JP3763806B2 - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱エネルギーを制御する事により色調が可逆的に変化する可逆性感熱記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、一時的な画像の形成が行なえ、不要となった時にはその画像の消去が出来るようにした可逆性感熱記録材料が注目されている。その代表的なものとしては、通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱によりこの染料前駆体を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆性顕色剤を用いた可逆性感熱記録材料が知られている。このような可逆性感熱記録材料としては、特開平6−210954号公報、特開平6−171225号公報、特開平7−68934号公報、特開平7−179043号公報等に記載されたものを挙げることができる。
【0003】
一般に、このような可逆性感熱記録材料に画像を形成する方法としては、サーマルヘッドを用いる方法や、レーザー光線の熱エネルギーを利用する方法が知られている。また画像を消去する方法としては、サーマルヘッドを用いて加熱消去する方法、熱ロールあるいは熱板を用いて加熱消去する方法、熱光源を用いる方法等がとられている。これらの熱エネルギー制御技術によって、ある程度の発色と消色が実現され、書き換え可能なカードを代表的な商品として実用化に至っている。しかしながら、より高濃度の発色とより完全な消色が求められており、また画像の経時的安定性についても一層の改善が必要とされている。特に消色のレベルに関しては、消去前の情報が視認できるかどうかという性能に直結しており実用上の優先改善事項である。
【0004】
消色性を改善するために例えば、特開平5−294063号公報、特開平6−320862号公報、特開平8−132735号公報、特開平9−290563号公報、特開平11−70731号公報、特開2002−29156号公報等において、特定の分子構造に着目した種々の消色促進剤が提案されているが、本発明者らの検討によればその効果は十分ではなく、実用的とは云えない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、良好なコントラストで画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録材料を提供することである。より具体的には、消色時の画像濃度をより低く、消し残りが少なく、そして消去温度に関しても、より低い温度でかつ幅広い温度領域で均一な消去が可能であり、より高速での消去特性が良好な可逆性感熱記録材料を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、支持体上に無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる一般式(1)で表される化合物である可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録材料において、該可逆性顕色剤とのlogP値の差が3以下となり、N−ヒドロキシメチルベヘン酸アミド、N−オクタデシル尿素、p−ベンジルビフェニルから選ばれる少なくとも1種の化合物である消色促進剤を含有させることにより、幅広い温度領域で画像の消去が完全にかつ均一に実施可能な可逆性感熱記録材料が得られる事を見いだし本発明を完成するに至った。
【0007】
消色促進剤としては脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、およびそれらのエステル、アミド、イミド、アニリド、ヒドラジド、ウレイド等の誘導体または金属塩を挙げることができる。消色促進剤の別の例としては、尿素、カルバミン酸、炭酸の各誘導体、有機アミン、アルコール、エーテル、燐酸エステル、スルホン、スルホキシド、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケイ素化合物等を挙げることができるが、本発明で用いられる消色促進剤としては、N−ヒドロキシメチルベヘン酸アミド、N−オクタデシル尿素、p−ベンジルビフェニルから選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0008】
消色促進剤の好ましい使用量は、可逆性顕色剤に対し0.1質量%以上1000質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上200質量%以下である。更に、印字画像の耐熱保存性を考慮すれば、1質量%以上100質量%以下が最も好ましい。また、消色促進剤は単独でも、2種以上を併用し混合しても用いることができる。
【0009】
本発明で規定しているlogPとは親疎水性を表す物性値の一つであり、一般にはn−オクタノールと水との分配係数で表される。本発明者らの検討によれば、可逆性感熱記録材料における可逆的な色調変化プロセスの中で、とりわけ消色プロセスにおいては、可逆性顕色剤と消色促進剤の分子レベルにおける相互の親和性が重要である。親和性のパラメーターとして各々の親疎水性に注目し、logPの値と消色特性の関連を調べたところ、可逆性顕色剤と消色促進剤のlogP値の差が3以下の場合に良好な消色特性が得られることを見いだした。
【0010】
logPの値は分子構造から計算により求めることが可能であり、推算のためのプログラムが数多く知られている。本発明で規定しているlogPの推算値は、CambridgeSoft Corporation製のソフトであるChemDraw version 5.0に組み込まれているlogP推算機能を用いて求めている。推算はクリッペン(Crippen)のフラグメント法に基づいている。
【0011】
本発明で用いられる可逆性顕色剤として、下記一般式(1)で表される化合物を使用する。
【0012】
【化2】
【0013】
一般式(1)で表される化合物中、Xa及びXbはそれぞれ同じであっても、異なってもよい酸素原子、硫黄原子または両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を表す。R1は単結合または炭素数1から12の二価の炭化水素基、R2は炭素数1から18の二価の炭化水素基、R3は炭素数1から24の一価の炭化水素基を表す。nは0から4の整数を表し、nが2以上のとき繰り返されるR2及びXbは同一であっても異なっていてもよい。
【0014】
