JP3191251B2

JP3191251B2 - 書替え可能な感熱記録媒体

Info

Publication number: JP3191251B2
Application number: JP05857693A
Authority: JP
Inventors: 信美竹村; 二郎渡辺
Original assignee: Toppan Inc
Current assignee: Toppan Inc
Priority date: 1993-03-18
Filing date: 1993-03-18
Publication date: 2001-07-23
Anticipated expiration: 2016-07-23
Also published as: JPH06273707A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コレステリック高分子
液晶を含有する記録層を支持体上に備えた書替え可能な
感熱記録媒体に係り、特に上記記録層における発色特性
を向上できる感熱記録媒体の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】コレステリック高分子液晶は、熱エネル
ギの付与により固体相から液晶相（ガラス転移温度：Ｔ
ｇ）、液晶相から等方相（等方相転移温度：Ｔｃｌ）の
可逆的な相転移挙動を示し、低分子液晶と顕著に相違す
る点はガラス転移点を有することである。

【０００３】このガラス転移点を有するため昇温により
出現した液晶状態をガラス転移温度（Ｔｇ）以下に急冷
することによりその固定化が可能である。すなわち、こ
の液晶状態が固体中に固定化されることはメモリー性の
発現にほかならない。

【０００４】上記書替え可能な感熱記録媒体はこのコレ
ステリック高分子液晶の熱的特性を利用したものであ
る。すなわち、この種の感熱記録媒体は、支持体上に、
この支持体と強固に接着した下地層を介してコレステリ
ック高分子液晶を含有する記録層を備え、更に必要に応
じてこの記録層上に記録層の耐久性等を改良する保護層
を備えて成り、記録層の一部をサーマルプリンタ等の熱
印字手段によりコレステリック高分子液晶のガラス転移
温度（Ｔｇ）以上の記録設定温度に加熱し、この加熱に
より現れた液晶状態をガラス転移温度（Ｔｇ）以下に急
冷して固定化することで所望の記録像を形成する手段で
ある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このように、コレステ
リック高分子液晶を用いたこの種の感熱記録媒体は低分
子液晶を用いた媒体とは異なり記録像を形成でき、ま
た、他の感熱記録媒体と較べて記録像の書替えが可能な
利点を有する反面、上記液晶を高分子化したことにより
低分子液晶に比べ発色特性が悪いという問題点があり、
また、コレステリック高分子液晶に他の物質が混入する
ことにより発色特性が悪化する問題点があった。

【０００６】他方、コレステリック高分子液晶を用いた
感熱記録媒体の記録設定温度は、使用するコレステリッ
ク高分子液晶の物性（Ｔｇ、Ｔｃｌ）によって決定され
る。また色調は、加えるシェアによって決定される。よ
って、使用されるコレステリック高分子液晶のＴｇとＴ
ｃｌの範囲外の希望の温度にて、コレステリック高分子
液晶特有以外の種々色調の記録像を形成することは事実
上不可能であった。

【０００７】本発明はこのような問題点に着目してなさ
れたもので、その課題とするところは、上記コレステリ
ック高分子液晶の液晶性を高めて更に発色特性が向上
し、かつ種々色調の記録像を希望の温度にて形成するこ
とが可能な書替え可能な感熱記録媒体を提供することに
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】すなわち請求項１に係る
発明は、コレステリック高分子液晶を含有する記録層を
支持体上に少なくとも備え、この記録層の一部をコレス
テリック高分子液晶のガラス転移温度（Ｔｇ）以上の記
録設定温度に加熱しこの加熱により現れた液晶状態をガ
ラス転移温度（Ｔｇ）以下に冷却して固定化することで
記録像を形成する一方、上記記録層全体をコレステリッ
ク高分子液晶の等方相転移温度（Ｔｃｌ）以上に加熱し
記録層を透明状態にして上記記録像を消去する書替え可
能な感熱記録媒体を前提とし、上記記録層にコレステロ
ール誘導体を添加することを特徴とするものである。

