JP4247824B2 - 熱可逆記録媒体、並びに、熱可逆記録ラベル、熱可逆記録部材、画像処理装置及び画像処理方法 - Google Patents

熱可逆記録媒体、並びに、熱可逆記録ラベル、熱可逆記録部材、画像処理装置及び画像処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リライタブルなポイントカード等の用途に好適であり、視認性に優れた画像の形成及び消去を迅速に行うことができる熱可逆記録媒体、並びに、該熱可逆記録媒体を用いた、熱可逆記録ラベル、熱可逆記録部材、画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可逆記録媒体は、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を有し、任意のタイミングでかつ容易に画像の形成と消去とを行うことができることから、リライタブルなポイントカード等として、近年急速に普及してきている。そして、近時、該熱可逆記録媒体としては、その記録装置の小型化や低価格化を図る観点から、特別な画像消去手段を要せず一つのサーマルヘッドのみで画像の形成及び消去が可能であり、オーバーライト可能なものの開発が望まれている。
【0003】
ところで、従来より、前記熱可逆記録媒体として知られているものとしては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹脂中に高級脂肪酸等の有機低分子化合物を分散させたものなどがある(特許文献1参照)。しかし、従来の熱可逆記録媒体の場合、透明性(透光性)を示す温度範囲幅(以下「透明化温度幅」と称することがある)が2〜4℃と狭いため、透明性(透光性)や白濁性(遮光性)を利用して画像を形成する際の温度制御が容易ではないという問題がある。このため、前記有機低分子化合物として、高級脂肪酸と脂肪族ジカルボン酸との混合物を用いることにより、透明化温度幅を20℃前後まで広げて画像を消去(透明化)することが提案されている(特許文献2〜3参照)。しかしながら、ここでは、ヒートローラや熱板等を用いて比較的長時間加熱すれば白濁画像を消去(透明化)可能であるものの、サーマルヘッドを用いてミリ秒単位の極小時間加熱した場合には、感熱層の厚み方向に温度分布が大きくなり、該感熱層における、前記サーマルヘッドからの距離が遠い底部が十分に加熱されず、画像の消去を十分に行うことができないという問題がある。
【0004】
そこで、前記サーマルヘッドを用いてオーバーライト記録を行った場合であっても、十分に画像を消去可能な熱可逆記録媒体が提案されている。例えば、前記有機低分子化合物として、チオエーテルと脂肪族二塩基酸とを含有させた熱可逆記録媒体も提案されている(特許文献4参照)。しかし、ここでは、熱可逆記録媒体を長時間加熱したときの透明化温度幅は広がっているものの、サーマルヘッドを用いてミリ秒単位の極小時間加熱した場合では、依然として画像の消去を十分に行うことができず、また、画像形成経時後に室温より高温で長時間保存すると消去エネルギーが変化して画像を消去し難くなり、十分な消去性、コントラストが得られないという問題がある。
また、有機低分子化合物としての脂肪族チオエーテルを含有させる方法(特許文献5参照)や、有機低分子化合物としての高級脂肪酸エステル及び脂肪族二塩基酸を含有させる方法(特許文献6参照)が提案されている。しかし、これらでは、有機低分子化合物の結晶化温度よりも十分に高いガラス転移温度を持つ樹脂を用いているため、サーマルヘッドを用いてミリ秒単位の極小時間の加熱では、樹脂が十分に軟化せず画像の消去を十分に行うことができず、また、画像形成経時後に室温より高温で長時間保存すると消去エネルギーが変化して画像を消去し難くなり、十分な消去性、コントラストが得られないという問題がある。
一方、有機低分子化合物としての高級脂肪酸ヒドラジドと脂肪族飽和カルボン酸を含有させる方法(特許文献7参照)や、有機低分子化合物としての脂肪酸エステルとステロイド骨格を有する脂肪酸を含有させる方法(特許文献8参照)が提案されている。しかし、これらでは、透明化温度域が高温域にあり、十分な温度幅を持たないため、サーマルヘッドを用いてミリ秒単位の極小時間加熱した場合では、画像の消去を十分に行うことができず、また、画像形成経時後に室温より高温で長時間保存すると消去エネルギーが変化して画像を消去し難くなり、十分な消去性、コントラストが得られないという問題がある。
【0005】
他方、感熱層の表面に温度勾配緩和層を設けることが提案されている(特許文献9参照)。しかし、ここでは、感熱層の厚みが厚いため、サーマルヘッドを用いてミリ秒単位の極小時間加熱した場合では、熱可逆記録媒体の底部、即ちサーマルヘッドに接触しない側を十分に加熱することができず、画像の形成及び消去を十分に行うことができず、また、画像形成経時後に室温より高温で長時間保存すると消去エネルギーが変化して画像を消去し難くなり、十分な消去性、コントラストが得られないという問題がある。
更に、特定の架橋型樹脂を混合させる方法(特許文献10〜11参照)や、感熱性ポリマーを含有させる方法(特許文献12参照)が提案されている。しかし、これらでは、画像の消去性はある程度向上するものの、画像の形成速度が速いサーマルヘッドを用いてミリ秒単位の極小時間加熱した場合では、十分な消去性、コントラストが得られず、また、画像形成経時後に室温より高温で長時間保存すると消去エネルギーが変化して、十分な消去性、コントラストが得られないという問題がある。
【0006】
上記問題のない熱可逆記録媒体を得る目的で、樹脂母材のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有する樹脂を用いることが提案されている(特許文献13参照)。しかし、この場合、画像の保持性が十分でなく、画像形成後に室温より高温で保存すると画像が消えてしまう現象が生じ、十分なコントラストが得られないという問題がある。
また、鎖式イソシアネート化合物と環式イソシアネート化合物との混合物を架橋剤として用い、画像形成経時後の画像の消去性の劣化を低減させることが提案されている(特許文献14参照)。しかし、ここでは、画像形成経時後の画像の消去性はホットスタンプなどによる静的消去方法で改善されるものの、サーマルヘッドを用いてミリ秒単位の極小時間加熱した場合では、画像の消去性が向上せず、十分に画像を消去することができないという問題がある。
また、樹脂母材中に凝固点30℃以下の低分子量ポリエステル樹脂を配合し、ガラス転移温度を低下させることが提案されている(特許文献15〜16参照)。しかし、これらでは、画像形成後に該低分子量ポリエステル樹脂が移行して画像が消えてしまい、十分なコントラストが得られず、また、該低分子量ポリエステル樹脂が析出してしまうという問題がある。
【0007】
したがって、サーマルヘッドを用いてミリ秒単位の極小時間加熱した場合でも、十分に画像を消去することができ、画像形成経時後に、消去エネルギーが変化せず十分な消去性、コントラストを維持し、しかも保存性、視認性等に優れた画像を形成可能な熱可逆記録媒体、及び、該熱可逆記録媒体を用いた関連技術は、未だ提供されていないのが現状である。
【0008】
【特許文献1】
特開昭55−154198号公報
【特許文献2】
特開平2−1363号公報
【特許文献3】
特開平3−2089号公報
【特許文献4】
特開平11−115319号公報
【特許文献5】
特開2000−71623号公報
【特許文献6】
特開2000−71624号公報
【特許文献7】
特開平7−101157号公報
【特許文献8】
特開平8−282131号公報
【特許文献9】
特開2001−30633号公報
【特許文献10】
特開平8−72416号公報
【特許文献11】
特開平8−127183号公報
【特許文献12】
特開平10−100547号公報
【特許文献13】
特許第3003745号公報
【特許文献14】
特開2000−198274号公報
【特許文献15】
特開2000−52662号公報
【特許文献16】
特開2002−113956号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、処理速度が速く、サーマルヘッドを用いてミリ秒単位の極小時間加熱した場合でも、十分に画像を消去することができ、画像形成経時後に、消去エネルギーが変化せず十分な消去性を維持し、高温で長時間放置しても保存性、コントラスト、視認性等に優れた画像を形成可能な熱可逆記録媒体、並びに、該熱可逆記録媒体を用いた、各種のラベル、カード等として好適な熱可逆記録ラベル、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット等として好適な熱可逆記録部材、処理速度が速く、コントラスト、視認性等に優れた画像を形成可能な画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> アクリルポリオール樹脂とカルボキシル基非含有化合物からなる有機低分子化合物と、カルボキシル基含有化合物からなる有機低分子化合物とを含み、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を少なくとも有し、該感熱層の透明化温度幅が30℃以上であり、前記アクリルポリオール樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル単量体を全単量体に対して50質量%以上用いて合成され、かつ複数個の水酸基を有するとともに、イソシアネート化合物で架橋されており、下記式から求められるガラス転移温度(Tg)が30〜60℃であることを特徴とする熱可逆記録媒体である。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
前記式中、Wiは、モノマーiの質量分率を表し、Tgiは、モノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(K)を表す。
<2> 感熱層のガラス転移温度が30〜70℃である前記<1>に記載の熱可逆記録媒体である。
> アクリルポリオール樹脂の重量平均分子量が20,000〜100,000である前記<1>から<>のいずれかに記載の熱可逆記録媒体である。
> カルボキシル基非含有化合物が、脂肪酸エステル、二塩基酸エステル及び多価アルコールジ脂肪酸エステルから選択されるいずれかである前記<1>から<>のいずれかに記載の熱可逆記録媒体である。
> 支持体を有する前記<1>から<>のいずれかに記載の熱可逆記録媒体である。
> 前記<1>から<>のいずれかに記載の熱可逆記録媒体における画像を形成する面と反対側の面に、接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有することを特徴とする熱可逆記録ラベルである。
> 情報記憶部と可逆表示部とを有し、該可逆表示部が前記<1>から<>のいずれかに記載の熱可逆記録媒体を含むことを特徴とする熱可逆記録部材である。
> 情報記憶部と可逆表示部とが一体化された前記<>に記載の熱可逆記録部材である。
> カード、ディスク、ディスクカートリッジ及びテープカセットから選択される前記<>から<>のいずれかに記載の熱可逆記録部材である。
【0011】
本発明の熱可逆記録媒体は、樹脂と有機低分子化合物とを含み、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を少なくとも有し、第一の形態では、該感熱層におけるガラス転移温度変化が−10〜5℃であり、かつ透明化温度幅が30℃以上であり、第二の形態では、前記樹脂がアクリルポリオール樹脂を含み、かつ前記感熱層におけるガラス転移温度変化が−10〜5℃であり、第三の形態では、前記樹脂がアクリル樹脂を含み、かつ前記感熱層における透明化温度幅が40℃以上であり、第四の形態では、前記樹脂がアクリルポリオール樹脂を含み、かつ前記感熱層における透明化温度幅が30℃以上である。
前記熱可逆記録媒体においては、前記樹脂が、その軟化温度(Ts)以上に加熱されると該樹脂が軟化して、該樹脂と前記有機低分子化合物との界面に形成されていた空隙が消失される。その結果、前記樹脂と前記有機低分子化合物との界面に存在していた空隙により形成されていた画像が消去される。このまま、該感熱層が前記樹脂の軟化温度(Ts)未満に冷却されると、前記樹脂と前記有機低分子化合物との界面に空隙が存在しない状態が維持され、該感熱層は透明状態を維持し、画像が消去された状態を維持する。一方、該感熱層が冷却されず更に前記有機低分子化合物の融点(Tm)以上に加熱されると、その部分においては、該有機低分子化合物が融解する。その後、該感熱層が前記有機低分子化合物の融点(Tm)未満に、更に前記樹脂の軟化温度(Ts)未満に冷却されると、その部分においては、前記樹脂と前記有機低分子化合物との界面に空隙が形成され、白濁状態を生じ、画像が形成される。
前記第一の形態〜第四の形態に係る熱可逆記録媒体においては、それぞれ、ガラス転移温度変化、透明化温度幅及び樹脂の種類から選択される少なくとも2つが上述の通りである結果、短時間で画像の形成乃至消去が可能であり、サーマルヘッドを用いてミリ秒単位の極小時間加熱した場合でも十分に画像が消去され、画像形成経時後に消去エネルギーが変化しないため、十分な消去性が維持され、高温で長時間放置しても保存性、コントラスト、視認性等に優れた画像が形成される。
【0012】
本発明の熱可逆記録ラベルは、本発明の前記熱可逆記録媒体における画像を形成する面と反対側の面に、接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有する。該熱可逆記録ラベルでは、前記熱可逆記録媒体部分において、サーマルヘッドを用いてミリ秒単位の極小時間加熱した場合でも十分に画像が消去され、画像形成経時後に消去エネルギーが変化しないため、十分な消去性が維持され、高温で長時間放置しても保存性、コントラスト、視認性等に優れた画像が形成される。また、前記接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有するので、前記感熱層を直接塗布することが困難な磁気ストライプ付塩化ビニル製カード等の厚手の基板など広範な用途に適用される。
【0013】
本発明の熱可逆記録部材は、情報記憶部と可逆表示部とを有し、該可逆表示部が本発明の前記熱可逆記録媒体である。該熱可逆記録部材では、前記可逆表示部においては、所望の画像が所望のタイミングで形成され消去される。そして、その際、サーマルヘッドを用いてミリ秒単位の極小時間加熱した場合でも十分に画像が消去され、画像形成経時後に消去エネルギーが変化しないため、十分な消去性が維持され、高温で長時間放置しても保存性、コントラスト、視認性等に優れた画像が形成される。一方、前記情報記録部では、カード、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット等の種類に応じた記録方式により、文字情報、画像情報、音楽情報、映像情報等の所望の諸情報が記録され消去される。
【0014】
本発明の画像処理装置は、前記本発明の熱可逆記録媒体を加熱し、画像を形成する画像形成手段及び画像の消去を行う画像消去手段の少なくともいずれかを有する。該画像処理装置においては、前記画像消去手段が、本発明の前記熱可逆記録媒体を加熱する。該熱可逆記録媒体における前記感熱層が前記樹脂の軟化温度(Ts)以上に加熱されると、該感熱層においては、前記樹脂が軟化して、該樹脂と前記有機低分子化合物との界面に形成されていた空隙が消失される。その結果、前記樹脂と前記有機低分子化合物との界面に存在していた空隙により形成されていた画像が消去される。そして、このまま、該感熱層が前記樹脂の軟化温度(Ts)未満に冷却され、前記樹脂と前記有機低分子化合物との界面に空隙が存在しない状態が維持され、該感熱層は透明状態となり、画像が消去される。一方、前記画像形成手段が、本発明の前記熱可逆記録媒体を加熱する。該熱可逆記録媒体における前記感熱層が、前記樹脂の軟化温度(Ts)以上に加熱され、更に前記有機低分子化合物の融点(Tm)以上に加熱されると、その部分においては、該有機低分子化合物が融解する。その後、該感熱層が前記有機低分子化合物の融点(Tm)未満に、更に前記樹脂の軟化温度(Ts)未満に冷却されると、その部分においては、前記樹脂と前記有機低分子化合物との界面に空隙が形成され、白濁状態を生じ、画像が形成される。
【0015】
本発明の画像処理方法は、前記本発明の熱可逆記録媒体を加熱して画像の形成及び画像の消去の少なくともいずれかを行う。該画像処理方法においては、本発明の前記熱可逆記録媒体を加熱し、該熱可逆記録媒体における前記感熱層が前記樹脂の軟化温度(Ts)以上に加熱されると、該感熱層においては、前記樹脂が軟化して、該樹脂と前記有機低分子化合物との界面に形成されていた空隙が消失される。その結果、前記樹脂と前記有機低分子化合物との界面に存在していた空隙により形成されていた画像が消去される。そして、このまま、該感熱層が前記樹脂の軟化温度(Ts)未満に冷却され、前記樹脂と前記有機低分子化合物との界面に空隙が存在しない状態が維持され、該感熱層は透明状態となり、画像が消去される。一方、本発明の前記熱可逆記録媒体を加熱し、該熱可逆記録媒体における前記感熱層が、前記樹脂の軟化温度(Ts)以上に加熱され、更に前記有機低分子化合物の融点(Tm)以上に加熱されると、その部分においては、該有機低分子化合物が融解する。その後、該感熱層が前記有機低分子化合物の融点(Tm)未満に、更に前記樹脂の軟化温度(Ts)未満に冷却されると、その部分においては、前記樹脂と前記有機低分子化合物との界面に空隙が形成され、白濁状態を生じ、画像が形成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
(熱可逆記録媒体)
本発明の熱可逆記録媒体は、樹脂と有機低分子化合物とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含み、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を少なくとも有してなり、以下の第一の形態から第四の形態のいずれかであるのが好ましい。
前記第一の形態では、前記感熱層におけるガラス転移温度変化が−10〜5℃であり、かつ透明化温度幅が30℃以上である。前記第二の形態では、前記樹脂がアクリルポリオール樹脂を含有し、かつ前記感熱層におけるガラス転移温度変化が−10〜5℃である。前記第三の形態では、前記樹脂がアクリル樹脂を含有し、かつ前記感熱層における透明化温度幅が40℃以上である。前記第四の形態では、前記樹脂がアクリルポリオール樹脂を含有し、かつ前記感熱層における透明化温度幅が30℃以上である。
【0017】
前記感熱層は、温度に依存して透明状態乃至白濁状態(以下「不透明状態」と称することがある)にその透明度が可逆的に変化する。本発明の熱可逆記録媒体は、該感熱層におけるこの透明度の変化を利用して画像の形成及び消去がなされる。該感熱層において、透明度が変化するメカニズムは、例えば、以下のように推測される。即ち、前記感熱層において、前記有機低分子化合物は、前記樹脂(「樹脂母材」、「マトリクス樹脂」と称することがある)中に粒子状に分散されている。前記感熱層が「透明状態」の場合、前記樹脂中に粒子状に分散された前記有機低分子化合物と前記樹脂との界面に空隙が存在せず、該感熱層に入射した光は、散乱することなく透過する。その結果、該感熱層は「透明」となる。一方、前記感熱層が「白濁状態」の場合、前記樹脂中に粒子状に分散された前記有機低分子化合物と前記樹脂との界面に空隙が存在し、該感熱層に入射した光は、該空隙と前記有機低分子化合物との界面、該空隙と前記樹脂との界面で大きく屈折し散乱される。その結果、該感熱層は「白濁」となる。つまり、前記空隙が存在する部分のみ「白濁」となり、それ以外の部分は「透明」となり、該白濁と該透明とのコントラストにより所望の画像が形成される。なお、ここで形成される「画像」には、文字、記号、図形、絵、画像、これらの任意の組合せなどが含まれる。
【0018】
ここで、図面を参照しながら前記熱可逆記録媒体における画像の形成及び消去について説明する。図1は、熱可逆記録媒体における感熱層の加熱温度による透明度の変化の一例を示すグラフである。なお、このグラフは、前記樹脂がポリエステル等であり、前記有機低分子化合物が高級アルコール、高級脂肪酸等である場合などの例であるが、前記樹脂や前記有機低分子化合物等の材料を変更することにより多少変形することがある。
【0019】
図1において、前記樹脂と該樹脂中に分散された有機低分子化合物とを含む感熱層が、例えば、温度「T」以下の常温では「白濁」状態(不透明)であるとする。この感熱層を加熱していくと、温度「T」から徐々に透明になり始め、温度「T」〜「T」まで加熱すると、該感熱層は「透明」状態となる。この「透明」状態から再び「T」以下の常温に戻しても、該感熱層は「透明」状態のまま維持される。つまり、温度「T」付近から前記樹脂が軟化し始め、温度が上昇するにつれ、該樹脂と前記有機低分子化合物とは共に膨張するものの、該有機低分子化合物の方が前記樹脂より膨張度が大きいため、該有機低分子化合物が、該樹脂との界面における空隙を徐々に減少させ、その結果、透明度が徐々に上がる。温度「T」〜「T」では、前記有機低分子化合物が半溶融状態となり、残存する空隙を、半溶融状態となった該有機低分子化合物が埋めることにより「透明」状態となる。この状態のまま該感熱層が冷却されると、前記有機低分子化合物が比較的高温で結晶化し体積変化が生ずる。このとき、前記樹脂は軟化状態にあるため、前記有機低分子化合物の結晶化による体積変化に追随可能であり、該有機低分子化合物と該樹脂との界面に空隙が生ずることなく、「透明」状態が維持される。