本発明に用いられる、一般式(1)で示される可逆性顕色剤において、R1 は単結合または炭素数1から12の二価の炭化水素基を表すが、好ましくは炭素数1から6の二価の炭化水素基である。R2は炭素数1から18の二価の炭化水素基を表すが、好ましくは炭素数1から4の炭化水素基である。R3は炭素数1から24の一価の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6から24の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数8から24の炭化水素基である。更に、R1、R2及びR3の炭素数の和が11以上35以下である場合が特に好ましい。R1、R2及びR3は主として、各々アルキレン基及びアルキル基を表す。R1の場合は、芳香環を含んでいてもよい。一方、一般式(1)中のXa及びXbはそれぞれ同じであっても、異なってもよい酸素原子、硫黄原子または両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を表すが、ここで−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基の具体例としては、アミド(−CONH−、−NHCO−)、尿素(−NHCONH−)、ウレタン(−NHCOO−、−OCONH−)、ジアシルアミン(−CONHCO−)、ジアシルヒドラジン(−CONHNHCO−)、しゅう酸ジアミド(−NHCOCONH−)、アシル尿素(−CONHCONH−、−NHCONHCO−)、セミカルバジド(−NHCONHNH−、−NHNHCONH−)、アシルセミカルバジド(−CONHNHCONH−、−NHCONHNHCO−)、ジアシルアミノメタン(−CONHCH2NHCO−)、1−アシルアミノ−1−ウレイドメタン(−CONHCH2NHCONH−、−NHCONHCH2NHCO−)、マロンアミド(−NHCOCH2CONH−)等の基が挙げられる。
【0015】
本発明に用いられる一般式(1)で示される電子受容性化合物において、nが0で、Xaが両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基であるものが特に好ましい。
【0016】
本発明に用いられる、一般式(1)で示される電子受容性化合物の具体例としては、下記に挙げるものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】
N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]カルバミン酸−n−オクタデシル、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキシル]カルバミン酸−n−テトラデシル、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]カルバミン酸−n−ドデシル、N−n−オクタデシルカルバミン酸−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]、N−n−デシルカルバミン酸−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカニル]、N−n−テトラデシルカルバミン酸−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N−n−オクタデカノイルアミン、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノイル]−N−n−オクタデカノイルアミン、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N−(p−n−オクチルベンゾイル)アミン、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N´−n−ドデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N´−n−オクタ
デカノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N´−n−オクタデカノヒドラジド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N´−n−オクタデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N´−n−ドコサノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N´−n−ドコサノヒドラジド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N´−n−ドコサノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N´−n−テトラデカノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N´−n−オクタデカノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N´−(p−n−オクチルベンゾ)ヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニルオキシ)ウンデカノ−N´−11−ドデセノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ−N´−n−テトラデカノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ−N´−n−オクタデカノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ−N´−(6−フェニル)ヘキサノヒドラジド、N−[11−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)ウンデカノ]−N´−n−オクタデカノヒドラジド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾ]−N´−n−オクタデカノヒドラジド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニルメチル)ベンゾ]−N´−n−オクタデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N´−n−テトラデシルオキサミド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピル]−N´−n−オクタデシルオキサミド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピル]−N´−n−オクタデシルオキサミド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカニル]−N´−n−デシルオキサミド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N´−n−オクタデシルオキサミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