JP3723936B2 - 感熱発色・感熱消色式のホワイトボード及び同発,消色方法 - Google Patents
感熱発色・感熱消色式のホワイトボード及び同発,消色方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3723936B2 JP3723936B2 JP06957696A JP6957696A JP3723936B2 JP 3723936 B2 JP3723936 B2 JP 3723936B2 JP 06957696 A JP06957696 A JP 06957696A JP 6957696 A JP6957696 A JP 6957696A JP 3723936 B2 JP3723936 B2 JP 3723936B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- whiteboard
- thermosensitive recording
- reversible thermosensitive
- heat
- thermal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Drawing Aids And Blackboards (AREA)
- Heat Sensitive Colour Forming Recording (AREA)
- Facsimiles In General (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度条件の変化に伴う発色,消色を利用して、消去時にダストが発生しないように改良されたホワイトボードに関するものである。本発明においてホワイトボードとは、白色ないし淡色の掲示面上に、繰り返し現示,消去できる画像を標示する板状の部分を有する機器を総称する意である。
【0002】
【従来の技術】
チョークを用いて黒板上に筆記し、黒板拭きで払拭して消去することを反復する方式に比して、ホワイトボード上にマーカーで描画し、イレーザーで払拭して消去する方式は、ダストの発生を減少させる効果が顕著であり、生活環境を好適に維持する必要性の高い病院,事務室,および或る種の工場などにおいて賞用されている。
しかし乍ら、マーカーでホワイトボード上に文字,記号,図形など(以下、画像情報という)を描画する方式においても、イレーザーで消去する際に若干のダストが発生する。
最近、生活環境保全に関する要求レベルが高くなり、前記若干のダストの発生についても一層の減少が要求される。特に、半導体製造工場,医薬品製造工場,食品加工工場等のクリーンルームにおいてはダスト発生ゼロが要請される。
上記のダストゼロ要請に応じ得るものとして、温度条件の変化に伴って透明度が変化する感熱記録材料が公知(詳細は以下に述べる)であり、これを利用した電子黒板も提案されている(特開平7−68992号・サーモクロミックフィルムを用いた電子黒板)。
【0003】
感熱記録材料は一般に支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と電子受容性の顕色剤とを主成分とする感熱記録層を設けたものであり、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱することにより、染料前駆体と顕色剤とが瞬時反応し記録画像が得られるもので、特公昭43−4160号、特公昭45−14039号等に開示されている。
一般にこのような感熱記録材料は、一度画像を形成するとその部分を消去して再び画像形成前の状態に戻すことは不可能であるため、さらに情報を記録する場合には画像が未形成の部分に追記するしかなかった。このため感熱記録部分の面積が限られている場合には、記録可能な情報が制限され必要な情報を全て記録できないという問題が生じていた。
【0004】
近年、この様な問題に対処するため画像形成・画像消去が繰り返して可能な可逆性感熱記録材料が考案されており、例えば、特開昭54−119377号、特開昭63−39377号、特開昭63−41186号では、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散された有機低分子から構成された感熱記録材料が記載されている。しかしこの方法は、熱エネルギーによって感熱記録材料の透明度を可逆的に変化させるものであるため、画像形成部と画像未形成部のコントラストが不十分である。
また、特開昭50−81157号、特開昭50−105555号に記載された方法においては、形成する画像は環境温度に従って変化するものであるため、画像形成状態と消去状態を保持する温度が異なっており、常温下ではこの2つの状態を任意の期間保持することが出来ない。
さらに、特開昭59−120492号には、呈色成分のヒステリシス特性を利用し、記録材料をヒステリシス温度域に保つことにより画像形成状態・消去状態を維持する方法が記載されているが、この方法では画像形成及び消去に加熱源と冷却源が必要な上、画像の形成状態及び消去状態を保持できる温度領域がヒステリシス温度領域内に限られる欠点を有しており、日常生活の温度環境で使用するには未だ不十分である。
【0005】
一方、特開平2−188293号、特開平2−188294号、国際公開番号W090/11898号には、ロイコ染料と加熱によりロイコ染料を発色及び消色させる顕減色剤から構成される可逆性感熱記録材料が記載されている。顕減色剤は、ロイコ染料を発色させる酸性基と、発色したロイコ染料を消色させる塩基性基を有する両性化合物で、熱エネルギーの制御により酸性基による発色作用または塩基性基による消色作用の一方を優先的に発生させ、発色と消色を行うものである。更に、特開平5−124360号には加熱によりロイコ染料を発色及び消色させる可逆性感熱記録材料が記載されており、電子受容性化合物として有機リン酸化合物、α−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸、脂肪酸ジカルボン酸及び炭素数12以上の脂肪族基を有するアルキルチオフェノール、アルキルオキシフェノール、アルキルカルバモイルフェノール、没食子酸アルキルエステルなどの特定のフェノール化合物が例示されている。
【0006】
これらの組み合わせは、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、加熱により該染料前駆体を発色させ、これを再加熱して発色体を消色させる可逆顕色剤とを含有するものであり、発色記録画像を形成するためには加熱に引き続き急速な冷却が起これば良く、記録画像の消色を行うためには加熱後の冷却速度が遅ければ良い。例えば、適当な方法で加熱した後、低温の金属ブロックなどを押し当てる等して急速に冷却することにより、発色状態を発現させることができる。また、熱ペン、サーマルヘッド、レーザー光等を用いて極めて短い時間だけ加熱すると、加熱終了後に直ちに冷却する為、発色状態を保持させることができる。一方、適当な熱源(サーマルヘッド、レーザー光、熱ロール、熱スタンプ、高周波加熱、電熱ヒーター、及びタングステンランプやハロゲンランプ等の光源等からの輻射熱、熱風等)で比較的長い時間加熱すると、記録層だけでなく支持体等も加熱される為に熱源を除いても冷却する速度が遅いため消色状態になる。従って、同じ加熱温度、同じ熱源を用いても、冷却速度を制御することにより発色状態および消色状態を任意に発現させることができる。
【0007】
しかしながら、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、加熱により該染料前駆体を発色させ、これを再加熱して発色体を消色させる可逆顕色剤とを含有する可逆性感熱記録材料を発熱体と該可逆性感熱記録材料表面との接触部分が0.5mm直径以上の大きさの熱ペンを使用し画像を形成する場合、画像形成時に熱ペンの加圧状態によっては支持体の変形や塗層の変形を起こし、その後に画像を消去した場合、その発色跡は、反射光学濃度が地肌部と同じであるにもかかわらず、視認されてしまう欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上に説明したように従来技術においても、温度条件の変化に伴う透明化・不透明化を利用して、ダストゼロの黒板装置を試験的には開発していたが、
(イ)表示された画像情報を消去した後も、筆圧によって記録材料表面に生じた圧痕が視認されるため、反復使用可能回数が少ないこと、および、
(ロ)不透明な面に透明な線や透明な点が描かれることになるので、照明条件のいかんによって視認困難な場合が有ること、並びに、
(ハ)同様の理由によって、表示される画像情報のコントラストが不十分であって、照明条件のいかんに拘らず視認が容易でない上に、表示画像の輪郭が不鮮明である。という不具合が有った。
請求項1の発明の目的は、ダストを発生せず、消去した後に画像情報の痕跡が視認されず、表示画像のコントラストが充分で、表示画像の輪郭が明瞭に視認できる感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
【0009】
請求項2の発明の目的は請求項1の発明の目的に加えて、熱ペンによる筆記表示が容易で、かつ、発,消色のための温度制御が容易な感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項3の発明の目的は請求項2の発明の目的に加えて、表示画像情報を一時的に収納保存して上記と異なる画像情報を表示することができる、感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項4の発明の目的は請求項3の発明の目的に加えて、表示された画像情報を半永久的に保存したり、遠隔的に認識したりできる感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項5の発明の目的は請求項3,4の発明の目的に加えて、表示された画像情報を半自動的に消去できる感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項6の発明の目的は請求項3〜5の発明の目的に加えて、半自動的に、および/または遠隔的に画像情報を現示し得る感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
【0010】
請求項7の発明の目的は請求項3〜5の発明の目的に加えて、特に、手書き表示を容易に行ない得る感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項8の発明の目的および請求項9の発明の目的はそれぞれ、請求項1,2,もしくは同7の発明の目的に加えて、手動操作による画像消去を迅速,容易に、かつ完全に行ない得る感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項10の発明の目的は、請求項1〜9の発明の目的に加えて、可逆性感熱記録層の耐久性を向上せしめた感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項11の発明の目的は請求項10の発明の目的に加えて、上記請求項10の発明の構成に欠くことのできない部材である保護層の硬度制御が容易で、適正硬度の保護層を確実に構成し得る感熱発色・感熱発色式のホワイトボードを提供することである。
請求項12の発明の目的は請求項10,11の発明の目的に加えて、前記保護層の表面粗さの制御が容易で、適正な表面粗さの保護層を構成し得る感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項13の発明の目的は、熱ペンにより画像情報を手書きする場合の摩擦係数を容易に制御して、適正な摩擦係数を有し、快適な手応えと書き心地が確実に得られて使い易い感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
【0011】
請求項14の発明の目的は請求項1〜9の発明の目的に加えて、可逆性感熱記録層の耐久性が高く、しかも工業的生産に適した感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項15の発明の目的は請求項10〜14の発明の目的に加えて、可逆性感熱記録層の耐久性向上と該可逆性感熱記録層の発,消色反応感度の維持とをバランスさせた感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
【0012】
請求項16の発明の目的は、ホワイトボードからダストを発生することなく発色、消色を反復して、明瞭に視認できる発,消色方法を提供することである。
請求項17の発明の目的は請求項16の発明の目的に加えて、画像情報を発色させた部分のホワイトボードシートを一時的に収納保存しておいて、その他の部分のホワイトボードシートに上記と異なる画像情報を発色せしめ得る、ホワイトボードの発,消色方法を提供することである。
【0013】
請求項18の発明の目的は請求項16の発明の目的に加えて、発色した画像情報を半自動的ないし自動的に消去することのできる、ホワイトボードの発,消色方法を提供することである。
【0014】
請求項19の発明の目的は請求項18の発明の目的に加えて、発色した画像情報を半永久的に保存し、もしくは遠隔的に認識することのできる、ホワイトボードの発,消色方法を提供することである。
請求項20の発明の目的は請求項19の発明の目的に加えて、画像情報を半自動的ないし自動的に発色せしめ得る、ホワイトボードの発,消色方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために創作した本発明の基本的な原理について述べる。これら一連の発明の目的を達成するには、先ず、ダストを発生しない可逆性感熱記録材料を用いたホワイトボードシートを母体とし、これを改良してコントラストが高く、輪郭が明瞭なように、特に、支持体の変形や塗層の変形を起こさず、熱ペンで発色し加熱ブロックで消去した際に、発色跡が視認できないように支持体の変形や塗層の変形を抑止する必要が有る。
【0016】
本発明者らは、この課題を解決するため研究を行った結果、支持体の少なくとも片面に、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、加熱により該染料前駆体を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆顕色剤とを含有する可逆性感熱記録層を設けた可逆性感熱記録材料と、該可逆性感熱記録材料を加熱発色させうる単一発熱体を有する機器を用いた記録システムにおいて、該可逆性感熱記録材料の表面粗さRz(JIS B O6O1に規定する十点平均粗さ)が0.5から5μmであり、さらに該可逆性感熱記録材料表面を0.5mm直径のステンレススチール球を300gの加重で加圧したとき、該可逆性感熱記録材料に押圧による変形が0.1mmを超えないことを特徴とする可逆性感熱記録材料を提供することにより、本課題を解決した。
【0017】
本発明に用いる熱ペンは発熱体と該可逆性感熱記録材料表面との接触部材が0.5mm直径以上の大きさのものが好ましく、融点200℃以上の金属材料、無機材料あるいは有機材料が用いられ、適当な熱源(微小発熱体、電熱ヒーター、高周波加熱、誘導加熱またはタングステンランプやハロゲンランプ等の光源等からの輻射熱等)を有する構造である。
後に詳しく説明するように、発色反応は加熱後に急冷されたときに現出する。可逆性感熱記録材料の表面上の任意の1点を考えたとき、熱ペンの先端が上記仮想の点に摺触して通り過ぎると、該仮想の点は急に加熱された後に放冷されるが、被加熱部位が線状であってその面積が微小であると、上記の放冷は比較的急速に行なわれるので発色し易い条件が現出される。しかし、この場合、例えば可逆性感熱記録材料の層の裏側に吸熱機能を有する部材が密着している等の冷却手段が存在すれば、発色はいっそう確実に行なわれる。
【0018】
消色に用いる加熱ブロック(厚板であっても良い)は、発熱体と可逆性感熱記録材料との接触部分が熱ペンより大きく、内部または外部に適当な熱源(微小発熱体またはその集合体、高周波加熱、電熱ヒーター、誘導加熱およびタングステンランプやハロゲンランプ等の光源等からの輻射熱、熱風等)を有するもので、それを発色した部分を含む該可逆性感熱記録材料表面に押しつけるか、滑らすことで該可逆性感熱記録材料を加熱し、消色する。
後に詳しく説明するように、消色反応は加熱後に徐冷されたときに現出する。可逆性感熱記録材料表面の、ある広さを有する区域が高温部材の面接触を受けて昇温した場合、該高温部材が離間した後に比較的緩やかに降温するので消色し易い条件が現出される。しかし、この場合、例えば可逆性感熱記録材料の裏側に蓄熱機能を有する部材が密着している等の保熱・徐冷手段が存在すれば、消色はいっそう確実に行なわれる。
【0019】
本発明の可逆性感熱記録材料において、発色記録画像を形成するためには加熱に引き続き急速な冷却が起これば良く、記録画像の消色を行うためには加熱後の冷却速度が遅ければ良い。従って、同じ加熱温度および/または同じ熱源を用いても、冷却速度を制御することにより発色状態および消色状態を任意に発現させることができる。
【0020】
以下に、本願に係る一連の発明の基本となる可逆性感熱記録材料の組成および性状について説明すると、
本発明の可逆性感熱記録材料は、0.5mm直径のステンレススチール球を300gの加重で加圧したとき、該可逆性感熱記録材料に押圧による変形が0.1mmを超えないものである。押圧による変形が0.1mm以上になる可逆性感熱記録材料を熱ペンで発色させた後に、加熱ブロックで消色させても、地肌部と発色跡の反射光学濃度の差がないにもかかわらず、発色した跡が見えてしまう。これは支持体の変形や塗層の変形による光反射の差が視認できるからである。
本発明の可逆性感熱記録材料の表面粗さRzは0.5から5μmである。すなわち、該可逆性感熱記録材料の支持体に0.5mm直径のステンレススチール球を300gの加重で加圧したとき、該可逆性感熱記録材料に押圧による変形が0.1mmを超えない場合であっても、その支持体を使用して可逆性感熱記録材料を製造した場合においてRzが0.5未満の場合、熱ペンで発色させた後加熱ブロック消色させても、地肌部と消色部の反射光学濃度の差がないにもかかわらず、発色した跡が見えてしまう。これは表面粗さRzが0.5μm以下の場合、熱ペンの書き込み時に起こるわずかな塗層の破壊か/または表面粗さの変化が強調され、光反射の変化として視認できるためである。また、表面粗さRzが5μm以上でもわずかな塗層の破壊か/または表面粗さの変化が顕著となり、光反射の変化として視認できる。いずれの場合にも、塗層の破壊か/または表面粗さの変化が目立ちやすいため、すなわち繰り返して発色/消色したとき、少ない回数で可逆性感熱記録材料がいたんだように見えてしまい、すなわち繰り返し使用回数が減少したように見えてしまう。
【0021】
本発明の通り表面粗さRzが0.5〜5μmの範囲にあるときは、わずかな塗層の破壊か/または表面粗さの変化は目立ちにくく、すなわち発色した跡の光反射の変化は全く視認できないか、視認しづらい。そのため繰り返して発色/消色したときにも、より多い回数でも可逆性感熱記録材料がいたんだように感じられず、すなわち繰り返し使用回数が増加する。
【0022】
また、表面粗さRzが0.5μm以下の場合、表面光沢があり読みづらく、また熱ペンで書いた場合滑りやすく書きづらいという欠点がある。表面粗さRzが5μm以上の場合は、熱ペンで書いた場合引っかかりが多く書きづらく、また熱ペンとの接触面積が小さくなるため一様な発色が起こらず、線を描いた場合途切れた線となる欠点がある。
【0023】
本発明の通り表面粗さRzが0.5〜5μmの範囲にあるときは、適度な表面光沢のため読みやすく、また適度な粗さのために熱ペンで書きやすい。また熱ペンとの接触面積も適当であるため、一様な発色が可能である。
【0024】
本発明の可逆性感熱記録材料は、少なくとも、保護層、可逆性感熱発色層、支持体よりなる構成である。
【0025】
本発明の可逆性感熱記録材料に用いる保護層は、熱ペンによる加熱につづく熱ブロックによる加熱により、画像の書き込みと消去を繰り返し行うものであり、可逆性感熱記録層の劣化を防止するために可逆性感熱記録層の上層に保護層を設ける。保護層を形成する材料としては、水溶性高分子、ラテックス類、重合性化合物等がある。例えばボリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、メタアクリル酸エステル、アクリル酸オリゴマー、アクリル酸エステルオリゴマー等が挙げられる。また必要に応じて、エポキシ化合物、尿素誘導体、ビニル化合物等の架橋剤、リン酸系、スルホン酸系、ポリアミド系、アミン系等の硬化剤等を添加することが出来る。
