JP3574296B2 - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可逆性感熱記録媒体に関し、特に可逆性感熱記録層上に無機多孔質フィラーと有機フィラーとを含有する保護層を有する可逆性感熱記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
IDカード、プリペイドカード等の各種カードにおいては、例えば磁気記録に加えて残高等の表示のため、感熱記録が行われている。この感熱記録は現像が不要であり、発色濃度が高くしかも安価であることから、広く利用されている。このような感熱記録の技術を応用したものとして、例えば感熱記録型カードがある。さらに近年、感熱記録を行うための感熱記録層に代え、加熱により繰り返して印字、消去が行える可逆性感熱記録層を形成し、可逆的に情報を表示できるようにした、例えば可逆性感熱記録型カード等のような可逆性感熱記録媒体も広く利用されている。
【0003】
上述の可逆性感熱記録媒体においては、基材の一方の面に可逆性感熱記録層が設けられ、この可逆性感熱記録層をサーマルヘッド等で加熱することによって可逆性感熱記録層を発色又は消色させ、所望の文字等を表示している。
【0004】
しかし、このような可逆性感熱記録を行うための可逆性感熱記録層は物理的なストレスに弱いため、その表面を保護することが必要である。
【0005】
そこで、この可逆性感熱記録層の表面を保護し、耐熱性、平滑性等を持たせるため、通常、可逆性感熱記録層の表面に保護層を設けることが行われている。このような保護層を設けることにより、可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体の熱による印字、消去の繰り返し耐久性の向上を図ることができる。
【0006】
しかし、保護層を形成することにより上述のような耐久性の向上を図ることができ、さらに可逆性感熱記録媒体への汚れの付着を防止することはできるが、可逆性感熱記録媒体の表面の汚れが感熱記録を行うサーマルヘッドに付着し易く、そのためサーマルヘッドが汚れ、印字面にかすれやスティッキング等が発生するという問題点があった。また、保護層の平滑性が非常に高いために表面がギラ付いてしまい、印字の視認性が悪いという問題点もあった。
【0007】
上記のように、従来の可逆性感熱記録媒体において発生していた印字面にかすれやスティッキング等が発生し、また、保護層の平滑性が非常に高いために表面がギラ付いてしまう等といった問題点に対しては、フィラー等を保護層に含有させ、保護層の表面に微細な凹凸を付与して解決することが提案されている。
【0008】
この保護層にフィラーを含有させた従来の可逆性感熱記録媒体を可逆性感熱記録型カードに適用した場合の一例を図3に示す。図3は、従来の可逆性感熱記録型カードの模式断面図である。
【0009】
この図3に示されるように、この可逆性感熱記録型カードは、基材21上に、繰り返して感熱記録を行うための可逆性感熱記録層23を形成し、さらにこの可逆性感熱記録層23上に保護層25を形成し、この保護層25には無機多孔質フィラー27が含有されている。この保護層25に含有されている無機多孔質フィラー27は、保護層25の表面に微細な凹凸を付与する。
【0010】
従って、この従来の可逆性感熱記録型カードによれば、保護層25を形成することにより、可逆性感熱記録層23の物理的ストレスに対する耐久性が向上すると共に、保護層25に無機多孔質フィラー27を含有させているため保護層25の表面に凹凸を付与することができ、この凹凸により、保護層25の表面と印字、消去を行うためのサーマルヘッド等の表面との摩擦を低減することができ、印字面と保護層との間にゴミを挟みこんだ場合であっても、無機多孔質フィラー27により付与される保護層25表面の凹凸により、傷が発生することを防止することができ、保護層表面の凹凸によりサーマルヘッドに付着した汚れをクリーニングすることによりサーマルヘッド等のセルフクリーニングを行うことができ、保護層表面の反射を抑えることにより、保護層25表面のギラ付きを防止することにより印字の視認性を良好にすることができるとしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば可逆性感熱記録型カードのような従来の可逆性感熱記録媒体は、可逆性感熱記録層の上に保護層を形成することにより、可逆性感熱記録層の物理的なストレスに対する耐久性を向上させることができ、さらに、無機多孔質フィラーを含有させることにより保護層の表面に凹凸を付与することはできるが、無機多孔質フィラーのような無機物はもろいため、印字、消去を繰り返した場合、印字、消去の際の加熱、加圧により無機多孔質フィラーが砕け、そのため保護層表面の凹凸が除去され、次第に上述のような効果を奏しなくなるという問題点を有している。
【0012】
また、無機多孔質フィラーが砕けることにより、印字、消去を行った後に保護層表面に印字跡が形成されてしまい、保護層の外観の美観を損ねるという問題点を有している。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、保護層表面に付与された凹凸の耐久性を向上させることが可能な可逆性感熱記録媒体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、基材上に、ロイコ染料、顕減色剤およびバインダー樹脂により構成され、加熱によって可逆的に発色/消色を繰り返す可逆性感熱記録層と、該可逆性感熱記録層上に、紫外線硬化型樹脂及び無機多孔質フィラーと有機高分子フィラーとを含有する紫外線により硬化された保護層と、を有する可逆性感熱記録媒体であって、前記無機多孔質フィラーは、多孔質シリカまたは多孔性珪藻土粉末であり、前記無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの平均粒子径が、前記保護層の厚さの0.7〜2.5倍の範囲内であり、前記無機多孔質フィラーと有機高分子フィラーが、重量比で、1:9〜9:1の範囲内であることを特徴とする。
【0015】