)−N´−n−ドデシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセチル]−N´−n−オクタデシル尿素、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N´−n−オクタデシル尿素、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾイル]−N´−n−オクタデシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N´−n−ドデカノイル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N´−n−オクタデカノイル尿素、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N´−n−オクタデカノイル尿素、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−テトラデシルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−オクタデシルセミカルバジド、4−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−1−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセチル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノイル]−4−n−デシルセミカルバジド、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾイル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−テトラデカノイルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−オクタデデカノイルセミカルバジド、4−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−1−n−オクタデカノイルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−n−ドデカノイルアミノメタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカンアミド]−1−n−デカノイルアミノメタン、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンズアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−(3−n−ドデシルウレイド)メタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカンアミド]−1−(3−n−デシルウレイド)メタン、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンズアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−{3−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ウレイド}−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−{3−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]ウレイド}−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N´−n−オクタデシルマロンアミド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N´−n−オクタデシルマロンアミド、N−4−チアヘキサデカノイル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノイルアミド、N−12−チアドコサノイル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノイルアミド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N´−4−オキサヘキサデカノヒドラジド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N´−4−チアヘキサデカノヒドラジド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N´−12−オキサドコサノヒドラジド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N´−12−チアドコサノヒドラジド、 N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N´−4−チアヘキサデカノオキサミド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N´−12−オキサドコサノオキサミド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N´−12−チアドコサノオキサミド、 N−p−ヒドロキシフェニルエチル−N´−12−チアドコシルオキサミド、N−p−ヒドロキシベンジル−N´−12−チアドコシル尿素、N−p−ヒドロキシベンジル−N´−12−オキサドコシル尿素、1−(p−ヒドロキシフェニルエチル)−4−(12−チアドコシル)セミカルバジド、1−(p−ヒドロキシベンジル)−4−(12−チアドコシル)セミカルバジド、等が挙げられる。
【0018】
本発明による可逆性顕色剤はそれぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよく、無色ないし淡色の染料前駆体に対する本発明による可逆性顕色剤の使用量は、5〜5000質量%、好ましくは10〜3000質量%である。
【0019】
本発明に用いられる無色ないし淡色の染料前駆体としては一般に感圧記録紙や感熱記録紙等に用いられる公知な化合物に代表されるが、特に制限されるものではない。具体的な例としては、例えば下記に挙げるものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
(1)トリアリールメタン系化合物
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,7−ジアザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−4−アザフタリド等。
【0021】
(2)ジフェニルメタン系化合物
