JP2010052396A - 熱可逆性記録媒体の画像処理方法及び画像処理装置 - Google Patents

熱可逆性記録媒体の画像処理方法及び画像処理装置 Download PDF

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敏明 淺井
Tomozo Iwami
知三 石見
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真哉 川原
Yoshihiko Hotta
吉彦 堀田
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Abstract

【課題】 加熱する温度に依存して透明-白濁間の透明度が可逆的に変化する熱可逆性記録層を有する熱可逆性記録媒体に対して、高コントラストの画像を得ることができ、かつ、該画像を繰返し形成及び消去すること。
【解決手段】 本発明の熱可逆性記録媒体の画像処理方法は、有機低分子物質をドメイン粒子として含む樹脂マトリックスで形成され、加熱する温度に依存して透明-白濁間の透明度が可逆的に変化する熱可逆性記録層を支持体上に有する熱可逆性記録媒体に対する画像処理方法であって、前記熱可逆性記録層を加熱して透明な状態とし、画像を消去する画像消去工程と、該画像の消去直後に、熱可逆性記録層に対し、レーザ光を照射して白濁部を形成し、透明部−白濁部間の透明度差を利用して可視化した画像を形成する画像形成工程と、該画像の形成直後に、前記画像が形成された熱可逆性記録層を冷却する画像冷却工程と、を含むことを特徴とする。
【選択図】 図4B

Description

本発明は、熱可逆性記録媒体の画像処理方法及び画像処理装置に関し、特に、熱可逆性記録媒体に対して透明-白濁間の透明度の差による画像が形成可能で、該画像の繰り返しの形成及び消去が可能な画像処理方法及び該画像処理方法に好適に使用可能な画像処理装置に関する。
加熱する温度に依存して透明-白濁間の透明度が可逆的に変化することを利用して画像を形成、消去することのできる熱可逆性記録媒体に対する画像形成及び消去する方法として、レーザを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。非接触加熱手段としてのレーザ光によれば、熱可逆性記録媒体の表面に凹凸が生じた場合や表面から離れたところから画像を形成する場合にも好適に利用することができ、この従来例では物流ラインに用いる搬送用容器に可逆性感熱記録媒体を使用し非接触記録を行うものとされ、書き込みはレーザで実施し、消去は熱風、温水、赤外線ヒータで実施すると記載されている。
また、この他にも様々なレーザを用いた画像形成・記録方式が開示されている。
例えば、熱可逆性記録媒体上に、光熱変換シートを配置した後、該光熱変換シートにレーザ光を照射して、発生する熱により該熱可逆性記録媒体上に画像を形成及び/又は消去することを含む改良された画像形成消去方法であり、レーザ光の照射条件を制御することにより、画像の形成と消去の両方を行う方法が開示されている。すなわち、レーザ光の照射条件として照射時間、照射光度、焦点、光強度分布のうちの少なくとも一つを制御することにより熱可逆性記録媒体に対する画像の形成及び消去に必要な第1の特定温度と第2の特定温度に加熱温度を制御したり、加熱後の冷却速度を変化させることにより画像の形成及び消去を全面若しくは部分的に行うことが可能となると記載されている(特許文献2参照)。
また、2つのレーザ光を使用し、一方を楕円形や長円形レーザとして消去を行ない、他方を円形レーザで記録する方法、2つのレーザの複合として記録する方法、2つをそれぞれ変形させてそれぞれの複合として記録する方法が開示されている(特許文献3参照)。
また、レーザ光を照射して画像を消去するのに好適な条件が開示されている。この従来例ではレーザ光のエネルギー、レーザ光の照射時間、パルス幅、走査速度においてレーザ記録時の25%以上65%以下とすることで消去させることにより明瞭なコントラストの画像で高耐久性な可逆性感熱記録媒体の記録方法になると記載されている(特許文献4参照)。
これらのレーザ光を用いた方法により熱可逆性記録媒体に対して画像形成と画像消去を実施することができることが開示されている。
また、画像形成前又は画像形成後に可逆性記録媒体を冷却する試みも幾つかなされている(特許文献5参照)。この従来例ではロイコ染料等による発色−消色型の熱可逆性記録媒体での画像形成において画像形成後に冷却を行う工程が検討されており、接触式加熱部材としてのサーマルヘッドを用いた画像形成について、コントラストの低下を防ぐように作用することが期待されている。
しかし、透明-白濁型の熱可逆性記録媒体については、サーマルヘッドを用いて画像形成を行う一般的な手法によれば、コントラストの低下が少なく、もともと画像形成後の冷却を行う必要がないため、非接触式加熱部材としてのレーザ光による画像形成のメカニズムについての画像の形成及び消去と冷却との相関関係を究明されておらず、そのため、透明-白濁型の熱可逆性記録媒体について、より高コントラストの画像を形成することが困難であるという問題があった。
特に、レーザによる画像消去を行う場合には、画像形成に比べて画像処理に時間を要してしまうため、物流ラインにおいて熱可逆性記録媒体上の画像消去時間を短縮してレーザによる画像形成時間と同等とするべく、画像形成面を一括して消去できるヒートローラー、ホットスタンプ、熱風等の接触及び非接触の加熱部材が用いられることもあるが、これらの加熱部材を用いて熱可逆媒体上の画像を消去すると、広い面積を同時に加熱することで熱が媒体にこもってしまい、消去完了後、熱可逆性記録媒体の表面温度は室温付近まですぐに下がらない(特許文献6参照)。
このため温度が十分に下がる前に続けて画像形成すると、画像形成後に熱可逆性記録媒体の表面温度が徐々にしか下がらないためにコントラストの低下が起こってしまうという問題があった。
また、上記物流ラインにおいては、表示情報を随時更新又は書換する必要があるため、短時間で画像の形成及び消去を繰返し行うことが必須となるが、照射するレーザ光の強度によっては、熱可逆性記録媒体層の劣化による消残りが生じるという問題があった。
特開2000−136022号公報 特許第3350836号公報 特許第3446316号公報 特開2003−246144号公報 特許第3674824号公報 特開2005−343175号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、加熱する温度に依存して透明-白濁間の透明度が可逆的に変化する熱可逆性記録層を有する熱可逆性記録媒体に対して、高コントラストの画像を得ることができ、かつ、該画像の繰り返しの形成及び消去ができる画像処理方法及び画像処理装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、レーザ光の照射により画像を形成して間もないうちに冷却を行うことで画像濃度の低下を充分に防ぐことが可能であることを見出し、併せてこれに適した画像処理方法及び画像処理装置を知見するに至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 有機低分子物質をドメイン粒子として含む樹脂マトリックスで形成され、加熱する温度に依存して透明-白濁間の透明度が可逆的に変化する熱可逆性記録層を支持体上に有する熱可逆性記録媒体に対する画像処理方法であって、前記熱可逆性記録層を加熱して透明な状態とし、画像を消去する画像消去工程と、該画像の消去直後に、熱可逆性記録層に対し、レーザ光を照射して白濁部を形成し、透明部−白濁部間の透明度差を利用して可視化した画像を形成する画像形成工程と、該画像の形成直後に、前記画像が形成された熱可逆性記録層を冷却する画像冷却工程と、を含むことを特徴とする熱可逆性記録媒体の画像処理方法である。
<2> 画像消去工程における画像の消去が、接触式加熱部材を有する画像消去手段を用いて行われる前記<1>に記載の熱可逆性記録媒体の画像処理方法である。
<3> 画像消去工程における画像の消去が、非接触加熱部材を有する画像消去手段を用いて行われる前記<1>に記載の熱可逆性記録媒体の画像処理方法である。
<4> 画像形成工程において照射されるレーザ光の強度分布が、照射レーザ光の中心位置における光照射強度をIとし、照射レーザ光の全照射エネルギーの80%面の光照射強度をIとしたとき、次式の関係を満たす前記<1>から<3>のいずれかに記載の熱可逆性記録媒体の画像処理方法である。
(式1) 0.40≦I/I≦2.00
<5> 有機低分子物質をドメイン粒子として含む樹脂マトリックスで形成され、加熱する温度に依存して透明-白濁間の透明度が可逆的に変化する熱可逆性記録層を支持体上に有する熱可逆性記録媒体に対する画像処理装置であって、前記熱可逆性記録層を加熱して透明な状態とし、画像を消去する画像消去手段と、該画像の消去直後に、状態の熱可逆性記録層に対し、レーザ光を照射して白濁部を形成し、透明部-白濁部間の透明度差を利用して可視化した画像を形成する画像形成手段と、該画像の形成直後に、前記画像が形成された熱可逆性記録層を冷却する画像冷却手段と、を含むことを特徴とする熱可逆性記録媒体の画像処理装置である。
<6> 画像形成手段が、レーザ光出射手段と、該レーザ光出射手段におけるレーザ光出射面に配置され、かつレーザ光の光照射強度分布を変化させる光照射強度分布調整手段とを少なくとも有する前記<5>に記載の熱可逆性記録媒体の画像処理装置である。
<7> 光照射強度分布調整手段が、レンズ、フィルタ、マスク、ファイバー及びミラーの少なくともいずれかを有する前記<6>に記載の熱可逆性記録媒体の画像処理装置である。
<8> レンズが、非球面素子レンズ及び回折光学素子の少なくともいずれかである前記<7>に記載の熱可逆性記録媒体の画像処理装置である。
<9> 移動する熱可逆性記録媒体に対して画像を形成する前記<1>から<4>に記載の画像処理方法である。
<10> 移動する熱可逆性記録媒体に対して画像を形成する前記<5>から<8>に記載の画像処理装置である。
