JP3852811B2 - 可逆的感熱性組成物及び可逆性感熱記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度により透明度が可逆的に変化する新規の可逆的感熱性組成物、及びその組成物を利用した画像の記録と消去を繰り返し行なう可逆性感熱記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、任意に画像を形成し、任意にその画像を消去することが可能な可逆性感熱記録媒体が注目されている。その代表的な例として、特開昭54−154198号公報、特開昭55−154198号公報等に記載されているポリエステル、ポリ塩化ビニル、または塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などのマトリックス材に有機低分子物質を分散した、温度に依存して透明度が可逆的に変化する記録材料が知られている。この記録材料からなる可逆性感熱記録媒体は、サーマルヘッドなどの発熱体による画像の記録と消去の繰り返しにより、加熱した画像部分の濃度が初期の濃度より低下し、画像全体のコントラストが低下するという欠点を有している。
【0003】
上記欠点を解決するため、特開昭62−154547号公報において、可逆性感熱記録層に用いる樹脂母材の平均重合度及び塩化ビニルの繰り返し単位を規定する(特に平均重合度を上げる)ことにより、樹脂母材の耐熱性を向上させ、耐久性を向上させた可逆性感熱記録媒体が提案されている。
また、特開平5−85045号公報においては、可逆性感熱記録層の樹脂母材として、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体にイソシアネートを添加し、熱硬化させた熱硬化性樹脂を用いることにより、樹脂母村の耐熱性を向上させ、耐久性を向上させた可逆性感熱記録媒体が提案されている。
【0004】
しかし、これらの可逆性感熱記録媒体において、白濁画像の消去が可能な消去エネルギーの範囲幅が狭いため、サーマルヘッドによる短時間の熱エネルギーでは、画像の完全な消去が困難になる。また、白濁した画像を長時間保存すると、消去特性が変動して、初期の消去特性に対応した消去条件では画像を完全に消去できなくなる。さらに、その保存の環境温度が高温である程、画像の消去性は低下するという欠点がある。
【0005】
また、従来の可逆性感熱記録媒体においては、サーマルヘッドなどの加熱体により加熱して画像形成する際に、加熱体と記録層との摩擦力が大きいためにスティッキングしたり、加熱体の熱及び圧力により表面が変形しやすいために表面にサーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な凹凸ができ、画像形成と消去を繰り返すうちにその変形量が増大して、鮮明な画像を形成することは困難であった。
【0006】
この問題を解決するために、特開昭62−55650号公報にはシリコン樹脂又はシリコンゴムなどからなるオーバーコート層を設けることが、また、特開昭63−221087号公報にはポリシロキサングラフトポリマーからなるオーバーコート層を設けることが、更に特開平2−86491号公報にはシリコン系グラフトポリマーを主成分とする耐熱性潤滑被覆層を設けることが、更に特開平8−11439号公報にはポリシロキサン−ポリウレア−ポリアミドマルチブロック共重合体からなるオーバーコート層を設けることが、更に特開平8−11440号公報にはシリコンを含有したイミノヒダントイン系重合体からなるオーバーコート層を設けて表面の摩擦係数を小さくする方法が、それぞれ開示されている。
【0007】
しかし、これらのオーバーコート層上に、オフセット印刷やグラビア印刷により印刷インクを良好に転移させ、耐スクラッチ性や耐セロテープ剥離性に優れた印刷適性を実現することは困難であった。また、特開昭62−55650号公報に記載の方法は、オーバーコート層が感熱記録層との接着性不十分なため、繰り返しの機械的作用により剥がれ、画像が劣化する問題が発生した。さらに、この接着性を改善するために、特開平1−133781号公報において、可逆性感熱記録層上に樹脂を主成分とする中間層と耐熱性樹脂を主成分とするオーバーコート層を順次設けた可逆性感熱記録媒体が提案されている。その中間層によって接着性は改善され、耐熱性樹脂からなるオーバーコート層によって記録媒体表面の変形は小さくなる。しかし、印字と消去を何回も繰り返すとスティッキングにより傷が発生したり、オーバーコート層の一部が剥離してサーマルヘッドに付着し、その剥離物が蓄積するとサーマルヘッドからの熱伝導が低下して画像形成ができなくなる等の問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、有機低分子化合物とグラフト共重合体からなる新規の可逆的感熱性組成物を提供し、また、前記従来技術における問題点を改善し、サーマルヘッドによる消去が可能で、白濁した画像を長時間保存しても、初期の消去特性に対応した消去条件で画像の消去が可能であり、白濁した画像を高温下で保存しても白濁濃度が低下しない画像耐熱性、画像の形成と消去の繰り返し耐久性とコントラストに優れた可逆性感熱記録媒体、また、サーマルヘッドなどの加熱体により画像形成と消去を繰り返し行なってもサーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な表面の凹凸の発生を防止できると共に、スティッキング、傷の発生、サーマルヘッドの汚れ、それらの現象によって起こる画像の劣化及び熱感度の低下のない可逆性感熱記録媒体、さらに、印刷適性に優れた可逆性記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、本発明の(1)「少なくとも1種類の有機低分子化合物と樹脂マトリックスからなる、透明度が温度変化に依存して可逆的に変化する可逆的感熱性組成物において、該樹脂マトリックスが一般式(1)で示される繰り返し単位を有したグラフト重合体又はグラフト共重合体からなることを特徴とする可逆的感熱性組成物。
【0010】
【化7】
…一般式(1)
(式中、R1とR4は水素原子又はアルキル基を表わし、R2は結合手、又は−COO−CH 2 −C(H)(CH 3 )−を表わし、R3は−CH 2 CH 2 OC(O)−を表わす。但しR 2 、R 3 の前記2価の基はその左端が主鎖側に結合したものである。R5は水素原子又は−CON(R5)−R3−C(R4)=CH2であり、ただし、最末端のR5は水素原子である。)」、(2)「少なくとも1種類の有機低分子化合物と樹脂マトリックスからなる、透明度が温度変化に依存して可逆的に変化する可逆的感熱性組成物において、該樹脂マトリックスが一般式(2)で示される構造を有したグラフト共重合体からなることを特徴とする可逆的感熱性組成物。
【0011】
【化8】
…一般式(2)
(式中、R1とR4は水素原子又はアルキル基を表わし、R2は結合手、又は−COO−CH 2 −C(H)(CH 3 )−を表わし、R3は−CH 2 CH 2 OC(O)−を表わす。但しR 2 、R 3 の前記2価の基はその左端が主鎖側に結合したものである。R5は水素原子又は−CON(R5)−R3−C(R4)=CH2であり、但し最末端のR5は水素原子である。l、m及びnは共重合体の数平均分子量が1000以上となる1以上の整数を表わす。)」、(3)「支持体、及び該支持体上に設けた、主成分として有機低分子化合物を樹脂マトリックス中に分散し、透明度が温度変化に依存して可逆的に変化する感熱記録層とからなる可逆性感熱記録媒体において、該樹脂マトリックスが少なくとも上記一般式(1)又は一般式(2)で示される構造を有したグラフト重合体又はグラフト共重合体からなることを特徴とする可逆性感熱記録媒体」、(4)「支持体、及び該支持体上に設けた、主成分として有機低分子化合物を樹脂マトリックス中に分散し、透明度が温度変化に依存して可逆的に変化する感熱記録層とからなる可逆性感熱記録媒体において、該樹脂マトリックスの少なくとも一部分が、上記一般式(1)又は一般式(2)で示される構造を有したグラフト重合体又はグラフト共重合体を、熱、紫外線及び/又は電子線により架橋した架橋化グラフト重合体又は架橋化グラフト共重合体からなることを特徴とする可逆性感熱記録媒体」、(5)「前記記録層上に、125μm×125μmの表面積あたり3個以上の高さ0.05μm以上の凸部及び1H以上の鉛筆硬度を有したオーバーコート層(最上層)を設けることを特徴とする前記(3)項又は(4)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(6)「前記有機低分子化合物が融点の異なる少なくとも2種類以上の有機低分子化合物であり、最大融点と最低融点との差が45℃以上であることを特徴とする前記(3)項乃至(5)項のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体」、(7)「前記有機低分子化合物と前記樹脂マトリックスとの重量比が、3:1〜1:3であることを特徴とする前記(3)項乃至(5)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」、(8)「前記オーバーコート層が、20dyn/cm以上の臨界表面張力を有することを特徴とする前記(5)項に記載の可逆性感熱記録媒体。」によって達成される。
【0012】
