JPH07276813A - 可逆性感熱記録媒体の製造方法 - Google Patents

可逆性感熱記録媒体の製造方法

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JPH07276813A
JPH07276813A JP6067047A JP6704794A JPH07276813A JP H07276813 A JPH07276813 A JP H07276813A JP 6067047 A JP6067047 A JP 6067047A JP 6704794 A JP6704794 A JP 6704794A JP H07276813 A JPH07276813 A JP H07276813A
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JP
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temperature
temp
thermosensitive recording
reversible thermosensitive
recording layer
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JP6067047A
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English (en)
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Haruhiko Osawa
晴彦 大澤
Tatsuya Ogawa
達也 小川
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Kyodo Printing Co Ltd
Original Assignee
Kyodo Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多数回の書換えが可能で、高い明瞭度をもっ
て情報を記録することができる可逆性感熱記録媒体を製
造する方法を提供する。 【構成】 室温より高い温度域T1に加熱した後、室温
まで冷却すると透明状態になり、この温度域T1よりも
高い温度域T2に加熱した後、室温まで冷却すると白濁
状態になり、これを可逆的に繰り返す可逆性感熱記録層
を備えた可逆性感熱記録媒体を製造する方法において、
可逆性感熱記録層が、脂肪族カルボン酸および有機溶媒
を主要成分とする塗料の温度と基材の温度とを、脂肪族
カルボン酸が有機溶媒に溶解する第1の温度にして、塗
料を基材に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を有機溶媒
の沸点以上である第2の温度で乾燥し、乾燥された塗膜
を第2の温度から温度域T1の下限の温度まで一定の割
合で冷却し、温度域T1の下限の温度から、その温度の
もとで可逆的な記録が可能である上限温度までの温度帯
域を所定の所要時間を要して通過するように冷却するこ
とからなる方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、可逆性感熱記録媒体に
関し、とくに温度の変化により透明度を変化させること
で所望の文字、数字、記号、パターン等(以下「文字
等」と記す)を可逆的に書き込むことが可能な可逆性感
熱記録媒体に関する。本発明の可逆性感熱記録媒体は、
たとえば各種のプリペイド方式の磁気カードの磁気記録
内容に対応した文字等を印字して、磁気記録内容を目視
可能とする用途に有効に利用できる。
【0002】
【従来の技術】可逆性感熱記録媒体において、可逆性感
熱記録塗料を用いて形成された可逆性感熱記録層は、外
部から熱を加えられたときに、その温度に応じて、透明
な状態から白濁状態までの範囲でその光透過性を変え、
冷却後にはその状態を保持する性質をもつので、文字等
を書換え可能に書き込むことができ、通常は透明状態の
背景に白濁させた文字等を書き込んでいる。このような
可逆性感熱記録材料として、たとえば特開昭63−39
378号、特開昭63−130380号、特開平2−1
363号公報等に記載されたものが知られている。
【0003】これら公知の可逆性感熱記録塗料は、基本
的には、 (1) 樹脂母材 (2) 高級脂肪酸 (3) 有機溶媒 の3成分からなっている。樹脂母材としては、一般に塩
化ビニル・酢酸ビニル共重合体が使用されている。また