本発明によると、加熱する温度に依存して透明-白濁間の透明度が可逆的に変化する熱可逆性記録層を有する熱可逆性記録媒体に対して、高コントラストの画像を得ることが可能で、かつ、該画像の繰り返しの形成及び消去が可能な画像処理方法及び画像処理装置を提供することができる。
(画像処理方法)
本発明の画像処理方法は、画像消去工程、画像形成工程及び画像冷却工程を含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
−画像消去工程、画像形成工程及び画像冷却工程−
前記画像消去工程は、有機低分子物質をドメイン粒子として含む樹脂マトリックスで形成され、加熱する温度に依存して透明-白濁間の透明度が可逆的に変化する熱可逆性記録層を加熱して透明な状態とし、熱可逆性記録媒体に形成された画像を消去する工程である。
加熱手段には、接触又は非接触式加熱部材による加熱手段がある。接触式方式は短時間で一括して画像を消去することができ、非接触方式は熱可逆性記録媒体の表面に凸凹が生じた場合においても均一に画像を消去することができる。例として、レーザ光照射、熱風、温水、赤外線ヒータなどの非接触加熱方法、ホットスタンプ、ヒートローラーなどの接触加熱方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また消去工程直後においては、熱可逆性記録媒体を消去温度以上に加熱する為に、該熱可逆性記録媒体及び保持部までが加熱され蓄熱状態にある。特に、熱容量の大きな加熱部材を用いた接触方式は蓄熱が大きくなる。
ここで蓄熱状態とは、消去工程により加熱された熱可逆性記録媒体の表面温度が加熱される前の温度に対して10℃以上高い状態にあることを指すこととする。
前記画像形成工程は、画像の消去直後に、熱可逆性記録媒体層に対し、非接触画像形成方法であるレーザ光を照射して白濁部を形成し、前記熱可逆性記録媒体に透明部−白濁部間の透明度差を利用して可視化した画像を形成する工程である。
また、短時間での画像処理を可能とするために、画像消去工程完了から画像形成工程開始までの間隔は短時間が好ましい。
該間隔としては、15秒以内が好ましく、10秒以内がより好ましく、5秒以内が更に好ましく、2秒以内が最も好ましい。
しかし該間隔は、これらに限定されるものではなく熱可逆性記録媒体周囲の環境温度に順じて変更する必要がある。詳しくは、熱可逆性記録媒体の周囲の環境温度が低くなれば、該間隔はさらに短くする必要があり、熱可逆性記録媒体の周囲の環境温度が高くなれば該間隔は長くすることも可能である。画像形成するためのレーザ光出力は、画像の線幅が一定となるようレーザ光の出力を調整することが好ましい。
なお、サーマルヘッド等による接触式加熱部材により画像形成を行った場合には、冷却を行わなくても画像濃度の低下は起こらない。これは画像形成時の接触式部材、画像形成直後の搬送工程のローラなどにより蓄熱が解消されるためであると思われる。
しかしながら、物流ラインにおいては、接触式加熱部材による画像形成は搬送用容器の表面に凹凸が生じた場合に貼り付けた熱可逆性記録媒体に均一な画像形成ができない等の問題があるため、本発明は、レーザによる非接触式での画像形成方法を提供し、これを解決するものである。
前記画像冷却工程は、前記熱可逆性記録媒体に対し、前記画像形成工程における画像の形成直後に、レーザ光の照射により加熱された熱可逆性記録層を冷却する工程である。
ここで画像形成直後とは、熱可逆性記録媒体に対する画像形成完了後から蓄熱状態までを指し、画像形成完了とは、熱可逆性記録媒体に対し形成対象となる画像情報全体についてレーザ光の走査が完了したときとする。
前記画像冷却工程は蓄熱の影響を低減する為に画像形成工程完了後、可能な限り早く行うことが好ましい。
画像の形成直後とする時間間隔としては、画像形成完了後から15秒以内であり、10秒以内が好ましく、5秒以内がより好ましく、2秒以内が最も好ましい。
しかし、該間隔は、これらに限定されるものではなく熱可逆性記録媒体周囲の環境温度に順じて変更する必要がある。詳しくは、熱可逆性記録媒体の周囲の環境温度が低くなれば、該間隔はさらに短くする必要があり、熱可逆性記録媒体の周囲の環境温度が高くなれば該間隔は長くすることも可能である。
画像の形成直後に冷却を行わないと、熱可逆性記録媒体の蓄熱が解消されないために、画像形成後に熱可逆性記録媒体の表面温度が徐々にしか下がらず、画像の消去が起こってしまい、十分な画像濃度が得られないという問題が起きてしまう。
ここでの冷却方法としては、冷風などを用いた非接触冷却方法と冷水、熱伝導率の高い材料との接触による接触冷却などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、接触式部材により冷却を行う方法では、物流ライン等で連続使用する場合に冷却部材自身の温度が徐々に上昇してしまい冷却の効果が弱くなってしまうという問題が起こるために、部材を常に冷却することが必要である。
冷却方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、媒体を傷つけることなく冷却できる非接触方法が好ましい。
前記画像形成工程で照射されるレーザ光の原点に照射されるレーザ光の強度分布は、照射レーザ光の中心位置における光照射強度をIとし、照射レーザ光の全照射エネルギーの80%面の光照射強度をIとしたとき、次式、0.40≦I/I≦2.00の関係を満たすことが特に好ましい。
ここで、前記原点照射レーザ光の全照射エネルギーの80%面とは、図1に示すように、原点のレーザ光の光照射強度を高感度焦電式カメラを用いたハイパワー用ビームアナライザーを用いて測定し、得られた光照射強度を三次元グラフ化し、Z=0となる面に対して水平な面で全照射エネルギーの80%が含まれるように光強度分布を分割した時の面を指す。
原点のレーザ光の強度分布を変化させたときの照射レーザ光の最大値を含む断面における光強度分布曲線の例を図2A〜図2Dに示す。図2Aはガウス分布を示し、このような中央部の光照射強度が強い光強度分布では、Iに対してIが小さくなるため、I/Iは大きくなる。
また、図2Bのような図2Aの光強度分布より中央部の光照射強度が弱い光強度分布では、Iに対してIが大きくなるため、I/Iは図2Aの光強度分布よりも小さくなる。 また、図2Cのようなトップハット形状に近い光強度分布では、Iに対してIがさらに小さくなるため、I/Iは図2Bの光強度分布よりもさらに小さくなる。
図2Dのような中央部の光照射強度が弱く周辺部の光照射強度が強い光強度分布では、Iに対してIがさらに小さくなるため、I/Iは図2Cの光強度分布よりもさらに小さくなる。
よって、前記比I/Iは前記レーザ光の光照射強度分布の形状を表していることになる。
本発明において、前記比I/Iが2.00を超えると、中心位置の光強度が強くなり、熱可逆性記録媒体に過剰なエネルギーが加わり、繰返し画像記録を行ったときに熱可逆性記録媒体の劣化による消え残りが発生することがある。
一方、前記比I/Iが0.40を下回ると、周辺部に対して中心位置にエネルギーが加わらなくなり、画像を記録した時に線の中央部が発色せずに線が2本に割れてしまう。これより線の中央部を発色させるように照射エネルギーを上げると周辺部の光強度が強くなり過ぎて熱可逆性記録媒体に過剰なエネルギーが加わり、繰返し記録及び消去を行ったときに線の周辺部に熱可逆性記録媒体の劣化による消え残りが発生してしまう。
更に、前記比I/Iが1.59より大きいと、中心位置の光照射強度が周辺部の光照射強度に対して強い光照射強度分布となることから、画像の形成及び消去の繰返しによる前記熱可逆性記録媒体の劣化を抑制しながら、照射パワーを調整することにより照射距離を変更しなくても描画線の太さを変えることができる。
本発明において前記比率の下限としては、0.40とする必要があり、好ましくは0.50、より好ましくは0.60、更に好ましくは、0.70となる。また本発明において、前記比率の上限は、2.00とする必要があり、好ましくは1.90、より好ましくは1.80、更に好ましくは、1.70となる。
前記レーザ光の強度分布を、ガウス分布から、照射レーザ光の中心位置における光照射強度のIと照射レーザ光の全照射エネルギーの80%面の光照射強度Iの関係が、0.40≦I/I≦2.00を満たすように変化させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光照射強度分布調整手段を好適に用いることができる。
前記光照射強度分布調整手段としては、レンズ、フィルタ、マスク、ミラー、ファイバーカップリングなどが好適に挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でもエネルギーロスが少ないレンズが好ましく、レンズとしては、カライドスコープ、インテグレータ、ビームホモジナイザー、非球面ビームシェイパー(強度変換レンズと位相補正レンズとの組合せ)、非球面素子レンズ、回折光学素子などを好適に使用することができ、特に、非球面素子レンズ、回折光学素子が好ましい。例えば非球面素子レンズとしては図3Bに示す形状のものが挙げられる。フィルタ、マスクなどを用いる場合、前記レーザ光の中心部を物理的にカットすることにより光照射強度を調整することができる。例えばマスクとしては図3Cに示す形状のものが挙げられる。
また、ミラーを用いる場合、コンピュータと連動して機械的に形状が変えられるディフォーマブルミラー、反射率あるいは表面凹凸が部分的に異なるミラーなどを用いることにより光照射強度を調整することができる。
近赤外、可視光の発振波長を有するレーザの場合は、ファイバーカップリングすることによって、光照射強度の調整を容易に行うことができるので好ましい。近赤外、可視光の発振波長を有するレーザとしては、半導体レーザ、固体レーザ等が挙げられる。
また、前記光照射強度分布調整手段により調整された光照射強度は、集光レンズであるfθレンズと熱可逆性記録媒体との距離を焦点距離からずらすことにより調整することも可能である。
