JP4470469B2 - 可逆性多色記録媒体、及びその製造方法 - Google Patents

可逆性多色記録媒体、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、繰り返し画像またはデータを記録するための可逆性多色記録媒体、及びその製造方法に関わる。
近年、地球環境的な見地から、リライタブル記録技術の必要性が強く認識されている。コンピューターのネットワーク技術、通信技術、OA機器、記録メディア、記憶メディア等の進歩を背景としてオフィスや家庭でのペーパーレス化が進んでいる。
印刷物に替わる表示媒体の一例として、熱により可逆的に情報の記録や消去が可能な記録媒体、いわゆる可逆性感熱記録媒体が、各種プリペイドカード、ポイントカード、クレジットカード、ICカード等の普及に伴い、残額やその他の記録情報等の可視化、可読化の用途において実用化されており、さらには複写機及びプリンター用途においても実用化されつつある。
上記のような可逆性感熱記録媒体、及びこれを用いた記録方法に関しては、従来においても各種提案がなされている(例えば、特許文献1〜4参照。)。これらは、いわゆる低分子分散タイプ、すなわち樹脂母材中に有機低分子物質を分散させた記録媒体であり、熱履歴により光の散乱を変化させ、記録層を白濁あるいは透明状態に変化させるものであるため、画像形成部と画像未形成部のコントラストが不充分であるという欠点を有しているため、記録層の下に反射層を設けることによりコントラストを向上させた媒体のみが実用化されている。
一方、ロイコ染料タイプ、すなわち樹脂母材中に電子供与性呈色性化合物であるロイコ染料と、顕・減色剤とが分散された記録層を有する記録媒体、及びこれを用いた記録方法についての開示がなされている(例えば、特許文献5〜9参照。)。これらにおいて、顕・減色剤としては、ロイコ染料を発色させる酸性基と、発色したロイコ染料を消色させる塩基性基を有する両性化合物、または長鎖アルキルをもつフェノール化合物等が用いられている。この記録媒体及び記録方法は、ロイコ染料自体の発色を利用するため、低分子分散タイプに比較してコントラスト、視認性が良好であり、近年広く実用化されつつある。
上記各特許文献により開示されている従来技術においては、母材の材料の色すなわち地肌の色と、熱により変色した色の2種類の色のみしか表現することができない。しかし近年では、視認性やファッション性向上のために、多色画像の表示や各種データを色識別して記録したりすることへの要求が非常に高まっている。
これに対し、上記従来方法を応用し、かつ多色画像の表示を行う記録方法が種々提案されている。
例えば、多色に塗り分けられた層や粒子を、低分子分散タイプの記録層で可視化あるいは隠蔽することで、多色表示を行う記録媒体、及びこれを用いた記録方法が開示されている(特許文献10〜12参照。)。しかしこのような構成の記録媒体においては、記録層が下層の色を完全に隠蔽することはできず、母材の色が透けてしまい、高いコントラストが得られなかった。
また、ロイコ染料を用いた可逆性感熱多色記録媒体について、その他の開示もなされているが(例えば、特許文献13、14参照。)、これらは面内に色相の異なる繰り返し単位を有するものであるため、各色相が実際に記録される面積比が小さいため、記録した画像は非常に暗い、または薄い画像しか得ることはできないという問題がある。
また、発色温度、消色温度、冷却速度等が異なるロイコ染料を用いた記録層を分離、独立した状態で形成された構成の可逆性感熱多色記録媒体に関する開示もなされている(例えば、特許文献15〜23参照。)。
しかし、サーマルヘッド等の記録熱源による温度コントロールが困難な上、良好なコントラストが得られず、色のかぶりを避けられないという問題を有している。さらには、三色以上の多色化をサーマルヘッド等による加熱温度及び/または加熱後の冷却速度の違いのみでコントロールするのは非常に困難である。
また、ロイコ染料を用いた記録層を、分離、独立した状態で形成した構成の可逆性感熱多色記録媒体において、レーザー光の照射による光−熱変換により任意の記録層のみを加熱し、発色させる記録方法に関する開示もなされている(例えば、特許文献24参照。)。この方法によれば、光−熱変換層の波長選択性の効果により、任意の記録層のみを発色させることができ、従来の可逆性多色記録媒体で問題であった、色のかぶりの問題が解決できる可能性がある。
しかしながら、この技術においては、記録層中に含有されている成分の相互の作用関係や、光−熱変換材料(赤外線吸収剤)の光吸収特性とレーザー光の波長との関係、さらには記録層の積層順等については検討されていない。よって実用上充分に所望の色のみを発色させることは困難であり、色かぶりの問題についても解決できない。
さらには、色の三原色として、レッド、グリーン、ブルーを用いているため、中間色は暗く色再現性が悪いので、フルカラー表示は不可能である。
また、さらに、これにおいて開示されている記録媒体においては、光−熱変換層(レーザー光の吸収層)が、バインダーを含有せずに有機溶剤に溶解した光吸収材料を被着させることにより形成することを好適としているため、極めて広い波長領域においてレーザー光の吸収を有するようになってしまい、表示精度が劣化するという欠点を有している。また、かかる方法において成膜されたレーザー光の吸収層は、可視域においても光吸収を有しているため、消去状態において記録層の透明性が劣化し、記録精度が悪化を招来するという問題も有している。
