JP4056042B2 - 樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱層の温度による可逆的な透明度変化を利用して、画像の形成及び消去を何度も繰り返して行なうことのできる可逆性感熱記録材料用樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、一時的な画像形成が行なえ、不要となったときにはその画像(情報)の消去ができるようにした可逆性感熱記録材料が注目されている。その代表的なものとしては、ガラス転移温度(Tg)が50〜60℃から80℃未満である低ガラス転移温度の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のような樹脂母材中に高級脂肪酸のような有機低分子物質を分散した、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を設けた可逆性感熱記録材料が知られている(特開昭54−119377号公報、特開昭55−154198号公報に記載)。また、可逆性感熱記録層に用いられる樹脂母材の平均重合度及び塩化ビニル単位含有量を規定すること(特に平均重合度を上げること)により、樹脂母材の耐熱性を向上させ、耐久性を向上させた可逆性感熱記録媒体が提案された(特開昭62−154547号公報に記載)。さらに、可逆性感熱記録層に用いられる樹脂母材はヒドロキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体にイソシアナート化合物を添加し、熱硬化型樹脂にしたものを用いることにより、樹脂母材の耐熱性を向上させ、耐久性を向上させた可逆性感熱記録媒体が提案されている(特開平5−085045号公報に記載)。
【0003】
しかしながら、これらの可逆性感熱記録媒体は、サーマルヘッド等の発熱体で画像形成及び消去を複数回繰り返す間に記録層に歪みが発生し、画像形成時の画像濃度が低下したり、コントラストが低下してしまったり、サーマルヘッドでの短時間の熱エネルギーでは白濁画像を消去する消去エネルギー巾が狭いため、画像が消去しにくく、また、白濁画像形成後に長時間保存すると、消去特性が変動し、初期消去特性に対応した消去条件で画像の消去を行なうと、その画像の消去が不完全であり、また保存環境温度が高温下になると低温下に比べて、画像消去性が悪くなるという欠点があった。また、昨今の環境問題から焼却時に酸性雨や有毒なダイオキシンの発生原因となる塩化ビニール系樹脂の代替材料が求められているが、実用性に耐えうる塩化ビニール系樹脂代替樹脂母体はなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記の不都合を解消するものであって、焼却時に環境に悪影響を与えることなく、サーマルヘッドの熱エネルギーによる画像を消去する消去エネルギー巾を広げ画像を消去しやすくさせ、画像形成後の初期の消去性においても画像が消去でき、また、画像形成後に長時間保存しても、初期消去特性に対応した消去条件で画像の消去ができ、また、画像形成及び消去の繰り返し耐久性に優れた可逆性感熱記録材料のための樹脂組成物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を行なった結果、樹脂母材と該樹脂母材中に分散された有機低分子物質とを主成分とし、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を設けた可逆性感熱記録材料用樹脂において、該樹脂母材に特定のアクリル供重合体(A)とポリイソシアネート(B)から構成する樹脂母体を用いることにより焼却時に酸性雨や有毒なダイオキシンの発生原因となることなく、画像形成及び消去の繰り返し耐久性に優れた可逆性感熱記録材料を発現することを見い出し本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、上記課題は、本発明の(1)「有機低分子物質を樹脂母材に分散させることにより、温度に依存して透明度が変化する感熱層を支持体上に有する可逆性感熱記録材料の樹脂母材として用いられる樹脂組成物において、前記樹脂組成物が、Foxの式から求められるガラス転移温度(Tg)が30〜60℃、水酸基価(OHV)が20〜70mgKOH/g、重量平均分子量(MW)が20,000〜100,000であるアクリル共重合体(A)とポリイソシアネート(B)からなることを特徴とする可逆性感熱記録材料用樹脂組成物」、(2)「前記アクリル共重合体(A)とポリイソシアネート(B)の重量比が97/3〜50/50であることを特徴とする前記第(1)項に記載の可逆性感熱記録材料用樹脂組成物」、(3)「前記ポリイソシアネート(B)が鎖式イソシアネート化合物と環式イソシアネート化合物の混合であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の可逆性感熱記録材料用樹脂組成物」によって解決される。
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の可逆性感熱記録材料は、樹脂中母材と該樹脂中に分散された有機低分子物質を主成分とし、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を設けた材料である。
このような可逆性感熱記録材料の例としては、従来の技術の中で繰り返し示されているような、ポリエステル等の樹脂母材中に高級アルコール、高級脂肪酸等の有機低分子物質を分散した感熱層が代表例として挙げられる。
【0008】
前記の透明度に変化を生じせしめる感熱層は、樹脂母材及びこの樹脂母材中に分散された有機低分子物質を主成分としたものである。ここでの可逆性感熱記録材料は、後述するように、透明になる温度の範囲がある。本発明の可逆性感熱記録材料は、前記のごときの透明度変化(透明状態、白濁不透明状態)を利用しており、そのメカニズムについては次のように推測される。
