JPH09267568A - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents

可逆性感熱記録材料

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JPH09267568A
JPH09267568A JP9017701A JP1770197A JPH09267568A JP H09267568 A JPH09267568 A JP H09267568A JP 9017701 A JP9017701 A JP 9017701A JP 1770197 A JP1770197 A JP 1770197A JP H09267568 A JPH09267568 A JP H09267568A
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JP
Japan
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layer
heat
barrier layer
resin
recording material
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Application number
JP9017701A
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English (en)
Inventor
Kazumi Suzuki
一己 鈴木
Yoshihiko Hotta
吉彦 堀田
Kunichika Morohoshi
邦親 諸星
Tetsuya Amano
哲也 天野
Atsushi Kutami
篤 久田見
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サーマルヘッド等による画像記録再生を繰り
返しても、サーマルヘッドへのカス付着がなく、画像均
一性が良好である可逆性感熱記録材料、その材料を用い
た記録再生方法、及びその材料の製造法の提供。 【解決手段】 支持体上に樹脂母材及びその樹脂母材中
に分散された有機物質を主成分とし、温度に依存して透
明度又は色調が可逆的に変化する感熱層並びにオーバー
コート層を有する可逆性感熱記録材料において、前記の
感熱層とオーバーコート層との間に、樹脂を主成分とす
るバリアー層を設け、該バリアー層中に前記感熱層中の
有機物質に対し、結晶核となりうる粒径の有機物質を含
有することを特徴とする可逆性感熱記録材料を用いた記
録・再生方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可逆性感熱記録材
料に関し、詳しくは、主として感熱層(記録層)の温度
による可逆的な透明度又は色調変化を利用して、情報の
書き込み及び消去を繰り返し行なうことのできる可逆性
感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一時的な画像形成(情報の書き込
み)が行なえ、不要となった時にはその画像の消去(情
報の消去)ができるようにした可逆性感熱記録材料が注
目されている。その代表的なものとしては、ガラス転移
温度(Tg)が50〜60℃から80℃未満である低ガ
ラス転移温度の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のよう
な樹脂母材中に高級脂肪酸のような有機低分子物質を分
散した可逆性感熱記録材料が知られている。(特開昭5
4−119377号、特開昭55−154198号)。
【0003】しかしながら、従来の可逆性感熱記録材料
は、サーマルヘッド等の発熱体で画像の記録・再生を繰
り返すと、有機物質が表面析出してくる。記録層上にオ
ーバーコート層を積層しても次第に有機物質がオーバー
コート層中にマイグレーティングしてサーマルヘッドに
ヘッドカスが付着し均一な記録・再生が行なえないとい
う欠点がある。本発明者らは、上記欠点を解消するため
に、有機低分子物質の含有量が支持体側に向かって増加
する感熱層を有する可逆性感熱記録材料を提案している
(特開平5−8538)。しかし、この可逆性感熱記録
材料は上記欠点が緩和されるものの、記録・再生の繰り
返し回数が多くなると同じように有機低分子物質の析
出、オーバーコート層中のマイグレーションが発生して
しまう。感熱層とオーバーコート層の間に中間層を設け
た可逆性感熱記録材料(特開平1−133781号)、
その中間層に紫外線架橋型又は電子線架橋型の樹脂を用
い、これを硬化させた可逆性感熱記録材料(特開平7−
117362号)が提案されているが、前記した課題を
解決することはできなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
の従来記録材料における問題点を解決し、サーマルヘッ
ド等による画像記録再生を繰り返しても、サーマルヘッ
ドへのカス付着がなく、画像均一性が良好である可逆性
感熱記録材料、その材料を用いた記録再生方法、及びそ
の材料の製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような本発明の目的
は、(1)「支持体上に樹脂母材及びその樹脂母材中に
分散された有機物質を主成分とし、温度に依存して透明
度又は色調が可逆的に変化する感熱層並びにオーバーコ
ート層を有する可逆性感熱記録材料において、前記の感
熱層とオーバーコート層との間に、樹脂を主成分とする
バリアー層を設け、該バリアー層中に前記感熱層中の有
機物質に対し、結晶核となりうる粒径の有機物質を含有
することを特徴とする可逆性感熱記録材料を用いた記録
・再生方法。」、(2)「支持体上に樹脂母材及びその
樹脂母材中に分散された有機低分子物質を主成分とし、
温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層並びに
オーバーコート層を有する可逆性感熱記録材料におい
て、前記の感熱層とオーバーコート層との間に、樹脂を
主成分とするバリアー層を設け、該バリアー層中に前記
感熱層中の有機低分子物質に対し、結晶核となりうる粒
径の有機物質を含有することを特徴とする可逆性感熱記
録材料を用いた記録・再生方法。」、(3)「支持体上
に樹脂母材及びその樹脂母材中に分散された電子供与性
呈色性化合物と電子受容性化合物を主成分とし、温度に
依存して色調が可逆的に変化する感熱層並びにオーバー
コート層を有する可逆性感熱記録材料において、前記の
感熱層とオーバーコート層との間に、樹脂を主成分とす
るバリアー層を設け、該バリアー層中に前記感熱層中の
有機物質に対し、結晶核となりうる粒径の有機物質を含
有することを特徴とする可逆性感熱記録材料を用いた記
録・再生方法。」、(4)「サーマルヘッドによって記
録・再生する前記(1)、(2)又は(3)項の何れか
に記載の記録・再生方法。」、(5)「前記バリアー層
中に分散された結晶核の粒径が記録・再生を繰り返した
後、拡大することを特徴とする前記(1)、(2)又は
(3)項の何れかに記載の記録・再生方法。」により達
成される。
【0006】また、前記本発明の目的は、(6)「支持
体上に樹脂母材及びその樹脂母材中に分散された有機物
質を主成分とし、温度に依存して透明度又は色調が可逆
的に変化する感熱層並びにオーバーコート層を有する可
逆性感熱記録材料において、前記の感熱層とオーバーコ
ート層との間に、樹脂を主成分とするバリアー層を設
け、該バリアー層中に前記感熱層中の有機物質に対し、
結晶核となりうる粒径の有機物質を含有することを特徴
とする可逆性感熱記録材料。」、(7)「支持体上に樹
脂母材及びその樹脂母材中に分散された有機低分子物質
を主成分とし、温度に依存して透明度が可逆的に変化す
る感熱層並びにオーバーコート層を有する可逆性感熱記
録材料において、前記の感熱層とオーバーコート層との
間に、樹脂を主成分とするバリアー層を設け、該バリア
ー層中に前記感熱層中の有機低分子物質に対し、結晶核
となりうる粒径の有機物質を含有することを特徴とする
可逆性感熱記録材料。」、(8)「支持体上に樹脂母材
及びその樹脂母材中に分散された電子供与性呈色性化合
物と電子受容性化合物を主成分とし、温度に依存して色
調が可逆的に変化する感熱層並びにオーバーコート層を
有する可逆性感熱記録材料において、前記の感熱層とオ
ーバーコート層との間に、樹脂を主成分とするバリアー
層を設け、該バリアー層中に前記感熱層中の有機物質に
対し、結晶核となりうる粒径の有機物質を含有すること
を特徴とする可逆性感熱記録材料。」、(9)「前記バ
リアー層中の有機物質の結晶核の平均粒子径と感熱層の
有機物質の平均粒子径との比が1:5〜1:1000で
ある前記(6)、(7)又は(8)項の何れかに記載の
可逆性感熱記録材料。」、(10)「前記バリアー層中
の有機物質の結晶核の径が0.01〜0.5μmである
前記(9)項に記載の可逆性感熱記録材料。」、(1
1)「前記バリアー層の単位重量当りの有機物質の含有
率が感熱層の単位重量当りの低分子物質の含有率の1/
5〜1/1000倍である前記(6)、(7)又は
(8)項の何れかに記載の可逆性感熱記録材料。」、
(12)「前記バリアー層の単位体積当りの有機物質の
含有率が0.01〜10%である前記(11)項に記載
の可逆性感熱記録材料。」、(13)「前記感熱層の樹
脂母材と前記バリアー層の樹脂の主成分が同一である前
記(6)、(7)又は(8)項の何れかに記載の可逆性
感熱記録材料。」、(14)「前記バリアー層の樹脂
が、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体及び塩化ビ
ニリデン系共重合体から選ばれた少なくとも1種の
(共)重合体と架橋剤とからなる前記(6)、(7)又
は(8)項の何れかに記載の可逆性感熱記録材料。」、
(15)「前記バリアー層が電子線照射、紫外線照射又
は熱により架橋されたものである前記(6)、(7)、
(8)又は(14)項の何れかに記載の可逆性感熱記録
材料。」によって達成される。さらに、前記本発明の目
的は、(16)「支持体上に樹脂母材及びその樹脂母材
中に分散された有機物質を主成分とし、温度に依存して
透明度が可逆的に変化する感熱層、樹脂を主成分とし結
晶核となりうる粒径の有機物質を含有するバリアー層、
オーバーコート層を順次積層した可逆性感熱記録材料に
おいて、感熱層を架橋した後バリアー層を積層すること
を特徴とする可逆性感熱記録材料の製造方法。」によっ
て達成される。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。前記可逆
性感熱記録材料における問題の1つは、サーマルヘッド
にカスが付着し、画像記録・再生が不均一になることで
ある。その原因は、感熱層中の有機物質が感熱層から析
出し、オーバーコート層中にマイグレーティングし、媒
体表面に析出することによりサーマルヘッドに有機物質
が付着し、カスとなるためと考えられる。我々は、上記
現象を改善すべく検討を行なった結果、感熱層とオーバ
ーコート層との間に樹脂を主成分とするバリアー層を設
け、該バリアー層中に結晶核を含有させることによっ
て、このような問題が解消されることを見い出した。
【0008】本発明の可逆性感熱記録材料は、支持体上
に樹脂母材及びその樹脂母材中に分散された有機物質を
主成分とし、温度に依存して透明度又は色調が可逆的に
変化する感熱層並びにオーバーコート層を有する可逆性
感熱記録材料において、前記の感熱層とオーバーコート
層との間に、樹脂を主成分とするバリアー層を設け、該
バリアー層中に前記有機物質に対し結晶核を含有するこ
とを特徴とするため、感熱層から析出し、媒体表面に析
出しようとする前記感熱層からマイグレーティングして
きた有機物質がバリアー層中に含有された有機物質の結
晶核に捕集されることにより、オーバーコート層中への
マイグレーションが起こらず、媒体表面に析出すること
がない。前記結晶核に捕集された有機物質により、結晶
核の粒径は次第に大きくなっていく。
【0009】而して、上述のような構成によってサーマ
ルヘッドで繰り返し記録・再生してもサーマルヘッドの
カス付着がなく、均一な画像形成が得られる。また、本
発明の支持体上に樹脂母材及びその樹脂母材中に分散さ
れた有機低分子物質を主成分とし、温度に依存して透明
度が可逆的に変化する感熱層並びにオーバーコート層を
有する可逆性感熱記録材料の記録・再生方法は図1
(a)に示したT4以上の温度の熱を印加することによ
り記録し、T2からT3までの特定の温度域の熱を印加す
