JP4845278B2 - 選択反射色を示す画像の光記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、選択反射色を示す画像の光記録方法及び光記録装置に関し、さらに詳しくは、コレステリック液晶性材料を用いた多色可逆記録を行うことのできる選択反射色を示す画像の光記録方法及び光記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまでに、等方相転移温度がガラス転移温度よりも高い高分子ネマチック液晶を主体とする光熱記録層が基体上に形成されてなり、この光熱記録層の高分子ネマチック液晶のポリドメイン構造が凍結された可逆的記録材料に対し、パルス幅変調されたレーザ光を照射することにより段階的に等方相を形成し、これをガラス転移温度以下で凍結し、階調記録する記録方法が知られている(特許第276791号)。
【0003】
また、分子量が2000以下で、ガラス転移温度が35度以上のコレステリック液晶化合物またはその混合物からなる記録材料において、コレステリック液晶状態より急冷することにより、その反射色を常温で長期間保存でき、さらに、液晶状態に戻せば繰り返し書き込むことができるカラー画像記録媒体及びそれを用いた画像形成方法も知られている(特開平11−24027号公報)。
これは、黒色塗料からなる光熱変換層を感熱層と基板との間に設け、レーザー光線の強度で加熱温度を変化させるもので、ネオジウムYAGレーザーの第二高調波(発振波長532nm)を黒色塗料の塗っていない透明のガラス面から照射したところ、照射部がオレンジ色に変化し、これを直ちに氷水に浸すとオレンジ色の画像が固定されるものである。
しかし、記録する色を変化させる方法に関しては言及されていない。
【0004】
このように、コレステリック液晶系フルカラー可逆記録材料へのレーザー記録が検討されているが、炭酸ガスレーザーやYAGレーザー等の比較的高価なレーザー装置が用いられており、また、記録光の条件制御や画像の色の精度が満足すべきレベルに達しておらず、さらに、装置の小型化や低コスト化が困難であるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の問題を解消し、記録光の条件制御が比較的容易で、高精細なフルカラー画像の記録ができ、しかも消費電力が少なく、小型化を可能とする選択反射色を示す画像の光記録方法及び光記録装置を提供することをその課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、選択反射波長と記録光の波長との関係と、その関係に起固する光熱変換層の発熱量の減少に着目し鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち、本発明によれば、第1に、加熱状態で形成したコレステリック液晶相を急冷することにより、螺旋状分子配列を固定化したコレステリックガラス相を記録することのできる記録層及び光を吸収して発熱する発熱変換層を少なくとも有する記録媒体に対して、記録光である特定の波長の光を照射して光熱変換層を加熱し、感熱記録層を等方相又はコレステリック液晶相に移転させ、記録光の照射強度又は照射時間を調整して感熱記録層の温度を上昇又は下降させながら選択反射波長を変化させ、選択反射波長が記録光の波長と一致したときに、光熱変換層における光吸収量が低下して発熱量が減少し、選択反射波長の変化量が減少する現象を利用して、記録光の波長に応じた色の画像を記録することを特徴とする選択反射色を示す画像の光記録方法が提供される。
【0008】
この第1の発明には、下記(i)〜(iv)に記載の選択反射色を示す画像の光記録方法が含まれる。
(i)複数の波長の記録光を照射し、それぞれの記録光の波長に応じた多色画像を記録するものである選択反射色を示す画像の光記録方法。
(ii)該記録光が、青、緑及び赤の3原色である選択反射色を示す画像の光記録方法。
(iii)該記録光が、レーザー光である選択反射色を示す画像の光記録方法。
(iv)該記録光が、円偏光であり、記録光の偏光方向と記録層の選択反射色の偏光方向とが一致しているものである選択反射色を示す画像の光記録方法。
【0009】
本発明によれば、第2に、加熱状態で形成したコレステリック液晶相を急冷することにより、螺旋状分子配列を固定化したコレステリックガラス相を記録することのできる記録層及び光を吸収して発熱する光熱変換層を有する記録媒体を備え、少なくとも青色、緑色又は赤色を含む複数の記録用光源、記録用光源を強度変調又はパルス幅変調する変調手段及び記録光を記録媒体の全面に照射するための光走査手段を設けたことを特徴とする光記録装置が提供される。