前記レーザ光の進行方向直交断面の光強度分布を測定する方法としては、前記レーザ光が、例えば、半導体レーザ、YAGレーザ等から出射され、近赤外領域の波長を有する場合には、CCD等を用いたレーザビームプロファイラを用いて行うことができる。また、例えば、COレーザから出射され、遠赤外領域の波長を有する場合には、前記CCDを使用することができないため、ビームスプリッタとパワーメータとを組合せたもの、高感度焦電式カメラを用いたハイパワー用ビームアナライザなどを用いて行うことができる。
前記画像形成工程において照射されるレーザ光の出力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1W以上が好ましく、3W以上がより好ましく、5W以上が更に好ましい。
前記レーザ光の出力が、1W未満であると、画像形成に時間がかかり、画像形成時間を短くしようとすると出力が不足して高濃度の画像が得られない。
また、前記レーザ光の出力の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200W以下が好ましく、150W以下がより好ましく、100W以下が更に好ましい。
前記レーザ光の出力が、200Wを超えると、レーザ装置の大型化を招くことがある。
前記画像形成工程において照射されるレーザ光の走査速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300mm/s以上が好ましく、500mm/s以上がより好ましく、700mm/s以上が更に好ましい。
前記走査速度が、300mm/s未満であると、画像形成に時間がかかる。
また、前記レーザ光の走査速度の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15,000mm/s以下が好ましく、10,000mm/s以下がより好ましく、8,000mm/s以下が更に好ましい。
前記走査速度が、15,000mm/sを超えると、均一な画像が記録し難くなる。
前記画像形成工程において照射されるレーザ光のスポット径の下限としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、0.02mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.15mm以上が更に好ましい。
また、前記レーザ光のスポット径の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3.0mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、2.0mm以下が更に好ましい。
前記スポット径が下限に満たないと、画像の線幅が細くなり、コントラストが小さくなって視認性が低下する。また、スポット径が上限を超えると、画像の線幅が太くなり、隣接する線が重なり、小さな文字の画像形成が不可能となる。
前記画像消去工程において照射される前記レーザ光の出力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5W以上が好ましく、7W以上がより好ましく、10W以上が更に好ましい。
前記レーザ光の出力が、5W未満であると、画像消去に時間がかかり、画像消去時間を短くしようとすると出力が不足して画像の消去不良が発生する。
また、前記レーザ光の出力の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200W以下が好ましく、150W以下がより好ましく、100W以下が更に好ましい。
前記レーザ光の出力が、200Wを超えると、レーザ装置の大型化を招くおそれがある。
前記画像消去工程において照射されるレーザ光の走査速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100mm/s以上が好ましく、200mm/s以上がより好ましく、300mm/s以上が更に好ましい。
前記走査速度が、100mm/s未満であると、画像消去に時間がかかる。また、前記レーザ光の走査速度の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20,000mm/s以下が好ましく、15,000mm/s以下がより好ましく、10,000mm/s以下が更に好ましい。
前記走査速度が、20,000mm/sを超えると、均一な画像消去がし難くなることがある。
画像消去工程において照射されるレーザ光のスポット径の下限としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましく、2.0mm以上が更に好ましい。
また、前記レーザ光のスポット径の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、14.0mm以下が好ましく、10.0mm以下がより好ましく、7.0mm以下が更に好ましい。
前記スポット径が下限に満たないと、画像消去に時間がかかる。また、スポット径が上限を超えると、出力が不足して画像の消去不良が発生することがある。
−その他の工程−
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
(画像処理装置)
本発明の画像処理装置は、本発明の前記画像処理方法に用いられ、画像消去手段、画像形成手段及び画像冷却手段を含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
−画像消去手段−
前記画像消去手段は、前記熱可逆性記録層を加熱して透明な状態とし、画像を消去するものであれば、特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、接触式加熱手段を有するもの、非接触式加熱手段を有するものなどが挙げられる。
−画像形成手段−
前記画像形成手段は、前記画像の消去直後に、熱可逆性記録層に対し、レーザ光を照射して白濁部を形成し、透明部−白濁部間の透明度差を利用して可視化した画像を形成するものであれば、特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱可逆性記録媒体にレーザ光を照射するレーザ光出射手段と、該レーザ光出射手段におけるレーザ光出射面に配置され、かつ、レーザ光の光照射強度分布を変化させる前記光照射強度分布調整手段とを有するものが好ましい。
−−レーザ光出射手段−−
前記レーザ光出射手段としては、レーザ光を照射可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、COレーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザ(LD)などの通常用いられるレーザが挙げられる。
前記レーザ光出射手段から出射されるレーザ光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視領域から赤外領域が好ましく、画像コントラストが向上する点で、近赤外領域から遠赤外領域がより好ましい。
前記可視領域では、前記熱可逆性記録媒体の画像記録及び画像消去のために、レーザ光を吸収して発熱させるための添加剤が着色するため、コントラストが低下することがある。
前記COレーザから出射されるレーザ光の波長は、遠赤外領域の10.6μmであり、前記熱可逆性記録媒体が該レーザ光を吸収するため、前記熱可逆性記録媒体に対する画像の記録及び消去のために、レーザ光を吸収して発熱させるための添加物を添加することが不要となる。
また、該添加物は、近赤外領域の波長を有するレーザ光を用いても、若干ではあるが、可視光をも吸収することがあるため、該添加物が不要となる前記COレーザは、画像コントラストの低下を防ぐことができるという利点がある。
前記YAGレーザ、前記ファイバーレーザ、及び前記LDから出射されるレーザ光の波長は、可視〜近赤外領域(数百μm〜1.2μm)であり、現状の熱可逆性記録媒体は、その波長領域のレーザ光を吸収しないため、レーザ光を吸収して熱に変換するための光熱変換材料の添加が必要となるが、波長が短いため高精細画像の記録が可能であるという利点がある。
また、前記YAGレーザ、及び前記ファイバーレーザは高出力であるため、画像の記録及び消去速度の高速化を図ることができるという利点がある。前記LDはレーザ自体が小さいため、装置の小型化、更には低価格化が可能であるという利点がある。
本発明の前記画像処理装置は、前記レーザ光出射手段を少なくとも有している以外、その基本構成としては、一般にレーザマーカーと呼ばれるものと同様であり、発振器ユニット、電源制御ユニット、及びプログラムユニットを少なくとも備えている。
ここで、図3Aに、本発明の画像処理装置の一例をレーザ照射ユニットを中心に示す。
図3Aに示す画像処理装置は、出力40WのCOレーザを有するレーザマーカー(サンクス株式会社製、LP−440)の光路中に、前記光照射強度調整手段として、非球面レンズ又はマスクを組み込み、レーザ光の進行方向直交断面における光強度分布を、変化するように調整可能としている。
なお、レーザ照射ユニット、即ち、画像記録/消去用ヘッド部分の仕様は、可能レーザ出力範囲:0.1〜40W、照射距離可動範囲:特に限定なし、スポット径範囲:0.18〜10mm、走査速度範囲:最大(max)12,000mm/s、照射距離範囲:特に限定なしである。
前記発振器ユニットは、レーザ発振器1、ビームエキスパンダ2、スキャニングユニット5、fθレンズ6などで構成されている。
前記レーザ発振器1は、光強度が強く、指向性の高いレーザ光を得るために必要なものであり、例えば、レーザ媒質の両側にミラーを配置し、該レーザ媒質をポンピング(エネルギー供給)し、励起状態の原子数を増やし反転分布を形成させて誘導放出を起こさせる。そして、光軸方向の光のみが選択的に増幅されることにより、光の指向性が高まり出力ミラーからレーザ光が放出される。
