JP2009255551A - 耐熱性向上剤及び可逆性感熱記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベンゾトリアゾール骨格に、電子吸引基と、反応性脂肪族水酸基及び反応性脂肪族メルカプト基のいずれかとを有してなり、可逆性感熱記録材料に用いられる耐熱性向上剤、及び該耐熱性向上剤を用いた可逆性感熱記録材料である。該電子吸引基が、電子吸引基が、ハロゲン原子、−NO2、−CN、−CF3、R1−SO2−、R1−CO−、R1−OOC−、及びR1NHCO−(ただし、R1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、及びアラルキル基のいずれかを表す)から選択されるいずれかである態様が好ましい。
【選択図】図1
Description
このような可逆性感熱記録材料において、耐光性を向上させるため、紫外線(UV)カット剤を含む層を設けることが行われている。UVカット剤としては、UV反射剤である金属酸化物(例えば酸化亜鉛)、UV吸収剤であるベンゾトリアゾール(BTA)系、ベンゾフェノン(BP)系、サリチル酸(SA)系、シアノ酢酸(CA)系、などが知られており、吸収波長の有利さからBTA系、BP系が主に用いられている。
このようなブリードアウト現象を解決すべく、UVAをポリマー化することが提案されている(特許文献1参照)。また、UVA自身に反応性残基を導入し、マトリックス中の架橋剤と反応させることにより固定化することが提案されている(特許文献2参照)。
これらの提案によれば、ブリードアウト現象は解決され、室内光での使用においては十分な効果が期待できるものであった。
これらの先行技術文献によれば、紫外線吸収剤の長波長吸収化は達成されるが、可逆性感熱記録材料に適用した場合の有効性については何ら言及されておらず、屋外で繰り返し使用可能な地肌、イレーズバーかぶり、画像、及び消し残りのすべてについての耐光性、並びに耐熱性を十分に有しているとは考えられず、更なる改良、開発が望まれているのが現状である。
<1> ベンゾトリアゾール骨格に、電子吸引基と、反応性脂肪族水酸基及び反応性脂肪族メルカプト基のいずれかとを有する耐熱性向上成分を含有してなり、可逆性感熱記録媒体に用いられることを特徴とする耐熱性向上剤である。
<2> 電子吸引基が、ハロゲン原子、−NO2、−CN、−CF3、R1−SO2−、R1−CO−、R1−OOC−、及びR1NHCO−(ただし、R1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、及びアラルキル基のいずれかを表す)から選択されるいずれかである前記<1>に記載の耐熱性向上剤である。
<3> 耐熱性向上成分が、下記一般式(1)で表される化合物である前記<1>から<2>のいずれかに記載の耐熱性向上剤である。
R2は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、及びアルキルオキシ基のいずれかを表す。mは0〜3の整数を表す。
X1は、ハロゲン原子、−NO2、−CN、−CF3、R1−SO2−、R1−CO−、R1−OOC−、及びR1NHCO−(R1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、及びアラルキル基のいずれかを表す)のいずれかの電子吸引基を表す。
<4> 耐熱性向上成分が、一般式(2)で表される化合物である前記<1>から<3>のいずれかに記載の耐熱性向上剤である。
<5> 耐熱性向上成分が、下記一般式(3)で表される化合物と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを重合して得られる反応性水酸基含有ポリマーである前記<1>から<2>のいずれかに記載の耐熱性向上剤である。
<6> 耐熱性向上成分が、下記一般式(4)で表される化合物と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを重合して得られる反応性水酸基含有ポリマーである前記<5>に記載の耐熱性向上剤である。
<7> X2のアルキルオキシカルボニル基が、炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキルオキシカルボニル基である前記<4>から<6>のいずれかに記載の耐熱性向上剤である。
<8> 炭素原子が電気陰性原子で置換されたベンゾトリアゾール骨格に、反応性脂肪族水酸基及び反応性脂肪族メルカプト基のいずれかを有する耐熱性向上成分を含有してなり、可逆性感熱記録媒体に用いられることを特徴とする耐熱性向上剤である。
<9> 耐熱性向上成分が、下記一般式(5)で表される化合物である前記<8>に記載の耐熱性向上剤である。
<10> 耐熱性向上成分が、下記一般式(6)で表される化合物である前記<9>に記載の耐熱性向上剤である。
<11> 耐熱性向上成分が、少なくとも下記一般式(7)で表される化合物と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを重合して得られる反応性水酸基含有ポリマーである前記<8>に記載の耐熱性向上剤である。
<12> 耐熱性向上成分が、下記一般式(8)で表される化合物と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを重合して得られるポリマーである前記<11>に記載の耐熱性向上剤である。
<13> ポリマーの質量平均分子量が1,000〜200,000である前記<5>から<7>及び<11>から<12>のいずれかに記載の耐熱性向上剤である。
<14> ポリマーの水酸基価が100mgKOH/g以上であり、かつ酸価が5mgKOH/g以下である前記<5>から<7>及び<11>から<13>のいずれかに記載の耐熱性向上剤である。
<15> 支持体と、該支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物とを含有し、温度に依存して色調が可逆的に変化する可逆性感熱記録層と、該可逆性感熱記録層上に耐熱性向上層を少なくとも有してなり、
前記耐熱性向上層が、前記<1>から<14>のいずれかに記載の耐熱性向上剤を含有することを特徴とする可逆性感熱記録媒体である。
<16> 耐熱性向上層の390nmにおける紫外線透過率が20%以下である前記<15>に記載の可逆性感熱記録媒体である。
<17> 耐熱性向上層がバインダー樹脂を含有し、該バインダー樹脂が、エステルポリオール樹脂及びアクリルポリオール樹脂のいずれかである前記<15>から<16>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<18> 耐熱性向上剤における反応性脂肪族水酸基及び反応性脂肪族メルカプト基のいずれかが、イソシアネート化合物と架橋状態にある前記<15>から<17>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
<19> 更にガスバリア層を有する前記<15>から<18>のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体である。
本発明の耐熱性向上剤は、第1形態では、可逆性感熱記録媒体に用いられ、ベンゾトリアゾール骨格に、電子吸引基と、反応性脂肪族水酸基及び反応性脂肪族メルカプト基のいずれかとを有する耐熱性向上成分を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明の耐熱性向上剤は、第2形態では、可逆性感熱記録媒体に用いられ、炭素原子が電気陰性原子で置換されたベンゾトリアゾール骨格に、反応性脂肪族水酸基及び反応性脂肪族メルカプト基のいずれかを有する耐熱性向上成分を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
R1におけるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、などが挙げられる。
R1におけるシクロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
R1におけるアルケニル基としては、例えばビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
R1におけるアリール基としては、例えばフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。
R1におけるアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記反応性脂肪族メルカプト基としては、例えばメルカプトエチル基、メルカプトプロピル基、メルカプトブチル基などが挙げられる。
R2は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、及びアルキルオキシ基のいずれかを表す。mは0〜3の整数を表す。
X1は、ハロゲン原子、−NO2、−CN、−CF3、R1−SO2−、R1−CO−、R1−OOC−、及びR1NHCO−(R1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、及びアラルキル基のいずれかを表す)のいずれかの電子吸引基を表す。
なお、前記Aは、置換基として反応性脂肪族水酸基及び反応性脂肪族メルカプト基のいずれかを有し、該脂肪族水酸基としては、例えば−(CH2)n−OH(ただし、nは1〜8の整数を表す)、などが挙げられる。
前記一般式(1)におけるR2は、水素原子、アルキル基、アルキルオキシ基、及びハロゲン原子のいずれかを表す。
前記R2におけるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、ジ−t−オクチル基などが挙げられる。
前記R2におけるアルキルオキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、sec−ブトキシ基、メトキシエチルオキシ基などが挙げられる。
前記R2におけるハロゲン原子としては、例えば臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
X1は、上述したのと同じ電子吸引基を表す。
前記R3における炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、ジ−t−オクチル基などが挙げられる。
前記R3の−CH=N−R4(ただし、R4は、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アルケニル基、及びアラルキル基のいずれかを表す)のR4におけるアルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアラルキル基としては、前記一般式(1)のR1と同様なものを用いることができる。
前記ポリマー化耐熱性向上剤としては、少なくとも下記一般式(3)で表される化合物と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを重合して得られる反応性水酸基含有ポリマーを含有することが好ましい。
前記ラジカル重合の重合開始剤としては、例えば過酸化水素、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペロオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物;過酸化水素と第一鉄塩の組み合わせ、過硫酸塩と酸性亜硫酸ナトリウムの組み合わせ、クメンヒドロキシペルオキシドと第一鉄塩の組み合わせ、過酸化ベンゾイルとジエチルアニリンの組み合わせ、過酸化物と金属アルキルの組み合わせ、酸素と有機金属アルキルの組み合わせ等のレドックス開始剤、などが挙げられる。
更に、前記ラジカル重合の重合開始剤は、上記に示す以外でも熱や光のエネルギーにより活性ラジカルを発生させるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば過酸化ベンゾイル、ジブチルパ−オキサイド等の過酸化物類;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合反応は、重合可能な温度下、好ましくは室温〜使用する溶媒の沸点の温度下に行われ、1時間〜50時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。
前記溶媒の使用量は、種々の反応条件に応じて広い範囲から適宜選択すればよいが、前記モノマー使用量に対して、質量で0.2倍量〜500倍量が好ましく、0.4倍量〜100倍量がより好ましく、0.6倍量〜50倍量が更に好ましい。
ここで、前記水酸基価が100mgKOH/g以上の樹脂が用いられた可逆性感熱記録媒体であるか否かは、残存水酸基の量及びエーテル結合の量を分析すること等により確認することができる。
前記耐熱性向上ポリマーの酸価は、5mgKOH/g以下であることが好ましい。
前記水酸基価及び酸価は、例えばJIS K0070:1992により測定することができる。
本発明の可逆性感熱記録媒体は、支持体と、該支持体上に、可逆性感熱記録層と、該可逆性感熱記録層上に耐熱性向上層を有してなり、ガスバリア層、保護層、必要に応じて適宜選択したその他の層、例えば、アンダー層、プライマー層、などを有してなる。これらの各層は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記耐熱性向上層は、本発明の前記耐熱性向上剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
なお、前記耐熱性向上成分が、第1形態のポリマー化耐熱性向上剤、及び第2形態のポリマー化耐熱性向上剤である場合には、前記バインダー樹脂は不要である。
前記ポリオール樹脂としては、具体的にはアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリエーテルポリール樹脂、アルキドポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、など架橋剤と反応する水酸基を持つ樹脂、又は架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などが挙げられる。これらの中でも、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂がバインダーマトリックスとしての分散性に優れる点で特に好ましい。
前記イソシアネート系化合物は、公知のイソシアネート単量体のウレタン変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、カルボジイミド変性体、ブロックドイソシアネートなどの変性体から選択される。また、変性体を形成するイソシアネート単量体としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、等が挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
ゲル分率の計算は、下記式によって行うことができる。
ゲル分率(%)=[乾燥後質量(g)/初期質量(g)]×100
この計算でゲル分率を算出するときに、耐熱性向上層中の樹脂成分以外の有機低分子物質粒子等の質量を除いて計算を行う。この際、予め有機低分子物質の質量が分からないときには、TEM、SEM等の断面観察により、単位面積あたりに占める面積比率と樹脂と有機低分子物質のそれぞれの比重により質量比率を求めて、有機低分子物質の質量を算出して、ゲル分率値を算出すればよい。
前記耐熱性向上層の塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ロール状で連続して、又はシート状に裁断した支持体を搬送し、該支持体上に、例えば、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法で塗布する。
前記紫外線照射は、特に制限はなく、公知の紫外線照射装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、光源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置等を備えたものが挙げられる。
前記光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどが挙げられる。該光源の波長は、前記可逆性感熱記録媒体用組成物に添加されている光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外線吸収波長に応じて適宜選択することができる。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂を架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出力、搬送速度等を決めればよい。
<数式2>
D=(△E/△R)・η・I/(W・V)
ただし、前記数式2中、Dは、必要線量(Mrad)を表す。△E/△Rは、平均エネルギー損失を表す。ηは、効率を表す。Iは、電子流(mA)を表す。Wは、照射幅(cm)を表す。Vは、搬送速度(cm/s)を表す。
なお、工業的には、前記数式2を簡略化し、下記数式3を用いることが好ましい。
<数式3>
D・V=K・I/W
ここで、装置定格は、Mrad・m/minで表され、電子流定格は、20〜500mA程度が選択される。
前記紫外線透過率は、分光光度計の透過モードで耐熱性向上層の紫外線透過率(この場合、390nmでの光透過率)を測定したものである。ここで、紫外線透過率の測定は以下の手順にて行った。耐熱性向上層を透明フィルム(390nmに吸収をもたない各種フィルム)上に積層し、同じ透明フィルムをリファレンスとして用いて、紫外線領域の透過率を測定した。なお、測定に用いた装置は、HITACHI製Spectrophotometer U−4100である。
前記一般式(1)及び前記一般式(2)で表される第1形態の化合物、並びに前記一般式(5)及び前記一般式(6)で表される第2形態の化合物である耐熱性向上剤の前記耐熱性向上層における含有量は、30質量%〜80質量%が好ましく、50質量%〜70質量%がより好ましい。
前記可逆性感熱記録層は、電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を含有してなり、温度に依存して色調が可逆的に変化する。