また、前記感熱層を温度「T」以上に加熱すると、該感熱層は、最大透明度と最大不透明度との中間の「半透明」状態になる。次に、この温度を下げていくと、「透明」状態となることなく、「白濁」状態(不透明)となる。つまり、前記有機低分子化合物が、温度「T」以上で完全に溶融した後、過冷却状態となり温度「T」より少し高温で結晶化する。その際、前記樹脂が前記有機低分子化合物の結晶化による体積変化に追随不能であり、該有機低分子化合物と該樹脂との界面に空隙が生ずるため、「白濁」状態となる。
【0020】
以上のように、前記熱可逆記録媒体における画像の形成及び消去は、前記感熱層における、「透明」状態乃至「白濁」状態の透明度変化を利用して行われる。前記感熱層における、「透明」状態乃至「白濁」状態の透明度変化は、該感熱層における、ガラス転移温度(Tg)、ガラス転移温度の経時変化度(ΔTg)、透明化温度幅(ΔTw)、初期消去エネルギー幅、消去エネルギー幅の経時変化率、あるいは、該感熱層中の前記樹脂や前記有機低分子化合物の軟化点温度、軟化点温度以上での変形挙動、などが重要である。
【0021】
−ガラス転移温度(Tg)−
前記感熱層のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30〜70℃が好ましく、30〜50℃がより好ましい。
前記ガラス転移温度(Tg)が、30℃未満であると、室温(以下23±3℃を意味する。以下同じ。)で十分に白濁することができなくなることがあり、70℃を超えると、前記感熱層の繰返し耐久性が低下することがある。
【0022】
前記感熱層のガラス転移温度は、JIS K7121(1987制定、1999年版)に従って測定される、昇温時に見られる転移部分の曲線(DSC)から求められ、該DSC曲線における、各ベースラインと、ガラス転移温度の階段状変化部分の曲線との交点の温度とされる。これは、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移温度の段階状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度を「補正ガラス転移開始温度(Tig)」とし、高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの高温側の曲線に勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度を「補正ガラス転移終了温度(Teg)」とした場合に、縦方向における「Tig」と「Teg」との中間点と等しくなる。なお、階段状変化の高温側にピークが現れる場合、ガラス転移温度を求めるための「補正ガラス転移終了温度(Teg)」は、高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの高温側の曲線に勾配が最大になるような点で引いた接線の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度とする。
【0023】
前記感熱層のガラス転移温度は、具体的には、例えばDSC測定装置などを用いて測定することができる。即ち、先ず熱可逆記録媒体における感熱層を剥離する。このとき、該感熱層のガラス転移温度が測定できる程度であれば、少量の保護層や接着層等が該感熱層に付着していてもよい。なお、前記感熱層を剥離する方法としては、例えば、該感熱層がアルミニウム蒸着層上に塗布してある場合には、紙やすり等で保護層などの感熱層上部に塗布した層の部分を取り除き、塩酸やフッ化水素酸などでアルミニウム蒸着部分を溶解させることにより、フィルム状の感熱層を得ることができる。次に剥離した感熱層をアルミニウム製などのDSC測定用セルに入れて測定に供する。
前記DSC測定装置としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、SII社製示差熱層走査熱量計6200などが好適に挙げられる。該DSC測定装置において、試料の量は一般に5mg程度であり、標準物質は酸化アルミニウムなどであり、昇温速度は15℃/min程度である。なお、前記試料の量は、少なすぎるとデータにノイズが多くなり、多すぎると試料の全体に熱が伝わり難くなり、いずれも正確なデータが得られ難くなることがある。
【0024】
−ガラス転移温度の経時変化度(ΔTg)−
前記感熱層のガラス転移温度の経時変化度(ΔTg)としては、前記第一の形態及び前記第二の形態では、−10〜5℃であることが必要であり、−7〜5℃がより好ましく、前記第三の形態及び前記第四の形態では、−10〜5℃が好ましく、−7〜5℃がより好ましい。
前記ガラス転移温度の経時変化度(ΔTg)が、前記数値範囲内であると、画像形成経時後の前記感熱層のガラス転移温度の高温側へのシフトが少なくなり、画像形成経時後でも消去性が良好である。
前記ガラス転移温度の経時変化度(ΔTg)は、画像形成経時後におけるガラス転移温度(Tga)−画像形成直後(初期)におけるガラス転移温度(Tgi)を意味する。ここで、前記「画像形成経時後におけるガラス転移温度(Tga)」とは、前記感熱層における前記ガラス転移温度(Tg)よりも5℃低い温度(例えば、前記Tgiが40℃であれば35℃)で1週間保存後に測定したガラス転移温度を意味する。
【0025】
前記ガラス転移温度の経時変化度(ΔTg)は、例えば、以下のようにして測定することができる。即ち、先ず、前記感熱層の試料をDSC測定用セルに入れた状態で、恒温槽中で前記感熱層の軟化温度よりも十分に高温の130℃で5分間加熱し、該感熱層の試料を軟化させる。次に、軟化させた該感熱層の試料が入ったDSC測定用セルを恒温槽から取り出し、室温で2時間放置して冷却し、該感熱層中の樹脂をガラス状態とし、上記方法によって測定したガラス転移温度を「画像形成直後(初期)におけるガラス転移温度(Tgi)」とした。
【0026】
なお、前記感熱層の試料を軟化させた直後では、該感熱層の樹脂が十分に冷却されておらず、ガラス転移温度を正確に測定することができないため、室温で30分放置後に測定することにより、「画像形成直後(初期)におけるガラス転移温度(Tgi)」の正確なDSC測定データが得られる。なお、室温で30分放置後でも「画像形成直後(初期)におけるガラス転移温度(Tgi)」が得られない場合には、更に放置時間を3時間程度に延長して放置すると、前記感熱層の前記樹脂が安定なガラス状態をとり、「画像形成直後(初期)におけるガラス転移温度(Tgi)」を測定することができる。
前記放置時間が、短すぎると「画像形成直後(初期)におけるガラス転移温度(Tgi)」を正確に測定することが困難となることがあり、長すぎると前記「エンタルピー緩和」現象が生じ、「画像形成直後(初期)におけるガラス転移温度(Tgi)」が高温へとシフトしてしまうことがあるため、該放置時間としては、30分間〜3時間程度が好ましい。
一方、加熱後に前記感熱層の試料を室温(23℃)で十分に冷却し、その後、該感熱層のガラス転移温度(Tg)より5℃低い温度(例えば、前記「画像形成直後(初期)におけるガラス転移温度(Tgi)」が40℃であれば35℃)で1週間保存後に測定したガラス転移温度を「画像形成経時後におけるガラス転移温度(Tga)」とする。
【0027】
−透明化温度幅(ΔTw)−
前記透明化温度幅(ΔTw)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂としてアクリルポリオール樹脂を用いる前記第一の形態及び前記第三の形態では、30℃以上であることが必要であり、40℃以上が好ましく、上限値も規定すると、30〜90℃が好ましく、40〜90℃がより好ましく、40〜80℃が特に好ましく、前記第二の形態では、30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、上限値も規定すると、30〜90℃が好ましく、40〜90℃がより好ましく、40〜80℃が特に好ましく、前記樹脂として前記アクリル樹脂を用いる前記第四の形態では、40℃以上であることが必要であり、上限値も規定すると、40〜90℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。
前記透明化温度幅(ΔTw)は、広くなる程、消去性乃至高速消去性に優れ、サーマルヘッドにより短時間加熱した場合であっても、該感熱層を前記樹脂乃至前記有機低分子化合物の軟化温度以上にすることができ、消去速度が速く、かつ均一な消去が可能になり、一方、30℃未満であると、消去性が低下し、サーマルヘッドによる消去性が十分でなくなることがあり、90℃を超えると、白濁化温度が上がりすぎ、白濁画像を形成する際に大きなエネルギーを加えなければならず、サーマルヘッドの寿命が悪くなったり、熱可逆記録媒体の耐久性が低下したりすることがある。
【0028】
前記透明化温度幅(ΔTw)は、以下の通り定義される。まず、図2に示すように、前記熱可逆記録媒体を温度T〜Tへと加熱後にT以下の温度に冷却すると、該熱可逆記録媒体の透明度は、「白濁」状態と「透明」状態との間で変化する。図2において、最大「白濁」状態における透明度値(濃度)t11に、最大「透明」状態における透明度値(濃度)t12と最大「白濁」状態における透明度値t11との差の80%に相当する透明度値(濃度)を加えた透明度値(濃度)をt13とする。この透明度値(濃度)t13以上の透明度になる温度を「透明化温度」とし、その範囲を「透明化温度範囲(T〜T)」とし、その幅を「透明化温度幅(ΔTw=T−T)」とする。なお、このとき、前記最大「透明」状態における前記透明度値(濃度)が非画像形成部分、即ち加熱を行っていない透明部分の透明度値(濃度)を「地肌濃度」とした時、最大「透明」状態における透明度値(濃度)t12よりも前記地肌濃度が高い値である場合には、該「地肌濃度」を前記透明度値(濃度)t12とされる。
【0029】
前記透明化温度幅(ΔTw)は、例えば、以下のようにして測定することができる。即ち、先ず、白濁状態に十分に至っていないあるいは透明状態にある前記熱可逆記録媒体を、十分に加熱したホットプレートに押圧したり、あるいは恒温槽中で加熱すること等により、白濁状態にさせる。このとき、加熱時間としては例えば、前記ホットプレートによる場合には10〜30秒間程度でよく、前記恒温槽による場合には1〜5分間程度でよい。なお、前記加熱の温度が、前記熱可逆記録媒体の白濁化のために十分な温度であることを確認するには、該温度よりやや高い温度(例えば、10℃高い温度)で再度加熱し、白濁濃度が該再度の加熱前後で変化しなければ、該再度の加熱前の加熱温度が前記白濁化のための十分な温度であったこととなる。一方、再度の加熱前後で白濁濃度が変化し、該再度の加熱後の方が加熱前よりも白濁濃度が高くなっていれば、該再度の加熱前の温度ではまだ温度が低く、前記白濁化のための十分な温度ではなかったこととなる。この場合、前記加熱温度を上げて再度の加熱を繰り返せばよい。
次に、白濁状態にした前記熱可逆記録媒体に対し、温度を変えて加熱し該熱可逆記録媒体が透明になる温度を調べた。前記熱可逆記録媒体の加熱には、例えば、5つの加熱ブロックを持ち、各ブロック毎に加熱時間、圧力、温度等を設定し制御可能な熱傾斜試験機(東洋精機社製、HG−100)を好適に用いることができる。この場合、前記加熱時間を1.0秒とし、前記圧力を約1.0kg/cmとし、前記温度は、加熱しても「白濁」状態が変化しない低温度から1〜5℃の等温間隔で前記白濁化のための十分な温度まで加熱する。各加熱ブロックへの前記熱可逆記録媒体の粘着を防ぐため、該熱可逆記録媒体は、ポリイミドやポリアミドの薄い(10μm以下)フィルム上に配置させてもよい。
以上のようにして、加熱を行った後、常温に冷却し、マクベスRD−914反射濃度計(マクベス社製)を用い、各加熱ブロックにおいて加熱した前記熱可逆記録媒体における濃度を測定した。そして、図2に示すように、横軸を加熱温度(前記熱傾斜試験機の設定温度)とし、縦軸を反射濃度(該熱可逆記録媒体における反射濃度)とし、各温度毎の前記濃度の値をプロットし、該プロットの隣接点同士を直線で結ぶことにより、グラフが作成される。なお、このとき、前記熱可逆記録媒体として透明支持体を用いている場合には、光吸収性シート又は光反射性シートを前記熱可逆記録媒体の背面に敷いて濃度を測定する。
図2に示すように、該グラフは、通常、略台形状となる。図2において、「T」は、白濁画像をその温度で加熱した後で冷却しても該白濁濃度が変化しない温度を表す。「T」は、その温度で冷却したときに該白濁濃度が変化する最低の温度を表す。「T」は、その温度で加熱した後で冷却したときに最大「透明」状態である透明度値を示す温度を表す。「T」は、その温度で加熱した後で冷却したときに最大「白濁」状態である透明度値を示す温度を表す。
【0030】
−初期消去エネルギー幅−
前記初期消去エネルギー幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、広い方が一般に消去性に優れ、例えば、20〜80%が好ましく、30〜75%がより好ましく、40〜60%が特に好ましい。
前記初期消去エネルギー幅が、20%未満であると、サーマルヘッド等による短時間の加熱の場合に消去を十分に行うことができないことがあり、80%を超えると、該初期消去エネルギー幅の下限値が低くなり、高温保存時における画像耐熱性が悪くなり、該初期消去エネルギーの上限値が高くなり、白濁状態にするのに高いエネルギーを印加しなければならず、画像の形成及び消去の繰り返しによる画像の劣化が生じ易くなり、サーマルヘッドの寿命が低下することがある。
【0031】
前記初期消去エネルギー幅は、前記感熱記録材料に白濁画像を形成した直後に、サーマルヘッドにて該白濁画像を消去することが可能なエネルギーの幅を意味し、以下のように定義される。即ち、図3において、最大「白濁」状態における透明度値(濃度)t11に、最大「透明」状態における透明度値(濃度)t12と最大「白濁」状態における透明度値(濃度)t11との差の80%に相当する透明度値(濃度)を加えた透明度値(濃度)をt13とする。この透明度値(濃度)t13以上の透明度になるエネルギーを「初期消去エネルギー」とし、その範囲を「消去エネルギー範囲(E〜E)」とする。そして、前記初期消去エネルギー範囲(E〜E)における、消去エネルギーの下限値Eと上限値Eとの中心値を、初期消去エネルギー中心値Ecとする。また、該初期消去エネルギー範囲(E〜E)における、前記初期消去エネルギー中心値(Ec)に対する、前記初期消去エネルギー範囲における、消去エネルギーの下限値Eと上限値Eとの差(E−E)の百分率(%)を算出し、これを「初期消去エネルギー幅」とする。
したがって、前記初期消去エネルギー幅は、下記式で表される。
初期消去エネルギー幅(%)=[(E−E)/Ec]×100
前記式中、Eは、初期消去エネルギー範囲における、消去エネルギーの下限値(mj/dot)を表し、Eは、初期消去エネルギー範囲における、消去エネルギーの上限値(mj/dot)を表し、Ecは、初期消去エネルギー中心値(E+E)/2(mj/dot)を表す。
【0032】
ここで、前記初期消去エネルギー幅(%)を初期消去エネルギー中心値に対する割合で規定した理由は、以下の通りである。即ち、前記初期消去エネルギー幅が、低いエネルギー範囲に存する場合、サーマルヘッドを用いた加熱による画像の消去においては、前記熱可逆記録媒体は、環境温度変化の影響を受け難く、また、その表面と裏面と間の温度分布が小さいため該サーマルヘッドからの熱エネルギーを蓄積し難い(該熱可逆記録媒体の水平面方向への熱拡散は、該熱可逆記録媒体における隣接ドット域に影響を及ぼさない程度)。一方、前記初期消去エネルギー幅が、高いエネルギー範囲に存する場合、前記熱可逆記録媒体は、環境温度変化の影響を受け易く、また、その表面と裏面との間の温度分布が大きいため該サーマルヘッドからの熱エネルギーを蓄積し易い。以上のように、前記初期消去エネルギー幅は、それが存するエネルギー範囲の影響を受け易いため、この影響を少なくして表現するには、前記初期消去エネルギー幅をそのエネルギーの中心値に対する割合とすることが有効である。
【0033】
前記初期消去エネルギー幅は、例えば、以下のようにして測定することができる。即ち、先ず、室温に冷却された前記熱可逆記録媒体に対し、印字試験機(ビーコム社製)を用い、サーマルヘッド(京セラ製、KBE−40ヘッド)により任意のエネルギー値で加熱を行って画像を消去する。
画像を消去した前記熱可逆記録媒体に対し、加熱後に常温まで冷却し、マクベスRD−914反射濃度計(マクベス社製)を用いて該熱可逆記録媒体における濃度を測定した。そして、図3に示すように、横軸を消去エネルギー(mj/dot)とし、縦軸を反射濃度(該熱可逆記録媒体における反射濃度)とし、各消去エネルギー毎の前記濃度の値をプロットし、該プロットの隣接点同士を直線で結ぶことにより、グラフが作成される。
【0034】
前記初期消去エネルギー幅の測定条件として、まず、印字試験装置のサーマルヘッド印字条件を、例えば、パルス幅2.94msec、ライン周期4.2msec、印字速度30mm/sec、及びプラテンロール圧力2kg/cmに設定する。次に、予め「透明」状態にある前記熱可逆記録媒体に対し、任意のエネルギー値で加熱を行った後、室温まで冷却し、白濁飽和濃度になるエネルギー値を求める。
【0035】
なお、前記熱可逆記録媒体に形成した画像の消去及び形成を行う条件として、前記パルス幅、前記ライン周期、及び前記印字速度は、重要な条件であり、前記サーマルヘッドによる画能の消去及び形成の条件としては、例えば、19〜60mm/secが好ましく、25〜35mm/secがより好ましく、前記ライン周期としては、例えば、2.0〜6.6msecが好ましく、3.5〜4.5msecがより好ましく、前記パルス幅としては、例えば、2.0〜5.0msecが好ましく、2.5〜3.5msecがより好ましい。
また、前記サーマルヘッドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、端面ヘッド以外のものを用いてもよいが、サーマルヘッドの主走査線密度としては、8dot/mmのものが好ましい。また、前記熱可逆記録媒体に対する前記サーマルヘッドによる消去エネルギー範囲の上限エネルギー値としては、0.8mJ/dot以下とするのが好ましい。この場合、該熱可逆記録媒体に対し高エネルギーを印加することがないため、画像の形成及び消去の繰返しによる画像劣化を抑制することができ、また、印字装置におけるサーマルヘッドの寿命が低下するのを抑制することができる。なお、前記消去エネルギー範囲が広い方が、前記サーマルヘッドによる画像の消去性が良好である。
【0036】
前記初期消去エネルギー幅を広くするためには、前記感熱層が、軟化点温度付近で急激に軟化し、サーマルヘッド等により短時間加熱した場合であっても、熱応答性に優れかつ室温で高い粘弾性を有している樹脂が好ましい。この場合、前記熱可逆記録媒体において高いコントラストが得られる点で有利である。
このような樹脂を得る方法としては、例えば、以下の2つが挙げられる。
一つは、前記樹脂の側鎖に立体障害となる構造を組み込ませる方法である。該立体障害となる構造としては、例えば、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、などが挙げられる。前記直鎖アルキル基の炭素数としては、例えば、2〜20が好ましく、2〜10がより好ましく、5〜10が特に好ましい。該直鎖アルキル基の具体例としては、例えば、ブチル基、エチルヘキシル基などが挙げられる。
もう一つは、前記樹脂に柔軟性を付与可能な材料を用いる方法である。前記柔軟性を付与可能な材料としては、例えば、柔軟な構造を有する架橋剤を用いる方法、可塑剤を用いる方法、などが挙げられる。前記架橋剤としては、例えば、鎖状イソシアネート基を有する架橋剤などが挙げられる。前記可塑剤としては、例えば、フタル酸系可塑剤などが挙げられる。
これらの方法により得られた前記樹脂を用いると、前記感熱層を軟化させるのに必要なエネルギーを少なくすることができ、前記初期消去エネルギー幅を広くすることが可能となる。また、長期保存を行っても高分子鎖同士が凝集し難く、前記「エンタルピー緩和」現象が生じ難くなるため、画像形成経時後におけるガラス転移温度の変化率が低くなる。一方、該「エンタルピー緩和」現象が生じ易い樹脂を前記感熱層に用いると、長期保存後に消去エネルギーが高エネルギー側にシフトし、経時消去エネルギー幅が狭くなり、十分に消去を行うことができなくなることがある。
【0037】
−経時消去エネルギー幅−
前記経時消去エネルギー幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、広い方が一般に消去性に優れ、例えば、20〜80%が好ましく、30〜75%がより好ましく、40〜60%が特に好ましい。
前記経時消去エネルギー幅が、20%未満であると、サーマルヘッド等による短時間の加熱の場合に消去を十分に行うことができないことがあり、80%を超えると、該経時消去エネルギー幅の下限値が低くなり、高温保存時における画像耐熱性が悪くなり、該経時消去エネルギーの上限値が高くなり、白濁状態にするのに高いエネルギーを印加しなければならず、画像の形成及び消去の繰り返しによる画像の劣化が生じ易くなり、サーマルヘッドの寿命が低下することがある。前記経時消去エネルギー幅は、前記感熱記録材料に白濁画像を形成後、高温で長期間保存した後、サーマルヘッドにて該白濁画像を消去することが可能なエネルギーの幅を意味し、上記初期消去エネルギーと同様に定義され、同様に測定することができる。
【0038】
−消去エネルギー幅の経時変化率−
前記消去エネルギー幅の経時変化率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、12%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、7%以下が特に好ましい。
前記消去エネルギー幅の経時変化率が、12%以下であると、経時消去エネルギー幅が安定しており、経時後でも、初期消去エネルギー値にて画像を消去した時と同程度の反射濃度が得られ、経時保存後において同一の印字装置により画像の形成及び消去を行った時のコントラストが安定しており、一方、12%を超えると、同一のサーマルヘッド等を用いて同一の消去エネルギーで画像の消去を行っても画像の消去を十分に行うことができなくなることがある。
この理由は、以下の通りである。即ち、図4に示すように、樹脂(高分子化合物)は、一般に、DSC測定の昇温時にガラス転移温度付近でのベースライン変化とピークとが観測される。そして、該ピークは、該樹脂(高分子化合物)を加熱後に急冷した直後では小さい。しかし、該樹脂(高分子化合物)を加熱後にガラス転移温度以下で保存した後では、ガラス転移温度の低温側に大きな吸熱ピークが発生する(図4中「経時変化が大きい樹脂」参照)。該吸熱ピークは、保存時間の延長と共にピーク面積が増大する。また、前記樹脂(高分子化合物)のガラス転移温度が保存時間の延長と共に高温側にシフトする。この現象を前記熱可逆記録媒体について見てみると、画像(白濁画像)を形成後に高温環境下で長時間放置(保存)した場合、その後にサーマルヘッドによる数msecオーダーの短時間の加熱によって該熱可逆記録媒体に形成した画像の消去を行うと、経時消去エネルギー幅が変動したことに起因し、一般に、透明反射濃度、コントラストが低下する。この経時消去エネルギー幅の変動は、画像の形成直後にサーマルヘッドにより画像の消去を行った際の初期消去エネルギー幅に比べて、画像形成経時後(画像形成後に高温環境下で熱可逆記録媒体を長時間放置した場合)では、前記経時消去エネルギー幅が狭くなることによって生ずる、該経時消去エネルギー幅においては、一般に、高エネルギー側では前記経時消去エネルギー範囲の上限値のシフトは観られないが、低エネルギー側では前記経時消去エネルギー範囲の下限値が大きく高エネルギー側へシフトする。
一方、樹脂の中でも、これを加熱後にガラス転移温度以下で保存した後でも、前記ピーク面積の増大やガラス転移温度の高温側へのシフトが生じないという現象は殆ど観られないものがある(図4中「経時変化が殆ど観られない樹脂」参照)。該樹脂を用いた前記感熱層では、該樹脂の前記「エンタルピー緩和」現象が生じないため、消去エネルギー幅の経時変化率が12%超には変化せず、前記熱可逆記録媒体における画像の消去性が長期保存によっても変化せず、画像の消去性に優れる点で有利である。
【0039】
前記消去エネルギー幅の経時変化率は、サーマルヘッドにより加熱して画像を消去することが可能なエネルギー幅の経時変化率を意味し、この値が小さい程、画像形成直後に消去可能な初期消去エネルギー幅に対し、画像形成経時後に前記感熱層の軟化点温度以下で保存した経時後に消去可能な経時消去エネルギー幅の変化が少ないことを表す。
前記消去エネルギー幅の経時変化率は、以下のようにして求めることができる。即ち、先ず、前記サーマルヘッドにより前記感熱層に画像(白濁画像)を形成し、35℃、1週間放置後における消去エネルギー幅を前記初期エネルギー幅と同様にして算出し、その値を「経時消去エネルギー幅E」とする。次に、前記画像を形成直後における「初期消去エネルギー幅E」を求め、下記式から「消去エネルギー幅の経時変化率(%)」を算出することができる。
消去エネルギー幅の経時変化率(%)=[(E−E)/E]×100前記式中、Eは、初期エネルギー幅(mj/dot)を表し、Eは、経時エネルギー幅(mj/dot)を表す。
【0040】
前記消去エネルギー幅の経時変化率を12%以下とするには、画像形成経時後における前記感熱層と、前記画像形成直後における前記感熱層との間で、物性が変化していないことが好ましく、このような前記感熱層を構成する前記樹脂として、上述した前記樹脂の「エンタルピー緩和」現象を生じない樹脂を用いるのが好ましい。
【0041】
−樹脂−
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第一の形態では、該樹脂がアクリル樹脂などを含むことが好ましく、該アクリル樹脂の中でもアクリルポリオール樹脂を含むことが特に好ましく、前記第三の形態では、該樹脂がアクリル樹脂を含むことが必要であり、アクリルポリオール樹脂を含むことが特に好ましく、前記第二の形態及び前記第四の形態では、該樹脂がアクリルポリオール樹脂を含むことが必要である。
前記第一の形態及び前記第三の形態の場合、該アクリル樹脂は、成膜時の速乾性を有し感熱層の形成が容易であり、ラジカル重合により合成されるので、屈折率、ガラス転移温度、熱可逆記録媒体の粘弾性、透明性等を制御する観点からの分子設計が容易であり、消去エネルギー幅や耐熱性等を向上可能であり、消去エネルギーの経時変化を抑制可能である、などの点で有利であり、前記第二の形態及び前記第四の形態の場合、該アクリルポリオール樹脂は、これらの利点がより顕著である点で有利である。
【0042】
前記アクリル樹脂又は前記アクリルポリオール樹脂であること、具体的には、前記感熱層中に用いられている樹脂が前記アクリル樹脂又は前記アクリルポリオール樹脂であることを確認する方法としては、特に制限はなく、各種の方法が挙げられるが、例えば、赤外吸収分光法を用いて標準アクリル樹脂の吸収パターンと比較することにより、行うことができる。前記アクリル樹脂(前記アクリルポリオール樹脂)は特徴的な赤外吸収ピークを持つため、ある樹脂について、前記アクリル樹脂(前記アクリルポリオール)と同じ該赤外吸収ピークが検出することができた場合、該樹脂を前記アクリル樹脂(前記アクリルポリオール樹脂)である確認することができる。また、前記感熱層のみを剥離又は削り取り、ガスクロマトグラフにより熱分解することによって、(メタ)アクリル酸エステル単量体及びその他の単量体(例えば水酸基を有する不飽和単量体)の共重合体を検出することができる。これを質量分析することによって、該感熱層を構成する樹脂のモノマー組成を特定することができ、その結果、前記アクリル樹脂(前記アクリルポリオール樹脂)であることを確認することができる。
【0043】
ここで、前記アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単量体と、これらと共重合可能なモノマーとを共重合してなる樹脂であり、その重合形成の際、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有量が、全単量体に対し、50質量%以上であるものとする。
前記共重合可能なモノマーとしては、例えば、カルボン酸基を有する不飽和単量体、水酸基を有する不飽和単量体、その他のエチレン性不飽和単量体、などが挙げられる。
【0044】
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、一般に、紫外線硬化用樹脂又は電子線硬化用樹脂などに用いられるモノマー乃至オリゴマーなどが好適に挙げられる。これらの中でも、柔軟な構造を有するものが好ましく、脂肪族化合物が好ましく、芳香族化合物では鎖式構造を有するものが好ましく、また、3官能性以上の多官能性モノマーよりも単官能性モノマー乃至2官能性モノマーが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基を有するアミノ(メタ)アクリル酸エステル、グリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、アリル(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリベン(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ベンジル(メタ)アクリル酸エステル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸エステルメチルクロライド塩、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜18のものが好ましく、炭素数3〜15のものがより好ましく、具体的には、メチル(メタ))アクリル酸エステル、エチル(メタ)アクリル酸エステル、n−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、i−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキシル(メタ)アクリル酸エステル、2−エチルヘキシル(メタ)アクリル酸エステル、ラウリル(メタ)アクリル酸エステル、ステアリル(メタ)アクリル酸エステル、などが挙げられる。
前記アルキル基の炭素数が、短すぎると、該アクリル樹脂の柔軟性に欠けることがあり、長すぎると、側鎖のメチレン鎖同士が規則的に並び該アクリル樹脂の柔軟性に欠けることがある。
【0046】
前記アルキル基を有するアミノ(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜5のものが好ましく、具体的には、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸エステルジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
前記グリコールジ(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ブチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、などが挙げられる。
【0047】
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体の中でも、合成されるアクリル樹脂に前記「エンタルピー緩和」現象、前記ガラス転移温度の高温側へのシフト等を生じさせることがなく、該アクリル樹脂が柔軟性を有する点で、前記アルキル基を有する前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、その中でも炭素数1〜18のものが好ましく、3〜15のものがより好ましく、具体的には、n−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、i−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキシル(メタ)アクリル酸エステル、2−エチルヘキシル(メタ)アクリル酸エステル、ラウリル(メタ)アクリル酸エステル、ステアリル(メタ)アクリル酸エステル等が特に好ましい。
また、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体の中でも、屈折率調整の際に高屈折率を発現可能な点で、ベンジル(メタ)アクリルアクリレートが好ましい。
【0048】
前記カルボン酸基を有する不飽和単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、イタコン酸モノブチル、シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシブチル、マレイン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル、マレイン酸4−(メタ)アクリロイルオキシブチル、ヘキサヒドロフタル酸2−メタクリロイルオキシエチル、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱可逆記録媒体の透明性を向上可能な点で、ヘキサヒドロフタル酸2−メタクリロイルオキシエチル、コハク酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等の長鎖カルボン酸含有不飽和単量体、などが好ましい。
【0049】
前記水酸基を有する不飽和単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルのε−カプロラクトン付加物、グリコールジ(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸エステル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリル酸エステル、アルキル(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。前記グリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ブチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
前記水酸基を有する不飽和単量体は、後述するイソシアネート化合物と架橋する際に好適に使用することができ、該イソシアネート化合物の構造を適宜選択することにより、感熱層に柔軟性を付与することができる点で有利である。該水酸基を有する不飽和単量体の中でも、ポリイソシアネート化合物との架橋反応性及び長期耐久性に優れている点で、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリル酸エステルが特に好ましい。
前記水酸基を有する不飽和単量体における水酸基価数(mgKOH/g、ソリッド計算値)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、20〜130mgKOH/gが好ましい。
【0050】
前記その他のエチレン性不飽和単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、屈折率の調整時に高屈折率を発現可能な点で、スチレンが好ましい。
【0051】
本発明においては、前記アクリル樹脂の中でも、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体を全単量体に対し50質量%以上用いて合成され、かつ複数個の水酸基を有し、イソシアネート化合物等の架橋剤によって架橋可能なアクルポリオール樹脂が特に好ましい。
【0052】
前記アクリルポリオール樹脂のガラス転移温度としては、下記式(Foxの式)から算出されるガラス転移温度(以下「計算Tg」と称することがある)で、30℃〜60℃が好ましく、40℃〜50℃がより好ましい。
前記計算Tgが、30℃未満であると、感熱層の画像耐熱性が悪くなり、室温以上の高温で保存しても画像が十分に消去することができないことがあり、60℃を超えると、繰返し記録が困難になることがある。
【0053】
前記式(Fox)は、次式、1/Tg=Σ(Wi/Tgi)、で表される。
前記式中、「Tg」は、前記計算Tgを表し、「Wi」は、モノマーiの質量分率を表し、「Tgi」は、モノマーiのホモポリマーのガラス転移温度Tg(K)を表す。
【0054】
前記アクリルポリオール樹脂の水酸基価数(mgKOH/g、ソリッド計算値)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、20〜130mgKOH/gが好ましく、30〜80mgKOH/gがより好ましい。前記水酸基価数が、20mgKOH/g未満であると、感熱層の長期耐久性が低下することがあり、130mgKOH/gを超えると、感熱層の十分な消去エネルギー幅が得られないことがある。
前記アクリルポリオール樹脂の水酸基価数(mgKOH/g、ソリッド計算値)は、例えば、アセチル化剤を用いて規定温度で1時間反応させたときに生じる酢酸を、中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数で表すことにより、測定することができるが、樹脂のモノマー組成により{(水酸基×組成比率)×1000×56.1(KOH)}/(水酸基モノマー分子量×100)の計算式によって計算することもできる。
【0055】
前記アクリルポリオール樹脂の酸価(AV)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1〜10mgKOH/gが好ましく、3〜8mgKOH/gがより好ましい。前記酸価(AV)が、1mgKOH/g未満であると、感熱層の透明性が向上することがあり、10mgKOH/gを超えると、長期耐久性が悪化することがある。
前記アクリルポリオール樹脂の酸価(AV)は、例えば、試料をアルコールとトルエンとの混合溶液に溶解し、フェノールフタレインを指示薬として、規定のアルコール性カリウム溶液で滴定し、試料1g中に含まれている酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg値を算出し、{酸価=A×f×(1/2)×(56.1/1000)×(1000/試料(g))(Aは、N/2アルコール性水酸化カリウムの消費量(ml)を示し、fは、N/2アルコール性水酸化カリウム溶液の力価を示す)}の計算式から酸価を算出することにより、測定することができる。
【0056】
前記アクリルポリオール樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、20,000〜100,000が好ましく、40,000〜60,000がより好ましい。前記重量平均分子量が、低すぎると、耐久性が劣化し、長時間保存すると消去特性が変動することがあり、高すぎると、短時間の熱エネルギーでの白濁画像を消去する消去エネルギー幅が狭くなってしまうことがある。
前記アクリルポリオール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば、光散乱法やGPC装置(東ソー株式会社製、HLC−8220GPC)により、測定することができる。
【0057】
前記アクリルポリオール樹脂の屈折率としては、特に制限はなく、前記熱可逆記録媒体の前記感熱層に用いる前記有機低分子化合物との屈折率比等に応じて適宜選択することができ、例えば、1.45〜1.60が好ましく、1.48〜1.55がより好ましい。
前記アクリルポリオール樹脂の屈折率は、例えば、光屈折臨界角検出方式のデジタル屈折計(ATAGO社製、RX−2000)等によって測定することもでき、また、モノマー組成式から計算することもできるが、Synthia法によるポリマーの特性値を用いて、計算数式で計算することもできる。
なお、該アクリルポリオール樹脂の屈折率と、前記熱可逆記録媒体の前記感熱層に用いる前記有機低分子化合物の屈折率との屈折率比が、大きい程、白濁度が高くなる傾向があり、小さい程、散乱光による透明性低下を防止することができ、1付近であると(両者の屈折率差が小さい)、消去性を向上させることができる。
【0058】
前記アクリルポリオール樹脂は、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体と、前記カルボン酸基を有する不飽和単量体、前記水酸基を有する不飽和単量体、及び前記その他のエチレン性不飽和単量体とを用い、公知の溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等に従って合成することができる。なお、これらの単量体の重合系中への供給方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、従来公知の方法などが挙げられる。
【0059】
前記アクリル樹脂は、画像の印字・消去の繰返し耐久性を向上させる観点からは、架橋剤を用いて架橋させておくことが好ましい。該架橋は、例えば、熱、紫外線、電子線などにより行うことができる。これらの中でも、低コストで容易に行うことができ、硬化のための長期保存が不要な点で、熱や紫外線による架橋が好ましい。
【0060】
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル系単量体、イソシアネート化合物、などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらは、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。これらの中でも、イソシアネート化合物が好ましい。
前記アクリル樹脂と該架橋剤との組合せの具体例としては、(1)アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する熱可塑性樹脂と、(メタ)アクリル系単量体との組合せ、(2)ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂(アクリルポリオール樹脂)と、イソシアネート化合物との組合せ、などが好適に挙げられる。
【0061】
前記(1)のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する熱可塑性樹脂と(メタ)アクリル系単量体との組合せの場合、架橋方法が二つあり、一つは、有機過酸化物を混合して加熱することによるラジカルを発生させて樹脂のアクリロイル基又はメタクリロイル基とモノマーを反応させ樹脂を架橋させる方法であり、他の一つは、光重合開始剤を混合して紫外線を照射することによってラジカルを発生させて樹脂のアクリロイル基又はメタクリロイル基とモノマーを反応させ樹脂を架橋する方法である。これらの中でも、有機過酸化物を用いる方法は熱により架橋が可能であり、架橋の際に高価な設備が不要な点で好ましい。
【0062】
前記(2)ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂(アクリルポリオール樹脂)とイソシアネート化合物との組合せの場合、該イソシアネート化合物としては、イソシアネート基を複数有するポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。該ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)から選択されるジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、グリコール付加物、ラクトンエステル付加物、エーテル付加物、ビュレットタイプ、イソシアヌレート結合タイプ、これらのブロック型ポリイソシネート、などが挙げられる。
【0063】
また、前記イソシアネート化合物としては、鎖式イソシアネート化合物を少なくとも用いることが好ましく、鎖式イソシアネート化合物と環式イソシアネート化合物とを併用し、両者の混合物を用いてもよく、この場合、熱架橋を行うのが好ましい。
前記鎖式イソシアネート化合物のみを用いた場合、一般に架橋された樹脂は柔軟になり消去性は向上するものの、繰返し耐久性や画像保存性が低下する傾向がある一方、前記環式イソシアネート化合物のみを用いた場合、架橋された樹脂が一般に剛直になり、繰返し耐久性や画像保存性は向上するものの、消去性が低下する傾向がある。このため、前記鎖式イソシアネート化合物と前記環式イソシアネート化合物との混合物を用いることにより、消去性と、耐久性及び耐熱性とを両立させることが可能となる。
【0064】
前記鎖式イソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオールやトリオール等の水酸基を有する鎖式化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系のイソシアネートとを直接反応させたもの、あるいは、これらを、単数若しくは複数のエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドやカプロラクトン又は脂肪族ポリエステル鎖を介して反応させたもの、などが挙げられる。
【0065】
前記鎖式イソシアネー卜化合物の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下限値としては700以上が好ましく、上限値としては5,000以下が好ましく、4,000以下がより好ましく、3,000以下が特に好ましい。前記重量平均分子量が、小さすぎると、架橋された前記感熱層の柔軟性が劣化し、消去性が低下することがあり、大きすぎると、分子が動き難くなり、強度、耐久性が低下することがある。
【0066】
なお、1つのイソシアネート基当たりの重量平均分子量としては、下限値が、150以上が好ましく、200以上がより好ましく、250以上が特に好ましく、上限値がが、2,000以下が好ましく、1,500以下がより好ましく、1,000以下が特に好ましい。前記1つのイソシアネート基当たりの重量平均分子量が、小さすぎると、架橋された前記感熱層の柔軟性が劣化し、消去性が低下することがあり、大きすぎると、分子が動き難くなり、強度、耐久性が低下することがある。
【0067】
前記環式イソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゼン環又はイソシアヌレート環等を有するイソシアネート化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、イソシアヌレート環を有する環式イソシアネート化合物が、黄変し難い点で好ましく、また、環状構造以外にアルキレン鎖等の鎖状構造を有するものが好ましい。
【0068】
前記環式イソシアネート化合物の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することでき、例えば、下限値が、100以上が好ましく、200以上がより好ましく、300以上が特に好ましく、上限値が、1,000以下が好ましく、700以下がより好ましい。前記重量平均分子量が、小さすぎると、塗膜形成時の加熱によって蒸発して塗膜が架橋不能となり、耐久性が低下することがあり、大きすぎると、剛直な構造しか形成できなくなり、耐久性が低下することがある。
【0069】
前記イソシアネート化合物の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記アクリル樹脂(前記アクリルポリオール樹脂)100質量部に対し、1〜50質量部が好ましく、3〜50質量部がより好ましく、5〜40質量部が特に好ましい。前記イソシアネート化合物の添加量が、1質量部未満であると、高温での弾性率が低くなり、サーマルヘッド等による加熱により塗膜が破壊されるため耐久性が劣ることがあり、50質量部を超えると、屈折率が低くなり、透明濃度が低下することがある。
【0070】
前記アクリル樹脂(前記アクリルポリオール樹脂)におけるヒドロキシル基に対する、前記イソシアネート化合物におけるイソシアネート基の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.05〜1当量が好ましく、0.1〜1.0当量がより好ましい。前記量が、0.05当量未満であると、高温での弾性率が低くなり、サーマルヘッドなどの加熱により塗膜が破壊されるため耐久性が劣ることがあり、1当量よりも多いと、屈折率が低くなり、透明濃度が低下することがある。
【0071】
前記アクリル樹脂(前記アクリルポリオール樹脂)と、前記イソシアネート化合物との硬化反応を促進させる目的で、触媒を使用することができる。該触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリエチレンジアミン、ナフテン酸コバルト、塩化第一スズ、テトラ−n−ブチルスズ、塩化第ニスズ、トリメチルスズヒドロキシド、ジメチル第二塩化スズ、ジ−n−ブチルスズジラウレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記触媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂固形分に対し、0.1〜2質量%が好ましい。
【0072】
−有機低分子化合物−
前記有機低分子化合物における分子量としては、前記樹脂よりも低分子であり、例えば、重量平均分子量で、100〜2,000が好ましく、150〜1,000がより好ましい。
前記重量平均分子量が、100未満であると、融点が低すぎるため外有機低分子化合物が結晶化しないことがあり、2,000を超えると、融点が高すぎるため該有機低分子化合物がサーマルヘッドによる加熱で溶融することができず、白濁化できないことがある。
前記重量平均分子量は、例えば、液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0073】
前記有機低分子化合物としては、前記感熱層中で粒子状となるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分子中に酸素、窒素、硫黄及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、具体的には、−OH、−COOH、−CONH、−COOR、−NH、−NH、−S−、−S−S−、−O−、ハロゲン原子等を含むことが好ましい。
前記有機低分子化合物の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、30〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。前記融点が、30℃未満であると、融点が低く、加熱後の冷却において該有機低分子化合物が十分に結晶化できなくなるため画像形成・消去ができなくなることがあり、200℃を超えると、熱感度が高くなりサーマルヘッドによる加熱で該有機低分子化合物が溶融することが出来ず、画像形成ができなくなることがある。
【0074】
前記有機低分子化合物としては、例えば、カルボキシル基含有化合物、カルボキシル基を末端に有しないカルボキシル基非含有化合物(以下「カルボキシル基非含有化合物」と略称する)などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微量のアンモニアやアミンなどの塩基性物質が存在する環境下に保管しても融点が上昇せず、白濁飽和エネルギー乃至白濁飽和温度が高エネルギー乃至高温側へシフトせず、熱感度が低下し画像形成不能となることがない等の点で、カルボキシル基非含有化合物が特に好ましい。
【0075】
前記カルボキシル基含有化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飽和モノカルボン酸、飽和ジカルボン酸、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、飽和ハロゲン脂肪酸、不飽和ハロゲン脂肪酸、アリルカルボン酸、ハロゲンアリルカルボン酸、チオカルボン酸、などが挙げられる。これらの炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10〜60が好ましく、10〜38がより好ましく、10〜30が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、飽和又は不飽和モノカルボン酸、飽和又は不飽和ジカルボン酸、アリルカルボン酸、ハロゲンアリルカルボン酸、チオカルボン酸、が好ましい。
【0076】
前記飽和又は不飽和のモノカルボン酸としては、例えば、ラウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、アラギン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸、などが挙げられる。前記飽和又は不飽和のジカルボン酸としては、融点が100〜135℃程度の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸、などが挙げられる。
【0077】
前記カルボキシル基非含有化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分子中に酸素、窒素、硫黄及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種(例えば、−OH、ハロゲン原子等)を含む化合物が好ましく、具体的には、アルカノール、アルカンジオール、ハロゲンアルカノール、ハロゲンアルカンジオール、アルキルアミン、アルカン、アルケン、アルキン、ハロゲンアルカン、ハロゲンアルケン、ハロゲンアルキン、シクロアルカン、シクロアルケン、シクロアルキン、飽和モノカルボン酸エステル、飽和ジカルボン酸エステル、不飽和モノカルボン酸エステル、不飽和ジカルボン酸エステル、飽和モノカルボン酸アミド、飽和ジカルボン酸アミド、不飽和モノカルボン酸アミド、不飽和ジカルボン酸アミド、飽和モノカルボン酸アンモニウム塩、飽和ジカルボン酸アンモニウム塩、不飽和モノカルボン酸アンモニウム塩、不飽和ジカルボン酸アンモニウム塩、飽和ハロゲン脂肪酸エステル、飽和ハロゲン脂肪酸アミド、飽和ハロゲン脂肪酸アンモニウム塩、不飽和ハロゲン脂肪酸エステル、不飽和ハロゲン脂肪酸アミド、不飽和ハロゲン脂肪酸アンモニウム塩、アリルカルボン酸エステル、アリルカルボン酸アミド、アリルカルボン酸アンモニウム塩、ハロゲンアリルカルボン酸エステル、ハロゲンアリルカルボン酸アミド、ハロゲンアリルカルボン酸アンモニウム塩、チオアルコール、チオカルボン酸エステル、チオカルボン酸アミド、チオカルボン酸アンモニウム塩、チオアルコールのカルボン酸エステル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0078】
前記カルボキシル基非含有化合物における炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10〜60が好ましく、10〜38がより好ましい。前記カルボキシル基非含有化合物におけるエステル中のアルコール基部分は飽和であってもよいし、不飽和であってもよく、また、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0079】
前記カルボキシル基非含有化合物の中でも、融点が40〜70℃であり低融点のものが好ましく、例えば、脂肪酸エステル、二塩基酸エステル、多価アルコールジ脂肪酸エステル、などが好ましい。
【0080】
前記脂肪酸エステルは、同じ炭素数の脂肪酸(2分子会合状態)より融点が低く、逆に同じ融点の脂肪酸よりも炭素数が多い点で、同じ融点の脂肪酸を用いた場合に比し、画像の印字−消去の劣化を抑制することができ、白濁度を増加させ、高コントラストにすることができ、繰返し耐久性を向上させることができる点で有利である。なお、前記画像の印字−消去の劣化は、前記樹脂と前記有機低分子化合物との加熱時における相溶により、粒子状の有機低分子化合物の分散状態が変化することが原因と考えられる。
本発明においては、該脂肪酸エステルと、高融点の有機低分子化合物とを併用して混合物として用いることにより、透明化温度幅を広くすることができ、サーマルヘッドでの消去性を向上させることができる結果、保存により多少消去性が変動しても十分に消去可能であり、材料自身の特性から繰返し耐久性を向上させることができる。
【0081】
前記脂肪酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式(1)で表されるものが好適である。
−COO−R 構造式(1)
前記構造式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数が10以上のアルキル基を表す。該脂肪酸エステルは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0082】
前記脂肪酸エステルの炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、20以上が好ましく、25以上がより好ましく、30以上が特に好ましい。前記炭素数が、多くなる程、白濁度が高く、繰返し耐久性が向上する。
前記脂肪酸エステルの融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、40℃以上が好ましい。
【0083】
前記構造式(1)で表される脂肪酸エステルの具体例としては、ステアリン酸メチル、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン酸オクタデシル、ラウリン酸オクタデシル、パルミチン酸テトラデシル、ベヘン酸ドデシル等の高級脂肪酸のエステル:C1633−O−C1633、C1633−S−C1633、C1837−S−C1837、C1225−S−C1225、C1939−S−C1939、C1225−S−S−C1225、等のエーテル又はチオエーテル、などが挙げられる。
【0084】
前記二塩基酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノエステル及びジエステルのいずれであってもよく、例えば、下記構造式(2)で表されるものが好適である。
OOC−(CH)−COOR 構造式(2)
前記構造式(2)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、又は炭素数10以上のアルキル基を表す(ただし、R及びRが同時に水素原子である場合は除く)。R及びRのアルキル基の合計炭素数としては、20以上が好ましく、25以上がより好ましく、30以上が特に好ましい。nは、0〜40が好ましく、1〜30がより好ましく、2〜20が特に好ましい。なお、該二塩基酸エステルの融点としては、40℃以上がより好ましい。
【0085】
前記多価アルコールジ脂肪酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式(3)で表されるものが好適である。
CH(CH−2COO(CHOOC(CH−2CH構造式(3)前記構造式(3)中、pは、2〜40が好ましく、3〜30がより好ましく、4〜22が特に好ましい。mは、2〜40が好ましく、3〜30がより好ましく、4〜22が特に好ましい。
【0086】
前記多価アルコールジ脂肪酸エステルは、同じ炭素数の脂肪酸よりも融点が低く、逆に同じ融点の脂肪酸よりも炭素数が多い点で、同じ融点の脂肪酸を用いた場合に比し、画像の印字−消去の劣化を抑制することができ、白濁度を増加させ、高コントラストにすることができ、繰返し耐久性を向上させることができる点で有利である。
【0087】
前記有機低分子化合物としては、低融点の有機低分子化合物と、該低融点の有機低分子化合物よりも融点が高い高融点の有機低分子化合物とを併用して組合せると、透明化温度幅を更に拡大させることができる点で好ましい。前記低融点有機低分子化合物の融点と、高融点有機低分子化合物の融点との差としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上が特に好ましい。
【0088】
前記低融点の有機低分子化合物の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、40℃〜100℃が好ましく、50℃〜80℃がより好ましい。また、前記高融点の有機低分子化合物の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100℃〜200℃が好ましく、110℃〜180℃がより好ましい。
【0089】
前記高融点の有機低分子化合物としては、融点が100℃以上のものが好ましく、例えば、脂肪族飽和ジカルボン酸、高級アルキル基を有するケトン、該ケトンから誘導されるセミカルバゾン、α−ホスホノ脂肪酸、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0090】
前記脂肪族飽和ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸、などが挙げられる。
前記ケトンとしては、ケトン基と高級アルキル基を必須の構成基として含み、その他無置換若しくは置換基を有する芳香環又は被素環を含むものが挙げられる。前記ケトンの全炭素数は、16個以上が好ましく、21個以上がより好ましい。なお、前記セミカルバゾンは、該ケトンから誘導されたものである。
前記α−ホスホノ脂肪酸は、例えば、E.V.Kaurer等、J.Ak.OilChekist's Soc,41,205(1964)の方法に従って、脂肪酸をHell−Volhard-Zelinskin反応により臭素化してα−臭素化酸臭化物とする。次に、このα−臭素化酸臭化物にエタノールを添加し、α−ブロモ脂肪酸エステルを得る。次いで、α−ブロモ脂肪酸エステルをトリエチルホスファイトと加熱反応させてα−ホスホノ脂肪酸エステルとし、濃塩酸による加水分解を行って、生成物であるα−ホスホノ脂肪酸をトルエンから再結晶する。以上により、α−ホスホノ脂肪酸を合成することができる。
【0091】
本発明においては、前記透明化温度幅を拡大する目的で、前記有機低分子化合物を適宜組合せてもよいし、前記有機低分子化合物と融点の異なる他の材料とを組合せてもよい。
【0092】
前記感熱層における前記有機低分子化合物と前記アクリル樹脂(架橋構造を有する樹脂)との混合質量比(有機低分子化合物:アクリル樹脂)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2:1〜1:16が好ましく、1:2〜1:8がより好ましい。
前記質量比が前記数値範囲内であると、前記有機低分子化合物を前記樹脂中に分散させるのが困難となったり、不透明化が困難になることがある。
【0093】
本発明においては、前記低融点の有機低分子化合物として前記脂肪酸エステルを用いる場合、前記透明化温度の範囲を広げる目的で、該低融点の脂肪酸エステルよりも融点が高い高融点の有機低分子化合物として直鎖炭化水素含有化合物と混合して併用するのが好ましい。この場合、サーマルヘッド等による短時間での加熱による画像消去(透明化)を向上させることができ、更に画像消去のマージンが増えることにより、経時により画像消去エネルギーが変動しても、実用上の問題を生ずることがなく、サーマルヘッドでの消去も可能となる点で有利である。
【0094】
前記直鎖炭化水素含有化合物としては、合計炭素数が、6〜60のものが好ましく、8〜50のものがより好ましく、これらの中でも、環式炭化水素(例えばシクロヘキサン、シクロペンタン等)、芳香族環(例えば、ベンゼン、ナフタレン等)、複素環(例えば環式エーテル、フラン、ピラン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、ピロール、ピリジン、ピラジン、ピペラジン、ピリミジン等)、縮合複素環(例えばベンゾピロリジン、インドール、ベンゾオキサジン、キノリン等)、などの環状構造を含むものが好ましく、フェニレン構造(例えばフェニル基等)、シクロヘキシレン構造(例えばシクロヘキシル基等)、複素環を有するものがより好ましく、分子の末端のうち少なくとも一つにメチル基を有するものが特に好ましい。
【0095】
前記直鎖炭化水素含有化合物の具体例としては、(1)ウレタン結合を有する直鎖炭化水素含有化合物、(2)スルホニル結合を有する直鎖炭化水素含有化合物、(3)シュウ酸ジアミド結合を有する直鎖炭化水素含有化合物、(4)ジアシルヒドラジド結合を有する直鎖炭化水素含有化合物、(5)尿素結合とウレタン結合を有する直鎖炭化水素含有脂肪族化合物、(6)尿素結合とアミド結合を有する直鎖炭化水素含有脂肪族化合物、(7)複数の尿素結合を有する直鎖炭化水素含有脂肪族化合物、(8)尿素結合を有する環式化合物、(9)アミド結合を有する含有環式化合物、などが好適に挙げられる。
前記(1)から(9)のいずれかの直鎖炭化水素含有化合物としては、カルボキシル基を有さないものが好ましく、分子中に、ウレタン結合(−NHCOO−)、スルホニル結合(−SO−)、アミド結合(−CONH−)、シュウ酸ジアミド結合(−NHCOCONH−)、ジアシルヒドラジド結合(−CONHNHCO−)、又は尿素結合(−HNCONH−)のような極性基を有するものなどが挙げられる。
【0096】
前記直鎖炭化水素含有化合物の融点としては、下限値が、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、120℃以上が更に好ましく、130℃以上が特に好ましく、上限値が、180℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましく、150℃以下が特に好ましい。前記融点が、低すぎると、透明化温度幅の拡大ができなくなり消去性が低下することがあり、高すぎると、白濁画像を形成する際の感度が低下することがある。
【0097】
前記直鎖炭化水素含有化合物としては、例えば、下記構造式(4)〜(9)のいずれかで表されるものが挙げられる。
−X−R−Y−R 構造式(4)
前記構造式(4)中、X及びYは、少なくとも1つはウレタン結合、スルホニル結合、又は尿素結合を表し、残りはウレタン結合、スルホニル結合、尿素結合及びアミド結合から選択される1つを表す。R及びRは、CH(CH)−又はCH(CH)−O−(CH)−を表し、Rは、−(CH−、下記構造式(4−1)〜(4−2)のいずれかの基を表す。
【0098】
【化1】
【化2】
前記構造式(4−1)及び(4−2)中、m及びnは、0〜30が好ましい。
【0099】
−X−R 構造式(5)
前記構造式(5)中、Xは、シュウ酸ジアミド結合又はジアシルヒドラジド結合を表す。R及びRは、CH(CH−、又はCH(CH−O−(CH−を表す。m及びnは、0〜30の整数を表す。
【0100】
【化3】
前記構造式(6)中、X及びYは、ウレタン結合、スルホニル結合、尿素結合、アミド結合、シュウ酸ジアミド結合、及びジアシルヒドラジド結合から選択される少なくともいずれかを表す。R10及びR12は、−(CH−、又は−(CH−O−(CH−を表す。R11は、CH(CH−、又はCH(CH−O−(CH−を表す。m及びnは、0〜30の整数を表す。Aは、フェニル基、シクロヘキシル基、又は下記構造式(6−1)〜(6−2)のいずれかの基を表す。
【化4】
前記構造式(7)中、Xは、ウレタン結合、スルホニル結合、尿素結合、アミド結合、シュウ酸ジアミド結合、又はジアシルヒドラジド結合を表す。R10及びR12は、−(CH−、又は−(CH−O−(CH−を表す。m及びnは、0〜30の整数を表す。Aは、フェニル基、シクロヘキシル基、又は下記構造式(6−1)〜(6−2)のいずれかの基を表す。
【0101】
【化5】
【0102】
【化6】
前記構造式(6−2)中、lは、1〜3の整数を表す。Zは、R13OCO−、R13O−、又はR13−を表す。R13は、CH(CH−、又はCH(CH−O−(CH−を表す。m及びnは、0〜30の整数を表す。
【0103】
【化7】
【0104】
【化8】
【0105】
前記構造式(8)及び(9)中、Xは、ウレタン結合、スルホニル結合、尿素結合、アミド結合、シュウ酸ジアミド結合及びジアシルヒドラジド結合から選ばれるいずれかを表す。R14は、−(CH−、又は−(CH−O−(CH−を表す。R15は、CH(CH−、又はCH(CH−O−(CH−を表す。m及びnは、0〜30の整数を表す。
【0106】
前記直鎖炭化水素含有化合物の好ましい具体例としては、下記構造式(10)〜(26)のいずれかで表されるものが挙げられる。
16−OOCNH−R17−NHCOO−R18 構造式(10)R16−NHCOO−R17−OOCNH−R18 構造式(11)R16−SO−R17−SO−R18 構造式(12)R16−NHCOCONH−R18 構造式(13)R16−CONHNHCO−R18 構造式(14)R16−NHCO−R17−NHCONH−R18 構造式(15)R16−CONH−R17−NHCONH−R18 構造式(16)R16−NHCOO−R17−NHCONH−R18 構造式(17)R16−NHCONH−R17−NHCONH−R18 構造式(18)R16―NHCOO−R17−OOCNH−R18 構造式(19)ただし、前記構造式(10)〜(19)中、R16及びR18は、アルキル基を表す。R17は、メチレン基、下記構造式(10−1)又は下記構造式(10−2)で表される基を表す。
【0107】
【化9】
【化10】
ただし、前記構造式(10−1)〜(10−2)中、m及びnは、0〜20の整数を表す。
【0108】
【化11】
【0109】
【化12】
【0110】
【化13】
【0111】
【化14】
【0112】
【化15】
【0113】
【化16】
【0114】
【化17】
【0115】
前記構造式(10)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
CH3(CH2)11OOCNH(CH2)6NHCOO(CH2)11CH3 融点:113℃
CH3(CH2)17OOCNH(CH2)6NHCOO(CH2)17CH3 融点:119℃
CH3(CH2)21OOCNH(CH2)6NHCOO(CH2)21CH3 融点:121℃
【化18】
【0116】
前記構造式(11)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
CH3(CH2)17NHCOO(CH2)2OOCNH(CH2)17CH3 融点:115℃ CH3(CH2)17NHCOO(CH2)4OOCNH(CH2)17CH3 融点:119℃ CH3(CH2)17NHCOO(CH2)6OOCNH(CH2)17CH3 融点:111℃
【化19】
【0117】
前記構造式(12)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0118】
前記構造式(13)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0119】
前記構造式(14)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0120】
前記構造式(15)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
CH3(CH2)17NHCO(CH2)4NHCONH(CH2)17CH3 融点:144℃ CH3O(CH2)3NHCO(CH2)11NHCONH(CH2)17CH3 融点:140℃ CH3CH2O(CH2)3NHCO(CH2)11NHCONH(CH2)17CH3 融点:135℃
【0121】
前記構造式(16)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
CH3(CH2)16CONH(CH2)6NHCONH(CH2)17CH3 融点:149℃
【0122】
前記構造式(17)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
CH3(CH2)17NHCOO(CH2)2NHCONH(CH2)17CH3 融点:127℃
【0123】
前記構造式(18)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
CH3(CH2)17NHCONH(CH2)6NHCONH(CH2)17CH3 融点:177℃
【0124】
前記構造式(19)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
【化20】
【0125】
前記構造式(20)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
【化21】
【化22】
【0126】
前記構造式(22)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
【化23】
【0127】
前記構造式(23)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
【化24】
【0128】
前記構造式(24)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
【化25】
【0129】
前記構造式(25)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
【化26】
【0130】
前記構造式(26)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
【化27】
【0131】
前記直鎖炭化水素含有化合物と前記低融点の有機低分子化合物との混合質量比(低融点の有機低分子化合物:直鎖炭化水素含有化合物)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、95:5〜5:95が好ましく、90:10〜10:90がより好ましく、80:20〜20:80が特に好ましい。前記混合質量比が前記数値範囲内にないと、前記低融点の有機低分子化合物が多すぎるときに、透明化温度幅が狭くなり、消去性が十分でないことがあり、前記直鎖炭化水素含有化合物が多すぎるときに画像を形成することができないことがある。
【0132】
前記低融点の有機低分子化合物又は前記高融点の有機低分子化合物以外に、他の有機低分子化合物を併用する場合、該他の有機低分子化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸のエステル、高級脂肪酸のエーテル、などが挙げられる。
前記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、アラギン酸、オレイン酸、などが挙げられる。前記高級脂肪酸のエステルとしては、例えば、ステアリン酸メチル、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン酸オクタデシル、ラウリン酸オクタデシル、パルミチン酸テトラデシル、ベヘン酸ドデシル、などが挙げられる。前記高級脂肪酸のエーテルとしては、例えば、C1633−O−C1633、などが挙げられる。前記高級脂肪酸のチオエーテルとしては、例えば、C1633−S−C1633、C1837−S−C1837、C1225−S−C1225、C1939−S−C1939、C1225−S−S−C1225、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、高級脂肪酸、特にパルミチン酸、ペンタデカン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の炭素数16以上の高級脂肪酸が好ましく、炭素数16〜24の高級脂肪酸が更に好ましい。
【0133】
前記感熱層におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、画像の形成を容易にする観点からは、界面活性剤、可塑剤、などが挙げられる
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、などが挙げられる。
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リン酸エステル、脂肪酸エステル、フタル酸エステル、二塩基酸エステル、グリコール、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、などが挙げられる。
【0134】
前記感熱層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1〜30μmが好ましく、2〜20μmがより好ましい。
前記感熱層の厚みが、薄すぎると、白濁度が低下しコントラストが低くなることがあり、厚すぎると、層内での熱の分布が発生し均一に透明化することが困難となることがある。なお、前記有機低分子化合物の前記感熱層中の含有量を増加させると、白濁度を増加させることができる。
【0135】
本発明の熱可逆記録媒体は、前記感熱層のほかに、更に必要に応じて適宜選択した、支持体、着色層、空気層、光反射層、接着層、中間層、保護層、接着剤層、粘着層等のその他の層を有していてもよい。これら各層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
【0136】
前記熱可逆記録媒体の層構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、実開平2−3876号公報に記載されているように、支持体上に、感熱層と磁性材料を主成分とする磁気感熱層を有すると共に、少なくとも感熱層直下又は支持体の感熱層対応部分が着色されている層構成、特開平3−130188号公報に記載されているように、支持体上に、磁気感熱層、該磁気感熱層の上に光反射層、該光反射層の上に感熱層が設けられているような層構成、等が挙げられる、なお、前記磁気感熱層は、支持体の裏面、又は支持体と感熱層との間に設けることが好ましい。
【0137】
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記熱可逆記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の材料としては、例えば、無機材料、有機材料、などが挙げられる。前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、SiO、金属等が挙げられる。前記有機材料としては、例えば、紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択するこができ、100〜2,000μmが好ましく、100〜1,000μmがより好ましい。
【0138】
前記熱可逆記録媒体には、前記感熱層を保護する目的で保護層を設けることができる。前記保護層の材料としては、シリコーンゴム、シリコーン樹脂(例えば、特開昭63−221087号公報)、ポリシロキサングラフトポリマー(例えば、特開昭63−317385号公報)、紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹脂(例えば、特開平2−566号公報)、などが挙げられる。
これらの材料を塗布する際には、通常、溶剤が用いられる。前記溶剤としては、前記感熱層における前記樹脂及び前記有機低分子化合物を溶解し難いものが好ましく、例えば、n−ヘキサン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、コスト面でアルコール系溶剤が好ましい。
【0139】
前記保護層は、前記感熱層のアクリル樹脂を硬化するのと同時に硬化させることができる。この場合、前記支持体上に前記感熱層を形成した後、前記保護層を塗布、乾燥する。その後、熱、紫外線、電子線照射等を行い、それぞれの層を硬化させる。
前記保護層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜10.0μmが好ましい。前記保護層の厚みが0.1μm未満であると、前記感熱層の保護効果が十分でないことがあり、10.0μmを超えると、熱感度が低下することがある。
【0140】
前記熱可逆記録媒体には、保護層形成液の溶剤やモノマー成分等から感熱層を保護する目的で、前記保護層と前記感熱層との間に中間層を設けることができる(例えば、特開平1−133781号公報参照)。前記中間層の材料としては、感熱層中の樹脂の材料として挙げたもの以外に、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂成分を用いることができる。該樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、などが挙げられる。
前記中間層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択するこができ、0.5〜10μmが好ましい。
【0141】
前記熱可逆記録媒体には、前記支持体と前記感熱層との間に視認性を向上させる目的で、着色層を設けることが好ましい。前記着色層は、着色剤及び樹脂バインダーを含有する溶液、又は分散液を対象面に塗布し、乾燥するか、あるいは、単に着色シートを貼り合せることにより形成することができる。
前記着色剤としては、上層である前記感熱層の透明及び白濁の変化を反射画像として認識できるものであれば特に制限はなく、例えば、赤、黄、青、紺、紫、黒、茶、灰、橙、緑等の色を有する染料、顔料等が使用される。なお、前記樹脂バインダーとしては、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などが使用される。
【0142】
前記熱可逆記録媒体には、カラー印刷層を設けることができる、前記カラー印刷層における着色剤としては、従来のフルカラー印刷に使用されるカラーインク中に含まれる各種の染料及び顔料等が挙げられ、前記樹脂バインダーとしては各種の熱可塑性、熱硬化性、紫外線硬化性又は電子線硬化性樹脂、等が挙げられる。該カラー印刷層の厚みとしては、印刷色濃度に対して適宜変更されるため、所望の印刷色濃度に合わせて選択することができる。
【0143】
前記熱可逆記録媒体は、前記支持体と前記感熱層との間に、空気層による非密着部を有していてもよい。前記感熱層に用いられる前記有機高分子化合物の屈折率が1.4〜1.6程度であり、空気の屈折率1.0との差が大きいため、該空気層を有すると、前記感熱層と前記非密着部との界面で光が反射し、該感熱層が白濁状態の時に白濁度を増幅することができ、視認性を向上させることができ、該空気層による非密着部を表示部として好適に用いることができる。
前記空気層は、断熱層としても機能するため、感熱度を向上させることができ、また、クッション層としても機能し、サーマルヘッドからの圧力を分散させることができ、前記感熱層の変形、粒子状の前記有機低分子化合物の拡散等を防ぎ、繰返し耐久性を向上させることができる。
【0144】
また、前記熱可逆記録媒体には、ヘッドマッチング層を設けてもよい。前記ヘッドマッチング層の材料としては、耐熱性樹脂、無機顔料、などが挙げられる。前記耐熱性樹脂としては、前記保護層中に用いられる耐熱性樹脂と同じものが好適に用いられる。前記無機顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、タルク、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記無機顔料の粒径としては、例えば、0.01〜10.0μmが好ましく、0.05〜8.0μmがより好ましい。該無機顔料の添加量としては、前記耐熱性樹脂1質量部に対し、0.001〜2質量部が好ましく、0.005〜1質量部がより好ましい。
【0145】
なお、前記保護層、前記カラー印刷層、前記ヘッドマッチング層中に含まれる樹脂を、熱、紫外線、電子線等により硬化させる場合には、前記感熱層の樹脂を紫外線架橋させるために用いた架橋剤、光重合開始剤、光重合促進剤を添加することが好ましい。
【0146】
前記熱可逆記録媒体を製造する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)前記樹脂及び前記有機低分子化合物を溶媒中に溶解乃至分散させた熱可逆記録媒体用組成物を支持体上に塗布し、該溶媒を蒸発させてシート状等にするのと同時に又はその後に架橋する方法、(2)前記樹脂のみを溶解した溶媒に前記有機低分子化合物を分散させた熱可逆記録媒体用組成物を支持体上に塗布し、該溶媒を蒸発させてシート状等にすると同時に又はその後に架橋する方法、(3)溶媒を用いず、前記樹脂と前記有機低分子化合物とを加熱溶融して互いに混合し、この溶融混合物をシート状等に成形して冷却した後に架橋する方法、などが好適に挙げられる。なお、これらにおいて、前記支持体を用いることなく、シート状の熱可逆記録媒体として成形することもできる。
【0147】
前記(1)又は(2)において用いる溶剤としては、前記樹脂及び前記有機低分子化合物の種類等によって異なり一概には規定することはできないが、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼン、などが挙げられる。
なお、前記有機低分子化合物は、前記感熱層中では粒子状に分散して存在している。
【0148】
前記熱可逆記録媒体用組成物には、コーティング材料用としての高度な性能を発現させる目的で、各種顔料、消泡剤、顔料、分散剤、スリップ剤、防腐剤、架橋剤、可塑剤等を添加してもよい。
前記熱可逆記録媒体用組成物の塗布方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、噴霧コート法、ローラーコート法、バーコート法、エアナイフコート法、刷毛塗り法、ディッピング法、等が挙げられる。
前記熱可逆記録媒体用組成物の乾燥条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温〜140℃の温度で、10分間〜1時間程度、などが挙げられる。
【0149】
前記感熱層における前記樹脂を硬化させるには、加熱、紫外線照射、電子線照射などにより行うことができる。これらの手段で硬化させる方法としては、具体的には、アクリル共重合体(アクリル樹脂)とポリイソシアネート化合物とを反応させることにより硬化させる。
【0150】
前記紫外線照射は、公知の紫外線照射装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、光源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置等を備えたものが挙げられる。
前記光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、カリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどが挙げられる。該光源の波長は、前記熱可逆記録媒体用組成物に添加されている光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外線吸収波長に応じて適宜選択することができる。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂を架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出力、搬送速度等を決めればよい。
【0151】
前記電子線照射は、公知の電子線照射装置を用いて行うことができ、該電子線照射装置は、走査型(スキャンビーム)又は非走査型(エリアビーム)の2種に大別でき、その条件としては照射面積、照射線量等に応じて選択することができる。また、電子線照射条件は、樹脂を架橋するために必要な線量に応じて、電子流、照射幅、搬送スピードを考慮し、下記数式から決定することができる。
D=(△E/△R)・η・I/(W・V)
前記数式中、Dは、必要線量(Mrad)を表す。△E/△Rは、平均エネルギー損失を表す。ηは、効率を表す。Iは、電子流(mA)を表す。Wは、照射幅(cm)を表す。Vは、搬送速度(cm/s)を表す。
なお、工業的には、前記数式を簡略化し、下記数式を用いることが好ましい。
D・V=K・I/W
なお、装置定格は、Mrad・m/minで表され、電子流定格は、20〜500mA程度が選択される。
【0152】
前記感熱層における前記樹脂を硬化させた場合、前記感熱層の硬度を向上させることができる。なお、サーマルヘッド等を用い圧力を加えながら同時に加熱する場合には、画像形成−消去を繰り返すうちに、粒子状の前記有機低分子化合物の周囲の前記樹脂が変形し、細かく分散された前記有機低分子化合物が次第に大きな径の粒子となり、光を散乱させる効果が少なくなり(白濁度が低下し)、最終的には、画像コントラストが低下する。したがって、前記感熱層の硬さは該感熱層の耐久性にとって重要であり、該感熱層の硬さが強い程、耐久性が良好である。また、加熱時(100〜140℃)における前記感熱層が硬い方がよく、該感熱層の硬さは、例えば、NEC製の薄膜硬度計MHA−400を用いて測定することができる。
【0153】
また、前記感熱層中の前記樹脂と前記有機低分子化合物の粒子との界面及び/又は粒子状の該有機低分子化合物の内部に、屈折率と異なる空隙が存在すると、白濁状態での画像濃度が向上し、コントラストを向上させることができる。この場合、該空隙の大きさとしては、不透明状態を検知するために用いる光の波長の1/10以上であるのが好ましい。
【0154】
前記熱可逆記録媒体に形成される画像は、透過画像として視認可能であってもよいし、反射画像としても視認可能であってもよい。
前記反射画像として用いる場合、前記感熱層の背面に光を反射する反射層を設けるのが好ましい。この場合、前記感熱層の厚みを薄くすることができ、該感熱層の厚みを薄くしてもコントラストを上げることができる点で有利である。該反射層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Al、Ni、Sn等を蒸着した層、などが挙げられる(例えば、特開昭64−14079号公報参照)。
【0155】
前記熱可逆記録媒体は、熱を選択的に与えることによって前記感熱層を選択的に加熱し、透明地に白濁画像、白濁地に透明画像を形成することができ、その変化は何回も繰り返しすることが可能である。そして、前記感熱層の背面に着色シートを配置すれば、白地に着色シートの色の画像、又は着色シートの色の地に白地の画像を形成することができる。また、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)などで投影すれば、白濁部は暗部になり、透明部は光が透過しスクリーン上では明部となる。
【0156】
前記熱可逆記録媒体に対する画像の形成及び消去は、公知の画像処理装置を用いて行うことができ、後述する本発明の画像処理装置を用いて行うのが好ましい。例えば、前記感熱層は、前記樹脂と該樹脂中に分散された有機低分子化合物とを含み、温度「T」以下の常温では「白濁」状態(不透明)である。この感熱層を加熱していくと、温度「T」から徐々に透明になり始め、温度「T」〜「T」まで加熱すると、該感熱層は「透明」状態となる。この「透明」状態から再び「T」以下の常温に戻しても、該感熱層は「透明」状態のまま維持される。つまり、温度「T」付近から前記樹脂が軟化し始め、温度が上昇するにつれ、該樹脂と前記有機低分子化合物とは共に膨張するものの、該有機低分子化合物の方が前記樹脂より膨張度が大きいため、該有機低分子化合物が、該樹脂との界面における空隙を徐々に減少させ、その結果、透明度が徐々に上がる。温度「T」〜「T」では、前記有機低分子化合物が半溶融状態となり、残存する空隙を、半溶融状態となった該有機低分子化合物が埋めることにより「透明」状態となる。この状態のまま該感熱層が冷却されると、前記有機低分子化合物が比較的高温で結晶化し体積変化が生ずる。このとき、前記樹脂は軟化状態にあるため、前記有機低分子化合物の結晶化による体積変化に追随可能であり、該有機低分子化合物と該樹脂との界面に空隙が生ずることなく、「透明」状態が維持される。また、前記感熱層を温度「T」以上に加熱すると、該感熱層は、最大透明度と最大不透明度との中間の「半透明」状態になる。次に、この温度を下げていくと、「透明」状態となることなく、「白濁」状態(不透明)となる。つまり、前記有機低分子化合物が、温度「T」以上で完全に溶融した後、過冷却状態となり温度「T」より少し高温で結晶化する。その際、前記樹脂が前記有機低分子化合物の結晶化による体積変化に追随不能であり、該有機低分子化合物と該樹脂との界面に空隙が生ずるため、「白濁」状態となる。
【0157】
前記画像処理装置としては、例えば、前記熱可逆記録媒体に対し、画像の形成を行うための画像形成手段と、画像の消去を行うための画像消去手段とを備えたものが好適に挙げられ、これらの中でも、処理時間が短かい点で、前記画像形成手段と前記画像消去手段とを兼用した画像形成兼消去手段を備えたものが好ましく、具体的には、サーマルヘッドを用い、該サーマルヘッドに印加するエネルギーを変化させることにより画像を処理可能な画像処理装置、又は、画像形成手段がサーマルヘッドであり、画像消去手段がサーマルヘッド、セラミックヒータ(アルミナ基板上に発熱抵抗体をスクリーン印刷した発熱体)、ホットスタンプ、ヒートローラ、ヒートブロック等の発熱体を接着させる接触押圧型手段、あるいは温風や赤外線などを用いた非接触型手段のうち一つから選択される画像処理装置などが挙げられる。
【0158】
本発明の熱可逆記録媒体は、前記可逆表示可能な感熱層と情報記憶部とを、同一のカードに設け(一体化させ)、該情報記憶部の記憶情報の一部を感熱層に表示することにより、カード所有者等は特別な装置がなくてもカードを見るだけで情報を確認することができ、利便性に優れる。
なお、前記情報記憶部としては、特に制限はないが、例えば、磁気記録、IC、非接触IC、光メモリが好ましい。前記感熱層としては、通常用いられる酸化鉄、バリウムフェライト等と塩ビ系やウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂等を用い、支持体上に塗工形成されるか、又は蒸着・スパッタリング等の方法により樹脂を用いず形成される。前記感熱層は支持体における該感熱層とは反対側の面に設けてもよいし、支持体と該感熱層との間、該感熱層上の一部に設けてもよい。また、表示に用いる可逆感熱材料をバーコード、2次元コード等により記憶部に用いてもよい。これらの中では磁気記録、ICが更に好ましい。
【0159】
本発明の熱可逆記録媒体によると、サーマルヘッドを用いてミリ秒単位の極小時間加熱した場合でも十分に画像が消去され、画像形成経時後に消去エネルギーが変化しないため、十分な消去性が維持され、高温で長時間放置しても保存性、コントラスト、視認性等に優れた画像が形成される。
前記熱可逆記録媒体は、リライタブルな各種ポイントカード等に好適に使用することができ、以下の本発明の熱可逆記録ラベル、熱可逆部材、画像処理装置及び画像処理方法などに特に好適に使用することができる。
【0160】
(熱可逆記録ラベル及び熱可逆記録部材)
本発明の熱可逆記録ラベルは、本発明の前記熱可逆記録媒体における画像を形成する面と反対側の面(支持体の上に前記感熱層を有する場合には、該支持体における前記感熱層を形成した面の反対側の面)に接着剤層及び粘着剤層の少なくともいずれかを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の層を有してなる。
【0161】
前記接着剤層乃至前記粘着剤層の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、シート状、フィルム状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記感熱層よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
前記接着剤層乃至前記粘着剤層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、ホットメルトタイプでもよく、また、剥離紙を用いてもよいし、無剥離紙タイプでもよい。
【0162】
前記熱可逆記録ラベルが前記接着剤層及び前記粘着剤層の少なくともいずれかを有していると、前記感熱層の塗布が困難な磁気ストライプ付塩化ビニル製カード等の厚手基板の全面又は一部に、貼付可能であり、磁気に記憶された情報の一部を表示可能とすることができる。
前記熱可逆記録ラベルは、フレキシブルディスク(FD)、MD、DVD−RAM、等の記録情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ上の表示ラベルの代替品とすることができる。
【0163】
図5は、本発明の熱可逆記録ラベル10をMDのディスクカートリッジ70上に貼付した例を示す。この場合、MDへの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更するなどの用途への応用が可能である。なお、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスクの場合には、直接ディスクに本発明の前記熱可逆記録ラベルを貼付してもよい。
図6は、本発明の熱可逆記録ラベル10をCD−RW71上に貼付した例を示す。この場合、CD―RWの変わりにCR−R等の追記型ディスク上に、前記熱可逆記録ラベルを貼付して、そのCD−Rに追記した記憶情報の一部を替換え表示することが可能である。
【0164】
図7は、AgInSbTe系の相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)上に、本発明の前記熱可逆記録ラベルを貼付した例である。このCD−RWの基本的な構成は、案内溝を有する基体111上に、第1誘電体層110、光情報記億層109、第2誘電体層108、反射放熱層107、中間層106がこの順に設けられ、基体111の裏面にハードコート層112を有する。このCD―RWの中間層106上に、本発明の熱可逆記録ラベル10が貼付されている。熱可逆記録ラベル10は、接着剤層及び粘着剤のいずれかの層105、支持体104、光反射層103、可逆感熱層102、及び保護層101をこの順に有してなる。なお、前記誘電体層は必ずしも前記感熱層の両側に設ける必要はないが、前記基体がポリカーボネート樹脂のように耐熱性が低い材料の場合には、第一誘電体層110を設けることが望ましい。
【0165】
図8は、本発明の熱可逆記録ラベル10をビデオカセット72上に貼付した例を示す。この場合、ビデオテープカセットへの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更するなどの用途への応用が可能である。
【0166】
前記熱可逆記録機能を、カード、ディスク、ディスクカートリッジ、及びテープカセット上に設ける方法としては、前記熱可逆記録ラベルを貼る方法以外に、それらの上に前記感熱層を直接塗布する方法、予め別の支持体上に前記感熱層を形成しておき、前記カード、前記ディスク、前記ディスクカートリッジ及び前記テープカセット上に該感熱層を転写する方法、などが挙げられる。前記感熱層を転写する方法の場合には、前記感熱層上にホットメルトタイプなどの前記接着層や前記粘着層を設けておいてもよい。前記カード、前記ディスク、前記ディスクカートリッジ及びテープカセットなどのように剛直なものの上に前記熱可逆記録ラベルを貼付したり、前記感熱層を設ける場合には、サーマルヘッドとの接触性を向上させて画像を均一に形成するために弾力があり、クッションとなる層、又はシートを剛直な基体とラベル若しくは前記感熱層の間に設けることが好ましい。
【0167】
本発明の熱可逆記録媒体は、例えば、図9Aに示すように、支持体11上に、可逆性感熱層13、及び保護層14を設けてなるフィルム、図9Bに示すように、支持体11上に、アルミニウム反射層12、可逆性感熱層13、及び保護層14を設けてなるフィルム、図9Cに示すように、支持体11上に、アルミニウム反射層12、可逆性感熱層13及び保護層14を設け、支持体11の裏面に磁気感熱層16を設けてなるフィルム、などの態様をとることができる。
これら各態様のフィルム(熱可逆記録媒体)は、例えば、図10Aに示すように、印刷表示部23を有する熱可逆記録カード21に加工した形態として使用することができる。なお、図10Bに示すように、カードの裏面側は磁気記録部24が形成されている。
【0168】
また、図11Aに示す熱可逆記録部材(カード)は、支持体上に、アルミニウム反射層、可逆性感熱層、保護層を設けてなるフィルムをカード状に加工し、ICチップを納める窪み部25を形成すると共に、カード状に加工したものである。図11Aでは、カード状の熱可逆記録媒体に書き換え記録部26がラベル加工されるとともに、カートの裏面側には所定箇所にICチッブ埋め込み用窪み部25が形成されている。この窪み部25に、図11Bに示すようにウエハ231が組込まれて固定される。ウエハ231は、ウエハ基板232上に、集積回路233が設けられると共に、集積回路233に電気的に接続されている複数の接触端子234がウエハ基板232に設けられる。この接触端子234はウエハ基板232の裏面側に露出しており、専用のプリンタ(リーダライタ)が、接触端子234に電気的に接触して所定の情報を読み出したり書き換えたりできるように構成されている。
【0169】
次に、前記熱可逆記録カードについて図12を参照しつつ、その機能について説明する。図12Aは、集積回路233を示す概略の構成ブロック図である。また、図12Bは、RAMの記憶データの一例を示す構成ブロック図である。集積回路233は、例えば、LSIで構成されており、その中には制御動作を所定の手順で実行することのできるCPU235と、CPU235の動作プログラムデータを格納するROM236と、必要なデータの書き込み及び読み出しができるRAM237を含む。更に、集積回路233は、入力信号を受けてCPU235に入力データを与えるとともにCPU235からの出力信号を受けて外部に出力する入出力インターフェース238と、図示を省略しているが、パワーオンリセット回路、クロック発生回路、パルス分周回路(割込パルス発生回路)、アドレスデコーダ回路とを含む。
CPU235は、パルス分周回路から定期的に与えられる割込パルスに応じて、割込制御ルーチンの動作を実行することが可能となる。また、アドレスデコード回路は、CPU235からのアドレスデータをデコードし、ROM236、RAM237、入出力インターフェース238にそれぞれ信号を与える。入出力インターフェース238には、複数(図12中では8個)の接触端子234が接続されており、前記専用プリンタ(リーダライタ)からの所定データがこの接触端子234から入出力インターフェース238を介してCPU235に入力される。CPU235は、入力信号に応答して、かつROM236内に格納されたプログラムデータに従って、各動作を行い、かつ所定のデータ、信号を入出力インターフェース238を介してシートリーダライタに出力する。
【0170】
図12Bに示すように、RAM237は、複数の記憶領域239a〜239gを含む。例えば、領域239aにはシート番号が記憶されている。例えば、記憶領域239bには、シート管理者の氏名、所属、電話番号等のIDデータが記憶されている。例えば、記憶領域239cには、使用者の使用しうる残存余白又は取り扱いに関する情報が記憶されている。例えば、記憶領域239d、記憶領域239e、記憶領域239f及び記憶領域239gには、前管理責任者、前使用者に関する情報、などが記憶される。
【0171】
本発明の前記熱可逆記録ラベル及び前記熱可逆記録部材の少なくともいずれかは、特に制限はなく、各種画像処理方法及び画像処理装置により、画像処理することができが、後述する本発明の画像処理装置を用いて好適に画像の形成及び消去を行うことができる。
【0172】
(画像処理方法及び画像処理装置)
本発明の画像処理装置は、画像形成手段及び画像消去手段の少なくともいずれかを有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、搬送手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像処理方法は、前記本発明の前記熱可逆記録媒体を加熱して画像の形成及び消去の少なくともいずれかを行い、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、搬送工程、制御工程等を有してなる。
【0173】
本発明の画像処理方法は、本発明の画像処理装置により好適に実施することができ、前記本発明の熱可逆記録媒体を加熱して画像の形成及び画像の消去の少なくともいずれかは前記画像形成手段及び画像消去手段の少なくともいずれかにより行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0174】
−画像形成手段及び画像消去手段−
前記画像形成手段は、本発明の前記熱可逆記録媒体を加熱して画像を形成する手段である。また、前記画像消去手段は、前記本発明の熱可逆記録媒体を加熱して画像を消去する手段である。
前記画像形成手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サーマルヘッド、レーザなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記画像消去手段としては、本発明の前記熱可逆記録媒体を加熱して画像を消去する手段であり、例えば、ホットスタンプ、セラミックヒータ、ヒートローラ、熱風等や、サーマルヘッド、レーザ等が挙げられる。これらの中では、セラミックヒータが好適である。前記セラミックヒータを用いることにより、装置が小型化でき、かつ安定した消去状態が得られ、コントラストのよい画像が得られる。前記セラミックヒータの設定温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、110℃以上が好ましく、112℃以上がより好ましく、115℃以上が特に好ましい。
【0175】
前記サーマルヘッドを用いることにより、更に小型化が可能となり、また、消費電力を低減することが可能であり、バッテリー駆動のハンディタイプの装置も可能となる。また、前記画像の記録及び消去を兼ねて一つのサーマルヘッドとすることができ、この場合は、更に小型化が可能となる。一つのサーマルヘッドで記録と消去とを行う場合、一旦前画像を全部消去した後、改めて新しい画像を記録してもよいし、画像毎にエネルギーを変えて一度に前の画像を消去し、新しい画像を記録していくオーバーライト方式も可能である。該オーバーライト方式においては、前記画像の記録及び消去を合わせた時間が少なくなり、記録のスピードアップにつながる。
前記感熱層と情報記憶部とを有する熱可逆記録部材(カード)を用いる場合、上記装置には、情報記億部の記億を読み取る手段と書き換える手段なども含まれる。
【0176】
前記搬送手段は、前記熱可逆記録媒体を順次搬送する機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、搬送ベルト、搬送ローラ、搬送ベルトと搬送ローラとの組合せ、などが挙げられる。
【0177】
前記制御手段は、前記各工程を制御する機能を有する限り特に制限はなく、各工程の制御を行うことができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0178】
本発明の画像処理装置により本発明の画像処理方法を実施する一の態様について、図13を参照しながら説明する。図13に示す画像処理装置は、前記加熱処理手段としてのサーマルヘッド53と、セラミックヒータ38と、磁気ヘッド34と、搬送ローラ31、40及び47とを備えている。
図13Aに示すように、この画像処理装置においては、最初、記録媒体の磁気感熱層に記億された情報を磁気ヘッドで読み取る。次に、セラミックヒータで可逆性感熱層に記録された画像を加熱消去する。更に、磁気ヘッドで読み取られた情報をもとにして、処理された新たな情報がサーマルヘッドにより、可逆性感熱層に記録される。その後、磁気感熱層の情報も新たな情報に書き替えられる。
図13Aに示す画像処理装置においては、感熱層の反対側に磁気感熱層を設けた熱可逆記録媒体1は往復の矢印で図示されている搬送路に沿って搬送され、或いは搬送路に沿って装置内を逆方向に搬送される。熱可逆記録媒体1は、磁気ヘッド34及び搬送ローラ31間で磁気感熱層に磁気記録乃至消去され、セラミックヒータ38及び搬送ローラ40間で画像消去のため加熱処理され、サーマルヘッド53及び領域搬送ローラ47間で画像形成される。その後、装置外に搬出される。先に説明したように、セラミックヒータ38の設定温度は110℃以上が好ましく、112℃以上が更に好ましく、115℃以上が特に好ましい。ただし、磁気記録の書替えはセラミックヒータによる画像消去の前であってもよいし、後であってもよい。また、所望により、セラミックヒータ38及び搬送ローラ40間を通過後、又はサーマルヘッド53及び搬送ローラ47間を通過後、搬送路を逆方向に搬送される。セラミックヒータ38よる再度の熱処理、サーマルヘッド53による再度の印字処理を施すことができる。
【0179】
図13Bの画像処理装置においては、出入口30から挿入された熱可逆記録媒体1は、一点破線で図示されている搬送路50に沿って進行し、或いは搬送路50に沿って装置内を逆方向に進行する。出入口30から挿入された熱可逆記録媒体1は、搬送ローラ31及びガイドローラ32により記録装置内を搬送される。搬送路50の所定位置に到達するとセンサ33により制御手段34cを介してその存在を認識され、磁気ヘッド34とプラテンローラ35との間で磁気感熱層に磁気記録或いは記録消去され、ガイドローラ36及び搬送ローラ37間を通過し、ガイドローラ39及び搬送ローラ40間を通過し、センサ43により、セラミックヒータ制御手段38cを介してその存在を認識して作動するセラミックヒータ38とプラテンローラ44との間で画像消去のため加熱処理され、搬送ローラ45、46及び47により搬送路50内を搬送され、所定位置にてセンサ51により、サーマルヘッド制御手段53cを介してその存在を認識して作動するサーマルヘッド53及びプラテンローラ52間で画像形成され、搬送路56aから搬送ローラ59及びガイドローラ60により出口61を経て装置外に搬出される。ここで、セラミックヒータ38の設定温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上述したように、110℃以上が好ましく、112℃以上が更に好ましく、115℃以上が特に好ましい。
【0180】
また、所望により、搬送路切換手段55aを切り替えることにより搬送路56bに導き、熱可逆記録媒体1の押圧により入力するリミットスイッチ57aの作動により逆方向に動く搬送ベルト58によって、熱可逆記録媒体1を再度、サーマルヘッド53及びプラテンローラ52間で熱処理した後、搬送路切換手段55bを切り替えることにより通じる搬送路49b、リミットスイッチ57b、搬送ベルト48を介して順方向に搬送し、搬送路56aから搬送ローラ59及びガイドローラ60により出口61を経て装置外に搬出することができる。更に、このような分岐した搬送路及び搬送切換手段は、セラミックヒータ38の両側に設けることもできる。その場合には、センサ43aを、プラテンローラ44と搬送ローラ45との間に設けることが望ましい。
【0181】
本発明の画像処理装置及び画像処理方法によると、短時間で高速で処理可能であり、サーマルヘッド等により短時間の加熱時間でも、画像の形成及び消去を十分に行うことができ、長期保存後においても画像の消去性に優れ、高コントラストな画像を形成することができる。
【0182】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0183】
(合成例1)
−アクリル樹脂(A1)の合成−
スチレン132質量部、メタクリル酸メチル297質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル54質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル108質量部、及びメタクリル酸9質量部を混合してモノマー混合物を作製した。
2リットルの四つ口フラスコ中に、溶剤としての酢酸ブチル360質量部、及び前記モノマー混合物540質量部を仕込んだ。残りの前記モノマー混合物に開始剤としてのカヤエステルO(化薬アクゾ社製)を6.6質量部添加して滴下用モノマー混合物を準備した。フラスコ内温度120℃に保持した後に前記滴下用モノマー混合物を4時間掛けて滴下し、滴下終了後に酢酸ブチル30質量部を投入した。フラスコ内温度120℃のまま1時間保持し、追加開始剤としてのカヤエステルOを1.2質量部と酢酸ブチルを30質量部とからなる開始剤混合物を1時間置きに3回一括添加した。更に、フラスコ内温度120℃のまま1時間保持した後、フラスコ内温度を80℃以下に冷却した時点でメチルエチルケトン(MEK)360質量部を投入し、冷却して合成例1のアクリル樹脂(A1)を合成した。なお、得られたアクリル樹脂(A1)は缶詰して保存した。
得られたアクリル樹脂(A1)の特性値は、粘度(気泡粘度計)が−J、加熱残分が42.1質量%、酸価が4.1mgKOH/g、水酸基価が70、重量平均分子量が39,000であった。また、アクリル樹脂の計算により求めたガラス転移温度(Tg)は45℃、計算により求めた屈折率は1.5115であった。
【0184】
(実施例1)
−熱可逆記録媒体の作製−
まず、大日本インキ工業社製の磁気原反(メモリディック、DS−1711−1040:188μmの厚みの透明PETフィルム上に磁気感熱層及びセルフクリーニング層を塗工したもの)のPETフィルム側に、約400Åの厚みとなるようにアルミニウム(Al)を真空蒸着して光反射層を設けた。光反射層の上に、塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体(電気化学工業社製、デンカビニール#1000P)10質量部、メチルエチルケトン45質量部、及びトルエン45質量部からなる接着層用塗布液を塗布し、加熱乾燥し、約0.5μmの厚みとなるように接着層を設けた。次に、接着層上に、ステアリン酸ステアリル(日本油脂社製、M9676)5質量部、エイコサン2酸(岡村製油社製、SL−20−90)5質量部、合成例1のアクリル樹脂(A1)27質量部、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン製、コロネート2298−90T)3質量部、キシレン40質量部、及びテトラヒドロフラン160質量部からなる感熱層用塗布液を塗布し、130℃にて3分間加熱乾燥して約10μmの厚みとなるように感熱層を設け、60℃にて48時間加熱して、硬化した。次に、感熱層上に、ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂(大日本インキ化学社製:ユニデックC7−157)の75質量%酢酸ブチル溶液10質量部、及びイソプロピルアルコール10質量部からなる保護層用塗布液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥した後、80W/cmの紫外線ランプで硬化させて、約2μmの厚みの保護層を設けた。
以上により、実施例1の熱可逆記録媒体を作製した。
【0185】
(合成例2)
−アクリル樹脂(A2)の合成−
合成例1において、前記モノマー混合物を、スチレン132質量部、メタクリル酸メチル309質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル42質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル108質量部、メタクリル酸9質量部とのモノマー混合物600質量部に変えた以外は、合成例1と同様にして、合成例2のアクリル樹脂(A2)を合成した。
得られたアクリル樹脂(A2)の溶液特性値は、粘度(気泡粘度計)が−G、加熱残分が42.1質量%、酸価が4.1mgKOH/g、水酸基価が70、重量平均分子量が40,000であった。また、アクリル樹脂(A2)の計算により求めたガラス転移温度(Tg)は50℃、計算により求めた屈折率は1.5115であった。
【0186】
(実施例2)
−熱可逆記録媒体の作製−
実施例1において、前記合成例1のアクリル樹脂(A1)を前記合成例2のアクリル共重合体(A2)に代えた以外は、実施例1と同様にして実施例2の熱可逆記録媒体を作製した。
【0187】
(合成例3)
−アクリル樹脂(A3)の合成−
合成例1において、前記モノマー混合物を、スチレン150質量部、メタクリル酸メチル123質量部、メタクリル酸ベンジル132質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル78質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル108質量部、メタクリル酸9質量部のモノマー混合物600質量部に変えた以外は、合成例1と同様にして、合成例3のアクリル樹脂(A3)を合成した。
得られたアクリル樹脂(A3)の溶液特性値は、粘度(気泡粘度計)が−D、加熱残分が41.5質量%、酸価が4.5mgKOH/g、水酸基価が70、重量平均分子量が38,000であった。また、アクリル樹脂の計算により求めたガラス転移温度(Tg)は30℃、計算により求めた屈折率は1.5308であった。
【0188】
(実施例3)
−熱可逆記録媒体の作製−
実施例1において、前記アクリル樹脂(A1)をアクリル樹脂(A3)に代え、前記イソシアネート化合物をコロネートHL(日本ポリウレタン製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の熱可逆記録媒体を作製した。
【0189】
(合成例4)
−アクリル樹脂(A4)の合成−
合成例1において、前記モノマー混合物を、スチレン120質量部、メタクリル酸メチル153質量部、メタクリル酸ベンジル180質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル30質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル108質量部、及びメタクリルル酸9質量部のモノマー混合物600質量部に変えた以外は、合成例1と同様にして、合成例4のアクリル樹脂(A4)を合成した。
得られたアクリル樹脂(A4)の溶液特性値は、粘度(気泡粘度計)が−R、加熱残分が50.9質量%、酸価が5.1mgKOH/g、Tgが40℃、水酸基価が70、重量平均分子量が41,000であった。また、アクリル樹脂の計算により求めた屈折率は1.532であった。
【0190】
(実施例4)
−熱可逆記録媒体の作製−
実施例1において、前記アクリル樹脂(A1)をアクリル樹脂(A4)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の熱可逆記録媒体を作製した。
【0191】
(合成例5)
−アクリル樹脂(A5)の合成例−
合成例1において、前記モノマー混合物を、スチレン125質量部、メタクリル酸メチル291質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル67質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル108質量部、及びメタクリル酸9質量部とのモノマー混合物600質量部に変えた以外は、合成例1と同様にして、合成例5のアクリル樹脂(A5)を合成した。
得られたアクリル共重合体(A5)の溶液特性値は、粘度(気泡粘度計)が−C、加熱残分が40.4質量%、酸価が4.2gKOH/g、Tgが40℃、水酸基価が70、重量平均分子量が37,800であった。アクリル樹脂の計算により求めた屈折率は1.5113であった。
【0192】
(実施例5)
−熱可逆記録媒体の作製−
実施例1において、前記アクリル樹脂(A1)を前記アクリル樹脂(A5)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の熱可逆記録媒体を作製した。
【0193】
(合成例6)
−アクリル樹脂(A6)の合成−
合成例1において、前記モノマー混合物を、スチレン100質量部、メタクリル酸メチル290質量部、アクリル酸ブチル93質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル108質量部、及びメタクリル酸9質量部とのモノマー混合物600質量部に変えた以外は、合成例1と同様にして、合成例6のアクリル樹脂(A6)を合成した。
得られたアクリル樹脂(A6)の溶液特性値は、粘度(気泡粘度計)が−D、加熱残分が40.2質量%、酸価4.1mgKOH/g、Tgは40℃、重量平均分子量は42,000であった。アクリル樹脂の計算により求めた屈折率は1.5116であった。
【0194】
(実施例6)
−熱可逆記録媒体の作製−
実施例1において、前記アクリル樹脂(A1)を前記アクリル樹脂(A6)代え、前記イソシアネート化合物をコロネートHL(日本ポリウレタン製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の熱可逆記録媒体を作製した。
【0195】
(合成例7)
−アクリル樹脂(A7)の合成−
合成例1において、前記モノマー混合物を、スチレン210質量部、メタクリル酸メチル229.2質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル90質量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル58.8質量部、及びメタクリル酸12質量部のモノマー混合物に変えた以外は、合成例1と同様にして、合成例7のアクリル樹脂(A7)を合成した。
得られたアクリル樹脂(A7)の溶液特性値は、粘度(気泡粘度計)が−D、加熱残分が40質量%、酸価4.3mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は50℃、重量平均分子量は40,000であった。アクリル樹脂の計算により求めた屈折率は1.5257であった。
【0196】
参考例7)
−熱可逆記録媒体の作製−
まず、大日本インキ工業社製の磁気原反(メモリディック、DS−1711−1040:厚み188μmの透明PETフィルム上に磁気感熱層及びセルフクリーニング層を塗工したもの)のPETフィルム側に、約400Åの厚みとなるようにアルミニウム(Al)を真空蒸着して光反射層を設けた。次に、光反射層の上に、塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体(電気化学工業社製、デンカビニール#1000P)10質量部、メチルエチルケトン45質量部、及びトルエン45質量部からなる接着層用塗布液を塗布し、加熱乾燥し、約0.5μm厚みの接着層を設けた。次に、合成例7のアクリル樹脂(A7)502質量部に対し、ステアリン酸ステアリル(ミヨシ油脂社製、SS96)63質量部を添加し、下記構造式(A)で表されるイソシアネート化合物8質量部、下記構造式(B)で表されるイソシアネート化合物9質量部、及びメチルエチルケトン220質量部をガラス瓶中に直径約2mmのセラミックビーズを入れてペイントシェーカー(浅田鉄工製)を用い35時間分散した分散液Aを調製した。
【0197】
【化28】
【0198】
次に、前記分散液A 400質量部に、メチルエチルケトン209質量部、イソシアネート化合物(E−402−90T;旭化学製)35質量部、o−キシレン115質量部、及びレベリング剤(ST102PA MEK1質量%溶液)4質量部からなる分散溶液を前記接着層上に塗布し、125℃にて1分間加熱乾燥して約11μmの厚みとなるように感熱層を設けた後、50℃にて48時間加熱して、硬化した。次に、感熱層上に実施例1と同様にして保護層を形成した。
以上により、参考例7の熱可逆記録媒体を製造した。
【0199】
(参考例8)
−熱可逆記録媒体の作製−
参考例7において、前記感熱層用塗布液において、前記構造式(A)及び(B)で表されるイソシアネート化合物を添加しない以外は、参考例7と同様にして、参考例8の熱可逆記録媒体を作製した。
【0200】
(比較例1)
−熱可逆記録媒体の作製−
まず、大日本インキ工業社製磁気原反(メモリディック、DS−1711−1040:厚み188μmの透明PETフィルム上に磁気感熱層及びセルフクリーニング層を塗工したもの)のPETフィルム側に、約400Åの厚みとなるようにアルミニウム(Al)を真空蒸着して光反射層を設けた。次に、光反射層の上に、塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体(電気化学工業社製、デンカビニール#1000P)10質量部、メチルエチルケトン45質量部、及びトルエン45質量部からなる接着層用塗布液を塗布し、加熱乾燥し、約0.5μm厚みの接着層を設けた。次に、接着層上に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(日信化学工業製、ソルバインC、塩化ビニル/酢酸ビニル=87/13(モル比))120質量部、ステアリン酸ヘキサデシル40質量部、ドデカンニ酸10質量部、ステアロン(18−ペンタトリアコンタノン)10質量部、及びTHF945質量部からなる感熱層用塗布液を塗布し、120℃にて2分間加熱乾燥して約10μmの厚みとなるように感熱層を設けた後、60℃にて48時間加熱して、硬化した。次に、感熱層上に、ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂(大日本インキ化学社製:ユニデックC7−157)の75質量%酢酸ブチル溶液10質量部、及びイソプロピルアルコール10質量部からなる保護層用塗布液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後、80W/cmの紫外線ランプで硬化させ、約2μmの厚みとなるように保護層を設けた。
以上により、比較例1の熱可逆記録媒体を作製した。
【0201】
(比較例2)
−熱可逆記録媒体の作製−
比較例1において、感熱層用塗布液として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(日信化学工業製、ソルバインC、塩化ビニル/酢酸ビニル=87/13(モル比))80質量部、ジヘキサデシルチオエーテル28質量部、ドデカンニ酸12質量部、及びTHF630質量部からなる感熱層用塗布液を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例2の熱可逆記録媒体を作製した。
【0202】
(比較例3)
−熱可逆記録媒体の作製−
比較例1において、前記接着層上に、VMCH(UCC社製、塩化ビニルが85〜87質量%、MA(マレイン酸)が0.7〜1質量%、酢酸ビニルがバランスの共重合体)50質量部、ドデカンニ酸25質量部、ステアリルべヘネート60質量部、1−9ノナンジオールアクリレート20質量部、低Tgアクリル系樹脂(東亞合成化学製、S2040、固形分30質量%)120質量部、イルガキュア184(チバガイギー社製の硬化剤)10質量部、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体レベリング剤(東レダウコーニングシリコン製、ST102PA)10質量部、及びTHF962質量部からなる感熱層用塗布液を塗布し、130℃にて1分間加熱乾燥した後80W/cm×2灯のUV照射を行い、約10μmの厚みとなるように感熱層を設けた後、60℃にて48時間加熱して、硬化した以外は、比較例1と同様にして、比較例3の熱可逆記録媒体を作製した。
【0203】
(比較例4)
−熱可逆記録媒体の作製−
比較例1において、感熱層用塗布液として、VYHH(UCC社製、塩ビニルが85〜87質量%、酢酸ビニルがバランスの共重合体)120質量部、ベヘニルべヘネート50質量部、ドデカンニ酸10質量部、低Tgアクリル系樹脂(東亞合成化学製、S2040、固形分30質量%)240質量部、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン製、コロネートL)10質量部、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体レベリング剤(東レダウコーニングシリコン製、ST102PA)10質量部、及びTHF1183質量部からなる感熱層用塗布液に代えた以外は、比較例1と同様にして、比較例4の熱可逆記録媒体を作製した。
【0204】
(比較例5)
−熱可逆記録媒体の作製−
まず、塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン社製、MR110)をTHFに溶解した固形分15質量%溶液500質量部に対し、HOOC(CHNHCO(CH)CONH(CHCOOH15を添加し、ガラス瓶中に直径約2mmのセラミックビーズを入れてペイントシェーカー(浅田鉄工製)を用い48時間分散して分散液Aを調製した。
ベヘン酸(ミヨシ油脂社製、ベヘン酸95)110質量部、エイコサンニ酸(岡村製油社製、SL−20−90)25質量部、塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン社製、MR110)300質量部、THF170質量部、及びo−キシレン60質量部を常法により混合して、分散液Bを調製した。
次に、前記分散液A 8質量部、前記分散液B 270質量部、及びイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製、2298−90T)60質量部を混合して感熱層用塗布液を調製した。
次に、比較例1において、前記感熱層用塗布液を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例5の熱可逆記録媒体を作製した。
【0205】
(比較例6)
−熱可逆記録媒体の作製−
比較例1において、前記接着層上に、1,18−オクタデカジカルボン酸ドデシル(ミヨシ油脂社製)4.75質量部、エイコサン2酸(岡村製油社製、SL−20−99)5.25質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(鐘淵化学工業社製;M2018、塩化ビニル80質量%、酢酸ビニル20質量%、平均重合度=1800)28質量部、反応性ポリマー(新中村化学工業社製、NKポリマーB−3015H)4.7質量部、THF215.5質量部、アミルアルコール24質量部、及びジブチル錫ラウレート系安定剤(三共有機合成社製、Stann SCAT−1)0.8質量部からなる感熱層用塗布液を塗布し、加熱乾燥して約8μmの厚みとなるように感熱層(可逆性感熱層)を設けた。次に、感熱層に対し、電子線照射装置として日新ハイボルテージ社製のエリアビーム型電子線照射装置EBC−200−AA2を用い、照射線量が10Mradになるように調整して電子線照射を行い、比較例6の熱可逆記録媒体を作製した。
【0206】
(比較例7)
−熱可逆記録媒体の作製−
比較例1において、前記接着層上に、アクリル樹脂(LR-269、三菱レイヨン製)100質量部、テトラエチレングリコールジアクリレート50質量部、光重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュア184)2質量部、ポリエステル系可塑剤(DIC社製、P−29)25質量部、ステアリン酸ステアリル40質量部、エイコサンニ酸8質量部、及びテトラヒドロフラン180質量部からなる感熱層用塗布液を塗布し、110℃にて5分間加熱乾燥した後、120W/cm・10m/minの条件でUV照射を行い、約10μmの厚みとなるように感熱層を設けた以外は、比較例1と同様にして、比較例7の熱可逆記録媒体を作製した。
【0207】
(実施例9)
−熱可逆記録ラベルの作製−
実施例4で作製した熱可逆記録媒体の支持体の感熱層面を設けてない側の面(裏面)に、約5μmの厚みとなるようにアクリル系粘着剤層を設けた。
以上により、実施例10の熱可逆記録ラベルを作製した。
【0208】
(実施例10)
−熱可逆記録部材の作製及び評価−
実施例9で作製した熱可逆記録媒体の表面上にUVインク(ハクリOPニスUP2 T&KToka社製)による印刷を行い、これをカード状に切り出して記録及び消去手段(サーマルヘッド)とを有する記録装置を用いて、サーマルヘッドの記録エネルギーを熱可逆記録媒体の記録エネルギーの変化に合わせて調整して感熱層へ表示記録し、可視化し、記録及び消去を行った。更に、この表示記録の書き換えを50回繰り返したが、記録及び消去は良好であった。
【0209】
(実施例11)
−熱可逆記録部材の作製及び評価−
実施例9で作製した熱可逆記録ラベルをミニディスク(MD)カートリッジ上に貼り付けた。MDに記憶された情報の一部(年月日、曲名など)を、記録及び消去手段(サーマルヘッド)とを有する記録装置を用いて、サーマルヘッドの記録エネルギーを媒体の記録エネルギーの変化に合わせて調整して感熱層へ表示記録し、可視化し、記録及び消去を行った。更に、この表示記録の書き換えを50回繰り返したが、記録及び消去は良好であった。
【0210】
(実施例12)
−熱可逆記録部材の作製及び評価−
実施例9で作製した熱可逆記録ラベルをCD−RW上に貼り合わせて熱可逆表示機能付きの光情報記録媒体を作製した。この光情報記録媒体を用いて、CD−RWドライブ(株式会社リコー社製、MP6200S)で記憶した情報の一部(年月日、時刻など)を、記録及び消去手段(サーマルヘッド)を有する記録装置を用いて、サーマルヘッドの記録エネルギーを記録媒体の記録温度の変化に合わせて調整して感熱層へ表示記録し、可視化した。また、該CD−RWドライブを用い、光情報記録媒体の記憶層の情報を書き換え、記録装置により消去手段を用い、先の記録を消去し新たにサーマルヘッドで、書き換えた情報を感熱層に書き換え、表示記録した。更に、この表示記録の書き換えを50回繰り返したが、記録及び消去は良好であった。
【0211】
(実施例13)
−熱可逆記録部材及び評価−
実施例9で作成した熱可逆記録ラベルをテープカセット上に貼り付けた。テープカセットに記憶された情報の一部(年月日、曲名など)を、記録及び消去手段(サーマルヘッド)を有する記録装置を用いて、サーマルヘッドの記録エネルギーをそれぞれの媒体の記録エネルギーの変化に合わせて調整して感熱層へ表示記録し、可視化し、記録及び消去を行った。更に、この表示記録の書き換えを50回繰り返したが、記録及び消去は良好であった。
【0212】
次に、得られた実施例1〜、9、参考例7、8、及び比較例1〜7の各熱可逆記録媒体について、以下のようにして、消去性、透明化温度幅、ガラス転移温度変化、耐アンモニア性、及び繰り返し耐久性について測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0213】
<消去性>
感熱記録装置として八城電気社製印字試験装置を用い、サーマルヘッドとして京セラ(株)製KBE−40−8MGK1を用いて、パルス幅2.0msec、印加電圧11.0Vの条件で白濁画像形成を行った。その直後、サーマルヘッドによる印字条件をライン周期4.2ms、パルス幅2.94ms、印字速度29.76mm/sに設定して印加エネルギーを0.085mj/dot〜0.30mj/dotまで適宜変更して透明化を行った。各々のエネルギーによる消去濃度をマクベスRD−914濃度計(マクベス社製)にて測定し消去性を求めた。図4と同様にして消去濃度と消去エネルギーの関係をグラフにして消去可能エネルギー幅を求めた。また、最大に透明化した部位の濃度を最大透明濃度とし、その最大透明濃度と地肌との差を初期消去性とした。また、初期消去性と同一部位での濃度と地肌の差を経時消去性とした。実施例1〜6の結果を図14〜図19に示す。参考例7の結果を図20に示す。比較例1〜6の結果を図21〜図26に示す。また、結果を表1に示す。
【0214】
<透明化温度幅>
前記透明化温度幅(ΔTw)を、以下のようにして測定した。
予め、各熱可逆記録媒体を十分に白濁させた。次に、白濁した各熱可逆記録媒体について温度を変えて加熱し、透明になる温度を測定した。各熱可逆記録媒体の加熱には熱傾斜試験機(東洋精機社製HG−100)を用いた。この熱傾斜試験機は5つの加熱ブロックを持ち、各ブロックは個別に温度を設定でき、加熱時間、圧力をコントロールすることも可能である。設定された条件で、一度に5つの異なる温度で熱可逆記録媒体を加熱することができる。具体的には、加熱時間を1.0秒とし、加熱時の圧力を約1.0kg/cmとする。加熱温度は、加熱しても白さが変化しない低温度から1〜5℃の等温度間隔で十分に白濁する温度まで加熱した。加熱した後、常温に冷却し、マクベスRD−914反射濃度計(マクベス社製)を用い、各温度で加熱した部分の濃度を測定し、図3に示すように、横軸を熱傾斜試験機の設定温度、縦軸を反射濃度としたグラフを作成する。図3と同様にして透明化温度幅を求めた。参考例7の結果を図27に示す。比較例1〜6の結果を図28〜図33に示す。また、結果を表1に示す。
【0215】
<ガラス転移温度変化>
示差熱層走査熱量として示差熱層走査熱量計6200(SII社製)を用いてDSC測定を行った。各熱可逆記録媒体における感熱層の試料は、アルミニウム蒸着層上に塗布したものを希釈フッ化水素酸を用いて剥離し、その3mg〜6mgをDSC測定用のアルミニウム製セルに入れて測定を行った。標準物質としては酸化アルミニウムを用いた。昇温速度は15℃/minとした。
初期ガラス転移温度(Tgi)は、DSC測定用アルミニウム製セルに入れた試料を恒温槽中で130℃にて5分間加熱後に室温(23℃)で30分間放置した後に測定した。このときのDSC曲線から得られたガラス転移温度とし、経時ガラス転移温度は130℃にて5分間加熱後に室温で十分に冷却した後、35℃雰囲気で1週間保存したものを測定した。このときのDSC曲線から得られたガラス転移温度を経時ガラス転移温度(Tga)とした。
【0216】
<耐アンモニア性>
−透明化温度範囲試験−
実施例5及び参考例7、並びに、比較例2及び5について、試験前の各熱可逆記録媒体の透明化温度範囲と、8質量%炭酸アンモニウム水溶液中に48時間浸責した後の各熱可逆記録媒体の透明化温度範囲とを上記透明化温度範囲の測定方法により測定し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
○:変化なし
×:変化大
−画像濃度変化試験−
実施例5及び参考例7について、塩基物質に浸漬していない各熱可逆記録媒体を白濁させたときの画像濃度を初期画像とし、熱可逆記録媒体を8質量%炭酸アンモニウム水溶液中に浸漬し、浸漬時間を10分後、30分後、1時間後、6時間後に変えて同じエネルギーで白濁させたときの画像濃度を測定した。
【0217】
<繰り返し耐久性>
参考例7及び参考例8について、各熱可逆記録媒体について、サーマルヘッドを用いての繰返し耐久性を印字・消去を繰り返したときに画像濃度評価が0.5以上変化したときの回数を比較した。なお、最大500回までの繰返し印字・消去の評価を行った。
【0218】
【表1】
【0219】
【表2】
【0220】
【発明の効果】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、処理速度が速く、サーマルヘッドを用いてミリ秒単位の極小時間加熱した場合でも、十分に画像を消去することができ、画像形成経時後に、消去エネルギーが変化せず十分な消去性を維持し、高温で長時間放置しても保存性、コントラスト、視認性等に優れた画像を形成可能な熱可逆記録媒体、並びに、該熱可逆記録媒体を用いた、各種のラベル、カード等として好適な熱可逆記録ラベル、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット等として好適な熱可逆記録部材、処理速度が速く、コントラスト、視認性等に優れた画像を形成可能な画像処理装置及び画像処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の熱可逆記録媒体における温度と透明度変化との関係の一例を示すグラフである。
【図2】図2は、本発明の熱可逆記録媒体における温度と透明度変化との関係の一例を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の熱可逆記録媒体における、エネルギーの印加と消去エネルギー幅と反射濃度との関係の一例を示すグラフである。
【図4】図4は、DSC測定によるエンタルピー緩和測定を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の熱可逆記録媒体ラベルをMDのディスクカートリッジ上に貼付した状態の一例を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の熱可逆記録ラベルをCD−RW上に貼付した状態の一例を示す概略図である。
【図7】図7は、本発明の熱可逆記録ラベルを光情報記録媒体(CD−RW)上に貼付した状態の一例を示す概略断面図である。
【図8】図8は、本発明の熱可逆記録ラベルをビデオカセットに貼付した状態の一例を示す概略図である。
【図9】図9Aは、支持体上に感熱層及び保護層を設けてなるフィルムを示す概略図。図9Bは、支持体上に反射層、感熱層及び保護層を設けてなるフィルムを示す概略図である。図9Cは、支持体上に反射層、感熱層及び保護層を設け、支持体の裏面に磁気感熱層を設けてなるフィルムを示す概略図である。
【図10】図10Aは、本発明の熱可逆記録媒体の一例をカード状に加工したものの表面側の概略図である。図10Bは、図10Aの裏面側の概略図である。
【図11】図11Aは、本発明の熱可逆記録媒体の一例を他のカード状に加工した例の概略図である。図11Bは、図11AのICチップ用窪み部に埋め込まれるICチップの概略図である。
【図12】図12Aは、集積回路を示す概略の構成ブロック図である。図12Bは、RAMが複数の記憶領域を含むことを示す概略図である。
【図13】図13Aは、面像の消去をセラミックヒータ、画像の形成をサーマルヘッドでそれぞれ行う場合の画像処理装置の概略図を示す。図13Bは、本発明の画像処理装置の一例を示す概略図である。
【図14】図14は、実施例1における温度と透明度変化との関係を示すグラフである。
【図15】図15は、実施例2における温度と透明度変化との関係を示すグラフである。
【図16】図16は、実施例3における温度と透明度変化との関係を示すグラフである。
【図17】図17は、実施例4における温度と透明度変化との関係を示すグラフである。
【図18】図18は、実施例5における温度と透明度変化との関係を示すグラフである。
【図19】図19は、実施例6における温度と透明度変化との関係を示すグラフである。
【図20】図20は、参考例7における温度と透明度変化との関係を示すグラフである。
【図21】図21は、比較例1における温度と透明度変化との関係を示すグラフである。
【図22】図22は、比較例2における温度と透明度変化との関係を示すグラフである。
【図23】図23は、比較例3における温度と透明度変化との関係を示すグラフである。
【図24】図24は、比較例4における温度と透明度変化との関係を示すグラフである。
【図25】図25は、比較例5における温度と透明度変化との関係を示すグラフである。
【図26】図26は、比較例6における温度と透明度変化との関係を示すグラフである。
【図27】図27は、参考例7における反射濃度と温度との関係を示すグラフである。
【図28】図28は、比較例1における反射濃度と温度との関係を示すグラフである。
【図29】図29は、比較例2における反射濃度と温度との関係を示すグラフである。
【図30】図30は、比較例3における反射濃度と温度との関係を示すグラフである。
【図31】図31は、比較例4における反射濃度と温度との関係を示すグラフである。
【図32】図32は、比較例5における反射濃度と温度との関係を示すグラフである。
【図33】図33は、比較例6における反射濃度と温度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 熱可逆記録媒体
10 熱可逆記録ラベル
11 支持体
12 アルミニウム反射層
13 可逆性感熱層
14 保護層
16 磁気感熱層
22 書き換え記録部
23 印刷表示部
24 磁気記録部
25 窪み部
26 書き換え記録部
30 出入口
31 搬送ローラ
32 ガイドローラ
33 センサ
34 磁気ヘッド
34c 制御手段
35 プラテンローラ
36 ガイドローラ
37 搬送ローラ
38 セラミックヒータ
38c セラミックヒータ制御手段
39 ガイドローラ
40 搬送ローラ
43 センサ
43a センサ
44 プラテンローラ
45 搬送ローラ
46 搬送ローラ
47 搬送ローラ
48 搬送ベルト
49b 搬送路
50 搬送路
51 センサ
52 プラテンローラ
53 サーマルヘッド
53c サーマルヘッド制御手段
55a 搬送路切換手段
55b 搬送路切換手段
56a 搬送路
56b 搬送路
57a リミットスイッチ
57b リミットスイッチ
58 搬送ベルト
59 搬送ローラ
60 ガイドローラ
61 出口
70 MDディスクカートリッジ
71 CD−RW
72 ビデオカセット
101 保護層
102 可逆感熱層
103 光反射層
104 支持体
105 接着剤層又は粘着剤層
106 中間層
107 反射放熱層
108 第2誘電体層
109 光情報記憶層
110 第1誘電体層
111 基体
112 ハードコート層
231 ウエハ
232 ウエハ基板
233 集積回路
234 接触端子
235 CPU
236 ROM
237 RAM
238 入出力インターフェース
239a〜239g 記憶領域

Claims (9)

  1. アクリルポリオール樹脂とカルボキシル基非含有化合物からなる有機低分子化合物と、カルボキシル基含有化合物からなる有機低分子化合物とを含み、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を少なくとも有し、該感熱層の透明化温度幅が30℃以上であり、
    前記アクリルポリオール樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル単量体を全単量体に対して50質量%以上用いて合成され、かつ複数個の水酸基を有するとともに、イソシアネート化合物で架橋されており、下記式から求められるガラス転移温度(Tg)が30〜60℃であることを特徴とする熱可逆記録媒体。
    1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
    前記式中、Wiは、モノマーiの質量分率を表し、Tgiは、モノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(K)を表す。
  2. 感熱層のガラス転移温度が30〜70℃である請求項1に記載の熱可逆記録媒体。
  3. アクリルポリオール樹脂の重量平均分子量が20,000〜100,000である請求項1から2のいずれかに記載の熱可逆記録媒体。
  4. カルボキシル基非含有化合物が、脂肪酸エステル、二塩基酸エステル及び多価アルコールジ脂肪酸エステルから選択されるいずれかである請求項1から3のいずれかに記載の熱可逆記録媒体。
  5. 支持体を有する請求項1から4のいずれかに記載の熱可逆記録媒体。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の熱可逆記録媒体における画像を形成する面と反対側の面に、接着剤層及び粘着剤層のいずれかを有することを特徴とする熱可逆記録ラベル。
  7. 情報記憶部と可逆表示部とを有し、該可逆表示部が請求項1から5のいずれかに記載の熱可逆記録媒体を含むことを特徴とする熱可逆記録部材。
  8. 情報記憶部と可逆表示部とが一体化された請求項7に記載の熱可逆記録部材。
  9. カード、ディスク、ディスクカートリッジ及びテープカセットから選択される請求項7から8のいずれかに記載の熱可逆記録部材。
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