JP3690638B2 - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可逆性感熱記録媒体に関し、詳しくは感熱層の温度による可逆的な透明度又は色調変化を利用して、情報の書込み及び消去を繰り返し行なうことのできる可逆性感熱記録媒体、及びそれを用いた画像形成・消去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
可逆的な記録及び消去が可能な記録媒体として、特開昭63−191673号公報には等方相転移点がガラス転移点よりも高い高分子ネマチック液晶を用い、光又は熱により書き換え可能な記録材料が、また特開平2−135418号公報にはサーモトロピック高分子コレステリック液晶からなる液晶フィルムを用い、熱により書き換え可能なカラーの透過表示記録媒体が、また特開昭63−315288号公報にはラクトン環を有する電子供与性呈色性有機化合物とフェノール性水酸基を有する電子受容性化合物とを液晶性媒体中に相溶させた熱的に発消色可能な記録材料が、さらに特開平2−188293号公報にはロイコ化合物とその化合物と熱的に反応して顕色又は減色する顕減色剤からなる記録層を設けた感熱記録媒体が、さらにまた特開昭54−119377号公報及び特開昭55−154198号公報などにはポリエステルなどの樹脂マトリックス中に高級アルコールや高級脂肪酸などの低分子有機化合物を分散し、温度により透明度が変化して記録及び消去が可能な感熱記録層を有した記録媒体が、それぞれ、開示されている。
【0003】
しかし、従来の可逆性感熱記録媒体においては、サーマルヘッドなどの加熱体により加熱して画像形成する際に、加熱体と記録層との摩擦力が大きいためにスティッキングしたり、加熱体の熱及び圧力により表面が変形しやすいために表面にサーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な凹凸ができ、画像形成と消去を繰り返すうちにその変形量が増大して、鮮明な画像を形成することは困難であった。
【0004】
この問題を解決するために、特開昭62−55650号公報においてシリコン樹脂、シリコンゴムなどのオーバーコート層を設けて表面の摩擦係数を小さくする方法が提案されたが、このオーバーコート層は感熱記録層との接着性が不十分なため、繰り返しの機械的作用により剥がれ、画像が劣化する問題が発生した。さらに、この接着性を改善するために、特開平1−133781号公報において可逆性感熱記録層上に樹脂を主成分とする中間層と耐熱性樹脂を主成分とするオーバーコート層を順次設けた可逆性感熱記録媒体が提案されている。中間層によって接着性は改善され、耐熱性樹脂からなるオーバーコート層によって記録媒体表面の変形は小さくなる。しかし、印字と消去を何回も繰り返すとスティッキングにより傷が発生したり、オーバーコート層の一部が剥離してサーマルヘッドに付着し、その剥離物が蓄積するとサーマルヘッドからの熱伝導が低下して画像形成ができなくなる。
【0005】
また更に、特開平9−142037号公報において、これら問題点を解決するために、感熱層上に250℃以下のtanδ(tanδ=動的弾性率G’と動的弾性損失G"の比G"/G’)のピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度を有さないオーバーコート層を設けた可逆性感熱記録媒体が提案されている。このオーバーコート層によってサーマルヘッド等の加熱体による画像形成と消去を繰り返し行なってもサーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な表面の凹凸の発生をかなり抑制できる。
【0006】
しかしながら、現在これらの可逆性感熱記録媒体に画像形成及び消去を行なう画像形成・消去装置の画像処理高速化にともない、多様な画像形成・消去装置が使用されているが、サーマルヘッド等での画像処理を短縮するために、エネルギー印加時間を数msecオーダーの短パルスにした場合や、鮮明な画像を得るためにサーマルヘッド等の加熱体による印加圧力を高くした場合において、画像形成と消去を繰り返すとオーバーコート層表面にクラックが生じ、透明度が低下するため視認性が悪化する問題があり、また、このクラック発生量の増加にともないオーバーコート層表面状態が悪化し、画像形成・消去装置においての搬送性が悪化することでスティッキングが発生し、画像が劣化する問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決し、特に画像形成・消去装置のサーマルヘッド等によるエネルギー印加時間が短パルスの場合や、印加圧力が高い場合において、画像形成と消去を繰り返してもオーバーコート層表面にクラックが生じることがなく、視認性に優れ、更にスティッキングが発生することがなく、画像が劣化するのを抑えた可逆性感熱記録媒体及びそれを用いた画像表示方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題は、本発明の、(1)「支持体上に温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱層を設け、更に該感熱層上にオーバーコート層を設けた可逆性感熱記録媒体において、該オーバーコート層が、主成分として紫外線硬化性樹脂組成物を含有し、該紫外線硬化性組成物が、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレートでビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体のアクリル酸エステル、またはジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレートを含有する成分からなり、かつ該オーバーコート層のtanδ(tanδ=動的弾性率G’と動的弾性損失G”の比G”/G’)ピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下になるように、照射エネルギー150〜1500mJ/cm 紫外線を照射することにより形成されたものであることを特徴とする可逆性感熱記録媒体」、(2)「支持体上に温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱層を設け、更に該感熱層上にオーバーコート層を設けた可逆性感熱記録媒体において、該オーバーコート層が、主成分として紫外線硬化性樹脂組成物を含有し、該紫外線硬化性組成物が、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレートでビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体のアクリル酸エステル、またはジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレートを含有する成分からなり、かつ該オーバーコート層のtanδピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下で該感熱層の発色温度+35℃以下になるように、照射エネルギー150〜1500mJ/cm 紫外線を照射することにより形成されたものであることを特徴とする可逆性感熱記録媒体」、(3)「該オーバーコート層のtanδピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が120℃以上の範囲であることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(4)「前記オーバーコート層が2層以上のオーバーコート層からなることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(5)「前記オーバーコート層の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.05μm以上であることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(6)「前記オーバーコート層の表面に標準面積当たり山数(Pc)が3個以上の凸部を設けたことを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(7)「前記オーバーコート層の表面の摩擦係数が0.10以下であることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(8)「前記オーバーコート層の少なくとも一部分が紫外線硬化性樹脂組成物からなることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(9)「前記オーバーコート層中の樹脂組成物が紫外線照射により硬化されたものであることを特徴とする前記(8)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(10)「前記感熱層中に含まれる樹脂の少なくとも一部分が熱硬化性樹脂組成物、紫外線硬化性樹脂組成物、又は電子線硬化性樹脂組成物からなることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(11)「前記感熱層中に含まれる樹脂が紫外線照射、電子線照射又は熱により架橋されたものであることを特徴とする前記(10)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(12)「前記可逆性感熱記録媒体に前記感熱層以外に情報記録部を設けたことを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(13)「前記情報記録部が磁気記録層であり、磁気記録層を支持体と感熱層の間の全面又は一部分か、支持体裏面の全面又は一部分か、或いは磁気ストライプを表示面の一部分かのいずれかに設けたことを特徴とする前記(12)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(14)「前記情報記録部がIC又は光メモリであり、前記可逆性感熱記録媒体の一部分に設けたことを特徴とする前記(12)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(15)「前記可逆性感熱記録媒体が2種類以上の支持体を貼り合わせた構成からなることを特徴とする前記(1)、(2)、(12)、(13)、(14)項のうち何れか1に記載の可逆性感熱記録媒体」、(16)「前記オーバーコート層上の一部分か、支持体裏面の全面又は一部分の何れか又は全てに着色剤及び樹脂バインダーを主成分とするカラー印刷層を設けたことを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(17)「前記オーバーコート層が2層のオーバーコート層からなり、前記感熱層上の第1のオーバーコート層上又は前記カラー印刷層上に第2のオーバーコート層を設けたことを特徴とする前記(16)項に記載の可逆性感熱記録媒体」により達成される。
【0009】
また、本発明の(18)「支持体上に温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱層を設け、更に該感熱層上にオーバーコート層を設けた可逆性感熱記録媒体において、該オーバーコート層が、主成分として紫外線硬化性樹脂組成物を含有し、該紫外線硬化性組成物が、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレートでビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体のアクリル酸エステル、またはジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレートを含有する成分からなり、かつ該オーバーコート層のtanδピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下になるように、照射エネルギー150〜1500mJ/cm 紫外線を照射することにより形成されたものであることを特徴とする可逆性感熱記録媒体を、加熱により画像形成及び/又は画像消去することを特徴とする画像形成・消去方法」、(19)「支持体上に温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱層を設け、更に該感熱層上にオーバーコート層を設けた可逆性感熱記録媒体において、該オーバーコート層が、主成分として紫外線硬化性樹脂組成物を含有し、該紫外線硬化性組成物が、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレートでビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体のアクリル酸エステル、またはジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレートを含有する成分からなり、かつ該オーバーコート層のtanδピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下で該感熱層の発色温度+35℃以下になるように、照射エネルギー150〜1500mJ/cm 紫外線を照射することにより形成されたものであることを特徴とする可逆性感熱記録媒体を、加熱により画像形成及び/又は画像消去することを特徴とする画像形成・消去方法」、(20)「前記加熱をサーマルヘッドで行なうことを特徴とする前記(18)項又は(19)項に記載の画像形成・消去方法」、(21)「前記画像消去をサーマルヘッド、セラミックヒータ、ホットスタンプ、ヒートローラ、ヒートブロックの少なくとも1種を用いて行なうことを特徴とする前記(18)項又は(19)項に記載の画像形成・消去方法」によって達成される。
【0010】
本発明の可逆性感熱記録媒体(以下、可逆性感熱記録材料ともいう)に用いられる「温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱層」とは、温度変化によって目に見える変化を可逆的に起す媒体である。目に見える変化は色の状態の変化と形状の変化に分けられるが、本発明では主に色の状態の変化を起たす材料を使用する。色の状態の変化には、光学的な透過率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化があり、実際の可逆性感熱記録材料はこれらの変化の組合せで情報の表示を行っている。より具体的には、熱により透明度や色調が可逆的に変化するものならばどのようなものでもよいが、例えば常温より高い第1の特定温度で第1の色の状態となり、第1の特定温度よりも高い第2の特定温度で加熱し、その後冷却することにより第2の色の状態となるもの、等が挙げられる。
【0011】
特に第1の特定温度と第2の特定温度で色の状態が変化するものが好適に用いられる。これらの例としては、第1の特定温度で透明状態となり、第2の特定温度で白濁状態となるもの(特開昭55−154198号公報)、第2の特定温度で発色し、第1の特定温度で消色するもの(特開平4−224996号公報、特開平4−247985号公報、特開平4−267190号公報等)、第1の特定温度で白濁状態となり、第2の特定温度で透明状態となるもの(特開平3−169590号公報)、第1の特定温度で黒、赤、青等に発色し、第2の特定温度で消色するもの(特開平2−188293号公報、特開平2−188294号公報)等が挙げられる。
これらの中でも特につぎの二つの材料が代表例として挙げられる。
▲1▼透明状態と白濁状態が可逆的に変化する材料
▲2▼染料等の色が可逆的に変化する材料
【0012】
▲1▼としては、従来の技術の中で繰り返し示されているような、ポリエステル等の樹脂母材中に高級アルコール、高級脂肪酸等の有機低分子物質を分散した感熱層が代表例として挙げられる。また、▲2▼としては、ロイコ系感熱記録材料の可逆性を増強したものが代表例として挙げられる。
【0013】
前記▲1▼の透明度に変化を生じせしめるタイプの感熱層は、樹脂母材及びこの樹脂母材中に分散された有機低分子物質を主成分としたものである。ここでの可逆性感熱記録材料は、後述するように、透明になる温度の範囲がある。
本発明の可逆性感熱記録材料は、前記のごとき▲1▼の透明度変化(透明状態、白濁不透明状態)を利用しており、そのメカニズムについては次のように推測される。
【0014】
すなわち、(I)透明の場合には樹脂母材中に分散された有機低分子物質の粒子は有機低分子物質と樹脂母材は隙間なく密着しており、また粒子内部にも空隙はなく、片側から入射した光は散乱されることなく反対側に透過するため透明に見えること、また、(II)白濁の場合には有機低分子物質の粒子は有機低分子物質の微細な結晶で構成されており、結晶の界面若しくは粒子と樹脂母材の界面に隙間ができ片側から入射した光は空隙と結晶、空隙と樹脂の界面で屈折し、散乱されるため白く見えること、等に由来している。
【0015】
図1は本発明に係る感熱層の熱による透明度の変化を表わす図である。図1において、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散された有機低分子物質とを主成分とする感熱層は、例えばT0以下の常温では白濁不透明状態にある。これを加熱していくと温度T1から徐々に透明になり、初め温度T2〜T3に加熱すると透明となり、この状態で再びT0以下の常温に戻しても透明のままである。これは温度T1付近から樹脂が軟化し始め、軟化が進むにつれ、樹脂が収縮し樹脂と有機低分子物質粒子との界面若しくは粒子内の空隙を減少させるため、徐々に透明度が上がり、温度T2〜T3では有機低分子物質が半溶融状態となり、残った空隙を溶融した有機低分子物質が埋めることにより透明となり、種結晶が残ったまま冷却されると、比較的高温で結晶化し、その際樹脂がまだ軟化状態のため、結晶化にともなう粒子の体積変化に樹脂が追随し、空隙ができず透明状態が維持されるためと考えられる。
【0016】
さらにT4以上の温度に加熱すると、最大透明度と最大不透明度との中間の半透明状態になる。次に、この温度を下げていくと、再び透明状態をとることなく最初の白濁不透明状態に戻る。これは温度T4以上で有機低分子物質が完全に溶融した後、過冷却状態となりT0より少し高い温度で結晶化し、その際、樹脂が結晶化にともなう体積変化に追随できず、空隙が発生するためであると思われる。
ただし図1に示した温度−透明度変化曲線は代表的な例を示しただけであり、材料を替えることにより各状態の透明度等にその材料に応じて変化が生じることになる。
【0017】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
先に記載したように、本発明者らは上記課題に関して鋭意検討の結果、オーバーコート層の動的緩和現象を抑制することにより、可逆性感熱記録材料表面におけるクラック及びスティッキングを全て防止できることを見出した。
【0018】
すなわち、本発明の可逆性感熱記録材料は、前記したように155℃以下、或いは155℃以下で前記感熱層の発色温度+35℃以下のtanδピーク温度またはそれに相当する動的緩和現象温度であるオーバーコート層を感熱記録層上に設けることにより、特に画像形成と消去を短パルスのエネルギー印加或いは印加圧力が高い状態で行なっても、クラック及びスティッキングを防止した可逆性感熱記録材料が提供される。
【0019】
ここで、tanδは、動的熱機械測定による動的弾性率G’と動的弾性損失G”の比G”/G’である。そのピーク温度は、一般に知られている高分子の複素動的弾性率のα分散(主分散)に相当する温度であり、β分散やγ分散(副分散)に相当する温度は含まない。動的熱機械測定による動的弾性率G’と動的弾性損失G”は、試験片に種々の形の振動を与え、その状態の温度依存性を観測し、決定される。振動の様式には、圧縮や引っ張りによる縦振動、ねじれ振動、及びたわみ振動などの自由減衰振動、又は圧縮、引っ張り、ねじれ又は曲げなどの外力が作用した強制振動がある。試験片は、それらの測定方法に適した形態で使用する。具体的な試験片の形態は、繊維、フィルム、バルク、又はガラス組み紐に試料とする材料を含浸させた複合体や金属スプリングに試料とする材料を塗布した複合体などである。ただし、ガラス組み紐に試料とする材料を含浸させた複合体を試験片とし、自由ねじり減衰振動によって測定する方法(Torsional Braid Analysis法)は、複合試験片を用いるため試料の動的弾性率G’や動的弾性損失G”の絶対値を求めることは不可能である。したがって、TBA法では、振動波形の相対的変化を観察し、相対剛性率Gγと対数減衰率λが求まる。この対数減衰率λが前記のtanδに相当し、そのピーク温度が動的緩和現象温度である。
【0020】
一般に可逆性感熱記録媒体は、記録及び/又は消去時に瞬間的な熱エネルギー、せん断応力及びプラテン圧力を受ける。この瞬間的な熱エネルギー、せん断応力及びプラテン圧力により、オーバーコート層、又はオーバーコート層と記録層が変形し、サーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な凹凸が発生すると考えられる。すなわち、オーバーコート層のtanδのピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度は、その物理的な意味から、記録及び/又は消去時の瞬間的な熱エネルギー、せん断応力及びプラテン圧力と密接な関係があると考えられ、オーバーコート層のtanδのピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が高いほどサーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な凹凸の発生を防止できると考えられる。
【0021】
しかしながら、該オーバーコート層のtanδのピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が高くなりすぎると表面硬度及び耐熱性は増加すると考えられるが、その反面で柔軟性(可とう性)が低下すると考えられ、瞬間的な熱エネルギー、せん断応力及びプラテン圧力に対して耐性が低下し、結果としてオーバーコート層表面にクラックが生じ、このクラック量が増加すると前記したステイッキングが発生すると考えられる。
【0022】
また、この現象は該オーバーコート層と該感熱層のそれぞれのtanδのピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度に違いがあるほど顕著であると考えられる。これは該感熱層が比較的低温で熱変形するのに対して、該オーバーコート層では比較的に高温であるため変形が生じることがなく、前記した熱エネルギー、せん断応力及びプラテン圧力の繰り返し印加により該感熱層と該オーバーコート層間に変形量の違いによる層間歪みが生じるためクラックが生じやすくなると考えられる。これらの鋭意検討の結果、オーバーコート層のtanδのピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下あるいは該温度が155℃以下で前記感熱層の発色温度+35℃以下である時にこれらの課題を達成できることを見出した。
【0023】
このような効果に対してtanδのピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度は120℃以上155℃以下が好ましく、更に好ましくは124℃以上155℃以下であり、特に好ましくは130℃以上155℃以下である。
【0024】
具体的な動的熱機械測定方法は、試験片に強制振動を与える方法と試験片の自由振動による方法に大別される。強制振動を与える方法では、測定機によって規定された試験片を用いて、測定条件として空気中0.01〜100Hzの振動数、1〜10℃/minの昇温速度で測定する。好ましい振動数と昇温速度は、それぞれ10Hzと3℃/minである。測定機とそれによって規定される試験片の形態や変形モードなどの条件により、10Hzの振動数と3℃/minの昇温速度で測定できない場合は、測定可能な条件で測定し、Boltmannの重ね合わせの原理に従って換算する。自由振動による方法では、測定条件として空気中1〜10℃/minの昇温速度で測定する。好ましくは、2〜3℃/minである。
【0025】
測定に使用する試験片の作成方法は、実際に感熱記録層上にオーバーコート層を設ける場合と同様に組成物を用いて、同様の乾燥温度と時間で乾燥し、同様のエージング温度と時間でエージングし、及び/又は同様の紫外線又は電子線を照射して、測定機によって規定された形態にすることからなる。また、感熱記録層上に形成された保護層をその記録層から剥離して、試験片として使用することも可能である。
【0026】
tanδのピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下あるいは前記感熱層の発色温度+35℃以下であるオーバーコート層を得る方法としては、オーバ一コート層の主成分として熱硬化性樹脂組成物、紫外線硬化性樹脂組成物及び電子線硬化性樹脂組成物を用いる方法が挙げられるが、それぞれ単独ではなく、それらを複数組み合わせて使用してもよい。それらの樹脂組成物は、一種類以上のポリマー、オリゴマー、モノマー、架橋開始剤、架橋促進剤、添加剤、及び溶剤からなる群から選択される。特に、熱硬化性樹脂組成物、紫外線硬化性樹脂組成物及び電子線硬化性樹脂組成物を用いる方法は、感熱記録層との接着性の点で有効である。
【0027】
熱硬化性樹脂組成物からなるオーバーコート層は、その組成物を感熱記録層上に塗布乾燥した後、tanδのピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が、155℃以下あるいは前記感熱層の発色温度+35℃以下となるように、エージングすることによって得られる。エージング温度は、使用する感熱記録層の主成分である低分子有機化合物及び樹脂マトリックスの融点以下であることが望ましい。エージング温度がそれらの融点以上であると、目的とする可逆性感熱記録特性が得られなくなる。そのため、エージング時間は、より低いエージング温度ではより長くする必要がある。具体的には、30〜60℃のエージング温度で1〜14日間である。
【0028】
紫外線硬化性樹脂組成物からなるオーバーコート層は、その組成物を感熱記録層上に塗布乾燥した後、tanδのピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下、あるいは該温度が155℃以下で前記感熱層の発色温度+35℃以下になるように紫外線を照射することによって得られる。その照射エネルギーは、150〜1500mJ/cm2である。紫外線硬化性樹脂組成物を用いた場合、エージングは不要であり、熱硬化性樹脂組成物の場合より低コストで簡便にtanδのピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下あるいは該温度が155℃以下で前記感熱層の発色温度+35℃以下であるオーバーコート層が得られる。
【0029】
電子線硬化性樹脂組成物からなるオーバーコート層は、その組成物を感熱記録層上に塗布乾燥した後、tanδのピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下あるいは前記感熱層の発色温度+35℃以下になるように、電子線を照射することによって得られる。その照射エネルギーは、0.1〜10Mrad程度である。10Mrad程度以上であるとオーバーコート層の硬化物及び/又は記録層のバインダー樹脂の分解が発生してオーバーコート層及び/又は記録層が着色し易くなる。電子線硬化性樹脂組成物を用いた場合、紫外線硬化性樹脂組成物の場合と同様にエージングは不要であり、熱硬化性樹脂組成物の場合より低コストで簡便にtanδのピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下あるいは前記感熱層の発色温度+35℃以下になるオーバーコート層が得られる。
【0030】
また、本発明において前記オーバーコート層が2層以上のオーバーコート層から成ることによりサーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な凹凸を防止する効果が向上し、更にクラック及びスティッキングが発生するのを防止する効果が向上するものとなる。
また更に、本発明において前記オーバーコート層の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.05μm以上であることによりサーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な凹凸を防止する効果が向上し、更に画像形成・消去装置との搬送性を向上させる効果がある。このような効果に対して、中心線平均粗さ(Ra)は0.05〜0.8μmが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.5μmである。中心線平均粗さ(Ra)が0.05μmより小さいとサーマルヘッド等の発熱体表面との接触面積が大きくなり摩擦抵抗が大きくなるためスティッキングが発生しやすくなり、また0.8μmより大きくなるとサーマルヘッド等の発熱体表面との接触面積が小さくなりすぎるため熱伝導率が低下してしまい熱感度が低下することになる。
【0031】
また更に、本発明において前記オーバーコート層の表面に標準面積当たり山数(Pc)が3個以上の凸部を設けたことによりサーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な凹凸を防止する効果が向上し、更に画像形成・消去装置との搬送性を向上させる効果がある。また標準面積とは125μm×125μmの面積であり、現在市販されているサーマルヘッドの1ドットに対応する値である。また、山数(Pc)は0.05μm以上の高さをもつ凸部をカウントした値である。このような効果に対して標準面積当たり山数(Pc)は3個以上900個以下が好ましく、更に好ましくは3個以上500個以下である。標準面積当たり山数(Pc)が2個以下であるとサーマルヘッド等の発熱体表面との接触面積が大きくなり、摩擦抵抗が大きくなるためスティッキングが発生しやすくなり、901個以上であると透明度が低下しコントラストが悪化してしまう。
【0032】
本発明における中心線平均粗さ(Ra)及び標準面積当たり山数(Pc)はJIS表面粗さ(B0601)に記載の方法に従って測定される値であり、具体的には接触型又は非接触型の三次元表面粗さ計(例えば、(株)小坂研究所社製サーフコーダSE−30K)を用いて測定する。
【0033】
また更に、本発明において前記オーバーコート層の表面の摩擦係数が0.10以下であることにより画像形成・消去装置との搬送性を向上させる効果がある。このような効果に対して摩擦係数は0.10以下が好ましく、更に好ましくは0.08以下である。
また、本発明における摩擦係数は動摩擦係数であり、次のように測定する。試験機としてHElDON−14S(新東科学社製)を用い、5mmφのAl22ボール圧子に200gの荷重を加えて、測定ステージに固定した前記可逆性感熱記録材料オーバーコート層上に乗せて、この測定ステージを水平方向に移動スピード150mm/minにて移動させたときのボール圧子に働く水平方向の力を測定し、これを荷重で除して動摩擦係数を算出する。
【0034】
本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物は、架橋剤と反応して共有結合を形成することが可能な官能基を有したポリマー及び/又はポリマー性化合物、架橋剤、溶剤、及び任意の架橋促進剤、触媒及び添加剤からなる。架橋剤と反応して共有結合を形成することが可能な官能基を有したポリマー及びポリマー性化合物としては、ポリビニルアルキルカルバメート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリウレア、ポリウレタン、ウレタンプレポリマー、カルボキシ変性ポリウレタン、アミノ変性ポリウレタン、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエーテルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、メラミン、メチロール化メラミン、アルキド樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、フラン樹脂、レゾシノール樹脂又はエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0035】
架橋促進剤と触媒は、架橋剤と反応して共有結合を形成することが可能な官能基を有したポリマー及び/又はポリマー性化合物と架橋剤の組み合わせに応じて適宜選択して使用する。
【0036】
溶剤としては、架橋剤と反応して共有結合を形成することが可能な官能基を有したポリマー及び/又はポリマー性化合物を溶解する溶媒を適宜選択して使用する。
添加剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、シリカ、尿素−ホルマリン樹脂及びスチレン樹脂などの無機及び有機粒子が挙げられる。
【0037】
熱硬化性樹脂組成物の添加剤の含有量は、架橋剤と反応して共有結合を形成することが可能な官能基を有したポリマー及び/又はポリマー性化合物に対して0〜20wt%である。好ましくは、0〜10wt%である。その含有量が20wt%以上になると、サーマルヘッドの汚れやそれを原因とした画像の劣化が発生する。
【0038】
また、本発明で用いられる紫外線硬化性樹脂組成物は、光重合性モノマー(反応性希釈剤)、光重合性オリゴマー、光開始剤、及び任意の溶剤と添加剤からなる。光重合性モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの単官能モノマー、1、3−ブタンジオールジアクリレート、1、4−ブタンジオールジアクリレート、1、6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート又はヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレートなどの二官能性モノマー、又はジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールトリアクリレート又はトリメチロールプロパントリアクリレートなどの三官能以上のモノマーが挙げられる。
【0039】
光重合性オリゴマーとしては、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコンアクリレート、アルキッドアクリレート又はメラミンアクリレートなどが挙げられる。これらの中で、本発明で用いられる光重合性モノマー(反応性希釈剤)、光重合性オリゴマーは、下記のものが好ましく、本発明では下記( i )又は( ii )のものを用いる。これらは少なくとも1種或いは2種以上混合して用いられる。
【0040】
(i)ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレートでビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体のアクリル酸エステル
これらの市販品としては、リポキシSP−1507、SP−1509、SP−1519、SP−1563、VR−60、VR−77、VR−90(以上、昭和高分子(株)製)、ビスコート540(以上、大阪有機化学工業(株)製)、エポキシエステル3000A(以上、共栄社化学(株)製)等を挙げることができる。
【0041】
ii)ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート
この市販品としては、SR399、SR399E、SR9041(以上、サートマー社製)等を挙げることができる。
【0042】
光開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル−2−)モルホリノプロパン−1、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−クロロチオキサントン又は2、4−ジエチルチオキサントンなどが挙げられる。
【0043】
添加剤としては、前記したオーバーコート層の表面に凸部を設けるための無機及び有機粒子、前記したオーバーコート層表面の摩擦係数を低下させるための表面活性剤、増感剤、酸化防止剤、光安定剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、帯電防止剤等を挙げることができる。
【0044】
本発明で用いられる該無機及び有機粒子としては、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、尿素−ホルマリン樹脂及びスチレン樹脂などの無機及び有機粒子が挙げられる。これらの無機及び有機粒子の平均粒径は、0.1〜10μmが好ましく、更に好ましくは0.2〜5μmである。
【0045】
紫外線硬化性樹脂組成物の添加剤の含有量は、光重合性モノマー(反応性希釈剤)と光重合性オリゴマーに対して0〜20wt%である。好ましくは、0〜10wt%である。その含有量が20wt%以上になると、サーマルヘッドの汚れやそれを原因とした画像の劣化が発生する。また、これらの紫外線硬化性樹脂組成物を溶剤で希釈して塗工する場合に用いられる溶剤としては、光重合性モノマー(反応性希釈剤)と光重合性オリゴマーを溶解する溶媒を適宜選択して使用する。
【0046】
電子線硬化性樹脂組成物は、不飽和プレポリマー、オリゴマー、反応性希釈剤(モノマー)及び任意の溶剤と添加剤からなる。不飽和プレポリマー及びオリゴマーとしては、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、不飽和アクリル樹脂、不飽和シリコーン、又は不飽和フッ素樹脂などが挙げられる。
【0047】
反応性希釈剤としては、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、又はペンタエリスリトールアクリレートなどが挙げられる。
【0048】
添加剤としては、前記したオーバーコート層の表面に凸部を設けるための無機及び有機粒子、前記したオーバーコート層表面の摩擦係数を低下させるための表面活性剤、増感剤、酸化防止剤、光安定剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、帯電防止剤等を挙げることができる。
【0049】
本発明で用いられる該無機及び有機粒子としては、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、尿素−ホルマリン樹脂及びスチレン樹脂などの無機及び有機粒子が挙げられる。これらの無機及び有機粒子の平均粒径は、0.1〜10μmが好ましく、更に好ましくは0.2〜5μmである。
【0050】
電子線硬化性樹脂組成物の添加剤の含有量は、不飽和プレポリマー、オリゴマー及び反応性希釈剤(モノマー)に対して0〜20wt%である。好ましくは0〜10wt%である。その含有量が20wt%以上になると、サーマルヘッドの汚れやそれを原因とした画像の劣化が発生する。また、これらの電子線硬化性樹脂組成物を溶剤で希釈して塗工する場合に用いられる溶剤としては、不飽和プレポリマー、オリゴマー及び反応性希釈剤(モノマー)を溶解する溶媒を適宜選択して使用する。
【0051】
これらのオーバーコート層の厚さは、0.5〜15.0μmが好ましく、更に好ましくは1.0〜10.0μmである。厚さが0.4μm以下では、硬度が不足し、本発明の課題を達成することが困難であり、厚さ16μm以上では熱感度が低下する。
また、本発明のオーバーコート層を形成する方法としては、通常一般的に使用される種々の方法によって前記感熱層上に形成することができる。
【0052】
こうした形成方法としては、例えば、ディップコート、スプレーコート、フローコート、ロールコート、ワイヤーバーコート、ダイコート、グラビアコート等のコーティング方式や、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷方式がある。これらの形成方法として、前者方式ではオーバーコート層にする樹脂組成物の粘度が比較的に低いことが望まれるため、前記した溶剤で希釈し、任意の固形分濃度で塗工することが好ましい。
また、後者方式では樹脂組成物の粘度が比較的に高いことが望まれるため、印刷方式に応じて光重合性モノマー(反応性希釈剤)で適宜希釈し粘度調整して印刷することが好ましい。
【0053】
また、前者方式で設けられるオーバーコート層は形成方法が感熱層を設けるコーティング方式と近似していることから、前記感熱層上に第1オーバーコート層として設けられることが好ましく、また、後者方式で設けられるオーバーコート層は、その形成方法が前記したカラー印刷層を形成する印刷方式と近似していることから、前記第1オーバーコート層上又はカラー印刷層上に第2オーバーコート層として設けられることが好ましい。また、前記構成の第2オーバーコート層では、層上にカラー印刷層を設ける必要がないため、表面滑性を向上させるために、シリコーン、フッ素等の滑性材料を添加することができる。
【0054】
感熱記録層は、マトリックス樹脂及び低分子化合物を溶剤に溶解又は分散した溶液を、支持体上に塗布し、乾燥する方法などにより形成できるが感熱記録層の形成に使用する溶媒は、マトリックス樹脂及び低分子化合物の種類によって適宜選択できる。その例として、エタノール、トルエン、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、又はそれらの混合物などが挙げられる。なお、分散液を使用した場合又は溶液を使用した場合に、何れも得られる感熱層中では低分子有機化合物は微粒子として析出し、分散状態で存在する。
【0055】
本発明において、可逆性感熱記録媒体の感熱記録層中のマトリックス樹脂は、膜形成可能であり、その膜が透明性に優れ機械的に安定であることが好ましい。
このような樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体及び塩化ビニル−アクリレート共重合体などの塩化ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体及び塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体などの塩化ビニリデン系共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート−ポリメタクリレート共重合体、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは単独あるいは2種類以上混合して使用される。
【0056】
一方、有機低分子物質としては記録層中で粒子状になるものであればよく、一般に融点30〜200℃、好ましくは50〜150℃程度のものが使用される。このような有機低分子物質としてはアルカノール;アルカンジオール;ハロゲンアルカノール又はハロゲンアルカンジオール;アルキルアミン;アルカン;アルケン;アルキン;ハロゲンアルカン;ハロゲンアルケン;ハロゲンアルキン;シクロアルカン;シクロアルケン;シクロアルキン;飽和又は不飽和モノ又はジカルボン酸又はこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;飽和又は不飽和ハロゲン脂肪酸又はこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;アリルカルボン酸又はそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;ハロゲンアリルカルボン酸又はそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;チオアルコール;チオカルボン酸又はそれらのエステル、アミン又はアンモニウム塩;チオアルコールのカルボン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上混合して使用される。これらの化合物の炭素数は10〜60、好ましくは10〜38、特に10〜30が好ましい。エステル中のアルコール基部分は飽和していてもよく、飽和していなくてもよく、またハロゲン置換されていてもよい。いずれにしても有機低分子物質は分子中に酸素、窒素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1種、例えば−OH,−COOH,−CONH2,−COOR,−NH−,−NH2,−S−,−S−S−,−O−,ハロゲン等を含む化合物であることが好ましい。
【0057】
本発明において前記有機低分子物質としては、低融点の有機低分子物質と、高融点の有機低分子物質とを組み合わせて用いることにより、透明化温度巾を更に拡大させることができるものが好ましい。前記低融点有機低分子物質と高融点有機低分子物質の融点の差は20℃以上が好ましく、更に好ましくは30℃以上であり、特に好ましくは40℃以上である。
【0058】
低融点有機低分子物質材料としては、融点40℃〜100℃のものが好ましく、50℃〜80℃のものが更に好ましい。高融点有機低分子物質としては、融点100℃〜200℃のものが好ましく、110℃〜180℃のものが更に好ましい。
【0059】
これらの有機低分子物質の中で本発明で用いられる低融点有機低分子物質としては下記の脂肪酸エステル、二塩基酸エステル、多価アルコールジ脂肪酸エステルが好ましい。これらは少なくとも1種あるいは2種以上混合して用いられる。
【0060】
本発明で用いられる脂肪酸エステル、二塩基酸エステル、多価アルコールジ脂肪酸エステルは、同じ炭素数の脂肪酸(2分子会合状態)より融点が低く、逆に同じ融点の脂肪酸よりも炭素数が多いという特徴を持つので、これらのものを用いるのが好ましい。
【0061】
サーマルヘッドでの画像の印字−消去の繰り返しによる劣化は、樹脂母材と有機低分子物質の加熱時の相溶による有機低分子物質粒子の分散状態の変化が原因と考えられ、樹脂母材と有機低分子物質の相溶性は有機低分子物質の炭素数が多いほど低下し、画像の印字−消去の劣化が少ないものと考えられる。更に白濁度も炭素数に比例して増加する傾向にある。
【0062】
そのため、同じ透明化温度(融点付近にある)の可逆性感熱記録材料において、樹脂母材中に分散させる有機低分子物質として脂肪酸エステル、二塩基酸エステル、多価アルコールジ脂肪酸エステルを用いることにより、脂肪酸を用いた場合に比較し、白濁度が高く、つまりコントラストが高く、しかも繰り返し耐久性が向上するものと思われる。
【0063】
そして、このような脂肪酸エステル、二塩基酸エステル、多価アルコールジ脂肪酸エステルと高融点の有機低分子物質を混合して用いることにより、透明化温度巾を広くすることができ、サーマルヘッドでの消去の性能も高く、そのため、保存により多少消去特性が変動しても、消去可能であり、材料自身の特性から繰り返し耐久性も向上させることができる。
【0064】
本発明で用いられる脂肪酸エステルは、例えば下記一般式(I)で表わされる。
1−COO−R2 ・・・(I)
(式中、R1,R2は炭素数10以上のアルキル基を表わす)
脂肪酸エステルの炭素数は20以上が好ましく、25以上が更に好ましく、30以上が特に好ましい。炭素数が多くなると白濁度が高く、繰り返し耐久性が向上するという特長を有する。脂肪酸エステルの融点は40℃以上が好ましい。
これらは一種又は二種以上を選択して用いられる。
【0065】
本発明で用いられる脂肪酸エステルの具体例を以下に示す。
パルミチン酸オクタデシル、パルミチン酸ドコシル、ステアリン酸ヘプチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸オクタデシル、ステアリン酸ドコシル、ベヘン酸オクタデシル、ベヘン酸ドコシル。
【0066】
二塩基酸エステルとしては、モノエステル、ジエステルのいずれでもよく、下記一般式(II)で表わされるものである。
ROOC−(CH2)n−COOR’ ・・・(II)
(式中、R,R’は水素原子、又は炭素数1〜30のアルキル基を表わし、R,R’は同一であっても異なっていてもよいが、同時に水素原子である場合を除く。nは0〜40の整数を表わす)
上記一般式(II)で表わされる二塩基酸エステルにおいて、R,R’のアルキル基の炭素数は1〜22が好ましく、nは、1〜30が好ましく、2〜20が更に好ましい。また融点は40℃以上が好ましい。
【0067】
具体的には、コハク酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、1−又は18−オクタデカメチレンジカルボン酸エステル、等が挙げられる。
【0068】
本発明で用いる有機低分子物質の多価アルコールジ脂肪酸エステルとしては、下記の一般式(III)で表わされるものが挙げられる。
CH3(CH2)m-2COO(CH2)nOOC(CH2)m-2CH3 ・・・(III)
(式中、nは2〜40、好ましくは3〜30、更に好ましくは4〜22の整数である。mは2〜40、好ましくは3〜30、更に好ましくは4〜22の整数である。)
具体的には以下のものが挙げられる。
1,3プロパンジオールジアルカン酸エステル、1,6ヘキサンジオールジアルカン酸エステル、1,10デカンジオールジアルカン酸エステル、1,18オクタデカンジオールジアルカン酸エステル。
【0069】
また次に、本発明で用いられる高融点有機低分子物質としては、脂肪族飽和ジカルボン酸、高級アルキル基を有するケトン、該ケトンから誘導されるセミカルバゾン、αーホスホノ脂肪酸などが挙げられ、下記のものが好ましいが、これらに限定されるものではない。
これらは、一種又は二種以上選択して用いられる。
【0070】
これら融点100℃以上の高融点有機低分子物質の具体例を以下に示す。
脂肪族ジカルボン酸の、例えば融点100〜135℃程度の具体例としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸等が挙げられる。
【0071】
本発明において用いるケトンは、ケトン基と高級アルキル基を必須の構成基として含み、その他無置換又は置換基を有する芳香環あるいは被素環を含むこともできる。前記ケトンの全炭素数は16個以上が好ましく、更に好ましくは21個以上である。また、本発明に用いるセミカルバゾンは、上記ケトンから誘導されたものである。
【0072】
本発明において使用するケトン、セミカルバゾンとしては、例えば次に示すようなものを挙げることができる。
3−オクタデカノン、7−アイコサノン、14−ヘプタコサノン、18−ペンタトリアコンタノン、テトラデカノフェノン、ドコサノフェノン、ドコサノナフトフェノン、2−ヘンエイコサノンセミカルバゾン。
【0073】
本発明で用いるαーホスホノ脂肪酸は例えばE.V.Kaurer等、J.Ak.Oil Chekist’s Soc,41,205(1964)の方法に従って脂肪酸をHell−Volhard−Zelinskin反応によって臭素化してαー臭素化酸臭化物とし、次いでエタノールを加えαーブロモ脂肪酸エステルを得、さらにトリエチルホスファイトと加熱反応してαーホスホノ脂肪酸エステルとし、濃塩酸による加水分解を行なって生成物をトルエンから再結晶することにより得ることができる。
【0074】
本発明で用いるホスホノ脂肪酸に具体例を以下に示す。
αーホスホノミリスチル酸、αーホスホノパルミチン酸、αーホスホノステアリン酸などが挙げられる。なお、αーホスホノベラルゴン酸以外は2つのmp(融点)を持っている。
【0075】
これらの低融点有機低分子物質と高融点有機低分子物質の混合重量比は95:5〜5:95が好ましく、90:10〜10:90が更に好ましく、80:20〜20:80が特に好ましい。また、これらの低融点有機低分子物質、高融点有機低分子物質以外に前記した他の有機低分子物質を混合して用いてもよい。これらは下記のものが挙げられる。
【0076】
これら化合物としてはラウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、アラギン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;
1633−O−C1633 , C1633−S−C1633
1837−S−C1837 , C1225−S−C1225
1939−S−C1939 , C1225−S−S−C1225
【0077】
【化1】
Figure 0003690638
【0078】
【化2】
Figure 0003690638
【0079】
【化3】
Figure 0003690638
【0080】
【化4】
Figure 0003690638
【0081】
【化5】
Figure 0003690638
【0082】
【化6】
Figure 0003690638
等のエーテル又はチオエーテル等がある。中でも本発明では高級脂肪酸、特にパルミチン酸、ペンタデカン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の炭素数16以上の高級脂肪酸が好ましく、炭素数16〜24の高級脂肪酸が更に好ましい。
【0083】
前記したように本発明において、透明化できる温度の巾を広げるには、この明細書において記載した有機低分子物質を適宜組み合わせるか、又は、そうした有機低分子物質と融点の異なる他の材料とを組み合わせればよい。これらは例えば特開昭63−39378号、特開昭63−130380号、特開平4−235095号などの公報や、特願昭63−14754号などの明細書に開示されているが、これらに限定されるものではない。
【0084】
なお、感熱層中の有機低分子物質と樹脂(架橋構造を有する樹脂)との割合は、重量比で2:1〜1:16程度が好ましく、1:2〜1:8が更に好ましい。樹脂の比率がこれ以下になると、有機低分子物質を樹脂中に保持した膜に形成することが困難となり、またこれ以上になると、有機低分子物質の量が少ないため、不透明化が困難になる。
【0085】
感熱層の厚みは1〜30μmが好ましく、2〜20μmが更に好ましい。感熱層が厚すぎると熱感度が低下して均一に透明化することが困難となる。また、感熱層が薄すぎると白濁度が低下してコントラストが低くなる。
【0086】
感熱層には以上の成分の他に、透明画像の形成を容易にするために、界面活性剤、可塑剤等の添加物を添加することができる。これらの添加物の具体例は次のとおりである。
【0087】
可塑剤としては、リン酸エステル、脂肪酸エステル、フタル酸エステル、二塩基酸エステル、グリコール、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤が挙げられ、具体例としては下記のものが挙げられる。
リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、オレイン酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジオクチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
【0088】
界面活性剤、その他の添加物の例;
多価アルコール高級脂肪酸エステル;多価アルコール高級アルキルエーテル;多価アルコール高級脂肪酸エステル、高級アルコール、高級アルキルフェノール、高級脂肪酸高級アルキルアミン、高級脂肪酸アミド、油脂又はポリプロピレングリコールの低級オレフィンオキサイド付加物;アセチレングリコール;高級アルキルベンゼンスルホン酸のNa、Ca、Ba又はMg塩;芳香族カルボン酸、高級脂肪酸スルホン酸、芳香族スルホン酸、硫酸モノエステル又はリン酸モノ−又はジ−エステルのCa、Ba又はMg塩;低度硫酸化油;ポリ長鎖アルキルアクリレート;アクリル系オリゴマー;ポリ長鎖アルキルメタクリレート;長鎖アルキルメタクリレート−アミン含有モノマー共重合体;スチレン−無水マレイン酸共重合体;オレフィン−無水マレイン酸共重合体など。
【0089】
また次に、感熱層中に含まれる熱硬化性樹脂組成物、紫外線硬化性樹脂組成物、又は電子線硬化性樹脂組成物及びそれぞれの樹脂組成物を架橋する方法としては下記のものを挙げることができる。
【0090】
熱硬化性樹脂組成物を添加した記録層塗工組成物からなる感熱記録層は、その組成物を支持体上に塗布乾燥した後、エージングすることによって得られる。エージング温度は、使用する感熱記録層の主成分である低分子有機化合物及び樹脂マトリックスの融点以下であることが望ましい。エージング温度がそれらの融点以上であると、低分子有機化合物の分散性が変化して目的とする可逆性感熱記録特性が得られなくなる。そのため、エージング時間は、より低いエージング温度ではより長くする必要がある。具体的には、30〜60℃のエージング温度で1〜14日間である。
【0091】
紫外線硬化性樹脂組成物を添加した記録層塗工組成物からなる感熱記録層は、その組成物を支持体上にに塗布乾燥した後、紫外線を照射することによって得られる。その照射エネルギーは、150〜1500mJ/cm2である。紫外線硬化性樹脂組成物を用いた場合、エージングは不要であり、熱硬化性樹脂組成物の場合より低コストで簡便に感熱記録層が得られる。
【0092】
電子線硬化性樹脂組成物を添加した記録層塗工組成物からなる感熱記録層は、その組成物を支持体上に塗布乾燥した後、電子線を照射することによって得られる。その照射エネルギーは、0.1〜10Mrad程度である。10Mrad程度以上であるとオーバーコート層の硬化物及び/又は記録層のバインダー樹脂の分解が発生してオーバーコート層及び/又は記録層が着色易くなる。電子線硬化性樹脂組成物を用いた場合、紫外線硬化性樹脂組成物の場合と同様にエージングは不要であり、熱硬化性樹脂組成物の場合より低コストで簡便に感熱記録層が得られる。
【0093】
記録層に使用する熱硬化性樹脂組成物は、架橋剤と反応して共有結合を形成することが可能な官能基を有したポリマー及び/又はポリマー性化合物、架橋剤、溶剤、及び任意の架橋促進剤と触媒からなる。架橋剤と反応して共有結合を形成することが可能な官能基を有したポリマーとポリマー性化合物、架橋剤、溶剤、架橋促進剤、及び触媒としては、前記と同様のものが使用できる。
【0094】
記録層に使用する紫外線硬化性樹脂組成物は、光重合性モノマー(反応性希釈剤)、光重合性オリゴマー、光開始剤、及び任意の溶剤からなる。光重合性モノマー(反応性希釈剤)、光重合性オリゴマー、光開始剤、及び溶剤としては、前記と同様のものが使用できる。
【0095】
電子線硬化性樹脂組成物は、不飽和プレポリマー、オリゴマー、反応性希釈剤(モノマー)及び任意の溶剤からなる。飽和プレポリマー、オリゴマー、反応性希釈剤(モノマー)及び溶剤としては、前記と同様のものが使用できる。
【0096】
続いて、本発明の可逆的感熱記録材料は、また、前記の感熱層が電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用したものも含み、このような可逆的熱発色反応を利用したものについて以下に述べることにする。
該発色反応は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用したものであり、これら化合物からなる熱発色性組成物は、該電子供与性呈色性化合物と該電子受容性化合物を加熱溶融混合させたときに非晶質の発色体を生成し、一方、該非晶質の発色体を該溶融温度より低い温度で加熱したときに該電子受容性化合物が結晶化を起こして該発色体が消色することの現象を利用したものである。
【0097】
熱発色性組成物は、加熱により瞬時に発色し、その発色状態は常温においても安定的に存在し、一方、発色状態にある組成物は、これを発色温度以下の加熱により瞬時に消色しその消去状態は常温においても安定的に存在するものである。
【0098】
この組成物を感熱層として用いた場合の発色と消色、即ち画像形成と画像消去の原理を図2に示したグラフによって説明する。
グラフの縦軸は発色濃度を表わし、横軸は温度を表わしており、実線は加熱による画像形成過程を、破線は加熱による画像消去過程を示したものである。Aは完全消去状態における濃度であり、BはT6以上の温度に加熱した時の完全発色状態における濃度であり、Cは完全発色状態のT5以下の温度における濃度であり、DはT5〜T6間の温度で加熱消去した時の濃度を示している。
【0099】
本発明に係るこの組成物は、T5以下の温度においては無色の状態(A)にある。記録(画像形成)を行なうにはサーマルヘッド等によりT6以上の温度に加熱することにより発色(B)して記録画像を形成する。この記録画像は実線に従ってT5以下の温度に戻しても、そのままの状態(C)を保持しており記録のメモリー性は失われない。
【0100】
次に記録画像の消去を行なうには、形成された記録画像を発色温度よりも低いT5〜T6間の温度に加熱することによって無色の状態(D)になる。この状態はT5以下の温度に戻しても、そのままの無色の状態(A)を保持している。即ち、記録画像の形成過程は実線ABCの経路によりCに至り記録が保持される。次に記録画像の消去過程は破線CDAの経路によりAに至り消去状態が保持される。この記録画像の形成と消去の挙動特性は可逆性を有し何回も繰り返し行なうことができる。
【0101】
可逆性熱発色性組成物は、発色剤と顕色剤を必須成分とし、更に必要により結着樹脂を含んでいる。そして、発色剤と顕色剤の加熱溶融により発色状態を形成し、一方、発色温度よりも低い温度の加熱により発色状態は消去され、発色状態及び消色状態が常温で安定的に存在するものである。組成物におけるこのような発色と消色の機構は、先に触れたように、発色剤と顕色剤を発色温度で加熱溶融混合した時に、組成物が非晶質化を起こして発色状態を形成し、一方、発色温度よりも低い温度で加熱した時に、発色した組成物の顕色剤が結晶化を起こして発色の消去状態を形成する特性に基づくものである。
ただし、この場合においても感熱層はT6以上の温度に加熱してから消色する過程がとられることによって、発色剤及び顕色剤の粒子が元に戻り、新たな発色状態を形成するのに有利である。
【0102】
通常の発色剤と顕色剤、例えば、従来の感熱記録紙に広く用いられている色素前駆体であるラクトン環を有するロイコ系化合物と顕色作用を示すフェノール性化合物からなる組成物は、これを加熱によって溶融混合させると、ロイコ化合物のラクトン環に基づく発色状態となる。この発色状態は両者が相溶した非晶質状態を呈している。この発色した非晶質状態は常温で安定的に存在するが、再び加熱を行なっても結晶化は起こらず、フェノール性化合物のロイコ化合物からの分離がないためにラクトン環の閉環がなく消色はしない。
【0103】
これに対して、本発明に係る発色剤と顕色剤の組成物も加熱によって溶融混合をさせた時に、発色状態となり、従来の場合と同様に非晶質状態を呈し、常温で安定的に存在する。しかし、本発明の場合は、この発色した非晶質状態の組成物は、発色温度以下、即ち溶融状態に至らない温度で加熱すると、顕色剤の結晶化が起こり、発色剤との相溶状態による結合が保持できなくなり、顕色剤が発色剤から分離する。そして、この顕色剤の結晶化による発色剤からの分離により、顕色剤は発色剤から電子を受容することができず、発色剤は消色するものと考えられる。
【0104】
熱発色性組成物に見られる前記の特異な発消色挙動は、発色剤と顕色剤との加熱溶融による相互溶解性、発色状態での両者の作用の強さ、顕色剤の発色剤に対する溶解能、顕色剤の結晶性等が関係しているが、原理的には、加熱溶融による非晶質化を起こし、一方、発色温度よりも低い温度の加熱により結晶化を起こす発色剤/顕色剤系であれば、本発明における組成物成分として利用し得るものである。さらに、この様な特性を有するものは、熱分析において溶融による吸熱変化及び結晶化による発熱変化を示すことから、本発明に適用し得る発色剤/顕色剤系は、熱分解折により容易に確認することができる。また、本発明に係る可逆的熱発色性組成物系には、必要に応じて結着樹脂等の第三物質が存在させることができ、例えば、高分子物質が存在してもその可逆的な消発色挙動が保持されることが確認された。
結着樹脂としては、前記の可逆性感熱記録媒体の感熱層を構成する樹脂母材と同様のものが使用できる。
本発明の熱発色性組成物において、その消色は顕色剤の結晶化による発色剤からの分離に起因することから、消色効果の優れたものを得るには、顕色剤の選択は重要であり、前記した特開平4−224996号公報、特開平4−247985号公報、特開平4−267190号公報等に挙げられたものを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0105】
本発明の可逆性感熱記録材料に形成される画像を反射画像として用いる場合には、記録層の背面に光を反射する層を設けるのが望ましい。また、反射層があると記録層の厚みを薄くとてもコントラストを上げることができる。具体的にはAl、Ni、Sn等を蒸着することが挙げられる(特開昭64−14079号公報に記載)。
【0106】
更に、本発明において、前記カラー印刷層に用いられる着色剤及びバインダーとしては、まず着色剤として従来のフルカラー印刷に使用されるカラーインキ中に含まれる各種の染料及び顔料等が挙げられる。また、樹脂バインダーとしては各種の熱可塑性、熱硬化性、紫外線硬化性又は電子線硬化性樹脂等を挙げることができる。このようなカラー印刷層の厚さは印刷色濃度に対して適宜変更されるため、目標とする印刷色濃度に合わせて設定すればよい。
【0107】
また、本発明において、カラー印刷層中に含まれる樹脂を紫外線により硬化させる場合には、前記した感熱層の樹脂を紫外線架橋させるために用いた架橋剤、光重合開始剤、光重合促進剤を用いればよい。
【0108】
更に、オーバーコート層形成液の溶剤やモノマー成分等から感熱層を保護するために、オーバーコート層と感熱層との間に中間層を設けることができる(特開平1−133781号公報に記載)。中間層の材料としては感熱層中の樹脂母材の材料として挙げたものの他に下記のような熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が使用可能である。即ち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド等が挙げられる。中間層の厚さは0.1〜2μmくらいが好ましい。
【0109】
また本発明の可逆性感熱記録媒体の層構成としては、実開平2−3876号公報に記載されているように支持体上に感熱記録層と磁性材料を主成分とする磁気記録層を有すると共に、少なくとも感熱記録層直下又は支持体の感熱記録層対応部分が着色されている層構成が挙げられる。または、特開平3−130188号公報に記載されているように支持体上に磁気記録層、その上に光反射層、更にその上に感熱層が設けられているような層構成等が挙げられるが、この場合に磁気記録層は支持体裏面か、あるいは支持体と感熱層の間に設けているかのどちらでも良く、またこれらの他の層構成であっても何らさしつかえはない。
【0110】
また、本発明では支持体と記録層の間に視認性をよくするために着色層を設けることもできる。着色層は着色材及び樹脂バインダーを主成分とする溶液又は分散液を対象面に塗布、乾燥するか、或いは単に着色シートを貼り合わせることにより形成される。ここで着色剤としては上層の記録層の透明及び白濁の変化を反射画像として認識できればよく、赤、黄、青、紺、紫、黒、茶、灰、橙、緑などの色を有する染料、顔料等が使用される。また、樹脂バインダーとしては各種熱可塑性、熱硬化性又は紫外線硬化性樹脂が使用される。
【0111】
また、支持体と記録層との間に、空気を有する非密着部である空気層を設けることができる。空気層を設けると、記録層の主成分として用いられた有機高分子材料の屈折率が1.4〜1.6程度で、空気の屈折率1.0との差が大きいため、感熱記録層側フィルムと非密着部との界面で光が反射し、記録層が白濁状態のとき白濁度が増幅され、視認性が向上するので、この非密着部位を表示部として用いることが望ましい。
【0112】
非密着部位は非密着部の内部に空気を有するため、その非密着部が断熱層となり、感熱度が向上する。更に、非密着部位はクッションの役目もなし、サーマルヘッドで圧力をかけて押さえつけても実際に感熱部材に加わる圧力は低くなり、熱を加えても感熱層の変形は少なく、有機低分子物質粒子の拡大もなく、繰り返し耐久性が向上する。
【0113】
さらに、支持体裏面に接着剤層又は粘着剤層を設けて、可逆性感熱記録ラベルとして用いることも可能である。このラベルシートは被貼着体と貼り合わされるが、被貼着体としては、例えば、クレジットカード等の塩ビカード、ICカード、IDカード、紙、フィルム、合成紙、ボーディングパス、定期券等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、支持体がAl蒸着層のような樹脂との接着力に乏しい材質の場合には、支持体と感熱層との間に接着層を設けてもよい(特開平3−7377号公報)。
【0114】
また本発明において可逆性感熱記録材料に画像表示を行うための感熱記録画像表示装置として多種多様なものが挙げられるが、その代表的なものは可逆性感熱記録材料に画像形成・消去を行うための画像形成手段と画像消去手段が同一の発熱体、例えばサーマルヘッドで、サーマルヘッドに印加するエネルギーを変化させることにより画像処理を行うことができる感熱記録画像表示装置、または、画像形成手段がサーマルヘッドであり、画像消去手段がサーマルヘッド、セラミックヒータ、ホットスタンプ、ヒートローラ、ヒートブロック等の発熱体を接着させる接触押圧型手段か、あるいは温風や赤外線などを用いた非接触型手段のうち一つから選択される感熱記録画像表示装置がある。
【0115】
以上、本発明について、画像形成・消去装置のサーマルヘッド等によるエネルギー印加時間が短パルスの場合や、印加圧力が高い場合において、画像形成と消去を繰り返してもオーバーコート層表面にクラックが生じることがなく、視認性に優れ、更にスティッキングが発生することがなく、画像が劣化するのを抑えた可逆性感熱記録材料及びそれを用いた画像表示方法を中心にして説明したが、本発明はこれらの場合のみならず、他の場合でも有効である。
【0116】
【実施例】
以下、本発明を実施例をあげてより具体的に説明する。ここでの部及び%はいずれも重量基準である。
【0117】
実施例1
約188μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にAlを約400Å厚となるように真空蒸着して光反射層を設けた。この上に
塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体 5部
(電気化学工業社製、デンカビニール♯1000P)
THF(テトラヒドロフラン) 95部
よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥して約0.5μm厚の接着層を設けた。
【0118】
さらにその上に
1,18−オクタデカジカルボン酸ジドデシル 4.75部
(ミヨシ油脂社製)
エイコサン二酸(岡村製油社製、SL−20−99) 5.25部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 28部
(鐘淵化学工業社製、M2018)
DPCA−120 2.37部
(日本化薬社製 DPCA−120)
DPCA−60 4.73部
(日本化薬社製 DPCA−60)
THF 215.5部
アミルアルコール 24部
ジブチル錫ラウレート系安定剤 0.8部
(三共有機合成社製、Stann SCAT−1)
よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥して約10μm厚の感熱層(可逆性感熱記録層)を設けた。
【0119】
次に上記のように作成した感熱層に以下のとおりにして、電子線照射を行なった。
電子線照射装置として日新ハイボルテージ社製のエリアビーム型電子線照射装置EBC−200−AA2を用い、照射線量が10Mradになるように調整して、電子線照射を行なった。このようにして感熱層を作成した。
【0120】
その感熱層上に、
光開始剤含有紫外線硬化性樹脂
デソライトZ7010V1(JSR(株)製) 100部
タルク LMS−300(富士タルク工業社製) 0.2部
イソプロピルアルコール 100部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、90℃で1分間乾燥した後、約450mJ/cm2の紫外線を照射して約4μm厚のオーバーコート層を設け、本発明の可逆性感熱記録材料を作成した。
【0121】
また、上記と同様のオーバーコート層の塗工溶液を平らなガラス基板上にキャストし、上記と同様の乾燥と紫外線照射をして、動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。得られた幅3mm×長さ36mmのフィルムを用いて、ORIENTEC社製の粘弾性スペクトルメータRHEOVIBRON MODEL DDV−01FPにより、空気中、周波数10Hz、昇温速度3℃/minの条件下で、動的弾性率G’、動的弾性損失G”、及びtanδ(=損失正接=G”/G’=1/ωτ(但しτは同周波数ωのひずみ振動力が加え続けられた後、極大値としての主損失正接を示す時間)を測定した。tanδのピーク温度は約131℃であった。この測定結果を図3に示す。
【0122】
実施例2
実施例1において、オーバーコート層中のデソライトZ7010V1をデソライトZ7010V2(JSR(株)社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また、得られたフィルムを用いて実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約143℃であった。この測定結果を図4に示す。
【0123】
実施例3
実施例1において、オーバーコート層中のデソライトZ7010V1をデソライトZ7010V9(JSR(株)社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また、得られたフィルムを用いて実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約153℃であった。
【0124】
実施例4
実施例1において、オーバーコート層中のデソライトZ7010V1をデソライトZ7010W1(JSR(株)社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また、得られたフィルムを用いて実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約124℃であった。
【0125】
実施例5
実施例1において、オーバーコート層中のデソライトZ7010V1をデソライトZ7010W2(JSR(株)社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また、得られたフィルムを用いて実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約131℃であった。この測定結果を図5に示す。
【0126】
実施例6
実施例1において、オーバーコート層中のデソライトZ7010V1をデソライトZ7010W4(JSR(株)社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また、得られたフィルムを用いて実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約147℃であった。
【0127】
実施例7
実施例1において、オーバーコート層中のデソライトZ7010V1をデソライトZ7010V11(JSR(株)社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また、得られたフィルムを用いて実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約153℃であった。
【0128】
実施例8
実施例1において、オーバーコート層中のデソライトZ7010V1をデソライトZ7010V12(JSR(株)社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また、得られたフィルムを用いて実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約148℃であった。
【0129】
実施例9
実施例1において、オーバーコート層中のデソライトZ7010V1をデソライトZ7010V14(JSR(株)社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また、得られたフィルムを用いて実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約150℃であった。
【0130】
実施例10
実施例1と同様にして感熱層を設けた後、その感熱層上に、
光開始剤含有紫外線硬化性樹脂
デソライトZ7010V14(JSR(株)製) 100部
イソプロピルアルコール 100部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、90℃で1分間乾燥した後、約450mJ/cm2の紫外線を照射して約2.5μm厚の第1オーバーコート層を設けた。
【0131】
さらにこの第1オーバーコート層上に、光開始剤含有紫外線硬化性インキ:デソライトKZ7669(JSR(株)製)を用いて、オフセット印刷方式にて上記インキを印刷した後に、120W/cm2の紫外線ランプで硬化させて約1.5μm厚の第2オーバーコート層を設け、本発明の可逆性感熱記録材料を作成した。
また、上記と同様の第2オーバーコート層のインキを平らなガラス基板上にアプリケータを用いて成膜し、上記と同様の紫外線照射をして、動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。得られた幅3mm×長さ36mmのフィルムを用いて、実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約124℃であった。
【0132】
実施例11
実施例10と同様にして第1オーバーコート層までを設けた後、第2オーバーコート層中のデソライトKZ7669をデソライトKZ7670(JSR(株)製)に変更した以外は、実施例10と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また、得られたフィルムを用いて実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約134℃であった。この測定結果を図6に示す。
【0133】
実施例12
実施例10と同様にして第1オーバーコート層までを設けた後、第2オーバーコート層中のデソライトKZ7669をデソライトKZ7671(JSR(株)製)に変更した以外は、実施例10と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また、得られたフィルムを用いて実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約146℃であった。
【0134】
実施例13
実施例1と同様にして感熱層を設けた後、その感熱層上に、光開始剤含有紫外線硬化性樹脂:デソライトKZ7670(JSR(株)製)を用いて、オフセット印刷方式にて上記インキを印刷した後に、120W/cm2の紫外線ランプで硬化させて約4.0μm厚のオーバーコート層を設け、本発明の可逆性感熱記録材料を作成した。
また、上記と同様のオーバーコート層のインキを平らなガラス基板上にアプリケータを用いて成膜し、上記と同様の紫外線照射をして、動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。得られた幅3mm×長さ36mmのフィルムを用いて、実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約134℃であった。
【0135】
実施例14
実施例10と同様にして第一オーバーコート層までを設けた後、第二オーバーコート層中のデソライトKZ7669をデソライトKZ7696(JSR(株)製)に変更した以外は実施例10と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また得られたフィルムを用いて、実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約148℃であった。
【0136】
実施例15
支持体として白色ポリエステルフィルム250μm(U29−250(表面処理ph4〜6)帝人社製)を用いた。
次に下記組成物をボールミルを用いて平均粒径0.1〜1μmになるように粉砕分散した。
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン 2部
下記構造の顕色剤 8部
【0137】
【化7】
Figure 0003690638
【0138】
熱硬化性樹脂(三菱レーヨン社製LR503)の 150部
15%テトラヒドロフラン溶液
【0139】
上記のようにして得られた分散液に、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート 75%酢酸エチル溶液)20部を加え、よく撹拌して記録層塗布液を調製した。
【0140】
次に記録層塗布液を前記支持体上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥した後に60℃で24時間加熱・架橋して、膜厚約8μmの感熱層(可逆性感熱記録層)を設けた。
この感熱層上に下記組成よりなる中間層液をワイヤーバーで塗布し100℃で加熱乾燥して、膜厚約1.5μmの中間層を設けた。
酸化亜鉛(住友大阪セメント社製 ZS303) 4部
熱硬化性樹脂(三菱レーヨン社製 LR503) 2部
コロネートHL(日本ポリウレタン社製) 0.5部
メチルエチルケトン 4部
【0141】
更にこの中間層上に
光開始剤含有紫外線硬化性樹脂
デソライトZ7010V14(JSR(株)製) 100部
タルク LMS−300(富士タルク工業社製) 0.2部
イソプロピルアルコール 100部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、90℃で1分間乾燥した後、約450mJ/cm2の紫外線を照射して約4μm厚のオーバーコート層を設け、更に60℃で24時間加熱して中間層を架橋させて、本発明の可逆性感熱記録材料を作成した。
また、前記実施例1と同様にして動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成、及び測定を行なった。tanδのピーク温度は約150℃であった。
【0142】
実施例16
実施例15において、オーバーコート層を実施例11の第一オーバーコート層と第二オーバーコート層に変更した以外は実施例15と同様にして可逆性感熱記録材料を作成し、また実施例11と同様にして動的熱機械特性を測定するための第二オーバーコート層フィルムを作成した。
また、得られたフィルムを用いて、実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約134℃であった。
【0143】
比較例1
実施例1と同様にして感熱層を設けた後、その感熱層上に、
光開始剤含有紫外線硬化性ウレタンアクリレート
Bs575CS−B(荒川化学社製) 100部
炭酸カルシウム Brilliant-15(白石工業社製) 0.8部
イソプロピルアルコール 200部
からなる分散溶液をワイヤーバーで塗布し、90℃で1分間乾燥した後、約450mJ/cm2の紫外線を照射して約4μm厚のオーバーコート層を設け、本発明の可逆性感熱記録材料を作成した。
また、上記と同様のオーバーコート層の塗工溶液を平らなガラス基板上にキャストし、上記と同様の紫外線照射をして、動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。得られた幅3mm×長さ36mmのフィルムを用いて、実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約260℃であった。
【0144】
比較例2
比較例1において、オーバーコート層を下記処方に変更した以外は、比較例1と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また、得られたフィルムを用いて実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約300℃であった。
Figure 0003690638
【0145】
比較例3
比較例1において、オーバーコート層を下記処方に変更した以外は、比較例1と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また、得られたフィルムを用いて実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約200℃であった。
紫外線硬化性ウレタンアクリレート
C3−599(大日本インキ社製) 80部
炭酸カルシウム Brilliant-15(白石工業社製) 0.8部
イソプロピルアルコール 48部
【0146】
比較例4
比較例1において、オーバーコート層を下記処方に変更した以外は、比較例1と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また、得られたフィルムを用いて実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約160℃であった。
Figure 0003690638
【0147】
比較例5
実施例15において、オーバーコート層を比較例1のオーバーコート層に変更した以外は実施例15と同様にして可逆性感熱記録材料及び動的熱機械特性を測定するためのフィルムを作成した。また得られたフィルムを用いて、実施例1と同様に動的熱機械特性を測定した。tanδのピーク温度は約260℃であった。
【0148】
このようにして得られた実施例及び比較例の各可逆性感熱記録材料について、以下に示す各性能を測定し、その結果をまとめて表1、表2に示す。
中心線平均粗さ(Ra)の測定
前記のようにして得られたオーバーコート層形成済の可逆性感熱記録材料を用いて、前記した中心線平均粗さ(Ra)の測定方法により測定を行なった。結果を表1に示す。
標準面積当たり山数(Pc)の測定
前記のようにして得られたオーバーコート層形成済の可逆性感熱記録材料を用いて、前記した標準面積当たり山数(Pc)の測定方法により測定を行なった。結果を表1に示す。
摩擦係数の測定
前記のようにして得られたオーバーコート層形成済の可逆性感熱記録材料を用いて、前記した摩擦係数の測定方法により測定を行なった。結果を表1に示す。
【0149】
感熱層の発色温度測定
前記のようにして得られたオーバーコート層形成済みの可逆性感熱記録材料を用いて、東洋精機製作所社製の熱傾斜試験機HG−100を用い、印字タイマーを1秒、圧力ゲージを1kg/cm2に設定して、予め最大消色状態にある可逆性感熱記録材料に100℃から2℃毎に加熱温度を変化させて熱印加を行ない、室温まで冷却して、これをマクベス反射濃度計(RD−914)で反射濃度測定を行なう。この際、発色濃度が飽和状態になる温度、つまり2℃低い温度での反射濃度との差が0.03以内となる最低温度を感熱層の発色温度とした。結果を表1に示す。
【0150】
繰り返し画像形成・消去試験
前記のようにして得られたオーバーコート層形成済みの可逆性感熱記録材料を用いて、九州松下電器(株)製の印字消去機能付磁気カードリーダライターKU−R3001FAを用い、実施例1〜14及び比較例1〜4ではサーマルヘッド印字エネルギー0.47mJ/dot、セラミックヒーター消去温度を91℃に設定し、実施例15、16及び比較例5ではサーマルヘッド印字エネルギー0.7mJ/dot、セラミックヒーター消去温度を150℃に設定して、その印字と消去を500回繰り返した。100回毎にオーバーコート層の表面のクラックの発生、スティッキングの発生を目視にて観察して以下の基準で判定した。結果をまとめて表2に示す。
また、繰り返し画像形成・消去試験での画像濃度について、1回目と500回目の画像形成濃度及び消去濃度をマクベス反射濃度計(RD−914)で測定した。結果をまとめて表3に示す。
【0151】
(クラック)
5:全く発生していない
4:わずかに発生している
3:ある程度発生している
2:かなり発生している
1:非常に多く発生している
(スティッキング)
5:全く発生していない
4:わずかに発生している
3:ある程度発生している
2:かなり発生している
1:非常に多く発生している
【0152】
【表1】
Figure 0003690638
【0153】
【表2】
Figure 0003690638
【0154】
【表3】
Figure 0003690638
【0155】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明から明らかなように、本発明の可逆性感熱記録材料は、サーマルヘッド等の加熱体により画像形成と消去を繰り返し行なってもオーバーコート層表面にクラックが生じることがなく、視認性に優れ、またスティッキングが発生することがないため、画像劣化を抑制し、コントラストに極めて優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可逆性感熱記録材料の感熱層の熱による透明度の変化を表わした図である。
【図2】本発明に係る可逆性感熱記録材料の他の記録層の熱による色濃度の変化を表わした図である。
【図3】本発明に係る可逆性感熱記録材料におけるオーバーコート層のtanδピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度の測定結果を示す図である。
【図4】本発明に係る可逆性感熱記録材料における他のオーバーコート層のtanδピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度の測定結果を示す図である。
【図5】本発明に係る可逆性感熱記録材料における更に他のオーバーコート層のtanδピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度の測定結果を示す図である。
【図6】本発明に係る可逆性感熱記録材料におけるまた更に他のオーバーコート層のtanδピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度の測定結果を示す図である。

Claims (21)

  1. 支持体上に温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱層を設け、更に該感熱層上にオーバーコート層を設けた可逆性感熱記録媒体において、該オーバーコート層が、主成分として紫外線硬化性樹脂組成物を含有し、該紫外線硬化性組成物が、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレートでビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体のアクリル酸エステル、またはジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレートを含有する成分からなり、かつ該オーバーコート層のtanδピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下になるように、照射エネルギー150〜1500mJ/cm 紫外線を照射することにより形成されたものであることを特徴とする可逆性感熱記録媒体
  2. 支持体上に温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱層を設け、更に該感熱層上にオーバーコート層を設けた可逆性感熱記録媒体において、該オーバーコート層が、主成分として紫外線硬化性樹脂組成物を含有し、該紫外線硬化性組成物が、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレートでビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体のアクリル酸エステル、またはジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレートを含有する成分からなり、かつ該オーバーコート層のtanδピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下で該感熱層の発色温度+35℃以下になるように、照射エネルギー150〜1500mJ/cm 紫外線を照射することにより形成されたものであることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
  3. 該オーバーコート層のtanδピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が120℃以上の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録媒体。
  4. 前記オーバーコート層が2層以上のオーバーコート層からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録媒体。
  5. 前記オーバーコート層の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.05μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録媒体。
  6. 前記オーバーコート層の表面に標準面積当たり山数(Pc)が3個以上の凸部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録媒体。
  7. 前記オーバーコート層の表面の摩擦係数が0.10以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録媒体。
  8. 前記オーバーコート層の少なくとも一部分が紫外線硬化性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録媒体。
  9. 前記オーバーコート層中の樹脂組成物が紫外線照射により硬化されたものであることを特徴とする請求項8に記載の可逆性感熱記録媒体。
  10. 前記感熱層中に含まれる樹脂の少なくとも一部分が熱硬化性樹脂組成物、紫外線硬化性樹脂組成物、又は電子線硬化性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録媒体。
  11. 前記感熱層中に含まれる樹脂が紫外線照射、電子線照射又は熱により架橋されたものであることを特徴とする請求項10に記載の可逆性感熱記録媒体。
  12. 前記可逆性感熱記録媒体に前記感熱層以外に情報記録部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録媒体。
  13. 前記情報記録部が磁気記録層であり、磁気記録層を支持体と感熱層の間の全面又は一部分か、支持体裏面の全面又は一部分か、或いは磁気ストライプを表示面の一部分かのいずれかに設けたことを特徴とする請求項12に記載の可逆性感熱記録媒体。
  14. 前記情報記録部がIC又は光メモリであり、前記可逆性感熱記録媒体の一部分に設けたことを特徴とする請求項12に記載の可逆性感熱記録媒体。
  15. 前記可逆性感熱記録媒体が2種類以上の支持体を貼り合わせた構成からなることを特とする請求項1、2、12、13、14のうち何れか1に記載の可逆性感熱記録媒体。
  16. 前記オーバーコート層上の一部分か、支持体裏面の全面又は一部分の何れか又は全てに着色剤及び樹脂バインダーを主成分とするカラー印刷層を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録媒体。
  17. 前記オーバーコート層が2層のオーバーコート層からなり、前記感熱層上の第1のオーバーコート層上又は前記カラー印刷層上に第2のオーバーコート層を設けたことを特徴とする請求項16に記載の可逆性感熱記録媒体。
  18. 支持体上に温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱層を設け、更に該感熱層上にオーバーコート層を設けた可逆性感熱記録媒体において、該オーバーコート層が、主成分として紫外線硬化性樹脂組成物を含有し、該紫外線硬化性組成物が、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレートでビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体のアクリル酸エステル、またはジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレートを含有する成分からなり、かつ該オーバーコート層のtanδピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下になるように、照射エネルギー150〜1500mJ/cm 紫外線を照射することにより形成されたものであることを特徴とする可逆性感熱記録媒体を、加熱により画像形成及び/又は画像消去することを特徴とする画像形成・消去方法。
  19. 支持体上に温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱層を設け、更に該感熱層上にオーバーコート層を設けた可逆性感熱記録媒体において、該オーバーコート層が、主成分として紫外線硬化性樹脂組成物を含有し、該紫外線硬化性組成物が、ビスフェノールA骨格を有するエポキシアクリレートでビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体のアクリル酸エステル、またはジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレートを含有する成分からなり、かつ該オーバーコート層のtanδピーク温度又はそれに相当する動的緩和現象温度が155℃以下で該感熱層の発色温度+35℃以下になるように、照射エネルギー150〜1500mJ/cm 紫外線を照射することにより形成されたものであることを特徴とする可逆性感熱記録媒体を、加熱により画像形成及び/又は画像消去することを特徴とする画像形成・消去方法。
  20. 前記加熱をサーマルヘッドで行なうことを特徴とする請求項18又は19に記載の画像形成・消去方法。
  21. 前記画像消去をサーマルヘッド、セラミックヒータ、ホットスタンプ、ヒートローラ、ヒートブロックの少なくとも1種を用いて行なうことを特徴とする請求項18又は19に記載の画像形成・消去方法。
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