JP4278016B2 - 可逆性感熱記録媒体の製造方法 - Google Patents

可逆性感熱記録媒体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クレジットカード、ICカード、プリペイドカード、定期券等に好適に使用される可逆性感熱記録媒体の製造方法に関る。
【0002】
【従来の技術】
従来より、可逆性感熱記録媒体は、基材上に少なくとも可逆性感熱記録層と、保護層とがこの順番で設けられて製造されている。このような可逆性感熱記録媒体は、基材と、シート状の可逆性感熱記録層と、その上に保護層とを設け、鏡面板等で挟持し、加熱融着等して、可逆性感熱記録媒体が製造されていた。
【0003】
このような製造方法により得られた可逆性感熱記録媒体は、クレジットカード等に好適に使用されている。
このようなIDカード、プリペイドカード等の各種カードにおいては、繰り返して情報を消去及び/又は書きこむことのできる可逆性感熱記録材料を層状に設けた構成を有する可逆性感熱記録媒体が採用されており、この可逆性感熱記録媒体は現像工程が不要であり、発色濃度が高く、しかも安価であるため、広範囲に利用されている。
【0004】
このようなカード等に使用される可逆性感熱記録媒体においては、消去及び/又は書きこみは、サーマルヘッド等により、前記可逆性感熱記録層をある温度で加熱することによって、可逆性感熱記録層を、発色または消色させ、所望の文字等を表示できるようになっている。
【0005】
こうした加熱による発色または消色の際に、前記可逆性感熱記録層の機械的、物理的ストレスから保護するため、可逆性感熱記録層の表面に保護層が設けられている。このような保護層を設けることにより、可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体の熱による印字、消去の繰り返し耐久性の向上が図れる。
【0006】
この印字または消去の際に、可逆性感熱記録媒体の表面の汚れまたは周囲の環境からのホコリ、塵等が感熱記録を行うサーマルヘッド等に付着し、これが原因でサーマルヘッド等が汚れ、その結果、可逆性感熱記録媒体の印字面にかすれやスティッキング等が発生するという問題点があった。また、可逆性感熱記録媒体の保護層の平滑性が非常に高いために表面がギラ付いてしまい、印字の視認性が悪いという問題点もあった。
【0007】
係る問題点に鑑み、本発明者らは、特開平10−309869号公報等により、上記問題点を一挙に解決した可逆性感熱記録媒体の発明を提案している。このような保護層を有する可逆性感熱記録媒体の発明によって、上記問題点を解決した可逆性感熱記録媒体を提供することが可能となった。
【0008】
しかしながら、近年クレジットカード等およびICカード等に情報の表示のために可逆性感熱記録層を形成する必要性が高まり、そのために可逆性感熱記録層を転写シートまたは接着シートとして構成し、カード等の媒体の基体シート上に貼着して熱融着により略面一に形成するようにすると、熱融着時の加熱、加圧により転写シートまたは接着シートに可逆性感熱記録層とともに設けた保護層表面が、前記熱融着によりほぼ鏡面に近い状態になることがあり、前述したサーマルヘッドの汚れ、印字のかすれ、スティッキング、表面のギラつきによる視認性の低下といった問題が発生する場合があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
係る可逆性感熱記録媒体に関し、本発明者らは、加熱融着工程時に鏡面板を用いる方法を踏襲しつつ、保護層表面の凹凸を有効に保持するような可逆性感熱記録媒体の製造方法について、さらに研究を行い、本発明の完成に至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の可逆性感熱記録媒体の製造方法は、少なくとも基体シートと可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体の製造方法であって、可逆性感熱記録シートを形成するシート形成ステップと、可逆性感熱記録シートを基体シート上に過熱融着する過熱融着ステップと、を有し、シート形成ステップは、基材上に可逆性感熱記録層と中間層と保護層とを形成し、過熱融着ステップは、可逆性感熱記録シートの保護層上に保護フィルムを介して、基体シートと可逆性感熱記録シートとを熱プレスして加熱融着し、保護フィルムは、ビカット軟化点が、60〜135℃であり、かつ、ショアD硬度が、30〜80であることを特徴とする。
【0011】
本発明の可逆性感熱記録媒体の製造方法は、上記可逆性感熱記録媒体の製造方法において、護フィルムは、少なくともポリエチレンフィルム、EVAフィルムまたはアイオノマーフィルムから選択される1種であることを特徴とすることができる
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る可逆性感熱記録媒体の製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
本発明に係る可逆性感熱記録媒体の製造方法は、少なくとも基体シートと可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体の製造方法であって、
基材上に可逆性感熱記録層と保護層とを有する可逆性感熱記録シートを前記基体シートに加熱融着して該可逆性感熱記録媒体を製造する際に前記可逆性感熱記録シートの保護層上に保護フィルムを介して熱プレスすることにより、加熱融着することを特徴とする。
【0018】
以下、まず本発明に使用される保護フィルム1、基体シート4、可逆性感熱記録シート7および保護層2について、順次説明する。
【0019】
[ 保護フィルム1]
本発明に係る可逆性感熱記録媒体の製造方法で使用される保護フィルム1は、好ましくは以下に示すフィルム状の合成樹脂製の材料が用いられる。
前記した保護フィルム1としては、ビカット軟化点が、60〜135℃であり、かつ、ショアD硬度が、30〜80であるものを用いることができる。このようなフィルムの中でも、特に、ポリエチレンフィルム、EVAフィルム(エチレンー酢酸ビニルフィルムともいう)またはアイオノマーフィルムから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0020】