4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等。
【0022】
(3)キサンテン系化合物
ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェノキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、
【0023】
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等。
【0024】
(4)チアジン系化合物
ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等。
【0025】
(5)スピロ系化合物
3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等。
【0026】
前記無色ないし淡色の染料前駆体は単独でも、または2種以上を混合して使用してもよい。
【0027】
本発明の可逆性感熱記録材料の製造方法の具体例としては、染料前駆体と可逆性顕色剤を主成分とし、これに消色促進剤を添加し、支持体上に塗布して可逆性感熱記録層を形成する方法が挙げられる。
【0028】
染料前駆体と可逆性顕色剤及び消色促進剤を可逆性感熱記録層に含有させるための塗液作製方法としては、各々の化合物を単独で溶媒に溶解もしくは分散媒に分散してから混合する方法、各々の化合物を混ぜ合わせてから溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法、各々の化合物を加熱溶解し均一化した後冷却し、溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。分散時には必要なら分散剤を用いてもよい。水を分散媒として使う場合の分散剤としてはポリビニルアルコール等の水溶性高分子や各種の界面活性剤が利用できる。水系の分散の際は、エタノール等の水溶性有機溶媒を混合してもよい。この他に炭化水素類に代表される有機溶媒が分散媒の場合は、レシチンや燐酸エステル類等を分散剤に用いてもよい。
【0029】
また、可逆性感熱記録層の強度を向上する等の目的でバインダーを可逆性感熱記録層中に添加する事も可能である。バインダーの具体例としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン/塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のラテックス類が挙げられる。これらのバインダーの役割は、組成物の各素材が印字、消去の熱印加によって片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにある。したがって、バインダー樹脂には耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。最近になって、プリペイドカード、ストアドカードといった付加価値の高い可逆性感熱記録材料が用いられることが多くなり、それに伴い、耐熱性、耐水性、更には接着性といった高耐久品が要求されるようになってきている。このような要求に対しては、硬化性樹脂は特に好ましい。
【0030】
硬化性樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えばフェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂等の水酸基、カルボキシル基が架橋剤と反応し、硬化するものが挙げられる。この際の架橋剤としては、例えば、イソシアネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ類等が挙げられる。
【0031】
電子線及び硬化線樹脂に用いられるモノマーとしては、アクリル系に代表される単官能性モノマー、二官能モノマー、多官能モノマー等が挙げられるが、特に紫外線架橋の際には光重合開始剤、光重合促進剤を用いる。
【0032】
本発明の可逆性感熱記録材料に用いられる支持体としては、紙、各種不織布、織布、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂をラミネートした紙、合成紙、金属箔、ガラス等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができるが、これらに限定されるものではなく、これらは不透明、半透明或いは透明のいずれであってもよい。地肌を白色その他の特定の色に見せるために、白色顔料や有色染顔料や気泡を支持体中又は表面に含有させても良い。特にフィルム類等水性塗布を行なう場合で支持体の親水性が小さく可逆性感熱記録層の塗布困難な場合は、コロナ放電等による表面の親水化処理やバインダーに用いるのと同様の水溶性高分子類を、支持体表面に塗布するなどの易接着処理してもよい。
【0033】
本発明の可逆性感熱記録材料の層構成は、可逆性感熱記録層のみであっても良い。必要に応じて、可逆性感熱記録層上に保護層を設けることも又、可逆性感熱記録層と支持体の間に水溶性高分子や白色ないし有色染顔料や中空粒子のいずれか一つ以上を含む中間層を設けることもできる。この場合、保護層及び/または中間層は2層ないしは3層以上の複数の層から構成されていてもよい。可逆性感熱記録層も各成分を一層ずつに含有させたり層別に配合比率を変化させたりして2層以上の多層にしてもよい。更に、可逆性感熱記録層中及び/または他の層及び/または可逆性感熱記録層が設けられている面と反対側の面に、電気的、光学的、磁気的に情報が記録可能な材料を含んでも良い。また、可逆性感熱記録層が設けられている面と反対側の面にブロッキング防止、カール防止、帯電防止を目的としてバックコート層を設けることもできる。
【0034】
なお、本発明における各層を支持体上に積層し、本発明の可逆性感熱記録材料を形成する方法は特に制限されるものではなく、従来の方法により形成することができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター等の塗抹装置、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等を用いる事が出来る。更に通常の乾燥工程の他、UV照射・EB照射により各層を保持させる事が出来る。
【0035】
可逆性感熱記録層は、上記の塗液作製方法によって調製した塗液を支持体上に塗布乾燥する方法などにより得ることができる。乾燥条件は水等の分散媒ないし溶媒によっても異なる。この他に各成分を混合し加熱して可融分を溶融し熱時塗布する方法もある。
【0036】
また、可逆性感熱記録層及び/または保護層及び/または中間層には、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂等の顔料、その他に、ヘッド摩耗防止、スティッキング防止等の目的でステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類を、また、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の分散剤、更に界面活性剤、蛍光染料、紫外線吸収剤などを含有させることもできる。