【０００９】このような技術的手段において、上記コレ
ステリック高分子液晶としては、高分子液晶を構成する
重合体中のコレステリックモノマーの組成比が５モル％
以上５０モル％以下の重合体が適用できる。

【００１０】上記コレステリック高分子液晶を構成する
コレステリックモノマーとしては、

【００１１】

【化１】

【００１２】が適用でき、また、上記コレステリック高
分子液晶を構成するネマチックモノマーとしては、

【００１３】

【化２】

【００１４】が適用できる。

【００１５】そして、モノマーが重合して形成されるコ
レステリック液晶は、コレステリックモノマー重合部と
ネマチックモノマー重合部とが結合した構造を有してお
り、上記コレステリック重合部の例としては上記化学式
（１）が互いに重合した状態にあるか、

【００１６】

【化３】

【００１７】また、ネマチックモノマー重合部の例とし
ては上記化学式（２）が互いに重合した状態にある、

【００１８】

【化４】

【００１９】が挙げられる。

【００２０】但し、上記化学式（３）〜（４）中、αと
βはそれぞれのモノマーの重合度を示す整数である。

【００２１】また、上記化学式（１）〜（４）中、Ｒ₁
は水素原子若しくはメチル基であり、またＲ₂は、

【００２２】

【化５】

【００２３】又は、

【化６】

【００２４】である。

【００２５】また、化学式（１）〜（４）中、Ｒ₃は、

【００２６】

【化７】

【００２７】又は、

【００２８】

【化８】

【００２９】であり、上記化学式（７）中、Ｒ₄は、メ
チル基、エチル基、プロピル基のいずれかである。

【００３０】また、化学式（５）及び（７）〜（８）
中、メチレン基の数を示すｍとｎは、１〜１４望ましく
は４〜６の整数である。

【００３１】このポリメチレン基−（ＣＨ₂）_m−、−
（ＣＨ₂）_n−の具体例としては、メチレン基、ジメチ
レン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメ
チレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ノナ
メチレン基、デカメチレン基、ウンタメチレン基、テト
ラデカメチレン基等が挙げられる。

【００３２】ここで、上記コレステリック高分子液晶に
化学式（２）のホモポリマーを使用する場合、上記コレ
ステロール誘導体を添加しても、ホモポリマーとコレス
テロール誘導体の相溶性が悪いために、溶媒乾燥後に分
離が起こり、発色特性が変化しないことがある。

【００３３】そこで、請求項２に係る発明は請求項１に
係る発明を前提とし、上記コレステリック高分子液晶
は、コレステリックモノマーとネマチックモノマーのコ
ポリマーであることを特徴とするものである。

【００３４】これによりコレステリック高分子液晶に化
学式（１）と（２）のコポリマーを使用する場合、コポ
リマーの一部にコレステロール残基が存在することによ
り、コレステリック高分子液晶とコレステロール誘導体
の相溶性が増加して、溶媒乾燥後に誘導体の分離が起こ
らず、液晶の発色特性を向上する利点を有する。

【００３５】また、請求項３に係る発明は請求項１、２
に係る発明を前提とし、上記コレステロール誘導体は、
構造上コレステロールがエステル結合を介して有機脂肪
酸又はベンゼン環を有する酸と結合している化合物であ
ることを特徴とするものである。

【００３６】その具体例としては、

【００３７】

【化９】

【００３８】が挙げられる。また、上記化学式（９）
中、Ｘは、

【００３９】

【化１０】

【００４０】が挙げられる。

【００４１】また、請求項４に係る発明は請求項１、
２、３に係る発明を前提とし、上記コレステロール誘導
体の重量混合比は、高分子液晶に対してコレステロール
誘導体が１％以上９０％以下であることを特徴とするも
のである。

