JP2004249542A - 可逆性多色記録層を有する光学記録媒体、及びこれを用いた記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持基板の一の主面に光記録層を有し、他の主面に、可逆性多色記録層10が設けられてなり、この可逆性多色記録層10は、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物がそれぞれ封入された微小空隙構造体30が、分離・独立して設けられた構成を有し、複数の可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有しているものとした光学記録媒体を提供する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像、タイトル等の情報を記録するための可逆性多色記録層を具備する光学記録媒体、およびこれを用いた記録方法に関わる。
【0002】
【従来の技術】
近年、CD−RあるいはDVD−R等、各種情報メディアの普及により、大容量データのバックアップ、あるいは音楽、映像の記録等、多岐に亘りその用途が拡大しつつある。
さらには、CD−RWあるいはDVD−RW、 DVD+RW、 DVD−RAM等、書き換え可能なメディア及びこれらを用いた記録方式が提案され、実用化されている。
【0003】
ところで上記CD−RあるいはDVD−Rのように一度記録した情報を半永久的に保存するタイプの記録媒体においては、例えば記録情報に対応したタイトル、インデックス、画像等を、ディスク表面にインクジェット方式、熱転写方式等の手法により印刷しても、以後記録情報の内容に変更がないので、形式的には問題は生じていなかった。
しかしながら、CD−RWあるいはDVD−RW、 DVD+RW、 DVD−RAM等の書き換え可能なメディアの場合、上記方法でディスク表面に所望の画像や文字等を印字してしまうと、それらは書き換えができないため、例えばメディアに記録した情報に変更があった場合には、新たにラベルシールを貼ったり、ラベルシールを貼り替えたりしなければならない。
【0004】
ラベルシールを貼り替える際には、ラベルシールの残りがディスク表面に付着したり、作業中にディスク面に傷をつけたりするおそれがあり、また作業が煩雑で美観も損なう等の問題がある。
【0005】
ところで、可逆的に情報の記録や消去を行うことができる記録媒体、いわゆる可逆性感熱記録媒体が、各種プリペイドカード、ポイントカード、クレジットカード、ICカード等の普及に伴い、残額やその他の記録情報等の可視化、可読化の用途において実用化されており、さらには、複写機およびプリンター用途においても実用化されつつある。
【0006】
上記のような可逆性感熱記録媒体に関しては、ロイコ染料タイプ、すなわち樹脂母材中に電子供与性呈色性化合物であるロイコ染料と顕・減色剤とが分散された構成を有する記録媒体、及びこれを用いた記録方法が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
これらにおいて顕・減色剤としては、ロイコ染料を発色させる酸性基と発色したロイコ染料を消色させる塩基性基を有する両性化合物、または長鎖アルキルをもつフェノール化合物等が用いられている。
このような記録媒体は、ロイコ染料自体の発色を利用するものであるため、コントラストおよび視認性が良好であるという特長を有している。
【0007】
また、上記のような可逆性感熱記録層を光ディスク上に設け、サーマルヘッドを用いて画像等の形成を行う方法に関する提案もなされている(例えば、下記特許文献6参照。)。
この方法によれば、各種ポイントカードやICカード等と同様に任意の画像や文字を書き込むことができるものの、カードの場合と比較して書き込み装置が大型化したり、サーマルヘッドによる印字面の摺れが生じたり、ディスクが熱変形して再生に支障を来したりするという問題があり、また多色記録ができない等の欠点を有していた。
【0008】
一方において、レーザー光を照射すると分解もしくは変質するレーベル記録層を設け、任意の画像等を記録する方式に関しての提案がなされている(例えば、下記特許文献7参照。)。
この方法によれば、レーザー光による非接触記録を行うため、印字面の摺れやディスクの熱変形を抑制でき、かつ高解像度の記録が可能であるという利点を有しているが、不可逆的な書き込みのため、一度画像を設けると消去することができないという問題を有している。
【0009】
【特許文献1】
特開平2−188293号公報
【特許文献2】
特開平2−188294号公報
【特許文献3】
特開平5−124360号公報
【特許文献4】
特開平7−108761号公報
【特許文献5】
特開平7−188294号公報
【特許文献6】
特開2000−6539号公報
【特許文献7】
特開2000−173096号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、可逆的に多色の画像やタイトル等の書き換え可能な光学記録媒体への要望は大きく、研究が盛んに行われているが、実用的に満足できるものは未だ見いだされていない。