また、保護層に、該可逆性感熱記録材料の表面粗さRzを0.5から5μmに調整するために顔料を含有させることもできる。ここでいう顔料は有機顔料、無機顔料のいずれでもよい。例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、焼成カオリン、タルク、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、シリカゲル、コロイダルシリカ、アルミナゾル、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、活性白土、微粉珪酸、酸化チタン、珪酸カルシウム、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、着色顔料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの顔料は単独もしくは2種以上併用できる。
【0026】
また、必要に応じて滑剤を保護層に添加することもできる。滑剤は主にワックス類であり、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、シリコーン系化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
保護層の塗布量は、熱遮断を避ける目的からより薄いことが望まれ、0.5〜5g/m2が好ましい。この範囲より少ないと良好な保護層としての機能が発現せず、この範囲より多いと感熱感度が悪化する。
本発明の可逆性感熱記録材料を構成する保護層を形成する方法は特に制限されるものではなく、従来の方法により形成することができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター等の塗抹装置、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン等の方式による各種印刷機等を用いる事ができる。さらに通常の乾燥工程の他、必要に応じ、紫外線照射、電子線照射または加熱等により保護層を保持させる事ができる。
また上記の保護層の形成によらず、予めポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のように、光を透過できるフィルムの状態にして、可逆性感熱記録層の上に貼り合わせ等の手段で保護層を形成することもできる。
【0027】
本発明に用いられる通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体としては一般に感圧記録紙や感熱記録紙等に用いられるものに代表されるが、特に制限されるものではない。具体的な例としては、例えば下記に挙げるものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)トリアリールメタン系化合物
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフエニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3’−(4’−ジエチルアミノ−2−エトキシフエニル)−4−アザフタリド等、
(2)ジフェニルメタン系化合物
4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、
(3)キサンテン系化合物
ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)トリルアミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル)プロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)イソアミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル)シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)テトラヒドロフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等、
(4)チアジン系化合物
ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等、
(5)スピロ系化合物
3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフトー(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等。
【0028】
一方、本発明に用いられる可逆顕色剤としては電子受容性化合物が好ましく、例えば、特開平2−188293号公報、特開平2−188294号公報、国際公開番号WO9O/11898号に記載のロイコ染料を発色させる酸性基と消色させる塩基性基を有する顕減色剤や、特開平5−124360号公報記載の有機ホスホン酸化合物、α−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸、脂肪酸ジカルボン酸及び炭素数12以上の脂肪族基を有するアルキルチオフェノール、アルキルオキシフェノール、アルキルカルバモイルフェノール、没食子酸アルキルエステル等を挙げることができるが、可逆的な色調変化を生じせしめる顕色剤であれば特に限定されるものではない。さらに、発色濃度や消色性の点で下記一般式化1で表されるものが特に好ましく用いられるが、下記一般式化1の化合物と同様の特性であればこれらの範囲外の化合物も本発明に用いる事が出来る。尚、式化1の化合物の合成方法は本出願人による特開平6−210954号公報、特願平5−160547号、特願平5−256825号、特願平5−317555号、特願平5−328101号及び特願平6−10310号に記載している。
【0029】
【化1】
【0030】
(式化1中、nは1から3の整数、i、j及びkは各々0または1を表す。但し、iが1の場合、jは1を示す。R1及びR2は炭素数1から18の二価の炭化水素基、R3は炭素数1から24の炭化水素基を表す。X1は−CONH−結合を少なくとも1つ以上持つ二価の基を表し、X2は−CONH−結合を少なくとも1つ以上持つ二価の基、酸素原子或いは硫黄原子を表す)。
【0031】
上記式化1で表される化合物中、R1及びR2は炭素数1から18の二価の炭化水素基であるが、基中に芳香環を含んでもよく、また芳香環のみであってもよい。X1及びX2で示される−CONH−結合を少なくとも一つ以上持つ二価の基とは、具体例にはアミド(−CONH−、−NHCO−)、尿素(−NHCONH−)、ウレタン(−NHCOO−、−OCONH−)、ジアシルアミン(−CONHCO−)、ジアシルヒドラジド(−CONHNHCO−)、しゅう酸ジアミド(−NHCOCONH−)、アシル尿素(−CONHCONH−、−NHCONHCO−)、3−アシルカルバジド酸エステル(−CONHNHCOO−)、セミカルバジド(−NHCONHNH−、−NHNHCONH−)、アシルセミカルバジド(−CONHNHCONH−、−NHCONHNHCO−)、ジアシルアミノメタン(−CONHCH2NHCO−)、1−アシルアミノ−1−ウレイドメタン(−CONHCH2NHCONH−、−NHCONHCH2NHCO−)、マロンアミド(−NHCOCH2CONH−)等の基である。
一般式化1で表される化合物は電子受容性化合物であり、ロイコ染料を発色させる能力を持つにも係わらず、特異的に消色効果すなわち可逆効果も持ち合わせている。なお、通常の感熱記録材料に用いている電子受容性化合物、即ち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等ではこのような可逆効果は全く見られない。以下に、一般式化1で示される電子受容性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
例えば、式化1中、i=O/j=O/k=Oである化合物としては、4′−ヒドロキシヘキサデカンアニリド、N−オクタデシル−4−ヒドロキシベンズアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、N−(4−ヒドロキシベンゾ)−N′−オクタデカノヒドラジド、N−(3,4−ジヒドロキシフェニル−N′−オクタデシルオキサミド等、
式化1中、i=O/j=1/k=Oである化合物としては、N−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕−N′−オクタデシル尿素、N−〔3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオノ〕−N′−オクタデカノヒドラジド、N−〔3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオノ〕−N′−ドコサノヒドラジド、1−〔3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕アミノ−1−オクタデカノイルアミノメタン、1−(4−ヒドロキシフェニルアセチル)−4−オクタデシルセミカルバジド等、
式化1中、i=1/j=1/k=Oである化合物としては、N−ヘキサデシル−(4−ヒドロキシフェニルチオ)アセトアミド、N−〔2−(4−ヒドロキシフェニルチオ)エチル〕−N′−オクタデシル尿素、N−〔4−ヒドロキシフェニルチオ)アセトーN′−ドコサノヒドラジド、N−〔11−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ウンデカノ〕−N′−デカノヒドラジド、N−〔2−(4−ヒドロキシフェニルチオ)エチル〕−N′−オクタデシルオキサミド、N−〔4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル〕−N′−オクタデシルオキサミド、N−〔4−(4−ヒドロキシフエニルチオメチル)ベンゾ〕−N′−ドコサノヒドラジド等、
式化1中、i=O/j=O/k=1である化合物としては、N−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ドデシルチオプロパンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−3−オクタデシルチオプロピル尿素、4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシー4′−ドデシルチオベンズアニリド、2−(4−オクタデカノイルアミノフェニル)−4′−ヒドロキシアセトアニリド、2−〔4−(N′−オクタデシルウレイド)フェニル〕−4′−ヒドロキシアセトアニリド等、
式化1中、i=O/j=1/k=1である化合物としては、N−〔3−(4−ヒドロキシフエニル)プロピオノ〕−N′−(3−ドデシルチオプロピオノ)ヒドラジド、N−〔3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオノ〕−N′−(11−デシルチオウンデカノ)ヒドラジド等、
式化1中、i=1/j=1/k=1である化合物としては、N−〔3−(4−ヒドロキシフェニルチオ)プロピオノ〕−N′−(3−オクタデシルチオプロピオノ)ヒドラジド、N−〔11−(3,4,5−トリヒドロキシフェニルチオ)ウンデカノ〕−N′−(11−オクタデシルチオウンデカノ)ヒドラジド等が挙げられる。
【0033】
これらの可逆顕色剤はそれぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよく、染料前駆体に対する可逆顕色剤の使用量は、5〜5000重量%、好ましくは10〜3000重量%である。
また、可逆性感熱記録層の強度を向上する等の目的でバインダーを可逆顕色剤および染料前駆体と併用する事も可能である。バインダーの具体例としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のラテックスなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
また、前記バインダーとともに、耐性向上や色調調整を目的として顔料を併用することもできる。ここでいう顔料は有機顔料、無機顔料のいずれでもよい。例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、焼成カオリン、タルク、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、シリカゲル、コロイダルシリカ、アルミナゾル、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、活性白土、微粉珪酸、酸化チタン、珪酸カルシウム、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、着色顔料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの顔料は単独もしくは2種以上併用できる。
また、可逆性感熱記録層の発色感度及び消色温度を調節するための添加剤として、熱可融性物質を可逆性感熱記録層中に含有させることができる。60℃〜200℃の融点を有するものが好ましく、特に80℃〜180℃の融点を有するものが好ましい。一般の感熱記録紙に用いられている増感剤を使用することもできる。
例えば、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどのワックス類、2−ベンジルオキシナフタレン等のナフトール誘導体、p−ベンジルビフェニル、4−アリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル等のポリエーテル化合物、炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)エステル等の炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体等を併用して添加することができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本発明の可逆性感熱記録材料に用いられる支持体としては、紙、塗工紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、ガラス等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができるし、更に、透明、半透明或いは不透明のいずれであっても良いが、これらに限定されるものではない。また支持体の厚みは、繰り返しの使用に耐える範囲であれば特に制限されないが、20〜1300μm、好ましくは40〜1000μm程度である。いずれの場合にも、少なくとも支持体の表面に0.5mm直径のステンレススチール球を300gの加重で加圧したとき、支持体に押圧による変形が0.1mmを超えないことが望ましい。
本発明においては、必要に応じて支持体と可逆性感熱記録層との間にアンダーコート層を介在させることができる。アンダーコート層は、断熱性向上、支持体と記録層との接着性向上、画像形成および画像消去などで熱が加えられる場合の支持体による熱溶融性物質の吸収防止等の目的で設置される。アンダーコート層に用いる樹脂は特に限定されないが、従来公知の水溶性及び非水溶性の各種高分子が用いられる。
本発明においては、可逆感熱記録層の上に中間層を設けることも可能である。中間層に用いる樹脂は特に限定されないが、従来公知の水溶性及び非水溶性の各種高分子が用いられる。
前記の水溶性高分子の具体例としては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メチルセルロールあるいはメトキシセルロースあるいはビドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、ポリビニルアルコール−アクリロアミド共重合体、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、等が挙げられる。これらの水溶性高分子は水溶液の形で用いられる。
【0036】
前記の非水溶液高分子の具体例としては、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらの非水溶性高分子は水性エマルジョンの形で用いられる。
前記高分子は、単独または混合して用いられ、必要があれば硬化剤を添加して樹脂を硬化させてもよい。
また、前記高分子とともに、耐性向上や接着性向上の目的で顔料を併用することもできる。ここでいう顔料は有機顔料、無機顔料のいずれでもよい。例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、焼成カオリン、タルク、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、シリカゲル、コロイダルシリカ、アルミナゾル、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、活性白土、微粉珪酸、酸化チタン、珪酸カルシウム、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、着色顔料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの顔料は単独もしくは2種類以上併用できる。
【0037】
本発明の可逆性感熱記録材料を構成する保護層以外の各層を支持体上に形成する方法は特に制限されるものではなく、従来の方法により形成することができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター等の塗抹装置、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等を用いる事ができる。さらに通常の乾燥工程の他、紫外線照射、電子線照射あるいは加熱等により各層を保持させる事ができる。これらの方法により、1層ずつあるいは多層同時に塗抹,印刷することができる。
【0038】
以上に説明した原理に基づき、前記の目的を達成するための具体的な構成として、本発明に係る感熱発色・感熱消色式のホワイトボードは、支持体であるベースフィルムの表面に、「通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体」と「加熱・冷却により上記染料前駆体を発色させ、再加熱・冷却によって発色体を消色させる可逆顕色剤」とを含有する可逆記録剤よりなる可逆性感熱記録層を形成してなるホワイトボードシートと、
上記可逆性感熱記録層に点接触せしめられる高温の凸曲面を有し、該凸曲面の接触によって該可逆性感熱記録層を局部的に昇温せしめて発色させる記述用の部材と、
前記可逆性感熱記録層に面接触もしくは線接触せしめられる高温の平面もしくは高温の円柱面を有し、該平面もしくは円柱面の接触によって該可逆性感熱記録層の特定区域を昇温せしめて消色させる消去用の部材とを具備しており、
かつ、前記可逆性感熱記録層の表面粗さRzが0.5〜5μmであるとともに、該可逆性感熱記録層の表面に直径0.5mmのステンレススチール球を当接せしめて300g重の荷重を加えたとき、該表面の塑性変形によって生じる圧痕の直径寸法が0.1mmを超えないことを特徴とする。
【0039】
また、本発明に係るホワイトボードの発,消色方法は、「通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体」と「加熱・急冷により上記染料前駆体を発色させ、再加熱・徐冷によって発色体を消色させる可逆顕色剤」とを含有する可逆記録剤よりなる可逆性感熱記録層をベースフィルム上に形成するとともに、該可逆性感熱記録層の表面に保護層を構成し、
上記保護層に予め硬化剤を添加して該保護層の硬度を制御し、
前記ベースフィルムをバックボートに重ね合わせた状態で熱ペンにより前記可逆性感熱記録層をバックボードに押しつけて局部的に加熱・急冷して、該局部を発色させ、