また上記目的は、本発明の(9)「前記可逆性感熱記録媒体に前記感熱記録層以外に情報記録部を設けたことを特徴とする前記(3)項又は(4)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(10)「前記情報記録部が磁気記録層であり、磁気記録層を支持体と感熱層の間の全面か一部分、支持体裏面の全面か一部分、あるいは表示面の一部分のいずれかに設けたことを特徴とする前記(9)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(11)「前記情報記録部がICまたは光メモリーであり、前記可逆性感熱記録媒体の一部分に設けたことを特徴とする前記(9)項に記載の可逆性感熱記録材料」、(12)「前記可逆性感熱記録媒体が2種類以上の支持体を貼り合わせた構成からなることを特徴とする前記(3)項、(4)項又は(11)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」、(13)「前記オーバーコート層上の一部分及び/又は支持体裏面の全面か一部分に、着色剤及び樹脂バインダーを主成分とする印刷層を設けたことを特徴する前記(3)項乃至(5)項又は(8)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」、(14)「前記印刷層上に印刷保護層を設けたことを特徴とする前記(13)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(15)「前記印刷保護層が125μm×125μmの表面積あたり3個以上の高さ0.05μm以上の凸部、及び1H以上の鉛筆硬度を有することを特徴とする前記(14)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(16)「前記オーバーコート層が2層以上のオーバーコート層から成る事を特徴とする前記(5)項又は(8)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(17)「前記(3)項乃至(16)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を、加熱により画像形成及び/又は画像消去することを特徴とする画像形成・消去方法」、(18)「前記加熱をサーマルヘッドで行なうことを特徴とする前記(17)項に記載の画像形成方法・消去方法」によって達成される。
【0013】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の可逆的感熱性組成物は、下記一般式(1)で示される構造を有したグラフト重合体からなる樹脂マトリックスと、少なくとも1種類の有機低分子物質とからなる。
【0014】
【化9】
…一般式(1)
(式中、R1とR4は水素原子又はアルキル基を表わし、R2は結合手、又は−COO−CH 2 −C(H)(CH 3 )−を表わし、R3は−CH 2 CH 2 OC(O)−を表わす。但しR 2 、R 3 の前記2価の基はその左端が主鎖側に結合したものである。R5は水素原子又は−CON(R5)−R3−C(R4)=CH2であり、ただし、最末端のR5は水素原子である。)
【0015】
上記一般式(1)の構造を有するグラフト重合体又はグラフト共重合体は、有機溶媒に対する溶解性及び分散性に優れ、本発明の可逆性感熱記録媒体の形成時に使用する有機溶媒に制限を与えない。また、優れた有機低分子化合物の分散媒として作用して、良好な白濁・透明状態を提供する。
【0016】
一般式(1)の繰り返し単位は、末端にある不飽和結合を利用して、熱、紫外線又は電子線により、その不飽和結合同士を反応させたり、他の不飽和結合などと反応させて架橋させることが可能である。この架橋反応を効果的に行なうために、架橋開始剤を使用することも可能である。また、製造上のコストメリットと良好な白濁・透明状態を得るためには、熱的な架橋が好ましい。
【0017】
また、本発明の可逆的感熱性組成物は、下記一般式(2)で示される構造を有したグラフト共重合体からなる樹脂マトリックスと、少なくとも1種類の有機低分子物質とからなる。
【0018】
【化10】
…一般式(2)
(式中、R1とR4は水素原子又はアルキル基を表わし、R2は結合手、又は−COO−CH 2 −C(H)(CH 3 )−を表わし、R3は−CH 2 CH 2 OC(O)−を表わす。但しR 2 、R 3 の前記2価の基はその左端が主鎖側に結合したものである。R5は水素原子又は−CON(R5)−R3−C(R4)=CH2であり、但し最末端のR5は水素原子である。l、m及びnは共重合体の数平均分子量が1000以上となる1以上の整数を表わす。)
【0019】
上記一般式(2)の構造を有するグラフト共重合体は、有機溶媒に対する溶解性及び分散性に優れ、本発明の可逆性感熱記録媒体の形成時に使用する有機溶媒に制限を与えない。また、優れた有機低分子化合物の分散媒として作用して、良好な白濁・透明状態を提供する。
【0020】
このグラフト共重合体の主鎖は熱可塑性であるが、側鎖の末端にあるアクリル基又はメタクリル基を利用して、熱、紫外線又は電子線により架橋させることが可能である。また、製造上のコストメリットと良好な白濁・透明状態を得るためには、熱的な架橋が好ましい。この架橋を効果的に行なうために、架橋開始剤を適宜選択して使用することも可能である。
【0021】
一般式(1)の構造を有するグラフト共重合体の単位構成成分としては、エチレン、プロピレン、スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルアルコール、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、ポリアミド、ポリエステル、ポリアラミド、ポリアリレート、ポリアセタール、フッ素ポリマー、ポリウレタン、エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0022】
樹脂マトリックスとして、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性モノマー及び/又はオリゴマー、及び電子線硬化性モノマー及び/又はオリゴマーを適宜選択して、上記のグラフト共重合体と共に使用することも可能である。
【0023】
前記樹脂マトリックスの熱可塑性樹脂には、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、フッ素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、アラミド、ポリイミド、ポリ−P−フェニレン、ポリ−P−キシレン、ポリ−P−フェニレンビニレン、ポリヒダントイン、ポリパラバン酸、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサジアゾール、及びポリキノキサリンなどが挙げられる。
【0024】
該樹脂マトリックスの熱硬化性樹脂には、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性ポリイミド、スチリルピリジン系樹脂、シアナート系樹脂、硬化型ポリキノキサリン及び硬化型ポリキノリンなどが挙げられる。
【0025】
樹脂マトリックスの紫外線硬化及び電子線硬化性モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの単官能モノマー、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート又はヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレートなどの二官能性モノマー、又はジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールトリアクリレート又はトリメチロールプロパントリアクリレートなどの三官能以上のモノマーが挙げられる。
【0026】
樹脂マトリックスの紫外線硬化及び電子線硬化性オリゴマーとしては、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、シリコンアクリレート、アルキッドアクリレート又はメラミンアクリレートなどが挙げられる。
【0027】
有機低分子化合物としては、アルカノール;アルカンジオール;ハロゲン化アルカノール;ハロゲン化アルカンジオール;アルキルアミン;アルカン;アルケン;アルキン;ハロゲン化アルカン;ハロゲン化アルケン;ハロゲン化アルキン;シクロアルカン;シクロアルケン;シクロアルキン;飽和又は不飽和モノ又はジカルボン酸又はこれらのエステル、アミド又は塩;飽和又は不飽和ハロゲン化脂肪酸又はこれらのエステル、アミド又は塩;アリルカルボン酸又はこれらのエステル、アミド又は塩;ハロゲン化アリルカルボン酸又はこれらのエステル、アミド又は塩;チオアルコール;チオカルボン酸又はこれらのエステル、アミド又は塩;チオアルコールのカルボン酸エステルなどが挙げられる。これらの化合物の炭素数は10〜60、好ましくは10〜38、特に10〜30が好ましい。エステル中のアルコール基部分は飽和していてもよく、飽和していなくてもよく、またハロゲン置換されていてもよい。いずれにしても低分子有機化合物は分子中に少なくとも1個の酸素、窒素、硫黄またはハロゲンを含有する基、例えば−OH、−COOH、−CONH2、−COOR、−NH−、−S−、−S−S−または−O−などを有する化合物であることが好ましい。
【0028】
さらに具体的には、これらの化合物としては、ラウリン酸(n−ドデカン酸)、ミリスチン酸(n−テトラデカン酸)、n−ペンタデカン酸、パルミチン酸(n−へキサデカン酸)、ステアリン酸(n−オクタデカン酸)、n−ノナデカン酸、アラキン酸(n−エイコサン酸)、n−へンエイコサン酸、べへン酸(n−ドコサン酸)、n−トリコサン酸、リグノセリン酸(n−テトラコサン酸)、n−ペンタコサン酸、セロチン酸(n−へキサコサン酸)、n−へプタコサン酸、モンタン酸(n−oオクタコサン酸)、メリシン酸(n−トリアコンタン酸)、オレイン酸、ステアリン酸メチル、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン酸オクタデシル、ラウリン酸オクタデシル、パルミチン酸テトラデシル、べへン酸ドデシル、ジ−n−へキサデシルエーテル、ジ−n−オクタデシルエーテル、ジ−n−ドデシルスルフィド、ジ−n−へキサデシルスルフィド、ジ−n−オクタデシルスルフィド、ジエチレングリコールジラウレート、及びジエチレングリコールジステアレートなどが挙げられる。.
