JP3016674B2 - 可逆感熱記録材料およびその記録方法 - Google Patents

可逆感熱記録材料およびその記録方法

Info

Publication number
JP3016674B2
JP3016674B2 JP15332293A JP15332293A JP3016674B2 JP 3016674 B2 JP3016674 B2 JP 3016674B2 JP 15332293 A JP15332293 A JP 15332293A JP 15332293 A JP15332293 A JP 15332293A JP 3016674 B2 JP3016674 B2 JP 3016674B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
crystal particles
organic crystal
reversible thermosensitive
melting point
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP15332293A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0725144A (ja
Inventor
正明 鈴木
貴由 上野
良雄 岸本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP15332293A priority Critical patent/JP3016674B2/ja
Publication of JPH0725144A publication Critical patent/JPH0725144A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3016674B2 publication Critical patent/JP3016674B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Sensitive Colour Forming Recording (AREA)
  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱により可逆的に記
録、消去が可能な可逆感熱記録材料に関するものであ
る。さらに詳しくは、例えば定期券、切符、回数券など
プリペイドカードなどとして用いられる書換え可能な表
示機能付きメモリーカードや、ICカード、ファクシミ
リ用記録紙などに有用な可逆感熱記録材料およびその記
録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、マトリクスポリマ中の有機結晶粒
子の融解・凝固挙動を利用して、その凝固条件によって
記録材料の透明性が変化することを利用する可逆感熱記
録材料は知られている。この可逆感熱記録材料は、熱に
よって微粒子を融解させ再び固化しその条件によって凝
固形態(多結晶状態、単結晶状態、無定形状態、非晶質
状態など)の透明性に違いを生じさせて、透明−不透明
の記録を行うものである。この感熱記録材料は、特開昭
54−119377号公報に提案されているように、マ
トリクスポリマと次のような有機分子との組合せによ
り、きわめて多様な記録材料を構成できる。ここに提案
された有機分子としては、脂肪族、芳香族のアルコー
ル、カルボン酸、アミン、アミドおよび、これらのハロ
ゲン化物、硫化物などがある。また一方、マトリクスポ
リマとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリ
ル酸、スチロール、シリコーン、ポリ塩化ビニル、塩化
ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ塩化ビニリデン、
ポリアクリロニトリル等の一般的なポリマが提案されて
いる。また、記録性能を向上するための材料構成が検討
され、特開昭57−82087号公報、特開昭57−8
2088号公報、特開平2−155786号公報、特開
平3−2089号公報などに提案されている。
【0003】可逆感熱記録材料に要請される要素として
は、可逆感熱記録性および記録特性の有無が挙げられ、
この材料を応用した可逆感熱記録媒体としては、保存安
定性、繰返し特性及びコントラスト等が挙げられる。従
って、可逆感熱記録材料としてもこれら全ての要素を満
足する必要があり、これらの要求特性を満足させるた
め、可逆感熱記録材料の有機結晶粒子として多くの有機
化合物が検討され、可逆記録性および記録特性の有無、
その性能あるいはコントラストに関して、有機結晶粒子
の融点および、有機結晶粒子の構成化合物とマトリクス
ポリマとの間に生じる水素結合性相互作用の強さが重要
であることが、特開平4−299177号公報、特開平