また前記した保護フィルム1としては、その保護フィルムの表面が粗面化されているものを用いることができ、好ましくは表面を粗面化したポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリプロピレンフィルムを用いることができる。
【0021】
本発明に用いる保護フィルムとして、ビカット軟化点が、60〜135℃であり、かつ、ショアD硬度が、30〜80の範囲にある保護フィルムについて、まず説明する。
このようなビカット軟化点は、通常知られた方法、たとえば、JIS K 7206に規定された方法により測定される。
ビカット軟化点としては、60〜135℃、好ましくは、70〜100℃の範囲にある。
【0022】
またショアD硬度としては、30〜80、好ましくは、40〜60の範囲にある。このようなショアD硬度は、JIS K 7215に規定するD硬さによる方法により測定される。
ビカット軟化点が60〜135℃であり、かつ、ショアD硬度が30〜80、好ましくは、ビカット軟化点が60〜135℃であり、かつ、ショアD硬度が40〜60であり、より好ましくは、ビカット軟化点が70〜100℃であって、かつ、ショアD硬度が30〜80、さらに好ましくは、ビカット軟化点が70〜100℃であって、かつ、ショアD硬度が40〜60であることが望ましい。
【0023】
このような上記範囲にある合成樹脂性フィルムとしては、特に、ポリエチレンフィルム、EVAフィルムまたはアイオノマーフィルムから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0024】
ポリエチレンフィルムとしては、ビカット軟化点が85〜95℃でショアD硬度が41〜55の低密度ポリエチレンフィルム、ビカット軟化点が120〜135℃でショアD硬度が60〜70の高密度ポリエチレンフィルムなどが挙げられ、さらに、エチレンと、他のα―オレフィンとの共重合体フィルムも含まれる。このようなポリエチレンフィルムの中でも、ビカット軟化点およびショアD硬度が、前記した範囲にあるものを、本発明では用いる。
【0025】
EVAフィルムとしては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体フィルムの他に、酢酸ビニルの一部がビニルアルコール等で置換されたものでもよく、また、酢酸ビニルの一部が酢酸ビニルエステルなどのエステルに置換されたものであってもよく、このようなものをフィルム状に成形したものが挙げられる。
このようなEVAフィルムの中でも、本発明では、ビカット軟化点およびショアD硬度が、前記した範囲にあるものを用いる。
【0026】
アイオノマーフィルムとしては、通常使用されるものを挙げることができる。このアイオノマーフィルムは、共有結合と、イオン結合の両方を含むエチレンを主成分とする重合体であり、具体的には、エチレンとエチレンオキシドの共重合体に、Zn、K、Naなどの金属の金属塩を含有してなり、エチレン以外のα−オレフィンおよびエチレンオキシド以外のたとえばプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを共重合して得られた重合体に、上記したような金属塩などが含有されたものであってもよい。
このようなアイオノマーフィルムの中でも、本発明では、ビカット軟化点およびショアD硬度が、前記した範囲にあるものを用いる。
【0027】
次に本発明で使用される保護フィルムのうち、表面を粗面化した保護フィルムについて以下に説明する。
このような粗面化した保護フィルムとしては、サンドブラスト法、フィルムの表面に充填剤を含有した樹脂を塗布する方法、フィルム中に充填剤を含有させる方法、および、酸、アルカリ、有機溶剤等によりフィルム表面をケミカルエッチング法を用いることにより、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリプロピレン製のフィルムを粗面化したものが挙げられる。また無機充填剤としては、SiO2 、TiO2 、CaCO3 、ZnO、Al2 3 などの無機酸化物または無機塩などが特に好ましい。本発明では、このような保護フィルムとして、表面粗さがJIS B 0601で規定するRa値で、0.3〜1.8μm、好ましくは0.6〜1.2μm程度のものが使用できる。
【0028】
このような本発明に係る可逆性感熱記録媒体9の製造方法に使用される保護フィルムの厚さは、前述したいずれの保護フィルムの場合でも、10〜100μm、好ましくは10〜50μm程度である。このような上記範囲を越えると、得られた可逆性感熱記録媒体9の保護層2にうねりなどを生じるため好ましくなく、また上記範囲より少ないと、得られた可逆性感熱記録媒体9の保護層2が鏡面となる虞があり、また得られた可逆性感熱記録媒体9から保護フィルムを除去する際に、残留する虞がある。
【0029】
本発明に使用される保護フィルムは、加熱・加圧によって融着する際に、これらの印加条件によって、保護層2が鏡面化されるのを防止する機能を有している。
すなわち、本発明では、このような加熱・加圧による融着時に、これらを適宜緩和させて保護層2が鏡面化されるのを防止しつつ、基材4等と可逆性感熱記録層等の層間の融着を確実に行って有効に可逆性感熱記録媒体を製造しうるものが保護フィルム1として使用されている。
【0030】
[ 基体シート]
本発明に使用される基体シートは、以下に示すような材料からなるシートやこれらの積層体が用いられる。
【0031】
塩素含有重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体など、
ポリエステル樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、あるいはテレフタール酸またはイソフタール酸などの酸成分と、エチレングリコールまたはシクロヘキサンジメタノールなどのアルコール成分との縮合エステル樹脂(たとえばPETG:イーストマンケミカル社の商標)など、
