JP2006088645A - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持基板1の面方向に、温度変化に応じて、無色・着色の二状態を可逆的に変化する感熱発色性組成物が樹脂中に含有されている可逆性感熱記録層31〜33が形成された構成の可逆性感熱記録媒体10において、感熱発色性組成物中に含有されるロイコ染料の化合物の、化学式についての特定を行う。
【選択図】図1
Description
コンピューターのネットワーク技術、通信技術、OA機器、記録メディア、記憶メディア等の進歩を背景としてオフィスや家庭でのペーパーレス化が進んでいる。
例えば、ロイコ染料タイプ、すなわち樹脂母材中に呈色性化合物であるロイコ染料と、顕・減色剤とが分散された記録層を有する記録媒体、及びこれを用いた記録方法についての提案がなされており、これはロイコ染料自体の発色を利用するため、低分子分散タイプに比較してコントラスト、視認性が良好であるという利点を有している。
この方法によれば、光−熱変換材料を含有している層の波長選択性の効果により、任意の記録層のみを発色させることができるとされている。
かかる問題点に鑑みて、今後、一層の高密度記録化や小型薄層化が進められていくことからも、外部からの酸素の侵入を意図的に防止した設計を有する可逆性記録媒体の開発が望まれていた。
またさらに、記録層に外部からの酸素侵入を防ぐようにし、長期に亘って優れた発色再現性を維持可能とした。
R1、R2、R3、R4は、直鎖の−CnH2n+1(n:4以下の自然数)を示す。
R5、R6、R7,R8は、直鎖、又は分岐した−CnH2n+1(n:4以下の自然数)、又は環状の−(CH2)4、−(CH2)5のいずれかを示す。
また、可逆性感熱記録層への酸素の侵入を抑制する酸素ガスバリア層を設けたことにより、層中における活性酸素の発生が防止でき、感熱発色性組成物の化学変化や経時的な機能の劣化が回避され、繰り返して発・消色の変換を行った場合においても、長期に亘って初期と同等の記録画質が維持できた。
なお以下においては、三層の可逆性感熱記録層が形成されている構成の可逆性感熱記録媒体を例に挙げて説明するが、本発明はこの例に限定されるものではなく、例えば単色や二色のみ、発色可能な構成のものでもよく、一以上の可逆性感熱記録層が形成されている構成のものであれば、いずれも本発明の範囲である。
可逆性感熱記録媒体10は、支持基板1の面方向に、第1〜第3の光−熱変換層11〜13が中間層14〜16を介して第1〜第3の記録層17〜19と積層された構成の第1〜第3の可逆性感熱記録層31〜33が、酸素ガスバリア層21、21によって挟まれている構成を有している。
また、第1〜第3の可逆性感熱記録層31〜33の、それぞれの層間には、断熱層23、24が介在されてなり、最上層に保護層25が形成されている。
以下、各層について詳細に説明する。
なお、支持基板1に、酸素ガス透過性の低い材料を選定することにより、支持基板1側からの酸素ガスの侵入を効果的に抑制できるようになる。
また、オーバーヘッドプロジェクター等の透過用途以外では、支持基板1は最終的に得られる可逆性記録媒体10に対して記録を行った際の視認性の向上を図るため、白色、あるいは金属色等の可視光に対する反射率の高い材料によって形成することが好ましい。
シアニン色素は、可視域の吸収が少なく、近赤外域に鋭い吸収を持っている。構造により吸収極大波長が変化するので、記録に用いるレーザー波長に適したものを選択することができる。
この分散用樹脂バインダーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、デンプン等や、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等が挙げられる。
特に、酸素ガスの透過率が低い材料を選定することにより、光−熱変換材料の活性酸素による劣化を効果的に回避することができる。
一重項酸素失活剤は、共役ポリエン、遷移金属錯体、ヒンダードアミン、アミン類、アミニウム塩、及びイミニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有するものとする。
これらの一重項酸素失活剤の添加量は、光−熱変換層を構成する光−熱変換材料に対して、重量比で0.05倍〜4倍程度とすることが好ましく、さらに0.1倍〜2倍とすることがより好ましい。
