を使用した場合も、得られる感熱層中では有機低分
子物質は微粒子として析出し、分散状態で存在する。
【0107】本発明において、可逆性感熱記録材料の感
熱層の樹脂母材に用いられる樹脂は皮膜又はシートを形
成することができ、透明性がよく、機械的に安定な樹脂
が好ましい。このような樹脂としては、ポリ塩化ビニ
ル:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレ
ート共重合体、塩化ビニルと炭素数3以上の脂肪酸のビ
ニルエステルとの共重合体、塩化ビニル−エチレン共重
合体等の塩化ビニル系共重合体;ポリ塩化ビニリデン、
塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン
−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニリデン系共重
合体;ポリメタクリレート、メタクリレート共重合体等
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0108】また、これらの樹脂と下記に挙げる樹脂と
を組み合わせて用いることができる。飽和ポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リメタクリレート、ポリアミド、ポリビニルピロリド
ン、天然ゴム、ポリアクロレイン、ポリカーボネートか
ら選ばれたものを少なくとも1種若しくは2種以上含む
もの、又はこれらを含む共重合体であるものが挙げられ
るが、その他にポリアクリレート、ポリアクリルアミ
ド、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、あるいは
これらの共重合体も使用できる。これらの中で前記した
塩基性物質との反応を防止し、樹脂軟化点を変動させな
いためには、樹脂の分子構造中にカルボキシル基、水酸
基、スルホン酸基、エポキシ基を含有しないものが、特
に好ましい。
【0109】また更に、樹脂に塩化ビニル共重合体を用
いる場合には、これら重合体の平均重合度がP=300
以上が好ましく、更に好ましくはP=600以上であ
り、また塩化ビニル単位と共重合モノマー単位との重合
比が90/10〜40/60が好ましく、更に好ましく
は85/15〜50/50である。また樹脂母材に用い
られる樹脂のガラス転移温度(Tg)は好ましくは10
0℃未満、更に好ましくは90℃未満、特に好ましくは
80℃未満である。
【0110】感熱層には以上の成分の他に、透明画像の
形成を容易にするために、界面活性剤、可塑剤等の添加
物を添加することができる。これらの添加物の具体例は
次のとおりである。可塑剤としては、リン酸エステル、
脂肪酸エステル、フタル酸エステル、二塩基酸エステ
ル、グリコール、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可
塑剤が挙げられ、具体例としては下記のものが挙げられ
る。リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシ
ル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、オレイ
ン酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フ
タル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n
−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル
酸ジイソノニル、フタル酸ジオクチルデシル、フタル酸
ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジ
ブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−
2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキ
シル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチル
ヘキシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリ
エチレングリコールジ−2−エチルブチラート、アセチ
ルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、
ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸
トリブチルなど。
【0111】界面活性剤、その他の添加物の例; 多価アルコール高級脂肪酸エステル;多価アルコール高
級アルキルエーテル;多価アルコール高級脂肪酸エステ
ル、高級アルコール、高級アルキルフェノール、高級脂
肪酸高級アルキルアミン、高級脂肪酸アミド、油脂又は
ポリプロピレングリコールの低級オレフィンオキサイド
付加物;アセチレングリコール;高級アルキルベンゼン
スルホン酸のNa、Ca、Ba又はMg塩;芳香族カル
ボン酸、高級脂肪酸スルホン酸、芳香族スルホン酸、硫
酸モノエステル又はリン酸モノ−又はジ−エステルのC
a、Ba又はMg塩;低度硫酸化油;ポリ長鎖アルキル
アクリレート;アクリル系オリゴマー;ポリ長鎖アルキ
ルメタクリレート;長鎖アルキルメタクリレート−アミ
ン含有モノマー共重合体;スチレン−無水マレイン酸共
重合体;オレフィン−無水マレイン酸共重合体など。
【0112】続いて、本発明の可逆的感熱記録材料は、
また、前記の感熱層が電子供与性呈色性化合物と電子受
容性化合物との間の発色反応を利用したものも含み、こ
のような可逆的熱発色反応を利用したものについて以下
に述べることにする。該発色反応は、電子供与性呈色性
化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した
ものであり、これら化合物からなる熱発色性組成物は、
該電子供与性呈色性化合物と該電子受容性化合物を加熱
溶融混合させたときに非晶質の発色体を生成し、一方、
該非晶質の発色体を該溶融温度より低い温度で加熱した
ときに該電子受容性化合物が結晶化を起こして該発色体
が消色することの現象を利用したものである。
【0113】熱発色性組成物は、加熱により瞬時に発色
し、その発色状態は常温においても安定的に存在し、一
方、発色状態にある組成物は、これを発色温度以下の加
熱により瞬時に消色しその消去状態は常温においても安
定的に存在するもので、このような可逆的な特異な発消
色挙動は従来には見られない新規な驚くべき現象であ
る。
【0114】この組成物を感熱層として用いた場合の発
色と消色、即ち画像形成と画像消去の原理を図3に示し
たグラフによって説明する。グラフの縦軸は発色濃度を
表わし、横軸は温度を表わしており、実線は加熱による
画像形成過程を、破線は加熱による画像消去過程を示し
たものである。Aは完全消去状態における濃度であり、
BはT6以上の温度に加熱した時の完全発色状態におけ
る濃度であり、Cは完全発色状態のT5以下の温度にお
ける濃度であり、DはT5〜T6間の温度で加熱消去した
時の濃度を示している。
【0115】本発明に係るこの組成物は、T5以下の温
度においては無色の状態(A)にある。記録(画像形
成)を行なうにはサーマルヘッド等によりT6以上の温
度に加熱することにより発色(B)して記録画像を形成
する。この記録画像は実線に従ってT5以下の温度に戻
しても、そのままの状態(C)を保持しており記録のメ
モリー性は失われない。
【0116】次に記録画像の消去を行なうには、形成さ
れた記録画像を発色温度よりも低いT5〜T6間の温度に
加熱することによって無色の状態(D)になる。この状
態はT5以下の温度に戻しても、そのままの無色の状態
(A)を保持している。即ち、記録画像の形成過程は実
線ABCの経路によりCに至り記録が保持される。次に
記録画像の消去過程は破線CDAの経路によりAに至り
消去状態が保持される。この記録画像の形成と消去の挙
動特性は可逆性を有し何回も繰り返し行なうことができ
る。
【0117】可逆性熱発色性組成物は、発色剤と顕色剤
を必須成分とし、更に必要により結着樹脂を含んでい
る。そして、発色剤と顕色剤の加熱溶融により発色状態
を形成し、一方、発色温度よりも低い温度の加熱により
発色状態は消去され、発色状態及び消色状態が常温で安
定的に存在するものである。組成物におけるこのような
発色と消色の機構は、先に触れたように、発色剤と顕色
剤を発色温度で加熱溶融混合した時に、組成物が非晶質
化を起こして発色状態を形成し、一方、発色温度よりも
低い温度で加熱した時に、発色した組成物の顕色剤が結
