JP2006082252A - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】高コントラストな記録画像の形成あるいは消去が多数回にわたって可能であり、耐光性、層間接着強度の良好な可逆性感熱記録材料を提供すること。
【解決手段】支持体上に、通常無色ないし淡色の染料前駆体および、加熱により該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤を含有する可逆性感熱記録層と、シランカップリング剤またはアジリジン化合物の少なくとも1種と水溶性高分子を含有する酸素バリア層と、保護層をこの順に設け、酸素バリア層の支持体側に隣接する層表面の単位面積あたりの表面エネルギーを50dyn/cm以上としたことを特徴とする可逆性感熱記録材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱エネルギーを制御することにより高コントラストな記録画像の形成と消去とを多数回にわたって繰り返し可能であり、耐光性、層間接着強度に優れた可逆性感熱記録材料に関する。
近年、一時的な画像の形成が行なえ、不要となった時にはその画像の消去が出来るようにした可逆性感熱記録材料が注目されている。その代表的なものとしては、通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱によりこの染料前駆体を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆性顕色剤を用いた可逆性感熱記録材料が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
この記録材料によれば、高コントラストで高感度な記録画像の形成と消去が多数回にわたって可能であり、ICカードや磁気カード等において、カード内の情報を可視化する目的で広く使われるようになってきた。しかしながらこの記録材料に用いられている染料前駆体は、特にその発色状態が耐光性に劣っているという問題点がある。この点を改良するために、可逆性感熱記録材料に各種の酸化防止剤を添加する方法、紫外線吸収層や酸素バリア層を設ける工夫、耐光性の高い染料前駆体の使用等が検討されているがまだ十分なレベルには至っていない(例えば特許文献4〜8参照)。酸素バリア層の設置は比較的有効であるが、従来の技術では層間剥離を防止するために接着層を設ける必要があり、それでもなお、層間接着強度が十分でないという問題点があった。
特開平6−171225号公報 特開平6−210954号公報 特開平7−68934号公報 特開平6−1066号公報 特開平7−205547号公報 特開平9−39398号公報 特開平9−175024号公報 特開平8−150784号公報
本発明の課題は、高コントラストな記録画像の形成あるいは消去が多数回にわたって可能であり、耐光性、層間接着強度に優れた可逆性感熱記録材料を提供することである。
支持体上に、通常無色ないし淡色の染料前駆体および、加熱により該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤を含有する可逆性感熱記録層と、シランカップリング剤またはアジリジン化合物の少なくとも1種と水溶性高分子を含有する酸素バリア層と、保護層をこの順に設けた可逆性感熱記録材料において、該酸素バリア層の支持体側に隣接する層表面の単位面積あたりの表面エネルギーを50dyn/cm以上とすることで達成される。
また、酸素バリア層の支持体側に隣接する層における顔料含有率を30%以上とすることで好適に達成される。
さらに、酸素バリア層の支持体側に隣接する層をコロナ処理した層とすることで好適に達成される。
さらに、水溶性高分子をポリビニルアルコールまたはエチレン−ビニルアルコール共重合体とすることで好適に達成される。
さらに、水溶性高分子をカルボキシ基変性タイプとすることで好適に達成される。
さらに、シランカップリング剤およびアジリジン化合物の少なくとも1種と、水溶性高分子の質量比を1/100〜10/100とすることで好適に達成される。
さらに、酸素バリア層の支持体側に隣接する層のバインダーを、ポリオール樹脂をイソシアネート化合物で架橋して得られる熱硬化性樹脂とすることで好適に達成される。
さらに、保護層を紫外線硬化性樹脂で形成することで好適に達成される。
本発明によれば、高コントラスト、高感度な記録画像の形成あるいは消去が多数回にわたって可能であり、耐光性、層間接着強度に優れた可逆性感熱記録材料が提供される。
本発明に用いられる支持体としては、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができ、透明、半透明或いは不透明のいずれであっても良い。また、これらに限定されるものでもない。
本発明に用いられる、加熱により染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤としては、公知のものを使用することができる。中でも下記一般式(1)で表されるものが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2006082252
一般式(1)において、XaおよびXbはそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい酸素原子、硫黄原子または両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を表す。ここで−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基の具体例としては、アミド(−CONH−、−NHCO−)、尿素(−NHCONH−)、ウレタン(−NHCOO−、−OCONH−)、ジアシルアミン(−CONHCO−)、ジアシルヒドラジン(−CONHNHCO−)、しゅう酸ジアミド(−NHCOCONH−)、アシル尿素(−CONHCONH−、−NHCONHCO−)、セミカルバジド(−NHCONHNH−、−NHNHCONH−)、アシルセミカルバジド(−CONHNHCONH−、−NHCONHNHCO−)、ジアシルアミノメタン(−CONHCH2NHCO−)、1−アシルアミノ−1−ウレイドメタン(−CONHCH2NHCONH−、−NHCONHCH2NHCO−)、マロンアミド(−NHCOCH2CONH−)等の基が挙げられる。R1は単結合または炭素数1から12の二価の炭化水素基を表す。R2は炭素数1から18の二価の炭化水素基を表す。好ましくは炭素数1から4の二価の炭化水素基である。R3は炭素数1から24の一価の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6から24の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数8から24の炭化水素基である。更に、R1、R2およびR3の炭素数の和が11以上35以下である場合が特に好ましい。R1、R2およびR3は主として、各々アルキレン基およびアルキル基を表す。R1の場合は、芳香環を含んでいてもよい。nは0から4の整数を表し、nが2以上のとき繰り返されるR2およびXbは同一であっても異なっていてもよい。
