JPH0538873A - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents

可逆性感熱記録材料

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JPH0538873A
JPH0538873A JP3276937A JP27693791A JPH0538873A JP H0538873 A JPH0538873 A JP H0538873A JP 3276937 A JP3276937 A JP 3276937A JP 27693791 A JP27693791 A JP 27693791A JP H0538873 A JPH0538873 A JP H0538873A
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誠 川口
Yoshihiko Hotta
吉彦 堀田
Yukio Konagaya
行夫 小長谷
Kunichika Morohoshi
邦親 諸星
Fumito Masubuchi
文人 増渕
Nobuo Yamada
信夫 山田
Toru Nogiwa
通 野際
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的強度に優れ、高コントラスト、高感度
で、しかも繰り返し耐久性にも優れた可逆性感熱記録材
料を提供する。 【機械】 温度に依存して透明度が可逆的に変化する感
熱部材と、少なくとも一部に着色部又は光反射部を有す
る着色又は光反射部材とを密着一体化した可逆性感熱記
録材料において、着色又は光反射部材の、着色又は光反
射部の少なくとも一部と感熱部材との間に、内部に空気
を有する非密着部を設けたことを特徴とする可逆性感熱
記録材料、また該感熱部材が、可視光線透過率50%以
上の支持体、又は厚み20〜200μmの支持体上に、
温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を設け
たものであることを特徴とする前記可逆性感熱記録材
料、更に着色又は光反射部材の、感熱部材側の反対側面
に、更に磁気記録層を設けたことを特徴とする前記可逆
性感熱記録材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感熱部の温度による可
逆的な透明度変化を利用して、画像の形成及び消去を何
度も繰り返して行なうことのできる可逆性感熱記録材料
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一時的な画像形成が行なえ、不要
となった時にはその画像の消去ができるようにした可逆
性感熱記録材料が注目されている。その代表的なものと
しては、ガラス転移温度(Tg)が50〜60℃から8
0℃未満である低ガラス転移温度の塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体のような樹脂母材中に高級脂肪酸のような
有機低分子物質を分散した可逆性感熱記録材料が知られ
ている(特開昭54−119377号、特開昭55−1
54198号などの公報)。
【0003】更にこの記録材料の背面に着色部を設け、
カード上に情報を表示する方法(実開平2−3876号
公報)や、コントラストを向上させるために、この記録
材料の背面に光反射層を設け、情報を表示する方法(特
開昭64−14079号公報)や、また、この記録材料
の背面に屈折率を異にする薄膜層を設けた可逆性感熱記
録材料(特開平2−175280号公報)等が提案され
ている。
【0004】前記の如く、着色部を感熱層に直接または
間接的に密着された場合には、コントラストが低く、ま
たコントラストを向上させるために、光反射層又は屈折
率を異にする薄膜層を設けた場合でも、そのコントラス
ト向上の効果は充分なものではなかった。
【0005】また、これらの画像形成時及び消去時の加
熱方法としてヒートローラーや熱ペン等を用い、圧力を
あまり加えず熱のみを加えた場合には繰り返し画像形成
−消去を行なっても、耐久性に問題は生じない。しか
し、サーマルヘッド等を用い圧力を加え、同時に加熱す
る場合には、画像の形成・消去を繰り返すうちに有機低
分子物質微粒子の周囲の樹脂母材が変形し、細かく分散
さた有機低分子物質粒子が次第に大きな径の粒子とな
り、光を散乱させる効果が少なくなって(白濁度が低下
し)、遂には、画像及びコントラストが低下し、耐久性
が悪くなるという欠点がある。
【0006】更に、これらの従来の、熱により透明状態
と白濁状態とが可逆的に変化する感熱記録材料は、サー
マルヘッド等の微少エネルギーで加熱させ、画像形成さ
せるには、熱感度が未だ充分とは言えなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記欠点を
解消し、機械的強度に優れ、高コントラスト、高感度で
しかも繰り返し耐久性にも優れた可逆性感熱記録材料、