晶化を起こして発色の消去状態を形成する特性に基づく
ものである。ただし、この場合においても感熱層はT6
以上の温度に加熱してから消色する過程がとられること
によって、発色剤及び顕色剤の粒子が元に戻り、新たな
発色状態を形成するのに有利である。
【0118】通常の発色剤と顕色剤、例えば、従来の感
熱記録紙に広く用いられている色素前駆体であるラクト
ン環を有するロイコ系化合物と顕色作用を示すフェノー
ル性化合物からなる組成物は、これを加熱によって溶融
混合させると、ロイコ化合物のラクトン環に基づく発色
状態となる。この発色状態は両者が相溶した非晶質状態
を呈している。この発色した非晶質状態は常温で安定的
に存在するが、再び加熱を行なっても結晶化は起こら
ず、フェノール性化合物のロイコ化合物からの分離がな
いためにラクトン環の閉環がなく消色はしない。
【0119】これに対して、本発明に係る発色剤と顕色
剤の組成物も加熱によって溶融混合をさせた時に、発色
状態となり、従来の場合と同様に非晶質状態を呈し、常
温で安定的に存在する。しかし、本発明の場合は、この
発色した非晶質状態の組成物は、発色温度以下、即ち溶
融状態に至らない温度で加熱すると、顕色剤の結晶化が
起こり、発色剤との相溶状態による結合が保持できなく
なり、顕色剤が発色剤から分離する。そして、この顕色
剤の結晶化による発色剤からの分離により、顕色剤は発
色剤から電子を受容することができず、発色剤は消色す
るものと考えられる。
【0120】熱発色性組成物に見られる前記の特異な発
消色挙動は、発色剤と顕色剤との加熱溶融による相互溶
解性、発色状態での両者の作用の強さ、顕色剤の発色剤
に対する溶解能、顕色剤の結晶性等が関係しているが、
原理的には、加熱溶融による非晶質化を起こし、一方、
発色温度よりも低い温度の加熱により結晶化を起こす発
色剤/顕色剤系であれば、本発明における組成物成分と
して利用し得るものである。さらに、この様な特性を有
するものは、熱分析において溶融による吸熱変化及び結
晶化による発熱変化を示すことから、本発明に適用し得
る発色剤/顕色剤系は、熱分解折により容易に確認する
ことができる。また、本発明に係る可逆的熱発色性組成
物系には、必要に応じて結着樹脂等の第三物質が存在さ
せることができ、例えば、高分子物質が存在してもその
可逆的な消発色挙動が保持されることが確認された。結
着樹脂としては、前記の可逆性感熱記録媒体の感熱層を
構成する樹脂母材と同様のものが使用できる。本発明の
熱発色性組成物において、その消色は顕色剤の結晶化に
よる発色剤からの分離に起因することから、消色効果の
優れたものを得るには、顕色剤の選択は重要である。
【0121】本発明の可逆性感熱記録材料に形成される
画像を反射画像として用いる場合には、記録層の背面に
光を反射する層を設けるのが望ましい。また、反射層が
あると記録層の厚みを薄くとてもコントラストを上げる
ことができる。具体的にはAl、Ni、Sn等を蒸着す
ることが挙げられる(特開昭64−14079号公報に
記載)。
【0122】また、感熱層にはその感熱層を保護するた
めに保護層を設けることができる。保護層(厚さ0.1
〜10μm)の材料としては、シリコーン系ゴム、シリ
コーン樹脂(特開昭63−221087号公報)、ポリ
シロキサングラフトポリマー(特開昭63−31738
5号公報)や紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹脂(特開
平1−133781号公報、特開平2−566号公報)
等が挙げられる。いずれの場合も、塗布時に溶剤を用い
るが、その溶剤は、記録層の樹脂ならびに有機低分子物
質を溶解しにくいほうが望ましい。感熱層の樹脂及び有
機低分子物質を溶解しにくい溶剤としてn−ヘキサン、
メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルア
ルコール等が挙げられ、特にアルコール系の溶剤がコス
ト面から望ましい。
【0123】また、これら保護層は、記録層の樹脂を架
橋するのと同時に硬化させることも可能である。この場
合には前記した方法により支持体上に記録層を形成した
後に、保護層を塗布、乾燥し、その後に前記したEB照
射装置及び照射条件により電子線照射を行ない、それぞ
れの層を硬化させればよい。
【0124】このような保護層の厚さは0.5〜10.