【0029】
架橋開始剤としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシク口へキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル−2−)モルホリノプロパン−1、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−クロロチオキサントン又は2,4−ジエチルチオキサントン、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシマレイン酸、t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボネート、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルペルオキシ)イソフタレートなどが挙げられる。
【0030】
また、本発明の可逆的感熱性組成物は、(a)グラフト共重合体及び有機低分子化合物を共に溶解する溶媒にそれらを溶解し、(b)グラフト共重合体のみを溶解する溶媒にグラフト共重合体を溶解し、且つ有機低分子化合物を分散し、又は(c)グラフト共重合体及び有機低分子化合物を共に溶解しない溶媒にそれらを分散し、得られた溶液、分散溶液、又は分散液を支持体に塗布し、溶媒を除去することにより可逆性感熱記録媒体を提供する。
【0031】
可逆的感熱性組成物の溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール又はベンジルアルコールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル又は酢酸n−ブチルなどのエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ又はブチルセロソルブなどのセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロへキサノン又はイソホロンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド又はN−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、エチルエーテル、ジオキサン又はテトラヒドロフランなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン又はピリジンなどの芳香族類、n−へキサン、シクロヘキサン又はナフサなどの炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、プロピレンクロライド、クロロホルム又は四塩化炭素などの塩素化炭化水素類、水、酢酸、又はジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
【0032】
また、本発明の可逆的感熱性組成物は、(a)グラフト重合体又はグラフト共重合体及び有機低分子化合物を共に溶解する溶媒に、それらを溶解し、(b)グラフト重合体又はグラフト共重合体、又はグラフト共重合体のみを溶解する溶媒に、グラフト重合体又はグラフト共重合体を溶解し、且つその溶液に有機低分子化合物を分散し、又は(c)グラフト重合体又はグラフト共重合体及び有機低分子化合物を共に溶解しない溶媒にそれらを溶解し、得られた溶液、分散溶液、又は分散液を支持体に塗布し、溶媒を除去し、熱、紫外線及び/又は電子線によりグラフト重合体又はグラフト共重合体を架橋することにより可逆性感熱記録媒体を提供する。
【0033】
前述したように、本発明の可逆的感熱性組成物の構成成分であるグラフト重合体及びグラフト共重合体は、側鎖の末端にある不飽和結合を利用して熱、紫外線又は電子線により架橋させることが可能である。この架橋を効果的に行なうために、前記と同様の架橋開始剤を適宜選択して使用することも可能である。
また、樹脂マトリックスとして、前記と同様の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性モノマー及び/又はオリゴマー、及び電子線硬化性モノマー及び/又はオリゴマーを適宜選択して、グラフト重合体又はグラフト共重合体とともに使用することも可能である。
【0034】
図1に、熱の作用によって透明度が変化する、代表的な本発明の可逆性記録媒体の温度と透明度の関係を示す。樹脂マトリックスとこれに分散した有機低分子化合物とを主成分とする可逆性感熱記録層は、例えばT0以下の温度では白濁不透明状態にある感熱層を加熱すると、温度T1から徐々に透明になりはじめ、温度T2〜T3で最大透明状態になり、この状態からT0以下の温度に戻しても透明状態を維持する。また、温度T4以上まで加熱すると、最大透明状態と最大不透明状態の中間状態になる。次に、温度T4以上からT0以下の温度まで冷却すると、透明状態にならずに再び最初の白濁不透明状態に戻る。
【0035】
このように、本発明の、支持体と該支持体上に設けた、主成分として有機低分子化合物を樹脂マトリックス中に分散し透明度が温度変化に依存して可逆的に変化する感熱記録層とからなる可逆性感熱記録媒体においては、不透明状態温度T0、透明状態開始温度T1、最大透明状態下限温度T2、最大透明状態上限温度T3、及び半透明化温度T4は、その熱可逆的な特性を決定する。
【0036】
本発明の目的である、白濁画像の長時間保存後の消去特性、白濁画像の高温下での保存後の白濁濃度の保存性、及び画像の形成と消去の繰り返し耐久性は、それぞれの特性温度T0、T1、T2、T3、T4と透明度との関係が画像の形成と消去の繰り返しにより変化しない、又はその変化量がより少ないことを意味する。
【0037】
すなわち、支持体、及び該支持体上に設けた、主成分として有機低分子化合物を樹脂マトリックス中に分散し、透明度が温度変化に依存して可逆的に変化する感熱記録層とからなる可逆性感熱記録媒体において、上記一般式(1)又は(2)で示される構造を有したグラフト重合体又はグラフト共重合体からなる該樹脂マトリックスと少なくとも1種類の有機低分子化合物からなる可逆的感熱性組成物から可逆性感熱記録媒体を作成することにより、特に、熱、紫外線及び/又は電子線で架橋したグラフト重合体又はグラフト共重合体を樹脂マトリックスとして用いることにより、それぞれの特性温度T0、T1、T2、T3、T4と透明度との関係が画像の形成と消去の繰り返しにより変化しない、又はその変化量がより少ない可逆性感熱記録媒体が提供される。
【0038】
感熱層の厚みは1〜30μmが好ましく、2〜20μmが更に好ましい。感熱層が厚すぎると熱感度が低下して均一に透明化することが困難となる。また、感熱層が薄すぎると白濁度が低下してコントラストが低くなる。更に、感熱層中の低分子有機化合物の量を増加させて白濁度を増すことができる。
【0039】
感熱層には以上の成分のほかに、透明画像の形成を容易にするために高融点溶媒及び界面活性剤などの添加剤を添加することができる。
高融点溶剤として、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、オレイン酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジオクチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジエチレンジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルなどを挙げることができる。
【0040】
界面活性剤及びその他の添加剤としては、多価アルコール高級脂肪酸エステル;多価アルコール高級アルキルエーテル;多価アルコール高級脂肪酸エステル、高級アルコール、高級アルキルフェノール、高級脂肪酸高級アルキルアミン、高級脂肪酸アミド、油脂又はポリプロピレングリコールの低級オレフィンオキサイド付加物;アセチレングリコール;高級アルキルベンゼンスルホン酸のNa、Ba、Ca又はMg塩;高級脂肪酸、芳香族カルボン酸、高級脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、硫酸モノエステル又はリン酸モノ又はジエステルのBa、Ca又はMg塩;低度硫酸化油;ポリ長鎖アルキルアクリレート;アクリル系オリゴマー;ポリ長鎖アルキルメタクリレート;長鎖アルキルメタクリレート−アミン含有モノマー共重合体;スチレン−無水マレイン酸共重合体及びオレフィン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
【0041】
本発明において、可逆性記録材料の支持体としてはプラスチックフィルム、ガラス板及び金属板などを用いる。
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、前記の感熱記録層上に125μm×125μmの表面積あたり3個以上の高さ0.05μm以上の凸部及び2H以上の鉛筆硬度を有したオーバーコート層を設けたことを特徴とする。
現在、主に市販されているサーマルヘッドのドット密度は8dot/mm2であり、1ドット当たりの大きさに換算すると125μm×125μmである。したがって、1ドット当たり3個以上の高さ0.05μm以上の凸部及び2H以上の鉛筆硬度を有したオーバーコート層を感熱記録層上に設けることにより、画像形成と消去を繰り返し行なってもサーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な表面の凹凸のない可逆性感熱記録媒体が提供されると共に、スティッキング、傷の発生、剥がれ、剥がれによるサーマルヘッドの汚れ、それらの現象によって起こる画像の劣化、及び熱感度の低下のない可逆性感熱記録媒体が提供される。
【0042】
すなわち、オーバーコート層は125μm×125μmの表面積あたり3個以上の高さ0.05μm以上の凸部及び1H以上の鉛筆硬度を有することにより、サーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な表面の凹凸の発生を防止する効果を発揮する。それらの凸部の個数、凸部の高さ及び鉛筆硬度に関する限定された条件は、サーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な表面の凹凸の発生を防止するために全て満たされていなくてはならない。
【0043】