4−299178号公報などに提案されている。
【0004】このような可逆感熱記録材料は、一般的に
は、有機結晶粒子の融点とマトリクスポリマのガラス転
移温度で決定される透明記録温度領域に加熱することに
よって透明化され、それ以上の温度に加熱されることに
よって不透明化した情報を記録する。すなわち、高温モ
ードで不透明記録を行い、低温モードで透明記録して消
去を行うことができる。それぞれのモードの加熱の繰り
返しによって記録、消去を繰り返して行うことができ
る。
【0005】また、前述の記録方式とは逆パターンの記
録方式が特開平3−169590号公報に提案されてお
り、有機結晶粒子として飽和脂肪酸を用い、マトリクス
ポリマとしてスチレン・ブタジエン共重合体が用いられ
ている。この場合には、有機結晶粒子の融点温度以下の
温度領域の加熱によって不透明化され、それ以上の温度
で加熱されることによって透明化した情報を記録するこ
とができる。すなわち、高温モードで透明記録を行い、
低温モードで不透明記録して消去を行うことができる。
他に、この方式で記録できる材料構成としては、マトリ
クスポリマにポリビニルブチラールを用いた記録材料が
特開平4−363294号公報に提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来多くの有機結晶粒
子が提案されているが、それらを用いて作られた記録材
料は透明化温度が数十℃であるため記録の保存安定性に
劣り、かつその透明化温度範囲は数℃と狭いため記録条
件に余裕度がないという問題があった。また、この記録
特性を向上させるために、脂肪族飽和ジカルボン酸を用
いた混合有機結晶粒子の使用が特開平3−2089号公
報に提案されているが、炭素数の大きな化合物を用いて
いるために溶剤への溶解性が悪く塗料の安定性が悪いな
どの問題があった。
【0007】さらに、逆パターンの記録方式について
も、特開平3−169590号公報に提案されているス
テアリン酸(融点70℃)とスチレン・ブタジエン共重
合樹脂からなる可逆感熱記録材料において、不透明化温
度領域が約55℃〜70℃でその温度幅が約15℃であ
り、比較的記録余裕度はあるが不透明記録温度が低いた
めに安定な記録や保存を行いにくいという問題があっ
た。
【0008】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、記録温度が高く安定な記録ができると共に逆パター
ンの記録可能な新規な可逆感熱記録材料およびその記録
方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の第一の可逆感熱記録材料は、有機結晶粒子
がマトリクスポリマ中に分散された高分子組成物よりな
る記録材料であって、前記有機結晶粒子がジチオ脂肪族
ジカルボン酸を少なくとも1種類含むことを特徴とす
る。
【0010】前記可逆感熱記録材料においては、前記ジ
チオ脂肪族ジカルボン酸がジチオジプロピオン酸である
ことが好ましい。また、本発明の第二の可逆感熱記録材
料は、有機結晶粒子がマトリクスポリマ中に分散された
高分子組成物よりなる記録材料であって、前記有機結晶
粒子がジチオ脂肪族ジカルボン酸(D)と脂肪酸(F)
とからなり、その重量割合が、D/(D+F)<0.8
であることを特徴とする。
【0011】また、本発明の可逆感熱記録材料の記録方
法は、ジチオ脂肪族ジカルボン酸を少なくとも1種類含
む有機結晶粒子が、マトリクスポリマ中に分散された高
分子組成物よりなる可逆感熱記録材料を用いた記録方法
であって、前記有機結晶粒子の融点以上の記録エネルギ
ーで透明記録し、前記有機結晶粒子の融点から融点以下
50℃の範囲内の記録エネルギーで不透明記録すること
を特徴とする。
【0012】
【作用】本発明の第一の可逆感熱記録材料の構成によれ
ば、有機結晶粒子が一般式(化1)で示されるジチオ脂
肪族ジカルボン酸を少なくとも1種類含むので、有機溶
媒への溶解性が向上している。
【0013】
【化1】
【0014】この化合物は、優れた溶剤への溶解性と適
度なマトリクスポリマとの相互作用、また混合有機結晶
粒子としては他の化合物との適度な相溶性を有してい
る。そのため、良好な記録特性を示すと考えられる。そ
して、記録層を形成する際に溶媒への溶解性が良好であ
るため、優れた塗料安定性が得られ、良好な記録品質を
得られることが判明した。特に、(化1)式中のn=1
〜3の化合物である、それぞれジチオジグリコール酸
(融点107℃)、ジチオジプロピオン酸(融点157
℃)、ジチオジ酪酸(融点108℃)は優れた特性が得
られた。
【0015】また、前記ジチオ脂肪族ジカルボン酸が、
n=2のジチオジプロピオン酸であるという本発明の好
ましい構成によれば、優れた記録性能が得られる。ま
た、本発明の第二の可逆感熱記録材料の構成によれば、
有機結晶粒子がジチオ脂肪族ジカルボン酸(D)と脂肪