【0010】
本発明によれば、第3に、加熱状態で形成したコレステリック液晶相を急冷することにより、螺旋状分子配列を固定化したコレステリックガラス相を記録することのできる記録層及び光を吸収して発熱する光熱変換層を有する記録媒体を備え、感熱記録層を等方相又はコレステリック液晶相の温度まで加熱する加熱手段、少なくとも青色、緑色又は赤色を含む複数の記録用光源、記録用光源を強度変調又はパルス幅変調する変調手段及び記録光を記録媒体の全面に照射するための光走査手段を設けたことを特徴とする光記録装置が提供される。
【0011】
この第3の発明には、該加熱手段がサーマルヘッド装置であり、該記録光がレーザー光である光記録装置が含まれる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明で使用することのできる光記録媒体の構成例を示す。
支持基板1の上に、光熱変換層2、サーモトロピック性のコレステリック液晶性化合物による感熱記録層3、透明な表面保護層4を形成する。
また、コレステリック液晶の配向性向上や層間の接着性向上の目的で、各層の間に下地層や中間層を設けてもよく、光熱変換層2と感熱記録層3は、熱伝導性を向上させるために、直接接触していることが好ましい。
【0013】
支持基板1としては、一般的なプラスチックフィルム又はガラス板等を用いることができる。
シート状の光記録媒体とする場合の支持基板の厚さは、通常、50〜500μm、好ましくは100〜300μm程度とする。
その他のディスプレイ装置や情報記録媒体とする場合は、板状の剛体でもよく、支持体の厚さは特に限定されない。
また、支持基板側から光記録する場合は照射光に対して透明である必要があるが、表面保護層4側から光記録する場合は、特に限定されない。
【0014】
光熱変換層2は、光を吸収し発熱する役割を有するものであり、特開平7−186555号公報等に例示されている。
光源として可視光レーザーを用いる場合には、カーボンブラックが好ましい。
これらは通常、樹脂と併用される。
光熱変換層2に用いられる樹脂は、光吸収性の無機系材料、有機系材料を保持できるものならばよく、特に、ポリエステル/ニトロセルロース中にカーボンブラックを混合したものが光熱変換効率が高く、好ましいものとなる。
この光熱変換層2をコレスリテック液晶等が示す選択反射色をコントラストよく観察するための光吸収層としても利用する。
種々の選択反射色を観察又は読み出しするためには、読み出し光として白色光を用い、光吸収層が黒色であることが好ましい。
【0015】
表面保護層4としては、透明性に優れるプラスチックフィルムやガラス又は紫外線硬化性樹脂膜等を用いることができる。
表面保護層4の厚さは1μm程度よりも厚いものが好ましい。
これより薄いと、機械的強度が不足して保護層の破損が生じてしまう。
表面側から接触して加熱する方法ではないので、厚さの上限値には特に規定はないが、表面層の熱容量が記録層の冷却速度に影響する場合もあり、最適化する必要はある。
【0016】
感熱記録層3としては、メモリー性があり、コレステリック液晶相を固定化できるサーモトロピック液晶性化合物を含んでいれば、いずれも使用可能である。記録特性が可逆であることが環境問題等から好ましいが、非可逆記録でも本発明の記録方法を適用することができる。
感熱記録層3の厚さは、0.5〜50μm、好ましくは1〜20μmの範囲から適宜選択すればよい。
感熱記録層3が薄すぎると、最大反射が得られる波長における反射率が低くなるため、表示画像のコントラストが低下し、厚すぎると、感熱記録層での光吸収が多くなって、表示画像のコントラストが低下する。
【0017】
なお、感熱記録層3は、選択反射を示す液晶性化合物だけで構成することが好ましいが、バインダ樹脂やスペーサー粒子を含有するものであってもよい。
バインダ樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリエステル等が挙げられる。
スペーサー粒子としては、一般的な液晶デイスプレイ用に用いられてるものが使用できる。
【0018】
選択反射波長は、通常、400〜700nm程度の可視光領域に存在することが好ましく、この場合、人間が視認することができる。
ただし、機械により読み取る場合等は、紫外領域や赤外領域に選択反射波長が存在していてもよい。
本発明では、可逆記録特性と記録速度向上を両立させるために、分子量が900以上1万以下、好ましくは1000以上2000以下、で分子量分布を有しないコレステリック液晶性化合物(中分子コレステリック液晶)又はその混合物を用いることが特に好ましい。