【００４２】そして、請求項１〜４に係る発明におい
て、上記コレステリック高分子液晶とコレステロール誘
導体と、必要に応じ添加される溶剤とで塗工液を調製
し、この塗工液を、バー塗布、ブレード塗布、エアーナ
イフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティングなどの塗
布手段により上記支持体又はその上に形成される介在層
上に塗布して塗膜を形成して記録層を形成するものであ
る。

【００４３】また、これ等請求項１〜４に係る発明にお
いて適用できる支持体としては、上質紙等の紙の他、プ
リペイドカード用のポリエステルシートなどのプラスチ
ックフィルムやシート等が挙げられる。また、必要に応
じ支持体上に形成される介在層としては、例えばカーボ
ンブラック等が分散された光吸収層が、また、ポリウレ
タン等の樹脂からなる下地層が挙げられる。

【００４４】このようにして製造された感熱記録媒体を
用いる記録処理は以下のようにして行う。

【００４５】但し、以下に述べる記録方式はこの感熱記
録媒体を用いた記録法の一例にすぎず、上記コレステリ
ック高分子液晶が適用された感熱記録媒体を用いて以下
に述べる記録方式と異なる記録法を取ることも当然のこ
とながら可能である。

【００４６】まず、記録層全体を一旦等方相転移温度
（Ｔｃｌ）以上に加熱し透明状態にして履歴情報を消去
しかつこれをガラス転移温度（Ｔｇ）以下に急冷して記
録層を略透明の状態に固定化する。

【００４７】次に、この記録層全体を、上記等方相転移
温度（Ｔｃｌ）以下でガラス転移温度（Ｔｇ）以上の記
録設定温度に加熱して適宜カラーの液晶状態にし、これ
をガラス転移温度（Ｔｇ）以下に冷却する際、適宜加圧
手段、例えば、一対の加熱ローラー間に挿通させる時の
圧力を調製することでこの液晶状態を固定化でき特定カ
ラーのベース状態すなわち初期化処理がなされる。

【００４８】この場合、記録層中のコレステリック高分
子液晶が選択反射能を具備しているとその記録設定温度
の設定の違いにより種々色調のカラー液晶状態を設定す
ることが可能になるためベース状態の色調を任意に設定
できる。従って、ベース状態を任意に設定することで種
々色調の記録像を形成することが可能になるため記録像
のバリエーション拡大を図ることができる利点を有す
る。

【００４９】尚、履歴情報と初期化処理とを１回の操作
で行っても当然のことながらよい。

【００５０】そして、初期化された感熱記録媒体の記録
層の一部をサーマルプリンターなどの熱印字手段により
ガラス転移温度（Ｔｇ）以上の記録設定温度に加熱し、
この加熱により現れた液晶状態をガラス転移温度（Ｔ
ｇ）以下に冷却することで非加熱部位との差別化が図ら
れる。この場合、記録設定温度をガラス転移温度（Ｔ
ｇ）以上で等方相転移温度（Ｔｃｌ）以下の適宜温度に
設定することによりその温度特有の液晶カラー状態を固
定化でき、また、上記記録設定温度を等方相転移温度
（Ｔｃｌ）以上に設定することにより略透明の液晶状態
を固定化できる。

【００５１】一方、この記録像を消去するには、先ずこ
の記録像が形成されている記録層全体を再度等方相転移
温度（Ｔｃｌ）以上に加熱して透明状態にし、以下、上
記初期化処理を施して再度の書込みに供する。

【００５２】尚、本発明による画像形成又は画像消去の
手段は熱によるものであり、例えば、サーマルプリンタ
ー、熱反射複写装置、ホットスタンパーや熱ロール等の
装置類を用いて行うことができる。

【００５３】

【作用】請求項１、２、３に係る発明によれば、コレス
テリック高分子液晶のみが溶解された塗工液を適用した
従来法に代えて、コレステロール誘導体をコレステリッ
ク高分子液晶に添加した塗工液を適用し、塗膜を形成し
記録層とするため、記録層の液晶カラー発色特性の向上
が可能となる。

【００５４】また、コレステロール誘導体がコレステリ
ック高分子液晶に添加されたことによる液晶カラーの記
録設定温度の設定が簡便となる。

【００５５】更に記録層に適用するコレステリック高分
子液晶と各種コレステロール誘導体は、添加するコレス
テロール誘導体の種類と数により、記録設定温度と液晶
カラーの設定が可能となる。

【００５６】また、請求項４に係る発明によれば、コレ
ステリック高分子液晶と添加されるコレステロール誘導
体の重量混合比は、コレステリック高分子液晶に対して
コレステロール誘導体が１％以上９０％以下になるよう
に構成されているため、コレステック高分子液晶のメモ
リー性を失わず、また、コレステロール誘導体等の記録
層での析出も起こらず、また、記録層は４００ｎｍ〜７
００ｎｍの可視領域に選択反射能を具備することになる
ため記録設定温度と液晶カラーが設定が可能となる。

【００５７】

【実施例】次に、本発明の実施例につて詳細に説明す
る。

【００５８】尚、実施例においてコレステリック高分子
液晶としては、下記化学式１１で示される化合物１を使
用した。尚、実施例中の「部」は重量部を示す。

【００５９】化合物１

【化１１】

【００６０】［実施例１］上記化学式１１で示された化
合物３のコレステリック高分子液晶２部に対して、化学
式１２で示された化合物２のコレステロール誘導体１部
を混合し、トルエン１０部を加え充分に溶解し記録塗工
液を調製し、この記録塗工液をメイヤーバーにより光吸
収層の形成された支持体（ポリエステルシート）上に塗
布し、且つ、乾燥させて塗膜を形成した。尚、上記記録
塗工液は、コレステリック高分子液晶が溶解された従来
の塗工液と較べて塗布適正が良好なため上記光吸収層上
に均一な塗膜を容易に形成できた。

【００６１】化合物２

【化１２】

【００６２】また、この記録塗工液の少量をスライドガ
ラスに挟んで薄膜を形成し、加熱し略透明化した後、僅
かのシェアを与えながら急冷して液晶状態を固定化し
た。この固定化された薄膜を偏光顕微鏡にて観察した
が、コレステロール誘導体の析出は観察されず均一なテ
クスチャーを示した。

【００６３】この様にして製造された感熱記録媒体を一
対の加熱ローラ間に一秒挿通させて上記感熱記録媒体の
初期化処理を行った。尚、上記加熱ローラの温度は感熱
記媒体のベース状態の色調がマリンブルーと成るような
発色温度に設定され、かつ、その接触圧力は１Ｋｇ／ｃ
ｍ²に設定されている。このベース状態の色調は従来の
コレステリック高分子液晶の発色特性に較べて良好な発
色特性を示した。

【００６４】そして、初期化された感熱記録媒体に対し
東芝製のサーマルシュミレータを用いその記録層を選択
的に加熱して透明状態にし、かつ、この加熱部位をガラ
ス転移温度（Ｔｇ）以下に急冷して記録層を略透明な液
晶状態に固定化した後、非加熱部位であるマリンブルー
のベース部位との差別化を図って記録像を得た。

【００６５】また、この記録像を消去するため印字され
た上記感熱記録媒体を１３０℃、２秒間加熱し略透明化
状態として履歴情報を消去し、かつ、ガラス転移温度
（Ｔｇ）以下に急冷して記録層を略透明な液晶状態に固
定化した後、上記初期化処理を施して元の記録層の状態
に戻した。

【００６６】そして、上記印字処理、消去処理、及び、
初期化処理を繰返し行ったところ再現性があり、書替え
可能な感熱記録媒体としてその特性が優れていることが
確認できた。

【００６７】［実施例２］上記化学式１１で示された化
合物１のコレステリック高分子液晶２部に対して、下記
化学式１３に示された化合物３のコレステロール誘導体
１部を混合し、トルエン１０部を加え充分に溶解し記録
塗工液を調製し、この記録塗工液を実施例１と同様に塗
工を行い支持体（ポリエステルシート）上に塗膜を形成
した。