0μmが好ましい。これ以下の厚さでは感熱層を保護す
る効果がなく、これ以上の厚さでは熱感度が低下する。
更に、本発明において、前記カラー印刷層に用いられる
着色剤及びバインダーとしては、まず着色剤として従来
のフルカラー印刷に使用されるカラーインキ中に含まれ
る各種の染料及び顔料等が挙げられる。また、樹脂バイ
ンダーとしては各種の熱可塑性、熱硬化性、紫外線硬化
性又は電子線硬化性樹脂等を挙げることができる。この
ようなカラー印刷層の厚さは印刷色濃度に対して適宜変
更されるため、目標とする印刷色濃度に合わせて設定す
ればよい。
【0125】また更に、本発明において、前記ヘッドマ
ッチング層に用いられる耐熱性樹脂としては、前記した
保護層中に用いられる耐熱性樹脂と同じものが好ましく
用いられる。また、無機顔料としては炭酸カルシウム、
カオリン、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ケ
イ酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシ
ウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸
バリウム、タルク等を挙げることができるが、これらに
限定されるものではない。これらの無機顔料の粒径は
0.01〜10.0μmがよく、好ましくは0.05〜
8.0μmである。また、これらの無機顔料はヘッドマ
ッチング層中に単独で又は2種以上混合して使用される
が、添加量としては耐熱性樹脂1重量部に対して0.0
01〜2重量部が好ましく、更に好ましくは0.005
〜1重量部である。また、本発明において、前記保護
層、カラー印刷層、ヘッドマッチング層中に含まれる樹
脂を紫外線により硬化させる場合には、前記した感熱層
の樹脂を紫外線架橋させるために用いた架橋剤、光重合
開始剤、光重合促進剤を用いればよい。
【0126】更に、保護層形成液の溶剤やモノマー成分
等から感熱層を保護するために、保護層と感熱層との間
に中間層を設けることができる(特開平1−13378
1号公報に記載)。中間層の材料としては感熱層中の樹
脂母材の材料として挙げたものの他に下記のような熱硬
化性樹脂、熱可塑性樹脂が使用可能である。即ち、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニル
アルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽
和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド等が挙
げられる。中間層の厚さは0.1〜2μmくらいが好ま
しい。
【0127】また本発明の可逆性感熱記録媒体の層構成
としては、実開平2−3876号公報に記載されている
ように支持体上に感熱記録層と磁性材料を主成分とする
磁気記録層を有すると共に、少なくとも感熱記録層直下
又は支持体の感熱記録層対応部分が着色されている層構
成が挙げられる。または、特開平3−130188号公
報に記載されているように支持体上に磁気記録層、その
上に光反射層、更にその上に感熱層が設けられているよ
うな層構成等が挙げられるが、この場合に磁気記録層は
支持体裏面か、あるいは支持体と感熱層の間に設けてい
るかのどちらでも良く、またこれらの他の層構成であっ
ても何らさしつかえはない。
【0128】先に触れたように、本発明では支持体と記
録層の間に視認性をよくするために着色層を設けること
もできる。着色層は着色材及び樹脂バインダーを主成分
とする溶液又は分散液を対象面に塗布、乾燥するか、或
いは単に着色シートを貼り合わせることにより形成され
る。ここで着色剤としては上層の記録層の透明及び白濁
の変化を反射画像として認識できればよく、赤、黄、
青、紺、紫、黒、茶、灰、橙、緑などの色を有する染
料、顔料等が使用される。また、樹脂バインダーとして
は各種熱可塑性、熱硬化性又は紫外線硬化性樹脂が使用
される。
【0129】また、支持体と記録層との間に、空気を有
する非密着部である空気層を設けることができる。空気
層を設けると、記録層の主成分として用いられた有機高
分子材料の屈折率が1.4〜1.6程度で、空気の屈折
率1.0との差が大きいため、感熱記録層側フィルムと
非密着部との界面で光が反射し、記録層が白濁状態のと
き白濁度が増幅され、視認性が向上するので、この非密
着部位を表示部として用いることが望ましい。
【0130】非密着部位は非密着部の内部に空気を有す
るため、その非密着部が断熱層となり、感熱度が向上す
る。更に、非密着部位はクッションの役目もなし、サー
マルヘッドで圧力をかけて押さえつけても実際に感熱部
材に加わる圧力は低くなり、熱を加えても感熱層の変形
は少なく、有機低分子物質粒子の拡大もなく、繰り返し
耐久性が向上する。
【0131】さらに、支持体裏面に接着剤層又は粘着剤
層を設けて、可逆性感熱記録ラベルとして用いることも
可能である。このラベルシートは被貼着体と貼り合わさ
れるが、被貼着体としては、例えば、クレジットカード
等の塩ビカード、ICカード、IDカード、紙、フィル