前記スキャニングユニット5は、ガルバノメータ4と、該ガルバノメータ4に取り付けられたガルバノミラー4Aとで構成されている。そして、前記レーザ発振器1から出力されたレーザ光を、前記ガルバノメータ4に取り付けられたX軸方向とY軸方向との2枚のガルバノミラー4Aで高速回転走査することにより、熱可逆性記録媒体7上に、画像の形成又は消去を行うようになっている。
前記電源制御ユニットは、放電用電源(COレーザの場合)又はレーザ媒質を励起する光源の駆動電源(YAGレーザなど)、ガルバノメータの駆動電源、ペルチェ素子などの冷却用電源、画像処理装置全体の制御を司る制御部等などで構成されている。
前記プログラムユニットは、タッチパネル入力やキーボード入力により、画像の記録又は消去のために、レーザ光の強さ、レーザ走査の速度等の条件入力や、記録する文字等の作製及び編集を行うユニットである。
なお、前記レーザ照射ユニット、即ち、画像記録/消去用ヘッド部分は、画像処理装置に搭載されているが、該画像処理装置には、このほか、前記熱可逆性記録媒体の搬送部及びその制御部、モニタ部(タッチパネル)等を有している。
−画像冷却手段−
画像冷却手段は、前記画像の形成直後に、前記画像が形成された熱可逆性記録層を冷却するものであれば、特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−その他の手段−
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<移動体(物流・配送システム)>
本発明の前記画像処理方法及び前記画像処理装置は、ダンボールやプラスチックコンテナ等の容器に貼付したラベル等の熱可逆性記録媒体に対して、非接触式にて、高いコントラストの画像を高速で繰返し形成及び消去可能で、しかも繰返しによる前記熱可逆性記録媒体の劣化を抑制することができる。このため、物流・配送システムに特に好適に使用可能である。
この場合、例えば、ベルトコンベアに載せた前記ダンボールやプラスチックコンテナを移動させながら、前記ラベルに画像を形成及び消去することができ、ラインを停止させることが不要となり、接触式のサーマルヘッドを用いる場合に比べて大幅に出荷時間の短縮を図ることができる。
即ち、本発明の前記画像処理方法及び前記画像処理装置は、その画像形成工程及び画像形成手段として、非接触の加熱手段であるレーザ光を走査して画像を形成するため、移動体としてのダンボールやプラスチックコンテナ等の容器に貼付したラベル等の熱可逆性記録媒体に対して画像の形成を行うことができる。
また、本発明の前記画像処理方法及び前記画像処理装置は、繰返して画像の形成及び消去を行うことができるため、前記ダンボールやプラスチックコンテナに貼付されたラベル等を剥がすことなく、そのままの状態で再利用し、再度、画像の消去及び形成を行うことができる。
<画像形成及び画像消去メカニズム>
前記画像形成及び画像消去メカニズムは、温度に依存して透明−白濁間の透明度が可逆的に変化することを利用するものである。
即ち、前記透明度が可逆的に変化する態様では、前記熱可逆性記録媒体における前記有機低分子が、樹脂マトリックス中にドメイン粒子として分散されてなり、前記透明度が、透明状態と白濁状態とに熱により可逆的に変化する。
前記透明度の変化の視認は、下記現象に由来する。即ち、(1)透明状態の場合、樹脂マトリックス中に分散された前記有機低分子物質のドメイン粒子と、前記樹脂マトリックスとは隙間なく密着しており、また、前記ドメイン粒子内部にも空隙が存在しないため、片側から入射した光は散乱することなく反対側に透過し、透明に見える。
一方、(2)白濁状態の場合、前記ドメイン粒子は、前記有機低分子物質の微細な結晶で形成されており、該結晶の界面又は前記ドメイン粒子と前記樹脂マトリックスとの界面に隙間(空隙)が生じ、片側から入射した光は前記空隙と前記結晶との界面、あるいは前記空隙と前記樹脂との界面において屈折し散乱するため、白く見える。
ここで、視認される画像の画像濃度は、白濁部の発色濃度を指し、発色濃度とは、白濁状態における透明度を指す。発色濃度が高いと、透明部との間で高いコントラストを得られる。
まず、図4Aに、前記樹脂マトリックス中に前記ドメイン粒子が分散されてなる熱可逆性記録層(以下、「記録層」と称することがある)を有する熱可逆性記録媒体について、その温度−透明度変化曲線の一例を示す。
前記熱可逆性記録層は、例えば、T以下の常温では、白濁不透明状態(A)である。これを加熱していくと、温度Tから徐々に透明になり始め、温度T〜Tに加熱すると透明(B)となり、この状態で再びT以下の常温に戻しても透明(D)のままである。
これは、温度T付近から前記樹脂マトリックスが軟化し始め、軟化が進むにつれて該樹脂マトリックスが収縮し、該樹脂マトリックスと前記ドメイン粒子との界面、あるいは前記ドメイン粒子内の空隙を減少させるため、徐々に透明度が上がり、温度T〜Tでは、前記ドメイン粒子が半溶融状態となり、残った空隙を、前記ドメイン粒子が埋めることにより透明となり、種結晶が残ったまま冷却されると比較的高温で結晶化し、その際、前記樹脂マトリックスがまだ軟化状態にあるため、結晶化に伴うドメイン粒子の体積変化に前記樹脂マトリックスが追随し、前記空隙が生じず、透明状態が維持されるためであると考えられる。
更にT以上の温度に加熱すると、最大透明度と最大不透明度との中間の半透明状態(C)になる。
次に、この温度を下げていくと、再び透明状態になることなく、最初の白濁不透明状態(A)に戻る。
これは、温度T以上で前記ドメイン粒子が完全に溶融した後、過冷却状態となり、Tより少し高い温度で結晶化し、その際、前記樹脂マトリックスが結晶化に伴う体積変化に追随することができず、空隙が発生するためであると考えられる。
ここで、図4Aにおいて、前記熱可逆性記録層を温度Tを大きく超えた温度Tに繰返し昇温すると、消去温度に加熱しても消去できない消去不良が発生したりする場合がある。これは、加熱されることによって溶融した前記ドメイン粒子が前記樹脂マトリックス中を移動することにより熱可逆性記録層の内部構造が変化するためと思われる。
繰返しによる前記熱可逆性記録媒体の劣化を抑えるためには、前記熱可逆性記録媒体を加熱する際に図4Aの前記温度Tと前記温度Tの差を小さくする必要があり、前記加熱手段がレーザ光である場合、該レーザ光の強度分布において前記比(I/I)は1.29以下が好ましく、1.25以下がより好ましい。
ただし、図4Aに示す温度−透明度変化曲線は、前記樹脂マトリックス、前記ドメイン粒子等の種類を変えると、その種類に応じて、各状態の透明度に変化が生じることがある。
また、透明状態と白濁状態とが熱により可逆的に変化する前記熱可逆性記録媒体の透明度変化メカニズムを図4Bに示す。
図4Bでは、1つの長鎖低分子粒子(ドメイン粒子)と、その周囲の高分子(樹脂マトリックス)とを取り出し、加熱及び冷却に伴う空隙の発生及び消失変化を図示している。
白濁状態(A)では、前記高分子と前記低分子粒子との間(又は粒子内部)に空隙が生じ、光散乱状態となっている。これを加熱し、前記高分子の軟化点(Ts)を超えると、空隙は減少して透明度が増加する。
更に加熱し、前記低分子粒子の融点(Tm)近くになると、該低分子粒子の一部が溶融し、溶融した前記低分子粒子の体積膨張のため、空隙に前記低分子粒子が充満して空隙が消失し、透明状態(B)となる。
ここから冷却すると、融点直下で前記低分子粒子は結晶化し、空隙は発生せず、室温でも透明状態(D)が維持される。
次に、前記低分子粒子の融点以上に加熱すると、溶融した低分子粒子と周囲の高分子との屈折率にズレが生じ、半透明状態(C)となる。
ここから室温まで冷却すると前記低分子粒子は過冷却現象を生じ前記高分子の軟化点以下で結晶化し、このとき前記高分子はガラス状態となっているため、前記低分子粒子の結晶化に伴う体積減少に、周囲の高分子が追随できず、空隙が発生して元の白濁状態(A)に戻る。
本発明においては、画像の消去直後に画像形成を行い、画像の形成直後に画像部の冷却を行うこととしている。ここで画像消去直後に画像形成を行うため、熱可逆記録媒体は蓄熱状態にあり、熱可逆記録媒体の画像部の温度は下がりにくい状態にある。よって画像の形成直後に画像部の冷却を行わない場合、前記低分子粒子の一部が溶融し、溶融した低分子粒子の体積膨張のため、空隙に前記低分子粒子が充満して空隙が消失し、透明状態となってしまう。そのため画像の形成直後に画像部の冷却を行うことで前記低分子粒子の溶融が起こりにくく、空隙を維持できるので画像部は白濁状態となり、画像濃度の低下を抑制することができる。
−熱可逆性記録媒体−
本発明の前記画像処理方法に用いられる前記熱可逆性記録媒体は、支持体と、熱可逆性記録層とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、保護層、中間層、アンダーコート層、バック層、接着層、粘着層、着色層、空気層、光反射層等のその他の層を有してなる。これら各層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
−−支持体−−
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記熱可逆熱可逆性記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の材料としては、例えば、無機材料、有機材料などが挙げられる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、SiO、金属などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、紙、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体、合成紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のフィルムなどが挙げられる。
前記無機材料及び前記有機材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、有機材料が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