特開昭54−119377号公報 特開昭55−154198号公報 特開昭63−39377号公報 特開昭63−41186号公報 特開平2−188293号公報 特開平2−188294号公報 特開平5−124360号公報 特開平7−108761号公報 特開平7−179043号公報 特開平5−62189号公報 特開平8−80682号公報 特開2000−198275号公報 特開平8−58245号公報 特開2000−25338号公報 特開平6−305247号公報 特開平6−328844号公報 特開平6−79970号公報 特開平8−164669号公報 特開平8−300825号公報 特開平9−52445号公報 特開平11−138997号公報 特開2001−162941号公報 特開2002−59654号公報 特開2001−1645号公報
上述したように、多色感熱記録を行うことができる記録媒体について、明瞭で鮮やかな色調による記録を実現することへの要望は大きくなりつつあるが、特に、多数回繰り返して記録及び消去を行った場合における記録特性の劣化を極力低減化したり、あるいは長期間保存後においても初期と同等の記録特性を維持したりすることへの検討は未だ充分になされていない。
そこで、本発明においては、このような従来技術の問題に鑑みて、安定な発消色、コントラストを有し、かつ日常生活においても実用上優れた画像安定性を実現でき、かつ多数回繰り返して記録及び消去を行った後においても優れた記録特性を維持可能な、信頼性の高い可逆性多色記録媒体、及びその製造方法を提供することとした。
本発明の可逆性多色記録媒体は、支持基板の面方向に、可逆的に異なる色調に発色する発色組成物が含有されてなる複数の記録層が、前記支持基板側から、第1の記録層、第2の記録層、・・・、第nの記録層となるように、それぞれ透光性の樹脂からなる断熱層を介して分離・積層形成された構成を有するものとし、前記発色組成物は、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤とを含有し、前記複数の記録層には、少なくとも、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収する光−熱変換材料が樹脂に含有されてなる粒子径が5μm以下の微粒子状の光−熱変換組成物が、前記発色組成物と分離された状態で混合されてなり、前記複数の記録層に含有されている光−熱変換組成物それぞれの吸収波長(λmaxn)が、λmax1>λmax2>・・・>λmaxnの関係にあって、前記光−熱変換組成物が、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収し、発熱することにより、前記呈色性化合物と前記顕・減色剤との間の可逆的反応を起こさせるようになされており、前記光−熱変換組成物を構成する樹脂が、その周囲に存する記録層中の樹脂と相溶せず、前記光−熱変換組成物が、前記記録層中において分離・独立した状態で存在するものとする。
また、本発明の可逆性多色記録媒体の製造方法においては、上述したような構成の可逆性多色記録媒体を作製する際、光−熱変換材料を樹脂中に含有させて光−熱変換組成物を作製する工程と、この光−熱変換組成物と、発色組成物とを混合し、前記記録層を成膜する工程と、前記記録層上に前記断熱層を成膜する工程とを有し、前記光−熱変換材料を含有させる前記樹脂として、前記光−熱変換組成物が、前記記録層中において分離・独立した状態で存在するように当該光−熱変換組成物の周囲に存する記録層中の成分と相溶しないものを選定するものとする。
本発明によれば、発色組成物と光−熱変換材料とを分離・独立させた状態で記録層に含有させたので、これらの干渉による特性劣化が回避される。
本発明によれば、安定な発消色、コントラストを有し、かつ日常生活においても実用上優れた画像安定性を実現でき、かつ優れた繰り返し特性、及び保存特性を有する信頼性の高い可逆性多色記録媒体、及びその製造方法が得られた。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して具体的に説明するが、本発明は、以下に示す例に限定されるものではない。
図1に本発明の可逆性多色記録媒体の一例の概略断面図を示す。
可逆性多色記録媒体10は、支持基板1上に、第1の記録層11、第2の記録層12及び第3の記録層13が、それぞれ断熱層14、15を介して積層されており、最上層に保護層16が形成された構成を有している。以下、各層について詳細に説明する。
支持基板1は、耐熱性に優れ、かつ平面方向の寸法安定性の高い材料であれば従来公知の材料を適宜使用することができる。例えばポリエステル、硬質塩化ビニル等の高分子材料の他、ガラス材料、ステンレス等の金属材料、あるいは紙等の材料から適宜選択できる。但し、オーバーヘッドプロジェクター等の透過用途以外では、支持基板1は最終的に得られる可逆性多色記録媒体10に対して情報の記録を行った際の視認性の向上を図るため、白色、あるいは金属色を有する可視光に対する反射率の高い材料によって形成することが好ましい。
次に、第1〜第3の記録層11〜13について説明する。図2に示すように記録層11〜13には、発色組成物21と光−熱変換組成物22とが含有されている。
発色組成物21は、電子供与性を有する呈色性化合物、例えばロイコ染料、電子受容性を有する顕・減色剤、樹脂、及び各種添加剤等により構成されてなり、光−熱変換組成物22は、近赤外線吸収色素よりなる光−熱変換材料、樹脂、及び各種添加剤等により構成されているものとする。
発色組成物21と光−熱変換組成物22とは、記録層11〜13中において互いに分離された状態で混合されている。
第1〜第3の記録層11〜13においては、それぞれが発色する所望の色に応じ、所定の呈色性化合物、例えばロイコ染料を用いる。例えば第1〜第3の記録層11〜13においてイエロー、マゼンダ、シアンの三原色を発色するようにすれば、この可逆性多色記録媒体10全体としてフルカラー画像の形成が可能になる。ロイコ染料としては、既存の感圧紙、感熱紙用染料等を適用することができる。
また、顕・減色剤としては、従来これらに用いられている長鎖アルキル基を有する有機酸(特開平5−124360号公報、特開平7−108761号公報、特開平7−188294号公報、特開2001−105733号公報、特開2001−113829号公報等に記載)等を適用することができる。
発色組成物21を形成する樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン等が挙げられる。これらの樹脂に必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の各種添加剤を併用してもよい。
光−熱変換組成物22は、第1〜第3の記録層11〜13の各層において、それぞれ異なる波長域に吸収をもつ光−熱変換材料、樹脂ポリマー、及び各種添加剤等により構成されている。例えば、第1〜第3の記録層11〜13において、異なる波長の赤外線(図1中λ1、λ2、λ3)を吸収して発熱する光−熱変換材料が含有されているものとする。
光−熱変換組成物22を構成する光−熱変換材料としては、例えば、可視波長域にほとんど吸収がない近赤外線吸収色素として一般的に用いられる、金属錯体系色素、ジイモニウム塩系色素、アミニウム塩系色素、イミニウム塩系色素、ポリメチン系色素等を適用できる。
さらに、任意の記録層のみを発熱させるために、これら色素は光吸収帯が狭く、互いに重なり合わない材料の組み合わせを選択するのが好ましく、この理由から支持基板に最も近い第1の記録層11を除いては、シアニン、スクアリリウム、クロコニウム系等のポリメチン系色素、またはフタロシアニン、ナフタロシアニン系色素を主成分として用いることにより色かぶりを効果的に防止できる。
また、上記光−熱変換材料として、ポリメチン系色素を用いる場合には、特にこれら色素の劣化を防ぐための添加剤を含有させることが好ましい。添加剤としては、一般的に使用されている、金属錯体系色素、ジイモニウム塩系色素、アミニウム塩系色素、イミニウム塩系色素等を適用できる。さらには、任意の光−熱変換材料のみを発熱させるために、光吸収帯が狭く、互いに重なり合わない材料の組み合わせを選択することが好ましい。
更に、本発明の可逆性多色記録媒体において、支持基板1側からの積層順として、第1の記録層、第2の記録層、・・・、第nの記録層とするとき、光−熱変換組成物22の吸収波長(λmaxn)は、λmax1>λmax2>・・・>λmaxnの関係を有しているものとする。
これは、一般的にフタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素や、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、クロコニウム系色素等は、吸収ピークより長波長側の吸収帯は非常に狭いため、本発明のような積層構造を有する可逆性多色記録媒体においては、記録層の下層ほど長波長に吸収ピークを有するように層構成を設定することにより、上層でのレーザー光の吸収及び下層へのレーザー光の透過等を低減できるからである。その結果、記録感度の向上が図られ、色かぶりを効果的に低減化できる。
光−熱変換組成物22を構成する樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン等が挙げられる。
次に、記録層11〜13を構成する発色組成物21と光−熱変換組成物22との、記録層中における状態について説明する。
図2に示すように、発色組成物21と光−熱変換組成物22とは記録層中において互いに分離された状態で混合されている。
このようにするためには、例えば、発色組成物21形成用の樹脂として水溶性ポリマーを使用する場合には、光−熱変換組成物22形成用の樹脂として非水溶性ポリマーを使用したり、あるいは、発色組成物21形成用の樹脂として非水溶性ポリマーを使用する場合には、光−熱変換組成物22形成用の樹脂として水溶性ポリマーや熱硬化あるいは紫外線硬化等の処理を施した非水溶性ポリマーを使用したりすることにより、双方の樹脂が相溶し合わないようにする方法が挙げられる。
その他としては、発色組成物21形成用の樹脂を溶解させるために使用する溶剤として、光−熱変換組成物22形成用の樹脂を溶解しない材料を選定する方法も挙げられる。
また、上述したような方法に限定されず、光−熱変換組成物22を、周囲の発色組成物21形成用の樹脂と相溶しない材料よりなるバリア層(図示せず)により被覆し、光−熱変換組成物22が、記録層11〜13中において分離・独立した状態で存在するようにしてもよい。
記録層11〜13中において、発色組成物21と光−熱変換組成物22をそれぞれ構成する樹脂が相溶しあう場合、記録層作製プロセスにおいて、両組成物が均一に混合してしまい、顕・減色剤及びロイコ染料が光−熱変換材料の劣化を加速させたり、光−熱変換材料がロイコ染料の劣化を加速させたりし、繰り返し特性あるいは保存特性などの信頼性に影響を及ぼす。このことから、本発明においては、発色組成物21と光−熱変換組成物22とは、互いに分離させた状態で記録層11〜13中に混合されるものとした。
さらにまた、記録層11〜13中で、光−熱変換組成物22が、発色組成物21が存する領域から分離・独立した状態で存在するようにするためには、光−熱変換組成物22は、記録層11〜13の層厚を考慮しつつ充分に微細なものである必要がある。
微細化方法としては、粉砕機、ボールミルによる方法やスプレー乾燥法等が挙げられ、何ら制限はなく、記録感度の向上、あるいは記録画像の高精彩化のためには粒子径が5μm以下であることが好ましく、更には2μm以下であることが望ましい。
次に、本発明の可逆性多色記録媒体10の製造方法について、その要部である記録層11〜13の成膜方法に関し説明する。
先ず、光−熱変換材料、及び各種添加剤等を、任意の溶剤を用いて樹脂ポリマー中に溶解させ、その後溶剤を揮発させ、上述したような微細化処理を行い、微細粒子状の光−熱変換組成物22を作製する。
続いて、呈色性化合物、顕・減色剤、及び各種添加剤等を任意の溶剤を用いて樹脂ポリマー中に溶解させた塗料状の発色組成物21を作製する。
そして、発色組成物21と光−熱変換組成物22とを混合して記録層形成用塗料とし、これを所望の位置に塗布することによって記録層11〜13を成膜する。
なお、このとき、光−熱変換組成物22を構成する樹脂ポリマーとして、光−熱変換組成物22の周囲に存する記録層11〜13中の成分と相溶しないものを選定することが望ましいが、上述したように、光−熱変換組成物22を、周囲の発色組成物21形成用の樹脂と相溶しない材料よりなるバリア層(図示せず)により被覆された構成とする場合には、任意の材料を選定することができる。
なお、光−熱変換組成物22は、記録層形成用塗料の溶剤には溶解しないため、発色組成物21を構成する材料と共に同時混合可能であり、図2に示したような構成の他、例えば、特開2001−1645号公報に記載されているように、発色組成物21と光−熱変換組成物22とをそれぞれ独立に積層させた多層構成の記録層とすることもできる。
記録層11〜13は、それぞれ膜厚1〜20μm程度に形成することが望ましく、更には2〜10μm程度が望ましい。これらの膜厚が1μm未満であると充分な発色濃度が得られず、15μmを超えた膜厚になると記録層11〜13の熱容量が大きくなり、発色性や消色性が劣化するためである。
第1の記録層11と第2の記録層12との間、第2の記録層12と第3の記録層13との間には、それぞれ透光性の断熱層14、15を形成することが望ましい。これによって隣接する記録層からの熱伝導が回避され、いわゆる色かぶりの発生を防止することができる。
断熱層14、15は、従来公知の透光性のポリマーを用いて形成することができる。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン等が挙げられる。
また、断熱層14、15は透光性の無機膜を用いて形成することもできる。例えば、多孔質のシリカ、アルミナ、チタニア、カーボン、またはこれらの複合体等を用いると、熱伝導率が低くなり断熱効果が高く好ましい。これらは液層から膜形成できるゾル−ゲル法によって形成することができる。
断熱層14、15は、膜厚3〜100μm程度に形成することが望ましく、さらには5〜50μm程度に形成することが好ましい。これらの膜厚が薄すぎると充分な断熱効果が得られず、膜厚が厚すぎると、後述する記録方法において記録媒体全体を均一加熱する際に熱伝導性が劣化したり、透光性が低下したりするためである。
保護層16は、従来公知の紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いて形成することができ、膜厚は0.1〜20μm、さらには0.5〜5μm程度とすることが望ましい。
保護層16の膜厚が0.1μm未満であると充分な保護効果が得られず、一方、20μmを超えた膜厚にすると熱伝導性が悪化するという不都合を生じるためである。
次に、可逆性多色記録媒体10を用いた多色記録を行う原理について説明する。
先ず、多色記録の第1の原理を説明する。
図1に示した記録媒体10を、各記録層が消色する程度の温度、例えば120℃程度の温度で全面加熱し、次に冷却し、第1〜第3の記録層11〜13を予め消色状態にしておく。すなわちこの状態においては、支持基板1の色が露出している状態となっているものとする。
次に、記録媒体10の任意の部分に、波長及び出力を任意に選択した赤外線を半導体レーザー等により照射する。
例えば第1の記録層11を発色させる場合には、波長λ1の赤外線を第1の記録層11が発色温度に達する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて、呈色化合物と顕・減色剤との間の反応を起こさせ、照射部分を発色させる。
同様に、第2の記録層12及び第3の記録層13についても、それぞれ波長λ2、λ3の赤外線を発色温度に達する程度のエネルギーを照射してそれぞれの光−熱変換材料を発熱させて照射部分を発色させる。
上述したように、記録媒体10の任意の部分を発色させることができ、フルカラー画像形成や種々の情報の記録が可能となる。
また、上記のようにして発色させた所定の記録層において、さらに任意の波長の赤外線を、各記録層11〜13が消色温度に達する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて、呈色化合物と顕・減色剤との間で消色反応を起こさせることによって、記録の消去を行うことができる。
また、上述のようにして一部を着色化させた記録媒体10の全体を、全ての記録層が消色する程度の温度、例えば120℃で一様に加熱することによって、記録情報や画像を消去することができ、その後上述したような操作を行うことにより繰り返し記録が可能である。
次に、多色記録の第2の原理を説明する。
先ず、図1に示した可逆性多色記録媒体10を、各記録層11〜13が発色する程度の温度、例えば200℃程度の高温で全面加熱し、次に冷却し、第1〜第3の記録層11〜13を全て予め発色状態にしておく。
次に、可逆性多色記録媒体10の任意の部分に、波長及び出力を任意に選択した赤外線を半導体レーザー等により照射する。
例えば第1の記録層11を消色させる場合には、波長λ1の赤外線を第1の記録層11が消色する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて記録層11を消色状態とする。
同様に、第2の記録層12及び第3の記録層13についても、それぞれ波長λ2、λ3の赤外線を、消色温度に達する程度のエネルギーで照射してそれぞれの光−熱変換材料を発熱させて照射部分を消色させることができる。
上述のようにすることによって、記録媒体10の任意の部分を消色させることができ、フルカラー画像形成や種々の情報の記録が可能となる。
上記のようにして消色させた各記録層11〜13において、さらに任意の波長の赤外線を、各記録層11〜13が発色温度に達する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて、呈色化合物と顕・減色剤との間の発色反応を起こさせることによって、記録層の任意の部分を発色化させることができる。
更に、上述のようにして一部を消色化、あるいは発色化させた可逆性多色記録媒体10の全体を、全ての記録層が着色する程度の温度、例えば200℃で一様に加熱し、次いで冷却することによって、記録情報や画像を消去することができ、上述した操作を行うことにより、再度繰り返し記録が可能となる。
本発明の記録媒体10に対して、上記第1の原理、及び第2の原理に示した記録方法のうち、いずれの方法を適用するかは、記録層の特性、記録光源の性能に合わせて適宜選択する。
例えば、記録層を高温で発色してそれ以下の温度で消色する、いわゆるポジ型の層として形成してもよく、高温で消色してそれ以下の温度で発色する、いわゆるネガ型の層として形成してもよい(例えば特開平8−197853号公報)。
次に、本発明の可逆性多色記録媒体について、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明は以下に示す例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
下記においては、図1に示したように、支持基板1上に第1の記録層11、断熱層14、第2の記録層12、断熱層15、第3の記録層13、及び保護層16が順次積層された、三層の記録層を有する可逆性多色記録媒体を作製する。
支持基板1として、厚さ1mmの白色のポリエチレンテレフタレート基板を用意した。
次に第1の記録層11を形成した。すなわち支持基板1上に下記材料を含有する塗料をペイントシェイカーを用いて24時間分散させた後、ワイヤーバーで塗布し、110℃にて5分間加熱乾燥処理を施し、シアンに発色させることのできる記録層を膜厚5μmに形成した。
第1の記録層11に含有する光−熱変換組成物の波長940nmの光における吸光度は1.0であった。
(第1の記録層用の発色組成物)
ロイコ染料(下記化学式(1)に示す物質):2重量部
Figure 0004470469
顕・減色剤(下記化学式(2)に示す物質):4重量部
Figure 0004470469
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体:5重量部
(塩化ビニル90%、酢酸ビニル10%、平均分子量(M.W.)115000)
メチルエチルケトン(MEK):91重量部
(第1の記録層用の光−熱変換組成物)
シアニン系赤外吸収色素:0.19重量部
(H.W.SANDS社製、SDA7775、記録層中での吸収波長ピーク:933nm)
一重項酸素失活剤:0.10重量部
(林原生物化学研究所製、NKX−1199)
塩化ビニル−酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合体:5重量部
(塩化ビニル91%、酢酸ビニル3%、ビニルアルコール6%)
イソシアネート化合物:1重量部
(日本ポリウレタン社製、コロネートL)
テトロヒドラフラン(THF):91重量部
上記した材料を混合し、48時間、80℃のオーブンに保存し、充分に熱硬化させ、ボールミルにより平均粒径1μmに粉砕し、微粒子状とした。
上述のようにして成膜した第1の記録層11上に、ポリビニルアルコール水溶液を塗布、乾燥して膜厚20μmの断熱層14を形成した。
断熱層14上に、第2の記録層12を形成した。すなわち下記材料を含有する塗料をペイントシェイカーを用いて24時間分散させた後、塗料をワイヤーバーで塗布し、110℃にて5分間加熱乾燥処理を施し、マゼンダに発色させることのできる記録層を膜厚5μmに形成した。
第2の記録層12に含有する光−熱変換組成物の波長860nmの光における吸光度は1.0であった。
(第2の記録層用の発色組成物)
ロイコ染料(下記化学式(3)に示す物質):1.8重量部
Figure 0004470469
顕・減色剤(下記化学式(2)に示す物質):4重量部
Figure 0004470469
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体:5重量部
(塩化ビニル90%、酢酸ビニル10%、平均分子量(M.W.)115000)
メチルエチルケトン(MEK):91重量部
(第2の記録層用の光-熱変換組成物)
シアニン系赤外吸収色素:0.12重量部
(H.W.SANDS社製、SDA5688、記録層中での吸収波長ピーク861nm)
一重項酸素失活剤:0.10重量部
(住友精化製、EST5−Ni)
塩化ビニル-酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合体:5重量部
(塩化ビニル91%、酢酸ビニル3%、ビニルアルコール6%)
イソシアネート化合物:1重量部
(日本ポリウレタン社製、コロネートL)
テトロヒドラフラン(THF):91重量部
上記した材料を混合して得られた光-熱変換組成物を、48時間、80℃のオーブンに保存し、充分熱硬化させ、ボールミルにより平均粒径1μmに粉砕し、微粒子状とした。
上述のようにして成膜した第2の記録層12上に、ポリビニルアルコール水溶液を塗布、乾燥して膜厚20μmの断熱層15を形成した。
断熱層15上に、第3の記録層13を形成した。すなわち下記材料を含有する塗料をペイントシェイカーを用いて24時間分散させた後、塗料をワイヤーバーで塗布し、110℃にて5分間加熱乾燥処理を施し、イエローに発色させることのできる記録層を膜厚5μmに形成した。
第3の記録層13に含有する光−熱変換組成物の波長800nmの光における吸光度は1.0であった。
(第3の記録層用の発色組成物)
ロイコ染料(下記化学式(4)に示す物質):1.3重量部
Figure 0004470469
顕・減色剤(下記化学式(2)に示す物質):4重量部
Figure 0004470469
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体:5重量部
(塩化ビニル90%、酢酸ビニル10%、平均分子量(M.W.)115000)
メチルエチルケトン(MEK):140重量部)
(第3の記録層用の光−熱変換組成物)
シアニン系赤外吸収色素:0.10重量部
(日本化薬製、CY−10、記録層中での吸収波長ピーク798nm)
一重項酸素失活剤:0.10重量部
(住友精化製、EST5−Ni)
塩化ビニル-酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合体:5重量部
(塩化ビニル91%、酢酸ビニル3%、ビニルアルコール6%)
イソシアネート化合物:1重量部
(日本ポリウレタン社製、コロネートL)
テトロヒドラフラン(THF):140重量部
上述した材料を混合して得られた光−熱変換組成物を、48時間、80℃のオーブンに保存し、充分熱硬化させ、ボールミルにより平均粒径1μmに粉砕し、微粒子状とした。
上述のようにして成膜した第3の記録層13上に、紫外線硬化性樹脂を用いて膜厚約2μmの保護層16を形成し、可逆性多色記録媒体10を得た。
この可逆性多色記録媒体10を、120℃に加熱したセラミックスバーを用いて一様に加熱し、第1、第2及び第3の記録層11〜13を消色状態にしたものをサンプルとした。
〔実施例2〕
実施例1における発色組成物を構成する樹脂ポリマーを、ポリエステルポリオール(ユニチカ製エリーテルUE−3300)に変更した。
その他の条件は実施例1と同様として、サンプルとなる可逆性多色記録媒体を作製した。
〔実施例3〕
実施例1における発色組成物を構成する樹脂ポリマーを、アクリルポリオール樹脂(三菱レイヨン社製:LR503)に変更した。
その他の条件は実施例1と同様として、サンプルとなる可逆性多色記録媒体を作製した。
〔実施例4〕
実施例1における発色組成物を構成する樹脂ポリマーを、ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業社製:BL−1)に変更した。
その他の条件は実施例1と同様として、サンプルとなる可逆性多色記録媒体を作製した。
〔実施例5〕
実施例1において、光−熱変換組成物に含有させたイソシアネート化合物を、コロネートHL(日本ポリウレタン社製)に変更した。
その他の条件は実施例1と同様として、サンプルとなる可逆性多色記録媒体を作製した。
〔実施例6〕
実施例1における発色組成物を構成する樹脂ポリマーをポリビニルアルコールに変更し、溶媒をメチルエチルケトン(MEK)から水に変更し、さらに断熱層に塩化ビニル酢酸ビニル共重合体を用いた。
その他の条件は実施例1と同様として、サンプルとなる可逆性多色記録媒体を作製した。
〔実施例7〕
実施例1における光−熱変換組成物を、ボールミルを用いて平均粒径0.5μmに微細化した粒子とした。
その他の条件は実施例1と同様として、サンプルとなる可逆性多色記録媒体を作製した。
〔実施例8〕
実施例1における光−熱変換組成物を、スプレードライヤーを用いて平均粒径0.5μmに微細化した粒子とした。
その他の条件は実施例1と同様として、サンプルとなる可逆性多色記録媒体を作製した。
〔比較例1〕
光−熱変換材料(シアニン系赤外吸収色素等)を樹脂ポリマーに含有させず、そのまま発色組成物と混合して記録層を形成した。すなわち、記録層中において分離・独立した状態としなかった。
その他の条件は実施例1と同様として、サンプルとなる可逆性多色記録媒体を作製した。
〔比較例2〕
光−熱変換組成物にイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、コロネートL)を含有させず、発色組成物と混合した。
その他の条件は実施例1と同様として、サンプルとなる可逆性多色記録媒体を作製した。
〔比較例3〕
光−熱変換組成物の平均粒径が6μmとなるように粉砕した。
その他の条件は実施例1と同様として、サンプルとなる可逆性多色記録媒体を作製した。
〔比較例4〕
光−熱変換組成物に含有される光−熱変換材料について変更した。
第1の記録層11中の光−熱変換材料としてシアニン系赤外吸収色素(日本化薬製、CY−10、記録層中での吸収波長ピーク798nm)を用い、第2の記録層12中の光−熱変換材料としてシアニン系赤外吸収色素(H.W.SANDS社製、SDA5688、記録層中での吸収波長ピーク861nm)を用い、第3の記録層13中の光−熱変換材料としてシアニン系赤外吸収色素(H.W.SANDS社製、SDA7775、記録層中での吸収波長ピーク:933nm)を用いた。
その他の条件は実施例1と同様として、サンプルとなる可逆性多色記録媒体を作製した。
〔光学特性の評価方法〕
上述したようにして作製した実施例1〜8、及び比較例1〜4の可逆性多色記録媒体について、それぞれ光学特性の評価を行った。
先ず、可逆性多色記録媒体全体の地肌の反射濃度(O.D.)を、マクベス濃度計によって測定した。
次に、可逆性多色記録媒体を構成する各記録層11〜13に対し、記録用レーザー光の当該波長における各記録層単独での吸光度を測定し、また分光光度計で吸収曲線を測定した。その結果、記録層11〜13の、記録用レーザー光の当該波長における各記録層単独の吸光度は、1.0であった。
なお、吸収曲線は、一つの記録層のみを吸光度測定用透明PETフィルム上に形成し、これを用いて評価した。
〔レーザー記録評価〕
次に、上述したようにして作製した実施例1〜8、及び比較例1〜4の可逆性多色記録媒体について、以下の条件で半導体レーザーの照射を行い、記録線幅、及びベタ画像記録の反射濃度を測定した。
発振中心波長が、800nm、860nm、940nmの半導体レーザー光を、それぞれ、スポット形状30μm×200μm、出力400mWの条件下で照射しながら走査させた。
走査条件は、スポット形状200μmの軸の方向に、速度5.4m/s、走査間隔15μmとし、記録されたベタ画像のCMY(シアン、マゼンダ、イエロー)それぞれの反射濃度の変化をマクベス濃度計により評価した。
次に、120℃のホットスタンプを1秒押し当て画像を消去した。
上述したような記録と消去の作業を100回繰り返し、100回目の記録を行ったときのベタ画像と、100回目に消去を行ったときのCMY(シアン、マゼンダ、イエロー)それぞれの反射濃度の変化をマクベス濃度計により評価した。
〔評価結果〕
実施例1〜8、及び比較例1〜4の光学特性の評価の結果と、レーザー記録評価の結果を下記表1に示した。
Figure 0004470469
表1から明らかなように、実施例1〜8においては、発振中心波長800nm、860nm、940nmの各レーザー光を用いて記録を行ったとき、良好なイエロー、マゼンタ、シアンの発色が得られ、色かぶりも生じなかった。
また、複数のレーザー光を同時に照射すると、それに対応する中間色が得られることが確かめられた。
また、レーザー光の出力を変化させることにより、発色の色調を変化させることができた。
また、レーザーで記録を行った後、120℃のホットスタンプを1秒間接触させることにより、すべての画像を消去することができた。また、レーザー光を照射すると、さらに繰り返して記録を行うことができた。
さらに実施例1〜8においては、100回記録と消去とを繰り返した後においても、良好なイエロー、マゼンタ、シアンの発色が維持されており、色かぶりも生じないことが確かめられた。
また、120℃のホットスタンプを1秒間接触させた場合の、記録消去後の反射濃度が低く、すなわち消え残りが非常に小さく、優れた消去特性が維持され、多数回使用後においてもほぼすべての画像を消去することができることが確かめられた。
比較例1、及び比較例2においては、表1に示した結果から明らかなように、発振中心波長が800nm、860nm、940nmの各レーザー光を用いて記録を行ったとき、良好なイエロー、マゼンタ、シアンの発色が得られ、色かぶりも生じなかった。また複数のレーザー光を同時に照射すると、それに対応する中間色が得られた。
しかし、100回記録及び消去を繰り返した後は、イエロー、マゼンタ、シアンの発色が劣化した。
また、120℃のホットスタンプを1秒間接触させて消去を行った後には、消え残りがあり、すべての画像を消去することができなかった。これは、比較例1においては、光−熱変換材料を樹脂ポリマーに含有させず、発色組成物内に添加・混合させたため、光−熱変換材料あるいはロイコ染料、顕・減色剤が劣化したためである。また比較例2においては、イソシアネート化合物を使用しなかったため、混合プロセスにおいて発色組成物と光−熱変換組成物が相溶してしまい、その結果、光−熱変換材料あるいはロイコ染料、顕・減色剤が劣化したためである。
また、比較例3においては、記録層の膜厚に対し、光−熱変換組成物の平均粒径が大きすぎ、すなわち非発色成分が多すぎるようになっているため、良好な反射濃度は得られなかった。
また、比較例4においては、所定の吸収ピーク波長の光−熱変換材料が存在する記録層11〜13を、実施例1と積層順が逆であるものとしたため、最上層では良好な反射濃度が得られたものの、それより下層では反射濃度が低下し、記録特性が劣化した。
これは、光−熱変換材料は、吸収ピークより長波長側の吸収帯が非常に狭く、逆に低波長側が広いため、記録層の最上層に、最も吸収波長の長い光−熱変換材料を含有させると、それより下層の記録層に書き込みを行う際、上層にてレーザー光が吸収され、下層へのレーザー光の到達量が低減してしまうためである。
本発明の可逆性多色記録媒体の一例の概略断面図を示す。 記録層における発色組成物と光−熱変換組成物の状態図を示す。
符号の説明
1……支持基板、10……可逆性多色記録媒体、11……第1の記録層、12……第2の記録層、13……第3の記録層、14,15……断熱層、16……保護層、21……発色組成物、22……光−熱変換組成物

Claims (3)

  1. 支持基板の面方向に、可逆的に異なる色調に発色する発色組成物が含有されてなる複数の記録層が、前記支持基板側から、第1の記録層、第2の記録層、・・・、第nの記録層となるように、それぞれ透光性の樹脂からなる断熱層を介して分離・積層形成されてなり、
    前記発色組成物は、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤とを含有するものであり、
    前記複数の記録層には、少なくとも、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収する光−熱変換材料が樹脂中に含有されてなる粒子径が5μm以下の微粒子状の光−熱変換組成物が、前記発色組成物と分離・独立した状態で混合されてなり、
    前記複数の記録層に含有されている光−熱変換組成物それぞれの吸収波長(λmaxn)が、λmax1>λmax2>・・・>λmaxnの関係にあって、前記光−熱変換組成物が、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収し、発熱することにより、前記呈色性化合物と前記顕・減色剤との間の可逆的反応を起こさせるようになされており、
    前記光−熱変換組成物を構成する樹脂が、その周囲に存する記録層中の樹脂と相溶せず、前記光−熱変換組成物が、前記記録層中において分離・独立した状態で存在する可逆性多色記録媒体。
  2. 前記光−熱変換組成物を構成する光−熱変換材料が、フタロシアニン、ナフタロシアニン系色素、シアニン、スクアリリウム、クロコニウム系のいずれかよりなるポリメチン系色素である請求項1に記載の可逆性多色記録媒体。
  3. 支持基板の面方向に、可逆的に異なる色調に発色する発色組成物が含有されてなる複数の記録層が、前記支持基板側から、第1の記録層、第2の記録層、・・・、第nの記録層となるように、それぞれ透光性の樹脂からなる断熱層を介して分離・積層形成されてなり、
    前記発色組成物は、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤とを含有するものであり、
    前記複数の記録層には、少なくとも、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収する光−熱変換材料が樹脂に含有されてなる粒子径が5μm以下の微粒子状の光−熱変換組成物が、前記発色組成物と分離・独立した状態で混合されてなり、
    前記複数の記録層に含有されている光−熱変換組成物それぞれの吸収波長(λmaxn)が、λmax1>λmax2>・・・>λmaxnの関係にあって、前記光−熱変換組成物が、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収し、発熱することにより、前記呈色性化合物と前記顕・減色剤との間の可逆的反応を起こさせるようになされている可逆性多色記録媒体の製造工程として、
    前記光−熱変換材料を樹脂中に含有させて光−熱変換組成物を作製する工程と、
    当該光−熱変換組成物と、前記発色組成物とを混合し、前記記録層を成膜する工程と、
    前記記録層上に前記断熱層を成膜する工程とを有し、
    前記光−熱変換材料を含有させる前記樹脂として、前記光−熱変換組成物が、前記記録層中において分離・独立した状態で存在するように当該光−熱変換組成物の周囲に存する記録層中の成分と相溶しないものを選定する可逆性多色記録媒体の製造方法。
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