このオーバーコート層の表面に設けた凸部は、スティッキング及び傷の発生を防止する効果をも発揮する。すなわち、オーバーコート層の表面に凸部を設けることによって、その表面とサーマルヘッド表面との接触面積が、平坦なオーバーコート層の場合より小さくなり、それによって界面に発生する摩擦力が小さくなりスティッキング及び傷の発生を防止することができる。その効果は凸部の単位面積当たりの個数と高さに依存する。よって、好ましい凸部の個数は125μm×125μmの表面積あたり3〜900個である。2個以下であるとサーマルヘッド表面との接触面積が平坦なオーバーコート層の場合に近似した大きさになり、サーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な表面の凹凸、スティッキング及び傷の発生の防止効果が発揮されず、また901個以上であると透明であるべき部分の透明度が低下して画像が不鮮明になる。また、好ましい凸部の高さは0.05〜1.5μmであり、0.05μmより小さいとサーマルヘッド表面との接触面積が平坦なオーバーコート層の場合に近似した大きさになりスティッキング及び傷の発生の防止効果が発揮されず、また1.5μmより大きくなるとサーマルヘッドとの接触面積が小さくなり過ぎ、熱の伝導が低下して画像形成と消去を通常の印加エネルギー又は温度で行なうことが不可能となる。
【0044】
凸部の個数と高さの組み合わせは、上記の観点から高さが高い場合は個数を少なくし、高さが低い場合は個数を多くすることが望ましい。また、オーバーコート層は1H以上の鉛筆硬度を有することにより、傷の発生、剥がれ及び剥がれによるサーマルヘッドの汚れを防止する効果をも発揮する。すなわち、1H以上の鉛筆硬度を有したオーバーコート層を設けた可逆性感熱記録媒体は、サーマルヘッドの熱、サーマルヘッドとの摩擦力及びサーマルヘッドによる圧力によって変形及び破壊されることなく500回以上の画像形成と消去を操り返して使用できる。オーバーコート層の鉛筆硬度が1H未満の柔らかなものであると、数回から数十回の印字消去によりサーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な表面の凹凸や傷が発生したり、オーバーコート層の一部が剥離して剥離物が蓄積し、さらにサーマルヘッドからの熱伝導が低下し、画像形成ができなくなる。また9H以上の硬いものであると、50〜300回の印字消去によりオーバーコート層が割れ、記録層に形成された画像が不明瞭となる。
【0045】
それらの傾向は、より硬度が低いほど少ない印字消去の優り返しにより周期的な表面の凹凸や傷が発生したり、剥離し易くなり、より硬度が高いほど少ない印字消去の繰り返しにより割れが発生し易くなる。よって、好ましいオーバーコート層の鉛筆硬度は2H〜8Hである。また、オーバーコート層の厚さは、凸部の高さを含めて0.1〜10.0μmである。好ましくは1.0〜6.0μmである。
【0046】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、前記オーバーコート層上に印刷層及び印刷保護層を設けたことを特徴とする。記録媒体の使用目的に応じて、印刷層はオーバーコート層上の少なくとも一部分に設け、印刷保護層は少なくとも印刷層上の一部分に設ける。
また、印刷保護層は印刷層のないオーバーコート層上に設けることも可能である。印刷層は、公知のオフセット印刷、グラビア印刷、及びスクリーン印刷などによって形成する。また、印刷保護層は、印刷層と同様に公知の方法により形成する。
【0047】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、前記有機低分子化合物が融点の異なる少なくとも2種類の化合物からなることを特徴とする。すなわち、有機低分子化合物として、融点の異なる少なくとも2種類の化合物を用いることにより、図1に示した最大透明状態下限温度T2から最大透明状態上限温度T3までの温度幅が広がり、本発明の目的の一つであるサーマルヘッドによる消去が可能となる。
有機低分子化合物としては、前記した有機低分子化合物以外に、70℃未満の融点を有した有機低分子化合物、及び135℃以上の融点を有した有機低分子化合物を用いることができる。
【0048】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、前記融点の異なる少なくとも2種類以上の有機低分子化合物が、最大融点と最低融点との差が45℃以上であることを特徴とする。すなわち、最大融点と最低融点との差が45℃以上である、少なくとも2種類以上の有機低分子化合物を用いることにより、図1に示した最大透明状態下限温度T2から最大透明状態上限温度T3までの温度幅がさらに広がり、本発明の目的の一つであるサーマルヘッドによる消去が容易になる。
【0049】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、前記有機低分子化合物と前記樹脂マトリックスとの重量比が、3:1〜1:3であることを特徴とする。すなわち、有機低分子化合物と樹脂マトリックスとの重量比を3:1〜1:3にすることにより、コントラストに優れた可逆性感熱記録媒体が提供される。樹脂マトリックスの比率が3:1未満になると、低分子有機化合物を樹脂母材中に保持した膜を形成することが困難となる。また、樹脂マトリックスの比率が1:3を超えると、低分子有機化合物の量が少ないために白濁化が困難になる。
【0050】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、前記オーバーコートが、20dyn/cm以上の臨界表面張力を有することを特徴とする。すなわち、20dyn/cm以上の臨界表面張力を有した保護層を中間層上に設けることにより、オフセット印刷インキやグラビア印刷インキなどのインキ転移性、及び転移した印刷インクの耐スクラッチ性と耐セロテープ剥離性に優れた可逆性記録媒体が提供される。
【0051】
臨界表面張力は、3水準以上のぬれ指数標準液(和光純薬工業社製)を用いて、記録層上に形成した保構層の接触角を一定環境下で測定し、ぬれ指数標準液の表面張力と接触角の関係をZismanプロットし、接触角=0°に補外したときの表面張力の値である。この臨界表面張力が20dyn/cmより小さいと、インキが保護層に転移したとしても、引っ掻きやセロテープの粘着力により保護層からインキが部分的に剥がれる。また、臨界表面張力が約15dyn/cmより小さくなると、インキの転移性が低下し、引っ掻きやセロテープの粘着力により保護層からインキが容易に剥がれる。さらに、約12dyn/cm以下になると、インキはほとんど保護層に転移しなくなる。
【0052】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、前記印刷保護層が、125μm×125μmの表面積あたり3個以上の高さ0.05μm以上の凸部及び1H以上の鉛筆硬度を有することを特徴とする。すなわち、125μm×125μmの表面積あたり3個以上の高さ0.05μm以上の凸部及び1H以上の鉛筆硬度を有する印刷保護層を、前記印刷層及び/又はオーバーコート層上に設けることにより、画像形成と消去を繰り返し行なってもサーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な表面の凹凸のない可逆性感熱記録媒体が提供されると共に、スティッキング、傷の発生、剥がれ、剥がれによるサーマルヘッドの汚れ、それらの現象によって起こる画像の劣化、及び熱感度の低下のない可逆性感熱記録媒体が提供される。
【0053】
印刷保護層は125μm×125μmの表面積あたり3個以上の高さ0.05μm以上の凸部及び1H以上の鉛筆硬度を有することにより、サーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な表面の凹凸の発生を防止する効果を発揮する。それらの凸部の個数、凸部の高さ及び鉛筆硬度に関する限定された条件は、サーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な表面の凹凸の発生を防止するために全て満たされていなくてはならない。
【0054】
この印刷保護層の表面に設けた凸部は、スティッキング及び傷の発生を防止する効果をも発揮する。すなわち、オーバーコート層の表面に凸部を設けることによって、その表面とサーマルヘッド表面との接触面積が、平坦なオーバーコート層の場合より小さくなり、それによって界面に発生する摩擦力が小さくなりスティッキング及び傷の発生を防止することができる。その効果は凸部の単位表面積当たりの個数と高さに依存する。よって、好ましい凸部の個教は125μm×125μmの表面積あたり3〜900個である。2個以下であるとサーマルヘッド表面との接触面積が平坦な印刷保護層の場合に近似した大きさになり、サーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な表面の凹凸、スティッキング及び傷の発生の防止効果が発揮されず、また901個以上であると透明であるべき部分の透明度が低下して画像が不鮮明になる。また、好ましい凸部の高さは0.05〜1.5μmであり、0.05μmより小さいとサーマルヘッド表面との接触面積が平坦な印刷保護層の場合に近似した大きさになりスティッキング及び傷の防止効果が発揮されず、また1.5μmより大きくなるとサーマルヘッドとの接触面積が小さくなり過ぎ、熱の伝導が低下して画像形成と消去を通常の印加エネルギー又は温度で行なうことが不可能となる。
【0055】
凸部の個数と高さの組み合せは、上記の観点から高さが高い場合は個数を少なくし、高さが低い場合は個数を多くすることが望ましい。また、印刷保護層は1H以上の鉛筆硬度を有することにより、傷の発生、剥がれ及び剥がれによるサーマルヘッドの汚れを防止する効果をも発揮する。すなわち、2H以上の鉛筆硬度を有した印刷保護層を設けた可逆性感熱記録媒体は、サーマルヘッドの熱、サーマルヘッドとの摩擦力及びサーマルヘッドによる圧力によって変形及び破壊されることなく500回以上の画像形成と消去を繰り返して使用できる。印刷保護層の鉛筆硬度が1H以下であると、数回から数十回の印字消去によりサーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な表面の凹凸や傷が発生したり、印刷保護層の一部が剥離して剥離物が蓄積し、さらにサーマルヘッドからの熱伝導が低下し、画像形成ができなくなる。また9H以上であると、50〜300回の印字消去により印刷保護層が割れ、記録層に形成された画像が不明瞭となる。それらの傾向は、より硬度が低いほど少ない印字消去の繰り返しにより周期的な表面の凹凸や傷が発生したり、剥離し易くなり、より硬度が高いほど少ない印字消去の繰り返しにより割れが発生し易くなる。よって、好ましい印刷保護層の鉛筆硬度は1H〜8H、より好ましくは2H〜8Hである。また印刷保護層の厚さは、凸部の高さを含めて0.1〜10.0μmである。好ましくは0.5〜3.0μmである。
【0056】
本発明の可逆性感熱記録媒体で形成される画像を反射画像として用いる場合には、記録層の背面に光反射層を設けることが望ましい。光反射層を設けることにより、記録層の厚みが比較的薄い場合でも目的のコントラストを達成させることができる。具体的には蒸着により形成されたAl、Ni、Sn等からなる光反射層が挙げられる(特開昭64−14079号公報に記載)。また、光反射層と記録層との接着性が良好でない場合は、その層間に接着層を設けることも可能である。
【0057】
また、オーバーコート層塗工液の溶剤や有効成分等から感熱記録層を保護するために、オーバーコート層との間に中間層を設けることができる(特開平1−133781号公報に記載)。中間層の材料として、本発明のグラフト共重合体、及び/又はグラフト共重合体と共用可能な、前記した熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂モノマー及び/又はオリゴマー、又は電子線硬化性モノマー及び/又はオリゴマー等が使用できる。
【0058】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体に、感熱記録層以外に磁気記録層、集積回路メモリー、光メモリー又は光磁気メモリーからなる情報記録部を設けて、視認性の情報と非視認性の情報を保持させることが可能である。
【0059】
磁気記録層を有する可逆性感熱記録媒体においては、その層構成として、実開平2−3876号公報に記載されているように支持体上に感熱記録層及び磁気材料を主成分とする磁気記録層を設け、少なくとも感熱記録層の直下又は感熱記録層に対応した支持体部分が着色された構成が挙げられる。あるいは、特開平3−130188号公報に記載されているように、支持体上に順に磁気記録層、光反射層及び感熱記録層を設ける層構成や、磁気層を支持体と支持体と感熱層の間の全面か一部分、支持体裏面の全面か一部分、あるいは表示面の一部分のいずれかに設けた構成とすることも可能である。
【0060】
また本発明では視認性をよくするために着色層を支持体と記録層の間に設けることも可能である。着色層は着色剤及び樹脂バインダーを主成分とする溶液又は分散液を対象面に塗布、乾燥する方法、又は着色シートを貼り合わせる方法により形成される。ここで、着色剤として上層の感熱記録層の透明性及び白濁の変化を反射画像として認識できればよく、種々の色を有する染料や顔料が使用される。樹脂バインダーは各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂が使用される。
【0061】
さらに、支持体と記録層との間に、空気を含有する非密着状態の空気層を設けることが可能である。空気層を設けることにより、感熱記録層の主成分であるバインダー樹脂の屈折率が1.4〜1.6程度に対して空気の屈折率が1.0であるため、その屈折率の差により界面で光が反射し、白濁状態にある感熱記録層の白濁度が増幅され、視認性が向上し、表示部の有効性が高くなる。また、空気層は断熱層として作用し、感度が向上する。さらに、クッションとして作用し、サーマルヘッドによる加熱時の圧力が軽減され、感熱記録層の変形量が小さくなり、繰り返し耐久性が向上する。
【0062】
またさらに、本発明の可逆性感熱記録媒体は、支持体裏面に接着又は粘着層を設けた可逆性感熱記録ラベルとして、もう一つの支持体である被接着体と貼り合わせて使用することも可能である。被接着体として、クレジットカード等の塩ビカード、ICカード、IDカード、紙、フィルム、合成紙、ボーディングパス、定期券、CD−ROM等の光ディスク、フロッピーディスク、又は光磁気ディスク等が挙げられるが、これに限定されない。
【0063】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体の画像形成及び画像消去は、種々の加熱手段を有した感熱記録画像表示装置により加熱温度を適宜制御することによって、良好に行なわれる。感熱記録画像表示装置として、加熱手段としてサーマルヘッド又はレザーを装着した、画像形成と画像消去を単一の加熱手段で行なうことが可能な感熱記録画像表示装置、又は画像形成と画像消去を別々の加熱手段で行なう、二つの機能別加熱手段を装着した感熱記録画像表示装置が挙げられる。その画像形成用の機能別加熱手段としてサーマルヘッド又はレーザーなど、画像消去用の機能別加熱手段としてサーマルヘッド、セラミックセーター、ホットスタンプ、ヒートローラー又はヒートブロック等の接触型手段と、温風又は赤外線等の非接触型手段などが挙げられる。
【0064】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基いてさらに詳しく説明する。ここで用いる部および%はいずれも重量基準である。
合成例1
冷却管と窒素導入管を備えた300mlの三口フラスコに30gの乾燥メチルイソブチルケトン(MIBK)を加え、撹拌しながら10gの塩化ビニル−酢酸ビニル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体(83:4:13wt%、数平均分子量33,000)を室温で徐々に加えた。
この混合物を窒素雰囲気下で撹拌しながら60℃まで加熱し、共重合体が溶解するまで撹拌した。共重合体の溶解後、得られた溶液を室温付近まで冷却した。10mlのサンプルビンに0.006gのジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ、1.69gのメタクロイルオキシエチルイソシアネート及び2gのMIBKを混合し、共重合体の溶液に窒素気流下で撹拌しながら一度に加えた。3gのMIBKでそのサンプルビンを洗浄し、洗浄液を共重合体の反応溶液に一度に加えた。窒素気流下で約45℃まで加熱した後、その温度を維持し、7時間撹拌した。得られた反応溶液を20gのMIBKで希釈し、室温付近まで冷却した。激しく撹拌した約2リットルのへキサンに、冷却した希釈反応溶液を滴下して、反応生成物を析出させた。白色の析出物をろ別し、約1.5リットルのへキサンでその白色固体を洗浄した。約40度の減圧下で乾燥して、10.33gのグラフト共重合体(一般式(1)において、R1は水素原子、R2は−COO−CH2−C(H)(CH 3 ) −(ただし、左端が主鎖側に結合)、R3は−CH2CH2OCO−(ただし、左端が主鎖側に結合)、R4はメチル基、R5は水素原子である共重合体に相当する)を得た。
【0065】
実施例1
100μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、
γ−Fe2O3 10部
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 10部
(UCC社製:VAGH)
ポリイソシアネート 1.3部
(日本ポリウレタン社製:コロネートL)
メチルエチルケトン 40部
トルエン 40.7部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥して、10μm厚の磁気層を設けた。この磁気層上に、
アクリル系紫外線硬化性樹脂 10部
(大日本インキ化学工業社製:ユニディックC−164)
トルエン 4部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥した後、100mJ/cm2の紫外線を照射して、約1.5μm厚の平滑層を設けた。この平滑層上に、Alを真空蒸着して、約400Å厚の光反射層を設けた。この光反射層上に、
塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体
(電気化学工業社製:デカビニール#100P) 10部
テトラヒドロフラン 90部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥して、10μm厚の接着層を設けた。この接着層上に、
リグノセリン酸 9部
合成例1で得られたグラフト共重合体 30部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.8部
テトラヒドロフラン 180部
トルエン 60部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥した後、200mJ/cm2の紫外線を照射して、約10μm厚の記録層を設けた。この記録層上に、
紫外線硬化性ウレタンアクリレート 100部
(荒川化学社製:Bs575CS−B)
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2部
イソプロパノール 200部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、90℃で2分間乾燥した後、450mJ/cm2の紫外線を照射して、約5μm厚のオーバーコート層を設けて、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0066】
実施例2
記録層の塗工溶液として、
べへン酸 4.5部
リグノセリン酸 4.5部
合成例1のグラフト共重合体 30部
ネオペンチルグリコールジアクリレート 6部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1部
テトラヒドロフラン 200部
トルエン 40部
からなる溶液を用いる以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0067】
実施例3
記録層の塗工溶液として、
エイコサン二酸 6部
リグノセリン酸 3部
合成例1のグラフト共重合体 30部
ネオペンチルグリコールジアクリレート 6部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.8部
テトラヒドロフラン 180部
トルエン 60部
からなる溶液を用いる以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0068】
実施例4
記録層の塗工溶液として、
エイコサン二酸 6部
ベヘン酸 3部
合成例1のグラフト共重合体 30部
ネオペンチルグリコールジアクリレート 6部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.8部
テトラヒドロフラン 180部
トルエン 60部
からなる溶液を用いる以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0069】
実施例5
記録層の塗布液として、
エイコサン二酸 3部
ベヘン酸 3部
リグノセリン酸 3部
合成例1のグラフト共重合体 30部
1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン 1.5部
テトラヒドロフラン 180部
トルエン 60部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、135℃で3分間加熱乾燥して、約10μm厚の記録層を設けた以外は実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0070】
実施例6
実施例5と同様にして、記録層までの各層を設けた後、得られた記録層上に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 20部
(日本化薬社製:AYARAD DPHA)
ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール 80部
ジアクリレート(日本化薬社製:AYARAD MANDA)
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 5部
酢酸ブチル 105部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、90℃で1分間乾燥した後、約800mJ/cm2紫外線を照射して、約5μm厚の保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作成した。46dyn/cm、50dyn/cm及び54dyn/cmのぬれ指数標準液(和光純薬工業社製)を用いて、記録層上に形成した保護層の接触角を25℃で測定し。ぬれ指数標準液の表面張力と接触角の関係をZismanプロットした。得られた保護層の臨界表面張力は、22dyn/cmであった。
【0071】
実施例7
オーバーコート層の塗工溶液として、
紫外線硬化性ウレタンアクリレート 100部
(荒川化学社製:Bs575CS−B)
炭酸カルシウム 0.8部
(荒川化学工業社製:Brilliant−15)
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2部
イソプロパノール 200部
からなる溶液を用いる以外は、実施例5と同様にして可逆性感熱記録媒体を得た。オーバーコート層の厚さは、凸部の高さを含めて約5μmであった。オーバーコート層の鉛筆硬度は4Hであり、125μm×125μmの表面積当たりの凸部の個数とその高さは、それぞれ11〜50個と0.51〜1.50μmであった。
【0072】
実施例8
実施例5で得られた可逆性感熱記録媒体の一部分のオーバーコート層上に、YMCのカラーオフセット印刷により、ポリエステル樹脂10部、アクリルエステルオリゴマーとモノマーの混合物35部、光開始剤8部、着色顔料45部及びワックス2部からなる、約3〜8μm厚の印刷層を設けた。この印刷層上に、
紫外線硬化性ウレタンアクリレート 100部
(荒川化学社製:Bs575CS−B)
二酸化ケイ素(水澤化学社製:P−526U) 1.3部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2部
イソプロパノール 200部
からなる分散液をワイヤーバーで塗工し、90℃で2分間乾燥した後、約450mJ/cm2の紫外線を照射して、約3μm厚の印刷保護層を設けて、可逆性感熱記録媒体を得た。印刷保護層の鉛筆硬度は4Hであり、125μm×125μmの表面積当たりの凸部の個数とその高さは、それぞれ51〜100個と0.11〜0.50μmであった。
【0073】
比較例1
記録層の塗工溶液として、
エイコサン二酸 7.5部
ベヘン酸 4.5部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30部
ネオペンチルグリコールジアクリレート 6部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.8部
テトラヒドロフラン 180部
トルエン 60部
からなる溶液を用いる以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0074】
比較例2
比較例1と同様にして、記録層までの各層を設けた後、得られた記録層上にオーバーコート層の塗工溶液として、
トリメチロールプロパントリアクリレート 20部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 20部
エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトール 40部
テトラアクリレート
シロキサン−1,2−ジカルボン酸−2− 15部
ヒドロキシプロパノールジエステル
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 5部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、90℃で1分間乾燥した後、約800mJ/cm2紫外線を照射して約5μm厚の保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作成した。46dyn/cm、50dyn/cm及び54dyn/cmのぬれ指数標準液(和光純薬工業社製)を用いて、記録層上に形成した保護層の接触角を25℃で測定し、ぬれ指数標準液の表面張力と接触角の関係をZismanプロットした。得られた保護層の臨界表面張力は、11dyn/cmであった。
【0075】
比較例3
比較例1と同様にして、記録層までの各層を設けた後、得られた記録層上にオーバーコート層の塗工溶液として、
紫外線硬化性ポリエステル系樹脂 100部
(荒川化学社製:Bs550B)
炭酸カルシウム 0.8部
(白石工業社製:Brilliant−15)
イソプロパノール 100部
からなる分散溶液をワイヤーバーで塗工し、90℃で2分間乾燥した後、約450mJ/cm2の紫外線を照射して、凸部の高さを含めて約4μm厚のオーバーコート層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作成した。オーバーコート層の鉛筆硬度はFであり、125μm×125μmの表面積当たりの凸部の個数とその高さは、それぞれ11〜50個と0.51〜1.50μmであった。
【0076】
実施例10
実施例1〜8と比較例1で作製した可逆性感熱記録媒体について、沖電気社製の印字消去装置を用いて、0.26mJ/dotの印字エネルギーで格子パターンの画像を形成した後、約105℃で消去し、この印字と消去を500回繰り返した。画像の形成と消去の繰り返し耐久性は、同じ格子部分の最初と500回後の画像濃度(白濁濃度)と消去濃度(透明濃度)とを測定し、その変化量を算出することにより評価した。また、長時間保存後の消去性は、沖電気社製の印字消去装置により約105℃で透明化した記録媒体の濃度(保存前の濃度)を測定し、同装置により0.26mJ/dotの印字エネルギーで格子パターンの画像を形成し、50℃で1週間保存した後、同装置により消去し、保存前と同じ格子部分の消去濃度を測定し、保存前後の濃度変化量を算出することにより評価した。さらに、高温保存後の画像濃度(白濁濃度)の保存性は、沖電気社製の印字消去装置を用いて、0.26mJ/dotの印字エネルギーで格子パターンの画像を形成し、画像濃度(白濁濃度)を測定した後、70℃24時間保存し、保存前と同じ格子部分の画像濃度(白濁濃度)を測定し、保存前後の濃度変化量を算出することにより評価した。上記の濃度は全てマクベス光学濃度計により測定した。結果を表1にまとめた。
【0077】
【表1】
【0078】
実施例11
また、実施例7、8及び比較例3で作製した可逆性感熱記録媒体について、100回毎にオーバーコート層又は印刷保護層表面の、サーマルヘッドの大きさに相当した周期的な凹凸、及びスティッキング、割れ、剥がれ及びヘッド汚れの発生を目視にて観察し、以下の基準で判定した。結果を表2にまとめる。
【0079】
表面の周期的な凹凸
A:全く発生しない
B:わずかに発生する
C:はっきりと確認できる
スティッキング
G:発生しない
NG:発生する
割れと剥がれ
G:発生しない
NG:発生する
ヘッドの汚れ
G:なし
NG:あり
【0080】
【表2】
【0081】
実施例12
また、実施例6と比較例2で作製した可逆性感熱記録媒体について、保護層表面に白色インキをスクリーン印刷し、インキ転移性、耐スクラッチ性、及び耐セロテープ剥離性を評価した。インキ転移性は、インキの保護層への転移の度合いを目視により以下のように判断した。耐スクラッチ性は、シャープペンの先端で転写したインキを引っかいて、インキが剥がれるかどうかを以下のように判断した。耐セロテープ剥離性は、セロハンテープを転移したインキ面に貼り付けて、剥がしたときに、インキが保護層から剥がれるかどうかを以下のように判断した。結果を表3にまとめる。
インキ転移性
○:転移する
×:転移しない
耐スクラッチ性と耐セロテープ剥離性
○:剥がれない
×:容易に剥がれる
【0082】
【表3】
【0083】
合成例2
冷却管と窒素導入管を備えた300mlの三口フラスコに30gの乾燥メチルイソブチルケトン(MIBK)を加え、撹拌しながら10gの塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(92:3:5wt%、数平均分子量30,000)を室温で徐々に加えた。
この混合物を窒素雰囲気下で撹拌しながら60℃まで加熱し、共重合体が溶解するまで撹拌した。共重合体の溶解後、得られた溶液を室温付近まで冷却した。10mlのサンプルビンに0.005gのジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ、1.69gのメタクロイルオキシエチルイソシアネート及び2gのMIBKを混合した。この混合物を窒素気流下の重合体溶液に撹拌しながら一度に加えた。3gのMIBKでそのサンプルビンを洗浄し、洗浄液を共重合体の反応溶液に一度に加えた。窒素気流下で約45℃まで加熱した後、その温度を維持し、14時間撹拌した。得られた反応溶液を20gのMIBKで希釈し、室温付近まで冷却した。激しく撹拌した約2リットルのへキサンに、冷却した希釈反応溶液を滴下して、反応生成物を析出させた。白色の析出物をろ別し、約1.5リットルのへキサンでその白色固体を洗浄した。約40度の減圧下で乾燥して、11.32gのグラフト共重合体(一般式(2)において、R1は水素原子、R2は結合手、R3は−CH2CH2OCO−(ただし、左端が主鎖側に結合)、R4はメチル基、R5は水素原子である)を得た。
【0084】
実施例13
188μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、Alを真空蒸着して、約400Å厚の光反射層を設けた。この光反射層上に、
塩化ビニル−酢酸ビニル−リン酸エステル共重合体 10部
(電気化学工業社製:デンカビニール#100P)
テトラヒドロフラン 90部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥して、1μm厚の接着層を設けた。この接着層上に、
リグノセリン酸(融点約89℃) 9部
合成例2で得られたグラフト共重合体 30部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.8部
テトラヒドロフラン 180部
トルエン 60部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥した後、200mJ/cm2の紫外線を照射して、約10μm厚の記録層を設けた。この記録層上に、
紫外線硬化性ウレタンアクリレート 100部
(荒川化学社製:Bs575CS−B)
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2部
イソプロパノール 200部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、90℃で2分間乾燥した後、450mJ/cm2の紫外線を照射して、約5μm厚のオーバーコート層を設けて、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0085】
実施例14
記録層の塗工溶液として、
べへン酸(融点約80℃) 4.5部
リグノセリン酸(融点約89℃) 4.5部
合成例2のグラフト共重合体 30部
ネオペンチルグリコールジアクリレート 6部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1部
テトラヒドロフラン 200部
トルエン 40部
からなる溶液を用いる以外は、実施例13と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0086】
実施例15
記録層の塗工溶液として、
エイコサン二酸(融点約131℃) 6部
リグノセリン酸(融点約89℃) 3部
合成例2のグラフト共重合体 30部
ネオペンチルグリコールジアクリレート 6部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.8部
テトラヒドロフラン 180部
トルエン 60部
からなる溶液を用いる以外は、実施例13と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0087】
実施例16
記録層の塗工溶液として、
エイコサン二酸(融点約131℃) 6部
ベヘン酸(融点約80℃) 3部
合成例2のグラフト共重合体 30部
ネオペンチルグリコールジアクリレート 6部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.8部
テトラヒドロフラン 180部
トルエン 60部
からなる溶液を用いる以外は、実施例13と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0088】
実施例17
記録層の塗工溶液として、
エイコサン二酸(融点約131℃) 3部
ベヘン酸(融点約80℃) 3部
リグノセリン酸(融点約89℃) 3部
合成例1のグラフト共重合体 30部
1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン 1.5部
テトラヒドロフラン 180部
トルエン 60部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、135℃で3分間加熱乾燥した後、50℃で72時間エージングして、約10μm厚の記録層を設けた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0089】
実施例18
実施例17と同様にして、記録層までの各層を設けた後、得られた記録層上に、
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 20部
(日本化薬社製:AYARAD DPHA)
ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール 80部
ジアクリレート(日本化薬社製:AYARAD MANDA)
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 5部
酢酸ブチル 105部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、90℃で1分間乾燥した後、約800mJ/cm2紫外線を照射して、約5μm厚の保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作成した。46dyn/cm、50dyn/cm及び54dyn/cmのぬれ指数標準液(和光純薬工業社製)を用いて、記録層上に形成した保護層の接触角を25℃で測定し、ぬれ指数標準液の表面張力と接触角の関係をZismanプロットした。得られた保護層の臨界表面張力は、22dyn/cmであった。
【0090】
実施例19
オーバーコート層の塗工溶液として、
紫外線硬化性ウレタンアクリレート 100部
(荒川化学社製:Bs575CS−B)
炭酸カルシウム 0.8部
(荒川化学工業社製:Brilliant−15)
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2部
イソプロパノール 200部
からなる溶液を用いる以外は、実施例17と同様にして可逆性感熱記録媒体を得た。オーバーコート層の厚さは、凸部の高さを含めて約5μmであった。オーバーコート層の鉛筆硬度は4Hであり、125μm×125μmの表面積当たりの凸部の個数とその高さは、それぞれ11〜50個と0.51〜1.50μmであった。
【0091】
実施例20
実施例17で得られた可逆性感熱記録媒体の一部分のオーバーコート層上に、YMCのカラーオフセット印刷により、ポリエステル樹脂10部、アクリルエステルオリゴマーとモノマーの混合物35部、光開始剤8部、着色顔料45部及びワックス2部からなる、約3〜8μm厚の印刷層を設けた。この印刷層上に、
紫外線硬化性ウレタンアクリレート 100部
(荒川化学社製:Bs575CS−B)
二酸化ケイ素(水澤化学社製:P−526U) 1.3部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2部
イソプロパノール 200部
からなる分散液をワイヤーバーで塗工し、90℃で2分間乾燥した後、約450mJ/cm2の紫外線を照射して、約3μm厚の印刷保護層を設けて、可逆性感熱記録媒体を得た。印刷保護層の鉛筆硬度は4Hであり、125μm×125μmの表面積当たりの凸部の個数とその高さは、それぞれ51〜100個と0.11〜0.50μmであった。
【0092】
比較例4
記録層の塗工溶液として、
エイコサン二酸 7.5部
ベヘン酸 4.5部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30部
ネオペンチルグリコールジアクリレート 6部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.8部
テトラヒドロフラン 180部
トルエン 60部
からなる溶液を用いる以外は、実施例13と同様にして、可逆性感熱記録媒体を得た。
【0093】
比較例5
比較例4と同様にして、記録層までの各層を設けた後、得られた記録層上にオーバーコート層の塗工溶液として、
トリメチロールプロパントリアクリレート 20部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 20部
エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトール 40部
テトラアクリレート
シロキサン−1,2−ジカルボン酸−2− 15部
ヒドロキシプロパノールジエステル
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 5部
からなる溶液をワイヤーバーで塗布し、90℃で1分間乾燥した後、約800mJ/cm2紫外線を照射して約5μm厚の保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作成した。46dyn/cm、50dyn/cm及び54dyn/cmのぬれ指数標準液(和光純薬工業社製)を用いて、記録層上に形成した保護層の接触角を25℃で測定し、ぬれ指数標準液の表面張力と接触角の関係をZismanプロットした。得られた保護層の臨界表面張力は、11dyn/cmであった。
【0094】
比較例6
比較例4と同様にして、記録層までの各層を設けた後、得られた記録層上にオーバーコート層の塗工溶液として、
紫外線硬化性ポリエステル系樹脂 100部
(荒川化学社製:Bs550B)
炭酸カルシウム 0.8部
(白石工業社製:Brilliant−15)
イソプロパノール 100部
からなる分散溶液をワイヤーバーで塗工し、90℃で2分間乾燥した後、約450mJ/cm2の紫外線を照射して、凸部の高さを含めて約4μm厚のオーバーコート層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作成した。オーバーコート層の鉛筆硬度はFであり、125μm×125μmの表面積当たりの凸部の個数とその高さは、それぞれ11〜50個と0.51〜1.50μmであった。
【0095】
実施例21
実施例13〜20と比較例4で作製した可逆性感熱記録媒体について、沖電気社製の印字消去装置を用いて、0.26mJ/dotの印字エネルギーで格子パターンの画像を形成した後、約105℃で消去し、この印字と消去を500回繰り返した。画像の形成と消去の繰り返し耐久性は、同じ格子部分の最初と500回後の画像濃度(白濁濃度)と消去濃度(透明濃度)とを測定し、その変化量を算出することにより評価した。また、長時間保存後の消去性は、沖電気社製の印字消去装置により約105℃で透明化した記録媒体の濃度(保存前の濃度)を測定し、同装置により0.26mJ/dotの印字エネルギーで格子パターンの画像を形成し、50℃で1週間保存した後、同装置により消去し、保存前と同じ格子部分の消去濃度を測定し、保存前後の濃度変化量を算出することにより評価した。
さらに、高温保存後の画像濃度(白濁濃度)の保存性は、沖電気社製の印字消去装置を用いて、0.26mJ/dotの印字エネルギーで格子パターンの画像を形成し、画像濃度(白濁濃度)を測定した後、70℃24時間保存し、保存前と同じ格子部分の画像濃度(白濁濃度)を測定し、保存前後の濃度変化量を算出することにより評価した。上記の濃度は全てマクベス光学濃度計により測定した。結果を表4にまとめた。
【0096】
【表4】
【0097】
実施例22
また、実施例19、20及び比較例6で作製した可逆性感熱記録媒体について、実施例11と同様に周期的な凹凸、スティッキング、割れ、剥がれ及びヘッド汚れを評価した。結果を表5にまとめる。
【0098】
【表5】
【0099】
実施例23
また、実施例18と比較例5で作製した可逆性感熱記録媒体について、実施例12と同様に、保護層表面に白色インキをスクリーン印刷し、インキ転移性、耐スクラッチ性、及び耐セロテープ剥離性を評価した。結果を表6にまとめる。
【0100】
【表6】
【0101】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明の可逆性感熱記録媒体は、サーマルヘッドによる消去が可能であり、また、白濁画像を長時間保存しても、初期と同様の消去条件で画像の消去が可能であり、さらに、白濁画像を高温下で保存しても、白濁画像は保持され、さらにまた、画像の形成と消去の繰り返し耐久性とコントラストに優れる。また、サーマルヘッドなどの加熱体により画像形成と消去を繰り返し行なっても、サーマルヘッドのドット密度に相当した周期的な表面の凹凸の発生を防止できるとともに、スティッキング、傷の発生、サーマルヘッドの汚れ、それらの現象によって起こる画像の劣化及び熱感度の低下がなく、また、印刷適性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る感熱記録媒体の感熱層の熱による透明度の変化を表わした図である。
Claims (18)
- 少なくとも1種類の有機低分子化合物と樹脂マトリックスからなる、透明度が温度変化に依存して可逆的に変化する可逆的感熱性組成物において、該樹脂マトリックスが一般式(1)で示される繰り返し単位を有したグラフト重合体又はグラフト共重合体からなることを特徴とする可逆的感熱性組成物。
(式中、R1とR4は水素原子又はアルキル基を表わし、R2は結合手、又は−COO−CH 2 −C(H)(CH 3 )−を表わし、R3は−CH 2 CH 2 OC(O)−を表わす。但しR 2 、R 3 の前記2価の基はその左端が主鎖側に結合したものである。R5は水素原子又は−CON(R5)−R3−C(R4)=CH2であり、ただし、最末端のR5は水素原子である。) - 少なくとも1種類の有機低分子化合物と樹脂マトリックスからなる、透明度が温度変化に依存して可逆的に変化する可逆的感熱性組成物において、該樹脂マトリックスが一般式(2)で示される構造を有したグラフト共重合体からなることを特徴とする可逆的感熱性組成物。
(式中、R1とR4は水素原子又はアルキル基を表わし、R2は結合手、又は−COO−CH 2 −C(H)(CH 3 )−を表わし、R3は−CH 2 CH 2 OC(O)−を表わす。但しR 2 、R 3 の前記2価の基はその左端が主鎖側に結合したものである。R5は水素原子又は−CON(R5)−R3−C(R4)=CH2であり、但し最末端のR5は水素原子である。l、m及びnは共重合体の数平均分子量が1000以上となる1以上の整数を表わす。) - 支持体、及び該支持体上に設けた、主成分として有機低分子化合物を樹脂マトリックス中に分散し、透明度が温度変化に依存して可逆的に変化する感熱記録層とからなる可逆性感熱記録媒体において、該樹脂マトリックスが少なくとも下記一般式(1)又は一般式(2)で示される構造を有したグラフト重合体又はグラフト共重合体からなることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
(式中、R1とR4は水素原子又はアルキル基を表わし、R2は結合手、又は−COO−CH 2 −C(H)(CH 3 )−を表わし、R3は−CH 2 CH 2 OC(O)−を表わす。但しR 2 、R 3 の前記2価の基はその左端が主鎖側に結合したものである。R5は水素原子又は−CON(R5)−R3−C(R4)=CH2であり、但し最末端のR5は水素原子である。l、m及びnは共重合体の数平均分子量が1000以上となる1以上の整数を表わす。) - 支持体、及び該支持体上に設けた、主成分として有機低分子化合物を樹脂マトリックス中に分散し、透明度が温度変化に依存して可逆的に変化する感熱記録層とからなる可逆性感熱記録媒体において、該樹脂マトリックスの少なくとも一部分が、下記一般式(1)又は一般式(2)で示される構造を有したグラフト重合体又はグラフト共重合体を、熱、紫外線及び/又は電子線により架橋した架橋化グラフト重合体又は架橋化グラフト共重合体からなることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
(式中、R1とR4は水素原子又はアルキル基を表わし、R2は結合手、又は−COO−CH 2 −C(H)(CH 3 )−を表わし、R3は−CH 2 CH 2 OC(O)−を表わす。但しR 2 、R 3 の前記2価の基はその左端が主鎖側に結合したものである。R5は水素原子又は−CON(R5)−R3−C(R4)=CH2であり、但し最末端のR5は水素原子である。l、m及びnは共重合体の数平均分子量が1000以上となる1以上の整数を表わす。) - 前記記録層上に、125μm×125μmの表面積あたり3個以上の高さ0.05μm以上の凸部及び1H以上の鉛筆硬度を有したオーバーコート層(最上層)を設けることを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記有機低分子化合物が融点の異なる少なくとも2種類以上の有機低分子化合物であり、最大融点と最低融点との差が45℃以上であることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記有機低分子化合物と前記樹脂マトリックスとの重量比が、3:1〜1:3であることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記オーバーコート層が、20dyn/cm以上の臨界表面張力を有することを特徴とする請求項5に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記可逆性感熱記録媒体に前記感熱記録層以外に情報記録部を設けたことを特徴とする請求項3又は4に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記情報記録部が磁気記録層であり、磁気記録層を支持体と感熱層の間の全面か一部分、支持体裏面の全面か一部分、あるいは表示面の一部分のいずれかに設けたことを特徴とする請求項9に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記情報記録部がICまたは光メモリーであり、前記可逆性感熱記録媒体の一部分に設けたことを特徴とする請求項9に記載の可逆性感熱記録材料。
- 前記可逆性感熱記録媒体が2種類以上の支持体を貼り合わせた構成からなることを特徴とする請求項3、4又は11のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記オーバーコート層上の一部分及び/又は支持体裏面の全面か一部分に、着色剤及び樹脂バインダーを主成分とする印刷層を設けたことを特徴する請求項3乃至5又は8のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記印刷層上に印刷保護層を設けたことを特徴とする請求項13に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記印刷保護層が125μm×125μmの表面積あたり3個以上の高さ0.05μm以上の凸部、及び1H以上の鉛筆硬度を有することを特徴とする請求項14に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記オーバーコート層が2層以上のオーバーコート層から成る事を特徴とする請求項5又は8に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 請求項3乃至16のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を、加熱により画像形成及び/又は画像消去することを特徴とする画像形成・消去方法
- 前記加熱をサーマルヘッドで行なうことを特徴とする請求項17に記載の画像形成方法・消去方法。
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