また、本化合物又はその混合物は、ガラス転移温度(Tg)が観測される場合は、30℃以上であることが好ましい。
ただし、本発明の記録方法及び装置を低温環境下のみで取り扱う場合には、Tgは特に限定されず、取り扱う環境の温度以上であればよい。
例えば、特開平11−24027号公報に示されているようなコレステリック液晶性化合物を用いることができる。
このコレステリック液晶性化合物は、結晶相から加熱していくと融点以上で等方相となる。
そこからコレステリック液晶相を示す温度範囲まで冷却すると、温度に応じた選択反射色を示すようになる。
【0019】
一般に、高温側で短波長の色を、低温側で長波長の色を示す材料が多い。
ここで、80℃〜150℃程度の比較的高温領域でコレステリック液晶相を示すことが好ましい。
コレステリック液晶相から室温程度まで徐冷すると、結晶化して光散乱による白濁状態となる。
このとき、記録層が数10μm以下と薄い場合は、ほぼ透明として観測される場合もある。
温度によって種々の選択反射色を示すコレステリック液晶相から室温程度まで一気に急冷すると、コレステリック液晶相の螺旋状分子配列をほぼ保持したガラス状固体(コレステリックガラス相)になり、その螺旋ピッチに依存した選択反射色が固定化される。
【0020】
本発明は、以下の原理に基づく選択反射色の自己安定化現象を利用したものであり、図2に基づいて説明する。
全面が初期的に結晶化された記録媒体の一部に記録光を照射して着色画像を記録する手順を説明する。
まず、表面保護層4と透明状態(結晶相)の感熱記録層3を透過した波長λ1で光強度P1の記録光が光熱変換層2に吸収されて発熱し、感熱記録層が等方相転移温度Tc以上になる(図2A)。
その後、一時的に光照射を中断又は光強度を低下させて記録層の温度を下げ、赤色〜赤外領域の選択反射波長λ2を示すコレスリテック液晶相の温度T2の状態にする(図2B)。
【0021】
次に、選択反射波長λ2を示すコレステリック液晶相に波長λ1(λ2>λ)の光照射を開始すると、記録光は感熱記録層3を透過して再び光熱変換層2を加熱し始め、感熱記録層3の温度上昇と共にコレステリック液晶相の選択反射波長が短波長側に変化していく(図2C)。
ある時点でλ2=λ1となる温度T1になると、記録光の一部が選択反射されてしまうため、光熱変換層2に到達する光量が低下し、発熱量が低下する(図2D)。
発熱量が低下すると記録層温度が低下してλ2が長波長側に変化するため、再び記録層の透過光量が増加する(図2E)。
そして、再び発熱量が増加してλ2は短波長側に変化する(図2Cに戻る)。
このように、光照射中の選択反射色は自己安定的に照射光波長と同じλ1になる(図2Dで安定)。
記録媒体の温度自体や光強度等に多少のバラツキがあっても、記録される色は材料特性によって決まるため、記録条件設定の余裕度が大きくなる。
【0022】
1画素部への光パルスが終了すると、支持基板1への放熱等により、記録層は急冷され、ほぼλ1の選択反射色を示すガラス相として固定化される(図2F)。
この現象は、数mWから数十mWの光強度で、数ミリ秒程度の短時間でも起きると考えられる。
上記プロセスにおける記録層温度の時間変化のモデル図を図3に示す。
図3中の符号は図2中の記号と対応させている。
【0023】
また、図2Bの比較的低温のコレステリック液晶相を得るために、記録光は用いず、予備加熱装置として別途設けたサーマルヘッド等で直接記録媒体を加熱してもよい。
この場合、サーマルヘッドでの記録層の加熱は、後で記録光を照射する画像と同一の画像状であってもよく、ヒートバー等で全面を加熱しておいてもよい。
全面を加熱した場合の非画像では、図2Aのような光による加熱がないため、徐々に温度が低下するだけであり、初期状態と同様に結晶化する。
【0024】
さらに、波長の異なる複数の照射光を用いることによって、多色の照射光とほぼ同じ色の多色画像を記録することができる。
この場合は、多色記録のための制御条件は照射光源の波長のみであり、各照射光の強度や時間は同じであってもよく、記録条件の制御が容易になる。
【0025】
特に、照射光として、470nm付近の青色、540nm付近の緑色、640nm付近の赤色の3色を用いることによって、フルカラー画像の形成が可能になる。
ただし、1画素内での階調表現は困難であるため、ドット数による面積変調による階調表現となる。
光源としては、化合物半導体LEDや有機LEDを用いることができる。
また、LED出力光を効率よく利用するために、記録媒体上に集光するための集光光学系を設けてもよい。
【0026】
さらに、発光効率や集光効率を考慮した場合、光源としてレーザーダイオードを用いることが好ましい。
赤色のレーザーダイオードとしては、InGaAlAs材料で50mW以上の動作も可能である。
現状では、青色と緑色のレーザーダイオードは研究段階であり比較的出力が小さいが、GaN系材料により高出力化が実現されつつある。
また、第二高調波発生(SHG)による波長変換固体レーザーを用いることにより、青色と緑色でも数10mW以上の比較的高出力を得ることもできる。
光源のサイズも比較的小さく、マイクロチップレーザーと呼ばれている。
【0027】
コレステリック液晶相の選択反射光は、円偏光のうち片方の旋光性の光成分が反射される(図4A)。
したがって、波長λ1の無偏光を照射した場合、選択反射波長がλ1に一致して左偏光を反射し始めても、右偏光は透過して発熱に寄与してしまう。
そのため、自己安定化作用の制御性が悪くなる恐れがある。
そこで、図4Bのように記録光自体を円偏光にして、記録光の偏光方向と記録層の選択反射色の偏光方向とを一致させておくことにより、余分な透過光成分による発熱を防止することができ、自己安定化するまでの時間短縮や精度向上が期待できる。
【0028】
上記の記録を消去するためには、コレスリテックガラス相を結晶化させる。
結晶化させるためには、上記したように、一度、等方相まで加熱してから徐冷する方法と、コレスリックガラス相から直接結晶化する方法がある。
加熱手段としては、記録用の光源を用いてもよく、消去用の光源や発熱体を用いてもよい。
ただし、表面保護層側からの照射光によって発熱させる場合は、照射光の波長が記録部の選択反射波長と異なることが好ましい。
波長が同じ場合は、照射光の円偏光成分の半分が反射されてしまうため、効率よく加熱することができない。
記録部を部分的に消去する場合は、強い光強度のレーザー光等で長時間加熱し、徐冷条件を実現することが好ましい。
記録媒体の全体を一度に消去するような場合には、ホットローラやホットプレート等の発熱体を直接接触させて加熱徐冷してもよく、赤外線装置等で加熱してもよい。
【0029】
図5に、本発明の光記録装置の構成例を示す。
記録媒体5は全体消去用のヒートローラ6を介して搬送手段によって装置内を移動する。
可視光レーザー光源からの記録光は、ポリゴンミラーやガルバノミラー等の光走査手段やFθレンズ系等を通して記録媒体内の光熱変換層に集光される。
イメージメモリー等からの画像信号に応じて、レーザー駆動回路を経てレーザー光源の光強度、照射時間、周波数等が制御される。
【0030】
図2及び図3で説明したように、1画素の記録時間内において、等方相加熱用の光照射部分と、液晶相へ温度低下させる照射中断部分と、所望の色を示す温度まで再加熱する光照射部分の3つ領域に分けて制御する。
また、光照射後の記録媒体を冷却するための冷却手段を設けてもよい。
冷却手段として、常温の部材を接触させてもよく、積極的に冷却するために冷気を送風したり、ペルチェ素子で冷却した部材を接触させてもよい。
記録部全面を一度に消去する場合には、消去用ヒートローラのみを動作させて、結晶化温度まで加熱する。
【0031】
図6に、本発明の光記録装置の他の構成例を示す。
この構成では、初期の等方相への加熱を行なうための予備加熱用のサーマルヘッド7等の加熱手段を設ける。
この加熱手段により、等方相まで加熱した後、記録媒体5の移動と共に温度が低下する。
記録層が液晶相の状態である時間内に記録光が照射できるように加熱手段と光照射部の位置関係や媒体の移動速度、加熱手段での加熱温度等を適宜設定しておく。
記録光は、図6と同様な光照射装置を用いる。
この場合の記録光は、所望の色を示す温度まで再加熱するためのものであり、制御が簡便となる。
【0032】
【実施例】
支持基板として、厚さ75μmのポリエーテルイミドフィルムを用い、その表面に光熱変換層としてポリエステル ニトロセロース中にカーボンブラックを含有した黒色塗料を塗布したフィルム(住友ベークライト製、スミライトFS1401)を用いた。
表面保護層として、厚さ25μmのポリエーテルサルフォンフィルム(住友ベークライト製、スミライトFS1300)を用いた。
この支持基板の黒色塗料上にコレステリック液晶化合物(Dicholesteryl 10,12−Docosadiynedioate)を適量載せて、130℃に加熱したホットプレート上に30秒間載せて、充分に加熱溶融させた。
溶融状態で表面保護層を被せ、130℃に加熱した対向ホットプレートを載せて、1kg/cmの圧力で均一に加圧しながら、膜厚約10μmに伸ばした。
その後、5℃/minの速度で徐々に冷却して、記録層を結晶化させて初期化した。
【0033】
この状態の記録媒体の表面保護層側から入射した光の反射率は0.6%程度であり、光熱変換層の黒色が下地色として見えるカードサイズのシート状の光記録媒体を得た。
RGB三色のレーザー光源を持つ光記録装置としては、富士写真フイルム社製のラボ用デジタルカラープリントシステム「フロンティア」のレーザー走査露光部と同様の構成の装置を用いた。
【0034】
赤色には、InGaAlAsレーザーダイオードを、緑色と青色には、MgO−LiNbO3ドメイン反転バルクSHG結晶を用いた固体レーザーを使用した。
固体レーザーの励起光源には、波長809nmの高出力半導体レーザーを用いた。
各色とも数100mAの駆動電流で約20mWの光出力が得られた。露光スポットサイズは約100μmである。
【0035】
記録媒体を等方相転移温度以上に加熱する装置として、京セラ製のサーマルヘッドKDE57を用いた。
ゴムローラーによる搬送速度を0.5mm/sとし、印字幅20mm、長さ20mm範囲に画像部とした。
サーマルヘッド発熱体での記録エネルギーを100mJ/mm2とすると、記録層は、等方相転移温度以上に十分加熱され、ヘッドの出口から数ミリの位置でも媒体温度は約70℃程度で、比較的長波長の赤色の液晶相を示した。
ここに20mWの緑色レーザー光をパルス幅2msecで走査露光した部分は緑色に変化した。
同様に赤色及び青色レーザー光を照射した部分はそれぞれ赤色及び青色に変化した。
露光後、直ちに搬送用のローラに接触して記録層を冷却すると、緑色、赤色、青色の多色画像のコレステリックガラス相が記録された。
全体として約100秒で画像領域を印字できた。
また、この記録媒体の全面をヒートローラで約90℃に加熱したところ、選択反射色が消え、初期の黒色状態に戻った。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、記録光の条件制御が比較的容易で、高精細なフルカラー画像の記録ができ、しかも消費電力が少なく、小型化を可能とする選択反射色を示す画像の光記録方法及び光記録装置が提供され、この光記録分野に寄与するところはきわめて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用することのできる光記録媒体の構成例を示す図である。
【図2】選択反射色の自己安定化現象を示す図である。
【図3】記録層温度の時間変化を示す図である。
【図4】選択反射光の反射の状況を示す図である。
【図5】本発明の光記録装置の構成例を示す図である。
【図6】本発明の光記録装置の他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 支持基板
2 光熱変換層
3 感熱記録層
4 表面保護層
5 記録媒体
6 消去用ヒートローラ
7 予備加熱用サーマルヘッド

Claims (5)

  1. 加熱状態で形成したコレステリック液晶相を急冷することにより、螺旋状分子配列を固定化したコレステリックガラス相を記録することのできる記録層及び光を吸収して発熱する光熱変換層を少なくとも有する記録媒体に対して、記録光である特定の波長の光を照射して前記光熱変換層を加熱し、加熱された前記光熱変換層により前記記録層を等方相又はコレステリック液晶相に移転させ、前記記録光の照射強度又は照射時間を調整して前記記録層の温度を上昇又は下降させながら選択反射波長を変化させ、前記選択反射波長が前記記録光の波長と一致したときに、前記光熱変換層における光吸収量が低下して発熱量が減少し、前記選択反射波長の変化量が減少する現象を利用して、前記記録光の波長と同じ波長の前記選択反射波長に応じた色の画像を記録することを特徴とする選択反射色を示す画像の光記録方法。
  2. 複数の波長の記録光を照射し、それぞれの前記記録光の波長と同じ波長の選択反射波長に応じた多色画像を記録するものである請求項1に記載の選択反射色を示す画像の光記録方法。
  3. 該記録光が、青、緑及び赤の3原色である請求項1又は2に記載の選択反射色を示す画像の光記録方法。
  4. 該記録光が、レーザー光である請求項1〜3のいずれかに記載の選択反射色を示す画像の光記録方法。
  5. 該記録光が、円偏光であり、前記記録光の偏光方向と記録層の選択反射色の偏光方向とが一致しているものである請求項1〜4のいずれかに記載の選択反射色を示す画像の光記録方法。
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