従って、この発明によれば、可逆性感熱記録層上に保護層を形成することにより、可逆性感熱記録層の物理的なストレスに対する耐久性を向上させることができると共に、保護層に無機多孔質フィラーと有機高分子フィラーとを含有させているため、無機多孔質フィラーによるサーマルヘッドに付着した汚れのセルフクリーニングを行うことが可能になり、有機高分子フィラーに弾力があり、サーマルヘッド等により加えられる圧力により変形したとしても復元することができるので、保護層表面の凹凸の耐久性を向上することができ、印字、消去を繰り返した場合であっても、無機多孔質フィラーが砕けることによる保護層表面の凹凸の消失を防止でき、保護層の表面と印字、消去を行うためのサーマルヘッド等の表面との間の摩擦を低減することができ、印字面と保護層との間にゴミを挟みこんだ場合であっても、保護層表面の凹凸により、傷が発生することを防止することができ、さらに保護層表面の反射を抑えることにより、保護層表面のギラ付きを防止して印字の視認性を良好にすることができ、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの平均粒子径が、前記保護層の厚さの0.7〜2.5倍の範囲内であるため、保護層中に無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーが埋没し、保護層表面に凹凸が発生しなくなることを防止することができ、かつ、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの平均粒子径が大きすぎて保護層から脱落してしまうことも防止することができ、さらに、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの平均粒子径が大きすぎてサーマルヘッドと可逆性感熱記録媒体表面との接触が悪くなり、印字がかすれることも避けられ、また無機多孔質フィラーの材料として、比較的入手が容易なシリカゲル、若しくは珪藻土粉末を用いることができるので、本発明に係る可逆性感熱記録媒体の製造を容易に行うことができると共に、無機多孔質フィラーと有機高分子フィラーとの重量比が、無機多孔質フィラー:有機高分子フィラー=1:9〜9:1の範囲内であることから、印字消去を繰り返した際の保護層表面の凹凸の消失が防止され、サーマルヘッドへの汚れ付着防止と保護層への傷防止に優れた効果が得られると共に、これに印字消去を繰り返した後でも維持できる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記保護層表面の粗さがJISB0601の付属書で規定する中心線平均粗さRa75で、0.20〜0.60μmの範囲内であることを特徴とする。
【0017】
従って、この発明によれば、請求項1記載の発明の作用が得られると共に、保護層表面の粗さがJISB0601の付属書で規定する中心線平均粗さRa75で、0.20〜0.60μmの範囲内であるため、保護層表面に適切な凹凸を付与することができる。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1または2のいずれかに記載の発明において、前記保護層に含有される紫外線硬化型樹脂100重量部に対して、固形分比で、無機多孔質フィラーと有機高分子フィラーとの合計量が、0.5重量部〜10重量部の範囲内であることを特徴とする。
【0019】
従って、この発明によれば、請求項1または2の発明の作用が得られると共に、保護層中の、無機多孔質フィラーと有機高分子フィラーとの合計量が上記範囲内にあることから、含有される紫外線硬化樹脂成分の減少に伴う保護層の物理的強度の低下を防止することができる。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、前記無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーのpHが、6.0〜8.0の範囲内であることを特徴とする。
【0021】
従って、この発明によれば、少なくとも請求項1から3のいずれかに記載の発明の作用が得られると共に、保護層に含有させる無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーのそれぞれのpHが、6.0〜8.0の範囲内であることから、可逆性感熱記録層に含まれるロイコ染料と無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーとの反応を抑制することができ、従って、可逆性感熱記録層の不必要な着色を抑えることができる。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の発明において、前記無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの屈折率が、1.30〜1.65の範囲内であることを特徴とする。
【0023】
従って、この発明によれば、少なくとも請求項1から4のいずれかに記載の発明の作用が得られると共に、保護層に含有される紫外線硬化型樹脂と無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーとの屈折率の差を小さくすることができるので、印字の反射濃度を変化させることなく、光沢度の低下に伴い明度が増加する艶消し効果が得られ、ギラ付いて見にくかった印字を見やすくし、視認性を向上させることができる。
【0024】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の発明において、前記有機高分子フィラーが、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、又はこれらの共重合体、若しくはこれらの縮合物であることを特徴とする。
【0025】
従って、この発明によれば、少なくとも請求項1から5のいずれかの発明の作用が得られると共に、有機高分子フィラーが、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、又はこれらの共重合体、若しくはこれらの縮合物であることから、有機高分子フィラーが適度な弾力を有することになり、保護層表面の凹凸の、印字、消去を繰り返した際の耐久性をさらに向上させることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照して本発明に係る可逆性感熱記録媒体の実施形態を詳細に説明する。
【0027】
図1に、本発明に係る可逆性感熱記録媒体を可逆性感熱記録型カードに適用した場合の第1の実施形態の模式断面図を示す。この可逆性感熱記録型カードは、図1に示すように基材1上に、加熱することにより繰り返して印字、消去を行うための可逆性感熱記録層3と、無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9が含有された保護層5が順次積層されている構造となっている。
【0028】