【0009】
すなわち、(I)透明の場合には樹脂母材中に分散された有機低分子物質の粒子は有機低分子物質と樹脂母材は隙間なく密着しており、また粒子内部にも空隙はなく、片側から入射した光は散乱されることなく反対側に透過するため透明に見えること、また、(II)白濁の場合には有機低分子物質の粒子は有機低分子物質の微細な結晶で構成されており、結晶の界面若しくは粒子と樹脂母材の界面に隙間ができ片側から入射した光は空隙と結晶、空隙と樹脂の界面で屈折し、散乱されるため白く見えること等に由来している。
【0010】
図1は本発明に係る感熱層の熱による透明度の変化を表わす図である。図1において、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散された有機低分子物質とを主成分とする感熱層は、例えばT0以下の常温では白濁不透明状態にある。これを加熱していくと温度T1から徐々に透明になり、初め温度T2〜T3に加熱すると透明となり、この状態で再びT0以下の常温に戻しても透明のままである。これは温度T1付近から樹脂が軟化し始め、軟化が進むにつれ、樹脂が収縮し、樹脂と有機低分子物質粒子との界面若しくは粒子内の空隙を減少させるため、徐々に透明度が上がり、温度T2〜T3では有機低分子物質が半溶融状態となり、残った空隙を溶融した有機低分子物質が埋めることにより透明となり、種結晶が残ったまま冷却されると比較的高温で結晶化し、その際樹脂がまだ軟化状態のため、結晶化にともなう粒子の体積変化に樹脂が追随し、空隙ができず透明状態が維持されるためと考えられる。
さらにT4以上の温度に加熱すると、最大透明度と最大不透明度との中間の半透明状態になる。次に、この温度を下げていくと、再び透明状態をとることなく最初の白濁不透明状態に戻る。これは温度T4以上で有機低分子物質が完全に溶融した後、過冷却状態となりT0より少し高い温度で結晶化し、その際、樹脂が結晶化にともなう体積変化に追随できず、空隙が発生するためであると思われる。ただし、図1に示した温度−透明度変化曲線は代表的な例を示しただけであり、材料を替えることにより各状態の透明度等にその材料に応じて変化が生じることがある。
このように透明度変化には樹脂の軟化点及び軟化点以上での変形挙動が重要であり、前記した高速消去特性を向上させるためには、前記した第1図の温度T2〜T3の範囲である透明化温度幅を拡大し、また、サーマルヘッド等の短時間加熱による軟化点以上での変形速度を速くすることが必要であると考えられる。
【0011】
本発明の樹脂母材に使用されるアクリル共重合体(A)成分のFoxの式から求められる計算ガラス転移温度(Tg)は30〜60℃の範囲である。
なお、Foxの式とは、共重合体のガラス転移温度についての下記の関係式である。
【数1】
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
(ただし、Wiはモノマーの質量分率、TgiはモノマーiのホモポリマーのTg(K)を示す。)
【0012】
本発明のアクリル共重合体(A)の計算Tgが30℃以上、60℃以下であり、より好ましくは40℃〜50℃の範囲である。Tgが低すぎると記録層の耐熱性と画像形成後、室温以上の高温での保存しても画像が消えやすいという問題が生じ、高すぎると記録剤の繰り返し再記録ができなくなるという問題を生じるので望ましくない。
【0013】
また、アクリル共重合体(A)の水酸基価数(mgKOH/g、ソリッド計算値)は20(mgKOH/g)以上、70(mgKOH/g)以下である。好ましい範囲は30〜70(mgKOH/g)である。この水酸基価数が低すぎると記録材層の長期耐久性が低下するという問題が生じ、高すぎると記録剤の充分な消去エネルギー巾が得られないという問題を生じるので望ましくない。
【0014】
また、酸価(AV)は1mgKOH/g以上、10mgKOH/g以下である。1mgKOH/g未満では記録材層の透明性が低下し、10mgKOH/gを上回ると長期耐久性が悪化する。より好ましい範囲としては3〜8mgKOH/gである。
【0015】
アクリル共重合体(A)の重量平均分子量(MW)は20,000以上、100,000以下である。より好ましい範囲は40,000〜60,000である。分子量が低すぎると耐久性が劣化し、また長時間保存すると、消去特性が変動するという問題が生じ、分子量が高すぎると短時間の熱エネルギーでの白濁画像を消去する消去エネルギー巾がせまくなるという問題を生じるので望ましくない。
【0016】
アクリル共重合体(A)の屈折率は記録体の有機低分子物質との屈折率比が大きいほど白濁度が高くなる傾向があり、また透明性を上げるためには屈折率差が小さいほど散乱光による透明性低下を防止できる。好ましい範囲は、屈折率1.45〜1.60の範囲で、より好ましくは1.48〜1.55の範囲である。
【0017】
本発明のアクリル共重合体(A)は水酸基を有する不飽和単量体(a)、カルボン酸基を有する不飽和単量体(b)及びその他エチレン性不飽和単量体単位(c)を共重合して得ることができる。
【0018】
水酸基を有する不飽和単量体単位(a)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、またはこれらとε−カプロラクトンとの付加物などが挙げられる。エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のグリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。このような水酸基含有α、β−不飽和単量体は単独であるいは複数組み合わせて用いることができる
【0019】
水酸基を有する単量体(a)は、水酸基価数(mgKOH/g、ソリッド計算値)で20(mgKOH/g)以上130(mgKOH/g)以下の範囲で使用できるが、ポリイソシアネートとの架橋反応性及び長期耐久性の点で4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを共重合することが好ましい。
