JP2827611B2 - 書替え可能な感熱記録媒体 - Google Patents

書替え可能な感熱記録媒体

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JP2827611B2
JP2827611B2 JP3250842A JP25084291A JP2827611B2 JP 2827611 B2 JP2827611 B2 JP 2827611B2 JP 3250842 A JP3250842 A JP 3250842A JP 25084291 A JP25084291 A JP 25084291A JP 2827611 B2 JP2827611 B2 JP 2827611B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は温度に依存してその透明
度が可逆的に変化する記録層とこの記録層を保護する保
護層を備える書替え可能な感熱記録媒体に係り、特に、
画像部と非画像部とのコントラストの向上が図れかつ初
期の透明化温度範囲を維持できると共に繰返し書替え耐
性の向上も図れる感熱記録媒体の改良に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】この種の感熱記録媒体としては、特開昭
55−154198号公報及び米国特許第426841
3号公報に記載されているようにポリ塩化ビニル等の熱
可塑性樹脂とこの樹脂中に分散された高級脂肪酸等の有
機低分子物質とを主成分とする記録層が支持体上に設け
られて成る構造のものが知られている。
【0003】そして、この感熱記録媒体においては上記
記録層の光吸収特性(光散乱性)が温度に依存して可逆
的に変化する性質を巧みに利用し構成されているもので
ある。すなわち、この記録層は、室温近傍の特定温度T
0 より高い温度に2つの状態転移温度T1 、T2 (但し
1<T2 )を有しており、記録層をT2 以上に加熱し
かつ保持した後にT0 以下に冷却すると白濁しその光散
乱性が増大して最大遮光状態となる一方、この白濁状態
にある記録層をT1 以上T2 未満に加熱しかつ保持した
後にT0 以下に冷却するとその光散乱性が減少して透明
状態になるものである。しかも、T0 以下の温度条件下
において記録層の最大遮光状態及び透明状態を安定に保
持でき、かつ、これ等の状態を可逆的に変化させること
が可能なため、いづれか一方の状態をベース状態に設定
することにより他方の状態との差別化が図れ書替え可能
な記録媒体として利用できるものである。
【0004】尚、T1 からT2 の温度範囲において記録
層の透明化が図れるためこの温度範囲を透明化温度範囲
と称している。
【0005】ところで、この記録媒体に対する印字手段
としてはサーマルヘッド等の加熱手段が適用されるた
め、印字操作を繰返す度に記録層表面に印字手段による
跡(サーマルヘッド等に接触した際に形成される微小凹
凸)が残り易く繰返して記録像を形成するにつれてその
画質が劣化してくる欠点があり、かつ、記録層表面が部
分的に削られてこれがカスとなりサーマルヘッド等の印
字手段に付着し易い欠点があった。
【0006】そこで、特開昭63−221087号公報
においては記録層上に弗素系樹脂やシリコーン系樹脂等
から成る保護層を設け表面の摩擦を小さくすることによ
り印字適性を改良し、繰返し書替えに伴う画質の劣化と
サーマルヘッド等印字手段へのカスの付着を防止する方
法が提案されている。しかし、この方法を適用しても繰
返し印字操作を重ねると記録層と保護層との接着力が低
下し、経時的に保護層が剥離して画質の劣化が起こるた
め、特開平1−133781号公報においては記録層と
保護層間に熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂より成る中間層
を設け、かつ、上記保護層を耐熱性樹脂にて構成する手
段が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この手段を適用するこ
とにより確かに繰返し書替え耐性や画質の劣化は少なく
なるが、その反面、記録層上に中間層や保護層を形成す
る際にこれ等各層を構成する樹脂用モノマーや、メチル
エチルケトン、トルエン等の有機系溶剤が記録層中に浸
み込み易く、これ等溶液の侵入に伴って記録層内の有機