酸(F)とからなり、その重量割合が、D/(D+F)
<0.8であることにより、有機結晶粒子の融点以上の
記録熱エネルギーで不透明記録し、マトリクスポリマの
ガラス転移温度から有機結晶粒子の融点までの温度範囲
内の記録熱エネルギーで透明記録することができる。
【0016】また、本発明の可逆感熱記録材料の記録方
法は、ジチオ脂肪族ジカルボン酸を少なくとも1種類含
む有機結晶粒子が、マトリクスポリマ中に分散された高
分子組成物よりなる可逆感熱記録材料を用い、前記有機
結晶粒子の融点以上の記録エネルギーで透明記録し、前
記有機結晶粒子の融点から融点以下50℃の範囲内の記
録エネルギーで不透明記録することにより、従来とは逆
パターン記録で安定な記録を行うことができる。
【0017】本発明では、有機結晶粒子の構成によって
2つの異なる記録方式を用いることができる。第1の記
録方式は、有機結晶粒子をジチオ脂肪族ジカルボン酸の
みで構成した場合、またはジチオ脂肪族ジカルボン酸
(D)と他の脂肪族化合物(F)の混合重量比がD/
(D+F)≧0.8でジチオ脂肪族ジカルボン酸の割合
を多く構成した場合であり、有機結晶粒子の融点以上の
記録熱エネルギーで透明記録し、有機結晶粒子の融点か
ら融点以下50℃の範囲内の記録熱エネルギーで不透明
記録することができる。すなわち、(図2)で示すよう
に高温モードで透明記録、低温モードで不透明記録を行
い、不透明の白濁した状態に透明の情報を表示すること
ができる。
【0018】第2の記録方式は、有機結晶粒子をジチオ
脂肪族ジカルボン酸(D)と他の脂肪族化合物(F)の
混合重量比がD/(D+F)<0.8の場合であり、有
機結晶粒子の融点以上の記録熱エネルギーで不透明記録
し、マトリクスポリマのガラス転移温度から有機結晶粒
子の融点までの温度範囲内の記録熱エネルギーで透明記
録することができる。すなわち、(図3)に示すように
高温モードで不透明記録、低温モードで透明記録を行
い、透明な状態に不透明の白濁した情報を表示すること
ができる。
【0019】このように2つの記録方式をとる機構とし
ては、次のように考えられる。第1のジチオ脂肪族ジカ
ルボン酸の含有量が多い場合には、有機結晶粒子の結晶
状態が融点以上の加熱で溶解した後の冷却によって非晶
質状態になり透明化する(高温モード)。また、融点か
ら融点以下50℃の範囲で加熱するとアニール効果によ
って結晶化が進んで、マトリクスポリマ中で光を散乱し
て白濁化、不透明になる(低温モード)と考えられる。
第2の場合には、有機結晶粒子の融点以上の加熱によっ
て溶解した後の冷却によって、過冷却状態から結晶化が
進んで多結晶状態となりポリマ中で光散乱し、白濁、不
透明となる(高温モード)。また、マトリクスポリマの
ガラス転移温度から有機結晶粒子の融点までの温度範囲
の加熱によって、マトリクスポリマの軟化に伴った両者
の相互作用が生じて結晶粒界の隙間がなくなるなどの現
象によって有機結晶粒子が結晶状態のまま透明になる
(低温モード)と考えられる。
【0020】本発明の可逆感熱記録材料の材料構成にお
ける特長は、第1の記録方式の場合には、融点温度の比
較的高いジチオ脂肪族ジカルボン酸を用いることによっ
て高い温度で記録消去の制御を行うことができるため、
サーマルヘッドなどの記録機構との整合性が取り易く、
記録の制御性が向上して安定な記録を行うことができる
ことである。
【0021】また、第2の記録方式の場合は、有機結晶
粒子に融点の高いジチオ脂肪族ジカルボン酸を混合する
ことによって、脂肪酸など他の脂肪族化合物単体の場合
に比べて透明記録温度領域が拡大するため、サーマルヘ
ッドなどの記録機構との整合性が取り易くなり、記録の
制御性が向上し、安定な記録を行うことができることで
ある。さらにジチオ脂肪族ジカルボン酸の有機溶剤への
溶解性は良好なために、従来のジカルボン酸等の混合化
合物と比較して、安定な塗料を得ることができる。
【0022】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明を説明する。図
1は、本発明の可逆感熱記録を用いた記録媒体の一例の
断面概略図であり、アルミ蒸着反射層2を形成した高分
子シート1上に、本発明の可逆感熱記録層3を形成して
いる。その記録層3の上にさらに熱硬化性もしくはエネ
ルギー線照射硬化性樹脂からなる表面保護層4が形成さ
れている。可逆感熱記録層3はマトリクスポリマ6と有
機結晶粒子5より構成され、加熱温度の違いによる高温
モード、低温モードによって、記録層は透明な状態と不
透明な状態(光散乱状態)の記録状態をとる。記録につ
いては前述のように有機結晶粒子の構成によって2つの
異なった記録方式を得られる。
【0023】本発明の有機結晶粒子5は、(化1)の一
般式で示されるジチオ脂肪族ジカルボン酸を少なくとも
1種類含んで構成されており、ジチオ脂肪族ジカルボン