本発明に用いられる一般式(1)で示される可逆性顕色剤において、nが0で、Xaが両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基であるものが特に好ましい。
以下に一般式(1)で表される具体的化合物を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]カルバミン酸−n−オクタデシル、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキシル]カルバミン酸−n−テトラデシル、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]カルバミン酸−n−ドデシル、N−n−オクタデシルカルバミン酸−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]、N−n−デシルカルバミン酸−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカニル]、N−n−テトラデシルカルバミン酸−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N−n−オクタデカノイルアミン、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノイル]−N−n−オクタデカノイルアミン、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N−(p−n−オクチルベンゾイル)アミン、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−ドデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−ドコサノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N′−n−テトラデカノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N′−(p−n−オクチルベンゾ)ヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニルオキシ)ウンデカノ−N′−11−ドデセノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ−N′−n−テトラデカノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ−N′−(6−フェニル)ヘキサノヒドラジド、N−[11−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)ウンデカノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニルメチル)ベンゾ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−テトラデシルオキサミド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピル]−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピル]−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカニル]−N′−n−デシルオキサミド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)−N′−n−ドデシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセチル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾイル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−ドデカノイル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−オクタデカノイル尿素、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N′−n−オクタデカノイル尿素、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−テトラデシルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−オクタデシルセミカルバジド、4−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−1−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセチル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノイル]−4−n−デシルセミカルバジド、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾイル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−テトラデカノイルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−オクタデデカノイルセミカルバジド、4−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−1−n−オクタデカノイルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−n−ドデカノイルアミノメタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカンアミド]−1−n−デカノイルアミノメタン、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンズアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−(3−n−ドデシルウレイド)メタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカンアミド]−1−(3−n−デシルウレイド)メタン、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンズアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−{3−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ウレイド}−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−{3−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]ウレイド}−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−オクタデシルマロンアミド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N′−n−オクタデシルマロンアミド、N−4−チアヘキサデカノイル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノイルアミド、N−12−チアドコサノイル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノイルアミド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−4−オキサヘキサデカノヒドラジド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−4−チアヘキサデカノヒドラジド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−12−オキサドコサノヒドラジド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−12−チアドコサノヒドラジド、 N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−4−チアヘキサデカノオキサミド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−12−オキサドコサノオキサミド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−12−チアドコサノオキサミド、 N−p−ヒドロキシフェニルエチル−N′−12−チアドコシルオキサミド、N−p−ヒドロキシベンジル−N′−12−チアドコシル尿素、N−p−ヒドロキシベンジル−N′−12−オキサドコシル尿素、1−(p−ヒドロキシフェニルエチル)−4−(12−チアドコシル)セミカルバジド、1−(p−ヒドロキシベンジル)−4−(12−チアドコシル)セミカルバジド、等が挙げられる。
本発明に用いられる、一般式(1)で示される可逆性顕色剤はそれぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよく、通常無色ないし淡色の染料前駆体に対する使用量は、5〜5000質量%、好ましくは10〜3000質量%である。
本発明に用いられる、通常無色ないし淡色の染料前駆体としては、一般に感圧記録紙や感熱記録紙等に用いられるものがよく知られている。具体的な例としては、例えば下記に挙げるもの等があるが、本発明はこれに限定されるものではない。またこれら染料前駆体は、それぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよい。
(1)トリアリールメタン系化合物
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−n−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等、
(2)ジフェニルメタン系化合物
4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、
(3)キサンテン系化合物
ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェノキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル)トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)トリルアミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル)プロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)イソアミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル)シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)テトラヒドロフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等、
(4)チアジン系化合物
ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等が挙げられる。
(5)スピロ系化合物
3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等が挙げられる。