そこで本発明においては、上述したような従来の問題に鑑みて、安定な発消色、コントラストを有し、かつ優れた画像安定性を持ち、更には任意の色調に発色することができ、かつ高速印字・消去可能な可逆性の記録層を、光記録層とは別途に設けた光学記録媒体、およびこれを用いた記録方法を提供することとした。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学記録媒体は、支持基板の一の主面に光記録層を有し、他の主面に、可逆性多色記録層が設けられてなる構成を有するものであり、この可逆性多色記録層は、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物がそれぞれ封入された微小空隙構造体が、分離・独立して設けられた構成を有し、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有しているものとする。
【0012】
本発明の記録方法においては、支持基板の一の主面に光記録層を有し、他の主面に可逆性多色記録層が設けられ、この可逆性多色記録層は、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物がそれぞれ封入された微小空隙構造体が、分離・独立して設けられた構成を有し、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有しているものとした光学記録媒体を用いて、先ず、加熱処理を施して予め可逆性多色記録層全体を消色状態にしておき、次に、所望の画像情報に応じて選択される波長領域の赤外線を照射して露光を行い、選択的に発色化させることにより、上記画像情報の記録を行うものとする。
【0013】
また、本発明の記録方法においては、支持基板の一の主面に光記録層を有し、他の主面に可逆性多色記録層が設けられ、この可逆性多色記録層は、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物がそれぞれ封入された微小空隙構造体が、分離・独立して設けられた構成を有し、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有しているものとした光学記録媒体を用いて、先ず、加熱処理を施して予め記録層全体を発色状態にしておき、次に、所望の画像情報に応じ、選択される波長領域の赤外線を照射して露光を行い、選択的に消色化することにより、画像情報の記録を行うものとする。
【0014】
本発明によれば、波長選択した赤外線を照射することにより、光記録層とは別途に形成した可逆性多色記録層を選択的に発熱せしめ、可逆的な発色状態と消色状態との変換が行われ、これによって繰り返して任意画像、タイトル等の記録、および消去を行うことができる光学記録媒体とこれを用いた記録方法が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照して説明するが、本発明の光学記録媒体は、以下の例に限定されるものではない。
【0016】
本発明の光学記録媒体1は、図1に示すように、支持基板2の一の主面側に、所定波長のレーザー光を照射することによって情報の記録が可能な光記録層3を有し、支持基板2の他の主面側に、可逆性感熱発色性組成物を含有する可逆性多色記録層10を有するものである。
【0017】
光記録層3は、従来公知の光磁気記録層、相変化記録層等の各種記録層をいずれも適用でき、実用化されているCD−R、DVD−R等のライト・ワンス型のメディアや、CD−RW、DVD−RW、 DVD+RW、 DVD−RAM等の繰り返し書き換え可能なメディアのように、所定の波長のレーザー光Lを照射することにより、信号の記録および再生を行う機能を有しているものとする。
【0018】
次に、可逆性多色記録層10について説明する。図2に微小空隙構造体としてマイクロカプセルを例に取った可逆性多色記録層の概略断面図を示す。
【0019】
この可逆性多色記録層10は図2に示すように、支持体20上に異なる発色の第1の発色組成物11、第2の発色組成物12、および第3の発色組成物13が、それぞれ封入された微小空隙部材(マイクロカプセル)30が平面状に配列されてなる記録層14が形成されており、この記録層14上に保護層15が形成された構成を有している。
【0020】
支持体20は、耐熱性に優れ、かつ平面方向の寸法安定性の高い材料であれば従来公知の材料を適宜使用することができる。例えば、ポリエステル、硬質塩化ビニル等の高分子材料の他、ステンレス等の金属材料、紙等の材料から適宜選択できる。
支持体20は、記録情報の視認性の向上を図るため、白色、あるいは金属色を有する可視光に対する反射率の高い材料によって形成することが好ましい。
なお、支持体20は図1に示した光学記録媒体1の支持基板2と兼用することもでき、また、別途に用意した支持体20を用いて可逆性多色記録層10を作製し、これを図1の支持基板2上に付与してもよい。
【0021】
第1〜第3の発色組成物11〜13は、安定して繰り返し記録が可能な、消色状態と発色状態とを制御し得る材料を用いて形成する。
