JP4180596B2 - 熱可逆記録媒体、ラベル、カード、ディスク、ディスクカートリッジ及びテープカセットと画像処理方法 - Google Patents

熱可逆記録媒体、ラベル、カード、ディスク、ディスクカートリッジ及びテープカセットと画像処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、感熱層の温度による可逆的な透明度変化を利用して、画像の形成および消去を何度でも繰り返して行うことのできる熱可逆記録媒体、ラベル、カード、ディスク、ディスクカートリッジ及びテープカセットとそれらを用いた記録、消去の方法に関する。
近年、一時的な画像表示が行え、不要となったときにはその画像の消去ができ、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を有する熱可逆記録媒体が注目されている。その代表的なものとしては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの樹脂母材中に高級脂肪酸などの有機低分子物質を分散した熱可逆記録媒体が知られている(特開昭55−154198号公報)。
しかし、これらの従来の熱可逆記録媒体は、透光・透明性を示す温度範囲の幅が2〜4℃と狭い欠点があり、透光・透明性や遮光・白濁性を利用して画像を形成する際の温度制御に難があった。
この点に考慮して、本発明者等は特開平2−1363号公報および特開平3−2089号公報に、高級脂肪酸と脂肪族ジカルボン酸を混合して用いることにより、透明になる温度範囲を20℃前後まで広げ、画像を消去(透明化)することを容易にできることを明らかにした。
一方、記録装置の小型化や低価格化のために、消去用の特別な加熱手段を用いることなく一つのサーマルヘッドで画像の形成と消去の両方を行うオーバーライト記録が望まれている。サーマルヘッドでの加熱のように加熱時間がミリ秒単位となる場合には、上記のような従来の熱可逆記録媒体は、白濁画像を形成した後、室温より高い温度で長期間保存すると画像を消去(透明化)しにくくなり充分なコントラストが得られないという欠点があった。
すなわち図1に示すように、サーマルヘッドでのミリ秒単位の加熱時間では、白濁画像を形成した後、数十分以内に加熱し画像を消去する場合には、地肌まで透明化可能であり、かつ一定の消去可能なエネルギーの幅を有し画像を消去する際に周囲の環境温度などの影響を受けて印加エネルギーが多少変動しても余裕を持って消去可能であることを示している。ところが、白濁画像を形成した後、長期間保存し印字直後と同様の条件で画像を消去する場合には、地肌まで透明化できず、かつ透明化できるエネルギーの幅が狭くなってしまうという現象があった。
このような経時での消去性の低下は、感熱層中の樹脂母材の物性の変化が原因であると考えられる。高分子をガラス転移温度以上に加熱後急冷すると高分子固有の安定な状態に戻ることができず、ガラス転移温度より低い温度条件下で長時間かけて安定な状態に戻っていくという現象が知られている。この現象は一般にはエンタルピー緩和と呼ばれており、長時間かけて安定な状態に戻る際の物性の変化としては、ガラス転移温度の高温化や密度の増加などが挙げられている。この長期間保存でのガラス転移温度の高温化が消去性の低下を引き起こしていると考えられる。
この消去性の低下の解決手段として、特定の放射線硬化型樹脂を混合する方法(特開平8−72416号公報・・・特許文献1)や、感熱層中に反応性ポリマーを含有させる方法(特開平10−100547号公報・・・特許文献2)などが提案されている。
これらは従来の熱可逆記録媒体と比べると消去性が向上しているが、処理速度が早くなりサーマルヘッドの加熱時間が短くなると充分な消去性を得ることができず、ひいては充分なコントラストを得ることができなかった。
さらに、特開平8−72416号公報では樹脂母材と放射線硬化型樹脂を混合しているだけであり、樹脂母材の熱可塑性樹脂は架橋されていないため、繰り返し耐久性が劣るという問題があった。また、特開平10−100547号公報では紫外線照射によって架橋する場合には、1部混合されている反応性ポリマーだけが架橋するためやはり繰り返し耐久性が劣り、電子線照射によって架橋する場合には良好な繰り返し耐久性が得られるものの、大掛かりで高価格の設備が必要になるという欠点があった。
また、特開平3−227688号公報(特許文献3)には、繰り返し耐久性を向上するために塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体とイソシアネート化合物を用い樹脂を架橋することが提案されているが、剛直なイソシアネート化合物を用いているため耐久性は向上するものの、消去性は画像形成直後も長期間保存後も低下するという欠点があった。特開平6−32053号公報(特許文献4)には、樹脂母材としてガラス転移点が35℃以上のポリウレタンを用いることが提案されているが、消去性経時変化が大きく、繰り返し耐久性が劣るという欠点があった。
特開平8−72416号公報 特開平10−100547号公報 特開平3−227688号公報 特開平6−32053号公報
本発明の目的は、このような現状に鑑み、処理速度が速くなりサーマルヘッドでの加熱時間が短くなっても充分な消去性を有し、高コントラスト画像が得られる熱可逆記録媒体を提供することである。
本発明の他の目的は、高価な設備を導入することなく良好な繰り返し耐久性が得られる熱可逆記録媒体を提供することである。
本発明によれば、第一に、支持体上に樹脂母材および樹脂母材中に分散された有機低分子物質を主成分とし、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を設けた熱可逆記録媒体において、該樹脂母材として、ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂を鎖式イソシアネート化合物と環式イソシアネート化合物の混合物を用い架橋して用いることを特徴とする熱可逆記録媒体が提供される。
第二に、鎖式イソシアネート化合物が、イソシアネート基当たりの分子量が250以上であることを特徴とする上記第一に記載の熱可逆記録媒体が提供される。
に、有機低分子物質が少なくとも1種の低融点有機低分子物質と少なくとも1種の高融点の有機低分子物質を混合し用いるものであって、用いられる有機低分子物質の内、最も低い融点と最も高い融点の温度差が30℃以上であることを特徴とする上記第一または第二に記載の熱可逆記録媒体が提供される。
に、熱可塑性樹脂のガラス転移温度が40℃以上120℃以下であることを特徴とする上記第一〜のいずれかに記載の熱可逆記録媒体が提供される。
また、本発明によれば、第に、下記の三条件(i)(ii)(iii)を満足することを特徴とする上記第一〜のいずれかに記載の熱可逆記録媒体が提供される。
(i)透明化上限温度が125℃以上
(ii)透明化上限温度と白濁化下限温度の温度差が20℃以下
(iii)透明化温度幅が30℃以上
に、有機低分子物質として、アミド結合、尿素結合、スルホニル結合の少なくとも一つとカルボキシル基を有する融点130℃以上の直鎖炭化水素含有化合物(A)の少なくとも一種と、該直鎖炭化水素含有化合物(A)の融点より30℃以上低い融点の直鎖炭化水素含有化合物(B)の少なくとも一種とを混合して用いることを特徴とする上記第一〜のいずれかに記載の熱可逆記録媒体が提供される。
に、熱可逆記録媒体を構成する支持体の感熱層と反対側の表面上に接着剤層もしくは粘着剤層を設けてなることを特徴とする、ラベル用の上記第一〜のいずれかに記載の熱可逆記録媒体が提供される。
に、支持体が情報記憶部を有するカードであることを特徴とする上記第一〜のいずれかに記載の熱可逆記録媒体が提供される。
に、支持体が情報記憶部を有するカードであることを特徴とする上記第に記載の熱可逆記録媒体が提供される。
に、情報記憶部が磁気記録層、IC、光メモリから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする上記第または第に記載の熱可逆記録媒体が提供される。
第十に、下記(i)(ii)または(iii)を支持体とすることを特徴とする上記第一〜のいずれかに記載の熱可逆記録媒体が提供される。
(i)記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したカートリッジ
(ii)記憶情報が書換もしくは追記可能なディスク
(iii)記憶情報が書換可能なテープカセット
第十に、記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したカートリッジ上に、上記第に記載のラベル用の熱可逆記録媒体を貼着したことを特徴とする可逆表示付ディスクカートリッジが提供される。
第十に、記憶情報が書換もしくは追記可能なディスク上に、上記第に記載のラベル用の熱可逆記録媒体を貼着したことを特徴とする可逆表示付ディスクが提供される。
第十に、記憶情報が書換可能なテープカセット上に、上記第に記載のラベル用の熱可逆記録媒体を貼着したことを特徴とする可逆表示付テープカセットが提供される。
第十に、少なくとも一部に印刷によって画像を形成することを特徴とする上記第一〜十のいずれかに記載の熱可逆記録媒体、ラベル、カード、ディスクカートリッジ、ディスクまたはテープカセットが提供される。
第十に、上記第一〜十のいずれかに記載の熱可逆記録媒体、ラベル、カード、ディスクカートリッジ、ディスクまたはテープカセットを用い、加熱により画像の記録と消去を行うことを特徴とする画像処理方法が提供される。
第十に、サーマルヘッドを用いて記録および/または消去を行なうことを特徴とする上記第十に記載の画像処理方法が提供される。
第十に、サーマルヘッドを用い、記録画像をオーバーライトし、該画像の消去と新しい画像の記録を行うことを特徴とする上記第十または第十に記載の画像処理方法が提供される。
十九に、セラミックヒータを用い画像を消去することを特徴とする、上記第十または第十に記載の画像処理方法が提供される。
本発明の熱可逆記録媒体は、樹脂母材に特定のイソシアネート化合物を用いて架橋したものを用いることにより、処理速度が早くなりサーマルヘッド消去のように加熱時間が短くても十分な消去が行える。さらにこの熱可逆記録媒体はラベル、カードの形態として使用でき、またディスク、ディスクカートリッジ、テープカセットなどに貼着して使用することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の熱可逆記録媒体は、前記のごとき透明度変化(透明状態、白濁不透明状態)を利用するものであるが、この透明状態と白濁不透明状態との違いは次のように推測される。
すなわち、(i)透明の場合には樹脂母材中に分散された有機低分子物質の粒子と樹脂母材は隙間なく密着しており、また粒子部内にも空隙はなく、片側から入射した光は散乱されることなく反対側に透過するため透明に見えること、また、(ii)白濁の場合には有機低分子物質の粒子は有機低分子物質の微細な結晶が集合した多結晶で構成され、結晶の界面もしくは粒子と樹脂母材の界面に隙間ができ、片側から入射した光は空隙と結晶、空隙と樹脂の界面で屈折、反射し、散乱されるため白く見えること、等に由来している。
図2は、本発明の熱可逆記録媒体の1例における温度−透明度変化を判り易く説明するものであり、図2において、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散された有機低分子物質とを主成分とする感熱層は、例えばT以下の常温で白濁不透明状態にある。これを加熱していくと温度Tから徐々に透明になり始め、温度T〜Tに加熱すると透明となり、この状態で再びT以下の常温に戻しても透明のままである。これは温度T付近から樹脂が軟化し始め、軟化が進むにつれ、樹脂が例えば収縮し樹脂と有機低分子物質粒子との界面若しくは粒子内の空隙を減少させるため、徐々に透明度が上がり、温度T〜Tでは有機低分子物質が半溶融状態となり、残った空隙を溶融した有機低分子物質が埋めることにより透明となり、種結晶が残ったまま冷却されることにより、比較的高温で結晶化し、その際樹脂がまだ軟化状態のため、結晶化にともなう粒子の体積変化に樹脂が追随するため、空隙ができず透明状態が維持されるためと考えられる。
さらにT以上の温度に加熱すると、最大透明度と最大不透明度との中間の半透明状態になる。次に、この温度を下げていくと、再び透明状態をとることなく最初の白濁不透明状態に戻る。これは温度T以上で有機低分子物質が完全に溶融した後、過冷却状態となり、Tより少し高い温度で結晶化し、その際、樹脂が結晶化にともなう体積変化に追随できず、空隙が発生するためであると思われる。ただし、図2に示した温度−透明度変化曲線は代表的な例を示しただけであり、材料を変えることにより各状態の透明度等はその材料に応じて変化が生じることがある。
ここで透明化開始温度変化と、透明化温度幅変化率について定義する。
