JP2704595B2 - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents

可逆性感熱記録媒体

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JP2704595B2 JP5280373A JP28037393A JP2704595B2 JP 2704595 B2 JP2704595 B2 JP 2704595B2 JP 5280373 A JP5280373 A JP 5280373A JP 28037393 A JP28037393 A JP 28037393A JP 2704595 B2 JP2704595 B2 JP 2704595B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱することによって
可逆的に画像を記録、消去することが可能な可逆性感熱
記録媒体、特に感熱ヘッドによる記録、消去を可能とす
る磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】情報化社会の発展に伴い、感熱記録、静
電記録、放電記録および電子写真等の各種記録方式にお
ける各種記録媒体が普及している。これらの記録媒体の
殆どは、記録、消去の繰返機能を有していないため、一
度使用したらある一定期間保存しても殆ど消耗品として
廃棄処分されている。一方、最近は、省資源および環境
問題の改善を見直そうとする動きの中から、記録と消去
が多数回繰り返して使用することが可能な記録媒体の出
現が期待されている。このような繰り返して使用するこ
とが可能な記録媒体としては、加熱温度の相違により画
像の記録、消去を可逆的に行うことができる可逆性記録
媒体が提案されている。例えば、特開昭55−1541
98号公報および同61−257883号公報等には、
加熱した際の到達温度の相違により、冷却後の透明度が
可逆的に変化し、それによって画像を記録、消去するこ
とができる可逆性感熱記録媒体が開示されている。これ
らの例における可逆性感熱記録媒体は、感熱記録層とし
て、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のような有機高分
子物質中に、高級脂肪酸のような有機低分子物質を微粒
子状に分散したものが、支持体上に設けられた層構成を
有している。上記感熱記録層の透明状態と、それに与え
る熱履歴との関係を、図1によって説明する。図1は、
感熱記録層における温度と透明率との関係を示す状態図
であって、不透明(以下、「白濁」という。)部は、あ
る温度範囲T1 〜T2 に加熱し、室温TR に徐冷するこ
とによって透明化することができる((1)→(3)→
(5)→(6))。逆に、透明部を白濁化するために
は、透明部を温度T3 以上に加熱した後、室温まで冷却
すればよい((6)→(5)→(4)→(2)→
(1))。この場合、透明状態および白濁状態は、室温
TR においては安定に保たれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】白濁部を透明化(消
去)する際の加熱温度範囲T1 〜T2 の幅(透明化温度
幅TW )は、加熱手段として十分な熱容量を持った加熱
媒体、例えばオーブンやヒートブロックを用いて、感熱
記録層に対し十分な時間加熱ができる場合には、余り広
くなくてもよい。しかし、加熱媒体が十分な熱容量を持
たない場合や、十分な時間加熱することができない場
合、つまり、サーマルヘッドやレーザーなどにより数m
secオーダーで加熱する場合には、加熱に際して可逆
性感熱記録媒体の感熱記録層の厚さ方向に温度勾配を生
じ、層全体が均一な温度になり難くなるため、上記透明
化温度幅TW を十分広くとる必要があった。これらの要
求に対して、特開平4−44887号公報および同4−
366682号公報等に上記透明化温度幅TW を拡大化
することについて開示されている。ところが、これらの
ものについて、印字(白濁)・消去(透明)を上記のサ
ーマルヘッド等の加熱媒体を使用して行ってみると、上
記透明化温度幅TW が十分でない場合があった。さら
に、消去に要する熱エネルギーが、経時によって高エネ
ルギー側に変化するという問題も有していた。したがっ
