JP3635311B2 - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可逆性感熱記録材料に関し、詳しくは、主として感熱層(記録層)の温度による可逆的な透明度変化又は色調変化を利用して、情報の書き込み及び消去を繰り返し行なうことのできる可逆性感熱記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、一時的な画像形成(情報の書き込み)が行なうことができ、不要となった時にはその画像の消去(情報の消去)ができるようにした可逆性感熱記録媒体が注目されている。その代表的なものとしては、ガラス転移温度(Tg)が50〜60℃から80℃未満である低ガラス転移温度の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のような樹脂母材中に高級脂肪酸のような有機低分子物質を分散した可逆性感熱記録媒体が知られている(特開昭54−119377号公報、特開昭55−154198号公報などの公報参照)。
しかしながら、この可逆性感熱記録媒体は、サーマルヘッド等の発熱体で画像形成及び消去を複数回繰り返す間に記録層に歪みが発生し、画像形成時の画像濃度が低下したり、コントラストが低下してしまうという欠点がある。
【0003】
本発明者らは、上記の欠点を解消し、サーマルヘッド等による画像形成・消去の繰り返し耐久性の向上を目的として、先に、可逆性感熱記録層に用いられる塩化ビニル樹等樹脂母材の平均重合度及び塩化ビニル単位含有量を規定し、特に平均重合度を上げることにより、樹脂母材の耐熱性を向上させ、耐久性を向上させた可逆性感熱記録媒体を提案した(特開昭62−154547号公報、特開平5−169819号公報、特開平5−169810号公報等)。また、同様の目的のため可逆性感熱記録層にエポキシ樹脂を含有させた可逆性感熱記録媒体を提案した(特開平5−38872号公報)。これらの可逆性感熱記録媒体の使用によれば、前記の欠点が相当緩和される。
【0004】
また、特開平3−227688号公報において、可逆性感熱記録層に用いる樹脂母体として架橋された樹脂母材を用いる感熱層を有する可逆性感熱記録媒体が提案されている。更に、樹脂母材の好ましい例として塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−アクリル酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート−ビニルアルコール共重合体、酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニリデン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン−マレイン酸共重合体等のヒドロキシル基、カルボキシル基を有する熱可塑性、熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0005】
ところで、樹脂中に有機低分子物質を分散したタイプの可逆性感熱記録媒体においては、通常ある温度範囲で透明状態となり、それより高い温度で白濁状態となり、この状態変化を利用して画像を記録消去するのであるが、熱により透明と白濁に可逆的に変化させるには、特にこの透明になる温度の巾がある程度広く且つ安定に維持されることが必要である。
【0006】
しかしながら、前記この種の熱硬化性樹脂は、樹脂母材の強度を向上させるためにガラス転移温度(Tg)を上げることになり、結果的に上記のような通常の樹脂で十分に強度を上げようとすると、透明濃度が低下したり、冷却条件の悪影響等を受け易くなり、急冷条件下や低温環境下で消去性が悪くなる場合がある。
【0007】
さらに、特開平7−96679号公報において、感熱記録層が紫外線のような電離放射線硬化型樹脂を含有し、この電離放射線硬化型樹脂が電離放射線の照射により硬化されている例が記載されているが、樹脂母材として挙げられる塩化ビニル或いは塩化ビニルと塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリル又はポリエステル1種又は2種の共重合体等を用いた場合には、この樹脂母材は紫外線のような電離放射線によって硬化されないので、樹脂母材の強度を向上させるために、電離放射線等により硬化させる樹脂や架橋剤の添加割合を多くしなければならなくなり、それらの樹脂は可逆性感熱記録層としての特性を有さないため、白濁濃度や透明濃度等のコントラストが不十分になったり、消去性が不十分になる場合があり、硬化させる樹脂や架橋剤の添加割合が少ないと樹脂母材の強度が不十分になる。
【0008】
また、樹脂母材を硬化させる方法には、電子線等の放射線による硬化方法があるが、前記同様、樹脂母材の強度を向上させるために放射線等により硬化させる樹脂や架橋剤の添加割合を多くすると白濁濃度や透明濃度等のコントラストが不十分になったり、消去性が不十分になる場合がある。逆に、硬化させる樹脂や架橋剤の割合を少なくし、高エネルギーの電子線によって硬化性の官能基をもたない樹脂自体を架橋させると、繰り返し耐久性は向上するものの、画像記録、消去の繰り返しで、繰り返し印字部が画像消去状態でも白く濁ってしまい透明度が低下してしまう。
【0009】
この理由は明らかではないが、電子線等の放射線による架橋において硬化させる架橋剤の割合を少なくすると、架橋時に(硬化性樹脂や架橋剤)と(硬化性樹脂や架橋剤)の架橋反応、(硬化性樹脂や架橋剤)と(硬化性の官能基をもたない樹脂)の架橋反応、樹脂母材たる(硬化性の官能基をもたない樹脂)同士の架橋反応が起こるが、(硬化性の官能基をもたない樹脂)同士の架橋反応は、高分子間の分子鎖の絡み合いの間で起こるため、この架橋の結果得られる樹脂母材の自由体積率は低く、剛直な樹脂母材になり易いためであると推測する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は前記の問題を解決するものであり、サーマルヘッド等による画像形成及び消去を繰り返し行なっても、良好な画像濃度及びコントラストが得られ、しかも耐久性に優れるカードの形を含む可逆性感熱記録媒体、及び、これを用いるのに適した画像記録及び消去方法及び装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明の(1)「樹脂母材及び該樹脂母材に分散された有機低分子物質からなり、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を有する可逆性感熱記録媒体において、該樹脂母材が、主鎖に直接結合していない水酸基を含む塩化ビニル系共重合体であり、かつ、該塩化ビニル系共重合体が、水酸基の他にカルボン酸または硫黄若しくはリンを含む酸、またはその塩より選ばれるアニオン性親水性基又は−N+R1R2R3X−、−NR・HX(R1、R2、R3、Rはアルキル基、アリル基、アルケニル基、アルコキシ基を表わし、X及びX’はハロゲン又は硫酸、リン酸、硝酸残基又はカルボン酸酸性硫酸エステル若しくは酸性リン酸エステル等の有機酸残基を表わす)より選ばれるカチオン性親水基のうち1つ以上を有しており、かつ、該樹脂母材が、架橋剤によって架橋されていることを特徴とする可逆性感熱記録媒体」、(2)「前記樹脂母材と架橋剤との配合比が当量比で0.05〜2倍当量であることを特徴とする前記(1)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(3)「前記樹脂母材と架橋剤との重量配合比が樹脂母材100部に対し架橋剤が0.1〜15部であることを特徴とする前記(1)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(4)「前記(1)項乃至(3)項うち何れか1に記載の条件を満足する感熱層を有することを特徴とするカード」および(5)「支持体の感熱層形成面の反対面に磁気記録層を形成することを特徴とする前記(4)項に記載のカード」により達成される。
【0013】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0014】
本発明の記録層が従来の熱硬化性樹脂のように強度を向上させるためにガラス転移点(Tg)を上げると、透明度が低下したり、冷却条件の影響等を受け易くなり、急冷条件下や低温環境下で消去性が悪くならないのかは定かではないが、本発明の樹脂の場合、
(1)水酸基が主鎖に直接結合していないので架橋剤を反応させる場合、少ない架橋剤量で十分な架橋が行なわれ、十分な強度も得られるため、及び、
(2)水酸基の他にカルボン酸基又は硫黄若しくはリンを含む酸、またはその塩より選ばれる親水性基が1つ以上存在するために樹脂母材中の分子構造が架橋後も十分な自由体積を保ち、結果的に架橋後もガラス転移点(Tg)は従来の樹脂ほど上昇しないので、消去性に悪影響を与えないため、と考えられる。
【0015】
また、本発明に使用される塩化ビニル系重合体において、必要に応じて共重合可能な他の単量体を併用することも可能である。他の共単量体の例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;メチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のビニリデン;無水マレイン酸、無水イタコン酸のごとき不飽和カルボン酸無水物;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸アルキルエステル;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル;アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド等の含エポキシ単量体等が挙げられる。
【0016】
上記商品としては、日本ゼオン社製MR110シリーズ;MR−110、MR−104、MR−112、MR−113等が挙げられる。また、従来から樹脂母材として用いられてきた各種塩ビ系樹脂及び塩ビ系共重合体をさまざまな特性を調整する目的で適宜混合して用いてもよい。
【0017】
一方、上記塩化ビニル共重合体と反応して樹脂母材である硬化型樹脂を構成する架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、フェノール系、アミン系、ハロゲン化合物、アジリジン化合物、酸無水物、アルデヒド、アルコール系、ホウ酸、リン化合物、有機酸金属塩等が挙げられ、その中でもイソシアネート系化合物は特に好適である。
【0018】
イソシアネート系化合物としては、イソシアネート基を有し、一般に架橋剤として広く利用されているイソシアネート系化合物が適用でき、一例を示すと、トルイレンジイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネートの二量体、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス−(p−イソシアネートフェニル)チオホスファイト、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、多官能芳香族イソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、多官能脂肪族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられ、実際の商品としては、日本ポリウレタン社製コロネートT−65、コロネートT−80、コロネートT−100、ミリオネートMT、ミリオネートMR−100、ミリオネートMR−200、ミリオネートMR−300、ミリオネートMR−400、コロネート1021、コロネート1025、コロネート1027、コロネート1028、コロネート1065、コロネート1054、コロネート1051、コロネート1062、コロネート1050、コロネート1041、コロネート1040、コロネート1046、コロネート1043、ミリオネートMR−P、ミリオネートMTL、ミリオネートMTL−S、コロネート69、コロネート2507、コロネート2513、コロネート2515、コロネートAPステーブル、ミリオネートMS−50、コロネート2503、コロネート84、コロネートMX、コロネートL、コロネート2061、コロネート2067、コロネート2030、コロネート2031、コロネート2071、スプラセック3240、スプラセック3340、コロネートHX、コロネートHL、コロネート2094、コロネートHK、コロネート2096等が挙げられる。
【0019】
なお、上記塩化ビニル系共重合体に関するイソシアネート化合物の添加量は、共重合体水酸基量に対して、イソシアネート基が0.05〜2倍当量がよく、さらに好ましくは0.2〜1.5倍当量が好ましい。さらに重量比においては塩化ビニル共重合体100部に対して0.1〜15部がよく、さらに好ましくは塩化ビニル共重合体100部に対して1〜10部が好ましい。架橋剤の種類にもよるが、これ以上イソシアネート量を減らすと形成される硬化型樹脂の強度が不十分となり、これ以上イソシアネート量を増やすと透明濃度が低くなったり、消去性が不十分となる恐れがある。
さらに、酸化反応を促進させる触媒として、トリエチレンジアミン、ナフテン酸コバルト、塩化第一スズ、テトラ−n−ブチルスズ、塩化第二スズ、トリメチルスズヒドロキシド、ジメチル第二塩化スズ、ジ−n−ブチルスズジラウレート等を用いてもよい。
【0020】
ここで可逆性感熱記録材料の白濁透明変化メカニズムについては次のように推測される。
すなわち、(I)透明の場合には樹脂母材中に分散された有機低分子物質の粒子は有機低分子物質と樹脂母材は隙間なく密着しており、また粒子部内にも空隙はなく、片側から入射した光は散乱させることなく反対側に透過するため透明に見えること、また、(II)白濁の場合には有機低分子物質の粒子は有機低分子物質の微細な結晶で構成されており、結晶の界面若しくは粒子と樹脂母材の界面に隙間ができ片側から入射した光は空隙と結晶、空隙と樹脂の界面で屈折し、散乱されるため白く見えること、等に由来している。
【0021】
図1(熱よる透明度の変化を表わしている)において、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散された有機低分子物質とを主成分とする感熱層は、例えばT0以下の常温で白濁不透明状態にある。
【0022】
これを加熱していくと温度T1から徐々に透明になり、初め温度T2〜T3に加熱すると透明となり、この状態で再びT0以下の常温に戻しても透明のままである。これは温度T1付近から樹脂が軟化し始め、軟化が進むにつれ、樹脂が収縮し樹脂と有機低分子物質粒子との界面若しくは粒子内の空隙を減少させるため、徐々に透明度が上がり、温度T2〜T3では有機低分子物質が半溶融状態となり、残った空隙を溶融した有機低分子物質が埋めることにより透明となり、種結晶が残ったまま冷却されると比較的高温で結晶化し、その際樹脂がまだ軟化状態のため、結晶化にともなう粒子の体積変化に樹脂が追随し、空隙ができず透明状態が維持されるためと考えられる。
【0023】
さらにT4以上の温度に加熱すると、最大透明度と最大不透明度との中間の半透明状態になる。次に、この温度を下げていくと、再び透明状態をとることなく最初の白濁不透明状態に戻る。これは温度T4以上で有機低分子物質が完全に溶融した後、過冷却状態となりT0より少し高い温度で結晶化し、その際、樹脂が結晶化にともなう体積変化に追随できず、空隙が発生するためであると思われる。
ただし図1に示した温度−透明度変化曲線は代表的な例を示しただけであり、材料をかえることにより各状態の透明度等にその材料に応じて変化が生じることがある。
【0024】
このように透明度変化には樹脂の軟化点及び軟化点以上での変形挙動が重要であり、前記したサーマルヘッドでの消去特性を向上させるためには前記した図2の温度T2〜T3の範囲の透明化温度巾を拡大し、また軟化点以上での変形速度を速くすることが必要であると考えられる。
【0025】
したがって、本発明の樹脂母材を用いれば、架橋にあずからないカルボン酸基又は硫黄若しくはリンを含む酸等の親水性基が、樹脂母材のTgを低いまま保つ効果があるので、透明化温度において樹脂母材が十分軟化して高い透明濃度が得られると推測される。
【0026】
本発明の可逆性感熱記録材料は、前記のごとき透明度変化(透明状態、白濁不透明状態)を利用している。
したがって、熱を選択的に与えることにより感熱層を選択的に加熱し、透明地に白濁画像、白濁地に透明画像を形成することができ、その変化は何回も繰り返しすることが可能である。そして、このような感熱層の背面に着色シートを配置すれば、白地に着色シートの色の画像又は着色シートの色の地に白地の画像を形成することができる。また、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)などで投影すれば、白濁部は暗部になり、透明部は光が透過しスクリーン上では明部となる。
【0027】
感熱層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜20μmがさらに好ましい。記録層が厚すぎると層内での熱の分布が発生し均一に透明化することが困難となる。また、感熱層が薄すぎると白濁度が低下しコントラストが低くなる。なお、記録層中の脂肪酸の量を増加させると白濁度を増すことができる。
【0028】
本発明の可逆性感熱記録材料を作るには、まず例えば下記の方法により支持体上に感熱層を形成する。場合によっては、支持体上を用いることなくシート状として成形することもできる。
1)樹脂母材及び有機低分子物質を溶媒中に溶解し、これを支持体上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あるいはシート状にするとともに架橋するか、又はシート状とした後、架橋する方法。
2)樹脂母材のみを溶解させる溶媒に樹脂母材を溶解させ、その中に有機低分子物質を種々の方法で粉砕又は分散し、これを支持体上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あるいはシート状にするとともに架橋するか、又はシート状とした後、架橋する方法。
3)溶媒を用いず、樹脂母材と有機低分子物質を加熱溶融混合し、これを皮膜あるいはシート状に成形して冷却した後、架橋する方法。
【0029】
感熱層又は感熱記録材料作成用溶剤としては、樹脂母材及び有機低分子物質の種類によって種々選択できるが、例えばテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。なお、分散液を使用した場合はもちろんであるが、溶液を使用した場合も得られる感熱層中では有機低分子物質は微粒子として析出し、分散状態で存在する。
【0030】
樹脂母材中に分散される有機低分子物質としては、記録層中で粒子状になるものであればよく、一般に融点30〜200℃、好ましくは50〜150℃程度のものが使用される。このような有機低分子物質としてはアルカノール;アルカンジオール;ハロゲンアルカノール又はハロゲンアルカンジオール;アルキルアミン;アルカン;アルケン;アルキン;ハロゲンアルカン;ハロゲンアルケン;ハロゲンアルキン;シクロアルカン;シクロアルケン;シクロアルキン;飽和又は不飽和モノ又はジカルボン酸又はこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;飽和又は不飽和ハロゲン脂肪酸又はこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;アリルカルボン酸又はそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;ハロゲンアリルカルボン酸又はそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;チオアルコール;チオカルボン酸又はそれらのエステル、アミン又はアンモニウム塩;チオアルコールのカルボン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上混合して使用される。これらの化合物の炭素数は10〜60、好ましくは10〜38、特に10〜30が好ましい。エステル中のアルコール基部分は飽和していてもよく、飽和していなくてもよく、またハロゲン置換されていてもよい。いずれにしても有機低分子物質は分子中に酸素、窒素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1種、例えば−OH,−COOH,−CONH,−COOR,−NH−,−NH2,−S−,−S−S−,−O−,ハロゲン等を含む化合物であることが好ましい。
【0031】
本発明において前記有機低分子物質としては、低融点の有機低分子物質と、高融点の有機低分子物質とを組み合わせて用いることにより、透明化温度巾を更に拡大させることができるものが好ましい。前記低融点有機低分子物質と高融点有機低分子物質の融点の差は20℃以上が好ましく、更に好ましくは30℃以上であり、特に好ましくは40℃以上である。
【0032】
低融点有機低分子物質材料としては、融点40℃〜100℃のものが好ましく、50℃〜80℃のものが更に好ましい。高融点有機低分子物質としては、融点100℃〜200℃のものが好ましく、110℃〜180℃のものが更に好ましい。
【0033】
また次に、本発明で用いられる高融点有機低分子物質としては、脂肪族飽和ジカルボン酸、高級アルキル基を有するケトン、該ケトンから誘導されるセミカルバゾン、αーホスホノ脂肪酸などが挙げられ、下記のものが好ましいが、これらに限定されるものではない。
これらは、一種又は二種以上選択して用いられる。
【0034】
これら融点100℃以上の有機低分子物質の具体例を以下に示す。
脂肪族ジカルボン酸の、例えば融点100〜135℃程度の具体例としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸等が挙げられる。
【0035】
本発明において用いるケトンは、ケトン基と高級アルキル基を必須の構成基として含み、その他無置換又は置換基を有する芳香環あるいは被素環を含むこともできる。前記ケトンの全炭素数は16個以上が好ましく、更に好ましくは21個以上である。また、本発明に用いるセミカルバゾンは、上記ケトンから誘導されたものである。
【0036】
本発明において使用するケトン、セミカルバゾンとしては、例えば次に示すようなものを挙げることができる。
3−オクタデカノン
7−アイコサノン
14−ヘプタコサノン
18−ペンタトリアコンタノン
テトラデカノフェノン
ドコサノフェノン
ドコサノナフトフェノン
2−ヘンエイコサノンセミカルバゾン
【0037】
本発明で用いるαーホスホノ脂肪酸は例えばE.V.Kaurer等、J.Ak.Oil Chekist’s Soc,41,205(1964)の方法に従って脂肪酸をHell−Volhard−Zelinskin反応によって臭素化してαー臭素化酸臭化物とし、次いでエタノールを加えαーブロモ脂肪酸エステルを得、さらにトリエチルホスファイトと加熱反応してαーホスホノ脂肪酸エステルとし、濃塩酸による加水分解を行なって生成物をトルエンから再結晶することにより得ることができる。
【0038】
本発明で用いるホスホノ脂肪酸に具体例を以下に示す。
αーホスホノミリスチル酸
αーホスホノパルミチン酸
αーホスホノステアリン酸
などが挙げられる。なお、αーホスホノベラルゴン酸以外は2つのmp(融点)を持っている。
【0039】
これらの低融点有機低分子物質と高融点有機低分子物質の混合重量比は95:5〜5:95が好ましく、90:10〜10:90が更に好ましく、80:20〜20:80が特に好ましい。また、これらの低融点有機低分子物質、高融点有機低分子物質以外に前記した他の有機低分子物質を混合して用いてもよい。これらは下記のものが挙げられる。
【0040】
これら化合物としてはラウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、アラギン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;
【0041】
【化1】
【0042】
【化2】
【0043】
【化3】
【0044】
【化4】
【0045】
【化5】
【0046】
【化6】
等のエーテル又はチオエーテル等がある。中でも本発明では高級脂肪酸、特にパルミチン酸、ペンタデカン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の炭素数16以上の高級脂肪酸が好ましく、炭素数16〜24の高級脂肪酸が更に好ましい。
【0047】
前記したように本発明において、透明化できる温度の巾を広げるには、この明細書において記載した有機低分子物質を適宜組み合わせるか、又は、そうした有機低分子物質と融点の異なる他の材料とを組み合わせればよい。これらは例えば特開昭63−39378号、特開昭63−130380号、特開平4−235095号などの公報に開示されているが、これらに限定されるものではない。
【0048】
なお、感熱層中の有機低分子物質と樹脂(架橋構造を有する樹脂)との割合は、重量比で2:1〜1:16程度が好ましく、1:2〜1:8が更に好ましい。樹脂の比率がこれ以下になると、有機低分子物質を樹脂中に保持した膜に形成することが困難となり、またこれ以上になると、有機低分子物質の量が少ないため、不透明化が困難になる。
【0049】
感熱層には以上の成分の他に、透明画像の形成を容易にするために、界面活性剤、可塑剤等の添加物を添加することができる。これらの添加物の具体例は次のとおりである。
【0050】
可塑剤としては、リン酸エステル、脂肪酸エステル、フタル酸エステル、二塩基酸エステル、グリコール、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤が挙げられ、具体例としては下記のものが挙げられる。
リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、オレイン酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジオクチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
【0051】
界面活性剤、その他の添加物の例;
多価アルコール高級脂肪酸エステル;多価アルコール高級アルキルエーテル;多価アルコール高級脂肪酸エステル、高級アルコール、高級アルキルフェノール、高級脂肪酸高級アルキルアミン、高級脂肪酸アミド、油脂又はポリプロピレングリコールの低級オレフィンオキサイド付加物;アセチレングリコール;高級アルキルベンゼンスルホン酸のNa、Ca、Ba又はMg塩;芳香族カルボン酸、高級脂肪酸スルホン酸、芳香族スルホン酸、硫酸モノエステル又はリン酸モノ−又はジ−エステルのCa、Ba又はMg塩;低度硫酸化油;ポリ長鎖アルキルアクリレート;アクリル系オリゴマー;ポリ長鎖アルキルメタクリレート;長鎖アルキルメタクリレート−アミン含有モノマー共重合体;スチレン−無水マレイン酸共重合体;オレフィン−無水マレイン酸共重合体など。
【0052】
また、これらの他に、感熱層中の樹脂と有機低分子物質粒子との界面及び/又は粒子中に樹脂及び粒子の屈折率と異なる空隙があると、白濁状態での画像濃度が向上し、コントラストが向上する効果がある。空隙の大きさが不透明状態を検知するために用いる光の波長の1/10以上であるとより効果が顕著である。
【0053】
本発明の可逆性感熱記録材料に形成される画像を反射画像として用いる場合には、記録層の背面に光を反射する層を設けるのが望ましい。また、反射層があると記録層の厚みを薄くとてもコントラストを上げることができる。具体的にはAl、Ni、Sn等を蒸着することが挙げられる(特開昭64−14079号公報に記載)。
【0054】
また、感熱層にはその感熱層を保護するために保護層を設けることができる。保護層(厚さ0.1〜10μm)の材料としては、シリコーン系ゴム、シリコーン樹脂(特開昭63−221087号公報)、ポリシロキサングラフトポリマー(特開平2−162436号公報)や紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹脂(特開平3−205655号公報)等が挙げられる。いずれの場合も、塗布時に溶剤を用いるが、その溶剤は、記録層の樹脂ならびに有機低分子物質を溶解しにくいほうが望ましい。
【0055】
感熱層の樹脂及び有機低分子物質を溶解しにくい溶剤としてn−ヘキサン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、特にアルコール系の溶剤がコスト面から望ましい。
【0056】
また本発明の可逆製感熱記録材料の層構成としては、実開平2−3876号公報に記載されているように支持体上に感熱記録層と磁性材料を主成分とする磁気記録層を有すると共に、少なくとも感熱記録層直下又は支持体の感熱記録層対応部分が着色されている層構成が挙げられる。
【0057】
または、特開平3−130188号公報に記載されているように支持体上に磁気記録層、その上に光反射層、更にその上に感熱層が設けられているような層構成等が挙げられるが、この場合に磁気記録層は支持体裏面か、或いは支持体と感熱層の間に設けているかのどちらでもよく、またこれらの他の層構成であっても何等さしつかえはない。
【0058】
本発明では支持体と感熱層の間に視認性をよくするために着色層を設けることもできる。着色層は着色剤及び樹脂バインダーを主成分とする溶液又は分散液を対象面に塗布、乾燥するか、あるいは単に着色シートを貼り合わせることにより形成される。ここで着色剤としては上層の記録層の透明及び白濁の変化を反射画像として認識できればよく、赤、黄、青、紺、紫、黒、茶、灰、橙、緑などの色を有する染料、顔料等が使用される。また、樹脂バインダーとしては各種熱可塑性、熱硬化性又は紫外線硬化性樹脂が使用される。
【0059】
また、支持体と感熱層との間に、空気を有する非密着部である空気層を設けることができる。空気層を設けると、感熱層の主成分として用いられた有機高分子材料の屈折率が1.4〜1.6程度で、空気の屈折率1.0との差が大きいため、感熱記録層側フィルムと非密着部との界面で光が反射し、感熱層が白濁状態のとき白濁度が増幅され、視認性が向上するので、この非密着部位を表示部として用いることが望ましい。
【0060】
非密着部位は非密着部の内部に空気を有するため、その非密着部が断熱層となり、感熱度が向上する。更に、非密着部位はクッションの役目もなし、サーマルヘッドで圧力をかけて押さえつけても実際に感熱部材に加わる圧力は低くなり、熱を加えても感熱層の変形は少なく、有機低分子物質粒子の拡大もなく、繰り返し耐久性が向上する。
【0061】
さらに、支持体裏面に接着剤層又は粘着剤層を設けて、可逆性感熱記録ラベルとして用いることも可能である。このラベルシートは被貼着体と貼り合わされるが、被貼着体としては、例えば、クレジットカード等の塩ビカード、ICカード、IDカード、紙、フィルム、合成紙、ボーディングパス、定期券等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、支持体がAl蒸着層のような樹脂との接着力に乏しい材質の場合には、支持体と感熱層との間に接着力を改善する目的で接着層を設けてもよい(特開平3−7377号公報)。
【0062】
また本発明において画像表示を行うための感熱記録画像表示装置として用いる場合には、多種多様なものが挙げられるが、その代表的なものは可逆性感熱記録材料に画像形成・消去を行うための画像形成手段と画像消去手段が同一の発熱体、例えばサーマルヘッドで、サーマルヘッドに印加するエネルギーを変化させることにより画像処理を行うことができる感熱記録画像表示装置、または、画像形成手段がサーマルヘッドであり、画像消去手段がサーマルヘッド、ホットスタンプ、ヒートローラ、ヒートブロック等の発熱体を接着させる接触押圧型手段か、あるいは温風や赤外線などを用いた非接触型手段のうち一つから選択される感熱記録画像表示装置がある。
【0063】
このような本発明の可逆性感熱記録媒体の画像の記録と消去の方法と装置の1例について以下に述べる。画像の記録はサーマルヘッド、レーザ等、媒体を画像上に部分的に加熱可能である画像記録手段が用いられる。上記のように、画像の消去は、ホットスタンプ、セラミックヒータ、ヒートローラ、熱風等や、サーマルヘッド、レーザ等の画像消去手段が用いられる。この中ではセラミックヒータ、サーマルヘッドが好ましく用いられる。セラミックヒータを用いることにより、装置が小型化でき、かつ安定した消去状態が得られ、コントラストのよい画像が得られる。設定温度の上限値は消去可能温度上限値であることはいうまでもない。
【0064】
また、サーマルヘッドを用いることにより、更に小型化が可能となり、また、消費電力を低減することが可能であり、バッテリー駆動のハンディタイプの装置も可能となる。記録用と消去用を兼ねて一つのサーマルヘッドとすれば、更に小型化が可能となる。一つのサーマルヘッドで記録と消去を行なう場合、一度前の画像を全部消去した後、あらためて新しい画像を記録してもよいし、画像毎にエネルギーを変えて一度に前の画像を消去し、新しい画像を記録していくオーバーライト方式も可能である。オーバーライト方式では記録と消去を合わせた時間が少なくなり、記録のスピードアップにつながる。
感熱層と情報記憶部を有するカードを用いる場合、上記の装置には情報記憶部の記憶を読み取る手段と書き換える手段も含まれる。
【0065】
図9には、本発明により画像の消去をセラミックヒータで、画像の形成をサーマルヘッドでそれぞれ行う場合の装置の概略例を示す。図9の可逆性感熱記録装置においては、最初、記録媒体の磁気記録層に記憶された情報を磁気ヘッドで読み取り、つぎにセラミックヒータで可逆性感熱層に記録された画像を加熱消去し、さらに、磁気ヘッドで読み取られた情報をもとにして、処理された新たな情報がサーマルヘッドにより、逆性感熱層に記録される。その後、磁気記録層の情報も新たな情報に書き替えられる。
【0066】
すなわち、図9の可逆性感熱記録装置(42)においては、感熱層の反対側に磁気記録層を設けた可逆性感熱記録材料(41)は往復の矢印で図示されている搬送路に沿って搬送され、或いは搬送路に沿って装置内を逆方向に搬送される。可逆性記感熱録材料(1)は、磁気ヘッド(49)と搬送ローラ(44)間で磁気記録層に磁気記録或いは記録消去され、セラミックヒータ(47)と搬送ローラ(45)間で像消去のため加熱処理され、サーマルヘッド(48)及び搬送ローラ(46)間で像形成され、その後、装置外に搬出される。セラミックヒータ(47)の設定温度は例えば75℃以上が好ましく、80℃以上が更に好ましく、85℃以上が特に好ましい。ただし磁気記録の書きかえはセラッミックヒータによる画像消去の前であっても後であってもよい。また、所望により、セラミックヒータ(47)と搬送ローラ(46)間を通過後、又はサーマルヘッド(48)及び搬送ローラ(46)間を通過後、搬送路を逆方向に搬送され、セラミックヒータ(47)よる再度の熱処理、サーマルヘッド(48)による再度の印字処理を施すことができる。
【0067】
本発明の可逆性感熱記録材料は記録層が全体として架橋構造を呈しているため、記録層は有機低分子物質粒子を含めて歪みを生じることがなく、常に良好な記録の消去が行なえる。
【0068】
【実施例】
以下、本発明を実施例をあげてより具体的に説明する。ここでの部及び%はいずれも重量基準である。
実施例1
(可逆性感熱記録材料の作製)
約188μm厚のポリエステルフィルム上にAlを約400Å厚となるように真空蒸着して光反射層を設けた。この上に、
よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して約10μmの感熱層を設け、これを60℃、40時間のエイジング処理をした。次に、このようにして形成した感熱層上に、
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の
75%酢酸ブチル溶液 10部
(大日本インキ社製、ユニディックC7−157)
IPA(イソプロピルアルコール) 10部
よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後、80W/cmの紫外線ランプで硬化させ、約2μm厚の保護層の形成された可逆性感熱記録材料を作製した。
【0069】
実施例2
実施例1において、感熱層処方で、コロネートLの量を0.8部(コロネート当量比0.25)とした以外はすべて実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
【0070】
実施例3
実施例1において、感熱記録層の処方を、
とした以外はすべて実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
【0071】
実施例4
実施例3において、感熱記録層処方で、コロネートLの量を0.55部(コロネート当量比0.25)とした以外はすべて実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
【0072】
実施例5
実施例1において、感熱層処方で、コロネートLの量を7.5部(コロネート当量比2.5)とした以外はすべて実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料をを作製した。
【0073】
比較例1
実施例1において、感熱層処方で、コロネートLの量を0とした以外はすべて実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料をを作製した。
【0074】
比較例2
実施例1において、感熱層処方で、MRレジンをユニオンカーバイト社製VAGHに変え、コロネートLの量を9.6部(コロネート当量比1.0)とした以外はすべて実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料をを作製した。
【0075】
比較例3
比較例2において、コロネートLの量を2.4部(コロネート当量比0.25)とした以外はすべて比較例2と同様にして可逆性感熱記録材料をを作製した。
【0076】
このようにして得られた各サンプルの透明化温度範囲及びコントラストを東洋精機製作所製熱傾斜試験器にて、印加時間1秒、印加圧力1kg/cm2にて測定した結果を表1に示す。
また、繰り返し耐久性試験は、八城電気社製印字試験装置を用い、サーマルヘッドには京セラ(株)KBE−40−8MGKIを用いた。測定条件としては、印字試験装置のサーマルヘッド印字条件をパルス巾2msecにし、印加電圧を18Vに設定し、画像消去には100℃のホットプレートを用い、印字−消去を行なった。その結果を図2〜図8に示す。なお、比較例2は透明濃度が低いので、それ以上の繰り返し耐久性は評価しなかった。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明から明らかなように、本発明の感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体を用いることにより、サーマルヘッドによる画像記録、消去を繰り返し行なっても白濁画像劣化が少なく、且つ繰り返し印字部が画像消去状態で白く濁ることがなく透明性に優れ、良好なコントラストを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可逆性感熱記録媒体の像濃度と温度との関係を示す図である。
【図2】実施例1で得られた可逆性感熱記録媒体の繰返し耐久性試験の結果である。
【図3】実施例2で得られた可逆性感熱記録媒体の繰返し耐久性試験の結果である。
【図4】実施例3で得られた可逆性感熱記録媒体の繰返し耐久性試験の結果である。
【図5】実施例4で得られた可逆性感熱記録媒体の繰返し耐久性試験の結果である。
【図6】実施例5で得られた可逆性感熱記録媒体の繰返し耐久性試験の結果である。
【図7】比較例1で得られた可逆性感熱記録媒体の繰返し耐久性試験の結果である。
【図8】比較例3で得られた可逆性感熱記録媒体の繰返し耐久性試験の結果である。
【図9】本発明の画像記録及び消去のための装置の1例の概要を示す図である。
【符号の説明】
41 可逆性感熱記録媒体
42 感熱記録装置
44 搬送ローラ
45 搬送ローラ
46 搬送ローラ
47 セラミックヒータ
48 サーマルヘッド
49 磁気ヘッド
Claims (5)
- 樹脂母材及び該樹脂母材に分散された有機低分子物質からなり、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を有する可逆性感熱記録媒体において、該樹脂母材が、主鎖に直接結合していない水酸基を含む塩化ビニル系共重合体であり、かつ、該塩化ビニル系共重合体が、水酸基の他にカルボン酸または硫黄若しくはリンを含む酸、またはその塩より選ばれるアニオン性親水性基又は−N+R1R2R3X−、−NR・HX(R1、R2、R3、Rはアルキル基、アリル基、アルケニル基、アルコキシ基を表わし、X及びX’はハロゲン又は硫酸、リン酸、硝酸残基又はカルボン酸酸性硫酸エステル若しくは酸性リン酸エステル等の有機酸残基を表わす)より選ばれるカチオン性親水基のうち1つ以上を有しており、かつ、該樹脂母材が、架橋剤によって架橋されていることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
- 前記樹脂母材と架橋剤との配合比が当量比で0.05〜2倍当量であることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記樹脂母材と架橋剤との重量配合比が樹脂母材100部に対し架橋剤が0.1〜15部であることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 請求項1乃至3のうち何れか1に記載の条件を満足する感熱層を有することを特徴とするカード。
- 支持体の感熱層形成面の反対面に磁気記録層を形成することを特徴とする請求項4に記載のカード。
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