本発明で用いられる可逆性感熱記録層を得るために使用されるバインダーとしては例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メトキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、ゼラチン、カゼイン、澱粉、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル類、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン/塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のラテックス類、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂等およびこれらの水酸基、カルボキシル基がイソシアネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ類等の架橋剤と反応し、硬化するポリウレタン等の熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂が挙げられる。これらの中で、特開平10−230680号公報や同11−58963号公報に記載の、ポリオール樹脂をイソシアネート化合物で架橋して得られる熱硬化性樹脂が好ましい。
可逆性感熱記録層におけるバインダーの使用量としては、該可逆性感熱記録層全質量に対する該バインダー成分の質量百分率が35%以上65%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲より大きくなると著しく発色濃度が低下し、逆にこの範囲より小さくなると、可逆性感熱記録層の耐熱性や機械的強度が低下し、層の変形や発色濃度の低下が起きる。可逆性感熱記録層における該バインダー成分の質量百分率は、40%以上60%以下がより好ましく、45%以上55%以下がなお一層好ましい。
また、可逆性感熱記録層の発色感度および消色温度を調節するための添加剤として、熱可融性物質を可逆性感熱記録層中に含有させることができる。60℃〜200℃の融点を有するものが好ましく、特に80℃〜180℃の融点を有するものが好ましい。一般の感熱記録紙に用いられている増感剤を使用することもできる。例えば、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等のワックス類、2−ベンジルオキシナフタレン等のナフトール誘導体、p−ベンジルビフェニル、4−アリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル等のポリエーテル化合物、炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)エステル等の炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体等を併用して添加することができる。
本発明の可逆性感熱記録層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、3〜15μmがより好ましい。
本発明の酸素バリア層において用いられる水溶性高分子としては例えば、プルラン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム等の天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成高分子、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の合成高分子を挙げることができるが、酸素バリア性の高いフィルムを形成しうるという点から、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、またはエチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。変性ポリビニルアルコールの中では、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、およびエポキシ変性ポリビニルアルコールが好ましく、その中でも特にカルボキシ変性ポリビニルアルコールがより好ましい。
本発明は、上記の水溶性高分子を有する酸素バリア層の支持体側に隣接する層表面の単位面積あたりの表面エネルギーを制御し、さらに、水溶性高分子を含有する酸素バリア層にシランカップリング剤またはアジリジン化合物の少なくとも1種を含有させることにより、酸素バリア層の支持体側に隣接する層との間の接着が強まり、記録画像の形成あるいは消去が多数回にわたって可能であることを見いだしたものである。酸素バリア層の支持体側に隣接する層のバインダーが、ポリオール樹脂をイソシアネート化合物で架橋して得られる熱硬化性樹脂の場合にはさらに接着が強固となる。
本発明において用いられるシランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メタクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のビニル基を有するアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するアルコキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基および/又はイミノ基を有するアルコキシシラン、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート等のイソシアネートアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するアルコキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基を有するアルコキシシランを挙げることができる。
本発明において用いられるアジリジン化合物の例としては、トリメチロールプロパントリス(3−アジリジニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス[3−(2−メチル−アジリジニル)−プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス(2−アジリジニルブチレート)、トリス(1−アジリジニル)ホスフィンオキシド、ペンタエリスリトールトリス−3−(1−アジリジニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス−3−(1−アジリジニルプロピオネート)、1,6−ビス(1−アジリジノカルバモイル)ヘキサメチレンジアミン等を挙げることができる。