低分子物質の分散状態が微妙に変化しその透明性に悪影
響を及ぼしたり上記透明化温度範囲に影響を及ぼす欠点
があった。
【0008】すなわち、上記モノマーや溶剤の侵み込み
により記録層を構成する樹脂表面が部分的に膨潤又は溶
解する等して樹脂内の有機低分子物質の分散状態が微妙
に変化するため、記録層の透明度が低下して画像部と非
画像部のコントラストに悪影響を及ぼす問題点があり、
かつ、透明化温度範囲も影響を受けて保護層等を形成す
る以前に設定した初期の透明化温度範囲が微妙に変動し
てしまうため、サーマルヘッド等の記録設定温度をこの
変化に合わせて設定し直さなければならなくなる問題点
があった。
【0009】また、上記保護層は耐熱性樹脂により構成
されてはいるが、熱硬化型の材料を適用しているため耐
熱性と機械的強度に若干劣り保護層が経時的に劣化して
繰返し書替え耐性が低下する問題点があった。
【0010】本発明はこのような問題点に着目してなさ
れたもので、その課題とするところは、画像部と非画像
部とのコントラストの向上が図れかつ初期の透明化温度
範囲を維持できると共に繰返し書替え耐性の向上も図れ
る感熱記録媒体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち請求項1に係る
発明は、樹脂とこの樹脂中に分散された有機低分子物質
とを主成分とし温度に依存してその透明度が可逆的に変
化する記録層と、この記録層上に設けられた保護層とを
支持体上に備える書替え可能な感熱記録媒体を前提と
し、上記記録層上に塗布された末端又は側鎖にアクリロ
イル基若しくはメタアクリロイル基を有するアクリル系
オリゴマーを主成分とする水性エマルションに紫外線又
は電子線を照射して硬化されたアクリル系樹脂により上
記保護層が構成されていることを特徴とするものであ
り、他方、請求項2に係る発明は請求項1に係る発明を
前提とし、上記アクリル系オリゴマーを主成分とする水
性エマルションが、ポリウレタンアクリレート、ポリエ
ステルアクリレート、エポキシアクリレート、及び、シ
リコーン樹脂アクリレートより選ばれた少なくとも一種
または二種以上の水性エマルションにより構成されてい
ることを特徴とするものである。
【0012】このような技術的手段において記録層の一
部を構成する樹脂材料としては、以下に述べる有機低分
子物質とその屈折率が近似しかつ相溶性がないと共に、
機械的強度に優れしかもフィルム形成能を有する透明性
良好な熱可塑性樹脂が挙げられ、その具体例としては飽
和共重合ポリエステル等のポリエステル樹脂;ポリ塩化
ビニル樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−
アクリレート共重合体等の塩化ビニル卿重合体;ポリ塩
化ビニリデン樹脂;塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合
体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の塩
化ビニリデン共重合体;ポリアミド樹脂;シリコン樹
脂;ポリアクリレート若しくはポリメタクリレート樹脂
又はこれ等の共重合体等があり、これ等単独或いは2種
以上混合して適用することができる。
【0013】また、上記樹脂材料中に分散される有機低
分子物質としては、酸素、硫黄、窒素、ハロゲンのうち
少なくとも一つの原子を含み、炭素数が10〜40でそ
の分子量が100〜700であり、かつ、融点が50〜
150℃の範囲にある有機化合物が挙げられ、その具体
例としてはアルカノール、カルカンジオール、ハロゲン
アルカノール、ハロゲンアルカンジオール等の高級アル
コール;高級脂肪族アミン;アルカン、アルケン、アル
キン及びこれ等のハロゲン置換体;シクロアルカン、シ
クロアルケン、シクロアルキン等の環状化合物;飽和カ
ルボン酸、不飽和モノカルボン酸、ジカルボン酸又はこ
れ等のエステル、アミド、アンモニウム塩;飽和若しく
は不飽和ハロゲン脂肪酸又はこれ等のエステル、アミ
ド、アンモニウム塩;アクリルカルボン酸又はこれ等の
エステル、アミド、アンモニウム塩;ハロゲンアリルカ
ルボン酸又はこれ等のエステル、アミド、アンモニウム
塩;チオアルコール又はこれ等のカルボン酸エステル;
チオカルボン酸又はこれ等のエステル、アミド、アンモ
