JP4416065B2 - 感熱記録媒体 - Google Patents
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Description
本発明は、感熱記録媒体に関し、さらに詳細には、耐傷性の高い感熱記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録層を有する感熱記録媒体は、感熱記録層がロイコ系色素と、顕色剤とを有し、これに、バインダー樹脂および炭酸カルシウムなどの添加剤が含まれているものが知られている。
このような感熱記録層を有する感熱記録媒体を製造するには、基材上に感熱記録層を形成し、さらに文字等の印刷層を基材裏面側および/または感熱記録層側に形成し、その上に保護層を設けることが一般的であり、また、効率的に大量生産を行うには、ロールシートの状態でいわゆるロ−ルツウロール(roll to roll)で全工程を行うことが望ましい。しかし、実際には、絵柄や文字等の印刷層は顧客や用途毎に異なる内容のものを施す必要があるため、共通する構成である基材上に感熱記録層を形成する工程までをロールの状態で行い、次にこれをシートカットして顧客や用途に応じたロット毎にそれぞれの印刷層を施す工程が採用されていた。この際、感熱記録層はシートカットする工程やその後の搬送工程、積み重ねる工程等で傷が発生しやすく、これが原因で発色性や耐アルコール性などの性能が低下するおそれが高かった。また、こうした感熱記録層への傷の発生あるいは付着を防止するため、感熱記録層上に予め中間保護層を形成した後、シートカットして、その後の印刷層や保護層の形成を行うことも考えられるが、この場合には工程が1以上増加してしまい、効率的に生産することが妨げられていた。
【0003】
本発明は、このような少ロットで生産する際の感熱記録媒体の耐傷性、発色防止を向上させることのできる感熱記録媒体を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の感熱記録媒体の発明は、基材と、感熱記録層と、印刷層と、保護層とを有する感熱記録媒体であって、前記感熱記録層は、発色剤と顕色剤と滑剤とを有し、滑剤含量が、1.39〜2.74重量%であり、JIS K 5400で測定した前記滑剤の分散度が、8〜35であり、前記保護層の膜厚が、1〜3μmであることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係る感熱記録媒体および感熱記録媒体の製造方法について、図面を参照しつつ、順に説明する。
本発明に係る感熱記録媒体は、たとえば図1に示すように、基材3と、感熱記録層1と、印刷層2とを有している。
【0012】
基材3
塩素含有重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体など、
ポリエステル樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、あるいはテレフタール酸またはイソフタール酸などの酸成分と、エチレングリコールまたはシクロヘキサンジメタノールなどのアルコール成分との縮合エステル樹脂(たとえばPETG:イーストマンケミカル社の商標)など、
生分解性プラスチック樹脂;ポリ乳酸系樹脂、デンプンと変性ポリビニールアルコール等とからなる天然高分子系樹脂、β―ヒドロキシ酪酸とβ―ヒドロキシ吉草酸とからなる微生物産生の樹脂等。
さらにポリアセテート、ポリスチレン(PS)、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリカーボネート(PC)、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂シートまたは合成紙等が挙げられ、これら上記材料を適宜組合せてもよく、これら上記の材料を積層したものでもよい。これら基材の厚さは通常、10〜50μm程度であってもよい。
このような基材3の厚さは限定されないが、通常、50〜300μm程度である。
【0013】
[感熱記録層1]
本発明に係る感熱記録媒体に使用される感熱記録層1は、ロイコ系色素と顕色剤とを有している。他に、バインダー樹脂を有することができる。このような感熱記録媒体を発色させるには、サーマルヘッド等の加熱手段を用いることができる。
【0014】
ロイコ染料
ロイコ染料は、通常無色ないし淡色であり、このようなロイコ染料としては、クリスタルバイオレットラクトン、3−インドリノ−3−p−ジメチルアミノフェニル−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、2−(2−クロルフェニルアミン)−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−ブチルアニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)−フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−N−メチルシクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチルペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を挙げることができる。
【0015】
ここで、通常無色ないし淡色のロイコ染料としての電子供与性染料前駆体は、1種使用してもよく、または2種以上を混合して使用してもよい。
【0016】
顕色剤
本発明に使用される顕色剤としては、感熱記録媒体の分野で用いられる公知の顕色剤が使用できるが、このような顕色剤として、たとえば、ビス−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)−スルフォン、2,4−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4' −イソプロピリデンフェノール、ベンジル−p−ヒドロキシベンゾエート、4,4' −ジヒドロキシ−3,5' −ジアリルジフェニルスルフォン、メチルービス(ヒドロキシフェニル)アセテート、没食子酸エステル、p−フェニルフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−ヒドロキシ−4' −イソプロポキシ−ジフェニルスルフォン等が挙げられる。
【0017】
滑剤
本発明に使用される感熱記録層には、前記したロイコ系色素と顕色剤の他に、滑剤が含まれている。
このような本発明で使用される滑材としては、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、シリコーンなどのワックス類が挙げられる。さらに、木ろう、シェラックみつろう、ラノリン、モンタンワックス、セレシンワックス、牛脂、椰子油および上記したワックスの誘導体なども含まれる。
このような滑剤の中で、本発明に使用される滑剤としてワックス類が好ましく、この中でも、JIS K 5400に規定される分散度が2〜45であり、4〜45の固形のものが好ましく、特に、前記分散度が7〜40の固形のワックス類が好ましい。このような分散度の範囲内にあれば、得られた感熱記録媒体の感熱記録層は、耐傷性に優れ(傷が付きにくい)、また、印字の際の発色特性およびアルコール試験などの物理特性に優れている。このような分散度が前記値より小さい場合には、耐傷性が低下するため好ましくなく、また、分散度が前記値を越える場合には、発色特性が低下しアルコール試験などの物理特性が低下するため、好ましくない。
このような感熱記録層における滑剤の添加量は、固形分換算で、0.8〜6.5重量%、好ましくは、1.2〜6重量%程度含まれることが好ましい。
【0018】
バインダ樹脂
本発明に使用される感熱記録層には、上記したロイコ系染料と、顕色剤および滑剤の他に、バインダ樹脂を用いていてもよい。
このようなバインダ樹脂としては、感熱記録材料に使用される公知のバインダ樹脂が用いられるが、たとえば、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のラテックスなどがあげられ、特にロイコ系染料および顕色剤の分散性にすぐれ、耐久性にすぐれた感熱記録層1が得られるため、熱可塑性樹脂の分子内に二重結合を導入して、紫外線または電子線硬化性とした樹脂として、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体にアクリル酸またはメタクリル酸をエステル重合させた樹脂を使用することもできる。これらの上記樹脂は単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0019】
このように、本発明に使用される感熱記録層1は上記した材料を用い、溶媒あるいは分散媒を用いて公知の混合法により混合し、塗工した後乾燥して得られる。この際に採用される塗工方法は、公知の方法、たとえばオフセット印刷、スクリーン印刷や、グラビアコーター、バーコーター、ナイフコーター等により、層状に形成することができる。これら感熱記録層1は、基材上の片面あるいは両面の一部あるいは全面に形成される。この際に、基材面に直接あるいは他の層を介して感熱記録層を設けることができる。本発明では、前記他の層は特に限定されない。すなわち、以下に記載する各層のうちから、適宜選択可能であり、また、以下の説明に限定されず、感熱記録媒体として公知の層を用いることもできる。
このような感熱記録層1は、たとえば3〜6μm程度の厚さに形成される。
【0020】
なお、本発明で使用される感熱記録層1は、上記したような感熱記録層を有することが好ましいが、例えば、長鎖アルキル基を有するフェノール性化合物等の顕色剤(顕減色剤)とすることにより、感熱記録層1を、加熱温度または加熱時間の違いにより発色と消色とを繰り返すことのできる可逆性感熱記録層とすることもでき、さらに感熱記録層と、可逆性感熱記録層とを設けることもできる。また、前記可逆性感熱記録層に使用する顕色剤(顕減色剤)として、当該分野で公知の材料として一般的に使用されているものを用いることができる。
【0021】
印刷層2
本発明に使用される印刷層2は、感熱記録媒体の分野で通常絵柄層あるいは印刷層として用いられているものが使用される。
このような印刷層2は、いわゆる地紋などの画像情報および/または印字情報などあらゆる情報等を、適宜選択しあるいは組み合わせ、これらを印刷することによって得ることができる。このような印刷層2は、たとえば色彩、濃淡、反射度の違いなどの光学的な変化を示すように形成することもできる。
本発明に係る感熱記録媒体は、このような印刷層2を含んでいればよく、たとえば上記感熱記録層1上に印刷層2を設けることもできる。
【0022】
本発明では、さらに、以下のような層を有することもできる。
磁気記録層4
磁気記録層4は、従来の磁気記録媒体において磁気記録層として一般に用いられているものを用いることが出来る。
例えば、磁性材料として粒径10μm以下好ましくは0.01〜5μmのBa−フェライト、Sr−フェライト、Co被着γ−Fe2 O3 、γ−Fe2 O3 、針状鉄粉、CrO2 などが挙げられる。このような磁性材料の他に、ポリエステル系樹脂、アルキッド系樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂又はそれらの混合樹脂をバインダー樹脂として用いることが出来る。
バインダー樹脂と磁性材料との混合比は、基材2との接着性や塗膜強度及び磁気ヘッドによる検出電圧等を考慮して適宜設定される。このようなバインダー樹脂と磁性材料との混合比は通常、重量比で、バインダー樹脂/磁性材料=1/1〜1/10の範囲、好ましくは1/2〜1/8程度である。
磁気記録層を含む場合には、この磁気記録層の厚さは通常、5〜20μm程度である。
【0023】
隠蔽層5
隠蔽層5は、磁気記録層4の色彩を視覚的に隠蔽すると共に感熱記録層1の発色の色彩に対し十分なコントラストを付与するような色彩を有する。本発明においては、隠蔽層5は、アルミニウムペースト等の金属粒子や酸化チタン等の金属酸化物粒子により着色して形成することができる。
【0024】
隠蔽層5に含有される金属粒子として、アルミニウム、亜鉛または銅等が挙げられ、金属酸化物粒子としては酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらは樹脂溶液中に分散した状態で用いることができ、塗工して隠蔽層5を形成する。また隠蔽層5として金属蒸着層を用いる場合は、アルミニウム、亜鉛、銅、ニッケル、金、銀、スズ等を蒸着により形成することもできる。
このような隠蔽層5の厚さは例えば1〜5μm程度である。なお本発明では、前記隠蔽層に接着機能を付与した隠蔽接着層とすることができる。このような接着機能を付与する方法としては、上記したバインダ樹脂を着色して形成することができる。
【0025】
保護層
保護層は、感熱記録層上または感熱記録層と印刷層を覆うように設けることができる。このような保護層としては、通常保護層8として使用されているものであれば特に制限なく用いられるが、好ましくは、紫外線硬化型樹脂を用いて構成することができ、この保護層には、シリカ等の充填材が含有されていてもよく、また、必要に応じて、さらに、分散剤、フッ素系などの界面活性剤、導電剤、充填剤、シリコーンなどの滑剤、酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、発色安定化剤、消色促進剤などを含むこともできる。
【0026】
アンカー層
アンカー層は、各層間の密着性を上げるために設けられる層であり、各層間にアンカー層を適宜設けることができる。このようなアンカー層を構成する樹脂としては、具体的には、ポリエステル樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、不飽和ポリエステルアクリレート系樹脂などが挙げられる。なお前記したアクリレート系樹脂は、紫外線硬化性樹脂であっても良い。
【0027】
層構成例
本発明に係る感熱記録媒体は、図1に示すように、基材と、感熱記録層と、印刷層とを有していればよいが、さらに、磁気記録層4などの層を設けることもできる。このような層の順番は任意であってもよいが、本発明では層の積層例として、たとえば基材3/磁気記録層4/隠蔽層5/感熱記録層1/印刷層2/保護層とが設けられる構成の感熱記録媒体、あるいは基材3/磁気記録層4/隠蔽層5/感熱記録層1/保護層/印刷層2の感熱記録媒体とすることもでき、さらに、図2に示すように、印刷層2/感熱記録層1/基材3/磁気記録層4/隠蔽層5/感熱記録層1/印刷層2とする構成を採用することができる。なお上記層構成において、最上層あるいは最下層に保護層を設けるかあるいは省略することも適宜変更可能である。
【0028】
本発明に係る感熱記録媒体は、上記したような層を基材上の片面または両面の一部もしくはこれらの面全面に、積層することによって得られる。基材上に層を形成する方法としては、オフセット印刷、スクリーン印刷などの印刷法や、グラビアコーター、バーコーター、ナイフコーター等を用いて公知の方法により作製することができる。
【0029】
このような本発明に係る感熱記録媒体の製造方法としては、特に、基材上に特定の滑剤を特定量含む感熱記録層を形成した後に、この感熱記録層上に保護を目的とする層を形成せずに、印刷層を直接形成することができる。
また本発明では、図3に示すように、ロール状態で基材を搬送させながら特定の滑剤を特定量含む感熱記録層形成用塗料を塗布乾燥して感熱記録層を形成した後にシートカットし、その後、印刷層を常法に従い形成した後に保護層を形成して感熱記録媒体を製造することを特徴とする。
この感熱記録層形成用塗料を調製する際に使用されるロイコ染料、顕色剤、滑剤およびバインダーの混合する順序は問わず任意であり、あるいは同時に混合してもよく、また混合方法は、攪拌などの公知の方法が広く採用できる。
【0030】
また塗布乾燥工程における乾燥温度は、周囲の温度、気圧、湿度および乾燥炉の大きさ(乾燥炉長)により多少変化するが、概ね40〜100℃の範囲で、好ましくは60℃〜100℃の範囲で行われる。なお使用される滑剤が常温で固形であり、融点を有する場合には、上記温度は、概ね40〜融点未満の温度で、好ましくは40〜100℃の範囲で、より好ましくは60℃〜100℃の範囲で行われる。このように融点を有する滑剤を用いた場合には、融点以下の温度で乾燥することにより、滑剤の分散度が実質的に変化せず、得られる感熱記録層およびこのような感熱記録層を有する感熱記録媒体は、耐傷性に優れ、発色性、物理的特性にも優れる。
このような乾燥工程により基材上に感熱記録層が設けられた感熱記録形成用シートは、滑剤が感熱記録層上に密集等して形成されると推測され、このような基材上に感熱記録層が形成されたシートは、滑り性が向上して傷が付きにくくなるものと推定される。
【0031】
このような本発明によって、従来、基材上に感熱記録層を形成して得られた感熱記録媒体用シートをシートカットする前に、感熱記録層に搬送時あるいはシートカット時に傷の発生を防止するために、保護層を設ける工程を省略することが可能となる。このような本発明に係る感熱記録媒体の製造方法によって、製造工程の一部が省略可能となり、得られる感熱記録媒体の歩留まりの向上がさらに図れる。
なお本発明では、基材上に磁気記録層を介して感熱記録層を形成する場合には、基材上に磁気塗工を常法に従い形成した後エージング処理して隠蔽層を形成し、その後、隠蔽層上に感熱記録層を前記同様にして形成し、その後、前記同様にしてシートカット等することによって、感熱記録媒体が製造される。
【0032】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に拘束されて解釈すべきものではない。
【0033】
実施例1
基材として厚さ188μmの白色PETロールシート上に、下記の組成の感熱記録層形成用塗料を塗工して、乾燥膜厚が4〜5μmの感熱記録層を形成した。
【0034】
感熱記録層形成用塗料
染料(固形分38.5重量%) 100重量部
顕色剤(固形分34.5重量%) 200重量部
バインダー樹脂(アクリル樹脂:固形分56.5重量%) 55重量部
分散媒(トルエン) 35重量部
ポリエチレンワックス(分散度25:固形分56.5重量%) 30重量部
【0035】
次に、得られた感熱記録媒体形成用シートをシートカットし、シートカットした感熱記録層上に、紫外線硬化性インキを用いて、絵柄、文字等の印刷を行った。その後、紫外線硬化型塗料を塗工し、紫外線照射により硬化させて乾燥膜厚が1μmの保護層を形成して図1に示す感熱記録媒体を作製した。得られた感熱記録媒体を、以下の試験により評価した。
【0036】
耐傷性試験
硬度H の鉛筆を用いて耐傷性試験を行い、以下の基準で評価を行った。
○:4/5以上合格(傷無し) △:2/5以上合格 ×:全て傷あり
発色性試験
熱傾斜試験機を用い、140℃、1秒、200g/cm2の印字条件で、マクベス濃度計RD918による濃度値を測定して評価した。
○:1.5以上 △:1.5未満 ×:スティキング測定不能
【0037】
物理特性試験
高純度のエタノールを感熱記録媒体上に滴下して2分間放置後、ガーゼでふき取り外観を目視により以下の基準で評価した。
○:変化無し △:若干曇りあり ×:感熱記録層が発色
このような評価法により、得られた感熱記録媒体を評価した。
結果を表1に示す。
【0038】
参考例2〜6及び実施例7〜9
感熱記録層形成用塗料を表1に示す組成の塗料に換えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録媒体を作製した。得られた感熱記録媒体を実施例1と同様にして試験を行った。結果を表1に示す。
【0039】
比較例1〜4
感熱記録層形成用塗料を表1に示す塗料に換えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録媒体を作製した。
得られた感熱記録媒体を実施例1と同様にして試験を行った。
結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例1及び参考例2〜6と比較例1〜4とを比較すると、比較例1はワックスが感熱記録層に配合されていない例であり、得られた感熱記録媒体の耐傷性が劣っていた。比較例2は、感熱記録層に用いられた滑剤の量が8.99重量%(固形分換算)と多く用いた場合の例であり、この感熱記録媒体は、発色特性および物理特性が劣っていた。比較例3は感熱記録層に用いられた滑剤の量が0.47重量%(固形分換算)と少ない例であり、得られた感熱記録媒体は、耐傷性が劣っていた。比較例4は分散度が本発明の範囲を越えた例であり、得られた感熱記録媒体は、発色性が多少悪く、特に物理特性に劣っていた。
これに対し、実施例1、7〜9は本発明に係る感熱記録媒体であり、耐傷性、発色性および物理特性がともにバランスよく、ワックス含量が0.8〜6.5重量%であり分散度が2〜45程度の組み合わせのものを使用することで、耐傷性、発色性および物理特性がともにバランスのよい感熱記録媒体が製造される。好ましくは、使用されるワックスが固形分換算で0.8〜6重量%の範囲であり、分散度が2〜45であり、特に好ましくは、使用されるワックスが固形分換算で1.2〜3重量%の範囲であり、かつ分散度が8〜25程度のものが最も望ましい。このような範囲の特定のワックスを用いることにより、特に、耐傷性、発色性および物理特性がともにバランスのよい感熱記録媒体が製造される。
【0042】
実施例10
基材として厚さ188μmの白色PETロールシートの表面(おもてめん)上に、下記の組成の磁気層形成用塗布液を用いて磁気塗工した。
【0043】
磁気層形成用塗布液
磁性粉(戸田工業製:MC127) 250重量部
ポリエステル樹脂 100重量部
分散剤 1重量部
硬化剤(日本ポリウレタン:コロネートL) 7重量部
MEK(メチルエチルケトン) 110重量部
トルエン 110重量部
酢酸ブチル 110重量部
【0044】
得られた磁気記録層(厚さ10〜13μm)上に、下記の組成の隠蔽層形成用塗布液を用いて塗工し乾燥して、1〜2μmの厚さに隠蔽層を形成した。
隠蔽層形成用塗布液
アルミニウムペースト(旭化成製) 100重量部
バインダー樹脂(DIC製、ポリオール) 200重量部
MEK 60重量部
トルエン 100重量部
【0045】
基材のおもて面の前記隠蔽層上および基材の裏面上の双方に、乾燥膜厚が5〜10μmの感熱記録層となるように、下記の感熱記録形成用塗布液を塗工した。
【0046】
感熱記録層形成用塗布液
染料(昭和電工製:固形分38.5重量%) 100重量部
顕色剤(固形分34.5重量%) 200重量部
バインダー樹脂(アクリル樹脂:固形分56.5重量%) 55重量部
分散媒(トルエン) 35重量部
ポリエチレンワックス(分散度25:固形分56.5重量%) 30重量部
【0047】
次いで得られた感熱記録媒体形成用シートをシートカットし、表面(おもて面)全面に紫外線硬化性アンカー層用塗料を塗工した後紫外線を照射して乾燥膜厚が1〜3μmのアンカー層を形成した後、裏面にも、同様にしてアンカー層を形成した。次に裏面にスミインキを用いて1〜3μmの厚さに文字等を印刷して印刷層を形成し、次いでおもて面に印刷層を形成した後、印刷層が設けられた基材のおもて面および裏面上に紫外線硬化型樹脂塗料を塗工後、紫外線を照射して1〜3μmの厚さに保護層を形成した。次ぎに抜き工程により所定の大きさに打抜いて感熱記録媒体を作製した。得られた感熱記録媒体を実施例1と同様に評価したところ、両面とも実施例1と同様の良好な試験結果が得られた。なお本感熱記録媒体の製造において、おもて面に保護層と印刷層を設けているが、その積層の順番を換えてもよく、また、裏面の保護層と印刷層の積層の順番も前記同様に換えてもよい。また、この実施例10では、基材の両面にそれぞれアンカー層を形成した後、それぞれ印刷層を形成後、保護層を形成しているが、いずれか一方の面に、アンカー層、印刷層および保護層を形成した後、これらの層を形成した面と反対面に、前記同様に、アンカー層、印刷層および保護層を形成してもよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明に係る感熱記録媒体は、基材上に設けられた感熱記録層上に印刷層と、保護層とを有するこの感熱記録媒体中の感熱記録層は、発色剤と顕色剤と滑剤とを有し、滑剤含量が、1.39〜2.74重量%であり、JIS K 5400で測定した滑剤の分散度が8〜35であるので、耐傷性、発色性および物理特性がともにバランスに優れており、アルコール等の極性溶媒に侵食されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る感熱記録媒体の層構成の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る感熱記録媒体の他の層構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る感熱記録媒体の製造方法の一例を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1 感熱記録層
2 印刷層
3 基材
4 磁気記録層
5 遮蔽層
10 感熱記録媒体形成用シート
11 乾燥炉
Claims (1)
- 基材と、感熱記録層と、印刷層と、保護層とを有する感熱記録媒体であって、前記感熱記録層は、発色剤と顕色剤と滑剤とを有し、滑剤含量が、1.39〜2.74重量%であり、JIS K 5400で測定した前記滑剤の分散度が、8〜35であり、前記保護層の膜厚が、1〜3μmであることを特徴とする感熱記録媒体。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2000218829A JP4416065B2 (ja) | 2000-07-19 | 2000-07-19 | 感熱記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000218829A JP4416065B2 (ja) | 2000-07-19 | 2000-07-19 | 感熱記録媒体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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