JP4345451B2 - 可逆性多色記録媒体、及びこれを用いた記録方法 - Google Patents

可逆性多色記録媒体、及びこれを用いた記録方法 Download PDF

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Description

本発明は画像またはデータを記録するための可逆性多色記録媒体、及びこれを用いた記録方法に関わる。
近年、地球環境的な見地から、リライタブル記録技術の必要性が強く認識されている。コンピューターのネットワーク技術、通信技術、OA機器、記録メディア、記憶メディア等の進歩を背景としてオフィスや家庭でのペーパーレス化が進んでいる。
印刷物に替わる表示媒体のひとつである、熱により可逆的に情報の記録や消去が可能な記録媒体、いわゆる可逆性感熱記録媒体は、各種プリペイドカード、ポイントカード、クレジットカード、ICカード等の普及に伴い、残額やその他の記録情報等の可視化、可読化の用途において実用化されており、さらには、複写機およびプリンター用途においても実用化されつつある。
上記のような可逆性感熱記録媒体及びこれを用いた記録方法に関しては、従来においても各種提案がなされている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
これらは、ロイコ染料タイプ、すなわち樹脂母材中に電子供与性呈色性化合物であるロイコ染料と、顕・減色剤とが分散された記録層を有する記録媒体、及びこれを用いた記録方法に関するものである。
これらにおいて、顕・減色剤としては、ロイコ染料を発色させる酸性基と、発色したロイコ染料を消色させる塩基性基を有する両性化合物、または長鎖アルキルをもつフェノール化合物等が用いられている。この記録媒体及び記録方法は、ロイコ染料自体の発色を利用するため、低分子分散タイプに比較してコントラスト、視認性が良好であり、近年広く実用化されつつある。
しかしながら上記各特許文献により開示されている従来技術においては、母材の材料の色すなわち地肌の色と、熱により変色した色の2種類の色のみしか表現することができず、近年においては、視認性やファッション性向上のために、多色画像の表示や各種データを色識別して記録したりすることへの要求が非常に高まっている。
これに対し、上記従来方法を応用し、かつ多色画像の表示を行う記録方法が種々提案されている。
例えば、多色に塗り分けられた層や粒子を、低分子分散タイプの記録層で可視化あるいは隠蔽することで、多色表示を行う記録媒体、及びこれを用いた記録方法が開示されている(特許文献6〜8参照。)。しかしこのような構成の記録媒体においては、記録層が下層の色を完全に隠蔽することはできず、母材の色が透けてしまい、高いコントラストが得られなかった。
また、ロイコ染料を用いた可逆性感熱多色記録媒体について、その他の開示もなされているが(例えば、特許文献9、10参照。)、これらは面内に色相の異なる繰り返し単位を有するものであるため、各色相が実際に記録される面積比が小さくなり、記録した画像は非常に暗い、または薄い画像しか得ることはできないという問題を有している。
また、発色温度、消色温度、冷却速度等が異なるロイコ染料を用いた記録層を分離、独立した状態で形成された構成の可逆性感熱多色記録媒体に関する開示もなされている(例えば、特許文献11〜19参照。)。
しかし、サーマルヘッド等の記録熱源による温度コントロールが困難な上、良好なコントラストが得られず、色のかぶりを避けられないという問題を有している。さらには、三色以上の多色化をサーマルヘッド等による加熱温度及び/または加熱後の冷却速度の違いのみでコントロールするのは非常に困難である。
また、ロイコ染料を用いた記録層を、分離、独立した状態で形成した構成の可逆性感熱多色記録媒体において、レーザー光の照射による光−熱変換により任意の記録層のみを加熱し、発色させる記録方法に関する開示もなされている(例えば、特許文献20参照。)。この方法によれば、光−熱変換層の波長選択性の効果により任意の記録層のみを発色させることができ、従来の可逆性多色記録媒体で特に問題とされていた色のかぶりを回避できる可能性がある。
しかしながら、適用する赤外線吸収剤の光吸収特性や、記録に用いるレーザー光の波長との関係、さらには記録層の積層順と照射するレーザー光との関係については何ら検討されておらず、未だ所望の色のみを鮮明に発色させ、色がぶりの問題を完全に解決するに至っておらず、記録感度については、更なる向上が求められていた。
また、色の三原色以外の中間色については色再現性をさらに向上させることが求められており、鮮明なフルカラー表示を可能とした多色記録媒体についての要望が高まってきている。
さらには、特許文献20に開示されている記録媒体においては、光−熱変換層(レーザー光の吸収層)が、バインダーを含有せずに有機溶剤に溶解した光吸収材料を被着させることにより形成することを好適なものとしているため、極めて広い波長領域においてレーザー光の吸収を有するようになってしまい、表示精度が劣化するという欠点を有している。また、かかる方法において成膜されたレーザー光の吸収層は、可視域においても光吸収を有しているため、消去状態において記録層の透明性が劣化し、記録精度が悪化を招来するという問題も有している。
特開平2−188293号公報 特開平2−188294号公報 特開平5−124360号公報 特開平7−108761号公報 特開平7−188294号公報 特開平5−62189号公報 特開平8−80682号公報 特開2000−198275号公報 特開平8−58245号公報 特開2000−25338号公報 特開平6−305247号公報 特開平6−328844号公報 特開平6−79970号公報 特開平8−164669号公報 特開平8−300825号公報 特開平9−52445号公報 特開平11−138997号公報 特開2001−162941号公報 特開2002−59654号公報 特開2001−1645号公報
上述したように、多色感熱記録への要望は大きく、研究が盛んに行われているが、今後においてより一層、記録特性の向上が望まれると考えられている。
そこで本発明においては、このような従来技術の問題に鑑みて、色かぶりが無く、明瞭な発消色及びコントラストを有し、かつ実用上良好な画像安定性を持ち、任意の色調を繰り返して発色・消去可能な、フルカラーの可逆性多色感熱記録媒体、及びこれを用いた記録方法を提供することとした。
また、本発明においては、繰り返し使用しても、記録画質の劣化が極めて少ない、優れた使用耐久性を有する可逆性多色感熱記録媒体を得ることを目的とする。
本発明においては、支持基板の面方向に、互いに発色色相の異なる可逆性感熱発色組成物を含む、第1〜第nの記録層が、支持基板側から順次、分離・独立して形成されてなり、これら第1〜第nの記録層には、それぞれ異なる波長域の近赤外光を吸収して発熱する、光−熱変換組成物が含有されてなり、少なくとも第2〜第nの記録層の前記光−熱変換組成物には、少なくとも一重項酸素失活剤と、所定の波長域の近赤外光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有され、前記光−熱変換材料としてシアニン系色素を用い、一重項酸素失活剤をシアニン系色素に対して重量比で0.1倍〜2倍用いる可逆性多色記録媒体を提供する。
本発明の可逆性多色記録媒体の記録方法は、支持基板の面方向に、互いに発色色相の異なる可逆性感熱発色組成物を含む、第1〜第nの記録層が、順次、分離・独立して形成されてなり、第1〜第nの記録層は、それぞれ異なる波長域の近赤外光を吸収して発熱する、光−熱変換組成物を含有しており、第2〜第nの記録層の光−熱変換組成物は、少なくとも、シアニン系色素よりなる光−熱変換材料と、シアニン系色素に対して重量比で0.1倍〜2倍用いる一重項酸素失活剤とを含有しているものとした可逆性多色記録媒体を用いて、発振中心波長(λ1、λ2、・・・λn)が、それぞれ750nm〜1500nmの範囲にある、レーザー光を照射することによって、記録または消去を行うものとする。
上記のように、一重項酸素失活剤を含有させることによって、光−熱変換組成物の劣化が抑制される。
本発明によれば、光−熱変換組成物に、シアニン系色素よりなる光−熱変換材料と、シアニン系色素に対して重量比で0.1倍〜2倍用いる一重項酸素失活剤を含有させたことによって、繰り返し使用しても光−熱変換組成物の劣化が抑制され、波長選択した近赤外レーザー光により繰り返して記録を行っても、画質の劣化がない、明瞭な記録、及び消去を長期に亘って維持することができた。
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照して説明するが、本発明の可逆性多色記録媒体、及びその記録方法は、以下の例に限定されるものではない。
図1に本発明の可逆性多色記録媒体の一例の概略断面図を示す。
可逆性多色記録媒体10は、支持基板1上に、n層(この例においては、三層)の記録層、すなわち第1の記録層11、第2の記録層12、及び第3の記録層13が、それぞれ断熱層14、15を介して積層されており、最上層に保護層18が形成された構成を有している。
支持基板1は、耐熱性に優れ、かつ平面方向の寸法安定性の高い材料であれば従来公知の材料を適宜使用することができる。例えばポリエステル、硬質塩化ビニル等の高分子材料の他、ガラス材料、ステンレス等の金属材料、あるいは紙等の材料から適宜選択できる。但しオーバーヘッドプロジェクター等の透過用途以外では、支持基板1は最終的に得られる可逆性多色記録媒体10に対して情報の記録を行った際の視認性の向上を図るため、白色、あるいは金属色を有する可視光に対する反射率の高い材料を適用することが好ましい。
第1〜第3の記録層11〜13は、安定した繰り返し記録が可能な、消色状態と発色状態とを制御し得る可逆性感熱発色組成物と、それぞれが異なる波長域に吸収を有する光−熱変換組成物とを用いて形成されているものとする。
なお、第1〜第3の記録層11〜13は、図2に示すように、一の層中に可逆性感熱発色性組成物21と光−熱変換組成物22とが混合された状態で含有されていてもよく、図3〜図5に示すように、可逆性感熱発色組成物21と光−熱変換組成物22とが、互いに分離された状態となされていてもよい。
詳しくは、図3においては、所定の樹脂中に含有され、あるいはマイクロカプセル中に封入された光−熱変換組成物22、あるいは可逆性感熱発色性組成物21が、他の一方と分離されてなる構成を表している。
これは、可逆性感熱発色組成物21と光−熱変換組成物22とを、それぞれ互いに溶解しない樹脂バインダー中に含有させて混合する方法や、可逆性感熱発色組成物21、光−熱変換組成物22のいずれかを、例えばマイクロカプセル23中に封入して層中に含有させる方法により、形成することができる。
また、図4、図5においては、光−熱変換組成物22を含有する層と、可逆性感熱発色性組成物21を含有する層とが分離・独立に積層形成されている構成を表している。
このように、可逆性感熱発色組成物21と光−熱変換組成物22とを分離することにより、例えば、可逆性感熱発色組成物21と光−熱変換組成物22とが材料的に互いに阻害反応を起こすような場合においても、本来目的とする記録層11〜13の発色・消色機能を実現することができる。
第1〜第3の記録層11〜13は、それぞれが発色する所望の色に応じ、所定の染料を用いて形成する。例えば第1〜第3の記録層11〜13において、イエロー、シアン、マゼンダの三原色を発色するようにすれば、可逆性多色記録媒体10全体としてフルカラー画像の形成が可能になる。
可逆性感熱発色性組成物21は、電子供与性を有する呈色性化合物、例えばロイコ染料と、電子受容性を有する顕・減色剤とを含有するものである。
ロイコ染料としては、既存の感圧紙、感熱紙用染料等を適用することができる。
一方、顕・減色剤としては、長鎖アルキル基を有する有機酸(特開平5−124360号公報、特開平7−108761号公報、特開平7−188294号公報、特開2001−105733号公報、特開2001−113829号公報等に記載)等を適用することができる。
第1〜第3の記録層11〜13中の光−熱変換組成物22は、少なくとも光−熱変換材料と、一重項酸素失活剤とが含有されている。このうち光−熱変換材料としては、可視波長域にほとんど吸収がなく、また後述するように、色かぶりを防止し記録感度を向上させるため、吸収帯の幅が狭い色素が好適である。例えば近赤外吸収色素であるシアニン色素を主成分として用いるのが好ましい。
シアニン色素は、可視域の吸収が少なく、近赤外域に鋭い吸収を持っている。構造により吸収極大波長が変化するので、記録に用いるレーザー波長に適したものを選択することができる。
図1の可逆性多色記録媒体10においては、第1の記録層11が波長λmax1近傍、第2の記録層12が波長λmax2近傍、第3の記録層13が波長λmax3近傍の赤外線を、それぞれ吸収して発熱する光−熱変換組成物を含有しているものとする。
但し、記録光としてレーザー光を適用するため波長範囲は750nm〜1500nmとし、後述するように、色かぶりを防止し記録感度を向上させるため、上記各記録層に含有されている光−熱変換組成物の吸収ピーク波長は、支持基板1側に形成されている層が最も長波長であり、積層順に表層に向かうに従って短波長となるものとする。すなわち、1500nm>λmax1>λmax2>λmax3>750nmであるものとする。
また、図2に示すように、可逆性感熱発色組成物21と光−熱変換組成物22とを混合して一の記録層中に含有させる構成の場合には、製造工程を簡略化できるという利点を有しており、また、図3〜図5に示すように、これらを分離、独立させて記録層を形成する場合には、これら組成物間における化学反応による劣化を防止することができるという利点を有している。
なお、図4及び図5に示すように、可逆性感熱発色組成物21と光−熱変換組成物22とを含有する層を、それぞれ分離独立した状態で積層形成する場合には、光−熱変換組成物22を所定の樹脂バインダー等に均一に溶解させた状態とすることが望ましい。
これは、樹脂バインダーを用いずに光−熱変換組成物22、すなわち赤外線吸収色素を結晶状態や薄膜状態として層を構成させると、色素の凝集や二量化により、近赤外域における吸収スペクトルがつぶれてしまい、好ましい光吸収特性を得ることができないためである。
具体的に赤外線吸収色素の一例としてシアニン色素を用いた場合の光吸収特性について、図6を参照して説明する。
曲線31は、樹脂バインダー中にシアニン色素を溶解させて層を形成した場合の吸収特性を示し、曲線32は、シアニン色素を有機溶剤中に溶解させて塗布しその後有機溶媒を蒸発させ薄膜状態として層を形成した場合の吸収特性を示す。
これらを比較すると、曲線31に示すように、樹脂バインダー中に色素を溶解させた場合には、極めて急峻な光吸収特性が得られたが、曲線32に示すように、シアニン色素を薄層状態とした場合には、広い波長領域において高い吸収を有しているため、色かぶりを生じて鮮明な記録を行うことができず、また可視領域にも吸収を有しているため、消去状態においても充分な透明性が得られないという不都合が生じる。
但し、支持基板1に最も近い第1の記録層11においては、これよりも上層の記録層を透過する波長の光に吸収を有していればよいため、必ずしも吸収帯の狭い上記有機色素を用いなくてもよい。
また、少なくとも第2〜第3の記録層に対応する光−熱変換組成物には、近赤外吸収色素の劣化を防止するため一重項酸素失活剤を含有させる。
この一重項酸素失活剤は、色素の分解等を防止する安定化剤の一種である。
レーザー光を吸収したシアニン色素等の光−熱変換材料が励起され、その励起エネルギーの一部が近くの酸素に与えられる。エネルギーを受けた酸素は一重項酸素となり、光−熱変換材料を分解する。一重項酸素失活剤は、光−熱変換材料と酸素を隔離したり、一重項酸素の励起エネルギーを吸収したりして、光−熱変換材料(色素)が一重項酸素に攻撃されるのを回避する効果がある。
一重項酸素失活剤としては、共役ポリエン、遷移金属錯体、ヒンダードアミン、アミン類、アミニウム塩、及びイミニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用する。具体的には、下記に示す式(1)〜(43)に示される化合物が挙げられる。
但し、式(12)〜(39)において、Mは、Cu、Ni、Co、Fe、Pt、Pdから適宜選択するものとし、(40)〜(43)において、Mは、Cu、Ni、Co、Fe、Pt、Pd、Crから適宜選択する。
また、式中、Meはメチル基、Buはブチル基を表す。
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上述したような一重項酸素失活剤の添加量は、光−熱変換組成物に含有されるシアニン系色素に対して、重量比で0.05倍〜4倍が好ましく、さらに0.1倍〜2倍がより好ましい。
第1〜第3の記録層11〜13形成用の樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン等が挙げられる。これらの樹脂に必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を併用してもよい。
次に、第1〜第3の記録層11〜13の形成方法について説明する。
先ず、図2に示したような構成の場合には、上記可逆性感熱発色性組成物、光−熱変換組成物、及び各種添加剤を、所定の樹脂中に溶解あるいは分散させて塗料を作製し、これを所定の面上に塗布することによって記録層を形成することができる。
第1〜第3の記録層11〜13は、膜厚1〜15μm程度に形成することが望ましく、さらには1.5〜8μm程度が好ましい。これらの膜厚が薄すぎると充分な発色濃度が得られず、逆に厚過ぎると記録層の熱容量が大きくなることによって記録感度すなわち発色性や、消色性が劣化するためである。
図3に示したような構成の場合には、例えば、ロイコ染料、顕・減色剤及び各種添加剤と、光−熱変換組成物とを、それぞれ相溶性を有さない樹脂中に溶解するか、あるいは光−熱変換組成物をマイクロカプセルに封入させ、所定の溶媒を用いてこれらを混合した塗料を作製し、これを塗布することによって形成することができる。
図4、図5に示したような構成の場合には、光−熱変換組成物22を溶媒を用いて樹脂中に溶解させて塗料を塗布し、続いて、ロイコ染料、顕・減色剤、各種添加剤を、溶媒を用いて樹脂中に溶解あるいは分散させて作製した塗料を所定の面上に塗布することによって形成することができる。
このとき、互いの層を構成する樹脂として互いに相溶性を有さないものを選定して用いるか、最初に塗布した層を熱あるいは光により硬化させた後に上層を形成することによって層間の混合を防ぐようにすることが望ましい。
第1の記録層11と第2の記録層12との間、第2の記録層12と第3の記録層13との間には、それぞれ透光性の断熱層14、15を形成することが望ましい。これによって記録時に、隣接する記録層の熱が伝導してしまうことが回避され、いわゆる色かぶりの発生を防止する効果が得られる。
断熱層14、15は、従来公知の透光性のポリマーを用いて形成することができる。例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン等が挙げられる。これらのポリマーには必要に応じて紫外線吸収剤等の各種添加剤を併用してもよい。
また、断熱層14、15としては透光性の無機膜を適用することもできる。例えば、多孔質のシリカ、アルミナ、チタニア、カーボン、またはこれらの複合体等を適用すると熱伝導率の低減化が図られ好ましい。これらは、液層から膜形成できるゾル−ゲル法によって形成することができる。
断熱層14、15は、膜厚2〜100μm程度に形成することが望ましく、さらには4〜50μm程度が好ましい。断熱層の膜厚が薄すぎると充分な断熱効果が得られず、膜厚が厚すぎると、後述する記録媒体全体を均一加熱する際に熱伝導性が劣化したり、透光性が低下したりするためである。
なお、特開2001−1645号公報に記載されているように、断熱層として空気層を用いると、各記録層間の断熱には効果的であるが、後述するように、記録媒体全体を均一に加熱し、情報を消去する際に下層に形成されている記録層にまで熱が伝わりにくくなるという不都合がある。これにより、消去に時間がかかったり、高温での加熱が必要になったりして、媒体やその基材を劣化させてしまうおそれがある。
さらに、媒体曲げや圧力などに対する機械的強度が低下するおそれもある。また、同公報に記載されているように、記録層間にスペーサーを介して空気断熱層を形成した場合は、スペーサーがある位置と無い部分とでは、極端に記録の感度が異なるようになるため、情報を記録する際にムラや抜けなどの欠陥ができてしまうという不都合が生じる。
保護層18は、従来公知の紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いて形成することができ、膜厚は0.5〜50μm程度とすることが望ましい。
保護層18の膜厚が薄すぎると充分な保護効果が得られず、厚すぎると伝熱しにくくなるという不都合が生じるためである。
次に、図1に示した可逆性多色記録媒体10を用いて、多色記録、及び消去を行う原理について、詳細に説明する。
先ず、各記録層が消色する程度の温度、例えば120℃程度の温度で全面加熱し、第1〜第3の記録層11〜13を予め消色状態にしておく。すなわちこの状態においては、支持基板1の色が露出している状態となっているものとする。次に可逆性多色記録媒体10の任意の部分に、波長及び出力を任意に選択した赤外線を半導体レーザー等により照射する。
例えば第1の記録層11を発色させる場合には、波長λmax1付近の赤外線を第1の記録層11が発色温度に達する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換組成物を発熱させて、電子供与性呈色化合物と電子受容性顕・減色剤との間の発色反応を起こさせ、照射部分を発色させる。
同様に、第2の記録層12及び第3の記録層13についても、それぞれ波長λmax2、λmax3付近のレーザー光を、対応する記録層が発色温度に達する程度のエネルギーで照射して、それぞれの光−熱変換組成物を発熱させ、照射部分を発色させる。
このようにして可逆性多色記録媒体10の任意の部分を、所望の色相に発色させることができる。このとき、発振波長帯が異なるレーザー光源を、光−熱変換材料を含む記録層の数と同数使用することにより、すべての色相の記録が可能となる。
さらに可逆性多色記録媒体10の同位置に、複数の波長のレーザー光を照射することにより、対応する記録層の発色色相の混合色が得られる。このとき、照射するレーザー光のエネルギーを調整することにより、混合色の色調についても表示可能となる。すなわち各記録層において、それぞれイエロー、シアン、マゼンダに発色するように設定すれば、上記の方法を採ることにより、可逆性多色記録媒体10の任意の部分にフルカラーの画像や種々の情報を記録することができる。
また、上記のようにして発色させた記録層において、第1〜第3の記録層11〜13が消色する程度の温度、例えば120℃に一様に加熱することにより、記録情報や画像を消去することができ、繰り返し記録を行うことができる。
本発明の可逆性多色記録媒体は、図1に示した構成に限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、第1〜第3の記録層の上層に、さらに第1〜第3の記録層とは発色色相の異なる可逆性感熱発色組成物を含有する上層記録層17を形成した構成としてもよい。
なお、この上層記録層17は、光−熱変換組成物を含有させないものとしてもよい。この場合には、例えばサーマルヘッド等による接触型の熱源を用いることにより、情報の記録及び消去を行うことができる。
また、本発明の可逆性多色記録媒体は、記録層の数に特に制限はないが、層数が多くなると作製工程が複雑化したり、下層の記録感度が低下して可視域の視認成が低下したりする等の問題が生じる。このような問題に鑑み、かつフルカラー表示を行うためにはイエロー、シアン、マゼンダの三原色が発色できればよいことを考慮すれば、必ずしも三層よりも多層にする必要はない。
但し、表示画像の明瞭性を向上させるためには、ブラックに発色する記録層を付加させることが望ましい。すなわち、記録層の数は2〜4層が好適である。
また、記録層を二層とした場合の好ましい実施形態としては、視認成の良いブラック、ブルー、レッド等のうちの二色を組み合わせた構成のものが挙げられる。
記録層を三層とした場合の好ましい実施形態としては、イエロー、シアン、マゼンダの三原色によるフルカラー記録可能構成としたものが挙げられる。
記録層が4層の場合には、イエロー、シアン、マゼンダと、ブラックに発色可能な記録層による構成が考えられる。例えば、図7に示すように、断熱層16を介して最上層に第4の記録層17を設け、この第4の記録層を、光−熱変換材料を含有しないブラックに発色する記録層であるものとすることにより、フルカラー画像の視認性の向上を図ることができる。
また、照射レーザー光と、サーマルヘッドとを別途使い分けることにより、場合に応じて下層三層によるフルカラー画像と、サーマルプリンターによる黒色記録等を使い分けることもできる。
次に、高感度記録を実現するために記録層に含有される光−熱変換組成物に要求される光学特性について説明する。
本発明の可逆性多色記録媒体は、記録光として近赤外域のレーザー光(波長750〜1500nm)を適用する。光を熱に変換するためには、光−熱変換組成物がその光の波長域で吸収を持たなくてはならない。
記録光として可視域の光を採用した場合は、可視域に吸収をもつ光−熱変換組成物を用いることとなる。その結果、可逆性感熱発色組成物が、消色状態とした場合においても媒体自体が着色しているため視認性が著しく低下する。
例えば、特開2001−1645号公報の実施例に示されているように、可視域である655nmに吸収を持つ色素を光−熱変換組成物に使用した場合、消去状態の記録媒体は赤領域の光を吸収し、その結果、地肌の色が青や緑、水色になってしまい視認性が著しく低下する。
これに対し、本発明のように記録光として近赤外域の光を適用すると、可視域にほとんど吸収を持たない光−熱変換組成物を適用することが可能となるので極めて優れた視認性が得られるようになる。またこの場合、記録に用いる光源として、低コスト、小サイズ、高速変調、高出力などの面で優れている半導体レーザーを使用することができるという利点も有している。
工業的に特に多く生産されている高出力半導体レーザーとしては、発振波長が780〜810nm、830nm、850〜870nm、910〜920nm、930〜940nm、980nm、1010〜1060nm、1470nm付近のものがある。従って、記録に用いるレーザー光をこれらの波長の中から選択することが好ましい。
本発明の可逆性多色記録媒体において、記録層に含有される可逆感熱発色組成物は、その消色状態においては、理論的に可視域でほぼ無色透明である。
しかし、実際には記録層中に含有されている光−熱変換組成物は、可視域においてわずかながら吸収を持っている。
本発明の可逆性多色記録媒体において、最も効果が発揮されると思われるフルカラー画像記録を行うためには、消去状態における記録媒体の明るさ、すなわち地肌の反射率がきわめて重要な要素となる。
上述したことに鑑みて、本発明においては、光−熱変換組成物に、近赤外吸収色素及び一重項酸素失活剤を含有させたことにより、繰り返し記録を行った場合においても、記録媒体全体の消色濃度を低く保ち、優れた視認性、各発色のコントラストを確保することができることが確かめられた。
次に、各記録層の光−熱変換組成物の吸収特性について説明する。
図8(a)、(b)に、光−熱変換組成物の吸収特性の模式的概略図を示す。なお、図8(a)は、三層構造の可逆性多色記録媒体の記録層のみを示した概略構成図であるものとし、図8(b)は、各記録層の吸収特性に対応しているものとする。
図8(a)、(b)に示すように、各記録層11〜13に対応する光−熱変換組成物の光吸収帯が、適用するレーザー光L1、L2、L3の波長間隔よりも充分狭い場合は、各波長のレーザー光によって、それぞれの記録層11〜13を独立に発色させ、記録を行うことが可能となり、色かぶりが生じない。
これに対し、図9(a)の可逆性多色記録媒体の概略構成図、及び図9(b)の各記録層の吸収特性に示すように、各記録層11〜13に対応する光−熱変換組成物の吸収帯が、記録に用いるレーザー光L1、L2、L3の波長間隔と比較して広い場合は、最上層以外の記録層、例えば図9(a)の第2の記録層12を記録する際に、第3の記録層13においてレーザー光L2が吸収されてしまうため、第2の記録層12のみを効率よく加熱することができない。また、L2の光で第3の記録層13を発色させてしまい、色かぶりを生じてしまう。
同様に、図9(a)の第1の記録層11を記録する場合も、上層でレーザー光が吸収されてしまい、効率よく記録することがでず、さらには色かぶりが起こる。
従って、少なくとも第1の記録層11を除く、他の記録層に対応する光−熱変換組成物の吸収帯は、記録に用いるレーザー光の波長間隔に対して狭くなるように選定することが必要である。
図10、図11に、光−熱変換組成物として具体的な色素を挙げ、これらの吸収スペクトルを示した。
図から明らかなように、実際上、可視域の吸収が極めて小さく、近赤外域に吸収を持つ色素については、図8(b)のような記録層ごとに完全に吸収波長が分かれた状態とすることができる極めて吸収帯が狭い色素は未だ見いだされていない。そのため、色かぶりがなく、高感度な記録を行うためには、近赤外吸収色素の使用に関しての工夫が必要であると言える。
図10に示すように、本発明の近赤外吸収色素であるシアニン系色素は、吸収ピークより長波長側の吸収帯は非常に狭く、記録媒体用の光−熱変換組成物として好適であると言える。しかし一方において、短波長側は、なだらかな吸収が存在していて好ましくない。
しかしながら、図12(a)、(b)に示すように、少なくとも第1の記録層11以外の、これよりも上層に形成されている記録層中の光−熱変換組成物として、図10に示すような、吸収ピークより長波長側の吸収帯は非常に狭い吸収特性をもつ色素を使用し、なおかつ各記録層の吸収ピーク波長が、支持基板の近くに形成されている層が最も長波長であり、積層順に従って短波長となるように、すなわちλmax1>λmax2>・・・・>λmaxnとなるようにすることにより、色かぶりを効果的に回避することができる。
図12に示すように、第1の記録層11に記録を行う際には、波長λ1のレーザー光L1を照射することになるが、第2、第3の記録層12、13においては、吸収ピークより長波長側の吸収帯は非常に狭く選定されているので、λ1のレーザー光は、第2、3の記録層12、13においてほとんど吸収されない。よって色かぶりがなく、効率の良い記録が可能となる。
第2の記録層12に記録を行う際には、波長λ2のレーザー光L2を照射することになるが、波長λ2のレーザー光は第3の記録層13によってほとんど吸収されないので、効率の良い記録が可能である。また、波長λ2のレーザー光を第2の記録層12でほとんど吸収されるように設定しておけば、第1の記録層11にまで到達することがなく、色かぶりが生じるおそれがない。
同様に、第3の記録層13に記録を行うために、波長λ3のレーザー光を照射するときには、波長λ3のレーザー光が第3の記録層13でほとんど吸収されるように設定しておけば、第2、第1の記録層まで到達することがないので、色かぶりが生じるおそれがない。
一方、図12(a)、(b)に示した記録層11〜13の積層順序とは逆に、図13(a)、(b)に示すように、記録層の積層順を反対に、すなわち吸収ピーク波長が短波長側にある記録層を下層側に形成した場合(λmax1<λmax2<・・・<λmaxnとした場合)には、記録に用いるレーザー光が、対応する記録層に到達するまでに上層に形成されている記録層において吸収されてしまうため、色かぶりが生じ、下層に形成されている記録層の記録感度が低下する。
上述したように、第3の記録層13を記録するために、記録媒体に対して波長λ3のレーーザー光を照射したときには、第3の記録層13に含有されている光−熱変換組成物による波長λ3の光の吸収が充分に行われないと、第3の記録層13を透過した波長λ3の光が、第2の記録層12、さらには第1の記録層11にまで到達してしまい、これらの記録層を発色させて色かぶりを生じ、記録効率が悪化する。同様のことが他の記録層に含まれる光−熱変換組成物による吸収特性についても成立する。
明瞭で確実な記録を実現し、かつ視認性の低下を回避するための、本発明の近赤外吸収色素の添加量は、少なくとも第2〜第nの各記録層の近赤外域における吸収ピーク波長における吸光度が、0.6〜1.5となるように、また第1の記録層の近赤外域における吸収ピーク波長における吸光度が、0.6以上となるように調整するのが好ましい。
この理由について以下に説明する。
先ず、所定の記録層の記録波長における吸光度が0.6以下になると、記録効率が実用上悪く、かつ記録光のうち25%程度の光が、その下層の記録層に到達してしまい、色かぶりが生じるおそれがある。
一方、所定の記録層の記録波長における吸光度を、1.5以上にもなるように高めると、かかる記録層において吸収をもつ光の波長幅が広くなりすぎてしまい、それよりも下層の記録層を記録するための光をも多く吸収してしまい、照射光のロスを生じる。
また、記録用の近赤外域の光に対する吸光度を1.5以上に高めても記録層で吸収される光量は、それ以上顕著に増加しなくなるため、コスト面から考えても、これを1.5未満とすることが望ましい。
さらに、上記のように記録層における吸光度を大きくすると、可視域における光吸収も顕著になってくることから視認性の低下を招来する。
但し、最も支持基板1の近傍に形成されている第1の記録層11においては、それよりも下層(支持基板側)の記録層が存在しないため、記録光のロスの観点から吸光度の上限を規定する必要はない。よって、第1の記録層の記録に用いるレーザー光の波長λ1における、吸光度は0.6より大きいことが望ましい。
以下に、本発明について具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明の可逆性多色記録媒体及び記録方法は、以下に示す例に限定されるものではない。
先ず、下記表1、及び表2に示す各々の材料を混合し、ペイントコンディショナーで、0.3μm以下となるまで粉砕し、塗料1〜15を作製した。
塗料16〜28は各材料を混合することによって作製した。
Figure 0004345451
Figure 0004345451
上記表中に示した所定の塗料中に含有させたロイコ染料を下記式(44)〜(46)に示す。
なお、Etはエチル基、Meはメチル基を表し、nはノルマル(直鎖状)を表す。
Figure 0004345451
Figure 0004345451
Figure 0004345451
上記表中に示した所定の塗料中に含有させた顕・減色剤を下記式(47)に示す。
Figure 0004345451
上記表中に示した所定の塗料中に含有させた光−熱変換材料(近赤外吸収色素)を下記式(48)〜(50)に示す。
なお、Meはメチル基を表す。
Figure 0004345451
Figure 0004345451
Figure 0004345451
上記表中に示した所定の塗料中に含有させた一重項酸素失活剤を下記式(51)〜(59)に示す。
なお、nはノルマル(直鎖状)を表す。Meはメチル基、Buはブチル基を表す。
Figure 0004345451
Figure 0004345451
Figure 0004345451
Figure 0004345451
Figure 0004345451
Figure 0004345451
Figure 0004345451
Figure 0004345451
Figure 0004345451
次に下記表3に示すように、各々の塗料を用いて、厚さ500μmの白色ポリエチレンテレフタレート支持基板上に積層形成し、実施例1〜9、比較例1〜3の可逆性多色記録媒体を作製した。
各層は、塗料をワイヤーバーによって塗布し、乾燥させることにより作製した。
ただし、保護層には紫外線硬化樹脂を用いた。
Figure 0004345451
また、スプレードライヤーを用いて、塗料16〜27を噴霧、乾燥させることにより、それぞれ平均粒径0.3μmの粒子を作製した。この粒子を以後粒子16〜27と定義する。
塗料13と粒子16を重量比50:1で混合して新たに塗料29とした。
同様に、塗料13と粒子17から塗料30を作製した。
塗料13と粒子18から塗料31を作製した。
塗料13と粒子19から塗料32を作製した。
塗料14と粒子20から塗料33を作製した
塗料14と粒子21から塗料34を作製した。
塗料14と粒子22から塗料35を作製した。
塗料14と粒子23から塗料36を作製した。
塗料15と粒子24から塗料37を作製した。
塗料15と粒子25から塗料38を作製した。
塗料15と粒子26から塗料39を作製した。
塗料15と粒子27から塗料40を作製した。
上述のようにして作製した塗料29〜塗料40を用いて、下記表4に示すような構成の可逆性多色記録媒体サンプル(実施例10〜12、比較例4)を作製した。
Figure 0004345451
上述したようにして作製した実施例1〜12、比較例1〜4の可逆性多色記録媒体について、それぞれの光学特性を評価した。
〔光学特性の評価方法〕
先ず、可逆性多色記録媒体全体の地肌の反射濃度(O.D.)を、マクベス濃度計によって測定した。
続いて、可逆性多色記録媒体を構成する各記録層に対し、記録に用いるレーザー光の波長における記録層単独の吸光度を測定し、また分光光度計で吸収曲線を測定した。その結果、すべての記録層の、記録に用いるレーザー光の波長における記録層単独の吸光度は、1.0〜1.1程度であった。
なお、吸収曲線は媒体作製と同じ方法で一つの記録層のみを吸光度測定用透明PETフィルム上に形成し、これを用いて評価することとした。
次に、上述したようにして作製した実施例1〜12、比較例1〜4の可逆性多色記録媒体について、以下の条件で半導体レーザーの照射を行い、記録線幅、及びベタ画像記録の反射濃度を測定した。
〔レーザー記録評価方法〕
発振中心波長が、800nm、860nm、940nmの半導体レーザー光を、スポット形状30μm×200μm、出力400mWの条件で、照射しながら走査させた。
走査の条件は、スポット形状200μmの軸の方向に、速度5.4m/s、走査間隔15μmで走査して記録されたベタ画像のCMY(シアン、マゼンダ、イエロー)、それぞれの反射濃度の変化をマクベス濃度計により評価した。
次に、120℃のホットスタンプを1秒押し当て画像を消去した。
上記の記録と消去の作業を100回繰り返し、100回目の記録を行ったときのベタ画像と、100回目に消去を行ったときのCMY(シアン、マゼンダ、イエロー)、それぞれの反射濃度の変化をマクベス濃度計により評価した。
〔評価結果〕
図14、15にはそれぞれ、実施例1と比較例1の可逆性多色記録媒体を構成する各記録層の消色時の吸収特性を示した。
また、実施例1〜12、比較例1〜4の光学特性の評価の結果と、レーザー記録評価の結果を、下記表5に示した。
Figure 0004345451
実施例1〜12においては、上記表5からも明らかなように、発振中心波長が800、860、940nmの各レーザー光を用いて記録を行ったとき、良好なイエロー、マゼンタ、シアンの発色が得られ、色かぶりも生じなかった。また複数のレーザー光を同時に照射すると、それに対応する中間色が明瞭な発色で得られた。また、レーザー光の出力を変化させることにより、発色の色調を変化させることができた。
また、レーザー光で記録を行った後、120℃のホットスタンプを1秒間接触させることにより、すべての画像を消去することができ、消去後の透明性についても良好な状態であることが確認された。そして、その後レーザー光を照射すると、さらに繰り返して記録を行うことができ、繰り返し記録後の色調が極めて明瞭であった。
さらに、100回記録、消去を繰り返した後においても、良好なイエロー、マゼンタ、シアンの発色が得られ、色かぶりも生じなかった。
また、120℃のホットスタンプを1秒間接触させたときの消え残り反射濃度が非常に小さく、ほぼすべての画像を消去することができた。
このように実施例1〜12においては、光−熱変換組成物中に一重項酸素失活剤を含有させたため、光−熱変換材料(色素)が一重項酸素によって攻撃されるのが回避され、繰り返し記録及び消去特性についての評価が極めて良好であった。
一方、比較例1〜4においては、上記表5から明らかなように、発振中心波長が800、860、940nmの各レーザー光を用いて記録を行ったとき、良好なイエロー、マゼンタ、シアンの発色が得られ、色かぶりも生じなかった。また複数のレーザー光を同時に照射すると、それに対応する中間色が得られた。
しかし、100回記録、消去を繰り返した後においては、比較例1〜4は、一重項酸素失活剤を含有させなかったため、レーザー光の吸収により光−熱変換材料の分解が起こり、イエロー、マゼンタ、シアンの発色が非常に薄くなってしまった。
また、120℃のホットスタンプを1秒間接触させたときの消え残りがあり、すべての画像を消去することができなかった。
上述した結果から明らかなように、本発明の可逆性多色記録媒体によれば、記録層中の光−熱変換組成物に、一重項酸素失活剤を含有させたことにより、繰り返し記録、消去を行っても、画像の劣化が効果的に回避できることが分かった。
本発明の可逆性多色記録媒体の一例の概略断面図を示す。 記録層の一例の概略構成図を示す。 記録層の他の一例の概略構成図を示す。 記録層の他の一例の概略構成図を示す。 記録層の他の一例の概略構成図を示す。 光−熱変換組成物を含有する層の吸収特性を示す。 本発明の可逆性多色記録媒体の他の一例の概略断面図を示す。 (a) 可逆性多色記録媒体の要部である積層された記録層の概略構成図を示す。 (b) 記録層ごとの吸収特性を示す。 (a) 可逆性多色記録媒体の要部である積層された記録層の概略構成図を示す。 (b) 記録層ごとの吸収特性を示す。 具体的な色素の吸収スペクトルを示す。 具体的な色素の吸収スペクトルを示す。 (a) 可逆性多色記録媒体の要部である積層された記録層の概略構成図を示す。 (b) 記録層ごとの吸収特性を示す。 (a) 可逆性多色記録媒体の要部である積層された記録層の概略構成図を示す。 (b) 記録層ごとの吸収特性を示す。 実施例1の記録媒体の各記録層の吸収特性を示す。 比較例1の記録媒体の各記録層の吸収特性を示す。
符号の説明
1……支持基板、10……可逆性多色記録媒体、11……第1の記録層、12……第2の記録層、13……第3の記録層、14,15,16……断熱層、17……上層記録層、18……保護層








Claims (10)

  1. 支持基板の面方向に、互いに発色色相の異なる可逆性感熱発色組成物を含む、第1〜第nの記録層が、支持基板側から順次、分離・独立して形成されてなり、
    上記第1〜第nの記録層には、それぞれ異なる波長域の近赤外光を吸収して発熱する、光−熱変換組成物が含有されてなり、
    少なくとも第2〜第nの記録層の前記光−熱変換組成物には、少なくとも一重項酸素失活剤と、所定の波長域の近赤外光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有され、前記光−熱変換材料としてシアニン系色素を用い、一重項酸素失活剤をシアニン系色素に対して重量比で0.1倍〜2倍用いる可逆性多色記録媒体。
  2. 前記一重項酸素失活剤が、共役ポリエン、遷移金属錯体、ヒンダードアミン、アミン類、アミニウム塩、及びイミニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有するものである請求項1に記載の可逆性多色記録媒体。
  3. 前記第1〜第nの記録層の近赤外域における吸収ピーク波長を、それぞれ、λmax1、λmax2、・・・、λmaxnとしたとき、
    1500nm>λmax1>λmax2>・・・>λmaxn>750nm
    の関係を有している請求項1に記載の可逆性多色記録媒体。
  4. 前記可逆性感熱発色組成物が、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤とを含有し、
    前記呈色性化合物と、前記顕・減色剤との間の可逆的反応により、前記記録層を発色、あるいは消色の二状態間に、可逆的に変化するようになされている請求項1に記載の可逆性多色記録媒体。
  5. 前記光−熱変換組成物と、前記可逆性感熱発色組成物とが、混合された状態で、一の記録層中に含有されている請求項1に記載の可逆性多色記録媒体。
  6. 前記光−熱変換組成物と、前記可逆性感熱発色組成物とが、互いに分離された状態で一の記録層中に含有されている請求項1に記載の可逆性多色記録媒体。
  7. 前記光−熱変換組成物が、樹脂バインダーにより分離されている請求項に記載の可逆性多色記録媒体。
  8. 支持基板の面方向に、互いに発色色相の異なる可逆性感熱発色組成物を含む、第1〜第nの記録層が、支持基板側から順次、分離・独立して形成されてなり、
    前記第1〜第nの記録層には、それぞれ異なる波長域の近赤外光を吸収して発熱する、光−熱変換組成物が含有されてなり、
    少なくとも第2〜第nの記録層の光−熱変換組成物は、少なくとも一重項酸素失活剤と、所定の波長域の近赤外光を吸収して発熱する光−熱変換材料とを含有し、前記光−熱変換材料としてシアニン系色素を用い、一重項酸素失活剤をシアニン系色素に対して重量比で0.1倍〜2倍用いる可逆性多色記録媒体を用いて、
    発振中心波長(λ1、λ2、・・・λn)が、それぞれ750nm〜1500nmの範囲にある、任意に選択された複数のレーザー光を照射することによって、記録または消去を行う可逆性多色記録媒体の記録方法。
  9. 前記複数のレーザー光源が、半導体レーザーである、請求項に記載の可逆性多色記録媒体の記録方法。
  10. 前記発振中心波長が異なる複数のレーザー光の総数が、
    前記互いに異なる波長域の光を吸収して発熱する光−熱変換組成物を含有する記録層の積層数と同じである請求項に記載の可逆性多色記録媒体の記録方法。
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