前記可逆性感熱記録層における「温度に依存して色調が可逆的に変化する」とは、温度変化によって目に見える変化を可逆的に起こす現象を意味し、加熱温度及び加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得ることを意味する。この場合、該目に見える変化は色の状態の変化と形状の変化に分けられるが、本発明においては、主に色の状態の変化を起こす材料を使用する。色の状態の変化には、透過率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化があり、実際の可逆性感熱記録媒体はこれらの変化の組合せで表示を行っている。より具体的には、熱により透明度や色調が可逆的に変化するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常温より高い第一の特定温度で第一の色の状態となり、第一の特定温度よりも高い第二の特定温度で加熱し、その後、冷却することにより第二の色の状態となるもの、等が挙げられる。これらの中でも、第一の特定温度と第二の特定温度で色の状態が変化するものが特に好ましい。
前記電子受容性化合物(顕色剤)としては、熱を因子として発消色を可逆的に行うことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)電子供与性呈色化合物(発色剤)を発色させる顕色能を有する構造(例えば、フェノール性水酸基、カルボキシル基、リン酸基など)、及び(ii)分子間の凝集力を制御する構造(例えば、長鎖炭化水素基が連結した構造)、から選択される構造を分子内に1つ以上有する化合物が好適である。なお、連結部分にはヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していてもよく、また、長鎖炭化水素基中にも同様の連結基及び芳香族基の少なくともいずれかが含まれていてもよい。これらの中でも、下記一般式(A)で表されるフェノール化合物が特に好ましい。
R11の好ましい例としては以下に示すものが挙げられる。
前記電子供与性呈色化合物(発色剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロイコ染料などが好適に挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、異なる色調に発色する層を積層することによってマルチカラー、フルカラーにすることもできる。
本発明においては、前記顕色剤と、消色促進剤として分子中にアミド基、ウレタン基、及び尿素基を少なくとも一つ有する化合物を併用することにより、消去状態を形成する過程において消色促進剤と顕色剤の間に分子間相互作用が誘起され、消去速度を格段に速くすることが可能である。
(2)C15H31CONHC16H33、
(3)C17H35CONHC18H37、
(4)C17H35CONHC18H35、
(5)C21H41CONHC18H37、
(6)C15H31CONHC18H37、
(7)C17H35CONHCH2NHCOC17H35、
(8)C11H23CONHCH2NHCOC11H23、
(9)C7H15CONHC2H4NHCOC17H35、
(10)C9H19CONHC2H4NHCOC9H19、
(11)C11H23CONHC2H4NHCOC11H23、
(12)C17H35CONHC2H4NHCOC17H35、
(13)(CH3)2CHC14H35CONHC2H4NHCOC14H35(CH3)2、
(14)C21H43CONHC2H4NHCOC21H43、
(15)C17H35CONHC6H12NHCOC17H35、
(16)C21H43CONHC6H12NHCOC21H43、
(17)C17H33CONHCH2NHCOC17H33、
(18)C17H33CONHC2H4NHCOC17H33、
(19)C21H41CONHC2H4NHCOC21H41、
(20)C17H33CONHC6H12NHCOC17H33、
(21)C8H17NHCOC2H4CONHC18H37、
(22)C10H21NHCOC2H4CONHC10H21、
(23)C12H25NHCOC2H4CONHC12H25、
(24)C18H37NHCOC2H4CONHC18H37、
(25)C21H43NHCOC2H4CONHC21H43、
(26)C18H37NHCOC6H12CONHC18H37、
(27)C18H35NHCOC4H8CONHC18H35、
(28)C18H35NHCOC8H16CONHC18H35、
(29)C12H25OCONHC18H37、
(30)C13H27OCONHC18H37、
(31)C16H33OCONHC18H37、
(32)C18H37OCONHC18H37、
(33)C21H43OCONHC18H37、
(34)C12H25OCONHC16H33、
(35)C13H27OCONHC16H33、
(36)C16H33OCONHC16H33、
(37)C18H37OCONHC16H33、
(38)C21H43OCONHC16H33、
(39)C12H25OCONHC14H29、
(40)C13H27OCONHC14H29、
(41)C16H33OCONHC14H29、
(42)C18H37OCONHC14H29、
(43)C22H45OCONHC14H29、
(44)C12H25OCONHC12H37、
(45)C13H27OCONHC12H37、
(46)C16H33OCONHC12H37、
(47)C18H37OCONHC12H37、
(48)C21H43OCONHC12H37、
(49)C22H45OCONHC18H37、
(50)C18H37NHCOOC2H4OCONHC18H37、
(51)C18H37NHCOOC3H6OCONHC18H37、
(52)C18H37NHCOOC4H8OCONHC18H37、
(53)C18H37NHCOOC6H12OCONHC18H37、
(54)C18H37NHCOOC8H16OCONHC18H37、
(55)C18H37NHCOOC2H4OC2H4OCONHC18H37、
(56)C18H37NHCOOC3H6OC3H6OCONHC18H37、
(57)C18H37NHCOOC12H24OCONHC18H37、
(58)C18H37NHCOOC2H4OC2H4OC2H4OCONHC18H37、
(59)C16H33NHCOOC2H4OCONHC16H33、
(60)C16H33NHCOOC3H6OCONHC16H33、
(61)C16H33NHCOOC4H8OCONHC16H33、
(62)C16H33NHCOOC6H12OCONHC16H33、
(63)C16H33NHCOOC8H16OCONHC16H33、
(64)C18H37OCOHNC6H12NHCOOC18H37、
(65)C16H33OCOHNC6H12NHCOOC16H33、
(66)C14H29OCOHNC6H12NHCOOC14H29、
(67)C12H25OCOHNC6H12NHCOOC12H25、
(68)C10H21OCOHNC6H12NHCOOC10H21、
(69)C8H17OCOHNC6H12NHCOOC8H17、
これらのバインダー樹脂の役割は、組成物の各材料が記録消去の熱印加によって片寄ることなく均一に分散した状態を保つところにある。したがって、前記バインダー樹脂としては、耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。また、前記バインダー樹脂としては、架橋剤を添加し、例えば、熱、紫外線、電子線などで架橋可能な硬化性樹脂を用いることが好ましい(以下、「架橋状態にある樹脂」と称することもある)。前記可逆性感熱記録層に硬化性樹脂を含有することによって、可逆性感熱記録層の耐熱性及び塗膜強度が向上し、可逆性感熱記録媒体の繰り返し耐久性が向上する。
また、前記硬化性樹脂の水酸基価としては、耐久性、塗膜表面硬度及びワレ抵抗性を向上させる点から、70mgKOH/g以上が好ましく、90mgKOH/g以上がより好ましい。前記水酸基価の大小は、架橋密度に影響するため、塗膜の耐化学薬品性、物性などを左右する。
前記イソシアネート系化合物としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソシアネート単量体のウレタン変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、カルボジイミド変性体、ブロックドイソシアネートなどの変性体などが挙げられる。また、前記変性体を形成するイソシアネート単量体としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等が挙げられる。
<数式1>
ゲル分率(%)=[乾燥後質量(g)/初期質量(g)]×100
この計算によりゲル分率を算出するときに、可逆性感熱記録層中の樹脂成分以外の有機低分子物質粒子等の質量を除いて計算を行う。この際、予め有機低分子物質の質量が分からないときには、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)等の断面観察により、単位面積あたりに占める面積比率と樹脂と有機低分子物質のそれぞれの比重により質量比率を求めて、有機低分子物質の質量を算出して、ゲル分率値を算出すればよい。
前記無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、アルミナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、シリカ、タルク、マイカ、等が挙げられる。
前記有機フィラーとしては、例えば、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ビニルベンゼン共重合体などのスチレン系樹脂;塩化ビニリデンアクリル、アクリルウレタン、エチレンアクリルなどのアクリル系樹脂;ポリエチレン樹脂;ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド系樹脂;ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。複数の場合、無機フィラーと有機フィラーの組み合わせ方について特に限定はされない。また、形状としては球状、粒状、板状、針状等が挙げられる。
前記フィラーの含有量は、体積分率で通常5体積%〜50体積%が好ましい。
前記滑剤の前記可逆性感熱記録層における含有量は、体積分率で0.1%〜95%が好ましく、1%〜75%がより好ましい。
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リン酸エステル、脂肪酸エステル、フタル酸エステル、二塩基酸エステル、グリコール、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、などが挙げられる。
前記可逆性感熱記録層の塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ロール状で連続して、又はシート状に裁断した支持体を搬送し、該支持体上に、例えば、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法で塗布する。
前記可逆性感熱記録層塗布液の乾燥条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温〜140℃の温度で10分間〜1時間程度である。
前記紫外線照射は、特に制限はなく、公知の紫外線照射装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、光源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置等を備えたものが挙げられる。
前記光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどが挙げられる。該光源の波長は、前記可逆性感熱記録媒体用組成物に添加されている光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外線吸収波長に応じて適宜選択することができる。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂を架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出力、搬送速度等を決めればよい。
<数式2>
D=(△E/△R)・η・I/(W・V)
ただし、前記数式2中、Dは、必要線量(Mrad)を表す。△E/△Rは、平均エネルギー損失を表す。ηは、効率を表す。Iは、電子流(mA)を表す。Wは、照射幅(cm)を表す。Vは、搬送速度(cm/s)を表す。
なお、工業的には、前記数式2を簡略化し、下記数式3を用いることが好ましい。
<数式3>
D・V=K・I/W
ここで、装置定格は、Mrad・m/minで表され、電子流定格は、20〜500mA程度が選択される。
前記可逆性感熱記録層の厚みが、薄すぎると発色濃度が低くなるため、画像のコントラストが低くなることがあり、厚すぎると層内での熱分布が大きくなり、発色温度に達せず発色しない部分が発生し、目的とする発色濃度が得られなくなることがある。
前記ガスバリア層は、ポリビニルアルコール系重合体及びエチレン−ビニルアルコール系共重合体から選択される少なくとも1種のバインダー樹脂、及び無機層状化合物を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂に含有される水酸基の水素結合力によってガス透過性が低下する反面、該バインダー樹脂は分子中に水酸基を含有しているため吸水性が大きく、高湿度条件下におけるガスバリア性が低下してしまう弊害があるため、無機層状化合物によってガス通過路長を拡大し、ガスの侵入を防止することで、可逆性感熱記録層中の電子供与性呈色性化合物の酸化分解を防止することができる。
前記ポリビニルアルコール系重合体の重合度は、100〜5,000が好ましく、500〜3,000がより好ましい。
前記ポリビニルアルコール系重合体のケン化度は、60モル%以上が好ましく、75モル%以上がより好ましい。
前記ポリビニルアルコールの誘導体としては、水酸基の40モル%程度までがアセタール化されているポリビニルアルコール誘導体等を挙げることができ、上記ポリビニルアルコールの変性物としては、カルボキシル基含有単量体、アミノ基含有単量体等を共重合して得られるポリビニルアルコール変性物等を挙げることができる。
前記エチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られるものの具体例としては、エチレン及び酢酸ビニルを共重合して得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られるもの、並びに、エチレン並びに酢酸ビニルとともに、その他の単量体を共重合して得られるエチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られるものが挙げられる。
ガスバリア層を設けるための材料としては、エチレン−酢酸ビニル系共重合体の共重合前の単量体におけるエチレン比率が20モル%〜60モル%が好ましい。前記エチレン比率が20モル%未満であると、高湿度下におけるガスバリア性が低下し、一方、エチレン比率が60モル%を超えると、全般に渡ってガスバリア性が低下する傾向がある。
前記無機層状化合物としては、特に制限はなく、分散媒で膨潤し、へき開する無機層状化合物が好ましく用いられ、フィロケイ酸塩の1:1構造を持つカオリナイト族、ジャモン石群に属するアンチゴライト族、スメクタイト族、含水ケイ酸塩鉱物であるバーミキュライト族、マイカ族、などが挙げられる。
前記無機層状化合物としては、具体的には、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト、加水ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石、などが挙げられる。これらは天然物であっても合成物であってもよい。また鱗片状シリカ等も使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ガスバリア性コーティング剤組成物に使用した場合のガスバリア性能からモンモリロナイトの使用が特に好ましい。
前記無機層状化合物が合成品である場合は、上述の不純物が混在していないため、画像品質の不都合が生じないものの、無機層状化合物の合成処理時に粒子径が小さくなってしまい、結果としてガス通過路長が短くなってしまい、所望のガスバリア性を発現できない可能性がある。
本発明においては、天然品及び合成品のいずれの無機層状化合物も使用できるが、上記説明の如く、使用する物質の特性を的確に把握しながらバインダー樹脂/無機層状化合物の混合比率を決定することで好適なガスバリア特性を獲得するものである。
前記ガスバリア層を形成するためには、水溶性高分子と共に使用する関係上、ガスバリア層組成物が基本的に溶媒として水を含有しているため、水との反応を抑えて、成膜後に硬化が進行するのが好ましい。したがってイソシアネート化合物の骨格に親水性基を導入して水分散状態で存在する自己乳化型のポリイソシアネート化合物がより好ましい。更に、疎水基を導入することで、成膜前での水との反応をより抑えることができるため一層好ましい。
前記可逆性感熱記録層上に、ガスバリア層を設ける場合には、必要に応じて接着剤又はアンカーコート剤を塗工した後、ガスバリア層を形成するガスバリア層組成物を塗工し、加熱乾燥する。ガスバリア層組成物の塗工方法としては、グラビアシリンダー等を用いたロールコーティング法、ドクターナイフ法やエアーナイフ・ノズルコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法等の通常の塗工方法を用いることができ、これらの方法を組み合わせてもよい。
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記可逆性感熱記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
これらの中でも、画像鮮明性の高いシートを得るために、支持体単独の曇り度(JIS K7105で規定される曇り度、ヘーズ)が10%以下であるポリエチレンテレフタレート、PET−Gフィルムが特に好ましい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10〜2,000μmが好ましく、20〜1,000μmがより好ましい。
前記アンダー層は、印加した熱を有効に利用し高感度化するため、又は支持体と可逆感熱記録層の接着性の改善や支持体への可逆性感熱記録層材料の浸透防止を目的として、前記可逆性感熱記録層と前記支持体の間に設けられ、少なくとも中空粒子を含有してなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記中空粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、熱可塑性樹脂などが好適に挙げられる。前記空隙粒子は、適宜製造したものであってもよいし、市販品であってもよい。該市販品としては、例えば、マイクロスフェアーR−300(松本油脂株式会社製)、ローペイクHP1055、ローペイクHP433J(いずれも日本ゼオン株式会社製)、SX866(JSR株式会社製)、などが挙げられる。
前記中空粒子の前記アンダー層における添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10質量%〜80質量%が好ましい。
また、前記アンダー層には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルクなどの無機フィラー及び各種有機フィラーの少なくともいずれかを含有させることができる。
なお、前記アンダー層には、その他、滑剤、界面活性剤、分散剤などを含有させることもできる。
前記アンダーの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜20μmが好ましく、0.5μm〜5μmがより好ましい。
前記保護層は、バインダー樹脂、離型剤、及び紫外線吸収剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、前記可逆性感熱記録層、又は前記紫外線吸収構造を有するポリマー含有層と同様の樹脂を用いることができ、これらの中でも、熱や紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられ、熱硬化性樹脂と紫外線硬化性樹脂がより好ましく、紫外線硬化樹脂が特に好ましい。
前記離型剤の添加量としては、前記保護層の樹脂成分全質量に対して0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜40質量%がより好ましい。前記添加量はわずかでも効果を発現するが、0.01質量%未満であると、添加による効果を得ることができなくなり、50質量%を超えると、下層との接着性に問題が生じることがある。
前記その他の成分としては、添加剤として従来公知の界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤等を含有していてもよい。
前記保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、保護層の塗工方法、乾燥方法、硬化方法等は前記可逆性感熱記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
前記カード状に加工されたものについては、プリペイドカード、ポイントカード、更にはクレジットカードなどへの応用が挙げられる。A4サイズ等の一般文書サイズに加工されたシート状のものは、印字/消去装置を用いることにより、試し印字はもちろんのこと、カードサイズよりも大きなシートサイズでは印字する範囲が広くなるため一般文書や工程管理用の指示書、回覧文書や会議資料等の一時出力用途などに広く用いることができる。
更に、ロール状に加工されたものは、印字/消去部を有した装置に組み込むなどして、表示板、掲示板又は電子黒板に用いることができる。このような表示装置は、塵、ゴミなどの発生がないため、クリーンルームなどに好ましく用いることができる。
更に、本発明の可逆性感熱記録媒体には、セキュリティのためにホログラムを設けることもできる。また、意匠性付与のためにレリーフ状、インタリヨ状に凹凸を付けて人物像や社章、シンボルマーク等のデザインを設けることもできる。
前記画像処理装置としては、例えば、前記可逆性感熱記録媒体に対し、画像の形成を行うための画像形成手段と、画像の消去を行うための画像消去手段とを備えたものが好適に挙げられ、これらの中でも、処理時間が短い点で、前記画像形成手段と前記画像消去手段とを兼用した画像形成兼消去手段を備えたものが好ましい。具体的には、(1)サーマルヘッドを用い、該サーマルヘッドに印加するエネルギーを変化させることにより画像を処理可能な画像処理装置、(2)画像形成手段がサーマルヘッドであり、画像消去手段がサーマルヘッド、セラミックヒータ(アルミナ基板上に発熱抵抗体をスクリーン印刷した発熱体)、ホットスタンプ、ヒートローラ、ヒートブロック等の発熱体を接着させる接触押圧型手段、あるいは温風や赤外線、レーザー光などを用いた非接触型手段のうち一つから選択される画像処理装置、などが挙げられる。
更には、(3)レーザー光のような非接触方式によって印加エネルギーを変化させることにより画像を処理可能な画像処理装置、画像形成手段がレーザー光のような非接触方式によるものであり、画像消去手段がサーマルヘッド、セラミックヒータ(アルミナ基板上に発熱抵抗体をスクリーン印刷した発熱体)、ホットスタンプ、ヒートローラ、ヒートブロック等の発熱体を接着させる接触押圧型手段、あるいは温風や赤外線、レーザー光などを用いた非接触型手段のうち一つから選択される画像処理装置なども挙げることができる。
−例示化合物(A−21)の合成−
<ジアゾニウム塩の調製>
温度計をセットした1Lビーカーに、3−アミノ−4−クロロ安息香酸の25.0g、
32%塩酸の400g、及び蒸留水の250gを投入し、還流攪拌を行った。原料のアミ
ノ安息香酸が溶解した30分間後に加熱を止め、次いで内温−5℃まで冷却した。冷却完
了後、亜硝酸ナトリウム水溶液(亜硝酸ナトリウム11.7g/蒸留水18.0g)を、
内温が0℃を超えないように滴下した。滴下終了後、同温にて15分間攪拌を継続し、目
的とするジアゾニウム塩水溶液(A)を調製した。
温度計をセットした3Lのビーカーに、4−ヒドロキシフェネトールの23.15g、
水酸化ナトリウムペレットの6.7g及びメタノールの375mlを仕込み室温にて攪拌
溶解した。次いで、30%水酸化ナトリウム水溶液の375mlを添加し、内温を−5℃
に冷却した。冷却後、内温が0℃を超えないように、ジアゾニウム塩水溶液(A)をゆっ
くりと滴下し、滴下終了後も1時間冷却下にて攪拌を行った。次いで、冷媒を外し、同様
に1時間攪拌を実施した後、TLCにて反応終了を確認した。反応終了後、攪拌をしなが
ら反応液に注意深く濃塩酸を添加していきpH1とした。析晶を濾取後、得られた粗晶を
500mlの蒸留水にて3回攪拌洗浄を行った。得られた粗晶をイソプロピルアルコール
(IPA)から再結晶を行い、目的とするジアゾ化合物(B)の30gの赤褐色結晶を得
た(収率64%)。
攪拌機、温度計、及び冷却管をセットした300mlの三口フラスコ中に、ジアゾ化合物(B)の15.0g、アジ化ナトリウムの6.3g、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の150mlを仕込み、内温140℃で6時間加熱攪拌を行った。原料消失をTLCで確認後、反応混合物に1N−希塩酸を投入し、系内のpHを3とした。析晶を濾取し、蒸留水200mlにて加温攪拌洗浄を2回繰り返した。得られた粗晶をIPAから再結晶を行い、11.9gの目的物(A−21)を得た(収率85%)。得られた化合物の融点は254.1℃であった。
−例示化合物(A−23)の合成−
攪拌機、温度計、及び冷却管をセットした100ml三口フラスコ中に、例示化合物(A−21)の7.0g、炭酸水素ナトリウム粉末の2.95g、ヨウ化エチルの5.47g、及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)の70mlを仕込み、85℃の油浴中にて、
2時間加熱攪拌を行った。原料消失をTLCで確認後、反応混合物を1N−希塩酸に投入
し、攪拌棒でこねていると析晶した。得られた析晶を濾取し、蒸留水50mlにて加温攪
拌洗浄を2回繰り返した。得られた粗晶をIPAから再結晶を行い、7.0gの目的物を
得た(収率91%)。得られた化合物の融点は155.2℃であり、λmax(塩化メチ
レン)は350.5nmであった。
−例示化合物(F−1)の合成−
攪拌機、温度計、及び冷却管をセットした500mlの三口フラスコ中に、2−[2−ヒドロキシ−5−(1−ヒドロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールの7.3g、ヘキサメチルテトラミンの4.2g、及びトリフルオロメタンスルホン酸の80mlを仕込み、一昼夜還流攪拌を行った。原料消失をTLCで確認後、反応混合物を200gの氷に投入し、塩化メチレン50mlにて抽出を2回行った。塩化メチレン層を合わせ、
飽和炭酸水素ナトリウム洗浄、飽和食塩水洗浄を順次繰り返し、有機層を無水硫酸ナトリ
ウムにて乾燥を行った。次いで無水硫酸ナトリウムを濾去し、有機層をエパポレーターに
てドライアップし、粗晶を得た。得られた粗晶を酢酸エチルにて再結晶を行い、目的物(F−1)の7.0gを得た(収率86%)。得られた化合物のλmax(塩化メチレン)は356.5nmであった。
−例示化合物(G−1)の合成−
攪拌機、温度計、及び冷却管をセットした100mlの三口フラスコ中に、例示化合物(G−1)の5.4g、アニリンの2.0g、氷酢酸の1滴、及びエタノール50mlを仕込み、1時間還流攪拌を行った。原料消失をTLCで確認後、反応混合物を室温まで冷却し、析晶を濾取した。得られた粗晶をエタノールで再結晶を行い、目的物(G−1)の5.5gを得た。得られた化合物のλmax(塩化メチレン)は356.0nmであった。
−例示化合物(H−1)の合成−
攪拌機、温度計、及び冷却管をセットした1000mlの三口フラスコ中に、前記合成した化合物(F−1)の50.0g、ギ酸ナトリウムの19.4g、4−メトキシフェノールの1.8g、及びギ酸の500mlを仕込み、内温30℃にて攪拌溶解した。次いで、加熱を止めヒドロキシルアミン塩酸塩の19.8gを投入し6時間還流攪拌を行った後、TLCにて反応終了を確認した。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し酢酸エチル500mlにて抽出を2回行った。酢酸エチル層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム洗浄、飽和食塩水洗浄を順次繰り返し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥を行った。次いで無水硫酸ナトリウムを濾去し、有機層をエパポレーターにてドライアップし、粗晶を得た。
得られた粗晶をイソプロピルエーテル(IPE)にて再結晶を行い、目的物(H−1)の43.6gを得た(収率86%)。得られた化合物の融点は153.5℃であり、λmax(クロロホルム)は341.5nmであった。
−例示化合物(I−1)の合成−
500mlのナス型フラスコ中に、前記合成した化合物(F−1)の12.7g、アセトフェノンの8.1g、30%水酸化ナトリウム水溶液の150mlを仕込み、6時間超音波装置で反応させた。原料消失をTLCで確認後、反応混合物に1N−希塩酸を投入し、系内のpHを1とした。析晶を濾取し、蒸留水500mlにて加温攪拌洗浄を2回繰り返した。得られた粗晶をIPAから再結晶を行い、11.8gの目的物(I−1)を得た(収率68%)。得られた化合物の融点は92.38℃であり、λmax(塩化メチレン)は346.5nmであった。
−例示化合物(A−16)の合成−
<ジアゾニウム塩の調製>
温度計をセットした2Lビーカーに、3−アミノ−4−クロロベンゾトリフルオリドの25.0g、32%塩酸の110g、及び蒸留水の500gを投入し、還流攪拌を行った。原料の3−アミノ−4−クロロベンゾトリフルオリドが溶解した30分間後に加熱を止め、次いで内温−5℃まで冷却した。冷却完了後、亜硝酸ナトリウム水溶液(亜硝酸ナトリウム10.6g/蒸留水18.0g)を、内温が0℃を超えないように滴下した。滴下終了後、同温にて15分間攪拌を継続し、目的とするジアゾニウム塩水溶液(C)を調製した。
温度計をセットした3Lのビーカーに、4−ヒドロキシフェネトールの20.3g、水酸化ナトリウムペレットの5.9g及びメタノールの375mlを仕込み室温にて攪拌溶解した。次いで、30%水酸化ナトリウム水溶液の375mlを添加し、内温を−5℃に冷却した。冷却後、内温が0℃を超えないように、ジアゾニウム塩水溶液(C)をゆっくりと滴下し、滴下終了後も1時間冷却下にて攪拌を行った。次いで、冷媒を外し、同様に1時間攪拌を実施した後、TLCにて反応終了を確認した。反応終了後、攪拌をしながら反応液に注意深く濃塩酸を添加していきpH1とした。析晶を濾取後、得られた粗晶を500mlの蒸留水にて3回攪拌洗浄を行った。得られた粗晶をイソプロピルアルコール(IPA)から再結晶を行い、目的とするジアゾ化合物(D)の30gの赤褐色結晶を得た(収率70%)。
攪拌機、温度計、及び冷却管をセットした300mlの三口フラスコ中に、ジアゾ化合物(D)の10.0g、アジ化ナトリウムの3.9g、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の150mlを仕込み、内温140℃で6時間加熱攪拌を行った。原料消失をTLCで確認後、反応混合物に1N−希塩酸を投入し、系内のpHを7とした。次いで、酢酸エチル200mlにて抽出を2回行った。酢酸エチル層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム洗浄、飽和食塩水洗浄を順次繰り返し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥を行った。次いで無水硫酸ナトリウムを濾去し、有機層をエパポレーターにてドライアップし、残渣を得た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(テトラヒドロフラン/ヘキサン=15/1)で精製して、目的物(A−16)の3.6gを得た(収率38%)。
得られた化合物の融点は117.8℃であり、λmax(塩化メチレン)は346.5nmであった。
−例示化合物(N−1)の合成−
<ジアゾニウム塩の調製>
温度計をセットした2Lビーカーに、3−アミノ−2−クロロピリジンの25.0g、32%塩酸の167g、及び蒸留水の800gを投入し、還流攪拌を行った。原料の3−アミノ−2−クロロピリジンが溶解した30分間後に加熱を止め、次いで、内温−5℃まで冷却した。冷却完了後、亜硝酸ナトリウム水溶液(亜硝酸ナトリウム16.1g/蒸留水30.0g)を、内温が0℃を超えないように滴下した。滴下終了後、同温にて15分間攪拌を継続し、目的とするジアゾニウム塩水溶液(E)を調製した。
温度計をセットした3Lのビーカーに、4−ヒドロキシフェネトールの30.9g、水酸化ナトリウムペレットの9.0g及びメタノールの500mlを仕込み室温にて攪拌溶解した。次いで、30%水酸化ナトリウム水溶液の500mlを添加し、内温を−5℃に冷却した。冷却後、内温が0℃を超えないように、ジアゾニウム塩水溶液(E)をゆっくりと滴下し、滴下終了後も1時間冷却下にて攪拌を行った。次いで、冷媒を外し、同様に1時間攪拌を実施した後、TLCにて反応終了を確認した。反応終了後、攪拌をしながら反応液に注意深く1N−希塩酸を添加していきpH7とした。析晶を濾取後、得られた粗晶を500mlの蒸留水にて3回攪拌洗浄を行った。得られた粗晶をイソプロピルエーテル(IPE)から再結晶を行い、目的とするジアゾ化合物(F)の33gの赤褐色結晶を得た(収率66%)。
攪拌機、温度計、及び冷却管をセットした300mlの三口フラスコ中に、ジアゾ化合物(F)の10.0g、アジ化ナトリウムの4.7g、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の150mlを仕込み、内温140℃で6時間加熱攪拌を行った。原料消失をTLCで確認後、反応混合物に1N−希塩酸を投入し、系内のpHを7とした。次いで、酢酸エチル200mlにて抽出を2回行った。酢酸エチル層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム洗浄、飽和食塩水洗浄を順次繰り返し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥を行った。次いで無水硫酸ナトリウムを濾去し、有機層をエパポレーターにてドライアップし、残渣を得た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=15/1)で精製して、目的物(N−1)の3.2gを得た(収率35%)。得られた化合物の融点は139.5℃であり、λmax(塩化メチレン)は354.0nmであった。
−例示化合物物A−23を含有する耐熱性向上モノマーの合成−
攪拌機、温度計、及び冷却管をセットした1000mlの三口フラスコ中に、例示化合物A−23の32.7g、トリエチルアミンの11.1g、及びテトラヒドロフラン(THF)の400mlを仕込み、氷水冷化、塩化メタクリロイルの11.0gを滴下ロートにて滴下した。滴下終了後、同温にて30分間攪拌した後、原料消失をTLCで確認。反応終了後、反応混合物を2%希塩酸500mlに投入し、析晶を濾取。得られた析晶を蒸留水200mlにて攪拌洗浄を行い、次いで酢酸エチルから再結晶を行い、目的物である重合性モノマーの26.1gを得た。得られた重合性モノマーの融点は、84.5℃であった。
−例示化合物F−1を含有する耐熱性向上モノマーの合成−
前記合成例9に記載したのと同様の反応によって、例示化合物F−1を含有する耐熱性向上モノマーを合成した。得られたモノマーの融点は、134.8℃であった。
−例示化合物G−1を含有する耐熱性向上モノマーの合成−
前記合成例9に記載したのと同様の反応によって、例示化合物G−1を含有する耐熱性向上モノマーを合成した。得られたモノマーの融点は73.0℃であった。
−例示化合物H−1を含有する耐熱性向上モノマーの合成−
前記合成例9に記載したのと同様の反応によって、例示化合物H−1を含有する耐熱性向上モノマーを合成した。得られたモノマーの融点は、153.5℃であった。
−例示化合物I−1を含有する耐熱性向上モノマーの合成−
前記合成例9に記載したのと同様の反応によって、例示化合物I−1を含有する耐熱性向上モノマーを合成した。得られたモノマーの融点は、95.3℃であった。
−例示化合物N−1を含有する耐熱性向上モノマーの合成−
前記合成例9に記載したのと同様の反応によって、例示化合物N−1を含有する耐熱性向上モノマーを合成した。得られたモノマーの融点は、82.0℃であった。
−耐熱性向上ポリマーの合成−
攪拌機、温度計、及び冷却管をセットした50ml四口フラスコ中に、前記合成例9で合成した重合性モノマーの9.45g、ヒドロキシエチルメタクリレートの4.05g、1−ドデシルメルカプタンの0.68g、メチルエチルケトンの11.5g、及びトルエンの5.0gを仕込み、攪拌下、アルゴンガスでバブリングを行い脱気した。反応容器を60℃に加温し、重合開始剤V−601(和光純薬株式会社製、アゾビスニトリル系化合物)の0.20gを投入し、加熱攪拌を6時間継続した。原料モノマーの消失をTLCで確認した後、反応混合物を室温まで冷却し、目的とするポリマー溶液を得た。
得られたポリマーの質量平均分子量(Mw)は10270、Mw/Mnは1.611で
あり、水酸基価(計算値)は約130mgKOH/gであった。
−耐熱性向上ポリマーの合成−
前記合成例10で合成した重合性モノマーを用いて前記合成例15記載のポリマー化反応を行い、目的とするポリマーを得た。得られたポリマーの質量平均分子量(Mw)は10872、Mw/Mnは2.440であり、水酸基価(計算値)は約130mgKOH/gであった。
前記合成例11で合成した重合性モノマーを用いて前記合成例15記載のポリマー化反応を行い、目的とするポリマーを得た。得られたポリマーの質量平均分子量(Mw)は12536、Mw/Mnは2.087であり、水酸基価(計算値)は約130mgKOH/gであった。
前記合成例12で合成した重合性モノマーを用いて前記合成例15記載のポリマー化反応を行い、目的とするポリマーを得た。得られたポリマーの質量平均分子量(Mw)は5256、Mw/Mnは1.562であり、水酸基価(計算値)は約130mgKOH/gであった。
前記合成例13で合成した重合性モノマーを用いて前記合成例15記載のポリマー化反応を行い、目的とするポリマーを得た。得られたポリマーの質量平均分子量(Mw)は3548、Mw/Mnは1.267であり、水酸基価(計算値)は約130mgKOH/gであった。
前記合成例14で合成した重合性モノマーを用いて前記合成例15記載のポリマー化反応を行い、目的とするポリマーを得た。得られたポリマーの質量平均分子量(Mw)は3063、Mw/Mnは1.196であり、水酸基価(計算値)は約130mgKOH/gであった。
<可逆性感熱記録層の作製>
・2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン・・・2質量部
・下記構造式で表される顕色剤・・・8質量部
・アクリルポリオール樹脂の15質量%メチルエチルケトン溶液(水酸基価:70mgKOH/g、酸価:1.0mgKOH/g未満、質量平均分子量:35000、ガラス転移温度:52℃、水酸基モノマー:2−ヒドロキシエチルメタクリレート)・・・150質量部
・コロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製)・・・10質量部
上記組成物をボールミルを用いて、平均粒径が0.1〜3μmまでなるように粉砕分散した。得られた分散液で可逆性感熱記録層塗布液を調製した。
上記組成の記録層塗布液を、前記アンダーコート層の上にワイヤーバーを用い塗布し、100℃で1分間乾燥した後、60℃で24時間加温して、厚み10.0μmの可逆性感熱記録層を設けた。
・例示化合物(A−21)・・・30質量部
・アクリルポリオール樹脂の15質量%メチルエチルケトン溶液(水酸基価:70mgKOH/g、酸価:1.0未満、質量平均分子量:35000、ガラス転移温度:52℃、水酸基モノマー:2−ヒドロキシエチルメタクリレート)・・・50質量部
・コロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製)・・・3.5質量部
上記組成の耐熱性向上層液を前記記録層の上にワイヤーバーを用い塗布し、100℃で1分間乾燥した後、60℃で24時間加温して、厚み3.0μmの耐熱性向上層を設けた。
・ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、C7−157)・・・15質量部
・酢酸エチル・・・85質量部
上記組成をよく攪拌し保護層液を調製した。この塗液を、上記耐熱性向上層の上にワイヤーバーを用いて塗工し、90℃で1分間乾燥させたのち、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下、9m/分の搬送速度で通して硬化して、厚み3μmの保護層を設けて、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例1において、例示化合物(A−21)の代わりに例示化合物(A−23)を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例1において、例示化合物(A−21)の代わりに例示化合物(F−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例1において、例示化合物(A−21)の代わりに例示化合物(G−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例1において、例示化合物(A−21)の代わりに例示化合物(H−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例1において、例示化合物(A−21)の代わりに例示化合物(I−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例1において、例示化合物(A−21)の代わりに例示化合物(A−16)を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例1において、例示化合物(A−21)の代わりに例示化合物(N−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例1において、例示化合物(A−21)及びアクリルポリオール樹脂の代わりに合成例15によって合成した例示化合物(A−23)を含有するポリマーを固形分換算して同量用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例1において、例示化合物(A−21)及びアクリルポリオール樹脂の代わりに合成例16によって合成した例示化合物(F−1)を含有するポリマーを固形分換算して同量用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例1において、例示化合物(A−21)及びアクリルポリオール樹脂の代わりに合成例17によって合成した例示化合物(G−1)を含有するポリマーを固形分換算して同量用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例1において、例示化合物(A−21)及びアクリルポリオール樹脂の代わりに合成例20によって合成した例示化合物(N−1)を含有するポリマーを固形分換算して同量用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
<EVOH系ガスバリア性コーティング液の調製>
精製水50%、IPA50%の混合溶剤60質量部に、40質量%のEVOH水溶液を2.1質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液を高速で攪拌しながら、無機層状化合物としてのモンモリロナイト37.9質量部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた混合溶液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、300メッシュのフィルターにて濾過し、固形分3質量%のガスバリア性コーティング液1(EVOH/無機層状化合物=25/75、以下、「EV1」と略記する)を得た。
前記EV1の10質量部に、シランカップリング剤(商品名:SH−6062、東レダウコーニング社製)の0.3質量部を添加し、攪拌混合した。次いで、実施例9の耐熱性向上層の上にワイヤーバーを用い塗布し、90℃で1分間乾燥した後、50℃で24時間加温して、厚み1.0μmのガスバリア層を設けた。
次に、作製したガスバリア層上に、更に保護層を実施例9と同様にして設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例13において、例示化合物(A−23)を含有するポリマーの代わりに合成例16の例示化合物(F−1)を含有するポリマーを用いた以外は、実施例13と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例1において、例示化合物(A−21)の代わりに下記の例示化合物(Y)を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
−例示化合物(Y)−
実施例1において、例示化合物(A−21)の代わりに下記の例示化合物(Z)を用いた以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録媒体を作製した。
−例示化合物(Z)−
実施例9において、例示化合物(A−23)を含有するポリマーの代わりに下記の耐熱性向上ポリマー(PUVA)を用いた以外は、実施例9と同様にして、可逆性感熱記録材料を作製した。
<耐熱性向上ポリマー(PUVA)の合成>
攪拌機、温度計、及び冷却管をセットした50ml三口フラスコ中に、下記構造式で表されるモノマー(RUVA93)の4.73g、ヒドロキシエチルメタクリレートの2.02g、メチルメタクリレートの6.75g、1−ドデシルメルカプタンの0.68g、メチルエチルケトンの11.5g、及びトルエンの5.0gを仕込み、攪拌下、アルゴンガスでバブリングを行い脱気した。反応容器を60℃に加温し、重合開始剤V−601(和光純薬株式会社製、アゾビスニトリル系化合物)の0.20gを投入し、加熱攪拌を6時間継続した。原料モノマーの消失をTLCで確認した後、反応混合物を室温まで冷却し、目的とするポリマー溶液を得た。
得られたポリマーの質量平均分子量(Mw)は9,880、Mw/Mnは1.421であり、水酸基価:OHV(計算値)は65mgKOH/gであった。
比較例2において、実施例13と同様のガスバリア層を設けた以外は、比較例2と同様にして、可逆性感熱記録材料を作製した。
実施例9において、例示化合物(A−23)を含有するポリマーの代わりに下記の耐熱性向上ポリマーを用いた以外は、実施例9と同様にして、可逆性感熱記録材料を作製した。
ここで用いる耐熱性ポリマーは、下記構造式で表される化合物を合成例9の方法に従ってモノマー化した化合物を比較例3に記載したポリマー合成と同様にして得ることができる。
作製した各可逆性感熱記録媒体を、京セラ株式会社製端面型サーマルヘッドKSB320AA(抵抗値1206Ω)とセラミックヒーター(4mm幅)を用いた感熱印字シミュレータを用いて下記の条件で印字及び消去を行い、濃度をマクベス濃度計RD−914を用いて測定した。
・評価条件:印字速度5インチ/s、副走査密度8dot/mm
・画像濃度:印加エネルギーを1V刻みで電圧を変化させて印字したときの最大濃度を用いた。
・消去濃度:前記画像濃度で最大濃度を得た印加エネルギーでベタ画像を形成したものに対し、セラミックヒーター設定温度を5℃刻みで変化させて消去したときの最小消去濃度を用いた。
作製した各可逆性感熱記録媒体を、パナソニックコニュニケーションズ社製カードプリンタKU−R2800を用いて印字及び消去を繰り返し100回行った。100回繰り返し後の可逆性感熱記録材料のカード表面を目視で観察し、下記評価基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:画像部の発色状態及び消去部の消色状態が良好で、塗膜の損傷が観察されないレベル。
○:発色及び消色状態は良好であるが、塗膜の損傷がわずかに観察されるレベル。
△:塗膜の損傷が見られ、また塗膜が熱疲労により褐色に変色しているレベル。更に発色濃度が低下し、また消去不良が観察されるレベル。
×:塗膜の損傷及び褐色への変色が激しく、繰り返し耐久性評価が継続できないレベル。
作製した各可逆性感熱記録媒体を、評価1と同様にして発色画像を形成し、キセノン(照度:13万Lx、時間:144時間、温度:30℃、湿度:85%RH、セリック社製人工太陽照射装置)曝露を行った。曝露後の画像濃度、及び消去濃度を上記(評価1)と同様にして測定した。
紫外線透過率は、HITACHI社製Spectrophotometer U−4100を用いて、分光光度計の透過モードにて測定(この場合、390nmでの光透過率)を行った。この際、測定に用いた試料は、耐熱性向上層を透明フィルム(390nmに吸収をもたない各種フィルムを用いることができる)上に実施例記載の方法によって調製した塗工液を用いて、3μmの厚さに積層して作製した。なお、紫外線透過率の測定には、試料作製に用いた透明フィルムをリファレンスとして測定を行った。
Claims (19)
- ベンゾトリアゾール骨格に、電子吸引基と、反応性脂肪族水酸基及び反応性脂肪族メルカプト基のいずれかとを有する耐熱性向上成分を含有してなり、可逆性感熱記録媒体に用いられることを特徴とする耐熱性向上剤。
- 電子吸引基が、ハロゲン原子、−NO2、−CN、−CF3、R1−SO2−、R1−CO−、R1−OOC−、及びR1NHCO−(ただし、R1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、及びアラルキル基のいずれかを表す)から選択されるいずれかである請求項1に記載の耐熱性向上剤。
- 耐熱性向上成分が、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1から2のいずれかに記載の耐熱性向上剤。
R2は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、及びアルキルオキシ基のいずれかを表す。mは0〜3の整数を表す。
X1は、ハロゲン原子、−NO2、−CN、−CF3、R1−SO2−、R1−CO−、R1−OOC−、及びR1NHCO−(R1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、及びアラルキル基のいずれかを表す)のいずれかの電子吸引基を表す。 - 耐熱性向上成分が、一般式(2)で表される化合物である請求項1から3のいずれかに記載の耐熱性向上剤。
- 耐熱性向上成分が、少なくとも下記一般式(3)で表される化合物と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを重合して得られる反応性水酸基含有ポリマーである請求項1から2のいずれかに記載の耐熱性向上剤。
- 耐熱性向上成分が、下記一般式(4)で表される化合物と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを重合して得られる反応性水酸基含有ポリマーである請求項5に記載の耐熱性向上剤。
- X2のアルキルオキシカルボニル基が、炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキルオキシカルボニル基である請求項4から6のいずれかに記載の耐熱性向上剤。
- 炭素原子が電気陰性原子で置換されたベンゾトリアゾール骨格に、反応性脂肪族水酸基及び反応性脂肪族メルカプト基のいずれかを有する耐熱性向上成分を含有してなり、可逆性感熱記録媒体に用いられることを特徴とする耐熱性向上剤。
- 耐熱性向上成分が、下記一般式(5)で表される化合物である請求項8に記載の耐熱性向上剤。
- 耐熱性向上成分が、下記一般式(6)で表される化合物である請求項9に記載の耐熱性向上剤。
- 耐熱性向上成分が、少なくとも下記一般式(7)で表される化合物と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを重合して得られる反応性水酸基含有ポリマーである請求項8に記載の耐熱性向上剤。
- 耐熱性向上成分が、下記一般式(8)で表される化合物と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを重合して得られるポリマーである請求項11に記載の耐熱性向上剤。
- ポリマーの質量平均分子量が1,000〜200,000である請求項5から7及び11から12のいずれかに記載の耐熱性向上剤。
- ポリマーの水酸基価が100mgKOH/g以上であり、かつ酸価が5mgKOH/g以下である請求項5から7及び11から13のいずれかに記載の耐熱性向上剤。
- 支持体と、該支持体上に、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物とを含有し、温度に依存して色調が可逆的に変化する可逆性感熱記録層と、該可逆性感熱記録層上に耐熱性向上層を少なくとも有してなり、
前記耐熱性向上層が、請求項1から14のいずれかに記載の耐熱性向上剤を含有することを特徴とする可逆性感熱記録媒体。 - 耐熱性向上層の390nmにおける紫外線透過率が20%以下である請求項15に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 耐熱性向上層がバインダー樹脂を含有し、該バインダー樹脂が、エステルポリオール樹脂及びアクリルポリオール樹脂のいずれかである請求項15から16のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
- 耐熱性向上剤における反応性脂肪族水酸基及び反応性脂肪族メルカプト基のいずれかが、イソシアネート化合物と架橋状態にある請求項15から17のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
- 更にガスバリア層を有する請求項15から18のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
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