第1〜第3の発色組成物11〜13の呈色性化合物としては、発色する所望の色に応じた所定のロイコ染料を用いることができる。例えば第1〜第3の発色組成物11〜13において、三原色を発色するようにすれば、この可逆性多色記録層10全体としてフルカラー画像の形成が可能になる。電子供与性を有する呈色性化合物であるロイコ染料としては、既存の感熱紙用染料等を適用することができる。
【0022】
また、第1〜第3の発色組成物11〜13には、電子受容性を有する顕・減色剤が含有されているものとし、従来これらに用いられている長鎖アルキル基を有する有機酸(特開平5−124360号公報、特開平7−108761号公報、特開平7−188294号公報、特開2001−105733号公報、特開2001−113829号公報等に記載)等を適用することができる。
【0023】
また、第1〜第3の発色組成物11〜13には、それぞれ異なる波長域に吸収をもつ赤外線吸収色素が含有されており、第1の発色組成物11が波長λ1の赤外線を、第2の発色組成物12が波長λ2の赤外線を、第3の発色組成物13が波長λ3の赤外線をそれぞれ吸収して発熱する光−熱変換材料を含有しているものとする。
【0024】
第1〜第3の発色組成物11〜13内に含有される光−熱変換材料としては、可視波長域にほとんど吸収がない赤外線吸収色素として一般的に用いられる、フタロシアニン系染料やシアニン系染料、金属錯体染料、ジインモニウム系染料等を適用できる。なお、任意の光−熱変換材料のみを発熱させ、コントラストを明瞭にするために、光−熱変換材料の波長吸収帯が狭く、かつ互いに重なり合わない材料の組み合わせを選択するのが好ましい。
【0025】
第1〜第3の発色組成物11〜13形成用の樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン等を用いることができる。これらの樹脂に必要に応じて紫外線吸収剤等の各種添加剤を併用してもよい。
【0026】
本発明において、仕切り部材としての微小空隙構造体30は、特にマイクロカプセルに限定されるものではなく、その他分散媒を封入することが可能なキャピラリーあるいはセル等が挙げられ、微小空隙構造を形成しうるものなら何ら限定されるものではない。また、微小空隙部材をより微細にして細密に充填することにより解像度の向上が図られる。
【0027】
また、微小空隙部材30は、所定のバインダーに分散されていても構わず、この場合においてバインダーとしては、水系バインダー、溶剤系バインダー、エマルション系バインダー等を適用できる。
この場合、記録層14は、所定の溶媒を用いて上記樹脂中に微小空隙構造体を分散させて作製した塗料を、支持基板2もしくは支持体20上に塗布することによって形成することができる。
記録層14は、膜厚1〜20μm程度に形成することが望ましく、さらには3〜15μm程度とすることが好ましい。記録層14の膜厚が薄すぎると充分な発色濃度が得られず、逆に厚過ぎると記録層14の熱容量が大きくなることによって発色性や消色性が劣化するためである。
【0028】
保護層15は、従来公知の紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いて形成することができ、記録層14を保持するとともに、外部から微小空隙構造体内の発色組成物が見えるように光透過性を有しており、かつ実用上必要な機械的強度を有しているものを適用する。保護層15の膜厚は0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜5μm程度とすることが望ましい。
【0029】
以下、本発明の光学記録媒体1を構成する可逆性多色記録層10の作製方法について説明するが、以下においては、上記ロイコ染料、顕・減色剤、および光−熱変換材料等を主成分とする芯物質をポリマーなどの殻物質で覆い、マイクロカプセル化したものを支持体20上に配列させた構成を例として説明するが、本発明は、以下の例に限定されるものではない。
【0030】
マイクロカプセル30の製造方法としては、ポリマー溶液に分散させた分散媒からなる芯物質のまわりにポリマーの濃厚相を分離させる相分離法、ポリマー溶液中の芯物質のまわりにポリマーの硬化試験薬等によりポリマーを硬化させる液中硬化被覆法、芯物質を分散させたエマルジョンの内相、あるいは外相のいずれか一方からモノマーや重合触媒を供給し、芯物質の表面をポリマーで覆うインシチュー重合法、芯物質を分散させたエマルジョンの内相と外相の両方からモノマーを供給する界面重合法等のマイクロカプセル化技法が好適であるが、これらの方法に限定されるものではない。
特に、インシチュー重合法、あるいは、相分離法を用いて製造することにより、粒径の揃った、かつ着色磁性粒子が均一に分散されたマイクロカプセルを製造することができる。ここで用いる重合性モノマーは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、および、その誘導体、イソシアネート、各種アミン、エポキシ基を有する化合物などが好適である。
マイクロカプセルに用いられる樹脂には、一般に用いられている樹脂、例えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、天然樹脂等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上混合して使用することも可能である。
【0031】
記録層14、保護層15の形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロール塗布法、ナイフエッジ法などの塗布方式、上述のマイクロカプセルを混入した転写層に有する転写シートによる転写方式、また上述のマイクロカプセルを混入したインキを基材に吹き付けるインクジェット方式、支持基板と保護層との間に上述のマイクロカプセルを混入した溶液を充填する方式などの形成方法が挙げられ、作製する情報記録媒体の用途、数量に応じて上述の方式から適宜選択することができる。
【0032】
次に、図1に示した光学記録媒体1を構成する可逆性多色記録層10において多色記録を行う原理を説明する。
先ず、第1の原理を説明する。
図1に示した可逆性多色記録層10を、各発色組成物が消色する程度の温度、例えば120℃程度の温度で全面加熱し、第1〜第3の発色組成物11〜13を予め消色状態にしておく。すなわちこの状態においては、支持基板2(もしくは図2中の支持体20)の色が露出している状態となっているものとする。
なお、この消色のための操作は、可逆性多色記録層10のみを瞬間的に加熱すれば足り、光記録層3側に伝熱しないように行う。
次に、これら可逆性多色記録層10の任意の部分に、波長および出力を任意に選択した赤外線を半導体レーザー等により照射する。
例えば第1の発色組成物11を発色させる場合には、波長λ1の赤外線を第1の発色組成物11が発色温度に達する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて、電子供与性呈色化合物と電子受容性顕・減色剤との間の発色反応を起こさせ、照射部分を発色させる。
同様に、第2の発色組成物12および第3の発色組成物13についても、それぞれ波長λ2、λ3の赤外線を発色温度に達する程度のエネルギーを照射してそれぞれの光−熱変換材料を発熱させて照射部分を発色させる。
【0033】
このようにすることによって、可逆性多色記録層10の任意の部分を発色させることができ、全体としてフルカラー画像形成や種々の情報の記録が可能となる。
【0034】
また、上記のようにして発色させた記録層14において、さらに任意の波長の赤外線を、第1〜第3の発色組成物11〜13が消色温度に達する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて、電子供与性呈色化合物と電子受容性顕・減色剤との間の消色反応を起こさせることによって、消色化させることができ、任意の画像等を繰り返し記録が可能となる。
【0035】
更に、上述のようにして一部を着色化させた可逆性多色記録層10の全体を、消色する程度の温度、例えば120℃で一様に加熱することによって、記録情報や画像を消去することができ、上述した任意の操作を行うことによって、繰り返し記録が可能である。
【0036】
次に、第2の原理を説明する。
図1に示した光学記録媒体1を構成する可逆性多色記録層10を、各発色組成物が発色する程度のエネルギーで全面赤外線照射し、第1〜第3の組成物11〜13を全て予め発色状態にしておく。
次に、可逆性多色記録層10の任意の部分に、波長および出力を任意に選択した赤外線を半導体レーザー等により照射する。
例えば第1の発色組成物11を消色させる場合には、波長λ1の赤外線を第1の発色組成物11が消色する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて発色組成物11を消色状態とする。
同様に、第2の発色組成物12および第3の発色組成物13についても、それぞれ波長λ2、λ3の赤外線を、消色温度に達する程度のエネルギーで照射してそれぞれの光−熱変換材料を発熱させて照射部分を消色させることができる。
【0037】
上述にようにすることによって、可逆性多色記録層10の任意の部分を消色させることができ、フルカラー画像形成や種々の情報の記録が可能となる。
また、上記のようにして発色させた記録層14において、さらに任意の波長の赤外線を、第1〜第3の発色組成物11〜13が発色温度に達する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて、電子供与性呈色化合物と電子受容性の顕・減色剤との間の発色反応を起こさせることによって、発色化させることができる。
【0038】
更に、上述のようにして一部を消色化、あるいは発色化させた可逆性多色記録層10の全体を、全ての発色組成物が着色する程度のエネルギーの照射を行うことによって、記録情報や画像を消去することができ、繰り返し記録が可能となる。
【0039】
可逆性多色記録層10に対して、上述した記録方法のうち、いずれの方法を適用するかは、記録層14の特性、記録光源の性能に合わせて適宜選択する。例えば、記録層14を高温で発色させ、発色温度以下の温度で消色する、いわゆるポジ型の層として形成してもよく、高温で消色させ、消色温度以下の温度で発色する、いわゆるネガ型の層として形成してもよい(例えば特開平8−197853号公報)。
【0040】
【実施例】
次に、本発明の光学記録媒体に関する具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明は以下に示す例に限定されるものではない。
【0041】
〔実施例1〕
この例においては、図1に示す光学記録媒体1を構成する可逆性多色記録層10として、図2に示すように、支持体20上に第1の発色組成物11、第2の発色組成物12、第3の発色組成物13を、それぞれ封入したマイクロカプセルA〜Cが配列されてなる記録層14を設け、その上に保護層15が形成された構成を有するものを例に挙げて説明する。
【0042】
(マイクロカプセルA−イエロー発色)
先ずマイクロカプセルA内に内包させる発色組成物の組成は以下のようにした。
ロイコ染料(フルオラン化合物:λmax=490nm):1重量部
【0043】
顕・減色剤(下記〔化1〕の物質):4重量部
【0044】
【化1】
【0045】
シアニン系赤外吸収色素:0.10重量部
(山本化成製、YKR−2081、記録層中での吸収波長ピーク910nm)
【0046】
上記各物質よりなる発色組成物を封入した平均粒径8μmのマイクロカプセルをマイクロカプセルAとする。
【0047】
(マイクロカプセルB−シアン発色)
マイクロカプセルB内に封入する発色組成物の組成は以下のようにした。
ロイコ染料:1重量部
(山田化学工業製:H−3035(下記〔化2〕に示す物質))
【0048】
【化2】
【0049】
顕・減色剤(下記〔化3〕に示す物質):4重量部
【0050】
【化3】
【0051】
シアニン系赤外吸収色素:0.08重量部
(山本化成製、YKR−2900、記録層中での吸収波長ピーク830nm)
【0052】
上記発色組成物を内包した平均粒径8μmのマイクロカプセルをマイクロカプセルBとする。
【0053】
(マイクロカプセルC−マゼンダ発色)
マイクロカプセルC内に内包させる発色組成物の組成は以下のようにした。
ロイコ染料(保土ヶ谷化学社製:Red DCF;下記[化4]に示す物質):2重量部
【0054】
【化4】
【0055】
顕・減色剤(下記〔化5〕に示す物質):4重量部
【0056】
【化5】
【0057】
シアニン系赤外吸収色素:0.08重量部
(日本化薬製、CY−10、記録層中での吸収波長ピーク790nm)
【0058】
上記発色組成物を内包した平均粒径8μmのマイクロカプセルをマイクロカプセルCとする。
【0059】
上記マイクロカプセルA、B、およびCをポリビニルアルコール水溶液に均一に分散させて作製した塗液を、厚さ100μmの展延性を有する半透明の塩化ビニル系樹脂材上に塗布して記録層を形成し、さらに紫外線硬化性樹脂を用いて厚さ3μmの保護層を形成した。
【0060】
上記のようにして作製した可逆性多色記録層10を、120℃に加熱したセラミックスバーを用いて一様に加熱し、第1、第2および第3の発色組成物11、12、13を消色状態にし、CD−RWディスクの光記録層3側とは反対の主面に光学用両面テープを用いて形成し、これをサンプルとした。
【0061】
上記サンプルの可逆性多色記録層10の任意の位置に、波長が785nm、830nm、915nmであり、出力70mW、スポット径80μmの半導体レーザーを、スキャン速度300mm/sの条件下でそれぞれ照射し、任意の画像を記録したところ、各半導体レーザーのパワーをコントロールすることによって、明瞭なフルカラーの画像を上記サンプルCD−RWディスク上に形成することができた。
【0062】
また、上記のようにして画像形成を行った箇所に、波長が785nm、830nm、915nmで、出力70mW、スポット径80μmの半導体レーザーを、スキャン速度300mm/sの条件下で、それぞれ照射することで、記録部分を消去することができた。更にこの消去部分に、上記書き込み条件で記録したところ、画像が形成できた。これにより本発明の携帯用機器においては、繰り返し記録、および消去により、デザインを適宜変更することが可能であることが確かめられた。
【0063】
〔実施例2〕
上述した実施例1において説明した可逆性多色記録層10を、180℃に加熱したセラミックスバーにより加熱、続いて冷却し、第1の発色組成物11、第2の発色組成物12、および第3の発色組成物13を、いずれも予め発色状態にした。これをCD−RWディスクの光記録層3側とは反対の主面に光学用両面テープを用いて形成し、これをサンプルとした。
【0064】
上記サンプルを構成する可逆性多色記録層10の任意の位置に、波長が785nm、830nm、915nmで、出力70mW、スポット径80μmの半導体レーザーを、スキャン速度300mm/sの条件下でそれぞれ照射することによって、発色部が消去された。
各半導体レーザーのパワーをコントロールすることによって、明瞭なフルカラーの画像をCD−RWディスク上に作製したり、消去したりすることができた。
【0065】
上述したように、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物がそれぞれ封入された微小空隙構造体(マイクロカプセル)が、分離・独立して設けられてなる可逆性多色記録層においては、安定な発消色、コントラストが得られ、かつ日常生活においても実用上問題のない画像安定性を実現でき、更には高速印字・消去可能であることが確かめられた。
また、上述したような構造の可逆性多色記録層を、光記録層と別途に設けた光学記録媒体においては、任意の画像を形成したり、例えばインデックスやタイトル等の任意の情報を示す文字や記号を、フルカラーで高精細に、かつ繰り返して書き込んだり、書き換えたりすることが可能である。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、波長選択した赤外線を強度制御して照射することにより、可逆的な発色状態と消色状態との変換を行うことができ、繰り返して任意画像やタイトル等の文字、記号の記録および消去を行うことができる可逆性多色記録層を備えた光学記録媒体およびこれを用いた記録方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学記録媒体の一例の概略断面図を示す。
【図2】可逆性多色記録層の一例の概略断面図を示す。
【符号の説明】
1……光学記録媒体、2……支持基板、3……光記録層、10……可逆性多色記録層、11……第1の発色組成物、12……第2の発色組成物、13……第3の発色組成物、14……記録層、15……保護層、20……支持体
Claims (4)
- 支持基板の一の主面に光記録層を有する光学記録媒体であって、
上記支持基板の他の主面に、可逆性多色記録層が設けられてなり、
当該可逆性多色記録層は、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物がそれぞれ封入された微小空隙構造体が、分離・独立して設けられた構成を有し、
上記発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有していることを特徴とする光学記録媒体。 - 上記可逆性感熱発色性組成物には、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤とが含有されてなり、
上記電子供与性を有する呈色性化合物と、上記電子受容性を有する顕・減色剤との間の可逆的反応により、発色、あるいは消色の二状態を可逆的に変化するようになされていることを特徴とする請求項1に記載の光学記録媒体。 - 支持基板の一の主面に光記録層を有する光学記録媒体であって、
上記支持基板の他の主面に、可逆性多色記録層が設けられてなり、
当該可逆性多色記録層は、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物がそれぞれ封入された微小空隙構造体が、分離・独立して設けられた構成を有し、
上記発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有しているものとした光学記録媒体を用いて、
加熱処理を施して予め上記可逆性多色記録層全体を消色状態にしておき、
所望の画像情報に応じて選択される波長領域の赤外線を照射して露光を行い、選択的に発色化させることにより、上記画像情報の記録を行うことを特徴とする記録方法。 - 支持基板の一の主面に光記録層を有する光学記録媒体であって、
上記支持基板の他の主面に、可逆性多色記録層が設けられてなり、
当該可逆性多色記録層は、発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物がそれぞれ封入された微小空隙構造体が、分離・独立して設けられた構成を有し、
上記発色色調の異なる複数の可逆性感熱発色性組成物は、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有しているものとした光学記録媒体を用いて、
加熱処理を施して予め上記可逆性多色記録層全体を発色状態にしておき、
所望の画像情報に応じて選択される波長領域の赤外線を照射して露光を行い、選択的に消色化することにより、上記画像情報の記録を行うことを特徴とする記録方法。
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---|---|---|---|
JP2003041282A JP2004249542A (ja) | 2003-02-19 | 2003-02-19 | 可逆性多色記録層を有する光学記録媒体、及びこれを用いた記録方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004249542A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006106735A1 (ja) * | 2005-04-01 | 2006-10-12 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | 多層情報記録媒体及びその製造装置、並びにその製造方法 |
JP2012502404A (ja) * | 2008-09-10 | 2012-01-26 | データレース リミテッド | データ保存媒体 |
-
2003
- 2003-02-19 JP JP2003041282A patent/JP2004249542A/ja active Pending
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