JP4345520B2 - 可逆性記録媒体、及びこれを用いた記録方法 - Google Patents
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Description
コンピューターのネットワーク技術、通信技術、OA機器、記録メディア、記憶メディア等の進歩を背景としてオフィスや家庭でのペーパーレス化が進んでいる。
例えば、ロイコ染料タイプ、すなわち樹脂母材中に呈色性化合物であるロイコ染料と、顕・減色剤とが分散された記録層を有する記録媒体、及びこれを用いた記録方法についての提案がなされており、これはロイコ染料自体の発色を利用するため、低分子分散タイプに比較してコントラスト、視認性が良好であるという利点を有している。
この方法によれば、光−熱変換材料を含有している層の波長選択性の効果により、任意の記録層のみを発色させることができるとされている。
なお、以下においては、三層のリライタブル層が形成されている構成の可逆性記録媒体を例に挙げて説明するが、本発明はこの例に限定されるものではなく、例えば単色や二色のみ発色可能なものでもよく、一以上のリライタブル層が形成されている構成のものであれば、いずれにおいても適用可能である。
この可逆性記録媒体10は、支持基板1の面方向に、第1〜第3の光−熱変換層11〜13が中間層14〜16を介して第1〜第3の記録層17〜19と積層された構成の第1〜第3のリライタブル層31〜33が、それぞれ間に断熱層20、21を介して積層形成されてなり、最上層に保護層22が形成されてなる構成を有している。以下、各層について詳細に説明する。
但し、オーバーヘッドプロジェクター等の透過用途以外では、支持基板1は最終的に得られる可逆性記録媒体10に対して記録を行った際の視認性の向上を図るため、白色、あるいは金属色等の可視光に対する反射率の高い材料によって形成することが好ましい。
シアニン色素は、可視域の吸収が少なく、近赤外域に鋭い吸収を持っている。構造により吸収極大波長が変化するので、記録に用いるレーザー波長に適したものを選択することができる。
一重項酸素失活剤は、共役ポリエン、遷移金属錯体、ヒンダードアミン、アミン類、アミニウム塩、及びイミニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有するものとする。
これらの一重項酸素失活剤の添加量は、光−熱変換層を構成する光−熱変換材料に対して、重量比で0.05倍〜4倍程度とすることが好ましく、さらに0.1倍〜2倍とすることがより好ましい。
例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、デンプン等を適用でき、また、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いて形成してもよい。
なお、第1〜第3の中間層14〜16には、必要に応じて紫外線吸収剤等の各種添加剤を併用してもよい。
中間層14〜16は、透光性の無機膜を適用して形成してもよい。例えば、多孔質のシリカ、アルミナ、チタニア、カーボン、またはこれらの複合体等を適用すると熱伝導率の低減化が図られ好ましい。これらは、液層から膜形成できるゾル−ゲル法によって形成することができる。
なお、中間層14〜16を構成する樹脂に関しては、隣接する光−熱変換層11〜13や記録層17〜19を構成する樹脂と、互いに相溶しないように選定するものとし、これにより、互いに分離・独立した状態で存在させるようにする。
中間層14〜16は、膜厚0.05〜30μm程度とすることが好ましく、更に好ましくは0.1〜10μm程度とする。これらの膜厚が薄すぎると光−熱変換材料の劣化が著しくなり、逆に厚過ぎると熱伝導性が劣化するため充分な発色濃度が得られないためである。
第1〜第3の記録層17〜19は、熱状態を制御することによって安定した発・消色状態(着色状態と透明状態)とを形成し得る材料により形成するものとし、これにより繰り返して記録と消去を可能としたものとする。
上記ロイコ染料としては、既存の感熱紙用染料等を適用することができる。
上記顕・減色剤としては、従来これらに用いられている長鎖アルキル基を有する有機酸(特開平5−124360号公報、特開平7−108761号公報、特開平7−188294号公報、特開2001−105733号公報、特開2001−113829号公報等に記載)を適用することができる。
なお、第1〜第3の記録層17〜19には、必要に応じて紫外線吸収剤等の各種添加剤を併用してもよい。
第1〜第3の記録層17〜19は、膜厚1〜50μm程度に形成することが望ましく、さらには2〜20μm程度の膜厚とすることが好ましい。これらの膜厚が薄すぎると充分な発色濃度が得られず、逆に厚過ぎると層の熱容量が大きくなりすぎ、発色性や消色性が劣化したり、あるいは熱伝導性が劣化したり、透光性が低下したりするためである。
これらリライタブル層31〜33は、互いに発色色相の異なる可逆性感熱発色組成物を含む記録層と、それぞれ異なる波長域の近赤外光を吸収して発熱する光−熱変換材料を含有する光−熱変換層からなるものとする。
なお、リライタブル層31〜33を構成する光−熱変換層と記録層とは、支持基板1を基準とした積層順序が入れ替わってもよい。
なお、本発明は、上記組み合わせに限定されることなく、水溶性樹脂、非水溶性樹脂、熱硬化性樹脂、及び紫外線硬化性樹脂を、隣接する層を構成する樹脂が互いに相溶しないように適宜選択して用いることができるものとする。
特に、中間層14〜16形成用材料としてポリビニルアルコールを適用すると、酸素バリア性を発揮でき、活性酸素の発生による光−熱変換材料の劣化を効果的に回避することができる。
これによって、記録時において隣接するリライタブル層の熱が伝導してしまうことが回避され、いわゆる色かぶりの発生を防止する効果が得られる。
また、断熱層20、21を形成することにより、隣接するリライタブル層における記録層と光−熱変換層(例えば、図1における第1の記録層17と第2の光−熱変換層12)において、これらを構成する樹脂を互いに相溶しないようにすることが容易となり、これらを確実に分離・独立した状態で形成することが可能となる。
また、断熱層20、21は、透光性の無機膜を適用してもよい。例えば、多孔質のシリカ、アルミナ、チタニア、カーボン、またはこれらの複合体等を適用すると熱伝導率の低減化が図られ好ましい。これらは液層から膜形成できるゾル−ゲル法によって形成することができる。
保護層22は、従来公知の紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いて形成することができ、膜厚は0.5〜50μm程度とすることが望ましい。
保護層22の膜厚が薄すぎると充分な保護効果が得られず、厚すぎると後述する記録媒体全体を均一加熱する際に熱伝導性が劣化したり、透光性が低下したりする。
なお、以下においては、図1に示した、三層のリライタブル層31〜33が形成されている構成の可逆性記録媒体10を用いて記録、及びその消去を行う方法について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、一以上のリライタブル層が形成されている、単色や二色のみ発色可能な構成の可逆性記録媒体も同様に適用できる。
このようにして可逆性記録媒体10の任意の部分を、所望の色相に発色させることができる。このとき、発振波長帯が異なるレーザー光源を、光−熱変換材料を含む記録層の数と同数使用することにより、すべての色相の記録が可能となる。
先ず、下記表1中に示す樹脂、溶媒、及び光−熱変換材料を組み合わせて塗料1〜6を作製した。
また、下記表2中に示す樹脂、及び溶媒を組み合わせて塗料7、8を作製した。
さらに、下記表3中に示すロイコ染料、顕・減色剤、樹脂、溶媒、及び光−熱変換材料を適宜組み合わせて混合し、ペイントコンディショナーで0.3μm以下となるまで粉砕し、塗料9〜16を作製した。
なお、Etはエチル基、Meはメチル基を表し、nはノルマルを表す。
なお、Meはメチル基を表す。
なお、各層は、塗料をワイヤーバーによって塗布し、乾燥させることにより成膜した。
ただし保護層には紫外線硬化樹脂を用いて成膜した。
先ず、上述のようにして作製した各サンプルにおける、地肌の反射濃度(O.D.)を、マクベス濃度計によって測定した。
続いて、サンプルを構成する各記録層に対し、記録に用いるレーザー光の波長における記録層単独の吸光度を測定し、また分光光度計で吸収曲線を測定した。その結果、すべての記録層の、記録に用いるレーザー光の波長における記録層単独での吸光度は、1.0〜1.1程度であることが確かめられた。
なお、吸収曲線は媒体作製と同じ方法で一つの記録層を、また、光−熱変換層を設けた場合は、一つの光−熱変換層と中間層、さらに記録層を積層させた試料を、吸光度測定用透明PETフィルム上に形成し、これを用いて評価することとした。
上述したようにして作製した実施例5、6、及び比較例5、6のサンプルを用いて、光−熱変換材料の保存性についての評価を行った。
これにおいては、先ず、初期状態において、分光光度計により、光−熱変換材料の吸収曲線を測定して極大値の計測を行い、続いて、耐光性試験機を用いて、光源を白色蛍光灯とし、500000lx、8時間の条件で光照射を行う保存試験を行った後に、同様に、分光光度計により、光−熱変換材料の吸収曲線を測定して極大値の計測を行い、これらの比較を行った。
また、実施例1、実施例4、比較例1、比較例4のサンプルを用いて、光−熱変換材料の保存性についての評価を行った。
これにおいては、先ず、初期状態においての地肌の反射濃度(O.D.)を測定し、さらにレーザー光を照射して記録を行ったときの反射濃度を測定した。なお、この場合、所定の発振中心波長を有する半導体レーザー光を、スポット形状30μm×200μm、出力450mWの条件で、照射しながら走査させた。走査の条件は、スポット形状200μmの軸の方向に、速度5.4m/s、走査間隔15μmで走査して記録されたベタ画像の反射濃度をマクベス濃度計により評価した。
さらに、耐光性試験機により、光源を白色蛍光灯とし、500000lx、8時間の条件で光照射を行う保存試験を行った後に、同様に、地肌の反射濃度(O.D.)を測定し、さらにレーザー光を照射して記録を行ったときの反射濃度を測定した。記録条件は上記と同様とする。
上述したようにして作製した実施例1〜4、及び比較例1〜4のサンプルを用いて、以下の条件で半導体レーザーの照射を行い、記録線幅、及びベタ画像記録の反射濃度についての評価を行った。
これにおいては、発振中心波長が、800nm、860nm、940nmの半導体レーザー光を、スポット形状30μm×200μm、出力450mWの条件で、照射しながら走査させた。走査の条件は、スポット形状200μmの軸の方向に、速度5.4m/s、走査間隔15μmで走査して記録されたベタ画像のCMY(シアン、マゼンダ、イエロー)、それぞれの反射濃度をマクベス濃度計により評価した。
次に、120℃のホットスタンプを1秒押し当て画像を消去した。
上記の記録と消去の作業を100回繰り返し、100回目の記録を行ったときのベタ画像と、100回目に消去を行ったときのCMY(シアン、マゼンダ、イエロー)、それぞれの反射濃度をマクベス濃度計により評価した。
下記表6に、実施例5、6及び比較例5、6のサンプルにおける、光−熱変換材料の保存特性の評価結果を示す。
また、下記表7に、実施例1、実施例4、比較例1、比較例4のサンプルにおける、保存試験前後のレーザー記録評価の変化を示す。なお、実施例1と比較例1は、波長940nmのレーザー光で記録を行ってシアン発色させ、実施例4と比較例4は、波長800nmのレーザー光で記録を行ってイエロー発色させて、比較を行った。
また、下記表8に、実施例1〜4、及び比較例1〜4のサンプルにおける、初期のレーザー記録評価の結果を示し、下記表9に、記録と消去の作業を100回繰り返し、100回目の記録を行ったときのベタ画像と、100回目に消去を行ったときのCMYの反射濃度を示した。
一方、比較例5、6においては、一層中に光−熱変換材料と発色色素(ロイコ染料)とを混合させたため、光−熱変換材料の劣化が大きく、光照射試験(保存試験)後においては、著しく光吸収特性が劣化した。
一方、比較例1においては、一層中に光−熱変換材料と発色色素とを混合させたため、光−熱変換材料の劣化が大きく、光照射試験(保存試験)後においては、著しく光吸収特性が劣化し、充分な発色性が得られなかった。
また、比較例4においては、隣接する光−熱変換層、中間層、及び記録層との間で、樹脂の混合が起こってしまったため、やはり光照射試験(保存試験)後において、著しく光吸収特性が劣化し、充分な発色性が得られなかった。
また、レーザー光で記録を行った後、120℃のホットスタンプを1秒間接触させることにより、すべての画像を消去することができ、消去後の透明性が良好であった。
また、レーザー光を照射すると、さらに繰り返して記録を行うことができ、繰り返し記録後の色調が極めて明瞭であった。
また、120℃のホットスタンプを1秒間接触させたときの消え残り反射濃度が非常に小さく、ほぼすべての画像を消去することができた。
しかしながら、上記表9に示すように、100回記録と消去とを繰り返した後は、イエロー、マゼンタ、シアンの発色性が著しく低下した。また、120℃のホットスタンプを1秒間接触させたときの消え残りがあり、すべての画像を消去することができなかった。
17……第1の記録層、18……第2の記録層、19……第3の記録層、20,21……断熱層、22……保護層、31……第1のリライタブル層、32……第2のリライタブル層、33……第3のリライタブル層
Claims (6)
- 支持基板の面方向に、少なくとも一のリライタブル層を有し、
前記リライタブル層は、
特定の波長領域の近赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料が樹脂中に含有されてなる光−熱変換層と、
温度変化に応じて、無色・着色の二状態を可逆的に変化する感熱発色性組成物が樹脂中に含有されている記録層とが、
光透過性の樹脂からなる中間層を介して互いに分離・独立した状態で形成されてなる構成を有し、
前記リライタブル層における前記中間層と、前記光−熱変換層、及び前記記録層とは、これらを構成する樹脂が互いに相溶しないように材料選定がなされ、これにより、前記中間層、前記光−熱変換層、及び前記記録層は、互いに、分離・独立した状態で存在するようになされた可逆性記録媒体。 - 支持基板の面方向に、二以上の前記リライタブル層が、それぞれ分離・積層形成されてなり、
二以上のリライタブル層を構成する前記記録層においては、それぞれ異なる色調に発色する感熱発色性組成物が含有されてなり、
二以上のリライタブル層を構成する前記光−熱変換層においては、それぞれ異なる波長領域の近赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料が含有されてなり、
前記二以上のリライタブル層それぞれにおける前記中間層と、前記光−熱変換層、及び前記記録層とは、これらを構成する樹脂が互いに相溶しないように材料選定がなされ、これにより、前記中間層、前記光−熱変換層、及び前記記録層は、互いに、分離・独立した状態で存在するようになされた請求項1に記載の可逆性記録媒体。 - 支持基板の面方向に形成された二以上のリライタブル層の間の、少なくともいずれかに、可視域から近赤外域の光に対して透明な断熱層が形成されている請求項2に記載の可逆性記録媒体。
- 前記記録層には、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤とよりなる感熱発色性組成物が樹脂中に含有されてなり、
前記呈色性化合物と、前記顕・減色剤との間の可逆的反応により、
前記記録層を、無色・有色の二状態に可逆的に変化させるようになされている請求項1に記載の可逆性記録媒体。 - 前記光−熱変換層に、一重項酸素失活剤が含有されている請求項1に記載の可逆性記録媒体。
- 支持基板の面方向に、少なくとも一のリライタブル層を有し、
前記リライタブル層は、
特定の波長領域の近赤外線を吸収して発熱する光−熱変換材料が樹脂中に含有されてなる光−熱変換層と、
温度変化に応じて、無色・着色の二状態を可逆的に変化する感熱発色性組成物が樹脂中に含有されている記録層とが、
光透過性の樹脂からなる中間層を介して互いに分離・独立した状態で形成されてなる構成を有し、
前記リライタブル層における前記中間層と、前記光−熱変換層、及び前記記録層とは、これらを構成する樹脂が互いに相溶しないように材料選定がなされ、これにより、前記中間層、前記光−熱変換層、及び前記記録層は、互いに、分離・独立した状態で存在するようになされた可逆性記録媒体を用いて、
目的とするリライタブル層を構成する光−熱変換層に応じて任意に選択された波長の近赤外線を照射することによって、記録または消去を行う可逆性記録媒体の記録方法。
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