生分解性プラスチック樹脂;ポリ乳酸系樹脂、デンプンと変性ポリビニールアルコール等とからなる天然高分子系樹脂、β―ヒドロキシ酪酸とβ―ヒドロキシ吉草酸とからなる微生物産生の樹脂等。
さらにポリアセテート、ポリスチレン(PS)、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリカーボネート(PC)、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂シートまたは合成紙等が挙げられ、これら上記材料を適宜組合せてもよく、これら上記の材料を積層したものでもよい。これら基体シートの厚さは通常、10〜50μm程度であってもよい。
【0032】
このような積層の例としては、表面に印刷等を施した(たとえば厚さ280μmの)白色ポリ塩化ビニル樹脂シートを2枚積層したコアシートと、このコアシートの表裏面に(たとえば厚さ100μmの)透明ポリ塩化ビニル樹脂シートをオーバーシートとして積層したもの、また、表面に印刷等を施した(たとえば厚さ280μmの)白色PETGシートを2枚積層したコアシートと、このコアシートの表裏面に(たとえば厚さ100μmの)透明PETGをオーバーシートとして積層したものなどが挙げられる。
次に、上記した可逆性感熱記録シート7について説明する。
【0033】
[ 可逆性感熱記録シート7]
本発明に使用される可逆性感熱記録シート7は、図2に示すように基材表面上に可逆性感熱記録層3と、保護層を有し、基材裏面には接着層を有している。さらに後述する隠蔽層、中間層、隠蔽層、バリアー層等およびその他の記録層とを有していてもよい。
【0034】
[可逆性感熱記録層3]
本発明に使用される可逆性感熱記録層3は、例えばサーマルヘッド等により加熱することにより情報を可逆的に記録消去可能な層である。
【0035】
上記可逆性感熱記録層3は、ロイコ染料、顕減色剤及びバインダー樹脂を主成分として構成され、熱によって可逆的に発色/消色を繰り返す層である。ロイコ染料は、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体といわれるものである。また、顕減色剤は、電子受容性化合物といわれるものであり、加熱後の冷却速度の違いにより染料前駆体に可逆的な色調変化を生じさせるものであり、炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有するフェノール性化合物、ナフタレン性化合物又はフタル酸化合物、あるいはフェノール性水酸基とアミノ基とを有する酸性化合物、ナフタレン性水酸基とアミノ基とを有する酸性化合物等が用いられる。
【0036】
上述の、可逆性感熱記録層3に主成分として含有されるロイコ染料としては、クリスタルバイオレットラクトン、3−インドリノ−3−p−ジメチルアミノフェニル−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、2−(2−クロルフェニルアミン)−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−ブチルアニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)−フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−N−メチルシクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチルペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を挙げることができる。
【0037】
ここで、通常無色ないし淡色の、ロイコ染料としての電子供与性染料前駆体はそれぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよい。
【0038】
また、可逆性感熱記録層3に主成分として含有される顕減色剤としては、N−(p−ヒドロキシフェニル)−N' −n−オクタデシルチオ尿素、N−(p−ヒドロキシフェニル)−N' −n−オクタデシル尿素、N−(p−ヒドロキシフェニル)−N' −n−オクタデシルチオアミド、4' −オクタデカンアニリド、2−オクタデシルテレフタル酸、N−オクタデシル(p−ヒドロキシフェニル)アミド、N−(p−ヒドロキシベンゾイル)−N−オクタデカノイルアミン、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N' −オクタデカノヒドテジド、N−[(p−ヒドロキシフェニル)メチル]−n−オクタデシルアミド、N−[(p−ヒドロキシフェニル)メチル]−n−オクタデシル尿素、N−[(p−ヒドロキシフェニル)メチル]−N' −n−オクタデシルオキサミド等が挙げられる。
【0039】
使用される顕減色剤は、1種または2種以上を混合して使用しても良い。
【0040】
また、可逆性感熱記録層3に含有されるバインダー樹脂としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のラテックスなどがあげられ、特に電子供与性染料前駆体(ロイコ染料)および電子受容性化合物(顕減色剤)の分散性にすぐれ、書き換え耐久性にすぐれた可逆性感熱記録層3が得られるため、熱可塑性樹脂の分子内に二重結合を導入して、紫外線または電子線硬化性とした樹脂として、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体にアクリル酸またはメタクリル酸をエステル重合させた樹脂が使用できる。これらの樹脂は単独で、または2種以上混合して使用できる。
【0041】
一方、可逆性感熱記録層3において、発色を行うには加熱に引き続き急速な冷却が起これば良く、消色を行うには加熱後の冷却速度が遅ければ良い。例えば、適当な熱源(サーマルヘッド、レーザー光、熱ロール、熱スタンプ、高周波加熱、電熱ヒーターからの輻射熱、熱風等)で比較的長い時間加熱すると、可逆性感熱記録層3だけでなく基材4等も加熱される為に冷却速度が遅くなり、相分離状態(消色状態)になる。一方、適当な方法で加熱した後、低温の金属ブロックなどを押し当てる等して急速に冷却することにより、発色状態を発現させることができる。
【0042】
また、サーマルヘッド、レーザー光等を用いて極めて短い時間だけ加熱すると、加熱終了後に直ちに冷却(固化)が始まる為、発色状態を発現させることができる。従って、同じ加熱温度および/または同じ熱源を用いても、冷却速度を制御することにより発色状態および消色状態を任意に発現させることができる。
この種の材料を用いた感熱記録層3は、通常、3〜15μm程度の厚さに形成される。
【0043】
なお、可逆性感熱記録層3としては、ポリエステルなどの樹脂と、樹脂中に分散された有機低分子物質からなる感熱記録材料、いわゆる透明―白濁型の感熱記録材料で形成したものを用いることもできる。
【0044】
可逆性の感熱記録材料に使用される樹脂としては、透明性が良く、機械的強度に優れ、成膜性の良いものが好ましい。その具体例としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。このうち特に好ましいものとしては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、ポリエステル樹脂が該当する。
【0045】
有機低分子物質としては、アルカノール、アルカンジオール、ハロゲンアルカノールまたはハロゲンアルカンジオール、アルキルアミン、アルカン、アルケン、アルキン、ハロゲンアルカン、ハロゲンアルケン、ハロゲンアルキン、シクロアルカン、シクロアルケン、シクロアルキン、飽和または不飽和モノまたはジカルボン酸またはこれらのエステル、アミド、またはアンモニウム塩、飽和または不飽和ハロゲン脂肪酸またはこれらのエステル、アミド、またはアンモニウム塩、アクリルカルボン酸またはこれらのエステル、アミド、またはアンモニウム塩、ハロゲンアクリルカルボン酸またはこれらのエステル、アミド、またはアンモニウム塩、チオアルコール、チオカルボン酸またはこれらのエステル、アミド、またはアンモニウム塩、チオアルコールのカルボン酸エステルなどで、その炭素数は10〜40、分子量としては100〜700のものが挙げられる。特に好ましいものとしては、融点が50〜150℃の範囲にあるラウリン酸、バルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸などの高級脂肪酸、またはこれらのエステル、アミド、またはアンモニウム塩である。
【0046】
樹脂と有機低分子物質の混合比としては、重量比で樹脂100部に対して有機低分子物質が5部〜200部の範囲にあるものが好ましく、10部〜100部がより好ましい。
【0047】
可逆性感熱記録層3には、透明化温度範囲を拡大させるために、樹脂母材より低いガラス転移点(Tg)、好ましくは50℃以下のガラス転移点をもつ樹脂を必要に応じて含有させることができ、このような樹脂としてはアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、あるいはポリアミド系樹脂を使用することが好ましい。
【0048】
さらに可逆性感熱記録層3には印字・消去の書換え耐久性を向上させるために紫外線や電子線等の放射線で硬化する放射線硬化型樹脂を含有させることができ、このような放射線硬化型樹脂を含む塗料を塗布・乾燥後、紫外線または電子線等の放射線で硬化させる。放射線硬化型樹脂の添加割合は特に制限はないが好ましくは樹脂母材100重量部に対して0.1〜50重量部である。たとえば放射線硬化型樹脂として、脂肪族のモノアクリレートまたはジアクリレート、テトラヒドロフリル基をもつアクリレートまたはメタクリレート等が使用できる。
【0049】
[保護層2]
本発明で使用される保護層2は、紫外線硬化型樹脂及び多孔性フィラーを含有し、好ましくは保護層2の厚さの0.7〜2.5倍である平均粒子径の多孔性フィラーを含む保護層形成用樹脂を用いて形成される。このような保護層形成用樹脂に使用される多孔性フィラーに、保護層2の厚さよりも粒径の小さい多孔性フィラーのみからなる多孔性フィラーを用いると、保護層形成用樹脂中に多孔性フィラーが全て沈んでしまい、セルフクリーニング性が失われる。
【0050】
ただし、使用される多孔性フィラ−は、一般に平均粒子径で表されるフィラーが用いられるので、保護層2の厚さよりも小さい平均粒子径のフィラーを用いても、このフィラー中には、保護層2の厚みよりも大きいフィラーが含まれている。要するに本発明に使用される保護層2では、この保護層2の表面に、適度な凹凸を付与できればよいので、保護層2の厚さと同程度以下の小さい粒子径の多孔性フィラーも用いることができる。さらに、たとえば中空性フィラーで紫外線硬化型樹脂よりも比重の小さいフィラーを用いることもでき、多孔性フィラーと、中空性フィラーとを混合して用いてもよい。
【0051】
このような有機高分子フィラーは、前記多孔性フィラーと同様な粒子径を有するものが用いられる。これによって、前記同様な効果を有する保護層2が得られる。従って、保護層2の塗膜の厚みによって多孔性フィラー及び有機高分子フィラーを選択する必要があり、多孔性フィラー及び有機高分子フィラーの粒子径は保護層2の厚さの0.7〜2.5倍であり、保護層2の表面の手触り感がザラザラするのを避けたい場合には、0.7〜2.0倍の粒径にするのが好ましい。
【0052】
また、保護層2の表面(サーマルヘッドなどに接触する面)の粗さはJIS B 0601で規定するRa(μm)で、0.10〜0.60μmの範囲内であることが好ましい。これにより、保護層2の表面の凹凸を適切なものとすることができる。
【0053】
また、保護層2中における多孔性フィラー及び有機高分子フィラーの重量比としては、多孔性フィラーによりサーマルヘッドに付着した汚れを落とし、有機高分子フィラーが有する弾力性により印字、消去を繰り返した際の保護層2の表面に付与された凹凸の消失を防止するために十分な重量比としては、多孔性フィラー:有機高分子フィラー=1:9〜9:1としてもよい。
【0054】
また、有機高分子フィラーとしては、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、又はこれらの共重合体、若しくはこれらの縮合物を用いることができる。
【0055】
また、保護層2に含まれる紫外線硬化型樹脂の屈折率は1.45〜1.55の範囲内にあることから、多孔性フィラーの屈折率は1.30〜1.65の範囲内にあることが好ましい。このような紫外線硬化型樹脂に対して屈折率の差の小さい多孔性フィラーを混合することによって、印字の反射濃度を変化させることなく、光沢度の低下に伴ない明度が増加する艶消し効果が得られ、ぎらついて見にくかった印字を見やすくし、視認性を向上させることができる。
【0056】
多孔性フィラーとしては多孔性シリカ(屈折率1.46)、多孔性珪藻土粉末(屈折率1.52〜1.55)などを使用することができる。これらは組合せて用いてもよい。
【0057】
保護層2を形成する保護層形成材料には、さらに、光重合開始剤、増感剤、シリコーンオイル、剥離剤、安定剤等を適宜含む。これらの量は、公知の範囲で適宜用いられる。
【0058】
また、本実施形態に係る可逆性感熱記録媒体9が有する保護層2が含有する多孔性フィラーのpHは、6.0〜8.0の範囲内であることが好ましい。このような範囲の多孔性フィラーを選択することにより、可逆性感熱記録層3に含まれるロイコ染料に作用して発色する虞を有効に防止することができる。
【0059】
すなわち、多孔性フィラーのpHが高く塩基性であると、可逆性感熱記録層3に含まれるロイコ染料が分解することにより保護層2が淡赤色に着色してしまい、pHが低く酸性であると、多孔性フィラーと可逆性感熱記録層3に含まれるロイコ染料とが反応して不可逆的に着色してしまう傾向がある。そこで、本実施形態では、多孔性フィラーとしてpHが6.0〜8.0の範囲内にあるものを用いることができる。なお可逆性感熱記録層3と、保護層2との間に中間層を設ける場合には、前記したpHの範囲を越えたものを用いることもできる。
【0060】
なお本発明における多孔性フィラーのpHは、水に5重量%多孔性フィラーを懸濁させた5%スラリーの状態で測定したものである。
【0061】
保護層2において、紫外線硬化型樹脂、好ましくはハードコート剤に使用されるような紫外線硬化型樹脂に、前記多孔性のフィラー等を混合することにより可逆性感熱記録媒体9に付着した汚れが多孔性のフィラーに吸着し、サーマルヘッドへの汚れの付着を無くすことが可能となる。
【0062】
さらにこのような多孔性フィラーを用いることにより、印字リサイクル時における印字のかすれやスティッキングの発生を防止し、サーマルヘッド洗浄の手間が省けるといった効果が得られる。さらに、多孔性フィラーのpHを6.0〜8.0の範囲内に調整しているため、多孔性フィラーと可逆性感熱記録層3に含まれるロイコ染料との反応を抑えて、可逆性感熱記録層3の不必要な着色を防止できる。
【0063】
保護層形成用樹脂は、硬化した際の硬さを十分なものにするために、紫外線硬化型樹脂を含有させる。さらに、保護層2の表面に適度な凹凸を形成して、保護層表面のギラ付き感を防止し、保護層表面のキズの発生を防止し、サーマルヘッドのセルフクリーニング性を付与させるため、保護層2にヒュームドシリカなどの微細シリカを含有させることができる。
【0064】
保護層2の形成
本発明では可逆性感熱記録層3上に、前記した保護層形成用樹脂を塗布し、厚さ1〜5μm、好ましくは2〜4μmに形成される。
なお保護層2に使用される前記多孔性フィラーの平均粒子系は、好ましくは0.7〜12.5μm、さらに、1.4〜10μm程度であってもよい。
【0065】
このような上記塗布は、公知の方法により行われ、塗布法としては、特に制限されない。たとえば、グラビアコーティング、バーコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティングなどによる塗布手段を用いて行うことができる。
【0066】
その後、常法に従って紫外線等を照射することにより硬化して、保護層2を形成する。
【0067】
本発明に使用される可逆性感熱記録シート7は、上記した可逆性感熱記録層3と、以下に示す接着層等を有する。
【0068】
接着層
接着層は、可逆性感熱記録シート7をカード等に熱プレス等した場合に十分に接着をおこない得るものであれば良い。このような接着層を形成する樹脂として、ポリエステル系樹脂、アルキッド系樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂又はそれらの混合樹脂などが挙げられる。
【0069】
中間層
本発明で使用する可逆性感熱記録シート7には、後に塗布等されて形成される保護層2の形成材料から、可逆性感熱記録層3が発色してしまう等の悪影響を受けるのを回避するために、中間層を設けることができる。中間層は、可逆性感熱記録シート7を熱融着した後に、保護層2が塗布される前の段階で最外層に位置するように設けられる。このような中間層は、可逆性感熱記録シート7では、可逆性感熱記録層3の表面上に設ければよい。
【0070】
このような中間層は、たとえば紫外線硬化型樹脂を用いて形成され、該紫外線硬化型樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系等のものが利用できる。また、従来公知の保護層2として使用される材料から適宜選択して中間層として使用することもできる。
【0071】
このような中間層に溶剤が使用される場合には、可逆性感熱記録層3を侵さないものを使用する。たとえば、水、またはトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサンなどのシクロアルカン類、n−ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、その他の炭化水素系の比較的極性の弱い溶剤が使用される。なお中間層を形成するための紫外線硬化型樹脂中に含まれるモノマー、オリゴマー等も溶剤として作用することがある。
【0072】
塗布手段としては、グラビアコーター、バーコーター、ナイフコーター等のコーティング手段が使用される。このように、コーティングによって中間層31を形成すればピンホールが発生せず、可逆性感熱記録層3を発色または消色させる恐れがない。
【0073】
隠蔽層
隠蔽層は、可逆性感熱記録シート7にスリットを形成して分割する際に、可逆性感熱記録層3に好ましく含まれるロイコ染料等が接着層に付着し、この染料等が付着した接着層を熱プレスした場合に接着層上に発生する不可逆な着色を隠蔽するための層である。隠蔽層は、接着層と可逆性感熱記録層3の間のいずれかの位置に設けられているのが好ましい。隠蔽層は前記したように、隠蔽することにより可逆性感熱記録層3に記録される情報の視認性を向上させることを目的としているため、隠蔽層の構成としては上記構成に限定されるものではなく、その他の上記目的に適合する隠蔽層を適宜利用することができる。
【0074】
従って、その実施形態としては、アルミニウムペースト等の金属粒子や酸化チタン等の金属酸化物粒子により着色して隠蔽層を形成する場合や、接着層と隠蔽層とのそれぞれの機能を結合した隠蔽接着層として形成する場合や、隠蔽層として第2のバリアー層を形成し、このバリアー層に上記不可逆な発色を隠蔽するための金属蒸着層を形成する場合等がある。
【0075】
隠蔽層および隠蔽接着層に含有される金属粒子として、アルミニウム、亜鉛または銅等が挙げられ、金属酸化物粒子としては酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらは樹脂溶液中に分散した状態で用いることができ、塗工して隠蔽層を形成する。また隠蔽層として金属蒸着層を用いる場合は、アルミニウム、亜鉛、銅、ニッケル、金、銀、スズ等を蒸着により形成することもできる。
【0076】
バリアー層
バリアー層は、隠蔽層が金属粒子または金属酸化物粒子を含有する場合に、隠蔽層を塗工する際に用いられる溶剤や樹脂成分により、または接着層塗料に用いられる溶剤、樹脂成分により、可逆性感熱記録層3が不用意に発色することを防止したり、また隠蔽層が金属蒸着層である場合に、接着層に含有される極性基の多い樹脂や可逆性感熱記録層3に含有される顕減色剤等の酸性基をもつ材料により隠蔽層が腐食されることを防止する。好ましくは紫外線硬化型樹脂塗料を塗工して形成することができる。このバリアー層は、隠蔽層と可逆性感熱記録層3との間などに適宜設けることができる。
【0077】
その他の層
その他の層としては、例えば、前記バリアー層を構成する紫外線硬化型樹脂塗料に金属粒子または金属酸化物粒子を含有させた層を、前記可逆性感熱記録層3と接着層との間に形成するようにしてもよい。
このようにすることで、接着層に含有される極性基の多い樹脂により可逆性感熱記録層3が不用意に発色することを防止することができると共に、接着層に付着したロイコ染料の加熱加圧された際の不可逆的な着色を防止でき、さらに、塗工工程も簡略化できる。
【0078】
上記各層を積層することにより、可逆性感熱記録シート7が適宜得られる。このような上記可逆性感熱記録シート7は、公知の方法を用いて製造することができる。
【0079】
その他の記録層
本発明に使用される可逆性感熱記録シート7には、その他の記録層を設けることもできる。
たとえばこのようなその他の記録層としては、磁気記録層が挙げられる。この磁気記録層は一般に用いられているものが挙げられる。
【0080】
可逆性感熱記録シート7の積層例
可逆性感熱記録シートの他の積層例としては、接着層/隠蔽層/基材/可逆性感熱記録層/保護層、接着層/基材/隠蔽層/バリアー層/可逆性感熱記録層/保護層、あるいは接着層/基材/磁気記録層/隠蔽層/バリアー層/可逆性感熱記録層/保護層等の層構成例が挙げられる。
【0081】
本発明に係る可逆性感熱記録媒体の製造方法は、少なくとも基体シートと可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体の製造方法であって、基材上に可逆性感熱記録層と保護層とを有する可逆性感熱記録シート7を前記基体シートに加熱融着して該可逆性感熱記録媒体を製造する際に前記可逆性感熱記録シート7の保護層上に保護フィルムを介して熱プレスすることにより、加熱融着することを特徴とする。
【0082】
[加熱融着]
本発明では、前記した基体シート4と保護層2が設けられた可逆性感熱記録シート7とを、前記保護層2が保護フィルム1を介して鏡面板10と対向するように載置し、加熱融着を行う。加熱融着は、公知手段、たとえば熱プレス機を用いて、通常、10〜70kg/cm2 、好ましくは15〜50kg/cm2 の加圧下に、100〜170℃、好ましくは110〜150℃の範囲で行われる。なお加熱融着時の加熱温度は基体シート4によって、最適な温度範囲が決定され選択される。また可逆性感熱記録シート7と基体シートとを、予め熱接着した後に熱貼合することができる。前記熱接着は、ゴムロール等を押し当てて行う方法が採用される。その後、熱貼合して熱融着が終了する。前記熱接着は、通常、90〜130℃の温度範囲で行われる。このような加熱融着は、上記した条件下に、たとえば1時間未満、好ましくは1〜50分間程度保持した状態で行うことができる。なお前記保持時間は、単なる例示であり、本発明では特に限定されない。
【0083】
たとえば、透明ポリ塩化ビニルシート/白色ポリ塩化ビニルシート/白色ポリ塩化ビニルシート/透明ポリ塩化ビニルシートのような積層体を用いた場合には、前記加熱融着時の加熱温度は、130〜150℃程度が好ましく、また透明PETG/白色PETG/白色PETG/透明PETGのような積層体を用いた場合には、加熱融着時の加熱温度は、110〜130℃程度であってもよい。
【0084】
熱貼合時の圧力または加熱温度が上記範囲を越えると、得られた融着体が波状に形成されるか、または厚さが規定値以下になり、十分に性能を発揮できない可能性があるため好ましくなく、また、加熱融着時の圧力または加熱温度が上記範囲未満では、十分な強度で貼り合わせができないため、好ましくない。
【0085】
このような加熱融着は、他の手段により行ってもよいが、加熱融着時の圧力および温度条件は、前記同様にして行われる。
【0086】
このようにして、融着体の可逆性感熱記録層3上に保護層2が形成された後に、可逆性感熱記録媒体から、保護フィルムを除去する。
【0087】
[除去]
本発明では、上記したような加熱融着後、得られた可逆性感熱記録媒体から、保護フィルムを除去する。たとえば保護フィルムを保護層が設けられた可逆性感熱記録媒体と剥離する。この際に、シクロヘキサンなどの非極性溶媒を用いても良い。本発明では、保護フィルムと可逆性感熱記録媒体の最上層に設けられた保護層とは、前記加熱融着工程によって、一体化しない組み合わせが選択される。なお本発明では、可逆性感熱記録層上に特定の保護層が設けられ、この保護層が設けられた可逆性感熱記録層と、基体シートとを熱融着して可逆性感熱記録媒体が製造されるが、このような可逆性感熱記録層は、基体シートの全面に設けられていてもよく、一部に設けられていてもよく、また、可逆性感熱記録層は、基体シートの片面に設けてもよく両面に設けていてもよく、適宜選択される。
【0088】
このようにして得られた可逆性感熱記録媒体の保護層2は、保護層表面の粗さが、JIS B 0601で規定されるRa値の範囲で、好ましくは0.10〜0.60μm、さらに好ましくは0.20〜0.40μmの範囲にあることが好ましい。
【0089】
次に、本発明による可逆性感熱記録媒体の製造方法および可逆性感熱記録媒体について、実施例を参照してさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されて解釈されるものではない。
【0090】
[実施例1]
本発明に使用される図2に示すような可逆性感熱記録シート7を用いて、図4に示す可逆性感熱記録媒体9を製造した。当該可逆性感熱記録シート7の各層の組成、およびカード等に適用して製造する際の工程について以下に示す。
【0091】
可逆性感熱記録シート7の作成
1.基材6
厚さ25μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET.東洋紡績(株)製、商品名E5100)を用意した。
【0092】
2.可逆性感熱記録層3
下記の組成の材料を容器に入れ、直径2mmのジルコニアビーズを加えてペイントシェーカーにより60分間分散して塗料を調製し、#26のワイヤーバーで前記基材12表面上に塗工し、乾燥させ(80℃、5分間)、紫外線照射(160W/cm、30m/分、1パス)を行って、乾燥膜厚6μmの可逆性感熱記録層3を形成した。
【0093】
・ロイコ染料(3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、山本化成(株)製、商品名ODB) 20重量部
・顕減色剤(N−(4−ヒドロキシフェニル)−N' −n−オクタデシル尿素、特開平6−210954) 60重量部
・熱可塑性樹脂(アクリル樹脂、三菱レイヨン(株)製、商品名ダイヤナールBR−80) 60重量部
・紫外線硬化型樹脂(BASF(株)社製、商品名LAROMER LR8864) 20重量部
・光重合開始剤(チバガイギー(株)製、商品名ダロキュア1173)1重量部
・溶剤(MEK:トルエン=1:1) 1000重量部
【0094】
保護層1の形成
可逆性感熱記録層3上に、以下のような保護層形成用樹脂を塗工した後、紫外線を照射して、保護層1を形成した。
【0095】
保護層形成用樹脂
下記の組成の材料を容器に入れ、直径2mmのジルコニアビーズを加えてペイントシェーカーで10分間分散して塗料を調製し、#4のワイヤーバーで前記可逆性感熱記録層3上に塗工し、乾燥させて(60℃、10分間)、紫外線照射(160W/cm、30m/分、1パス)を行い、乾燥膜厚2μmの保護層を形成した。この保護層表面の表面粗さを測定したところ、Ra=0.40μmであった。
【0096】
・紫外線硬化型塗料(大日本インキ化学工業(株)製、商品名ユニディック17−806、固形分80%) 100重量部
・シリカ(平均粒子径2.5μm、富士シリシア化学(株)製、商品名サイリシア436) 7重量部
・シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、商品名KF96) 3重量部
・溶剤(MEK:トルエン=1:1) 150重量部
【0097】
3.接着層
下記の組成の塗料を#10のワイヤーバーで可逆性感熱記録層3が設けられた基材12と反対の面上に塗工し、乾燥させて(80℃、5分間)、乾燥膜厚3μmの接着層を形成した。
【0098】
・変成エーテル型ポリエステル接着剤(富士フイルム(株)製、商品名スタフィックスSOC−30−M、固形分30%) 2重量部
・溶剤(MEK:トルエン=1:1) 1重量部
このようにして、可逆性感熱記録シート2Aを作成した。
【0099】
次に、上記構造の可逆性感熱記録シート2Aと、基体シート5とを以下のようにして熱融着した。基体シート5として、透明硬質ポリ塩化ビニルシート/白色硬質ポリ塩化ビニルシート/白色硬質ポリ塩化ビニルシート/透明硬質ポリ塩化ビニルシートの積層体を用いた。
【0100】
熱融着
熱融着は、以下の熱接着と、その後の熱貼合により行った。
1.熱接着
上記構造の可逆性感熱記録シートを、厚さ100μmの透明硬質ポリ塩化ビニルシートに100℃に加熱したゴムロールを押し当てて接着した。
【0101】
2.熱貼合
図2に示すように可逆性感熱記録層3が形成された透明硬質ポリ塩化ビニルシート(オーバーシート)と、印刷8を施した2枚の厚さ280μmの白色硬質ポリ塩化ビニルシート(コアシート)及び厚さ100μmの透明硬質ポリ塩化ビニルシート(オーバーシート)とを重ね合わせ、前記保護層上に保護フィルムとして厚さ20μmの低密度ポリエチレンフィルム(ビカット軟化点90℃、ショアD硬度48)を介して鏡面板を挟持した。またこれとは反対面の透明硬質ポリ塩化ビニルシート側にも鏡面板を挟持させて、熱プレス機で温度135℃、圧力50kg/cm2 の条件で10分間熱プレスし、その後、保護フィルムを除去した。
【0102】
抜き加工
このようにして可逆性感熱記録層3が形成された融着体を、金型でJIS X6301に規定された外形に抜いて、可逆性感熱記録媒体9のカードを製造した。このカードの保護層の表面粗さをJIS B 0601に規定される方法で測定した。結果を表1に示す。
【0103】
[実施例2]
前記実施例1で用いたものと同じ可逆性感熱記録シート7を用意した。
次にこの可逆性感熱記録シート7と、基体シート4とを以下のようにして加熱融着した。基体シートとして、透明PETG/白色PETG/白色PETG/透明PETGの積層体を用いた。
【0104】
加熱融着
加熱融着は、以下の熱接着とその後の熱貼合により行った。
1.熱接着
上記可逆性感熱記録シート7を厚さ100μmの透明PETGに100℃に加熱したゴムロールを押し当てて接着した。
【0105】
2.熱貼合
図2に示すように可逆性感熱記録層3が形成された透明PETG(オーバーシ−ト)と、印刷8を施した2枚の厚さ280μmの白色PETG(コアシート)と厚さ100μmの透明PETG(オーバーシート)とを重ね合わせ、前記可逆性感熱記録シート7の保護層2上に保護フィルム1として厚さ20μmの低密度ポリエチレンフィルム(ビカット軟化点90℃、ショアD硬度48)を介して鏡面板を挟持した。またこれとは反対面の透明PETG側にも鏡面板を挟持させて、熱プレス機で温度135℃、圧力50kg/cm2 の条件で5分間熱プレスし、その後、保護フィルムを除去した。
【0106】
抜き加工
このようにして可逆性感熱記録層3が形成された融着体を、金型でJIS X6301に規定された外形に抜いて、可逆性感熱記録媒体9のカードを製造した。このカードの保護層の表面粗さをJIS B 0601に規定される方法で測定した。結果を表1に示す。
【0107】
[実施例3]
実施例1で、保護フィルムを厚さ20μmの粗面化ポリエチレンテレフタレートフィルム(粗面化PET:表面粗さRa 1.0μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を製造した。結果を表1に示す。
【0108】
[比較例1]
保護フィルム1として、厚さ20μmのポリプロピレンフィルム(ビカット軟化点102℃、ショアD硬度83)を用いた以外は実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を製造した。結果を表1に示す。
【0109】
[比較例2]
保護フィルム1として、厚さ20μmのポリプロピレンフィルム(軟化点102℃、ショアD硬度83)を用いた以外は実施例2と同様にして、可逆性感熱記録媒体を製造した。結果を表1に示す。
【0110】
[比較例3]
保護フィルム1を用いなかった以外は実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を製造した。結果を表1に示す。
【0111】
【表1】
Figure 0004278016
【0112】
印字・消去試験
このようにして得られた実施例1〜2および比較例1〜2のそれぞれのカードを用いて、カード表面にごみ、ほこりが付着するような環境下で、印字・消去試験を行った。結果を表1に示す。
【0113】
実施例1〜3のカードは、表1に示すように、300回を越える印字・消去後でも、カード表面は、擦り傷等の発生が見られなかった。特に、実施例2においては、印字・消去回数が1000回を越えていたが、表面に擦り傷等の発生が見られなかった。
これに対し、比較例1〜3のカードは、印字・消去をそれぞれ、20回および50回行った結果、カード表面に視認できるほどの大きさの擦り傷が多数入ってしまい、カードの見た目が極端に悪化した。
【0114】
【発明の効果】
本発明に係る製造方法は、鏡面板を用いる熱板100を用いる既存の製造装置を用いながら、保護層表面の微細な凹凸がつぶれることがないように、鏡面板と保護層との間に保護フィルムを挟持させて加熱融着して、可逆性感熱記録媒体が得られる。
【0115】
したがって、得られた可逆性感熱記録媒体は、該可逆性感熱記録媒体表面にごみ、ほこりが付着した状態で印字・消去を繰り返しても、該可逆性感熱記録媒体に傷がつきにくく、印字・消去の繰り返しの耐久性能を大幅に向上させることができる。
しかもこのような可逆性感熱記録媒体は、サーマルヘッド表面を清浄にする機能を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可逆性感熱記録媒体の製造方法の加熱融着工程を略説明した図である。
【図2】本発明に使用される可逆性感熱記録シートの構成例を示す断面図である。
【図3】本発明に係る可逆性感熱記録媒体の製造方法の加熱融着工程を略説明した図である。
【図4】本発明に係る可逆性感熱記録媒体の製造方法によって得られた可逆性感熱記録媒体の構成断面図である。
【符号の説明】
1 保護フィルム
2 保護層
3 可逆性感熱記録層
4 基体シート
5 接着剤
6 基材
7 可逆性感熱記録シート
8 印刷
9 可逆性感熱記録媒体
10 鏡面板
100 熱板

Claims (2)

  1. 少なくとも基体シートと可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体の製造方法であって、
    可逆性感熱記録シートを形成するシート形成ステップと、
    前記可逆性感熱記録シートを前記基体シート上に過熱融着する過熱融着ステップと、を有し、
    前記シート形成ステップは、基材上に可逆性感熱記録層と中間層と保護層とを形成し、
    前記過熱融着ステップは、前記可逆性感熱記録シートの保護層上に保護フィルムを介して、前記基体シートと前記可逆性感熱記録シートとを熱プレスして加熱融着し
    前記保護フィルムは、ビカット軟化点が、60〜135℃であり、かつ、ショアD硬度が、30〜80であることを特徴とする可逆性感熱記録媒体の製造方法。
  2. 前記保護フィルムは、少なくともポリエチレンフィルム、EVAフィルムまたはアイオノマーフィルムから選択される1種であることを特徴とする請求項1載の可逆性感熱記録媒体の製造方法。
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