て、本発明の目的は、白濁印字部の消去特性に優れた、
特に数msecオーダーでの加熱が可能なサーマルヘッ
ド等の加熱媒体を使用した場合に良好な消去特性を示す
可逆性感熱記録媒体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の可逆性感熱記録
媒体の第1のものは、支持体上に、透明度が温度によっ
て可逆的に変化する感熱記録層を設けてなるものであっ
て、その感熱記録層が、ガラス転移温度30〜100℃
で、重量平均分子量5000〜15000のポリエステ
ル系樹脂中に、高融点成分と低融点成分よりなる有機低
分子物質を分散させてなることを特徴とする。本発明の
可逆性感熱記録媒体の第2のものは、磁気記録層を有す
る支持体上に、透明度が温度によって可逆的に変化する
感熱記録層を設けてなるものであって、その感熱記録層
が、ガラス転移温度30〜100℃で、重量平均分子量
5000〜15000のポリエステル系樹脂中に、高融
点成分と低融点成分よりなる有機低分子物質を分散させ
てなることを特徴とする。この場合、磁気記録層は、支
持体と感熱記録層との間に設けてもよいし、また、支持
体の感熱記録層が設けられた面とは反対面に設けられて
もよい。
【0005】以下、本発明の上記可逆性感熱記録媒体に
ついて、詳細に説明する。支持体としては、合成樹脂フ
ィルム若しくは紙の表面または裏面に着色被覆層を設け
たもの、或いは着色顔料を混練して得られた合成樹脂フ
ィルム等が使用でき、例えば、カーボンブラックを混練
した黒色樹脂フィルムが使用できる。さらに、透明な有
機樹脂フィルム、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエステ
ル、ポリカーボネート、ポリアセテート、ポリイミド等
のフィルム、或いはそれらに金属層からなる反射層を設
けたものも使用することができる。
【0006】本発明において、感熱記録層は、透明度が
温度によって可逆的に変化する性質を有するものであっ
て、ガラス転移温度30〜100℃で、重量平均分子量
(GPC法による測定)5000〜15000のポリエ
ステル系樹脂中に、有機低分子物質が分散された構成を
有している。本発明において使用する上記ポリエステル
系樹脂としては、具体的には、多塩基酸、例えば、無水
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラクロル
無水フタル酸、ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒド
ロ無水フタル酸、ジメチレンテトラヒドロフタル酸、コ
ハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の飽和多塩基酸等、
またはマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコ
ン酸、無水シトラコン酸等の不飽和多塩基酸等の多塩基
酸と、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレング
リコール、1,4−ブチレングリコール、トリメチレン
グリコール、テトラメチレングリコール等の二価アルコ
ール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等の三価
アルコール類、ペンタエリトリット、ジペンタエリトリ
ット、マンニット、ソルビット等の多価アルコール類、
2,2−ジフェニルプロパン(ビスフェノールA)等の
ビスフェノール類等のポリオールとの縮合反応によって
得られたポリエステル系樹脂があげられる。
【0007】本発明において、これらポリエステル系樹
脂は、そのガラス転移温度Tg(DSC法測定)が30
〜100℃で、重量平均分子量が5000〜15000
の範囲にあることが必要である。ポリエステル系樹脂の
Tgが30℃よりも低い場合には、感熱記録層の耐熱性
が低下するので、記録装置に適用した場合、耐摩耗性
等、繰り返し耐久性が低下する。また、Tgが100℃
よりも高い場合には、印字および消去時の熱応答感度が
低下する。また、ポリエステル系樹脂の重量平均分子量
が5000よりも小さい場合は、感熱記録層の耐熱性が
低下するので、記録装置に適用した場合、耐摩耗性等、
繰り返し耐久性が低下し、一方、15000よりも大き
い場合は、ポリマー分子の再配列によって経時変化を生
じ、熱軟化点が高くなって印字および消去感度が低下す
る。
【0008】感熱記録層に分散させる有機低分子物質
は、低融点成分と高融点成分から構成される。低融点成
分は、融点(DSC法による)が50〜100℃の範囲
にあるものであって、この範囲の融点を有するものであ
れば、如何なるものでも使用することができる。一般に
ワックス、或いはロウと呼ばれるC14〜C50程度の長鎖
アルキル基を含む化合物を使用することができ、高級脂
肪酸が好ましい。具体的には、例えば、ミリスチン酸、
パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、カルナバ
酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等があげられ
る。これらの長鎖アルキル基含有化合物は、単独で使用
してもよいが、2種以上使用することができる。また、
高融点成分としては、融点100℃以上、好ましくは1
10〜150℃の範囲のジカルボン酸、脂肪酸金属塩、
長鎖飽和脂肪酸とアルキレンジアミンとの酸アミド、お
よび、飽和脂肪族ジカルボン酸と飽和脂肪族アミンとの
酸アミドなどをあげることができ、特に、C6 〜C30の
飽和ジカルボン酸が好ましい。具体的には、アジピン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジ酸、ブラシル酸、テトラデカンジ酸、エイコサンジ酸
等があげられる。これら高融点成分は、単独で使用して
もよいが、2種以上使用することもできる。
【0009】上記低融点成分と高融点成分の配合割合
は、重量比で98:2〜50:50の範囲であることが
必要である。有機低分子物質に占める高融点成分の配合
割合が2重量%より低くなると、透明化温度幅の拡大に
対して十分な効果が得られず、一方、50重量%よりも
高くなると、良好なコントラストが得られなくなる。ま
た、本発明において、上記ポリエステル系樹脂中に分散
させる有機低分子物質の配合割合は、ポリエステル系樹
脂100重量部に対して、有機低分子物質が5〜100
重量部の範囲であることが好ましい。有機低分子物質の
配合割合が5重量部未満の場合には、感熱記録層の不透
明(白濁)化が十分でなく、良好なコントラストを得る
ことができず、逆に100重量部よりも多い場合には、
感熱記録層の成膜性が悪化する。
【0010】本発明における感熱記録層は、上記ポリエ
ステル系樹脂および有機低分子物質を溶媒に溶解して溶
液にしたもの、或いは、ポリエステル系樹脂の溶液中に
有機低分子物質を分散したものを、支持体上に塗布また
は印刷し、成膜することにより設けることができる。形
成される感熱記録層において、有機低分子物質は、上記
ポリエステル系樹脂中に、粒子状に分散された状態で存
在し、その粒径は約0.5〜2μmの範囲に分布する。
【0011】感熱記録層の厚さは、1〜20μmの範囲
にあるのが好ましく、3〜10μmの範囲にあるのがよ
り好ましい。厚さが1μmよりも薄い場合は、感熱記録
層の不透明(白濁)化が十分でなく、また、20μmよ
りも厚い場合は、サーマルヘッド等による印字記録時、
或いは消去時において熱伝導性が悪くなり、感熱記録層
の熱に対する感度が悪くなる。
【0012】本発明の可逆性感熱記録媒体においては、
例えば、サーマルヘッドを用いて画像の記録、消去を行
う場合、感熱記録層の耐熱性を向上させると共に、サー
マルヘッドとのマッチング性を保つ目的で、感熱記録層
の表面に、耐熱性の保護層を設けてもよい。保護層を構
成する材料としては、熱可塑性或いは熱硬化性樹脂、例
えば、ポリメタクリレート樹脂、シリコーン樹脂、アク
リル樹脂、アルキッド樹脂等、光硬化性または電子線硬
化性のウレタン−アクリレート樹脂、エポキシ−アクリ
レート樹脂等の樹脂を主成分とするものがあげられる。
保護層の膜厚は、一般に0.5〜10μm、好ましくは
2〜7μmの範囲に設定される。また、感熱記録層と保
護層の間に、感熱記録層中の有機低分子物質の保護層へ
の移行を防止するために、または感熱記録層と保護層の
接着性を高めるために接着層などの中間層を設けてもよ
い。中間層を構成する材料としては、ポリオレフィン、
ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン樹
脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、
セルロース樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外
線硬化性樹脂、電子線硬化型樹脂が使用できる。
【0013】本発明の可逆性感熱記録媒体は、支持体の
感熱記録層とは反対側の面上に、或いは支持体と感熱記
録層の間に、磁気記録層を設けることができる。磁気記
録層は、磁性粉末が分散された溶剤可溶性熱可塑性樹脂
含有塗料を用いて形成される。磁性粉末としては、γ−
Fe2 3 、バリウムフェライト、ストロンチウムフェ
ライト等の強磁性体の微粉末が使用されるが、磁気記録
情報が通常の永久磁石により消失または減衰するのを防
止するためには、バリウムフェライトやストロンチウム
フェライト等のような1500〜5000エルステッド
程度の高い保磁力を有する磁性材料を使用するのが好ま
しい。溶剤可溶性熱可塑性樹脂としては、皮膜形成性の
ものであれば如何なるものでも使用することができ、例
えば、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル−ポリビニルアルコール共重合体、ポリアクリ
レート、ポリメタクリレート、塩化ビニル樹脂等のビニ
ル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポ
リアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等があげられる。磁気
記録層は、上記の溶剤可溶性熱可塑性樹脂を適当な有機
溶剤に溶解し、磁性粉末を分散させて得た塗料を、常法
により塗布し、磁場配向処理を施した後、加熱して乾燥
することにより形成される。膜厚は、通常5〜20μm
の範囲に設定される。
【0014】磁気記録層を支持体の感熱記録層が設けら
れた面とは反対面に設けた場合には、磁気記録層の摩耗
を防止するために、磁気記録層の表面に耐熱性の保護層
を設けてもよい。保護層を構成する材料としては、熱可
塑性或いは熱硬化性樹脂、例えば、ポリメタクリレート
樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂
等、光硬化性または電子線硬化性のウレタン−アクリレ
ート樹脂、エポキシ−アクリレート樹脂等の樹脂を主成
分とするものがあげられる。保護層の膜厚は、一般に
0.1〜10μmの範囲に設定される。なお、本発明に
おいて、支持体と感熱記録層との間に磁気記録層を設け
る場合は、感熱記録層の反射率を向上させて記録画像の
コントラストを出すために磁気記録層と感熱記録層との
間に錫やアルミニウム等の金属薄膜を設けることが好ま
しい。この場合、磁気記録層と金属薄膜、および金属薄
膜と感熱記録層の間に各々の接着性あるいは記録画像の
コントラストを向上させるために前述のごとき中間層と
しての接着層を設けてもよい。
【0015】
【作用】本発明の可逆性感熱記録媒体における透明状態
と白濁状態の相違は、感熱記録層中に微粒子状に分散さ
れた有機低分子物質の結晶状態の相違によるものと考え
られる。すなわち、透明化状態については、次のように
説明することができる。可逆性感熱記録媒体の感熱記録
層を透明化温度T1 〜T2 に加熱する。このとき、感熱
記録層中に分散された有機低分子物質は融解するが、完
全には融解されずに残留した状態になっている。次に、
冷却すると、冷却過程において、この未融解の有機低分
子物質が核となって大きな結晶が成長する。冷却後の感
熱記録層中に分散された有機低分子物質は、大きな結晶
になっているために、光が入射した際、その界面におけ
る光の散乱の度合が少なく、したがって、感熱記録層が
透明状態としてとらえられる。白濁状態については、次
のように説明することができる。上記感熱記録層を温度
Tw 以上に加熱する。このとき、感熱記録層中に分散さ
れた有機低分子物質は完全に融解した状態になる。次い
で冷却すると、冷却過程において、結晶成長の核となる
ものが無いため、有機低分子物質の結晶は大きく成長で
きず、冷却後細かな微結晶の集合体となる。したがっ
て、この感熱記録層に入射した光は、微結晶の界面で散
乱され、白濁状態としてとらえられる。本発明における
感熱記録層の有機低分子物質は、上記のように低融点成
分と高融点成分から構成され、透明化のために加熱した
際に、低融点成分が融解する温度以上になっても、高融
点成分は融解されずに感熱記録層中に残留しており、こ
の残留した高融点成分は、冷却過程において結晶の核と
なる。したがって、透明化温度の上限T2 が高温側にシ
フトした状態になり、その結果、透明化温度幅が広くな
るのである。
【0016】また、従来の可逆性感熱記録媒体の感熱記
録層において有機低分子物質を分散させるために用いら
れている有機高分子物質は、加熱した場合、分子の再配
列により経時によって安定化するため、透明化に要する
熱エネルギーが増大して感度が著しく低下するという現
象が生じ、したがって、感熱ヘッドのような十分な熱容
量、或いは十分な時間加熱することができない加熱手段
により、白濁印字部を消去して透明化する場合、消去性
が十分でないという問題を有している。しかしながら、
本発明の可逆性感熱記録媒体においては、有機低分子物
質を分散させるための有機高分子物質として、上記ポリ
エステル系樹脂を用いており、このポリエステル系樹脂
は結晶性が高いため、上記のような経時変化が生じ難
い。したがって、本発明の可逆性感熱記録媒体は、上記
のような感熱ヘッドを用いた場合でも、十分に透明化す
ることが可能になり、優れた消去特性を示すようにな
る。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。な
お、「部」は重量部を意味する。 実施例1 (1)感熱記録層の形成 厚さ188μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムの片面に、アルミニウムの蒸着を施したものを支持
体として、下記組成の感熱記録層用の塗料を、上記支持
体のアルミニウム蒸着面の反対側に、ワイヤーバーを用
いて塗布し、乾燥して、厚さ10μmの感熱記録層を形
成した。 ステアリン酸 90部 ドデカンジ酸 10部 ポリエステル樹脂(ユニチカ社製:エリーテルUE3300) 300部 (Tg:50℃、重量平均分子量:8000) テトラヒドロフラン 1600部 (2)保護層の形成 上記のようにして作成された感熱記録層の上に、下記組
成の保護層用塗料を、ワイヤーバーを用いて、厚さ4μ
mになるように塗布し、その後、UV(160W水銀
灯)を搬送速度10m/minの下で照射して硬化さ
せ、保護層を形成した。 UV硬化樹脂(荒川化学工業社製:ビームセット575) 95部 光開始剤(チバガイギー社製:イルガキュアー184) 5部 上記のようにして本発明の可逆性感熱記録媒体を得た。
【0018】実施例2 感熱記録層を、下記のものに変更した以外は、実施例1
と同様にして、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製し
た。 ステアリン酸 70部 エイコサンジ酸 30部 ポリエステル樹脂(ユニチカ社製:エリーテルUE3380) 300部 (Tg:60℃、重量平均分子量:8000) テトラヒドロフラン 1600部
【0019】実施例3 (1)磁気記録層の形成 磁性粉:バリウムフェライト(BaO・6(Fe2 3 )) 100部 (保磁力:2750エルステッド) バインダー:塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール 20部 共重合体(UCC社製:VAGH) ポリウレタン樹脂 20部 (日本ポリウレタン社製:ニッポランN−2304) 顔料: カーボンブラック 3部 分散剤:レシチン 1部 溶剤: トルエン 60部 メチルエチルケトン 60部 メチルイソブチルケトン 60部 上記の成分よりなる混合物を、ボールミルで8時間分散
した。得られた分散液に、下記の硬化剤を加え、さらに
1時間分散処理して、塗料を得た。 硬化剤:ポリイソシアネート75%酢酸エチル溶液 12部 (日本ポリウレタン社製:コロネートL) 得られた塗料を、厚さ188μmの乳白色のポリエチレ
ンテレフタレートフィルム上に、ソルベントコーティン
グ法により塗布し、塗料が未乾燥状態の間に磁場配向処
理装置によって配向処理を行い、100℃で5分間乾燥
し、厚さ15μm、表面平滑度500秒の磁気記録層を
形成した。 (2)接着層の形成 上記のようにして形成した磁気記録層の上に、下記の組
成の塗料を、乾燥温度110℃で乾燥した後の塗布量が
1.8g/m2 となるように塗布した。 水性ポリオレフィン系樹脂 100部 (製鉄化学社製:ザイクセンAC、固形分30%) トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニル 1部 プロピオネート イソプロピルアルコール 15部 水 25部 (3)金属薄膜層の形成 上記のようにして形成された接着層の上に、真空蒸着法
により、錫を水晶振動子法による膜厚測定法で測定した
ときに膜厚600オングストロームとなるように蒸着し
た。 (4)感熱記録層の形成 次に、下記の組成の感熱記録層用の塗料を、支持体のア
ルミニウム蒸着面の反対側にワイヤーバーを用いて塗布
し乾燥して、厚さ10μmの感熱記録層を形成した。 ステアリン酸 90部 ドデカンジ酸 10部 ポリエステル樹脂(ユニチカ社製:エリーテルTP220) 300部 (Tg:50℃、重量平均分子量:15000) テトラヒドロフラン 1600部 (5)保護層の形成 上記のようにして作製された感熱記録層の上に、下記組
成の保護層用塗料を、ワイヤーバーを用いて、厚さ4μ
mになるように塗布し、その後、UV(160W水銀
灯)を搬送速度10mの下で照射して硬化させ、保護層
を形成した。 UV硬化樹脂(荒川化学工業社製:ビームセット575) 95部 光開始剤(チバガイギー社製:イルガキュアー184) 5部 以上のようにして本発明の可逆性感熱記録媒体を得た。
【0020】実施例4 感熱記録層を、下記のものに変更した以外は、実施例3
と同様にして、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製し
た。 パルミチン酸 70部 ブラシル酸 30部 ポリエステル樹脂(ユニチカ社製:エリーテルUE3350) 300部 (Tg:52℃、重量平均分子量:5000) テトラヒドロフラン 1600部
【0021】比較例1 感熱記録層を、下記のものに変更した以外は、実施例3
と同様にして、比較用の可逆性感熱記録媒体を作製し
た。 ステアリン酸 70部 エイコサジン酸 30部 ポリエステル樹脂(東洋紡社製:バイロン200) 300部 (Tg:57℃、重量平均分子量:18000) テトラヒドロフラン 1600部 比較例2 感熱記録層を、下記のものに変更した以外は、実施例3
と同様にして、比較用の可逆性感熱記録媒体を作製し
た。 ステアリン酸 70部 エイコサジン酸 30部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(UCC社製:VMCH) 300部 (Tg:74℃、重量平均分子量:27000) テトラヒドロフラン 1600部 比較例3 感熱記録層を、下記のものに変更した以外は、実施例3
と同様にして、比較用の可逆性感熱記録媒体を作製し
た。 モンタン酸ベヘニル 100部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 300部 (電気化学工業社製:1000LCH) (Tg:65℃、重量平均分子量:25000) テトラヒドロフラン 1600部 比較例4 感熱記録層を、下記のものに変更した以外は、実施例3
と同様にして、比較用の可逆性感熱記録媒体を作製し
た。 モンタン酸ベヘニル 95部 N,N′−ジステアリルドデカンジ酸アミド 5部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 300部 (電気化学工業社製:1000LCH) (Tg:65℃、重量平均分子量:25000) テトラヒドロフラン 1600部 比較例5 感熱記録層を、下記のものに変更した以外は、実施例3
と同様にして、比較用の可逆性感熱記録媒体を作製し
た。 モンタン酸ベヘニル 95部 N,N′−ジステアリルドデカンジ酸アミド 5部 アクリル系樹脂(三菱レーヨン社製:BR9 300部 (Tg:65℃、重量平均分子量:25000) テトラヒドロフラン 1600部
【0022】上記実施例1〜4および比較例1〜5の可
逆性感熱記録媒体を使用し、以下の項目について評価し
た。 (1)透明化温度領域および透明化温度幅 透明化温度領域は130℃のオーブンで完全白濁させた
サンプルを使用し、東洋精機社製の熱傾斜試験機を用い
て、圧力400g/m2 で、1秒間ヒートブロックをサ
ンプルに押し付ける方法によって調べた。透明化温度に
あるヒートブロックが押し付けられた部分は透明化する
ので、それによって透明化温度領域を測定し、その結果
から透明化温度幅を算出した。
【0023】(2)印字・消去特性 (1)で調べた透明化温度領域内に乾燥機の温度を設定
し、その乾燥機の中で十分加熱し、全面透明化処理され
たサンプルを使用した。印字・消去特性は、ドット密
度:6本/mm、抵抗:400Ωの感熱ヘッドを用い、
印加電圧を変化させて調べた。消去特性については、先
ず飽和白濁印字濃度が得られる印加エネルギーで印字を
行い、その後、10分、24時間、48時間、72時間
放置したそれぞれのサンプルについて行った。24時間
以降の消去特性については、10分放置後の消去特性に
おいて、最も消去できた印加エネルギーに固定して行っ
た。なお、印字・消去は、全て常温(20〜25℃)下
で行った。消去特性の判定は、下記の式により算出した
消去率(R)を用い、80%≦Rを○、70<R<80
%を△、70%≧Rを×と評価した。 R=〔(B−C)/(A−C)〕×100(%) 上記式中、A、BおよびCは、下記の反射濃度をマクベ
ス反射濃度計(RD−914)により測定したものとす
る。 A:透明地肌濃度(乾燥機で全面透明化した時の反射濃
度) B:透明化濃度(感熱ヘッドにより透明化された箇所の
反射濃度) C:最大白濁濃度
【0024】(3)コントラスト コントラストの判定には、以下の式から算出したコント
ラスト(Y)を用い、下記の範囲を満たす場合を○と
し、満たさない場合を×とした。 地肌濃度(X)が1.0以下の場合、 Y≧0.6 1.0〜1.6の範囲にある場合、Y≧0.5X+0.1 1.6より大きい場合、 Y≧X−0.7
【0025】以上の結果を表1に示す。
【表1】 表1の測定結果によれば、ポリエステル樹脂を使用した
本発明の実施例の場合は、それを用いない比較例の場合
と比較すると、消去特性、特に経時の安定性が良好で、
その効果が著しいことが分かる。
【0026】
【発明の効果】本発明の可逆性感熱記録媒体は、上記の
ように該感熱記録層が、ガラス転移温度30〜100℃
で、重量平均分子量5000〜15000のポリエステ
ル系樹脂中に高融点成分と低融点成分よりなる有機低分
子物質を分散させてなるから、透明化温度幅が広いのみ
ならず、サーマルヘッド等の微小な熱容量の加熱媒体を
用いた場合においても、十分に画像を消去することが可
能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 可逆性感熱記録媒体の感熱記録層における温
度と透明率との関係を示す状態図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 真一 静岡県静岡市用宗巴町3番1号 株式会 社巴川製紙所情報メディア事業部内 (56)参考文献 特開 平4−110187(JP,A) 特開 昭55−154198(JP,A) 特開 平5−229264(JP,A) 特開 平3−2089(JP,A) 特開 平3−130188(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、透明度が温度によって可逆
    的に変化する感熱記録層を設けてなる可逆性感熱記録媒
    体において、該感熱記録層が、ガラス転移温度30〜1
    00℃で、重量平均分子量5000〜15000のポリ
    エステル系樹脂中に高融点成分と低融点成分よりなる有
    機低分子物質を分散させてなることを特徴とする可逆性
    感熱記録媒体。
  2. 【請求項2】 磁気記録層を有する支持体上に、透明度
    が温度によって可逆的に変化する感熱記録層を設けてな
    る可逆性感熱記録媒体において、該感熱記録層が、ガラ
    ス転移温度30〜100℃で、重量平均分子量5000
    〜15000のポリエステル系樹脂中に高融点成分と低
    融点成分よりなる有機低分子物質を分散させてなること
    を特徴とする可逆性感熱記録媒体。
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