或いは更に磁気記録層を組み合わせた可逆性感熱記録材
料を提供することを目的とする。
【0008】更に詳しくは、本発明の第1の目的は、画
像コントラストを向上させ、更にサーマルヘッド等の微
少エネルギーで容易に画像形成できる、高感度で、サー
マルヘッド等の熱と圧力とを同時に加える加熱手段を用
いて画像形成−消去を繰り返しても白濁度の低下が少な
く、繰り返し耐久性が向上された可逆性感熱記録材料を
提供することである。
【0009】また本発明の第2の目的は、曲げ等の機械
的強度に優れた可逆性感熱記録材料を提供することであ
る。
【0010】更に本発明の第3の目的は、前記可逆性感
熱記録材料に磁気記録層を組み合わせた可逆性感熱記録
材料を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、温度に依存し
て透明度が可逆的に変化する感熱部材と、少なくとも一
部に着色又は光反射部を有する着色又は光反射部材とを
密着一体化した可逆性感熱記録材料において、着色又は
光反射部材の着色又は光反射部の少なくとも一部と感熱
部材との間に、内部に空気を有する非密着部を設けたこ
とを特徴とする可逆性感熱記録材料が提供され、また前
記感熱部材が、可視光線透過率50%以上である支持体
上に温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を
設けたものであることを特徴とする前記可逆性感熱記録
材料が提供され、更にまた、前記支持体の厚みが20〜
200μmであることを特徴とする前記可逆性感熱記録
材料が提供され、或いは前記着色又は光反射部材の、感
熱部材側と反対側の面に、更に磁気記録層を設けたこと
を特徴とする前記可逆性感熱記録材料が提供される。
【0012】本発明の可逆性感熱記録材料は、前記のご
とき透明度変化(透明状態、白濁不透明状態)を利用し
ており、この透明状態と白濁不透明状態との違いは次の
ように推測される。すなわち、(i)透明の場合には樹脂
母材中に分散された有機低分子物質の粒子は有機低分子
物質の大きな粒子で構成されており、片側から入射した
光は散乱されること無く反対側に透過するため透明に見
えること、また、(ii)白濁の場合には有機低分子物質
の粒子は有機低分子物質の微細な結晶が集合した多結晶
で構成され、個々の結晶の結晶軸がいろいろな方向を向
いているため片側から入射した光は有機低分子物質粒子
の結晶の界面で何度も屈折し、散乱されるため白く見え
ること、等に由来している。
【0013】図1(熱による透明度の変化を表わしてい
る)において、樹脂母材と、この樹脂母材中に分散され
た有機低分子物質とを主成分とする感熱部は、例えばT
0以下の常温では白濁不透明状態にある。これを温度T2
に加熱すると透明になり、この状態で再びT0以下の常
温に戻しても透明のままである。これは温度T2からT0
以下に至るまでに有機低分子物質が半溶融状態を経て多
結晶から単結晶へと結晶が成長するためと考えられる。
更にT3以上の温度に加熱すると、最大透明度と最大不
透明度との中間の半透明状態になる。次に、この温度を
下げて行くと、再び透明状態をとることなく最初の白濁
不透明状態に戻る。これは温度T3以上で有機低分子物
質が溶融後、冷却されることにより多結晶が析出するた
めであると考えられる。なお、この不透明状態のものを
1〜T2間の温度に加熱した後、常温即ちT0以下の温
度に冷却した場合には透明と不透明との中間の状態をと
ることができる。また、前記常温で透明になったものも
再びT3以上の温度に加熱した後常温に戻せば、再び白
濁不透明状態に戻る。即ち、常温で不透明及び透明の両
形態並びにその中間状態をとることができる。
【0014】従って、熱を選択的に与えることにより感
熱部を選択的に加熱し、透明地に白濁画像、白濁地に透
明画像を形成することができ、その変化は何回も繰り返
することが可能である。そして、このような感熱体の背
面に着色シートを配置すれば、白地に着色シートの色の
画像または着色シートの色の地に白地の画像を形成する
ことができる。また、OHP(オーバーヘッドプロジェ
クター)などで投影すれば、白濁部は暗部になり、透明
部は光が透過しスクリーン上では明部となる。
【0015】このような可逆性感熱記録材料を用いて画
像の形成と消去とを行なうには、画像形成用と画像消去
用の二つのサーマルヘッドを持つか、若しくは、印加エ
ネルギー条件を変化させることにより画像形成及び画像
消去を行なう単一のサーマルヘッドを持つものの使用が
有効である。前者の場合には、2つのサーマルヘッドが
必要なため装置のコストは上がるが、それぞれのサーマ
ルヘッドのエネルギー印加条件を別々にし可逆性感熱記
録材料を1回通せば、画像の形成と消去とを行なうこと
でができる。後者の場合には、一つのサーマルヘッドで
画像の形成及び消去を行なうため、感熱記録材料が通過
する1回にサーマルヘッドにエネルギーを印加する条件
を画像を形成する部位、消去する部位に合わせて細かく
変えていくか、または、一度感熱記録材料上の画像を消
去した後もう一度感熱記録材料を逆向きに走行させ別の
エネルギー条件で画像を形成する等、操作は複雑化する
がサーマルヘッドが1つであるため装置コストは安くな
る。
【0016】本発明で用いられる可逆性感熱記録材料を
作るには例えば下記の方法により支持部材上に皮膜とし
て形成するかあるいはシート状として成形することがで
きる。 1)樹脂母材及び有機低分子物質を溶媒中に溶解し、こ
れを支持部材上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あるいは
シート状とする方法。 2)樹脂母材のみを溶解させる溶媒に、樹脂母材を溶解
させ、その中に有機低分子物質を種々の方法で粉砕又は
分散し、これを支持部材上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮
膜あるいはシート状とする方法。 3)溶媒を用いず、樹脂母材と有機低分子物質を加熱溶
融、混合し、これを皮膜あるいはシート状に成形して冷
却する方法。 感熱部又は感熱記録材料作成用溶剤としては、樹脂母材
及び有機低分子物質の種類によって種々選択できるが、
例えばテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタ
ノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。なお、分
散液を使用した場合はもちろんであるが、溶液を使用し
た場合も得られる感熱部中では有機低分子物質は微粒子
として析出し、分散状態で存在する。
【0017】本発明において、可逆性感熱記録材料の感
熱部の樹脂母材に用いられる樹脂は皮膜またはシートを
形成することができ透明性が良く、機械的に安定な樹脂
が好ましい。このような樹脂としては、ポリ塩化ビニ
ル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレ
ート共重合体等の塩化ビニル系共重合体;ポリ塩化ビニ
リデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビ
ニリデン−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニリデ
ン系共重合体;ポリエステル;ポリアミド;ポリアクリ
レート又はポリメタクリレート或いはアクリレート−メ
タクリレート共重合体;シリコーン樹脂等が挙げられ
る。これらは単独で或いは2種以上混合して使用され
る。
【0018】一方、有機低分子物質としては感熱部中で
熱により多結晶から単結晶に変化するもの(図1に示し
た温度T1〜T3の範囲で変化するもの)であればよく、
一般に融点30〜200℃好ましくは50〜150℃程
度のものが使用される。このような有機低分子物質とし
てはアルカノール;アルカンジオール;ハロゲンアルカ
ノールまたはハロゲンアルカンジオール;アルキルアミ
ン;アルカン;アルケン;アルキン;ハロゲンアルカ
ン;ハロゲンアルケン;ハロゲンアルキン;シクロアル
カン;シクロアルケン;シクロアルキン;飽和または不
飽和モノまたはジカルボン酸又はこれらのエステル、ア
ミド又はアンモニウム塩;飽和または不飽和ハロゲン脂
肪酸またはこれらのエステル、アミド又はアンモニウム
塩;アリルカルボン酸またはそれらのエステル、アミド
又はアンモニウム塩;ハロゲンアリルカルボン酸または
それらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;チオア
ルコール;チオカルボン酸又はそれらのエステル、アミ
ドまたはアンモニウム塩;チオアルコールのカルボン酸
エステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上
混合して使用される。これらの化合物の炭素数は10〜
60、好ましくは10〜38、特に10〜30が好まし
い。エステル中のアルコール基部分は飽和していてもよ
く、飽和していなくてもよく、またハロゲン置換されて
いてもよい。いずれにしても有機低分子物質は分子中に
酸素、窒素、硫黄及びハロゲンの少くとも1種、例えば
−OH、−COOH、−CONH、−COOR、−N
H、−NH2、−S−、−S−S−、−O−、ハロゲン
等を含む化合物であることが好ましい。
【0019】更に具体的には、これら化合物としてはラ
ウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン
酸、パルミチン酸、ヘンイコサン酸、トリコサン酸、リ
グノセリン酸、ペンタコサン酸、セロチン酸、モンタン
酸、メリシン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン
酸、アラギン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ステアリ
ン酸メチル、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン酸
オクタデシル、ラウリン酸オクタデシル、パルミチン酸
テトラデシル、ベヘン酸ドデシル等の高級脂肪酸のエス
テル; C1633−O−C1633 , C1633−S−C1633 , C1837−S−C1837 , C1225−S−C1225 , C1939−S−C1939 , C1225−S−S−C1225等のエーテル又はチオエーテル等がある。中でも本発明
では高級脂肪酸、特にパルミチン酸、ヘンエイコサン
酸、トリコサン酸、リグノセリン酸、ペンタデカン酸、
ノナデカン酸、アラキン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等
の炭素数16以上の高級脂肪酸が好ましく、炭素数16
〜24の高級脂肪酸が更に好ましい。
【0020】また、透明化できる温度の巾を広げるに
は、この明細書において記載した有機低分子物質を適宜
組合せるか、または、そうした有機低分子物質と融点の
異なる他の材料とを組合せればよい。これらは例えば特
開昭63−39378号、特開昭63−130380号
などの公報や、特願平1−140109号などの明細書
に開示されているが、これらに限定されるものではな
い。
【0021】なお、感熱部中の有機低分子物質と樹脂母
材との割合は、重量比で2:1〜1:16程度が好まし
く、1:2〜1:8が更に好ましい。樹脂母材の比率が
これ以下になると、有機低分子物質を樹脂母材中に保持
した膜に形成することが困難となり、またこれ以上にな
ると、有機低分子物質の量が少ないため、不透明化が困
難になる。
【0022】感熱部の厚みは1〜30μmが好ましく、
2〜20μmがさらに好ましい。感熱部が厚すぎると感
熱部の層内での熱の分布が発生し均一に透明化すること
が困難となる。また、感熱層が薄すぎると白濁度が低下
しコントラストが低くなる。更に、感熱部中の有機低分
子物質の量を増加させると白濁度を増すことができる。
【0023】感熱部には以上の成分の他に、透明画像の
形成を容易にするために、界面活性剤、高沸点溶剤等の
添加物を添加することができる。これらの添加物の具体
例は次の通りである。 高沸点溶剤の例;リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−
エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレ
ジル、オレイン酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸
ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フ
タル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキ
シル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジオクチルデシ
ル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、ア
ジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2
−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ
−2−エチルヘキシル、ジエチレングリコールジベンゾ
エート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラ
ート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノー
ル酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセ
チルクエン酸トリブチル。
【0024】界面活性剤、その他の添加物の例;多価ア
ルコール高級脂肪酸エステル;多価アルコール高級アル
キルエーテル;多価アルコール高級脂肪酸エステル、高
級アルコール、高級アルキルフェノール、高級脂肪酸高
級アルキルアミン、高級脂肪酸アミド、油脂又はポリプ
ロピレングリコールの低級オレフィンオキサイド付加
物;アセチレングリコール;高級アルキルベンゼンスル
ホン酸のNa、Ca、Ba又はMg塩;高級脂肪酸、芳
香族カルボン酸、高級脂肪酸スルホン酸、芳香族スルホ
ン酸、硫酸モノエステル又はリン酸モノ−又はジ−エス
テルのCa、Ba又はMg塩;低度硫酸化油;ポリ長鎖
アルキルアクリレート;アクリル系オルゴマー;ポリ長
鎖アルキルメタクリレート;長鎖アルキルメタクリレー
ト〜アミン含有モノマー共重合体;スチレン〜無水マレ
イン酸共重合体;オレフィン〜無水マレイン酸共重合
体。
【0025】また、本発明の感熱部上に、サーマルヘッ
ド等の書き込み法による加熱手段の熱と圧力で表面が変
形して透明部の透明度が低下するのを防ぐため、保護層
を設けても良い。感熱部上に積層する保護層(厚さ0.
1〜10μm)の材料としてはシリコーン系ゴム、シリ
コーン樹脂(特開昭63−221087号公報に記
載)、ポリシロキサングラフトポリマー(特開昭63−
317385号に記載)や紫外線硬化樹脂又は電子線硬
化樹脂(特開平2−566号に記載)等が挙げられる。
いずれの場合も、塗布時に溶剤を用いるが、その溶剤
は、感熱部の樹脂ならびに有機低分子物質を溶解しにく
いほうが望ましい。感熱部の樹脂及び有機低分子物質を
溶解しにくい溶剤としてはn−ヘキサン、メチルアルコ
ール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が
挙げられ、特にアルコール系の溶剤がコスト面から望ま
しい。
【0026】更に、保護層形成液の溶剤やモノマー成分
等から感熱部を保護するために、保護層と感熱部との間
に中間層を設けることができる(特開平1−13378
号公報に記載)。中間層の材料としては感熱部中の樹脂
母材として挙げたものの他に下記のような熱硬化性樹
脂、熱可逆性樹脂が使用可能である。即ち、具体的に
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレ
タン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキ
シ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミ
ド等が挙げられる。中間層の厚さは用途により異なるが
0.1〜2μmくらいが好ましい。これ以下になると、
保護効果が下がり、これ以上となると熱感度が低下す
る。
【0027】本発明は、以下に詳述する現象の解明から
発明されたものであり、その概要を図面を用いて説明す
る。本発明の可逆性感熱記録材料は、図2(a)に示す
ように、感熱部材と着色又は光反射部材と、それらの間
の一部に内部に空気を有する非密着部を有する構成が基
本である。その他に着色又は光反射部を薄層としたもの
〔図2(b)、(c)、(d)〕、感熱部材を感熱部と
透明支持体から構成したもの〔図2(c)、(d)、
(e)、(f)〕、着色又は光反射部材の非密着部位の
みに着色又は光反射部を設けたもの〔図2(e)、
(f)〕、等が挙げられる。感熱部材が支持体上に感熱
部を設けたものである場合、該支持体の可視光線透過率
が50%未満のものを用いると地肌部の透明状が低下
し、コントラストが悪くなる。そのため、支持体の可視
光線透過率が50%以上のものを用いることにより、地
肌部(透明状態)の透明性が良くなり、コントラストが
向上する。また、本発明の、磁気記録層を更に形成した
可逆性感熱記録材料を図2(d)、(f)に示す。これ
は特に磁気カードの表示にこの可逆性感熱記録材料を用
いた例で、磁気記録の内容の一部を任意に高いコントラ
ストで表示することが可能となる。
【0028】図3に示すように、感熱部材と着色部との
間に非密着部を有さないと、感熱部材から出た光は着色
部材に吸収されるが、内部に空気を有する非密着部を有
すると、感熱部材の主成分として用いられた有機高分子
材料の屈折率が1.4〜1.6程度で、空気の屈折率
1.0との差が大きいため、感熱部材と非密着部との界
面で光が反射し、感熱部が白濁状態のとき白濁度が増幅
され、視認性が向上するので、この非密着部位を表示部
として用いることが望ましい。
【0029】また、非密着部位は、非密着部の内部に空
気を有するため、該非密着部が断熱層となり、熱感度が
向上する。更に非密着部位は、クッションの役目もな
し、サーマルヘッドで圧力をかけて押さえつけても実際
に感熱部材に加わる圧力は低くなり、熱を加えても樹脂
母材の変形は少なく、有機低分子物質粒子の拡大もな
く、繰り返し耐久性が向上する。感熱部材の支持体は、
20〜200μmの厚みが好ましく、これより厚すぎる
と非密着部位は、クッションの役目がなくなり、繰り返
し耐久性が低下し、また、感熱部材の支持体が薄すぎる
と、塗布後の支持体のカールが大きくなるため、着色/
光反射部材との密着性が悪くなる。着色部材を光反射部
材に変えると、光反射量が増加し、視認性向上の効果が
更に強くなる。
【0030】可逆性感熱記録材料において、非密着部を
設ける場合、図4(a),(b)のように中心位置に設
ける場合と、図4(c),(d)のように中心位置以外
に設ける場合とがあるが、図5に示すように、可逆性感
熱記録材料、特に厚みが厚いカードの場合では、曲げた
とき周辺部より中心部の方が曲げが大きくなるので機械
的に弱い非密着部は図5(a)のように中心位置にある
よりも、図5(b)のように周辺部にある方が機械的耐
久性が優れている。
【0031】着色部材としては、全体を着色した紙また
はフィルムや、支持体上にコーティング、印刷などで着
色した紙またはフィルムが用いられる。その色は黒、
青、緑、赤など任意の色のものが使用できる。また、光
反射部材を設けるには、具体的にはAl、Ni、Sn等
を蒸着する方法が挙げられる(特開昭64−14079
号に記載)。
【0032】本発明に於いて、感熱部材と着色又は光反
射部材とを別体として構成すると、表示部と非密着部と
の位置ズレ等が発生するので、一体として構成すること
が望ましく、取扱いの利便性を向上する。感熱部材と着
色又は光反射部材とを一体に密着させるには、両部材の
非密着部位以外を接着性の良い接着剤で接着させる方法
等を用いることができる。
【0033】
【実施例】ここでの部及び%はいずれも重量基準であ
る。 実施例1 50μm厚の透明なポリエステルフィルム上に ベヘン酸 6部 エイコサン2酸 4部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30部 テトラヒドロフラン 150部 フタル酸ジイソデシル 3部 よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して15μm厚の感熱
層を設けた。さらにその上に ポリアミド樹脂(東レ製 CM8000) 10部 エチルアルコール 90部 よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して約1μmの中間層
を設けた。さらにその上に ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂 10部 (大日本インキ、ユニディック 17−824−9) トルエン 10部 よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥後、80W/cmのU
Vランプを照射させ、約5μm厚の保護層を設けて、感
熱部材を作成した。また、188μm厚の白色ポリエス
テルフィルムの中心部に黒色の印刷をして、着色部材を
作成した。そして着色部材の印刷のない部位に接着剤と
して塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合
体(UCC社製VAGH)を印刷し、感熱部材を重ね合
わせ加熱し接着し一体化して可逆性感熱記録材料を作成
した。そのとき、接着しなかった黒色印刷部に対応した
部位は感熱部材と着色部材の間に内部に空気を有する非
密着部ができた。また、図5のようにこの可逆性感熱記
録材料を1000回曲げたところ、非密着部分からキレ
ツ発生した。
【0034】実施例2 黒色印刷及び非密着部を図4(d)のように中心部より
ずらした以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材
料を作成した。実施例1と同様にして1000回の曲げ
テストを行なったがキレツの発生はなかった。
【0035】実施例3 印刷による着色部をAl蒸着の光反射部とする以外は実
施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
【0036】実施例4 着色部材の背面に磁気記録層を設ける以外は実施例1と
同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
【0037】比較例1 感熱部材と着色部材を全面接着させ、非密着部をなくす
以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作成
した。
【0038】比較例2 感熱部材と光反射部材を全面接着させ、非密着部をなく
す以外は実施例3と同様にして可逆性感熱記録材料を作
成した。
【0039】以上、実施例及び比較例で作成した可逆性
感熱記録材料の着色部または光反射部のある部位を表示
部としてサーマルヘッドで白地に印字した。その画像形
成に要したエネルギーを画像濃度を表1に示す。さらに
サーマルヘッドによる白色印字及びヒートローラーによ
る透明消去を200回繰り返したときの白色濃度の変化
(初期濃度と200回目濃度との差)を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】実施例5 約100μm厚のポリエステルフィルム(東レ社製:ル
ミラー#100Tタイプ可視光線光過率79%)上に ステアリン酸 6部 エイコサン2酸 4部 フタル酸ジイソデシル 3部 塩化ビニル〜酢酸ビニル〜PVA共重合体 39部 (電気化学工業社製:1000GK) T.H.F(テトラヒドロフラン) 150部 トルエン 15部 よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥して約
15μmの感熱層(可逆性感熱記録層)を設けた。さら
にその上に ポリアミド樹脂(東レ社製:CM8000) 10部 メタノール 90部 よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥して約
1μm厚の中間層を設けた。さらにその上に ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の75%酢酸ブチル溶液 (大日本井ンキ化学社製、ユニディックC7−157) 10部 I.P.A(イソプロピルアルコール) 10部 よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後80
w/cmの紫外線ランプで硬化させ、約3μmの保護層
を設けて感熱部材を作成した。次に、実施例1と同様に
して、着色部材を作成し、感熱部材と接着、一体化し、
非密着部を有する可逆性感熱記録材料を作成した。
【0042】実施例6 感熱部材の支持体として可視光線透過率59%の約10
0μm厚のポリエステルフィルム(東レ社製:ルミラー
#100Sタイプ)を用いる以外は実施例5と同様にし
て可逆性感熱記録材料を作成した。
【0043】実施例7 感熱部材の支持体として可視光線透過率92%の約10
0μm厚のトリアセテートフィルム(富士写真フィルム
社製:フジタックFT)を用いる以外は実施例5と同様
にして可逆性感熱記録材料を作成した。
【0044】実施例8 感熱部材の支持体として可視光線透過率85%の約25
μm厚のポリエステルフィルム(東レ社製:ルミラーT
タイプ)を用いる以外は実施例5と同様にして可逆性感
熱記録材料を作成した。
【0045】実施例9 感熱部材の支持体として可視光線透過率76%の約18
8μm厚のポリエステルフィルム(東レ社製:ルミラー
Tタイプ)を用いる以外は実施例5と同様にして可逆性
感熱記録材料を作成した。
【0046】実施例10 印刷による着色部をAl蒸着の光反射部とする以外は、
実施例5と同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
【0047】実施例11 着色部材の背面に磁気記録層を設ける以外は実施例5と
同様にして可逆性感熱記録材料を作成した。
【0048】実施例12 感熱部材の支持体として可視光線透過率27%の約10
0μm厚のポリエステルフィルム(東レ社製:ルミラー
Tタイプ)を用いる以外は実施例5と同様にして可逆性
感熱記録材料を作成した。
【0049】比較例3 感熱部材と着色部材を全面接着させ、非密着部をなくす
以外は実施例5と同様にして可逆性感熱記録材料を作成
した。
【0050】比較例4 感熱部材と光反射部材を全面接着させ、非密着部をなく
す以外は実施例10と同様にして可逆性感熱記録材料を
作成した。
【0051】以上の様にして作成した、可逆性感熱記録
材料を用いて、8dot/mmのサーマルヘッドで印字
し、白濁化させた。その時の白濁部と地肌部の濃度をマ
クベス反射濃度計RD−514で測定した。さらに、サ
ーマルヘッドによる白色印字及びヒートローラーによる
透明消去を200回繰り返したときの白色濃度の変化
(初期濃度と200回目濃度との差)を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】以上、実施例及び比較例から明らなよう
に本発明の可逆性感熱記録材料は、高コントラスト、高
感度で、かつ、繰り返し耐久性に優れるという効果を有
する。特に感熱部材の支持体として可視光線光過率を5
0%以上のものを用いた場合、画像部と地肌部(透明状
態)のコントラストが向上するという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可逆性感熱記録材料の熱による透
明度の変化を表わした図である。
【図2】(a)〜(f)は本発明の可逆性感熱記録材料
の模式断面図である。
【図3】可逆性感熱記録材料に非密着部のある場合とな
い場合との、該記録材料に光を照射した際の光の挙動を
示す模式図である。
【図4】非密着部の位置を種々変えた可逆性感熱記録材
料の模式図である。
【図5】可逆性感熱記録材料を折り曲げた場合の模式図
である。
【手続補正書】
【提出日】平成4年2月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】本発明に於いて、感熱部材と着色又は光反
射部材とを別体として構成すると、表示部と非密着部と
の位置ズレ等が発生するので、一体として構成すること
が望ましく、取扱いの利便性を向上する。感熱部材と着
色又は光反射部材とを一体に密着させるには、両部材の
非密着部位以外を接着性の良い接着剤で接着させる方法
等を用いることができる。着色/光反射部の厚みは感熱
部材と着色/光反射部材を接着させる接着剤層の厚みよ
り薄いことが好ましい。接着剤層より着色/光反射層の
厚みが厚いと空気層が出来にくい場合がある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】実施例5 約100μm厚のポリエステルフィルム(東レ社製:ル
ミラー#100Tタイプ可視光線光過率79%)上に ステアリン酸 6部 エイコサン2酸 4部 フタル酸ジイソデシル 3部 塩化ビニル〜酢酸ビニル〜PVA共重合体 39部 (電気化学工業社製:1000GK) T.H.F(テトラヒドロフラン) 150部 トルエン 15部 よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥して約
15μmの感熱層(可逆性感熱記録層)を設けた。さら
にその上に ポリアミド樹脂(東レ社製:CM8000) 10部 メタノール 90部 よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥して約
1μm厚の中間層を設けた。さらにその上に ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の75%酢酸ブチル溶液 (大日本インキ化学社製、ユニディックC7−157) 10部 I.P.A(イソプロピルアルコール) 10部 よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後80
w/cmの紫外線ランプで硬化させ、約3μmの保護層
を設けて感熱部材を作成した。次に、実施例1と同様に
して、着色部材を作成し、感熱部材と接着、一体化し、
非密着部を有する可逆性感熱記録材料を作成した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】比較例3 感熱部材の支持体として可視光線透過率27%の約10
0μm厚のポリエステルフィルム(東レ社製:ルミラー
Tタイプ)を用いる以外は実施例5と同様にして可逆性
感熱記録材料を作成した。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】比較例4 感熱部材と着色部材を全面接着させ、非密着部をなくす
以外は実施例5と同様にして可逆性感熱記録材料を作成
した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】比較例5 感熱部材と光反射部材を全面接着させ、非密着部をなく
す以外は実施例10と同様にして可逆性感熱記録材料を
作成した。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正内容】
【0052】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 諸星 邦親 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 増渕 文人 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 山田 信夫 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 野際 通 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度に依存して透明度が可逆的に変化す
    る感熱部材と、少なくとも一部に着色又は光反射部を有
    する着色又は光反射部材とを密着一体化した可逆性感熱
    記録材料において、着色又は光反射部材の着色又は光反
    射部の少なくとも一部と感熱部材との間に、内部に空気
    を有する非密着部を設けたことを特徴とする可逆性感熱
    記録材料。
  2. 【請求項2】 前記感熱部材が、可視光線透過率50%
    以上の支持体上に温度に依存して透明度が可逆的に変化
    する感熱層を設けたものであることを特徴とする請求項
    1記載の可逆性感熱記録材料。
  3. 【請求項3】 前記支持体の厚みが20〜200μmで
    あることを特徴とする請求項2記載の可逆性感熱記録材
    料。
  4. 【請求項4】 前記着色又は光反射部材の、感熱部材側
    と反対側の面に、磁気記録層を設けたことを特徴とする
    請求項1記載の可逆性感熱記録材料。
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