前記支持体には、塗布層の接着性を向上させることを目的として、コロナ放電処理、酸化反応処理(クロム酸等)、エッチング処理、易接着処理、帯電防止処理、などを行うことにより表面改質するのが好ましい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜2,000μmが好ましく、50〜1,000μmがより好ましい。
−−熱可逆性記録層−−
前記熱可逆性記録層は、樹脂マトリックスとこの樹脂マトリックス中に分散された有機低分子物質(ドメイン粒子)とを主成分としてなり、温度に依存して透明度が可逆的に変化する。前記熱可逆性記録層は更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
本発明での熱可逆性記録層には、樹脂マトリックスと該樹脂マトリックス中に分散させた高級脂肪酸等の有機低分子物質を主成分として用いる。この材料を利用する利点としては、低エネルギーでの消去記録が可能な点である。また、発消色メカニズムが、樹脂の固化と有機低分子物質の結晶化とに依存する物理変化であるため、耐環境性に強い特性がある。
前記熱可逆熱可逆性記録媒体における前記有機低分子物質としては、前記録層中で、熱により多結晶から単結晶に変化するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、一般に、融点が30〜200℃程度のものを使用することができ、融点が50〜150℃のものが好適である。
前記有機低分子物質には、これを包含する樹脂マトリックスと比較して、分子量の小さい物質が該当する。このような有機低分子物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカノール;アルカンジオール;ハロゲンアルカノール又はハロゲンアルカンジオール;アルキルアミン;アルカン;アルケン;アルキン;ハロゲンアルカン;ハロゲンアルケン;ハロゲンアルキン;シクロアルカン;シクロアルケン;シクロアルキン;飽和又は不飽和モノ若しくはジカルボン酸及びこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;飽和又は不飽和ハロゲン脂肪酸及びこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;アリールカルボン酸及びそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;ハロゲンアリルカルボン酸及びそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;チオアルコール;チオカルボン酸及びそれらのエステル、アミン又はアンモニウム塩;チオアルコールのカルボン酸エステル;などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの化合物の炭素数としては、10〜60が好ましく、10〜38がより好ましく、10〜30が特に好ましい。エステル中のアルコール基部分は、飽和していてもよいし飽和していなくてもよく、ハロゲン置換されていてもよい。
また、前記有機低分子物質は、その分子中に、酸素、窒素、硫黄及びハロゲンから選択される少なくとも1種、例えば、−OH、−COOH、−CONH−、−COOR、−NH−、−NH、−S−、−S−S−、−O−、ハロゲン原子等を含んでいるのが好ましい。
更に具体的には、これらの化合物としては、例えば、ラウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、アラギン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸メチル、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン酸オクタデシル、ラウリン酸オクタデシル、パルミチン酸テトラデシル、ベヘン酸ドデシル等の高級脂肪酸のエステルなどが挙げられる。
これらの中でも、前記画像処理方法の第3の態様で用いられる有機低分子物質としては、高級脂肪酸が好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の炭素数16以上の高級脂肪酸がより好ましく、炭素数16〜24の高級脂肪酸が更に好ましい。
前記熱可逆熱性記録媒体を透明化することができる温度範囲の幅を拡げるためには、上述した各種有機低分子物質を適宜組み合わせて使用してもよいし、該有機低分子物質と融点の異なる他の材料とを組み合わせて使用してもよい。これらは、例えば、特開昭63−39378号公報、特開昭63−130380号公報、特許第2615200号公報などに開示されているが、これらに限定されるものではない。
前記樹脂マトリックスは、前記有機低分子物質をドメイン粒子として均一に分散保持した層を形成すると共に、最大透明時の透明度に影響を与える。このため、該樹脂マトリックスとしては、透明性が高く、機械的安定性を有し、かつ成膜性の良好な樹脂であるのが好ましい。
このような樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体等の塩化ビニル系共重合体;ポリ塩化ビニリデン;塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニリデン系共重合体;ポリエステル;ポリアミド;ポリアクリレート又はポリメタクリレート若しくはアクリレート−メタクリレート共重合体;シリコーン樹脂;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱可逆性記録層における、前記有機低分子物質と前記樹脂マトリックスとの割合は、質量比で2:1〜1:16程度が好ましく、1:2〜1:8がより好ましい。
前記樹脂の比率が、2:1よりも小さいと、前記有機低分子物質を前記樹脂マトリックス中に保持した膜を形成することが困難となることがあり、1:16よりも大きくなると、前記有機低分子物質の量が少ないため、前記熱可逆性記録層の不透明化が困難になることがある。
前記熱可逆性記録層には、前記有機低分子物質及び前記樹脂マトリックスのほか、透明画像の記録を容易にするために、高沸点溶剤、界面活性剤等のその他の成分を添加することができる。
前記熱可逆性記録層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂マトリックス及び前記有機低分子物質の2成分を溶解した溶液、又は、前記樹脂マトリックスの溶液(溶剤としては、前記有機低分子物質から選択される少なくとも1種を不溶なもの)に前記有機低分子物質を微粒子状に分散させた分散液を、例えば、前記支持体上に塗布及び乾燥させることにより行うことができる。
前記熱可逆性記録層の作製用溶剤としては、特に制限はなく、前記樹脂母材及び前記有機低分子物質の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼンなどが挙げられる。
なお、前記分散液を使用した場合はもちろん、前記溶液を使用した場合も、得られる記録層中では前記有機低分子物質は、ドメイン粒子としての微粒子として析出し、分散状態で存在する。
前記可逆性感熱記録層には、バインダー樹脂、更に必要に応じて記録層の塗布特性や発色消色特性を改善したり、制御するための各種添加剤を用いることができる。
これらの添加剤としては、例えば、界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、光安定化剤、発色安定化剤、消色促進剤などが挙げられる。
前記バインダー樹脂としては、支持体上に記録層を結着することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、従来から公知の樹脂の中から1種又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、繰返し時の耐久性を向上させるため、熱、紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられ、特にイソシアネート系化合物などを架橋剤として用いた熱硬化性樹脂が好適である。
該熱硬化性樹脂としては、例えば、水酸基やカルボキシル基等の架橋剤と反応する基を持つ樹脂、又は水酸基やカルボキシル基等を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などが挙げられる。
このような熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、等が挙げられる。これらの中でも、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂が特に好ましい。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソシアネート類、アミノ樹脂、フェノール樹脂、アミン類、エポキシ化合物、等が挙げられる。これらの中でも、イソシアネート類が好ましく、特に好ましくはイソシアネート基を複数持つポリイソシアネート化合物である。
前記架橋剤のバインダー樹脂に対する添加量は、バインダー樹脂中に含まれる活性基の数に対する架橋剤の官能基の比は0.01〜2が好ましい。これ以下では熱強度が不足してしまい、また、これ以上添加すると発色及び消色特性に悪影響を及ぼす。
更に、架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。
前記熱架橋した場合の熱硬化性樹脂のゲル分率は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましい。前記ゲル分率が30%未満であると、架橋状態が十分でなく耐久性に劣ることがある。