ニウム塩等があり、これ等単独或いは2種以上混合して
適用することができる。
【0014】そして、これ等樹脂材料と有機低分子物質
が溶解されたメチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、クロロホルム、エタノール、ベンゼン、トルエ
ン、テトラヒドロフラン、四塩化炭素等の有機溶液、あ
るいは上記樹脂材料を溶解した溶液に有機低分子物質を
微粒子状に分散させた分散液を以下に述べる支持体上に
塗布乾燥させて温度依存によりその透明度が可逆的に変
化する上記記録層が形成されるものである。尚、この記
録層の光学的性質を改善する目的で記録層中に染料や紫
外線吸収剤あるいは赤外線吸収剤等を加えてもよいし、
また、記録層の可塑性を改善する目的で可塑剤を添加し
てもよい。
【0015】次に、上記保護層の構成材料となるアクリ
ル系オリゴマーの水性エマルションとは、紫外線または
電子線硬化型のアクリル系オリゴマーをベースにエマル
ション(水分散型)化して水系にしたものである。そし
て、この水性エマルション化の方法には非イオン性界面
活性剤を使用する方法、高分子界面活性剤と非イオン性
界面活性剤を併用する方法、水分散性重合体と非イオン
性界面活性剤を併用する方法等があり、調製された水性
エマルションはその粒径が極めて小さいため保存安定性
に優れた利点を有している。
【0016】尚、紫外線硬化型のアクリル系オリゴマー
を適用した場合、その光硬化を行う際に光開始剤が必要
となる。この光開始剤には油溶性のものと水溶性のもの
とがあり、前者の光開始剤を適用する場合には、通常、
乳化させる前に光開始剤をアクリル系オリゴマー中に溶
解させて使用するものであり、他方、後者の水溶性の光
開始剤を適用する場合には水性エマルション中に直接溶
解させて使用することが可能である。これ等の光開始剤
に適用できる材料としては、波長200〜420nmの紫
外線を吸収してラジカルを発生する化合物なら公知の開
始剤をそのまま適用することができる。この光開始剤の
添加量は、アクリル系オリゴマー100部に対して2〜
10部添加することが好ましい。
【0017】そして、上記アクリル系オリゴマーとして
は、このオリゴマー中に2個以上のアクリロイル基(−
OOC−CH=CH2 )を有するか、又は、メタアクリ
ロイル基(−OOC−CH=CHCH3 )を有するアク
リル系オリゴマーで、以下に示すようなウレタン、ポリ
エステル、ポリエーテル、エポキシ、シリコーン等によ
り変性されているものが適用できる。以下、個々につい
て説明する。
【0018】(1)ポリウレタンアクリレート ポリウレタンアクリレートは、ポリオール(ポリエステ
ル型及びポリエーテル型)と、ジイソシアナートと、ヒ
ドロキシル基を有するアクリレート又はメタアクリレー
トとを反応させて得られる重合体(オリゴマー)で、例
えば以下に示すような化合物が適用できる。
【0019】
【化1】
【0020】(2)ポリエステルアクリレート ポリエステルアクリレートは、多価アルコールと多塩基
酸とから合成されるポリエステルにアクリロイル基又は
メタアクリロイル基を導入した重合体(オリゴマー)
で、例えば以下のような化合物の適用が可能である。
【0021】
【化2】
【0022】(3)エポキシアクリレート エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂にアクリル酸又
はメタクリル酸を反応させて合成される重合体(オリゴ
マー)で、例えば、以下に示すようなビスフェノールA
型、F型、S型、フェノールノボラック型、脂環型のエ
ポキシアクリレート又はエポキシメタアクリレートの適
用が可能である。
【0023】
【化3】
【0024】(4)シリコーン樹脂アクリレート シリコーン樹脂アクリレートは、ポリシロキサンにアク
リロイル基又はメタアクリロイル基を導入した重合体
(オリゴマー)で、例えば以下のような化合物の適用が
可能である。
【0025】
【化4】
【0026】そして、これ等アクリル系オリゴマーから
選択された一種又は二種以上のオリゴマーをエマルショ
ン化し、かつ、この水性エマルションを上記記録層上に
ワイヤーバー等の塗布手段により塗布し乾燥させた後、
紫外線又は電子線を照射し光硬化させて保護層を形成す
るものである。
【0027】この場合、樹脂用モノマーや有機系溶剤を
