JP3687870B2 - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可逆性感熱記録材料に関し、詳しくは、主として感熱層(可逆性感熱記録層)の温度による可逆的な透明度を利用して、情報の書込み及び消去を繰り返し行なうことのできる可逆性感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、一時的な画像形成(情報の書込み)が行なえ、不要となった時にはその画像の消去(情報の消去)ができるようにした可逆性感熱記録材料が注目されている。その代表的なものとしては、ガラス転移温度(Tg)が50〜60℃から80℃未満である低ガラス転移温度の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のような樹脂母材中に高級脂肪酸のような有機低分子物質を分散した可逆性感熱記録材料が知られている(特開昭54−119377号、特開昭55−154198号)。
しかしながら、この可逆性感熱記録材料は、サーマルヘッド等の発熱体で画像形成及び消去を複数回繰り返す間に記録層に歪が発生し、画像形成時の画像濃度が低下したり、コントラストが低下してしまうという第1の欠点がある。
【0003】
本発明者らは、上記の第1の欠点を解消し、サーマルヘッド等による画像形成・消去の繰り返し耐久性の向上を目的として、先に、可逆性感熱記録層の樹脂母材としてエポキシ樹脂を用いた可逆性感熱記録材料を提案した(特開平5−38872号)。この可逆性感熱記録材料によれば前記第1の欠点が向上するが、いまだ不十分である。
【0004】
特開平5−085045号公報において、可逆性感熱記録層に用いる樹脂母体としてヒドロキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とイソシアナート化合物からなる熱硬化型樹脂を用いて、耐熱性と機械的強度を向上させて、サーマルヘッドとの繰り返し耐久性を向上させた感熱記録媒体が提案されている。
【0005】
ところで、樹脂中に有機低分子物質を分散したタイプの可逆性感熱記録媒体においては、通常ある温度範囲で透明状態となり、それより高い温度で白濁状態となり、この状態変化を利用して画像を記録消去するのであるが、熱により透明と白濁に可逆的に変化させるには特にこの透明になる温度の巾がある程度広く且つ安定に維持されることが必要である。
【0006】
だが、前記この種の熱硬化型樹脂は硬化度合の経時変化があり、具体的には記録層形成時の硬化度合が時間が経過するにつれて変化してしまう。樹脂の硬化度合が経時変化するに伴い、透明化温度巾も経時に縮小しているため、初期の画像消去温度設定が不可能となり、この消去温度設定が非常に繁雑になるという第2の問題がある。
【0007】
本発明者らは、前記第1、第2の欠点を改良する目的で、可逆性感熱記録材料の感熱層の熱圧力段差が40%以下で、且つ熱圧力段差変化率が70%以下であることにより、感熱層の耐熱性と機機的強度を向上させ、サーマルヘッド等による繰り返し耐久性を向上させ、且つ経時での透明化温度巾の安定した可逆性感熱記録媒体を提案している(特開平7−172072号)。この可逆性感熱記録材料の使用によれば、前記の欠点が相当緩和される。
【0008】
しかしながら、この種の可逆性感熱記録材料は、繰り返し使用できることから多様な環境下で使用又は放置されているが、特に高湿度環境下(40℃90%RH、35℃85%RH等)へ長時間放置すると白濁画像形成部又は非画像形成部の反射濃度が変化してしまい、特に白濁画像形成部では反射濃度が高くなるために、コントラストが低下してしまい視認性が悪化するという問題がある。この問題は新たな課題であり、その解決策は従来提案されていない。また更に、この可逆性感熱記録材料を特に高温環境下(50℃、70℃等)へ長時間放置したり、あるいはサーマルヘッド等により印字、消去を繰り返し行うと印字部及び非印字部が赤く変色してしまう問題があり、この問題も未だその解決手段は提案されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は前記の問題を解決するものであり、高湿度環境下へ長時間放置してもコントラストが低下することが無く、またサーマルヘッド等での繰り返し耐久性に優れ、しかも経時での透明化温度巾が安定し、消去性に優れ、更に画像形成・消去の繰り返しにより変色が発生することのない可逆性感熱記録材料を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(1)支持体上に温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を設けた可逆性感熱記録材料において、該感熱層が、塩化ビニル系樹脂及び有機低分子物質粒子を主成分とし、これにエポキシ当量600g/eq未満のエポキシ化合物を該感熱層中に含まれる樹脂100重量部に対して1〜10重量部含有させ、かつ、該樹脂が架橋剤を用いて電子線照射又は紫外線照射により架橋されてなることを特徴とする可逆性感熱記録材料、(2)前記(1)において、感熱層中に含まれる樹脂のゲル分率値が30%以上であることを特徴とする可逆性感熱記録材料、が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者等は、可逆性感熱記録材料への画像の形成及び消去の繰り返し使用により発生する画像濃度やコントラストなどの低下が何故に生じるかについて、そのメカニズムを解析、検討した。その結果、サーマルヘッド等の発熱体を該記録材料表面に押圧して画像形成を行なった場合には、次の様な現象が認められた。
樹脂母材中に有機低分子物質粒子を分散させた記録層(感熱層)を有する可逆性感熱記録材料に於て、発熱体で画像形成及び消去をする際にエネルギーの印加前又は繰り返し回数が少ないときには記録層を構成する材料の存在状態が変化するような歪みがなく、図1(a)に示す様に、樹脂母材中に有機低分子物質粒子が均一に分散された状態になっている。(後記から理解されるように、本発明の記録層は繰り返しの記録・消去によっても有機低分子物質粒子の均一分散状態は維持される)ところが画像形成の際、記録材料に発熱体などの画像形成手段を押圧しながら相対的に移動させると、記録層内部に応力がかかる。同方向のエネルギー印加が繰り返されるうちに、この応力が主たる原因となって図1(b)に示す様にエネルギー印加方向への記録層内部に歪みが発生し、それにより有機低分子物質粒子が変形した状態となる。そしてさらにエネルギー印加を同方向に繰り返すうちに歪みが進行し、図1(c)に示す様に変形した有機低分子物質粒子どうしの凝集が始まり、最終的には図1(d)に示す様に凝集粒子どうしが再凝集をして、有機低分子物質粒子が極大化した状態となってしまう。このような状態になると、画像の形成がほとんど不可能となり、所謂劣化状態となる。これらの現象が、可逆性感熱記録材料への画像の形成及び消去の繰返し後の画像濃度が低下する原因に関係していると考えられる。
【0012】
更に前記した硬化度合変化に伴い透明化温度巾が初期に比べて経時で縮小していく原因については次のように考えられる。ここで、まずその前に可逆性感熱記録材料の白濁透明変化メカニズムについては次のように推測される。すなわち、(I)透明の場合には樹脂母材料中に分散された有機低分子物質の粒子は有機低分子物質と樹脂母材は隙間無く密着しており、また粒子内部にも空隙はなく、片側から入射した光は散乱されることなく反対側に透過するため透明に見えること、また(II)白濁の場合には有機低分子物質の粒子は有機低分子物質の微細な結晶で構成されており、結晶の界面もしくは粒子と樹脂母材の界面に隙間ができ片側から入射した光は空隙と結晶、空隙と樹脂の界面で屈折し、散乱されるため白く見えること、等に由来している。
【0013】
図2(熱による透明度の変化を表している)において、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散された有機低分子物質とを主成分とする感熱層は、例えばT0以下の常温では白濁不透明状態にある。これを加熱していくと温度T1から徐々に透明になり、始め温度T2〜T3に加熱すると透明となり、この状態で再びT0以下の常温に戻しても透明のままである。これは温度T1付近から樹脂が軟化し始め、軟化が進むにつれ、樹脂が収縮し樹脂と有機低分子物質粒子との界面もしくは粒子内の空隙を減少させるため、徐々に透明度が上がり、温度T2〜T3では有機低分子物質が半溶融状態となり、残った空隙を溶融した有機低分子物質が埋めることにより透明となり、種結晶が残ったまま冷却される比較的高温で結晶化し、その際樹脂がまだ軟化状態のため、結晶化にともなう粒子の体積変化に樹脂が追随し、空隙が出来ず透明状態が維持されるためと考えられる。
【0014】
更にT4以上の温度に加熱すると、最大透明度と最大不透明度との中間の半透明状態になる。次に、この温度を下げて行くと、再び透明状態をとることなく最初の白濁不透明状態に戻る。これは温度T4以上で有機低分子物質が改善に溶融した後、過冷却状態となりT0より少し高い温度で結晶化し、その際、樹脂が結晶化にともなう体積変化に追随できず、空隙が発生するためであると思われる。ただし、図2に示した温度−透明度変化曲線は代表的な例を示しただけであり、材料をかえることにより各状態の透明度等にその材料に応じて変化が生じることがある。
【0015】
このように透明度変化には樹脂の軟化点及び軟化点以上での変化挙動が重要であるが、是記したように感熱記録層に用いる樹脂母材の硬化度合が変化していくと、硬化度合上昇にともない樹脂の軟化点も変化してしまうため、このために初期に比べて経時で変化温度巾が縮小してしまうものと考えられる。
【0016】
また更に、可逆性感熱記録材料を高湿度環境下へ長時間放置するとコントラストが低下してしまい視認性が悪化する現象が何故生じるかについて検討した。その結果、コントラストの低下は支持体と感熱層の間に光反射層(金属蒸着層)が設けられている時に顕著に見られることがわかり、この記録材料を光学顕微鏡等で観察したところ、金属蒸着層に直径10〜100μmの穴(腐蝕部)があることがわかった。この穴によりコントラストを向上させるための光反射層の効果が失われ、また光反射層の下層に磁気記録層が設けられている時には穴の部分に磁気記録層の黒色が出てしまうため、コントラストが低下してしまう原因となっている。
【0017】
前記した支持体と可逆性感熱記録層の間に設けられている光反射層(金属蒸着層)が腐蝕する原因については次のように考えられる。本発明者らが検討したところでは、特に樹脂母材に塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂を用いた場合にはその腐蝕の傾向が強い。塩化ビニル系樹脂は熱や光、放射線、剪断力などの物理的エネルギーによって分解を起こし、塩化水素(塩酸)が放出されるが、この塩酸が光反射層を腐蝕すると共に、前記した架橋方法の中で特に電子線照射では、電子線のエネルギーにより塩化ビニル部の塩素を脱離させ、炭素間で三次元架橋させることが従来知られているが、ゲル分率(架橋度合)増加にともない脱離する塩素量が増加すると考えられる。すなわち、この塩素量に比例して生成される塩化水素の量も増加し、この塩化水素(塩酸)により光反射層が腐蝕されると考えられる。
【0018】
また更に、可逆性感熱記録材料を高温環境下へ長時間放置したりあるいは繰り返し印字・消去を行うと変色が生じる現象が何故生じるかについて検討した。その結果、前記したように、塩化ビニル系樹脂は熱や光、放射線、せん断力などの物理的エネルギーによって分解を起こすことは従来から知られており、その分解の起点は分子構造上の枝分れ、二重結合部等の活性点である。そして、この活性点から塩化水素が放出され脱離することによって更にこの反応が進み、共役二重結合が増加してポリエン結合ができ変色(赤変)が発生すると考えられている。
【0019】
上記の様に塩化ビニル系樹脂は物理エネルギー作用により変色が発生すると思われるが、樹脂母材に加わるエネルギーストレスについて記録材料作成時の塗工乾燥で加わる熱エネルギーに比較して、電子線照射、紫外線照射ではかなり増加することになり、また熱架橋においても塗工乾燥よりも更に熱エネルギーストレスが増加するため、変色が発生してしまうと考えられる。
【0020】
本発明者らは、上記問題を改善すべき検討を重ねて行った結果、既述のように、支持体上に温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を設けた可逆性感熱記録材料において、該感熱層が、塩化ビニル系樹脂及び有機低分子物質粒子を主成分とし、これにエポキシ当量600g/eq未満のエポキシ化合物を一定量含有させること、及び、該感熱層中に含まれる樹脂を架橋剤を用いて電子線照射又は紫外線照射により架橋させることにより、本発明の目的が確実に達成されることを見いだした。この場合の好ましい態様は以下のとおりである。
【0032】
更に、感熱層中にエポキシ当量600g/eq未満のエポキシ化合物を含有させ、またこのエポキシ化合物を感熱層中に含まれる樹脂100重量部に対して0.01〜30重量部含有させると前記した変色を防止し、また更に、高湿度環境下放置での光反射層の腐蝕を防止する効果がある。
【0033】
ここで、本発明に用いるエポキシ化合物は従来のものに比べてエポキシ当量が少ない。すなわち、エポキシ化合物1分子中のエポキシ含有量の多いものを用いているため、前記した塩化ビニル系樹脂から発生する塩化水素を捕捉する機能に優れており、連鎖的に共役二重結合が増加するのを抑制し、また光反射層に塩化水素が接触しないようにすることで上記効果があると推測される。
このような効果をもたらすエポキシ化合物のエポキシ当量は600g/eq未満がよく、好ましくは400g/eq以下であり、更に好ましくは300g/eq以下である。
【0034】
またエポキシ化合物添加量は樹脂100重量部に対して0.01〜30重量部がよく、好ましくは0.1〜20重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。ただしエポキシ化合物を可塑剤として添加する場合には樹脂100重量部に対して1〜50重量部の添加量が好ましい。
【0035】
本発明で使用するエポキシ化合物は大別するとグリシジルエーテルとエポキシ化エステルとに分けられ、グリシジルエーテルでは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとエピクロルヒドリンとの縮合物等が挙げられ、またエポキシ化エステルではエポキシ化トリグリセライドすなわちエポキシ化天然油等が挙げられる。
具体的には下記のものが挙げられる。
エポキシ化大豆油、エポキシアリルフタレート、エポキシ化脂肪酸およびその金属塩、テトラヒドロフタル酸含有ポリエステルをエポキシ化したもの、ポリエチレングリコールモノ(エポキシステアリルエーテル)、フタル酸ビスエポキシアルキル、1−ベンジルオキシ−2,6−エポキシプロパン、2,3−エポキシシクロベンタノールエステルまたはエーテルなど。
エポキシ化合物は、可塑剤として使用することもでき、可逆性感熱記録材料の透明化温度範囲を広げるのに役立つ。
これらは少なくとも1種或いは2種以上混合して用いることが好ましい。これらの中で特にエポキシ化エステルが好ましい。
【0038】
また、安定剤としての効果を高めるために、下記の安定剤と前記エポキシ化合物を2種以上混合して用いることができる。
(i)鉛系安定剤の代表例:鉛白、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、塩基性珪酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、シリカゲル共沈珪酸鉛、ノルマル・サリチルさ酸鉛など。
(ii)有機スズ系安定剤の代表例:有機スズ系安定剤はジアルキル錫脂肪酸塩、モノアルキル錫脂肪酸塩等の有機錫ラウレート系、ジアルキル錫メルカプトカルボン酸塩、モノ又はジアルキル錫メルカプトカルボン酸エステル塩、ジアルキル錫サルファイド等の有機錫メルカプト系、ジアルキル錫マレエートポリマー、ジアルキル錫マレエートエステル塩等の有機錫マレエート系など。これらのモノアルキル基、ジアルキル基はメチル基、ブチル基、オクチル基から構成される。
(iii)これらの他に金属セッケン、非石けん化合物等の非鉛、非スズ系安定剤、有機亜リン酸塩、ポリ有機亜リン酸塩、ヒンダードフェノール類、有機硫化物等のケレーティング化合物、フェノール誘導体アミン誘導体、無機亜リン酸塩等の酸化防止剤、サリチル酸エステルおよびその誘導体、ベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0039】
これらの各種安定剤の添加量は前記エポキシ化合物100重量部に対して10〜300重量部が良く、好ましくは30〜200重量部、更に好ましくは50〜150重量部である。
【0040】
更に、前記した可逆性感熱記録材料の感熱層中の樹脂が架橋されゲル分率値が30%以上であり、樹脂を架橋剤を用いて電子線、紫外線又は熱により架橋することで前記したサーマルヘッド等での繰り返し耐久性が向上する。
これは本発明の感熱層の樹脂が架橋され、且つゲル分率値が30%以上であるため、感熱層の耐熱性、機械的強度が非常に優れるためであると考えられる。また、これにより感熱層中に有機低分子物質を含有させる場合、この物質の粒子どうしの凝集や極大化が発生しにくく、画像形成及び消去の繰り返し後の劣化が少なく、高コントラストが維持されるものと推測される。
これらの効果に対してゲル分率値は30%以上がよく、好ましくは50%以上であり、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
【0041】
ゲル分率測定方法としては支持体上に感熱層を任意の膜厚で形成し、電子線照射又は紫外線照射を行なった後に、支持体より膜を剥離してその膜の初期重量を測定し、その後に膜を400メッシュ金網に挾んで、架橋前の樹脂が可溶な溶剤中に24時間浸してから真空乾燥して、乾燥後の重量を測定した。ゲル分率計算は下記式によって行なう。
ゲル分率(%)=[乾燥後重量(g)/初期重量(g)]×100
【0042】
この計算でゲル分率を算出するときに、感熱層中の樹脂成分以外の有機低分子物質粒子等の重量を除く必要があり、この場合にはゲル分率計算は下記式によって行なう。
Figure 0003687870
上記において、あらかじめ有機低分子物質重量がわからないときには、TEM、SEM等の断面観察により、単位面積あたりを占める面積比率と樹脂と有機低分子物質のそれぞれの比重により重量比率を求めて、有機低分子物質重量を算出して、ゲル分率値を算出すれば良い。
【0043】
また、上記測定方法の他に、支持体上に可逆性感熱層が設けられており、その上に前記した他の層が積層している場合、または支持体と感熱層の間に前記した他の層がある場合には、前記したように、まず前記したTEM、SEM等の断面観察により可逆性感熱層及びその他の層の膜厚を調べておき、その他の層の膜厚分の表面を削り、可逆性感熱層表面を露出させると共に、可逆性感熱層を剥離して前記測定方法と同様にゲル分率測定を行なえばよい。また、この方法において感熱層上層に紫外線硬化樹脂等からなる保護層等がある場合には、この層が混入するのを極力防ぐために、保護層分の膜厚分を削ると共に感熱層表面も少し削りゲル分率値への影響を防ぐ必要がある。
【0044】
また、上記とは別に次の様なゲル分率測定方法がある。第1としてソックスレー抽出器を用いて、架橋処理なしの樹脂が可溶な溶剤で、硬化皮膜中の未硬化分を抽出(4時間)し、非抽出残分の重量分率を求める方法、第2として表面処理のPET支持体上に上記と同様に感熱層塗膜を形成し、電子線照射を行なった後に、溶剤中に浸漬し、浸漬前後の膜厚比率を求める方法、第3として第2の方法と同様に形成させた感熱層に溶剤をスポイトで0.2ccほど滴下し、10秒間放置した後に溶剤をふきとり、滴下前後の膜厚比率を求める方法である。
これら第1の方法では、前記した様に有機低分子物質重量を除いて算出すれば良い。また、第2、第3の方法では膜厚測定によるものであるため、有機低分子物質を囲む樹脂母材が完全に架橋していれば溶剤浸漬後も膜厚は変わらないと考えられるため、重量分率での方法の様に有機低分子物質を考慮する必要はない。
【0045】
この方法で前記したように可逆性感熱層上に他の層が設けられているものを測定する場合には、まず第1の方法では前記した測定方法と同様にすればよく、また第2、第3の方法では膜厚測定によるものであるため可逆性感熱層の上層に積層されている層のみを削り測定すればよい。
【0046】
前記した可逆性感熱層中に含まれる樹脂を架橋する方法は加熱することにより又は紫外線照射(UV照射)、或いは電子線照射(EB照射)により行なうことができるが、好ましくは紫外線照射、電子線照射であり、更に好ましくは電子線照射である。
これらの架橋方法の中でEB照射が最も優れるのは次のような理由によるものである。
【0047】
まず、EBによる樹脂の硬化とUVのそれとの大きな違いは、UV硬化では光重合開始剤、光増感剤が必要であること、UVではほとんど透明性のあるものに限られることである。一方EBによる反応では、ラジカル濃度が高いので急速にラジカル反応が進行し、瞬間的に重合が完結することや、EBでは、UVに比べ、大きいエネルギが得られるため硬化膜厚が厚くできることがある。また、前記の様にUV硬化では光重合開始剤、光増感剤が必要であり、架橋反応後にこれらの添加物が記録層中に残存するため、記録層の画像形成、消去及び繰り返し耐久性等に悪影響を及ぼすことが懸念されるという不都合が生じてしまう。
【0048】
次にEB硬化と熱硬化との大きな違いでは、熱硬化では架橋のための触媒及び促進剤が必要であり、これらを用いても硬化時間がEB硬化に比べてかなり遅く、またこれについても架橋反応後に上記添加物が記録層中に残存するためUV硬化と同様な不都合が生じ、更にまた架橋反応後も少しずつ架橋反応が起こりうるため、架橋直後と経時で記録層特性に変化が生じることがある。
これらの理由によりEB照射が架橋方法の中で最適であると言える。また、これらにより繰り返し印字での画像濃度劣化も少なくなり高コントラストを維持することも認められた。
【0049】
本発明の可逆性感熱記録材料に用いられる「(温度に依存して透明度が可逆的に変化する)感熱層」とは、温度変化によって目に見える変化を可逆的に起こす材料である。目に見える変化は色の状態の変化と形状の変化に分けられるが、本発明では主に色の状態の変化を起こす材料を使用する。色の状態の変化には、透過率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化があり、実際の可逆性感熱記録材料はこれらの変化の組合せで表示を行なっている。より具体的には、熱により透明度が可逆的に変化するものならばなんでも良いが、例えば常温より高い第一の特定温度で第一の色の状態となり、第一の特定温度よりも高い第二の特定温度で加熱し、その後冷却することにより第二の色の状態となるもの、等が挙げられる。特に第一の特定温度と第二の特定温度で色の状態が変化するものが好適に用いられる。これらの例としては、第一の特定温度で透明状態となり、第二の特定温度で白濁状態となるもの(特開昭55−154198号)、第一の特定温度で白濁状態となり、第二の特定温度で透明状態となるもの(特開平3−169590号)等が挙げられる。これらはいずれも
透明状態と白濁状態が可逆的に変化する材料である。
【0050】
透明状態と白濁状態が可逆的に変化する材としては、従来の技術でも及びこれまでにも繰返し述べてきたように、ポリエステル等の樹脂母材中に高級アルコール、高級脂肪酸等の有機低分子物質を分散した感熱層が代表例として挙げられる。
【0051】
前記の透明度に変化を生じせしめるタイプの感熱層は、樹脂母材及びこの樹脂母材中に分散された有機低分子物質を主成分としたものである。ここでの可逆性感熱記録材料は、後述するように、透明になる温度の範囲がある。本発明の可逆性感熱記録材料は、前記のごとき透明度変化(透明状態、白濁不透明状態)を利用しており、そのメカニズムについては次のように推測される。すなわち、(I)透明の場合には樹脂母材中に分散された有機低分子物質の粒子は有機低分子物質と樹脂母材とは隙間なく密着しており、また粒子内部にも空隙はなく、片側から入射した光は散乱されること無く反対側に透過するため透明に見えること、また、(II)白濁の場合には有機低分子物質の粒子は有機低分子物質の微細な結晶で構成されており、結晶の界面若しくは粒子と樹脂母材の界面に隙間ができ片側から入射した光は空隙と結晶、空隙と樹脂の界面で屈折し、散乱されるため白く見えること、等に由来している。
【0052】
従って、熱を選択的に与えることにより感熱層を選択的に加熱し、透明地に白濁画像、白濁地に透明画像を形成することができ、その変化は何回も繰り返しすることが可能である。そして、このような感熱層の背面に着色シートを配置すれば、白地に着色シートの色の画像または着色シートの色の地に白地の画像を形成することができる。また、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)などで投影すれば、白濁部は暗部になり、透明部は光が透過しスクリーン上では明部となる。
【0053】
感熱層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜20μmがさらに好ましい。記録層が厚すぎると層内での熱の分布が発生し均一に透明化することが困難となる。また、感熱層が薄すぎると白濁度が低下しコントラストが低くなる。なお、記録層中の脂肪酸の量を増加させると白濁度を増すことができる。
【0054】
透明状態と白濁状態が可逆的に変化する材料を用いる感熱記録材料を作るには、例えば下記の方法により支持体上に感熱層を形成する。場合によっては、支持体上を用いることなくシート状として成形するこのもできる。
1)樹脂母材及び有機低分子物質を溶媒中に溶解し、これを支持体上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あるいはシート状にするとともに架橋するか、又はシート状とした後、架橋する方法。
2)樹脂母材のみを溶解させる溶媒に樹脂母材を溶解させ、その中に有機低分子物質を種々の方法で粉砕又は分散し、これを支持体上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あるいはシート状にするとともに架橋するか、又はシート状とした後、架橋する方法。
3)溶媒を用いず、樹脂母材と有機低分子物質を加熱溶融混合し、これを皮膜あるいはシート状に成形して冷却した後、架橋するする方法。
感熱層又は感熱記録材料作成用溶剤としては、樹脂母材及び有機低分子物質の種類によって種々選択できるが、例えばテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。なお、分散液を使用した場合はもちろんであるが、溶液を使用した場合も得られる感熱層中では有機低分子物質は微粒子として析出し、分散状態で存在する。
【0055】
本発明において、可逆性感熱記録材料の感熱層の樹脂母材に用いられる樹脂は皮膜またはシートを形成することができ、透明性が良く、機械的に安定な樹脂が好ましい。このような樹脂としては、ポリ塩化ビニル:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体、塩化ビニルと炭素数3以上の脂肪酸のビニルエステルとの共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体等の塩化ビニル系共重合体;ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニリデン系共重合体;ポリメタクリレート、メタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0056】
また、これらの樹脂と下記にあげる樹脂とを組み合せて用いることができる。飽和ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、天然ゴム、ポリアクロレイン、ポリカーボネートから選ばれたものを少なくとも一種若しくは2種以上含むもの、またはこれらを含む共重合体であるものが挙げられるが、その他にポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、或いはこれらの共重合体も使用できる。
【0057】
また更に、樹脂に塩化ビニル共重合体を用いる場合には、これら重合体の平均重合度がP=300以上が好ましく、更に好ましくはP=600以上であり、また塩化ビニル単位と共重合モノマー単位との重合比が90/10〜40/60が好ましく、更に好ましくは85/15〜50/50である。
また樹脂母材に用いられる樹脂のガラス転移温度(Tg)は好ましくは100℃未満、更に好ましくは90℃未満、特に好ましくは80℃未満である。
【0058】
一方、有機低分子物質としては記録層中で粒子状になれば良く、一般に融点30〜200℃、好ましくは50〜150℃程度のものが使用される。このような有機低分子物質としてはアルカノール;アルカンジオール;ハロゲンアルカノールまたはハロゲンアルカンジオール;アルキルアミン;アルカン;アルケン;アルキン;ハロゲンアルカン;ハロゲンアルケン;ハロゲンアルキン;シクロアルカン;シクロアルケン;シクロアルキン;飽和または不飽和モノまたはジカルボン酸又はこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;飽和または不飽和ハロゲン脂肪酸またはこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;アリルカルボン酸またはそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;ハロゲンアリルカルボン酸またはそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;チオアルコール;チオカルボン酸又はそれらのエステル、アミンまたはアンモニウム塩;チオアルコールのカルボン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上混合して使用される。これらの化合物の炭素数は10〜60、好ましくは10〜38、特に10〜30が好ましい。エステル中のアルコール基部分は飽和していてもよく、飽和していなくてもよく、またハロゲン置換されていてもよい。いずれにしても有機低分子物質は分子中に酸素、窒素、硫黄及びハロゲンの少くとも1種、例えば−OH、−COOH、−CONH、−COOR、−NH、−NH2、−S−、−S−S−、−O−、ハロゲン等を含む化合物であることが好ましい。
【0059】
本発明において前記有機低分子物質としては、低融点の有機低分子物質と、高融点の有機低分子物質とを組み合わせて用いることにより、透明化温度巾を更に拡大させることができ好ましい。前記低融点有機低分子物質と高融点有機低分子物質の融点の差は20℃以上が好ましく、更に好ましくは30℃以上であり、特に好ましくは40℃以上である。
低融点有機低分子物質材料としては、融点40℃〜100℃のものが好ましく、50℃〜80℃のものががさらに好ましい。高融点有機低分子物質としては、融点100℃〜200℃のものが好ましく、110℃〜180℃のものが更に好ましい。
【0060】
これらの有機低分子物質の中で本発明で用いられる低融点有機低分子物質としては下記の脂肪酸エステル、二塩基酸エステル、多価アルコールジ脂肪酸エステルが好ましい。これらは少なくとも1種或いは2種以上混合して用いられる。
【0061】
本発明で用いられる脂肪酸エステルは、同じ炭素数の脂肪酸(2分子会合状態)より融点が低く、逆に同じ融点の脂肪酸よりも炭素数が多いという特徴を持つ。
サーマルヘッドでの画像の印字−消去の繰り返しによる劣化は、樹脂母材と有機低分子物質の加熱時の相溶による有機低分子物質粒子の分散状態の変化が原因と考えられ、樹脂母材と有機低分子物質の相溶性は有機低分子物質の炭素数が多いほど低下し、画像の印字−消去の劣化が少ないものと考えられる。更に白濁度も炭素数に比例して増加する傾向にある。
その為、同じ透明化温度(融点付近にある)の可逆性感熱記録材料において、樹脂母材中に分散させる有機低分子物質として脂肪酸エステルを用いることにより、脂肪酸を用いた場合に比較し、白濁度が高く、つまりコントラストが高く、しかも繰り返し耐久性が向上するものと思われる。
そして、このような脂肪酸エステルと高融点の有機低分子物質を混合して用いることにより、透明化温度巾を広くすることができ、サーマルヘッドでの消去の性能も高く、そのため、保存により多少消去特性が変動しても、消去可能であり、材料自身の特性から繰り返し耐久性も向上することができる。
【0062】
本発明で用いられる脂肪酸エステルは、例えば下記一般式(I)で表わされる。
1−COO−R2 …(I)
(式中、R1,R2は炭素数10以上のアルキル基を表わす。)
脂肪酸エステルの炭素数は20以上が好ましく、25以上が更に好ましく、30以上が特に好ましい。炭素数が多くなると白濁度が高く、繰り返し耐久性が向上するという特長を有する。脂肪酸エステルの融点は40℃以上が好ましい。
これらは一種または二種以上を選択して用いられる。
【0063】
本発明で用いられる脂肪酸エステルの具体例を以下に示す。
パルミチン酸オクタデシル
パルミチン酸ドコシル
ステアリン酸ヘプチル
ステアリン酸オクチル
ステアリン酸オクタデシル
ステアリン酸ドコシル
ベヘン酸オクタデシル
ベヘン酸ドコシル
【0064】
二塩基酸エステルとしては、モノエステル、ジエステルのいずれでもよく、下記一般式(II)で表わされるものである。
【化1】
Figure 0003687870
(式中、R,R′は水素原子、又は炭素数1〜30のアルキル基を表わし、R,R′は同一であっても異なっていてもよいが、同時に水素原子である場合を除く。
nは0〜40の整数を表わす。)
上記一般式(II)で表わされる二塩基酸エステルにおいて、R,R′のアルキル基の炭素数は1〜22が好ましく、nは、1〜30が好ましく、2〜20が更に好ましい。また融点は40℃以上が好ましい。
【0065】
具体的には、
コハク酸エステル
アジピン酸エステル
セバシン酸エステル
1−又は18−オクタデカメチレンジカルボン酸エステル
等が挙げられる。
【0066】
本発明で用いる有機低分子物質の多価アルコールジ脂肪酸エステルとしては、下記の一般式(III)で表わされるものが挙げられる。
CH3(CH2)m-2COO(CH2)nOOC(CH2)m-2CH3 …(III)
(式中、nは2〜40、好ましくは3〜30、更に好ましくは4〜22の整数である。mは2〜40、好ましくは3〜30、更に好ましくは4〜22の整数である。)
具体的には以下のものが挙げられる。
1,3プロパンジオールジアルカン酸エステル
1,6ヘキサンジオールジアルカン酸エステル
1,10デカンジオールジアルカン酸エステル
1,18オクタデカンジオールジアルカン酸エステル
【0067】
多価アルコールジ脂肪酸エステルは同じ炭素数で比較すると脂肪酸より融点が低く、逆に同じ融点で比較すると脂肪酸より炭素数が多いという特徴を持つ。サーマルヘッドでの印字の繰り返し耐久性は樹脂と有機低分子物質の加熱時での相溶性が原因と考えられ、樹脂と有機低分子物質の相溶性は有機低分子物質の炭素数が多いほど低下すると考えられる。
さらに白濁度も炭素数に比例し、増加する傾向にあり、そのため多価アルコールジ脂肪酸エステルを用いることにより、同じ透明化温度(融点付近にある)の可逆性感熱記録材料において脂肪酸と比較し、繰り返し耐久性が向上すると思われる。
【0068】
また、多価アルコールジ脂肪酸エステルは低融点で、それより高融点の脂肪酸と白濁度、繰り返し耐久性の面で同程度の特性を持つため、これらより高融点の有機低分子物質と混合し、透明化温度範囲を広げた際に、脂肪酸を用いた場合と同程度の白濁度、繰り返し耐久性等の性能を持ちながら透明化温度範囲を広げることができ、ひいてはサーマルヘッド等による、短時間での加熱による画像消去(透明化)を向上させることができ、さらに、画像消去のマージンが増えることにより経時により画像消去エネルギーが変動しても、実用上問題なく、サーマルヘッドでの消去も可能となる。
【0069】
また次に、本発明で用いられる高融点有機低分子物質としては、脂肪族飽和ジカルボン酸、高級アルキル基を有するケトン、該ケトンから誘導されるセミカルバゾン、α−ホスホノ脂肪酸などが挙げられ、下記のものが好ましいが、これらに限定されるものではない。
これらは、一種または二種以上選択して用いられる。
【0070】
これら融点100℃以上の有機低分子物質の具体例を以下に示す。
脂肪族ジカルボン酸の、例えば融点100〜135℃程度の具体例としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸等が挙げられる。
【0071】
本発明において用いるケトンは、ケトン基と高級アルキル基を必須の構成基として含み、その他無置換または置換基を有する芳香環あるいは被素環を含むこともできる。前記ケトンの全炭素数は16個以上が好ましく、更に好ましくは21個以上である。また、本発明に用いるセミカルバゾンは、上記ケトンから誘導されたものである。
【0072】
本発明において使用するケトン、セミカルバゾンとしては、例えば次に示すようなものを挙げることができる。
3−オクタデカノン
7−アイコサノン
14−ヘプタコサノン
18−ペンタトリアコンタノン
テトラデカノフェノン
ドコサノフェノン
ドコサノナフトフェノン
2−ヘンエイコサノンセミカルバゾン
【0073】
本発明で用いるα−ホスホノ脂肪酸は例えばE.V.Kaurer等、J.Ak.Oil Chekist’s Soc,41,205(1964)の方法に従って脂肪酸をHell−Volhard−Zelinskin反応によって臭素化してα−臭素化酸臭化物とし、次いでエタノールを加えα−プロモ脂肪酸エステルを得、さらにトリエチルホスファイトと加熱反応してα−ホスホノ脂肪酸エステルとし、濃塩酸による加水分解を行なって生成物をトルエンから再結晶することにより得ることができる。
本発明で用いるホスホノ脂肪酸に具体例を以下に示す。
α−ホスホノミリスチル酸
α−ホスホノパルミチン酸
α−ホスホノステアリン酸
などがあげられる。なお、α−ホスホノベラルゴン酸以外は2つのmp(融点)をもっている。
【0074】
これらの低融点有機低分子物質と高融点有機低分子物質の混合重量比は95:5〜5:95が好ましく、90:10〜10:90が更に好ましく、80:20〜20:80が特に好ましい。また、これらの低融点有機低分子物質、高融点有機低分子物質以外に前記した他の有機低分子物質を混合して用いてもよい。これらは下記のものが挙げられる。
【0075】
これら化合物としてはラウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、アラギン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;
Figure 0003687870
Figure 0003687870
等のエーテル又はチオエーテル等がある。中でも本発明では高級脂肪酸、特にパルミチン酸、ペンタデカン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の炭素数16以上の高級脂肪酸が好ましく、炭素数16〜24の高級脂肪酸が更に好ましい。
【0076】
前記したように本発明において、透明化できる温度の巾を広げるには、この明細書において記載した有機低分子物質を適宜組合せるか、または、そうした有機低分子物質と融点の異なる他の材料とを組合せればよい。これらは例えば特開昭63−39378号、特開昭63−130380号などの公報や、特願昭63−14754号、特願平3−2089号などの明細書に開示されているが、これらに限定されるものではない。
【0077】
なお、感熱層中の有機低分子物質と樹脂(架橋構造を有する樹脂)との割合は、重量比で2:1〜1:16程度が好ましく、1:2〜1:8が更に好ましい。樹脂の比率がこれ以下になると、有機低分子物質を樹脂中に保持した膜に形成することが困難となり、またこれ以上になると、有機低分子物質の量が少ないため、不透明化が困難になる。
【0078】
感熱層には以上の成分の他に、透明画像の形成を容易にするために、界面活性剤、可塑剤等の添加物を添加することができる。これらの添加物の具体例は次の通りである。
可塑剤としては、リン酸エステル、脂肪酸エステル、フタル酸エステル、二塩基酸エステル、グリコール、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤が挙げられ、具体例としては下記のものである。
リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、オレイン酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジオクチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
【0079】
界面活性剤、その他の添加物の例;
多価アルコール高級脂肪酸エステル;多価アルコール高級アルキルエーテル;多価アルコール高級脂肪酸エステル、高級アルコール、高級アルキルフェノール、高級脂肪酸高級アルキルアミン、高級脂肪酸アミド、油脂又はポリプロピレングリコールの低級オレフィンオキサイド付加物;アセチレングリコール;高級アルキルベンゼンスルホン酸のNa、Ca、Ba又はMg塩;芳香族カルボン酸、高級脂肪酸スルホン酸、芳香族スルホン酸、硫酸モノエステル又はリン酸モノ−又はジ−エステルのCa、Ba又はMg塩;低度硫酸化油;ポリ長鎖アルキルアクリレート;アクリル系オルゴマー;ポリ長鎖アルキルメタクリレート;長鎖アルキルメタクリレート−アミン含有モノマー共重合体;スチレン−無水マレイン酸共重合体;オレフィン−無水マレイン酸共重合体など。
【0089】
本発明における感熱層中の樹脂を架橋させる手段としては、加熱することにより又は紫外線照射、電子線照射により行なうことができるが、これらの中で電子線照射するのが最適である。これら架橋させる方法は具体的には以下のとおりである。(i)樹脂に架橋性のあるものを用いる方法、(ii)架橋剤の添加による方法、(iii)紫外線、又は電子線の照射によって架橋させる方法、(iv)架橋剤の存在下で紫外線、又は電子線の照射によって架橋させる方法、等がある。
架橋剤としてはウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル等のオリゴマーや、各種単官能、多官能のアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、スチレン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。また、非官能性モノマー、官能性モノマーとしては、具体的には下記のものがあげられる。
【0090】
非官能性モノマーの例:
(1)メタクリル酸メチル(MMA)
(2)メタクリル酸エチル(EMA)
(3)メタクリル酸n−ブチル(BMA)
(4)メタクリル酸i−ブチル(IBMA)
(5)メタクリル酸t−ブチル(TBMA)
(6)メタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA)
(7)メタクリル酸ラウリル(LMA)
(8)メタクリル酸アルキル(SLMA)
(9)メタクリル酸トリデシル(TDMA)
(10)メタクリル酸ステアリル(SMA)
(11)メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)
(12)メタクリル酸ベンジル(BZMA)
【0091】
単官能性モノマーの例:
(13)メタクリル酸(MMA)
(14)メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)
(15)メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(HPMA)
(16)メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMMA)
(17)メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩(DMCMA)
(18)メタクリル酸ジエチルアミノエチル(DEMA)
(19)メタクリル酸グリシジル(GMA)
(20)メタクリル酸テトラヒドロフルフリル(THFMA)
(21)メタクリル酸アリル(AMA)
(22)ジメタクリル酸エチレングリコール(EDMA)
(23)ジメタクリル酸トリエチレングリコール(3EDMA)
(24)ジメタクリル酸テトラエチレングリコール(4EDMA)
(25)ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール(BDMA)
(26)ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール(HXMA)
(27)トリメタクリル酸トリメチロールプロパン(TMPMA)
(28)メタクリル酸2−エトキシエチル(ETMA)
(29)2−エチルヘキシルアクリレート
(30)フェノキシエチルアクリレート
(31)2−エトキシエチルアクリレート
(32)2−エトキシエトキシエチルアクリレート
(33)2−ヒドロキシエチルアクリレート
(34)2−ヒドロキシプロピルアクリレート
(35)ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート
(36)N−ビニルピロリドン
(37)酢酸ビニル
【0092】
2官能性モノマーの例:
(38)1,4−ブタンジオールアクリレート
(39)1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
(40)1,9−ノナンジオールジアクリレート
(41)ネオペンチルグリコールジアクリレート
(42)テトラエチレングリコールジアクリレート
(43)トリプロピレングリコールジアクリレート
(44)トリプロピレングリコールジアクリレート
(45)ポリプロピレングリコールジアクリレート
(46)ビスフェノールA.EO付加物ジアクリレート
(47)グリセリンメタクリレートアクリレート
(48)ネオペンチルグリコールのプロピレンオキサイド2モル付加のジアクリレート
(49)ジエチレングリコールジアクリレート
(50)ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート
(51)ヒドロキシピバリン酸とネオペンチルグリコールのエステルのジアクリレート
(52)2,2−ビス(4−アクリロキシ・ジエトキシフェニル)プロパン
(53)ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート
【化2】
Figure 0003687870
(54)ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート
【化3】
Figure 0003687870
(55)ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート
【化4】
Figure 0003687870
(56)2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート
【化5】
Figure 0003687870
(57)トリシクロデカンジメチロールジアクリレート
【化6】
Figure 0003687870
(58)トリシクロデカンジメチロールジアクリレートのε−カプロラクトン付加物
【化7】
Figure 0003687870
(59)1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート
【化8】
Figure 0003687870
【0093】
多官能性モノマーの例:
(60)トリメチロールプロパントリアクリレート
(61)ペンタエリスリトールトリアクリレート
(62)グリセリンPO付加トリアクリレート
【化9】
Figure 0003687870
(63)トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート
(64)ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(65)トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド3モル付加物のトリアク
リレート
(66)グリセリルプロポキシトリアクリレート
(67)ジペンタエリスリトール・ポリアクリレート
(68)ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のポリアクリレート
(69)プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート
Figure 0003687870
(70)ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロピントリアクリレート
(71)プロピオン酸・ジペンタエリスリトールのテトラアクリレート
Figure 0003687870
(72)ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
(73)プロピオン酸ジペンタエリスリトールのペンタアクリレート
Figure 0003687870
(74)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)
Figure 0003687870
(75)DPHAのε−カプロラクトン付加物
【化10】
Figure 0003687870
【0094】
オリゴマーの例:
(76)ビスフェノールA−ジエポキシアクリル酸付加物
【化11】
Figure 0003687870
【0095】
これらの架橋剤は単独で又は2種以上が混合して使用される。これらの架橋剤の添加量としては、樹脂1重量部に対して0.001〜1.0重量部が好ましく、更に好ましくは0.01〜0.5重量部である。添加量が0.001重量部以下であると架橋効率が悪くなり、逆に1.0重量部以上になると白濁度が低下し、コントラストが低くなる。
前記したように、架橋剤の添加量を少量にして架橋効率を向上させるためには、前記した架橋剤の中では、非官能性モノマーより官能性モノマーが好ましく、更に単官能モノマーよりも多官能モノマーが好ましい。
【0096】
また次に本発明における感熱層の樹脂を架橋させる手段として紫外線照射を用いる場合には次のような架橋剤、光重合開始剤、光重合促進剤を用いてもよい。具体的には下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0097】
まず架橋剤としては光重合性プレポリマーと光重合性モノマーに大別することができ、光重合性モノマーとしては前記した電子線照射で用いる架橋剤として挙げた単官能性モノマー及び多官能性モノマーと同じものを挙げることができる。
また次に光重合性プレポリマーとしてはポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴアクリレート、アルキドアクリレート、ポリオールアクリレートなどが挙げられる。
これらの架橋剤は単独で又は2種以上が混合して使用される。これらの架橋剤の添加量としては、樹脂1重量部に対して0.001〜1.0重量部が好ましく、更に好ましくは0.01〜0.5重量部である。添加量が0.001重量部以下であると架橋効率が悪くなり、逆に1.0重量部以上になると白濁度が低下し、コントラストが低くなる。
【0098】
次に光重合開始剤としてはラジカル反応型とイオン反応型に大別でき、更にラジカル反応型は光開裂型と水素引抜き型とに分けられる。具体的には下記のものが挙げられる。
1.ベンゾインエーテル
イソブチルベンゾインエーテル
イソプロピルベンゾインエーテル
ベンゾインエチルエーテル
ベンゾインメチルエーテル
2.α−アシロキシムエステル
1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム
3.ベンジルケタール
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
ベンジル
ビドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
4.アセトフェノン誘導体
ジエトキシアセトフェノン
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
5.ケトン−(ケトン−アミン系)
ベンゾフェノン
クロロチオキサントン
2−クロロチオキサントン
イソプロピルチオキサントン
2−メチルチオキサントン
塩素置換ベンゾフェノン
【0099】
これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上混合して使用される。
添加量としては架橋剤1重量部に対して0.005〜1.0重量部が好ましく、更に好ましくは0.01〜0.5重量部である。
【0100】
次に光重合促進剤としては、ベンゾフェノン系やチオキサントン系などの水素引抜きタイプの光重合開始剤に対し、硬化速度を向上させる効果があり、芳香族系の第3級アミンや脂肪族アミン系がある。具体的には、P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどがあげられる。
これら光重合促進剤は単独で又は2種以上混合して使用される。
添加量としては光重合開始剤1重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜3重量部である。
【0101】
また本発明に用いる紫外線照射装置は、光源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置から構成されている。光源には水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプがあるが、前記した光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外線吸収波長に対応した発光スペクトルを有する光源を使用すればよい。また紫外線照射条件については、樹脂を架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出力、搬送速度を決めればよい。
【0102】
本発明において、可逆性感熱記録材料の感熱層の樹脂を架橋するのに特に効果的な電子線照射法は以下のとおりである。
まず、EB照射装置としては、走査形(スキャンビーム)あるいは非走査形(エリアビーム)の2種に大別できるが、照射面積、照射線量等の目的に応じて決めればよい。次に、EB照射条件については、樹脂を架橋するために必要な線量に応じて、電子流、照射幅、搬送スピードを考慮し下記式から決められる。
D=(ΔE/ΔR)・η・I/(W・V)
D:必要線量(Mrad)
ΔE/ΔR:平均エネルギ損失
η:効率
I:電子流(mA)
W:照射幅(cm)
V:搬送速度(cm/s)
工業的には、これを簡略化し、
D・V=K・I/W
とし、装置定格をMrad・m/minで示す。
電子流定格は、実験器では20〜30mA、パイロット機では50〜100mA、生産機では100〜500mA程度が選ばれる。
【0103】
ここで樹脂を架橋するために必要な線量については、樹脂の種類および重合度、架橋剤の種類および添加量、可塑剤の種類および添加量等により架橋効率が変わり、線量に対してのゲル分率が一定でないため、これらの可逆性感熱記録媒体の感熱層の構成因子水準を決めて記録層を作成し、ゲル分率目標値を決め、それに応じての線量を決めればよい。
またここで、照射線量は、樹脂を架橋させるために高エネルギーを必要とする場合には、支持体または樹脂等が照射により発生する熱によって変形、熱分解をするのを防ぐため、照射を複数回に分けて、1回当たりの照射で高熱になるのを防ぐことが好ましい。
また、EB照射を行なう前に、記録層に含有される有機低分子物質の少なくとも一部を溶融する温度以上で加熱した後、架橋することが好ましく、また更に有機低分子物質が全て溶融する温度以上に加熱した後、架橋することが好ましい。
感熱層構成因子それぞれのゲル分率との関係は以下のとおりである。
まず、樹脂の種類としては前記した樹脂が選択できるが、これらの重合度は平均重合度(P)が高くなるにつれてゲル分率が向上する傾向にあり、好ましくはP=300以上であり、更に好ましくはP=600以上である。
【0104】
架橋剤の種類および添加量については前記したとおりであり、また可塑剤の種類としては、前記した可塑剤の中で脂肪酸エステル、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤等が好ましく、特にエポキシ系可塑剤が照射変色、架橋効率からみて最適である。可塑剤の添加量については、その添加量の増加につれてゲル分率が向上する傾向にあり、樹脂1重量部に対して0.01〜1.0重量部が好ましく、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
【0105】
上記の他で、繰り返し耐久性を向上させるためには、以下の方法がある。第1に感熱層の軟化温度を高温側へ上げることによって耐久性は向上する。軟化温度がより高い方が更に耐久性は向上する。軟化温度の測定方法としては、ゲル分率測定で用いたものと同様な膜を用いて、熱機械分析装置(TMA)や動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
また、更に前記した様に形成された記録層を剥離せずに剛体振り子法・動的粘弾性測定装置により測定することができる。
また、その軟化点については経時での変動が少ない方が前記した透明化温度巾、範囲の変動が少なくなる。
【0106】
第2としては、後に述べるように、支持体上に形成された感熱層上に前記した保護層を積層し、その積層間の層間強度を強くすることによっても耐久性は向上する。層間強度がより強い方がより耐久性は向上する。層間強度測定方法はTappi UM−403に準じて行なうことができる。
【0107】
第3としては、感熱層のTMA針入測定による針入度が少ない方が耐久性は向上する。針入度がより少ない方が更に耐久性は向上する。針入度測定方法としては、支持体上に形成された記録層を用いて、軟化温度測定に用いたTMAを用い、先端断面積の小さなプローブ(針入プローブ)を記録層上に乗せ荷重を加え、必要により加熱してその変位量により測定することができる。
【0108】
第4としては、EB架橋後に感熱層中に残存する架橋剤量が少ない方が耐久性は向上する。残存量がより少ない方が耐久性は更に向上する。残存量測定方法としては下記方法が挙げられる。
測定装置としてフーリエ変換赤外分光光度計に取り付けられるATR測定付属装置を用い、測定サンプルとしては上記ゲル分率測定に用いた感熱層塗膜を使用し、EB照射後の試料の810cm~1付近に現われるアクリロイル基のCH面外変角振動による吸収帯強度を測定する。この吸収帯強度は架橋剤残存量と比例関係にあり、残存量が減れば、強度も減少するこれにより残存量を知ることができる。
残存量値としては感熱層中樹脂1重量部に対して0.2重量部以下が良く、好ましくは0.1重量部以下であり、更に好ましくは0.05重量部以下であり、特に好ましくは0.01重量部以下である。
【0109】
また、これらの他に、感熱層中の樹脂と有機低分子物質粒子との界面及び/又は粒子中に樹脂及び粒子の屈折率と異なる空隙があると、白濁状態での画像濃度が向上し、コントラストが向上する効果がある。空隙の大きさが不透明状態を検知するために用いる光の波長の1/10以上であるとより効果が顕著である。
【0110】
この▲1▼の記録材料に形成される画像を反射画像として用いる場合には、感熱層の背面に光を反射する層を設けるのが望ましい。また、反射層があると感熱層の厚みを薄くとてもコントラストを上げることができる。具体的にはAl、Ni、Sn等を蒸着することが挙げられる(特開昭64−14079号に記載)。
【0111】
また、感熱層にはその感熱層を保護するために保護層を設けることができる。保護層(厚さ0.1〜10μm)の材料としては、シリコーン系ゴム、シリコーン樹脂(特開昭63−221087号)、ポリシロキサングラフトポリマー(特願昭62−152550号明細書に記載)や紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹脂(特願昭63−310600号明細書に記載)等が挙げられる。いずれの場合も、塗布時に溶剤を用いるが、その溶剤は、記録層の樹脂ならびに有機低分子物質を溶解しにくいほうが望ましい。
感熱層の樹脂及び有機低分子物質を溶解しにくい溶剤としてn−ヘキサン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、特にアルコール系の溶剤がコスト面から望ましい。
【0112】
また、これら保護層は、感熱層の樹脂を架橋するのと同時に硬化させることも可能である。この場合には前記した方法により支持体上に感熱層を形成した後に、保護層を塗布、乾燥し、その後に前記したEB照射装置及び照射条件あるいはUV照射装置及び照射条件により電子線又は紫外線照射を行ない、それぞれの層を硬化させれば良い。
【0113】
更に、保護層形成液の溶剤やモノマー成分等から感熱層を保護するために、保護層と感熱層との間に中間層を設けることができる(特開平1−133781号に記載)。中間層の材料としては感熱層中の樹脂母材の材料として挙げたものの他に下記のような熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が使用可能である。即ち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド等が挙げられる。中間層の厚さは0.1〜2μmくらいが好ましい。
【0114】
先に触れたように、本発明では支持体と感熱層の間に視認性を良くするために着色層を設けることができる。着色層は着色剤及び樹脂バインダーを主成分とする溶液又は分散液を対象面に塗布、乾燥するか、或いは単に着色シートを貼合せることにより形成される。ここで着色剤としては上層の記録層の透明及び白濁の変化を反射画像として認識できればよく、赤、黄、青、紺、紫、黒、茶、灰、橙、緑などの色を有する染料、顔料等が使用される。また、樹脂バインダーとしては各種熱可塑性、熱硬化性又は紫外線硬化性樹脂が使用される。
【0115】
また、支持体と感熱層との間に、空気を有する非密着部である空気層を設けることができる。空気層を設けると、感熱層の主成分として用いられた有機高分子材料の屈折率が1.4〜1.6程度で、空気の屈折率1.0との差が大きいため、感熱記録層側フィルムと非密着部との界面で光が反射し、感熱層が白濁状態のとき白濁度が増幅され、視認性が向上するので、この非密着部位を表示部として用いることが望ましい。
非密着部位は非密着部の内部に空気を有するため、その非密着部が断熱層となり、感熱度が向上する。更に、非密着部位はクッションの役目もなし、サーマルヘッドで圧力をかけて押さえつけても実際に感熱部材に加わる圧力は低くなり、熱を加えても感熱層の変形は少なく、有機低分子物質粒子の拡大もなく、繰り返し耐久性が向上する。
【0116】
更に、支持体裏面に接着剤層又は粘着剤層を設けて、可逆性感熱記録ラベルとして用いることも可能である。このラベルシートは被貼着体と貼り合わされるが、被貼着体としては、例えば、クレジットカード等の塩ビカード、ICカード、IDカード、紙、フィルム、合成紙、ボーディングバス、定期券等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、支持体がAl蒸着層のような樹脂との接着力に乏しい材質の場合には、支持体と感熱層との間に接着層を設けても良い(特開平3−7377号)。
【0117】
また本発明において画像表示を行なうための感熱記録画像表示装置として用いる場合には、多種多様なものが挙げられるが、その代表的なものは可逆性感熱記録材料に画像形成・消去を行なうための画像形成手段と画像消去手段が同一の発熱体、例えばサーマルヘッドで、サーマルヘッドに印加するエネルギーを変化させることにより画像処理を行なうことができる感熱記録画像表示装置、または画像形成手段がサーマルヘッドであり、画像消去手段がサーマルヘッド、ホットスタンプ、ヒートローラー、ヒートブロック等の発熱体を接着させる接触押圧型手段か、あるいは温風や赤外線などを用いた非接触型手段のうち一つから選択される感熱記録画像表示装置がある。
【0118】
本発明の可逆性感熱記録材料は記録層が全体として架橋構造を呈しているため、記録層は有機低分子物質粒子を含めて歪みを生じることがなく、常に良好な画像記録及び消去が行なえ、また、経時安定性に優れたものとなる。
【0119】
【実施例】
以下、本発明を実施例をあげてより具体的に説明する。
ここでの部及び%はいずれも重量基準である。
【0120】
実施例1
(可逆性感熱記録材料の作製)
約188μm厚のポリエステルフィルム上に
r−Fe23 10部
塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体 10部
(UCC社製、VAGH)
イソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートL
50%トルエン溶液) 2部
メチルエチルケトン 40部
トルエン 40部
よりなる液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥して約10μm厚の磁気記録層を設けた。その上に、
特殊アクリル系紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業社製、
ユニデックC7−164、49%酢酸ブチル溶液) 10部
トルエン 4部
よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し加熱乾燥後80W/cmの紫外線ランプで紫外線を5秒間照射して約1.5μm厚の平滑層を設けた。更にその上にA1を約400Å厚となるように真空蒸着して光反射層を設けた。この上に
塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体 5部
(電気化学工業社製、デンカビニール#1000P)
THF(テトラヒドロフラン) 95部
よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して約0.5μm厚の接着層を設けた。
さらにその上に
ステアリン酸オクタデシル(日本油脂社製、M9676) 5部
エイコサン2酸(岡村製油社製、SL−20−99) 5部
フタル酸ジイソデシル 3部
塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体 37部
(鐘淵化学工業社製、20−1834 平均重合度=500、
塩化ビニル70%、プロピオン酸ビニル30%試作品)
DPCA−30(日本化薬社製、DPCA−30) 6.2部
THF 180部
トルエン 60部
エポキシ化アマニ油(エポキシ当量172g/eq 0.6部
旭電化工業社製、アデカサイザー0−180A)
よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して約8μm厚の感熱層(可逆性感熱記録層)を設けた。
次に上記のように作成した感熱層に以下のとおりにして、電子線照射を行なった。
電子線照射装置として、日新ハイボルテージ社製のエリアビーム型電子線照射装置EBC−200−AA2を用い、照射線量が10Mradになるように調整して、電子線照射を行なった。このようにして感熱層の形成された可逆性感熱記録材料を作成した。またこの感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ98%であった。
次に、このようにして形成した感熱層の上に
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の75%酢酸ブチル溶液
(大日本インキ化学社製、ユニディックC7−157) 10部
IPA(イソプロピルアルコール) 10部
よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後、80w/cmの紫外線ランプで硬化させ、約2μm厚の保護層の形成された可逆性感熱記録材料を作成した。
【0121】
実施例2
実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油の添加量を2.2部に変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ97%であった。
【0122】
実施例3
実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油をエポキシ化大豆油(エポキシ当量230g/eq、旭電化工業社製アデカサイザー0−130P)に変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ97%であった。
【0123】
実施例4
実施例3において感熱層中のエポキシ化大豆油の添加量を2.2部に変更した以外は実施例3と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂ゲル分率を測定したところ96%であった。
【0124】
実施例5
実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油をエポキシ樹脂(エポキシ当量191g/eq、旭電化工業社製アデカサイザーEP−13)に変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ97%であった。
【0125】
実施例6
実施例5において感熱層中のエポキシ樹脂の添加量を2.2部に変更した以外は実施例5と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ96%であった。
【0126】
実施例7
実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油をエポキシ樹脂(エポキシ当量144g/eq、東都化成社製YH−300)に変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂ゲル分率を測定したところ97%であった。
【0127】
実施例8
実施例7において感熱層中のエポキシ樹脂の添加量を2.2部に変更した以外は実施例7と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ97%であった。
【0128】
参考例1
実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油をビス(ジブチル錫ラウリル酸)オキサイド(三共有機合成社製、Stann SCAT−1)に変更した以外は実施例5と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ96%であった。
【0129】
参考例2
参考例1において感熱層中のビス(ジブチル錫ラウリル酸)オキサイドの添加量を2.2部に変更した以外は参考例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ95%であった。
【0130】
比較例1
実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油をなくすことに変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ98%であった。
【0131】
比較例2
実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油をなくし、またDPCA−30をなくし、電子線照射を行なわないこと以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ0%であった。
【0132】
比較例3
実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油をエポキシ樹脂(エポキシ当量954g/eq、東都化成社製YD−014)に変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ97%であった。
【0133】
比較例4
比較例3において感熱層中のエポキシ樹脂の添加量を2.2部に変更した以外は比較例3と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ96%であった。
【0134】
比較例5
実施例1と同様な支持体を用い、その上に
ステアリン酸オクタデシル(日本油脂社製、M9676) 5部
エイコサン2酸(岡村製油社製、SL−20−99) 5部
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 30部
(積水化学工業社製、エスレックA)
イソシアネート(旭化成社製、硬化剤 デュラネート24A-100) 3部
トリエチレンジアミン(硬化促進剤) 0.3部
トルエン 30部
テトラヒドロフラン 120部
よりなる溶液を塗布し、90℃で5分間加熱乾燥および熱硬化させて、硬化膜厚約8μmの感熱層(可逆性感熱記録層)を設けた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。なおこの感熱層は熱硬化であるため、電子線照射及び紫外線照射は行なわなかった。
【0135】
このようにして得られた実施例、参考例及び比較例の各可逆性感熱記録材料について、以下に示す各性能を測定し、その結果をまとめて表2〜表4に示す。
【0140】
次に前記のようにして得られた実施例、参考例及び比較例の可逆性感熱記録材料について次のように繰り返し耐久性試験を行なった。
(繰り返し耐久性試験)感熱記録装置として、八城電気社製印字試験装置を用いてサーマルヘッドには京セラ社製KBE−40−8MGK1のサーマルヘッドを用い、パルス巾2.0msec、印加電圧11.5Vの条件で白濁画像形成を行ない、また次に印加電圧を8.5Vに変更して画像消去を行なった。可逆性感熱記録材料の白濁画像形成、消去を1回ずつ行なうことを1サイクルと考えて、合計300サイクルになるまで同じ条件で繰り返し耐久性試験を行なった。また繰り返し耐久性試験での画像濃度について、1サイクル目と300サイクル目の白濁濃度及び消去濃度をマクベス反射濃度計(RD−914)で測定した。測定結果をまとめて表4に示す。また上記のようにして繰り返し耐久性試験を行なった印字部の変色を目視にて確認し、5段階のランク評価した。ここでランク5とは変色がない状態であり、数字が小さくなると共に変色が見られ、ランク1ではかなり変色している状態である。結果をまとめて表4に示す。
【0142】
【表2】
Figure 0003687870
【0143】
【表3】
Figure 0003687870
【0144】
【表4】
Figure 0003687870
【0145】
【発明の効果】
実施例及び比較例の記述から明らかなように、本発明の可逆性感熱記録材料は高湿度環境下へ長時間放置しても金属蒸着層の腐蝕が発生せずコントラストが低下することがなく、またサーマルヘッドによる繰り返し耐久性に優れ、しかも経時での透明化温度巾が安定し、消去性に優れ、更に画像形成・消去の繰り返しにより変色が発生しないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)、(c)及び(d)は従来の画像表示における発熱体による可逆性感熱記録材料の影響を表わした図。
【図2】本発明に係る感熱層の熱による透明度の変化を表わした図。

Claims (2)

  1. 支持体上に温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を設けた可逆性感熱記録材料において、該感熱層が、塩化ビニル系樹脂及び有機低分子物質粒子を主成分とし、これにエポキシ当量600g/eq未満のエポキシ化合物を該感熱層中に含まれる樹脂100重量部に対して1〜10重量部含有され、かつ、該樹脂が架橋剤を用いて電子線照射又は紫外線照射により架橋されてなることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
  2. 前記感熱層中に含まれる樹脂のゲル分率値が30%以上であることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録材料。
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