本発明における酸素バリア層の支持体側に隣接する層表面の単位面積あたりの表面エネルギーは50dyn/cm以上とすることが好ましく、これ以下であると水性高分子を上層として設ける際に隣接する層のミクロな凹凸に水性高分子が行き渡らず、結果として接着面積が小さくなり層間接着強度が弱くなる。単位面積あたりの表面エネルギーを挙げる方法としては、顔料の含有率を上げる方法やコロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、紫外線照射処理、溶剤処理、薬品処理等の表面処理を挙げることができる。
本発明において用いられる酸素バリア層に隣接する層に含有させる顔料の例としては、ケイソウ土、クレー、焼成クレー、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、水酸化アルミニウム、澱粉粒、尿素−ホルマリン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン粒子等の顔料を挙げることができるが、顔料としての性能を有していれば良く、すなわち、溶媒に不溶または難溶の化合物であれば良い。層中における顔料の含有率は、質量%で30%以上とすることが好ましく、50%以上とすることがより好ましい。30%以下であると、ミクロな凹凸が少なくなり、実質的に接着可能な表面積が小さくなり、層間接着強度が弱くなる。
本発明の酸素バリア層の形成方法には特に制限はない。厚みは0.1〜5μmが好ましい。これより薄いと酸素バリア性が不十分となり、また厚いと記録感度が低下する。シランカップリング剤、または、アジリジン化合物の少なくとも1種と、水溶性高分子の質量比は1/100〜10/100の範囲が好ましい。1/100より小さくなると層間接着強度が低下し、10/100より大きくなると酸素バリア性が低下する。本発明の酸素バリア層にはさらに、水膨潤性の合成雲母を含有させることもできる。
本発明の保護層には、スチレン無水マレイン酸共重合体、メラミン−ホルマリン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂等を用いることができるが、機械的強度や耐熱性の点から紫外線硬化樹脂が好ましい。紫外線硬化樹脂の具体例としては、例えば特開平6−344672号公報に記載されているようなエチレン性不飽和結合を有する化合物がある。これらの化合物の紫外線による硬化を効率よく進めるために、トリクロロアセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール等の光反応開始剤を使用できる。保護層の厚みは0.5〜10μmが好ましい。これより薄いと記録画像の形成と消去を多数回にわたって繰り返すことができず、また厚いと記録感度が低下する。保護層は複数の構成であってもよい。
保護層にはスティッキングやヘッド摩耗を防止、ないしは減少させるため、ケイソウ土、クレー、焼成クレー、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、水酸化アルミニウム、澱粉粒、尿素−ホルマリン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン粒子等の顔料や、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類を、単独もしくは2種以上含有させることができる。また、レベリング剤、分散剤、界面活性剤、蛍光染料等を1種以上含有させることもできる。
本発明の可逆性感熱記録材料の層構成は、可逆性感熱記録層、酸素バリア層、保護層のみであっても良いが、必要に応じて、各層の間に中間層を設けることや、支持体と可逆性感熱記録層の間に下引き層を設けることもできる。さらに、可逆性感熱記録層が設けられている面および/または反対側の面に、電気的、磁気的、光学的に情報が記録可能な材料を含んでも良い。また、可逆性感熱記録層が設けられている面と反対側の面にカール防止、帯電防止を目的としてバックコート層を設けることもできる。
可逆性感熱記録層において、ケイソウ土、クレー、焼成クレー、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、水酸化アルミニウム、澱粉粒、尿素−ホルマリン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン粒子等の顔料や、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類を、単独もしくは2種以上含有させることができる。また、レベリング剤、分散剤、界面活性剤、蛍光染料等を1種以上含有させることもできる。
可逆性感熱記録層、酸素バリア層、保護層、必要に応じて用いる中間層や下引き層のいずれの層においても紫外線吸収剤や酸化防止剤を含有させることができる。
紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクトキシ)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート等のアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、または2種類以上を併用してもよい。
酸化防止剤の具体例としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−P−クレゾール、2,6−ジ−ブチルフェノール、2,4−ジ−メチル−6−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−P−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N′−ジフェニル−P−フェニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルβ、β′−チオジブチレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等の硫黄系酸化防止剤、トリフェニルフォスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド等のりん系酸化防止剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、または2種類以上を併用してもよい。
本発明に用いられる可逆性感熱記録材料の発色を行うには、加熱に引き続き急速な冷却が起これば良く、例えばサーマルヘッド、レーザー光等による加熱により可能である。また、加熱後ゆっくり冷却すれば消色し、例えば熱ロール、熱スタンプ、サーマルヘッド、高周波加熱、熱風、電熱ヒーター或いはハロゲンランプ等の光源からの輻射熱等を用いることにより行える。
加熱に使用するレーザーとしては半導体レーザーやYAGレーザーを挙げることができるが、これらに限定されない。これらのレーザー光による加熱を効率よく行うためには、可逆性感熱記録層中に近赤外部に吸収を有する光熱変換材料を含有させるか、あるいは、該光熱変換材料を含有する光熱変換層を可逆性感熱記録層に直接隣接して設けることが好ましい。近赤外部に吸収を有する光熱変換材料としては、たとえば白金、チタン、シリコン、クロム、ニッケル、ゲルマニウム、アルミニウム等の金属または半金属の層、日本化薬製のIRG002(商品名)やIRG022(商品名)等のインモニウム化合物、金属錯体化合物、シアニン色素、スクワリリウム色素、ナフトキノン色素、フタロシアニン化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。好ましい光熱変換材料としては、光熱変換効率、溶剤への溶解性、樹脂への分散性の点でフタロシアニン化合物および金属錯体化合物が挙げられる。光熱変換材料は単独使用はもとより、2種類以上を混合して用いることができる。その添加量は1mg/m2から200mg/m2が適当であり、5mg/m2から50mg/m2が好ましい。この量より少ないと画像消去に必要なエネルギーを十分に低減できず、印字消去の繰り返し特性が劣化する。またこの量より多いと、光熱変換材料が若干なりとも有している可視部の吸収が大きくなりすぎて画像の視認性が低下する。
本発明の可逆性感熱記録材料を構成する各層を支持体上に形成する方法は特に制限されるものではなく、従来の方法により形成することができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター等の塗抹装置、平板、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等を用いることができる。さらに通常の乾燥工程の他、UV照射・EB照射により各層を保持させることができる。これらの方法により、1層ずつあるいは多層同時に塗工、印刷することができる。
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明する。なお実施例中の部数や百分率は質量基準である。
実施例1
(A)可逆性感熱記録層形成用塗液の作製
染料前駆体である3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン40部、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−オクタデカノヒドラジド100部をポリエステルポリオール50部(武田薬品工業製タケラックU−21、水酸基価500(ソリッド)、不揮発分70%)、メチルエチルケトン950部の混合物を、ガラスビーズと共にペイントシェーカーで12時間分散し、分散液を得た。次いでイソシアネート化合物119部(日本ポリウレタン工業製コロネートL、NCO含有量13.2%、不揮発分75%)とメチルエチルケトン62部を加え、よく混合し、可逆性感熱記録層用塗液を作製した。
(B)酸素バリア層形成用塗液の作製
ポリビニルアルコール(日本合成化学工業製ゴーセノールNH−20)の10%水溶液100部、シランカップリング剤3−N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン1部(日本ユニカー製A−1120)、水90部、イソプロピルアルコール20部を良く混合し、酸素バリア層形成用塗液を作製した。
(C)保護層形成用塗液の作製
ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂100部(大日本インキ化学工業製ユニディックV−4205)、平均粒径1.2μmのシリカ粒子10部(東ソー・シリカ製ニップシールSS−50F)とをよく混合し、保護層形成用塗液を作製した。
(D)可逆性感熱記録材料の作製
(A)で作製した可逆性感熱記録層形成用塗液を厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(パナック製ルミラー250−E22)に、固形分塗工量7.7g/m2となる様に塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。その上に、コロナ処理の照射量200W・min/m2のコロナ処理を行い、単位面積あたりの表面エネルギーを50dyn/cmとした。その上に、(B)で作製した酸素バリア層形成用塗液を固形分塗工量2.0g/m2となるように塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、酸素バリア層を形成した。その上に、(C)で作製した保護層形成用塗液を固形分塗工量4.0g/m2となるように塗工し、100℃で1分乾燥後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、保護層を形成して、可逆性感熱記録材料を作製した。
実施例2
(E)可逆性感熱記録層形成用塗液の作製
染料前駆体である3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン40部、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−オクタデカノヒドラジド100部をポリエステルポリオール50部(武田薬品工業製タケラックU−21)、炭酸カルシウム114部(白石工業製Brilliant−15)、メチルエチルケトン950部の混合物を、ガラスビーズと共にペイントシェーカーで12時間分散し、分散液を得た。次いでイソシアネート化合物119部(日本ポリウレタン工業製コロネートL)とメチルエチルケトン62部を加え、よく混合し、可逆性感熱記録層用塗液を作製した。
(F)可逆性感熱記録材料の作製
(E)で作製した可逆性感熱記録層形成用塗液を厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(パナック製ルミラー250−E22)に、固形分塗工量11.0g/m2となる様に塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。可逆性感熱記録層表面の単位面積あたりの表面エネルギーは52dyn/cmであった。その上に、(B)で作製した酸素バリア層形成用塗液を固形分塗工量2.0g/m2となるように塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、酸素バリア層を形成した。その上に、(C)で作製した保護層形成用塗液を固形分塗工量4.0g/m2となるように塗工し、100℃で1分乾燥後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、保護層を形成して、可逆性感熱記録材料を作製した。
実施例3
実施例2の炭酸カルシウム114部(白石工業製Brilliant−15)を88部に変更した以外は、実施例2と同様に可逆感熱記録材料を作製した。可逆性感熱記録層表面の単位面積あたりの表面エネルギーは、50dyn/cmであった。
実施例4
(G)中間層形成用塗液の作製
紫外線吸収剤(チバガイギー製チヌビン328)50部、ポリエステルポリオール(大日本インキ化学工業製バーノック11−408、水酸基価(ソリッド)286、不揮発分70%)100部、メチルエチルケトン800部とともにボールミルで12時間分散し、次いでイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業製コロネートL)140部、メチルエチルケトン50部を加え良く混合し、中間層形成用塗液を作製した。
(H)可逆性感熱記録材料の作製
(A)で作製した可逆性感熱記録層形成用塗液を厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(パナック製ルミラー250−E22)に、固形分塗工量7.7g/m2となる様に塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。その上に、(G)で作製した中間層形成用塗液を2.0g/m2となるように塗工し、100℃で1分間乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、中間層を形成した。その上に、コロナ処理の照射量50W・min/m2のコロナ処理を行い、中間層表面の単位面積あたりの表面エネルギーは50dyn/cmであった。その上に、(B)で作製した酸素バリア層形成用塗液を固形分塗工量2.0g/m2となるように塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、酸素バリア層を形成した。その上に、(C)で作製した保護層形成用塗液を固形分塗工量4.0g/m2となるように塗工し、100℃で1分乾燥後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、保護層を形成して、可逆性感熱記録材料を作製した。
実施例5
実施例4で行ったコロナ処理の照射量を100W・min/m2とした以外は、実施例5と同様に可逆感熱記録材料を作製した。中間層表面の単位面積あたりの表面エネルギーは、60dyn/cmであった。
実施例6
(G)中間層形成用塗液の作製
紫外線吸収剤(チバガイギー製チヌビン328)50部、ポリエステルポリオール(大日本インキ化学工業製バーノック11−408)100部、炭酸カルシウム97部(白石工業製Brilliant−15)、メチルエチルケトン800部とともにボールミルで12時間分散し、次いでイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業製コロネートL)140部、メチルエチルケトン50部を加え良く混合し、中間層形成用塗液を作製した。
(H)可逆性感熱記録材料の作製
(A)で作製した可逆性感熱記録層形成用塗液を厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(パナック製ルミラー250−E22)に、固形分塗工量7.7g/m2となる様に塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。その上に、(G)で作製した中間層形成用塗液を2.0g/m2となるように塗工し、100℃で1分間乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、中間層を形成した。中間層表面の単位面積あたりの表面エネルギーは52dyn/cmであった。その上に、(B)で作製した酸素バリア層形成用塗液を固形分塗工量2.0g/m2となるように塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、酸素バリア層を形成した。その上に、(C)で作製した保護層形成用塗液を固形分塗工量4.0g/m2となるように塗工し、100℃で1分乾燥後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、保護層を形成して、可逆性感熱記録材料を作製した。
実施例7
(G)で作製した中間層形成用塗液の炭酸カルシウム97部を225部に変更した以外は実施例6と同様に可逆感熱記録材料を作製した。中間層表面の単位面積あたりの表面エネルギーは、60dyn/cmであった。
実施例8
実施例6で用いたシランカップリング剤3−N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン1部(日本ユニカー製A−1120)を0.1部に変更した以外は、実施例7と同様に可逆感熱記録材料を作製した。
実施例9
実施例6で用いたシランカップリング剤3−N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン1部(日本ユニカー製A−1120)を0.01部に変更した以外は、実施例7と同様に可逆感熱記録材料を作製した。
実施例10
実施例6で用いたシランカップリング剤3−N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン1部(日本ユニカー製A−1120)を1.5部に変更した以外は、実施例7と同様に可逆感熱記録材料を作製した。
実施例11
実施例6で用いたシランカップリング剤3−N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン1部(日本ユニカー製A−1120)をアジリジン化合物トリメチロールプロパン−トリス−(3−アジリジニルプロピオネート)1部(相互薬工製TAZM)に変更した以外は、実施例7と同様に可逆感熱記録材料を作製した。
実施例12
実施例6で用いたポリビニルアルコール(日本合成化学工業製ゴーセノールNH−20)を、エチレン−ビニルアルコール共重合体(日本合成化学工業製ソアノールD)に変更した以外は、実施例7と同様に可逆感熱記録材料を作製した。
実施例13
実施例6で用いたポリビニルアルコール(日本合成化学工業製ゴーセノールNH−20)を、カルボキシ変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業製ゴーセナールT−350)に変更した以外は、実施例7と同様に可逆感熱記録材料を作製した。
実施例14
ポリエステルポリオール100部(大日本インキ化学工業製バーノック11−408)、イソシアネート化合物140部(日本ポリウレタン工業製コロネートL)、メチルエチルケトン500部を加え良く混合し、実施例6で作製したバリア層の上に、固形分塗工量4.0g/m2となるように塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、保護層を形成して、可逆感熱記録材料を作製した。
実施例15
(J)中間層形成用塗液の作製
紫外線吸収剤(チバガイギー製チヌビン328)50部、ポリメタクリル酸メチルエステル樹脂175部(三菱レーヨン製BR−85)、炭酸カルシウム97部(白石工業製Brilliant−15)、メチルエチルケトン800部とともにボールミルで12時間分散し、中間層形成用塗液を作製した。
(K)可逆性感熱記録材料の作製
実施例6で用いた中間層形成用塗液を(J)に変更した以外は実施例7と同様に可逆感熱記録材料を作製した。中間層表面の単位面積あたりの表面エネルギーは、50dyn/cmであった。
比較例1
実施例4で行ったコロナ処理を施さない以外は、実施例4と同様に可逆感熱記録材料を作製した。中間層表面の単位面積あたりの表面エネルギーは、34dyn/cmであった。
比較例2
実施例6で用いた炭酸カルシウム97部(白石工業製Brilliant−15)を56部に変更した以外は、実施例6と同様に可逆感熱記録材料を作製した。中間層表面の単位面積あたりの表面エネルギーは、46dyn/cmであった。
試験1(発色濃度と消去性試験)
実施例1〜15および比較例1、2で作製した可逆性感熱記録材料に、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−PMDを用いて、印加パルス1.1ミリ秒で印加電圧26ボルトの条件で印字し、その一部を熱スタンプを用いて130℃で1秒間加熱した。得られた発色部と消去部の濃度を濃度計マクベスRD918を用いて測定し、消去部においては、消去部濃度から地肌部濃度を差し引いた値を消去残りとした。結果を表1に示す。
試験2(実機繰り返し試験)
実施例1〜15および比較例1、2で得た可逆性感熱記録材料を、三和ニューテック製プリンター(ABS−3001KMT)の印字テストモード(印字スピード69mm/s、サーマルヘッド抵抗値450Ω)で印字テストを行い、次いで消去する作業を100回繰り返した。100回繰り返し後の印字の状態と記録媒体の表面状態を目視で観察し、下記のレベルで評価した。結果を表1に示す。
◎:画像部は良好な発色状態で、膜剥がれも見られなかった。
○:画像部は良好な発色状態であるが、やや膜剥がれが見られた。
×:数回で膜剥がれが発生し、繰り返し試験が継続できなかった。
試験3(付着性試験)
実施例1〜15および比較例1、2で作製した可逆性感熱記録材料に、粘着テープ(ニチバン製セロテープCT405A−18)を接着部分が約50mmになるように貼り付け、消しゴム(トンボ鉛筆製PE−01A)でこすって、保護層表面に完全に付着させた。粘着テープを付着させてから1分後に粘着テープの一方の端を持って、保護層に対して直角になるように剥がし、剥離の状態を観察し、下記のレベルで評価した。
◎:全く剥がれなかった。
○:一部剥離が見られた。
×:完全に剥離した。
試験4(耐光性試験)
実施例1〜15および比較例1、2で作製した可逆性感熱記録材料に、試験1と同様の方法で発色画像を形成させ、この試料を室温で、蛍光灯下、5000lux×24時間曝露した。発色画像部の濃度を測定し、次に試験1と同様の方法で消色させた部分の濃度を測定し、消去残りの値を出した。以上の結果を表1に示す。
Figure 2006082252
以上の結果から明らかなように、本発明の可逆性感熱記録材料は高コントラストな記録画像の形成あるいは消去が多数回にわたって可能であり、耐光性、層間接着強度に優れている。
高コントラストな記録画像の形成と消去が多数回に渡って可能な本発明の可逆性感熱記録材料は、これを用いたICや磁気カード等の非可視情報を可視化する目的で使用される。

Claims (8)

  1. 支持体上に、少なくとも、通常無色ないし淡色の染料前駆体および加熱により該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤を含有する可逆性感熱記録層と、シランカップリング剤またはアジリジン化合物の少なくとも1種と水溶性高分子を含有する酸素バリア層と、保護層をこの順に設けた可逆性感熱記録材料において、該酸素バリア層の支持体側に隣接する層表面の単位面積あたりの表面エネルギーが50dyn/cm以上であることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
  2. 酸素バリア層の前記支持体側に隣接する層における顔料含有率が30%以上であることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録材料。
  3. 酸素バリア層の支持体側に隣接する層がコロナ処理した層であることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録材料。
  4. 水溶性高分子がポリビニルアルコールまたはエチレン−ビニルアルコール共重合体である、請求項1ないし3に記載の可逆性感熱記録材料。
  5. 水溶性高分子がカルボキシ基変性タイプである、請求項1ないし4に記載の可逆性感熱記録材料。
  6. シランカップリング剤およびアジリジン化合物の少なくとも1種と、水溶性高分子の質量比が1/100〜10/100である、請求項1ないし5に記載の可逆性感熱記録材料。
  7. 酸素バリア層の支持体側に隣接する層のバインダーが、ポリオール樹脂をイソシアネート化合物で架橋して得られる熱硬化性樹脂である、請求項1ないし6に記載の可逆性感熱記録材料。
  8. 保護層が紫外線硬化性樹脂で形成されている、請求項1ないし7に記載の可逆性感熱記録材料。
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