ヒートプレートを上記可逆性感熱記録層に当接せしめ、もしくはヒートローラを該可逆性感熱記録層に接触せしめつつ転動せしめることにより、該可逆性感熱記録層を加熱,徐冷して消色せしめることを特徴とする。
以上に説明した手段において「点接触」とは立体幾何学的に厳密な意味ではなく、接触面積が非常に狭いことをいう。同様に「線接触」とは接触幅が非常に狭いことをいう。
また、「面接触せしめられる平面」とは、「面接触に近い状態で接触せしめられるほぼ平らな面」をいう。「ヒートプレート」とはこのような面を有する部材の意であって、板状であってもブロック状であっても良く、熱伝導性材料製の、加熱手段を備えた部材をいう。
【0040】
以上に説明した本発明に係る感熱発色・感熱消色式のホワイトボード(請求項1)によると、従来例におけるがごとく温度条件に応じて透明度が変化するのでなく、可逆性感熱記録層が発色したり消色したりするので、消色に際してダストを発生しないのみでなく、発色によって現示される画像情報のコントラストが充分であり、その輪郭が明瞭である。その上、可逆性感熱記録層の硬度が熱ペンの筆圧との関連において適正に設定されているので、消色した後に残される圧痕が視認されず、反復使用可能回数が多い。
【0041】
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートの背面に熱容量の大きいバックボードを設けると(請求項2)、可逆性感熱記録層が熱ペンで加熱された部分から吸熱して発色を助長し、かつ、消去用部材で加熱された部分の熱を蓄熱して消色を助長することができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成して2本の垂直なローラに巻き掛けて回転させると(請求項3)、発色させた画像情報を一時的に収納,保存したり、再度取り出して掲示したりすることができ、その上、上記の収納,保存中もホワイトボードシートの余白部分に上記と異なる画像情報を現示することもできる。
【0042】
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成し、2本のローラに巻き掛けて送り作動できるようにするとともに、照明手段と、ラインイメージセンサと、投影レンズ系とを設けると(請求項4)、ホワイトボード上の画像情報を電気的信号として検出することができるので、プリント手段を作動させることや、検出信号を遠隔地に送信することが可能になる。
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成し、2本のローラに巻き掛けて送り作動できるようにするとともに、上記ホワイトボードシートに対向せしめて消色用のヒータを設けると(請求項5)、発色現示された画像情報を自動的ないし半自動的に消去することができる。
【0043】
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成するとともに、2本のローラに巻き掛けて送り操作できるようにし、かつ、該ホワイトボードシートに対向せしめてヒート式のドットプリンタを設けると(請求項6)、所望の画像情報を自動的ないし半自動的に発色せしめることができる。
【0044】
本発明のホワイトボードを実施する際、電気ヒータおよび給電手段を備えたヒートロッド(熱ペン)を用いると(請求項7)、画像情報を手書きで発色させて掲示する操作を容易に、かつ確実に行なうことができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、電気ヒータおよび給電手段並びにハンドルを備えたヒートプレートよりなるイレーザーを用いると(請求項8)、手動による消色操作を迅速かつ容易に行なうことができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、電気ヒータおよび給電手段並びにハンドルを備えたヒートローラよりなるイレーザーを用いると(請求項9)、軽い力で容易に手動消色操作を行なうことができる。
【0045】
本発明のホワイトボードを実施する際、異なった温度条件によって異なった色調に発色する複数種類の可逆記録剤を用いるとともに、それぞれの可逆記録剤を発色させる温度条件に適応する複数本の電熱ペンを備えておくと、多色の現示が可能となり内容の豊富な画像情報を掲示することができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、異なった温度条件によって異なった色調に発色する複数種類の可逆記録剤を用いるとともに、1本の電熱ペンの温度をそれぞれの可逆記録剤の発色温度条件に応じて調節できるようにしておくと、多色現示を1本の電熱ペンで行なうことができる。
【0046】
本発明のホワイトボードを実施する際、可逆性感熱記録層の表面に保護層を成層しておくと(請求項10)、上記可逆性感熱記録層の反復使用に因る劣化を防止することができ、上記の保護層に硬化剤を添加して硬度を制御すると(請求項11)、消色した痕跡を目立たなくする機能を確実に発揮させることができる。また、上記の保護層に顔料を添加して表面粗さを制御すると(請求項12)、消色後の痕跡を目立たなくし、かつ標示面の光沢を適度ならしめるとともに熱ペンによる書き心地を調節することができる。上記の書き心地については、前記の保護層に滑剤を添加する(請求項13)ことによって、いっそう精密に調節することができる。
上記の保護層を、可逆性感熱記録層の表面に透明フィルムを貼着して構成すると(請求項14)、感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを工業的に安価に生産することができる。前記の保護層の厚さ寸法を0.5〜5g/m2に設定すると(請求項15)、感熱反応の感度を必要以上に阻害することなく可逆性感熱記録層の反復使用可能回数を増加させることができる。
【0047】
本発明に係る感熱発色・感熱消色式ホワイトボードの発,消色方法(請求項16)によると、従来例におけるがごとき透明度の変化でなく、発色・消色という視認し易い現象によって画像情報を現示したり消去したりする操作を反復して行なうことができ、しかも、消去に際してダストを発生せず、消去の後に痕跡が目立たない。その上、発色部分と非発色部分との境界が明瞭で、充分なコントラストを得ることができる。
【0048】
本発明の発,消色方法を実施する際、可逆記録剤に顔料を添加して表面粗さを制御すると、画像情報の光沢を適度ならしめて視認し易いようにすることができる。
本発明の発,消色方法を実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成するとともに、該無端環状のホワイトボードシートを送り作動せしめると(請求項17)、発色させて現示した画像情報を一時的に収納,保存し、必要に応じて迅速,容易に取り出すことができる。上記無端環状のホワイトボードシートに対向せしめてイレーザーを設けると(請求項18)、発色現示された画像情報を自動的に消去することができる。また、上記無端環状のホワイトボードシートに対向せしめてラインイメージセンサおよび投影レンズ系を設けておくと(請求項19)、発色現示された画像情報を電気信号に変換することにより、半永久的に記録したり送信したりすることができる。また、前記ホワイトボードシートに対向せしめてヒートロッド形のドットプリンタを配設すると(請求項20)、電気信号を画像情報に変換することができる。
本発明の発,消色方法を実施する際、色調および発色温度条件を異にする複数種類の可逆記録剤を用いるとともに、それぞれの発色温度条件を与える熱ペンを用いると多色の画像情報を現出することができる。
【0049】
【発明の実施の形態】
次に、図1ないし図3を順次に参照しつつ本発明の実施形態について述べる。
【0050】
図1は、本発明の基本的な構造機能の原理を説明するために示したもので、(A)は部分的に破断して描いたホワイトボード本体部分の斜視図、(B)は熱ペンの外観斜視図、(C)はイレーザーの外観斜視図、(D)は上記と異なるイレーザーの外観斜視図である。
ベースフイルム1の少なくとも片面に可逆性感熱記録層2を形成されるとともに、該可逆性感熱記録層2を覆って保護層3が成層され、ホワイトボードシート8が構成されている。なお、図1に示したホワイトボードシート1は厚さ方向に拡大して描いてある。
上記の可逆性感熱記録層2は「通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体」と「加熱・急冷により上記染料前駆体を発色させ、再加熱・徐冷によって発色体を消色させる可逆顕色剤」とを含有する可逆記録剤によって構成されており、その具体的な組成については先に「課題を解決するための手段」(以下、紛らわしくない場合は単に解決手段と略記する)の項に述べたように、多くの種類の電子供与性染料前駆体と多くの種類の可逆顕色剤との組合せが適用可能であり、その組合せによって発色,消色の熱的条件も異なる。本発明を実施する際、異なった色調に発色する複数種類の可逆記録剤を用いることにより多色の画像を発色させることも可能である。この場合、複数種類の可逆記録剤のそれぞれによって多数の斑点状の可逆性感熱記録層を構成すると、カラーテレビにおける多色画像と類似の多色画像を構成することもできる。
【0051】
前記可逆性感熱記録層が、正常の視力を有する者が見た場合に、消色後に痕跡が見えないようにするには、表面粗さと表面硬さとが密接に関連する。本実施形態においては保護層3を設けているので、該保護層3の表面性状の制御が重要であり、本実施形態においては、直径0.5mmのステンレススチール球を押し当てて300g重の荷重を加えたときに生じる圧痕の直径が0.1mm以下となり、かつ、表面粗さRzが0.5〜5μmとなるように調製した。これらの制御方法の詳細については、先に解決手段の項で述べたとおりである。また、支持体であるベースフイルム1の上に可逆性感熱記録層2を成層する方法の詳細、および、該可逆性感熱記録層2を覆って保護層3を成層する方法の詳細についても、先に解決手段の項で述べたとおりである。
【0052】
以上のように構成したホワイトボードシート8を、鉄板製のバックボード16の上に重ね合わせ、枠4で取り囲んである。上記バックボード16は、単にホワイトボードシート8を機械的に支持して筆圧を担持するのみでなく、本実施態様においては、次に述べるごとく発色,消色反応の熱的条件にも関与する。この発色,消色反応についてのバックボード16の役目は、熱ペンとイレーザーとについて説明した後に詳述する。
本図1(B)に示した熱ペン4は、断熱性材料で作られた筒状の断熱ケース4aの先端に突出させて金属製のヒートロッド4bを固定するとともに、電気ヒータ4cを設けて上記ヒートロッド4bを加熱できるようになっている。上記電気ヒータ4cに給電するための手段として、コード4fを介して制御機能を有する電源(図示せず)に接続できるようにしても良く、充電用の端子接片4eを備えたバッテリ4dを設けても良い。先に説明したように複数種類の可逆性感熱記録剤を用いて多色ホワイトボードシートを用いる場合は、それぞれの可逆性感熱記録剤を発色せしめるに適した温度となるように切り換え制御できるサーモスタット(図示せず)を設けるか、もしくは、各種温度になるように調節した複数個の熱ペンを備えておく。
【0053】
本図1(C)に示したイレーザー5は、断熱性材料製のハンドル5aにヒートプレート5bを取り付けるとともに、電気ヒータ5cおよびその給電手段(コード5f、または端子接片5eおよびバッテリ5d)を設けてある。また、本図1(D)に示したイレーザー6は、電気ヒータ6cを有するヒートローラ6bをハンドル6aによって回転自在に支承するとともに、給電手段(コード6f、または端子接片6eおよびバッテリ6d)を設けてある。
前記の熱ペン4のヒートロッド4bの先端は凸球面状に成形されている。このヒートロッド4bを加熱して、ホワイトボードシート8に摺触させつつ曲線矢印eのように滑らせると、この曲線に沿って可逆性感熱記録層2が加熱・急冷されて発色する。そのメカニズムを詳細に考察すると次のとおりである。
上記曲線上の点fについて考えると、熱ペンが通過してゆく一瞬に加熱されて昇温するが、通り過ぎた後は放冷される。このとき点fの周囲の殆ど全部は加熱されずに室温であるから、昇温した点fの熱量は周囲から吸熱されて速やかに降温せしめられるので発色する。この場合、点fの裏側に熱容量の大きいバックボード16が存在するので、いっそう速やかに吸熱されて急冷され、確実に発色する。このようにして、熱容量の大きいバックボード16は可逆性感熱記録層2の発色反応を助長する。
次に、イレーザー5、もしくはイレーザー6で、仮想線で示したように前記の点fを含む区域gを加熱すると、該イレーザーを離間させた後、点fの周囲全部が昇温しているので、熱ペンが通過したときのように周囲から吸熱されることがなく、徐冷されるので消色する。この場合、ホワイトボードシート8の裏面に熱容量の大きいバックボード16が接していると、このバックボード16が蓄熱後、放熱機能を果たして点fの徐冷を助長する。このようにして、ホワイトボードシートよりも単位面積当たり熱容量の大きいバックボード16の存在によって、消色操作が確実に行なわれる。
【0054】
前記のように熱ペン4で描画して発色させる場合、該熱ペンとホワイトボードシートとの間の摩擦係数は、書き味に影響するだけでなく発色状態をも左右する。その理由は、滑りすぎると発色に必要な加熱が行なわれないからである。このため、本実施形態においては、先に解決手段の項において説明したようにして保護層3と熱ペンのヒートロッド4bとの間の摩擦係数を調節してある。
さらに、前記の保護層の厚さ寸法も適正であることを要する。厚さ寸法が過大であると熱ペンから可逆性感熱記録層2への熱伝導が妨げられて発色反応の感度が低下するが、厚さ寸法が過小であると可逆性感熱記録層2の反復使用可能回数を増加させる作用が充分に果たされないからである。この厚さ寸法は、保護層の材質によっても異なるが0.5〜5g/m2であることが望ましい。
【0055】
図2は、前掲の図1に示した原理図におけるホワイトボードシートを用いて構成した電子黒板タイプのホワイトボードの1実施形態を示し、模式的に描いた外観正面図である。
7は、外筐を兼ねたフレームであって、その正面に開口7aが設けられている。上記開口7aを内側から覆う形にホワイトボードシート8が平面状に張り渡されている。
上記のフレーム7は、吊環9を設け、もしくは脚10を取り付けて、ほぼ垂直に支承できるようになっている。11は器具テーブルであって、先に説明した熱ペン4やイレーザー5(又は同6)を保持して使用に供している。
【0056】
図3は、前掲の図2に示した電子黒板タイプのホワイトボードをE−E面で切断して描いた模式的な平面図である。ただし、模式化してあるので必ずしも写実的な投影図形ではない。
ホワイトボードシート8は無端環状に形成され、1対のローラ14,15に巻き掛けてある。上記1対のローラ14,15を付記した円弧矢印方向に回転駆動する手段(図示省略)が設けられていて、ホワイトボードシート8は矢印a,b,cのように回転せしめられる。該ホワイトボード8がフレームの前面開口7aに張り渡されている部分について見れば(図2参照)矢印aのごとく左右方向に送られる。
【0057】
図3に示した熱ペン4により、ホワイトボードシート8をバックボード16に向けて押しつけながら動かすと、先に図1について説明したようにして、手書き操作で画像情報を現示することができる。
前記ホワイトボードシート8の、上下方向の細長い区域jを照明するランプ18および反射鏡が設けられるとともに、上記の区域jに対向せしめて、上下方向(本図において紙面と垂直方向)に細長いラインイメージセンサ20が設けられ、かつ、上記の区域jに現示されている画像情報をラインイメージセンサ20に結像させる投影レンズ系19が設けられている。
図2に示したボード操作盤12を操作してホワイトボードシート8を回転させながら、コピー操作盤13を操作して、図3に示したランプ18を点灯させるとともに、ラインイメージセンサ20から電気信号を取り出す。取り出した電気信号はプリンタ(図示省略)に入力して半永久的に画像情報を保持することもでき、取り出した電気信号を送信して遠隔地においてCRTや液晶パネルにより画像化して観察することも可能である。
【0058】
図3に示した送り方向矢印a,b,cについて前記の区域jよりも下流側に、ホワイトボードシート8に対向せしめて、上下方向に細長い主ヒータ17が設けられている。該主ヒータ17よりも下流側に位置せしめて保熱板17′が設けられている。上記の主ヒータ17に通電すると、可逆性感熱記録層に消色反応を起こさせ得る温度に昇温する。保熱板17′は主ヒータ17から熱伝動を受けて、消色反応を起こさせるに足りない温度範囲内で昇温する。
前記のホワイトボードシート8を回転させながら主ヒータ17に通電すると、該ホワイトボードシート8が矢印c方向に通過しながら主ヒータ17によって昇温せしめられ、通過し終えてから放冷されて発色体が消色する。この実施形態のように保熱板17′が設けられていると、矢印c方向に送られるホワイトボードシートが該保熱板17′によって急冷しないようにされ、消色作用が確実に行なわれる。この保熱板17′の効果は、ホワイトボードシート8の回転速度を高くしたときに有意義である。
【0059】
前記のラインイメージセンサ20よりも上流側,かつ主ヒータ17,保熱板17′よりも下流側に位置せしめて、ヒートロッドを上下方向(本図3において紙面と垂直方向)に配列した構造のドットプリンタ21を設けると、電気信号を与えて画像情報を発色,現示させることができる。このドットプリンタ21を遠隔操作することも可能である。
【0060】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明する。
実施例1
(A)可逆性感熱塗液の作製
染料前駆体である3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン40部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液90部と共にボールミルで24時間粉砕し、染料前駆体分散液を得た。対いでN−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド100部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液400部と共にボールミルで24時間粉砕し分散液を得た。上記2種の分散液を混合した後、10%ポリビニルアルコール水溶液200部、水400部を添加、よく混合し、可逆性感熱塗液Aを作成した。
【0061】
(B)可逆性感熱記録層の塗工
(A)で調製した可逆性感熱塗液Aをポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(イ)(東レ製ルミラーE22、厚さ188μm、比重1.4)に、固形分塗抹量4g/m2となる様に塗抹し、乾燥後、スーパーカレンダーで処理して塗工シートBを得た。
(C)中間層の塗工
(B)で得た塗工シートBの塗層上に、ポリビニルアルコール単独からなる塗液を固形分塗布量1g/m2となるように塗布乾燥し、中間層を設けて塗工シートCを得た。
(D)保護層の塗工
(C)で得た塗工シートCの塗層上に、アロニックスM8030(東亜合成化学工業製)85部、N−ビニル−2−ピロリドン 5部、イルガキュア500(日本チバガイギー製)5部、ミズカシル P−527(水澤化学製)5部を加え十分撹拌した紫外線硬化性樹脂組成物を1.5g/m2となるように塗布した後、紫外線照射装置(ウシオ電機製、ラピッドキュア)にて硬化を行ない、保護層を有する可逆性感熱記録材料を得た。
【0062】
実施例2
実施例1の(B)で用いたポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(イ)(東レ製ルミラーE22、厚さ188μm、比重1.4)をポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(ロ)(ICI製メリネックスE339、厚さ97μm、比重1.4)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0063】
比較例1
実施例1の(B)で用いたポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(イ)(東レ製ルミラーE22、厚さ188μm、比重1.4)をポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(ハ)(東レ製E22、厚さ75μm、比重1.4)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
比較例2
実施例1の(B)で用いたポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(イ)(東レ製ルミラーE22、厚さ188μm、比重1.4)をポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(ニ)(東レ製E62、厚さ188μm、比重1.0)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
比較例3
実施例1の(B)で用いたポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(イ)(東レ製ルミラーE22、厚さ188μm、比重1.4)をポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(ホ)(東洋紡製クリスパーG2323、厚さ100μm、比重1.1)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0064】
比較例4
実施例1の(D)保護層を次のように変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
(D)保護層の塗工
(C)で得た塗工シートCの塗層上に、アロニックスM8030(東亜合成化学工業製)85部、N−ビニル−2−ピロリドン 5部、イルガキュア500(日本チバガイギー製)5部を加え十分撹拌した紫外線硬化性樹脂組成物を1.5g/m2となるように塗布した後、紫外線照射装置(ウシオ電機製、ラピッドキュア)にて硬化を行ない、保護層を有する可逆性感熱記録材料を得た。
【0065】
比較例5
実施例1の(D)保護層を次のように変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
(D)保護層の塗工
(C)で得た塗工シートCの塗層上に、アロニックスM8030(東亜合成化学工業製)85部、N−ビニル−2−ピロリドン 5部、イルガキュア500(日本チバガイギー製)5部、サイリシア470(富士シリシア化学製)5部を加え十分撹拌した紫外線硬化性樹脂組成物1.5g/m2となるように塗布した後、紫外線照射装置(ウシオ電機製、ラピッドキュア)にて硬化を行ない、保護層を有する可逆性感熱記録材料を得た。
【0066】
試験1(押圧による変形)
実施例1、2および比較例1〜5で得た可逆性感熱記録材料表面に、0.5mm直径のステンレススチール球をあて、300gの加重で加圧しながらステンレススチール球を3cm直線に移動した。後該可逆性感熱記録材料を表面に対して垂直に切断し、顕微鏡により押圧による変形を測定した。結果を表1に示した。
試験2(表面粗さRzの測定)
実施例1、2および比較例1〜5で得た可逆性感熱記録材料表面を表面粗さ計(東京精密製サーフコム)で、JIS B 0601の5.に準じて十点平均粗さRzを測定した。結果を表1に示した。
試験3(画像の形成/消去)
実施例1、2および比較例1〜5で得た可逆性感熱記録材料に熱ペン(接触部分の表面温度140℃)で直線を描き、のち熱ブロック(接触部分の表面温度120℃)で消去し、発色跡を観察した。結果を表1および表2に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
実施例1〜2で得た可逆性感熱記録材料は、熱ペンによる発色に続く熱ブロックによる消去の操作を行っても発色跡が見られなかった。これに対して、比較例1〜5は熱ペンによる発色に続く熱ブロックによる消去の操作を行った場合発色跡が見られる。また、比較例4〜5では押圧による変形がないにもかかわらず、発色跡が見られた。このことより、本発明の押圧による変形の度合いおよび表面粗さの度合いの複合効果により発色跡が視認できなくなることが確認された。これにより実施例と比較例間に明確な差が認められ、本発明が大きな効果を持つことが確認される。
【0070】
【発明の効果】
本願に係る一連の発明における可逆性感熱記録材料は、該可逆性感熱記録材料の表面粗さRzが0.5から5μmであって、さらに該可逆性感熱記録材料表面を0.5mm直径のステンレススチール球を300gの加重で加圧したとき、該可逆性感熱記録材料に押圧による変形が0.1mmを超えないことを特徴とし、発熱体と該可逆性感熱記録材料表面との接触部分が0.5mm直径以上の大きさの熱ペンを使用する場合において支持体の変形や塗層の変形を起こさず、熱ペンで発色し加熱ブロックで消去した際に発色跡が視認されない。
【0071】
本発明に係る感熱発色・感熱消色式のホワイトボード(請求項1)によると、従来例におけるがごとく温度条件に応じて透明度が変化するのでなく、可逆性感熱記録層が発色したり消色したりするので、消色に際してダストを発生しないのみでなく、発色によって現示される画像情報のコントラストが充分であり、その輪郭が明瞭である。その上、可逆性感熱記録層の硬度が熱ペンの筆圧との関連において適正に設定されているので、消色した後に残される圧痕が視認されず、反復使用可能回数が多い。
【0072】
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートの背面に熱容量の大きいバックボードを設けると(請求項2)、可逆性感熱記録層が熱ペンで加熱された部分から吸熱して発色を助長し、かつ、消去用部材で加熱された部分の熱を蓄熱して消色を助長することができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成して2本の垂直なローラに巻き掛けて回転させると(請求項3)、発色させた画像情報を一時的に収納,保存したり、再度取り出して掲示したりすることができ、その上、上記の収納,保存中もホワイトボードシートの余白部分に上記と異なる画像情報を現示することもできる。
【0073】
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成し、2本のローラに巻き掛けて送り作動できるようにするとともに、照明手段と、ラインイメージセンサと、投影レンズ系とを設けると(請求項4)、ホワイトボード上の画像情報を電気的信号として検出することができるので、プリント手段を作動させることや、検出信号を遠隔地に送信することが可能になる。
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成し、2本のローラに巻き掛けて送り作動できるようにするとともに、上記ホワイトボードシートに対向せしめて消色用のヒータを設けると(請求項5)、発色現示された画像情報を自動的ないし半自動的に消去することができる。
【0074】
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成するとともに、2本のローラに巻き掛けて送り操作できるようにし、かつ、該ホワイトボードシートに対向せしめてヒート式のドットプリンタを設けると(請求項6)、所望の画像情報を自動的ないし半自動的に発色せしめることができる。
【0075】
本発明のホワイトボードを実施する際、電気ヒータおよび給電手段を備えたヒートロッド(熱ペン)を用いると(請求項7)、画像情報を手書きで発色させて掲示する操作を容易に、かつ確実に行なうことができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、電気ヒータおよび給電手段並びにハンドルを備えたヒートプレートよりなるイレーザーを用いると(請求項8)、手動による消色操作を迅速かつ容易に行なうことができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、電気ヒータおよび給電手段並びにハンドルを備えたヒートローラよりなるイレーザーを用いると(請求項9)、軽い力で容易に手動消色操作を行なうことができる。
【0076】
本発明のホワイトボードを実施する際、異なった温度条件によって異なった色調に発色する複数種類の可逆記録剤を用いるとともに、それぞれの可逆記録剤を発色させる温度条件に適応する複数本の電熱ペンを備えておくと、多色の現示が可能となり内容の豊富な画像情報を掲示することができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、異なった温度条件によって異なった色調に発色する複数種類の可逆記録剤を用いるとともに、1本の電熱ペンの温度をそれぞれの可逆記録剤の発色温度条件に応じて調節できるようにしておくと、多色現示を1本の電熱ペンで行なうことができる。
【0077】
本発明のホワイトボードを実施する際、可逆性感熱記録層の表面に保護層を成層しておくと(請求項10)、上記可逆性感熱記録層の反復使用に因る劣化を防止することができ、上記の保護層に硬化剤を添加して硬度を制御すると(請求項11)、消色した痕跡を目立たなくする機能を確実に発揮させることができる。また、上記の保護層に顔料を添加して表面粗さを制御すると(請求項12)、消色後の痕跡を目立たなくし、かつ標示面の光沢を適度ならしめるとともに熱ペンによる書き心地を調節することができる。上記の書き心地については、前記の保護層に滑剤を添加する(請求項13)ことによって、いっそう精密に調節することができる。
上記の保護層を、可逆性感熱記録層の表面に透明フィルムを貼着して構成すると(請求項14)、感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを工業的に安価に生産することができる。前記の保護層の厚さ寸法を0.5〜5g/m2に設定すると(請求項15)、感熱反応の感度を必要以上に阻害することなく可逆性感熱記録層の反復使用可能回数を増加させることができる。
【0078】
本発明に係る感熱発色・感熱消色式ホワイトボードの発,消色方法(請求項16)によると、従来例におけるがごとき透明度の変化でなく、発色・消色という視認し易い現象によって画像情報を現示したり消去したりする操作を反復して行なうことができ、しかも、消去に際してダストを発生せず、消去の後に痕跡が目立たない。その上、発色部分と非発色部分との境界が明瞭で、充分なコントラストを得ることができる。
【0079】
本発明の発,消色方法を実施する際、可逆記録剤に顔料を添加して表面粗さを制御すると、画像情報の光沢を適度ならしめて視認し易いようにすることができる。
本発明の発,消色方法を実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成するとともに、該無端環状のホワイトボードシートを送り作動せしめると(請求項17)、発色させて現示した画像情報を一時的に収納,保存し、必要に応じて迅速,容易に取り出すことができる。上記無端環状のホワイトボードシートに対向せしめてイレーザーを設けると(請求項18)、発色現示された画像情報を自動的に消去することができる。また、上記無端環状のホワイトボードシートに対向せしめてラインイメージセンサおよび投影レンズ系を設けておくと(請求項19)、発色現示された画像情報を電気信号に変換することにより、半永久的に記録したり送信したりすることができる。また、前記ホワイトボードシートに対向せしめてヒートロッド形のドットプリンタを配設すると(請求項20)、電気信号を画像情報に変換することができる。
本発明の発,消色方法を実施する際、色調および発色温度条件を異にする複数種類の可逆記録剤を用いるとともに、それぞれの発色温度条件を与える熱ペンを用いると多色の画像情報を現出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な構造機能の原理を説明するために示したもので、(A)は部分的に破断して描いたホワイトボード本体部分の斜視図、(B)は熱ペンの外観斜視図、(C)はイレーザーの外観斜視図、(D)は上記と異なるイレーザーの外観斜視図である。
【図2】前掲の図1に示した原理図におけるホワイトボードシートを用いて構成した電子黒板タイプのホワイトボードの1実施形態を示し、模式的に描いた外観正面図である。
【図3】前掲の図2に示した電子黒板タイプのホワイトボードをE−E面で切断して描いた模式的な平面図である。ただし模式化してあるので必ずしも写実的な投影図形ではない。
【符号の説明】
1…ベースフイルム、2…可逆性感熱記録層、3…バックボード、4…熱ペン4a…断熱性ケース、4b…ヒートロッド、4c…電気ヒータ、4d…バッテリ、4e…端子接片、4f…コード、5…イレーザー、5a…断熱性ハンドル、5b…ヒートプレート、5c…電気ヒータ、5d…バッテリ、5e…端子接片、5f…コード、6…イレーザー、6a…断熱性ハンドル、6b…ヒートローラ、6c…電気ヒータ、6d…バッテリ、6e…端子接片、6f…コード、7…フレーム、7a…前面開口、8…ホワイトボードシート、9…吊環、10…脚、11…器具テーブル、12…ボード操作盤、13…コピー操作盤、14,15…ローラ、16…バックボード、17…主ヒータ、17′…保熱板、18…ランプ、19…投影レンズ系、20…ラインイメージセンサ、21…ドットプリンタ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度条件の変化に伴う発色,消色を利用して、消去時にダストが発生しないように改良されたホワイトボードに関するものである。本発明においてホワイトボードとは、白色ないし淡色の掲示面上に、繰り返し現示,消去できる画像を標示する板状の部分を有する機器を総称する意である。
【0002】
【従来の技術】
チョークを用いて黒板上に筆記し、黒板拭きで払拭して消去することを反復する方式に比して、ホワイトボード上にマーカーで描画し、イレーザーで払拭して消去する方式は、ダストの発生を減少させる効果が顕著であり、生活環境を好適に維持する必要性の高い病院,事務室,および或る種の工場などにおいて賞用されている。
しかし乍ら、マーカーでホワイトボード上に文字,記号,図形など(以下、画像情報という)を描画する方式においても、イレーザーで消去する際に若干のダストが発生する。
最近、生活環境保全に関する要求レベルが高くなり、前記若干のダストの発生についても一層の減少が要求される。特に、半導体製造工場,医薬品製造工場,食品加工工場等のクリーンルームにおいてはダスト発生ゼロが要請される。
上記のダストゼロ要請に応じ得るものとして、温度条件の変化に伴って透明度が変化する感熱記録材料が公知(詳細は以下に述べる)であり、これを利用した電子黒板も提案されている(特開平7−68992号・サーモクロミックフィルムを用いた電子黒板)。
【0003】
感熱記録材料は一般に支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と電子受容性の顕色剤とを主成分とする感熱記録層を設けたものであり、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱することにより、染料前駆体と顕色剤とが瞬時反応し記録画像が得られるもので、特公昭43−4160号、特公昭45−14039号等に開示されている。
一般にこのような感熱記録材料は、一度画像を形成するとその部分を消去して再び画像形成前の状態に戻すことは不可能であるため、さらに情報を記録する場合には画像が未形成の部分に追記するしかなかった。このため感熱記録部分の面積が限られている場合には、記録可能な情報が制限され必要な情報を全て記録できないという問題が生じていた。
【0004】
近年、この様な問題に対処するため画像形成・画像消去が繰り返して可能な可逆性感熱記録材料が考案されており、例えば、特開昭54−119377号、特開昭63−39377号、特開昭63−41186号では、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散された有機低分子から構成された感熱記録材料が記載されている。しかしこの方法は、熱エネルギーによって感熱記録材料の透明度を可逆的に変化させるものであるため、画像形成部と画像未形成部のコントラストが不十分である。
また、特開昭50−81157号、特開昭50−105555号に記載された方法においては、形成する画像は環境温度に従って変化するものであるため、画像形成状態と消去状態を保持する温度が異なっており、常温下ではこの2つの状態を任意の期間保持することが出来ない。
さらに、特開昭59−120492号には、呈色成分のヒステリシス特性を利用し、記録材料をヒステリシス温度域に保つことにより画像形成状態・消去状態を維持する方法が記載されているが、この方法では画像形成及び消去に加熱源と冷却源が必要な上、画像の形成状態及び消去状態を保持できる温度領域がヒステリシス温度領域内に限られる欠点を有しており、日常生活の温度環境で使用するには未だ不十分である。
【0005】
一方、特開平2−188293号、特開平2−188294号、国際公開番号W090/11898号には、ロイコ染料と加熱によりロイコ染料を発色及び消色させる顕減色剤から構成される可逆性感熱記録材料が記載されている。顕減色剤は、ロイコ染料を発色させる酸性基と、発色したロイコ染料を消色させる塩基性基を有する両性化合物で、熱エネルギーの制御により酸性基による発色作用または塩基性基による消色作用の一方を優先的に発生させ、発色と消色を行うものである。更に、特開平5−124360号には加熱によりロイコ染料を発色及び消色させる可逆性感熱記録材料が記載されており、電子受容性化合物として有機リン酸化合物、α−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸、脂肪酸ジカルボン酸及び炭素数12以上の脂肪族基を有するアルキルチオフェノール、アルキルオキシフェノール、アルキルカルバモイルフェノール、没食子酸アルキルエステルなどの特定のフェノール化合物が例示されている。
【0006】
これらの組み合わせは、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、加熱により該染料前駆体を発色させ、これを再加熱して発色体を消色させる可逆顕色剤とを含有するものであり、発色記録画像を形成するためには加熱に引き続き急速な冷却が起これば良く、記録画像の消色を行うためには加熱後の冷却速度が遅ければ良い。例えば、適当な方法で加熱した後、低温の金属ブロックなどを押し当てる等して急速に冷却することにより、発色状態を発現させることができる。また、熱ペン、サーマルヘッド、レーザー光等を用いて極めて短い時間だけ加熱すると、加熱終了後に直ちに冷却する為、発色状態を保持させることができる。一方、適当な熱源(サーマルヘッド、レーザー光、熱ロール、熱スタンプ、高周波加熱、電熱ヒーター、及びタングステンランプやハロゲンランプ等の光源等からの輻射熱、熱風等)で比較的長い時間加熱すると、記録層だけでなく支持体等も加熱される為に熱源を除いても冷却する速度が遅いため消色状態になる。従って、同じ加熱温度、同じ熱源を用いても、冷却速度を制御することにより発色状態および消色状態を任意に発現させることができる。
【0007】
しかしながら、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、加熱により該染料前駆体を発色させ、これを再加熱して発色体を消色させる可逆顕色剤とを含有する可逆性感熱記録材料を発熱体と該可逆性感熱記録材料表面との接触部分が0.5mm直径以上の大きさの熱ペンを使用し画像を形成する場合、画像形成時に熱ペンの加圧状態によっては支持体の変形や塗層の変形を起こし、その後に画像を消去した場合、その発色跡は、反射光学濃度が地肌部と同じであるにもかかわらず、視認されてしまう欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上に説明したように従来技術においても、温度条件の変化に伴う透明化・不透明化を利用して、ダストゼロの黒板装置を試験的には開発していたが、
(イ)表示された画像情報を消去した後も、筆圧によって記録材料表面に生じた圧痕が視認されるため、反復使用可能回数が少ないこと、および、
(ロ)不透明な面に透明な線や透明な点が描かれることになるので、照明条件のいかんによって視認困難な場合が有ること、並びに、
(ハ)同様の理由によって、表示される画像情報のコントラストが不十分であって、照明条件のいかんに拘らず視認が容易でない上に、表示画像の輪郭が不鮮明である。という不具合が有った。
請求項1の発明の目的は、ダストを発生せず、消去した後に画像情報の痕跡が視認されず、表示画像のコントラストが充分で、表示画像の輪郭が明瞭に視認できる感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
【0009】
請求項2の発明の目的は請求項1の発明の目的に加えて、熱ペンによる筆記表示が容易で、かつ、発,消色のための温度制御が容易な感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項3の発明の目的は請求項2の発明の目的に加えて、表示画像情報を一時的に収納保存して上記と異なる画像情報を表示することができる、感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項4の発明の目的は請求項3の発明の目的に加えて、表示された画像情報を半永久的に保存したり、遠隔的に認識したりできる感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項5の発明の目的は請求項3,4の発明の目的に加えて、表示された画像情報を半自動的に消去できる感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項6の発明の目的は請求項3〜5の発明の目的に加えて、半自動的に、および/または遠隔的に画像情報を現示し得る感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
【0010】
請求項7の発明の目的は請求項3〜5の発明の目的に加えて、特に、手書き表示を容易に行ない得る感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項8の発明の目的および請求項9の発明の目的はそれぞれ、請求項1,2,もしくは同7の発明の目的に加えて、手動操作による画像消去を迅速,容易に、かつ完全に行ない得る感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項10の発明の目的は、請求項1〜9の発明の目的に加えて、可逆性感熱記録層の耐久性を向上せしめた感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項11の発明の目的は請求項10の発明の目的に加えて、上記請求項10の発明の構成に欠くことのできない部材である保護層の硬度制御が容易で、適正硬度の保護層を確実に構成し得る感熱発色・感熱発色式のホワイトボードを提供することである。
請求項12の発明の目的は請求項10,11の発明の目的に加えて、前記保護層の表面粗さの制御が容易で、適正な表面粗さの保護層を構成し得る感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項13の発明の目的は、熱ペンにより画像情報を手書きする場合の摩擦係数を容易に制御して、適正な摩擦係数を有し、快適な手応えと書き心地が確実に得られて使い易い感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
【0011】
請求項14の発明の目的は請求項1〜9の発明の目的に加えて、可逆性感熱記録層の耐久性が高く、しかも工業的生産に適した感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
請求項15の発明の目的は請求項10〜14の発明の目的に加えて、可逆性感熱記録層の耐久性向上と該可逆性感熱記録層の発,消色反応感度の維持とをバランスさせた感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを提供することである。
【0012】
請求項16の発明の目的は、ホワイトボードからダストを発生することなく発色、消色を反復して、明瞭に視認できる発,消色方法を提供することである。
請求項17の発明の目的は請求項16の発明の目的に加えて、画像情報を発色させた部分のホワイトボードシートを一時的に収納保存しておいて、その他の部分のホワイトボードシートに上記と異なる画像情報を発色せしめ得る、ホワイトボードの発,消色方法を提供することである。
【0013】
請求項18の発明の目的は請求項16の発明の目的に加えて、発色した画像情報を半自動的ないし自動的に消去することのできる、ホワイトボードの発,消色方法を提供することである。
【0014】
請求項19の発明の目的は請求項18の発明の目的に加えて、発色した画像情報を半永久的に保存し、もしくは遠隔的に認識することのできる、ホワイトボードの発,消色方法を提供することである。
請求項20の発明の目的は請求項19の発明の目的に加えて、画像情報を半自動的ないし自動的に発色せしめ得る、ホワイトボードの発,消色方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために創作した本発明の基本的な原理について述べる。これら一連の発明の目的を達成するには、先ず、ダストを発生しない可逆性感熱記録材料を用いたホワイトボードシートを母体とし、これを改良してコントラストが高く、輪郭が明瞭なように、特に、支持体の変形や塗層の変形を起こさず、熱ペンで発色し加熱ブロックで消去した際に、発色跡が視認できないように支持体の変形や塗層の変形を抑止する必要が有る。
【0016】
本発明者らは、この課題を解決するため研究を行った結果、支持体の少なくとも片面に、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、加熱により該染料前駆体を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆顕色剤とを含有する可逆性感熱記録層を設けた可逆性感熱記録材料と、該可逆性感熱記録材料を加熱発色させうる単一発熱体を有する機器を用いた記録システムにおいて、該可逆性感熱記録材料の表面粗さRz(JIS B O6O1に規定する十点平均粗さ)が0.5から5μmであり、さらに該可逆性感熱記録材料表面を0.5mm直径のステンレススチール球を300gの加重で加圧したとき、該可逆性感熱記録材料に押圧による変形が0.1mmを超えないことを特徴とする可逆性感熱記録材料を提供することにより、本課題を解決した。
【0017】
本発明に用いる熱ペンは発熱体と該可逆性感熱記録材料表面との接触部材が0.5mm直径以上の大きさのものが好ましく、融点200℃以上の金属材料、無機材料あるいは有機材料が用いられ、適当な熱源(微小発熱体、電熱ヒーター、高周波加熱、誘導加熱またはタングステンランプやハロゲンランプ等の光源等からの輻射熱等)を有する構造である。
後に詳しく説明するように、発色反応は加熱後に急冷されたときに現出する。可逆性感熱記録材料の表面上の任意の1点を考えたとき、熱ペンの先端が上記仮想の点に摺触して通り過ぎると、該仮想の点は急に加熱された後に放冷されるが、被加熱部位が線状であってその面積が微小であると、上記の放冷は比較的急速に行なわれるので発色し易い条件が現出される。しかし、この場合、例えば可逆性感熱記録材料の層の裏側に吸熱機能を有する部材が密着している等の冷却手段が存在すれば、発色はいっそう確実に行なわれる。
【0018】
消色に用いる加熱ブロック(厚板であっても良い)は、発熱体と可逆性感熱記録材料との接触部分が熱ペンより大きく、内部または外部に適当な熱源(微小発熱体またはその集合体、高周波加熱、電熱ヒーター、誘導加熱およびタングステンランプやハロゲンランプ等の光源等からの輻射熱、熱風等)を有するもので、それを発色した部分を含む該可逆性感熱記録材料表面に押しつけるか、滑らすことで該可逆性感熱記録材料を加熱し、消色する。
後に詳しく説明するように、消色反応は加熱後に徐冷されたときに現出する。可逆性感熱記録材料表面の、ある広さを有する区域が高温部材の面接触を受けて昇温した場合、該高温部材が離間した後に比較的緩やかに降温するので消色し易い条件が現出される。しかし、この場合、例えば可逆性感熱記録材料の裏側に蓄熱機能を有する部材が密着している等の保熱・徐冷手段が存在すれば、消色はいっそう確実に行なわれる。
【0019】
本発明の可逆性感熱記録材料において、発色記録画像を形成するためには加熱に引き続き急速な冷却が起これば良く、記録画像の消色を行うためには加熱後の冷却速度が遅ければ良い。従って、同じ加熱温度および/または同じ熱源を用いても、冷却速度を制御することにより発色状態および消色状態を任意に発現させることができる。
【0020】
以下に、本願に係る一連の発明の基本となる可逆性感熱記録材料の組成および性状について説明すると、
本発明の可逆性感熱記録材料は、0.5mm直径のステンレススチール球を300gの加重で加圧したとき、該可逆性感熱記録材料に押圧による変形が0.1mmを超えないものである。押圧による変形が0.1mm以上になる可逆性感熱記録材料を熱ペンで発色させた後に、加熱ブロックで消色させても、地肌部と発色跡の反射光学濃度の差がないにもかかわらず、発色した跡が見えてしまう。これは支持体の変形や塗層の変形による光反射の差が視認できるからである。
本発明の可逆性感熱記録材料の表面粗さRzは0.5から5μmである。すなわち、該可逆性感熱記録材料の支持体に0.5mm直径のステンレススチール球を300gの加重で加圧したとき、該可逆性感熱記録材料に押圧による変形が0.1mmを超えない場合であっても、その支持体を使用して可逆性感熱記録材料を製造した場合においてRzが0.5未満の場合、熱ペンで発色させた後加熱ブロック消色させても、地肌部と消色部の反射光学濃度の差がないにもかかわらず、発色した跡が見えてしまう。これは表面粗さRzが0.5μm以下の場合、熱ペンの書き込み時に起こるわずかな塗層の破壊か/または表面粗さの変化が強調され、光反射の変化として視認できるためである。また、表面粗さRzが5μm以上でもわずかな塗層の破壊か/または表面粗さの変化が顕著となり、光反射の変化として視認できる。いずれの場合にも、塗層の破壊か/または表面粗さの変化が目立ちやすいため、すなわち繰り返して発色/消色したとき、少ない回数で可逆性感熱記録材料がいたんだように見えてしまい、すなわち繰り返し使用回数が減少したように見えてしまう。
【0021】
本発明の通り表面粗さRzが0.5〜5μmの範囲にあるときは、わずかな塗層の破壊か/または表面粗さの変化は目立ちにくく、すなわち発色した跡の光反射の変化は全く視認できないか、視認しづらい。そのため繰り返して発色/消色したときにも、より多い回数でも可逆性感熱記録材料がいたんだように感じられず、すなわち繰り返し使用回数が増加する。
【0022】
また、表面粗さRzが0.5μm以下の場合、表面光沢があり読みづらく、また熱ペンで書いた場合滑りやすく書きづらいという欠点がある。表面粗さRzが5μm以上の場合は、熱ペンで書いた場合引っかかりが多く書きづらく、また熱ペンとの接触面積が小さくなるため一様な発色が起こらず、線を描いた場合途切れた線となる欠点がある。
【0023】
本発明の通り表面粗さRzが0.5〜5μmの範囲にあるときは、適度な表面光沢のため読みやすく、また適度な粗さのために熱ペンで書きやすい。また熱ペンとの接触面積も適当であるため、一様な発色が可能である。
【0024】
本発明の可逆性感熱記録材料は、少なくとも、保護層、可逆性感熱発色層、支持体よりなる構成である。
【0025】
本発明の可逆性感熱記録材料に用いる保護層は、熱ペンによる加熱につづく熱ブロックによる加熱により、画像の書き込みと消去を繰り返し行うものであり、可逆性感熱記録層の劣化を防止するために可逆性感熱記録層の上層に保護層を設ける。保護層を形成する材料としては、水溶性高分子、ラテックス類、重合性化合物等がある。例えばボリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、メタアクリル酸エステル、アクリル酸オリゴマー、アクリル酸エステルオリゴマー等が挙げられる。また必要に応じて、エポキシ化合物、尿素誘導体、ビニル化合物等の架橋剤、リン酸系、スルホン酸系、ポリアミド系、アミン系等の硬化剤等を添加することが出来る。
また、保護層に、該可逆性感熱記録材料の表面粗さRzを0.5から5μmに調整するために顔料を含有させることもできる。ここでいう顔料は有機顔料、無機顔料のいずれでもよい。例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、焼成カオリン、タルク、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、シリカゲル、コロイダルシリカ、アルミナゾル、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、活性白土、微粉珪酸、酸化チタン、珪酸カルシウム、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、着色顔料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの顔料は単独もしくは2種以上併用できる。
【0026】
また、必要に応じて滑剤を保護層に添加することもできる。滑剤は主にワックス類であり、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、シリコーン系化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
保護層の塗布量は、熱遮断を避ける目的からより薄いことが望まれ、0.5〜5g/m2が好ましい。この範囲より少ないと良好な保護層としての機能が発現せず、この範囲より多いと感熱感度が悪化する。
本発明の可逆性感熱記録材料を構成する保護層を形成する方法は特に制限されるものではなく、従来の方法により形成することができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター等の塗抹装置、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン等の方式による各種印刷機等を用いる事ができる。さらに通常の乾燥工程の他、必要に応じ、紫外線照射、電子線照射または加熱等により保護層を保持させる事ができる。
また上記の保護層の形成によらず、予めポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のように、光を透過できるフィルムの状態にして、可逆性感熱記録層の上に貼り合わせ等の手段で保護層を形成することもできる。
【0027】
本発明に用いられる通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体としては一般に感圧記録紙や感熱記録紙等に用いられるものに代表されるが、特に制限されるものではない。具体的な例としては、例えば下記に挙げるものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)トリアリールメタン系化合物
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフエニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3’−(4’−ジエチルアミノ−2−エトキシフエニル)−4−アザフタリド等、
(2)ジフェニルメタン系化合物
4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、
(3)キサンテン系化合物
ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)トリルアミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル)プロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)イソアミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル)シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)テトラヒドロフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等、
(4)チアジン系化合物
ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等、
(5)スピロ系化合物
3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフトー(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等。
【0028】
一方、本発明に用いられる可逆顕色剤としては電子受容性化合物が好ましく、例えば、特開平2−188293号公報、特開平2−188294号公報、国際公開番号WO9O/11898号に記載のロイコ染料を発色させる酸性基と消色させる塩基性基を有する顕減色剤や、特開平5−124360号公報記載の有機ホスホン酸化合物、α−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸、脂肪酸ジカルボン酸及び炭素数12以上の脂肪族基を有するアルキルチオフェノール、アルキルオキシフェノール、アルキルカルバモイルフェノール、没食子酸アルキルエステル等を挙げることができるが、可逆的な色調変化を生じせしめる顕色剤であれば特に限定されるものではない。さらに、発色濃度や消色性の点で下記一般式化1で表されるものが特に好ましく用いられるが、下記一般式化1の化合物と同様の特性であればこれらの範囲外の化合物も本発明に用いる事が出来る。尚、式化1の化合物の合成方法は本出願人による特開平6−210954号公報、特願平5−160547号、特願平5−256825号、特願平5−317555号、特願平5−328101号及び特願平6−10310号に記載している。
【0029】
【化1】
【0030】
(式化1中、nは1から3の整数、i、j及びkは各々0または1を表す。但し、iが1の場合、jは1を示す。R1及びR2は炭素数1から18の二価の炭化水素基、R3は炭素数1から24の炭化水素基を表す。X1は−CONH−結合を少なくとも1つ以上持つ二価の基を表し、X2は−CONH−結合を少なくとも1つ以上持つ二価の基、酸素原子或いは硫黄原子を表す)。
【0031】
上記式化1で表される化合物中、R1及びR2は炭素数1から18の二価の炭化水素基であるが、基中に芳香環を含んでもよく、また芳香環のみであってもよい。X1及びX2で示される−CONH−結合を少なくとも一つ以上持つ二価の基とは、具体例にはアミド(−CONH−、−NHCO−)、尿素(−NHCONH−)、ウレタン(−NHCOO−、−OCONH−)、ジアシルアミン(−CONHCO−)、ジアシルヒドラジド(−CONHNHCO−)、しゅう酸ジアミド(−NHCOCONH−)、アシル尿素(−CONHCONH−、−NHCONHCO−)、3−アシルカルバジド酸エステル(−CONHNHCOO−)、セミカルバジド(−NHCONHNH−、−NHNHCONH−)、アシルセミカルバジド(−CONHNHCONH−、−NHCONHNHCO−)、ジアシルアミノメタン(−CONHCH2NHCO−)、1−アシルアミノ−1−ウレイドメタン(−CONHCH2NHCONH−、−NHCONHCH2NHCO−)、マロンアミド(−NHCOCH2CONH−)等の基である。
一般式化1で表される化合物は電子受容性化合物であり、ロイコ染料を発色させる能力を持つにも係わらず、特異的に消色効果すなわち可逆効果も持ち合わせている。なお、通常の感熱記録材料に用いている電子受容性化合物、即ち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等ではこのような可逆効果は全く見られない。以下に、一般式化1で示される電子受容性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
例えば、式化1中、i=O/j=O/k=Oである化合物としては、4′−ヒドロキシヘキサデカンアニリド、N−オクタデシル−4−ヒドロキシベンズアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、N−(4−ヒドロキシベンゾ)−N′−オクタデカノヒドラジド、N−(3,4−ジヒドロキシフェニル−N′−オクタデシルオキサミド等、
式化1中、i=O/j=1/k=Oである化合物としては、N−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕−N′−オクタデシル尿素、N−〔3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオノ〕−N′−オクタデカノヒドラジド、N−〔3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオノ〕−N′−ドコサノヒドラジド、1−〔3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕アミノ−1−オクタデカノイルアミノメタン、1−(4−ヒドロキシフェニルアセチル)−4−オクタデシルセミカルバジド等、
式化1中、i=1/j=1/k=Oである化合物としては、N−ヘキサデシル−(4−ヒドロキシフェニルチオ)アセトアミド、N−〔2−(4−ヒドロキシフェニルチオ)エチル〕−N′−オクタデシル尿素、N−〔4−ヒドロキシフェニルチオ)アセトーN′−ドコサノヒドラジド、N−〔11−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ウンデカノ〕−N′−デカノヒドラジド、N−〔2−(4−ヒドロキシフェニルチオ)エチル〕−N′−オクタデシルオキサミド、N−〔4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)フェニル〕−N′−オクタデシルオキサミド、N−〔4−(4−ヒドロキシフエニルチオメチル)ベンゾ〕−N′−ドコサノヒドラジド等、
式化1中、i=O/j=O/k=1である化合物としては、N−(4−ヒドロキシフェニル)−3−ドデシルチオプロパンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−3−オクタデシルチオプロピル尿素、4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシー4′−ドデシルチオベンズアニリド、2−(4−オクタデカノイルアミノフェニル)−4′−ヒドロキシアセトアニリド、2−〔4−(N′−オクタデシルウレイド)フェニル〕−4′−ヒドロキシアセトアニリド等、
式化1中、i=O/j=1/k=1である化合物としては、N−〔3−(4−ヒドロキシフエニル)プロピオノ〕−N′−(3−ドデシルチオプロピオノ)ヒドラジド、N−〔3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオノ〕−N′−(11−デシルチオウンデカノ)ヒドラジド等、
式化1中、i=1/j=1/k=1である化合物としては、N−〔3−(4−ヒドロキシフェニルチオ)プロピオノ〕−N′−(3−オクタデシルチオプロピオノ)ヒドラジド、N−〔11−(3,4,5−トリヒドロキシフェニルチオ)ウンデカノ〕−N′−(11−オクタデシルチオウンデカノ)ヒドラジド等が挙げられる。
【0033】
これらの可逆顕色剤はそれぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよく、染料前駆体に対する可逆顕色剤の使用量は、5〜5000重量%、好ましくは10〜3000重量%である。
また、可逆性感熱記録層の強度を向上する等の目的でバインダーを可逆顕色剤および染料前駆体と併用する事も可能である。バインダーの具体例としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のラテックスなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
また、前記バインダーとともに、耐性向上や色調調整を目的として顔料を併用することもできる。ここでいう顔料は有機顔料、無機顔料のいずれでもよい。例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、焼成カオリン、タルク、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、シリカゲル、コロイダルシリカ、アルミナゾル、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、活性白土、微粉珪酸、酸化チタン、珪酸カルシウム、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、着色顔料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの顔料は単独もしくは2種以上併用できる。
また、可逆性感熱記録層の発色感度及び消色温度を調節するための添加剤として、熱可融性物質を可逆性感熱記録層中に含有させることができる。60℃〜200℃の融点を有するものが好ましく、特に80℃〜180℃の融点を有するものが好ましい。一般の感熱記録紙に用いられている増感剤を使用することもできる。
例えば、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどのワックス類、2−ベンジルオキシナフタレン等のナフトール誘導体、p−ベンジルビフェニル、4−アリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル等のポリエーテル化合物、炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)エステル等の炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体等を併用して添加することができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本発明の可逆性感熱記録材料に用いられる支持体としては、紙、塗工紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、ガラス等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができるし、更に、透明、半透明或いは不透明のいずれであっても良いが、これらに限定されるものではない。また支持体の厚みは、繰り返しの使用に耐える範囲であれば特に制限されないが、20〜1300μm、好ましくは40〜1000μm程度である。いずれの場合にも、少なくとも支持体の表面に0.5mm直径のステンレススチール球を300gの加重で加圧したとき、支持体に押圧による変形が0.1mmを超えないことが望ましい。
本発明においては、必要に応じて支持体と可逆性感熱記録層との間にアンダーコート層を介在させることができる。アンダーコート層は、断熱性向上、支持体と記録層との接着性向上、画像形成および画像消去などで熱が加えられる場合の支持体による熱溶融性物質の吸収防止等の目的で設置される。アンダーコート層に用いる樹脂は特に限定されないが、従来公知の水溶性及び非水溶性の各種高分子が用いられる。
本発明においては、可逆感熱記録層の上に中間層を設けることも可能である。中間層に用いる樹脂は特に限定されないが、従来公知の水溶性及び非水溶性の各種高分子が用いられる。
前記の水溶性高分子の具体例としては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メチルセルロールあるいはメトキシセルロースあるいはビドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、ポリビニルアルコール−アクリロアミド共重合体、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、等が挙げられる。これらの水溶性高分子は水溶液の形で用いられる。
【0036】
前記の非水溶液高分子の具体例としては、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらの非水溶性高分子は水性エマルジョンの形で用いられる。
前記高分子は、単独または混合して用いられ、必要があれば硬化剤を添加して樹脂を硬化させてもよい。
また、前記高分子とともに、耐性向上や接着性向上の目的で顔料を併用することもできる。ここでいう顔料は有機顔料、無機顔料のいずれでもよい。例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、焼成カオリン、タルク、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、シリカゲル、コロイダルシリカ、アルミナゾル、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、活性白土、微粉珪酸、酸化チタン、珪酸カルシウム、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、着色顔料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの顔料は単独もしくは2種類以上併用できる。
【0037】
本発明の可逆性感熱記録材料を構成する保護層以外の各層を支持体上に形成する方法は特に制限されるものではなく、従来の方法により形成することができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター等の塗抹装置、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等を用いる事ができる。さらに通常の乾燥工程の他、紫外線照射、電子線照射あるいは加熱等により各層を保持させる事ができる。これらの方法により、1層ずつあるいは多層同時に塗抹,印刷することができる。
【0038】
以上に説明した原理に基づき、前記の目的を達成するための具体的な構成として、本発明に係る感熱発色・感熱消色式のホワイトボードは、支持体であるベースフィルムの表面に、「通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体」と「加熱・冷却により上記染料前駆体を発色させ、再加熱・冷却によって発色体を消色させる可逆顕色剤」とを含有する可逆記録剤よりなる可逆性感熱記録層を形成してなるホワイトボードシートと、
上記可逆性感熱記録層に点接触せしめられる高温の凸曲面を有し、該凸曲面の接触によって該可逆性感熱記録層を局部的に昇温せしめて発色させる記述用の部材と、
前記可逆性感熱記録層に面接触もしくは線接触せしめられる高温の平面もしくは高温の円柱面を有し、該平面もしくは円柱面の接触によって該可逆性感熱記録層の特定区域を昇温せしめて消色させる消去用の部材とを具備しており、
かつ、前記可逆性感熱記録層の表面粗さRzが0.5〜5μmであるとともに、該可逆性感熱記録層の表面に直径0.5mmのステンレススチール球を当接せしめて300g重の荷重を加えたとき、該表面の塑性変形によって生じる圧痕の直径寸法が0.1mmを超えないことを特徴とする。
【0039】
また、本発明に係るホワイトボードの発,消色方法は、「通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体」と「加熱・急冷により上記染料前駆体を発色させ、再加熱・徐冷によって発色体を消色させる可逆顕色剤」とを含有する可逆記録剤よりなる可逆性感熱記録層をベースフィルム上に形成するとともに、該可逆性感熱記録層の表面に保護層を構成し、
上記保護層に予め硬化剤を添加して該保護層の硬度を制御し、
前記ベースフィルムをバックボートに重ね合わせた状態で熱ペンにより前記可逆性感熱記録層をバックボードに押しつけて局部的に加熱・急冷して、該局部を発色させ、
ヒートプレートを上記可逆性感熱記録層に当接せしめ、もしくはヒートローラを該可逆性感熱記録層に接触せしめつつ転動せしめることにより、該可逆性感熱記録層を加熱,徐冷して消色せしめることを特徴とする。
以上に説明した手段において「点接触」とは立体幾何学的に厳密な意味ではなく、接触面積が非常に狭いことをいう。同様に「線接触」とは接触幅が非常に狭いことをいう。
また、「面接触せしめられる平面」とは、「面接触に近い状態で接触せしめられるほぼ平らな面」をいう。「ヒートプレート」とはこのような面を有する部材の意であって、板状であってもブロック状であっても良く、熱伝導性材料製の、加熱手段を備えた部材をいう。
【0040】
以上に説明した本発明に係る感熱発色・感熱消色式のホワイトボード(請求項1)によると、従来例におけるがごとく温度条件に応じて透明度が変化するのでなく、可逆性感熱記録層が発色したり消色したりするので、消色に際してダストを発生しないのみでなく、発色によって現示される画像情報のコントラストが充分であり、その輪郭が明瞭である。その上、可逆性感熱記録層の硬度が熱ペンの筆圧との関連において適正に設定されているので、消色した後に残される圧痕が視認されず、反復使用可能回数が多い。
【0041】
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートの背面に熱容量の大きいバックボードを設けると(請求項2)、可逆性感熱記録層が熱ペンで加熱された部分から吸熱して発色を助長し、かつ、消去用部材で加熱された部分の熱を蓄熱して消色を助長することができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成して2本の垂直なローラに巻き掛けて回転させると(請求項3)、発色させた画像情報を一時的に収納,保存したり、再度取り出して掲示したりすることができ、その上、上記の収納,保存中もホワイトボードシートの余白部分に上記と異なる画像情報を現示することもできる。
【0042】
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成し、2本のローラに巻き掛けて送り作動できるようにするとともに、照明手段と、ラインイメージセンサと、投影レンズ系とを設けると(請求項4)、ホワイトボード上の画像情報を電気的信号として検出することができるので、プリント手段を作動させることや、検出信号を遠隔地に送信することが可能になる。
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成し、2本のローラに巻き掛けて送り作動できるようにするとともに、上記ホワイトボードシートに対向せしめて消色用のヒータを設けると(請求項5)、発色現示された画像情報を自動的ないし半自動的に消去することができる。
【0043】
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成するとともに、2本のローラに巻き掛けて送り操作できるようにし、かつ、該ホワイトボードシートに対向せしめてヒート式のドットプリンタを設けると(請求項6)、所望の画像情報を自動的ないし半自動的に発色せしめることができる。
【0044】
本発明のホワイトボードを実施する際、電気ヒータおよび給電手段を備えたヒートロッド(熱ペン)を用いると(請求項7)、画像情報を手書きで発色させて掲示する操作を容易に、かつ確実に行なうことができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、電気ヒータおよび給電手段並びにハンドルを備えたヒートプレートよりなるイレーザーを用いると(請求項8)、手動による消色操作を迅速かつ容易に行なうことができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、電気ヒータおよび給電手段並びにハンドルを備えたヒートローラよりなるイレーザーを用いると(請求項9)、軽い力で容易に手動消色操作を行なうことができる。
【0045】
本発明のホワイトボードを実施する際、異なった温度条件によって異なった色調に発色する複数種類の可逆記録剤を用いるとともに、それぞれの可逆記録剤を発色させる温度条件に適応する複数本の電熱ペンを備えておくと、多色の現示が可能となり内容の豊富な画像情報を掲示することができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、異なった温度条件によって異なった色調に発色する複数種類の可逆記録剤を用いるとともに、1本の電熱ペンの温度をそれぞれの可逆記録剤の発色温度条件に応じて調節できるようにしておくと、多色現示を1本の電熱ペンで行なうことができる。
【0046】
本発明のホワイトボードを実施する際、可逆性感熱記録層の表面に保護層を成層しておくと(請求項10)、上記可逆性感熱記録層の反復使用に因る劣化を防止することができ、上記の保護層に硬化剤を添加して硬度を制御すると(請求項11)、消色した痕跡を目立たなくする機能を確実に発揮させることができる。また、上記の保護層に顔料を添加して表面粗さを制御すると(請求項12)、消色後の痕跡を目立たなくし、かつ標示面の光沢を適度ならしめるとともに熱ペンによる書き心地を調節することができる。上記の書き心地については、前記の保護層に滑剤を添加する(請求項13)ことによって、いっそう精密に調節することができる。
上記の保護層を、可逆性感熱記録層の表面に透明フィルムを貼着して構成すると(請求項14)、感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを工業的に安価に生産することができる。前記の保護層の厚さ寸法を0.5〜5g/m2に設定すると(請求項15)、感熱反応の感度を必要以上に阻害することなく可逆性感熱記録層の反復使用可能回数を増加させることができる。
【0047】
本発明に係る感熱発色・感熱消色式ホワイトボードの発,消色方法(請求項16)によると、従来例におけるがごとき透明度の変化でなく、発色・消色という視認し易い現象によって画像情報を現示したり消去したりする操作を反復して行なうことができ、しかも、消去に際してダストを発生せず、消去の後に痕跡が目立たない。その上、発色部分と非発色部分との境界が明瞭で、充分なコントラストを得ることができる。
【0048】
本発明の発,消色方法を実施する際、可逆記録剤に顔料を添加して表面粗さを制御すると、画像情報の光沢を適度ならしめて視認し易いようにすることができる。
本発明の発,消色方法を実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成するとともに、該無端環状のホワイトボードシートを送り作動せしめると(請求項17)、発色させて現示した画像情報を一時的に収納,保存し、必要に応じて迅速,容易に取り出すことができる。上記無端環状のホワイトボードシートに対向せしめてイレーザーを設けると(請求項18)、発色現示された画像情報を自動的に消去することができる。また、上記無端環状のホワイトボードシートに対向せしめてラインイメージセンサおよび投影レンズ系を設けておくと(請求項19)、発色現示された画像情報を電気信号に変換することにより、半永久的に記録したり送信したりすることができる。また、前記ホワイトボードシートに対向せしめてヒートロッド形のドットプリンタを配設すると(請求項20)、電気信号を画像情報に変換することができる。
本発明の発,消色方法を実施する際、色調および発色温度条件を異にする複数種類の可逆記録剤を用いるとともに、それぞれの発色温度条件を与える熱ペンを用いると多色の画像情報を現出することができる。
【0049】
【発明の実施の形態】
次に、図1ないし図3を順次に参照しつつ本発明の実施形態について述べる。
【0050】
図1は、本発明の基本的な構造機能の原理を説明するために示したもので、(A)は部分的に破断して描いたホワイトボード本体部分の斜視図、(B)は熱ペンの外観斜視図、(C)はイレーザーの外観斜視図、(D)は上記と異なるイレーザーの外観斜視図である。
ベースフイルム1の少なくとも片面に可逆性感熱記録層2を形成されるとともに、該可逆性感熱記録層2を覆って保護層3が成層され、ホワイトボードシート8が構成されている。なお、図1に示したホワイトボードシート1は厚さ方向に拡大して描いてある。
上記の可逆性感熱記録層2は「通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体」と「加熱・急冷により上記染料前駆体を発色させ、再加熱・徐冷によって発色体を消色させる可逆顕色剤」とを含有する可逆記録剤によって構成されており、その具体的な組成については先に「課題を解決するための手段」(以下、紛らわしくない場合は単に解決手段と略記する)の項に述べたように、多くの種類の電子供与性染料前駆体と多くの種類の可逆顕色剤との組合せが適用可能であり、その組合せによって発色,消色の熱的条件も異なる。本発明を実施する際、異なった色調に発色する複数種類の可逆記録剤を用いることにより多色の画像を発色させることも可能である。この場合、複数種類の可逆記録剤のそれぞれによって多数の斑点状の可逆性感熱記録層を構成すると、カラーテレビにおける多色画像と類似の多色画像を構成することもできる。
【0051】
前記可逆性感熱記録層が、正常の視力を有する者が見た場合に、消色後に痕跡が見えないようにするには、表面粗さと表面硬さとが密接に関連する。本実施形態においては保護層3を設けているので、該保護層3の表面性状の制御が重要であり、本実施形態においては、直径0.5mmのステンレススチール球を押し当てて300g重の荷重を加えたときに生じる圧痕の直径が0.1mm以下となり、かつ、表面粗さRzが0.5〜5μmとなるように調製した。これらの制御方法の詳細については、先に解決手段の項で述べたとおりである。また、支持体であるベースフイルム1の上に可逆性感熱記録層2を成層する方法の詳細、および、該可逆性感熱記録層2を覆って保護層3を成層する方法の詳細についても、先に解決手段の項で述べたとおりである。
【0052】
以上のように構成したホワイトボードシート8を、鉄板製のバックボード16の上に重ね合わせ、枠4で取り囲んである。上記バックボード16は、単にホワイトボードシート8を機械的に支持して筆圧を担持するのみでなく、本実施態様においては、次に述べるごとく発色,消色反応の熱的条件にも関与する。この発色,消色反応についてのバックボード16の役目は、熱ペンとイレーザーとについて説明した後に詳述する。
本図1(B)に示した熱ペン4は、断熱性材料で作られた筒状の断熱ケース4aの先端に突出させて金属製のヒートロッド4bを固定するとともに、電気ヒータ4cを設けて上記ヒートロッド4bを加熱できるようになっている。上記電気ヒータ4cに給電するための手段として、コード4fを介して制御機能を有する電源(図示せず)に接続できるようにしても良く、充電用の端子接片4eを備えたバッテリ4dを設けても良い。先に説明したように複数種類の可逆性感熱記録剤を用いて多色ホワイトボードシートを用いる場合は、それぞれの可逆性感熱記録剤を発色せしめるに適した温度となるように切り換え制御できるサーモスタット(図示せず)を設けるか、もしくは、各種温度になるように調節した複数個の熱ペンを備えておく。
【0053】
本図1(C)に示したイレーザー5は、断熱性材料製のハンドル5aにヒートプレート5bを取り付けるとともに、電気ヒータ5cおよびその給電手段(コード5f、または端子接片5eおよびバッテリ5d)を設けてある。また、本図1(D)に示したイレーザー6は、電気ヒータ6cを有するヒートローラ6bをハンドル6aによって回転自在に支承するとともに、給電手段(コード6f、または端子接片6eおよびバッテリ6d)を設けてある。
前記の熱ペン4のヒートロッド4bの先端は凸球面状に成形されている。このヒートロッド4bを加熱して、ホワイトボードシート8に摺触させつつ曲線矢印eのように滑らせると、この曲線に沿って可逆性感熱記録層2が加熱・急冷されて発色する。そのメカニズムを詳細に考察すると次のとおりである。
上記曲線上の点fについて考えると、熱ペンが通過してゆく一瞬に加熱されて昇温するが、通り過ぎた後は放冷される。このとき点fの周囲の殆ど全部は加熱されずに室温であるから、昇温した点fの熱量は周囲から吸熱されて速やかに降温せしめられるので発色する。この場合、点fの裏側に熱容量の大きいバックボード16が存在するので、いっそう速やかに吸熱されて急冷され、確実に発色する。このようにして、熱容量の大きいバックボード16は可逆性感熱記録層2の発色反応を助長する。
次に、イレーザー5、もしくはイレーザー6で、仮想線で示したように前記の点fを含む区域gを加熱すると、該イレーザーを離間させた後、点fの周囲全部が昇温しているので、熱ペンが通過したときのように周囲から吸熱されることがなく、徐冷されるので消色する。この場合、ホワイトボードシート8の裏面に熱容量の大きいバックボード16が接していると、このバックボード16が蓄熱後、放熱機能を果たして点fの徐冷を助長する。このようにして、ホワイトボードシートよりも単位面積当たり熱容量の大きいバックボード16の存在によって、消色操作が確実に行なわれる。
【0054】
前記のように熱ペン4で描画して発色させる場合、該熱ペンとホワイトボードシートとの間の摩擦係数は、書き味に影響するだけでなく発色状態をも左右する。その理由は、滑りすぎると発色に必要な加熱が行なわれないからである。このため、本実施形態においては、先に解決手段の項において説明したようにして保護層3と熱ペンのヒートロッド4bとの間の摩擦係数を調節してある。
さらに、前記の保護層の厚さ寸法も適正であることを要する。厚さ寸法が過大であると熱ペンから可逆性感熱記録層2への熱伝導が妨げられて発色反応の感度が低下するが、厚さ寸法が過小であると可逆性感熱記録層2の反復使用可能回数を増加させる作用が充分に果たされないからである。この厚さ寸法は、保護層の材質によっても異なるが0.5〜5g/m2であることが望ましい。
【0055】
図2は、前掲の図1に示した原理図におけるホワイトボードシートを用いて構成した電子黒板タイプのホワイトボードの1実施形態を示し、模式的に描いた外観正面図である。
7は、外筐を兼ねたフレームであって、その正面に開口7aが設けられている。上記開口7aを内側から覆う形にホワイトボードシート8が平面状に張り渡されている。
上記のフレーム7は、吊環9を設け、もしくは脚10を取り付けて、ほぼ垂直に支承できるようになっている。11は器具テーブルであって、先に説明した熱ペン4やイレーザー5(又は同6)を保持して使用に供している。
【0056】
図3は、前掲の図2に示した電子黒板タイプのホワイトボードをE−E面で切断して描いた模式的な平面図である。ただし、模式化してあるので必ずしも写実的な投影図形ではない。
ホワイトボードシート8は無端環状に形成され、1対のローラ14,15に巻き掛けてある。上記1対のローラ14,15を付記した円弧矢印方向に回転駆動する手段(図示省略)が設けられていて、ホワイトボードシート8は矢印a,b,cのように回転せしめられる。該ホワイトボード8がフレームの前面開口7aに張り渡されている部分について見れば(図2参照)矢印aのごとく左右方向に送られる。
【0057】
図3に示した熱ペン4により、ホワイトボードシート8をバックボード16に向けて押しつけながら動かすと、先に図1について説明したようにして、手書き操作で画像情報を現示することができる。
前記ホワイトボードシート8の、上下方向の細長い区域jを照明するランプ18および反射鏡が設けられるとともに、上記の区域jに対向せしめて、上下方向(本図において紙面と垂直方向)に細長いラインイメージセンサ20が設けられ、かつ、上記の区域jに現示されている画像情報をラインイメージセンサ20に結像させる投影レンズ系19が設けられている。
図2に示したボード操作盤12を操作してホワイトボードシート8を回転させながら、コピー操作盤13を操作して、図3に示したランプ18を点灯させるとともに、ラインイメージセンサ20から電気信号を取り出す。取り出した電気信号はプリンタ(図示省略)に入力して半永久的に画像情報を保持することもでき、取り出した電気信号を送信して遠隔地においてCRTや液晶パネルにより画像化して観察することも可能である。
【0058】
図3に示した送り方向矢印a,b,cについて前記の区域jよりも下流側に、ホワイトボードシート8に対向せしめて、上下方向に細長い主ヒータ17が設けられている。該主ヒータ17よりも下流側に位置せしめて保熱板17′が設けられている。上記の主ヒータ17に通電すると、可逆性感熱記録層に消色反応を起こさせ得る温度に昇温する。保熱板17′は主ヒータ17から熱伝動を受けて、消色反応を起こさせるに足りない温度範囲内で昇温する。
前記のホワイトボードシート8を回転させながら主ヒータ17に通電すると、該ホワイトボードシート8が矢印c方向に通過しながら主ヒータ17によって昇温せしめられ、通過し終えてから放冷されて発色体が消色する。この実施形態のように保熱板17′が設けられていると、矢印c方向に送られるホワイトボードシートが該保熱板17′によって急冷しないようにされ、消色作用が確実に行なわれる。この保熱板17′の効果は、ホワイトボードシート8の回転速度を高くしたときに有意義である。
【0059】
前記のラインイメージセンサ20よりも上流側,かつ主ヒータ17,保熱板17′よりも下流側に位置せしめて、ヒートロッドを上下方向(本図3において紙面と垂直方向)に配列した構造のドットプリンタ21を設けると、電気信号を与えて画像情報を発色,現示させることができる。このドットプリンタ21を遠隔操作することも可能である。
【0060】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明する。
実施例1
(A)可逆性感熱塗液の作製
染料前駆体である3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン40部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液90部と共にボールミルで24時間粉砕し、染料前駆体分散液を得た。対いでN−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド100部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液400部と共にボールミルで24時間粉砕し分散液を得た。上記2種の分散液を混合した後、10%ポリビニルアルコール水溶液200部、水400部を添加、よく混合し、可逆性感熱塗液Aを作成した。
【0061】
(B)可逆性感熱記録層の塗工
(A)で調製した可逆性感熱塗液Aをポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(イ)(東レ製ルミラーE22、厚さ188μm、比重1.4)に、固形分塗抹量4g/m2となる様に塗抹し、乾燥後、スーパーカレンダーで処理して塗工シートBを得た。
(C)中間層の塗工
(B)で得た塗工シートBの塗層上に、ポリビニルアルコール単独からなる塗液を固形分塗布量1g/m2となるように塗布乾燥し、中間層を設けて塗工シートCを得た。
(D)保護層の塗工
(C)で得た塗工シートCの塗層上に、アロニックスM8030(東亜合成化学工業製)85部、N−ビニル−2−ピロリドン 5部、イルガキュア500(日本チバガイギー製)5部、ミズカシル P−527(水澤化学製)5部を加え十分撹拌した紫外線硬化性樹脂組成物を1.5g/m2となるように塗布した後、紫外線照射装置(ウシオ電機製、ラピッドキュア)にて硬化を行ない、保護層を有する可逆性感熱記録材料を得た。
【0062】
実施例2
実施例1の(B)で用いたポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(イ)(東レ製ルミラーE22、厚さ188μm、比重1.4)をポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(ロ)(ICI製メリネックスE339、厚さ97μm、比重1.4)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0063】
比較例1
実施例1の(B)で用いたポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(イ)(東レ製ルミラーE22、厚さ188μm、比重1.4)をポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(ハ)(東レ製E22、厚さ75μm、比重1.4)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
比較例2
実施例1の(B)で用いたポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(イ)(東レ製ルミラーE22、厚さ188μm、比重1.4)をポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(ニ)(東レ製E62、厚さ188μm、比重1.0)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
比較例3
実施例1の(B)で用いたポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(イ)(東レ製ルミラーE22、厚さ188μm、比重1.4)をポリエチレンテレフタレート(PET)シート支持体(ホ)(東洋紡製クリスパーG2323、厚さ100μm、比重1.1)に変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0064】
比較例4
実施例1の(D)保護層を次のように変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
(D)保護層の塗工
(C)で得た塗工シートCの塗層上に、アロニックスM8030(東亜合成化学工業製)85部、N−ビニル−2−ピロリドン 5部、イルガキュア500(日本チバガイギー製)5部を加え十分撹拌した紫外線硬化性樹脂組成物を1.5g/m2となるように塗布した後、紫外線照射装置(ウシオ電機製、ラピッドキュア)にて硬化を行ない、保護層を有する可逆性感熱記録材料を得た。
【0065】
比較例5
実施例1の(D)保護層を次のように変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を得た。
(D)保護層の塗工
(C)で得た塗工シートCの塗層上に、アロニックスM8030(東亜合成化学工業製)85部、N−ビニル−2−ピロリドン 5部、イルガキュア500(日本チバガイギー製)5部、サイリシア470(富士シリシア化学製)5部を加え十分撹拌した紫外線硬化性樹脂組成物1.5g/m2となるように塗布した後、紫外線照射装置(ウシオ電機製、ラピッドキュア)にて硬化を行ない、保護層を有する可逆性感熱記録材料を得た。
【0066】
試験1(押圧による変形)
実施例1、2および比較例1〜5で得た可逆性感熱記録材料表面に、0.5mm直径のステンレススチール球をあて、300gの加重で加圧しながらステンレススチール球を3cm直線に移動した。後該可逆性感熱記録材料を表面に対して垂直に切断し、顕微鏡により押圧による変形を測定した。結果を表1に示した。
試験2(表面粗さRzの測定)
実施例1、2および比較例1〜5で得た可逆性感熱記録材料表面を表面粗さ計(東京精密製サーフコム)で、JIS B 0601の5.に準じて十点平均粗さRzを測定した。結果を表1に示した。
試験3(画像の形成/消去)
実施例1、2および比較例1〜5で得た可逆性感熱記録材料に熱ペン(接触部分の表面温度140℃)で直線を描き、のち熱ブロック(接触部分の表面温度120℃)で消去し、発色跡を観察した。結果を表1および表2に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
実施例1〜2で得た可逆性感熱記録材料は、熱ペンによる発色に続く熱ブロックによる消去の操作を行っても発色跡が見られなかった。これに対して、比較例1〜5は熱ペンによる発色に続く熱ブロックによる消去の操作を行った場合発色跡が見られる。また、比較例4〜5では押圧による変形がないにもかかわらず、発色跡が見られた。このことより、本発明の押圧による変形の度合いおよび表面粗さの度合いの複合効果により発色跡が視認できなくなることが確認された。これにより実施例と比較例間に明確な差が認められ、本発明が大きな効果を持つことが確認される。
【0070】
【発明の効果】
本願に係る一連の発明における可逆性感熱記録材料は、該可逆性感熱記録材料の表面粗さRzが0.5から5μmであって、さらに該可逆性感熱記録材料表面を0.5mm直径のステンレススチール球を300gの加重で加圧したとき、該可逆性感熱記録材料に押圧による変形が0.1mmを超えないことを特徴とし、発熱体と該可逆性感熱記録材料表面との接触部分が0.5mm直径以上の大きさの熱ペンを使用する場合において支持体の変形や塗層の変形を起こさず、熱ペンで発色し加熱ブロックで消去した際に発色跡が視認されない。
【0071】
本発明に係る感熱発色・感熱消色式のホワイトボード(請求項1)によると、従来例におけるがごとく温度条件に応じて透明度が変化するのでなく、可逆性感熱記録層が発色したり消色したりするので、消色に際してダストを発生しないのみでなく、発色によって現示される画像情報のコントラストが充分であり、その輪郭が明瞭である。その上、可逆性感熱記録層の硬度が熱ペンの筆圧との関連において適正に設定されているので、消色した後に残される圧痕が視認されず、反復使用可能回数が多い。
【0072】
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートの背面に熱容量の大きいバックボードを設けると(請求項2)、可逆性感熱記録層が熱ペンで加熱された部分から吸熱して発色を助長し、かつ、消去用部材で加熱された部分の熱を蓄熱して消色を助長することができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成して2本の垂直なローラに巻き掛けて回転させると(請求項3)、発色させた画像情報を一時的に収納,保存したり、再度取り出して掲示したりすることができ、その上、上記の収納,保存中もホワイトボードシートの余白部分に上記と異なる画像情報を現示することもできる。
【0073】
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成し、2本のローラに巻き掛けて送り作動できるようにするとともに、照明手段と、ラインイメージセンサと、投影レンズ系とを設けると(請求項4)、ホワイトボード上の画像情報を電気的信号として検出することができるので、プリント手段を作動させることや、検出信号を遠隔地に送信することが可能になる。
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成し、2本のローラに巻き掛けて送り作動できるようにするとともに、上記ホワイトボードシートに対向せしめて消色用のヒータを設けると(請求項5)、発色現示された画像情報を自動的ないし半自動的に消去することができる。
【0074】
本発明のホワイトボードを実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成するとともに、2本のローラに巻き掛けて送り操作できるようにし、かつ、該ホワイトボードシートに対向せしめてヒート式のドットプリンタを設けると(請求項6)、所望の画像情報を自動的ないし半自動的に発色せしめることができる。
【0075】
本発明のホワイトボードを実施する際、電気ヒータおよび給電手段を備えたヒートロッド(熱ペン)を用いると(請求項7)、画像情報を手書きで発色させて掲示する操作を容易に、かつ確実に行なうことができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、電気ヒータおよび給電手段並びにハンドルを備えたヒートプレートよりなるイレーザーを用いると(請求項8)、手動による消色操作を迅速かつ容易に行なうことができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、電気ヒータおよび給電手段並びにハンドルを備えたヒートローラよりなるイレーザーを用いると(請求項9)、軽い力で容易に手動消色操作を行なうことができる。
【0076】
本発明のホワイトボードを実施する際、異なった温度条件によって異なった色調に発色する複数種類の可逆記録剤を用いるとともに、それぞれの可逆記録剤を発色させる温度条件に適応する複数本の電熱ペンを備えておくと、多色の現示が可能となり内容の豊富な画像情報を掲示することができる。
本発明のホワイトボードを実施する際、異なった温度条件によって異なった色調に発色する複数種類の可逆記録剤を用いるとともに、1本の電熱ペンの温度をそれぞれの可逆記録剤の発色温度条件に応じて調節できるようにしておくと、多色現示を1本の電熱ペンで行なうことができる。
【0077】
本発明のホワイトボードを実施する際、可逆性感熱記録層の表面に保護層を成層しておくと(請求項10)、上記可逆性感熱記録層の反復使用に因る劣化を防止することができ、上記の保護層に硬化剤を添加して硬度を制御すると(請求項11)、消色した痕跡を目立たなくする機能を確実に発揮させることができる。また、上記の保護層に顔料を添加して表面粗さを制御すると(請求項12)、消色後の痕跡を目立たなくし、かつ標示面の光沢を適度ならしめるとともに熱ペンによる書き心地を調節することができる。上記の書き心地については、前記の保護層に滑剤を添加する(請求項13)ことによって、いっそう精密に調節することができる。
上記の保護層を、可逆性感熱記録層の表面に透明フィルムを貼着して構成すると(請求項14)、感熱発色・感熱消色式のホワイトボードを工業的に安価に生産することができる。前記の保護層の厚さ寸法を0.5〜5g/m2に設定すると(請求項15)、感熱反応の感度を必要以上に阻害することなく可逆性感熱記録層の反復使用可能回数を増加させることができる。
【0078】
本発明に係る感熱発色・感熱消色式ホワイトボードの発,消色方法(請求項16)によると、従来例におけるがごとき透明度の変化でなく、発色・消色という視認し易い現象によって画像情報を現示したり消去したりする操作を反復して行なうことができ、しかも、消去に際してダストを発生せず、消去の後に痕跡が目立たない。その上、発色部分と非発色部分との境界が明瞭で、充分なコントラストを得ることができる。
【0079】
本発明の発,消色方法を実施する際、可逆記録剤に顔料を添加して表面粗さを制御すると、画像情報の光沢を適度ならしめて視認し易いようにすることができる。
本発明の発,消色方法を実施する際、ホワイトボードシートを無端環状に構成するとともに、該無端環状のホワイトボードシートを送り作動せしめると(請求項17)、発色させて現示した画像情報を一時的に収納,保存し、必要に応じて迅速,容易に取り出すことができる。上記無端環状のホワイトボードシートに対向せしめてイレーザーを設けると(請求項18)、発色現示された画像情報を自動的に消去することができる。また、上記無端環状のホワイトボードシートに対向せしめてラインイメージセンサおよび投影レンズ系を設けておくと(請求項19)、発色現示された画像情報を電気信号に変換することにより、半永久的に記録したり送信したりすることができる。また、前記ホワイトボードシートに対向せしめてヒートロッド形のドットプリンタを配設すると(請求項20)、電気信号を画像情報に変換することができる。
本発明の発,消色方法を実施する際、色調および発色温度条件を異にする複数種類の可逆記録剤を用いるとともに、それぞれの発色温度条件を与える熱ペンを用いると多色の画像情報を現出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な構造機能の原理を説明するために示したもので、(A)は部分的に破断して描いたホワイトボード本体部分の斜視図、(B)は熱ペンの外観斜視図、(C)はイレーザーの外観斜視図、(D)は上記と異なるイレーザーの外観斜視図である。
【図2】前掲の図1に示した原理図におけるホワイトボードシートを用いて構成した電子黒板タイプのホワイトボードの1実施形態を示し、模式的に描いた外観正面図である。
【図3】前掲の図2に示した電子黒板タイプのホワイトボードをE−E面で切断して描いた模式的な平面図である。ただし模式化してあるので必ずしも写実的な投影図形ではない。
【符号の説明】
1…ベースフイルム、2…可逆性感熱記録層、3…バックボード、4…熱ペン4a…断熱性ケース、4b…ヒートロッド、4c…電気ヒータ、4d…バッテリ、4e…端子接片、4f…コード、5…イレーザー、5a…断熱性ハンドル、5b…ヒートプレート、5c…電気ヒータ、5d…バッテリ、5e…端子接片、5f…コード、6…イレーザー、6a…断熱性ハンドル、6b…ヒートローラ、6c…電気ヒータ、6d…バッテリ、6e…端子接片、6f…コード、7…フレーム、7a…前面開口、8…ホワイトボードシート、9…吊環、10…脚、11…器具テーブル、12…ボード操作盤、13…コピー操作盤、14,15…ローラ、16…バックボード、17…主ヒータ、17′…保熱板、18…ランプ、19…投影レンズ系、20…ラインイメージセンサ、21…ドットプリンタ。
Claims (20)
- 支持体であるベースフイルムの表面に、「通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体」と「加熱・冷却により上記染料前駆体を発色させ、再加熱・冷却によって発色体を消色させる可逆顕色剤」とを含有する可逆記録剤よりなる可逆性感熱記録層を形成してなるホワイトボードシートと、
上記可逆性感熱記録層に点接触せしめられる高温の凸曲面を有し、該凸曲面の接触によって該可逆性感熱記録層を局部的に昇温せしめて発色させる記述用の部材と、
前記可逆性感熱記録層に面接触もしくは線接触せしめられる高温の平面もしくは高温の円柱面を有し、該平面もしくは円柱面の接触によって該可逆性感熱記録層の特定区域を昇温せしめて消色させる消去用の部材とを具備しており、
かつ、前記可逆性感熱記録層の表面粗さRzが0.5〜5μmであるとともに、該可逆性感熱記録層の表面に直径0.5mmのステンレススチール球を当接せしめて300g重の荷重を加えたとき、該表面の塑性変形によって生じる圧痕の直径寸法が0.1mmを超えないことを特徴とする、感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。 - 前記のベースフイルムの表面に可逆性感熱記録層を成層してなるホワイトボードシートの背面に当接せしめて、該ホワイトボードシートよりも単位面積当たり熱容量の大きいバックボードを設けられていて、記述用部材による押圧力が支承され、かつ、
可逆性感熱記録層が局部的に加熱されて加熱が終った後、昇温した可逆性感熱記録層の熱量が前記バックボードにより吸熱されて急速に冷却せしめられ、その発色作用が助長されるとともに、
可逆性感熱記録層の特性の範囲が加熱されたとき、その熱量の一部が前記バックボードに蓄熱されていて、上記の加熱が終った後、昇温していた可逆性感熱記録層がバックボードの保熱によって徐冷されて消色作用が助長されるようになっていることを特徴とする、請求項1に記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。 - 前記のホワイトボードシートが無端環状をなしており、
ボードのフレームの左右両端それぞれに垂直なローラが配置されるとともに、前記無端環状のホワイトボードシートが上記のローラに巻き掛けられていて、
前記のバックボードは前記フレームの前面開口部を内側から覆うように位置せしめて配設されており、
前記のローラを回転せしめる手段が設けられていて、該ローラの回転に伴って、これに巻き掛けられているホワイトボードシートが、バックボードの前面に摺触しつつ左右方向へ送られるようになっていることを特徴とする、請求項2に記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。 - 前記のホワイトボードシートに対向せしめて、該ホワイトボードシートを照明する手段が設けられるとともに、
ほぼ垂直に設置されたラインイメージセンサと、前記ホワイトボードシート上の形状情報を上記ラインイメージセンサ上に結像せしめるレンズ系とが設けられていることを特徴とする、請求項3に記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。 - 前記ローラに巻き掛けられたホワイトボードシートの、無端環状の長手方向とほぼ垂直な細長い区域に対向せしめて、該ホワイトボードシートを加熱・冷却させて消色作用を行なわせるためのヒータが設けられていることを特徴とする、請求項3もしくは請求項4に記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。
- 前記ローラに巻き掛けられたホワイトボードシートの無端環状の長手方向とほぼ垂直な方向に、かつ、該ホワイトボードシートの面と平行に対向せしめて、高温の凸曲面を有する多数のロッドよりなるドットプリンタが設置されていることを特徴とする、請求項3ないし請求項5の内の何れかに記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。
- 前記の記述用部材が、先端に凸曲面を有する熱伝導性材料製のヒートロッドと、上記ヒートロッドを加熱する電気ヒータと、上記電気ヒータに電力を供給する手段と、断熱性材料製の細長いケースとを具備していることを特徴とする、請求項1もしくは請求項2に記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。
- 前記の消去用部材が、平面部を有する熱伝導材料製のヒートプレートと、上記ヒートプレートを加熱する電気ヒータと、上記電気ヒータに電力を供給する手段と、断熱材料製のハンドルとを具備していることを特徴とする、請求項1もしくは請求項2または請求項7に記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。
- 前記の消去用部材が、円柱面を有する熱伝導材料製のヒートローラと、上記ヒートローラを加熱する電気ヒータと、上記電気ヒータに電力を供給する手段と、前記ヒートローラを回転可能に支持した断熱材料製のハンドルとを具備していることを特徴とする、請求項1もしくは請求項2または請求項7に記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。
- 前記可逆性感熱記録層の表面が、流動状態の保護剤を成層・硬化させてなる保護層によって覆われていて、前記可逆性感熱記録層の感熱発色・感熱消色の反復による劣化が該保護層によって防止されるようになっていることを特徴とする、請求項1ないし請求項9の内の何れかに記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。
- 前記の保護剤に硬化剤が添加されていて、該硬化剤の種類および添加量の調節によって、ステンレススチール球によって保護層の表面に荷重を与えたときの圧痕の発生状態が0.1mm以下に調整されていることを特徴とする、請求項10に記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。
- 前記の保護剤に顔料が添加されていて、該顔料の種類および添加量の調節によって、前記保護層の表面粗さRzが0.5〜5μmに調整されていることを特徴とする、請求項10もしくは請求項11に記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。
- 前記の保護剤に滑剤が添加されていて、該滑剤の種類および添加量の調節によって、前記保護層の記述用部材に対する摩擦係数が調整されていることを特徴とする、請求項10ないし請求項12の内の何れかに記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。
- 前記可逆性感熱記録層の表面に、これと別体に構成された可視光に透明なフイルム状の部材が貼着されてなる保護層によって覆われていることを特徴とする、請求項1ないし請求項9の内の何れかに記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。
- 前記の保護層の厚さ寸法が、単位面積当たり重量に換算して0.5〜5g/m2であることを特徴とする、請求項10ないし請求項14の内の何れかに記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボード。
- 「通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体」と「加熱・急冷により上記染料前駆体を発色させ、再加熱・徐冷によって発色体を消色させる可逆顕色剤」とによって可逆記録剤を構成し、
上記可逆記録剤をベースフイルム上に成層して可逆性感熱記録層を構成し、かつ、上記可逆性感熱記録層に熱ペンを接触させて加熱・急冷することにより接触個所を発色させ、
上記の発色部分に高温の面を有する部材を接触させて前記可逆性感熱記録層を加熱,徐冷して消色せしめることを特徴とする、感熱発色・感熱消色式のホワイトボードの発,消色方法。 - 前記の可逆性記録層および保護層を積層したベースフイルムよりなるホワイトボードシートを無端環状に構成し、
1対のローラをそれぞれほぼ垂直に、相互に離間せしめて配置するとともに、該1対のローラの内の少なくとも片方を回転駆動する手段を設け、
前記無端環状のホワイトボードシートを上記1対のローラに巻き掛け、
上記のローラを回転させることにより、前記ホワイトボードシートがバックボードに対向している部分を左,右方向に移動せしめることを特徴とする、請求項16に記載した感熱発色・感熱消色式のホワイトボードの発,消色方法。 - 前記1対のローラに巻き掛けられて回転せしめられる無端環状のホワイトボードシートに対向せしめて、該ホワイトボードシートの幅方向に細長い形状のヒータよりなるイレーザを配設し、
前記ホワイトボードシートを回転せしめることにより、上記イレーザによって相対的にホワイトボードシートの表面を払拭して消去作用を行なわせることを特徴とする、請求項17に記載した感熱発色・感熱消色式ホワイトボードの発,消色方法。 - 回転せしめられるホワイトボードシート上の任意の部分について、その移動経路に関して前記バックボードよりも下流側、かつ前記イレーザよりも上流側に対向,離間せしめて、
照明手段、およびラインイメージセンサ、並びに、前記ホワイトボードシート上に発色せしめられている画像情報を上記のラインイメージセンサ上に結像せしめるレンズ系を配設して、発色した画像が消去される以前に永久保存し、もしくは遠隔地に情報を送ることを特徴とする、請求項18に記載した感熱発色・感熱消色式ホワイトボードの発,消色方法。 - 前記ホワイトボードシートの移動経路に関して前記バックボードよりも上流側、かつ、前記イレーザよりも下流側に対向せしめて、
加熱された球状の面を有する多数のロッドを備えたドットプリンタを配設し、
前記のホワイトボードシートを回動せしめつつ、上記多数のロッド中の特定のロッドを選択的にホワイトボードシートに接触せしめて発色させることを特徴とする、請求項19に記載した感熱発色・感熱消色式ホワイトボードの発,消色方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06957696A JP3723936B2 (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | 感熱発色・感熱消色式のホワイトボード及び同発,消色方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06957696A JP3723936B2 (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | 感熱発色・感熱消色式のホワイトボード及び同発,消色方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09254550A JPH09254550A (ja) | 1997-09-30 |
JP3723936B2 true JP3723936B2 (ja) | 2005-12-07 |
Family
ID=13406767
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06957696A Expired - Fee Related JP3723936B2 (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | 感熱発色・感熱消色式のホワイトボード及び同発,消色方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3723936B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001032440A1 (fr) * | 1999-11-04 | 2001-05-10 | Kimoto Co., Ltd. | Combinaison d'un panneau d'ecriture et d'une feuille ecran reflechissant |
US6457792B1 (en) * | 1999-11-29 | 2002-10-01 | Xerox Corporation | Method for effecting actions over vertical surfaces |
US6368002B1 (en) * | 1999-11-29 | 2002-04-09 | Xerox Corporation | Parking mechanism for storing and exchanging end effectors used in a system for performing actions over vertical surfaces |
CN103991315A (zh) * | 2014-04-24 | 2014-08-20 | 苏州市中平砖雕文化发展有限公司 | 一种快干远红外恒温习字金砖及其制备方法 |
JP7073627B2 (ja) * | 2017-03-21 | 2022-05-24 | 株式会社リコー | ラベル用透明感熱記録媒体、及び物品 |
CN114324198B (zh) * | 2021-12-16 | 2023-11-14 | 重庆冠宇电池有限公司 | 一种电芯点胶质量检测方法 |
-
1996
- 1996-03-26 JP JP06957696A patent/JP3723936B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09254550A (ja) | 1997-09-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3876106B2 (ja) | 可逆性二色感熱記録材料及び記録方法 | |
JPH11277905A (ja) | 感熱記録媒体 | |
JP3563876B2 (ja) | 透明感熱記録媒体 | |
JP3723936B2 (ja) | 感熱発色・感熱消色式のホワイトボード及び同発,消色方法 | |
JP3674796B2 (ja) | 感熱記録材料 | |
JP2008087390A (ja) | 感熱記録体 | |
JP4050624B2 (ja) | 感熱記録材料 | |
JP3368384B2 (ja) | 可逆性感熱記録材料、その製造方法及びそれを使用した画像表示方法 | |
JPH11151890A (ja) | 感熱発色・感熱消色式のホワイトボード及び発色・消色方法 | |
JP3781597B2 (ja) | 可逆性感熱記録材料 | |
JP4190310B2 (ja) | 感熱記録材料 | |
JPH02274589A (ja) | 感熱記録シート | |
JPH071840A (ja) | 可逆性感熱記録媒体 | |
JP4223166B2 (ja) | 顕減色剤、これを用いた可逆性感熱記録材料および可逆性感熱記録媒体 | |
JP2004358762A (ja) | 感熱記録体 | |
JP2002059654A (ja) | 可逆性多色感熱記録材料 | |
JPH0768934A (ja) | 可逆性感熱記録材料 | |
JP3621515B2 (ja) | 可逆性感熱記録材料 | |
JPH09254541A (ja) | 可逆性感熱記録材料 | |
JPH09193550A (ja) | 感熱記録材料 | |
JPH11198529A (ja) | 感熱記録材料 | |
JPH03173679A (ja) | 感熱記録体 | |
JP2565551B2 (ja) | 感熱記録体 | |
JP3559085B2 (ja) | 可逆性感熱記録材料および可逆性感熱記録方法 | |
JP2004272150A (ja) | 剥離可能可逆性感熱記録ラベルと剥離方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050701 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050809 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050908 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |