JP3640239B2 - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂母材中に有機低分子物質が分散している構造を有し、温度変化により透明状態と不透明状態とを可逆的に繰り返すことのできる機能を有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、樹脂母材中に有機低分子物質を分散させた、透明状態と不透明状態とを可逆的に繰り返すことのできる可逆性感熱記録材料が用いられている。
また、上記可逆性感熱記録材料において、樹脂母材中に分散させる有機低分子物質を2種以上用いることにより、透明化温度幅を拡げて記録、消去の安定性を改善させることも提案されている。
透明化温度範囲を拡げる為に、高融点有機低分子物質を使用するが、有機低分子物質は高融点になるほど溶剤に溶解しにくくなり、無理に溶解させてもすぐに析出してしまい塗工液として用いることが難しい。そこで、溶剤に溶解しにくい有機低分子物質を固体状で分散させた液を塗工し、乾燥過程での乾燥条件で塗膜中溶媒に高融点有機低分子物質を溶解させ、記録層構造を形成させることにより、製品化された記録層の透明化温度幅を拡げて記録、消去の安定性を改善させることも提案されている。
【0003】
通常このような可逆性感熱記録材料は、支持体上に、樹脂溶液中に有機低分子物質を溶解、若しくは分散させた可逆性感熱記録層形成用塗工液を塗工し、乾燥して成膜する製造方法によって製造されている。
しかしながら、該塗工液として、1種以上の有機低分子物質を固体状で分散させたものを用いた場合、このような製造方法によって得られた可逆性感熱記録材料は、乾燥条件によって透明化温度範囲が不安定であったり、また有機低分子物質を2種以上用いた場合でも、共存していない若しくは共存していても混合していないことがあり、透明化温度が拡大しない等の問題を有している。
【0004】
この問題を解決したものとして、可逆性感熱記録層の成膜後、記録層を再加熱する方法が知られている。
しかしこの方法においては、再加熱により記録層中の低分子物質が記録層表面に析出してしまい、そのため、ハードとのヘッドマッチング性が悪くなってしまうという欠点がある。
【0005】
また、可逆性感熱記録層を再加熱する技術として、特開平8−52944号公報(共同印刷株式会社)には、可逆性感熱記録材料製造後に不透明化する温度まで1度再加熱することにより、初期の不透明濃度を高くする製造方法が提案されている。
しかしながら、これは、溶解液の記録層処方を塗工成膜した製品の場合に関してであり、有機低分子物質が少なくとも1種類以上固形状で分散している記録層処方を塗工成膜した製品の場合に関してではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、樹脂溶液中に、少なくとも1種の有機低分子物質が固体状で分散させた可逆性感熱記録層形成用分散液を用いて製造され、該記録層中の固体状有機低分子物質の表面析出を防止し、安定な透明化温度幅、及び、ハードとのヘッドマッチング性の優れた可逆性感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、樹脂母材中に有機低分子物質が分散している構造を有し、温度変化に応じて透明状態と不透明状態とを可逆的に繰り返すことができる機能を有する可逆性感熱記録層と、耐熱性樹脂を主成分とする層とを、この順で支持体上に有してなり、前記可逆性感熱記録層が、前記支持体上に、母材樹脂溶解液中に少なくとも1種の有機低分子物質が固体状で分散している分散液を塗工、乾燥して形成された後、その記録層の表面に耐熱性樹脂を主成分とする層を少なくとも1層設け、次いで、前記記録層の樹脂母材中に分散している最も高い融点の有機低分子物質の融点以上の温度に再加熱することにより得られ、かつ、前記有機低分子物質が、HOOC ( CH 2 ) 5 NHCO ( CH 2 ) 4 CONH ( CH 2 ) 5 COOH,HOOC ( CH 2 ) 5 NHCO ( CH 2 ) 8 CONH ( CH 2 ) 5 COOH,HOOC ( CH 2 ) 5 NHCO ( CH 2 ) 10 CONH ( CH 2 ) 5 COOHから選ばれる少なくとも1種を含んでいることを特徴とする可逆性感熱記録材料が提供される。
また、本発明によれば、前記分散液が、母材樹脂溶解液中に2種以上の有機低分子物質がすべて固体状で分散している分散液であることを特徴とする前記の可逆性感熱記録材料が提供される。
また、本発明によれば、前記耐熱性樹脂のガラス転移点が、前記可逆性感熱記録層の母材樹脂のガラス転移点より高い、および/又は前記可逆性感熱記録層の樹脂母材中に分散している最も高い融点の有機低分子物質の融点以上であることを特徴とする前記いずれかに記載の可逆性感熱記録材料が提供される。
更に、本発明によれば、前記再加熱後、室温以下に急冷することを特徴とする前記いずれかに記載の可逆性感熱記録材料が提供される。
【0008】
本発明の如く、可逆性感熱記録材料の記録層の形成において、樹脂溶解液中に少なくとも1種の有機低分子物質を固体状で分散させた可逆性感熱記録層形成用分散液を用いたことによって製品化された記録層の透明化温度幅が拡がり、記録、消去の安定性が改善される。
しかし、このような可逆性感熱記録材料の透明化温度範囲は不安定である。
そこで該可逆性感熱記録材料の感熱記録層を再加熱することにより、透明化温度範囲は安定化するが、新たに有機低分子物質が記録層表面に析出してしまい、ヘッドマッチング性が悪くなったり、また保護層を設ける場合にも塗工時の問題が生じる。
本発明においては、保護層形成後に再加熱することによりこのような問題を解決したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明のこの種の可逆性感熱記録材料は、樹脂母材及びその樹脂母材中に分散された有機低分子物質からなる可逆性感熱記録層を有し、熱による透明状態と白濁状態(不透明状態)との可逆的変化を利用しており、この透明状態と白濁不透明状態との違いは次のように推測される。即ち、(i)透明の場合には、樹脂母材中に分散された有機低分子物質の粒子は有機低分子物質の大きな粒子で構成されており、片側から入射した光は散乱されること無く反対側に透過するため透明に見えること、また、(ii)白濁の場合には、有機低分子物質の粒子は有機低分子物質の微細な結晶が集合した多結晶で構成され、ここの結晶の結晶軸がいろいろな方向を向いているため、片側から入射した光は有機低分子物質粒子の結晶の界面で何度も屈折し、散乱されるため白く見えること、等に由来している。
【0010】
図1(熱による透明度の変化を表わしている)において、樹脂母材と、この樹脂母材中に分散された有機低分子物質とを主成分とする記録層は、例えばT0以下の常温では白濁不透明状態にある。これを温度T2に加熱すると透明になり、この状態で再びT0以下の常温に戻しても透明のままである。これは温度T2からT0以下に至るまでに、有機低分子物質が半溶融状態を経て多結晶から単結晶へと結晶が成長するためと考えられる。更にT3以上の温度に加熱すると、最大透明度と最大不透明度との中間の半透明状態になる。次に、この温度を下げて行くと、再び透明状態をとることなく最初の白濁不透明状態に戻る。これは温度T3以上で有機低分子物質が溶融後、冷却されることにより、多結晶が析出するためであると考えられる。なお、この不透明状態のものをT1〜T2間の温度に加熱した後、常温即ちT0以下の温度に冷却した場合には、透明と不透明との中間の状態をとることができる。また、前記常温で透明になったものも、再びT3以上の温度に加熱した後常温に戻せば、再び白濁不透明状態に戻る。即ち、常温で不透明及び透明の両形態並びにその中間状態をとることができる。
【0011】
従って、熱を選択的に与えることにより記録層を選択的に加熱し、透明地に白濁画像、白濁地に透明画像を形成することができ、その変化は何回も繰り返すことが可能である。そして、このような感熱記録体の背面に着色シートを配置すれば、白地に着色シートの色の画像又は着色シートの色の地に白色の画像を形成することができる。また、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)などで投影すれば、白濁部は暗部になり、透明部は光が透過しスクリーン上では明部となる。
【0012】
この可逆性感熱記録材料を作るには、例えば下記の方法により、支持体上に記録層を皮膜として形成するかあるいはシート状として成形することにより製造することができる。
1)樹脂母材及び有機低分子物質を溶媒中に溶解し、これを支持部材上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あるいはシート状とする方法。
2)樹脂母材のみを溶解させる溶媒に、樹脂母材を溶解させ、その中に有機低分子物質を種々の方法で粉砕又は分散し、これを支持部材上に塗布し、溶媒を蒸発させ皮膜あるいはシート状とする方法。
【0013】
本発明の可逆性感熱記録材料の製造方法は、上記2)の製造方法を改良したものである。即ち、
▲1▼支持体上に、樹脂溶液中に少なくとも1種の有機低分子物質が固体状で分散している分散液を塗工、乾燥し、可逆性感熱記録層を形成した後、
▲2▼該記録層上に、耐熱性樹脂を主成分とする少なくとも1層(以下保護層と云う)を設け、次いで
▲3▼前記記録層の樹脂母材中に分散している最も高い融点の有機低分子物質の融点以上に再加熱することにより可逆性感熱記録材料を製造するものである。
【0014】
▲1▼の構成について説明する。
本発明の可逆性感熱記録材料の記録層の樹脂母材に用いられる樹脂は、皮膜又はシートを形成することができ、透明性が良く、機械的に安定な樹脂が好ましい。このような樹脂としては、ポリ塩化ビニル;塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体、塩化ビニル/アクリレート共重合体等の塩化ビニル系共重合体;ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン/塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニリデン系共重合体;ポリエステル;ポリアミド;ポリアクリレート又はポリメタクリレートあるいはアクリレート/メタクリレート共重合体;シリコーン樹脂等が挙げられる。これらは単独であるいは2種以上混合して使用される。
【0015】
また、有機低分子物質としては、記録層中で熱により多結晶から単結晶に変化するもの(図1に示した温度T1〜T3の範囲で変化するもの)であればよく、一般に融点30〜200℃好ましくは50〜150℃程度のものが使用される。このような有機低分子物質としてはアルカノール;アルカンジオール;ハロゲンアルカノールまたはハロゲンアルカンジオール;アルキルアミン;アルカン;アルケン;アルキン;ハロゲンアルカン;ハロゲンアルケン;ハロゲンアルキン;シクロアルカン;シクロアルケン;シクロアルキン;飽和または不飽和モノまたはジカルボン酸又はこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;飽和または不飽和ハロゲン脂肪酸またはこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;アリルカルボン酸またはそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;ハロゲンアリルカルボン酸またはそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;チオアルコール;チオカルボン酸又はそれらのエステル、アミンまたはアンモニウム塩;チオアルコールのカルボン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上混合して使用される。これらの化合物の炭素数は10〜60、好ましくは10〜38、特に10〜30が好ましい。エステル中のアルコール基部分は飽和していてもよく、飽和していなくてもよく、またハロゲン置換されていてもよい。いずれにしても有機低分子物質は分子中に酸素、窒素、硫黄及びハロゲンの少くとも1種、例えば−OH、−COOH、−CONH、−COOR、−NH、−NH2、−S−、−S−S−、−O−、ハロゲン等を含む化合物であることが好ましい。
【0016】
更に具体的には、これら化合物としてはラウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、アラギン酸、オレイン酸、エイコサンマ酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸メチル、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン酸オクタデシル、ラウリン酸オクタデシル、パルミチン酸テトラデシル、ベヘン酸ドデシル等の高級脂肪酸のエステル;
【数1】
等のエーテル又はチオエーテル等がある。
これらの内、本発明では、固体状で分散させる有機低分子物質としては、
HOOC(CH2)5NHCO(CH2)4CONH(CH2)5COOH ,
HOOC(CH2)5NHCO(CH2)8CONH(CH2)5COOH ,
HOOC(CH2)5NHCO(CH2)10CONH(CH2)5COOH ,
等が好ましく、これらにエイコサン2酸やベヘン酸を併用することが好ましい。
【0017】
更に、母材樹脂を溶解させる有機溶剤としては、樹脂母材及び有機低分子物質の種類によって種々選択できるが、例えばテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。
【0018】
本発明においては、用いる有機低分子物質と有機溶剤とを適宜選択し組み合わせることによって、母材樹脂溶解液中に、少なくとも1種の有機低分子物質を固体状で分散させた分散液を調整することができる。
また、有機低分子物質を複数組み合わせて用いることにより透明化温度幅を広げることができる。
本発明においては、母材樹脂溶解液中に2種以上の有機低分子物質を、全て固体状で分散させた分散液を用いることにより、有機低分子物質の素材範囲が拡げられ、透明化温度幅の拡大の効果の発現が著しく、特に好ましい。
【0019】
なお、記録層中の有機低分子物質と樹脂母材との割合は、重量比で2:1〜1:16程度が好ましく、1:2〜1:6が更に好ましい。樹脂母材の比率がこれ以下になると、有機低分子物質を樹脂母材中に保持した膜に形成することが困難となり、またこれ以上になると、有機低分子物質の量が少ないため、不透明化が困難になる。
【0020】
記録層の厚みは1〜30μmが好ましく、2〜20μmがさらに好ましい。感熱層が厚すぎると層内での熱の分布が発生し均一に透明化することが困難となる。また、記録層が薄すぎると白濁度が低下しコントラストが低くなる。更に、感熱層中の有機低分子物質の量を増加させると白濁度を増すことができる。
【0021】
記録層には以上の成分の他に、透明画像の形成を容易にするために、界面活性剤、高沸点溶剤等の添加物を添加することができる。これらの添加物の具体例は次の通りである。
高沸点溶剤の例;
リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、オレイン酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジオクチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル。
【0022】
界面活性剤、その他の添加物の例;
多価アルコール高級脂肪酸エステル;多価アルコール高級アルキルエーテル;多価アルコール高級脂肪酸エステル、高級アルコール、高級アルキルフェノール、高級脂肪酸高級アルキルアミン、高級脂肪酸アミド、油脂又はポリプロピレングリコールの低級オレフィンオキサイド付加物;アセチレングリコール;高級アルキルベンゼンスルホン酸のNa、Ca、Ba又はMg塩;高級脂肪酸、芳香族カルボン酸、高級脂肪酸スルホン酸、芳香族スルホン酸、硫酸モノエステル又はリン酸モノ−又はジ−エステルのCa、Ba又はMg塩;低度硫酸化油;ポリ長鎖アルキルアクリレート;アクリル系オルゴマー;ポリ長鎖アルキルメタクリレート;長鎖アルキルメタクリレート〜アミン含有モノマー共重合体;スチレン〜無水マレイン酸共重合体;オレフィン〜無水マレイン酸共重合体。
【0023】
次に、▲2▼の構成について説明する。
本発明において、上記記録層上に設ける耐熱性樹脂を主成分とする少なくとも1層(保護層)を設ける。
通常、樹脂は、温度の上昇とともに樹脂の流動や軟化により該樹脂中の低分子移動性が増し、低分子物質に対するバリアー性が低下する性質を有するが、これに対し、本発明の耐熱性樹脂は、前記の樹脂母中の最も融点の高い有機低分子物質の融点以上に加熱する温度範囲において、実質的に十分なバリアー性を有する性質を有する。
【0024】
このような耐熱性樹脂は、そのガラス転移点が可逆性感熱記録層の母材樹脂のガラス転移点よりも高い方が好ましい。具体的には、母材樹脂のガラス転移点よりも20℃以上高い方が好ましい。母材樹脂のガラス転移点よりも50℃以上高い方が更に好ましい。
また、耐熱性樹脂のガラス転移点が、可逆性感熱記録層の樹脂母材中の最も融点の高い有機低分子物質の融点以上のものが好ましい。特に、可逆性感熱記録層の樹脂マトリクス中の最も融点の高い有機低分子物質の融点よりも20℃以上高いものが好ましい。
即ち、本発明の該耐熱性樹脂を主成分とする保護層は、可逆性感熱記録層の樹脂母材中に分散している最も高い融点の有機低分子物質の融点以上の耐熱性を有することが好ましい。
【0025】
本発明で用いる耐熱性樹脂は、熱硬化樹脂、電子線硬化樹脂、又は紫外線硬化樹脂が好ましい。その樹脂の具体例を以下に記すが、それらに限定はされるものではない。 熱硬化樹脂の例としては、塩化ビニル系重合体又は、塩化ビニル系重合体に共重合可能な他の単量体(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;メチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のビニリデン;無水マレイン酸、無水イタコン酸の如き不飽和カルボン酸無水物;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸アルキルエステル;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル;スチレン、α−メチルスチレン、P−メチルスチレン等の芳香族ビニル;アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド等の含エポキシ単量体等)を併用したもの(商品としては、日本ゼオン社製MR110シリーズ;MR−110、MR−104、MR−112、MR−113等が挙げられる)に、架橋剤として、エポキシ系、イソシアネート系、フェノール系、アミン系、ハロゲン化合物、アジリジン化合物、酸無水物、アルデヒド、アルコール系、ホウ酸、リン化合物、有機酸金属塩等を使用したものが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0026】
また、電子線硬化樹脂は、官能性モノマー若しくはオリゴマーを単独、又は2種類以上混合して使用される。その具体例として、官能性モノマーとしては、各種単官能、多官能のアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、スチレン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。また、オリゴマーとしては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル等が挙げられる。また、非官能性モノマー、官能性モノマーとしては、具体的には特開平7−172072号公報に挙げられたものと同様なものを用いることができる。ただし、これら具体例に限定されるものではない。
【0027】
更に、紫外線硬化樹脂は、光重合性プレポリマー若しくは光重合性モノマーと光重合開始剤、必要に応じては光重合促進剤を適量配合して用いられる。その例として、光重合性モノマーとしては、前記電子線硬化樹脂として挙げたものと同じものが挙げられる。光重合性プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴアクリレート、アルキドアクリレート、ポリオールアクリレート等が挙げられる。
上記光重合開始剤としてはラジカル反応型とイオン反応型に大別でき、更にラジカル反応型は光開裂型と水素引抜き型に分けられる。具体的には特開平7−172072号公報に挙げられたものと同様なものを用いることができる。これらの光重合開始剤は、単独、又は2種類以上混合して使用される。添加量としては、光重合性プレポリマー若しくは光重合性モノマー1重量部に対して0.005〜1.0重量部が好ましく、更に好ましくは0.01〜0.5重量部である。
また上記光重合促進剤としては、ベンゾフェノン系やチオキサントン系などの水素引抜きタイプの光重合開始剤に対し、硬化速度を向上させる効果がある芳香族系の第3級アミンや脂肪族アミン系がある。具体的には、P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これら光重合促進剤は、単独、又は2種類以上混合して使用される。添加量としては、光重合開始剤1重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜3重量部である。
【0028】
本発明においては、このような耐熱性樹脂を主成分とする保護層を設けた可逆性感熱記録材料を、後で詳細に説明するように再加熱をするが、このような再加熱においても可逆性感熱記録材料表面に有機低分子物質が析出しない理由は以下のように考えている。
即ち、本発明においては、このような耐熱性の樹脂を用いた場合、可逆性感熱記録層を可逆性感熱記録層の樹脂母材中の最も融点の高い有機低分子物質の融点以上に再加熱する時に効果が発揮される。この再加熱により可逆性感熱記録層の樹脂母材が軟化し、その樹脂中を再加熱温度により溶解した有機低分子物質が拡散し、表面に析出しようとするが、耐熱性の樹脂を用いた場合、可逆性感熱記録層の表面には可逆性感熱記録層樹脂より軟化しにくい樹脂若しくは軟化するのに時間がかかる樹脂が成膜されている為、実質的なバリアー性が確保され、再加熱時間範囲では可逆性感熱記録層の表面に成膜されている層中を可逆性感熱記録層中の有機低分子物質が拡散できず、再加熱による可逆性感熱記録材料の表面には有機低分子物質が析出しないものと考えられる。
【0029】
次に▲3▼の構成について説明する。
本発明において、前記耐熱性樹脂を主成分とする保護層を設けた可逆性感熱記録材料は、再加熱するが、その再加熱の方法としては、可逆性感熱記録層の表面に塗工された層(保護層)の表面、又は支持体の可逆性感熱記録層塗工面と反対側の表面、若しくは両面を、赤外線等による非接触熱伝熱方式、ヒートロール等による接触伝熱方式、または熱風乾燥方式等により行なうことができる。
また、その再加熱時間は、長くすると可逆性感熱記録層の樹脂母材が大きくなり、逆に不透明(白濁)濃度等の印字品質が低下してしまう。そのため、60秒未満の範囲が好ましく、1〜30秒の範囲がより好ましい。
本発明においては、その再加熱後、可逆性感熱記録層を常温(25℃)以下まで徐冷、若しくは急冷させるが、有機低分子物質の表面への拡散時間を短くし、有機低分子物質の表面への析出をより確実に防止しうる点から、10秒以内に常温以下に冷却ロール等で急冷させることが好ましい。
【0030】
本発明の可逆性感熱記録材料の支持体としては、プラスチックフィルム、ガラス板、金属板、紙、合成紙などを用いることができる。
【0031】
樹脂母材に用いる樹脂には、プラスチックフィルム、ガラス、金属などの支持体上に塗布乾燥して積層の感熱層を形成すると、支持体との接着性が弱いものもあり、支持体と記録層との間に接着層を設け、記録層がはがれないようにすることも可能である。接着層の樹脂としては、支持体との接着性がよく、且つ感熱記録層の成分に悪影響を与えないものならば特に限定されず、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。特に金属、金属薄膜上には接着性が悪く、塩化ビニルとリン酸エステルを主成分とした共重合体等が接着層材料として好適に用いられる。接着層の厚みとしては、0.1〜5μmぐらいが好ましく、さらに0.3〜2μmぐらいが好ましい。
【0032】
また、この記録材料の画像を反射画像として用いる場合には、記録層の背面に光を反射する層を設けると記録層の厚みを薄くしてもコントラストを上げることができる。具体的にはAl、Ni、Sn等を蒸着することが挙げられる(特開昭64−14079号に記載)。
そして、磁気記録層と可逆性感熱層を組み合わせたカードを作成することも可能である。特に磁気記録層上に可逆性感熱層を設ける場合には、表面を滑性にするために樹脂を主成分とした平滑層を設け、その上に光を反射する層を設け、更にその上に場合により接着層を介して感熱層を設ければよい(実開平2−3876号)。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
尚、実施例中、部は重量部である。
【0034】
実施例1
熱硬化樹脂[MR110:日本ゼオン(株)製品]溶液中に3種類の有機低分子物質[HOOC(CH2)5NHCO(CH2)4CONH(CH2)5COOH、エイコサン2酸、ベヘン酸]を含み、HOOC(CH2)5NHCO(CH2)4CONH(CH2)5COOHは溶液中に固体状で分散している下記可逆性感熱記録層塗工液(ただし、架橋剤:同本ポリウレタン社製コロネート2298−90Tを含む)を、支持体(アルミ蒸着された188μmPETフィルムで裏面に磁気層とセルフクリーニング層を塗工してある)上にアプリケーターで塗工し、温風ドライヤー(135℃)で裏面より乾燥し、乾燥膜厚10μmを成膜した。その成膜した記録層を恒温槽60℃に24時間入れ樹脂を架橋した。架橋した樹脂のガラス転移点は、48℃である。その後、その成膜した可逆性感熱記録層塗膜の表面に下記保護層塗工液を、下記条件で塗工、乾燥し、保護層を乾燥膜厚2.5μmを成膜した。そのサンプルの保護層表面をヒートロール(表面150℃)に3秒接触させ、可逆性感熱記録層を再加熱し、その後、常温のヒートロール(表面20℃)で5sec冷却したサンプルを製作した。そのサンプルの透明化温度範囲をマクベス反射型濃度計で測定した。結果を図1に示す。
【0035】
実施例2
可逆性感熱記録層液処方の固体状で分散している有機低分子物質をHOOC(CH2)5NHCO(CH2)8CONH(CH2)5COOHとした下記可逆性感熱記録層塗工液を用いた以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作製した。そのサンプルの透明化温度範囲をマクベス反射型濃度計で測定した。結果を図2に示す。
【0036】
実施例3
可逆性感熱記録層液処方の固体状で分散している有機低分子物質をHOOC(CH2)5NHCO(CH2)10CONH(CH2)5COOHとした下記可逆性感熱記録層塗工液を用いた以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作製した。そのサンプルの透明化温度範囲をマクベス反射型濃度計で測定した。結果を図3に示す。
【0037】
実施例4
実施例1の可逆性感熱記録層を成膜し、樹脂母材を高温槽60℃に24時間入れ架橋させた(架橋後の樹脂ガラス転移点48℃)後に、その感熱記録層塗膜の表面に以下に記す炭酸カルシウムを分散した保護層塗工液を用い、下記条件で塗工、乾燥し、保護層(乾燥膜厚2.5μm)成膜した。そのサンプルの保護層表面をヒートロール(表面150℃)に3秒接触させ、可逆性感熱記録層を再加熱し、その後、常温のヒートロール(表面20℃)で5秒冷却したサンプルを作った。
そのサンプルの透明化温度範囲をマクベス反射型濃度計で測定した。結果を図1に示す。
【0038】
実施例5
実施例1の可逆性感熱記録層を成膜し、樹脂マトリクスを高温槽60℃に24時間入れ架橋させた後に、その感熱記録層塗膜の表面に中間層としてPo1y(vinyl acetate)(ゼネラルサイエンス社製#347、ガラス転移点30℃)を成膜した。その成膜した表面に実施例4と同様にして保護層(Dry2.5μm)を成膜した。そのサンプルの保護層表面をヒートロール(表面150℃)に3秒接触させ、可逆性感熱記録層を再加熱し、その後、常温のヒートロール(表面20℃)で5秒冷却したサンプルを作製した。そのサンプルの透明化温度範囲をマクベス反射型濃度計で測定した。結果を図1に示す。
(中間層塗工液)
Poly(vinyl acetate)(ガラス転移点30℃) 10部
MEK(メチルエチルケトン) 90部
(中間層塗工条件)
塗工方式 :ワイヤーバー
乾燥方式 :裏面接触乾燥
乾燥温度 :ヒートロール表面80℃
乾燥時間 :30秒
dry膜厚:1.5μm
【0039】
比較例1
実施例1で塗工したサンプルの再加熱を行わないサンプルを作製した。そのサンプルの透明化温度範囲をマクベス反射型演度計で測定した。結果を図1に示す。
【0040】
比較例2
実施例1で塗工したサンプルの再加熱温度を140℃としたサンプルを作製した。そのサンプルの透明化温度範囲をマクベス反射型濃度計で測定した。結果を図1に示す。
【0041】
比較例3
実施例2で塗工したサンプルの再加熱を行わないサンプルを作製した。そのサンプルの透明化温度範囲をマクベス反射型濃度計で測定した。結果を図2に示す。
【0042】
比較例4
実施例3で塗工したサンプルの再加熱を行わないサンプルを作製した。そのサンプルの透明化温度範囲をマクベス反射型濃度計で測定した。結果を図3に示す。
【0043】
比較例5
実施例1の可逆性感熱記録層を架橋後、可逆性感熱記録層表面をヒートロール(表面150℃)に3秒接触させ再加熱し、その後、常温のヒートロール(表面20℃)で5秒冷却したサンプルを作った。
【0044】
比較例6
比較例5のサンプルの表面に実施例1の保護層(2.5μm)成膜したサンプルを作製した。そのサンプルの透明化温度範囲をマクベス反射型濃度計で測定した。結果を図1に示す。
【0045】
比較例7
比較例5のサンプルの表面に実施例5の中間層塗液を塗工し、表面層(1.5μm)を成膜したサンプルを作製した。
【0046】
比較例8
実施例5の中間層を成膜した後、中間層表面をヒートロール(表面150℃)に3秒接触させ再加熱し、その後、常温のヒートロール(表面20℃)で5秒冷却したサンプルを作製した。
【0047】
比較例9
比較例8のサンプルの表面に実施例5と同様の保護層を成膜したサンプルを作製した。そのサンプルの透明化温度範囲をマクベス反射型濃度計で測定した。結果を図1に示す。
【0048】
以上の実施例及び比較例の有機低分子物質の表面析出状態を、目視及びエタノールで塗エサンプル表面を拭きその時表面に拭いた跡が残るかどうかで評価し、その結果を表1に示す。
また、透明化温度範囲のグラフ(図2〜4)からの透明化温度幅の安定化の評価結果を表2に記す。
そして、サーマルヘッドでの繰り返し印字100回[画像形成装置:八城電気社製サーマルヘッド印字試験装置、サーマルヘッド:松下電子部品(株)社製8ドット/mmサーマルヘッド(型番:EUX−ET8A9AS1、抵抗値:1152オーム)、パルス幅2msec、印字電圧15V、印字エネルギー0.38mj/ドット]におけるサーマルヘッドカス付着の有無を光学的顕微鏡で視察し、評価し[ただし、印字消去は、ホットスタンプ120℃(印加圧力1kg/cm2、印加時間1秒)で消去した]、その結果を表3に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
表1より、可逆性感熱記録層の表面側に樹脂母材中の最も融点の高い有機低分子物質の融点以上の耐熱性樹脂を主成分とする層を塗工することにより可逆性感熱記録材料製品の表面析出を防止できることが分かる。また表2より、可逆性感熱記録層を樹脂母材中の最も融点の高い有機低分子物質の融点以上に再加熱することにより、透明化温度範囲が安定になることが分かる。更に、表3より、可逆性感熱記録材料の表面に有機低分子物質の析出が有るものは、ハードのサーマルヘッドとのマッチング性が悪くなることが分かる。
【0053】
【発明の効果】
本発明の、樹脂母材中に有機低分子物質が分散している構造を持ち、透明と不透明を繰り返す機能を有する可逆性感熱記録材料は、樹脂溶解液中に少なくとも1種類以上の有機低分子物質(HOOC ( CH 2 ) 5 NHCO ( CH 2 ) 4 CONH ( CH 2 ) 5 COOH,HOOC ( CH 2 ) 5 NHCO ( CH 2 ) 8 CONH ( CH 2 ) 5 COOH,HOOC ( CH 2 ) 5 NHCO ( CH 2 ) 10 CONH ( CH 2 ) 5 COOHから選ばれる)が固形状で分散している分散液、特に、樹脂溶解液中に含まれている2種類以上の前記有機低分子物質がすべて固体状である分散液を支持体上に塗工し、透明と不透明を燥り返す機能を有する可逆性感熱記録層を形成した後に、可逆性感熱記録層の表面側に耐熱性樹脂を主成分とする層を少なくとも1層塗工し、その後、透明と不透明を繰り返す機能を有する可逆性感熱記録層の樹脂母材中に分散している最も高い融点の有機低分子物質の融点以上の温度に再加熱することによって、従来、可逆性感熱記録層の有機低分子物質が製品表面に析出していたのを防止でき、可逆性感熱記録材料の透明化温度幅が広く、かつ安定化し、ハードとのサーマルヘッドマッチング性の優れたものである。この際に、可逆性感熱記録層の表面に塗工する耐熱性樹脂を主成分とする層の樹脂のガラス転移点を可逆性感熱記録層の母材樹脂のガラス転移点より高温、特に20℃異常高温にすることにより、従来、可逆性感熱記録層の有機低分子物質が製品表面に析出していたのをより確実に防止できる。また、可逆性感熱記録層の表面に塗工する耐熱性樹脂を主成分とする層を、可逆性感熱記録層の樹脂母材中に分散している最も高い融点の有機低分子物質の融点以上の耐熱性があるものにすることにより、従来、可逆性感熱記録層の有機低分子物質が製品表面に析出していたのをより確実に防止できる。
そして、このような耐熱性樹脂として、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、または、熱硬化樹脂を少なくとも1つを用いることにより、再加熱こよる可逆性感熱記録層中の有機低分子物質の製品表面に析出するのをより確実にバリアーし、可逆性感熱記録層の有機低分子物質が製品表面に析出するのを防止できる。上記再加熱は、可逆性感熱記録層の表面に塗工された層の表面、及び基材の可逆性感熱記録層塗工面と反対側の表面、若しくはその両側から赤外線等による非接触伝熱方式、ヒートロール等による接触伝熱方式、または、熱風乾燥方式等で加熱することにより、容易に可逆性感熱記録層を加熱できる。このような再加熱において、再加熱時間を60sec未満にすることにより、再加熱による可逆性感熱記録層の樹脂母材が大きくなり、不透明(白濁)濃度等の印字品質が低下してしまう現象を防止でき、透明化温度幅が安定したハードとのヘッドマッチング性が良い製品を製造でき、また、再加熱後に10sec以内に室温(25℃)以下に冷却することにより、再加熱による可逆性感熱記録層中の有機低分子物質の製品表面に析出しようと樹脂母材中を拡散する時間を短くでき、可逆性感熱記録層の有機低分子物質が製品表面に析出するのをより確実に防止でき、可逆性感熱記録材料の透明化温度幅が安定化し、ハードとのサーマルヘッドマッチング性の特に優れた製品となる。このように、本発明の再加熱した可逆性感熱記録材料は、可逆性感熱記録層中の有機低分子物質が製品の表面に析出させずに、樹脂母材中の2種類以上の有機低分子物質を混合、若しくは、隣接していた種類の違う有機低分子物質を合一でき、幅広い透明化温度範囲が出ない製品も幅広く安定な透明化温度範囲が出るようになり、ハードとのサーマルヘッドマッチング性にも優れたものである。また、本発明の可逆性感熱記録材料は、可逆性感熱記録層の表面に塗工された耐熱性樹脂を主成分とする保護層の表面より再加熱を行えば、基材の耐熱温度より高い温度での加熱が可能となり、使用できる有機低分子物質の融点も高くでき、素材の範囲が拡がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱による透明度の変化を表す図。
【図2】実施例1、4、5及び比較例1、2、6、9の可逆性感熱記録材料の透明化温度範囲を示すグラフ。
【図3】実施例2及び比較例3の可逆性感熱記録材料の透明化温度範囲を示すグラフ。
【図4】実施例3及び比較例4の可逆性感熱記録材料の透明化温度範囲を示すグラフ。
Claims (4)
- 樹脂母材中に有機低分子物質が分散している構造を有し、温度変化に応じて透明状態と不透明状態とを可逆的に繰り返すことができる機能を有する可逆性感熱記録層と、耐熱性樹脂を主成分とする層とを、この順で支持体上に有してなり、
前記可逆性感熱記録層が、前記支持体上に、母材樹脂溶解液中に少なくとも1種の有機低分子物質が固体状で分散している分散液を塗工、乾燥して形成された後、その記録層の表面に耐熱性樹脂を主成分とする層を少なくとも1層設け、次いで、前記記録層の樹脂母材中に分散している最も高い融点の有機低分子物質の融点以上の温度に再加熱することにより得られ、かつ、
前記有機低分子物質が、HOOC ( CH 2 ) 5 NHCO ( CH 2 ) 4 CONH ( CH 2 ) 5 COOH,HOOC ( CH 2 ) 5 NHCO ( CH 2 ) 8 CONH ( CH 2 ) 5 COOH,HOOC ( CH 2 ) 5 NHCO ( CH 2 ) 10 CONH ( CH 2 ) 5 COOHから選ばれる少なくとも1種を含んでいる、
ことを特徴とする可逆性感熱記録材料。 - 前記分散液が、母材樹脂溶解液中に2種以上の有機低分子物質がすべて固体状で分散している分散液であることを特徴とする請求項1記載の可逆性感熱記録材料。
- 前記耐熱性樹脂のガラス転移点が、前記可逆性感熱記録層の母材樹脂のガラス転移点より高い、および/又は前記可逆性感熱記録層の樹脂母材中に分散している最も高い融点の有機低分子物質の融点以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の可逆性感熱記録材料。
- 前記再加熱後、室温以下に急冷することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の可逆性感熱記録材料。
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