【0020】
カルボン酸基を有する不飽和単量体(b)の具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、イタコン酸モノブチル、シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシブチル、マレイン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル、マレイン酸4−(メタ)アクリロイルオキシブチル、ヘキサヒドロフタル酸2−メタクリロイルオキシエチル等が挙げられる。感熱記録材の透明性を向上させる点でヘキサヒドロフタル酸2−メタクリロイルオキシエチル、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチルのごとく長鎖カルボン酸含有不飽和単量体が好ましい。
【0021】
その他共重合可能な単量体(c)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートジメチルアミノエチル、(メタ)アクリレート等のアルキルアミノ(メタ)アクリレート、メチルクロライド塩、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリベン(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のグリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、ベンジル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートメチルクロライド塩などが挙げられる。
屈折率の調整には高屈折率を発現させるスチレンやベンジル(メタ)アクリレート等を共重合することが好ましい。
【0022】
本発明のアクリル共重合体(A)は前記単量体単位(a)〜(c)を構成する単量体成分を公知の溶液重合、懸濁重合、乳化重合により得ることができる。また、単量体の重合系中への供給方法は、特に制約を受けるものではなく、従来公知の手法を用いることができる。
【0023】
本発明のアクリル共重合体(A)と組み合わせて用いられるポリイソシアネート(B)はアクリル共重合体(A)中のヒドロキシ基と反応する組成物である。
かかる架橋剤の例は、ポリイソシアネート(典型的には、ジー及びトリイソシアネート)化合物、ブロックイソシアネート化合物である。
アクリル共重合体(A)とポリイソシアネート(B)との混合比は透明性発現性の点で50/50重量比以上が好ましく、長期耐久性の点で(A)/(B)=97/3重量比以下が好ましい。特に好ましい範囲は(A)/(B)=60/40〜97/3重量比である。
【0024】
本発明で使用するポリイソシアナート化合物としては、少なくとも鎖式イソシアネート化合物を含有するイソシアネート化合物を用いることが好ましい。さらには鎖式イソシアネート化合物と環式イソシアネート化合物との混合物を用いてアクリルポリオール樹脂の熱架橋を行なうことがさらに好ましい。
【0025】
鎖式イソシアネート化合物のみを用いた場合は、一般に架橋された樹脂は柔軟になり消去性は向上する一方、繰り返し耐久性や画像保存性が低下する傾向にある。逆に環式イソシアネート化合物のみを用いた場合は、一般に架橋された樹脂は剛直になり、繰り返し耐久性や画像保存性は向上する一方、消去性が低下する傾向にある。したがって鎖式イソシアネート化合物と環式イソシアネート化合物との混合物を用いることにより、消去性と耐久性、耐熱性とを両立させることが可能となる。
【0026】
本発明で用いられるイソシアネート化合物としては、イソシアネート基(−N=C=O)を2以上有し一般に架橋剤として広く利用されているイソシアネート化合物が適用でき、その具体例として、トルイレンジイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネートの二量体、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス−(p−イソシアネートフェニル)チオホスファイト、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、多官能芳香族イソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、多官能脂肪族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0027】
イソシアネート化合物との硬化反応を促進させる触媒としては、トリエチレンジアミン、ナフテン酸コバルト、塩化第一スズ、テトラ−n−ブチルスズ、塩化第ニスズ、トリメチルスズヒドロキシド、ジメチル第二塩化スズ、ジ−n−ブチルスズジラウレート等が適用でき、その添加割合は樹脂固形分に対し0.1〜2重量%程度が好ましい。
【0028】
このようにして得られた本発明の被覆組成物はコーティング材料用としての高度な性能を発現させるために、各種顔料、消泡剤、顔料、分散剤、スリップ剤、防腐剤、架橋剤、可塑剤等を添加して使用することもできる。本発明の被覆組成物を用いて各種材料の表面に被膜を形成する際の塗装方法としては、噴霧コート法、ローラーコート法、バーコート法、エアナイフコート法、刷毛塗り法、ディッピング法等従来公知の方法を適宜選択して使用することができ、特に制約を受けるものではない。
【0029】
本発明の被覆組成物をコーティング材料として用いる場合には、通常、室温〜120℃程度の温度範囲で10分〜1時間程度乾燥することで充分に成膜した被膜を得ることができる。
【0030】
一方、有機低分子物質としては感熱層中で粒子状になればよく、一般に融点30〜200℃、好ましくは50〜150℃程度のものが使用される。このような有機低分子物質としてはアルカノール;アルカンジオール;ハロゲンアルカノールまたはハロゲンアルカンジオール;アルキルアミン;アルカン;アルケン;アルキン;ハロゲンアルカン;ハロゲンアルケン;ハロゲンアルキン;シクロアルカン;シクロアルケン;シクロアルキン;飽和または不飽和モノまたはジカルボン酸又はこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;飽和または不飽和ハロゲン脂肪酸またはこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;アリルカルボン酸またはそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;ハロゲンアリルカルボン酸またはそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;チオアルコール;チオカルボン酸又はそれらのエステル、アミドまたはアンモニウム塩;チオアルコールのカルボン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上混合して使用される。これらの化合物の炭素数は10〜60、好ましくは10〜38、特に10〜30が好ましい。エステル中のアルコール基部分は飽和していてもよく、飽和していなくてもよく、またハロゲン置換されていてもよい。いずれにしても有機低分子物質は分子中に酸素、窒素、硫黄及びハロゲンの少くとも1種、例えば−OH、−COOH、−CONH、−COOR、−NH、−NH2、−S−、−S−S−、−O−、ハロゲン等を含む化合物であることが好ましい。
【0031】
本発明において前記有機低分子物質としては、低融点の有機低分子物質と高融点の有機低分子物質とを組み合わせて用いることにより、透明化温度巾を更に拡大させることができ好ましい。前記低融点有機低分子物質と高融点有機低分子物質の融点の差は30℃以上が好ましく、更に好ましくは40℃以上であり、特に好ましくは50℃以上である。低融点有機低分子物質としては、融点40℃〜100℃のものが好ましく、50℃〜80℃のものがさらに好ましい。高融点有機低分子物質としては、融点100℃〜200℃のものが好ましく、110℃〜180℃のものが更に好ましい。
【0032】
これらの有機低分子物質の中で本発明で用いられる低融点有機低分子物質としては下記の脂肪酸エステル、二塩基酸エステル、多価アルコールジ脂肪酸エステルが好ましい。これらは少なくとも1種或いは2種以上混合して用いられる。
【0033】
本発明で用いられる脂肪酸エステルは、同じ炭素数の脂肪酸(2分子会合状態)より融点が低く、逆に同じ融点の脂肪酸よりも炭素数が多いという特徴を持つ。サーマルヘッドでの画像の印字−消去の繰り返しによる劣化は、樹脂母材と有機低分子物質の加熱時の相溶による有機低分子物質粒子の分散状態の変化が原因と考えられ、樹脂母材と有機低分子物質の相溶性は有機低分子物質の炭素数が多いほど低下し、画像の印字−消去の劣化が少ないものと考えられる。更に白濁度も炭素数に比例して増加する傾向にある。そのため、同じ透明化温度(融点付近にある)の可逆性感熱記録材料において、樹脂母材中に分散させる有機低分子物質として脂肪酸エステルを用いることにより、脂肪酸を用いた場合に比較し、白濁度が高く、つまりコントラストが高く、しかも繰り返し耐久性が向上するものと思われる。そして、このような脂肪酸エステルと高融点の有機低分子物質を混合して用いることにより、透明化温度巾を広くすることができ、サーマルヘッドでの消去の性能も高く、そのため、保存により多少消去特性が変動しても、消去可能であり、材料自身の特性から繰り返し耐久性も向上することができる。
【0034】
本発明で用いられる脂肪酸エステルは、例えば下記一般式(I)で表わされる。
【0035】
【化1】
R1−COO−R2 (I)
(式中、R1、R2は炭素数10以上のアルキル基を表わす。)
脂肪酸エステルの炭素数は20以上が好ましく、25以上が更に好ましく、30以上が特に好ましい。炭素数が多くなると白濁度が高く、繰り返し耐久性が向上するという特徴を有する。脂肪酸エステルの融点は40℃以上が好ましい。これらは一種または二種以上を選択して用いられる。
【0036】
二塩基酸エステルとしては、モノエステル、ジエステルのいずれでもよく、下記一般式(II)で表わされるものである。
【0037】
【化2】
ROOC−(CH)−COOR’ (II)
(式中、R、R’は水素原子、又は炭素数1〜30のアルキル基を表わし、R、R’は同一であっても異なっていてもよいが、同時に水素原子である場合を除く。nは0〜40の整数を表わす。)
上記一般式(II)で表わされる二塩基酸エステルにおいて、R、R’のアルキル基の炭素数は1〜22が好ましく、nは、1〜30が好ましく、2〜20が更に好ましい。また融点は40℃以上が好ましい。
【0038】
本発明で用いる有機低分子物質の多価アルコールジ脂肪酸エステルとしては、下記の一般式で表わされるものが挙げられる。
【0039】
【化3】
CH3(CH2)m−2COO(CH2)nOOC(CH2)m−2CH3
(式中、nは2〜40、好ましくは3〜30、更に好ましくは4〜22の整数である。mは2〜40、好ましくは3〜30、更に好ましくは4〜22の整数である。)
多価アルコールジ脂肪酸エステルは同じ炭素数で比較すると脂肪酸より融点が低く、逆に同じ融点で比較すると脂肪酸より炭素数が多いという特徴を持つ。サーマルヘッドでの印字の繰り返し耐久性は樹脂と有機低分子物質の加熱時での相溶性が原因と考えられ、樹脂と有機低分子物質の相溶性は有機低分子物質の炭素数が多いほど低下すると考えられる。さらに白濁度も炭素数に比例し、増加する傾向にあり、そのため多価アルコールジ脂肪酸エステルを用いることにより、同じ透明化温度(融点付近にある)の可逆性感熱記録材料において脂肪酸と比較し、繰り返し耐久性が向上すると思われる。
【0040】
また、多価アルコールジ脂肪酸エステルは低融点で、それより高融点の脂肪酸と白濁度、繰り返し耐久性の面で同程度の特性を持つため、これらより高融点の有機低分子物質と混合し、透明化温度範囲を広げた際に、脂肪酸を用いた場合と同程度の白濁度、繰り返し耐久性等の性能を持ちながら透明化温度範囲を広げることができ、ひいてはサーマルヘッド等による、短時間での加熱による画像消去(透明化)を向上させることができ、さらに、画像消去のマージンが増えることにより経時により画像消去エネルギーが変動しても、実用上問題なく、サーマルヘッドでの消去も可能となる。
【0041】
また次に、本発明で用いられる高融点有機低分子物質としては、脂肪族飽和ジカルボン酸、高級アルキル基を有するケトン、該ケトンから誘導されるセミカルバゾン、α−ホスホノ脂肪酸などが挙げられ、下記のものが好ましいが、これらに限定されるものではない。これらは、一種または二種以上選択して用いられる。
【0042】
これら融点100℃以上の有機低分子物質の具体例を以下に示す。
脂肪族ジカルボン酸の、例えば融点100〜135℃程度の具体例としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸等が挙げられる。
【0043】
本発明において用いるケトンは、ケトン基と高級アルキル基を必須の構成基として含み、その他無置換または置換基を有する芳香環あるいは被素環を含むこともできる。前記ケトンの全炭素数は16個以上が好ましく、更に好ましくは21個以上である。また、本発明に用いるセミカルバゾンは、上記ケトンから誘導されたものである。
【0044】
本発明で用いるα−ホスホノ脂肪酸は、例えばE.V.Kaurer等、J.Ak.OilChekist’sSoc,41,205(1964)の方法に従って脂肪酸をHell-Volhard-Zelinskin反応によって臭素化してα−臭素化酸臭化物とし、次いでエタノールを加え、α−プロモ脂肪酸エステルを得、さらにトリエチルホスファイトと加熱反応して、α−ホスホノ脂肪酸エステルとし、濃塩酸による加水分解を行なって、生成物をトルエンから再結晶することにより得ることができる。
【0045】
また、これらの低融点有機低分子物質と高融点有機低分子物質の混合重量比は95:5〜5:95が好ましく、90:10〜10:90が更に好ましく、80:20〜20:80が特に好ましい。またこれらの低融点、高融点有機低分子物質以外に前記した他の有機低分子物質を混合して用いてもよい。これらは下記のものが挙げられる。
【0046】
これら化合物としてはラウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、アラギン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸メチル、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン酸オクタデシル、ラウリン酸オクタデシル、パルミチン酸テトラデシル、ベヘン酸ドデシル等の高級脂肪酸のエステル:C16H33−O−C16H33,C16H33−S−C16H33,C18H37−S−C18H37,C12H25−S−C12H25,C19H39−S−C19H39,C12H25−S−S−C12H25等のエーテル又はチオエーテル等がある。中でも本発明では高級脂肪酸、特にパルミチン酸、ペンタデカン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の炭素数16以上の高級脂肪酸が好ましく、炭素数16〜24の高級脂肪酸が更に好ましい。
【0047】
前記したように、本発明において透明化できる温度の巾を広げるには、本明細書において記載した有機低分子物質を適宜組み合わせるか、または、そうした有機低分子物質と融点の異なる他の材料とを組み合わせればよい。
なお、記録層中の有機低分子物質と樹脂(架橋構造を有する樹脂)との割合は、重量比で2:1〜1:16程度が好ましく、1:2〜1:8が更に好ましい。樹脂の比率がこれ以下になると、有機低分子物質を樹脂中に保持した膜に形成することが困難となり、またこれ以上になると、有機低分子物質の量が少ないため、不透明化が困難になる。
【0048】
本発明で用いられる可逆性感熱記録材料を作るには一般に、(1)樹脂母材及び有機低分子物質の2成分を溶解した溶液、又は(2)樹脂母材の溶液(溶剤としては有機低分子物質のうちの少なくとも1種を溶解しないものを用いる)に有機低分子物質を微粒子状に分散した分散液をプラスチックフィルム、ガラス板、金属板などの支持体上に塗布乾燥して積層の感熱層を形成せしめればよい。感熱層又は感熱記録材料作成用溶剤としては、樹脂母材及び有機低分子物質の種類によって種々選択できるが、例えばテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。なお、分散液を使用した場合はもちろんであるが、溶液を使用した場合も得られる感熱層中では有機低分子物質は微粒子として析出し、分散状態で存在する。
【0049】
記録層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜20μmがさらに好ましい。記録層が厚すぎると層内での熱の分布が発生し均一に透明化することが困難となる。また、記録層が薄すぎると白濁度が低下しコントラストが低くなる。更に、感熱層中の有機低分子物質の量を増加させると白濁度を増すことができる。
【0050】
記録層には以上の成分の他に、透明画像の形成を容易にするために、界面活性剤、可塑剤等の添加物を添加することができる。これらの添加物の具体例は次の通りである。可塑剤としては、リン酸エステル、脂肪酸エステル、フタル酸エステル、二塩基酸エステル、グリコール、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤が挙げられる。
【0051】
本発明における感熱層の樹脂を硬化させる手段としては、加熱することにより行なうことができる。この手段で硬化させる方法は具体的にはアクリル共重合体(A)とポリイソシアネート(B)とを反応させることにより硬化させる。
【0052】
本発明において、硬化した樹脂母材とすることにより、感熱層の膜の硬度を向上することができる。サーマルヘッド等を用い圧力を加え同時に加熱する場合には、画像形成−消去を繰り返すうちに有機低分子物質粒子の周囲の樹脂母材が変形し、細かく分散された有機低分子物質粒子が次第に大きな径の粒子となり、光を散乱させる効果が少なくなり(白濁度が低下し)、ついには画像コントラストが低下する。膜の硬さが感熱層の耐久性に重要であり、膜の硬さが強いほど耐久性が良好である。また加熱時(100〜140℃)の塗膜の硬さが硬い方がよい。膜の硬さを測定する方法としては、例えばNEC製の薄膜硬度計MHA−400で膜の硬度変化を測定することができる。
【0053】
また、これらの他に、感熱層中の樹脂と有機低分子物質粒子との界面及び/又は粒子中に樹脂及び粒子の屈折率と異なる空隙があると、白濁状態での画像濃度が向上し、コントラストが向上する効果がある。空隙の大きさが不透明状態を検知するために用いる光の波長の1/10以上であるとより効果が顕著である。
【0054】
本発明の可逆性感熱記録材料に形成される画像は透光画像及び反射画像として用いることができる。反射画像として用いる場合には、記録層の背面に光を反射する層を設けるのが望ましい。また、反射層があると記録層の厚みを薄くしてもコントラストを上げることができる。具体的にはAl、Ni、Sn等を蒸着することが挙げられる(特開昭64−14079号公報に記載)。
【0055】
また、感熱層にはその感熱層を保護するために保護層を設けることができる。保護層(厚さ0.1〜10μm)の材料としては、シリコーン系ゴム、シリコーン樹脂(特開昭63−221087号公報に記載)、ポリシロキサングラフトポリマー(特願昭63−317385号明細書に記載)や紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹脂(特願平2−566号明細書に記載)等が挙げられる。いずれの場合も、塗布時に溶剤を用いるが、その溶剤は、感熱層の樹脂ならびに有機低分子物質を溶解しにくいほうが望ましい。感熱層の樹脂及び有機低分子物質を溶解しにくい溶剤としてn−ヘキサン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、特にアルコール系の溶剤がコスト面から望ましい。
【0056】
また、これら保護層は、感熱層の樹脂を硬化するのと同時に硬化させることも可能である。この場合には前記した方法により支持体上に感熱層を形成した後に、保護層を塗布、乾燥し、その後に電子線照射等を行ない、それぞれの層を硬化させればよい。
【0057】
更に、保護層形成液の溶剤やモノマー成分等から感熱層を保護するために、保護層と感熱層との間に中間層を設けることができる(特開平1−133781号公報に記載)。中間層の材料としては感熱層中の樹脂母材の材料として挙げたものの他に下記のような熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が使用可能である。即ち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド等が挙げられる。中間層の厚さは0.1〜2μmくらいが好ましい。
【0058】
また、本発明の可逆性感熱記録材料の層構成としては、実開平2−3876号公報に記載されているように、支持体上に感熱層と磁性材料を主成分とする磁気記録層を有すると共に、少なくとも感熱層直下又は支持体の感熱層対応部分が着色されている層構成が挙げられる。または、特開平3−130188号公報に記載されているように、支持体上に磁気記録層、その上に光反射層、更にその上に感熱層が設けられているような層構成等が挙げられるが、この場合に磁気記録層は支持体裏面か、あるいは支持体と感熱層の間に設けているかのどちらでも良く、またこれらの他の層構成であっても何らさしつかえはない。
【0059】
本発明では支持体と感熱層の間に視認性を良くするために着色層を設けることもできる。着色層は着色剤及び樹脂バインダーを主成分とする溶液又は分散液を対象面に塗布、乾燥するか、或いは単に着色シートを貼合せることにより形成される。ここで着色剤としては上層の感熱層の透明及び白濁の変化を反射画像として認識できればよく、赤、黄、青、紺、紫、黒、茶、灰、橙、緑などの色を有する染料、顔料等が使用される。また、樹脂バインダーとしては各種熱可塑性、熱硬化性又は紫外線硬化性樹脂が使用される。
【0060】
また、支持体と感熱層との間に、空気を有する非密着部である空気層を設けることができる。空気層を設けると、感熱層の主成分として用いられた有機高分子材料の屈折率が1.4〜1.6程度で、空気の屈折率1.0との差が大きいため、感熱記録層側フィルムと非密着部との界面で光が反射し、感熱層が白濁状態のとき白濁度が増幅され、視認性が向上するので、この非密着部位を表示部として用いることが望ましい。非密着部位は非密着部の内部に空気を有するため、その非密着部が断熱層となり、感熱度が向上する。更に、非密着部位はクッションの役目もなし、サーマルヘッドで圧力をかけて押さえつけても実際に感熱部材に加わる圧力は低くなり、熱を加えても記録層の変形は少なく、有機低分子物質粒子の拡大もなく、繰り返し耐久性が向上する。
【0061】
更に、支持体裏面に接着剤層又は粘着剤層を設けて、可逆性感熱記録ラベルとして用いることも可能である。このラベルシートは被貼着体と貼り合わされるが、被貼着体としては、例えば、クレジットカード等の塩ビカード、ICカード、IDカード、紙、フィルム、合成紙、ボーディングバス、定期券等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、支持体がAl蒸着層のような樹脂との接着力に乏しい材質の場合には、支持体と感熱層との間に接着層を設けても良い(特開平3−7377号公報に記載)。
【0062】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明する。ここでの部及び%はいずれも重量基準である。
<アクリル共重合体(A1)製造例>
モノマー混合物として、スチレン120部、メタクリル酸メチル153部、メタクリル酸ベンジル180部、アクリル酸2−エチルヘキシル30部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル108部、メタクリルル酸9部の混合物600部を作成した。
2Lの四つ口フラスコに溶剤MEKを360部とモノマー混合物30部を仕込み、残りのモノマー混合物に開始剤としてAIBNを2.4部添加して滴下用モノマー混合物を準備した。フラスコ内温80℃に保持した後に滴下用モノマー混合物を4時間掛けて滴下し、滴下終了後にMEK18部を投入した。フラスコ内温80℃のまま保持し、追加開始剤としてAIBN1.2部を30分毎、5回投入した。最後の追加開始剤投入から、フラスコ内温80℃で1時間30分保持した後、最終希釈溶剤として、70℃以下に冷却した時点でMEK222部を投入し冷却・缶詰で終了した。
得られたアクリル樹脂の溶液特性値は粘度(気泡粘度計)で−R、加熱残分は50.9wt%、水酸基価70mgKOH/g(対固形分)、酸価5.1mgKOH/g(対固形分)、Tgは40℃、重量平均分子量は45,000であった。樹脂の計算屈折率は1.532であった。
【0063】
実施例1
大日本インキ工業社製磁気原反(メモリディック、DS−1711−1040:188μm厚さの透明PETフィルム上に磁気記録層及びセルフクリーニング層を塗工したもの)のPETフィルム側に、約400ÅのAlを真空蒸着して光反射層を設けた。
その上に、
からなる溶液を塗布、加熱乾燥し、約0.5μm厚さの接着層を設けた。
さらに、その上に、
よりなる溶液を塗布し、130℃3分間加熱乾燥して約10μm厚の感熱層を設けた後60℃48時間硬化した。
さらにその上に、
よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後、80W/cmの紫外線ランプで硬化させ、約2μm厚の保護層を設けて可逆性感熱記録材料を作成した。
【0064】
<アクリル共重合体(A2)製造例>
モノマー混合物として、スチレン150部、メタクリル酸メチル123部、メタクリル酸ベンジル132部、アクリル酸2−エチルヘキシル78部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル108部、メタクリルル酸9部の混合物600部を作成した。
2Lの四つ口フラスコに溶剤酢酸ブチル360部を仕込み、モノマー混合物に開始剤としてカヤエステルO(化薬アクゾ社製)を6.6部添加して滴下用モノマー混合物を準備した。フラスコ内温120℃に保持した後に滴下用モノマー混合物を4時間掛けて滴下し、滴下終了後に酢酸ブチル30部を投入した。フラスコ内温120℃のまま1時間保持し、追加開始剤としてカヤエステルOを1.2部と酢酸ブチルを30部とからなる開始剤混合物を1時間おきに3回一括添加した。さらにフラスコ内温120℃のまま1時間保持した後、フラスコ内温を80℃以下に冷却した時点でMEK360部を投入し冷却・缶詰で終了した。
得られたアクリル樹脂の溶液特性値は粘度(気泡粘度計)で−D、加熱残分は41.5wt%、水酸基価70mgKOH/g(対固形分)、酸価4.5mgKOH/g(対固形分)、重量平均分子量は38,000であった。樹脂の計算Tgは30℃、計算屈折率は1.5308であった。
【0065】
実施例2
アクリル共重合体(A1)をアクリル共重合体(A2)にする以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
【0066】
<アクリル共重合体(A3)製造例>
モノマー混合物を、スチレン132部、メタクリル酸メチル297部、アクリル酸2−エチルヘキシル54部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル108部、メタクリル酸9部との混合物600部とする以外はアクリル共重合体(A2)と同様の手法によりをアクリル共重合体(A3)を作成した。
得られたアクリル樹脂の溶液特性値は粘度(気泡粘度計)で−J、加熱残分は42.1wt%、水酸基価70mgKOH/g(対固形分)、酸価4.1mgKOH/g(対固形分)、重量平均分子量は39,000であった。樹脂の計算Tgは45℃、計算屈折率は1.5115であった。
【0067】
実施例3
アクリル共重合体(A1)をアクリル共重合体(A3)にする以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
【0068】
<アクリル共重合体(A4)製造例>
モノマー混合物を、スチレン132部、メタクリル酸メチル309部、アクリル酸2−エチルヘキシル42部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル108部、メタクリル酸9部との混合物600部とする以外はアクリル共重合体(A2)と同様の手法によりをアクリル共重合体(A4)を作成した。
得られたアクリル樹脂の溶液特性値は粘度(気泡粘度計)で−G、加熱残分は42.1wt%、水酸基価70mgKOH/g(対固形分)、酸価4.1mgKOH/g(対固形分)、重量平均分子量は40,000であった。樹脂の計算Tgは50℃、計算屈折率は1.5115であった。
【0069】
実施例4
アクリル共重合体(A1)をアクリル共重合体(A4)にする以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
【0070】
比較例1
感熱層のアクリル共重合体(A1)を塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(ユニオンカーバイド社製、VAGH)にする以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
よりなる溶液を塗布し、130℃3分間加熱乾燥して約10μm厚の感熱層を設けた後60℃48時間硬化した。保護層は実施例1と同様のものを設けた。
【0071】
比較例2
感熱層のアクリル共重合体(A1)を感熱層の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(ユニオンカーバイド社製、VYHH)にする以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
【0072】
<アクリル共重合体(B1)製造例>
モノマー混合物を、スチレン168部、メタクリル酸メチル33部、アクリル酸2−エチルヘキシル102部、メタクリル酸ベンジル180部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル108部、メタクリル酸9部との混合物600部とする以外はアクリル共重合体(A2)と同様の手法によりをアクリル共重合体(B1)を作成した。
得られたアクリル樹脂の溶液特性値は粘度(気泡粘度計)で−D、加熱残分は42.1wt%、水酸基価70mgKOH/g(対固形分)、酸価4.4mgKOH/g(対固形分)、重量平均分子量は71000であった。樹脂の計算Tgは20℃、計算屈折率は1.5398であった。
【0073】
比較例3
アクリル共重合体(A1)をアクリル共重合体(B1)にする以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
【0074】
<アクリル共重合体(B2)製造例>
モノマー混合物を、スチレン240部、メタクリル酸メチル90部、メタクリル酸エチル15部、メタクリル酸イソブチル87部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル150部、メタクリル酸18部との混合物600部とする以外はアクリル共重合体(A2)と同様の手法によりをアクリル共重合体(B2)を作成した。
得られたアクリル樹脂の溶液特性値は粘度(気泡粘度計)で−V、加熱残分は41.6wt%、水酸基価108mgKOH/g、酸価8.8mgKOH/g、重量平均分子量は68000であった。樹脂の計算Tgは82℃、計算屈折率は1.5354であった。
【0075】
比較例4
アクリル共重合体(A1)をアクリル共重合体(B2)にする以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
【0076】
このようにして得られた実施例の可逆性感熱記録材料について、次のように画像形成−消去及び繰り返し耐久性試験を行なった。結果を表1に示す。
<初期の白濁画像濃度>
感熱記録装置として、八城電気社製印字試験装置を用いて、サーマルヘッドには京セラ(株)KBE−40−8MGK1のサーマルヘッドを用い、パルス巾2.0msec、印加電圧11.0Vの条件で白濁画像形成を行ない、その際の濃度を白濁画像濃度とする。
【0077】
<消去性>
白濁画像濃度測定の際と同様の条件下で白濁画像形成を行ない、その直後サーマルヘッドによる印字条件をライン周期4.2ms、パルス幅2.94ms、印字速度29.76mm/sに設定して、印加エネルギーを0.085mj/dotから0.30mj/dotまで適宜変更し透明化を行なった。そして各々のエネルギーによる消去濃度をマクベス濃度計RD914にて測定し消去性を求めた。図2と同様に消去濃度と消去エネルギーの関係をグラフにして消去可能エネルギー巾を求め、また最大に透明化した部位の濃度を最大透明濃度とし、その最大透明濃度と地肌との差を初期消去性とする。次に白濁画像形成後、保存環境温度35℃に72hr保存し、初期と同様に画像の透明化を行ない、経時後の消去可能エネルギー巾を求め、また初期と経時での共通な消去エネルギー巾を求めた。また更に初期消去性と同一部位での濃度と地肌の差を経時消去性とした。
【0078】
<繰り返し耐久性>
また、白濁画像形成と透明化を各々繰り返し、50回目の白濁画像濃度を測定し、初期の白濁画像濃度との差を繰り返し耐久性とした。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明によって、画像形成後の初期および画像形成後に長期に保存してもサーマルヘッドの熱エネルギーによる画像の消去性がよく、かつ画像形成および消去の繰り返し耐久性に優れた可逆性感熱記録媒体を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可逆性感熱記録材料の熱による透明度の変化を表わした図である。
【図2】消去エネルギーと反射濃度との関係を示すグラフである。
Claims (3)
- 有機低分子物質を樹脂母材に分散させることにより、温度に依存して透明度が変化する感熱層を支持体上に有する可逆性感熱記録材料の樹脂母材として用いられる樹脂組成物において、前記樹脂組成物が、Foxの式から求められるガラス転移温度(Tg)が30〜60℃、水酸基価(OHV)が20〜70mgKOH/g、重量平均分子量(MW)が20,000〜100,000であるアクリル共重合体(A)とポリイソシアネート(B)からなることを特徴とする可逆性感熱記録材料用樹脂組成物。
- 前記アクリル共重合体(A)とポリイソシアネート(B)の重量比が97/3〜50/50であることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録材料用樹脂組成物。
- 前記ポリイソシアネート(B)が鎖式イソシアネート化合物と環式イソシアネート化合物の混合であることを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録材料用樹脂組成物。
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