ることにより再生を行なう。支持体上に樹脂母材及びそ
の樹脂母材中に分散された電子供与性呈色性化合物と電
子受容性化合物を主成分とし、温度に依存して色調が可
逆的に変化する感熱層並びにオーバーコート層を有する
可逆性感熱記録材料の記録・再生方法は図1(b)に示
した。T2’以上の温度の熱を印加することにより記録
し、T0’からT1’までの特定の温度域の熱を印加する
ことにより再生を行なう。主に記録はサーマルヘッドを
用い、再生にはホットスタンプ、ヒートブロック、セラ
ミックヒーター又はサーマルヘッドが用いられる。
【0010】本発明の可逆性感熱記録材料に用いられる
「温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感
熱層」とは、温度変化によって目に見える変化を可逆的
に起す材料である。目に見える変化は色の状態の変化と
形状の変化に分けられるが、本発明では主に色の状態の
変化を起たす材料を使用する。色の状態の変化には、光
学的な透過率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化が
あり、実際の可逆性感熱記録材料はこれらの変化の組合
せで情報の表示を行っている。より具体的には、熱によ
り透明度や色調が可逆的に変化するものならばどのよう
なものでもよいが、例えば常温より高い第1の特定温度
で第1の色の状態となり、第1の特定温度よりも高い第
2の特定温度で加熱し、その後冷却することにより第2
の色の状態となるもの、等が挙げられる。
【0011】特に第1の特定温度と第2の特定温度で色
の状態が変化するものが好適に用いられる。これらの例
としては、第1の特定温度で透明状態となり、第2の特
定温度で白濁状態となるもの(特開昭55−15419
8号公報)、第2の特定温度で発色し、第1の特定温度
で消色するもの(特開平4−224996号公報、特開
平4−247985号公報、特開平4−267190号
公報等)、第1の特定温度で白濁状態となり、第2の特
定温度で透明状態となるもの(特開平3−169590
号公報)、第1の特定温度で黒、赤、青等に発色し、第
2の特定温度で消色するもの(特開平2−188293
号公報、特開平2−188294号公報)等が挙げられ
る。これらの中でも特につぎの二つの材料が代表例とし
て挙げられる。 透明状態と白濁状態が可逆的に変化する材料 染料等の色が可逆的に変化する材料
【0012】としては、従来の技術の中で繰り返し示
されているような、ポリエステル等の樹脂母材中に高級
アルコール、高級脂肪酸等の有機低分子物質を分散した
感熱層が代表例として挙げられる。また、としては、
ロイコ系感熱記録材料の可逆性を増強したものが代表例
として挙げられる。
【0013】前記の透明度に変化を生じせしめるタイ
プの感熱層は、樹脂母材及びこの樹脂母材中に分散され
た有機低分子物質を主成分としたものである。ここでの
可逆性感熱記録材料は、後述するように、透明になる温
度の範囲がある。本発明の可逆性感熱記録材料は、前記
のごときの透明度変化(透明状態、白濁不透明状態)
を利用しており、そのメカニズムについては次のように
推測される。
【0014】すなわち、(I)透明の場合には樹脂母材
中に分散された有機低分子物質の粒子は有機低分子物質
と樹脂母材は隙間なく密着しており、また粒子内部にも
空隙はなく、片側から入射した光は散乱されることなく
反対側に透過するため透明に見えること、また、(I
I)白濁の場合には有機低分子物質の粒子は有機低分子
物質の微細な結晶で構成されており、結晶の界面若しく
は粒子と樹脂母材の界面に隙間ができ片側から入射した
光は空隙と結晶、空隙と樹脂の界面で屈折し、散乱され
るため白く見えること、等に由来している。
【0015】図1(熱よる透明度の変化を表わしてい
る)において、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散された
有機低分子物質とを主成分とする感熱層は、例えばT0
以下の常温で白濁不透明状態にある。
【0016】これを加熱していくと温度T1から徐々に
透明になり、初め温度T2〜T3に加熱すると透明とな
り、この状態で再びT0以下の常温に戻しても透明のま
まである。これは温度T1付近から樹脂が軟化し始め、
軟化が進むにつれ、樹脂が収縮し樹脂と有機物質粒子と
の界面若しくは粒子内の空隙を減少させるため、徐々に
透明度が上がり、温度T2〜T3では有機低分子物質が半
溶融状態となり、残った空隙を溶融した有機低分子物質
が埋めることにより透明となり、種結晶が残ったまま冷
却されると比較的高温で結晶化し、その際樹脂がまだ軟
化状態のため、結晶化にともなう粒子の体積変化に樹脂
が追随し、空隙ができず透明状態が維持されるためと考
えられる。
【0017】さらにT4以上の温度に加熱すると、最大
透明度と最大不透明度との中間の半透明状態になる。次
に、この温度を下げていくと、再び透明状態をとること
なく最初の白濁不透明状態に戻る。これは温度T4以上
で有機低分子物質が完全に溶融した後、過冷却状態とな
りT0より少し高い温度で結晶化し、その際、樹脂が結
晶化にともなう体積変化に追随できず、空隙が発生する
ためであろうと思われる。ただし図1に示した温度−透
明度変化曲線は代表的な例を示しただけであり、材料を
替えることにより各状態の透明度等にその材料に応じて
変化が生じることがある。
【0018】この特性を得るためには、樹脂母材中に分
散された有機低分子物質の粒子径は可視光の波長以上で
あることが必要と考えられる。また、該粒子径が大きす
ぎると可逆的変化が困難となる。したがって、該粒子径
は0.3〜5μmが好ましく、0.5〜3μmが更に好
ましい。また、感熱層の単位重量当りの有機低分子物質
の含有率(%)は6〜70%が好ましく、15〜50%
が更に好ましい。含有率が小さすぎると、不透明化が困
難となり、大きすぎると感熱層の成膜が困難となる。こ
こで、含有率計算は次式によって行なう。
【0019】
【数1】
【0020】続いて、本発明の可逆的感熱記録材料は、
また、前記の感熱層が電子供与性呈色性化合物と電子受
容性化合物との間の発色反応を利用したものも含み、こ
のような可逆的熱発色反応を利用したものについて以下
に述べることにする。該発色反応は、電子供与性呈色性
化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した
ものであり、これら化合物からなる熱発色性組成物は、
該電子供与性呈色性化合物と該電子受容性化合物を加熱
溶融混合させたときに非晶質の発色体を生成し、一方、
該非晶質の発色体を該溶融温度より低い温度で加熱した
ときに該電子受容性化合物が結晶化を起こして該発色体
が消色することの現象を利用したものである。
【0021】本発明に係る発色剤と顕色剤の組成物は加
熱によって溶融混合をさせた時に、発色状態となり、非
晶質状態を呈し、常温で安定的に存在する。しかし、本
発明の場合は、この発色した非晶質状態の組成物は、発
色温度以下、即ち溶融状態に至らない温度で加熱する
と、顕色剤の結晶化が起こり、発色剤との相溶状態によ
る結合が保持できなくなり、顕色剤が発色剤から分離す
る。そして、この顕色剤の結晶化による発色剤からの分
離により、顕色剤は発色剤から電子を受容することがで
きず、発色剤は消色するものと考えられる。
【0022】結着樹脂としては、前記の可逆性感熱記
録媒体の感熱層を構成する樹脂母材と同様のものが使用
できる。電子供与性呈色性化合物は、それ自体無色或い
は淡色の染料前駆体であり、特に限定されず、従来知ら
れている例えばトリフェニルメタンフタリド系化合物、
フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコ
オーラミン系化合物、インドリノフタリド系化合物等が
用いられる。電子受容性化合物は、例えば長鎖アルキル
ホスホン酸、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸、長鎖アルキル
チオリンゴ酸、長鎖アルキルマロン酸等が用いられる。
【0023】本発明の感熱層中の有機物質とは感熱層中
の透明度又は色調の変化に起因し、分子量が比較的小さ
いため樹脂中に拡散し易い有機物質のことであり、上記
の感熱層では下記に示す有機低分子物質を示し、の
感熱層では電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合
物を示す。また、上記感熱層の有機物質のマイグレーシ
ョンは粒子中有機物質の凝集力よりも樹脂中への拡散力
が大きくなったときに起こり、特に樹脂のTg以上の温
度となった時には樹脂の自由体積率が大きくなり、有機
物質の拡散力が大きくなると考えられる。この凝集力と
拡散力の関係は樹脂と有機物質の相溶性、有機物質の粒
子間距離などによっても変化する。
【0024】本発明のバリア層は有機物質からなる結晶
核を有する層である。バリア層の結晶核とは感熱層から
バリア層中にマイグレーティングしてきた有機物質を捕
集しうるものである。バリア層中の有機物質は上記感熱
層中の有機物質と同じであることが好ましい。さらに上
記感熱層の有機物質を捕集しうる物質であれば何でもよ
いが、上記感熱層中の有機物質の分子量の5倍以内であ
ることが好ましい。バリア層は透明度が高いものが好ま
しく、さらに透明度又は色調が変化しないもの、若しく
は目視において透明度又は色調の変化が判らないものが
好ましい。バリア層中に含有された結晶核の粒径は、
0.01〜0.5μmが好ましく、さらには0.1〜
0.3μmが好ましい。また、バリア層中の単位重量当
たりの有機物質の含有率(%)は、0.01〜10%が
好ましく、さらに1.0〜6.0%が好ましい。
【0025】バリア層中の結晶核の粒径が小さすぎる
と、結晶核のマイグレーティングしてくる有機物質を捕
集する力が弱くなり、結晶核の粒径が大きすぎると、そ
の粒子の凝集力よりも樹脂中への拡散力が大きくなり、
その機能を果たさなくなり、バリア層中の有機物質がマ
イグレーションを起こすこともある。また、バリア層の
透明度が低くなったり、バリア層の透明度又は色調が変
化するものとなってしまう。バリア層中の有機物質の含
有率が小さすぎると、マイグレーティングしてきた有機
物質を捕集する効果が低くなり、大きすぎるとバリア層
の透明度が下がったり、結晶核が密になりすぎて、拡散
が大きくなりマイグレーションを起こすことにもなると
考えられる。
【0026】また、本発明に係わる感熱層の有機低分子
物質の粒子径及びバリアー層の結晶核の粒径は各層の断
面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより
求められる。TEM断面写真は、まず、熱可逆記録媒体
をオスミニウム酸の蒸気に12時間晒して樹脂母材を染
色し、2液硬化型エポキシ樹脂(ソニーケミカル社製)
にて固め、ミクロトーン(RMC社製MT6000−X
L)にて1000〜1300Å厚の片にスライスし、そ
の断面を、日立社製H−500Hを用い撮影する。その
単位面積当りの粒子の粒径を測定する。
【0027】また、各層の単位重量当りの有機低分子物
質の含有率は、積層された膜を削り取っていき、測定す
る層のみを削り取った部分について重量測定し、その後
有機低分子物質のみを溶解する溶剤に24時間浸してか
ら、真空乾燥した後の重量を測定することにより求めら
れる。また、TEM、SEM等の断面観察により、単位
面積当りを占める面積比率と樹脂と有機低分子物質のそ
れぞれの比重により含有率を求めて算出する方法もあ
る。
【0028】前記バリア層中の有機物質の結晶核の平均
径と、感熱層中の有機物質の平均粒子径の比は1:5〜
1:1000が好ましく、1:10〜1:100が更に
好ましい。なぜなら、該比が大きいと、バリア層の透明
度が下がったり、繰り返し記録・再生を繰り返しバリア
層の結晶核がマイグレーティングしてきた有機物質を捕
集し拡大していく際、結晶核の粒径がその機能を果たす
大きさを越えてしまい易くなるためであり、該比が小さ
いと結晶核はマイグレーティングしてきた有機物質を捕
集する凝集力が十分でない程小さくなってしまうためで
ある。また、前記バリア層の単位重量当たりの有機物質
の含有率が感熱層の単位重量当たりの有機物質の含有率
の1/5〜1/1000倍が好ましい。なぜなら、該含
有率比が大きいと、バリア層の透明度が下がったり、繰
り返し記録・再生を繰り返しバリア層の結晶核がマイグ
レーティングしてきた有機物質を捕集し拡大していく
際、結晶核の粒径がその機能を果たす大きさを越えてし
まい易くなるためであり、該含有率が小さいと結晶核が
不足し、感熱層からマイグレーティングしてきた有機物
質を捕集しきれないためである。
【0029】バリアー層に有機物質の結晶核を分散させ
る方法としては、バリアー層の樹脂を有機溶剤に溶解さ
せた塗布液にあらかじめ有機物質を溶解させておいて、
感熱層上に塗布し加熱乾燥し成膜する方法、バリアー層
のための架橋用モノマー、オリゴマー又はプレポリマー
中にあらかじめ有機物質を溶解させておいて、感熱層上
での該モノマー等の重合、硬化により成膜する方法、お
よび、感熱層上に有機物質を析出させた後、該感熱層上
に直接樹脂を有機溶剤に溶解させた塗布液を塗布し、加
熱乾燥する方法等がある。バリアー層は感熱層を架橋し
た後に積層することが好ましい。感熱層を架橋すること
により、バリアー層積層時の感熱層の膨潤、溶解がな
く、感熱層とバリアー層の混合が起こりにくく、完全な
バリアー層が形成できる。
【0030】本発明においてバリアー層のゲル分率測定
方法としては支持体上にバリアー層を任意の膜厚で形成
し、電子線照射又は紫外線照射を行なった後に、支持体
より膜を剥離してその膜の初期重量を測定し、その後に
膜を400メッシュ金網に挟んで、架橋前の樹脂が可溶
な溶剤中に24時間浸してから真空乾燥して、乾燥後の
重量を測定した。ゲル分率計算は次式によって行なう。 ゲル分率(%)=[乾燥後重量(g)/初期重量
(g)]×100
【0031】本発明において、可逆性感熱記録材料のバ
リアー層に用いられる樹脂は皮膜又はシートを形成する
ことができ、透明性がよく、機械的に安定な樹脂が好ま
しい。このような樹脂としては、ポリ塩化ビニル:塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル
−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル
−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重
合体、塩化ビニルと炭素数3以上の脂肪酸のビニルエス
テルとの共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体等の
塩化ビニル系共重合体;ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニ
リデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリ
ロニトリル共重合体等の塩化ビニリデン系共重合体等が
挙げられる。
【0032】また更に、樹脂に塩化ビニル系共重合体を
用いる場合には、これら共重合体の平均重合度(P)が
P=300以上が好ましく、更に好ましくはP=600
以上であり、また塩化ビニル単位と共重合モノマー単位
との重合比が90/10〜40/60が好ましく、更に
好ましくは85/15〜50/50である。
【0033】また樹脂母材に用いられる樹脂のガラス転
移温度(Tg)は好ましくは100℃未満、更に好まし
くは90℃未満、特に好ましくは80℃未満である。
【0034】本発明におけるバリアー層を架橋させる手
段としては、加熱することにより又は紫外線照射、電子
線照射により行なうことができるが、これらの中で電子
線照射するのが最適である。これら架橋させる方法は具
体的には以下のとおりである。(i)樹脂に架橋性のあ
るものを用いる方法、(ii)架橋剤の添加による方
法、(iii)紫外線、又は電子線の照射によって架橋
させる方法、(iv)架橋剤の存在下で紫外線、又は電
子線の照射によって架橋させる方法、等がある。
【0035】架橋剤としてはウレタンアクリレート系、
エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート
系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポ
リエステル等のオリゴマーや、各種単官能、多官能のア
クリレート、メタクリレート、ビニルエステル、スチレ
ン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。ま
た、非官能性モノマー、官能性モノマーとしては、具体
的には次のものが挙げられる。
【0036】非官能性モノマーの例: (1)メタクリル酸メチル(MMA) (2)メタクリル酸エチル(EMA) (3)メタクリル酸nーブチル(BMA) (4)メタクリル酸iーブチル(IBMA) (5)メタクリル酸tーブチル(TBMA) (6)メタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA) (7)メタクリル酸ラウリル(LMA) (8)メタクリル酸アルキル(SLMA) (9)メタクリル酸トリデシル(TDMA) (10)メタクリル酸ステアリル(SMA) (11)メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA) (12)メタクリル酸ベンジル(BZMA)
【0037】単官能性モノマーの例: (13)メタクリル酸(MMA) (14)メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEM
A) (15)メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(HPM
A) (16)メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMM
A) (17)メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロ
ライド塩(DMCMA) (18)メタクリル酸ジエチルアミノエチル(DEM
A) (19)メタクリル酸グリシジル(GMA) (20)メタクリル酸テトラヒドロフルフリル(THF
MA) (21)メタクリル酸アリル(AMA) (22)ジメタクリル酸エチレングリコール(EDM
A) (23)ジメタクリル酸トリエチレングリコール(3E
DMA) (24)ジメタクリル酸テトラエチレングリコール(4
EDMA) (25)ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール
(BDMA) (26)ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール(H
XMA) (27)トリメタクリル酸トリメチロールプロパン(T
MPMA) (28)メタクリル酸2−エトキシエチル(ETMA) (29)2−エチルヘキシルアクリレート (30)フェノキシエチルアクリレート (31)2−エトキシエチルアクリレート (32)2−エトキシエトキシエチルアクリレート (33)2−ヒドロキシエチルアクリレート (34)2−ヒドロキシプロピルアクリレート (35)ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート (36)N−ビニルピロリドン (37)酢酸ビニル
【0038】2官能性モノマーの例: (38)1,4−ブタンジオールアクリレート (39)1,6−ヘキサンジオールジアクリレート (40)1,9−ノナンジオールジアクリレート (41)ネオペンチルグリコールジアクリレート (42)テトラエチレングリコールジアクリレート (43)トリプロピレングリコールジアクリレート (44)トリプロピレングリコールジアクリレート (45)ポリプロピレングリコールジアクリレート (46)ビスフェノールA.EO付加物ジアクリレート (47)グリセリンメタクリレートアクリレート (48)ネオペンチルグリコールのプロピレンオキサイ
ド2モル付加のジアクリレート (49)ジエチレングリコールジアクリレート (50)ポリエチレングリコール(400)ジアクリレ
ート (51)ヒドロキシピバリン酸とネオペンチルグリコー
ルのエステルのジアクリレート (52)2,2−ビス(4−アクリロキシ・ジエトキシ
フェニル)プロパン (53)ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリ
レート (54)ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール
のε−カプロラクトン付加物のジアクリレート (55)ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール
のε−カプロラクトン付加物のジアクリレート (56)2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチ
ル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジ
オキサンジアクリレート (57)トリシクロデカンジメチロールジアクリレート (58)トリシクロデカンジメチロールジアクリレート
のε−カプロラクトン付加物 (59)1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエー
テルのジアクリレート
【0039】多官能性モノマーの例: (60)トリメチロールプロパントリアクリレート (61)ペンタエリスリトールトリアクリレート (62)グリセリンPO付加トリアクリレート (63)トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェー
ト (64)ペンタエリスリトールテトラアクリレート (65)トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイ
ド3モル付加物のトリアクリレート (66)グリセリルプロポキシトリアクリレート (67)ジペンタエリスリトール・ポリアクリレート (68)ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加
物のポリアクリレート (69)プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリア
クリレート (70)ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロール
プロピントリアクリレート (71)プロピオン酸・ジペンタエリスリトールのテト
ラアクリレート (72)ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート (73)プロピオン酸ジペンタエリスリトールのペンタ
アクリレート (74)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(DPHA) (75)DPHAのε−カプロラクトン付加物
【0040】オリゴマーの例: (76)ビスフェノールA−ジエポキシアクリル酸付加
【0041】これらの架橋剤は単独で又は2種以上が混
合して使用される。これらの架橋剤の添加量としては、
バリアー層中に5〜50重量%が好ましく、更に好まし
くは10〜40重量%である。添加量が5重量%以下で
あると架橋効果が悪くなり、逆に50重量%以上になる
と感熱層の消去特性に影響を与えてしまう。前記したよ
うに、架橋剤の添加量を少量にして架橋効率を向上させ
るためには、前記の架橋剤の中では、非官能性モノマー
より官能性モノマーが好ましく、更に単官能モノマーよ
りも多官能モノマーが好ましい。
【0042】また次に本発明におけるバリアー層を架橋
させる手段として紫外線照射を用いる場合には次のよう
な架橋剤、光重合開始剤、光重合促進剤を用いてもよ
い。具体的には次のものが挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0043】まず架橋剤としては光重合性プレポリマー
と光重合性モノマーに大別することができ、光重合性モ
ノマーとしては前記した電子線照射で用いる架橋剤とし
て挙げた単官能性モノマー及び多官能性モノマーと同じ
ものを挙げることができる。
【0044】また次に光重合性モノマーとしてはポリエ
ステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポ
キシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴ
アクリレート、アルキドアクリレート、ポリオールアク
リレートなどが挙げられる。
【0045】これらの架橋剤は単独で又は2種以上が混