例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、デンプン等を適用でき、また、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いて形成してもよい。
なお、第1〜第3の中間層14〜16形成用材料としては、酸素ガス透過率の低い材料を選定することが好ましく、例えば、ポリビニルアルコールを適用すると、酸素ガスの透過性を極めて低く抑制することができ、活性酸素の発生による光−熱変換材料の劣化を効果的に回避することができる。
また、第1〜第3の中間層14〜16には、必要に応じて紫外線吸収剤等の各種添加剤を含有させてもよい。
中間層14〜16は、膜厚0.05〜30μm程度とすることが好ましく、更に好ましくは0.1〜10μm程度とする。中間層14〜16が薄すぎると光−熱変換材料の劣化が著しくなり、逆に厚過ぎると熱伝導性が劣化するため充分な発色濃度が得られないためである。
第1〜第3の記録層17〜19は、熱状態を制御することによって安定した発・消色状態(着色状態と透明状態)とを形成し得る材料により形成するものとし、これにより繰り返して記録と消去を可能としたものである。
R1、R2、R3、R4は、直鎖の−CnH2n+1(n:4以下の自然数)を示す。
R5、R6、R7、R8は直鎖、又は分岐した−CnH2n+1(n:4以下の自然数)、又は環状の−(CH2)4、−(CH2)5を示す。
本発明において特定するロイコ染料の好適な例としては、下記の式(4)〜(12)により表されるものが挙げられる。
なお、第1〜第3の記録層17〜19形成用樹脂バインダーとしては、酸素ガスの透過性が極めて低い材料を選定することが好ましい。これにより、層中における活性酸素の発生が抑制され、呈色性化合物の劣化を効果的に防止することができる。
第1〜第3の記録層17〜19は、膜厚1〜50μm程度に形成することが望ましく、さらには2〜20μm程度の膜厚とすることが好ましい。記録層17〜19の膜厚が薄すぎると充分な発色濃度が得られず、一方において厚過ぎると層の熱容量が大きくなりすぎ、発色性や消色性が劣化したり、あるいは熱伝導性が劣化したり、透光性が低下したりするためである。
酸素ガスバリア層21、22は、外部からの、可逆性感熱記録層31〜33への酸素侵入を防ぐ機能を有している。
本発明の可逆性感熱記録媒体10においては、少なくとも一層以上の酸素ガスバリア層を有していることが好ましく、特に、光−熱変換層11〜13に外部から酸素が侵入することを効果的に防止するように、図1に示すように、可逆性感熱記録層31〜33の支持基板1側と保護層25側の双方から、すなわち上層と下層の双方から挟み込む構成とすることが好ましい。
上記のような酸素ガスバリア機能を有する樹脂としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(0.2ml/m2.24Hrs・atm)、ポリビニルアルコール(0.2ml/m2.24Hrs・atm)、変性ポリビニルアルコール(0.2ml/m2.24Hrs・atm)、ポリ塩化ビニリデン(3ml/m2.24Hrs・atm)、ポリアクリロニトリル(15ml/m2.24Hrs・atm)等が挙げられる。
また、ポリエステル、ポリアミドについては、薄膜にすると酸素ガス透過率が上記数値よりも高くなるが、支持基板1として適用し、充分な機械的強度を確保できる膜厚とすれば、充分な酸素ガスバリア機能も発揮し得る。
また、酸素ガスバリア層21、22は、透光性の無機材料を蒸着により成膜したものとしてもよい。透光性の無機材料としては、例えば、シリカ、アルミナ等が挙げられる。蒸着する方法としては、PVD法やCVD法が好適である。
なお、酸素ガスバリア層21、22には、必要に応じて一重項酸素失活剤や紫外線吸収剤等の各種添加剤を併用してもよい。
これによって、記録時における隣接する可逆性感熱記録層への熱伝導を回避でき、いわゆる色かぶりを防止できる。
また、断熱層は、酸素ガスの透過性を極めて低い材料により形成することが好ましい。これにより、活性酸素の発生を回避でき、隣接層中の呈色性化合物の劣化を効果的に防止することができる。
断熱層23、24には、必要に応じて紫外線吸収剤等の各種添加剤を含有させることが好ましい。
また、断熱層23、24は、透光性の無機膜により形成してもよい。例えば、多孔質のシリカ、アルミナ、チタニア、カーボン、またはこれらの複合体等を適用すると熱伝導率の低減化が図られる。これらは液層から膜形成するゾル−ゲル法によって成膜することができる。
保護層25は、従来公知の紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いて形成することができる。また、酸素ガスの透過性を極めて低い材料を適用すると、いわゆる酸素ガスバリア性が発揮され、活性酸素の発生による、光−熱変換材料の劣化を効果的に回避することができる。膜厚は0.5〜50μm程度とすることが望ましい。
保護層25の膜厚が薄すぎると充分な保護効果が得られず、厚すぎると後述する記録媒体全体を均一加熱する際に熱伝導性が劣化したり、透光性が低下したりする。
なお、以下においては、図1に示した三層の可逆性感熱記録層31〜33が形成されている構成の可逆性感熱記録媒体10を用いて記録、及びその消去を行う方法について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、一層以上の可逆性感熱記録層が形成されている、単色や二色のみ発色可能な構成の可逆性記録媒体も同様に適用できる。
このようにして可逆性感熱記録媒体10の任意の部分を、所望の色相に発色させることができる。このとき、発振波長帯が異なるレーザー光源を、光−熱変換材料を含む記録層の数と同数使用することにより、すべての色相の記録が可能となる。
先ず、下記表1中に示す樹脂、溶媒、及び光−熱変換材料を組み合わせて塗料1、2を調製した。
また、下記表2中に示すロイコ染料、顕・減色剤、樹脂、溶媒を適宜組み合わせて混合し、ペイントコンディショナーで0.3μm以下となるまで粉砕し、塗料3〜8を調製した。
なお、式中のMeはメチル基を表す。
各層は、塗料をワイヤーバーによって塗布し、乾燥させることにより成膜した。
先ず、上述のようにして作製した各サンプルにおける、地肌の反射濃度(O.D.)を、マクベス濃度計によって測定した。
続いて、サンプルを構成する各記録層に対し、記録に用いるレーザー光の波長における記録層単独の吸光度を測定し、また分光光度計で吸収曲線を測定した。その結果、すべての記録層の、記録用レーザー光波長における記録層単独での吸光度は、1.0〜1.1程度であることが確かめられた。
実施例1、2、及び比較例1、2のサンプルについて、酸素透過度を測定した。
(酸素ガス透過度の測定)
酸素透過度は、差圧式ガス透過率計で測定した。測定結果を下記表4に示す。
なお、この酸素ガス透過度の測定においては、支持基板として厚さ60μmのPEフィルム(酸素透過度2000ml/m2.24Hrs・atm.20℃.60%RH)を用い、この支持基板の上に、膜形成したものを測定用試料として適用した。
上述したようにして作製した実施例1〜4、及び比較例1〜4のサンプルを用いて、以下の条件で半導体レーザーの照射を行い、記録線幅、及びベタ画像記録の反射濃度についての評価を行った。
(検証1)
先ず、初期状態においての地肌の反射濃度(O.D.)を測定し、さらにレーザー光を照射して記録を行ったときの反射濃度を測定した。
なお、この場合、所定の発振中心波長を有する半導体レーザー光を、スポット形状30μm×200μm、出力450mWの条件で、照射しながら走査させた。走査の条件は、スポット形状200μmの軸の方向に、速度5.4m/s、走査間隔15μmとし、記録されたベタ画像の反射濃度をマクベス濃度計により評価した。
(検証2)
耐光性試験機を用いて、光源を白色蛍光灯とし、強度を500000lxとし、8時間の条件で光照射を行い、保存試験を行った後に、地肌の反射濃度(O.D.)を測定し、さらにその後レーザー光を照射して記録を行い、この反射濃度を測定した。記録条件は上記と同様とする。
(検証3)
次に、上記検証1の記録後のサンプルを用いて、120℃のホットスタンプを1秒押し当て画像を消去した。
上記記録及び消去の作業を100回繰り返し、100回目の記録を行ったときのベタ画像と、100回目に消去を行ったときの反射濃度をマクベス濃度計により評価した。
下記表5に、実施例1〜4、及び比較例1〜4のサンプルの、上記(検証1)に示した初期のレーザー記録の評価結果(地肌の反射濃度、及び記録画像の反射濃度)を示す。
下記表6に、実施例1〜4、及び比較例1〜4のサンプルの、上記(検証2)に示した光照射保存試験後の、レーザー記録の評価結果(地肌の反射濃度、及び記録画像の反射濃度)を示す。
下記表7に、実施例1〜4、及び比較例1〜4のサンプルの、上記(検証3)に示した記録と消去の作業を100回繰り返し、100回目の記録を行ったときのベタ画像と、100回目に消去を行ったときの反射濃度の測定結果を示す。
また、レーザー光で記録を行った後、120℃のホットスタンプを1秒間接触させることにより、すべての画像を消去することができ、消去後の透明性が良好であった。
特に、実施例2〜4においては、可逆性感熱記録層の上層側と下層側に酸素ガスバリア層を形成して、これによって挟み込んだ構成としたため、外部からの酸素ガスの侵入と活性酸素の生成を効果的に防止できたので、酸素ガスバリア層を形成しなかった実施例1よりも、光照射試験(保存試験)後における発色状態が明瞭であることが確かめられた。
これは、比較例1〜4のサンプルにおいては、ロイコ染料として、本発明において特定した化学構造のものを適用しなかったため、長時間光照射を行ったことによりロイコ染料が分解してしまったためである。
特に、比較例1においては、可逆性感熱記録層の上層側と下層側から、酸素ガスバリア層によって遮蔽しなかったため、外部から酸素ガスが侵入し、活性酸素が生成してしまい、ロイコ染料が分解し、発色性が著しく劣化した。また、地肌の反射濃度も大きくなり、コントラストが低下した。
これは、ロイコ染料として、本発明において特定した化学構造のものを適用しなかったため、記録と消去とを繰り返し行うと、光によりロイコ染料が分解してしまい、機能が著しく低下したためである。
特に、比較例1においては、可逆性感熱記録層の上層側と下層側から、酸素ガスバリア層によって遮蔽しなかったため、外部から酸素ガスが侵入し、活性酸素が生成してしまい、ロイコ染料の分解が進み、発色性が著しく劣化した。また、地肌の反射濃度も大きくなり、コントラストが低下した。
Claims (5)
- 支持基板の面方向に、
温度変化に応じて、無色・着色の二状態を可逆的に変化する感熱発色性組成物が、樹脂中に含有されている可逆性感熱記録層が形成されており、
前記感熱発色性組成物中に、下記式(1)、式(2)、式(3)により表されるロイコ染料の化合物のうちの、少なくとも一種が含有されていることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
但し、式中のQは炭素原子又は窒素原子を示す。
R1、R2、R3,R4は、直鎖の−CnH2n+1(n:4以下の自然数)を示す。
但し、式中のP、Qは炭素原子又は窒素原子を示す。
R5、R6、R7,R8は、直鎖、又は分岐した−CnH2n+1(n:4以下の自然数)、又は環状の−(CH2)4、−(CH2)5のいずれかを示す。
但し、式中のR9、R10、R11は、直鎖、又は分岐した−CnH2n+1(n:5以下の自然数)、又は環状の−(CH2)4、−(CH2)5のいずれかを示す。 - 前記可逆性感熱記録層の、上層側と下層側に、酸素ガスの侵入を防ぐ機能を有する酸素ガスバリア層が設けられており、
前記酸素ガスバリア層により、前記可逆性感熱記録層が挟み込まれてなる構成を有していることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。 - 前記酸素ガスバリア層は、膜厚20μm、20℃、相対湿度60%RHの条件下において、酸素透過度が、20ml/m2.24Hrs・atm以下であることを特徴とする請求項2に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 支持基板の面方向に、二以上の前記可逆性感熱記録層が、それぞれ分離・積層形成されてなり、
前記二以上の可逆性感熱記録層は、それぞれ異なる色調に発色する感熱発色性組成物が含有されていることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。 - 支持基板の面方向に、二以上の前記可逆性感熱記録層が、それぞれ分離・積層形成されてなり、
前記二以上の可逆性感熱記録層の、それぞれの層間に、前記酸素ガスバリア層を備えていることを特徴とする請求項2に記載の可逆性感熱記録媒体。
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