まず、図1に示される基材1について説明する。基材1は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセテート、ポリスチレン(PS)、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリカーボネート(PC)等の合成樹脂シートまたは合成紙等を用いることができる。基材1の厚さは通常、100〜300μm程度である。
【0029】
可逆性感熱記録層3は、たとえばロイコ染料、顕減色剤およびバインダー樹脂により構成され、熱によって可逆的に発色/消色を繰り返す層である。ロイコ染料は、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体といわれるものである。また、顕減色剤は、電子受容性化合物といわれるものであり、加熱後の冷却速度の違いにより染料前駆体に可逆的な色調変化を生じさせるものであり、炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有するフェノール性化合物又はフタル酸化合物、あるいはフェノール性水酸基とアミノ基とを有する酸性化合物が用いられる。
【0030】
次に、本発明による顕減色剤には、4,4'−イソプロピリデンフェノール、ベンジル−p−ヒドロキシベンゾエート、4,4'−ジヒドロキシ−3,5'−ジアリルジフェニルスルフォン、メチルービス(ヒドロキシフェニル)アセテート、没食子酸エステル、p−フェニルフェノール等が挙げられる。ロイコ染料としてはクリスタルバイオレットラクトン、3−インドリノ−3−p−ジメチルアミノフェニル−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、2−(2−クロルフェニルアミン)−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−ブチルアニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)−フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−N−メチルシクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチルペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を挙げることが出来る。
【0031】
前記通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体はそれぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよい。
【0032】
バインダー樹脂としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のラテックスなどがあげられる。これらは単独であるいは2種以上混合して用いても良い。
【0033】
可逆性感熱記録材料において、発色を行うには加熱に引き続き急速な冷却が起これば良く、消色を行うには加熱後の冷却速度が遅ければ良い。例えば、適当な熱源(サーマルヘッド、レーザー光、熱ロール、熱スタンプ、高周波加熱、電熱ヒーターからの輻射熱、熱風等)で比較的長い時間加熱すると、記録層だけでなく支持体等も加熱される為に冷却速度が遅く、相分離状態(消色状態)になる。一方、適当な方法で加熱した後、低温の金属ブロックなどを押し当てる等して急速に冷却することにより、発色状態を発現させることができる。また、サーマルヘッド、レーザー光等を用いて極めて短い時間だけ加熱すると、加熱終了後に直ちに冷却(固化)が始まる為、発色状態を発現させることができる。従って、同じ加熱温度および/または同じ熱源を用いても、冷却速度を制御することにより発色状態および消色状態を任意に発現させることができる。
【0034】
ここで、可逆性感熱記録層3は3〜10μmの厚さに形成される。
【0035】
保護層5は、紫外線硬化型樹脂と、この図1に示されるように無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9とを含有し、無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9それぞれの平均粒子径は保護層5の厚さの0.7〜2.5倍である。
【0036】
例えば、保護層5の厚さよりも粒径の小さい無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9を用いると、保護層5中に無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9が沈んでしまい、セルフクリーニング性が失われる。ただし、平均粒子径であるので、保護層5の表面に適度な凹凸を付与することが可能であるならば、保護層5の厚さに対して1倍よりも小さい粒子径の無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーが含まれていても良い。
【0037】
一方、保護層5の厚さと比較して粒径の大きい無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9を用いると保護層表面から無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9がはがれ落ち、耐久性が低下し、艶消し効果が損失してしまい、さらに、印字面とサーマルヘッドとの間の密着性が低下し、印字にかすれが発生してしまう。従って、保護層5の塗膜の厚みによって無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを選択する必要があり、無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9の粒径は保護層5の厚さの0.7〜2.5倍であり、保護層表面の手触り感がザラザラするのを避けたい場合には、0.7〜2.0倍の粒径にするのが好ましい。
【0038】
また、保護層5表面の粗さはJISB0601の付属書で規定する中心線平均粗さRa75(μm)で、0.20〜0.60μmの範囲内であることが好ましい。これにより、保護層5の表面の凹凸を適切なものとすることができる。
【0039】
また、保護層5中における無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9の重量比としては、無機多孔質フィラー7によりサーマルヘッドに付着した汚れを落とし、有機高分子フィラー9が有する弾力性により印字、消去を繰り返した際の保護層5の表面に付与された凹凸の消失を防止するために十分な重量比としては、無機多孔質フィラー:有機高分子フィラー=1:9〜9:1である。
【0040】
また、保護層5における無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9の含有量は固形分比で、保護層5に含有される紫外線硬化型樹脂100重量部に対し、0.5〜10重量部が好ましい。含有量が固形分比で0.5〜10重量部の場合には地肌濃度と表面性に大きな差は生じないが、10重量部より大きい場合では艶消し効果が高すぎるため視認性が低下し、地肌濃度の低下に伴うコントラストの低下が生じ、また、無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9の含有量が多くなると、紫外線硬化型樹脂の減少により保護層5の硬度が低下してその耐久性が低下し、傷がつき易くなることから好ましくない。
【0041】
また、有機高分子フィラー9としては、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、又はこれらの共重合体、若しくはこれらの縮合物を用いることができる。
【0042】
また、保護層5に含まれる紫外線硬化型樹脂の屈折率は1.45〜1.55の範囲内にあることから、無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9の屈折率は1.30〜1.65の範囲内にあることが好ましい。このような紫外線硬化型樹脂に対して屈折率の差の小さい無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9を混合することによって、印字の反射濃度を変化させることなく、光沢度の低下に伴ない明度が増加する艶消し効果が得られ、ギラ付いて見にくかった印字を見やすくし、視認性を向上させることができる。
【0043】
無機多孔質フィラー7としては多孔性シリカ(屈折率1.46)や、多孔性珪藻土粉末(屈折率1.52〜1.55)を使用することができる。
【0044】
保護層5はさらに、光重合開始剤等を含んで得られる。
【0045】
ここで、保護層5に含有させる無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9のpHについて説明する。本実施形態に係る可逆性感熱記録型カードが有する保護層5が含有する無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9のpHは、6.0〜8.0の範囲内である。これは、この含有された無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9と可逆性感熱記録層7に含まれるロイコ染料との反応を抑えるためである。すなわち、無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9のpHが高く塩基性であると、可逆性感熱記録層3に含まれるロイコ染料が分解することにより保護層5が淡赤色に着色してしまい、pHが低く酸性であると、無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9と可逆性感熱記録層3に含まれるロイコ染料とが反応して発色してしまう。そこで、本実施形態では、無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9としてpHが6.0〜8.0の範囲内に調整されたものを用いる。
【0046】
ただし、本発明における無機多孔質フィラー7のpHは、水に5重量部%フィラーを懸濁させた5%スラリーの状態で測定したものであり、有機高分子フィラー9のpHは、フィラー/水=1/25で一定時間振とうさせた状態で測定したものである。
【0047】
従って、この実施形態によれば、紫外線硬化型樹脂に無機多孔質フィラー7と有機高分子フィラー9とを含有させて紫外線照射させて保護層5とし、この保護層5を可逆性感熱記録層3上に形成したので、可逆性感熱記録層3の物理的なストレスに対する耐久性が向上すると共に、無機多孔質フィラー7によりサーマルヘッドに付着した汚れを落とすことができ、セルフクリーニング性を付与することができる。
【0048】
また、無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9により保護層5の表面に形成された凹凸により、可逆性感熱記録媒体とサーマルヘッドとの間の摩擦を低減することができ、可逆性感熱記録媒体とサーマルヘッドとの間のゴミを挟みこんだ場合でも、傷が発生することを防止することができ、可逆性感熱記録媒体表面の反射を抑えて、視認性を向上させることができる。
【0049】
また、保護層5に含有させる無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9のpHが6.0〜8.0の範囲内に調整されたものであるため、可逆性感熱記録層3に含有されるロイコ染料との反応を抑えることができるため、可逆性感熱記録層3の不必要な発色を抑えることができる。
【0050】
さらに、有機高分子フィラー9は、弾力性を有しているため、サーマルヘッド等により加えられる圧力に対して耐性を有することとなり、印字、消去を繰り返した場合であっても、砕けることがなく、従って、保護層5表面の凹凸の消失を防止することができる。
【0051】
次に、本発明に係る可逆性感熱記録媒体を可逆性感熱記録型カードに適用した場合の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。図2に、本発明に係る可逆性感熱記録媒体を可逆性感熱記録型カードに適用した場合の第2の実施形態の模式断面図を示す。ただし、図1に示される第1の実施形態に係る部材と同様な部材には、同じ番号を付す。
【0052】
この図2に示されるように、この第2の実施形態に係る可逆性感熱記録型カードは、基材1上に磁気記録を行うための磁気記録層11が形成され、この磁気記録層11上に、この磁気記録層11の着色を視覚的に隠蔽するための隠蔽層13が形成され、この隠蔽層13上に、繰り返して感熱記録を行うための可逆性感熱記録層3が形成され、この可逆性感熱記録層3上に、この可逆性感熱記録層3を保護するための保護層5が形成されている。また、保護層5には無機多孔質フィラー7及び有機高分子フィラー9が、保護層5の表面に凹凸を付与するために含有されている。
【0053】
この第2の実施形態が上述の第1の実施形態と異なる点は、図2に示されるように、基材11と可逆性感熱記録層3との間に、磁気記録を行うための磁気記録層11と、磁気記録層11の着色を視覚的に隠蔽するための隠蔽層13とが順次積層された点である。その他の部材は図1に示される第1の実施形態における部材と同様である。
【0054】
従って、この第2の実施形態に係る可逆性感熱記録媒体によれば、上述の第1の実施形態と同様な効果が得られる共に、磁気記録層11を設けたことにより磁気記録を行うことができ、隠蔽層13を設けたことにより、磁気記録層11の着色を視覚的に隠蔽することができる。
【0055】
また、本発明は、無機多孔質フィラーが含有された保護層に、有機高分子フィラーを含有させることにより保護層の表面の凹凸の印字、消去の際の耐久性をその要旨としているため、可逆性感熱記録媒体の構造としては、上記の第1の実施形態及び第2の実施形態に限定されず、その要旨を変更しない範囲において、種々の変形実施が可能である。
【0056】
【実施例】
次に、本発明に係る可逆性感熱記録媒体を可逆性感熱記録型カードに適用した場合の具体的な実施例について、その組成および物性評価につき比較例と比較して説明する。
【0057】
以下に述べる実施例1〜10及び比較例1〜5の構造はそれぞれ、図1に示されるような、基材、可逆性感熱記録層、保護層が順次積層された構造であり、これらの各層において、それぞれの組成を変化させ、乾燥膜厚を変化させている。
【0058】
しかしながら、その組成及び乾燥膜厚を変化させる層は、実施例1〜10及び比較例1〜5の全てにおいて、保護層のみである。
【0059】
従って、実施例1〜10及び比較例1〜5の全てにおいて、基材及び可逆性感熱記録層は同様である。
【0060】
そこで、実施例1について、基材、可逆性感熱記録層及び保護層の組成について以下に示して説明し、実施例2〜10及び比較例1〜5については、変化させる保護層のみについて説明する。
【0061】
(実施例1)
i 基材
白色ポリエチレンテレフタレート(PET)を厚さ188μmに形成した。
【0062】
ii可逆性感熱記録層
下記の組成の材料をペイントシェーカーで1時間分散して塗料とし、ワイヤーバーで塗工し、乾燥させ(80°C、5分間)、紫外線照射(160W/cm、30m/分、1パス)を行い硬化させ、乾燥膜厚6μmに形成した。
【0063】
iii 保護層
下記の組成の材料をペイントシェーカーで10分間分散して塗料とし、ワイヤーバーで塗工し、乾燥させ(80°C、1分間)、紫外線照射(160W/cm、30m/分、1パス)行った後、乾燥膜厚2μmに形成した。
【0064】
次に、上記の実施例1に対する、実施例2〜10及び比較例1〜5における保護層の変更点について以下に説明する。
【0065】
(実施例2)
実施例1において、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの含有量を以下の様に変更した。それ以外の点は同様である。
・有機高分子フィラー 0.4重量部
・無機多孔質フィラー 3.6重量部
【0066】
(実施例3)
実施例1において、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの含有量を以下の様に変更した。それ以外の点は同様である。
・有機高分子フィラー 3.6重量部
・無機多孔質フィラー 0.4重量部
【0067】
(実施例4)
実施例1において、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの含有量を以下の様に変更した。それ以外の点は同様である。
・有機高分子フィラー 0.2重量部
・無機多孔質フィラー 0.2重量部
【0068】
(実施例5)
実施例1において、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの含有量を以下の様に変更した。それ以外の点は同様である。
・有機高分子フィラー 4.0重量部
・無機多孔質フィラー 4.0重量部
【0069】
(実施例6)
実施例1において、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを以下の様に変更した。それ以外の点は同様である。
【0070】
(実施例7)
実施例1において、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを以下の様に変更した。それ以外の点は同様である。
【0071】
(実施例8)
実施例1において、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを以下の様に変更し、さらに、保護層の乾燥膜厚を2μmから4μmに変更した。それ以外の点は同様である。
【0072】
(比較例1)
実施例1において、保護層中の無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを除いた。それ以外の点は同様である。
【0073】
(比較例2)
実施例1において、保護層中の無機多孔質フィラーを除き、有機高分子フィラーの含有量を2重量部から4重量部に変更した。それ以外の点は同様である。
【0074】
(比較例3)
実施例1において、保護層中の有機高分子フィラーを除き、無機多孔質フィラーの含有量を2重量部から4重量部に変更した。それ以外の点は同様である。
【0075】
(比較例4)
実施例1において、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを以下の様に変更した。それ以外の点は同様である。
【0076】
(比較例5)
実施例8において、保護層の乾燥膜厚を4μmから2μmに変更した。それ以外の点は同様である。
【0077】
(実施例9)
実施例1において、無機多孔質フィラーを以下のように変更した。それ以外の点は同様である。
・無機多孔質フィラー(富士シリシア化学(株)製、商品名サイリシア256、平均粒子
径=3μm、pH=3、屈折率=1.46) 2重量部
【0078】
(実施例10)
実施例1において、無機多孔質フィラーを以下のように変更した。それ以外の点は同様である。
【0079】
以上のようにして形成した実施例1〜10及び比較例1〜5の可逆性感熱記録型カードの、初期状態についての地肌濃度、印字濃度、消去濃度、中心線平均粗さRa75、地肌ギラ付感、地肌かぶり及び印字の状態のそれぞれの比較結果、及び、サーマルプリンターを使用して印字、消去を100回行った後の、地肌濃度、印字濃度、消去濃度、中心線平均粗さRa75(μm)、カードの傷、印字部分の凹み及びヘッドの汚れのそれぞれの比較結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
ここで、印字及び消去を行うサーマルプリンターとして、サーマルヘッドのドット密度が8dot/mm、印字エネルギーが0.50mJ/dot、消去エネルギーが0.25mJ/dotであるサーマルプリンターを使用し、濃度測定には反射濃度計マクベスRD−918を使用した。また、地肌ギラ付き感、地肌かぶり、印字の状態、カードの傷、印字部分の凹み及びヘッドの汚れは、目視による比較である。
【0082】
この表1においては、初期状態と印字、消去を100回行った後の状態とを示している。まず、初期状態の比較結果について説明する。
【0083】
地肌濃度については、実施例9及び10において、他の例に比べて上昇している。これは、保護層に含有させる無機多孔質フィラーのpHを適切なものにしなかったため、無機多孔質フィラーと可逆性感熱記録層に含有されるロイコ染料とが反応して、可逆性感熱記録層に不必要な着色が発生していることを示している。
【0084】
印字濃度及び初期濃度については、実施例1〜10及び比較例1〜5において、顕著な差は無かった。
【0085】
中心線平均粗さRa75(μm)については、比較例1及び比較例4が他と比べて小さく、比較例5が他と比べて大きくなっている。
【0086】
これは、比較例1は、保護層中に無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを含有させていないため、保護層表面が略平らになっていることを示し、比較例4は、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを保護層に含有させているものの、これら両フィラーの平均粒子径が、保護層の厚さの0.7倍以下であるため、これら両フィラーが保護層の中に埋没してしまい、保護層の表面に適切な凹凸が付与されていないことを示している。
【0087】
また、比較例5は、上述の比較例4とは逆に、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの平均粒子径が、保護層の厚さの2.5倍以上あるため、保護層の表面の凹凸が大きいことを示している。
【0088】
地肌ギラ付き感については、比較例1及び比較例4において発生している。これは、中心線平均粗さRa75(μm)における場合と同様に、保護層に無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを含有させていないか(比較例1)、若しくは、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの平均粒子径が保護層の厚さに対して十分な大きさを有していないため(比較例4)、保護層の表面に反射を抑えるために十分な凹凸が発生していないことを示している。
【0089】
地肌かぶりについては、実施例9及び実施例10において発生している。これは、実施例9においては、保護層に含有させる無機多孔質フィラーのpHが3と低いため、無機多孔質フィラーが酸性を示し、従って、可逆性感熱記録層に含有されるロイコ染料と反応してしまい、可逆性感熱記録層に黒色の着色が発生していることを示し、実施例10においては、保護層に含有させる無機多孔質フィラーのpHが8.4と高いため、無機多孔質フィラーが塩基性を示し、従って、可逆性感熱記録層に含有されるロイコ染料と反応してしまい、可逆性感熱記録層に淡赤色の着色が発生していることを示している。
【0090】
印字の状態については、比較例5においてかすれが発生している。これは、保護層に含有させる無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの平均粒子径が、保護層の厚さに対して大きすぎ、保護層表面とサーマルヘッドの表面との当たりが悪くなっていることを示している。
【0091】
次に、サーマルプリンターを使用して印字、消去を100回行った後の比較結果について説明する。
【0092】
地肌濃度及び印字濃度については、実施例1〜10及び比較例1〜5のいずれについても、初期状態に対して顕著な変化は無かった。
【0093】
消去濃度については、実施例9及び実施例10において、消去濃度の上昇が発生している。これは、無機多孔質フィラーのpHが小さすぎるか(実施例9)、若しくは、大きすぎるため(実施例10)、可逆性感熱記録層に地肌かぶりが発生し、コントラストが悪くなっていることを示している。
【0094】
中心線平均粗さRa75(μm)については、比較例1及び比較例4において、その値が大きくなっており、初期状態に比べて表面が粗くなっていることを示している。これは、比較例1及び比較例4においては、その初期状態において、中心線平均粗さRa75(μm)の値が小さく、従って、保護層の表面が略平らなため、印字、消去を100回行うと、保護層の表面に傷が発生し、この傷のために表面が粗くなり、中心線平均粗さRa75(μm)の値が大きくなったものである。
【0095】
カードの傷については、比較例1及び比較例4において発生している。これは、比較例1及び比較例4においては、保護層に、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを含有させないか(比較例1)、若しくは、それらの平均粒子径が小さすぎるため(比較例4)、保護層の表面に、ゴミによる傷の発生を防止するための凹凸が付与されていないことを示している。
【0096】
印字部分の凹みについては、比較例3においてのみ発生している。これは、保護層から有機高分子フィラーを除き、無機多孔質フィラーのみにより保護層表面に凹凸を付与させているため、サーマルプリンターにより印字、消去を100回行うと、無機多孔質フィラーが砕け、そのために保護層の表面に凹みが発生していることを示している。
【0097】
ヘッドの汚れについては、比較例1、比較例2及び比較例4において発生している。これは、比較例1においては、保護層に無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを含有させていないため、保護層の表面に汚れを落とすための凹凸が発生していないことを示している。
【0098】
比較例2においては、保護層に有機高分子フィラーを含有させて、その表面に凹凸を付与させているものの、無機多孔質フィラーを除いてしまっているため、汚れを落とすことができないことを示している。
【0099】
比較例4においては、保護層に無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを含有させているが、これら両フィラーの平均粒子径が保護層の厚さに対して小さすぎ、従って、汚れを落とすために十分な凹凸が保護層の表面に発生していないことを示している。
【0100】
以上の比較結果を総合すると、保護層に含有させる無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーについて以下の結果を結論付けることができる。
【0101】
まず、保護層に無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを含有させない場合(比較例1)、保護層の表面に凹凸が発生せず、印字、消去を100回繰り返した後に、カードの傷が発生し、ヘッドの汚れが発生する。
【0102】
しかし、保護層の凹凸を付与するために、有機高分子フィラーのみを含有させた場合は(比較例2)、保護層表面に凹凸が発生し、カードの傷を防止することができるが、サーマルヘッドに付着した汚れを落とすことができないため、印字、消去を100回繰り返した後にヘッドに汚れが付着する。
【0103】
また、保護層の凹凸を付与するために、無機多孔質フィラーのみを含有させた場合は(比較例3)、保護層表面に凹凸が発生し、カードの傷を防止することができ、サーマルヘッドに付着した汚れを落とすことができるが、無機多孔質フィラーはもろいため、印字、消去を100回繰り返した後に砕けてしまい、印字部分の凹凸が消失して平滑になってしまう。
【0104】
従って、保護層には、印字、消去を100回繰り返した後に、カードの傷を抑え、印字部分の凹凸の消失を防止し、ヘッドへの汚れの付着を防止するため、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを共に含有させなければならないことが分かる。
【0105】
また、保護層に無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを含有させた際に、これら両フィラーの平均粒子径が、保護層の厚さに対して小さ過ぎると(比較例4)、両フィラーが保護層の中に埋没してしまい、保護層の表面に適切な凹凸を付与することができないため、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを保護層に含有させても、カードの傷及びヘッドの汚れが発生してしまう。
【0106】
従って、比較例4の結果から、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの平均粒子径の大きさは、少なくとも保護層の厚さの0.7倍以上でなければならないことが分かる。
【0107】
また、保護層に無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーを含有させた際に、これら両フィラーの平均粒子径が、保護層の厚さに対して大き過ぎると(比較例5)、保護層の表面と、サーマルヘッドとの間の当たりが悪くなり、印字した状態にかすれが発生する。さらに、両フィラーの脱落が発生する場合もある。
【0108】
従って、比較例5の結果から、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの平均粒子径の大きさは、少なくとも保護層の厚さの2.5倍以下でなければならないことが分かる。
【0109】
また、保護層に含有させる無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーのpHとして、低すぎるpHの無機多孔質フィラー若しくは有機高分子フィラーを用いた場合は(実施例9)、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーが酸性を示してしまい、可逆性感熱記録層に含有されるロイコ染料と反応し、可逆性感熱記録層に不必要な着色が発生する。
【0110】
逆に、保護層に含有させる無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーのpHとして、高すぎるpHの無機多孔質フィラー若しくは有機高分子フィラーを用いた場合は(実施例10)、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーが塩基性を示してしまい、可逆性感熱記録層に含有されるロイコ染料と反応し、可逆性感熱記録層に淡赤色の不必要な着色が発生する。
【0111】
従って、実施例9及び実施例10の結果から、保護層に含有させる無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーのpHとして、6.0〜8.0の範囲内でなければならないことが分かる。
【0112】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、少なくとも、基材上に、ロイコ染料及び顕減色剤を主成分として含有し、加熱によって可逆的に発色及び消色が行われる可逆性感熱記録層と、可逆性感熱記録層上に、紫外線硬化型樹脂及び無機多孔質フィラーを含有する保護層とを有する可逆性感熱記録媒体において、保護層に、有機高分子フィラーを含有させているため、無機多孔質フィラーがサーマルヘッドに付着した汚れを落とすことにより、印字、消去を繰り返した後にヘッドに汚れが付着することを防止することができると共に、有機高分子フィラーが弾力性を有し、サーマルヘッド等により圧力が加えられて変形しても復元するので、印字、消去を繰り返した後であっても、有機高分子フィラーが砕けることがなく、印字部分の凹凸の消失を防止することができ、さらに、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーにより形成された保護層表面の凹凸により、可逆性感熱記録媒体とサーマルヘッドとの間の摩擦を低減することができ、可逆性感熱記録媒体とサーマルヘッドとの間にゴミを挟みこんだ場合であっても可逆性感熱記録媒体表面への傷の発生を防止することができ、可逆性感熱記録媒体表面の反射を抑えて視認性を向上させることが可能な可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0113】
また、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの平均粒子径が、保護層の厚さの0.7〜2.5倍の範囲内であることから、保護層に無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーが埋没して保護層表面に凹凸が発生しないという事態を防ぐことができると共に、可逆性感熱記録媒体とサーマルヘッドとの当たりが悪く、印字のかすれが生じることを防止し、保護層から無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーが脱落してしまうことを防止することが可能な可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0114】
また、保護層表面の粗さがJISB0601に定義される中心線平均粗さRa75で、0.20〜0.60μmの範囲内であることから、可逆性感熱記録媒体の表面の凹凸を、適切なものとすることが可能な可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0115】
また、無機多孔質フィラーと有機高分子フィラーとの重量比が、無機多孔質フィラー:有機高分子フィラー=1:9〜9:1の範囲内であることから、印字消去を繰り返した際の保護層表面の凹凸の消失が防止され、サーマルヘッドの汚れ付着防止と保護層への傷防止に優れた効果が得られると共に、これに印字消去を繰り返した後でも維持可能な可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0116】
また、保護層中の、無機多孔質フィラーと有機高分子フィラーとの重量比が、無機多孔質フィラー:有機高分子フィラー=1:9〜9:1の範囲内であることから、印字消去を繰り返した際の保護層表面の凹凸の消失が防止され、サーマルヘッドの汚れ付防止と保護層への傷防止に優れた効果が得られると共に、これに印字消去を繰り返した後でも維持可能な可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0117】
また、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーのそれぞれのpHが、6.0〜8.0の範囲内であることから、可逆性感熱記録層に含有されるロイコ染料と、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーとの反応を抑制することができるので、可逆性感熱記録層の不必要な着色を防止することが可能な可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0118】
また、無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーのそれぞれの屈折率が、1.30〜1.65の範囲内であることから、保護層に含有される紫外線硬化型樹脂と無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーとの屈折率の差を小さくすることができるので、印字の反射濃度を減少させることなく、光沢度の低下に伴い明度が増加する艶消し効果が得られ、ギラ付いて見にくかった印字を見やすくし、視認性を向上させることが可能な可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0119】
また、有機高分子フィラーが、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、又はこれらの共重合体、若しくはこれらの縮合物であることから、有機高分子フィラーの弾力が印字、消去を繰り返した際に十分に耐えうる耐久性を有しているため、保護層表面の凹凸の、印字、消去を繰り返した際の耐久性をさらに向上させることが可能な可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0120】
さらに、無機多孔質フィラーが、シリカゲル、若しくは珪藻土粉末であることから、無機多孔質フィラーの材料として比較的入手が容易なシリカゲル、若しくは珪藻土粉末を用いているため、さらにその製造を容易に行うことの可能な可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可逆性感熱記録媒体を可逆性感熱記録型カードに適用した場合の第1の実施形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明に係る可逆性感熱記録媒体を可逆性感熱記録型カードに適用した場合の第2の実施形態を示す模式断面図である。
【図3】従来の可逆性感熱記録媒体を可逆性感熱記録型カードに適用した場合の模式断面図である。
【符号の説明】
1 基材
3 可逆性感熱記録層
5 保護層
7 無機多孔質フィラー
9 有機高分子フィラー
11 磁気記録層
13 隠蔽層
Claims (6)
- 基材上に、ロイコ染料、顕減色剤およびバインダー樹脂により構成され、加熱によって可逆的に発色/消色を繰り返す可逆性感熱記録層と、該可逆性感熱記録層上に、紫外線硬化型樹脂及び無機多孔質フィラーと有機高分子フィラーとを含有する紫外線により硬化された保護層と、を有する可逆性感熱記録媒体であって、
前記無機多孔質フィラーは、多孔質シリカまたは多孔性珪藻土粉末であり、
前記無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの平均粒子径が、前記保護層の厚さの0.7〜2.5倍の範囲内であり、前記無機多孔質フィラーと有機高分子フィラーが、重量比で、1:9〜9:1の範囲内であることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。 - 前記保護層表面の粗さがJISB0601の付属書で規定する中心線平均粗さRa75で、0.20〜0.60μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記保護層に含有される紫外線硬化型樹脂の固形分比で100重量部に対して、無機多孔質フィラーと有機高分子フィラーとの合計量が、固形分比で、0.5重量部〜10重量部の範囲内であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーのpHが、6.0〜8.0の範囲内であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記無機多孔質フィラー及び有機高分子フィラーの屈折率が、1.30〜1.65の範囲内であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記有機高分子フィラーが、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、又はこれらの共重合体、若しくはこれらの縮合物であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
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