ム、合成紙、ボーディングパス、定期券等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。また、支持体が
Al蒸着層のような樹脂との接着力に乏しい材質の場合
には、支持体と感熱層との間に接着層を設けてもよい
(特開平3−7377号公報)。
【0132】また本発明において可逆性感熱記録材料に
画像表示を行うための感熱記録画像表示装置として多種
多様なものが挙げられるが、その代表的なものは可逆性
感熱記録材料に画像形成・消去を行うための画像形成手
段と画像消去手段が同一の発熱体、例えばサーマルヘッ
ドで、サーマルヘッドに印加するエネルギーを変化させ
ることにより画像処理を行うことができる感熱記録画像
表示装置、または、画像形成手段がサーマルヘッドであ
り、画像消去手段がサーマルヘッド、セラミックヒー
タ、ホットスタンプ、ヒートローラ、ヒートブロック等
の発熱体を接着させる接触押圧型手段か、あるいは温風
や赤外線などを用いた非接触型手段のうち一つから選択
される感熱記録画像表示装置がある。
【0133】本発明の可逆性感熱記録材料は記録層が全
体として架橋構造を呈しているため、記録層は有機低分
子物質粒子を含めて歪みを生じることがなく、常に良好
な画像記録及び消去が行なえ、また、経時安定性に優れ
たものとなる。
【0134】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてより具体的に
説明する。ここでの部及び%は何れも重量基準である。
【0135】実施例1 (可逆性感熱記録材料の作製)約188μm厚のポリエ
ステルフィルム上にAlを約400Å厚となるように真
空蒸着して光反射層を設けた。この上に 塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体 5部 (電気化学工業社製、デンカビニール♯1000P) THF(テトラヒドロフラン) 95部 よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して、約1.5μm厚
の接着層を設けた。
【0136】さらにその上に 1,18−オクタデカジカルボン酸ドデシル 4.75部 (ミヨシ油脂社製 m.p.62℃) ステアリン酸銅 (m.p.125℃) 5.25部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 28部 (鐘淵化学工業社製;M2018 塩化ビニル80%、 酢酸ビニル20%、平均重合度=1800) DPCA−30 4.7部 (日本化薬社製 KAYARAD DPCA−30) THF 215.5部 アミルアルコール 24部 ジブチル錫ラウレート系安定剤 0.8部 (三共有機合成社製、Stann SCAT−1) よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して約8μm厚の感熱
層(可逆性感熱記録層)を設けた。次に上記のように作
成した感熱層に以下のとおりにして、電子線照射を行な
った。電子線照射装置として日新ハイボルテージ社製の
エリアビーム型電子線照射装置EBC−200−AA2
を用い、照射線量が10Mradになるように調整し
て、電子線照射を行なった。このようにして感熱層の形
成された可逆性感熱記録材料を作成した。次に、このよ
うにして形成した感熱層の上に 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10部 (鐘淵化学工業社製;M2018) C4−782 2.5部 (大日本インキ社製、ユニディックC4−782) テトラヒドロフラン 87.5部 よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥後80W/cmの紫外
線ランプで架橋させ約2μm厚のバリアー層を設けた。
次に、このようにして形成したバリアー層の上に ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の 10部 75%酢酸ブチル溶液 (大日本インキ社製、ユニディックC7−157) IPA(イソプロピルアルコール) 10部 よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後、8
0W/cmの紫外線ランプで硬化させ、約3μm厚の保
護層の形成された可逆性感熱記録材料を作成した。
【0137】実施例2 実施例1において感熱層中の1,18−オクタデカジカ
ルボン酸ドデシルをステアリン酸オクタデシル(SIG
MA社製、m.p.62℃)に変更した以外は、実施例
1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
【0138】実施例3 実施例1において感熱層中の1,18−オクタデカジカ
ルボン酸ドデシルを1,4−ブタンジオールジステアレ
ート(ミヨシ油脂社製BD−36、m.p.67〜71
℃)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感
熱記録材料を作成した。
【0139】実施例4 実施例1において感熱層中の1,18−オクタデカジカ
ルボン酸ドデシルをオクタコサン(東京化成社製、m.
p.61℃)に変更した以外は、実施例1と同様にして
可逆性感熱記録材料を作成した。
【0140】実施例5 実施例1において感熱層を下記処方に変更した以外は、
実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。 エタノールアミンジステアレート 5部 (日本化成社製、スリエイドS、m.p.80℃) パルミチン酸アマイド 5部 (日本化成社製、ダイヤミッドKP、m.p.100℃) 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 39部 (ユニオンカーバイト社製、VYHH) DPCA−30 4.7部 (日本化薬社製、KAYARAD DPCA−30) THF 178.2部 エチルセロソルブ 44.5部 ジブチル錫ラウレート系安定剤 0.8部 (三共有機合成社製、Stann SCAT−1)
【0141】実施例6 実施例5において感熱層中のパルミチン酸アマイドを高
純度ステアリン酸アマイド(日本化成社製、アマイドA
P95、m.p.107℃)に変更した以外は、実施例
5と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
【0142】実施例7 実施例5において感熱層中のパルミチン酸アマイドをメ
チロールステアリン酸アマイド(日本化成社製、メチロ
ールアマイド、m.p.111℃)に変更した以外は、
実施例5と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
【0143】比較例1 実施例1において感熱層中のステアリン酸銅をエイコサ
ン2酸(岡村製油社製SL−20−99、m.p.11
0〜125℃)に変更した以外は、実施例1と同様にし
て可逆性感熱記録材料を作成した。
【0144】比較例2 実施例1において感熱層中の1,18−オクタデカジカ
ルボン酸ドデシルをベヘン酸(SIGMA社製、m.
p.80℃)に変更し、更にステアリン酸銅をエイコサ
ン2酸(岡村製油社製 SL−20−99、m.p.1
10〜125℃)に変更した以外は、実施例1と同様に
して可逆性感熱記録材料を作成した。
【0145】比較例3 実施例5において感熱層中のエタノールアミンジステア
レートをベヘン酸ベヘニル(SIGMA社製、ベヘン酸
ベヘニル、m.p.75℃)に変更し、更にパルミチン
酸アマイドをエチレンビスベヘン酸アマイド(日本化成
社製、スリパックスB、m.p.141℃)に変更した
以外は、実施例5と同様にして可逆性感熱記録材料を作
成した。
【0146】比較例4 実施例5において感熱層中のエタノールアミンジステア
レートをベヘン酸ベヘニル(SIGMA社製、ベヘン酸
ベヘニル、m.p.75℃)に変更し、且つ添加量を
9.5重量部に変更し、更にパルミチン酸アマイドをエ
チレンビスベヘン酸アマイド(日本化成社製、スリパッ
クスB、m.p.141℃)に変更し、且つ添加量を
0.5部に変更した以外は、実施例5と同様にして可逆
性感熱記録材料を作成した。
【0147】比較例5 実施例5において感熱層中のエタノールアミンジステア
レートをベヘン酸(SIGMA社製、m.p.80℃)
に変更し、更にパルミチン酸アマイドをエイコサン2酸
(岡村製油社製、SL−20−99、m.p.110〜
125℃)に変更した以外は、実施例5と同様にして可
逆性感熱記録材料を作成した。
【0148】このようにして得られた実施例及び比較例
の各可逆性感熱記録材料について、以下に示す各性能を
測定し、その結果をまとめて表1〜表4に示す。 (人工汗液印字感度変化率の測定)前記のようにして得
られた保護層形成済の可逆性感熱記録材料を用いて、前
記した人工汗液印字感度変化率測定方法により、まず初
期白濁濃度(ODWI)を求めた。次に上記測定に用い
た記録材料をアルカリ性人工汗液中に100時間浸漬
後、乾燥してから、上記と同様な測定方法にて、経時白
濁濃度(ODWD)を求めた。また前記した方法により