高級脂肪酸としては、炭素数16〜24程度の脂肪酸、
たとえばステアリン酸あるいはベヘン酸が多く用いられ
ている。有機溶媒は、樹脂母材、高級脂肪酸を溶解し得
るもので、一般的にはテトラヒドロフラン(THF)が
使用される。
【0004】前述のような可逆性感熱記録媒体は、PE
Tのような材料からなる支持体の少なくとも片面に、磁
性粉を含有する磁気記録層、平滑層、光反射層、可逆性
感熱記録層、および保護層をこの順序で順次に積層した
構造を有し、そして通常、所望の視覚的情報を付与する
ために、可逆性感熱記録層と保護層との間に印刷層が設
けられる。
【0005】従来、可逆性感熱記録層の形成は、あらか
じめ基材の上に磁気記録層、平滑層および光反射層を形
成した後、光反射層の上に、前述のような組成を有する
塗料を所定の厚さで塗布し、ついで加熱乾燥、放冷する
ことにより行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前述のよ
うな従来の方法で製造された可逆性感熱記録媒体は、製
造中に高級脂肪酸等の脂肪族カルボン酸が析出して、可
逆性感熱記録層表面に浮き上がることがあり、これが原
因となって保護層との密着性が悪くなったり、表面の平
滑性が低くなったりして、このため外観が悪くなるとい
う欠点を持っている。また脂肪族カルボン酸が表面に析
出してしまうと、可逆性感熱記録層に所定の文字等を記
録した場合の白濁した部分と透明のままの部分との間の
コントラストが十分でなく、記録された可視情報の明瞭
度もしくは視認性が低くなるということが挙げられる。
【0007】本発明の目的は、従来の可逆性感熱記録媒
体の上記のような欠点を解消して、高い表面平滑性を有
するとともに、高い明瞭度もしくは視認性をもって情報
を記録することができるような可逆性感熱記録媒体の製
造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、室温よ
り高い温度域T1に加熱した後、室温まで冷却すると透
明状態になり、前記温度域T1よりも高い温度域T2に
加熱した後、室温まで冷却すると白濁状態になり、これ
を可逆的に繰り返す可逆性感熱記録層を基材上に備えた
可逆性感熱記録媒体を製造する方法において、前記可逆
性感熱記録層は、脂肪族カルボン酸および有機溶媒を主
要成分とする塗料の温度と、前記基材の温度とを、前記
脂肪族カルボン酸が前記有機溶媒に溶解する第1の温度
にして、前記塗料を前記基材に塗布して塗膜を形成する
工程と、前記塗膜を前記有機溶媒の沸点以上である第2
の温度で乾燥する工程と、前記乾燥工程で乾燥された塗
膜を、前記第2の温度から前記温度域T1の下限の温度
まで一定の割合で冷却する第1の冷却工程と、前記温度
域T1の下限の温度から、その温度のもとで可逆的な記
録が可能である上限温度までの温度帯域を所定の所要時
間を要して通過するように冷却する第2の冷却工程と、
を経て形成されることを特徴とする可逆性感熱記録媒体
の製造方法が提供される。
【0009】すなわち本発明の可逆性感熱記録媒体の製
造方法においては、可逆性感熱記録層を形成するための
塗料を塗布する際に、(1)塗料の温度と基材の温度を、
塗料中の脂肪族カルボン酸が有機溶媒に溶解する第1の
温度に保持した状態で塗布する工程、(2)つぎに塗膜を
有機溶媒の沸点以上である第2の温度で乾燥する工程、
(3)さらに第2の温度から、前記温度域T1(以下「透
明化温度域」という)の下限の温度まで一定の割合で冷
却する第1の冷却工程、(4)さらに前記温度域T1の下
限の温度から、その温度のもとで可逆的な記録が可能で
ある上限温度(以下「上限動作温度」という)までの温
度帯域を所定の所要時間を要して通過するように冷却す
る第2の冷却工程、という4段階の温度管理が行われ
る。
【0010】ここで、上限動作温度について説明する。
前記の可逆性感熱記録媒体は、室温のもとでサーマルヘ
ッドにより印字・消去可能であるが、周囲の環境温度が
ある温度以上になると可逆的な記録ができなくなる。上
限動作温度とは、可逆的な記録が可能である周囲の環境
温度の上限の温度である。
【0011】このような温度管理を行うことにより、得
られた可逆性感熱記録媒体は、表面の平滑度がきわめて
良好であり、また記録のために白濁させた部分とその他
の部分との間のコントラストが向上し、優れた視認性を
発揮することができる。
【0012】第1段階では、基材は塗料とほぼ等しい温
度に加熱され、この温度で塗布が行われる。本発明者が