使用して中間層や保護層が形成されている従来の感熱記
録媒体に較べて、この技術的手段に係る感熱記録媒体に
おいてはモノマーより分子量が大きいアクリル系オリゴ
マーを使用しかつこれを水性エマルション化して適用し
ているため、上記記録層中にこれ等オリゴマーや水性溶
剤が侵み込む恐れがなく、従って、記録層内における有
機低分子物質の分散状態が変化することがないため記録
層の透明度が低下しなくなって画像部と非画像部とのコ
ントラストの向上が図れ、かつ、保護層の形成前後に拘
らず初期の透明化温度範囲を維持できると共に上記材料
群から選択された光硬化型樹脂は従来適用されているポ
リシロキサングラフトポリマー等の熱硬化型樹脂に較べ
てより耐熱性や機械的強度が優れているため繰返し書替
え耐性の向上も図れる利点を有している。
【0028】尚、サーマルヘッド等の印字手段によるス
ティッキングを防ぐため、上記保護層内にパラフィンワ
ックス、ポリエチレンワックス、ポリテトラフロロエチ
レンワックス、シリコーン樹脂等の滑剤を混入してもよ
い。この滑剤の添加量は、アクリル系オリゴマー100
部に対して1〜10部が好ましい。
【0029】また、この技術的手段において上記記録層
等を支持する支持体は従来と同様のものがそのまま適用
でき、例えば、透明なプラスチックフィルム又はシー
ト、染料や顔料等の着色剤が混合されたプラスチックフ
ィルム又はシート、染料や顔料で着色された塗料やイン
キから構成される着色層が積層されたプラスチックフィ
ルム又はシート、更に、アルミニウム、錫、銀、マグネ
シウム、クロム、ニッケル等の光反射性金属層を設けた
プラスチックフィルム、シート又は紙等が利用できる。
そして、プラスチックフィルムやシートの具体例として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリカーボネート、ポリパラバン酸等の耐熱
性、透明性、及び、機械的強度に優れた材料群が挙げら
れる。
【0030】
【作用】請求項1〜2に係る発明によれば、有機低分子
物質が分散された記録層上に形成される保護層が、上記
記録層上に塗布された末端又は側鎖にアクリロイル基若
しくはメタアクリロイル基を有するアクリル系オリゴマ
ーを主成分とする水性エマルションに紫外線又は電子線
を照射して硬化されたアクリル系樹脂により構成されて
いる。
【0031】すなわち、この技術的手段においては保護
層を構成する材料としてモノマーより分子量が大きいア
クリル系オリゴマーを使用しかつこれを水性エマルショ
ン化して適用しており、従来の感熱記録媒体と較べて保
護層形成の際に上記オリゴマーや水性溶剤等が記録層中
に侵み込む恐れがないため上記記録層内における有機低
分子物質の分散状態を保護層の形成前後に拘らず初期の
状態に維持することが可能となり、かつ、この保護層は
光硬化型のアクリル系樹脂により構成されているためそ
の耐熱性や機械的強度をより向上させることも可能とな
る。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
る。
【0033】尚、実施例並びに比較例中に記載の配合成
分の部数及び%は全て重量部及び重量%である。
【0034】[実施例1]この実施例に係る感熱記録媒
体は、図1に示すように透明なポリエチレンテレフタレ
ートから成る支持体1と、この支持体1上に設けられた
記録層2と、この記録層2上に直接形成された保護層3
とでその主要部が構成されている。
【0035】そして、この感熱記録媒体は以下のような
工程を経て製造されている。
【0036】すなわち、厚さ150μmの透明なポリエ
チレンテレフタレートから成る支持体1上に下記の均一
に溶解されている記録層用組成物をワイヤーバーにて塗
布し、90℃で3分間乾燥して乾燥膜厚10μmの記録
層2を形成する。
【0037】 (記録層用組成物) ベヘン酸 8部 ステアリン酸 2部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 (積水化学工業社製 商品名エスレックC) 30部 トルエン 30部 テトラヒドロフラン 120部 次に、下記組成から成る保護層用組成物をワイヤーバー
を用いて上記記録層2上に塗布し90℃で3分間乾燥さ
せた後、この支持体1をコンベアーにのせて速度10m
/minの条件で移動させ、かつ、高さ10mの位置から高