地肌濃度(ODB)を測定した。次に上記により求めた
ODWI、ODWD、ODBにより人工汗液印字感度変
化率を算出した。結果を表1に示す。
【0149】
【表1】
【0150】(人工汗液消去感度変化率の測定)前記の
ようにして得られた保護層形成済の可逆性感熱記録材料
を用いて、前記した人工汗液消去感度変化率測定方法に
より、まず初期消去濃度(ODTI)を求めた。次に上
記測定に用いた記録材料をアルカリ性人工汗液中に10
0時間浸漬後、乾燥してから、上記と同様な測定方法に
て、経時消去濃度(ODTD)を求めた。次に上記によ
り求めたODTI、ODTDと人工汗液印字感度変化率
で求めたODWIにより人工汗液消去感度変化率を算出
した。結果を表2に示す。
【0151】
【表2】
【0152】(極大平均粒子径の測定)前記のようにし
て得られた保護層形成済の可逆性感熱記録材料を用い
て、前記した極大平均粒子径測定方法により、まずそれ
ぞれの感熱層断面の任意の5箇所について平均粒子径S
1〜S5を算出した。次に、上記により求めたS1〜S5
より極大平均粒子径(Sm)を算出した。結果を表3に
示す。
【0153】
【表3】
【0154】(熱圧力段差量及び熱圧力段差変化率測
定)前記のようにして得られた感熱層形成済の可逆性感
熱記録材料を用いて感熱層形成面に前記した熱圧力印加
装置により、印加圧力2.5kg/cm2、印加時間1
0秒、印加温度130℃の条件で熱圧力印加を行ない、
前記した二次元粗さ解析装置サーフコーダAY−41、
記録計RA−60E、及びサーフコーダSE30Kを用
い、熱圧力段差平均値(Dm)を読み取り、初期圧力段
差量(DI)を求めた。次に上記測定に用いたサンプル
と同時に作製した可逆性感熱記録材料を50℃の恒温槽
に24時間放置した後室温まで冷却して、上記と同様な
測定方法にて、経時熱圧力段差量(DD)を求めた。次
に上記により求めた初期熱圧力段差量(DI)と経時熱
圧力段差量(DD)により熱圧力段差変化率(DC)を算
出した。結果を表4に示す。
【0155】
【表4】
【0156】
【発明の効果】以上、実施例及び比較例の記述を含む詳
細且つ具体的な説明から明らかなように、本発明の可逆
性感熱記録材料は、初期の画像濃度及び画像消去濃度が
よく、コントラストに優れ、更に、画像形成状態或は画
像消去状態で長期間放置しても、サーマルヘッド、ホッ
トスタンプ等による画像消去後或は画像形成後の反射濃
度が悪化することがなく、コントラストが低下すること
のない、視認性に極めて優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る感熱層の熱による透明度の変化を
表わした図である。
【図2】従来の可逆製感熱記録材料の繰り返し使用の
際、有機低分子物質粒子の状態変化をモデル的に説明す
る図である。
【図3】本発明に係る他の記録層の熱による色濃度の変
化を表わした図である。
【符号の説明】
1 サーマルヘッド 2 樹脂母材 3 有機低分子物質粒子 4 支持体 5 プラテンロール 6 ずり応力 7 ずり応力により変形した有機低分子物質粒子 8 変形した有機低分子物質粒子が凝集した状態 9 有機低分子物質粒子が凝集を繰り返し極大化した状
態 10 進行方向
フロントページの続き (72)発明者 堀田 吉彦 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 諸星 邦親 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に温度に依存して透明度又は色
    調が可逆的に変化する感熱層を設けた可逆性感熱記録材
    料において、該可逆性感熱記録材料の人工汗液印字感度
    変化率が50%以下であり、且つ人工汗液消去感度変化
    率が80%以上であり、且つ該感熱層の極大平均粒子径
    が2.5μm以下であることを特徴とする可逆性感熱記
    録材料。
  2. 【請求項2】 前記感熱層が樹脂母材と該樹脂母材中に