行った実験によれば、塗料の温度が約40℃である場
合、基材の温度は、40℃もしくはこれよりも幾分高い
場合に、良好な塗膜を得ることができた。塗料だけでな
く、基材も加熱することで、塗料中に含まれる溶媒(T
HFなど)の気化熱により、基材の温度が脂肪族カルボ
ン酸の析出する温度以下に下がることを防ぐことがで
き、平滑性に優れた可逆性感熱記録媒層を得ることがで
きる。また加熱により、塗料中に存在する脂肪族カルボ
ン酸が、室温では溶解しきれない量でも溶解するため
に、多量の脂肪族カルボン酸を添加することが可能にな
り、発色性の高い可逆性感熱記録層が得られるという利
点もある。
【0013】第2の段階では、塗膜は有機溶媒の沸点以
上の温度に加熱され、有機溶媒は蒸発する。乾燥の上限
温度にとくに制限はないが、基材としてPETを使用し
た場合、その耐熱温度は約180℃であるので、この温
度が実際上の上限となる。
【0014】第3段階では、乾燥のために高温に加熱さ
れた塗膜は、一定の割合で前記温度域T1(透明化温度
域)の下限の温度まで冷却される。この冷却は、可能な
限り緩やかに行うことが望ましいが、生産性等の観点か
ら、1分以上、12時間以内が適当である。130℃か
ら40℃まで冷却する場合を例にとれば、冷却割合は、
90℃/分〜0.125℃/分である。しかし100℃
/分〜0.1℃/分でも良好な結果が得られた。このよ
うにすることで、冷却中の脂肪族カルボン酸の析出と可
逆性感熱記録層表面への浮き上がりが防止される。
【0015】この第3段階において、前記温度域T1
(透明化温度域)の下限の温度から上限動作温度までの
冷却に要する所要時間は、少なくとも2分、好ましくは
3分以上である。このときの温度の履歴は、この温度帯
域内に入っていれば多少上下してもよく、とくに限定さ
れない。しかし製造の容易さからすると、この温度帯域
内にある第3の温度に2分以上ほぼ一定に保持するか、
または前記第1の冷却工程の冷却割合が、この温度帯域
を通過するのに2分以上を要する程度にその速度が十分
に遅い場合には、その冷却割合をそのまま保って通過さ
せるのが望ましい。
【0016】この温度帯域内に2分以上保持することに
より、可逆性感熱記録層内にどのような変化が生じるか
については必ずしも明らかでないが、樹脂母材内に微細
な粒子として存在する脂肪族カルボン酸の凝集が適切に
行われ、さらに脂肪族カルボン酸が析出して可逆性感熱
記録層表面に浮き上がることがなく、加えられた量のほ
とんど全てが良好に樹脂母剤中に分散されており、この
結果として、白濁させた部分と透明なままの部分との間
のコントラストが向上するものと推測される。
【0017】またサーマルヘッドにより行われる印字・
消去のために可逆性感熱記録層が局所的に加圧と加熱を
受けた場合、樹脂母材中に分散した状態で分布している
脂肪族カルボン酸などの、加熱により可逆的に透明状態
と白濁状態を呈する物質の粒子(以下、「白濁化粒子」
と記す)が、所定の印字領域から徐々に押出されること
により、印字・消去の繰り返しにより徐々にコントラス
トが低下するが、本発明の方法によって製造された可逆
性感熱記録媒体は、前述のように脂肪族カルボン酸の分
散状態が良好であるために、耐久性も高い。
【0018】また本発明は、前述のような温度管理の下
で製造された可逆性感熱記録媒体に対して、必要に応じ
て、そのコントラストをさらに向上させるために初期化
する工程を加えることができる。この初期化は、 1.白濁化:可逆性感熱記録層を前記温度域T2に加熱
した後、室温まで急冷。
【0019】2.透明化:前記温度域T1(透明化温度
域)に加熱した後、室温まで急冷。 の2つの工程からなる。
【0020】また、本発明に使用される基材は特に限定
されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリ塩化ビニル、ポリホスファゲン、ポリウレタ
ン樹脂、ポリアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ガラス、金
属板、紙、合成紙などが使用でき、また、これらに磁気
記録層、光反射層などを形成したものを基材として使用
してもよい。
【0021】本発明に使用する樹脂母材としては、通常
の可逆性感熱記録塗料に使用されている物質、たとえば
ポリ塩化ビニル、あるいは塩化ビニルと塩化ビニリデ
ン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アク
リル酸エステル、アクリロニトリルまたはポリエステル
