JP2999386B2 - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents

可逆性感熱記録媒体

Info

Publication number
JP2999386B2
JP2999386B2 JP7049701A JP4970195A JP2999386B2 JP 2999386 B2 JP2999386 B2 JP 2999386B2 JP 7049701 A JP7049701 A JP 7049701A JP 4970195 A JP4970195 A JP 4970195A JP 2999386 B2 JP2999386 B2 JP 2999386B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermosensitive recording
reversible thermosensitive
parts
recording medium
dicarboxylic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP7049701A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08244358A (ja
Inventor
達也 小川
晴彦 大澤
真一 小泉
実 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyodo Printing Co Ltd
Original Assignee
Kyodo Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyodo Printing Co Ltd filed Critical Kyodo Printing Co Ltd
Priority to JP7049701A priority Critical patent/JP2999386B2/ja
Publication of JPH08244358A publication Critical patent/JPH08244358A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2999386B2 publication Critical patent/JP2999386B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】本発明は、可逆性感熱記録媒体に関し、
とくに温度の変化により透明度を変化させることで所望
の文字、数字、記号、パターン等(以下「文字等」と記
す)を可逆的に書き込むことが可能な可逆性感熱記録媒
体に関する。本発明の可逆性感熱記録媒体は、たとえば
各種のプリペイド方式の磁気カードの磁気記録内容に対
応した文字等を印字して、磁気記録内容を目視可能とす
る用途に有効に利用できる。
【0002】
【従来の技術】可逆性感熱記録媒体において、可逆性感
熱記録塗料を用いて形成された可逆性感熱記録層は、外
部から熱を加えられたときに、その温度に応じて、透明
な状態から白濁状態までの範囲でその光透過性を変え、
冷却後にはその状態を保持する性質をもつので、文字等
を書換え可能に書き込むことができ、通常は透明状態の
背景に白濁させた文字等を書き込んでいる。このような
可逆性感熱記録材料として、たとえば特開昭63−39
378号、特開昭63−130380号、特開平2−1
363号公報等に記載されたものが知られている。
【0003】これら公知の可逆性感熱記録塗料は、基本
的には、 (1) 樹脂母材 (2) 有機低分子化合物 (3) 有機溶媒 の3成分からなっている。樹脂母材としては、一般に塩
化ビニル・酢酸ビニル共重合体が使用されている。また
有機溶媒は、樹脂母材、有機低分子化合物を溶解し得る
もので、一般的にはテトラヒドロフラン(THF)が使
用される。
【0004】そして有機低分子化合物は、可逆性感熱記
録媒体の主体をなすものであり、従来、炭素数16〜2
4程度の高級脂肪酸、たとえばステアリン酸あるいはベ
ヘン酸が多く用いられている。
【0005】さらに近年、より良好な可逆性、とくに広
い透明化温度が得られるものとして、数種類の有機低分
子化合物の組合わせを用いた可逆性感熱記録媒体が提案
されている。具体的には、高級脂肪酸と高級脂肪酸エス
テル、高級脂肪酸と脂肪族飽和ジカルボン酸、ジカルボ
ン酸とエステル、ジカルボン酸とチオジプロピオン酸、
高級ケトンと脂肪酸飽和ジカルボン酸、高級脂肪酸ある
いは脂環式ジカルボン酸等の、炭素数44以下の物質の
組合わせが採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような炭素数44以下の有機低分子物質の組合わせを用
いた可逆性感熱記録層では、使用された樹脂母材との相
溶性が低い等の理由から、有機低分子化合物の浮き上が
りが生じる場合が多い。このような有機低分子化合物の
浮き上がりは、所定の比率で混合されている可逆性感熱
記録層の各成分の比率を変化をもたらし、所期の可逆特
性が劣化する原因となる。また可逆性感熱記録層の表面
に浮き上がった有機低分子化合物は、これに隣接する他
の層との間の密着性を阻害し、層剥離等の問題を引き起
こす。
【0007】また可逆性感熱記録媒体では、透明な背景
と白濁した記録部分との間のコントラストが性能を評価
する上で重要な要素となるが、上記のような組成の可逆
性感熱記録層は、使用環境温度が高温になると、樹脂の
浮き上がりの傾向がさらに顕著になり、またコントラス
トが低下するという欠陥がある。
【0008】本発明の目的は、可逆性感熱記録層の透明
化温度範囲が広く、しかも本来の特性を劣化させる有機
低分子化合物の浮き上がりがなく、高温環境での記録時
にも高いコントラストが得られる可逆性感熱記録媒体を
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、基材の
少なくとも一方の面に設けられた可逆性感熱記録層を備
えた可逆性感熱記録媒体において、前記可逆性感熱記録
層が、樹脂母材と、ジカルボン酸と、下記の一般式 ROCO−(CH2n−COOR’ ・・・ (1) (ここでR,R’は同一または異なる、炭素数14〜3
2のアルキル基、nは14〜22の整数を表す。)で表
されるジカルボン酸ジエステルと、高級脂肪酸エステル
と、を含有していることを特徴とする可逆性感熱記録媒
体が提供される。
【0010】本発明の可逆性感熱記録媒体では、ジカル
ボン酸と、ジカルボン酸ジエステルと、高級脂肪酸エス
テルとの組合わせを採用したことにより、実験の結果に
よれば、有機低分子化合物(本発明においては、前記ジ
カルボン酸、前記ジカルボン酸ジエステルおよび高級脂
肪酸エステル)の浮き上がりがきわめて少ないことが分
かった。
【0011】具体的には、可逆性感熱記録層上に保護層
を形成する際、有機低分子化合物の浮き上がりがないた
めに、密着性の点から保護層の樹脂選定が非常に容易に
なるという効果をもたらす。また可逆性感熱塗料中の前
記ジカルボン酸、前記ジカルボン酸ジエステルおよび高
級脂肪酸エステルのすべてが可逆成分として作用するた
め、白濁時のコトラストが大幅に改善されるばかりでな
く、高温環境下でも十分に高いコントラストが得られ
る。
【0012】さらに前記ジカルボン酸ジエステルおよび
高級脂肪酸エステルは高級脂肪酸などに比べ分子量が比
較的大きいことに加え、分子構造が、樹脂の構造に近
く、またジカルボン酸は、両末端基に極性基を有してい
るため、界面活性剤的な挙動を示さない。これらのこと
から、樹脂母材との相溶性が良く、界面に浮き上がるこ
とのない可逆性感熱記録層を形成することができると考
えられる。
【0013】また高温環境動作型可逆性感熱記録媒体の
製造に際して、化合物選定の幅を広げることが可能とな
る。
【0014】上記の一般式(1)で示されるジカルボン
酸ジエステルにおいて、nの数が14未満では、可逆の
速度が低くなり、印字の際に、所望の白濁濃度を得るの
に長時間を必要とするようになる。なおnが33以上の
ジカルボン酸ジエステルも使用可能であるが、入手が困
難であるために高価であり、実用性に欠ける。
【0015】さらに前記ジカルボン酸ジエステルとして
は、融点が65℃以上のものが望ましい。nが14〜3
2の範囲内であっても、R,R’の炭素数が14未満で
は、融点が65℃より低く、高温(30〜40℃)環境
下での可逆的な印字/消去動作が起こらなくなる。なお
通常のジカルボン酸ジエステルではRおよびR’の炭素
数は同じであるが、炭素数が上記の範囲内であれば、相
互に異なっていてもよい。
【0016】このような条件を満足する前記ジカルボン
酸ジエステルの具体例としては、下記のようなものを挙
げることができる。
【0017】1,14−テトラデカメチレンジカルボン
酸ジミリスチル 1,15−ペンタデカメチレンジカルボン酸ジミリスチ
ル 1,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジミリスチ
ル 1,17−ヘプタデカメチレンジカルボン酸ジミリスチ
ル 1,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジミリスチ
ル 1,19−ノナデカメチレンジカルボン酸ジミリスチル 1,20−エイコサメチレンジカルボン酸ジミリスチル 1,21−ヘンエイコサメチレンジカルボン酸ジミリス
チル 1,22−ドコサメチレンジカルボン酸ジミリスチル 1,24−テトラコサメチレンジカルボン酸ジミリスチ
ル 1,28−オクタコサメチレンジカルボン酸ジミリスチ
ル 1,32−ドトリアコンタンメチレンジカルボン酸ジミ
リスチル 1,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジペンタデ
カル 1,15−ペンタデカメチレンジカルボン酸ジペンタデ
カル 1,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジペンタデ
カル 1,17−ヘプタデカメチレンジカルボン酸ジペンタデ
カル 1,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジペンタデ
カル 1,19−ノナデカメチレンジカルボン酸ジペンタデカ
ル 1,20−エイコサメチレンジカルボン酸ジペンタデカ
ル 1,21−ヘンエイコサメチレンジカルボン酸ジペンタ
デカル 1,22−ドコサメチレンジカルボン酸ジペンタデカル 1,24−テトラコサメチレンジカルボン酸ジペンタデ
カル 1,28−オクタコサメチレンジカルボン酸ジペンタデ
カル 1,32−ドトリアコンタンメチレンジカルボン酸ジペ
ンタデカル 1,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジパルミチ
ル 1,15−ペンタデカメチレンジカルボン酸ジパルミチ
ル 1,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジパルミチ
ル 1,17−ヘプタデカメチレンジカルボン酸ジパルミチ
ル 1,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジパルミチ
ル 1,19−ノナデカメチレンジカルボン酸ジパルミチル 1,20−エイコサメチレンジカルボン酸ジパルミチル 1,21−ヘンエイコサメチレンジカルボン酸ジパルミ
チル 1,22−ドコサメチレンジカルボン酸ジパルミチル 1,24−テトラコサメチレンジカルボン酸ジパルミチ
ル 1,28−オクタコサメチレンジカルボン酸ジパルミチ
ル 1,32−ドドリアコンタンメチレンジカルボン酸ジパ
ルミチル 1,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジヘプタデ
シル 1,15−ペンタデカメチレンジカルボン酸ジヘプタデ
シル 1,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジヘプタデ
シル 1,17−ヘプタデカメチレンジカルボン酸ジヘプタデ
シル 1,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジヘプタデ
シル 1,19−ノナデカメチレンジカルボン酸ジヘプタデシ
ル 1,20−エイコサメチレンジカルボン酸ジヘプタデシ
ル 1,21−ヘンエイコサメチレンジカルボン酸ジヘプタ
デシル 1,22−ドコサメチレンジカルボン酸ジヘプタデシル 1,24−テトラコサメチレンジカルボン酸ジヘプタデ
シル 1,28−オクタコサメチレンジカルボン酸ジヘプタデ
シル 1,32−ドトリアコンタンメチレンジカルボン酸ジヘ
プタデシル 1,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジステアリ
ル 1,15−ペンタデカメチレンジカルボン酸ジステアリ
ル 1,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジステアリ
ル 1,17−ヘプタデカメチレンジカルボン酸ジステアリ
ル 1,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジステアリ
ル 1,19−ノナデカメチレンジカルボン酸ジステアリル 1,20−エイコサメチレンジカルボン酸ジステアリル 1,21−ヘンエイコサメチレンジカルボン酸ジステア
リル 1,22−ドコサメチレンジカルボン酸ジステアリル 1,24−テトラコサメチレンジカルボン酸ジステアリ
ル 1,28−オクタコメチレンジカルボン酸ジステアリル
サ 1,32−ドトリアコンタンメチレンジカルボン酸ジス
テアリル 1,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル 1,15−ペンタデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル 1,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル 1,17−ヘプタデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル 1,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル 1,19−ノナデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル 1,20−エイコサメチレンジカルボン酸ジベヘニル 1,21−ヘンエイコサメチレンジカルボン酸ジベヘニ
ル 1,22−ドコサメチレンジカルボン酸ジベヘニル 1,24−テトラコサメチレンジカルボン酸ジベヘニル 1,28−オクタコサメチレンジカルボン酸ジベヘニル 1,32−ドトリアコンタンメチレンジカルボン酸ジベ
ヘニル なお、モノエステルは分子量が小さく、可逆性感熱記録
層表面に浮き上がる傾向を示すので使用できない。
【0018】本発明において、前記ジカルボン酸と前記
ジカルボン酸ジエステルとの使用割合にとくに制限はな
いが、重量比で95:5〜5:95の範囲内が好まし
い。
【0019】また本発明において、ジカルボン酸として
は、下記一般式 HOCO−R”−COOH ・・・ (2) (式中、R”はアルキル基である)で表わされるジカル
ボン酸を使用することが好ましい。
【0020】好適なジカルボン酸としては、上記一般式
(2)のR”の部分にあたる主鎖の炭素数が24以下の
ものが望ましく、具体的には、セバシン酸、ドデカン二
酸、ペンタデカン二酸、1,18−オクタデカメチレン
ジカルボン酸が挙げられる。これらの物質の融点は約1
00℃以上である。このようなジカルボン酸を前記ジカ
ルボン酸ジエステルおよび高級脂肪酸エステルとの組み
合わせで使用することで、コントラストに優れ、また透
明化温度範囲の拡大と高温度化が達成される。
【0021】本発明において、前記ジカルボン酸および
ジカルボン酸ジエステルとともに使用される高級脂肪酸
エステルは、その種類にとくに制限はないが、下記一般
式 R1−COOR2 ・・・ (3) (式中、R1は炭素数10以上のアルキル基、R2はアル
キル基である)で表わされるものが好ましい。また高級
脂肪酸エステルの融点が高くなると透明化温度域が狭く
なる傾向があるため、80℃以下の融点を持つものが特
に好ましい。具体的には、 ステアリルステアレート ステアリルベヘネート ベヘニルステアレート ベヘニルベヘネート 等が挙げられる。
【0022】このような高級脂肪酸エステルを使用する
ことで、高級脂肪酸を使用する場合と比べてコントラス
トが向上する。そのため、従来、可逆的な変化は多少認
められてもコントラストが悪く、実用性に欠けていたよ
うな記録、消去の温度域でも充分なコントラストが得ら
れるため、透明化温度範囲が実質的に拡大する効果があ
り、前記ジカルボン酸および前記ジカルボン酸ジエステ
ルと組合わせることで、実に幅広い透明化温度範囲が得
られる。前記高級脂肪酸エステルの使用割合にとくに制
限はないが、前記ジカルボン酸と前記ジカルボン酸ジエ
ステルの総量と高級脂肪酸エステルの重量比で95:5
〜5:95の範囲が好ましい。
【0023】本発明の可逆性感熱記録媒体のもう一つの
特徴は、透明化温度範囲が広いということである。可逆
性感熱記録媒体は、通常サーマルヘッドで記録(白濁
化)され、熱板や熱ロールによるスタンプ等で消去(透
明化)されているが、サーマルヘッドにより、記録だけ
でなく、消去も行う提案もあり、この記録・消去方式で
は他の消去方式と比べて可逆性感熱記録層内の温度差が
大きく、透明化温度範囲が狭いと可逆性感熱記録層の下
方に半白濁状態が残って確実な透明状態が得られないこ
とがあり、また、最近、提案されているサーマルヘッド
で消去と記録を同時に行うオーバーライト方式では、記
録された画像の消去の時間が非常に短くなることから、
透明化温度範囲の拡大は特に重要な要素である。
【0024】本発明の可逆性感熱記録媒体は、図2に示
すように、温度T1では白濁状態であり、これを温度T2
からT3の範囲内に加熱し、ついで常温に戻すと透明状
態になり、また温度T4以上に加熱し、ついで常温に戻
すと白濁状態になるという変化を示し、これを可逆性に
繰り返すことができる。本発明において、透明化温度範
囲とは温度T2からT3の温度範囲のことである。
【0025】本発明の可逆性感熱記録媒体において、樹
脂母材は、通常の可逆性感熱記録層に使用されている物
質、たとえばポリ塩化ビニル、あるいは塩化ビニルと塩
化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイ
ン酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリルまたはポ
リエステルの1種または2種以上との共重合体等を使用
することができ、好適には塩化ビニル・酢酸ビニル共重
合体、またはマレイン酸やビニルアルコール等が分子内
に導入された塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体が使用で
きる。
【0026】樹脂母材と前記有機低分子化合物(前記ジ
カルボン酸と前記ジカルボン酸ジエステルおよび高級脂
肪酸エステル)との使用割合は、重量比で2:1〜1:
16程度が好ましく、とくに好ましくは1:1〜1:4
である。本発明に使用する有機低分子化合物は、樹脂母
材との相溶性がよく、可逆性感熱記録層表面への浮き上
がりが非常に少ないため、従来、とくに好ましいとされ
ている割合より有機低分子化合物を多くすることがで
き、コントラストを向上させることができる。
【0027】さらに本発明において、可逆性感熱記録層
は、透明化温度範囲を拡大させるために、樹脂母材より
低いガラス転移点(Tg)、好ましくは50℃以下のガ
ラス転移点をもつ樹脂(以下,「低Tg樹脂」という)
を必要により含有することができる。このような樹脂と
してはアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、あるい
は、ポリアミド系樹脂を有利に使用することができる。
【0028】さらに可逆性感熱記録層には、印字/消去
の書換え耐久性を向上させるために紫外線や電子線等の
放射線で硬化する放射線硬化型樹脂を含有させることが
でき、このような放射線硬化型樹脂を含む塗料を塗布・
乾燥後、紫外線または電子線等の放射線で硬化させる。
放射線硬化型樹脂の添加割合は特に制限はないが、好ま
しくは樹脂母材100重量部に対して0.1〜50重量
部である。特に放射線硬化型樹脂として脂肪族のモノア
クリレートまたはジアクリレート、テトラヒドロフリル
基をもつアクリレートまたはメタクリレートを使用する
と、40℃程度で数日から数週間保存した後でもサーマ
ルヘッドによる消去エネルギー範囲の変化が少ないので
好ましい。
【0029】本発明の可逆性感熱記録媒体は、基本的に
は、適当な基材の少なくとも一方の表面に、前述のよう
な可逆性感熱記録層を設けたものであるが、実際には、
種々の目的で1またはそれ以上の層が設けられる。これ
らの層としては、平滑層、金属蒸着層、中間層、印刷
層、保護層等が挙げられる。
【0030】図1に、本発明の可逆性感熱記録媒体の具
体的な構造の一例を示す。図1において、符号1は基材
を示し、その一方の表面に、平滑層2、金属蒸着層3、
可逆性感熱記録層4、中間層5、印刷層6および保護層
7がこの順序で形成されている。
【0031】本発明に使用する基材1としては、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
ホスファゲン、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、
エポキシ樹脂、ガラス、金属板、紙、合成紙などであっ
てもよく、また、これらに磁気記録層などを形成したも
のであってもよい。
【0032】平滑層2は、紫外線硬化型樹脂により厚さ
2〜4μmに形成され、この上に形成される金属蒸着層
3の表面が鏡面となるために適度な平滑性を与えるもの
である。
【0033】金属蒸着層3は、アルミニウム、スズ等の
金属を蒸着により数百オングストローム、好ましくは3
00〜1000オングストロームの厚さに形成され、そ
の上に形成される可逆性感熱記録層4の文字等の情報を
反射光で見やすくするものである。
【0034】中間層5は、その上の保護層7を形成する
塗料に含まれる溶剤等から可逆性感熱記録層4を保護す
るために設けられる。また印刷層6は、可逆性感熱記録
層4と中間層5の間、または可逆性感熱記録層4と保護
層7との間、あるいは保護層7上に、文字等の書換え不
要な情報を印刷により形成したものである。印刷層を保
護層7上に設ける場合には、その上に印刷保護層(図示
せず)を設けることが望ましい。
【0035】また保護層7の材料としてはセルロース系
樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系
樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、紫外線硬化型
樹脂または電子線硬化型樹脂等の耐摩耗性および耐熱性
の良好な材料が挙げられる。また保護層にはフタル酸エ
ステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル等の可塑剤
や、滑性を付与するために低分子ポリエチレン、オレイ
ルアマイド、ステアリルアマイド、シリコーンオイル等
を添加できる。
【0036】以下に本発明の実施例、および本発明の範
囲外である比較例を示す。なお実施例および比較例にお
いて、部はすべて重量部を表す。
【0037】
【実施例】図1の構成の可逆性感熱記録媒体において、
下記の組成からなる塗料をそれぞれ使用して、可逆性感
熱記録層4を有する可逆性感熱記録媒体を調製した。各
実施例および比較例において、PET基材1上に、紫外
線硬化型樹脂(大日本インキ化学工業(株)製商品名
「C7−164])を塗布し、紫外線照射により硬化さ
せた厚さ3μmの平滑層2を設け、その上に厚さ700
オングストロームのアルミニウムからなる金属蒸着層3
を設けたものを用意し、可逆性感熱記録層4は、この金
属蒸着層3上にワイヤーバーにより塗布後、130℃で
1分乾燥し、また紫外線硬化型樹脂を添加した実施例3
−1,3−2では記録層の塗布乾燥後に80W/cm×
2灯、30m/minの条件で紫外線を照射して、厚さ
約5μmで形成された。また保護層7は、紫外線硬化型
ハードコート剤を塗工し(膜厚2μm)、紫外線照射を
行って形成した。
【0038】 (実施例1−1) ドデカン二酸 5部 ベヘニルベヘネート 15部 1,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジパルミチル 10部 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 60部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VMCH」) THF 700部 (実施例1−2) ドデカン二酸 5部 ベヘニルベヘネート 20部 1,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジステアリル 5部 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 60部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VMCH」) THF 700部 (実施例1−3) ドデカン二酸 5部 ベヘニルベヘネート 15部 1,12−ドデカンジカルボン酸ジヘキサデシル 10部 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 60部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VMCH」) THF 700部 (実施例1−4) ドデカン二酸 5部 ベヘニルベヘネート 20部 1,12−ドデカンジカルボン酸ジヘキサデシル 5部 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 60部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VMCH」) THF 700部 (実施例2−1) ドデカン二酸 5部 ベヘニルベヘネート 15部 1,18−オクタデカジカルボン酸ジステアリル 10部 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 60部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VMCH」) 低Tg樹脂 60部 (東亜合成化学社製商品名「S−2040(N.V.30%)」) THF 700部 (実施例2−2) ドデカン二酸 5部 ベヘニルベヘネート 20部 1,18−オクタデカジカルボン酸ジステアリル 5部 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 60部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VMCH」) 低Tg樹脂 60部 (東亜合成化学社製商品名「S−2040(N.V.30%)」) THF 700部 (実施例2−3) ドデカン二酸 5部 ステアリルステアレート 15部 1,18−オクタデカジカルボン酸ジステアリル 10部 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 60部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VMCH」) 低Tg樹脂 60部 (東亜合成化学社製商品名「S−2040(N.V.30%)」) THF 700部 (実施例2−4) ドデカン二酸 5部 ステアリルステアレート 20部 1,18−オクタデカジカルボン酸ジステアリル 5部 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 60部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VMCH」) 低Tg樹脂 60部 (東亜合成化学社製商品名「S−2040(N.V.30%)」) THF 700部 (実施例3−1) ドデカン二酸 5部 ベヘニルベヘネート 15部 1,18−オクタデカジカルボン酸ジステアリル 10部 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 60部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VMCH」) 低Tg樹脂 60部 (東亜合成化学社製商品名「S−2040(N.V.30%)」) 紫外線硬化型樹脂(トリプロピレンジアクリレート) 20部 光重合開始剤 (チバガイギー社製商品名「イルガキュア184」) 1部 THF 700部 (実施例3−2) ドデカン二酸 5部 ベヘニルベヘネート 20部 1,18−オクタデカジカルボン酸ジステアリル 5部 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 60部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VMCH」) 低Tg樹脂 60部 (東亜合成化学社製商品名「S−2040(N.V.30%)」) 紫外線硬化型樹脂(トリプロピレンジアクリレート) 20部 光重合開始剤 (チバガイギー社製商品名「イルガキュア184」) 1部 THF 700部 (比較例1) 1,12−テトラデカン二酸 16部 リグノセリン酸エチル 32部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 100部 (日信化学社(株)製商品名「MPR−TS」) THF 700部 (比較例2) ベヘン酸 95部 ペンタデカン二酸 5部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 250部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VYHH」) フタル酸ジ(2−エチルヘキシル) 30部 THF 1500部 (比較例3) ベヘン酸 80部 ペンタデカン二酸 20部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 250部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VYHH」) THF 1500部 (比較例4) ベヘン酸 30部 ペンタデカン二酸 70部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 250部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VYHH」) THF 1500部 (比較例5) ベヘン酸 80部 コハク酸 20部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 250部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VYHH」) THF 1500部 (比較例6) ベヘン酸 30部 ドデカン二酸 70部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 250部 (ユニオンカーバイド社製商品名「VYHH」) THF 1500部 上記の各実施例および比較例で得られた可逆性感熱記録
媒体の諸特性を測定し、その結果をまとめて下記の表1
に示す。
【0039】
【表1】 表1において、高温環境動作限界温度とは、可逆的な記
録が行える周囲の環境温度の上限の温度である。有機低
分子化合物の浮き上がりは記録層塗工後、脱脂綿にてふ
き取りを行い表面性の違いを評価した。なお有機低分子
化合物の浮き上がりがないものを「○」、有機低分子化
合物の浮き上がりがあるものを「×」で示した。反射濃
度はマクベス反射濃度計RD−914で測定した。透明
化温度測定は、熱傾斜試験機((株)東洋精機製作所製
HG−100)を使用して行った。なお最小は白濁状態
であり、最大は透明化状態での地肌濃度を表わしてい
る。
【0040】比較例2〜6では、反射濃度の最小(白
濁)の値が大きいため、実際に目視で観察すると透明に
近く、透明部分(地肌)とのコントラストはあまりよく
なかった。これに対し本発明の実施例1−1〜3−2で
は、反射濃度の最小(白濁)の値が小さいため、目視に
おいても十分に白く観察され、最大(地肌)の値も大き
いため、コントラストに優れていた。
【0041】表1の結果から、本発明の可逆性感熱記録
媒体は、本発明の範囲外の組成を有する比較例と比較し
て、下記のような効果を有していることが明らかであ
る。 1.可逆性感熱記録層を塗工した際、有機低分子化合物
の浮き上がりがない。 2.透明化温度範囲が十分に大きい。 3.コントラストに優れている。 4.高温環境動作限界温度が高い。
【0042】
【発明の効果】以上のように本発明可逆性感熱記録媒体
は、優れた印字/消去性能を有するとともに、記録層上
への有機低分子物質の浮き上がりがなく、とくに高温環
境での使用時にも高いコントラストを維持する。したが
って所望のコントラストを保ちながら、使用温度範囲の
高温化が可能であり、可逆性感熱記録媒体の設計の自由
度が拡大し、高温動作に対する要求に対応できる。
【0043】また従来から提案されている有機低分子化
合物より分子量が大きな化合物でも、可逆性感熱記録媒
体として使える可能性を提示する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による可逆性感熱記録媒体を
示す概略的断面図。
【図2】本発明の可逆性感熱記録媒体に用いられた可逆
性感熱記録媒層の加熱・冷却履歴と反射濃度との関係を
示すグラフ。
【符号の簡単な説明】
1 基材 2 平滑層 3 金属蒸着層 4 可逆性感熱記録層 5 中間層 6 印刷層 7 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 実 東京都文京区小石川四丁目14番12号 共 同印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−312576(JP,A) 特開 平6−312577(JP,A) 特開 平7−108773(JP,A) 特開 平7−257050(JP,A) 特開 平6−55844(JP,A) 特開 平6−255247(JP,A) 特開 平6−286311(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/36

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の少なくとも一方の面に設けられた
    可逆性感熱記録層を備えた可逆性感熱記録媒体におい
    て、前記可逆性感熱記録層が、 樹脂母材に、 ジカルボン酸と、 下記の一般式 ROCO−(CH2n −COOR’・・・ (1) (ここでR,R’は同一または異なる、炭素数14〜3
    のアルキル基、nは14〜22の整数を表す。)で表
    されるジカルボン酸ジエステルと、 高級脂肪酸エステルと、 の3つの成分を添加したことを特徴とする可逆性感熱記
    録媒体。
  2. 【請求項2】 前記ジカルボン酸が、下記一般式 HOCO−R”−COOH ・・・ (2) (式中、R”は炭素数24以下のアルキル基である)で
    表されるジカルボン酸である請求項1に記載の可逆性感
    熱記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記ジカルボン酸ジエステルは、融点が
    65℃以上のものである請求項1または2に記載の可逆
    性感熱記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記高級脂肪酸エステルが、下記一般式 R1 −COOR2 ・・・ (3) (式中、R1 は炭素数10以上のアルキル基、R2 はア
    ルキル基である)で表されるものである請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の可逆性感熱記録媒体。
  5. 【請求項5】 高級脂肪酸エステルは融点が80℃以下
    のものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の可逆
    性感熱記録媒体。
JP7049701A 1995-03-09 1995-03-09 可逆性感熱記録媒体 Expired - Fee Related JP2999386B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7049701A JP2999386B2 (ja) 1995-03-09 1995-03-09 可逆性感熱記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7049701A JP2999386B2 (ja) 1995-03-09 1995-03-09 可逆性感熱記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08244358A JPH08244358A (ja) 1996-09-24
JP2999386B2 true JP2999386B2 (ja) 2000-01-17

Family

ID=12838497

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7049701A Expired - Fee Related JP2999386B2 (ja) 1995-03-09 1995-03-09 可逆性感熱記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2999386B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6759997B2 (ja) * 2016-11-14 2020-09-23 日油株式会社 トナー用ワックス組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08244358A (ja) 1996-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2999386B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
US5278129A (en) Rewritable thermosensitive recording medium
US5472929A (en) Reversible heat-sensitive recording medium and magnetic card using the same
JP3476033B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
US5869421A (en) Reversible thermosensitive recording material
JP3410842B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
JP3646815B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
JP3630346B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
JP3242195B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
JP3278008B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
JPH0796679A (ja) 可逆性感熱記録媒体
JP3293701B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
JP3003745B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
JP3185952B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
JP3089734B2 (ja) 可逆性感熱記録材料および磁気カード
JP2707920B2 (ja) 書替え可能な感熱記録媒体
JPH11170710A (ja) 可逆性感熱記録媒体
JP2704595B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
JPH10264537A (ja) 可逆性感熱記録媒体
JP2587473Y2 (ja) 磁気記録媒体
JP3388415B2 (ja) 感熱記録媒体の製造方法
JP3460871B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
JPH07276813A (ja) 可逆性感熱記録媒体の製造方法
JP3315811B2 (ja) 可逆性感熱記録材料
JP3270342B2 (ja) 熱可逆性記録材料

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees