JPH0930132A - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents

可逆性感熱記録材料

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JPH0930132A
JPH0930132A JP8146602A JP14660296A JPH0930132A JP H0930132 A JPH0930132 A JP H0930132A JP 8146602 A JP8146602 A JP 8146602A JP 14660296 A JP14660296 A JP 14660296A JP H0930132 A JPH0930132 A JP H0930132A
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吉彦 堀田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繰り返しの加熱による印字・消去によっても
変色や光反射層(金属蒸着層)の腐食が生じない、耐久
性のある可逆性感熱記録材料を提供する。 【解決手段】 支持体上に、直接又は金属蒸着層を介し
て、温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する
感熱層を設けた可逆性感熱記録材料において、該感熱層
中にエポキシ当量600g/eq未満のエポキシ化合物
を含有させたこと、又は、該感熱層の熱圧力段差量が4
0%以下であり、且つ熱圧力段差変化率が70%以下で
あり、なお且つ該可逆性感熱記録材料の金属蒸着層腐蝕
面積率(SPD)が2%以下であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可逆性感熱記録材
料に関し、詳しくは、主として感熱層(可逆性感熱記録
層)の温度による可逆的な透明度又は色調変化を利用し
て、情報の書込み及び消去を繰り返し行なうことのでき
る可逆性感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一時的な画像形成(情報の書込
み)が行なえ、不要となった時にはその画像の消去(情
報の消去)ができるようにした可逆性感熱記録材料が注
目されている。その代表的なものとしては、ガラス転移
温度(Tg)が50〜60℃から80℃未満である低ガ
ラス転移温度の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のよう
な樹脂母材中に高級脂肪酸のような有機低分子物質を分
散した可逆性感熱記録材料が知られている(特開昭54
−119377号、特開昭55−154198号)。し
かしながら、この可逆性感熱記録材料は、サーマルヘッ
ド等の発熱体で画像形成及び消去を複数回繰り返す間に
記録層に歪が発生し、画像形成時の画像濃度が低下した
り、コントラストが低下してしまうという第1の欠点が
ある。
【0003】本発明者らは、上記の第1の欠点を解消
し、サーマルヘッド等による画像形成・消去の繰り返し
耐久性の向上を目的として、先に、可逆性感熱記録層の
樹脂母材としてエポキシ樹脂を用いた可逆性感熱記録材
料を提案した(特開平5−38872号)。この可逆性
感熱記録材料によれば前記第1の欠点が向上するが、い
まだ不十分である。
【0004】特開平5−085045号公報において、
可逆性感熱記録層に用いる樹脂母体としてヒドロキシル
変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とイソシアナート
化合物からなる熱硬化型樹脂を用いて、耐熱性と機械的
強度を向上させて、サーマルヘッドとの繰り返し耐久性
を向上させた感熱記録媒体が提案されている。
【0005】ところで、樹脂中に有機低分子物質を分散
したタイプの可逆性感熱記録媒体においては、通常ある
温度範囲で透明状態となり、それより高い温度で白濁状
態となり、この状態変化を利用して画像を記録消去する
のであるが、熱により透明と白濁に可逆的に変化させる
には特にこの透明になる温度の巾がある程度広く且つ安
定に維持されることが必要である。
【0006】だが、前記この種の熱硬化型樹脂は硬化度
合の経時変化があり、具体的には記録層形成時の硬化度
合が時間が経過するにつれて変化してしまう。樹脂の硬
度度合が経時変化するに伴い、透明化温度巾も経時に縮
小しているため、初期の画像消去温度設定が不可能とな
り、この消去温度設定が非常に繁雑になるという第2の
問題がある。加えて、架橋方法を用いた場合には、特に
樹脂母材に塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂を用い
た場合には、支持体と可逆性感熱記録層との間に設けら
れている光反射層(金属蒸着層)が腐蝕し、コントラス
トが低下してしまうとともに、記録層が赤変してしまう
問題もある。
【0007】本発明者らは、前記第1、第2の欠点を改
良する目的で、可逆性感熱記録材料の感熱層の熱圧力段
差が40%以下で、且つ熱圧力段差変化率が70%以下
であることにより、感熱層の耐熱性と機機的強度を向上
させ、サーマルヘッド等による繰り返し耐久性を向上さ
せ、且つ経時での透明化温度巾の安定した可逆性感熱記
録媒体を提案している(特開平7−172072号)。
この可逆性感熱記録材料の使用によれば、前記の欠点が
相当緩和される。
【0008】しかしながら、この種の可逆性感熱記録材
料は、繰り返し使用できることから多様な環境下で使用
又は放置されているが、特に高湿度環境下(40℃90
%RH、35℃85%RH等)へ長時間放置すると白濁
画像形成部又は非画像形成部の反射濃度が変化してしま
い、特に白濁画像形成部では反射濃度が高くなるため
に、コントラストが低下してしまい視認性が悪化すると
いう問題がある。この問題は新たな課題であり、その解
決策は従来提案されていない。また更に、この可逆性感
熱記録材料を特に高温環境下(50℃、70℃等)へ長
時間放置したり、あるいはサーマルヘッド等により印
字、消去を繰り返し行うと印字部及び非印字部が赤く変
色してしまう問題があり、この問題も未だその解決手段
は提案されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は前記の
問題を解決するものであり、高湿度環境下へ長時間放置
してもコントラストが低下することが無く、またサーマ
ルヘッド等での繰り返し耐久性に優れ、しかも経時での
透明化温度巾が安定し、消去性に優れ、更に画像形成・
消去の繰り返しにより変色が発生することなく、また更
に、光反射層(金属蒸着層)の腐蝕が発生しない可逆性
感熱記録材料を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(1)
支持体上に温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変
化する感熱層を設けた可逆性感熱記録材料において、該
感熱層が塩化ビニル系樹脂及び有機低分子物質粒子を主
成分とし、これにエポキシ当量600g/eq未満のエ
ポキシ化合物を含有させたことを特徴とする可逆性感熱
記録材料、(2)支持体上に金属蒸着層を設け、更に温
度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱層
を設けた可逆性感熱記録材料において、該感熱層の熱圧
力段差量が40%以下であり、且つ熱圧力変化率が70
%以下であり、なお且つ該可逆性感熱記録材料の金属蒸
着層腐蝕面積率(SPD)が2%以下であることを特徴と
する可逆性感熱記録材料、(3)前記(2)において、
感熱層が塩化ビニル系樹脂及び有機低分子物質粒子を主
成分とし、これにエポキシ当量600g/eq未満のエ
ポキシ化合物を含有させたことを特徴とする可逆性感熱
記録材料、(4)前記(1)又は(2)において、感熱
層が塩化ビニル系樹脂及び有機低分子物質粒子を主成分
としこれに有機錫化合物としてビス(アルキル錫脂肪酸
モノカルボン酸塩)オキサイドを含有させたことを特徴
とする可逆性感熱記録材料、(5)前記(1)(2)
(3)又は(4)において、エポキシ樹脂化合物あるい
は有機錫化合物を感熱層中に含まれる樹脂100重量部
に対して0.01〜30重量部含有させたことを特徴と
する可逆性感熱記録材料、(6)前記(1)(2)又は
(5)において、感熱層中に含まれる樹脂が架橋されて
いることを特徴とする可逆性感熱記録材料、(7)前記
(1)(2)又は(5)において、感熱層中に含まれる
樹脂のゲル分率値が30%以上であることを特徴とする
可逆性感熱記録材料、(8)前記(6)又は(7)にお
いて、感熱層中に含まれる樹脂が架橋剤を用いて架橋さ
れたものであることを特徴とする可逆性感熱記録材料、
及び(9)前記(2)、(5)又は(7)において、感
熱層中に含まれる樹脂が電子線照射、紫外線照射又は熱
により架橋されたものであることを特徴とする可逆性感
熱記録材料、が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明者等は、可逆性感熱記録材料への画像の形
成及び消去の繰り返し使用により発生する画像濃度やコ
ントラストなどの低下が何故に生じるかについて、その
メカニズムを解析、検討した。その結果、サーマルヘッ
ド等の発熱体を該記録材料表面に押圧して画像形成を行
なった場合には、次の様な現象が認められた。樹脂母材
中に有機低分子物質粒子を分散させた記録層(感熱層)
を有する可逆性感熱記録材料に於て、発熱体で画像形成
及び消去をする際にエネルギーの印加前又は繰り返し回
数が少ないときには記録層を構成する材料の存在状態が
変化するような歪みがなく、図1(a)に示す様に、樹
脂母材中に有機低分子物質粒子が均一に分散された状態
になっている。(後記から理解されるように、本発明の
記録層は繰り返しの記録・消去によっても有機低分子物
質粒子の均一分散状態は維持される)ところが画像形成
の際、記録材料に発熱体などの画像形成手段を押圧しな
がら相対的に移動させると、記録層内部に応力がかか
る。同方向のエネルギー印加が繰り返されるうちに、こ
の応力が主たる原因となって図1(b)に示す様にエネ
ルギー印加方向への記録層内部に歪みが発生し、それに
より有機低分子物質粒子が変形した状態となる。そして
さらにエネルギー印加を同方向に繰り返すうちに歪みが
進行し、図1(c)に示す様に変形した有機低分子物質
粒子どうしの凝集が始まり、最終的には図1(d)に示
す様に凝集粒子どうしが再凝集をして、有機低分子物質
粒子が極大化した状態となってしまう。このような状態
になると、画像の形成がほとんど不可能となり、所謂劣
化状態となる。これらの現象が、可逆性感熱記録材料へ
の画像の形成及び消去の繰返し後の画像濃度が低下する
原因に関係していると考えられる。
【0012】更に前記した硬化度合変化に伴い透明化温
度巾が初期に比べて経時で縮小していく原因については
次のように考えられる。ここで、まずその前に可逆性感
熱記録材料の白濁透明変化メカニズムについては次のよ
うに推測される。すなわち、 (I)透明の場合には樹脂母材料中に分散された有機低
分子物質の粒子は有機低分子物質と樹脂母材は隙間無く
密着しており、また粒子内部にも空隙はなく、片側から
入射した光は散乱されることなく反対側に透過するため
透明に見えること、また(II)白濁の場合には有機低分
子物質の粒子は有機低分子物質の微細な結晶で構成され
ており、結晶の界面もしくは粒子と樹脂母材の界面に隙
間ができ片側から入射した光は空隙と結晶、空隙と樹脂
の界面で屈折し、散乱されるため白く見えること、等に
由来している。
【0013】図2(熱による透明度の変化を表してい
る)において、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散された
有機低分子物質とを主成分とする感熱層は、例えばT0
以下の常温では白濁不透明状態にある。これを加熱して
いくと温度T1から徐々に透明になり、始め温度T2〜T
3に加熱すると透明となり、この状態で再びT0以下の常
温に戻しても透明のままである。これは温度T1付近か
ら樹脂が軟化し始め、軟化が進むにつれ、樹脂が収縮し
樹脂と有機低分子物質粒子との界面もしくは粒子内の空
隙を減少させるため、徐々に透明度が上がり、温度T2
〜T3では有機低分子物質が半溶融状態となり、残った
空隙を溶融した有機低分子物質が埋めることにより透明
となり、種結晶が残ったまま冷却される比較的高温で結
晶化し、その際樹脂がまだ軟化状態のため、結晶化にと
もなう粒子の体積変化に樹脂が追随し、空隙が出来ず透
明状態が維持されるためと考えられる。
【0014】更にT4以上の温度に加熱すると、最大透
明度と最大不透明度との中間の半透明状態になる。次
に、この温度を下げて行くと、再び透明状態をとること
なく最初の白濁不透明状態に戻る。これは温度T4以上
で有機低分子物質が改善に溶融した後、過冷却状態とな
りT0より少し高い温度で結晶化し、その際、樹脂が結
晶化にともなう体積変化に追随できず、空隙が発生する
ためであると思われる。ただし、図2に示した温度−透
明度変化曲線は代表的な例を示しただけであり、材料を
かえることにより各状態の透明度等にその材料に応じて
変化が生じることがある。
【0015】このように透明度変化には樹脂の軟化点及
び軟化点以上での変化挙動が重要であるが、是記したよ
うに感熱記録層に用いる樹脂母材の硬化度合が変化して
いくと、硬化度合上昇にともない樹脂の軟化点も変化し
てしまうため、このために初期に比べて経時で変化温度
巾が縮小してしまうものと考えられる。
【0016】また更に、可逆性感熱記録材料を高湿度環
境下へ長時間放置するとコントラストが低下してしまい
視認性が悪化する現象が何故生じるかについて検討し
た。その結果、コントラストの低下は支持体と感熱層の
間に光反射層(金属蒸着層)が設けられている時に顕著
に見られることがわかり、この記録材料を光学顕微鏡等
で観察したところ、金属蒸着層に直径10〜100nm
の穴(腐蝕部)があることがわかった。この穴によりコ
ントラストを向上させるための光反射層の効果が失わ
れ、また光反射層の下層に磁気記録層が設けられている
時には穴の部分に磁気記録層の黒色が出てしまうため、
コントラストが低下してしまう原因となっている。
【0017】前記した支持体と可逆性感熱記録層の間に
設けられている光反射層(金属蒸着層)が腐蝕する原因
については次のように考えられる。塩化ビニル系樹脂は
熱や光、放射線、剪断力などの物理的エネルギーによっ
て分解を起こし、塩化水素(塩酸)が放出されるが、こ
の塩酸が光反射層を腐蝕すると共に、前記した架橋方法
の中で特に電子線照射では、電子線のエネルギーにより
塩化ビニル部の塩素を脱離させ、炭素間で三次元架橋さ
せることが従来知られているが、ゲル分率(架橋度合)
増加にともない脱離する塩素量が増加すると考えられ
る。すなわち、この塩素量に比例して生成される塩化水
素の量も増加し、この塩化水素(塩酸)により光反射層
が腐蝕されると考えられる。
【0018】また更に、可逆性感熱記録材料を高温環境
下へ長時間放置したりあるいは繰り返し印字・消去を行
うと変色が生じる現象が何故生じるかについて検討し
た。その結果、前記したように、塩化ビニル系樹脂は熱
や光、放射線、せん断力などの物理的エネルギーによっ
て分解を起こすことは従来から知られており、その分解
の起点は分子構造上の枝分れ、二重結合部等の活性点で
ある。そして、この活性点から塩化水素が放出され脱離
することによって更にこの反応が進み、共役二重結合が
増加してポリエン結合ができ変色(赤変)が発生すると
考えられている。
【0019】上記の様に塩化ビニル系樹脂は物理エネル
ギー作用により変色が発生すると思われるが、樹脂母材
に加わるエネルギーストレスについて記録材料作成時の
塗工乾燥で加わる熱エネルギーに比較して、電子線照
射、紫外線照射ではかなり増加することになり、また熱
架橋においても塗工乾燥よりも更に熱エネルギーストレ
スが増加するため、変色が発生してしまうと考えられ
る。
【0020】本発明者らは、上記問題を改善すべき検討
を重ねて行った結果、既述のように、支持体上に温度
に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱層を
設けた可逆性感熱記録材料において、該感熱層が塩化ビ
ニル系樹脂及び有機低分子物質粒子を主成分とし、これ
にエポキシ当量600g/eq未満のエポキシ化合物を
含有させることにより、また支持体上に金属蒸着層を
設け、更に温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変
化する感熱層を設けた可逆性感熱記録材料において、該
感熱層の熱圧力段差長が40%以下であり、且つ熱圧力
段差変化率が70%以下であり、なお且つ該可逆性感熱
記録材料の金属蒸着層腐蝕面積率が2%以下であること
により、ともに本発明の目的が確実に達成されることを
見いだした。この場合の好ましい態様は以下のとおりで
ある。
【0021】本発明において、可逆性感熱記録媒体にお
ける画像表示部である感熱層の熱圧力段差量及び熱圧力
段差変化率は以下のとおり定義されるものである。熱圧
力段差量とは、加熱時の塗膜の硬さを表す物性であり、
数値が小さいほど塗膜が硬いことを示している。熱圧力
段差量の値が40%以下になると、特にサーマルヘッド
等による繰り返し画像形成消去に対する耐久性の向上が
顕著になる。その理由は、有機低分子物質粒子間の接触
による粒子の凝集拡大を抑制する力が急に大きくなるも
のと考えられ、その結果サーマルヘッド等によって熱と
圧力とをかけても感熱層の変形が少なくなるものと思わ
れる。
【0022】熱圧力段差量は、特開平7−172072
号に記載されている方法により測定される。先ず熱圧力
印加装置としてユニークマシナーリ社製のホットスタン
プ型エアー式卓上TCフィルム消去装置テスト機を用い
る。
【0023】次に熱圧力段差量測定のための熱圧力印加
条件としては、前記熱圧力印加装置において、エアレギ
ュレーターを調整し、エアーゲージ圧力値が2.5kg
/cm2になるように印加圧力を設定し、次に印字タイ
マーを調整し、印加時間が10秒になるように設定し、
また次に温調器を調整し、印加温度が130℃になるよ
うに設定する。ここで印加温度についてはヒータ及び温
度センサーにより調節されている値であり、印字ヘッド
表面の温度にほぼ近似している。
【0024】次に熱圧力印加装置により印加される熱圧
力段差値の測定方法について説明する。測定装置とし
て、小坂研究所社製の二次元粗さ解析装置サーフコーダ
AY−41、記録計RA−60E及びサーフコーダSE
30Kを用い、まずサーフコーダSE30Kの設定を縦
倍率(V);2000、横倍率(H);20に設定し、
次にサーフコーダAY−41の設定を基準長さ(L);
5nm、送り速さ(Ds);0.1mm/secに設定
し、測定結果をRA−60Eに記録させ、その記録され
たチャートにより熱圧力印加部の熱圧力段差値(Dx)
を読み取ればよい。またこれらの設定は例を示したもの
であり、測定に応じて任意に変更可能である。なおこの
測定は熱圧力印加部の巾方向について2mm間隔で位置
を変更し、D1〜D5の5点について測定し、その平均値
を熱圧力段差平均値(Dm)とする。
【0025】この熱圧力段差平均値(Dm)と感熱記録
層膜厚(DB)により熱圧力段差量(D)は下記式によ
り求められる。
【数1】D%=(Dm/DB)×100 D:熱圧力段差量(%) Dm:熱圧力段差平均値(μm) DB:感熱記録層膜厚 ここで感熱層膜厚(DB)とは、前記したごとく支持体
上に形成された感熱層の膜厚であり、いずれもTEM
(透過型電子顕微鏡)、SEM(走査型電子顕微鏡)等
の断面観察により調べることができる。
【0026】先述したように、可逆性感熱記録媒体にお
ける感熱層の熱圧力段差量を40%以下にすると、特に
前記した繰り返し耐久性の向上に寄与する傾向がある。
これは本発明の記録媒体が従来のものに比べて感熱層の
熱圧力段差量が非常に少なく、すなわち感熱層の耐熱
性、機械的強度が非常に優れるためであると考えられ
る。これにより感熱層中に有機低分子物質を含有させる
場合、この物質の粒子どうしの凝集や極大化が発生しに
くく、画像形成及び消去の繰り返し後の劣化が少なく、
高コントラストが維持されるものと推測される。このよ
うな効果に対して、熱圧力段差量は40%以下がよく、
好ましくは30%以下であり、更に好ましくは25%以
下であり、特に好ましくは20%以下である。
【0027】次に熱圧力段差変化率とは、加熱時の塗膜
の硬さの経時での変化度合を表す物性であり、数値が小
さいほど塗膜が安定であることを示している。熱圧力段
差変化率が70%以下になると、本発明の効果が顕著に
表れ、特に記録媒体の透明化温度の範囲、巾等の特性の
安定性が顕著に表れるのは、この数値を境にして塗膜の
熱的物性の安定性が特に向上するものと考えられる。
【0028】熱圧力段差変化率は、下記式によって求め
られる。
【数2】Dc(%)=|(DI−DD)/DI|×100 Dc:熱圧力段差変化率(%) DI:初期熱圧力段差量(%) DD:経時熱圧力段差量(%) ここで初期熱圧力段差量(DI)とは感熱層が形成され
てからまず1回目の測定した値であり、形成直後の値で
なくともかまわない。次に経時熱圧力段差量(DD)と
は初期と同時期に感熱層を形成したサンプルを50℃環
境下に24時間放置してから測定した値である。これら
はいずれも前記した熱圧力段差測定方法により測定、算
出された値であることはいうまでもない。この熱圧力段
差変化率を測定する場合、前記の条件(2.5kg/c
2、130℃)で段差ができない場合には圧力、温度
を上げることも可能である。この熱圧力段差量測定は、
先述の可逆性感熱記録媒体において、1)記録層のみの
もの、2)保護層を有するもの、の双方に適用可能であ
る。
【0029】前記したように、感熱層の熱圧力段差変化
率を70%以下にすると、特に前記した透明化温度巾の
縮小の抑制に寄与する傾向がある。これは、本発明の記
録媒体は感熱層の熱圧力段差変化率が非常に小さいこと
から、すなわち初期と経時での感熱層の物性が変化して
いないと考えられ、これにより透明化温度範囲の変動及
び透明化温度巾の縮小もなく、消去特性が安定したもの
となると推測される。このような効果に対して、熱圧力
段差変化率は70%以下がよく、好ましくは50%以下
であり、更に好ましくは45%以下であり、特に好まし
くは40%以下である。
【0030】また本発明において可逆性感熱記録材料に
おける金属蒸着層腐蝕面積率(SPD)とは、記録材料を
40℃、95%RH環境下に96時間放置してから測定
した値であり、以下のとおり定義されるものである。金
属蒸着層腐蝕面積率とは可逆性感熱記録材料の支持体と
感熱層の間に設けられている光反射層(金属蒸着層)の
腐蝕度合を表す数値であり、数値が小さいほど金属蒸着
層の腐蝕度合が少なく、コントラストが高いことを示し
ている。金属蒸着層腐蝕面積率は2%以下がよく、好ま
しくは1.5%以下であり、更に好ましくは1.3%以
下である。
【0031】金属蒸着層腐蝕面積率は次の方法により測
定される。金属蒸着層腐蝕面積率測定装置としては、ピ
アス社製LA525画像処理装置と光学顕微鏡(Nik
on社製、OPTIPHOT2−POL)及び付属の顕
微鏡写真撮影装置(Nikon社、製MICROFLE
X AFX−DX)を用いる。次に測定方法について
は、まず記録材料の任意の5箇所について光学顕微鏡
(倍率50倍)で観察を行い、付属の写真撮影装置にて
写真撮影を行う。次にこの写真画像を複写機にてトレー
シングペーパーに複写して測定用媒体を用意する。続い
て、この測定用媒体を画像処理装置のテーブル上に設置
して、テーブル下部から透過光照射を行いながら測定用
媒体画像を取り込み画像処理を行い、金属蒸着層腐蝕部
(穴部)の面積(S)を算出する。この測定を前記した
5箇所について行い、それぞれ面積S1〜S5を算出さ
せ、その平均値を金属蒸着層腐蝕面積平均値(Sm)と
する。この平均値(Sm)と前記写真画像部面積(SB
により金属蒸着層腐蝕面積率(Sp)は下記式により求
められる。
【数3】Sp(%)=(Sm/SB)×100 Sp:金属蒸着層腐蝕面積率(%) Sm:金属蒸着層腐蝕面積平均値 SB:写真画像部面積
【0032】更に、感熱層中にエポキシ当量600g/
eq未満のエポキシ化合物を含有させ、またこのエポキ
シ化合物を感熱層中に含まれる樹脂100重量部に対し
て0.01〜30重量部含有させると前記した変色を防
止し、また更に、高湿度環境下放置での光反射層の腐蝕
を防止する効果がある。
【0033】ここで、本発明に用いるエポキシ化合物は
従来のものに比べてエポキシ当量が少ない。すなわち、
エポキシ化合物1分子中のエポキシ含有量の多いものを
用いているため、前記した塩化ビニル系樹脂から発生す
る塩化水素を捕捉する機能に優れており、連鎖的に共役
二重結合が増加するのを抑制し、また光反射層に塩化水
素が接触しないようにすることで上記効果があると推測
される。このような効果をもたらすエポキシ化合物のエ
ポキシ当量は600g/eq未満がよく、好ましくは4
00g/eq以下であり、更に好ましくは300g/e
q以下である。
【0034】またエポキシ化合物添加量は樹脂100重
量部に対して0.01〜30重量部がよく、好ましくは
0.1〜20重量部、更に好ましくは1〜10重量部で
ある。ただしエポキシ化合物を可塑剤として添加する場
合には樹脂100重量部に対して1〜50重量部の添加
量が好ましい。
【0035】本発明で使用するエポキシ化合物は大別す
るとグリシジルエーテルとエポキシ化エステルとに分け
られ、グリシジルエーテルでは2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパンとエピクロルヒドリンとの縮
合物等が挙げられ、またエポキシ化エステルではエポキ
シ化トリグリセライドすなわちエポキシ化天然油等が挙
げられる。具体的には下記のものが挙げられる。エポキ
シ化大豆油、エポキシアリルフタレート、エポキシ化脂
肪酸およびその金属塩、テトラヒドロフタル酸含有ポリ
エステルをエポキシ化したもの、ポリエチレングリコー
ルモノ(エポキシステアリルエーテル)、フタル酸ビス
エポキシアルキル、1−ベンジルオキシ−2,6−エポ
キシプロパン、2,3−エポキシシクロベンタノールエ
ステルまたはエーテルなど。エポキシ化合物は、可塑剤
として使用することもでき、可逆性感熱記録材料の透明
化温度範囲を広げるのに役立つ。これらは少なくとも1
種或いは2種以上混合して用いることが好ましい。これ
らの中で特にエポキシ化エステルが好ましい。
【0036】また更に、感熱層中にビス(アルキル錫脂
肪酸モノカルボン酸塩)オキサイドを含有させ、またこ
の有機錫化合物を感熱層中に含まれる樹脂100重量部
に対して0.01〜30重量部含有させると、前記した
変色を防止し、更に高湿度環境下放置での光反射層の腐
蝕を防止する効果がある。ここで、本発明に用いる有機
錫化合物は従来のものに比べて特に高湿度環境下での安
定性に優れ、前記した塩化ビニル系樹脂から発生する塩
化水素を捕捉する機能に優れている。このような効果を
もたらす鉄力錫化合物添加量は樹脂100重量部に対し
て0.01〜30重量部がよく、好ましくは0.1〜2
0重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。
【0037】本発明で使用する有機錫化合物は大別する
と、ビス(モノアルキル錫脂肪酸モノカルボン酸塩)オ