    分散された有機低分子物質とを主成分とし、該有機低分
    子物質が、低融点有機低分子物質の少なくとも1種と高
    融点有機低分子物質の少なくとも1種以上とを混合した
    ものであり、且つ該有機低分子物質が分子構造中にフリ
    ーカルボキシル基を含有しないものであることを特徴と
    する請求項1記載の可逆性感熱記録材料。
  3. 【請求項3】 前記低融点有機低分子物質と高融点有機
    低分子物質の融点の差が20℃以上であることを特徴と
    する請求項2記載の可逆性感熱記録材料。
  4. 【請求項4】 前記低融点有機低分子物質の融点が40
    ℃以上100℃未満の範囲であり、且つ前記高融点有機
    低分子物質の融点が100℃以上200℃未満であるこ
    とを特徴とする請求項2又は3記載の可逆性感熱記録材
    料。
  5. 【請求項5】 前記感熱層の熱圧力段差量が40%以下
    であり、且つ熱圧力段差変化率が70%以下であること
    を特徴とする請求項1記載の可逆性感熱記録材料。
  6. 【請求項6】 前記感熱層中に含まれる樹脂が電子線照
    射、紫外線照射又は熱により架橋されたものであること
    を特徴とする請求項5記載の可逆性感熱記録材料。
  7. 【請求項7】 前記可逆性感熱記録材料に前記感熱層以
    外に情報記録部を設けたことを特徴とする請求項1記載
    の可逆性感熱記録材料。
  8. 【請求項8】 前記情報記録部が磁気記録層であり、磁
    気記録層を支持体と感熱層の間の全面又は一部分か、支
    持体裏面の全面又は一部分か、或いは磁気ストライプを
    表示面の一部分かのいずれかに設けたことを特徴とする
    請求項7記載の可逆性感熱記録材料。
  9. 【請求項9】 前記情報記録部がIC又は光メモリであ
    り、前記可逆性感熱記録材料の一部分に設けたことを特
    徴とする請求項7記載の可逆性感熱記録材料。
  10. 【請求項10】 前記可逆性感熱記録材料が2種類以上
    の支持体を貼り合わせた構成からなることを特徴とする
    請求項1、7、8、9のうち何れか1に記載の可逆性感
    熱記録材料。
  11. 【請求項11】 前記可逆性感熱記録材料の前記感熱層
    上に耐熱性樹脂を主成分とする保護層を設けたことを特
    徴とする請求項1記載の可逆性感熱記録材料。
  12. 【請求項12】 前記保護層上の一部分か支持体裏面の
    全面又は一部分のいずれか又は全てに、着色剤及び樹脂
    バインダーを主成分とするカラー印刷層を設けたことを
    特徴とする請求項11記載の可逆性感熱記録材料。
  13. 【請求項13】 前記保護層上又は前記カラー印刷層上
    に耐熱性樹脂及び無機顔料を主成分とするヘッドマッチ
    ング層を設けたことを特徴とする請求項11又は12記
    載の可逆性感熱記録材料。
  14. 【請求項14】 支持体上に温度に依存して透明度又は
    色調が可逆的に変化する感熱層を設けた、人工汗液印字
    感度変化率が50%以下であり、且つ人工汗液消去感度
    変化率が80%以上であり、且つ該感熱層の極大平均粒
    子径が2.5μm以下である可逆性感熱記録材料を、加
    熱により画像形成及び/又は画像消去することを特徴と
    する画像形成・消去方法。
  15. 【請求項15】 前記加熱をサーマルヘッドで行なうこ
    とを特徴とする請求項14記載の画像形成・消去方法。
  16. 【請求項16】 前記画像消去をサーマルヘッド、セラ
    ミックヒータ、ホットスタンプ、ヒートローラ、ヒート
    ブロックの少なくとも1種を用いて行なうことを特徴と
    する請求項14記載の画像形成・消去方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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