【0037】
【実施例】
以下の実施例によって本発明を更に詳しく説明する。実施例中の部数や百分率は質量基準である。
【0038】
実施例1〜2及び参考例1
(A)可逆性感熱塗液の作製
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン40部とN−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N´−n−ドコサノヒドラジド100部を8%ポリビニルアセタール(積水化学工業製、BL−1、アセタール化度63モル%)のテトラヒドロフラン(THF)溶液9100部と共にペイントコンディショナーで粉砕し可逆性顕色剤分散液(A液)を得た。更に、表1に示す消色促進剤20部をTHF20部と共にペイントコンディショナーで粉砕し消色促進剤分散液(B液)を得た。これらA液及びB液の2種の分散液を混合し、可逆性感熱塗液を作製した。
【0039】
(B)可逆性感熱記録層の塗工
(A)で作製した可逆性感熱塗液にコロネートL(日本ポリウレタン株式会社製)29部を加えた後、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、固形分塗抹量4.0g/m2となる様に塗抹した。60℃で24時間乾燥し、スーパーカレンダーで処理した。
【0040】
(C)保護層の塗工
(B)で作製した塗工シート上に、アロニックスM8030(東亞合成化学工業製)90部、N−ビニル−2−ピロリドン5部、イルガキュア500(日本チバガイギー製)5部、及びニップシールE220A(日本シリカ製)10部を加え攪拌後、保護層の塗液とし、1.0g/m2となるように塗工した後、紫外線照射装置にて硬化を行い、保護層を有する可逆性感熱記録材料を得た。
【0041】
【表1】
【0042】
比較例1〜4
消色促進剤を表1に示すものに置き換える以外は実施例1と同様に操作して、比較例1〜4の可逆性感熱記録材料を得た。
【0043】
実施例3〜5及び参考例2
可逆性顕色剤をN−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N´−n−ドコサノヒドラジド100部からN−(p−ヒドロキシフェニル)−N´−n−オクタデシル尿素100部に置き換え、消色促進剤として表1に示すものを用いる以外は実施例1と同様に操作して、実施例3〜5及び参考例2の可逆性感熱記録材料を得た。
【0044】
比較例5〜7
消色促進剤として表1に示すものを用いる以外は実施例3〜5及び参考例2と同様に操作して、比較例5〜7の可逆性感熱記録材料を得た。
【0045】
試験1(発色濃度=熱応答性)
実施例1〜5、参考例1〜2及び比較例1〜7で得た可逆性感熱記録材料を、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−PMDを用いて印加パルス1.1ミリ秒で印加電圧26ボルトの条件で印字し、得られた発色画像の濃度を濃度計マクベスRD918を用いて測定した。
【0046】
試験2(画像の消去性)
実施例1〜5、参考例1〜2及び比較例1〜7で得た可逆性感熱記録材料を、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−PMDを用いて印加パルス1.1ミリ秒で印加電圧26ボルトの条件で印字し、これを熱スタンプを用いて120℃で1秒間加熱した後、試験1と同様にして濃度を測定した。
【0047】
試験3(消色開始温度)
実施例1〜5、参考例1〜2及び比較例1〜7で得た可逆性感熱記録材料を、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−PMDを用いて印加パルス1.1ミリ秒で印加電圧26ボルトの条件で印字し、これを熱スタンプを用いて80℃から170℃まで10℃間隔で計10箇所、各々1秒間加熱した後、試験1と同様にしてそれぞれの濃度を測定した。印字画像の光学濃度が0.15を下回った加熱温度を消色開始温度とした。
【0048】
試験4(発色濃度の経時変化=画像安定性)
実施例1〜5、参考例1〜2及び比較例1〜7で得た可逆性感熱記録材料を、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−PMDを用いて、印加パルス1.1ミリ秒で印加電圧26ボルトの条件で印字し、温度50℃、相対湿度20%の雰囲気下に24時間保存した後、試験1と同様にして、発色部の濃度を測定し、下記数1により画像残存率を計算した。
【0049】
【数1】
A=(C/B)×100
A:画像残存率(%)
B:試験前の画像濃度
C:試験後の画像濃度
【0050】
logP値の計算
実施例1〜5、参考例1〜2及び比較例1〜7で用いた可逆性顕色剤と消色促進剤のlogP値は、CambridgeSoft Corporation製のソフトであるChemDraw version 5.0に組み込まれているlogP推算機能を用いて求めた。推算はクリッペン(Crippen)のフラグメント法を利用した。
【0051】
実施例1〜5、参考例1〜2及び比較例1〜7の試験結果を表2に示した。
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】
表2に示したように、通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱により該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる一般式(1)で表される化合物である可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録材料において、該可逆性顕色剤とのlogP値の差が3以下となり、N−ヒドロキシメチルベヘン酸アミド、N−オクタデシル尿素、p−ベンジルビフェニルから選ばれる少なくとも1種の化合物である消色促進剤を含有させることにより、明瞭なコントラストで画像の形成・消去が可能な、より実用性の高い可逆性感熱記録材料を得ることができた。
Claims (1)
- 通常無色ないし淡色の染料前駆体、加熱により該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる下記一般式(1)で表される化合物である可逆性顕色剤、および該可逆性顕色剤とのlogP値の差が3以下となり、N−ヒドロキシメチルベヘン酸アミド、N−オクタデシル尿素、p−ベンジルビフェニルから選ばれる少なくとも1種の化合物である消色促進剤を含有する可逆性感熱記録層を設けた可逆性感熱記録材料。
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