白濁化された記録媒体で温度を変えて加熱し、透明になる温度を調べる。記録媒体の加熱には熱傾斜試験機(東洋精機社製HG−100)を用い、加熱時間を0.1秒とし、加熱時の圧力は約9.8×10Paとし、加熱温度は、加熱しても白さが変化しない低温度から2℃の等温度間隔で透明化する温度まで加熱する。次に透明化した温度の低温から2〜5℃の等温度間隔で十分に白濁する温度まで加熱する。この時熱ブロックヘの記録媒体の粘着を防ぐため、ポリイミドやポリアミドの薄い(10μm以下)フィルムを上にのせてもよい。そのように加熱した後、常温に冷却し、マクベスRD−914反射濃度計を用い、各温度で加熱した部分の濃度を測定し、横軸を熱傾斜試験機の設定温度、縦軸を反射濃度としたグラフを作成する。記録媒体が透明な支持体を用いている場合には、光を吸収するシートか、Alなどの金属を蒸着した光を正反射するシートを記録媒体の背面に敷いて濃度を測定する。グラフは各温度毎の濃度値をプロットした後、プロットした隣接点同士を直線で結ぶことにより完成され、図13のようになる。
これらのデータは、感熱層と支持体を合わせた記録媒体の厚みや材質によっても影響を受ける。記録媒体の厚みは300μm以下であれば厚みの影響は受けず、ほぼ同じデータが得られるが、それ以上の厚みの場合は、支持体側を削ったり、剥がしたりして厚みを300μm以下にするか、厚みの厚い分を換算すればよい。材質はポリマー主体ならば何でもよいが、金属などの場合は換算することが必要である。
このグラフから動的透明化開始温度、動的透明化終了温度を読み取り計算してゆく。最初にこのグラフの中で最大濃度値を読み取る。次にy=0.7×最大濃度値の線を引き、この線より高濃度のプロット点を選択する。このプロット点の数は5〜20点が好ましく、これが少ないと、この後の計算結果が不確かなものとなる。プロット点の数が少ない場合には、前述の熱傾斜試験機での加熱の温度間隔を狭くし、数を増やすことが必要である。選択されたプロット点のうち、濃度値の大きいもの、濃度値の小さいものを各々同数だけ除外し、残ったものの濃度値を平均したものを平均透明濃度(Dtavd)とする。濃度値の大、小を除外する割合は選択されたプロット点のうち、各々10〜30%、好ましくは15〜25%である。このように濃度値が大きいものと小さいものを除外することにより、記録媒体の透明濃度の正確な値が算出できる。
次に、動的透明化下限濃度(Dtld)を次の数式(I)式により算出する。
Figure 0004180596
ここでDmは最大白濁濃度であり、温度を上げていって、目視で十分に白濁する温度まで温度を上げたときの白濁濃度のうちもっとも白濁化した濃度で定義する。また動的透明化下限濃度(Dtld)はこの濃度以上であれば目視でほぼ透明に見える濃度を表わす。
さらに、グラフ上にy=Dtldの線を引き、濃度温度曲線との交点の温度を求める。この交点のうち、低温側を動的透明化開始温度(Ttsd)、高温側を動的透明化終了温度(Tted)とする。透明化温度幅(dTwd)は数式(II)により求められる。
Figure 0004180596
白濁画像の形成は例えば十分に白濁する温度まで加熱したホットプレートに記録媒体を約10秒押し当て加熱した後、常温に戻るまで冷却し白濁化する。この白濁画像を数十分以内に上記のように熱傾斜試験機を用いて求めたTtsdが画像形成直後の動的透明化開始温度(Ttsd)であり、dTwdが画像形成直後の動的透明化温度幅(dTwd)になる。
つぎに長期間保存後の動的透明化開始温度と長期間保存後の動的透明化温度幅について説明する。
長期間保存後の記録媒体は、白濁化した記録媒体を35℃の環境下に1週間保存した後、画像形成直後の記録媒体で温度を変えて加熱し、透明になる温度を調べた時と同様に熱傾斜試験機を用い同条件で低温度から等温度間隔で温度を変えて十分に白濁する温度まで加熱する。そして画像形成直後の求めたグラフ上のy=Dtldの線と、濃度温度曲線との交点の温度を求める。この交点のうち、低温側を長期間保存後の動的透明化開始温度(Ttsd’)、高温側を長期間保存後の動的透明化終了温度(Tted’)とする。長期間保存後の動的透明化温度幅(dTwd’)は数式(III)により求められる。
Figure 0004180596
このようにして求められたTtsd’が長期間保存後の動的透明化開始温度であり、dTwd’が長期間保存後の動的透明化温度幅になる。
以上から経時透明化開始温度変化(dTts)と透明化温度幅変化率(dTw)を次のように定義する。
Figure 0004180596
Figure 0004180596
経時透明化開始温度変化(dTts)は5℃以下になることが必要であり、2℃以下がさらに好ましい。それ以上になるとサーマルヘッドなどの短時間加熱の消去では画像が消えにくくなるという問題を生じる。また経時透明化開始温度変化(dTts)は−5℃以上である事が好ましく、−2℃以上がさらに好ましい。それ以下であると高温保存で画像が消えやすくなるという問題を生じる。
透明化温度幅変化率(dTw)は90%以上が必要であり、95%以上がさらに好ましい。それ以下になるとサーマルヘッドなどの短時間加熱の消去では画像が消えにくくなるという問題を生じる。また透明化温度幅変化率(dTw)は120%以下が好ましく、115%以下がさらに好ましく、110%以下が特に好ましく、105%以下がより好ましい。それ以上になると画像形成ためサーマルヘッドなどでの印字感度が変わってしまうという問題を生じる。
上記の経時透明化開始温度変化(dTts)および透明化温度幅変化率(dTw)は感熱層中の樹脂母材の物性変化を別の観点から捉えたものである。「従来の技術」の項で述べたように長期間保存での消去性の変化は樹脂のガラス転移温度の変化によるものと考えられる。通常、ガラス転移温度はDSCやDMSなどの機器を用いて測定されるが、支持体上に塗工した記録媒体の状態では正確なデータを得るのが困難である。本発明の熱可逆記録媒体では、図2で説明した温度−透明度変化のグラフの中で白濁状態が透明化し始める温度Tがガラス転移温度を示しているため、熱傾斜試験機で加熱され定義される動的透明化開始温度(Ttsd)はガラス転移温度に対応しており、経時透明化開始温度変化(dTts)はガラス転移温度の経時変化を捉えていることになる。
また、熱傾斜試験機で加熱された透明状態から白濁状態に変化し始める温度(動的透明化終了温度:Tted)は感熱層中の高融点長鎖低分子が溶融する温度を示しており、透明化温度幅は樹脂のガラス転移温度から高融点長鎖低分子の融点までの幅を示しており、透明化温度幅変化率(dTw)はガラス転移温度から高融点長鎖低分子の融点までの幅の変化を捉えていることになる。
これらの如き経時透明化開始温度変化(dTts)や透明化温度幅変化率(dTw)を向上させた熱可逆記録媒体を作成するポイントは、柔軟な分子構造を樹脂母材中に組み入れることであり、より具体的には、樹脂と架橋剤の組み合わせおよび用いる樹脂がポイントになる。すなわち、柔軟な構造を有する架橋剤と熱可塑性樹脂の組み合わせもしくは柔軟な構造を組み込んだ樹脂によって達成される。樹脂母材中に柔軟な構造を組み入れることによって長期間放置しても分子同士が凝集しにくくなり、エンタルピー緩和が少なくなり、ガラス転移温度の変化が低減し、経時変化が少なくなるものと考えられる。また、該樹脂として、架橋剤と反応する官能基を有する樹脂を用いて該樹脂と架橋剤を反応させ該樹脂を架橋することによって熱可逆記録媒体の繰り返し耐久性を向上させることが可能になる。
架橋の方式としては、熱や紫外線や電子線によるものが一般的であるが、これらの中でも電子線は設備が高価であるため熱や紫外線によるものが好ましい。熱架橋の場合は、紫外線の場合より設備が安価であり比較的低い温度であっても1週間から1ヶ月程度の長期間保存することによって架橋が進むものもあるため、さらに好ましい。
樹脂と架橋剤の組合せの代表例としては、ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂とイソシアネート化合物の組み合わせと、アクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する熱可塑性樹脂とアクリルもしくはメタクリル系モノマーの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。
ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂とイソシアネート化合物の組み合わせの場合には、イソシアネート化合物は鎖式イソシアネート化合物と環式イソシアネート化合物を混合して用いることが好ましい。鎖式イソシアネート化合物のみを用いた場合には、架橋された樹脂は通常柔軟になり消去性は向上するが、感熱層が柔らかすぎると繰り返し耐久性や画像耐熱性が低下するという欠点がある。逆に、環式イソシアネート化合物のみを用いた場合には、架橋された樹脂は剛直になり繰り返し耐久性や画像耐熱性は向上するが、消去性が低下するという欠点がある。鎖式イソシアネート化合物と環式イソシアネート化合物を混合して用いることにより、消去性と耐久性、耐熱性を両立させることが可能になる。
鎖式イソシアネート化合物と環式イソシアネート化合物の混合比(重量割合)は、90:10〜10:90であることが好ましく、90:10〜30:70がさらに好ましく、80:20〜30:70が特に好ましい。鎖式イソシアネート化合物が多いほど消去率や最大消去傾斜が向上しひいてはコントラストの向上が可能になる。
鎖式イソシアネート化合物としては、例えばトリオールなどの水酸基を有する鎖式化合物とヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系のイソシアネートを直接もしくは単数または複数のエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを介して反応させたものである。鎖式イソシアネート化合物の分子量は500以上が好ましく、700以上がさらに好ましく、1000以上が特に好ましく、また、5000以下が好ましく、4000以下がさらに好ましく、3000以下が特に好ましい。分子量が小さすぎると架橋された塗膜が柔軟な構造をとりにくくなるため消去性が低下し、分子量が大きすぎると分子が動きにくくなるため架橋度が低下し耐久性が低下する。
1つのイソシアネート基当たりの分子量は250以上が好ましく、300以上がさらに好ましく、400以上が特に好ましく、また、2000以下が好ましく、1500以下がさらに好ましく、1000以下が特に好ましい。1つのイソシアネート基当たりの分子量が小さすぎると架橋された塗膜が柔軟な格造をとりにくくなるため消去性が低下し、分子量が大きすぎると分子が動きにくくなるため架橋度が低下し耐久性が低下する。
鎖式イソシアネート化合物の具体例としては、下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
Figure 0004180596
(L,m,n:1〜10)
Figure 0004180596
環式イソシアネート化合物とは、ベンゼン環もしくはイソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物である。この中でもイソシアヌレート環を有するタイプは、黄変がないため好適に用いられる。環式イソシアネート化合物も環状構造以外にアルキレン鎖などの鎖状構造を有することが好ましい。環式イソシアネート化合物の分子量は、100以上が好ましく、200以上がさらに好ましく、300以上が特に好ましく、また、1000未満が好ましく、700未満がさらに好ましい。分子量が小さすぎると塗膜形成時の加熱によって蒸発して塗膜が架橋できなくなり耐久性が低下する。分子量が大きすぎると剛直な構造が形成できなくなり耐久性が低下する。
環式イソシアネート化合物の具体例としては、下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
Figure 0004180596
鎖式イソシアネート化合物と環式イソシアネート化合物の混合物は上記の材料を混合しても良いし、混合された商品を用いても良い。混合物の商品としては、例えば、日本ポリウレタン社製「コロネート 2298−90T」([化1]の化合物と[化3]の化合物との混合物:混合重量比7/3)などがあるが、これらに限定されるものではない。
イソシアネート化合物と共に用いるヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、40℃以上が好ましく、50℃以上がさらに好ましく、60℃以上が特に好ましく、また、120℃以下が好ましく、100℃以下がさらに好ましい。ガラス転移温度が低すぎると画像耐熱性が低下し、高すぎると消去性が低下する。
このヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル系、ポリカーボネート系、ポリウレタン系やそれらの共重合体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂の具体例としては、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−アクリレート−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体などが挙げられる。また、ヒドロキシル基に加えてスルホン酸基などを有する塩化ビニル系樹脂なども使用可能であり、具体的な材料としては日本ゼオン社から商品化されているMR−110、MR−104、MR−112、MR−113などが挙げられる。スルホン酸などの極性が強い官能基を有する樹脂は、コントラストの向上が可能であるため、特に好ましく用いられる。
これらの樹脂100に対してイソシアネート化合物の混合重量比は、1以上が好ましく、3以上がさらに好ましく、また、50以下が好ましく、40以下がさらに好ましい。イソシアネート化合物が少なすぎると耐久性が劣り、多すぎると透明度が低下する。
また、これらの樹脂のヒドロキシル基に対してイソシアネート化合物のイソシアネート基は、0.05当量以上が好ましく、0.1当量以上がさらに好ましく、0.2当量以上が特に好ましく、また、2当量以下が好ましく、1当量以下がさらに好ましく、0.8当量以下が特に好ましい。この当量が少なすぎると耐久性が劣り、多すぎると透明度が低下する。
アクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する熱可塑性樹脂とアクリルもしくはメタクリル系モノマーの組み合わせの場合には、架橋させる方法として2つの方法がある。一つは、有機過酸化物を混合して加熱することによってラジカルを発生させて樹脂のアクリロイル基もしくはメタクリロイル基とモノマーを反応させ樹脂を架橋させる方法であり、もう一つは光重合開始剤を混合して紫外線を照射することによってラジカルを発生させて樹脂のアクリロイル基もしくはメタクリロイル基とモノマーを反応させ樹脂を架橋する方法である。両者のうち、有機過酸化物を用いる方法は熱により架橋が可能であり、前述のように高価な設備が不必要であるため、より好ましい。
ここで用いられるアクリルもしくはメタクリル系モノマーとしては、一般的に紫外線硬化や電子線硬化用樹脂として用いられる官能性モノマーやオリゴマーを用いることができるが、柔軟な構造を有するものが好ましい。すなわち、脂肪族系が好ましく、芳香族系でも鎖式構造を有するものが好ましく、また、3官能性以上の多官能性モノマーより単官能性乃至2官能性のモノマーが好ましい。具体例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
単官能性モノマーの例:メタクリル酸(MMA)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(HPMA)、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMMA)、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩(DMCMA)、メタクリル酸ジエチルアミノエチル(DEMA)、メタクリル酸グリシジル(GMA)、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル(THFMA)、メタクリル酸アリル(AMA)、ジメタクリル酸エチレングリコール(EDMA)、ジメタクリル酸トリエチレングリコール(3EDMA)、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール(4EDMA)、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール(BDMA)、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール(HXMA)、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン(TMPMA)、メタクリル酸2−エトキシエチル(ETMA)、2−エチルヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エトキシエトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、酢酸ビニル、
二官能性モノマーの例:1,4−ブタンジオールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA.EO付加物ジアクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ネオペンチルグリコールのプロピレンオキサイド2モル付加のジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸とネオペンチルグリコールのエステルのジアクリレート、2,2−ビス(4−アグリロキシ・ジエトキジフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート、
多官能性モノマーの例:トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド3モル付加物のトリアクリレート、グリセリルプロポキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトール・ポリアクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のポリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロピントリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールのテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロピオン酸ジぺンタエリスリトールのペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、DPHAのε−カプロラクトン付加物、
アクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する熱可塑性樹脂100に対してアクリルもしくはメタクリル系モノマーの混合重量比は、1以上が好ましく、3以上がさらに好ましく、5以上が特に好ましく、また、70以下が好ましく、50以下がさらに好ましい。混合量が少なすぎると繰り返し耐久性が低下し、多すぎると透明性が低下するという欠点がある。
また、これらの熱可塑性樹脂のアクリロイル基もしくはメタクリロイル基に対して、アクリルもしくはメタクリル系モノマーのアクリロイル基もしくはメタクリロイル基は、0.02当量以上が好ましく、0.05当量以上がさらに好ましく、また、2当量以下が好ましく、1当量以下がさらに好ましく、0.8当量以下が特に好ましい。この当量が少なすぎると繰り返し耐久性が低下し、多すぎると透明性が低下するという欠点がある。
アクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、40℃以上が好ましく、50℃以上がさらに好ましく、60℃以上が特に好ましく、また、120℃以下が好ましく、100℃以下がさらに好ましい。ガラス転移温度が低すぎると画像耐熱性が低下し、高すぎると消去性が低下する。
このアクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリカーボネート系やそれらの共重合体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する熱可塑性樹脂の具体例としては、前述のヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂のヒドロキシル基にメタクリロイル基もしくはアクリロイル基を有するイソシアネート化合物のイソシアネート基を反応させたグラフト共重合体などがある。ここで用いられるヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂の例としては、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−アクリレート−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート共重合体などが挙げられる。また、ここで用いられるメタクリロイル基もしくはアクリロイル基を有するイソシアネート化合物の例としては、メタクロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられるが、これに限定されるものではい。
有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートなどが用いられる。
光重合開始剤は通常の紫外線硬化樹脂に使用される材料の中から選択される。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上混合して使用される。添加量としては架橋剤1重量部に対して0.005〜1.0重量部が好ましく、更に好ましくは0.01〜0.5重量部である。さらに、芳香族系の第3級アミンや脂肪族アミン系などの光重合促進剤を添加しても良い。これらの光重合促進剤は単独で又は2種以上混合して使用される。添加量としては光重合開始剤1重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜3重量部である。
参考までに、本発明で用いられる柔軟な構造を組み込んだ樹脂の代表例としては、ポリカーボネートをベースとしたウレタン樹脂などがあるがこれらに限定されるものではない。ベースとなるポリカーボネートの具体例としては、下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。

Figure 0004180596
ポリカーボネートをベースとしたウレタン樹脂の市販されている商品としては、例えば、日本ポリウレタン社製「ニッポラン3151」などがあるが、これらに限定されるものではない。
消去率や最大消去傾斜を向上させた熱可逆記録媒体を作成するもう一つのポイントは、異なる融点を有する有機低分子物質を混合して用いることである。すなわち、融点の異なる有機低分子物質を複数用いることである。用いられる有機低分子物質の内、最も低い融点と最も高い融点の温度差は30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがさらに好ましく、50℃以上であることが特に好ましく、60℃以上であることがより好ましい。この温度差が大きいほど消去性が向上する。
また、本発明の熱可逆記録媒体は下記の三条件を満足することが好ましい。
(1)透明化上限温度が125℃以上
(2)透明化上限温度と白濁化下限温度の温度差が20℃以下
(3)透明化温度幅が30℃以上
透明化上限温度(Ttu)、白濁化下限温度(Tsl)、透明化上限温度と白濁化下限温度の温度差(ΔTts)、透明化開始温度(Tta)、透明化温度幅(ΔTw)は下記のとおり決められる。
まず、白濁化された熱可逆記録媒体を用意する。透明化された熱可逆記録媒体や十分に白濁されていない熱可逆記録媒体を用いるには、十分に加熱したホットプレートに媒体を押しあて加熱することによって、事前に熱可逆記録媒体を白濁させる。加熱する時間は10秒〜30秒程度でよい。加熱する温度が白濁化するために十分な温度であることを確認するのは、その温度よりやや高い温度(例えば10℃高い温度)で再度加熱してみればよい。白濁度が両者で変わらなければ最初の加熱温度が白濁化するために十分に高い温度であったことになる。やや高い温度で加熱した方が白濁度が高くなっていれば、最初の温度ではまだ温度が低かったことになり、加熱温度を上げて再度同じことを繰リ返せばよい。
次に、この白濁化された熱可逆記録媒体を温度を変えて加熱し、透明になる温度を調べる。熱可逆記録媒体の加熱には熱傾斜試験機(東洋精機社製HG−100)を用いる。この熱傾斜試験機は5つの加熱ブロックを持ち、各ブロックは個別に温度を設定でき、加熱時間、圧力をコントロールすることも可能であり、設定された条件で、一度に5つの異なる温度で熱可逆記録媒体を加熱することができる。具体的には、加熱時間を1秒とし、加熱時の圧力は約2.5kg/cmとし、加熱温度は、加熱しても白さが変化しない低温度から1〜5℃の等温度間隔で十分に白濁する温度まで加熱する。熱ブロックへの熱可逆記録媒体の粘着を防ぐため、ポリイミドやポリアミドの薄い(10μm以下)フィルムを上にのせてもよい。
そのように加熱した後、常温に冷却し、マクベスRD−914反射濃度計を用い、各温度で加熱した部分の濃度を測定し、図3のように横軸を熱傾斜試験機の設定温度、縦軸を反射濃度としたグラフを作成する。熱可逆記録媒体が透明な支持体を用いている場合には、光を吸収するシートか、光を正反射するシートを熱可逆記録媒体の背面に敷いて濃度を測定する。グラフは各温度毎の濃度値をプロットした後、プロットした隣接点同士を直線で結ぶことにより完成される。作成されたグラフは通常図3のように台形状となる。
これらのデータは、感熱層と支持体を合わせた記録媒体の厚みや材質によっても影響を受ける。熱可塑記録媒体の厚みは300μm以下であれば厚みの影響は受けず、ほぼ同じデータが得られるが、それ以上の厚みの場合は、支持体側を削ったり、剥がしたりして厚みを300μm以下にするか、厚みの厚い分を換算すればよい。材質はポリマー主体ならば何でもよいが、金属などの場合は換算することが必要である。
このグラフから、前記の透明化上限温度や白濁化下限温度等を読み取り計算してゆく。最初にこのグラフの中で量大濃度値(Dmax)を読み取る。次にy=0.7×Dmaxの線を引き、この線より高濃度のプロット点を選択する。このプロット点の数は5〜20点が好ましい。プロット点が少ないと、この後の計算結果が不確かなものとなる。プロット点の数が少ない場合には、前述の熱傾斜試験機での加熱の温度間隔を狭くし、数を増やすことが必要である。選択されたプロット点のうち、濃度値の大きいもの、濃度値の小さいものを各々同数だけ除外し、残ったものの濃度値を平均したものを平均透明濃度(Dtav)とする。濃度値の大、小を除外する割合は選択されたプロット点のうち、各々10〜30%、好ましくは15〜25%である。このように濃度値が大きいものと小さいものを除外することにより、記録媒体の透明濃度の正確な値が算出できる。
次に、透明化下限濃度(Dtm)を次の数式(VI)式により算出する。
Figure 0004180596
ここでDminは最大白濁濃度であり、温度を上げていって、隣接した3点のプロット点が濃度値0.3以内になったとき、その3点の濃度の平均値から算出される。Dtmはこの濃度以上であれば目視でほぼ透明に見える濃度を表わす。
さらに、グラフ上にy=Dtmの線を引き、濃度−温度曲線との交点の温度を求める。この交点のうち、低温側を透明化下限温度(Ttl)、高温側を透明化上限温度(Ttu)とする。透明化温度幅(ΔTw)は数式(VII)により求められる。
Figure 0004180596
また、白濁化上限濃度(Ds)は数式(VIII)によって算出される。
Figure 0004180596
グラフ上にy=Dsの線を引き、濃度−温度曲線の透明から白濁へと変化する部分との交点の温度を白濁化下限温度(Tsl)とする。透明化上限温度と白濁化下限温度の差(ΔTts)は数(IX)で求められる。
Figure 0004180596
透明化開始濃度(Dta)は次の数式(X)で求められる。
Figure 0004180596
透明化開始温度(Tta)は、図3に示されるようにy=Dtaとグラフの交点から求められる。
透明化上限温度(Ttu)は、125℃以上であることが好ましい。Ttuが高温になることにより、画像耐久性を低下させることなく、透明化温度幅の拡大が可能となる。透明化上限温度(Ttu)は130℃以上が好ましく、135℃以上が更に好ましく、140℃以上が特に好ましい。この温度が高くなるほど印字感度が向上する。また、透明化上限温度(Ttu)は190℃以下が好ましく、180℃以下が更に好ましく、170℃以下が特に好ましい。この温度が低いほど印字感度が向上する。
透明化上限温度と白濁化下限温度の差(ΔTts)は20℃以下であることが好ましい。ΔTtsがこれより大きくなると、白濁になる温度が必要以上に高くなるため、白濁画像を形成する際、非常に高いエネルギーが必要となり、画像の記録と消去を繰り返すと媒体表面に傷がついたり、画像の白濁度が低下してしまう。ΔTtsは15℃以下が好ましく、10℃以下が更に好ましい。
透明化開始温度(Tta)は、95℃未満であることが好ましい。90℃以下がさらに好ましく、85℃以下が特に好ましく、また、70℃以上が好ましく、75℃以上が特に好ましい。この温度が低いと消去性が向上し、高いと画像耐熱性が向上する。
透明化温度幅(ΔTw)は30℃以上であることが好ましい。ΔTwがこれより小さくなると消去性が低下する。透明化温度幅(ΔTw)は40℃以上がより好ましく、45℃以上がさらに好ましく、また、50℃以上が特に好ましい。この温度幅が広い方が消去性が向上する。またΔTwは100℃以下が好ましく、90℃以下がさらに好ましく、80℃以下が特に好ましい。特に透明化温度幅(ΔTw)がより広くなると消去の際の処理速度が速くなっても均一な消去が可能になるという利点がある。この場合のΔTwは60℃以上が好ましく、70℃以上がさらに好ましい。
このような、熱可逆記録媒体を作成するには、用いる低分子物質がポイントとなる。すなわち、融点130℃以上の直鎖炭化水素含有化合物(A)と、該直鎖炭化水素含有化合物(A)の融点より30℃以上低い融点の直鎖炭化水素含有化合物(B)を混合して用いることにより達成される。
直鎖炭化水素含有化合物(A)の融点は135℃以上が好ましく、140℃以上が更に好ましく、また、200℃以下が好ましく、190℃以下が更に好ましく、170℃以下が特に好ましい。直鎖炭化水素含有化合物(A)と直鎖炭化水素含有化合物(B)の融点の差の下限は、30℃以上が好ましく、40℃以上が更に好ましく、50℃以上が特に好ましく、融点差が大きい方が消去性は向上する。融点差の上限は、100℃以下が好ましく、90℃以下がさらに好ましく、80℃以下が特に好ましい。融点差の上限が小さい方が印字感度が向上する。
直鎖炭化水素含有化合物(B)の融点の下限は50℃以上が好ましく、60℃以上が更に好ましく、70℃以上が特に好ましく、融点が高い方が耐熱性が向上する。また、融点の上限は110℃未満が好ましく、100℃未満が更に好ましく、90℃未満が特に好ましい。この温度が低い方が消去性が向上する。
更に、直鎖炭化水素含有化合物(B)の融点より融点が10℃以上高く、かつ直鎖炭化水素含有化合物(A)の融点より融点が10℃以上低い直鎖炭化水素含有化合物(C)を混合してもよい。直鎖炭化水素含有化合物(C)を混合することによりコントラストの向上をはかることができる。直鎖炭化水素含有化合物(C)の融点は80℃以上が好ましく、90℃以上が更に好ましく、100℃以上が特に好ましく、また、150℃未満が好ましく、140℃未満が更に好ましく、130℃未満が特に好ましい。
これらの直鎖炭化水素含有化合物(A)、(B)、(C)は、各々1種類でもよいし、複数用いてもよい。これらは長鎖構造を有することが好ましく、長鎖構造は炭素数4以上が好ましく、6以上が更に好ましく、8以上が特に好ましい。炭素数が多いと繰り返し耐久性が向上する。この長鎖構造は1つの分子中に1つでもよいし、2つ以上の複数でもよい。また、前記の長鎖構造の炭素数は、分子全体の合計で示している。つまり炭素数6の長鎖構造を2か所有する分子は炭素数12の長鎖構造を有すると定義する。
直鎖炭化水素含有化合物(A)と直鎖炭化水素含有化合物(B)を混合したときの両者を合わせた有機低分子物質全体に対する直鎖炭化水素含有化合物(A)の比率は3%以上が好ましく、5%以上が更に好ましく、10%以上が特に好ましく、この比率が大きい方が消去性が向上する。また、50%未満が好ましく、40%未満が更に好ましく、30%未満が特に好ましい。この比率が小さい方が透明度が向上する。直鎖炭化水素含有化合物(B)の比率は、30%以上が好ましく、また、50%以上が更に好ましく、60%以上が特に好ましい。この比率が小さい方が消去性が向上する。また、95%未満が好ましく、90%未満がさらに好ましく、85%未満が特に好ましい。この比率が大きい方が消去時の透明度が向上する。
これらに更に直鎖炭化水素含有化合物(C)を混合したときの有機低分子物質全体に対する直鎖炭化水素含有化合物(C)の比率は、3%以上が好ましく、5%以上が更に好ましく、10%以上が特に好ましく、この比率が大きい方が透明度が向上する。また、50%未満が好ましく、40%未満が更に好ましく、30%未満が特に好ましい。この比率が小さい方が消去性が向上する。
本発明の熱可逆記録媒体は、感熱層中の有機低分子物質の少なくとも一部として、アミド結合、尿素結合、スルホニル結合の少なくとも一つとカルボキシル基を有する融点130℃以上の直鎖炭化水素含有化合物(A)の少なくとも一種と該直鎖炭化水素含有化合物(A)の融点より30℃以上低い融点の直鎖炭化水素含有化合物(B)の少なくとも一種を混合して用いることが好ましい。アミド結合、尿素結合、スルホニル結合は同種のものが一つ乃至は二つ以上あっても良いし、異種のものが一つ乃至は二つ以上あっても良く、分子の末端でも中心部でも良い。また、カルボキシル基は一つでも二つ以上でも良く、分子の末端でも側鎖に位置しても良い。
直鎖炭化水素含有化合物(A)はアミド結合とカルボキシル基を有することが好ましい。アミド結合とカルボキシル基の少なくとも一方が複数であることが更に好ましく、アミド結合とカルボキシル基の両方が複数であることが特に好ましい。アミド結合とカルボキシル基を有する直鎖炭化水素含有化合物(A)の一般式の例を以下に挙げるが、これに限定されるものではない。
Figure 0004180596
(ここで、26≧n≧1、26≧m≧1、X、YはCONH又はNHCOを表し、ただしXとYは同時に同じ構造をとらない。)
2n+mは6以上が好ましく、8以上が更に好ましく、10以上が特に好ましい。
直鎖炭化水素含有化合物(A)は尿素結合とカルボキシル基を有することが好ましい。また、直鎖炭化水素含有化合物(A)はスルホニル結合とカルボキシル基を有することが好ましい。尿素結合とカルボキシル基を有する直鎖炭化水素含有化合物(A)の一般式とスルホニル結合とカルボキシル基を有する直鎖炭化水素含有化合物(A)の一般式の例を以下に挙げるが、これに限定されるものではない。
Figure 0004180596
(ここで、25≧n≧0、26≧m≧1、ZはNHCONH又はSOを表す。)
n+mは6以上が好ましく、8以上が更に好ましく、10以上が特に好ましい。
一般式(1)の材料の融点は、130℃以上が好ましく、135℃以上が更に好ましく、140℃以上が特に好ましく、この融点が高い方が消去性が向上する。また、200℃以下が好ましく、180℃以下が更に好ましく、170℃以下が特に好ましく、160℃以下が最も好ましい。この融点が低い方が熱感度が向上する。また、一般式(2)の材料の融点は、135℃以上が好ましく、140℃以上が更に好ましく、この融点が高い方が消去性が向上する。また、190℃以下が好ましく、170℃以下が更に好ましく、150℃以下が特に好ましい。この融点が低い方が熱感度が向上する。以下にそれぞれの材料の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004180596
Figure 0004180596
前記長鎖炭化水素含有化合物(B)は、上記の融点の範囲にあり、長鎖構造を有するものならば何でもよい。該長鎖構造の炭素数は8以上が好ましく、10以上が更に好ましく、12以上が特に好ましい。また、50以下が好ましく、40以下が更に好ましく、30以下が特に好ましい。
この長鎖炭化水素含有化合物(B)としては、アルカノール;アルカンジオール;ハロゲンアルカノール又はハロゲンアルカンジオール;アルキルアミン;アルカン;アルケン;アルキン;ハロゲンアルカン;ハロゲンアルケン;ハロゲンアルキン;シクロアルカン;シクロアルケン;シクロアルキン;飽和又は不飽和モノ又はジカルボン酸又はこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;飽和又は不飽和ハロゲン脂肪酸又はこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;アリルカルボン酸又はそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;ハロゲンアリルカルボン酸又はそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;チオアルコール;チオカルボン酸又はそれらのエステル、アミン又はアンモニウム塩:チオアルコールのカルボン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上混合して使用される。これらの化合物の炭素数は10〜60、好ましくは10〜38、特に10〜30が好ましい。エステル中のアルコール基部分は飽和していてもよく、飽和していなくてもよく、またハロゲン置換されていてもよい。いずれにしても有機低分子物質は分子中に酸素、窒素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1種、例えば−OH、−COOH、−CONH、−COOR、−NH、−NH、−S−、−S−S−、−O−、ハロゲン等を含む化合物であることが好ましい。
具体的には、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪酸エステル、高級アルキル基を有するケトン、二塩基酸エステル、多価アルコールジ脂肪酸エステル、脂肪酸モノアミド、次の一般式(3)で表わされる物質、一般式(4)で表わされる物質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004180596
(ここで、一般式(3)の物質の融点は130℃未満であり、26≧n≧0、26≧m≧0、ただしn+m≧10であり、XはNHCONH、SO、CONH、又は、NHCOを表す。)
Figure 0004180596
(ここで、一般式(4)の物質の融点は130℃未満であり、26≧n≧0、26≧m≧0、ただしn+m≧10である。)
以下にさらに具体的な例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
即ち、脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、例えば、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、べヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸等が挙げられる。
脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、ラウリン酸オクタデシル、ラウリン酸ドコシル、ミリスチン酸ドコシル、パルミチン酸ドデシル、パルミチン酸テトラデシル、パルミチン酸ペンタデシル、パルミチン酸ヘキサデシル、パルミチン酸オクタデシル、パルミチン酸トリアコンチル、パルミチン酸オクタデシル、パルミチン酸ドコシル、ステアリン酸ビニル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸ヘプタデシル、ステアリン酸オクタデシル、ステアリン酸ドコシル、ステアリン酸ヘキサコシル、ステアリン酸トリアコンチル、ベへン駿ドデシル、ベヘン酸オタタデシル、ベヘン酸ドコシル、リグノセリン酸トラコシル、メリシン酸ミリシル等が挙げられる。
高級アルキル基を有するケトンの具体例としては、例えば、8−ペンタデカノン、9−ヘプタデカノン、10−ノナデカノン、11−ヘンエイコサノン、12−トリコサノン、14−ヘプタコサノン、16−ヘントリアコンタノン、18−ペンタトリアコンタノン、22−トリテトラコンタノン、2−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、2−ヘプタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン等が挙げられる。
二塩基酸エステルとしては、モノエステル、ジエステルのいずれでもよく、下記一般式(5)で表わされるものである。
Figure 0004180596
(式中、R、R'は水素原子、又は炭素数1〜30のアルキル基を表わし、R、R'は同一であっても異なっていてもよいが、同時に水素原子である場合を除く。nは0〜40の整数を表わす)
上記一般式(5)で表わされる二塩基酸エステルにおいて、R、R'のアルキル基の炭素数は1〜22が好ましく、nは、1〜30が好ましく、2〜20が更に好ましい。また融点は40℃以上が好ましい。
具体的には、
コハク酸ジエステル
アジピン酸ジエステル
セバシン酸ジエステル
1−又は18−オクタデカメチレンジカルボン酸エステル
等が挙げられる。
本発明で用いる有機低分子物質の多価アルコールジ脂肪酸エステルとしては、下記の一般式(6)で表わされるものが挙げられる。
Figure 0004180596
(式中、nは2〜40、好ましくは3〜30、更に好ましくは4〜22の整数である。mは2〜40、好ましくは3〜30、更に好ましくは4〜22の整数である。)
具体的には以下のものが挙げられる。
1,3プロパンジオールジアルカン酸エステル
1,6ヘキサンジオールジアルカン酸エステル
1,10デカンジオールジアルカン酸エステル
1,18オクタデカンジオールジアルカン酸エステル
脂肪酸モノアミドの具体例としては、例えば次の一般式(7)で示されるものが挙げられる。
Figure 0004180596
(ここで、R1は炭素数1〜25の直鎖炭化水素鎖、Rは水素、炭素数1〜26の直鎖炭化水素鎖、またはメチロール基であり、R1、Rの少なくともどちらか一方が炭素数10以上の直鎖炭化水素鎖である。)
これらの例としては、ノナンアミド、デカンアミド、ウンデカンアミド、ドデカンアミド、トリデカンアミド、テトラデカンアミド、ヘキサデカンアミド、オクタデカンアミド、イコサンアミド、ドコサンアミド、トリコサンアミド、ヘキサコサンアミド、オクタコサンアミド等を挙げることができる。
また、前記一般式(3)、一般式(4)で表わされる物質の例としては次のものが挙げられる。
Figure 0004180596
Figure 0004180596
前記の直鎖炭化水素含有化合物(A)と直鎖炭化水素含有化合物(B)の他に、直鎖炭化水素含有化合物(B)の融点より10℃以上高い融点であり、かつ直鎖炭化水素含有化合物(A)より10℃以上低い融点を持つ有機低分子物質を1種又は2種以上混合してもよい。これらは前述の直鎖炭化水素含有化合物(B)の例の中から適宜選択される。
本発明の熱可逆記録媒体の感熱層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜20μmが更に好ましい。4〜15μmが特に好ましい。記録層が厚すぎると層内での熱の分布が発生し均一に透明化することが困難となる。また、感熱層が薄すぎると白濁度が低下し、コントラストが低くなる。なお、記録層中の脂肪酸の量を増加させ、また、感熱層中の樹脂を架橋することにより、白濁度を増すことができる。
なお、感熱層中の有機低分子物質と樹脂(架橋構造を有する樹脂)との割合は、重量比で2:1〜1:16程度が好ましく、1:2〜1:8が更に好ましく、1:2〜1:5が特に好ましく、1:2〜1:4がもっと好ましく、1:2.5〜1:4がそれ以上に好ましい。樹脂の比率がこれ以下になると、有機低分子物質を樹脂中に保持した膜に形成することが困難となり、またこれ以上になると、有機低分子物質の量が少ないため、不透明化が困難になる。
また、感熱層上には感熱層を保護するために保護層を設けることができる。感熱層上に積層する保護層(厚さ0.1〜5μm)材料としては、シリコーン系ゴム、シリコーン樹脂(特開昭63−221087号公報に記載)、ポリシロキサングラフトポリマー(特開昭63−317385号公報に記載)や紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹脂(特開平02−566号公報に記載)等が挙げられる。これらの中には、有機若しくは無機のフィラーを含有することができる。
更にまた、保護層形成液の溶剤やモノマー成分等から感熱層を保護するために、保護層と感熱層との間に中間層を設けることができる(特開平1−133781号公報に記載)。中間層の材料としては感熱層中の樹脂母材として挙げたものの他に下記のような熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、UV硬化樹脂、EB硬化樹脂が使用可能である。
即ち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド等が挙げられる。
中間層の厚さは0.1〜2μmくらいが好ましい。これ以下になると、保護効果が下がり、これ以上になると熱感度が低下する。
前記の3条件を満足する可逆表示可能な感熱層と情報記憶部の両方を同一のカードに設け、情報記憶部に記憶された情報の一部を感熱層に表示することにより、カード所有者等は特別な装置がなくてもカードを見るだけで情報を確認することができ、利便性が向上する。情報記憶部は必要な情報を記憶できるものなら何でもよいが、磁気記録、IC、非接触IC、光メモリが好ましい。
磁気記録層としては通常用いられる酸化鉄、バリウムフェライト等と塩ビ系やウレタン系或いはナイロン系樹脂等を用い、支持体に塗工形成されるか、または蒸着、スパッタリング等の方法により樹脂を用いず形成される。磁気記録部は支持体の感熱層の反対面に設けてもよいし、支持体と感熱層の間、感熱層上の一部に設けてもよい。
また、表示に用いる可逆感熱材料をバーコード、2次元コード等により記憶部に用いてもよい。これらの中では磁気記録、ICが更に好ましい。
本発明の熱可逆記録媒体では、支持体の感熱層形成面の反対面に接着剤層または粘着剤層を設けて熱可逆記録ラベルとすることができる。
接着剤層または粘着剤層の材料は一般的に使われているものが使用可能である。具体例としては、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコン系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。接着剤層または粘着剤層の材料はホットメルトタイプでも良い。
剥離紙を用いても良いし、無剥離紙タイプでも良い。
このように接着剤層または粘着剤層を設けることにより、感熱層の塗布が困難な磁気ストライプ付塩ビカードなどの厚手の基板の全面もしくは一部に貼ることができる。これにより磁気に記憶された情報の一部を表示することができる等、この記録媒体の利便性が向上する。このような接着剤層または粘着剤層を設けた熱可逆記録ラベルは、前述の磁気付塩ビカードだけでなく、ICカードや光カードなどの厚手カードにも適用できる。
また、これらの熱可逆記録ラベルはフロッピーディスク(登録商標)やMDやDVD−RAMなどの記録情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ上の表示ラベルの替わりとして用いることができる。図4に熱可逆記録ラベルをMDのディスクカートリッジ上に貼った例を示す。さらに、CD−RWなどのディスクカートリッジを用いないディスクの場合には、直接ディスクに熱可逆記録ラベルを貼ることもできる。それらの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更するなどの用途への応用が可能である。図5に熱可逆記録ラベルをCD−RW上に貼った例を示す。CR−Rなどの追記型ディスク上に熱可逆記録ラベルを貼って、CD−Rに追記した記憶情報の一部を書換え表示することも可能である。
図6は、AgInSbTe系の相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)上に熱可逆記録ラベルを形成した構成の例である。基本的な構成は、案内溝を有する基体上に第一誘電体層、光情報記憶層、第二誘電体層、反射放熱層、中間層が設けられ、基体の裏面にハードコート層を有する。さらに中間層上に熱可逆記録ラベルが貼付されている。誘電体層は必ずしも記録層の両側に設ける必要はないが、基体がポリカーボネート樹脂のように耐熱性が低い材料の場合には第一誘電体層を設けることが望ましい。
さらにまた、図7に示すようにビデオテープカセットの表示ラベルとして用いても良い。厚手カード、ディスクカートリッジやディスク上に熱可逆記録機能を設ける方法としては上述の熱可逆記録ラベルを貼る方法以外に、それらの上に感熱層を直接塗布する方法や、あらかじめ別の支持体上に感熱層を形成しておき、厚手カード、ディスクカートリッジやディスク上に感熱層を転写する方法などがある。転写する場合には、感熱層上にホットメルトタイプなどの接着層や粘着層を設けておいても良い。
厚手カード、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセットなどのように剛直なものの上に熱可逆記録ラベルを粘着したり、感熱層を設ける場合には、サーマルヘッドとの接触性を向上させ画像を均一に形成するために弾力があり、クッションとなる層もしくはシートを剛直な基体とラベルもしくは感熱層の間に設けることが好ましい。
本発明の熱可逆記録媒体が書換可能なバーコードを設けたものである場合は、感熱層の背面に光を正反射する層を設けることが好ましい。光を正反射する層を設けることにより、白濁部の白濁度が向上し、ひいてはコントラストが向上し、バーコードの読み取り精度を向上させることができる。光を正反射する層はAlなどの金属薄膜や金風蒸着層が好適に用いられる。
本発明の熱可逆記録媒体が、書換可能なバーコードと人間が目視で認識する画像、文字、数字などの両方を設けたものである場合には、反射率の異なる2種以上の部位からなるものとすることが好ましい。
すなわち、書換可能なバーコードの背面には、上述の光を反射する層を設け、人間が目視する部位の背面には光を吸収する層、つまり着色層を設けることが好ましい。というのは、人間が目視する場合には、例えば白濁状態の画像部と着色状態の非画像部とは光量差に加えて色調差があり、かつ、目視する角度によっては非画像部からの過度の反射光によるグレアがなくなるので可逆的可視像を目視し易くするが、一方、これを反射濃度計やバーコード読取り装置のような装置で読み取る場合には、通常、光を斜めから入射させ面に対し垂直方向にセンサーを置き読み取ることになり、これは、とりもなおさず、着色層により可視光の少なくとも一部が吸収されコントラストが低くなった結果を計測するに過ぎないためである。
従って、本発明の熱可逆感熱記録媒体における着色層は、可視光に対する反射率の異なる2種以上の部位からなり、かつ、その少なくとも一方の部位が可視光を吸収する層であり、他の少なくとも一部が可視光を反射する層からなるものとして、目視でも画像を認識しやすく、かつ、装置による測定でも高コントラストが得られるものすることができる。
例えば本発明の熱可逆記録媒体は図8aに示されるように、支持体(11)上に、可逆性感熱記録層(13)、保護層(14)を設けてなるフィルム、図8bに示されるように、支持体(11)上に、アルミ反射層(12)、可逆性感熱記録層(13)、保護層(14)を設けてなるフィルム、図8cに示されるように、支持体(11)上に、アルミ反射層(12)、可逆性感熱記録層(13)、保護層(14)を設け支持体(11)の裏面に磁気記録層(16)を設けてなるフィルムを、図9に示されるように、印刷表示部(23)を有するカード(21)に加工した形であることができる。
さらに、例えば図10aに示されるように、支持体(11)上に、アルミ反射層(12)、可逆性感熱記録層(13)、保護層(14)を設けてなるフィルムをカード状に加工し、ICチップを納める窪み部(23)を形成するとともにカード状に加工した形であることができる。この例においては、カード状の熱可逆記録媒体に書き換え記録部(24)がラベル加工されるとともに、熱可逆記録媒体の裏面側には所定筒所にICチップ埋め込み用窪み部(23)が形成されており、この窪み部(23)に、図10bに示されるようなウェハ(231)が組込まれて固定される。ウェハ(231)は、ウェハ基板(232)上に集積回路(233)が設けられると共に、この集積回路(233)に電気的に接続されている複数の接触端子(234)がウェハ基板(232)に設けられる。この接触端子(234)はウェハ基板(232)の裏面側に露出しており、専用のプリンタ(リーダライタ)がこの接触端子(234)に電気的に接触して所定の情報を読み出したり書き換えたりできるように構成されている。
この熱可逆記録カードの機能例を図11を参照しつつ説明する。
図11(a)は集積回路(233)を示す概略の構成ブロック図であり、図11(b)はRAMの記憶データの1例を示す構成ブロック図である。集積回路(233)は、例えばLSIで構成されており、その中には制御動作を所定の手順で実行することのできるCPU(235)と、CPU(235)の動作プログラムデータを格納するROM(236)と、必要なデータの書き込み及び読み出しができるRAM(237)を含む。さらに集積回路(233)は、入力信号を受けてCPU(235)に入力データを与えるとともにCPU(235)からの出力信号を受けて外部に出力する入出力インターフェース(238)と、図示していないが、パワーオンリセット回路、クロック発生回路、パルス分周回路(割込パルス発生回路)、アドレスデコーダ回路とを含む。CPU(235)は、パルス分周回路から定期的に与えられる割込パルスに応じて、割込制御ルーチンの動作を実行することが可能となる。また、アドレスデコード回路はCPU(235)からのアドレスデータをデコードし、ROM(236)、RAM(237)、入出力インターフェース(238)にそれぞれ信号を与える。入出力インターフェース(238)には、複数(図中では8個)の接触端子(234)が接続されており、前記の専用プリンタ(リーダライタ)からの所定データがこの接触端子(234)から入出力インターフェース(238)を介してCPU(235)に入力される。CPU(235)は、入力信号に応答して、かつROM(236)内に格納されたプログラムデータに従って、各動作を行い、かつ、所定のテータ、信号を入出力インターフェース(238)を介してカードリーダライタに出力する。
図11(b)に示されるように、RAM(237)は複数の記憶領域(239a)〜(239f)を含む。例えば領域(239a)にはカード番号が記憶され、(239b)には例えばカード所有者の氏名、住所、電話番号等のIDデータが記憶され、領域(239c)には例えば所有者の使用しうる残存有価価値又は有価物に相当する情報が記憶され、領域(239d)(239e)(239f)及び(239g)には使用済の有価価値又は有価物に相当する情報が記憶される。
上記の熱可逆記録媒体の画像の記録と消去の方法と装置について以下に述べる。
画像の記録はサーマルヘッド、レーザ等、熱可逆記録媒体を画像上に部分的に加熱可能である画像記録手段が用いられる。画像の消去は、ホットスタンプ、セラミックヒータ、ヒートローラ、熱風等や、サーマルヘッド、レーザ等の画像消去手段が用いられる。この中ではセラミックヒータが好ましく用いられる。セラミックヒータを用いることにより、装置が小型化でき、かつ安定した消去状態が得られ、コントラストのよい画像が得られる。セラミックヒータの設定温度は110℃以上が好ましく、112℃以上が更に好ましく、115℃以上が特に好ましい。
また、サーマルヘッドを用いることにより、更に小型化が可能となり、また、消費電力を低減することが可能であり、バッテリー駆動のハンディタイプの装置も可能となる。記録用と消去用を兼ねて一つのサーマルヘッドとすれば、更に小型化が可能となる。一つのサーマルヘッドで記録と消去を行なう場合、一度前の画像を全部消去した後、あらためて新しい画像を記録してもよいし、画像毎にエネルギーを変えて一度に前の画像を消去し、新しい画像を記録していくオーバーライト方式も可能である。オーバーライト方式では記録と消去を合わせた時間が少なくなり、記録のスピードアップにつながる。感熱層と情報記憶部を有するカードを用いる場合、上記の装置には情報記憶部の記億を読み取る手段と書き換える手段も含まれる。
図12には、本発明の熱可逆性記録装置の具体例を示す。
図12aは、本発明により面像の消去をセラミックヒータで、画像の形成をサーマルヘッドでそれぞれ行う場合の装置の概略例を示す。図12aの熱可逆性記録装置においては、最初、記録媒体の磁気記録層に記憶された情報を磁気ヘッドで読み取り、つぎにセラミックヒータで可逆性感熱層に記録された画像を加熱消去し、さらに、磁気ヘッドで読み取られた情報をもとにして、処理された新たな情報がサーマルヘッドにより、可逆性感熱層に記録される。その後、磁気気記録層の情報も新たな情報に書き替えられる。
すなわち、図12aの熱可逆性記録装置においては、感熱層の反対側に磁気記録層を設けた熱可逆記録媒体(1)は往復の矢印で図示されている搬送路に沿って搬送され、或いは搬送路に沿って装置内を逆方向に搬送される。熱可逆記録媒体(1)は、磁気ヘッド(34)と搬送ローラ(31)間で磁気記録層に磁気記録或いは記録消去され、セラミックヒータ(38)と搬送ローラ(40)間で像消去のため加熱処理され、サーマルヘッド(53)及び搬送ローラ(47)間で像形成され、その後、装置外に搬出される。先に説明したように、セラミックヒータ(38)の設定温度は110℃以上が好ましく、112℃以上が更に好ましく、115℃以上が特に好ましい。ただし磁気記録の書きかえはセラミックヒータによる画像消去の前であっても後であってもよい。また、所望により、セラミックヒータ(38)と搬送ローラ(40)間を通過後、又はサーマルヘッド(53)及び搬送ローラ(47)間を通過後、搬送路を逆方向に搬送され、セラミックヒータ(38)よる再度の熱処理、サーマルヘッド(53)による再度の印字処理を施すことができる。
図12bの熱可逆性記録装置においては、出入口(30)から挿入された熱可逆記録媒体(1)は一点破線で図示されている搬送路(50)に沿って進行し、或いは搬送路(50)に沿って装置内を逆方向に進行する。出入口(30)から挿入された熱可逆記録媒体(1)は、搬送ローラ(31)及びガイドローラ(32)により記録装置内を搬送され、搬送路(50)の所定位置に到達するとセンサ(33)により制御手段(34c)を介してその存在を認識され、磁気ヘッド(34)とプラテンローラ(35)間で磁気記録層に磁気記録或いは記録消去され、ガイドローラ(36)及び搬送ローラ(37)間を通過し、ガイドローラ(39)及び搬送ローラ(40)間を通過し、センサ(43)により、セラミックヒータ制御手段(38c)を介してその存在を認識して作動するセラミックーヒータ(38)とプラテンローラ(44)間で像消去のため加熱処理され、搬送ローラ(45)(46)(47)により搬送路(50)内を搬送され、所定位置にてセンサ(51)により、サーマルヘッド制御手段(53c)を介してその存在を認識して作動するサーマルヘッド(53)及びプラテンローラ(52)間で像形成され、搬送路(56a)から搬送ローラ(59)及びガイドローラ(60)により出口(61)を経て装置外に搬出される。
ここで、セラミックヒータ(38)の設定温度は、先に説明したように、110℃以上が好ましく、112℃以上が更に好ましく、115℃以上が特に好ましい。
また、所望により、搬送路切換手段(55a)を切り替えることにより搬送路(56b)に導き、熱可逆記録媒体(1)の押圧により入力するリミットスイッチ(57a)の作動により逆方向に動く搬送ベルト(58)によって、熱可逆記録媒体(1)を再度、サーマルヘッド(53)及びプラテンローラ(52)間で熱処理した後、搬送路切換手段(55b)を切り替えることにより通じる搬送路(49b)、リミットスイッチ(57b)、搬送ベルト(48)を介して順方向に搬送し、搬送路(56a)から搬送ローラ(59)及びガイドローラ(60)により出口(61)を経て装置外に搬出することができる。さらに、このような分岐した搬送路及び搬送切換手段は、セラミックヒータ(38)の両側に設けることもでき、その場合にはセンサ(43a)をプラテンローラ(44)と搬送ローラ(45)の間に設けることが望ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお、実施例中の「部」は重量部を表す。
(実施例1)
大日本インキ工業社製の磁気原反(メモリディック、DS−1711−1040:188μm厚の透明PETフィルムに磁気記録層及びセルフクリーニング層を塗工したもの)のPETフィルム側に約400Å厚のAlを真空蒸着した光反射層を設けた。その上に
塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体 10部
(電気化学工業社製、デンカビニール#1000P)
メチルエチルケトン 45部
トルエン 45部
よりなる溶液を塗布、加熱乾燥し、約0.5μm厚の接着層を設けた。
次に塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン社製、MR110)をテトラヒドロフランに溶解した固形分15%溶液50部に対し、HOOC(CH)NHCO(CH)CONH(CH)COOH 1.5部を加え、ガラスビン中に直径約2mmのセラミックビーズを入れてペイントシェーカー(浅田鉄工社製)を用い約48時間分散した分散液Aを作成した。
次に、
ベヘン酸(ミヨシ油脂社製、ベヘン酸95) 1.1部
エイコサン二酸(岡村製油社製、SL−20−90) 0.25部
塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン社製、MR110) 3.0部
テトラヒドロフラン 17.0部
o−キシレン 6.0部
よりなる溶解液Bを作成し、さらに
分散液A 7.8部
溶解液B 27.0部
イソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、2298−90T)
0.6部
よりなる感熱層液を作成し、前記の磁気層を有するPETフィルムの接着層上に塗布し加熱乾燥して約11μmの感熱層を設けた。さらにこの感熱層を60℃環境下72時間にて硬化させた。
この感熱層上に、
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の75%酢酸ブチル溶液 10部
(大日本インキ化学工業社製、ユニディック C7−157)
イソプロピルアルコール 10部
よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後、80W/cmの高圧水銀灯で紫外線を照射し硬化させ、約3μm厚のオーバーコート層を設け、熱可逆記録媒体を作成した。この後この熱可逆記録媒体をホットプレート上で150℃10秒間加熱処理し、感熱層の白濁化をさせた後、恒温槽で90℃1分間加熱処理し、感熱層を透明化して熱可逆記録媒体を作成した。
(実施例2)
東レ社製ポリエステルフィルム(ルミラー#125、125μm厚)上に約400Å厚のAlを真空蒸着して光反射層を設けた。その上に
塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体 10部
(電気化学工業社製、デンカビニール#1000P)
メチルエチルケトン 45部
トルエン 45部
よりなる溶液を塗布、加熱乾燥し、約0.5μm厚の接着層を設けた。この接着層上に実施例1の感熱層を作成し、実施例1と同様に硬化させ、またオーバーコート層を作成し、実施例1と同様に加熱処理して白濁化、さらに透明化して熱可逆記録媒体を作成した。この熱可逆記録媒体の支持体の感熱層面の裏面に、約5μm厚のアクリル系粘着剤層を設け、熱可逆記録ラベルを作成した。このラベルをCD−RW上に貼り合わせて可逆表示機能付きの光情報記録媒体を作製した。
上記のように作製した光情報記録媒体を用い、CD−RWドライブ(リコー社製 MP6200S)で記憶した情報の一部(年月日、時刻など)を、記録手段(サーマルヘッド)と消去手段(セラミックヒーター)を有する記録装置を用いて、サーマルヘッドの記録エネルギーをそれぞれの記録媒体の記録温度の変化に合わせて調整して感熱層へ表示記録し、可視化した。また、該ドライブを用い、光情報記録媒体の記憶層の情報を書き換え、記録装置により消去手段を用い、先の記録を消去し新たにサーマルヘッドで、書き換えた情報を感熱層に書き換え、表示記録した。さらに、この表示記録の書き換えを50回繰り返したが、記録および消去は可能であった。
(実施例3)
実施例2の熱可逆記録ラベルをミニディスク(MD)ディスクカートリッジ上に貼り付けた。MDに記憶された情報の一部(年月日、曲名など)を、記録手段(サーマルヘッド)と消去手段(セラミックヒーター)を有する記録装置を用いて、サーマルヘッドの記録エネルギーをそれぞれの媒体の記録温度の変化に合わせて調整して感熱層へ表示記録し、可視化した。さらに、この表示記録の書き換えを50回繰り返したが、記録および消去は可能であった。
(比較例1)
実施例1と同様に接着層を設けた大日本インキ工業社製磁気原反の接着層上に、
ヘキサデカン二酸(東京化成社製、試薬) 1部
ステアリルベヘネート(SIGMA社製:試薬) 5部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
(ユニオンカーバイト社製、VMCH) 12部
1,9−ノナンジオールアクリレート 4部
光重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュア184) 0.2部
光硬化性樹脂(東亜合成化学社製、S−2040) 26.7部
テトラヒドロフラン 140部
よりなる溶液を塗布、130℃で1分間乾燥し、80w/cmの高圧水銀灯で紫外線を照射し、厚さ約11μmの感熱層を形成した。この感熱層上に実施例1と同様にオーバーコート層を設け、熱可逆記録媒体を作成した。
(比較例2)
実施例1と同様に接着層を設けた大日本インキ工業社製磁気原反の接着層上に、
1,18−オクタデカンジカルボン酸ドデシル 2.4部
(ミヨシ油脂社製)
エイコサン二酸(岡村製油社製、SL−20−99) 2.6部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 14.0部
(鐘淵化学工業社製、M2018、塩化ビニル80%、
酢酸ビニル20%、平均重合度:1800)
反応性ポリマー 2.4部
(新中村化学工業社製、NKポリマー B−3015H)
光重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュア184) 0.1部
テトラヒドロフラン 108部
アミルアルコール 12部
よりなる溶液を塗布、130℃で1分間乾燥し、80W/cmの高圧水銀灯で紫外線を照射し、厚さ約11μmの感熱層を形成した。この感熱層上に実施例1と同様にオーバーコート層を設け、熱可逆記録媒体を作成した。
(実施例4)
実施例1と同様に磁気原反のPETフィルム側に光反射層、接着層を積層した。次にウレタン系樹脂(日本ポリウレタン社製ニッポラン3151、固形分35%)20部をテトラヒドラフラン26.7部で希釈した固形分15%溶液50部に対し、HOOC(CH)NHCO(CH)CONH(CH)COOH 1.5部を加え、ガラスビン中に直径約2ミリのセラミックビーズを入れ、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)を用い約48時間分散して分散液Cを作成した。さらに
べヘン酸(ミヨシ油脂社製、ベヘン酸95) 1.1部
エイコサン二酸(岡村製油社製、SL−20−99) 0.25部
ポリウレタン系樹脂 15.6部
(日本ポリウレタン社製、ニッポラン3151(固形分35%))
テトラヒドロフラン 17.1部
o−キシレン 4.43部
よりなる溶解液Dを作成した。そして
分散液C 2.2部
溶解液D 26.6部
イソシアネート化合物 0.25部
(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHK)
よりなる感熱層液を作成し、前記の該磁気層を有するPETフィルムの接着層上に塗布し、加熱乾燥して約11ミクロンの感熱層を設け、実施例1と同様に加熱硬化し、約3ミクロン厚のオーバーコート層を設け、熱可逆記録媒体を作成した。この後、この熱可逆性記録媒体を実施例1と同様に加熱処理し、感熱層を白濁化させた後、恒温槽で加熱処理して感熱層を透明化し、熱可逆記録媒体を作成した。
(実施例5)
実施例1と同様に磁気原反のPETフィルム側に光反射層、接着層を積層した。次に実施例1と同様にして作成した分散液Aと
べヘン酸(ミヨシ油脂社製、ベヘン酸95) 1.1部
エイコサン二酸(岡村製油社製、SL−20−99) 0.25部
塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン社製、MR110) 2.81部
テトラヒドロフラン 18.6部
o−キシレン 4.0部
よりなる溶解液Eを作成して
分散液A 6.18部
溶解液E 20.4部
イソシアネート化合物 0.45部
(日本ポリウレタン工業社製、
コロネート2298−90T)
よりなる感熱層液を前記の磁気層を有するPETフィルムの接着層上に塗布し、加熱乾燥して約11ミクロンの感熱層を設け、実施例1と同様に加熱硬化し、その上に約3ミクロン厚のオーバーコート層を設け、熱可逆記録媒体を作成した。この熱可逆性記録媒体をホットプレート上で150℃10秒間加熱処理し、感熱層を白濁化させた後、恒温槽で90℃1分間加熱処理し、感熱層を透明化して熱可逆記録媒体を作成した。
(実施例6)
実施例1と同様に磁気原反のPETフィルム側に光反射層、接着層を積層した。次に実施例1と同様にして作成した分散液Aと
ベヘン酸(ミヨシ油脂社製、ベヘン酸95) 1.1部
エイコサン二酸(岡村製油社製、SL−20−99) 0.25部
塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン社製、MR110) 2.81部
テトラヒドロフラン 18.6部
o−キシレン 4.0部
よりなる溶解液Fを作成し、
分散液A 6.18部
溶解液F 20.4部
イソシアネート化合物 0.61部
(日本ポリウレタン工業社製、
コロネート2298−90T)
よりなる感熱層液を前記の磁気層を有するPETフィルムの接着層上に塗布し、加熱乾燥して約11ミクロンの感熱層を設け、実施例1と同様に加熱硬化し、その上に約3ミクロン厚のオーバーコート層を設け、熱可逆記録媒体を作成した。この後、この熱可逆性記録媒体を実施例1と同様に加熱処理し、感熱層を白濁化させた後、恒温槽で加熱処理して感熱層を透明化し、熱可逆記録媒体を作成した。
(実施例7)
実施例1と同様に磁気原反のPETフィルム側に光反射層、接着層を積層した。次に、
ベヘン酸(ミヨシ油脂社製、ベヘン酸95) 0.8部
エイコサン二酸(岡村製油社製、SL−20−99) 0.8部
塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン社製、MR110) 4.2部
テトラヒドロフラン 25.7部
o−キシレン 4.5部
イソシアネート 0.66部
(日本ポリウレタン工業社製、
2298−90T)
よりなる感熱層液を作成し、前記の磁気層を有するPETフィルムの接着層上に塗布し、加熱乾燥して約11ミクロンの感熱層を設け、実施例1と同様に加熱硬化し、その上に約3ミクロン厚のオーバーコート層を設け、熱可逆記録媒体を作成した。
(実施例8)
実施例1と同様に磁気原反のPETフィルム側に光反射層、接着層を積層した。次に実施例1と同様にして作成した分散液Aと
12−トリコサノン(東京化成社製試薬) 0.82部
14−ヘプタコサノン(東京化成社製試薬) 0.28部
エイコサン二酸(岡村製油社製、SL−20−99) 0.25部
塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン社製、MR110) 2.81部
テトラヒドロフラン 18.6部
o−キシレン 4.0部
よりなる溶解液Gを作成し、
分散液A 6.18部
溶解液G 20.8部
イソシアネート化合物
(日本ポリウレタン工業社製、
コロネート2298−90T) 0.5部
よりなる感熱記録層液を前記の磁気層を有するPETフィルムの接着層上に塗布し、加熱乾燥して約11ミクロンの感熱層を設け、実施例1と同様に加熱硬化し、その上に約3ミクロン厚のオーバーコート層を設け、熱可逆記録媒体を作成した。この後、この熱可逆性記録媒体を実施例1と同様に加熱処理し、感熱層を白濁化させた後、恒温槽で加熱処理して感熱層を透明化し、熱可逆記録媒体を作成した。
(実施例9)
実施例1と同様に磁気原反のPETフィルム側に光反射層、接着層を積層した。次に実施例1と同様にして作成した分散液Aと
ベヘン酸ベヘニル(SIGMA社製、試薬) 1.1部
エイコサン二酸(岡村製油社製、SL−20−99) 0.25部
塩化ビニル系共重合体 2.81部
(日本ゼオン社製、MR110)
テトラヒドロフラン 18.6部
o−キシレン 4.0部
よりなる溶解液Hを作成し、
分散液A 6.18部
溶解液H 20.8部
イソシアネート化合物 0.5部
(日本ポリウレタン工業社製、
コロネート2298−90T)
よりなる感熱層液を前記の磁気層を有するPETフィルムの接着層上に塗布し、加熱乾燥して約11ミクロンの感熱層を設け、実施例1と同様に加熱硬化し、その上に約3ミクロン厚のオーバーコート層を設け、熱可逆記録媒体を作成した。この後、この熱可逆性記録媒体を実施例1と同様に加熱処理し、感熱層を白濁化させた後、恒温槽で加熱処理して感熱層を透明化し、熱可逆記録媒体を作成した。
(実施例10)
実施例1と同様に磁気原反のPETフィルム側に光反射層、接着層を積層した。次に
ベヘン酸(ミヨシ油脂社製、ベヘン酸95) 0.8部
CH(CH)17S0(CH)COOH 0.8部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン社製、MR110) 4.2部
テトラヒドロフラン 25.7部
o−キシレン 4.5部
イソシアネート 0.66部
(日本ポリウレタン工業社製、
コロネート2298−90T)
よりなる感熱層液を作成し、前記の磁気層を有するPETフィルムの接着層上に塗布し、加熱乾燥して約11ミクロンの感熱層を設け、実施例1と同様に加熱硬化し、その上に約3ミクロン厚のオーバーコート層を設け、熱可逆記録媒体を作成した。
(比較例3)
大日本インキ工業社製磁気原反(メモリディックDS−1711−1040:188ミクロン厚の透明PETフィルム上に磁気記録層およびセルフクリーニング層を塗工したもの)のPETフィルム側に実施例1と同様に光反射層、接着層を積層する。その接着層上に
ベヘン酸(ミヨシ油脂社製、ベヘン酸95) 0.5部
エイコサン二酸(岡村製油社製、SL−20−99) 0.5部
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 3.0部
(ユニオンカーバイト社製、VAGH)
テトラヒドロフラン 15.0部
イソシアネート 0.5部
(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL)
よりなる感熱層液を作成し、前記の磁気記録層を有するPETフィルムの接着層上に塗布し、加熱乾燥して約11ミクロンの感熱層を設け、実施例1と同様に加熱硬化し、約3ミクロン厚のオーバーコート層を設け、熱可逆記録媒体を作成した。
(比較例4)
大日本インキ工業社製磁気原反(メモリディックDS−1711−1040:188ミクロン厚の透明PETフィルム上に磁気記録層およびセルフクリーニング層を塗工したもの)のPETフィルム側に実施例1と同様に光反射層、接着層を積層する。その接着層上に
ベヘン酸(ミヨシ油脂社製、ベヘン酸95) 1.0部
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 3.0部
(ユニオンカーバイト社製、VAGH)
テトラヒドロフラン 15.0部
イソシアネート 0.5部
(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL)
よりなる感熱層液を作成し、前記の磁気記録層を有するPETフィルムの接着層上に塗布し、加熱乾燥して約11ミクロンの感熱層を設け、実施例1と同様に加熱硬化し、約3ミクロン厚のオーバーコート層を設け、熱可逆記録媒体を作成した。
この様にして得られた実施例1、4、5、6、7、8、9、10、比較例1、2、3、4の各熱可逆記録媒体について経時透明化開始温度変化、透明化温度幅変化率について測定した。
(熱傾斜試験機での測定条件)
十分に白濁する温度にまで加熱し、白濁画像を形成した各記録媒体を用意し、熱傾斜試験機で(東洋精機社製、HG−100)加熱時間0.1s、圧力9.8×10Paに設定し、72℃から165℃まで透明化の開始の部分では2℃おきに温度幅を変え、透明化の終了部分では5℃おきに温度幅を変えて加熱加圧を行った。そして各々の温度における濃度をマクベス濃度計RD914にて測定した。次に十分に白濁する温度にまで加熱し、白濁画像を形成した各記録媒体を35℃環境下に1週間放置した後、前記と同じ方法で熱傾斜試験機によって加熱加圧を行い、各々の温度における濃度をマクベス濃度計RD914にて測定し、経時透明化開始温度変化、透明化温度幅変化率を求めた。
その結果を図14(実施例1)、図15(実施例4)、図16(実施例5)、図17(実施例6)、図18(実施例7)、図19(実施例8)、図20(実施例9)、図21(実施例10)、図22(比較例1)、図23(比較例2)、図24(比較例3)に示し、経時透明化開始温度変化、透明化温度幅変化率等の算出詰果をまとめて表5に熱傾斜試験機による動的な透明化の特性として示す。
Figure 0004180596
次に透明化下限温度や透明化上限温度、透明化温度幅を調べた。十分に白濁する温度にまで加熱し、白濁画像を形成した各記録媒体を用意して熱傾斜試験機(東洋精機社製、HG−100)で加熱時間1s、圧力2.45×10Paに設定し、加熱しても白さが変化しない定温度から1〜5℃の等温度間隔で十分に白濁する温度まで加熱した。そして各々の温度における濃度をマクベス濃度計RD914にて測定し透明化の特性を求めた。上記実験から平均透明濃度や透明化下限濃度、透明化下限温度、透明化上限温度、透明化温度幅を算出した結果をまとめて表6に透明化の特性として示す。
Figure 0004180596
また実施例1、4、5、6、7、8、9、10および比較例1、2、3、4の各熱記録媒体について八城電気社製印字試験装置を用い、サーマルヘッドは松下電子部品社製のEUX−ET8A9AS1端面型サーマルヘッド(抵抗値:1152オーム)を用いてサーマルヘッドを用いたときの消去性について調べた。
(測定条件1)
サーマルヘッド印字条件をパルス幅2.0ms、ライン周期2.86ms、印字速度43.10mm/s、副走査密度8dot/mmに設定し、サーマルヘッドの幅4.7mmにかかるプラテンロールの力を2.94Nに設定した。次に透明状態の記録媒体に0.176mj/dotから0.527mj/dotまで電圧を変える事でエネルギーを変化させ、各記録媒体の白濁飽和濃度になるエネルギーを決定した。その結果を以下に示す。
実施例1、実施例4、実施例5、実施例6、実施例8、実施例9、実施例10:0.414mj/dot
実施例7、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4:0.339mj/dot
各記録媒体を上記エネルギーで印字し、白濁画像を形成した後、上記同条件にて0.09mj/dotから0.363mj/dotまで電圧を変えることでエネルギーを変化させて白濁画像上へ印字、消去を行い、各エネルギーでの消去性を求めた。次に上記白濁飽和濃度になるエネルギーで白濁画像を形成した各記録媒体を35℃環境下に1週間放置した後、前記と同じ方法で白濁画像上へ印字、消去を行い、各エネルギーでの消去性を求めた。
(測定条件2)
測定条件1と同様に白濁飽和濃度になるエネルギーで白濁画像を形成した各記録媒体に、より短い時間での消去性を求める目的でサーマルヘッド印字条件をパルス幅1.62ms、ライン周期1.8ms、印字速度69.44mm/s、副走査密度8dot/mmに設定し、サーマルヘッドの幅4.7mmにかかるプラテンロールの力を2.94Nに設定して、0.084mj/dotから0.297mj/dotまで電圧を変えることでエネルギーを変化させて白濁画像上へ印字、消去を行い、各エネルギーでの消去性を求めた。次に上記と同様に白濁飽和濃度になるエネルギーで白濁画像を形成した各記録媒体を35℃環境下に1週間放置した後、前記と同じ方法、条件で白濁画像上へ印字、消去を行い、各エネルギーでの消去性を求めた。
熱傾斜試験機を用い算出した前出の平均透明濃度と透明化下限濃度、経時透明化温度変化および測定条件1でサーマルヘッド消去を行ったときの初期、経時における最大消去濃度を表7に示す。
Figure 0004180596
さらに熱傾斜試験機を用い算出した前出の平均透明濃度と透明化下限濃度、経時透明化温度変化および測定条件2でサーマルヘッド消去を行ったときの初期、経時における最大消去濃度を表8に示す。
Figure 0004180596
表7及び表8からも分かるように、サーマルヘッドの消去性(測定条件1)は実施例においていずれも初期、経時ともに最大消去濃度がDtmより高濃度で透明化されている。一方、比較例では最大消去濃度はDtm以下になることがあり、消去性において不十分である。さらに、サーマルヘッドの消去性(測定条件2)では、実施例5のように経時透明化開始温度が−2.0℃以上の実施例では最大消去濃度がDtmより高濃度ではあるが、初期の最大消去濃度と経時の最大消去濃度の差がほかの実施例に比べ、大きいことが分かる。
熱可逆記録媒体において、画像形成後、経過時間の長短によって透明化できるエネルギーに幅が生じることの説明図。 本発明の熱可逆記録媒体における温度−透明度変化の関係を表わした図。 熱可逆記録媒体における設定温度と反射濃度との関係を表わした図。 熱可逆記録体ラベルをMDのディスクカートリッジ上に貼った図。 熱可逆記録ラベルをCD−RW上に貼った図。 光情報記録媒体(CD−RW)上に熱可逆記録ラベルを形成した図。 熱可逆記録ラベルをビデオテープカセットに貼った図。 (a)(b)(c)は本発明の熱可逆記録媒体の三例の図。 (a)は本発明の熱可逆記録媒体をカード状に加工したものの表面側の図、(b)はその裏面形の図。 (a)は本発明の熱可逆記録媒体を他のカード状に加工した例の図、(b)は(a)のICチップ用窪み部に埋め込まれるICチップの図。 (a)は集積回路を示す概略の構成ブロック図、(b)はRAMが複数の記憶領域を含むことを示す図。 (a)(b)は熱可逆性記録装置の二例を示す図。 本発明の熱可逆記録媒体における動的な温度と反射濃度の関係を表した図。 実施例1の熱可逆記録媒体における動的な温度と反射濃度の関係を表した図。 実施例4の熱可逆記録媒体における動的な温度と反射濃度の関係を表した図。 実施例5の熱可逆記録媒体における動的な温度と反射濃度の関係を表した図。 実施例6の熱可逆記録媒体における動的な温度と反射濃度の関係を表した図。 実施例7の熱可逆記録媒体における動的な面度と反射濃度の関係を表した図。 実施例8の熱可逆記録媒体における動的な温度と反射濃度の関係を表した図。 実施例9の熱可逆記録媒体における動的な温度と反射濃度の関係を表した図。 実施例10の熱可逆記録媒体における動的な温度と反射濃度の関係を表した図。 比較例1の熱可逆記録媒体における動的な温度と反射濃度の関係を表した図。 比較例2の熱可逆記録媒体における動的な温度と反射濃度の関係を表した図。 比較例3の熱可逆記録媒体における動的な温度と反射濃度の関係を表した図。

Claims (19)

  1. 支持体上に樹脂母材および樹脂母材中に分散された有機低分子物質を主成分とし、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を設けた熱可逆記録媒体において、該樹脂母材として、ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂を鎖式イソシアネート化合物と環式イソシアネート化合物の混合物を用い架橋して用いることを特徴とする熱可逆記録媒体。
  2. 鎖式イソシアネート化合物が、イソシアネート基当たりの分子量が250以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱可逆記録媒体。
  3. 有機低分子物質が少なくとも1種の低融点有機低分子物質と少なくとも1種の高融点の有機低分子物質を混合し用いるものであって、用いられる有機低分子物質の内、最も低い融点と最も高い融点の温度差が30℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可逆記録媒体。
  4. 該熱可塑性樹脂のガラス転移温度が40℃以上かつ120℃以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1に記載の熱可逆記録媒体。
  5. 下記の三条件(i)(ii)(iii)を満足することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1に記載の熱可逆記録媒体。
    (i)透明化上限温度が125℃以上
    (ii)透明化上限温度と白濁化下限温度の温度差が20℃以下
    (iii)透明化温度幅が30℃以上
  6. 有機低分子物質として、アミド結合、尿素結合、スルホニル結合の少なくとも一つとカルボキシル基を有する融点130℃以上の直鎖炭化水素含有化合物(A)の少なくとも一種と、該直鎖炭化水素含有化合物(A)の融点より30℃以上低い融点の直鎖炭化水素含有化合物(B)の少なくとも一種とを混合して用いることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1に記載の熱可逆記録媒体。
  7. 熱可逆記録媒体を構成する支持体の感熱層と反対側の表面上に接着剤層もしくは粘着剤層を設けてなることを特徴とする、ラベル用の請求項1乃至のいずれか1に記載の熱可逆記録媒体。
  8. 支持体が情報記憶部を有するカードであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1に記載の熱可逆記録媒体。
  9. 支持体が情報記憶部を有するカードであることを特徴とする請求項に記載の熱可逆記録媒体。
  10. 情報記憶部が磁気記録層、IC、光メモリから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項またはに記載の熱可逆記録媒体。
  11. 下記(i)(ii)または(iii)を支持体とすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1に記載の熱可逆記録媒体。
    (i)記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したカートリッジ
    (ii)記憶情報が書換もしくは追記可能なディスク
    (iii)記憶情報が書換可能なテープカセット
  12. 記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したカートリッジ上に、請求項に記載のラベル用の熱可逆記録媒体を貼着したことを特徴とする可逆表示付ディスクカートリッジ。
  13. 記憶情報が書換もしくは追記可能なディスク上に、請求項に記載のラベル用の熱可逆記録媒体を貼着したことを特徴とする可逆表示付ディスク。
  14. 記憶情報が書換可能なテープカセット上に、請求項に記載のラベル用の熱可逆記録媒体を貼着したことを特徴とする可逆表示付テープカセット。
  15. 少なくとも一部に印刷によって画像を形成することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1に記載の熱可逆記録媒体、ラベル、カード、ディスクカートリッジ、ディスクまたはテープカセット。
  16. 請求項1乃至15のいずれか1に記載の熱可逆記録媒体、ラベル、カード、ディスクカートリッジ、ディスクまたはテープカセットを用い、加熱により画像の記録と消去を行うことを特徴とする画像処理方法。
  17. サーマルヘッドを用いて記録および/または消去を行なうことを特徴とする請求項16に記載の画像処理方法。
  18. サーマルヘッドを用い、記録画像をオーバーライトし、該画像の消去と新しい画像の記録を行うことを特徴とする請求項16または17に記載の画像処理方法。
  19. セラミックヒータを用い画像を消去することを特徴とする、請求項16または18に記載の画像処理方法。
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