酸の単独、あるいは少なくとも1種の他の脂肪族化合物
との混合物として構成される。ジチオ脂肪族ジカルボン
酸(D)と他の脂肪族化合物(F)の重量割合は、好ま
しくは0.3≦D/(D+F)である。他の脂肪族化合
物の割合が多くなり過ぎるとその脂肪族化合物の特性に
近づき、透明化温度領域が狭く記録余裕度がなくなるた
め好ましくない。なお、混合する脂肪族化合物として
は、炭素数10以上の炭化水素鎖を有する化合物であ
り、高級アルコール、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪族ウ
レア、アルキルアミン、オキシカルボン酸、ジカルボン
酸、アルキレンジアミン、アルキレングリコールなどを
用いることができ、これらの混合物を用いてもよい。
【0024】一方、本発明のマトリクスポリマ6として
は有機結晶粒子5を均一に分散して保持するとともに、
高い透明度を有する必要がある。そのため、製膜性が良
好で、機械的特性に優れ、光学的に透明な性質のものが
好ましい。このような樹脂として、ポリ塩化ビニル、ポ
リ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸
ビニル共重合樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルア
ルコール共重合樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイ
ン酸共重合樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルエタ
ノールアミン共重合樹脂、塩化ビニル/アクリレート共
重合樹脂、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合樹脂、塩
化ビニリデン/アクリロニトリル共重合樹脂、酢酸セル
ロース、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメ
タクリル樹脂、アクリル/メタクリル共重合樹脂、ポリ
アミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン、スチレン
/ブタジエン共重合体、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ートなどが適用できる。中でも、部分ケン化ポリ酢酸ビ
ニル、塩化ビニル/部分ケン化酢酸ビニル共重合樹脂、
塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合樹
脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合樹脂、
塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルエタノールアミン共重
合樹脂、OH基含有ポリエステル樹脂、ポリアミド樹
脂、ブチラール樹脂などは水素結合基を有し、同じく水
素結合基を有する有機結晶粒子との相溶性が高く本発明
に適している。これらの樹脂は単独あるいは2種以上混
合して使用される。
【0025】マトリクスポリマ6と有機結晶粒子5との
組成割合は、重量比で0. 1:1〜20:1が望まし
い。さらに好ましくは、0. 3:1〜5:1である。マ
トリクスポリマ6の比率がこれ以下になると、有機結晶
粒子5の化合物分量が多くなりすぎるために記録層の均
質な塗布が困難になる。逆にマトリクスポリマ6の比率
が高くなると、有機結晶粒子5の量が少なくなるために
不透明化が難しくなり、情報のコントラストが悪くな
る。
【0026】本発明では、可逆感熱記録層3上に表面保
護層4を形成することで、記録時の機械的接触などによ
る保護の役割を持ち、記録の繰返しにおける耐久性を向
上させることができる。また、高温モードで透明記録、
低温モードで不透明記録する第1の記録方式では、表面
保護層4の存在によって熱の伝達が平均的になり均質な
記録状態を得ることができる。
【0027】本発明の可逆感熱記録媒体の表面保護層4
の樹脂成分としては、例えばアクリル系樹脂,エポキシ
系樹脂,不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が硬
度が高いハードコート効果が得られるため好ましい。ま
た、表面保護層4には酸化物超微粒子を含有させること
ができ、たとえばポリエステル樹脂,ポリアミド系樹脂
等の熱可塑性樹脂であっても適応できる。特に、アクリ
ル系エネルギー線照射硬化性樹脂を用いると、塗布後エ
ネルギー線を照射すると簡単に硬化できるため生産性に
富み、また透明性にも優れるため好ましい。アクリル系
エネルギー線照射硬化性樹脂としては、アクリロイル基
やメタアクリル基を有する透明なものが適しており、ウ
レタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、
オリゴエステルアクリレート樹脂、メタアクリレート樹
脂、アクリル酸樹脂などが単体または複数の樹脂の混合
系で用いられる。また、エネルギー線照射硬化方法は紫
外線照射、電子線照射など通常の手法が用いられる。
【0028】また、基材の高分子シート1に形成してい
るアルミ蒸着反射層2は必ずしも必要ではなく視認性の
向上のために設けており、高分子シート1も高分子樹脂
だけではなく金属、ガラス、紙など可逆感熱記録層3を
支持できるものであれば使用できる。従って、基材の高
分子シート1として透明なプラスチックシートを用いれ
ば透過型の記録媒体を形成することができ、着色した基
材を用いれば情報をカラーで表示することも可能であ
る。
【0029】次に、具体的な実施例を用いて本発明を説
明し、(表1)に実施例と比較例の記録特性の結果をま
とめて示す。 (実施例1)有機結晶粒子5として一般式(化1)にお
いてn=2のジチオジプロピオン酸(融点157℃)1
gを用い、マトリクスポリマ6として塩化ビニル/酢酸
ビニル共重合樹脂(共重合比率、塩化ビニル/酢酸ビニ
ル=87/13)3gとを、テトラヒドロフラン15g
に溶解し、アルミ蒸着層2を形成した0.2mmのポリ
エステル高分子シート1上に、可逆感熱記録層3として
12μmの厚さで形成した。その記録層3の上にさらに
表面保護層4として紫外線硬化形アクリル樹脂のプレポ
リマを5μmコーティング後、紫外線照射して硬化させ
て、(図1)に示す可逆感熱記録媒体を得た。
【0030】この可逆感熱記録媒体は、高温モードで透
明、低温モードで不透明の記録(前述の第1の記録方
式)ができた。この記録媒体の不透明記録温度領域は、
有機結晶粒子5の融点以下の約110〜155℃であ
り、その温度幅は約45℃であった。この温度条件で熱
板ヘッドによって白濁(低温モード)した後に、感熱ヘ
ッドによって有機結晶粒子5の融点157℃以上の約1
65℃の熱エネルギーを与えて記録(高温モード)を行
った。記録は、不透明状態のベースに、透明で反射層の
現われた印字パターンとして表示された。再び低温モー
ドで不透明記録を行うと、透明化した印字部分が消去さ
れ初期状態に戻った。高温モード、低温モードともに記
録温度が高く、記録温度幅が広いために、記録制御を行
い易く、安定な繰り返し記録を行うことができた。
【0031】(比較例1)有機結晶粒子5として炭素数
22の脂肪酸であるベヘン酸(融点80℃)を用いたほ
かは、実施例1と同様に記録媒体を形成した。この可逆
感熱記録媒体は、高温モードで不透明、低温モードで透
明の記録(前述の第2の記録方式)ができた。この記録
媒体の透明記録温度領域は、ベヘン酸の融点以下の約6
8〜74℃であり、その温度幅は約6℃であった。この
温度条件で熱板ヘッドによって透明(低温モード)にし
た後に、感熱ヘッドによってベヘン酸の融点80℃以上
の約95℃の熱エネルギーを与えて記録(高温モード)
を行った。記録は、透明状態の反射層表面に、不透明の
白濁印字パターンとして表示した。再び低温モードで透
明にすると、不透明化した印字部分が消去され初期状態
に戻った。しかし、低温モードの透明化温度領域が低く
てその温度幅が狭いために、温度制御が難しく、安定な
記録を繰り返し行うことが困難であった。
【0032】(実施例2)有機結晶粒子5として一般式
(化1)においてn=3のジチオジ酪酸(融点108
℃)0. 5gとベヘン酸(融点80℃)0. 5gの混合
結晶粒子を用い、マトリクスポリマ6として塩化ビニル
/酢酸ビニル/マレイン酸共重合樹脂(共重合比率、塩
化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸=86/13/1)
4gとを、テトラヒドロフラン15gに溶解し、アルミ
蒸着層2を形成した0. 2mmのポリエステル高分子シ
ート1上に、可逆感熱記録層3として10μmの厚さで
形成した。その記録層3の上にさらに表面保護層4とし
て紫外線硬化形アクリル樹脂のプレポリマを5μmコー
ティング後、紫外線照射して硬化させて、(図1)に示
す可逆感熱記録媒体を得た。
【0033】この可逆感熱記録媒体は、高温モードで不
透明、低温モードで透明の記録(前述の第2の記録方
式)ができた。この記録媒体の透明記録温度領域は、有
機結晶粒子5の融点以下の約70〜105℃であり、そ
の温度幅は約35℃であった。この温度範囲の約90℃
の熱板ヘッドによって透明化した後に、感熱ヘッドによ
って有機結晶粒子5の融点以上の約120℃の熱エネル
ギーを与えて記録を行った。記録は、透明状態の反射層
のベース上に、不透明で白濁した印字パターンが表示で
きた。再び低温モードで透明記録を行うと、印字部分が
消去され初期状態に戻った。高温モード、低温モードと
もに記録温度が高く、記録温度幅が広いために、記録制
