JP4345474B2 - 可逆性記録媒体を用いた記録方法 - Google Patents
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例えば、ロイコ染料タイプ、すなわち樹脂母材中に電子供与性呈色性化合物であるロイコ染料と、顕・減色剤とが分散された記録層を有する記録媒体、及びこれを用いた記録方法についての提案がなされており、これはロイコ染料自体の発色を利用するため、低分子分散タイプに比較してコントラスト、視認性が良好であるという利点を有している。
この方法によれば、光−熱変換材料を含有している層の波長選択性の効果により、任意の記録層のみを発色させることができるとされている。
また、本発明によれば、所望の記録部において、レーザー光が適切に吸収されるようにしたため、繰り返して情報の記録、及び消去を行った場合においても、初期と同等の鮮明な発色性を維持することが可能となった。
図1に本発明の可逆性多色記録媒体の一例の概略断面図を示す。
可逆性多色記録媒体10は、支持基板1上に、記録層2、及び保護層3が形成されてなり、記録層2は、第1の記録部4、第2の記録部5、第3の記録部6が、規則的なパターンをもって配列された構成を有している。
例えばポリエステル、硬質塩化ビニル等の高分子材料の他、ガラス材料、ステンレス等の金属材料、あるいは紙等の材料から適宜選択できる。
但し、オーバーヘッドプロジェクター等の透過用途以外では、支持基板1は最終的に得られる可逆性多色記録媒体10に記録を行った際の視認性の向上を図るため、白色、あるいは金属色のような、可視光に対する反射率の高い材料によって形成することが好ましい。
顕・減色剤としては、従来公知の長鎖アルキル基を有する有機酸(特開平5−124360号公報、特開平7−108761号公報、特開平7−188294号公報、特開2001−105733号公報、特開2001−113829号公報に記載)等を適用することができる。
すなわち、上記λ1、λ2、λ3のうちから選択した波長のレーザー光を照射して、所定の記録部を加熱せしめ、呈色性化合物、例えばロイコ染料と、顕・減色剤との間に反応を起こさせることにより、発色させることができる。
さらに、任意の光−熱変換材料のみを発熱させ、所望の記録部のみを発色させるためには、光−熱変換材料の吸収帯が狭く、記録部毎に互いに吸収帯が重なり合わない材料の組み合わせを選択することが好ましい。
上述したことから、光−熱変換材料は、吸収スペクトルが急峻なシアニン系色素、またはフタロシアニン系色素を適用することが望ましく、これにより色がぶりを効果的に防止することができる。
すなわち、例えば第1の記録部4が波長λ1の赤外線を、第2の記録部5が波長λ2の赤外線を、第3の記録部6が波長λ3の赤外線をそれぞれ吸収して発熱する材料を含有するものとしたとき、波長λ1、波長λ2、波長λ3とが、互いに重なりあわないように、吸収帯を選定する。
図2中、曲線21は第1の記録部4、曲線22は第2の記録部5、曲線23は第3の記録部6の、それぞれに含有されているシアニン色素の吸収スペクトルを示す。
図2に示すように、シアニン色素の吸収スペクトルは、吸収ピークの長波長側が非常にシャープであるが、短波長側は比較的なだらかな曲線となっている。
本発明の可逆性多色記録媒体10においては、波長λ1の赤外線を照射し、第1の記録部4を発色させるときのパターン吸光度を100%であると仮定したとき、これに対し、第2の記録部5及び第3の記録部6のパターン吸光度は40%以下であるものとする。
上記のように特定することにより、波長λ1の赤外線を照射したとき、第2の記録部5、及び第3の記録部6においても吸収されるが、これらに含有されている可逆性感熱発色性組成物を発色させるために必要な温度には到達せず、第1の記録部4のみを発色させることができる。
このように特定することにより、波長λ2の赤外線を照射した場合、第1の記録部4、及び第3の記録部6においても吸収されるが、これらの記録部4、6に含有されている可逆性感熱発色性組成物を発色させるために必要な温度には到達せず、第2の記録部5のみを発色させることができる。
また、発色目的外の記録部におけるレーザー光吸光度が、発色目的の記録部におけるパターン吸光度に対して40%を超えていると、この目的外の記録部をも発色させてしまい、色かぶりが生じることが確認された。なお、照射するレーザーの光量を少なくすれば、上記色かぶりを低減化できるが、全体の発色性が低下することから、実用上望ましくない。
このため、本発明においては、いずれの1の記録部も、当該1の記録部の光−熱変換材料を発熱させるために選択した波長のレーザー光で、当該1の記録部以外の発色を有する他の記録部に照射したときの光−熱変換材料の吸光度が、当該1の記録部に含有されている光−熱変換材料を発熱させるパターン吸光度の40%以下となるように、Y、C、Mの各記録部4〜6の光−熱変換材料を選択・調整し、かつ照射レーザー光の波長を選択することとした。
記録層の膜厚が1μm未満であると充分な発色濃度が得られず、20μmを超えると熱容量が大きくなりすぎ、発色性や消色性が劣化するためである。
例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリエステル等が挙げられ、塗料状の材料を塗布することにより形成してもよく、フィルム状の材料を貼り合わせることにより形成してもよい。また、必要に応じて紫外線吸収剤等の各種添加剤を併用してもよい。
保護層3の膜厚は0.1〜50μmが好ましく、さらには0.5〜30μm程度とすることが望ましい。保護層3の膜厚が薄すぎると充分な保護効果が得られず、膜厚が厚すぎると、後述する記録方法において記録媒体全体を均一加熱する際に熱伝導性が劣化するためである。
先ず、記録層2全体が消色する程度の温度、例えば120℃程度の温度で全面加熱し、記録層2を予め消色状態にしておく。すなわちこの状態においては、支持基板1の色、あるいはその上層に形成した任意の修飾層の表面の色が露出している状態となっている。
例えば第1の記録部4を発色させる場合には、波長λ1の赤外線を第1の記録部4が発色温度に達する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて、呈色化合物と顕・減色剤との間の発色反応を起こさせ、照射部分を発色させる。
同様に第2の記録部5、及び第3の記録部6についても、それぞれ波長λ2、λ3の赤外線を発色温度に達する程度のエネルギーで照射し、それぞれの光−熱変換材料を発熱させることにより、照射部分を発色させる。
図1に示すような面方向に規則的なストライプ状のパターンで第1〜第3の記録部4〜6が形成された可逆性多色記録媒体を作製した。
なお、第1〜第3の記録部4〜6を構成する塗料は、予め、これらを発色させるためのレーザー光に対する吸光度が、それぞれ1になるように調整した。
次に、支持基板1上に、下記調整方法による組成の塗料を150μmピッチで、第1の記録部(イエロー:Y)、第2の記録部(シアン:C)、第3の記録部(マゼンタ:M)の三種類を一単位としてスクリーン印刷によってストライプ状に繰り返し形成し、その後、100℃にて30分間加熱処理を施し、最終的に膜厚4μmの記録層2を形成した。
なお、この記録層2の表面は、顕・減色剤の分散体を含むために粗面になっており、微細な凹凸による入射光の散乱が生じてしまうため、最表面に保護層3を塗布形成し、凹凸による散乱を抑制した。
下記組成物をビーズミルにて攪拌処理し、塗料化した。
ロイコ染料(フルオラン化合物:λmax=490nm):2重量部
顕・減色剤(下記物質):4重量部
(HO−C6H4−NH−C(=O)−NH−(CH2)17−CH3)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体:10重量部
(VYHHダウ・ケミカル日本株式会社製 塩化ビニル:86%/酢酸ビニル:14%、
平均分子量(Mn)=27000)
シアニン系赤外吸収色素:0.1重量部
(日本化薬製CY−10 記録層中での吸収波長ピーク797nm)
メチエチルケトン:100重量部
〔第2の記録部、シアン(C)の組成と塗料調整方法〕
下記組成物をビーズミルにて攪拌処理し、塗料化した。
ロイコ染料(山田化学製H−3035):2重量部
顕・減色剤(下記物質):4重量部
(HO−C6H4−NH−C(=O)−NH−(CH2)17−CH3)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体:10重量部
(VYHHダウ・ケミカル日本株式会社製 塩化ビニル:86%/酢酸ビニル:14%、
平均分子量(Mn)=27000)
シアニン系赤外吸収色素:0.1重量部
(H.W.SANDS製、記録層中での吸収波長ピーク935nm)
メチエチルケトン:100重量部
〔第3の記録部、マゼンタ(M)の組成と塗料調整方法〕
下記組成物をビーズミルにて攪拌処理し、塗料化した。
ロイコ染料(保土ヶ谷化学製Red DCF):2重量部
顕・減色剤(下記物質):4重量部
(HO−C6H4−NH−C(=O)−NH−(CH2)17−CH3)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体:10重量部
(VYHHダウ・ケミカル日本株式会社製 塩化ビニル:86%/酢酸ビニル:14%
平均分子量(Mn)=27000)
シアニン系赤外吸収色素:0.3重量部
(株式会社トスコ製 記録層中での吸収波長ピーク1120nm)
メチエチルケトン:80重量部
シクロヘキサノン:20重量部
光−熱変換材料(赤外線吸収色素)の配合量を変え、その他の製造条件は実施例1と同様とし、第1〜第3の記録部4〜6の、照射レーザー光に対する吸光度を制御して、下記表1に示す吸光度となるような可逆性感熱記録媒体を作製した。
記録したベタ画像について、グレタグマクベス社製の反射型分光光度計を用いて各色調の反射濃度(発色濃度)を測定し、各記録部における目視による色調を評価し、記録目的外の記録部(隣接する記録部)における発色の有無を評価した。
次に、上述のようにして作製した実施例1〜3、比較例1、2の可逆性多色記録媒体サンプルの任意の位置に、上記記録方法と同様の方法によりベタ画像記録を行い、その後、120℃のセラミックバーを用いて消去した。この記録と消去の操作を各サンプルの同じ位置において10回繰り返して行い、その後再度画像形成を行い、この反射濃度(発色濃度)を測定した。
上述した記録画像の評価、及び繰り返し特性の評価の結果を、下記表1に示す。
同様に、第2の記録部5の光−熱変換材料の吸収ピークに対応して選定した波長915nmのレーザー光を照射したときには、第2の記録部5のみ発色させることができ、明瞭なシアンの発色が確認された。
同様に、第3の記録部6の光−熱変換材料の吸収ピークに対応して選定した波長1120nmのレーザー光を照射したときには、第3の記録部6のみ発色させることができ、明瞭なマゼンタの発色が確認された。
これは、第2の記録部5に含まれている光−熱変換材料の吸収ピークの低波長側にも、なだらかな吸収があり、波長800nmのレーザー光にも反応してしまうためである。
これは、第3の記録部6に含まれている光−熱変換材料の吸収ピーク1120nmの低波長側にもなだらかな吸収があるため、波長915nmのレーザー光にも反応してしまうためである。
Claims (1)
- 支持基板の面方向に、発色色相の異なる可逆性感熱発色性組成物を含有する複数の記録部が配列されてなる記録層が形成されており、前記複数の記録部には、発色色相ごとに、それぞれ異なる波長域の赤外線を吸収して発熱するシアニン系赤外吸収色素が含有されている可逆性多色記録媒体を用い、
前記複数の記録部の中から選ばれたいずれの1の記録部も、当該1の記録部に含有されているシアニン系赤外吸収色素を発熱させるために800nm、915nmまたは1080nmの波長のレーザー光を用いて記録し、
当該1の記録部の発色以外の色に発色する他の記録部に照射したときのシアニン系赤外吸収色素の吸光度が当該1の記録部に含有されているシアニン系赤外吸収色素を発熱させるパターン吸光度の40%以下である可逆性多色記録媒体の記録方法。
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