の1種または2種以上との共重合体等を使用することが
できる。中でも、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂
(たとえばユニオンカーバイド社製商品名「VMC
H」)は有利に使用できる。
【0022】また本発明において、前記温度域T1(透
明化温度域)の拡大のために、樹脂母材よりも低い、好
ましくは50℃以下のガラス転移温度をもつ有機高分子
樹脂(以下「低Tg樹脂」という)、たとえばアクリル
系樹脂、ポリエステル樹脂、あるいはポリアミド樹脂を
必要に応じて添加することができ、こうした樹脂を添加
することで、透明化温度域の下限温度がより低温側に移
行する。とくにアクリル系樹脂(たとえば東亜合成化学
(株)から商品名「S−2040」で市販されている、
アクリル系樹脂の30%溶液)を有利に使用できる。
【0023】また本発明において、好適な脂肪族カルボ
ン酸としては、従来の可逆性感熱記録層を形成するため
に使用されている、炭素数16〜24程度の脂肪酸、た
とえばステアリン酸あるいはベヘン酸等の他、これらの
高級脂肪酸に代えて、本発明者らが特願平5−7509
9号で提案したような、下記一般式 HOCO−R−COOH ・・・ (I) (式中、Rはアルキル基である)で表わされるジカルボ
ン酸、あるいは特願平4−343554号で提案したよ
うな、主鎖の任意の位置に−OH基を2以上有するヒド
ロキシル基置換脂肪族カルボン酸を使用することが、透
明化温度域を広くできるので好ましい。
【0024】好適なジカルボン酸としては、上記一般式
(I)のRの部分にあたる主鎖の炭素原子数が24以下
のものが望ましく、具体的には、セバシン酸、ドデカン
二酸、ペンタデカン二酸、1,18−オクタデカメチレ
ンジカルボン酸が挙げられる。これらの物質の融点は約
100℃以上である。
【0025】またヒドロキシル基置換脂肪族カルボン酸
として、主鎖の炭素数が14以上のものが望ましく、具
体的にはジヒドロキシベヘン酸、トリヒドロキシベヘン
酸、ジヒドロキシステアリン酸およびトリヒドロキシス
テアリン酸等が挙げられる。
【0026】さらに上に述べたような脂肪族カルボン酸
以外にも、環状ジカルボン酸なども使用できる。
【0027】本発明において、印字のコントラストを向
上させるために、下記一般式 R1−COOR2 ・・・ (II) (ここでR1は炭素数10以上のアルキル基、R2はアル
キル基である)で表わされる有機カルボン酸エステルを
添加することができる。有機カルボン酸エステルとして
は、ステアリルステアレート、ステアリルベヘネート、
ベヘニルステアレートあるいはベヘニルベヘネート等が
有利に使用できる。
【0028】とくに脂肪酸に代えてジカルボン酸を使用
したときは、ジカルボン酸単独では、白濁させた部分と
透明なままの部分とのコントラストがほとんど得られな
いが、有機カルボン酸エステルと組み合わせて使用する
ことで、コントラストが著しく向上し、また温度域T1
(透明化温度域)の拡大と高温化が達成される。
【0029】また本発明において、可逆性感熱記録層
は、サーマルヘッドによる印字・消去の繰り返し耐久性
を向上させるために、放射線硬化型樹脂を含有すること
ができる。サーマルヘッドによる印字・消去を繰り返す
と、ある回数に達したのちに印字濃度の低下や消去が十
分に行えなくなるという問題があり、特に前記低Tg樹
脂を添加した場合には著しくなるが、放射線硬化型樹脂
を含有させることにより、サーマルヘッドによる印字・
消去の繰り返し耐久性が向上する。
【0030】このような放射線硬化型樹脂としては、電
子線、紫外線、赤外線、可視光の照射により硬化させる
ことができる樹脂を意味し、これにはオリゴマー、モノ
マーあるいはホモポリマーの形態のものがある。これら
の樹脂は、電子線により硬化可能であるが、紫外線、赤
外線、可視光の照射により硬化させる場合には、それら
の波長に適した光重合開始剤が使用される。特に、可視
光により硬化するものは、可逆性感熱記録層の形成を暗
所で行う必要があるため、電子線、紫外線または赤外線
で硬化するものを使用することが好ましい。
【0031】例として、紫外線で硬化させる場合には、
一般に市販されている光重合開始剤を使用でき、具体的
には、新中村化学工業製の商品名「ATM−4E」ある
いはBASF製商品名「LAROMER LR8864」等の樹脂と、
チバガイギー製商品名「イルガキュア184」あるいは
チバガイギー製商品名「ダロキュア1173」等の光重
合開始剤との組合せが使用可能である。これらの放射線
硬化型樹脂の添加割合にとくに制限はないが、好ましい
範囲は、樹脂母材100重量部に対して0.1〜50重
量部の範囲である。
【0032】さらにまた、本発明においては可逆性感熱
記録層表面への脂肪族カルボン酸の浮き上がりをさらに
防止して、保護層との密着性を向上させるために、分子
内にフッ素およびケイ素を含有しないブロックポリマー
を含有させることができる。ブロックポリマーとは、第
1のセグメント(以下「A成分」という)と、第2のセ
グメント(以下「B成分」という)とからなるA−B型
のブロックポリマーである。
【0033】A成分の例としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン、ポリス
チレン−ステアリルメタクリレート共重合体、ポリスチ
レン−シクロヘキシルマレイミド共重合体等が挙げられ
る。またB成分の例としては、ポリメチルメタアクリレ
ート、アクリロニトリル−スチレン共重合体等が挙げら
れる。これらのA成分およびB成分は、それぞれ2種以
上が共存していてもよい。
【0034】代表的なものとして、日本油脂(株)から
「モディパー」の商品名で市販されているブロックポリ
マーを使用することもできる。具体的には、「モディパ
ーH500」、「モディパーSVB−30」、「モディ
パーMS10B−30」等である。
【0035】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。
【0036】(実施例1)厚さ188μmのPETシー
トの一方の表面に、通常の材料を使用し、通常の方法に
したがって、磁気記録層、平滑層および光反射層を順次
に設けて基材を用意した。
【0037】この基材の光反射層上に、下記の組成の塗
料を塗布して可逆性感熱記録層を形成した。この組成の
塗料で作製した可逆性感熱記録層の温度域T1(透明化
温度域)は66〜114℃であり、上限動作温度は38
℃である。
【0038】 ドデカン二酸 1重量部 ベヘニルステアレート 5重量部 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 (ユニオンカーバイド製商品名「VMCH」) 12重量部 アクリル樹脂(低Tg樹脂) (東亜合成化学工業製商品名「S−2040」、 固形分30%) 20重量部 ブロックポリマー (日本油脂製商品名「MS−10B」) 0.2重量部 UVオリゴマー (BASF製商品名「LR−PO83F」) 4.5重量部 光反応開始剤 (チバガイギー製商品名「イルガキュア184」) 0.2重量部 THF 200重量部 塗料の塗布は、塗料を40℃に加熱し、同じく40℃に
加熱された基材の光反射層上に、ワイヤーバーにより塗
布した。
【0039】このようにして塗布された塗膜は、130
℃のオーブン中で1分乾燥された後、下記の条件で行わ
れた冷却工程を経て冷却された。すなわちオーブン中で
の加熱後、10℃/分の割合で40℃まで徐々に冷却さ
れ、ついで40℃のまま10分間保持されたのち、オー
ブンから取り出し、室温まで冷却された。つぎに可逆性
感熱記録層に、80W/cm×2灯、移動速度30m/
分の条件で紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化さ
せた。得られた可逆性感熱記録層の厚さは約4μmであ
った。
【0040】つぎに可逆性感熱記録層上に、 UV塗料 (大日本インキ化学工業製商品名「C3−374」) 100重量部 シリコーンオイル (信越化学工業製商品名「KF96」) 3重量部 の組成の保護層用塗料を、乾燥膜厚が約2μmになるよ
うに塗布し、40℃のオーブン中で2分間乾燥させた
後、160W/cm×3灯、移動速度30m/分の条件
で紫外線を照射して硬化させた。
【0041】得られた可逆性感熱記録媒体について、下
記の条件で可逆性感熱記録層の初期化を行った。
【0042】1.白濁化:130℃のオーブン中で1分
間加熱した後、10℃以下まで数秒以内で急冷。
【0043】2.透明化:80℃のオーブン中で2分間
加熱した後、10℃以下まで数秒以内で急冷。
【0044】(実施例2)実施例1と同様の基材上に、
可逆性感熱記録層のための塗料として、ベヘニルステア
レートの代わりにベヘニルベヘネートを使用した塗料を
塗布して可逆性感熱記録層を形成した。
【0045】この組成の塗料で作成した可逆性感熱記録
層の温度域T1(透明化温度域)は70〜114℃であ
り、上限動作温度は45℃である。
【0046】塗料の塗布は、塗料を40℃に加熱し、同
じく40℃に加熱された基材の光反射層上に、ワイヤー
バーにより塗布した。
【0047】このようにして塗布された塗膜は、130
℃のオーブン中で1分乾燥された後、下記の条件で行わ
れた冷却工程を経て冷却された。すなわちオーブン中で
の加熱後、10℃/分の割合で55℃まで徐々に冷却さ
れ、ついで55℃のまま10分間保持されたのち、オー
ブンから取り出し、室温まで冷却された。つぎに可逆性
感熱記録層に、80W/cm×2灯、移動速度30m/
分の条件で紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化さ
せた。得られた可逆性感熱記録層の厚さは約4μmであ
った。
【0048】つぎに可逆性感熱記録層上に、 UV塗料 (大日本インキ化学工業製商品名「C3−374」) 100重量部 シリコーンオイル (信越化学工業製商品名「KF96」) 3重量部 の組成の保護層用塗料を、乾燥膜厚が約2μmになるよ
うに塗布し、40℃のオーブン中で2分間乾燥させた
後、160W/cm×3灯、移動速度30m/分の条件
で紫外線を照射して硬化させた。
【0049】得られた可逆性感熱記録媒体について、下
記の条件で可逆性感熱記録層の初期化を行った。
【0050】1.白濁化:130℃のオーブン中で1分
間加熱した後、10℃以下まで数秒以内で急冷。
【0051】2.透明化:80℃のオーブン中で2分間
加熱した後、10℃以下まで数秒以内で急冷。
【0052】(実施例3)実施例1において、可逆性感
熱記録層のための塗料に用いられた、アクリル樹脂とし
て、東亜合成化学工業製商品名「S−2040」の代わ
りに東亜合成化学工業製商品名「S−2080」を使用
した以外は同様に操作して、可逆性感熱記録層を有する
可逆性感熱記録媒体を製造した。
【0053】なお、この組成の塗料で作成した可逆性感
熱記録層の温度域T1(透明化温度域)は66〜114
℃であり、上限動作温度は38℃である。
【0054】(実施例4)実施例1において、可逆性感
熱記録層の形成後、130℃のオーブン中で1分乾燥し
た後の冷却工程として、オーブン中で、1℃/分の割合
で室温(25℃)まで徐々に冷却した。他は同様に操作
して、可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体を
製造した。
【0055】なお、この組成の塗料で作成した可逆性感
熱記録層の温度域T1(透明化温度域)は66〜114
℃であり、上限動作温度は38℃である。したがって実
施例4において、温度域T1の下限の温度(66℃)か
ら上限動作温度(38℃)までの冷却に要した時間は2
8分であった。
【0056】(比較例1)実施例1において、可逆性感
熱記録層のための塗料を塗布する際、塗料および基材の
温度を室温(23℃)として塗工を行った。この場合に
は、可逆性感熱記録層の上に、ドデカン二酸およびベヘ
ニルステアレートの結晶が析出してしまい、その上に保
護層を塗工する際、塗料のはじきが発生して平滑な塗工
を行うことができなかった。
【0057】(比較例2)実施例1において、可逆性感
熱記録層の形成後に行われる冷却工程として、130℃
から数秒間で10℃以下まで急冷した。他は同様に操作
して、可逆性感熱記録層を形成した。この可逆性感熱記
録層の上には、ドデカン二酸およびベヘニルステアレー
トが浮き上がって油脂膜が形成され、その上に保護層を
塗工する際、塗料のはじきが発生して平滑な塗工を行う
ことができなかった。
【0058】(比較例3)実施例1において、可逆性感
熱記録層の形成後に行われる冷却工程として、130℃
から約70℃(透明化温度)まで10℃/分の割合で冷
却し、70℃に10分間保持し、その後、室温(25
℃)まで10℃/分の割合で冷却した。他は同様に操作
して、可逆性感熱記録層を形成した。
【0059】この可逆性感熱記録層の上には、ドデカン
二酸およびベヘニルステアレートが浮き上がって油脂膜
が形成され、その上に保護層を塗工する際、塗料のはじ
きが発生して平滑な塗工を行うことができなかった。
【0060】実施例1〜4および比較例1〜3で得られ
た、可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体につ
いて、マクベス反射濃度計を用いて光学的特性を測定し
た。その結果を表1にまとめて示す。なお表1におい
て、相対的に優れているものを○、劣っているものを×