御を行い易く、安定な繰り返し記録を行うことができ
た。
【0034】さらに記録層の塗料は、作製後2日経過し
てもテトラヒドロフランに溶解している有機結晶粒子の
化合物は析出せずに安定に保存することができた。 (比較例2)有機結晶粒子5としてベヘン酸(融点80
℃)とエイコサン2酸(融点127℃)の1対1の混合
結晶粒子を用いたほかは、実施例2と同様に記録媒体を
形成した。この可逆感熱記録媒体も実施例2と同様に、
高温モードで不透明、低温モードで透明の記録(前述の
第2の記録方式)ができた。この記録媒体の透明記録温
度領域は、約65〜90℃であり、その温度幅は約25
℃であった。この温度範囲の約85℃の熱板ヘッドによ
って透明化した後に、感熱ヘッドによって有機結晶粒子
5の融点以上の約110℃の熱エネルギーを与えて白濁
印字記録を行い、安定な繰り返し記録を行うことができ
た。しかし、記録層の塗料は、塗料温度の減少による作
製後半日経過後テトラヒドロフランに溶解している有機
結晶粒子が析出し、安定に保存することが困難であっ
た。
【0035】(比較例3)有機結晶粒子5としてステア
リン酸(融点70℃)、マトリクスポリマ6としてスチ
レン・ブタジエン共重合樹脂、有機溶剤としてトルエン
を用いたほかは、実施例1と同様に記録媒体を形成し
た。この可逆感熱記録媒体も実施例1と同様に、高温モ
ードで透明、低温モードで不透明の記録(前述の第1の
記録方式)ができた。この記録媒体の不透明記録温度領
域は、約55〜70℃であり、その温度幅は約15℃で
あった。この温度範囲の約65℃の熱板ヘッドによって
不透明、白濁化した後に、感熱ヘッドによって約100
℃の熱エネルギーを与えて透明印字記録を行い、繰り返
し記録を行うことができた。しかし、不透明記録温度が
低く、安定な記録を繰り返し行うことが困難であった。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】以上のように本発明は、有機結晶粒子と
マトリクスポリマよりなる可逆感熱記録材料の有機結晶
粒子として、ジチオ脂肪族ジカルボン酸を少なくとも1
種類含む化合物を用いることによって、記録温度範囲が
高くて広く記録制御を行い易い可逆感熱記録材料を得る
ことができると共に、その組成調整によって2種類の記
録方法が可能な可逆感熱記録材料を提供するものであ
る。また、本発明の可逆感熱記録材料を構成する有機結
晶粒子の溶剤への溶解性が高いために、塗料の安定性に
優れた製造を行うことができる。このように本発明は工
業的価値の大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の可逆感熱記録材料による記
録媒体の模式断面図である。
【図2】本発明の一実施例の可逆感熱記録材料における
第1の記録方式の透明度−温度特性図である。
【図3】本発明の一実施例の可逆感熱記録材料における
第2の記録方式の透明度−温度特性図である。
【符号の説明】
1 高分子シート 2 反射層 3 可逆感熱記録層 4 表面保護層 5 有機結晶粒子 6 マトリクスポリマ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−8538(JP,A) 特開 平1−123788(JP,A) 特開 平5−24354(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/36 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機結晶粒子がマトリクスポリマ中に分
    散された高分子組成物よりなる記録材料であって、前記
    有機結晶粒子がジチオ脂肪族ジカルボン酸を少なくとも
    1種類含むことを特徴とする可逆感熱記録材料。
  2. 【請求項2】 ジチオ脂肪族ジカルボン酸がジチオジプ
    ロピオン酸である請求項1に記載の可逆感熱記録材料。
  3. 【請求項3】 有機結晶粒子がマトリクスポリマ中に分
    散された高分子組成物よりなる記録材料であって、前記
    有機結晶粒子がジチオ脂肪族ジカルボン酸(D)と脂肪
    酸(F)とからなり、その重量割合が、D/(D+F)
    <0.8であることを特徴とする可逆感熱記録材料。
  4. 【請求項4】 ジチオ脂肪族ジカルボン酸を少なくとも
    1種類含む有機結晶粒子が、マトリクスポリマ中に分散
    された高分子組成物よりなる可逆感熱記録材料を用いた
    記録方法であって、前記有機結晶粒子の融点以上の記録
    エネルギーで透明記録し、前記有機結晶粒子の融点から
    融点以下50℃の範囲内の記録エネルギーで不透明記録
    することを特徴とする可逆感熱記録材料の記録方法。
JP15332293A 1993-06-24 1993-06-24 可逆感熱記録材料およびその記録方法 Expired - Fee Related JP3016674B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15332293A JP3016674B2 (ja) 1993-06-24 1993-06-24 可逆感熱記録材料およびその記録方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15332293A JP3016674B2 (ja) 1993-06-24 1993-06-24 可逆感熱記録材料およびその記録方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0725144A JPH0725144A (ja) 1995-01-27
JP3016674B2 true JP3016674B2 (ja) 2000-03-06

Family

ID=15559965

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15332293A Expired - Fee Related JP3016674B2 (ja) 1993-06-24 1993-06-24 可逆感熱記録材料およびその記録方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3016674B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0725144A (ja) 1995-01-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7049268B2 (en) Heat reversible recording medium, heat reversible recording label, heat reversible recording member, image processor and image processing method
JP3016674B2 (ja) 可逆感熱記録材料およびその記録方法
JPH0558034A (ja) 可逆性感熱記録材料および磁気カード
DE60108809T2 (de) Reversibles, wärmeempfindliches Aufzeichnungsmedium und -Etikett, Informationsdatenspeicherungseinheit, Bilderzeugungs- und Löschverfahren und -Gerät
US5472929A (en) Reversible heat-sensitive recording medium and magnetic card using the same
US5902768A (en) Reversible heat-sensitive recording material
JP3106765B2 (ja) 可逆感熱記録材料
JP2701613B2 (ja) 可逆感熱記録媒体
JP3871295B2 (ja) 熱可逆記録媒体、ラベル、カード、ディスク、ディスクカートリッジ及びテープカセットと画像処理方法
WO1995026883A1 (en) Reversible thermosensible recording material
JP3635311B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
JPH06313880A (ja) 書換え可能型表示媒体
JP3079827B2 (ja) 可逆感熱記録材料
JP3106599B2 (ja) 可逆感熱記録材料
JP3635310B2 (ja) 熱可逆記録媒体、カード、ラベル、ディスクカートリッジ及びディスクとその製造方法と画像処理方法
JP4056042B2 (ja) 樹脂組成物
JP3693472B2 (ja) 可逆性感熱記録材料
JP3089734B2 (ja) 可逆性感熱記録材料および磁気カード
JP4267387B2 (ja) 熱可逆記録材料、熱可逆記録ラベル、情報記憶表示部材、画像処理方法
JPH05139080A (ja) 可逆性感熱記録材料および磁気カード
JP2999386B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
JP3630346B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
JPH0577549A (ja) 可逆感熱記録材料
JPH04299177A (ja) 可逆感熱記録材料およびそれを用いた記録媒体
JPH04299178A (ja) 可逆感熱記録材料およびそれを用いた記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees