JP2993203B2 - 書換え可能な記録媒体およびその記録方法 - Google Patents

書換え可能な記録媒体およびその記録方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光あるいは熱により可
逆的に記録、消去が可能な記録媒体に関するもので、カ
ラー記録も可能とするものであり、特に光記録媒体とし
ての応用に利点がある。本発明は、定期券、切符、回数
券などプリペイドカードとして用いられる書換え可能な
表示機能付きメモリーカードや,ICカード、カラー複
写機,ファクシミリ用記録紙および光ディスクなどに広
く利用される。
【0002】
【従来の技術】従来、書換え可能な記録媒体に用いる記
録材料には、ヒートモードの材料とフォトンモードの材
料とがある。
【0003】ヒートモードの材料は、光吸収特性を有す
る可逆感熱記録材料によって可能であり、相変化形記録
材料や光磁気記録材料等がある。有機系の可逆感熱記録
材料としては、ロイコ染料と顕色剤および消色剤との組
合せにより可逆的に発色・消色させる感熱染料系の記録
材料と、マトリクスポリマ中の有機結晶粒子の融解・凝
固挙動を利用して、その凝固条件によって粒子の透明性
の変化を利用する相変化形の可逆感熱記録材料、および
例えばコレステリック液晶等の液晶ポリマによりその分
子配列の熱的挙動を利用して透明性を変える方法等があ
る。
【0004】本発明は、マトリクスポリマ中の有機結晶
分子の融解・凝固挙動を利用して、その凝固条件によっ
て透明性が変化することを利用する相変化形感熱記録原
理を応用した書換え可能な記録材料に関するもので、光
の熱によってマトリクスポリマ中の結晶微粒子を融解さ
せ再び固化し、その条件によって例えば多結晶状態、単
結晶状態、あるいは無定形状態などの凝固形態に起因す
る透明性に違いを生じさせ記録するものである。この感
熱記録材料は、例えば特開昭54−119377に開示
されているように、マトリクスポリマと次のような溶融
性有機分子との組合せにより構成され、きわめて多様な
記録材料を構成できる。ここに開示された溶融性有機分
子としては、脂肪族、芳香族のアルコール、カルボン
酸、アミン、アミドおよび、これらのハロゲン化物、硫
化物などがある。また一方、マトリクスポリマとして
は、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル酸、スチ
ロール、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリアクリロニトリル等の一般的なポリマが開示
されている。また、これを改良して光熱変換にためにカ
ーボンブラックをさらに加えた記録材料や酸化防止剤を
加えたものが、例えば特開昭57−82087および特
開昭57−82088に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記何れの従
来例には溶融性有機分子やマトリクスポリマやカーボン
ブラックが開示されているものの、それらお互いの相溶
性・分散性並びに光吸収体効果等の詳細は何等述べられ
ておらず、記録の画質、解像度などに優れ濃度が高い記
録が得られないという課題があった。また、カラー記録
ができないという課題もあった。
【0006】そこで、本発明は新規な構成の可逆感熱記
録層を用いることによって、新規で品質の優れた書換え
可能な記録媒体を提供することを第1の目的としてい
る。
【0007】第2の目的は,この記録媒体を用いて例え
ば表示機能付きカード、ファクシミリ用紙、光メモリな
どに広く応用する場合の書換え可能な記録方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、本発明の書換え可能な記録媒体は、基板上
に、結晶性有機分子と透明マトリクスポリマと結晶核形
成能を表面に有する着色粒子とを含む記録層を具備す
る。上記第2の目的の、本発明の記録媒体の記録方法
は、低温モードの溶融・冷却過程によって記録層内の着
色粒子の表面近傍の結晶性有機分子を透明化した後、例
えば着色粒子の吸収波長光を照射し、この吸収波長を着
色粒子が吸収することによって高温モードの溶融・冷却
過程をおこない、記録層内の着色粒子の表面近傍の結晶
性有機分子の層を白濁させ、着色粒子を隠ぺいして記録
する方法である。
【0009】
【作用】本発明の書換え可能な記録媒体は、記録層に含
まれる結晶性有機分子が、加熱温度によって加熱溶融後
の冷却の際、透明状態と白濁状態とになる現象を利用し
ている。特に表面に結晶核形成能を有する着色粒子の表
面では、透明状態と白濁状態の二状態が双安定な挙動を
する。結晶性有機分子の融点近傍の温度で加熱溶融した
場合は、固化した結晶性有機分子は透明状態であり、さ
らに高い温度で溶融後冷却すると、固化した結晶性有機
分子は白濁状態になる。本発明では、溶融後冷却固化し
て透明状態になる加熱を低温モ−ドと呼び、白濁状態に
なる加熱を高温モ−ドと呼ぶ。この現象の理由は定かで
はないが、高温モ−ドによる加熱後冷却すると、降温速
度が速く結晶性有機分子が過冷却状態で融点以下まで冷
却されるため、一気に結晶化して微結晶となり白濁する
が、低温モ−ドによる加熱後冷却すると、ゆっくりと固
化するため、単結晶が大きく成長し透明状態になると想
定される。
【0010】本発明の書換え可能な記録媒体はこのよう
な原理に基づき、表面に結晶核形成能を有する着色粒子
によって記録表示色をだし、この着色粒子を取り囲む結
晶性有機分子の2つの加熱温度モ−ド後の固化したとき
の2状態、即ち隠ぺい(白濁)と可視(透明)とにより
記録を行う。本発明の書換え可能な記録媒体の透明部分
は着色粒子が見えるため、着色粒子の色を示す。単色の
場合には着色粒子の色と白の記録が行え、着色粒子が複
数色に着色した場合には複数色と白の記録が行える。す
なわち、光記録の場合、吸収光が着色粒子に照射される
と、着色粒子は高温モードの温度上昇し冷却の後その表
面近傍は白濁する。一方、着色粒子の透過光が着色粒子
に照射された場合は、記録層の下の光吸収層が昇温し着
色粒子の下側が高温モードの温度上昇し冷却後にその表
面近傍は白濁して上部の着色粒子の色を浮き上がる。ま
た、着色粒子間の隙間では、光が直接に光吸収層に照射
吸収されて記録層の下側部分が高温モードの温度上昇し
て冷却後、白濁して白色を呈する。
【0011】
【実施例】本発明の着色粒子を用いた書換え可能な記録
媒体の代表的な一実施例を図1に示す。図1は、反射膜
2を形成した基板1上に、本発明の記録層3を形成して
いる。その記録層3の上にさらに表面保護層6が形成さ
れている。記録層3は図1に示したように、着色粒子
4、結晶性有機分子並びにマトリクスポリマを含み、例
えば着色粒子4の吸収波長の光を吸収する高温モ−ドに
よって着色粒子4の外殻層5が白濁する。記録層3のマ
トリクスポリマ中の結晶性有機分子が、着色粒子4の表
面近傍にこの外殻層5を形成する様子を拡大すると図2
のようになる。この外殻層5は、低い温度での加熱・放
冷過程(低温モード)によって透明な外殻層5Aと、例
えば着色粒子4が吸収する波長の光照射による高温の加
熱・冷却過程(高温モ−ド)によって白濁して光散乱す
る不透明な外殻層5Bとの2状態をとる。単色着色粒子
による記録の場合はこれがそれぞれ消去・記録に相当す
る。
【0012】本発明の書換え可能な記録媒体をカラー記
録化するには、例えば図3に示したような構成でおこな
われる。着色粒子をそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の
三原色の光透過性着色粒子より構成し、これを含む記録
層3を図3のように三原色の着色粒子4R,4G,4B
が一層に並ぶように構成し、記録層3の下に結晶性有機
分子と透明マトリクスポリマとよりなる第二の記録層7
を介して光吸収層8を設ける。この光吸収層8は、上の
各着色粒子の透過光を吸収し昇温する。ここではコント
ラストを良くするために新たに第二の記録層7を設けた
が、記録層3中の各着色粒子4R,4G,4Bの下側部
分が同様の働きをするため、図4のようにこの第二の記
録層7は必ずしも必要でない構成もある。図3の記録層
3中の各着色粒子4R、4Gおよび4Bのまわりには、
図1と同様結晶性有機分子とマトリクスポリマとを有
し、さらに記録層3上に表面保護層6が設けられてい
る。まず、低温モードの溶融・冷却過程によって記録層
3および第二の記録層7を透明化する。これによって透
明な着色粒子4R、4Gおよび4Bは各色に顕色する
が、その下にある光吸収層8のためにその各粒子の透過
光は吸収され、表面保護層6側から見ると黒色を呈す
る。これが記録前の初期状態である。これに、カラー画
像の光を図3のように照射すると、それぞれのR,G,
Bに着色された粒子4R、4Gおよび4Bは自分の透過
光以外の光を吸収し温度上昇する。その温度上昇した粒
子の近傍の結晶性有機分子が融解し、この高温モードの
溶融・冷却過程によって白濁し、着色粒子の色を隠ぺい
する。即ち、白色光の照射された部分では三原色の全て
の着色粒子は自分の透過光以外の光を吸収するため温度
上昇し、全ての着色粒子が粒子外殻に白濁層を形成して
白色を呈する。カラー部分の記録については、例えば緑
色光を照射した場合は緑着色粒子4Gだけが光を吸収し
ないため、緑着色粒子4Gのまわりは透明のまま保持さ
れるが、その緑色の透過光が光吸収層8で吸収され昇温
し高温モ−ドの溶融・冷却過程により粒子4Gの下に設
けた第二の記録層7を白濁化し、表面保護層6側から見
ると着色粒子4Gの色すなわち緑を呈する。緑色光の照
射された赤着色粒子4Rおよび青着色粒子4Bは、いず
れも光を吸収して温度上昇し、各々の表面近傍で白濁化
し白色を呈する。それ故、緑色の光を照射した箇所は緑
色を呈する。赤色光を照射した場合も同様の機構で、赤
色の記録が形成できる。一方、光の照射されない黒色部
では、全ての着色粒子はそのままで白濁化されず赤着色
粒子4R,緑着色粒子4Gおよび青着色粒子4Bはそれ
ぞれ光が透過し、各粒子直下の光吸収層8に各透過光が
吸収され結果として黒色を呈する。
【0013】図4における第二の記録層7を用いない構
成も同様の原理で、この場合は記録層3の下側部分がこ
の第二の記録層7の機能をする。
【0014】なお、図3および図4では着色粒子に4
R、4Gおよび4Bの3種を用いた形態を示したが、単
色もしくは複数色(多色)記録であっても同様な作用で記
録できること勿論である。また、単色記録の場合には、
図3および図4に示した光吸収層8は光を吸収する機能
を有する必要はなく、例えば図1に示したような反射膜
2であってもよく、直接基板1上に記録層3を設けても
よい。さらに、単色記録の場合の着色粒子4は必ずしも
光に透明である必要はなく、黒色を再現しない場合には
不透明であってもよい。また、黒色を再現しない場合に
は、光吸収層8やその上の第二の記録層7も不必要であ
る。
【0015】このように、本発明の記録方法によれば、
何れも書換え可能記録ができ、しかも高温モ−ドの加熱
温度の程度によって白濁化の程度を制御でき隠ぺい力が
異なる記録ができるため、ハーフトーン記録も可能であ
り、簡単な構成によって書換え可能な記録を可能とし、
多色記録やカラー記録にも対応できる。
【0016】本発明に供される基板1としては、例えば
ガラス、金属、高分子フィルム等が挙げられ、本発明の
記録媒体の用途により適当な材質を選択することができ
る。ただ、基板1として例えばアルミニウム、ステンレ
ススティール等の反射率の高い金属材料単独、例えば金
属蒸着フィルムまたは金属箔をラミネートした複合材料
等を用いると、本発明の記録媒体に図1に示したような
反射膜2が形成できる。また、本発明に供される反射膜
2には上記のような金属製の材料の他にも、例えば白濁
化処理を施した高分子フィルム等によっても対応でき、
何れの反射膜2を用いても反射光で記録表示でき、記録
画像のコントラストを高め、色純度を向上させるため好
ましい。
【0017】本発明の着色粒子4に供される材料として
は、着色顔料、染料もしくは顔料で着色された熱可塑性
樹脂または熱硬化性樹脂の高分子、ガラス、等の有機あ
るいは無機物質が挙げられ、着色粒子4は少なくとも表
面に結晶核を形成する機能を有する。これらの着色粒子
4の材料の中でも、高分子またはガラスは自由に粒子の
大きさを調整でき易いため好ましい。また、本発明の着
色粒子4は透明不透明何れでも良い。但し、着色粒子4
に透明な粒子を用い例えばカラー記録等のような多色記
録を行う場合だけには、図3に示したように着色粒子4
は記録層3中に1層並べる必要がある。着色粒子4の結
晶核を形成する機能としては、例えば着色粒子4の材料
に結晶性有機分子を結合させる、あるいは結晶成長を促
す例えば極性基等を結合させる等により達成できる。そ
の中でも、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基も
しくはアミド基等の水素結合性基を着色粒子4の少なく
とも表面に結合させると、結晶性有機分子材料の選択が
広くなるため好ましい。
【0018】着色粒子4の形状は、例えば球形粒子、円
盤状粒子、六角板状粒子あるいは立方体形状粒子等の何
れであってもよく、最密充填されると画質及び記録濃度
が向上するため望ましい。特に球形粒子は製法が比較的
容易で、粒子の充填率も向上させ易いため好ましい。着
色粒子4の大きさは、記録画像の解像力に直接影響を及
ぼすため小さい方が好ましいが、着色粒子4の歩留まり
を考慮すると1〜100μm程度が適当である。また、
着色粒子4の粒度分布は作製した記録層3の表面形状、
記録画像の解像力及び着色粒子4の記録層3中の充填率
等に影響を及ぼし、粒度分布が広い方が充填率及び記録
層3の表面形状には好ましいが、高温モ−ドでの加熱・
冷却の結果着色粒子4表面の白濁の濃度は着色粒子4の
光吸収割合に比例するため、着色粒子4の粒度分布はで
きるだけ均一の方が好ましい。したがって、着色粒子4
の粒度分布は記録層3の表面形状および記録画像の再現
性に応じて決定される。また、記録層3を構成する結晶
性有機分子およびマトリクスポリマと着色粒子4とを混
合し、例えば印刷もしくはキャスト法等の通常の手法を
適用して記録層3を形成でき、多色記録に適応するため
の着色粒子4を1層並べる手段としては、例えばリソグ
ラフィ、精密印刷、電子写真法等種々の方法が可能であ
り、容易にこの記録層3を構成できる。
【0019】光吸収層8は、上層に設けた着色粒子4の
透過光を吸収する色相を有すればよいが、一般的には黒
色層とすればよい。
【0020】本発明の記録層3および第二の記録層7に
用いる結晶性有機分子は、無色な低分子が供されるが、
易結晶性を考慮すると水素結合基を有する分子が好まし
い。水素結合基の中でも、カルボキシル基、ヒドロキシ
キシル基、アミノ基、アミド基のうちの少なくとも一つ
をもつ有機分子であると、結晶成長性が高いため好まし
く、しかも60〜120℃に融点を有する分子を用いる
と記録または消去に必要な熱エネルギーまたは光強度が
低く済むため望ましい。また、これらの分子の融点調整
のため、これら結晶性有機分子をさらに別個の例えば高
級アルコール、脂肪酸、アルキルアミン、オキシカルボ
ン酸、ジカルボン酸、ジアミン、アルキレングリコール
などと共晶あるいは錯体を形成させて、所望の融点を有
する結晶性有機分子を形成させることもできる。
【0021】本発明に用いるマトリクスポリマは、結晶
性有機分子と相互作用し結晶化挙動に大きな影響を与え
る。具体的にはポリエステル、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合
体、酢酸セルロース、ポリビニルブチラール、ポリスチ
レン、スチレンーブタジエン共重合体などの透明な高分
子が挙げられるが、水素結合基を一部含有する透明マト
リクスポリマが相溶性を制御する意味で適している。具
体的な例として、接着性(OH基含有)ポリエステル、部
分ケン化酢酸ビニルー塩化ビニル共重合体、ポリアミ
ド、ポリウレタン、熱可塑性フェノール樹脂、ビニルア
ルコール共重合体、アクリル酸共重合体、アクリルアミ
ド共重合体、マレイン酸共重合体等がある。また、これ
に可塑剤を適時併用することも当然である。
【0022】また、本発明の記録層には、例えば酸化防
止剤、紫外線吸収剤あるいは可塑剤等の添加剤を常法に
従い添加しても良いこと勿論である。
【0023】なお、記録層3または第二の記録層7を構
成する結晶性有機分子のマトリクスポリマに対する添加
量は、5〜50%の範囲で加えることができるが、15
〜40%の添加が望ましい。結晶性有機分子の比率がこ
れ以上になると、結着力が弱まり記録層として均質なコ
ーティングも困難になる。逆に、マトリクスポリマの比
率が高くなると、結晶性有機分子の量が少なくなるた
め、不透明化が困難になり、記録のコントラストが悪く
なる。
【0024】本発明の書換え可能な記録媒体は、各種光
源およびレーザーにより記録・消去が可能であり、低コ
ストの光ディスクやプリンター、ファクシミリ用の記録
としても利用できるが、特にカラー記録において複写機
に用いるカラー画像再現の方法としても利用できる。こ
のように、光を用いる場合、その焦点深度によって記録
層3と第二の記録層7の昇温速度比の調整が可能であ
る。
【0025】本発明はレーザや一般光源のみならず例え
ば感熱ヘッド等の熱的手段によっても記録・消去が可能
である。但し、熱的手段で記録する場合は、一般的に単
色記録に応用されるが、高精度の記録ピッチで着色部分
の色相と対応できれば熱的手段でも多色記録は可能であ
ること勿論である。また、初期状態または消去状態にす
る加熱には、例えば熱ローラ等を用いる場合もある。
【0026】本発明における表面保護層6は、必ずしも
必要はないが、一般的に記録層3の傷やほこり等を防止
する目的で常法により形成される場合が多く、表面保護
層6を設けた形態が実用的である。また、耐摩耗性の表
面保護層6を付与すれば、例えば感熱ヘッドの接触に対
しても経時劣化が小さく繰り返し耐久性の高い記録媒体
を構成することができる。
【0027】次に、具体的実施例を用いて本発明を説明
する。 (実施例1)記録材料の結晶性有機分子としてヒドロキ
システアリン酸4gと、添加剤としてフェノール系酸化
防止剤0.1gと、透明マトリクスポリマとして部分ケ
ン化した水酸基をもつ塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体
10gとを、テトラヒドロフラン100mlに溶解し、
さらに着色粒子4として平均粒径15μmの赤色のガラ
スビーズを7g分散し、図1に示す反射層2を有する基
板1としてアルミ蒸着した0.2mmのポリエステル高
分子シート基板上に、13μmの厚さで記録層3をグラ
ビア塗布法で形成した。その記録層3の上にさらに耐摩
耗性の表面保護層6として紫外線硬化形アクリル樹脂の
プレポリマをバー塗布法で20μmコーティング後、紫
外線照射して硬化させた。こうしてできた書換え可能な
記録媒体に半導体レーザによって、書き込み・消去をお
こなった。この記録媒体の透明化温度領域は約70〜9
0℃であった。この条件から半導体レーザによってエネ
ルギーを与え100℃で書き込み80℃で消去した。書
き込まれた不透明化域と消去された透明化域をそれぞれ
X線回折により解析したところ、いずれにも回折ピーク
が観測され微結晶であることがわかった。これらはそれ
ぞれ着色粒子4の粒子周辺の結晶性有機分子層の外殻層
5が多結晶状態で白濁し光散乱状態となった不透明な外
殻層5Bと、単結晶状態で透明な外殻層5Aとに相当し
ていることがわかった。また、ガラスビーズによる赤色
の記録は鮮明な画質を示した。耐久試験では、600回
の繰り返しが可能であった。
【0028】(実施例2)記録材料の結晶性有機分子と
してベヘン酸3gと、添加剤としてフェノール系酸化防
止剤0.1gと、透明マトリクスポリマとして接着性ポ
リエステル(東洋紡(株)バイロン)2gとポリウレタン
5gとを、テトラヒドロフラン100mlに溶解し、さ
らに着色粒子として平均粒径20μmの黒色で導電性の
マグネタイト粒子4を7g分散し、図1に示す0.2m
mのポリエステル高分子シート基板1の一方の面を白濁
させた白色の反射層2上に、記録層3として20μmの
厚さでロール塗布法で形成した。その記録層3の上にさ
らに耐摩耗性の表面保護層6として紫外線硬化形アクリ
ル樹脂のプレポリマをバー塗布法で25μmコーティン
グ後、紫外線照射して硬化させた。こうしてできた書換
え可能な記録媒体に半導体レーザを照射し、書き込み・
消去をおこなった。このシートの透明化温度領域は約9
0〜110℃であった。この条件から半導体レーザによ
ってエネルギーを与え120℃で書き込み100℃で消
去したところ、黒色の鮮明な記録が得られた。さらに繰
り返して寿命特性を測定したところ480回の繰り返し
に耐えた。
【0029】(実施例3)記録材料の結晶性有機分子と
してヒドロキシステアリン酸4gと、添加剤としてヒン
ダードフェノール系酸化防止剤0.1gと、透明マトリ
クスポリマとして塩化ビニルー酢酸ビニルーアクリルア
ミド共重合体6gとをテトラヒドロフラン100mlに
溶解し記録材料溶液とした。この記録材料溶液を用い、
図3に示したように、カーボンブラックを含有した厚さ
15μmの黒色の光吸収層8を有した基板1の0.2m
m厚のポリエステルシート上に、厚さ10μmの第二の
記録層7をブレード塗布法で形成した。一方、この記録
材料溶液にさらに着色粒子4としてR,G,Bにそれぞ
れ着色された平均粒径20μmのメラミン樹脂粒子を4
g分散し、記録層3として25μmの厚さで、上記の基
板1の第二の記録層7の上にブレード塗布法で形成し
た。その記録層3の上にさらに耐摩耗性の表面保護層6
として紫外線硬化形アクリル樹脂のプレポリマをバー塗
布法で20μmコーティング後、紫外線照射して硬化さ
せた。こうしてできた書換え可能な記録媒体にカラー画
像の光を照射し、書き込みをおこなったところ、鮮明な
カラー画像が得られた。さらに、消去をおこなったの
ち、再度カラー画像の光を照射し、繰り返しカラー画像
を形成させた。この記録媒体の透明化温度領域は約70
〜90℃であった。さらに繰り返して寿命特性を測定し
たところ150回の繰り返しに耐えた。
【0030】(実施例4)黒色光吸収層8として厚さ1
5μmのカーボンブラック含有塗料を吹き付けた0.2
mm厚のポリエステルシートを基板1として用い、この
光吸収層8上に、図4のように実施例3と同じ記録材料
を用いて記録層3を実施例3と同様な手法で35μmの
厚みで形成し、さらに表面保護層6として紫外線硬化形
アクリル樹脂のプレポリマをバー塗布法で20μmコー
ティング後、紫外線照射して硬化させた。こうしてでき
た書換え可能な記録媒体に実施例3と同様にカラー画像
の光を照射し、書き込みをおこなったところ、鮮明なカ
ラー画像が得られた。さらに、消去をおこなったのち、
再度カラー画像の光を照射し、繰り返しカラー画像を形
成させた。この記録媒体の透明化温度領域は約70〜9
0℃であった。さらに繰り返して寿命特性を測定したと
ころ270回の繰り返しに耐えた。
【0031】なお、上記実施例は何れも光記録の例を示
したが、例えば感熱ヘッド等による熱記録も可能であっ
た。特に上記実施例に示したように表面保護層6の効果
で、感熱ヘッドによる損傷もなく、良好な記録ができ
た。
【0032】また、上記実施例では単色記録とカラー記
録の場合を例示したが、多色記録であっても同様に記録
できること勿論である。
【0033】
【発明の効果】以上のように本発明は、基板上に、結晶
性有機分子と透明マトリクスポリマと結晶核形成表面を
有する着色粒子とを含む記録層を形成した記録媒体であ
るため、優れた書換え可能な記録媒体を提供するもので
ある。
【0034】また、本発明の書換え可能な記録媒体は、
着色粒子を多色化すると、カラー記録表示をおこなうこ
とができる。このように本発明は、簡単な構成によって
書換え可能なカラーの記録を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の書換え可能な記録媒体の一実施例の構
成を示す要部拡大断面図
【図2】(a)は本発明の書換え可能な記録媒体の一実
施例の着色粒子表面近傍の透明状態の結晶性有機分子層
を説明する要部拡大断面図 (b)は本発明の書換え可能な記録媒体の一実施例の着
色粒子表面近傍の不透明状態の結晶性有機分子層を説明
する要部拡大断面図
【図3】本発明の書換え可能な記録媒体の別の実施例の
構成をを示す要部拡大断面図
【図4】本発明の書換え可能な記録媒体の他の実施例の
構成をを示す要部拡大断面図
【符号の説明】
1 基板 2 反射膜 3 記録層 4 着色粒子 4R 赤着色粒子 4G 緑着色粒子 4B 青着色粒子 5 外殻層 5A 透明な外殻層 5B 不透明な外殻層 6 表面保護層 7 第二の記録層 8 光吸収層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 7/24 B41M 5/26 G11B 7/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、結晶性有機分子と、透明マトリ
    クスポリマと、前記結晶性有機分子の結晶核形成能を少
    なくとも表面に有する着色粒子とを含む記録層を設けた
    ことを特徴とする書換え可能な記録媒体。
  2. 【請求項2】着色粒子が、ガラスあるいは高分子よりな
    る平均粒径が1〜100μmの球状粒子であることを特
    徴とする、請求項1記載の書換え可能な記録媒体。
  3. 【請求項3】 着色粒子が、複数の色相を各々有する複
    数の光透過性粒子であり、前記着色粒子を記録層中に1
    層並べ、前記記録層と基板の間に前記着色粒子の透過光
    を吸収する光吸収層を設けたことを特徴とする、請求項
    1または2何れかに記載の書換え可能な記録媒体。
  4. 【請求項4】着色粒子が、赤、緑、青の三原色にそれぞ
    れ色分解した着色粒子よりなることを特徴とする、請求
    項3記載の書換え可能な記録媒体。
  5. 【請求項5】 記録層と光吸収層との間に、結晶性有機
    分子と透明マトリクスポリマとを含む第二の記録層を設
    けてなることを特徴とする、請求項または4何れかに
    記載の書換え可能な記録媒体。
  6. 【請求項6】結晶性有機分子が水素結合基を有し、着色
    粒子の表面が水素結合基を有することを特徴とする、請
    求項1または2何れかに記載の書換え可能な記録媒体。
  7. 【請求項7】結晶性有機分子が、カルボキシル基、ヒド
    ロキシキシル基の少なくとも一つを持ち、60〜120
    ℃に融点を有する分子よりなることを特徴とする、請求
    項6記載の書換え可能な記録媒体。
  8. 【請求項8】基板と記録層との間に、光反射膜を設けて
    なることを特徴とする請求項1記載の書換え可能な記録
    媒体。
  9. 【請求項9】基板上に設けられた、結晶性有機分子と、
    透明マトリクスポリマと、少なくとも表面に前記結晶性
    有機分子の結晶核形成能を有する着色粒子とを含む記録
    層を、低温モードでの溶融後冷却過程によって前記記録
    層内の前記着色粒子の表面近傍の前記結晶性有機分子を
    透明化した後、前記着色粒子の吸収波長光を照射し前記
    着色粒子が前記吸収光の吸収を伴う高温モードでの溶融
    後冷却過程をおこない、前記記録層内の前記着色粒子の
    表面近傍の前記結晶性有機分子を白濁化し、前記着色粒
    子の色を隠ぺいして記録することを特徴とする書換え可
    能な記録媒体の記録方法。
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