キサイドとビス(ジアルキル錫脂肪酸モノカルボン酸
塩)オキサイドとにわけられ、これらのモノアルキル
基、ジアルキル基はメチル基、ブチル基、オクチル基か
ら構成される。具体的にはビス(ジブチル錫ラウリル
酸)オキサイド、ビス(ジオクチル錫ラウリル酸)オキ
サイド、ビス(ブチル錫ラウリル酸)オキサイド、ビス
(オクチル錫ラウリル酸)オキサイド等が挙げられるが
これらに限定されるものではない。
【0038】また、安定剤としての効果を高めるため
に、下記の安定剤と前記エポキシ化合物又は有機錫化合
物を2種以上混合して用いることができる。 (i)鉛系安定剤の代表例:鉛白、三塩基性硫酸鉛、二
塩基性亜燐酸鉛、塩基性珪酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、
三塩基性マレイン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、シリ
カゲル共沈珪酸鉛、ノルマル・サリチルさ酸鉛など。 (ii)有機スズ系安定剤の代表例:有機スズ系安定剤は
ジアルキル錫脂肪酸塩、モノアルキル錫脂肪酸塩等の有
機錫ラウレート系、ジアルキル錫メルカプトカルボン酸
塩、モノ又はジアルキル錫メルカプトカルボン酸エステ
ル塩、ジアルキル錫サルファイド等の有機錫メルカプト
系、ジアルキル錫マレエートポリマー、ジアルキル錫マ
レエートエステル塩等の有機錫マレエート系など。これ
らのモノアルキル基、ジアルキル基はメチル基、ブチル
基、オクチル基から構成される。 (iii)これらの他に金属セッケン、非石けん化合物等
の非鉛、非スズ系安定剤、有機亜リン酸塩、ポリ有機亜
リン酸塩、ヒンダードフェノール類、有機硫化物等のケ
レーティング化合物、フェノール誘導体アミン誘導体、
無機亜リン酸塩等の酸化防止剤、サリチル酸エステルお
よびその誘導体、ベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収
剤を挙げることができる。
【0039】これらの各種安定剤の添加量は前記エポキ
シ化合物又は有機錫化合物100重量部に対して10〜
300重量部が良く、好ましくは30〜200重量部、
更に好ましくは50〜150重量部である。
【0040】更に、前記した可逆性感熱記録材料の感熱
層中の樹脂が架橋されゲル分率値が30%以上であり、
樹脂を架橋剤を用いて電子線、紫外線又は熱により架橋
することで前記したサーマルヘッド等での繰り返し耐久
性が向上する。これは本発明の感熱層の樹脂が架橋さ
れ、且つゲル分率値が30%以上であるため、感熱層の
耐熱性、機械的強度が非常に優れるためであると考えら
れる。また、これにより感熱層中に有機低分子物質を含
有させる場合、この物質の粒子どうしの凝集や極大化が
発生しにくく、画像形成及び消去の繰り返し後の劣化が
少なく、高コントラストが維持されるものと推測され
る。これらの効果に対してゲル分率値は30%以上がよ
く、好ましくは50%以上であり、更に好ましくは70
%以上、特に好ましくは80%以上である。
【0041】ゲル分率測定方法としては支持体上に感熱
層を任意の膜厚で形成し、電子線照射又は紫外線照射を
行なった後に、支持体より膜を剥離してその膜の初期重
量を測定し、その後に膜を400メッシュ金網に挾ん
で、架橋前の樹脂が可溶な溶剤中に24時間浸してから
真空乾燥して、乾燥後の重量を測定した。ゲル分率計算
は下記式によって行なう。 ゲル分率(%)=[乾燥後重量(g)/初期重量
(g)]×100
【0042】この計算でゲル分率を算出するときに、感
熱層中の樹脂成分以外の有機低分子物質粒子等の重量を
除く必要があり、この場合にはゲル分率計算は下記式に
よって行なう。 上記において、あらかじめ有機低分子物質重量がわから
ないときには、TEM、SEM等の断面観察により、単
位面積あたりを占める面積比率と樹脂と有機低分子物質
のそれぞれの比重により重量比率を求めて、有機低分子
物質重量を算出して、ゲル分率値を算出すれば良い。
【0043】また、上記測定方法の他に、支持体上に可
逆性感熱層が設けられており、その上に前記した他の層
が積層している場合、または支持体と感熱層の間に前記
した他の層がある場合には、前記したように、まず前記
したTEM、SEM等の断面観察により可逆性感熱層及
びその他の層の膜厚を調べておき、その他の層の膜厚分
の表面を削り、可逆性感熱層表面を露出させると共に、
可逆性感熱層を剥離して前記測定方法と同様にゲル分率
測定を行なえばよい。また、この方法において感熱層上
層に紫外線硬化樹脂等からなる保護層等がある場合に
は、この層が混入するのを極力防ぐために、保護層分の
膜厚分を削ると共に感熱層表面も少し削りゲル分率値へ
の影響を防ぐ必要がある。
【0044】また、上記とは別に次の様なゲル分率測定
方法がある。第1としてソックスレー抽出器を用いて、
架橋処理なしの樹脂が可溶な溶剤で、硬化皮膜中の未硬
化分を抽出(4時間)し、非抽出残分の重量分率を求め
る方法、第2として表面処理のPET支持体上に上記と
同様に感熱層塗膜を形成し、電子線照射を行なった後
に、溶剤中に浸漬し、浸漬前後の膜厚比率を求める方
法、第3として第2の方法と同様に形成させた感熱層に
溶剤をスポイトで0.2ccほど滴下し、10秒間放置
した後に溶剤をふきとり、滴下前後の膜厚比率を求める
方法である。これら第1の方法では、前記した様に有機
低分子物質重量を除いて算出すれば良い。また、第2、
第3の方法では膜厚測定によるものであるため、有機低
分子物質を囲む樹脂母材が完全に架橋していれば溶剤浸
漬後も膜厚は変わらないと考えられるため、重量分率で
の方法の様に有機低分子物質を考慮する必要はない。
【0045】この方法で前記したように可逆性感熱層上
に他の層が設けられているものを測定する場合には、ま
ず第1の方法では前記した測定方法と同様にすればよ
く、また第2、第3の方法では膜厚測定によるものであ
るため可逆性感熱層の上層に積層されている層のみを削
り測定すればよい。
【0046】前記した可逆性感熱層中に含まれる樹脂を
架橋する方法は加熱することにより又は紫外線照射(U
V照射)、或いは電子線照射(EB照射)により行なう
ことができるが、好ましくは紫外線照射、電子線照射で
あり、更に好ましくは電子線照射である。これらの架橋
方法の中でEB照射が最も優れるのは次のような理由に
よるものである。
【0047】まず、EBによる樹脂の硬化とUVのそれ
との大きな違いは、UV硬化では光重合開始剤、光増感
剤が必要であること、UVではほとんど透明性のあるも
のに限られることである。一方EBによる反応では、ラ
ジカル濃度が高いので急速にラジカル反応が進行し、瞬
間的に重合が完結することや、EBでは、UVに比べ、
大きいエネルギが得られるため硬化膜厚が厚くできるこ
とがある。また、前記の様にUV硬化では光重合開始
剤、光増感剤が必要であり、架橋反応後にこれらの添加
物が記録層中に残存するため、記録層の画像形成、消去
及び繰り返し耐久性等に悪影響を及ぼすことが懸念され
るという不都合が生じてしまう。
【0048】次にEB硬化と熱硬化との大きな違いで
は、熱硬化では架橋のための触媒及び促進剤が必要であ
り、これらを用いても硬化時間がEB硬化に比べてかな
り遅く、またこれについても架橋反応後に上記添加物が
記録層中に残存するためUV硬化と同様な不都合が生
じ、更にまた架橋反応後も少しずつ架橋反応が起こりう
るため、架橋直後と経時で記録層特性に変化が生じるこ
とがある。これらの理由によりEB照射が架橋方法の中
で最適であると言える。また、これらにより繰り返し印
字での画像濃度劣化も少なくなり高コントラストを維持
することも認められた。
【0049】本発明の可逆性感熱記録材料に用いられる
「(温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化す
る)感熱層」とは、温度変化によって目に見える変化を
可逆的に起こす材料である。目に見える変化は色の状態
の変化と形状の変化に分けられるが、本発明では主に色
の状態の変化を起こす材料を使用する。色の状態の変化
には、透過率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化が
あり、実際の可逆性感熱記録材料はこれらの変化の組合
せで表示を行なっている。より具体的には、熱により透
明度や色調が可逆的に変化するものならばなんでも良い
が、例えば常温より高い第一の特定温度で第一の色の状
態となり、第一の特定温度よりも高い第二の特定温度で
加熱し、その後冷却することにより第二の色の状態とな
るもの、等が挙げられる。特に第一の特定温度と第二の
特定温度で色の状態が変化するものが好適に用いられ
る。これらの例としては、第一の特定温度で透明状態と
なり、第二の特定温度で白濁状態となるもの(特開昭5
5−154198号)、第二の特定温度で発色し、第一
の特定温度で消色するもの(特開平4−224996
号、特開平4−247985号、特開平4−26719
0号などの)、第一の特定温度で白濁状態となり、第二
の特定温度で透明状態となるもの(特開平3−1695
90号)、第一の特定温度で黒、赤、青等に発色し、第
二の特定温度で消色するもの(特開平2−188293
号、特開平2−188294号)等が挙げられる。この
中でも特に下記の二つの材料が代表として挙げられる。 透明状態と白濁状態が可逆的に変化する材料 染料等の色が化学的に変化する材料
【0050】としては、従来の技術でも及びこれまで
にも繰返し述べてきたように、ポリエステル等の樹脂母
材中に高級アルコール、高級脂肪酸等の有機低分子物質
を分散した感熱層が代表例として挙げられる。また、
としては、ロイコ系感熱記録材料の可逆性を増強したも
のが代表例として挙げられる。
【0051】前記の透明度に変化を生じせしめるタイ
プの感熱層は、樹脂母材及びこの樹脂母材中に分散され
た有機低分子物質を主成分としたものである。ここでの
可逆性感熱記録材料は、後述するように、透明になる温
度の範囲がある。本発明の可逆性感熱記録材料は、前記
のごときの透明度変化(透明状態、白濁不透明状態)
を利用しており、そのメカニズムについては次のように
推測される。すなわち、(I)透明の場合には樹脂母材
中に分散された有機低分子物質の粒子は有機低分子物質
と樹脂母材とは隙間なく密着しており、また粒子内部に
も空隙はなく、片側から入射した光は散乱されること無
く反対側に透過するため透明に見えること、また、(I
I)白濁の場合には有機低分子物質の粒子は有機低分子
物質の微細な結晶で構成されており、結晶の界面若しく
は粒子と樹脂母材の界面に隙間ができ片側から入射した
光は空隙と結晶、空隙と樹脂の界面で屈折し、散乱され
れるため白く見えること、等に由来している。
【0052】従って、熱を選択的に与えることにより感
熱層を選択的に加熱し、透明地に白濁画像、白濁地に透
明画像を形成することができ、その変化は何回も繰り返
しすることが可能である。そして、このような感熱層の
背面に着色シートを配置すれば、白地に着色シートの色
の画像または着色シートの色の地に白地の画像を形成す
ることができる。また、OHP(オーバーヘッドプロジ
ェクター)などで投影すれば、白濁部は暗部になり、透
明部は光が透過しスクリーン上では明部となる。
【0053】感熱層の厚さは1〜30μmが好ましく、
2〜20μmがさらに好ましい。記録層が厚すぎると層
内での熱の分布が発生し均一に透明化することが困難と
なる。また、感熱層が薄すぎると白濁度が低下しコント
ラストが低くなる。なお、記録層中の脂肪酸の量を増加
させると白濁度を増すことができる。
【0054】の可逆性感熱記録材料を作るには例えば
下記の方法により支持体上に感熱層を形成する。場合に
よっては、支持体上を用いることなくシート状として成
形するこのもできる。 1)樹脂母材及び有機低分子物質を溶媒中に溶解し、こ
れを支持体上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あるいはシ
ート状にするとともに架橋するか、又はシート状とした
後、架橋する方法。 2)樹脂母材のみを溶解させる溶媒に樹脂母材を溶解さ
せ、その中に有機低分子物質を種々の方法で粉砕又は分
散し、これを支持体上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あ
るいはシート状にするとともに架橋するか、又はシート
状とした後、架橋する方法。 3)溶媒を用いず、樹脂母材と有機低分子物質を加熱溶
融混合し、これを皮膜あるいはシート状に成形して冷却
した後、架橋するする方法。 感熱層又は感熱記録材料作成用溶剤としては、樹脂母材
及び有機低分子物質の種類によって種々選択できるが、
例えばテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタ
ノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。なお、分
散液を使用した場合はもちろんであるが、溶液を使用し
た場合も得られる感熱層中では有機低分子物質は微粒子
として析出し、分散状態で存在する。
【0055】本発明において、可逆性感熱記録材料の感
熱層の樹脂母材に用いられる樹脂は皮膜またはシートを
形成することができ、透明性が良く、機械的に安定な樹
脂が好ましい。このような樹脂としては、ポリ塩化ビニ
ル:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレ
ート共重合体、塩化ビニルと炭素数3以上の脂肪酸のビ
ニルエステルとの共重合体、塩化ビニル−エチレン共重
合体等の塩化ビニル系共重合体;ポリ塩化ビニリデン、
塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン
−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニリデン系共重
合体;ポリメタクリレート、メタクリレート共重合体等
が挙げられる。
【0056】また、これらの樹脂と下記にあげる樹脂と
を組み合せて用いることができる。飽和ポリエステル、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメ
タクリレート、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、天
然ゴム、ポリアクロレイン、ポリカーボネートから選ば
れたものを少なくとも一種若しくは2種以上含むもの、
またはこれらを含む共重合体であるものが挙げられる
が、その他にポリアクリレート、ポリアクリルアミド、
ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、或いはこれら
の共重合体も使用できる。
【0057】また更に、樹脂に塩化ビニル共重合体を用
いる場合には、これら重合体の平均重合度がP=300
以上が好ましく、更に好ましくはP=600以上であ
り、また塩化ビニル単位と共重合モノマー単位との重合
比が90/10〜40/60が好ましく、更に好ましく
は85/15〜50/50である。また樹脂母材に用い
られる樹脂のガラス転移温度(Tg)は好ましくは10
0℃未満、更に好ましくは90℃未満、特に好ましくは
80℃未満である。
【0058】一方、有機低分子物質としては記録層中で
粒子状になれば良く、一般に融点30〜200℃、好ま
しくは50〜150℃程度のものが使用される。このよ
うな有機低分子物質としてはアルカノール;アルカンジ
オール;ハロゲンアルカノールまたはハロゲンアルカン
ジオール;アルキルアミン;アルカン;アルケン;アル
キン;ハロゲンアルカン;ハロゲンアルケン;ハロゲン
アルキン;シクロアルカン;シクロアルケン;シクロア
ルキン;飽和または不飽和モノまたはジカルボン酸又は
これらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;飽和ま
たは不飽和ハロゲン脂肪酸またはこれらのエステル、ア
ミド又はアンモニウム塩;アリルカルボン酸またはそれ
らのエステル、アミド又はアンモニウム塩;ハロゲンア
リルカルボン酸またはそれらのエステル、アミド又はア
ンモニウム塩;チオアルコール;チオカルボン酸又はそ
れらのエステル、アミンまたはアンモニウム塩;チオア
ルコールのカルボン酸エステル等が挙げられる。これら
は単独で又は2種以上混合して使用される。これらの化
合物の炭素数は10〜60、好ましくは10〜38、特
に10〜30が好ましい。エステル中のアルコール基部
分は飽和していてもよく、飽和していなくてもよく、ま
たハロゲン置換されていてもよい。いずれにしても有機
低分子物質は分子中に酸素、窒素、硫黄及びハロゲンの
少くとも1種、例えば−OH、−COOH、−CON
H、−COOR、−NH、−NH2、−S−、−S−S
−、−O−、ハロゲン等を含む化合物であることが好ま
しい。
【0059】本発明において前記有機低分子物質として
は、低融点の有機低分子物質と、高融点の有機低分子物
質とを組み合わせて用いることにより、透明化温度巾を
更に拡大させることができ好ましい。前記低融点有機低
分子物質と高融点有機低分子物質の融点の差は20℃以
上が好ましく、更に好ましくは30℃以上であり、特に
好ましくは40℃以上である。低融点有機低分子物質材
料としては、融点40℃〜100℃のものが好ましく、
50℃〜80℃のものががさらに好ましい。高融点有機
低分子物質としては、融点100℃〜200℃のものが
好ましく、110℃〜180℃のものが更に好ましい。
【0060】これらの有機低分子物質の中で本発明で用
いられる低融点有機低分子物質としては下記の脂肪酸エ
ステル、二塩基酸エステル、多価アルコールジ脂肪酸エ
ステルが好ましい。これらは少なくとも1種或いは2種
以上混合して用いられる。
【0061】本発明で用いられる脂肪酸エステルは、同
じ炭素数の脂肪酸(2分子会合状態)より融点が低く、
逆に同じ融点の脂肪酸よりも炭素数が多いという特徴を
持つ。サーマルヘッドでの画像の印字−消去の繰り返し
による劣化は、樹脂母材と有機低分子物質の加熱時の相
溶による有機低分子物質粒子の分散状態の変化が原因と
考えられ、樹脂母材と有機低分子物質の相溶性は有機低
分子物質の炭素数が多いほど低下し、画像の印字−消去
の劣化が少ないものと考えられる。更に白濁度も炭素数
に比例して増加する傾向にある。その為、同じ透明化温
度(融点付近にある)の可逆性感熱記録材料において、
樹脂母材中に分散させる有機低分子物質として脂肪酸エ
ステルを用いることにより、脂肪酸を用いた場合に比較
し、白濁度が高く、つまりコントラストが高く、しかも
繰り返し耐久性が向上するものと思われる。そして、こ
のような脂肪酸エステルと高融点の有機低分子物質を混
合して用いることにより、透明化温度巾を広くすること
ができ、サーマルヘッドでの消去の性能も高く、そのた
め、保存により多少消去特性が変動しても、消去可能で
あり、材料自身の特性から繰り返し耐久性も向上するこ
とができる。
【0062】本発明で用いられる脂肪酸エステルは、例
えば下記一般式(I)で表わされる。 R1−COO−R2 …(I) (式中、R1,R2は炭素数10以上のアルキル基を表わ
す。) 脂肪酸エステルの炭素数は20以上が好ましく、25以
上が更に好ましく、30以上が特に好ましい。炭素数が
多くなると白濁度が高く、繰り返し耐久性が向上すると
いう特長を有する。脂肪酸エステルの融点は40℃以上
が好ましい。これらは一種または二種以上を選択して用
いられる。
【0063】本発明で用いられる脂肪酸エステルの具体
例を以下に示す。 パルミチン酸オクタデシル パルミチン酸ドコシル ステアリン酸ヘプチル ステアリン酸オクチル ステアリン酸オクタデシル ステアリン酸ドコシル ベヘン酸オクタデシル ベヘン酸ドコシル
【0064】二塩基酸エステルとしては、モノエステ
ル、ジエステルのいずれでもよく、下記一般式(II)で
表わされるものである。
【化1】 (式中、R,R′は水素原子、又は炭素数1〜30のア
ルキル基を表わし、R,R′は同一であっても異なって
いてもよいが、同時に水素原子である場合を除く。nは
0〜40の整数を表わす。) 上記一般式(II)で表わされる二塩基酸エステルにおい
て、R,R′のアルキル基の炭素数は1〜22が好まし
く、nは、1〜30が好ましく、2〜20が更に好まし
い。また融点は40℃以上が好ましい。
【0065】具体的には、 コハク酸エステル アジピン酸エステル セバシン酸エステル 1−又は18−オクタデカメチレンジカルボン酸エステ
ル 等が挙げられる。
【0066】本発明で用いる有機低分子物質の多価アル
コールジ脂肪酸エステルとしては、下記の一般式(II
I)で表わされるものが挙げられる。 CH3(CH2)m-2COO(CH2)nOOC(CH2)m-2CH3 …(III) (式中、nは2〜40、好ましくは3〜30、更に好ま
しくは4〜22の整数である。mは2〜40、好ましく
は3〜30、更に好ましくは4〜22の整数である。) 具体的には以下のものが挙げられる。 1,3プロパンジオールジアルカン酸エステル 1,6ヘキサンジオールジアルカン酸エステル 1,10デカンジオールジアルカン酸エステル 1,18オクタデカンジオールジアルカン酸エステル
【0067】多価アルコールジ脂肪酸エステルは同じ炭
素数で比較すると脂肪酸より融点が低く、逆に同じ融点
で比較すると脂肪酸より炭素数が多いという特徴を持
つ。サーマルヘッドでの印字の繰り返し耐久性は樹脂と
有機低分子物質の加熱時での相溶性が原因と考えられ、
樹脂と有機低分子物質の相溶性は有機低分子物質の炭素
数が多いほど低下すると考えられる。さらに白濁度も炭
素数に比例し、増加する傾向にあり、そのため多価アル
コールジ脂肪酸エステルを用いることにより、同じ透明
化温度(融点付近にある)の可逆性感熱記録材料におい
て脂肪酸と比較し、繰り返し耐久性が向上すると思われ
る。
【0068】また、多価アルコールジ脂肪酸エステルは
低融点で、それより高融点の脂肪酸と白濁度、繰り返し
耐久性の面で同程度の特性を持つため、これらより高融
点の有機低分子物質と混合し、透明化温度範囲を広げた
際に、脂肪酸を用いた場合と同程度の白濁度、繰り返し
耐久性等の性能を持ちながら透明化温度範囲を広げるこ
とができ、ひいてはサーマルヘッド等による、短時間で
の加熱による画像消去(透明化)を向上させることがで
き、さらに、画像消去のマージンが増えることにより経
時により画像消去エネルギーが変動しても、実用上問題
なく、サーマルヘッドでの消去も可能となる。
【0069】また次に、本発明で用いられる高融点有機
低分子物質としては、脂肪族飽和ジカルボン酸、高級ア
ルキル基を有するケトン、該ケトンから誘導されるセミ
カルバゾン、α−ホスホノ脂肪酸などが挙げられ、下記
のものが好ましいが、これらに限定されるものではな
い。これらは、一種または二種以上選択して用いられ
る。
【0070】これら融点100℃以上の有機低分子物質
の具体例を以下に示す。脂肪族ジカルボン酸の、例えば
融点100〜135℃程度の具体例としては、例えば、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、
ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、
ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二
酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン
二酸、ドコサン二酸等が挙げられる。
【0071】本発明において用いるケトンは、ケトン基
と高級アルキル基を必須の構成基として含み、その他無
置換または置換基を有する芳香環あるいは被素環を含む
こともできる。前記ケトンの全炭素数は16個以上が好
ましく、更に好ましくは21個以上である。また、本発
明に用いるセミカルバゾンは、上記ケトンから誘導され
たものである。
【0072】本発明において使用するケトン、セミカル
バゾンとしては、例えば次に示すようなものを挙げるこ
とができる。 3−オクタデカノン 7−アイコサノン 14−ヘプタコサノン 18−ペンタトリアコンタノン テトラデカノフェノン ドコサノフェノン ドコサノナフトフェノン 2−ヘンエイコサノンセミカルバゾン
【0073】本発明で用いるα−ホスホノ脂肪酸は例え
ばE.V.Kaurer等、J.Ak.Oil Che
kist’s Soc,41,205(1964)の方
法に従って脂肪酸をHell−Volhard−Zel
inskin反応によって臭素化してα−臭素化酸臭化
物とし、次いでエタノールを加えα−プロモ脂肪酸エス
テルを得、さらにトリエチルホスファイトと加熱反応し
てα−ホスホノ脂肪酸エステルとし、濃塩酸による加水
分解を行なって生成物をトルエンから再結晶することに
より得ることができる。本発明で用いるホスホノ脂肪酸
に具体例を以下に示す。 α−ホスホノミリスチル酸 α−ホスホノパルミチン酸 α−ホスホノステアリン酸 などがあげられる。なお、α−ホスホノベラルゴン酸以
外は2つのmp(融点)をもっている。
【0074】これらの低融点有機低分子物質と高融点有
機低分子物質の混合重量比は95:5〜5:95が好ま
しく、90:10〜10:90が更に好ましく、80:
20〜20:80が特に好ましい。また、これらの低融
点有機低分子物質、高融点有機低分子物質以外に前記し
た他の有機低分子物質を混合して用いてもよい。これら
は下記のものが挙げられる。
【0075】これら化合物としてはラウリン酸、ドデカ
ン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、アラギン酸、
オレイン酸等の高級脂肪酸;C1633−O−C
1633 , C1633−S−C1633 ,C1837−S
−C1837 , C1225−S−C1225 ,C1939
−S−C1939 , C1225−S−S−C1225 等のエーテル又はチオエーテル等がある。中でも本発明
では高級脂肪酸、特にパルミチン酸、ペンタデカン酸、
ノナデカン酸、アラキン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、
リグノセリン酸等の炭素数16以上の高級脂肪酸が好ま
しく、炭素数16〜24の高級脂肪酸が更に好ましい。
【0076】前記したように本発明において、透明化で
きる温度の巾を広げるには、この明細書において記載し
た有機低分子物質を適宜組合せるか、または、そうした
有機低分子物質と融点の異なる他の材料とを組合せれば
よい。これらは例えば特開昭63−39378号、特開
昭63−130380号などの公報や、特願昭63−1
4754号、特願平3−2089号などの明細書に開示
されているが、これらに限定されるものではない。
【0077】なお、感熱層中の有機低分子物質と樹脂
(架橋構造を有する樹脂)との割合は、重量比で2:1
〜1:16程度が好ましく、1:2〜1:8が更に好ま
しい。樹脂の比率がこれ以下になると、有機低分子物質
を樹脂中に保持した膜に形成することが困難となり、ま
たこれ以上になると、有機低分子物質の量が少ないた
め、不透明化が困難になる。
【0078】感熱層には以上の成分の他に、透明画像の
形成を容易にするために、界面活性剤、可塑剤等の添加
物を添加することができる。これらの添加物の具体例は
次の通りである。可塑剤としては、リン酸エステル、脂
肪酸エステル、フタル酸エステル、二塩基酸エステル、
グリコール、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤
が挙げられ、具体例としては下記のものである。リン酸
トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸
トリフェニル、リン酸トリクレジル、オレイン酸ブチ
ル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ
ブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチ
ル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソ
ノニル、フタル酸ジオクチルデシル、フタル酸ジイソデ
シル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジブチル、
アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチ
ルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セ
バシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシ
ル、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレ
ングリコールジ−2−エチルブチラート、アセチルリシ
ノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチル
フタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブ
チルなど。
【0079】界面活性剤、その他の添加物の例;多価ア
ルコール高級脂肪酸エステル;多価アルコール高級アル
キルエーテル;多価アルコール高級脂肪酸エステル、高
級アルコール、高級アルキルフェノール、高級脂肪酸高
級アルキルアミン、高級脂肪酸アミド、油脂又はポリプ
ロピレングリコールの低級オレフィンオキサイド付加
物;アセチレングリコール;高級アルキルベンゼンスル
ホン酸のNa、Ca、Ba又はMg塩;芳香族カルボン
酸、高級脂肪酸スルホン酸、芳香族スルホン酸、硫酸モ
ノエステル又はリン酸モノ−又はジ−エステルのCa、
Ba又はMg塩;低度硫酸化油;ポリ長鎖アルキルアク
リレート;アクリル系オルゴマー;ポリ長鎖アルキルメ
タクリレート;長鎖アルキルメタクリレート−アミン含
有モノマー共重合体;スチレン−無水マレイン酸共重合
体;オレフィン−無水マレイン酸共重合体など。
【0080】続いて、本発明の可逆的感熱記録材料は、
また、前記の感熱層が電子供与性呈色性化合物と電子
受容性化合物との間の発色反応を利用したものも含み、
このような可逆的熱発色反応を利用したものについて以
下に述べることにする。該発色反応は、電子供与性呈色
性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用し
たものであり、これら化合物からなる熱発色性組成物
は、該電子供与性呈色性化合物と該電子受容性化合物を
加熱溶融混合させたときに非晶質の発色体を生成し、一
方、該非晶質の発色体を該溶融温度より低い温度で加熱
したときに該電子受容性化合物が結晶化を起して該発色
体が消色することの現象を利用したものである。
【0081】熱発色性組成物は、加熱により瞬時に発色
し、その発色状態は常温においても安定的に存在し、一
方、発色状態にある組成物は、これを発色温度以下の加
熱により瞬時に消色し、その消去状態は常温においても
安定的に存在するもので、このような可逆的な特異な発
消色挙動は従来には見られない新規な驚くべき現象であ
る。
【0082】この組成物を感熱層として用いた場合の発
色と消色、即ち画像形成と画像消去の原理を図3に示し
たグラフによって説明する。グラフの縦軸は発色濃度を
表わし、横軸は温度を表わしており、実線は加熱による
画像形成過程を、破線は加熱による画像消去過程を示し
たものである。Aは完全消去状態における濃度であり、
BはT6以上の温度に加熱した時の完全発色状態におけ
る濃度であり、Cは完全発色状態のT5以下の温度にお
ける濃度であり、DはT5〜T6間の温度で加熱消去した
時の濃度を示している。
【0083】本発明に係るこの組成物は、T5以下の温
度においては無色の状態(A)にある。記録(画像形
成)を行なうにはサーマルヘッド等によりT6以上の温
度に加熱することにより発色(B)して記録画像を形成
する。この記録画像は実線に従ってT5以下の温度に戻
しても、そのままの状態(C)を保持しており記録のメ
モリー性は失われない。
【0084】次に記録画像の消去を行なうには、形成さ
れた記録画像を発色温度よりも低いT5〜T6間の温度に
加熱することによって無色の状態(D)になる。この状
態はT5以下の温度に戻しても、そのままの無色の状態
(A)を保持している。即ち、記録画像の形成過程は実
線ABCの経路によりCに至り記録が保持される。次に
記録画像の消去過程は破線CDAの経路によりAに至り
消去状態が保持される。この記録画像の形成と消去の挙
動特性は可逆性を有し何回も繰り返し行なうことができ
る。
【0085】可逆的熱発色性組成物は、発色剤と顕色剤
を必須成分とし、更に必要により結着樹脂を含んでい
る。そして、発色剤と顕色剤の加熱溶融により発色状態
を形成し、一方、発色温度よりも低い温度の加熱により
発色状態は消去され、発色状態及び消色状態が常温で安
定的に存在するものである。組成物におけるこのような
発色と消色の機構は、先に触れたように、発色剤と顕色
剤を発色温度で加熱溶融混合した時に、組成物が非晶質
化を起こして発色状態を形成し、一方、発色温度よりも
低い温度で加熱した時に、発色した組成物の顕色剤が結
晶化を起こして発色の消去状態を形成する特性に基づく
ものである。ただし、この場合においても感熱層はT6
以上の温度に加熱してから消色する過程がとられること
によって、発色剤及び顕色剤の粒子が元に戻り、新たな
発色状態を形成するのに有利である。
【0086】通常の発色剤と顕色剤、例えば、従来の感
熱記録紙に広く用いられている色素前駆体であるラクト
ン環を有するロイコ系化合物と顕色作用を示すフェノー
ル性化合物からなる組成物は、これを加熱によって溶融
混合させると、ロイコ化合物のラクトン環の開環に基づ
く発色状態となる。この発色状態は両者が相溶した非晶
質状態を呈している。この発色した非晶質状態は常温で
安定的に存在するが、再び加熱を行っても結晶化は起こ
らず、フェノール性化合物のロイコ化合物からの分離が
ないためにラクトン環の閉環がなく消色はしない。
【0087】これに対して、本発明に係る発色剤と顕色
剤の組成物も加熱によって溶融混合させた時に、発色状
態となり、従来の場合と同様に非晶質状態を呈し、常温
で安定的に存在する。しかし、本発明の場合は、この発
色した非晶質状態の組成物は、発色温度以下、即ち溶融
状態に至らない温度で加熱すると、顕色剤の結晶化が起
こり、発色剤との相溶状態による結合が保持できなくな
り、顕色剤が発色剤から分離する。そして、この顕色剤
の結晶化による発色剤からの分離により、顕色剤は発色
剤から電子を受容することができず、発色剤は消色する
ものと考えられる。
【0088】熱発色性組成物に見られる前記の特異な発
消色挙動は、発色剤と顕色剤との加熱溶融による相互溶
解性、発色状態での両者の作用の強さ、顕色剤の発色剤
に対する溶解能、顕色剤の結晶性等が関係しているが、
原理的には、加熱溶融による非晶質化を起こし、一方、
発色温度よりも低い温度の加熱により結晶化を起こす発
色剤/顕色剤系であれば、本発明における組成物成分と
して利用し得るものである。さらに、この様な特性を有
するものは、熱分析において溶融による吸熱変化及び結
晶化による発熱変化を示すことから、本発明に適用し得
る発色剤/顕色剤系は、熱分解析により容易に確認する
ことができる。また、本発明に係る可逆的熱発色性組成
物系には、必要に応じて結着樹脂等の第三物質が存在さ
せることができ、例えば、高分子物質が存在してもその
可逆的な消発色挙動が保持されることが確認された。結
着樹脂としては、前記の可逆性感熱記録媒体の感熱層
を構成する樹脂母材と同様のものが使用できる。本発明
の熱発色性組成物において、その消色は顕色剤の結晶化
による発色剤からの分離に起因することから、消色効果
のすぐれたものを得るには、顕色剤の選択は重要であ
る。
【0089】本発明における感熱層中の樹脂を架橋させ
る手段としては、加熱することにより又は紫外線照射、
電子線照射により行なうことができるが、これらの中で
電子線照射するのが最適である。これら架橋させる方法
は具体的には以下のとおりである。(i)樹脂に架橋性
のあるものを用いる方法、(ii)架橋剤の添加による方
法、(iii)紫外線、又は電子線の照射によって架橋さ
せる方法、(iv)架橋剤の存在下で紫外線、又は電子線
の照射によって架橋させる方法、等がある。架橋剤とし
てはウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート
系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリ
レート系、ビニル系、不飽和ポリエステル等のオリゴマ
ーや、各種単官能、多官能のアクリレート、メタクリレ
ート、ビニルエステル、スチレン誘導体、アリル化合物
等のモノマーが挙げられる。また、非官能性モノマー、
官能性モノマーとしては、具体的には下記のものがあげ
られる。
【0090】非官能性モノマーの例: (1)メタクリル酸メチル(MMA) (2)メタクリル酸エチル(EMA) (3)メタクリル酸n−ブチル(BMA) (4)メタクリル酸i−ブチル(IBMA) (5)メタクリル酸t−ブチル(TBMA) (6)メタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA) (7)メタクリル酸ラウリル(LMA) (8)メタクリル酸アルキル(SLMA) (9)メタクリル酸トリデシル(TDMA) (10)メタクリル酸ステアリル(SMA) (11)メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA) (12)メタクリル酸ベンジル(BZMA)
【0091】単官能性モノマーの例: (13)メタクリル酸(MMA) (14)メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA) (15)メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(HPM
A) (16)メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMMA) (17)メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロラ
イド塩(DMCMA) (18)メタクリル酸ジエチルアミノエチル(DEMA) (19)メタクリル酸グリシジル(GMA) (20)メタクリル酸テトラヒドロフルフリル(THFM
A) (21)メタクリル酸アリル(AMA) (22)ジメタクリル酸エチレングリコール(EDMA) (23)ジメタクリル酸トリエチレングリコール(3ED
MA) (24)ジメタクリル酸テトラエチレングリコール(4E
DMA) (25)ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール(B
DMA) (26)ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール(HX
MA) (27)トリメタクリル酸トリメチロールプロパン(TM
PMA) (28)メタクリル酸2−エトキシエチル(ETMA) (29)2−エチルヘキシルアクリレート (30)フェノキシエチルアクリレート (31)2−エトキシエチルアクリレート (32)2−エトキシエトキシエチルアクリレート (33)2−ヒドロキシエチルアクリレート (34)2−ヒドロキシプロピルアクリレート (35)ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート (36)N−ビニルピロリドン (37)酢酸ビニル
【0092】2官能性モノマーの例: (38)1,4−ブタンジオールアクリレート (39)1,6−ヘキサンジオールジアクリレート (40)1,9−ノナンジオールジアクリレート (41)ネオペンチルグリコールジアクリレート (42)テトラエチレングリコールジアクリレート (43)トリプロピレングリコールジアクリレート (44)トリプロピレングリコールジアクリレート (45)ポリプロピレングリコールジアクリレート (46)ビスフェノールA.EO付加物ジアクリレート (47)グリセリンメタクリレートアクリレート (48)ネオペンチルグリコールのプロピレンオキサイド
2モル付加のジアクリレート (49)ジエチレングリコールジアクリレート (50)ポリエチレングリコール(400)ジアクリレー
ト (51)ヒドロキシピバリン酸とネオペンチルグリコール
のエステルのジアクリレート (52)2,2−ビス(4−アクリロキシ・ジエトキシフ
ェニル)プロパン (53)ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレ
ート
【化2】 (54)ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールの
ε−カプロラクトン付加物のジアクリレート
【化3】 (55)ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールの
ε−カプロラクトン付加物のジアクリレート
【化4】 (56)2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチ
ル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジ
オキサンジアクリレート
【化5】 (57)トリシクロデカンジメチロールジアクリレート
【化6】 (58)トリシクロデカンジメチロールジアクリレートの
ε−カプロラクトン付加物
【化7】 (59)1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテ
ルのジアクリレート
【化8】
【0093】多官能性モノマーの例: (60)トリメチロールプロパントリアクリレート (61)ペンタエリスリトールトリアクリレート (62)グリセリンPO付加トリアクリレート
【化9】 (63)トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート (64)ペンタエリスリトールテトラアクリレート (65)トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド
3モル付加物のトリアクリレート (66)グリセリルプロポキシトリアクリレート (67)ジペンタエリスリトール・ポリアクリレート (68)ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物
のポリアクリレート (69)プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアク
リレート (70)ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプ
ロピントリアクリレート (71)プロピオン酸・ジペンタエリスリトールのテトラ
アクリレート (72)ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート (73)プロピオン酸ジペンタエリスリトールのペンタア
クリレート (74)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(D
PHA) (75)DPHAのε−カプロラクトン付加物
【化10】
【0094】オリゴマーの例: (76)ビスフェノールA−ジエポキシアクリル酸付加物
【化11】
【0095】これらの架橋剤は単独で又は2種以上が混
合して使用される。これらの架橋剤の添加量としては、
樹脂1重量部に対して0.001〜1.0重量部が好ま
しく、更に好ましくは0.01〜0.5重量部である。
添加量が0.001重量部以下であると架橋効率が悪く
なり、逆に1.0重量部以上になると白濁度が低下し、
コントラストが低くなる。前記したように、架橋剤の添
加量を少量にして架橋効率を向上させるためには、前記
した架橋剤の中では、非官能性モノマーより官能性モノ
マーが好ましく、更に単官能モノマーよりも多官能モノ
マーが好ましい。
【0096】また次に本発明における感熱層の樹脂を架
橋させる手段として紫外線照射を用いる場合には次のよ
うな架橋剤、光重合開始剤、光重合促進剤を用いてもよ
い。具体的には下記のものが挙げられるが、これらに限
定されるものではない。
【0097】まず架橋剤としては光重合性プレポリマー
と光重合性モノマーに大別することができ、光重合性モ
ノマーとしては前記した電子線照射で用いる架橋剤とし
て挙げた単官能性モノマー及び多官能性モノマーと同じ
ものを挙げることができる。また次に光重合性プレポリ
マーとしてはポリエステルアクリレート、ポリウレタン
アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルア
クリレート、オリゴアクリレート、アルキドアクリレー
ト、ポリオールアクリレートなどが挙げられる。これら
の架橋剤は単独で又は2種以上が混合して使用される。
これらの架橋剤の添加量としては、樹脂1重量部に対し
て0.001〜1.0重量部が好ましく、更に好ましく
は0.01〜0.5重量部である。添加量が0.001
重量部以下であると架橋効率が悪くなり、逆に1.0重
量部以上になると白濁度が低下し、コントラストが低く
なる。
【0098】次に光重合開始剤としてはラジカル反応型
とイオン反応型に大別でき、更にラジカル反応型は光開
裂型と水素引抜き型とに分けられる。具体的には下記の
ものが挙げられる。 1.ベンゾインエーテル イソブチルベンゾインエーテル イソプロピルベンゾインエーテル ベンゾインエチルエーテル ベンゾインメチルエーテル 2.α−アシロキシムエステル 1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エ
トキシカルボニル)オキシム 3.ベンジルケタール 2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン ベンジル ビドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4.アセトフェノン誘導体 ジエトキシアセトフェノン 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−
1−オン 5.ケトン−(ケトン−アミン系) ベンゾフェノン クロロチオキサントン 2−クロロチオキサントン イソプロピルチオキサントン 2−メチルチオキサントン 塩素置換ベンゾフェノン
【0099】これらの光重合開始剤は、単独で又は2種
以上混合して使用される。添加量としては架橋剤1重量
部に対して0.005〜1.0重量部が好ましく、更に
好ましくは0.01〜0.5重量部である。
【0100】次に光重合促進剤としては、ベンゾフェノ
ン系やチオキサントン系などの水素引抜きタイプの光重
合開始剤に対し、硬化速度を向上させる効果があり、芳
香族系の第3級アミンや脂肪族アミン系がある。具体的
には、P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステ
ル、P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどが
あげられる。これら光重合促進剤は単独で又は2種以上
混合して使用される。添加量としては光重合開始剤1重
量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、更に好まし
くは0.3〜3重量部である。
【0101】また本発明に用いる紫外線照射装置は、光
源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置から構成されてい
る。光源には水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリ
ウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプが
あるが、前記した光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外
線吸収波長に対応した発光スペクトルを有する光源を使
用すればよい。また紫外線照射条件については、樹脂を
架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出
力、搬送速度を決めればよい。
【0102】本発明において、可逆性感熱記録材料の感
熱層の樹脂を架橋するのに特に効果的な電子線照射法は
以下のとおりである。まず、EB照射装置としては、走
査形(スキャンビーム)あるいは非走査形(エリアビー
ム)の2種に大別できるが、照射面積、照射線量等の目
的に応じて決めればよい。次に、EB照射条件について
は、樹脂を架橋するために必要な線量に応じて、電子
流、照射幅、搬送スピードを考慮し下記式から決められ
る。 D=(ΔE/ΔR)・η・I/(W・V) D:必要線量(Mrad) ΔE/ΔR:平均エネルギ損失 η:効率 I:電子流(mA) W:照射幅(cm) V:搬送速度(cm/s) 工業的には、これを簡略化し、 D・V=K・I/W とし、装置定格をMrad・m/minで示す。電子流
定格は、実験器では20〜30mA、パイロット機では
50〜100mA、生産機では100〜500mA程度
が選ばれる。
【0103】ここで樹脂を架橋するために必要な線量に
ついては、樹脂の種類および重合度、架橋剤の種類およ
び添加量、可塑剤の種類および添加量等により架橋効率
が変わり、線量に対してのゲル分率が一定でないため、
これらの可逆性感熱記録媒体の感熱層の構成因子水準を
決めて記録層を作成し、ゲル分率目標値を決め、それに
応じての線量を決めればよい。またここで、照射線量
は、樹脂を架橋させるために高エネルギーを必要とする
場合には、支持体または樹脂等が照射により発生する熱
によって変形、熱分解をするのを防ぐため、照射を複数
回に分けて、1回当たりの照射で高熱になるのを防ぐこ
とが好ましい。また、EB照射を行なう前に、記録層に
含有される有機低分子物質の少なくとも一部を溶融する
温度以上で加熱した後、架橋することが好ましく、また
更に有機低分子物質が全て溶融する温度以上に加熱した
後、架橋することが好ましい。感熱層構成因子それぞれ
のゲル分率との関係は以下のとおりである。まず、樹脂
の種類としては前記した樹脂が選択できるが、これらの
重合度は平均重合度(P)が高くなるにつれてゲル分率
が向上する傾向にあり、好ましくはP=300以上であ
り、更に好ましくはP=600以上である。
【0104】架橋剤の種類および添加量については前記
したとおりであり、また可塑剤の種類としては、前記し
た可塑剤の中で脂肪酸エステル、ポリエステル系可塑
剤、エポキシ系可塑剤等が好ましく、特にエポキシ系可
塑剤が照射変色、架橋効率からみて最適である。可塑剤
の添加量については、その添加量の増加につれてゲル分
率が向上する傾向にあり、樹脂1重量部に対して0.0
1〜1.0重量部が好ましく、更に好ましくは0.05
〜0.5重量部である。
【0105】上記の他で、繰り返し耐久性を向上させる
ためには、以下の方法がある。第1に感熱層の軟化温度
を高温側へ上げることによって耐久性は向上する。軟化
温度がより高い方が更に耐久性は向上する。軟化温度の
測定方法としては、ゲル分率測定で用いたものと同様な
膜を用いて、熱機械分析装置(TMA)や動的粘弾性測
定装置を用いて測定することができる。また、更に前記
した様に形成された記録層を剥離せずに剛体振り子法・
動的粘弾性測定装置により測定することができる。ま
た、その軟化点については経時での変動が少ない方が前
記した透明化温度巾、範囲の変動が少なくなる。
【0106】第2としては、後に述べるように、支持体
上に形成された感熱層上に前記した保護層を積層し、そ
の積層間の層間強度を強くすることによっても耐久性は
向上する。層間強度がより強い方がより耐久性は向上す
る。層間強度測定方法はTappi UM−403に準
じて行なうことができる。
【0107】第3としては、感熱層のTMA針入測定に
よる針入度が少ない方が耐久性は向上する。針入度がよ
り少ない方が更に耐久性は向上する。針入度測定方法と
しては、支持体上に形成された記録層を用いて、軟化温
度測定に用いたTMAを用い、先端断面積の小さなプロ
ーブ(針入プローブ)を記録層上に乗せ荷重を加え、必
要により加熱してその変位量により測定することができ
る。
【0108】第4としては、EB架橋後に感熱層中に残
存する架橋剤量が少ない方が耐久性は向上する。残存量
がより少ない方が耐久性は更に向上する。残存量測定方
法としては下記方法が挙げられる。測定装置としてフー
リエ変換赤外分光光度計に取り付けられるATR測定付
属装置を用い、測定サンプルとしては上記ゲル分率測定
に用いた感熱層塗膜を使用し、EB照射後の試料の81
0cm~1付近に現われるアクリロイル基のCH面外変角
振動による吸収帯強度を測定する。この吸収帯強度は架
橋剤残存量と比例関係にあり、残存量が減れば、強度も
減少するこれにより残存量を知ることができる。残存量
値としては感熱層中樹脂1重量部に対して0.2重量部
以下が良く、好ましくは0.1重量部以下であり、更に
好ましくは0.05重量部以下であり、特に好ましくは
0.01重量部以下である。
【0109】また、これらの他に、感熱層中の樹脂と有
機低分子物質粒子との界面及び/又は粒子中に樹脂及び
粒子の屈折率と異なる空隙があると、白濁状態での画像
濃度が向上し、コントラストが向上する効果がある。空
隙の大きさが不透明状態を検知するために用いる光の波
長の1/10以上であるとより効果が顕著である。
【0110】このの記録材料に形成される画像を反射
画像として用いる場合には、感熱層の背面に光を反射す
る層を設けるのが望ましい。また、反射層があると感熱
層の厚みを薄くとてもコントラストを上げることができ
る。具体的にはAl、Ni、Sn等を蒸着することが挙
げられる(特開昭64−14079号に記載)。
【0111】また、感熱層にはその感熱層を保護するた
めに保護層を設けることができる。保護層(厚さ0.1
〜10μm)の材料としては、シリコーン系ゴム、シリ
コーン樹脂(特開昭63−221087号)、ポリシロ
キサングラフトポリマー(特願昭62−152550号
明細書に記載)や紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹脂
(特願昭63−310600号明細書に記載)等が挙げ
られる。いずれの場合も、塗布時に溶剤を用いるが、そ
の溶剤は、記録層の樹脂ならびに有機低分子物質を溶解
しにくいほうが望ましい。感熱層の樹脂及び有機低分子
物質を溶解しにくい溶剤としてn−ヘキサン、メチルア
ルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール
等が挙げられ、特にアルコール系の溶剤がコスト面から
望ましい。
【0112】また、これら保護層は、感熱層の樹脂を架
橋するのと同時に硬化させることも可能である。この場
合には前記した方法により支持体上に感熱層を形成した
後に、保護層を塗布、乾燥し、その後に前記したEB照
射装置及び照射条件あるいはUV照射装置及び照射条件
により電子線又は紫外線照射を行ない、それぞれの層を
硬化させれば良い。
【0113】更に、保護層形成液の溶剤やモノマー成分
等から感熱層を保護するために、保護層と感熱層との間
に中間層を設けることができる(特開平1−13378
1号に記載)。中間層の材料としては感熱層中の樹脂母
材の材料として挙げたものの他に下記のような熱硬化性
樹脂、熱可塑性樹脂が使用可能である。即ち、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアル
コール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポ
リエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド等が挙げら
れる。中間層の厚さは0.1〜2μmくらいが好まし
い。
【0114】先に触れたように、本発明では支持体と感
熱層の間に視認性を良くするために着色層を設けること
ができる。着色層は着色剤及び樹脂バインダーを主成分
とする溶液又は分散液を対象面に塗布、乾燥するか、或
いは単に着色シートを貼合せることにより形成される。
ここで着色剤としては上層の記録層の透明及び白濁の変
化を反射画像として認識できればよく、赤、黄、青、
紺、紫、黒、茶、灰、橙、緑などの色を有する染料、顔
料等が使用される。また、樹脂バインダーとしては各種
熱可塑性、熱硬化性又は紫外線硬化性樹脂が使用され
る。
【0115】また、支持体と感熱層との間に、空気を有
する非密着部である空気層を設けることができる。空気
層を設けると、感熱層の主成分として用いられた有機高
分子材料の屈折率が1.4〜1.6程度で、空気の屈折
率1.0との差が大きいため、感熱記録層側フィルムと
非密着部との界面で光が反射し、感熱層が白濁状態のと
き白濁度が増幅され、視認性が向上するので、この非密
着部位を表示部として用いることが望ましい。非密着部
位は非密着部の内部に空気を有するため、その非密着部
が断熱層となり、感熱度が向上する。更に、非密着部位
はクッションの役目もなし、サーマルヘッドで圧力をか
けて押さえつけても実際に感熱部材に加わる圧力は低く
なり、熱を加えても感熱層の変形は少なく、有機低分子
物質粒子の拡大もなく、繰り返し耐久性が向上する。
【0116】更に、支持体裏面に接着剤層又は粘着剤層
を設けて、可逆性感熱記録ラベルとして用いることも可
能である。このラベルシートは被貼着体と貼り合わされ
るが、被貼着体としては、例えば、クレジットカード等
の塩ビカード、ICカード、IDカード、紙、フィル
ム、合成紙、ボーディングバス、定期券等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。また、支持体が
Al蒸着層のような樹脂との接着力に乏しい材質の場合
には、支持体と感熱層との間に接着層を設けても良い
(特開平3−7377号)。
【0117】また本発明において画像表示を行なうため
の感熱記録画像表示装置として用いる場合には、多種多
様なものが挙げられるが、その代表的なものは可逆性感
熱記録材料に画像形成・消去を行なうための画像形成手
段と画像消去手段が同一の発熱体、例えばサーマルヘッ
ドで、サーマルヘッドに印加するエネルギーを変化させ
ることにより画像処理を行なうことができる感熱記録画
像表示装置、または画像形成手段がサーマルヘッドであ
り、画像消去手段がサーマルヘッド、ホットスタンプ、
ヒートローラー、ヒートブロック等の発熱体を接着させ
る接触押圧型手段か、あるいは温風や赤外線などを用い
た非接触型手段のうち一つから選択される感熱記録画像
表示装置がある。
【0118】本発明の先のの可逆性感熱記録材料は記
録層が全体として架橋構造を呈しているため、記録層は
有機低分子物質粒子を含めて歪みを生じることがなく、
常に良好な画像記録及び消去が行なえ、また、経時安定
性に優れたものとなる。また、本発明のの可逆性感熱
記録材料においても、結着樹脂を架橋させることによっ
て、発色させた際の色ズレその他不都合は生じなくな
る。
【0119】
【実施例】以下、本発明を実施例をあげてより具体的に
説明する。ここでの部及び%はいずれも重量基準であ
る。
【0120】実施例1 (可逆性感熱記録材料の作製)約188μm厚のポリエ
ステルフィルム上に r−Fe23 10部 塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体 10部 (UCC社製、VAGH) イソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートL 50%トルエン溶液) 2部 メチルエチルケトン 40部 トルエン 40部 よりなる液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥して約1
0μm厚の磁気記録層を設けた。その上に、 特殊アクリル系紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業社製、 ユニデックC7−164、49%酢酸ブチル溶液) 10部 トルエン 4部 よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し加熱乾燥後80W
/cmの紫外線ランプで紫外線を5秒間照射して約1.
5μm厚の平滑層を設けた。更にその上にA1を約40
0Å厚となるように真空蒸着して光反射層を設けた。こ
の上に 塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体 5部 (電気化学工業社製、デンカビニール#1000P) THF(テトラヒドロフラン) 95部 よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して約0.5μm厚の
接着層を設けた。さらにその上に ステアリン酸オクタデシル(日本油脂社製、M9676) 5部 エイコサン2酸(岡村製油社製、SL−20−99) 5部 フタル酸ジイソデシル 3部 塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体 37部 (鐘淵化学工業社製、20−1834 平均重合度=500、 塩化ビニル70%、プロピオン酸ビニル30%試作品) DPCA−30(日本化薬社製、DPCA−30) 6.2部 THF 180部 トルエン 60部 エポキシ化アマニ油(エポキシ当量172g/eq 0.6部 旭電化工業社製、アデカサイザー0−180A) よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して約8μm厚の感熱
層(可逆性感熱記録層)を設けた。次に上記のように作
成した感熱層に以下のとおりにして、電子線照射を行な
った。電子線照射装置として、日新ハイボルテージ社製
のエリアビーム型電子線照射装置EBC−200−AA
2を用い、照射線量が10Mradになるように調整し
て、電子線照射を行なった。このようにして感熱層の形
成された可逆性感熱記録材料を作成した。またこの感熱
層の樹脂のゲル分率を測定したところ98%であった。
次に、このようにして形成した感熱層の上に ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の75%酢酸ブチル溶液 (大日本インキ化学社製、ユニディックC7−157) 10部 IPA(イソプロピルアルコール) 10部 よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後、8
0w/cmの紫外線ランプで硬化させ、約2μm厚の保
護層の形成された可逆性感熱記録材料を作成した。
【0121】実施例2 実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油の添加
量を2.2部に変更した以外は実施例1と同様にして可
逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル
分率を測定したところ97%であった。
【0122】実施例3 実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油をエポ
キシ化大豆油(エポキシ当量230g/eq、旭電化工
業社製アデカサイザー0−130P)に変更した以外は
実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
この感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ97%で
あった。
【0123】実施例4 実施例3において感熱層中のエポキシ化大豆油の添加量
を2.2部に変更した以外は実施例3と同様にして可逆
性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂ゲル分率
を測定したところ96%であった。
【0124】実施例5 実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油をエポ
キシ樹脂(エポキシ当量191g/eq、旭電化工業社
製アデカサイザーEP−13)に変更した以外は実施例
1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この感
熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ97%であっ
た。
【0125】実施例6 実施例5において感熱層中のエポキシ樹脂の添加量を
2.2部に変更した以外は実施例5と同様にして可逆性
感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率
を測定したところ96%であった。
【0126】実施例7 実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油をエポ
キシ樹脂(エポキシ当量144g/eq、東都化成社製
YH−300)に変更した以外は実施例1と同様にして
可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂ゲル
分率を測定したところ97%であった。
【0127】実施例8 実施例7において感熱層中のエポキシ樹脂の添加量を
2.2部に変更した以外は実施例7と同様にして可逆性
感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率
を測定したところ97%であった。
【0128】実施例9 実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油をビス
(ジブチル錫ラウリル酸)オキサイド(三共有機合成社
製、Stann SCAT−1)に変更した以外は実施
例5と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。この
感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ96%であっ
た。
【0129】実施例10 実施例9において感熱層中のビス(ジブチル錫ラウリル
酸)オキサイドの添加量を2.2部に変更した以外は実
施例9と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。こ
の感熱層の樹脂のゲル分率を測定したところ95%であ
った。
【0130】比較例1 実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油をなく
すことに変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感
熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率を
測定したところ98%であった。
【0131】比較例2 実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油をなく
し、またDPCA−30をなくし、電子線照射を行なわ
ないこと以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材
料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率を測定した
ところ0%であった。
【0132】比較例3 実施例1において感熱層中のエポキシ化アマニ油をエポ
キシ樹脂(エポキシ当量954g/eq、東都化成社製
YD−014)に変更した以外は実施例1と同様にして
可逆性感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲ
ル分率を測定したところ97%であった。
【0133】比較例4 比較例3において感熱層中のエポキシ樹脂の添加量を
2.2部に変更した以外は比較例3と同様にして可逆性
感熱記録材料を作成した。この感熱層の樹脂のゲル分率
を測定したところ96%であった。
【0134】比較例5 実施例1と同様な支持体を用い、その上に ステアリン酸オクタデシル(日本油脂社製、M9676) 5部 エイコサン2酸(岡村製油社製、SL−20−99) 5部 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 30部 (積水化学工業社製、エスレックA) イソシアネート(旭化成社製、硬化剤 デュラネート24A-100) 3部 トリエチレンジアミン(硬化促進剤) 0.3部 トルエン 30部 テトラヒドロフラン 120部 よりなる溶液を塗布し、90℃で5分間加熱乾燥および
熱硬化させて、硬化膜厚約8μmの感熱層(可逆性感熱
記録層)を設けた以外は実施例1と同様にして可逆性感
熱記録材料を作成した。なおこの感熱層は熱硬化である
ため、電子線照射及び紫外線照射は行なわなかった。
【0135】このようにして得られた実施例及び比較例
の各可逆性感熱記録材料について、以下に示す各性能を
測定し、その結果をまとめて表1〜表4に示す。
【0136】(熱圧力段差量及び熱圧力段差変化率測
定)前記のようにして得られた感熱層形成済の可逆性感
熱記録材料を用いて感熱層形成面に前記した熱圧力印加
装置により、印加圧力2.5kg/cm2、印加時間10
秒、印加温度130℃の条件で熱圧力印加を行ない、前
記した二次元粗さ解析装置サーフコーダAY−41、記
録計RA−60E、及びサーフコーダSE30Kを用
い、熱圧力段差平均値(Dm)を読み取り、初期圧力当
差量(DI)を求めた。次に上記測定に用いたサンプル
と同時に作製した可逆性感熱記録材料を50℃の恒温槽
に24時間放置した後室温まで冷却して、上記と同様な
測定方法にて、経時熱圧力段差量(DD)を求めた。次
に上記により求めた初期熱圧力段差量(DI)と経時熱
圧力段差量(DD)により熱圧力段差変化率(DC)を算
出した。結果を表1に示す。
【0137】(金属蒸着層腐蝕面積率の測定)前記のよ
うにして得られた可逆性感熱記録媒体を用いて、前記し
た金属蒸着層腐蝕面積率測定方法により、まず初期の金
属蒸着層腐蝕面積率(SPI)を参考のため求めた。次に
上記測定に用いた記録材料を40℃、95%RHの恒温
恒湿槽に96時間放置した後に、上記と同様な測定方法
にて、経時の金属蒸着層腐蝕面積率(SPD)を求めた。
結果を表2に示す。
【0138】また、上記測定に用いた初期及び経時の記
録材料について、まず透明状態での反射濃度をマクベス
反射濃度計(RD−914)で測定し、次にこれらの記
録材料を130℃の恒温槽で1分間加熱した後、室温ま
で冷却して白濁状態にし、同様に反射濃度を測定した。
次に初期及び経時のそれぞれについてコントラスト(透
明反射濃度−白濁反射濃度)を算出し、また、初期と経
時のコントラスト差を算出した。結果をまとめて表2に
示す。
【0139】(透明化温度範囲、巾測定)また上記とは
別に、次のようにして各可逆性感熱記録材料の透明化温
度範囲、巾を測定した。まず前記のようにして得られた
記録材料はいずれも透明状態であった。これらの記録材
料を130℃の恒温槽で1分間加熱した後、室温まで冷
却して、白色不透明状態にした。次にこれらの記録材料
を50℃から1℃きざみに130℃まで1分間加熱後、
室温まで冷却し、これをマクべス反射濃度計(RD−9
14)で反射濃度測定を行なった。この際、反射濃度が
0.8を越えた時の温度を透明化温度とし、その範囲と
巾を示した。結果を表3に示す。また、上記測定に用い
たサンプルと同時に作成したサンプルを50℃の恒温槽
に24時間放置した後、室温まで冷却して上記と同様な
方法にて、経時での透明化温度範囲、巾を測定した。結
果を表3に示す。
【0140】次に前記のようにして得られた実施例及び
比較例の可逆性感熱記録材料について次のように繰り返
し耐久性試験を行なった。 (繰り返し耐久性試験)感熱記録装置として、八城電気
社製印字試験装置を用いてサーマルヘッドには京セラ社
製KBE−40−8MGK1のサーマルヘッドを用い、
パルス巾2.0msec、印加電圧11.5Vの条件で
白濁画像形成を行ない、また次に印加電圧を8.5Vに
変更して画像消去を行なった。可逆性感熱記録材料の白
濁画像形成、消去を1回ずつ行なうことを1サイクルと
考えて、合計300サイクルになるまで同じ条件で繰り
返し耐久性試験を行なった。また繰り返し耐久性試験で
の画像濃度について、1サイクル目と300サイクル目
の白濁濃度及び消去濃度をマクベス反射濃度計(RD−
914)で測定した。測定結果をまとめて表1に示す。
また上記のようにして繰り返し耐久性試験を行なった印
字部の変色を目視にて確認し、5段階のランク評価し
た。ここでランク5とは変色がない状態であり、数字が
小さくなると共に変色が見られ、ランク1ではかなり変
色している状態である。結果をまとめて表4に示す。
【0141】
【表1】
【0142】
【表2】
【0143】
【表3】
【0144】
【表4】
【0145】
【発明の効果】実施例及び比較例の記述から明らかなよ
うに、本発明の可逆性感熱記録材料は高湿度環境下へ長
時間放置しても金属蒸着層の腐蝕が発生せずコントラス
トが低下することがなく、またサーマルヘッドによる繰
り返し耐久性に優れ、しかも経時での透明化温度巾が安
定し、消去性に優れ、更に画像形成・消去の繰り返しに
より変色が発生しないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)、(c)及び(d)は従来の画
像表示における発熱体による可逆性感熱記録材料の影響
を表わした図。
【図2】本発明に係る感熱層の熱による透明度の変化を
表わした図。
【図3】本発明に係る他の感熱層の熱による色調の変化
を表わした図。
【手続補正書】
【提出日】平成8年8月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】だが、前記この種の熱硬化型樹脂は硬化度
合の経時変化があり、具体的には記録層形成時の硬化度
合が時間が経過するにつれて変化してしまう。樹脂の硬
化度合が経時変化するに伴い、透明化温度巾も経時に縮
小しているため、初期の画像消去温度設定が不可能とな
り、この消去温度設定が非常に繁雑になるという第2の
問題がある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は前記の
問題を解決するものであり、高湿度環境下へ長時間放置
してもコントラストが低下することが無く、またサーマ
ルヘッド等での繰り返し耐久性に優れ、しかも経時での
透明化温度巾が安定し、消去性に優れ、更に画像形成・
消去の繰り返しにより変色が発生することのない可逆性
感熱記録材料を提供するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】また更に、可逆性感熱記録材料を高湿度環
境下へ長時間放置するとコントラストが低下してしまい
視認性が悪化する現象が何故生じるかについて検討し
た。その結果、コントラストの低下は支持体と感熱層の
間に光反射層(金属蒸着層)が設けられている時に顕著
に見られることがわかり、この記録材料を光学顕微鏡等
で観察したところ、金属蒸着層に直径10〜100μm
の穴(腐蝕部)があることがわかった。この穴によりコ
ントラストを向上させるための光反射層の効果が失わ
れ、また光反射層の下層に磁気記録層が設けられている
時には穴の部分に磁気記録層の黒色が出てしまうため、
コントラストが低下してしまう原因となっている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】前記した支持体と可逆性感熱記録層の間に
設けられている光反射層(金属蒸着層)が腐蝕する原因
については次のように考えられる。本発明者らが検討し
たところでは、特に樹脂母材に塩化ビニル系樹脂を主成
分とする樹脂を用いた場合にはその腐蝕の傾向が強い。
塩化ビニル系樹脂は熱や光、放射線、剪断力などの物理
的エネルギーによって分解を起こし、塩化水素(塩酸)
が放出されるが、この塩酸が光反射層を腐蝕すると共
に、前記した架橋方法の中で特に電子線照射では、電子
線のエネルギーにより塩化ビニル部の塩素を脱離させ、
炭素間で三次元架橋させることが従来知られているが、
ゲル分率(架橋度合)増加にともない脱離する塩素量が
増加すると考えられる。すなわち、この塩素量に比例し
て生成される塩化水素の量も増加し、この塩化水素(塩
酸)により光反射層が腐蝕されると考えられる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】次に熱圧力印加装置により印加される熱圧
力段差値の測定方法について説明する。測定装置とし
て、小坂研究所社製の二次元粗さ解析装置サーフコーダ
AY−41、記録計RA−60E及びサーフコーダSE
30Kを用い、まずサーフコーダSE30Kの設定を縦
倍率(V);2000、横倍率(H);20に設定し、
次にサーフコーダAY−41の設定を基準長さ(L):
5mm、送り速さ(Ds);0.1mm/secに設定
し、測定結果をRA−60Eに記録させ、その記録され
たチャートにより熱圧力印加部の熱圧力段差値(Dx)
を読み取ればよい。またこれらの設定は例を示したもの
であり、測定に応じて任意に変更可能である。なおこの
測定は熱圧力印加部の巾方向について2mm間隔で位置
を変更し、D〜Dの5点について測定し、その平均
値を熱圧力段差平均値(D)とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】また更に、感熱層中にビス(アルキル錫脂
肪酸モノカルボン酸塩)オキサイドを含有させ、またこ
の有機錫化合物を感熱層中に含まれる樹脂100重量部
に対して0.01〜30重量部含有させると、前記した
変色を防止し、更に高湿度環境下放置での光反射層の腐
蝕を防止する効果がある。ここで、本発明に用いる有機
錫化合物は従来のものに比べて特に高湿度環境下での安
定性に優れ、前記した塩化ビニル系樹脂から発生する塩
化水素を捕捉する機能に優れている。このような効果を
もたらす有機錫化合物添加量は樹脂100重量部に対し
て0.01〜30重量部がよく、好ましくは0.1〜2
0重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0140
【補正方法】変更
【補正内容】
【0140】次に前記のようにして得られた実施例及び
比較例の可逆性感熱記録材料について次のように繰り返
し耐久性試験を行なった。 (繰り返し耐久性試験)感熱記録装置として、八城電気
社製印字試験装置を用いてサーマルヘッドには京セラ社
製KBE−40−8MGK1のサーマルヘッドを用い、
パルス巾2.0msec、印加電圧11.5Vの条件で
白濁画像形成を行ない、また次に印加電圧を8.5Vに
変更して画像消去を行なった。可逆性感熱記録材料の白
濁画像形成、消去を1回ずつ行なうことを1サイクルと
考えて、合計300サイクルになるまで同じ条件で繰り
返し耐久性試験を行なった。また繰り返し耐久性試験で
の画像濃度について、1サイクル目と300サイクル目
の白濁濃度及び消去濃度をマクベス反射濃度計(RD−
914)で測定した。測定結果をまとめて表4に示す。
また上記のようにして繰り返し耐久性試験を行なった印
字部の変色を目視にて確認し、5段階のランク評価し
た。ここでランク5とは変色がない状態であり、数字が
小さくなると共に変色が見られ、ランク1ではかなり変
色している状態である。結果をまとめて表4に示す。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に温度に依存して透明度又は色
    調が可逆的に変化する感熱層を設けた可逆性感熱記録材
    料において、該感熱層が塩化ビニル系樹脂及び有機低分
    子物質粒子を主成分とし、これにエポキシ当量600g
    /eq未満のエポキシ化合物を含有させたことを特徴と
    する可逆性感熱記録材料。
  2. 【請求項2】支持体上に金属蒸着層を設け、更に温度に
    依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱層を設
    けた可逆性感熱記録材料において、該感熱層の熱圧力段
    差量が40%以下であり、且つ熱圧力段差変化率が70
    %以下であり、なお且つ、該可逆性感熱記録材料の金属
    蒸着層腐蝕面積率(SPD)が2%以下であることを特徴
    とする可逆性感熱記録材料。
  3. 【請求項3】前記感熱層が塩化ビニル系樹脂及び有機低
    分子物質粒子を主成分とし、これにエポキシ当量600
    g/eq未満のエポキシ化合物を含有させたことを特徴
    とする請求項2記載の可逆性感熱記録材料。
  4. 【請求項4】前記感熱層が塩化ビニル系樹脂及び有機低
    分子物質粒子を主成分とし、これに有機錫化合物として
    ビス(アルキル錫脂肪酸モノカルボン酸塩)オキサイド
    を含有させたことを特徴とする請求項1又は2記載の可
    逆性感熱記録材料。
  5. 【請求項5】前記のエポキシ樹脂化合物あるいは有機錫
    化合物を、前記感熱層中に含まれる樹脂100重量部に
    対して、0.01〜30重量部含有させたことを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載の可逆性感熱記録材
    料。
  6. 【請求項6】 前記感熱層中に含まれる樹脂が架橋され
    ていることを特徴とする請求項1、2又は5記載の可逆
    性感熱記録材料。
  7. 【請求項7】 前記感熱層中に含まれる樹脂のゲル分率
    値が30%以上であることを特徴とする請求項1、2又
    は5記載の可逆性感熱記録材料。
  8. 【請求項8】 前記感熱層中に含まれる樹脂が架橋剤を
    用いて架橋されたものであることを特徴とする請求項6
    又は7記載の可逆性感熱記録材料。
  9. 【請求項9】 前記感熱層中に含まれる樹脂が電子線照
    射、紫外線照射又は熱により架橋されたものであること
    を特徴とする請求項1、2、5又は7記載の可逆性感熱
    記録材料。
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