合して使用される。これらの架橋剤の添加量としては、
バリアー層中に5〜50重量%が好ましく、更に好まし
くは10〜40重量%である。添加量が5重量%以下で
あると架橋効率が悪くなり、逆に50重量%以上になる
と感熱層の消去特性に影響を与えてしまう。
【0046】次に、本発明において使用される光重合開
始剤はラジカル反応型とイオン反応型に大別でき、更に
ラジカル反応型は光開裂型と水素引抜き型とに分けられ
る。光重合開始剤の例としては次のものが挙げられる
が、これらに限定されるものではない。 1.ベンゾインエーテル イソブチルベンゾインエーテル イソプロピルベンゾインエーテル ベンゾインエチルエーテル ベンゾインメチルエーテル 2.αーアシロキシムエステル 1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(oーエ
トキシカルボニル)オキシム 3.ベンジルケタール 2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン ベンジル ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4.アセトフェノン誘導体 ジエトキシアセトフェノン 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−
1−オン 5.ケトン−(ケトン−アミン系) ベンゾフェノン クロロチオキサントン 2−クロロチオキサントン イソプロピルチオキサントン 2−メチルチオキサントン 塩素置換ベンゾフェノン
【0047】これらの光重合開始剤は、単独で又は2種
以上混合して使用される。添加量としては架橋剤1重量
部に対して0.005〜1.0重量部が好ましく、更に
好ましくは0.01〜0.5重量部である。
【0048】本発明で使用される光重合促進剤は、ベン
ゾフェノン系やチオキサントン系などの水素引抜きタイ
プの光重合開始剤に対し、硬化速度を向上させる効果が
あるものであり、例えば芳香族系の第3級アミンや脂肪
族アミン系のものがある。具体的には、P−ジメチルア
ミノ安息香酸イソアミルエステル、P−ジメチルアミノ
安息香酸エチルエステルなどが挙げられる。これら光重
合促進剤は単独で又は2種以上混合して使用される。添
加量としては光重合開始剤1重量部に対して0.1〜5
重量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜3重量部で
ある。
【0049】バリアー層の厚さは好ましくは0.1〜5
μmであり、更に好ましくは0.3〜3μmである。こ
れによりバリアー層が薄いと層として形成できにくく、
前記目的が達成できなくなり、また厚いと感熱層の熱感
度が下がる。バリアー層を形成するには例えば次の方法
即ち、樹脂及び架橋剤を溶媒中に溶解し、これを感熱層
上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜にするとともに架橋す
る方法、により感熱層上に形成する。。バリアー層作成
用溶剤としては、樹脂及び架橋剤によって種々選択でき
るが、例えばテトラヒドロフラン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭
素、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。
【0050】さらに、前記した可逆性感熱記録材料の感
熱層中の樹脂が架橋されゲル分率値が30%以上であ
り、樹脂を架橋剤を用いて電子線、紫外線又は熱により
架橋することで前記したサーマルヘッド等での繰り返し
耐久性が向上する。これは、本発明の感熱層の樹脂が架
橋され、且つゲル分率値が30%以上であるため、感熱
層の耐熱性、機械的強度が非常に優れるためであろうと
考えられる。また、これにより感熱層中に有機低分子物
質を含有させる場合、この物質の粒子どうしの凝集や極
大化が発生しにくく、画像形成及び消去の繰り返し後の
劣化が少なく、高コントラストが維持されるものと推測
される。このような効果に関連して、ゲル分率値は30
%以上がよく、好ましくは50%以上であり、更に好ま
しくは70%以上である。
【0051】本発明の可逆性感熱記録材料において、感
熱層中の樹脂のゲル分率値は、画像耐久性向上の効果に
対して30%以上がよく、好ましくは50%以上であ
り、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%
以上である。ゲル分率測定方法としては支持体上に感熱
層を任意の膜厚で形成し、電子線照射を行った後に、支
持体より膜を剥離してその膜の初期重量を測定し、その
後に膜を400メッシュ金網に挟んで、架橋前の樹脂が
可溶な溶剤中に24時間浸してから真空乾燥して、乾燥
後の重量を測定した。ゲル分率計算は次式によって行な
う。 ゲル分率(%)=[乾燥後重量(g)/初期重量
(g)]×100
【0052】この計算でゲル分率を算出するときに、感
熱層中の樹脂成分以外の有機物質粒子等の重量を除く必
要があり、この場合にはゲル分率計算は次式によって行
なう。
【0053】
【数2】 この場合、あらかじめ有機物質重量がわからないときに
は、TEM、SEM等の断面観察により、単位面積あた
りの占有面積比率と樹脂と有機物質のそれぞれの比重に
より重量比率を求めて、有機物質重量を算出して、ゲル
分率値を算出すればよい。
【0054】また、上記測定方法の他に、支持体上に感
熱層が設けられており、その上に前記した他の層が積層
している場合、又は支持体と感熱層の間に前記の他の層
がある場合には、前記のように、まずTEM、SEM等
の断面観察により感熱層及びその他の層の膜厚を調べて
おき、その他の層の膜厚分の表面を削り、感熱層表面を
露出させると共に、感熱層を剥離して前記測定方法と同
様にゲル分率測定を行なえばよい。また、この方法にお
いて感熱層上層に紫外線硬化樹脂等からなる保護層等が
ある場合には、この層が混入するのを極力防ぐために、
保護層分の膜厚分を削ると共に感熱層表面も少し削りゲ
ル分率値への影響を防ぐ必要がある。
【0055】また、上記方法とは別に次のようなゲル分
率測定方法がある。すなわち、第3の方法としてソック
スレー抽出器を用いて、架橋処理なしの樹脂が可溶な溶
剤で、硬化皮膜中の未硬化分を抽出(4時間)し、非抽
出残分の重量分率を求める方法、第4の方法として表面
処理済みのPET支持体上に上記と同様に感熱層塗膜を
形成し、電子線照射を行った後に、溶剤中に浸漬し、浸
漬前後の膜厚比率を求める方法、第5の方法として第4
の方法と同様に形成させた感熱層に溶剤をスポイトで
0.2ccほど滴下し、10秒間放置した後に溶剤をふ
きとり、滴下前後の膜厚比率を求める方法である。これ
ら第3の方法では、前記したように有機物質重量を除い
て算出すればよい。また、第4、第5の方法では膜厚測
定によるものであるため、有機物質を囲む樹脂母材が完
全に架橋していれば溶剤浸漬後も膜厚は変わらないと考
えられるため、重量分率での方法のように有機物質を考
慮する必要はない。
【0056】この方法で前記したように感熱層上に他の
層が設けられているものを測定する場合には、まず第3
の方法では前記した測定方法と同様にすればよく、また
第4、第5の方法では膜厚測定によるものであるため感
熱層の上層に積層されている層のみを削り測定すればよ
い。
【0057】前記した感熱層中に含まれる樹脂を架橋す
る方法は加熱することにより又は紫外線照射(UV照
射)、あるいは電子線照射(EB照射)により行うこと
ができるが、好ましくは紫外線照射、電子線照射であ
り、更に好ましくは電子線照射である。これらの架橋方
法の中でEB照射が最も優れるのは次のような理由によ
る。
【0058】まず、EBによる樹脂の硬化とUVによる
それとの大きな違いは、UV硬化では光重合開始剤、光
増感剤が必要であること、UVではほとんど透明性のあ
るものに限られることである。一方、EBによる反応で
は、ラジカル濃度が高いので急速にラジカル反応が進行
し、瞬間的に重合が完結することや、EBによる反応で
は、UVの場合に比べ、大きいエネルギーが得られるた
め硬化膜厚が厚くできることがある。また、前記のよう
にUV硬化では光重合開始剤、光増感剤が必要であり、
架橋反応後にこれらの添加物が感熱層中に残存するた
め、感熱層の画像形成、消去及び繰り返し耐久性等に悪
影響を及ぼすことが懸念されるという不都合が生じてし
まう。
【0059】次に、EB硬化と熱硬化との大きな違いと
して、熱硬化では架橋のための触媒及び促進剤が必要で
あり、これらを用いても硬化時間がEB硬化に比べてか
なり遅く、またこれについても架橋反応後に上記添加物
が感熱層中に残存するためUV硬化と同様な不都合が生
じ、更にまた架橋反応後も少しずつ架橋反応が起こりう
るため、架橋直後と経時後で感熱層特性に変化が生じる
ことがある点が挙げられる。これらの理由によりEB照
射が架橋方法の中で最適であると言える。また、これら
により高エネルギー印字での画像濃度劣化も少なくなり
高コントラストを維持することも認められた。
【0060】本発明の可逆性感熱記録材料は、前記のご
とき透明度又は色調の変化を利用している。したがっ
て、熱を選択的に与えることにより感熱層を選択的に加
熱し、画像を形成することができ、その変化は何回も繰
り返しすることが可能である。OHP(オーバーヘッド
プロジェクター)などで投影すれば、画像部は暗部にな
り、透明部は光が透過しスクリーン上では明部となる。
【0061】感熱層の厚さは1〜30μmが好ましく、
2〜20μmがさらに好ましい。感熱層が厚すぎると層
内での熱の分布が発生し均一に透明化することが困難と
なる。また、感熱層が薄すぎると白濁度又は色調が低下
しコントラストが低くなる。なお、感熱層中の有機低分
子物質若しくは電子供与性呈色性化合物と電子受容性化
合物の量を増加させると白濁度又は色調を増すとができ
る。
【0062】本発明の可逆性感熱記録材料を作るには、
まず例えば次の方法により支持体上に感熱層を形成す
る。場合によっては、支持体上を用いることなくシート
状の可逆性感熱記録材料として成形することもできる。 1)樹脂母材及び有機物質を溶媒中に溶解し、これを支
持体上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あるいはシート状
にするとともに架橋するか、又はシート状とした後、架
橋する方法。 2)樹脂母材のみを溶解させる溶媒に樹脂母材を溶解さ
せ、その中に有機物質を種々の方法で粉砕又は分散し、
これを支持体上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あるいは
シート状にするとともに架橋するか、又はシート状とし
た後、架橋する方法。 3)溶媒を用いず、樹脂母材と有機物質を加熱溶融混合
し、これを皮膜あるいはシート状に成形して冷却した
後、架橋する方法。
【0063】感熱層又は感熱記録材料作成用溶剤として
は、樹脂母材及び有機低分子物質の種類によって種々選
択できるが、例えばテトラヒドロフラン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩
化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられ
る。なお、分散液を使用した場合はもちろんであるが、
溶液を使用した場合も、得られる感熱層中では有機低分
子物質は微粒子として析出し、分散状態で存在する。
【0064】次に本発明に用いられる感熱層の樹脂母材
について説明する。前記した樹脂の軟化点については、
低温側にすることにより、より透明化温度巾拡大の効果
がある。そのため軟化点は好ましくは70℃以下であり
更に好ましくは65℃以下であり、特に好ましくは60
℃以下である。この場合に下限値は白濁時の有機低分子
物質結晶化温度よりも高いことが好ましい。またこれら
の軟化点の測定方法としては、支持体上に記録層を任意
の膜厚で形成し、その後に支持体より膜を剥離して、熱
機械的分析装置(TMA)や動的粘弾性測定装置を用い
て測定することができる。また更に前記したように、形
成された記録層を剥離せずに剛体振り子法動的粘弾性測
定装置により測定することができる。
【0065】軟化点の低い樹脂としては、例えば、長い
側鎖を持つ樹脂や、低軟化点の樹脂を共重合したものが
挙げられる。長い側鎖を持つ樹脂の側鎖は、アルキル基
に換算して炭素数3以上が好ましい。また、側鎖中にエ
ーテル結合エステル結合等があってもよい。更に、側鎖
の末端にカルボキシル基やヒドロキシル基があってもよ
い。主鎖の例としては、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネ
ート、フェノキシ樹脂、ポリスチレン、塩素化塩ビ樹脂
やこれらの共重合体が挙げられる。
【0066】本発明で用いられる塩化ビニル−ビニルエ
ステル共重合体は、ビニルエステルを構成する脂肪酸の
炭素数が3以上、即ちプロピオン酸以上のものである。
この様な塩化ビニル−ビニルエステル共重合体としては
次のものが挙げられる。
【0067】塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−ブチル酸ビニル共重合体、塩化ビニル
−バレリアン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−カプロン
酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エナント酸ビニル共重
合体、塩化ビニル−カプリル酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−ペラルゴン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−カプ
リン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ウンデカン酸ビニ
ル共重合体、塩化ビニル−ラウリン酸ビニル共重合体、
塩化ビニル−トリデシル酸ビニル共重合体、塩化ビニル
−ミリスチン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ペンタデ
シル酸ビニル共重合体、塩化ビニル−パルミチン酸ビニ
ル共重合体、塩化ビニル−マルガリン酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−ステアリン酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−ノナデシル酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アラ
キジン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ベヘン酸ビニル
共重合体、塩化ビニル−リグノセリン酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−セロチン酸ビニル共重合体、塩化ビニ
ル−モンタン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−メリシン
酸ビニル共重合体。
【0068】また、上記ビニルエステルの構造は直鎖状
のノルマル体が分岐状となってもよく、具体的には次の
ものが挙げられる。 塩化ビニル−イソプロピオン酸ビニル共重合体 塩化ビニル−イソブチル酸ビニル共重合体 塩化ビニル−イソバレリアン酸ビニル共重合体 塩化ビニル−イソカプロン酸ビニル共重合体 等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。こ
れらの非重合体の共重合比は塩化ビニル単位/ビニルエ
ステル単位重量比が99/1〜20/80が好ましい。
また更に平均重合度(P)としてはP=100以上が好
ましく、更に好ましくはP=200以上であり、特に好
ましくはP=300以上である。
【0069】次に本発明で用いる塩化ビニル−エチレン
共重合体としては、低エチレングレードから高エチレン
グレードまでの中でエチレン含有量1%以上が好まし
く、更に好ましくは2%以上であり、特に好ましくは4
%以上である。エチレン含有量が多くなるにつれて、軟
化温度が低温へシフトするため、エチレン含有量が多い
方が好ましい。また更にこれらの平均重合度(P)とし
てはP=200以上が好ましく、更に好ましくはP=3
00以上であり、特に好ましくはP=400以上であ
る。
【0070】また前記樹脂の他に低軟化点の樹脂として
は、次の一般式で表わされる塩化ビニル−ビニルエーテ
ル共重合体も挙げることができる。ビニルアルキルエー
テルのアルキル基の炭素数は3以上が好ましい。
【0071】
【化1】
【0072】前記した樹脂は少なくとも1種で或いは2
種以上混合して用いても良く、また更にこれら樹脂と下
記の樹脂を混合して用いても良い。 ポリ塩化ビニル:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩
化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩
化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニ
ル−アクリレート共重合体等の塩化ビニル系共重合体;
ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重
合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の
塩化ビニリデン系共重合体;ポリエステル;ポリアミ
ド;ポリアクリレート又はポリメタクリレート或いはア
クリレート、メタクリレート共重合体;シリコーン樹
脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、天然ゴム、
ポリビニルアルコール、ポリアクロレイン、ポリカーボ
ネート等が挙げられる。特に好ましくは次の表1に示さ
れる樹脂(東ソー(株)社製)が挙げられる。
【0073】
【表1】
【0074】感熱層の樹脂母材とバリアー層の樹脂の主
成分は同一であることが好ましい。ここで、樹脂の主成
分とはそれぞれの樹脂成分の50%以上を占める主鎖を
意味し、主成分が同一であることにより、感熱層とバリ
アー層の接着性、有機物質の結晶核の形成が優れたもの
となる。
【0075】の感熱層の有機低分子物質としては感熱
層中で粒子状になるものであればよく、一般に融点30
〜200℃、好ましくは50〜150℃程度のものが使
用される。このような有機低分子物質としてはアルカノ
ール;アルカンジオール;ハロゲンアルカノール又はハ
ロゲンアルカンジオール;アルキルアミン;アルカン;
アルケン;アルキン;ハロゲンアルカン;ハロゲンアル
ケン;ハロゲンアルキン;シクロアルカン;シクロアル
ケン;シクロアルキン;飽和又は不飽和モノ又はジカル
ボン酸又はこれらのエステル、アミド又はアンモニウム
塩;飽和又は不飽和ハロゲン脂肪酸又はこれらのエステ
ル、アミド又はアンモニウム塩;アリルカルボン酸又は
それらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;ハロゲ
ンアリルカルボン酸又はそれらのエステル、アミド又は
アンモニウム塩;チオアルコール;チオカルボン酸又は
それらのエステル、アミン又はアンモニウム塩;チオア
ルコールのカルボン酸エステル等が挙げられる。これら
は単独で又は2種以上混合して使用される。これらの化
合物の炭素数は10〜60、好ましくは10〜38、特
に10〜30が好ましい。エステル中のアルコール基部
分は飽和していてもよく、飽和していなくてもよく、ま
たハロゲン置換されていてもよい。いずれにしても有機
低分子物質は分子中に酸素、窒素、硫黄及びハロゲンの
少なくとも1種、例えば−OH,−COOH,−CON
2,−COOR,−NH−,−NH2,−S−,−S−
S−,−O−,ハロゲン等を含む化合物であることが好
ましい。
【0076】本発明における前記有機低分子物質として
は、低融点の有機低分子物質と、高融点の有機低分子物
質とを組み合わせて用いることにより、透明化温度巾を
更に拡大させることができるものが好ましい。前記低融
点有機低分子物質と高融点有機低分子物質の融点の差は
20℃以上が好ましく、更に好ましくは30℃以上であ
り、特に好ましくは40℃以上である。
【0077】低融点有機低分子物質材料としては、融点
40℃〜100℃のものが好ましく、50℃〜80℃の
ものが更に好ましい。高融点有機低分子物質としては、
融点100℃〜200℃のものが好ましく、110℃〜
180℃のものが更に好ましい。
【0078】これらの有機低分子物質のうち、低融点有
機低分子物質としては次の脂肪酸エステル、二塩基酸エ
ステル、多価アルコールジ脂肪酸エステルが好ましい。
これらは少なくとも1種あるいは2種以上混合して用い
られる。
【0079】本発明で用いられる脂肪酸エステルは、同
じ炭素数の脂肪酸(2分子会合状態)より融点が低く、
逆に同じ融点の脂肪酸よりも炭素数が多いという特徴を
持つ。
【0080】サーマルヘッドでの画像の印字−消去の繰
り返しによる劣化は、樹脂母材と有機低分子物質の加熱
時の相溶による有機低分子物質粒子の分散状態の変化が
原因と考えられ、樹脂母材と有機低分子物質の相溶性は
有機低分子物質の炭素数が多いほど低下し、画像の印字
−消去の劣化が少ないものと考えられる。更に白濁度も
炭素数に比例して増加する傾向にある。
【0081】そのため、同じ透明化温度(融点付近にあ
る)の可逆性感熱記録材料において、樹脂母材中に分散
させる有機低分子物質として脂肪酸エステルを用いるこ
とにより、脂肪酸を用いた場合に比較し、白濁度が高
く、つまりコントラストが高く、しかも繰り返し耐久性
が向上するものと思われる。
【0082】そして、このような脂肪酸エステルと高融
点の有機低分子物質を混合して用いることにより、透明
化温度巾を広くすることができ、サーマルヘッドでの消
去の性能も高く、そのため、保存により多少消去特性が
変動しても、消去可能であり、材料自身の特性から繰り
返し耐久性も向上させることができる。
【0083】本発明で用いられる脂肪酸エステルは、例
えば次の一般式(I)で表わされる。 R1−COO−R2 ・・・(I) (式中、R1,R2は炭素数10以上のアルキル基を表わ
す)脂肪酸エステルの炭素数は20以上が好ましく、2
5以上が更に好ましく、30以上が特に好ましい。炭素
数が多くなると白濁度が高く、繰り返し耐久性が向上す
るという特長を有する。脂肪酸エステルの融点は40℃
以上が好ましい。これらは1種又は2種以上を選択して
用いられる。
【0084】本発明で用いられる脂肪酸エステルの具体
例を以下に示す。 パルミチン酸オクタデシル パルミチン酸ドコシル ステアリン酸ヘプチル ステアリン酸オクチル ステアリン酸オクタデシル ステアリン酸ドコシル ベヘン酸オクタデシル ベヘン酸ドコシル
【0085】二塩基酸エステルとしては、モノエステ
ル、ジエステルのいずれでもよく、下記一般式(II)で
表わされるものである。 ROOC−(CH2)n−COOR’ ・・・(II) (式中、R,R’は水素原子、又は炭素数1〜30のア
ルキル基を表わし、R,R’は同一であっても異なって
いてもよいが、同時に水素原子である場合を除く。nは
0〜40の整数を表わす) 上記一般式(II)で表わされる二塩基酸エステルにおい
て、R,R’のアルキル基の炭素数は1〜22が好まし
く、nは、1〜30が好ましく、2〜20が更に好まし
い。また融点は40℃以上が好ましい。
【0086】具体的には、 コハク酸エステル アジピン酸エステル セバシン酸エステル 1−又は18−オクタデカメチレンジカルボン酸エステ
ル 等が挙げられる。
【0087】本発明で用いる有機低分子物質の多価アル
コールジ脂肪酸エステルとしては、次の一般式(III)
で表わされるものが挙げられる。 CH3(CH2)mCO-O(CH2)nO-OC(CH2)mCH3 ・・・(III) (式中、nは2〜40、好ましくは3〜30、更に好ま
しくは4〜22の整数である。mは2〜40、好ましく
は3〜30、更に好ましくは4〜22の整数である。) 具体的には以下のものが挙げられる。 1,3プロパンジオールジアルカン酸エステル 1,6ヘキサンジオールジアルカン酸エステル 1,10デカンジオールジアルカン酸エステル 1,18オクタデカンジオールジアルカン酸エステル
【0088】多価アルコールジ脂肪酸エステルは同じ炭
素数で比較すると脂肪酸より融点が低く、逆に同じ融点
で比較すると脂肪酸より炭素数が多いという特徴を持
つ。サーマルヘッドでの印字の繰り返し耐久性は樹脂と
有機低分子物質の加熱時での相溶性が原因と考えられ、
樹脂と有機低分子物質の相溶性は有機低分子物質の炭素
数が多いほど低下すると考えられる。
【0089】さらに白濁度も炭素数に比例し、増加する
傾向にあり、そのため多価アルコールジ脂肪酸エステル
を用いることにより、同じ透明化温度(融点付近にあ
る)の可逆性感熱記録材料において脂肪酸と比較し、繰
り返し耐久性が向上すると思われる。
【0090】また、多価アルコールジ脂肪酸エステルは
低融点で、それより高融点の脂肪酸と白濁度、繰り返し
耐久性の面で同程度の特徴を持つため、これらより高融
点の有機低分子物質と混合し、透明化温度範囲を広げた
際に、脂肪酸を用いた場合と同程度の白濁度、繰り返し
耐久性等の性能を持ちながら透明化温度範囲を広げるこ
とができ、ひいてはサーマルヘッド等による、短時間で
の加熱による画像消去(透明化)を向上させることがで
き、更に、画像消去のマージンが増えることにより経時
により画像消去エネルギーが変動しても、実用上問題な
く、サーマルヘッドでの消去も可能となる。
【0091】また次に、本発明で用いられる高融点有機
低分子物質としては、脂肪族飽和ジカルボン酸、高級ア
ルキル基を有するケトン、該ケトンから誘導されるセミ
カルバゾン、αーホスホノ脂肪酸などが挙げられ、次の
ものが好ましいが、これらに限定されるものではない。
これらは、一種又は二種以上選択して用いられる。
【0092】これら融点100℃以上の有機低分子物質
の具体例を以下に示す。脂肪族ジカルボン酸の、例えば
融点100〜135℃程度の具体例としては、例えば、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、
ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、
ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二
酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン
二酸、ドコサン二酸等が挙げられる。
【0093】本発明において用いるケトンは、ケトン基
と高級アルキル基を必須の構成基として含み、その他無
置換又は置換基を有する芳香環あるいは被素環を含むこ
ともできる。前記ケトンの全炭素数は16個以上が好ま
しく、更に好ましくは21個以上である。また、本発明
に用いるセミカルバゾンは、上記ケトンから誘導された
ものである。
【0094】本発明において使用するケトン、セミカル
バゾンとしては、例えば次に示すようなものを挙げるこ
とができる。 3−オクタデカノン 7−アイコサノン 14−ヘプタコサノン 18−ペンタトリアコンタノン テトラデカノフェノン ドコサノフェノン ドコサノナフトフェノン 2−ヘンエイコサノンセミカルバゾン
【0095】本発明で用いるαーホスホノ脂肪酸は例え
ばE.V.Kaurer等、J.Ak.Oil Che
kist’s Soc,41,205(1964)の方
法に従って脂肪酸をHell−Volhard−Zel
inskin反応によって臭素化してαー臭素化酸臭化
物とし、次いでエタノールを加えαーブロモ脂肪酸エス
テルを得、さらにトリエチルホスファイトと加熱反応し
てαーホスホノ脂肪酸エステルとし、濃塩酸による加水
分解を行なって生成物をトルエンから再結晶することに
より得ることができる。
【0096】本発明で用いるホスホノ脂肪酸に具体例を
以下に示す。 αーホスホノミリスチル酸 αーホスホノパルミチン酸 αーホスホノステアリン酸 などが挙げられる。なお、αーホスホノベラルゴン酸以
外は2つのmp(融点)を持っている。
【0097】これらの低融点有機低分子物質と高融点有
機低分子物質の混合重量比は95:5〜5:95が好ま
しく、90:10〜10:90が更に好ましく、80:
20〜20:80が特に好ましい。また、これらの低融
点有機低分子物質、高融点有機低分子物質以外に前記し
た他の有機低分子物質を混合して用いてもよい。これら
は次のものが挙げられる。
【0098】これら化合物としてはラウリン酸、ドデカ
ン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、アラギン酸、
オレイン酸等の高級脂肪酸等のエーテル又はチオエーテ
ル等がある。中でも本発明では高級脂肪酸、特にパルミ
チン酸、ペンタデカン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、
ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の炭素数1
6以上の高級脂肪酸が好ましく、炭素数16〜24の高
級脂肪酸が更に好ましい。
【0099】前記したように本発明において、透明化で
きる温度の巾を広げるには、この明細書において記載し
た有機低分子物質を適宜組み合わせるか、又は、そうし
た有機低分子物質と融点の異なる他の材料とを組み合わ
せればよい。これらは例えば特開昭63−39378
号、特開昭63−130380号などの公報や、特願昭
63−14754号、特願平3−2089号(特開平4
−235095号)などの明細書に開示されているが、
これらに限定されるものではない。
【0100】なお、の感熱層中の有機低分子物質と樹
脂(架橋構造を有する樹脂)との割合は、重量比で2:
1〜1:16程度が好ましく、1:2〜1:8が更に好
ましい。樹脂の比率がこれ以下になると、有機低分子物
質を樹脂中に保持した膜に形成することが困難となり、
またこれ以上になると、有機低分子物質の量が少ないた
め、不透明化が困難になる。
【0101】の感熱層には以上の成分の他に、透明画
像の形成を容易にするために、界面活性剤、可塑剤等の
添加物を添加することができる。これらの添加物の具体
例は次のとおりである。
【0102】可塑剤としては、リン酸エステル、脂肪酸
エステル、フタル酸エステル、二塩基酸エステル、グリ
コール、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤が挙
げられ、具体例としては次のものが挙げられる。リン酸
トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸
トリフェニル、リン酸トリクレジル、オレイン酸ブチ
ル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ
ブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチ
ル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソ
ノニル、フタル酸ジオクチルデシル、フタル酸ジイソデ
シル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジブチル、
アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチ
ルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セ
バシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシ
ル、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレ
ングリコールジ−2−エチルブチラート、アセチルリシ
ノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチル
フタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブ
チルなど。
【0103】界面活性剤、その他の添加物の例;多価ア
ルコール高級脂肪酸エステル;多価アルコール高級アル
キルエーテル;多価アルコール高級脂肪酸エステル、高
級アルコール、高級アルキルフェノール、高級脂肪酸高
級アルキルアミン、高級脂肪酸アミド、油脂又はポリプ
ロピレングリコールの低級オレフィンオキサイド付加
物;アセチレングリコール;高級アルキルベンゼンスル
ホン酸のNa、Ca、Ba又はMg塩;芳香族カルボン
酸、高級脂肪酸スルホン酸、芳香族スルホン酸、硫酸モ
ノエステル又はリン酸モノ−又はジ−エステルのCa、
Ba又はMg塩;低度硫酸化油;ポリ長鎖アルキルアク
リレート;アクリル系オリゴマー;ポリ長鎖アルキルメ
タクリレート;長鎖アルキルメタクリレート−アミン含
有モノマー共重合体;スチレン−無水マレイン酸共重合
体;オレフィン−無水マレイン酸共重合体など。
【0104】本発明における感熱層中の樹脂を架橋させ
る手段としては、加熱することにより又は紫外線照射、
電子線照射により行なうことができるが、これらの中で
電子線照射するのが最適である。これら架橋させる方法
は具体的には以下のとおりである。(i)樹脂に架橋性
のあるものを用いる方法、(ii)架橋剤の添加による
方法、(iii)紫外線、又は電子線の照射によって架
橋させる方法、(iv)架橋剤の存在下で紫外線、又は
電子線の照射によって架橋させる方法、等がある。
【0105】架橋剤としてはウレタンアクリレート系、
エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート
系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポ
リエステル等のオリゴマーや、各種単官能、多官能のア
クリレート、メタクリレート、ビニルエステル、スチレ
ン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。ま
た、非官能性モノマー、官能性モノマーとしては、具体
的には前記したバリアー層で用いるモノマーと同様なも
のが挙げられる。
【0106】これらの架橋剤は単独で又は2種以上が混
合して使用される。これらの架橋剤の添加量としては、
樹脂1重量部に対して0.001〜1.0重量部が好ま
しく、更に好ましくは0.01〜0.5重量部である。
添加量が0.001重量部以下であると架橋効率が悪く
なり、逆に1.0重量部以上になると白濁度が低下し、
コントラストが低くなる。
【0107】前記したように、架橋剤の添加量を少量に
して架橋効率を向上させるためには、前記した架橋剤の
中では、非官能性モノマーより官能性モノマーが好まし
く、更に単官能モノマーよりも多官能モノマーが好まし
い。
【0108】また次に本発明における感熱層の樹脂を架
橋させる手段としては、前記のバリアー層を架橋させる
手段と同様に、紫外線照射を用いる場合には次のような
架橋剤、光重合開始剤、光重合促進剤を用いてもよい。
具体的には前記の例と一部重複するが次のものなどが挙
げられる。
【0109】架橋剤としては光重合性プレポリマーと光
重合性モノマーに大別することができ、光重合性モノマ
ーとしては前記した電子線照射で用いる架橋剤として挙
げた単官能性モノマー及び多官能性モノマーと同じもの
を挙げることができる。
【0110】また次に光重合性プレポリマーとしてはポ
リエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、
エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オ
リゴアクリレート、アルキドアクリレート、ポリオール
アクリレートなどが挙げられる。これらの架橋剤は単独
で又は2種以上が混合して使用される。これらの架橋剤
の添加量としては、樹脂1重量部に対して0.001〜
1.0重量部が好ましく、更に好ましくは0.01〜
0.5重量部である。添加量が0.001重量部以下で
あると架橋効率が悪くなり、逆に1.0重量部以上にな
ると白濁度が低下し、コントラストが低くなる。
【0111】次に光重合開始剤としてはラジカル反応型
とイオン反応型に大別でき、更にラジカル反応型は光開
裂型と水素引抜き型とに分けられる。具体的には前記し
たバリアー層で用いたものと同様なものが挙げられる。
下記のものが挙げられる。これらの光重合開始剤は、単
独で又は2種以上混合して使用される。添加量としては
架橋剤1重量部に対して0.005〜1.0重量部が好
ましく、更に好ましくは0.01〜0.5重量部であ
る。
【0112】次に光重合促進剤としては、ベンゾフェノ
ン系やチオキサントン系などの水素引抜きタイプの光重
合開始剤に対し、硬化速度を向上させる効果があり、芳
香族系の第3級アミンや脂肪族アミン系がある。具体的
には次のものが挙げられる。 P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル これら光重合促進剤は単独で又は2種以上混合して使用
される。
【0113】添加量としては光重合開始剤1重量部に対
して0.1〜5重量部が好ましく、更に好ましくは0.
3〜3重量部である。
【0114】また、本発明に用いる紫外線照射装置は、
光源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置から構成されて
いる。光源には水銀ランプ、メタルハライドランプ、カ
リウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプ
があるが、前記した光重合開始剤及び光重合促進剤の紫
外線吸収波長に対応した発光スペクトルを有する光源を
使用すればよい。また紫外線照射条件については、樹脂
を架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ
出力、搬送速度を決めればよい。
【0115】本発明において、可逆性感熱記録材料の感
熱層の樹脂を架橋するのに特に効果的な電子線照射法は
以下のとおりである。
【0116】まず、EB照射装置としては、走査形(ス
キャンビーム)あるいは非走査形(エリアビーム)の2
種に大別できるが、照射面積、照射線量等の目的に応じ
て決めればよい。次に、EB照射条件については、樹脂
を架橋するために必要な線量に応じて、電子流、照射
幅、搬送スピードを考慮し次式から決められる。
【0117】D=(△E/△R)・η・I/(W・V) D:必要線量(Mrad) △E/△R:平均エネルギー損失 η:効率 I:電子流(mA) W:照射幅(cm) V:搬送速度(cm/s) 工業的には、これを簡略化し、 D・V=K・I/W とし、装置定格をMrad・m/minで示す。電子流
定格は、実験器では20〜30mA、パイロット機では
50〜100mA、生産機では100〜500mA程度
が選ばれる。
【0118】ここで、樹脂を架橋するために必要な線量
については、樹脂の種類および重合度、架橋剤の種類お
よび添加量、可塑剤の種類および添加量等により架橋効
率が変わり、線量に対してのゲル分率が一定でないた
め、これらの可逆性感熱記録材料の感熱層の構成因子水
準を決めて記録層を作成し、ゲル分率目標値を決め、そ
れに応じての線量を決めればよい。
【0119】また、照射線量は、樹脂を架橋させるため
に高エネルギーを必要とする場合には、支持体または樹
脂等が照射により発生する熱によって変形、熱分解をす
るのを防ぐため、照射を複数回に分けて、1回当たりの
照射で高熱になるのを防ぐことが好ましい。
【0120】そして、EB照射を行なう前に、感熱層に
含有される有機低分子物質の少なくとも一部を溶融する
温度以上で加熱した後、架橋することが好ましく、また
更に、有機低分子物質が全て溶融する温度以上に加熱し
た後、架橋することが好ましい。
【0121】感熱層構成因子それぞれがゲル分率との関
係は前記したとおりである。まず、樹脂の種類としては
前記した樹脂が選択できるが、これらの重合度は平均重
合度(P)が高くなるにつれてゲル分率が向上する傾向
にあり、好ましくはP=300以上であり、更に好まし
くはP=600以上である。
【0122】架橋剤の種類及び添加量については前記し
たとおりであり、また可塑剤の種類としては、前記した
可塑剤の中で脂肪酸エステル、ポリエステル系可塑剤、
エポキシ系可塑剤等が好ましく、特にエポキシ系可塑剤
が照射変色、架橋効率からみて最適である。可塑剤の添
加量については、その添加量の増加につれてゲル分率が
向上する傾向にあり、樹脂1重量部に対して0.01〜
1.0重量部が好ましく、更に好ましくは0.05〜
0.5重量部である。
【0123】上記手段の他に、繰り返し耐久性を向上さ
せるためには、以下の方法がある。第1に、感熱層の軟
化温度を高温側へ上げることによって耐久性は向上す
る。軟化温度がより高い方が更に耐久性は向上する。軟
化温度の測定方法としては、ゲル分率測定で用いたもの
と同様な膜を用いて、熱機械分析装置(TMA)や動的
粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
【0124】また、更に前記したように形成された感熱
層を剥離せずに剛体振り子法・動的粘弾性測定装置によ
り測定することができる。
【0125】また、その軟化点については経時による変
動が少ない方が前記した経時の消去特性の変動が少なく
なる。
【0126】第2の方法としては、後に述べるように、
支持体上に形成された感熱層上に前記した保護層を積層
し、その積層間の層間強度を強くすることによっても耐
久性は向上する。層間強度がより強い方がより耐久性は
向上する。層間強度測定方法はTappi UM−40
3に準じて行うことができる。
【0127】第3の方法としては、感熱層のTMA針入
測定による針入度が少ない方が耐久性は向上する。針入
度がより少ない方が更に耐久性は向上する。針入度測定
方法としては、支持体上に形成された記録層を用いて、
軟化温度測定に用いたTMAを用い、先端断面積の小さ
なプローブ(針入プローブ)を記録層上に乗せ荷重を加
え、必要により加熱してその変位量により測定すること
ができる。
【0128】第4の方法としては、EB架橋後に感熱層
中に残存する架橋剤量が少ない方が耐久性は向上する。
残存量がより少ない方が耐久性は更に向上する。残存量
測定方法としては次の方法が挙げられる。
【0129】測定装置としてフーリエ変換赤外分光光度
計に取り付けられるATR測定付属装置を用い、測定サ
ンプルとしては上記ゲル分率測定に用いた感熱層塗膜を
使用し、EB照射後の資料の810cm-1付近に現われ
るアクリロイル基のCH面外変角振動による吸収帯強度
を測定する。この吸収帯強度は架橋剤残存量と比例関係
にあり、残存量が減れば、強度も減少する。これにより
残存量を知ることができる。
【0130】残存量値としては感熱層中樹脂1重量部に
対して0.2重量部以下がよく、好ましくは0.1重量
部以下であり、更に好ましくは0.05重量部以下であ
り、特に好ましくは0.01重量部以下である。
【0131】この測定方法においては、上記測定のほか
にUV硬化で用いられる光重合開始剤、光増感剤及び熱
硬化で用いられる触媒等の残存量も知ることができ、ま
たそれぞれの残存成分の定性分析により、感熱層中の樹
脂の架橋が、EB硬化かUV硬化あるいは熱硬化のう
ち、どの方法を用いたのかを判定することができる。い
ずれの方法においても残存成分が少ない方が耐久性がよ
くなる。
【0132】またこの測定方法では、塗膜表面の数μm
オーダの薄い層のみの知見が得られるため、支持体上に
形成した感熱層をそのまま測定することも可能である。
【0133】本発明のの感熱層を有する可逆性感熱記
録材料に形成される画像を反射画像として用いる場合に
は、記録層の背面に光を反射する層を設けるのが望まし
い。また、反射層があると記録層の厚みを薄くとてもコ
ントラストを上げることができる。具体的にはAl、N
i、Sn等を蒸着することが挙げられる(特開昭64−
14079号公報に記載)。
【0134】また、感熱層にはその感熱層を保護するた
めに保護層を設けることができる。保護層(厚さ0.1
〜10μm)の材料としては、シリコーン系ゴム、シリ
コーン樹脂(特開昭63−221087号公報)、ポリ
シロキサングラフトポリマー(特願昭62−15255
0号明細書に記載)や紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹
脂(特願昭63−310600号明細書に記載)等が挙
げられる。いずれの場合も、塗布時に溶剤を用いるが、
その溶剤は、記録層の樹脂ならびに有機低分子物質を溶
解しにくいほうが望ましい。
【0135】感熱層の樹脂及び有機低分子物質を溶解し
にくい溶剤としてn−ヘキサン、メチルアルコール、エ
チルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げら
れ、特にアルコール系の溶剤がコスト面から望ましい。
【0136】また、これら保護層は、感熱層の樹脂を架
橋するのと同時に硬化させることも可能である。この場
合には前記した方法により支持体上に感熱層を形成した
後に、保護層を塗布、乾燥し、その後に前記したEB照
射装置及び照射条件あるいはUV照射装置及び照射条件
により電子線又は紫外線照射を行ない、それぞれの層を
硬化させればよい。
【0137】本発明のの感熱層を有する可逆性感熱記
録材料では支持体と感熱層の間に視認性をよくするため
に着色層を設けることもできる。着色層は着色材及び樹
脂バインダーを主成分とする溶液又は分散液を対象面に
塗布、乾燥するか、或いは単に着色シートを貼り合わせ
ることにより形成される。ここで着色剤としては上層の
記録層の透明及び白濁の変化を反射画像として認識でき
ればよく、赤、黄、青、紺、紫、黒、茶、灰、橙、緑な
どの色を有する染料、顔料等が使用される。また、樹脂
バインダーとしては各種熱可塑性、熱硬化性又は紫外線
硬化性樹脂が使用される。また、支持体と感熱層との間
に、空気を有する非密着部である空気層を設けることが
できる。空気層を設けると、感熱層の主成分として用い
られた樹脂母材の屈折率が1.4〜1.6程度で、空気
の屈折率1.0との差が大きいため、感熱層側フィルム
と非密着部との界面で光が反射し、感熱層が白濁状態の
とき白濁度が増幅され、視認性が向上するので、この非
密着部位を表示部として用いることが望ましい。非密着
部位は非密着部の内部に空気を有するため、その非密着
部が断熱層となり、熱感度が向上する。更に、非密着部
位はクッションの役目もなし、サーマルヘッドで圧力を
かけて押さえつけても実際に感熱部材に加わる圧力は低
くなり、熱を加えても感熱層の変形は少なく、有機低分
子物質粒子の拡大もなく、繰り返し耐久性が向上する。
【0138】支持体裏面に接着剤層又は粘着剤層を設け
て、可逆性感熱記録ラベルとして用いることも可能であ
る。このラベルシートは被貼着体と貼り合わされる。被
貼着体としては、例えば、クレジットカード等の塩ビカ
ード、ICカード、IDカード、紙、フィルム、合成
紙、ボーディングパス、定期券等が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。また、支持体がAl蒸着
層のような樹脂との接着力に乏しい材質の場合には、支
持体と感熱層との間に前記したような接着層を設けても
よい(特開平3−7377号公報)。
【0139】また、本発明の可逆性感熱記録材料を用い
た画像表示を行なうための感熱記録画像表示装置として
は、多種多様なものが挙げられるが、その代表的なもの
は可逆製感熱記録材料に画像形成・消去を行なうための
画像形成手段と画像消去手段が同一の発熱体、例えばサ
ーマルヘッドでサーマルヘッドに印字加するエネルギー
を変化させることにより画像処理を行なうことができる
感熱記録画像表示装置、又は画像形成手段がサーマルヘ
ッドであり、画像消去手段がサーマルヘッド、ホットス
タンプ、ヒートローラー、ヒートブロック等の発熱体を
接着させる接触押圧型手段か、或いは温風や赤外線など
を用いた非接触型手段のうち一つから選択される感熱記
録画像表示装置がある。
【0140】本発明の可逆性感熱記録材料は記録層が全
体として架橋構造を呈しているため、記録層は有機物質
粒子を含めて歪みを生じることがなく、常に良好な記録
消去が行なえる。
【0141】
【実施例】以下本発明を実施例を挙げてより具体的に説
明する。ここでの部及び%はいずれも重量基準である。
【0142】実施例1 (可逆性感熱記録材料の作製)約188μm厚のポリエ
ステルフィルム上にAlを約400Å厚となるように真
空蒸着して光反射層を設けた。この上に 塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体 5部 (電気化学工業社製、デンカビニール♯1000P) THF(テトラヒドロフラン) 95部 よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して約0.5μm厚の
接着層を設けた。
【0143】さらにその上に 1,18−オフタデカジカルボン酸ジドデシル 4.75部 (ミヨシ油脂社製) エイコサン2酸(岡村製油社製、SL−20−99) 5.25部 フタル酸ジソデシル 2.3部 塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体 28部 (東ソー社製、リューロンQS−430) DPCA−30(日本化薬社製、DPCA−30) 4.7部 THF(テトラヒドロフラン) 215.5部 アミルアルコール 24部 ジブチル錫ラウレート系安定剤 0.8部 (三共有機合成社製、Stann SCAT−1) よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して約8μm厚の感熱
層(可逆性感熱記録層)を設けた。この時、感熱層表面
には有機低分子物質の析出がみとめられた。
【0144】次に上記のように作成した感熱層に以下の
とおり、電子線照射を行った。電子線照射装置として日
新ハイボルテージ社製のエリアビーム型電子線照射装置
EBC−200−AA2を用い、照射線量が10Mra
dになるように調整して、電子線照射を行なった。この
ようにして感熱層の形成された可逆性感熱記録材料を作
成した。この感熱層の平均粒子径は2.3μmであり、
有機低分子物質の含有率は32%であった。
【0145】次に、このようにして形成した感熱層の上
に 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10部 (鐘淵化学工業社製;M2018) テトラヒドロフラン 90部 よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥後80W/cmの紫外
線ランプで架橋させ約2μm厚のバリアー層を設けた。
このバリアー層は感熱層上に析出していた有機低分子物
質を取り込み、平均粒子径0.2μmの結晶核を形成し
ていた。また、この有機低分子物質の含有率は3%であ
った。
【0146】次に、このようにして形成したバリアー層
の上に ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の75%酢酸ブチル溶液 10部 (大日本インキ社製、ユニディックC7−157) IPA(イソプロピルアルコール) 10部 よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後、8
0W/cmの紫外線ランプで硬化させ、約2μm厚のオ
ーバーコート層の形成された可逆性感熱記録材料を作成
した。
【0147】実施例2 実施例1においての感熱層の上に 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10部 (鐘淵化学工業社製;M2018) エステルアクリレート紫外線硬化樹脂 2.5部 (大日本インキ社製 ユニディックC4−782) テトラヒドロフラン 87.5部 よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥後80W/cmの紫外
線ランプで架橋させ約2μm厚のバリアー層を設けた。
このバリアー層は感熱層上に析出していた有機低分子物
質を取り込み、平均粒子径0.2μmの結晶核を形成し
ていた。また、有機低分子物質の含有率は3%であっ
た。次にこのようにして形成されたバリアー層上に、実
施例1においてのオーバーコート層を形成し、可逆性感
熱記録材料を形成した。
【0148】実施例3 感熱層を 1,18−オフタデカジカルボン酸ジドデシル 4.75部 (ミヨシ油脂社製) エイコサン2酸(岡村製油社製、SL−20−99) 5.25部 フタル酸ジイソデシル 2.3部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 28部 (鐘淵化学工業社製;M2018) DPCA−60(日本化薬社製、DPCA−60) 0.9部 DPCA−120(日本化薬社製、DPCA−120) 3.7部 THF 215.5部 アミルアルコール 24部 ジブチル錫ラウレート系安定剤 0.8部 (三共有機合成社製、Stann SCAT−1) よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して約8μm厚の感熱
層(可逆性感熱記録層)とした以外は、実施例2と同様
にして可逆性感熱記録材料を作成した。感熱層の平均粒
子径は1.8μmであり、有機低分子物質の含有率は3
3%であった。またこのバリアー層中の有機低分子物質
の結晶核の粒子径は0.1μmであり、有機低分子物質
の含有率は2%であった。
【0149】実施例4 実施例1において、バリアー層中の塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体を塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重
合体(旭化成社製F−216)に変更した以外は実施例
1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。また、
このバリアー層中の有機低分子物質の結晶核の平均粒子
径は0.3μmであり、有機低分子物質の含有率は3%
であった。
【0150】実施例5 実施例3において、バリアー層中に1,18オクタデカ
ジカルボン酸ラウリル0.1部とエイコサン2酸0.1
部を添加した以外は実施例3と同様にして可逆性感熱記
録材料を作成した。このバリアー層中の結晶核の平均粒
子径は0.4μmであり、有機低分子物質の含有率は4
%であった。
【0151】比較例1 実施例1の感熱層上の析出した有機低分子物質をイソプ
ロピルアルコールを用いて拭きとり、感熱層上に直接オ
ーバーコート層を形成し、可逆性感熱記録材料を作成し
た。
【0152】比較例2 実施例1において、バリアー層が 変性ナイロン(東レ社製、CM8000) 10部 メチルアルコール 90部 とした以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材
料を作成した。このバリアー層中に結晶核は確認できな
かった。代表的例の断面図を図2(a)〜(c)に示
す。ここで、実施例の可逆性感熱記録材料は図2(a)
で、比較例1の可逆性感熱記録材料は図2(b)で、比
較例2の可逆性感熱記録材料は図2(c)で、それぞれ
示される。このようにして得られた実施例及び比較例の
可逆性感熱記録材料について次のように繰り返し耐久性
試験を行ない、ヘッドカス付着の評価を行なった。
【0153】(ヘッドカス付着評価)感熱記録装置とし
て、八城電気社製の印字試験装置を用い、サーマルヘッ
ドには京セラ(株)KBE−410−8MGKIのサー
マルヘッドを用いて、パルス幅2.0msec、印加電
圧11.5Vの条件で白濁画像形成を行ない、また次に
印加電圧を8.5Vに変更して画像消去を行なった。可
逆性感熱記録材料の白濁画像形成、消去を1回ずつ行な
うことを1サイクルと考えて、合計100サイクルにな
るまで同じ条件で繰り返し耐久性試験を行ない、可逆性
感熱記録材料の印字状態、消去状態、サーマルヘッドに
付着したカスの状態を目視にて評価した。その結果を表
2に示す。また試験後の可逆性感熱記録材料の断面図と
有機低分子物質の動きを図3(a)〜(c)に示す。
【0154】
【表2】
【0155】
【発明の効果】実施例及び比較例の結果から明らかなよ
うに、本発明の可逆性感熱記録材料のはサーマルヘッド
による記録・再生を繰り返してもサーマルヘッドにカス
付着がなく、画像均一性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる感熱層の熱による透明度の変化
を表わした図である。
【図2】(a)実施例1〜4の可逆性感熱記録材料の断
面図である。 (b)比較例1の可逆性感熱記録材料の断面図である。 (c)比較例2の可逆性感熱記録材料の断面図である。
【図3】(a)繰り返し耐久性後の実施例1〜4の可逆
性感熱記録材料の断面図と有機低分子物質の動きを説明
する図である。 (b)繰り返し耐久性後の比較例1の可逆性感熱記録材
料の断面図と有機低分子物質の動きを説明する図であ
る。 (c)繰り返し耐久性後の比較例2の可逆性感熱記録材
料の断面図と有機低分子物質の動きを説明する図であ
る。
【符号の説明】
1 樹脂 2 結晶核 3 有機物質 4 樹脂母材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41M 5/18 101E 101A (72)発明者 天野 哲也 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 久田見 篤 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に樹脂母材及びその樹脂母材中
    に分散された有機物質を主成分とし、温度に依存して透
    明度又は色調が可逆的に変化する感熱層並びにオーバー
    コート層を有する可逆性感熱記録材料において、前記の
    感熱層とオーバーコート層との間に、樹脂を主成分とす
    るバリアー層を設け、該バリアー層中に前記感熱層中の
    有機物質に対し、結晶核となりうる粒径の有機物質を含
    有することを特徴とする可逆性感熱記録材料を用いた記
    録・再生方法。
  2. 【請求項2】 支持体上に樹脂母材及びその樹脂母材中
    に分散された有機低分子物質を主成分とし、温度に依存
    して透明度が可逆的に変化する感熱層並びにオーバーコ
    ート層を有する可逆性感熱記録材料において、前記の感
    熱層とオーバーコート層との間に、樹脂を主成分とする
    バリアー層を設け、該バリアー層中に前記感熱層中の有
    機低分子物質に対し、結晶核となりうる粒径の有機物質
    を含有することを特徴とする可逆性感熱記録材料を用い
    た記録・再生方法。
  3. 【請求項3】 支持体上に樹脂母材及びその樹脂母材中
    に分散された電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合
    物を主成分とし、温度に依存して色調が可逆的に変化す
    る感熱層並びにオーバーコート層を有する可逆性感熱記
    録材料において、前記の感熱層とオーバーコート層との
    間に、樹脂を主成分とするバリアー層を設け、該バリア
    ー層中に前記感熱層中の有機物質に対し、結晶核となり
    うる粒径の有機物質を含有することを特徴とする可逆性
    感熱記録材料を用いた記録・再生方法。
  4. 【請求項4】 サーマルヘッドによって記録・再生する
    請求項1、2又は3の何れかに記載の記録・再生方法。
  5. 【請求項5】 前記バリアー層中に分散された結晶核の
    粒径が記録・再生を繰り返した後、拡大することを特徴
    とする請求項1、2又は3の何れかに記載の記録・再生
    方法。
  6. 【請求項6】 支持体上に樹脂母材及びその樹脂母材中
    に分散された有機物質を主成分とし、温度に依存して透
    明度又は色調が可逆的に変化する感熱層並びにオーバー
    コート層を有する可逆性感熱記録材料において、前記の
    感熱層とオーバーコート層との間に、樹脂を主成分とす
    るバリアー層を設け、該バリアー層中に前記感熱層中の
    有機物質に対し、結晶核となりうる粒径の有機物質を含
    有することを特徴とする可逆性感熱記録材料。
  7. 【請求項7】 支持体上に樹脂母材及びその樹脂母材中
    に分散された有機低分子物質を主成分とし、温度に依存
    して透明度が可逆的に変化する感熱層並びにオーバーコ
    ート層を有する可逆性感熱記録材料において、前記の感
    熱層とオーバーコート層との間に、樹脂を主成分とする
    バリアー層を設け、該バリアー層中に前記感熱層中の有
    機低分子物質に対し、結晶核となりうる粒径の有機物質
    を含有することを特徴とする可逆性感熱記録材料。
  8. 【請求項8】 支持体上に樹脂母材及びその樹脂母材中
    に分散された電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合
    物を主成分とし、温度に依存して色調が可逆的に変化す
    る感熱層並びにオーバーコート層を有する可逆性感熱記
    録材料において、前記の感熱層とオーバーコート層との
    間に、樹脂を主成分とするバリアー層を設け、該バリア
    ー層中に前記感熱層中の有機物質に対し、結晶核となり
    うる粒径の有機物質を含有することを特徴とする可逆性
    感熱記録材料。
  9. 【請求項9】 前記バリアー層中の有機物質の結晶核の
    平均粒子径と感熱層の有機物質の平均粒子径との比が
    1:5〜1:1000である請求項6、7又は8の何れ
    かに記載の可逆性感熱記録材料。
  10. 【請求項10】 前記バリアー層中の有機物質の結晶核
    の径が0.01〜0.5μmである請求項9に記載の可
    逆性感熱記録材料。
  11. 【請求項11】 前記バリアー層の単位重量当りの有機
    物質の含有率が感熱層の単位重量当りの低分子物質の含
    有率の1/5〜1/1000倍である請求項6、7又は
    8の何れかに記載の可逆性感熱記録材料。
  12. 【請求項12】 前記バリアー層の単位体積当りの有機
    物質の含有率が0.01〜10%である請求項11に記
    載の可逆性感熱記録材料。
  13. 【請求項13】 前記感熱層の樹脂母材と前記バリアー
    層の樹脂の主成分が同一である請求項6、7又は8の何
    れかに記載の可逆性感熱記録材料。
  14. 【請求項14】 前記バリアー層の樹脂が、ポリ塩化ビ
    ニル、塩化ビニル系共重合体及び塩化ビニリデン系共重
    合体から選ばれた少なくとも1種の(共)重合体と架橋
    剤とからなる請求項6、7又は8の何れかに記載の可逆
    性感熱記録材料。
  15. 【請求項15】 前記バリアー層が電子線照射、紫外線
    照射又は熱により架橋されたものである請求項6、7、
    8又は14の何れかに記載の可逆性感熱記録材料。
  16. 【請求項16】 支持体上に樹脂母材及びその樹脂母材
    中に分散された有機物質を主成分とし、温度に依存して
    透明度が可逆的に変化する感熱層、樹脂を主成分とし結
    晶核となりうる粒径の有機物質を含有するバリアー層、
    オーバーコート層を順次積層した可逆性感熱記録材料に
    おいて、感熱層を架橋した後バリアー層を積層すること
    を特徴とする可逆性感熱記録材料の製造方法。
JP9017701A 1996-01-30 1997-01-17 可逆性感熱記録材料 Pending JPH09267568A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7422996B2 (en) 2006-03-15 2008-09-09 Ricoh Company, Ltd. Reversible thermosensitive recording medium, reversible thermosensitive recording label, reversible thermosensitive recording member, image-processing apparatus and image-processing method
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