前記バインダー樹脂が架橋状態にあるのか非架橋状態にあるのかを区別する方法としては、例えば、塗膜を溶解性の高い溶媒中に浸すことによって区別することができる。即ち、非架橋状態にあるバインダー樹脂は、溶媒中に該樹脂が溶けだし溶質中には残らなくなる。
前記熱可逆性記録層におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、画像の記録を容易にする観点から、界面活性剤、可塑剤などが挙げられる。
前記熱可逆性記録層用塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、記録層の塗工方法、乾燥・硬化方法等は公知の方法を用いることができる。
なお、記録層用塗布液は前記分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散してもよいし、各々単独で溶媒中に分散して混ぜ合わせてもよい。更に加熱溶解して冷却又は徐冷によって析出させてもよい。
前記熱可逆性記録層用塗布液には、コーティング材料用としての高度な性能を発現させる目的で、各種顔料、消泡剤、顔料、分散剤、スリップ剤、防腐剤、架橋剤、可塑剤等を添加してもよい。
前記熱可逆性記録層の塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ロール状で連続して、又はシート状に裁断した支持体を搬送し、該支持体上に、例えば、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法で塗布する。
前記熱可逆性記録層用塗布液の乾燥条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温〜140℃の温度で、10秒間〜10分間程度、などが挙げられる。
前記熱可逆性記録層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜20μmが好ましく、3μm〜15μmがより好ましい。前記熱可逆性記録層の厚みが薄すぎると発色濃度が低くなるため画像のコントラストが低くなることがあり、一方、厚すぎると層内での熱分布が大きくなり、発色温度に達せず発色しない部分が発生し、希望とする発色濃度を得ることができなくなることがある。
前記熱可逆性記録媒体は、前記熱可逆性記録層の他に、更に必要に応じて適宜選択した中間層、接着層、保護層、粘着層等のその他の層を有していてもよい。これら各層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
<保護層>
本発明の熱可逆性記録媒体には、前記熱可逆性記録層を保護する目的で該記録層上に保護層を設けることが好ましい。該保護層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1層以上に形成してもよいが、その形成層は露出している最表面に設けることが好ましい。
前記保護層はバインダー樹脂、更に必要に応じて、フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記保護層の樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱硬化性樹脂、紫外線(UV)硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等が好ましく、これらの中でも、紫外線(UV)硬化性樹脂、熱硬化性樹脂が特に好ましい。
前記紫外線(UV)硬化性樹脂は、硬化後非常に硬い膜を形成することができ、表面の物理的な接触によるダメージやレーザ加熱による媒体変形を抑止することができるため繰返し耐久性に優れた熱可逆性記録媒体が得られる。
また、前記熱硬化性樹脂は、前記UV硬化性樹脂にはやや劣るが同様に表面を硬くすることができ、繰返し耐久性に優れる。
前記紫外線(UV)硬化性樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル系のオリゴマーや各種単官能、多官能のアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、エチレン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。
これらの中でも、4官能以上の多官能性のモノマー又はオリゴマーが特に好ましい。これらのモノマー又はオリゴマーを2種類以上混合することで樹脂膜の硬さ、収縮度、柔軟性、塗膜強度等を適宜調節することができる。
また、前記モノマー又はオリゴマーを紫外線を用いて硬化させるためには、光重合開始剤、光重合促進剤を用いる必要がある。
前記光重合開始剤又は光重合促進剤の添加量は、前記保護層の樹脂成分の全質量に対し0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。
前記紫外線(UV)硬化樹脂を硬化させるための紫外線照射は、公知の紫外線照射装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、光源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置等を備えたものが挙げられる。
前記光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、カリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどが挙げられる。該光源の波長は、前記熱可逆性記録媒体用組成物に添加されている光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外線吸収波長に応じて適宜選択することができる。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂を架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出力、搬送速度等を決めればよい。
また、保護層には熱可逆性記録媒体の搬送性を良好にするため、重合性基を持つシリコーン、シリコーングラフトをした高分子、ワックス、ステアリン酸亜鉛等の離型剤、シリコーンオイル等の滑剤を添加することができる。
これらの添加量としては、保護層の樹脂成分全質量に対して0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜40質量%がより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、静電気対策として導電性フィラーを用いることが好ましく、更に針状導電性フィラーを用いることが好ましい。
前記無機顔料の粒径としては、例えば、0.01μm〜10.0μmが好ましく、0.05μm〜8.0μmがより好ましい。前記無機顔料の添加量としては、前記耐熱性樹脂1質量部に対し、0.001質量部〜2質量部が好ましく、0.005質量部〜1質量部がより好ましい。
更に、前記保護層には、添加剤として従来公知の界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤等を含有していてもよい。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、前記熱可逆性記録層で用いられたバインダー樹脂と同様なものを好適に用いることができる。
更に紫外線吸収構造を持つポリマー(以下、「紫外線吸収ポリマー」と称することもある)を用いてもよい。
ここで、前記紫外線吸収構造を持つポリマーとは、紫外線吸収構造(例えば、紫外線吸収性基)を分子中に有するポリマーを意味する。該紫外線吸収構造としては、例えば、サリシレート構造、シアノアクリレート構造、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造などが挙げられ、これらの中でも、耐光性が良好である点でベゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造が特に好ましい。
前記熱硬化性樹脂は架橋されていることが好ましい。従って熱硬化性樹脂としては、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基等のような、硬化剤と反応する基を有しているものを用いることが好ましく、特に水酸基を有しているポリマーが好ましい。
該紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の強度を向上させるためには、該ポリマーの水酸基価が10mgKOH/g以上のポリマーを用いると、十分な塗膜強度が得られ、より好ましくは30mgKOH/g以上であり、更に好ましくは40mgKOH/g以上である。
十分な塗膜強度を持たせることで繰返し画像形成・消去を行っても記録媒体の劣化が抑えることができる。
前記硬化剤としては、例えば、前記熱可逆性記録層で用いられた硬化剤と同様なものを好適に用いることができる。
前記保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、保護層の塗工方法、乾燥方法等は前記熱可逆性記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。紫外線硬化樹脂を用いた場合には塗布して乾燥を行った紫外線照射による硬化工程が必要となるが、紫外線照射装置、光源、照射条件については前記の通りである。
前記保護層の厚みは、0.1μm〜20μmが好ましく、0.5μm〜10μmがより好ましく、1.5μm〜6μmが更に好ましい。
前記厚みが0.1μm未満であると、熱可逆性記録媒体の保護層としての機能を十分に果たすことができず、熱による繰返し履歴によりすぐに劣化し、繰返し使用することができなくなってしまうことがあり、20μmを超えると、保護層の下層にある感熱に十分な熱を伝えることができなくなり、熱による画像の形成と消去が十分にできなくなってしまうことがある。
−−中間層−−
本発明においては、前記熱可逆性記録層と前記保護層の接着性向上、保護層の塗布による記録層の変質防止、保護層中の添加剤の記録層への移行を防止する目的で、必要に応じて両者の間に中間層を設けてもよい。
前記中間層は、少なくともバインダー樹脂を含有し、更に必要に応じて、フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記熱可逆性記録層のバインダー樹脂や熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂成分を用いることができる。
該樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミドなどが挙げられる。
また、前記中間層には、紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。該紫外線吸収剤としては、有機系及び無機系化合物のいずれでも用いることができる。
また、紫外線吸収ポリマーを用いてもよく、架橋剤により硬化してもよい。これらは前記保護層で用いられたものと同様のものを好適に用いることができる。
前記中間層の厚みは、0.1μm〜20μmが好ましく、0.5μm〜5μmがより好ましい。前記中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、中間層の塗工方法、中間層の乾燥・硬化方法等は、前記熱可逆性記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
−−接着層又は粘着層−−
本発明においては、支持体の記録層形成面の反対面に接着剤層又は粘着剤層を設けて貼付可能な熱可逆記録ラベルとすることができる。前記接着剤層又は粘着剤層の材料は一般的に使われているものが使用可能である。
前記接着剤層又は粘着剤層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。
前記接着剤層又は粘着剤層の材料はホットメルトタイプでもよい。剥離紙を用いてもよいし、無剥離紙タイプでもよい。
このような接着剤層又は粘着剤層を設けた熱可逆記録ラベルは、ICカードや光カード等の厚手カードにも適用できる。
前記熱可逆性記録媒体には、前記支持体と前記熱可逆性記録層との間に視認性を向上させる目的で、着色層を設けてもよい。前記着色層は、着色剤及び樹脂バインダーを含有する溶液、又は分散液を対象面に塗布し、乾燥するか、あるいは単に着色シートを貼り合せることにより形成することができる。
前記熱可逆性記録媒体には、カラー印刷層を設けることもできる。前記カラー印刷層における着色剤としては、従来のフルカラー印刷に使用されるカラーインク中に含まれる各種の染料及び顔料等が挙げられ、前記樹脂バインダーとしては、各種の熱可塑性、熱硬化性、紫外線硬化性又は電子線硬化性樹脂等が挙げられる。該カラー印刷層の厚みとしては、印刷色濃度に対して適宜変更されるため、所望の印刷色濃度に合わせて選択することができる。
前記熱可逆性記録媒体は、非可逆性記録層を併用しても構わない。この場合、それぞれの記録層の発色色調は同じでも異なってもよい。また、本発明の熱可逆性記録媒体の記録層と同一面の一部若しくは全面、又は/若しくは反対面の一部分に、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷、又はインクジェットプリンター、熱転写プリンター、昇華型プリンターなどによって任意の絵柄などを施した着色層を設けてもよく、更に着色層上の一部分若しくは全面に硬化性樹脂を主成分とするOPニス層を設けてもよい。前記任意の絵柄としては、文字、模様、図柄、写真、赤外線で検知する情報などが挙げられる。また、単純に構成する各層のいずれかに染料や顔料を添加して着色することもできる。
更に、本発明の熱可逆性記録媒体には、セキュリティのためにホログラムを設けることもできる。また、意匠性付与のためにレリーフ状、インタリヨ状に凹凸を付けて人物像や社章、シンボルマーク等のデザインを設けることもできる。
前記熱可逆性記録媒体は、その用途に応じて所望の形状に加工することができ、例えば、カード状、タグ状、ラベル状、シート状、ロール状などに加工される。また、カード状に加工されたものについてはプリペイドカードやポイントカード、更にはクレジットカードなどへの応用が挙げられる。カードサイズよりも小さなタグ状のサイズでは値札等に利用できる。また、カードサイズよりも大きなタグ状のサイズでは工程管理や出荷指示書、チケット等に使用できる。ラベル状のものは貼り付けることができるために、様々な大きさに加工され、繰返し使用する台車や容器、箱、コンテナ等に貼り付けて工程管理、物品管理等に使用することができる。また、カードサイズよりも大きなシートサイズでは画像形成する範囲が広くなるため一般文書や工程管理用の指示書等に使用することができる。
<熱可逆記録部材 RF−IDとの組み合わせ例>
本発明で用いられる熱可逆性記録部材は、前記可逆表示可能な記録層と情報記憶部とを、同一のカードやタグに設け(一体化させ)、該情報記憶部の記憶情報の一部を記録層に表示することにより、特別な装置がなくてもカードやタグを見るだけで情報を確認することができ、利便性に優れる。また、情報記憶部の内容を書き換えた時には熱可逆記録部の表示を書き換えることで、熱可逆性記録媒体を繰返し何度も使用することができる。
前記情報記憶部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ICメモリー、光メモリー、RF−IDタグなどが好ましく用いられる。工程管理や物品管理等に使用する場合には特にRF−IDタグが好ましく用いられる。なお、前記RF−IDタグはICチップと、該ICチップに接続したアンテナとから構成されている。
前記熱可逆性記録部材は、前記可逆表示可能な記録層と情報記憶部とを有し、該情報記憶部の好適なものとしてRF−IDタグが挙げられる。
ここで、図5は、RF−IDタグ85の概略図の一例を示す。このRF−IDタグ85はICチップ81と、該ICチップに接続したアンテナ82とから構成されている。前記ICチップ81は記憶部、電源調整部、送信部、受信部の4つに区分されており、それぞれが働きを分担して通信を行っている。通信はRF−IDタグとリーダライタのアンテナが電波により通信してデータのやり取りを行う。具体的には、RF−IDのアンテナがリーダライタからの電波を受信し共振作用により電磁誘導により起電力が発生する電磁誘導方式と放射電磁界により起動する電波方式の2種類がある。共に外部からの電磁界によりRF−IDタグ内のICチップが起動し、チップ内の情報を信号化し、その後、RF−IDタグから信号を発信する。この情報をリーダライタ側のアンテナで受信してデータ処理装置で認識し、ソフト側でデータ処理を行う。
前記RF−IDタグ85はラベル状又はカード状に加工されており、RF−IDタグ85を前記熱可逆性記録媒体に貼り付けることができる。RF−IDタグ85は記録層面又はバック層面に貼ることができるが、バック層面に貼ることが好ましい。RF−IDタグ85と熱可逆性記録媒体を貼り合わせるためには公知の接着剤又は粘着剤を使用することができる。
また、熱可逆性記録媒体とRF−IDタグ85をラミネート加工等で一体化してカード状やタグ状に加工してもよい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<熱可逆性記録媒体の作製>
温度に依存して透明度が可逆的(透明状態−白濁状態)に変化する熱可逆性記録媒体を、以下のようにして作製した。
−支持体−
支持体として、厚み175μmの透明PETフィルム(東レ株式会社製、ルミラー175−T12)を用いた。
−熱可逆性記録層(記録層)−
塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン株式会社製、M110)26質量部を、メチルエチルケトン210質量部に溶解させた樹脂溶解液中に、下記構造式(1)で表される有機低分子物質3質量部、及びベヘン酸ドコシル7質量部を加え、ガラス瓶中に直径2mmのセラミックビーズを入れて、ペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)を用い48時間分散し、均一な分散液を調製した。
次に、得られた分散液に、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン株式会社製、コロネート2298−90T)4質量部を添加し、よく撹拌させて熱可逆性記録層用塗布液を調製した。次に、前記支持体上に、得られた熱可逆性記録層液を塗布し、加熱及び乾燥した後、更に65℃環境下に24時間保存して樹脂を架橋させて、厚み10μmの熱可逆性記録層を設けた。
−保護層−
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の75質量%酢酸ブチル溶液10質量部(大日本インキ化学工業株式会社製、ユニディックC7−157)、及びイソプロピルアルコール10質量部よりなる溶液を、ワイヤーバーで前記熱可逆性記録層上に塗布し、加熱及び乾燥した後、80W/cmの高圧水銀灯で紫外線を照射して硬化させて、厚み3μmの保護層を形成した。以上により、実施例に係る熱可逆性記録媒体を作製した。
<評価試験方法>
−レーザ光強度分布の測定−
レーザ光の強度分布測定は、以下の手順で行った。
レーザとしてCOレーザ装置を用いた場合は、ハイパワー用レーザビームアナライザー(Spiricon社製、LPK−CO−16)を用い、レーザ出力が0.05%となるようにZn−Seウエッジ(Spiricon社製、LBS−100−IR−W)及びCaFフィルター(Spiricon社製、LBS−100−IR−F)を用いて減光してレーザ光強度を測定した。次に、得られたレーザ光強度を三次元グラフ化してレーザ光の強度分布を得た。
<画像消去後の熱可逆性記録媒体の表面温度測定>
消去後・冷却後の熱可逆性記録媒体の表面温度を、sato社製赤外放射温度計により測定した。また消去前の熱可逆性記録媒体の表面温度は29℃であった。
−画像消去−
(消去方法1)熱可逆性記録媒体に金属ブロックのホットスタンプ(100℃、2sec、2kg/cm)で加熱することにより画像を消去した。
(消去方法2)熱可逆性記録媒体にドライヤーにより熱風(100℃)をあてて加熱することにより画像を消去した。
(消去方法3)熱可逆性記録媒体に出力18W、線速1750mm/s、スポット径3.0mmとなるように調整して、光分布を制御する非球面レンズと集光光学系fθレンズ(焦点距離:189mm)を装備したサンクス株式会社製LP−440 COレーザにより画像を形成した。なお、光照射強度分布はfθレンズから熱可逆性記録媒体までの照射距離を調整することにより、I1/I2が1.6となるように調整した。
−画像形成−
熱可逆性記録媒体に線速1800mm/s、スポット径0.8mmとなるように調整して、光分布を制御する非球面レンズと集光光学系fθレンズ(焦点距離:189mm)を装備したサンクス株式会社製LP−440 CO2レーザにより画像を形成した。
また、画像形成は、画像形成時の熱可逆性記録媒体の表面温度が下記の値を示す時に行った。
なお光照射強度分布はfθレンズから熱可逆性記録媒体までの照射距離を調整することにより下記の値とした。レーザ光出力は媒体の表面温度によらず、光強度分布I1/I2が1.6の際には線幅が0.35mmとなるように調整することにより、下記の値とした。
また光強度分布が1.6以外の時には、画像がかすれなく均一に形成できる時の出力とした。
−画像冷却−
(冷却方法1)熱可逆性記録媒体上の画像に画像形成直後(画像形成完了後2s以内)にドライヤーの冷風を2s吹きかける。72℃の熱可逆性記録媒体に対して画像形成直後にドライヤーの冷風を吹きかけると、2s後に熱可逆性記録媒体の表面温度を40〜45℃にすることが可能であった。
(冷却方法2)熱可逆記録媒体上の画像に画像形成直後(画像形成完了後5s後)にドライヤーの冷風を2s吹きかける。
(冷却方法3)熱可逆記録媒体上の画像に画像形成直後(画像形成完了後10s後)にドライヤーの冷風を2s吹きかける。
(冷却方法4)熱可逆記録媒体上の画像に画像形成直後(画像形成完了後15s後)にドライヤーの冷風を2s吹きかける。
(冷却方法5)熱可逆記録媒体上の画像に画像形成直後(画像形成完了後2s以内)にアルミ板を押し付ける(室温、2sec、1.0kg/cm2)。72℃の熱可逆記録媒体に対して画像形成後室温のアルミ板を押し付けると、2s後に熱可逆記録媒体の表面温度を35〜40℃にすることが可能であった。
(冷却方法6)熱可逆記録媒体上の画像に画像形成完了後20s後にドライヤーの冷風を2s吹きかける。
(冷却方法7)熱可逆記録媒体上の画像形成完了後、自然冷却する。ここで画像形成完了後とは、熱可逆記録媒体に画像を印字し終えた直後とする。
−画像濃度測定−
画像濃度の測定は、グレースケール(Kodak社製)をスキャナー(キャノン社製 Canoscan4400)で取り込み、得られたデジタル階調値と反射濃度計(マクベス社製 RD−914)で測定した濃度値との間で相関を取り、記録した画像を前記スキャナーで取り込んで得られたデジタル階調値を濃度値に変換して画像濃度値とした。
本発明において、消去部の濃度が1.5以上である場合に、画像の消去が可能であるとした。なお、測定は背面に黒色紙(O.D.1.7)を敷いて行った。
−繰返し耐久性−
画像形成と画像消去を繰返し、10回おきに消去部の濃度を測定し、消去後の濃度が1.5以下の値を示す(消え残り)時の回数を測定した。
<評価試験/試験結果>
(1) 同一熱可逆性記録媒体に対して、以下の方法で画像消去・画像形成・画像冷却を1回行い、画像冷却完了後の画像濃度を評価した。
注)↑:上の欄と同じであることを示す。
(2) 複数の熱可逆性記録媒体に対して以下の方法で画像消去・画像形成・画像冷却を行い、複数枚画像処理後の接触式冷却部材の温度と最後に画像処理した熱可逆性記録媒体の画像冷却後の画像濃度を評価した(またここでは接触式冷却部材自身の冷却は行っていない)。
注)↑:上の欄と同じであることを示す。
(3) 同一熱可逆性記録媒体に対して以下の方法で画像消去・画像形成・画像冷却を繰返し行い、繰返し終了後の画像冷却完了後の画像濃度を評価した.
また実施例13として、熱可逆性記録媒体をプラスチックの箱に貼り付け、コンベアに載せて10m/分の搬送速度で移動させながら、実施例1の条件で画像処理したところ、画像濃度値は0.80であった。
表に示された評価結果について説明する。
表1において、実施例1〜12と比較例1〜4を対比すると、加熱による画像消去後に、レーザ光照射による画像形成直後の画像を冷却することにより画像消去・画像形成による蓄熱が解消され、画像濃度値を小さくできている。特に、実施例1〜5と比較例6を対比すると、加熱による画像消去後に、レーザ光照射による画像形成直後(画像形成完了後15秒以内)の画像を冷却することにより画像濃度を小さくできている。
実施例1と実施例12とでは、接触式消去又は非接触式消去において、画像の形成直後に冷却を行うことで画像濃度値を小さくできている。また比較例5のレーザによる消去は、画像形成完了後の熱可逆性記録媒体の温度が画像形成前とほぼ同等であるために経時での温度変化はほとんどなく、冷却を行わなくても画像濃度値が大きくなることはない。
また実施例1、6、7と比較例2〜4をそれぞれ対比すると、熱可逆性記録媒体表面温度が異なる時に画像線幅が同一となるよう出力を調整した際において、蓄熱を解消することができ、画像濃度値を小さくできている。
表2において、実施例1より画像形成直後の画像の冷却方法が非接触式であることにより繰り返し画像消去・画像形成・画像冷却を行っても画像濃度値を小さくできている。実施例5より接触式であるアルミ板により画像の冷却を繰返し行うと、冷却部材であるアルミ板自体の温度が徐々に上がってしまい、画像処理枚数を増やすとその冷却効果は小さくなり、画像濃度値が大きくなってしまう。
表3において、実施例1よりレーザ光の強度分布が0.40≦I/I≦2.00を満たすことで、熱可逆性記録媒体の繰返し耐久性は良好である。また実施例8、11より、熱可逆性記録媒体に過剰なエネルギーが加わり、繰返し画像形成を行ったとき熱可逆性記録媒体の劣化が起こってしまう。
また実施例13より、移動中の熱可逆性記録媒体に対しても均一に画像処理することが可能であった。
本発明の画像処理方法及び画像処理装置は、ダンボールやプラスチックコンテナ等の容器に貼付したラベル等の熱可逆性記録媒体に対して、高コントラストの画像を短時間で繰返し形成及び消去可能で、しかも繰返しによる前記熱可逆性記録媒体の劣化を抑制することができ、物流・配送システムに特に好適に使用可能である。
図1は、本発明で用いられる照射レーザ光の強度分布の一例を示す概略説明図である。 図2Aは、通常のレーザ光の光強度分布(ガウス分布)を示す概略説明図である。 図2Bは、レーザ光の光強度分布を変えたときの光強度分布の一例を示す概略説明図である。 図2Cは、レーザ光の光強度分布を変えたときの光強度分布の他の例を示す概略説明図である。 図2Dは、レーザ光の光強度分布を変えたときの光強度分布の他の例を示す概略説明図である。 図3Aは、本発明の画像処理装置の一例を説明する図である。 図3Bは、本発明で用いたマスクの一例を説明する図である。 図3Cは、本発明で用いた非球面素子レンズの一例を説明する図である。 図4Aは、熱可逆性記録媒体の透明-白濁特性を示すグラフである。 図4Bは、熱可逆性記録媒体の透明-白濁変化のメカニズムを表す概略説明図である。 図5は、RF−IDタグの一例を示す概略図である。
符号の説明
1 レーザ発振器
2 ビームエキスパンダ
3 非球面レンズ、マスク
4 ガルバノメータ
4A ガルバノミラー
5 スキャニングユニット
6 fθレンズ
7 熱可逆性記録媒体
10 レーザ発振器
81 ICチップ
82 アンテナ
85 RF−IDタグ

Claims (5)

  1. 有機低分子物質をドメイン粒子として含む樹脂マトリックスで形成され、加熱する温度に依存して透明-白濁間の透明度が可逆的に変化する熱可逆性記録層を支持体上に有する熱可逆性記録媒体に対する画像処理方法であって、
    前記熱可逆性記録層を加熱して透明な状態とし、画像を消去する画像消去工程と、
    該画像の消去直後に、熱可逆性記録層に対し、レーザ光を照射して白濁部を形成し、透明部−白濁部間の透明度差を利用して可視化した画像を形成する画像形成工程と、
    該画像の形成直後に、前記画像が形成された熱可逆性記録層を冷却する画像冷却工程と、
    を含むことを特徴とする熱可逆性記録媒体の画像処理方法。
  2. 画像消去工程における画像の消去が、接触式加熱部材を有する画像消去手段を用いて行われる請求項1に記載の熱可逆性記録媒体の画像処理方法。
  3. 画像消去工程における画像の消去が、非接触加熱部材を有する画像消去手段を用いて行われる請求項1に記載の熱可逆性記録媒体の画像処理方法。
  4. 画像形成工程において照射されるレーザ光の強度分布が、照射レーザ光の中心位置における光照射強度をIとし、照射レーザ光の全照射エネルギーの80%面の光照射強度をIとしたとき、次式の関係を満たす請求項1から3のいずれかに記載の熱可逆性記録媒体の画像処理方法。
    (式1) 0.40≦I/I≦2.00
  5. 有機低分子物質をドメイン粒子として含む樹脂マトリックスで形成され、加熱する温度に依存して透明-白濁間の透明度が可逆的に変化する熱可逆性記録層を支持体上に有する熱可逆性記録媒体に対する画像処理装置であって、
    前記熱可逆性記録層を加熱して透明な状態とし、画像を消去する画像消去手段と、
    該画像の消去直後に、状態の熱可逆性記録層に対し、レーザ光を照射して白濁部を形成し、透明部-白濁部間の透明度差を利用して可視化した画像を形成する画像形成手段と、
    該画像の形成直後に、前記画像が形成された熱可逆性記録層を冷却する画像冷却手段と、
    を含むことを特徴とする熱可逆性記録媒体の画像処理装置。
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