圧水銀灯(80W/cm,オゾン集光型)により紫外線を
一様に照射し、上記保護層用組成物を光硬化させて保護
層3を形成し図1に示された感熱記録媒体を求めた。
【0038】尚、上記保護層3の膜厚は約2.5μmで
あった。
【0039】 (保護層用組成物) 多官能ポリエステルアクリレート エマルション(固形分40重量%) 100部 (東亜合成化学社製 商品名M−8060エマルション) 光開始剤 2部 (日本チバガイギー社製 商品名イルガキュア−651) [実施例2]保護層用組成物として下記の組成物を適用
し膜厚約2.5μmの保護層を形成したことを除き実施
例1に係る感熱記録媒体と略同一である。
【0040】 (保護層用組成物) アクリル系オリゴマーエマルション(固形分30重量%) 70部 {[(CH2 =CH−COOCH2 3 C−CH2 2 −O, ……ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート} ウレタンアクリレートエマルション(固形分35重量%) 30部 (東亜合成化学社製 商品名M−1300エマルション) 滑剤(特殊高分子シリコーン樹脂溶液,固形分50重量%) 2部 (ビックケミー・ジャパン社製 商品名Byk−301) 光開始剤 2部 (メルクジャパン社製 商品名ダロキュア−1173) [実施例3]保護層用組成物として下記の組成物を適用
し膜厚約2.5μmの保護層を形成したことを除き実施
例1に係る感熱記録媒体と略同一である。
【0041】 (保護層用組成物) 特殊エポキシアクリレートエマルション(固形分40重量%) 95部 (三菱レーヨン社製 商品名UK−6141) シリコーン樹脂アクリレートエマルション(固形分30重量%) 5部 (新中村化学工業社製 商品名SA−200) 光開始剤 2部 (日本チバガイギー社製 商品名イルガキュア−651) [比較例1]上記保護層が設けられていない点を除き実
施例1に係る感熱記録媒体と略同一である。
【0042】[比較例2]実施例1と同様に厚さ150
μmの透明なポリエチレンテレフタレートから成る支持
体上に下記の均一に溶解されている記録層用組成物をワ
イヤーバーにて塗布し、90℃で3分間乾燥して乾燥膜
厚10μmの記録層を形成する。
【0043】 (記録層用組成物) ベヘン酸 8部 ステアリン酸 2部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 (積水化学工業社製 商品名エスレックC) 30部 トルエン 30部 テトラヒドロフラン 120部 次に、上記記録層上に下記組成から成る中間層用組成物
をその乾燥膜厚が1.0μmになるようにソルベントコ
ーティング法(ワイヤーバー)を用いて塗布・乾燥して
中間層を形成し、更にこの中間層上に下記組成から成る
保護層用組成物をその乾燥膜厚が2.0μmになるよう
ワイヤーバーにて塗布し、90度、3分間乾燥・硬化さ
せて保護層を形成し比較例2に係る感熱記録媒体を求め
た。
【0044】 (中間層用組成物) 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10部 (ユニオン・カーバイト社製 商品名VYHH) 2−ブタノン/トルエン 90部 (保護層用組成物) ポリシロキサングラフトポリマー (日本触媒化学工業社製 商品名R−41) 25部 硬化剤(同上用) 0.2部 ジオキサン 50部 『比較試験』次に、実施例1〜3に係る感熱記録媒体と
比較例1〜2に係る感熱記録媒体について、画像部(白
濁部)と非画像部(透明部)とのコントラスト、透明化
温度範囲、及び、繰返し書き替え耐性を比較するため以
下に述べるような比較試験を行った。
【0045】尚、上述のようにして求められた実施例並
びに比較例に係る感熱記録媒体の記録層は全て白濁状態
に形成されていた。
【0046】まず、求められた各感熱記録媒体につい
て、50℃〜100℃まで1度ずつ段階的に200g/
cm2 、2秒間、加熱圧着後室温まで冷却し、かつ、処理
された感熱記録媒体について標準板(光学濃度=1.7
9)上に置き、この上から光学反射濃度計(マクベス光
学濃度計RD−517)によりその反射濃度(光学濃
度)を各々測定し透明化温度範囲を求めた。
【0047】次に、全ての感熱記録媒体について、その
全面を透明化温度範囲(反射濃度が1.2以上となる温
度範囲をいう)内に加熱しかつ室温に冷却して記録層全
体を透明状態に設定した後、サーマルヘッド(8本/
m,抵抗420Ω)を用いて0.4mJ/dotの条件
で白濁印字し、その画像部(白濁部)と非画像部(透明
部)の反射濃度をそれぞれ測定して初期濃度データとし
た。
【0048】この結果を表1に示す。
【0049】次いで、全ての感熱記録媒体について、6
2℃に設定してある熱ローラ間を通過させて記録層を透
明状態に戻した後、再度、上記サーマルヘッドを用い
0.4mJ/dotの条件で同一部位を白濁印字し、か
つ、これを100回繰返した後の画像部(白濁部)と非
画像部(透明部)の反射濃度をそれぞれ測定し、繰返し
に伴う劣化を測定した。この結果も表1に示す。
【0050】尚、保護層が設けられていない比較例1に
係る感熱記録媒体については、20回の繰返し試験で記
録層表面が著しく劣化し記録媒体として機能しなくなっ
たためデータは空欄になっている。
【0051】
【表1】
【0052】『評価』表1に示された結果から、記録層
を設けただけの比較例1と実施例1〜3に係る感熱記録
媒体は、比較例2に係る感熱記録媒体に較べて透明化温
度範囲が広く、かつ、この温度範囲内で形成された透明
状態とそれ以外の白濁状態の反射濃度の差分が大きく、
従って、画像部と非画像部のコントラストが優れている
ことが確認できた。
【0053】また、各実施例に係る記録層の透明化温度
範囲は比較例1のそれと等しい値となっており、かつ、
透明度についてもほとんど差異が無いことから、保護層
の形成に拘らず記録層内における有機低分子物質の分散
状態がほとんど変化してないことも確認できた。
【0054】更に、繰返し書替え耐性についても、各実
施例のものは比較例に係る感熱記録媒体に較べて数段優
れていることも確認できた。
【0055】
【発明の効果】請求項1〜2に係る発明によれば、記録
層内における有機低分子物質の分散状態を保護層の形成
前後に拘らず初期の状態に維持することが可能となり、
かつ、保護層の耐熱性と機械的強度をより向上させるこ
とも可能となる。
【0056】従って、記録層の透明度が低下しなくなる
ため画像部と非画像部のコントラストの向上が図れ、か
つ、初期の透明化温度範囲を維持できるため印字手段の
記録設定温度の調整が簡便になると共に、保護層の耐熱
性と機械的強度が上がったことに伴い繰り返し書替え耐
性も向上できる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る感熱記録媒体の構成断面図。
【符号の説明】
1 支持体 2 記録層 3 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−566(JP,A) 特開 昭63−144085(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41M 5/36

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂とこの樹脂中に分散された有機低分
    子物質とを主成分とし温度に依存してその透明度が可逆
    的に変化する記録層と、この記録層上に設けられた保護
    層とを支持体上に備える書替え可能な感熱記録媒体にお
    いて、 上記記録層上に塗布された末端又は側鎖にアクリロイル
    基若しくはメタアクリロイル基を有するアクリル系オリ
    ゴマーを主成分とする水性エマルションに紫外線又は電
    子線を照射して硬化されたアクリル系樹脂により上記保
    護層が構成されていることを特徴とする書替え可能な感
    熱記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記アクリル系オリゴマーを主成分とす
    る水性エマルションが、ポリウレタンアクリレート、ポ
    リエステルアクリレート、エポキシアクリレート、及
    び、シリコーン樹脂アクリレートより選ばれた少なくと
    も一種または二種以上の水性エマルションにより構成さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の書替え可能な
    感熱記録媒体。
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