【００６８】化合物３

【化１３】

【００６９】この様にして製造された感熱記録媒体につ
いて、実施例１と同様の操作を施してマリンブルーのベ
ース状態の色調を得た。このベース状態の色調は従来の
コレステリック高分子液晶の発色特性に較べて良好な発
色特性を示した。

【００７０】そして、初期化された感熱記録媒体につい
て、実施例１と同様に印字処理、消去処理、及び初期化
処理を繰返し行ったところ再現性があり、書替え可能な
感熱記録媒体としてその特性が優れていることが確認で
き、かつ、その書替え可能な感熱記録媒体としてその特
性が優れていることが確認できた。但し、添加コレステ
ロール誘導体を代えたことに伴い、消去処理の際の加熱
条件を１５０℃、２秒間に変更した。

【００７１】［実施例３］上記化学式１１で示された化
合物１のコレステリック高分子液晶２部に対して、下記
化学式１４に示される化合物４のコレステロール誘導体
１部を混合し、トルエン１０部を加え充分に溶解し記録
塗工液を調製し、この記録塗工液を実施例１と同様に塗
工を行い支持体（ポリエステルシート）上に塗膜を形成
した。

【００７２】化合物４

【化１４】

【００７３】この様にして製造された感熱記録媒体につ
いて、実施例１と同様の操作を施してマリンブルーのベ
ース状態の色調を得た。このベース状態の色調は従来の
コレステリック高分子液晶の発色特性に較べて良好な発
色特性を示した。

【００７４】そして、初期化された感熱記録媒体につい
て、実施例１と同様に印字処理、消去処理、及び初期化
処理を繰返し行ったところ再現性があり、書替え可能な
感熱記録媒体としてその特性が優れていることが確認で
き、かつ、その書替え可能な感熱記録媒体としてその特
性が優れていることが確認できた。但し、添加コレステ
ロール誘導体を代えたことに伴い、消去処理の際の加熱
条件を１００℃、２秒間に変更した。

【００７５】［実施例４］上記化学式１１で示された化
合物１のコレステリック高分子液晶４部に対して、上記
化学式１４に示された化合物４のコレステロール誘導体
３部を混合し、トルエン２０部を加え充分に溶解し記録
塗工液を調製し、この記録塗工液を実施例１と同様に塗
工を行い支持体（ポリエステルシート）上に塗膜を形成
した。

【００７６】この様にして製造された感熱記録媒体につ
いて、実施例１と同様の操作を施してマリンブルーのベ
ース状態の色調を得た。このベース状態の色調は実施例
３の発色特性に較べて良好な発色特性を示した。

【００７７】そして、初期化された感熱記録媒体につい
て、実施例１と同様に印字処理、消去処理、及び初期化
処理を繰返し行ったところ再現性があり、書替え可能な
感熱記録媒体としてその特性が優れていることが確認で
き、かつ、その書替え可能な感熱記録媒体としてその特
性が優れていることが確認できた。但し、添加コレステ
ロール誘導体を代えたことに伴い、消去処理の際の加熱
条件を１００℃、２秒間に変更した。

【００７８】［実施例５］上記化学式１１で示された化
合物１のコレステリック高分子液晶２部に対して、化学
式１５に示された化合物５のコレステロール誘導体１部
を混合し、トルエン１０部を加え充分に溶解し記録塗工
液を調製し、この記録塗工液を実施例１と同様に塗工を
行い支持体（ポリエステルシート）上に塗膜を形成し
た。

【００７９】化合物５

【化１５】

【００８０】この様にして製造された感熱記録媒体につ
いて、実施例１と同様の操作を施してマリンブルーのベ
ース状態の色調を得た。このベース状態の色調は従来の
コレステリック高分子液晶の発色特性に較べて良好な発
色特性を示した。

【００８１】そして、初期化された感熱記録媒体につい
て、実施例１と同様に印字処理、消去処理、及び初期化
処理を繰返し行ったところ再現性があり、書替え可能な
感熱記録媒体としてその特性が優れていることが確認で
き、かつ、その書替え可能な感熱記録媒体としてその特
性が優れていることが確認できた。但し、添加コレステ
ロール誘導体を代えたことに伴い、消去処理の際の加熱
条件を９０℃、２秒間に変更した。

【００８２】［実施例６］上記化学式１１で示された化
合物１のコレステリック高分子液晶６部に対して、上記
化学式１３に示された化合物３で示されたコレステロー
ル誘導体３部、上記化学式１４に示された化合物４のコ
レステロール誘導体１部を混合し、トルエン３０部を加
え充分に溶解し記録塗工液を調製し、この記録塗工液を
実施例１と同様に塗工を行い支持体（ポリエステルシー
ト）上に塗膜を形成した。

【００８３】この様にして製造された感熱記録媒体につ
いて、実施例１と同様の操作を施してマリンブルーのベ
ースの状態の色調を得た。このベース状態の色調は実施
例３の発色特性に較べて良好な発色特性を示した。

【００８４】そして、初期化された感熱記録媒体につい
て、実施例１と同様に印字処理、消去処理、及び初期化
処理を繰返し行ったところ再現性があり、書替え可能な
感熱記録媒体としてその特性が優れていることが確認で
き、かつ、その書替え可能な感熱記録媒体としてその特
性が優れていることが確認できた。但し、添加コレステ
ロール誘導体を代えたことに伴い、消去処理の際の加熱
条件を１２０℃、２秒間に変更した。

【００８５】

【発明の効果】本発明に係わる書替え可能な感熱記録媒
体によれば、コレステリック高分子液晶のみを記録媒体
として適用する従来法に代えて、コレステロール誘導体
とコレステリック高分子液晶の混合物を用いるため、感
熱記録媒体の発色特性の向上が図れる。

【００８６】従って、上記感熱記録媒体に印字処理を施
した際、ベース部位と記録像のコントラストを向上させ
る効果を有している。

【００８７】また、コレステロール誘導体の添加によっ
て繰返し特性の低下を伴わないため、繰返し書替え耐性
の優れる効果を有している。

【００８８】また、コレステリック高分子液晶とコレス
テロール誘導体の種類、数、混合比を変えると、コレス
テリックピッチと記録設定温度を変えることが可能とな
るため、種々色調の記録像を希望の温度にて形成するこ
とが可能となり記録像のバリエーションを拡大できる効
果を有している。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】コレステリック高分子液晶を含有する記録
層を支持体上に少なくとも備え、この記録層の一部をコ
レステリック高分子液晶のガラス転移温度（Ｔｇ）以上
の記録設定温度に加熱しこの加熱により現れた液晶状態
をガラス転移温度（Ｔｇ）以下に冷却して固定化するこ
とで記録像を形成する一方、上記記録層全体をコレステ
リック高分子液晶の等方相転移温度（Ｔｃｌ）以上に加
熱し記録層を透明状態にして上記記録像を消去する書替
え可能な感熱記録媒体において、上記記録層にコレステロール誘導体を添加することを特
徴とする書替え可能な感熱記録媒体。
【請求項２】上記コレステリック高分子液晶は、コレス
テリックモノマーとネマチックモノマーのコポリマーで
あることを特徴とする請求項１記載の書替え可能な感熱
記録媒体。
【請求項３】上記コレステロール誘導体は、構造上コレ
ステロールがエステル結合を介して有機脂肪酸又はベン
ゼン環を有する酸と結合している化合物であることを特
徴とする請求項１、２記載の書替え可能な感熱記録媒
体。
【請求項４】上記コレステロール誘導体の重量混合比
は、コレステリック高分子液晶に対してコレステロール
誘導体が１％以上９０％以下であることを特徴とする請
求項１、２、３記載の書替え可能な感熱記録媒体。