で示した。また地肌濃度は、80℃で20分加熱した
後、室温まで冷却して、可逆性感熱記録層を透明状態に
して測定したものであり、飽和発色濃度は、130℃で
1分間加熱した後、室温まで冷却して、可逆性感熱記録
層を白濁状態にして測定したものである。ここで、地肌
濃度および発色濃度の欄の()内の数値はマクベス反射
濃度計の測定値を示し、コントラストの欄の()内の数
値は、地肌濃度のマクベス反射濃度計の測定値から、発
色濃度のマクベス反射濃度計の測定値を引いた数値であ
る。す。
【0061】
【表1】 以上の結果から明らかなように、本発明方法にしたがっ
て形成された可逆性感熱記録層は、その表面に脂肪族カ
ルボン酸の浮き上がりもしくは析出がなく、また感熱記
録時のコントラストが約2〜3倍も大きくなっている。
【0062】
【発明の効果】以上のように本発明方法によれば、可逆
性感熱記録層は、その表面に脂肪族カルボン酸の浮き上
がりもしくは析出がなく、したがってその上に保護層を
形成するために塗料を塗布する際、平滑に塗工すること
が可能である。またこれにより、感熱記録を行った場
合、白濁した部分と透明な部分とのコントラストが大き
くなり、記録情報の明瞭度もしくは視認性が格段に向上
するという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1、3および比較例2、3行わ
れた加熱、冷却処理における温度の時間的変化を示すグ
ラフ。
【図2】本発明の実施例2で行われた加熱、冷却処理に
おける温度の時間的変化を示すグラフ。
【図3】本発明の実施例4で行われた加熱、冷却処理に
おける温度の時間的変化を示すグラフ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 室温より高い温度域T1に加熱した後、
    室温まで冷却すると透明状態になり、前記温度域T1よ
    りも高い温度域T2に加熱した後、室温まで冷却すると
    白濁状態になり、これを可逆的に繰り返す可逆性感熱記
    録層を基材上に備えた可逆性感熱記録媒体を製造する方
    法において、前記可逆性感熱記録層は、 脂肪族カルボン酸および有機溶媒を主要成分とする塗料
    の温度と、前記基材の温度とを、前記脂肪族カルボン酸
    が前記有機溶媒に溶解する第1の温度にして、前記塗料
    を前記基材に塗布して塗膜を形成する工程と、 前記塗膜を前記有機溶媒の沸点以上である第2の温度で
    乾燥する工程と、 前記乾燥工程で乾燥された塗膜を、前記第2の温度から
    前記温度域T1の下限の温度まで一定の割合で冷却する
    第1の冷却工程と、 前記温度域T1の下限の温度から、その温度のもとで可
    逆的な記録が可能である上限温度までの温度帯域を所定
    の所要時間を要して通過するように冷却する第2の冷却
    工程と、を経て形成されることを特徴とする可逆性感熱
    記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の冷却工程は、前記第1の冷却
    工程と同じ割合で、前記温度帯域内にある第3の温度ま
    で冷却した後、前記所要時間にわたって、前記塗膜をそ
    の温度にほぼ一定に保持する工程を含む請求項1に記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の冷却工程は、前記第1の冷却
    工程と同じ割合で冷却する工程である請求項1に記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 前記所要時間が少なくとも2分である請
    求項1または2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記塗料は、前記脂肪族カルボン酸がジ
    カルボン酸であり、さらにステアリルステアレート、ス
    テアリルベヘネート、ベヘニルステアレートおよびベヘ
    ニルベヘネートからなる群から選ばれた1種または2種
    以上を含有している請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 前記塗料が紫外線硬化型樹脂を含有して
    いる請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
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