JP3427198B2 - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents

可逆性感熱記録材料

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JP3427198B2 JP20664695A JP20664695A JP3427198B2 JP 3427198 B2 JP3427198 B2 JP 3427198B2 JP 20664695 A JP20664695 A JP 20664695A JP 20664695 A JP20664695 A JP 20664695A JP 3427198 B2 JP3427198 B2 JP 3427198B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可逆性感熱記録材
料に関し、詳しくは、主として感熱層(記録層)の温度
による可逆的な透明度変化を利用して、情報の書込み及
び消去を繰り返し行なうことのできる可逆性感熱記録材
料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一時的な画像形成(情報の書込
み)が行なえ、不要となった時にはその画像の消去(情
報の消去)ができるようにした可逆性感熱記録材料が注
目されている。その代表的なものとしては、ガラス転移
温度(Tg)が50〜60℃から80℃未満である低ガ
ラス転移温度の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のよう
な樹脂母材中に高級脂肪酸のような有機低分子物質を分
散した可逆性感熱記録材料が知られている(特開昭54
−119377号、特開昭55−154198号)。し
かしながら、従来の可逆性感熱記録材料は、サーマルヘ
ッド等の発熱体で画像形成・消去を繰り返すと、感熱層
上のオーバーコート層が剥離しサーマルヘッドに付着し
て、画像が形成し難くなる欠点があり、また感熱層上に
直接オーバーコート層を形成すると、使用する樹脂モノ
マーや溶剤によっては感熱層中に浸み込み、表面を粗し
透明性を低下させる欠点があった。
【0003】本発明者らは、先に、上記の第1の欠点を
解消するため、感熱層とオーバーコート層の間に中間層
を設け、サーマルヘッド等の加熱により画像形成する際
に連続して印字しても、サーマルヘッドへのカス付着が
なく、画像均一性に優れ、またオーバーコート層を形成
しても透明性が低下することのない可逆性感熱記録材料
を提案している(特開平1−133781号)。だが、
この可逆性感熱記録材料によれば前記第1の欠点が緩和
されるものの、サーマルヘッド等による熱、圧力ストレ
スがより厳しい条件においては、画像形成・消去を繰り
返すと、オーバーコート層表面にクラックが生じ、表面
に印字跡が残ってしまう問題がある。
【0004】こうした欠点を解消するため、前記中間層
に紫外線架橋型または電子架橋型の樹脂を用い、これを
硬化させて中間層の耐熱性、機械的強度を高めた可逆性
感熱記録材料が提案されている(特開平7−11736
2号)。しかしながら、この可逆性感熱記録材料では、
中間層の架橋度合が高すぎると、サーマルヘッド等によ
る画像形成・消去で中間層とオーバーコート層との間で
剥離が生じ、印字跡が残ってしまう問題がある。
【0005】また、最近になって画像記録・消去時間の
短縮化画像記録・消去装置の小型化のために、サーマル
ヘッドによる短時間の熱印加での画像消去を行う方法が
主流になりつつあるが、これら従来の可逆性感熱記録材
料は、透明化する温度範囲の幅が狭い欠点があり、サー
マルヘッドによる画像消去が均一にできない問題があ
る。そのため本発明者等はサーマルヘッド消去性を向上
させるため、高級脂肪酸と脂肪族飽和ジカルボン酸とを
混合して用いる可逆性感熱記録材料(特開平2−136
3号及び特開平3−2089号)や、感熱層の樹脂母材
を規定した可逆性感熱記録材料(特開平5−16981
0号)を提案している。それに拘らず、これらを用いた
感熱層の上にオーバーコート層を積層すると、白濁度、
透明度が不均一になるだけでなく、オーバーコート層表
面の印刷性が悪化すると共にサーマルヘッドにカスが付
着し、画像が不均一になる問題がある。この問題は新た
な課題であり、この課題は前記した中間層の使用では解
決することができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は前記の
問題を解決するものであり、サーマルヘッド等による画
像記録・消去を繰り返しても、印字跡が発生せず、ま
た、サーマルヘッドのカス付着がなく画像均一性が良好
であり、更にオーバーコート層表面の印刷性に優れた可
逆性感熱記録材料を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記目的を
達成するために鋭意研究した結果、本発明を完成しえた
ものである。すなわち本発明によれば、(1)支持体上
に樹脂母材及びその樹脂母材中に分散された有機低分子
物質を主成分とし温度に依存して透明度が可逆的に変化
する感熱層並びにオーバーコート層を有する可逆性感熱
記録材料において、前記の感熱層とオーバーコート層と
の間に、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体及び塩
化ビニリデン系共重合体から選ばれた少なくとも1種の
樹脂と、架橋剤を主成分とするバリアー層を設け、該バ
リアー層の少なくとも一部が電子線照射又は紫外線照射
により架橋され、かつゲル分率値が35〜85%、ゲル
分率変化率が110%以下であることを特徴とする可逆
性感熱記録材料、(2)前記(1)において、前記架橋
剤をバリアー層中に5〜50重量%含有させたことを特
徴とする可逆性感熱記録材料、(3)前記(1)におい
て、熱層中に含まれる樹脂が架橋され、かつ該樹脂の
ゲル分率値が30%以上であることを特徴とする可逆性
感熱記録材料、(4)前記(3)において、感熱層中に
含まれる樹脂が架橋剤を用いて架橋されたものであるこ
とを特徴とする可逆性感熱記録材料、(5)前記(3)
又は(4)において、感熱層中に含まれる樹脂が電子線
照射、紫外線照射又は熱により架橋されたものであるこ
とを特徴とする可逆性感熱記録材料、(6)前記(1)
において、可逆性感熱記録材料の透明化開始温度変化率
が13%以下であることを特徴とする可逆性感熱記録材
料、(7)前記(1)において、樹脂母材として、塩化
ビニルと炭素数3以上の脂肪酸のビニルエステルとの共
重合体、あるいは塩化ビニルとエチレンとの共重合体の
少なくとも1種を用いることを特徴とする可逆性感熱記
録材料、が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明で問題となったのは、前記したオーバーコ
ート層表面の印刷性が悪く、またサーマルヘッドにカス
が付着し画像記録・消去が不均一になることである。本
発明者等は上記現象が何故生じるかについて検討した。
その結果、前記した様にサーマルヘッドによる画像消去
性を向上させるために有機低分子物質に炭素数の多いも
のを用い、かつ樹脂母材に塩化ビニル系共重合体でTg
の低いもの又は平均重合度の高いものを用いると、感熱
層の成膜過程で有機低分子物質が感熱層表面に析出し、
この上にオーバーコート層を積層すると、オーバーコー
ト層表面に有機低分子物質が析出し、この析出物がサー
マルヘッドに付着し、画像均一性を悪化させると共に、
印刷層をオフセット印刷により形成する時には、印刷イ
ンキのオーバーコート層への接着性を悪化させるた
め、、これらの原因により上記現象が生じると考えられ
る。
【0009】本発明者等は、可逆性感熱記録材料への画
像の形成及び消去の繰り返し使用により発生する画像濃
度やコントラストなどの低下が何故に生じるかについ
て、そのメカニズムを解析、検討した。その結果、サー
マルヘッド等の発熱体を該記録材料表面に押圧して画像
形成を行なった場合には、次の様な現象が認められた。
樹脂母材中に有機低分子物質粒子を分散させた記録層
(感熱層)を有する可逆性感熱記録材料に於て、発熱体
で画像形成及び消去をする際にエネルギーの印加前又は
繰り返し回数が少ないときには記録層を構成する材料の
存在状態が変化するような歪みがなく、図1(a)に示
す様に、樹脂母材中に有機低分子物質粒子が均一に分散
された状態になっている。(後記から理解されるよう
に、本発明の記録層は繰り返しの記録・消去によっても
有機低分子物質粒子の均一分散状態は維持される)とこ
ろが画像形成の際、記録材料に発熱体などの画像形成手
段を押圧しながら相対的に移動させると、記録層内部に
応力がかかる。同方向のエネルギー印加が繰り返される
うちに、この応力が主たる原因となって図1(b)に示
す様にエネルギー印加方向への記録層内部に歪みが発生
し、それにより有機低分子物質粒子が変形した状態とな
る。そしてさらにエネルギー印加を同方向に繰り返すう
ちに歪みが進行し、図1(c)に示す様に変形した有機
低分子物質粒子どうしの凝集が始まり、最終的には図1
(d)に示す様に凝集粒子どうしが再凝集をして、有機
低分子物質粒子が極大化した状態となってしまう。この
ような状態になると、画像の形成がほとんど不可能とな
り、所謂劣化状態となる。これらの現象が、可逆性感熱
記録材料への画像の形成及び消去の繰返し後の画像濃度
が低下する原因に関係していると考えられる。
【0010】本発明者らが上記現象を改善するべく検討
を行なった結果、先述したように感熱層とオーバーコー
ト層との間に樹脂を主成分とするバリアー層を設け、該
バリアー層が架橋され、かつゲル分率値が35〜85%
であることにより、またバリアー層のゲル分変化率が
110%以下であることにより、また更にバリアー層が
ポリ塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体、塩化ビニリデ
ン系共重合体から選ばれた少なくとも1種と架橋剤とか
らなり、架橋剤をバリアー層中に5〜50重量%含有さ
せ、電子線照射又は紫外線照射により架橋することによ
り、また更に感熱層中の樹脂が架橋され、ゲル分率値が
30%以上であり、樹脂を架橋剤を用いて電子線、紫外
線又は熱により架橋することにより本発明の目的が達成
することを見出した。
【0011】この場合の好ましい態様は以下のとおりで
ある。感熱層とオーバーコート層との間に樹脂を主成分
とするバリアー層を設け、該バリアー層が架橋されかつ
ゲル分率値が35〜85%であることにより、またバリ
アー層のゲル分率変化率が110%以下であることによ
り、また更にバリアー層がポリ塩化ビニル、塩化ビニル
系共重合体及び塩化ビニリデン系共重合体から選ばれた
少なくとも1種と架橋剤とからなり、架橋剤をバリアー
層中に5〜50重量%含有させ、電子線照射又は紫外線
射により架橋することにより、前記したオーバーコー
ト層表面に有機低分子物質が析出するのを防止し、サー
マルヘッドへのカス付着防止による画像均一性の向上
と、印刷性の向上に効果があり、また更にバリアー層の
架橋度合が適度であるため、サーマルヘッドによる印字
がされてもバリアー層とオーバーコート層との間で剥離
が発生せず、またバリアー層の耐熱性、機械的強度が優
れるため、印字跡が生じることがないものとなる。
【0012】このような効果をもたらすバリアー層ゲル
分率値は35から85%がよく、好ましくは50〜85
%であり、更に好ましくは60から85%である。バリ
アー層ゲル分率値が35%未満となると前記した耐熱
性、機械的強度が低下してしまい、バリアー層の変形、
クラック等により画像均一性が悪くなる。また逆に85
%以上となるとバリアー層とオーバーコート層との接着
性が悪くなるため、サーマルヘッド等による印字でオー
バーコート層が剥離してしまい問題となってくる。
【0013】本発明の可逆性感熱記録媒体におけるバリ
アー層のゲル分率変化率とは、バリアー層を構成する樹
脂塗膜の架橋度合の経時での変化度合を表す物性であ
り、数値が小さいほど塗膜の架橋度合が安定であること
を示してる。ゲル分率変化率が110%以下になると、
塗膜の硬さ、熱的物性の安定性が特に著しく向上し、そ
の結果バリアー層の変形、クラックおよびオーバーコー
ト層との接着性が経時で変化せず安定したものになると
考えられる。ゲル分率変化率は次式により算出される。 Gc(%)=|(GI−GD)/GI|×100 Gc:ゲル分率変化率(%) GI:初期ゲル分率値(%) GD:経時ゲル分率値(%) ここで初期ゲル分率値(GI)とはバリアー層を架橋し
てから、まず1回目に測定した値であり、架橋直後の値
でなくてもかまわない。次に経時ゲル分率値(GD)と
は初期ゲル分率値(GI)と同時期に架橋したサンプル
を50度環境下に24時間放置してから測定した値であ
る。この効果に対してゲル分率変化率は110%以下が
よく、好ましくは90%以下であり、更に好ましくは7
0%以下である。
【0014】本発明においてバリアー層のゲル分率測定
方法としては支持体上にバリアー層を任意の膜厚で形成
し、電子線照射又は紫外線照射を行なった後に、支持体
より膜を剥離してその膜の初期重量を測定し、その後に
膜を400メッシュ金網に挾んで、架橋前の樹脂が可溶
な溶剤中に24時間浸してから真空乾燥して、乾燥後の
重量を測定した。ゲル分率計算は下記式によって行な
う。 ゲル分率(%)=[乾燥後重量(g)/初期重量(g)]×100
【0015】本発明において、可逆性感熱記録材料のバ
リアー層に用いられる樹脂は皮膜またはシートを形成す
ることができ、透明性が良く、機械的に安定な樹脂が好
ましい。このような樹脂としては、ポリ塩化ビニル:塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共
重合体、塩化ビニルと炭素数3以上の脂肪酸のビニルエ
ステルとの共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体等
の塩化ビニル系共重合体;ポリ塩化ビニリデン、塩化ビ
ニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アク
リロニトリル共重合体等の塩化ビニリデン系共重合体等
が挙げられる。また更に、樹脂に塩化ビニル系共重合体
を用いる場合には、これら共重合体の平均重合度(P)
がP=300以上が好ましく、更に好ましくはP=60
0以上であり、また塩化ビニル単位と共重合モノマー単
位との重合比が90/10〜40/60が好ましく、更
に好ましくは85/15〜50/50である。また樹脂
母材に用いられる樹脂のガラス転移温度(Tg)は好ま
しくは100℃未満、更に好ましくは90℃未満、特に
好ましくは80℃未満である。
【0016】本発明におけるバリアー層を架橋させる手
段としては、紫外線照射又は電子線照射により行なうこ
とができるが、これらの中で電子線照射するのが最適で
ある。これら架橋させる方法は具体的には架橋剤の存在
下で紫外線又は電子線の照射によって架橋させる方法
ある。架橋剤としてはウレタンアクリレート系、エポキ
シアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリ
エーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステ
ル等のオリゴマーや、各種単官能、多官能のアクリレー
ト、メタクリレート、ビニルエステル、スチレン誘導
体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。また、非
官能性モノマー、官能性モノマーとしては、具体的には
下記のものがあげられる。
【0017】非官能性モノマーの例: (1)メタクリル酸メチル(MMA) (2)メタクリル酸エチル(EMA) (3)メタクリル酸n−ブチル(BMA) (4)メタクリル酸i−ブチル(IBMA) (5)メタクリル酸t−ブチル(TBMA) (6)メタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA) (7)メタクリル酸ラウリル(LMA) (8)メタクリル酸アルキル(SLMA) (9)メタクリル酸トリデシル(TDMA) (10)メタクリル酸ステアリル(SMA) (11)メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA) (12)メタクリル酸ベンジル(BZMA)
【0018】単官能性モノマーの例: (13)メタクリル酸(MMA) (14)メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA) (15)メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(HPM
A) (16)メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMMA) (17)メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロラ
イド塩(DMCMA) (18)メタクリル酸ジエチルアミノエチル(DEMA) (19)メタクリル酸グリシジル(GMA) (20)メタクリル酸テトラヒドロフルフリル(THFM
A) (21)メタクリル酸アリル(AMA) (22)ジメタクリル酸エチレングリコール(EDMA) (23)ジメタクリル酸トリエチレングリコール(3ED
MA) (24)ジメタクリル酸テトラエチレングリコール(4E
DMA) (25)ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール(B
DMA) (26)ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール(HX
MA) (27)トリメタクリル酸トリメチロールプロパン(TM
PMA) (28)メタクリル酸2−エトキシエチル(ETMA) (29)2−エチルヘキシルアクリレート (30)フェノキシエチルアクリレート (31)2−エトキシエチルアクリレート (32)2−エトキシエトキシエチルアクリレート (33)2−ヒドロキシエチルアクリレート (34)2−ヒドロキシプロピルアクリレート (35)ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート (36)N−ビニルピロリドン (37)酢酸ビニル
【0019】2官能性モノマーの例: (38)1,4−ブタンジオールアクリレート (39)1,6−ヘキサンジオールジアクリレート (40)1,9−ノナンジオールジアクリレート (41)ネオペンチルグリコールジアクリレート (42)テトラエチレングリコールジアクリレート (43)トリプロピレングリコールジアクリレート (44)トリプロピレングリコールジアクリレート (45)ポリプロピレングリコールジアクリレート (46)ビスフェノールA.EO付加物ジアクリレート (47)グリセリンメタクリレートアクリレート (48)ネオペンチルグリコールのプロピレンオキサイド
2モル付加のジアクリレート (49)ジエチレングリコールジアクリレート (50)ポリエチレングリコール(400)ジアクリレー
ト (51)ヒドロキシピバリン酸とネオペンチルグリコール
のエステルのジアクリレート (52)2,2−ビス(4−アクリロキシ・ジエトキシフ
ェニル)プロパン (53)ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレ
ート
【化1】 (54)ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールの
ε−カプロラクトン付加物のジアクリレート
【化2】 (55)ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールの
ε−カプロラクトン付加物のジアクリレート
【化3】 (56)2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチ
ル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジ
オキサンジアクリレート
【化4】 (57)トリシクロデカンジメチロールジアクリレート
【化5】 (58)トリシクロデカンジメチロールジアクリレートの
ε−カプロラクトン付加物
【化6】 (59)1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテ
ルのジアクリレート
【化7】
【0020】多官能性モノマーの例: (60)トリメチロールプロパントリアクリレート (61)ペンタエリスリトールトリアクリレート (62)グリセリンPO付加トリアクリレート
【化8】 (63)トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート (64)ペンタエリスリトールテトラアクリレート (65)トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド
3モル付加物のトリアクリレート (66)グリセリルプロポキシトリアクリレート (67)ジペンタエリスリトール・ポリアクリレート (68)ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物
のポリアクリレート (69)プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアク
リレート (70)ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプ
ロピントリアクリレート(71)プロピオン酸・ジペンタ
エリスリトールのテトラアクリレート (72)ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート (73)プロピオン酸ジペンタエリスリトールのペンタア
クリレート (74)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(D
PHA) (75)DPHAのε−カプロラクトン付加物
【化9】
【0021】オリゴマーの例: (76)ビスフェノールA−ジエポキシアクリル酸付加物
【化10】
【0022】これらの架橋剤は単独で又は2種以上が混
合して使用される。これらの架橋剤の添加量としては、
バリアー層中に5〜50重量%が好ましく、更に好まし
くは10〜40重量%である。添加量が5重量%以下で
あると架橋効率が悪くなり、逆に50重量%以上になる
と感熱層の消去特性に影響を与えてしまう。前記したよ
うに、架橋剤の添加量を少量にして架橋効率を向上させ
るためには、前記した架橋剤の中では、非官能性モノマ
ーより官能性モノマーが好ましく、更に単官能モノマー
よりも多官能モノマーが好ましい。
【0023】本発明におけるバリアー層を架橋させる手
段として紫外線照射を用いる場合には次のような架橋剤
とともに、光重合開始剤、光重合促進剤を用いてもよ
い。具体的には下記のものが挙げられるが、これらに限
定されるものではない。
【0024】まず架橋剤としては光重合性プレポリマー
と光重合性モノマーとに大別することができ、光重合性
モノマーとしては前記した電子線照射で用いる架橋剤と
して挙げた単官能性モノマー及び多官能性モノマーと同
じものを挙げることができる。また光重合性プレポリマ
ーとしてはポリエステルアクリレート、ポリウレタンア
クリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアク
リレート、オリゴアクリレート、アルキドアクリレー
ト、ポリオールアクリレートなどが挙げられる。これら
の架橋剤は単独で又は2種以上が混合して使用される。
これらの架橋剤の添加量としては、バリアー層中に5〜
50重量%が好ましく、更に好ましくは10〜40重量
%である。添加量が5重量%以下であると架橋効率が悪
くなり、逆に50重量%以上になると感熱層の消去特性
に影響を与えてしまう。
【0025】次に光重合開始剤としてはラジカル反応型
とイオン反応型とに大別でき、更にラジカル反応型は光
開裂型と水素引抜き型とに分けられる。具体的には下記
のものが挙げられる。 1.ベンゾインエーテル イソブチルベンゾインエーテル イソプロピルベンゾインエーテル ベンゾインエチルエーテル ベンゾインメチルエーテル 2.α−アシロキシムエステル 1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エ
トキシカルボニル)オキシム 3.ベンジルケタール 2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン ベンジル ビドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4.アセトフェノン誘導体 ジエトキシアセトフェノン 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−
1−オン 5.ケトン−(ケトン−アミン系) ベンゾフェノン クロロチオキサントン 2−クロロチオキサントン イソプロピルチオキサントン 2−メチルチオキサントン 塩素置換ベンゾフェノン
【0026】これらの光重合開始剤は、単独で又は2種
以上混合して使用される。添加量としては架橋剤1重量
部に対して0.005〜1.0重量部が好ましく、更に
好ましくは0.01〜0.5重量部である。
【0027】次に光重合促進剤としては、ベンゾフェノ
ン系やチオキサントン系などの水素引抜きタイプの光重
合開始剤に対し、硬化速度を向上させる効果があり、芳
香族系の第3級アミンや脂肪族アミン系がある。具体的
には、P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステ
ル、P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどが
あげられる。これら光重合促進剤は単独で又は2種以上
混合して使用される。添加量としては光重合開始剤1重
量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、更に好まし
くは0.3〜3重量部である。
【0028】バリアー層の厚さは好ましくは0.1〜5
μmであり、さらに好ましくは0.3〜3μmである。
これによりバリアー層が薄いと層として形成できにく
く、前記目的が達成できなくなり、また厚いと感熱層の
熱感度が下がる。バリアー層を形成するには例えば下記
の方法により感熱層上に形成する。樹脂および架橋剤を
溶媒中に溶解し、これを感熱層上に塗布し、溶媒を蒸発
させ皮膜にするとともに架橋する方法。バリアー層作成
用溶剤としては、樹脂および架橋剤によって種々選択で
きるが、例えばテトラヒドロフラン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭
素、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。
【0029】更に、前記した可逆性感熱記録材料の感熱
層中の樹脂が架橋されゲル分率値が30%以上であり、
樹脂を架橋剤を用いて電子線、紫外線又は熱により架橋
することで前記したサーマルヘッド等での繰り返し耐久
性が向上する。これは本発明の感熱層の樹脂が架橋さ
れ、且つゲル分率値が30%以上であるため、感熱層の
耐熱性、機械的強度が非常に優れるためであると考えら
れる。また、これにより感熱層中に有機低分子物質を含
有させる場合、この物質の粒子どうしの凝集や極大化が
発生しにくく、画像形成及び消去の繰り返し後の劣化が
少なく、高コントラストが維持されるものと推測され
る。これらの効果に対してゲル分率値は30%以上がよ
く、好ましくは50%以上であり、更に好ましくは70
%以上である。
【0030】ここで可逆性感熱記録材料の白濁透明変化
メカニズムについては次のように推測される。すなわ
ち、(I)透明の場合には樹脂母材中に分散された有機
低分子物質の粒子は有機低分子物質と樹脂母材は隙間な
く密着しており、また粒子部内にも空隙はなく、片側か
ら入射した光は散乱させること無く反対側に透過するた
め透明に見えること、また、(II)白濁の場合には有機
低分子物質の粒子は有機低分子物質の微細な結晶で構成
されており、結晶の界面若しくは粒子と樹脂母材の界面
に隙間ができ片側から入射した光は空隙と結晶、空隙と
樹脂の界面で屈折し、散乱されるため白く見えること、
等に由来している。
【0031】図2(熱による透明度の変化を表わしてい
る)において、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散された
有機低分子物質とを主成分とする感熱層は、例えばT0
以下の常温で白濁不透明状態にある。これを加熱してい
くと温度T1から徐々に透明になり、始め温度T2〜T3
に加熱すると透明となり、この状態で再びT0以下の常
温に戻しても透明のままである。これは温度T1付近か
ら樹脂が軟化し始め、軟化が進むにつれ、樹脂が収縮し
樹脂と有機低分子物質粒子との界面若しくは粒子内の空
隙を減少させるため、徐々に透明度が上がり、温度T2
〜T3では有機低分子物質が半溶融状態となり、残った
空隙を溶融した有機低分子物質が埋めることにより透明
となり、種結晶が残ったまま冷却されると比較的高温で
結晶化し、その際樹脂がまだ軟化状態のため、結晶化に
ともなう粒子の体積変化に樹脂が追随し、空隙が出来ず
透明状態が維持されるためされるためと考えられる。更
にT4以上の温度に加熱すると、最大透明度と最大不透
明度との中間の半透明状態になる。次に、この温度を下
げて行くと、再び透明状態をとることなく最初の白濁不
透明状態に戻る。これは温度T4以上で有機低分子物質
が完全に溶融した後、過冷却状態となりT0より少し高
い温度で結晶化し、その際、樹脂が結晶化にともなう体
積変化に追随できず、空隙が発生するためであると思わ
れる。
【0032】ただし図2に示した温度−透明度変化曲線
は代表的な例を示しただけであり、材料をかえることに
より各状態の透明度等にその材料に応じて変化が生じる
ことがある。この様に透明度変化には樹脂の軟化点およ
び軟化点以上での変形挙動が重要であり、前記したサー
マルヘッドでの消去特性を向上させるためには前記した
図2の温度T2〜T3の範囲である。透明化温度巾を拡大
し、また軟化点以上での変形速度を速くすることが必要
であると考えられる。透明化の開始は樹脂の軟化がきっ
かけとなる。つまり、加熱による時間が長くなると透明
化開始温度が低くなり加熱時間が短くなると開始温度が
高くなるというように加熱時間により開始温度の変化が
大きくなると樹脂の軟化が加熱時間により変化する。す
なわち、加熱時間が長いと変化しやすいが短いと軟化し
にくくなることを示している。逆に、加熱時間が変化し
ても透明化開始温度がかわらない場合には、加熱時間を
短かくしても軟化しやすいことを示している。つまり、
透明化開始温度の変化率の値が小さくなるということは
加熱時間が短くなっても樹脂が軟化しやすいということ
であり、すなわち、樹脂の変形による空隙の減少が
なり、短時間の加熱で透明化できることとなり透明化
(=消去)が高速でできることとなる。このような効果
に対して、透明化開始温度変化率は13%以下がよく、
好ましくは10%以下であり、更に好ましくは6%以下
である。
【0033】透明化開始温度変化率は次の方法により測
定される。透明化開始温度測定装置として、株式会社東
洋精機製作所社製の熱傾斜試験機HG−100を用い
る。透明化開始温度測定条件としては、熱傾斜試験機の
印字タイマーを60秒に設定し、次に圧力ゲージが1k
g/cm2になるように印字圧力を設定する。この条件
においてあらかじめ白濁状態にある可逆性感熱記録媒体
に加熱温度を50℃から1℃毎に変化させ、それぞれの
加熱温度で60秒間加熱後室温まで冷却してこれをマク
ベス反射濃度計(RD−914)で反射濃度測定を行な
う。この際、反射濃度が地肌濃度−0.2(O.D)の
値を越えた値を示した時の一番低温の加熱温度を印加時
間60秒での透明化開始温度(T60s)とする。次に前
記印字タイマーを1秒に設定し、同様に測定を行ない、
この条件下での透明化開始温度を印加時間1秒での透明
化開始温度(T1s)とする。また前記した地肌濃度とは
恒温槽を用いて任意の加熱温度にて最大透明状態にし
て、次に可逆性感熱記録媒体の反射濃度測定を10箇所
について行ない、その平均値を用いる。これらの透明化
開始温度T60s、T1sにより透明化開始温度変化率は下
記式により求められる。 透明化開始温度変化率(%)=(| T1s−T60s / T
60s|)×100 T1s :印加時間1秒透明化開始温度(℃) T60s:印加時間60秒透明化開始温度(℃) この透明化開始温度変化率を測定する場合、前記の条件
で透明化ができない場合には圧力、温度を変更すること
も可能である。
【0034】本発明の可逆性感熱記録材料において、感
熱層中の樹脂のゲル分率値は、既述のとおり、画像耐久
性向上の効果に対して30%以上が良く、好ましくは5
0%以上であり、更に好ましくは70%以上、特に好ま
しくは80%以上である。ゲル分率測定方法としては支
持体上に感熱層を任意の膜厚で形成し、電子線照射を行
なった後に、支持体より膜を剥離してその膜の初期重量
を測定し、その後に膜を400メッシュ金網に挾んで、
架橋前の樹脂が可溶な溶剤中に24時間浸してから真空
乾燥して、乾燥後の重量を測定した。ゲル分率計算は下
記式によって行なう。 ゲル分率(%)=[乾燥後重量(g)/初期重量
(g)]×100
【0035】この計算でゲル分率を算出するときに、感
熱層中の樹脂成分以外の有機低分子物質粒子等の重量を
除く必要があり、この場合にはゲル分率計算は下記式に
よって行なう。 上記において、あらかじめ有機低分子物質重量がわから
ないときには、TEM、SEM等の断面観察により、単
位面積あたりを占める面積比率と樹脂と有機低分子物質
のそれぞれの比重により重量比率を求めて、有機低分子
物質重量を算出して、ゲル分率値を算出すれば良い。
【0036】また、上記測定方法の他に、支持体上に可
逆性感熱層が設けられており、その上に前記した他の層
が積層している場合、または支持体と感熱層の間に前記
した他の層がある場合には、TEM、SEM等の断面観
察により可逆性感熱層及びその他の層の膜厚を調べてお
き、その他の層の膜厚分の表面を削り、可逆性感熱層表
面を露出させると共に、可逆性感熱層を剥離して前記測
定方法と同様にゲル分率測定を行なえばよい。また、こ
の方法において感熱層上層に紫外線硬化樹脂等からなる
保護層等がある場合には、この層が混入するのを極力防
ぐために、保護層分の膜厚分を削ると共に感熱層表面も
少し削りゲル分率値への影響を防ぐ必要がある。
【0037】また、上記とは別に次の様なゲル分率測定
方法がある。第1としてソックスレー抽出器を用いて、
架橋処理なしの樹脂が可溶な溶剤で、硬化皮膜中の未硬
化分を抽出(4時間)し、非抽出残分の重量分率を求め
る方法、第2として表面処理のPET支持体上に上記と
同様に感熱層塗膜を形成し、電子線照射を行なった後
に、溶剤中に浸漬し、浸漬前後の膜厚比率を求める方
法、第3として第2の方法と同様に形成させた感熱層に
溶剤をスポイトで0.2ccほど滴下し、10秒間放置
した後に溶剤をふきとり、滴下前後の膜厚比率を求める
方法である。これら第1の方法では、前記した様に有機
低分子物質重量を除いて算出すれば良い。また、第2、
第3の方法では膜厚測定によるものであるため、有機低
分子物質を囲む樹脂母材が完全に架橋していれば溶剤浸
漬後も膜厚は変わらないと考えられるため、重量分率で
の方法の様に有機低分子物質を考慮する必要はない。
【0038】この方法で前記したように可逆性感熱層上
に他の層が設けられているものを測定する場合には、ま
ず第1の方法では前記した測定方法と同様にすればよ
く、また第2、第3の方法では膜厚測定によるものであ
るため可逆性感熱層の上層に積層されている層のみを削
り測定すればよい。
【0039】前記した可逆性感熱層中に含まれる樹脂を
架橋する方法は加熱することにより又は紫外線照射(U
V照射)、或いは電子線照射(EB照射)により行なう
ことができるが、好ましくは紫外線照射、電子線照射で
あり、更に好ましくは電子線照射である。これらの架橋
方法の中でEB照射が最も優れるのは次のような理由に
よる。
【0040】まず、EBによる樹脂の硬化とUVのそれ
との大きな違いは、UV硬化では光重合開始剤、光増感
剤が必要であること、UVではほとんど透明性のあるも
のに限られることである。一方EBによる反応では、ラ
ジカル濃度が高いので急速にラジカル反応が進行し、瞬
間的に重合が完結することや、EBでは、UVに比べ、
大きいエネルギが得られるため硬化膜厚が厚くできるこ
とがある。また、前記の様にUV硬化では光重合開始
剤、光増感剤が必要であり、架橋反応後にこれらの添加
物が記録層中に残存するため、記録層の画像形成、消去
及び繰り返し耐久性等に悪影響を及ぼすことが懸念され
るという不都合が生じてしまう。
【0041】次にEB硬化と熱硬化との大きな違いで
は、熱硬化では架橋のための触媒及び促進剤が必要であ
り、これらを用いても硬化時間がEB硬化に比べてかな
り遅く、またこれについても架橋反応後に上記添加物が
記録層中に残存するためUV硬化と同様な不都合が生
じ、更にまた架橋反応後も少しずつ架橋反応が起こりう
るため、架橋直後と経時で記録層特性に変化が生じるこ
とがある。これらの理由によりEB照射が架橋方法の中
で最適であると言える。また、これらにより高エネルギ
ー印字での画像濃度劣化も少なくなり高コントラストを
維持することも認められた。
【0042】本発明の可逆性感熱記録材料は、前記のご
とき透明度変化(透明状態、白濁不透明状態)を利用し
ている。従って、熱を選択的に与えることにより感熱層
を選択的に加熱し、透明地に白濁画像、白濁地に透明画
像を形成することができ、その変化は何回も繰り返しす
ることが可能である。そして、このような感熱層の背面
に着色シートを配置すれば、白地に着色シートの色の画
像または着色シートの色の地に白地の画像を形成するこ
とができる。また、OHP(オーバーヘッドプロジェク
ター)などで投影すれば、白濁部は暗部になり、透明部
は光が透過しスクリーン上では明部となる。
【0043】感熱層の厚さは1〜30μmが好ましく、
2〜20μmがさらに好ましい。記録層が厚すぎると層
内での熱の分布が発生し均一に透明化することが困難と
なる。また、感熱層が薄すぎると白濁度が低下しコント
ラストが低くなる。なお、記録層中の脂肪酸の量を増加
させると白濁度を増すことができる。
【0044】本発明の可逆性感熱記録材料を作るには、
まず例えば下記の方法により支持体上に感熱層を形成す
る。場合によっては、支持体を用いることなくシート状
として成形するこのもできる。 1)樹脂母材及び有機低分子物質を溶媒中に溶解し、こ
れを支持体上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あるいはシ
ート状にするとともに架橋するか、又はシート状とした
後、架橋する方法。 2)樹脂母材のみを溶解させる溶媒に樹脂母材を溶解さ
せ、その中に有機低分子物質を種々の方法で粉砕又は分
散し、これを支持体上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あ
るいはシート状にするとともに架橋するか、又はシート
状とした後、架橋する方法。 3)溶媒を用いず、樹脂母材と有機低分子物質を加熱溶
融混合し、これを皮膜あるいはシート状に成形して冷却
した後、架橋するする方法。
【0045】感熱層又は感熱記録材料作成用溶剤として
は、樹脂母材及び有機低分子物質の種類によって種々選
択できるが、例えばテトラヒドロフラン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩
化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられ
る。なお、分散液を使用した場合はもちろんであるが、
溶液を使用した場合も得られる感熱層中では有機低分子
物質は微粒子として析出し、分散状態で存在する。
【0046】次に本発明に用いられる感熱層の樹脂母材
について説明する。前記した樹脂の軟化点については、
低温側にすることによりより透明化温度巾拡大の効果が
ある。そのため軟化点は好ましくは70℃以下であり更
に好ましくは65℃以下であり、特に好ましくは60℃
以下である。この場合に下限値は白濁時の有機低分子物
質結晶化温度よりも高いことが好ましい。またこれらの
軟化点の測定方法としては、支持体上に記録層を任意の
膜厚で形成し、その後に支持体より膜を剥離して、熱機
械的分析装置(TMA)や動的粘弾性測定装置を用いて
測定することができる。また更に前記した様に、形成さ
れた記録層を剥離せずに剛体振り子法動的粘弾性測定装
置により測定することができる。軟化点の低い樹脂とし
ては、例えば、長い側鎖を持つ樹脂や、低軟化点の樹脂
を共重合したものが挙げられる。長い側鎖を持つ樹脂の
側鎖は、アルキル基に換算して炭素数3以上が好まし
い。また側鎖中にエーテル結合エステル結合等があって
も良い。さらに側鎖の末端にカルボキシル基やヒドロキ
シル基があってもよい。主鎖の例としては、ポリ塩化ビ
ニル、ポりカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリスチレ
ン、塩素化塩ビ樹脂やこれらの共重合体が挙げられる。
【0047】本発明で用いられる塩化ビニル−ビニルエ
ステル共重合体は、ビニルエステルを構成する脂肪酸の
炭素数が3以上、即ちプロピオン酸以上である。このよ
うな塩化ビニル−ビニルエステル共重合体としては下記
のものが挙げらえれる。塩化ビニル−プロピオン酸ビニ
ル共重合体、塩化ビニル−ブチル酸ビニル共重合体、塩
化ビニル−バレリアン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−
カプロン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エナント酸ビ
ニル共重合体、塩化ビニル−カプリル酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−ペラルゴン酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−カプリン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ウンデ
カン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ラウリン酸ビニル
共重合体、塩化ビニル−トリデシル酸ビニル共重合体、
塩化ビニル−ミリスチン酸ビニル共重合体、塩化ビニル
−ペンタデシル酸ビニル共重合体、塩化ビニル−パルミ
チン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−マルガリン酸ビニ
ル共重合体、塩化ビニル−ステアリン酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−ノナデシル酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−アラキジン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ベヘ
ン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−リグノセリン酸ビニ
ル共重合体、塩化ビニル−セロチン酸ビニル共重合体、
塩化ビニル−モンタン酸ビニル共重合体、塩化ビニル−
メリシン酸ビニル共重合体。
【0048】また、上記ビニルエステルの構造は直鎖状
のノルマル体が分岐状となっても良く、具体的には下記
のものが挙げられる。 塩化ビニル−イソプロピオン酸ビニル共重合体 塩化ビニル−イソブチル酸ビニル共重合体 塩化ビニル−イソバレリアン酸ビニル共重合体 塩化ビニル−イソカプロン酸ビニル共重合体 等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。こ
れらの非重合体の共重合比は塩化ビニル単位/ビニルエ
ステル単位重量比が99/1〜20/80が好ましい。
また更に平均重合度としてはP=100以上が好まし
く、更に好ましくはP=200以上であり、特に好まし
くはP=300以上である。
【0049】次に本発明で用いる塩化ビニル−エチレン
共重合体としては、低エチレングレードから高エチレン
グレードまでの中でエチレン含有量1%以上が好まし
く、更に好ましくは2%以上であり、特に好ましくは4
%以上である。エチレン含有量が多くなるにつれて、軟
化温度が低温へシフトするため、エチレン含有量が多い
方が好ましい。また更にこれらの平均重合度としてはP
=200以上が好ましく、更に好ましくはP=300以
上であり、特に好ましくはP=400以上である。
【0050】また前記樹脂の他に低軟化点の樹脂として
は、下記一般式で表わされる塩化ビニル−ビニルエーテ
ル共重合体も挙げることができる。ビニルアルキルエー
テルのアルキル基の炭素数は3以上が好ましい。
【化11】
【0051】前記した樹脂は少なくとも一種で或いは2
以上混合して用いてもよく、また更にこれら樹脂と下記
の樹脂を混合して用いてもよい。 ポリ塩化ビニル:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩
化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩
化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニ
ル−アクリレート共重合体等の塩化ビニル系共重合体;
ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重
合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の
塩化ビニリデン系共重合体;ポリエステル;ポリアミ
ド;ポリアクリレート又はポリメタクリレート或いはア
クリレート、メタクリレート共重合体;シリコーン樹
脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、天然ゴム、
ポリビニルアルコール、ポリアクロレイン、ポリカーボ
ネート等が挙げられる。特に好ましくは下記の樹脂(東
ソー(株)社製)が挙げられる。
【0052】
【表1】
【0053】一方、有機低分子物質としては記録層中で
粒子状になれば良く、一般に融点30〜200℃、好ま
しくは50〜150℃程度のものが使用される。このよ
うな有機低分子物質としてはアルカノール;アルカンジ
オール;ハロゲンアルカノールまたはハロゲンアルカン
ジオール;アルキルアミン;アルカン;アルケン;アル
キン;ハロゲンアルカン;ハロゲンアルケン;ハロゲン
アルキン;シクロアルカン;シクロアルケン;シクロア
ルキン;飽和または不飽和モノまたはジカルボン酸又は
これらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;飽和ま
たは不飽和ハロゲン脂肪酸またはこれらのエステル、ア
ミド又はアンモニウム塩;アリルカルボン酸またはそれ
らのエステル、アミド又はアンモニウム塩;ハロゲンア
リルカルボン酸またはそれらのエステル、アミド又はア
ンモニウム塩;チオアルコール;チオカルボン酸又はそ
れらのエステル、アミンまたはアンモニウム塩;チオア
ルコールのカルボン酸エステル等が挙げられる。これら
は単独で又は2種以上混合して使用される。これらの化
合物の炭素数は10〜60、好ましくは10〜38、特
に10〜30が好ましい。エステル中のアルコール基部
分は飽和していてもよく、飽和していなくてもよく、ま
たハロゲン置換されていてもよい。いずれにしても有機
低分子物質は分子中に酸素、窒素、硫黄及びハロゲンの
少くとも1種、例えば−OH、−COOH、−CON
H、−COOR、−NH、−NH2、−S−、−S−S
−、−O−、ハロゲン等を含む化合物であることが好ま
しい。
【0054】本発明において前記有機低分子物質として
は、低融点の有機低分子物質と、高融点の有機低分子物
質とを組み合わせて用いることにより、透明化温度巾を
更に拡大させることができ好ましい。前記低融点有機低
分子物質と高融点有機低分子物質の融点の差は20℃以
上が好ましく、更に好ましくは30℃以上であり、特に
好ましくは40℃以上である。低融点有機低分子物質材
料としては、融点40℃〜100℃のものが好ましく、
50℃〜80℃のものがさらに好ましい。高融点有機低
分子物質としては、融点100℃〜200℃のものが好
ましく、110℃〜180℃のものが更に好ましい。
【0055】これらの有機低分子物質の中で本発明で用
いられる低融点有機低分子物質としては下記の脂肪酸エ
ステル、二塩基酸エステル、多価アルコールジ脂肪酸エ
ステルが好ましい。これらは少なくとも1種或いは2種
以上混合して用いられる。
【0056】本発明で用いられる脂肪酸エステルは、同
じ炭素数の脂肪酸(2分子会合状態)より融点が低く、
逆に同じ融点の脂肪酸よりも炭素数が多いという特徴を
持つ。サーマルヘッドでの画像の印字−消去の繰り返し
による劣化は、樹脂母材と有機低分子物質の加熱時の相
溶による有機低分子物質粒子の分散状態の変化が原因と
考えられ、樹脂母材と有機低分子物質の相溶性は有機低
分子物質の炭素数が多いほど低下し、画像の印字−消去
の劣化が少ないものと考えられる。更に白濁度も炭素数
に比例して増加する傾向にある。その為、同じ透明化温
度(融点付近にある)の可逆性感熱記録材料において、
樹脂母材中に分散させる有機低分子物質として脂肪酸エ
ステルを用いることにより、脂肪酸を用いた場合に比較
し、白濁度が高く、つまりコントラストが高く、しかも
繰り返し耐久性が向上するものと思われる。そして、こ
のような脂肪酸エステルと高融点の有機低分子物質を混
合して用いることにより、透明化温度巾を広くすること
ができ、サーマルヘッドでの消去の性能も高く、そのた
め、保存により多少消去特性が変動しても、消去可能で
あり、材料自身の特性から繰り返し耐久性も向上するこ
とができる。
【0057】本発明で用いられる脂肪酸エステルは、例
えば下記一般式(I)で表わされる。 R1−COO−R2 …(I) (式中、R1,R2は炭素数10以上のアルキル基を表わ
す。) 脂肪酸エステルの炭素数は20以上が好ましく、25以
上が更に好ましく、30以上が特に好ましい。炭素数が
多くなると白濁度が高く、繰り返し耐久性が向上すると
いう特長を有する。脂肪酸エステルの融点は40℃以上
が好ましい。これらは一種または二種以上を選択して用
いられる。
【0058】本発明で用いられる脂肪酸エステルの具体
例を以下に示す。 パルミチン酸オクタデシル パルミチン酸ドコシル ステアリン酸ヘプチル ステアリン酸オクチル ステアリン酸オクタデシル ステアリン酸ドコシル ベヘン酸オクタデシル ベヘン酸ドコシル
【0059】二塩基酸エステルとしては、モノエステ
ル、ジエステルのいずれでもよく、下記一般式(II)で
表わされるものである。
【化12】 (式中、R,R′は水素原子、又は炭素数1〜30のア
ルキル基を表わし、R,R′は同一であっても異なって
いてもよいが、同時に水素原子である場合を除く。nは
0〜40の整数を表わす。) 上記一般式(II)で表わされる二塩基酸エステルにおい
て、R,R′のアルキル基の炭素数は1〜22が好まし
く、nは、1〜30が好ましく、2〜20が更に好まし
い。また融点は40℃以上が好ましい。
【0060】具体的に、 コハク酸エステル アジピン酸エステル セバシン酸エステル 1−又は18−オクタデカメチレンジカルボン酸エステ
ル 等が挙げられる。
【0061】本発明で用いる有機低分子物質の多価アル
コールジ脂肪酸エステルとしては、下記の一般式(II
I)で表わされるものが挙げられる。 CH3(CH2)m-2COO(CH2)nOOC(CH2)m-2CH3 …(III) (式中、nは2〜40、好ましくは3〜30、更に好ま
しくは4〜22の整数である。mは2〜40、好ましく
は3〜30、更に好ましくは4〜22の整数である。) 具体的には以下のものが挙げられる。 1,3プロパンジオールジアルカン酸エステル 1,6ヘキサンジオールジアルカン酸エステル 1,10デカンジオールジアルカン酸エステル 1,18オクタデカンジオールジアルカン酸エステル
【0062】多価アルコールジ脂肪酸エステルは同じ炭
素数で比較すると脂肪酸より融点が低く、逆に同じ融点
で比較すると脂肪酸より炭素数が多いという特徴を持
つ。サーマルヘッドでの印字の繰り返し耐久性は樹脂と
有機低分子物質の加熱時での相溶性が原因と考えられ、
樹脂と有機低分子物質の相溶性は有機低分子物質の炭素
数が多いほど低下すると考えられる。さらに白濁度も炭
素数に比例し、増加する傾向にあり、そのため多価アル
コールジ脂肪酸エステルを用いることにより、同じ透明
化温度(融点付近にある)の可逆性感熱記録材料におい
て脂肪酸と比較し、繰り返し耐久性が向上すると思われ
る。
【0063】また、多価アルコールジ脂肪酸エステルは
低融点で、それより高融点の脂肪酸と白濁度、繰り返し
耐久性の面で同程度の特性を持つため、これらより高融
点の有機低分子物質と混合し、透明化温度範囲を広げた
際に、脂肪酸を用いた場合と同程度の白濁度、繰り返し
耐久性等の性能を持ちながら透明化温度範囲を広げるこ
とができ、ひいてはサーマルヘッド等による、短時間で
の加熱による画像消去(透明化)を向上させることがで
き、さらに、画像消去のマージンが増えることにより経
時により画像消去エネルギーが変動しても、実用上問題
なく、サーマルヘッドでの消去も可能となる。
【0064】また次に、本発明で用いられる高融点有機
低分子物質としては、脂肪族飽和ジカルボン酸、高級ア
ルキル基を有するケトン、該ケトンから誘導されるセミ
カルバゾン、α−ホスホノ脂肪酸などが挙げられ、下記
のものが好ましいが、これらに限定されるものではな
い。これらは、一種または二種以上選択して用いられ
る。
【0065】これら融点100℃以上の有機低分子物質
の具体例を以下に示す。脂肪族ジカルボン酸の、例えば
融点100〜135℃程度の具体例としては、例えば、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、
ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、
ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二
酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン
二酸、ドコサン二酸等が挙げられる。
【0066】本発明において用いるケトンは、ケトン基
と高級アルキル基を必須の構成基として含み、その他無
置換または置換基を有する芳香環あるいは被素環を含む
こともできる。前記ケトンの全炭素数は16個以上が好
ましく、更に好ましくは21個以上である。また、本発
明に用いるセミカルバゾンは、上記ケトンから誘導され
たものである。
【0067】本発明において使用するケトン、セミカル
バゾンとしては、例えば次に示すようなものを挙げるこ
とができる。 3−オクタデカノン 7−アイコサノン 14−ヘプタコサノン 18−ペンタトリアコンタノン テトラデカノフェノン ドコサノフェノン ドコサノナフトフェノン 2−ヘンエイコサノンセミカルバゾン
【0068】本発明で用いるα−ホスホノ脂肪酸は例え
ばE.V.Kaurer等、J.Ak.Oil Che
kist’s Soc,41,205(1964)の方
法に従って脂肪酸をHell−Volhard−Zel
inskin反応によって臭素化してα−臭素化酸臭化
物とし、次いでエタノールを加えα−プロモ脂肪酸エス
テルを得、さらにトリエチルホスファイトと加熱反応し
てα−ホスホノ脂肪酸エステルとし、濃塩酸による加水
分解を行なって生成物をトルエンから再結晶することに
より得ることができる。本発明で用いるホスホノ脂肪酸
に具体例を以下に示す。 α−ホスホノミリスチル酸 α−ホスホノパルミチン酸 α−ホスホノステアリン酸 などがあげられる。なお、α−ホスホノベラルゴン酸以
外は2つのmp(融点)をもっている。
【0069】これらの低融点有機低分子物質と高融点有
機低分子物質の混合重量比は95:5〜5:95が好ま
しく、90:10〜10:90が更に好ましく、80:
20〜20:80が特に好ましい。また、これらの低融
点有機低分子物質、高融点有機低分子物質以外に前記し
た他の有機低分子物質を混合して用いてもよい。これら
は下記のものが挙げられる。
【0070】これら化合物としてはラウリン酸、ドデカ
ン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、アラギン酸、
オレイン酸等の高級脂肪酸;C1633−O−C
1633 , C1633−S−C1633 ,C1837−S
−C1837 , C1225−S−C1225 ,C1939
−S−C1939 , C1225−S−S−C1225 等のエーテル又はチオエーテル等がある。中でも本発明
では高級脂肪酸、特にパルミチン酸、ペンタデカン酸、
ノナデカン酸、アラキン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、
リグノセリン酸等の炭素数16以上の高級脂肪酸が好ま
しく、炭素数16〜24の高級脂肪酸が更に好ましい。
【0071】前記したように本発明において、透明化で
きる温度の巾を広げるには、この明細書において記載し
た有機低分子物質を適宜組合せるか、または、そうした
有機低分子物質と融点の異なる他の材料とを組合せれば
よい。これらは例えば特開昭63−39378号、特開
昭63−130380号などの公報や、特願昭63−1
4754号、特願平3−2089号などの明細書に開示
されているが、これらに限定されるものではない。
【0072】なお、感熱層中の有機低分子物質と樹脂
(架橋構造を有する樹脂)との割合は、重量比で2:1
〜1:16程度が好ましく、1:2〜1:8が更に好ま
しい。樹脂の比率がこれ以下になると、有機低分子物質
を樹脂中に保持した膜に形成することが困難となり、ま
たこれ以上になると、有機低分子物質の量が少ないた
め、不透明化が困難になる。
【0073】感熱層には以上の成分の他に、透明画像の
形成を容易にするために、界面活性剤、可塑剤等の添加
物を添加することができる。これらの添加物の具体例は
次の通りである。可塑剤としては、リン酸エステル、脂
肪酸エステル、フタル酸エステル、二塩基酸エステル、
グリコール、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤
が挙げられ、具体例としては下記のものである。リン酸
トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸
トリフェニル、リン酸トリクレジル、オレイン酸ブチ
ル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ
ブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチ
ル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソ
ノニル、フタル酸ジオクチルデシル、フタル酸ジイソデ
シル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジブチル、
アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチ
ルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セ
バシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシ
ル、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレ
ングリコールジ−2−エチルブチラート、アセチルリシ
ノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチル
フタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブ
チルなど。
【0074】界面活性剤、その他の添加物の例;多価ア
ルコール高級脂肪酸エステル;多価アルコール高級アル
キルエーテル;多価アルコール高級脂肪酸エステル、高
級アルコール、高級アルキルフェノール、高級脂肪酸高
級アルキルアミン、高級脂肪酸アミド、油脂又はポリプ
ロピレングリコールの低級オレフィンオキサイド付加
物;アセチレングリコール;高級アルキルベンゼンスル
ホン酸のNa、Ca、Ba又はMg塩;芳香族カルボン
酸、高級脂肪酸スルホン酸、芳香族スルホン酸、硫酸モ
ノエステル又はリン酸モノ−又はジ−エステルのCa、
Ba又はMg塩;低度硫酸化油;ポリ長鎖アルキルアク
リレート;アクリル系オルゴマー;ポリ長鎖アルキルメ
タクリレート;長鎖アルキルメタクリレート−アミン含
有モノマー共重合体;スチレン−無水マレイン酸共重合
体;オレフィン−無水マレイン酸共重合体など。
【0075】本発明における感熱層中の樹脂を架橋させ
る手段としては、加熱することにより又は紫外線照射、
電子線照射により行なうことができるが、これらの中で
電子線照射するのが最適である。これら架橋させる方法
は具体的には以下のとおりである。(i)樹脂に架橋性
のあるものを用いる方法、(ii)架橋剤の添加による方
法、(iii)紫外線、又は電子線の照射によって架橋さ
せる方法、(iv)架橋剤の存在下で紫外線、又は電子線
の照射によって架橋させる方法、等がある。架橋剤とし
てはウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート
系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリ
レート系、ビニル系、不飽和ポリエステル等のオリゴマ
ーや、各種単官能、多官能のアクリレート、メタクリレ
ート、ビニルエステル、スチレン誘導体、アリル化合物
等のモノマーが挙げられる。また、非官能性モノマー、
官能性モノマーとしては、具体的には前記したバリアー
層で用いるモノマーと同様なものが挙げられる。
【0076】これらの架橋剤は単独で又は2種以上が混
合して使用される。これらの架橋剤の添加量としては、
樹脂1重量部に対して0.001〜1.0重量部が好ま
しく、更に好ましくは0.01〜0.5重量部である。
添加量が0.001重量部以下であると架橋効率が悪く
なり、逆に1.0重量部以上になると白濁度が低下し、
コントラストが低くなる。前記したように、架橋剤の添
加量を少量にして架橋効率を向上させるためには、前記
した架橋剤の中では、非官能性モノマーより官能性モノ
マーが好ましく、更に単官能モノマーよりも多官能モノ
マーが好ましい。
【0077】また次に本発明における感熱層の樹脂を架
橋させる手段としては、前記のバリアー層を架橋させる
手段と同様に、紫外線照射を用いる場合には次のような
架橋剤、光重合開始剤、光重合促進剤を用いてもよい。
従って、具体的には前記の例と一部重複するが下記のも
のなどが挙げられる。
【0078】架橋剤としては光重合性プレポリマーと光
重合性モノマーに大別することができ、光重合性モノマ
ーとしては前記した電子線照射で用いる架橋剤として挙
げた単官能性モノマー及び多官能性モノマーと同じもの
を挙げることができる。また次に光重合性プレポリマー
としてはポリエステルアクリレート、ポリウレタンアク
リレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリ
レート、オリゴアクリレート、アルキドアクリレート、
ポリオールアクリレートなどが挙げられる。これらの架
橋剤は単独で又は2種以上が混合して使用される。これ
らの架橋剤の添加量としては、樹脂1重量部に対して
0.001〜1.0重量部が好ましく、更に好ましくは
0.01〜0.5重量部である。添加量が0.001重
量部以下であると架橋効率が悪くなり、逆に1.0重量
部以上になると白濁度が低下し、コントラストが低くな
る。
【0079】次に光重合開始剤としてはラジカル反応型
とイオン反応型に大別でき、更にラジカル反応型は光開
裂型と水素引抜き型とに分けられる。具体的には前記し
たバリアー層で用いたものと同様なものが挙げられる。
下記のものが挙げられる。これらの光重合開始剤は、単
独で又は2種以上混合して使用される。添加量としては
架橋剤1重量部に対して0.005〜1.0重量部が好
ましく、更に好ましくは0.01〜0.5重量部であ
る。
【0080】次に光重合促進剤としては、これも前記の
バリアー層形成の例と同様に、ベンゾフェノン系やチオ
キサントン系などの水素引抜きタイプの光重合開始剤に
対し、硬化速度を向上させる効果があり、芳香族系の第
3級アミンや脂肪族アミン系がある。具体的には、P−
ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、P−ジメ
チルアミノ安息香酸エチルエステルなどがあげられる。
これら光重合促進剤は単独で又は2種以上混合して使用
される。添加量としては光重合開始剤1重量部に対して
0.1〜5重量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜
3重量部である。
【0081】また本発明に用いる紫外線照射装置は、光
源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置から構成されてい
る。光源には水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリ
ウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプが
あるが、前記した光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外
線吸収波長に対応した発光スペクトルを有する光源を使
用すればよい。また紫外線照射条件については、樹脂を
架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出
力、搬送速度を決めればよい。
【0082】本発明において、可逆性感熱記録材料の感
熱層の樹脂を架橋するのに特に効果的な電子線照射法は
以下のとおりである。まず、EB照射装置としては、走
査形(スキャンビーム)あるいは非走査形(エリアビー
ム)の2種に大別できるが、照射面積、照射線量等の目
的に応じて決めればよい。次に、EB照射条件について
は、樹脂を架橋するために必要な線量に応じて、電子
流、照射幅、搬送スピードを考慮し下記式から決められ
る。 D=(ΔE/ΔR)・η・I/(W・V) D:必要線量(Mrad) ΔE/ΔR:平均エネルギ損失 η:効率 I:電子流(mA) W:照射幅(cm) V:搬送速度(cm/s) 工業的には、これを簡略化し、 D・V=K・I/W とし、装置定格をMrad・m/minで示す。電子流
定格は、実験器では20〜30mA、パイロット機では
50〜100mA、生産機では100〜500mA程度
が選ばれる。
【0083】ここで樹脂を架橋するために必要な線量に
ついては、樹脂の種類および重合度、架橋剤の種類およ
び添加量、可塑剤の種類および添加量等により架橋効率
が変わり、線量に対してのゲル分率が一定でないため、
これらの可逆性感熱記録媒体の感熱層の構成因子水準を
決めて記録層を作成し、ゲル分率目標値を決め、それに
応じての線量を決めればよい。またここで、照射線量
は、樹脂を架橋させるために高エネルギーを必要とする
場合には、支持体または樹脂等が照射により発生する熱
によって変形、熱分解をするのを防ぐため、照射を複数
回に分けて、1回当たりの照射で高熱になるのを防ぐこ
とが好ましい。また、EB照射を行なう前に、記録層に
含有される有機低分子物質の少なくとも一部を溶融する
温度以上で加熱した後、架橋することが好ましく、また
更に有機低分子物質が全て溶融する温度以上に加熱した
後、架橋することが好ましい。感熱層構成因子それぞれ
のゲル分率との関係は前記したとおりである。まず、樹
脂の種類としては前記した樹脂が選択できるが、これら
の重合度は平均重合度(P)が高くなるにつれてゲル分
率が向上する傾向にあり、好ましくはP=300以上で
あり、更に好ましくはP=600以上である。
【0084】架橋剤の種類および添加量については前記
したとおりであり、また可塑剤の種類としては、前記し
た可塑剤の中で脂肪酸エステル、ポリエステル系可塑
剤、エポキシ系可塑剤等が好ましく、特にエポキシ系可
塑剤が照射変色、架橋効率からみて最適である。可塑剤
の添加量については、その添加量の増加につれてゲル分
率が向上する傾向にあり、樹脂1重量部に対して0.0
1〜1.0重量部が好ましく、更に好ましくは0.05
〜0.5重量部である。
【0085】上記の他で、繰り返し耐久性を向上させる
ためには、以下の方法がある。第1に感熱層の軟化温度
を高温側へ上げることによって耐久性は向上する。軟化
温度がより高い方が更に耐久性は向上する。軟化温度の
測定方法としては、ゲル分率測定で用いたものと同様な
膜を用いて、熱機械分析装置(TMA)や動的粘弾性測
定装置を用いて測定することができる。また、更に前記
した様に形成された記録層を剥離せずに剛体振り子法・
動的粘弾性測定装置により測定することができる。ま
た、その軟化点については経時での変動が少ない方が前
記した透明化温度巾、範囲の変動が少なくなる。
【0086】第2としては、後に述べるように、支持体
上に形成された感熱層上に前記した保護層を積層し、そ
の積層間の層間強度を強くすることによっても耐久性は
向上する。層間強度がより強い方がより耐久性は向上す
る。層間強度測定方法はTappi UM−403に準
じて行なうことができる。
【0087】第3としては、感熱層のTMA針入測定に
よる針入度が少ない方が耐久性は向上する。針入度がよ
り少ない方が更に耐久性は向上する。針入度測定方法と
しては、支持体上に形成された記録層を用いて、軟化温
度測定に用いたTMAを用い、先端断面積の小さなプロ
ーブ(針入プローブ)を記録層上に乗せ荷重を加え、必
要により加熱してその変位量により測定することができ
る。
【0088】第4としては、EB架橋後に感熱層中に残
存する架橋剤量が少ない方が耐久性は向上する。残存量
がより少ない方が耐久性は更に向上する。残存量測定方
法としては下記方法が挙げられる。測定装置としてフー
リエ変換赤外分光光度計に取り付けられるATR測定付
属装置を用い、測定サンプルとしては上記ゲル分率測定
に用いた感熱層塗膜を使用し、EB照射後の資料の81
0cm~1付近に現われるアクリロイル基のCH面外変角
振動による吸収帯強度を測定する。この吸収帯強度は架
橋剤残存量と比例関係にあり、残存量が減れば、強度も
減少するこれにより残存量を知ることができる。残存量
値としては感熱層中樹脂1重量部に対して0.2重量部
以下が良く、好ましくは0.1重量部以下であり、更に
好ましくは0.05重量部以下であり、特に好ましくは
0.01重量部以下である。この測定方法においては、
上記測定のほかにUV硬化で用いられる光重合開始剤、
光増感剤及び熱硬化で用いられる触媒等の残存量も知る
ことができ、またそれぞれの残存成分の定性分析によ
り、感熱層中の樹脂の架橋が、EB硬化かUV硬化ある
いは熱硬化のうち、どの方法を用いたのかを判定するこ
とができる。いずれの方法においても残存成分が少ない
方が耐久性が良くなる。またこの測定方法では、塗膜表
面の数μmオーダの薄い層のみの知見が得られるため、
支持体上に形成した感熱層をそのまま測定することも可
能である。
【0089】また、これらの他に、感熱層中の樹脂と有
機低分子物質粒子との界面及び/又は粒子中に樹脂及び
粒子の屈折率と異なる空隙があると、白濁状態での画像
濃度が向上し、コントラストが向上する効果がある。空
隙の大きさが不透明状態を検知するために用いる光の波
長の1/10以上であるとより効果が顕著である。
【0090】この記録材料に形成される画像を反射画像
として用いる場合には、感熱層の背面に光を反射する層
を設けるのが望ましい。また、反射層があると感熱層の
厚みを薄くとてもコントラストを上げることができる。
具体的にはAl、Ni、Sn等を蒸着することが挙げら
れる(特開昭64−14079号公報に記載)。
【0091】また、感熱層にはその感熱層を保護するた
めに保護層を設けることができる。保護層(厚さ0.1
〜10μm)の材料としては、シリコーン系ゴム、シリ
コーン樹脂(特開昭63−221087号公報)、ポリ
シロキサングラフトポリマー(特願昭62−15255
0号明細書に記載)や紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹
脂(特願昭63−310600号明細書に記載)等が挙
げられる。いずれの場合も、塗布時に溶剤を用いるが、
その溶剤は、記録層の樹脂ならびに有機低分子物質を溶
解しにくいほうが望ましい。感熱層の樹脂及び有機低分
子物質を溶解しにくい溶剤としてn−ヘキサン、メチル
アルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル等が挙げられ、特にアルコール系の溶剤がコスト面か
ら望ましい。
【0092】また、これら保護層は、感熱層の樹脂を架
橋するのと同時に硬化させることも可能である。この場
合には前記した方法により支持体上に感熱層を形成した
後に、保護層を塗布、乾燥し、その後に前記したEB照
射装置及び照射条件あるいはUV照射装置及び照射条件
により電子線又は紫外線照射を行ない、それぞれの層を
硬化させれば良い。
【0093】先に触れたように、本発明では支持体と感
熱層の間に視認性を良くするために着色層を設けること
ができる。着色層は着色剤及び樹脂バインダーを主成分
とする溶液又は分散液を対象面に塗布、乾燥するか、或
いは単に着色シートを貼合せることにより形成される。
ここで着色剤としては上層の記録層の透明及び白濁の変
化を反射画像として認識できればよく、赤、黄、青、
紺、紫、黒、茶、灰、橙、緑などの色を有する染料、顔
料等が使用される。また、樹脂バインダーとしては各種
熱可塑性、熱硬化性又は紫外線硬化性樹脂が使用され
る。
【0094】また、支持体と感熱層との間に、空気を有
する非密着部である空気層を設けることができる。空気
層を設けると、感熱層の主成分として用いられた有機高
分子材料の屈折率が1.4〜1.6程度で、空気の屈折
率1.0との差が大きいため、感熱記録層側フィルムと
非密着部との界面で光が反射し、感熱層が白濁状態のと
き白濁度が増幅され、視認性が向上するので、この非密
着部位を表示部として用いることが望ましい。非密着部
位は非密着部の内部に空気を有するため、その非密着部
が断熱層となり、感熱度が向上する。更に、非密着部位
はクッションの役目もなし、サーマルヘッドで圧力をか
けて押さえつけても実際に感熱部材に加わる圧力は低く
なり、熱を加えても感熱層の変形は少なく、有機低分子
物質粒子の拡大もなく、繰り返し耐久性が向上する。
【0095】更に、支持体裏面に接着剤層又は粘着剤層
を設けて、可逆性感熱記録ラベルとして用いることも可
能である。このラベルシートは被貼着体と貼り合わされ
るが、被貼着体としては、例えば、クレジットカード等
の塩ビカード、ICカード、IDカード、紙、フィル
ム、合成紙、ボーディングバス、定期券等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。また、支持体が
Al蒸着層のような樹脂との接着力に乏しい材質の場合
には、支持体と感熱層との間に接着層を設けても良い
(特開平3−7377号)。
【0096】また本発明において画像表示を行なうため
の感熱記録画像表示装置として用いる場合には、多種多
様なものが挙げられるが、その代表的なものは可逆性感
熱記録材料に画像形成・消去を行なうための画像形成手
段と画像消去手段が同一の発熱体、例えばサーマルヘッ
ドで、サーマルヘッドに印加するエネルギーを変化させ
ることにより画像処理を行なうことができる感熱記録画
像表示装置、または画像形成手段がサーマルヘッドであ
り、画像消去手段がサーマルヘッド、ホットスタンプ、
ヒートローラー、ヒートブロック等の発熱体を接着させ
る接触押圧型手段か、あるいは温風や赤外線などを用い
た非接触型手段のうち一つから選択される感熱記録画像
表示装置がある。
【0097】本発明の可逆性感熱記録材料は記録層が全
体として架橋構造を呈しているため、記録層は有機低分
子物質粒子を含めて歪みを生じることがなく、常に良好
な記録消去が行なえる。
【0098】
【実施例】以下、本発明を実施例をあげてより具体的に
説明する。ここでの部及び%はいずれも重量基準であ
る。
【0099】実施例1 (可逆性感熱記録材料の作製)約188μm厚のポリエ
ステルフィルム上にA1を約400Å厚となるように真
空蒸着して光反射層を設けた。この上に 塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体 5部 (電気化学工業社製、デンカビニール#1000P) THF(テトラヒドロフラン) 95部 よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して約0.5μm厚の
接着層を設けた。さらにその上に 1,18−オフタデカジカルボン酸ジドデシル 4.75部 (ミヨシ油脂社製) エイコサン2酸(岡村製油社製、SL−20−99) 5.25部 フタル酸ジイソデシル 2.3部 塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体 28部 (東ソー社製、リューロンQS−430) DPCA−30(日本化薬社製、DPCA−30) 4.7部 THF 215.5部 アミルアルコール 24部 ジブチル錫ラウレート系安定剤 0.8部 (三共有機合成社製、Stann SCAT−1) よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して約8μm厚の感熱
層(可逆性感熱記録層)を設けた。次に上記のように作
成した感熱層に以下のとおりにして、電子線照射を行な
った。電子線照射装置として日新ハイボルテージ社製の
エリアビーム型電子線照射装置EBC−200−AA2
を用い、照射線量が10Mradになるように調整し
て、電子線照射を行なった。このようにして感熱層の形
成された可逆性感熱記録材料を作成した。またこの感熱
層の樹脂のゲル分率を測定したところ98%であった。
次にこのようにして形成した感熱層の上に 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10部 (鐘淵化学工業社製、M2018) C4−782(大日本インキ社製、ユニデックC4−782)1.1部 テトラヒドロフラン 77.7部 よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥後80W/cmの紫外
線ランプで架橋させ約2μm厚のバリアー層を設けた。
このバリアー層のゲル分率を測定したところ38%であ
った。また、このバリアー層のゲル分率変化率を測定し
たところ4.5%であった。次に、このようにして形成
したバリアー層の上に ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の75%酢酸ブチル溶液 (大日本インキ化学社製、ユニディックC7−157) 10部 IPA(イソプロピルアルコール) 10部 よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後、8
0W/cmの紫外線ランプで硬化させ、約2μm厚の保
護層の形成された可逆性感熱記録材料を作成した。
【0100】実施例2 実施例1においてバリアー層中のC4−782の添加量
を2.5部にし、テトラヒドロフランの添加量を87.
5部に変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱
記録材料を作成した。またこのバリアー層のゲル分率を
測定したところ46%であった。またこのバリアー層の
ゲル分率変化率を測定したところ3.2%であった。
【0101】実施例3 実施例1においてバリアー層中のC4−782の添加量
を4.3部にし、テトラヒドロフランの添加量を100
部に変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記
録材料を作成した。またこのバリアー層のゲル分率を測
定したところ64%であった。またこのバリアー層のゲ
ル分率変化率を測定したところ2.1%であった。
【0102】実施例4 実施例1においてバリアー層中のC4−782の添加量
を6.7部にし、テトラヒドロフランの添加量を117
部に変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記
録材料を作成した。またこのバリアー層のゲル分率を測
定したところ73%であった。またこのバリアー層のゲ
ル分率変化率を測定したところ1.9%であった。
【0103】実施例5 実施例1においてバリアー層中のC4−782の添加量
を8.2部にし、テトラヒドロフランの添加量を127
部に変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記
録材料を作成した。またこのバリアー層のゲル分率を測
定したところ83%であった。またこのバリアー層のゲ
ル分率変化率を測定したところ1.4%であった。
【0104】比較例1 実施例1においてバリアー層中のC4−782をなく
し、テトラヒドロフランの添加量を70部に変更した以
外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成し
た。また、このバリアー層のゲル分率を測定したところ
0%であった。また、このバリアー層のゲル分率変化率
を測定したところ経時ゲル分率値も0%であった。
【0105】比較例2 実施例1においてバリアー層中のC4−782の添加量
を12.5部にし、テトラヒドロフランの添加量を8
7.5部に変更した以外は実施例1と同様にして可逆性
感熱記録材料を作成した。また、このバリアー層のゲル
分率を測定したところ98%であった。また、このバリ
アー層のゲル分率変化率を測定したところ1.8%であ
った。
【0106】比較例3 実施例1と同様に感熱層を設けた後、その上に 変性ナイロン(東レ社製、CM8000) 10部 メチルアルコール 90部 よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥後、紫外線照射は行な
われずに約2μm厚のバリアー層を設けた以外は実施例
1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。また、
このバリアー層のゲル分率を測定したところ0%であっ
た。また、このバリアー層のゲル分率変化率を測定した
ところ経時ゲル分率値も0%であった。
【0107】比較例4 実施例1と同様に感熱層を設けた後、その上に 変性ナイロン(東レ社製、KTE8302) 10部 硬化促進剤(東レ社製、P2) 0.1部 メチルアルコール 90部 よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥後、紫外線照射は行な
われずに約2μm厚のバリアー層を設けた以外は実施例
1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。また、
このバリアー層のゲル分率を測定したところ31%であ
った。また、このバリアー層のゲル分率変化率を測定し
たところ125%であった。
【0108】前記のようにして得られた実施例及び比較
例の可逆性感熱記録材料について次のように繰り返し耐
久性試験を行なった。 (繰り返し耐久性試験) 感熱記録装置として、八城電気社製の印字試験装置を用
い、サーマルヘッドには京セラ(株)KBE−410−
8MGKlのサーマルヘッドを用い、パルス幅2.0
msec、印加電圧11.5Vの条件で白濁画像形成を
行ない、また次に印加電圧を8.5Vに変更して画像消
去を行なった。可逆性感熱記録材料の白濁画像形成、消
去を1回ずつ行なうことを1サイクルと考えて、合計3
00サイクルになるまで同じ条件で繰り返し耐久性試験
を行なった。また繰り返し耐久性試験での白濁画像濃度
について、1サイクル目と300サイクル目の白濁濃度
をマクべス反射濃度計(RD−914)で測定した。測
定結果をまとめて表2に示す。また、300サイクル繰
り返し後の画像部表面のオーバーコート層剥離及び印字
跡について目視して確認した。結果をまとめて表2に示
す。
【0109】次に前記のようにして得られた実施例及び
比較例の可逆性感熱記録材料について次のように印刷適
性試験を行なった。 (印刷適性試験)印刷装置にオフセット印刷装置(RI
テスター)を用い、インキは大日本インキ社製UVオフ
セットインキRT−8を用い、オフセット印刷を行った
後UVランプ(80W/cm、7m/min×3回照
射)で紫外線照射して硬化させ2.5μm厚の印刷層を
形成した。次に上記の実施例及び比較例の印刷層済の可
逆性感熱記録材料についてUVオフセット印刷の密着性
(JIS K5400)セロテープ剥離)及びスクラッ
チテスト(爪によるひっかき)を行なった。結果をまと
めて表2に示す。
【0110】(透明化開始温度変化率測定)前記のよう
にして得られた可逆性感熱記録材料を用いて前記した透
明化開始温度測定装置及び測定条件にて、まず印加時間
60秒での透明化開始温度(T60S)を求めた。次に前
記印字タイマーを1秒に設定して同様に測定を行ない印
加時間1秒での透明化開始温度(T1S)を求めた。次
に、上記により求めた各透明化開始温度T60S、T1S
より透明化開始温度変化率を算出した。結果をまとめて
表2に示す。
【0111】
【表2】
【0112】
【発明の効果】実施例及び比較例の結果から明らかなよ
うに、本発明の可逆性感熱記録材料は、サーマルヘッド
による画像記録・消去を繰り返しても印字跡が発生せ
ず、また、サーマルヘッドのカス付着がなく、画像均一
性が良好であり、更にオーバーコート層表面の印字性に
優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)、(c)及び(d)は従来の画
像表示における発熱体による可逆性感熱記録材料への影
響を表わした図。
【図2】本発明に係る感熱層の熱による透明度の変化を
表わした図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久田見 篤 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 平7−68938(JP,A) 特開 平8−276667(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/36

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に樹脂母材及びその樹脂母材中
    に分散された有機低分子物質を主成分とし温度に依存し
    て透明度が可逆的に変化する感熱層並びにオーバーコー
    ト層を有する可逆性感熱記録材料において、前記の感熱
    層とオーバーコート層との間に、ポリ塩化ビニル、塩化
    ビニル系共重合体及び塩化ビニリデン系共重合体から選
    ばれた少なくとも1種の樹脂と、架橋剤を主成分とする
    バリアー層を設け、該バリアー層の少なくとも一部が
    子線照射又は紫外線照射により架橋され、かつゲル分率
    値が35〜85%、ゲル分率変化率が110%以下であ
    ることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
  2. 【請求項2】 前記架橋剤をバリアー層中に5〜50重
    量%含有させたことを特徴とする請求項記載の可逆性
    感熱記録材料。
  3. 【請求項3】 前記熱層中に含まれる樹脂が架橋さ
    れ、かつ該樹脂のゲル分率値が30%以上であることを
    特徴とする請求項1記載の可逆性感熱記録材料。
  4. 【請求項4】 前記感熱層中に含まれる樹脂が架橋剤を
    用いて架橋されたものであることを特徴とする請求項
    記載の可逆性感熱記録材料。
  5. 【請求項5】 前記感熱層中に含まれる樹脂が電子線照
    射、紫外線照射又は熱により架橋されたものであること
    を特徴とする請求項又は記載の可逆性感熱記録材
    料。
  6. 【請求項6】 前記可逆性感熱記録材料の透明化開始温
    度変化率が13%以下であることを特徴とする請求項1
    記載の可逆性感熱記録材料。
  7. 【請求項7】 前記樹脂母材として、塩化ビニルと炭素
    数3以上の脂肪酸のビニルエステルとの共重合体、ある
    いは塩化ビニルとエチレンとの共重合体の少なくとも1
    種を用いることを特徴とする請求項1記載の可逆性感熱
    記録材料。
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