JP2005205882A - 感熱記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性が良く、かつ発色性に優れ、レーザーで所望する画像やデータを表示させることが可能な感熱記録媒体、およびその感熱記録媒体を備えた感熱記録付きカード、感熱記録付き光ディスク、感熱記録付きラベルを提供する。
【解決手段】支持基板1の面方向に、記録層2が形成されてなり、記録層2には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、前記呈色性化合物、前記顕・減色剤および前記光−熱変換材料の少なくともいずれか一つがマイクロカプセル3に内包されて記録層2中に分散されてなる構成の感熱記録媒体10を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱照射あるいは光照射により所望の画像、又はデータを記録、消去可能な感熱記録媒体に関わる。
近年、ゴミや森林破壊等の環境問題を背景に、リライタブル記録技術の必要性が強く認識されている。また、コンピューターのネットワーク技術、通信技術、OA機器、記録メディア、記憶メディア等の進歩を背景としてオフィスや家庭でのペーパーレス化が進んでいる。
このような現状のもと、印刷物に替わる表示媒体の一例として、熱により情報の記録や消去が可能な記録媒体が、各種プリペイドカード、ポイントカード、クレジットカード、ICカード等の普及に伴い、残額やその他の記録情報等の可視化、可読化の用途において実用化されており、さらには複写機及びプリンター用途においても実用化されつつある。
上記のような記録媒体、及びこれを用いた記録方法に関しては、従来から各種提案がなされており、その中で特に複数回書き換え可能な可逆性感熱記録媒体が注目され、様々な可逆性感熱記録媒体が提案されている。
例えば、磁性粉に磁力を与えて印字消去する磁力方式のものや、透明・白濁という物理変化を利用した高分子のもの、化学的変化を利用した染料タイプのものなどが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
そのうち、化学変化を利用した染料タイプは、特定の顕色剤と発色剤であるロイコ染料とを、すなわち電子供給性呈色性化合物と電子受容性化合物を組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行わせることができ、しかもその発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも発色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱記録媒体であるとされている(例えば、特許文献5〜9参照。)
このような可逆性感熱記録媒体については数々の改良が重ねられており、様々な提案がなされ、近年各種ポイントカード、交通系の定期券、クレジットカード、セキュリティ用の認証用カード等、種々の形態に利用されている。
このような可逆性感熱記録媒体に対する書き込みには、通常小型化の観点からサーマルヘッドが用いられていた。
しかし、サーマルヘッドによる書き込み方法は、印字や消去の際に表面がヘッドに触れる為、繰り返し印字消去を行うことで、表面にキズが発生し、さらには剥離してしまう等の問題があった。
また、近年においては、視認性やファッション性を向上させるため、多色画像の表示や各種データを色認識して記録したりすることへの要求が高まっている。しかし、サーマルヘッドを用いた書き込み方法においては、精密な温度コントロールが技術的に困難であり、明瞭なコントラストが得られ難く、色かぶりを生じやすいという問題を有している。
さらには、三色以上の多色化をサーマルヘッドによる加熱温度、及び加熱後の冷却速度の違いのみでコントロールするのは技術的に非常に困難である。
また、多色に塗り分けられた層や粒子を、低分子分散タイプの記録層で可視化あるいは隠蔽することで、多色表示を行う記録媒体、及びこれを用いた記録方法が開示されている(例えば、特許文献10〜12参照。)。
しかしこのような構成の記録媒体においては、記録層が下層の色を完全に隠蔽することはできず、母材の色が透けてしまい、高いコントラストが得られ難いという問題を有している。
また、ロイコ染料を用いた可逆性感熱多色記録媒体について、その他の開示もなされているが(例えば、特許文献13、14参照。)、これらは面内に色相の異なる繰り返し単位を有するものであるため、各色相が実際に記録される面積比が小さいため、記録した画像は非常に暗い、または薄い画像しか得ることはできないという問題がある。
また、発色温度、消色温度、冷却速度等が異なるロイコ染料を用いた記録層を分離、独立した状態で形成された構成の可逆性感熱多色記録媒体に関する開示もなされている(例えば、特許文献15〜23参照。)。
しかし、サーマルヘッド等の記録熱源による精密な温度コントロールは技術的に困難であり、明瞭なコントラストは得られ難く、色のかぶりを生じやすいという問題を有している。さらには、三色以上の多色化をサーマルヘッド等による加熱温度及び/または加熱後の冷却速度の違いのみでコントロールするのは非常に困難である。
そこで、非接触状態で書き込みを行う方法として、低パワーのレーザー光を照射することで書き込む方法が検討された。
低パワーのレーザー光により書き込みを行う方法としては、ロイコ染料を用いた複数の記録層を、分離、独立した状態で積層形成した構成の可逆性感熱多色記録媒体を用いて、レーザー光による光−熱変換によって、任意の記録層のみを加熱、発色させる記録方法が提案されている(例えば、特許文献24参照。)
この方法によれば、光−熱変換材料の波長選択性を利用することにより、任意の記録層のみを発色させることができ、従来の可逆性多色記録媒体で問題であった、色かぶりの問題が解決できる可能性がある。
しかし、この技術においては、ロイコ染料等を含有する発色層と、当該発色層を発色させるための特定波長のレーザー光を吸収する層とが隣接して形成することとしており、構造上、光−熱変換材料の耐光性を改善することについて何ら検討されていないものと言え、長期間保存したり、多数回繰り返して記録と消去とを行ったりすると、発・消色性が著しく劣化するという実用上の課題を有している。
また、支持基板の面方向に複数のリライタブル層が断熱層を介して積層形成されてなり、これら複数のリライタブル層が、それぞれ温度変化に応じて透明・着色の2つの状態に可逆的に変化するようになされ、かつ全体として多色表示が行われるようになされている、いわゆる記録層積層型の可逆性多色記録媒体についての開示もなされている(例えば、特許文献25参照。)。
しかし、この技術においては、ロイコ染料等の感熱発色性組成物とシアニン色素等の光−熱変換材料とが、共通のリライタブル層中に含有されている構成を有しており、構造上、光−熱変換材料の耐光性を改善することについて何ら検討されていなかった。
特開昭54−119377号公報 特開昭55−154198号公報 特開昭63−39377号公報 特開昭63−41186号公報 特開平2−188293号公報 特開平2−188294号公報 特開平5−124360号公報 特開平7−108761号公報 特開平7−179043号公報 特開平5−62189号公報 特開平8−80682号公報 特開2000−198275号公報 特開平8−58245号公報 特開2000−25338号公報 特開平6−305247号公報 特開平6−328844号公報 特開平6−79970号公報 特開平8−164669号公報 特開平8−300825号公報 特開平9−52445号公報 特開平11−138997号公報 特開2001−162941号公報 特開2002−59654号公報 特開2001−1645号公報 特開2003−266941号公報
上述したようにレーザー光を照射することによる感熱記録への要望は大きく、研究が盛んに行われ、各種提案がなされているが、従来提案されている可逆性感熱記録媒体においては、レーザー光で書き込む際に発する熱等で、光−熱変換材料の分解を招来し、繰り返して使用するうちに発色濃度が低下したり、さらには記録特性が劣化したりするという問題を有しており、実用的な耐久性が得られていない。
さらには、ロイコ染料等よりなる発色組成物と光−熱変換材料とが極めて近接した状態で存在しているため、光−熱変換材料の分解が促進するということも問題であった。
また、感熱記録媒体の用途によっては、レーザー光を照射して行う感熱記録を熱可逆性の感熱記録媒体のみではなく、不可逆性の感熱記録媒体を使用して行うことも考えられるが、不可逆性の感熱記録媒体では、感熱記録組成物である、ロイコ染料と顕色剤が共存した時点で発色してしまうという問題もあった。
そこで本発明においては、上述したような従来技術の問題点の解決を図るべく、感熱記録媒体を構成する記録層の構成についての検討を行うこととし、感熱記録媒体の繰り返し使用に対する耐久性の向上を図ることとした。また、レーザー光を照射して行う感熱記録を不可逆性の感熱記録媒体を使用して行うことを可能にすることとした。
さらに本発明は、生産性が良く、かつ発色性の優れた感熱記録媒体、及び、表面にレーザーで所望する画像やデータを表示させることが可能な感熱記録付きカード、感熱記録付き光ディスク、感熱記録付きラベルを提供するものである。
本発明においては、支持基板の面方向に、記録層が形成されてなり、前記記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、前記呈色性化合物、前記顕・減色剤および前記光−熱変換材料の少なくともいずれか一つがマイクロカプセルに内包されて前記記録層中に分散されてなることを特徴とする感熱記録媒体を提供する(請求項1)。
ここで、前記マイクロカプセルの粒径が、30nm〜5μmであることが好ましく、前記記録層の厚さが、1.0μm〜15μmであることが好ましい。
また、前記支持基板の面方向に三層の記録層が、分離・積層形成されており、前記三層の記録層においては、それぞれ発色色調の異なる前記感熱記録材料と、それぞれ異なる波長域のレーザー光に吸収を有する前記光−熱変換材料が含有されてなる構成がよい。
また、上記光−熱変換材料の吸収ピーク波長は、前記支持基板の最も近傍に形成されている記録層が最も長波長であり、積層順に表層に向かうに従って短波長となることが好適である。
本発明においては、支持基板の面方向に記録層が形成されてなり、この記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物、及び電子受容性を有する顕・減色剤よりなる感熱記録材料と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、光−熱変換材料は、マイクロカプセルに内包されて記録層中に分散されている構成を有する可逆性の感熱記録媒体を提供する(請求項6)。
上記発明によれば、記録層中において、感熱記録材料と光−熱変換材料とを分離・独立した状態とすることができ、光−熱変換材料の分解の抑制が図られる。
本発明においては、支持基板の面方向に、記録層が形成されてなり、前記記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、前記呈色性化合物と、前記光−熱変換材料は、マイクロカプセルに内包されて前記記録層中に分散されてなることを特徴とする不可逆性の感熱記録媒体を提供する(請求項7)。
本発明においては、支持基板の面方向に、記録層が形成されてなり、前記記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、前記呈色性化合物は、マイクロカプセルに内包されて前記記録層中に分散されてなることを特徴とする不可逆性の感熱記録媒体を提供する(請求項8)。
本発明においては、支持基板の面方向に、記録層が形成されてなり、前記記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、前記顕・減色剤は、マイクロカプセルに内包されて前記記録層中に分散されてなることを特徴とする不可逆性の感熱記録媒体を提供する(請求項9)。
上記した請求項7〜請求項9の発明によれば、呈色性化合物と顕色剤が共存しないので、レーザ光照射による感熱記録が可能な不可逆性の感熱記録媒体が提供できる。
本発明によれば、合成樹脂製でカード状の支持基板の面方向に、記録層が形成されてなり、前記記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、前記呈色性化合物、前記顕・減色剤および前記光−熱変換材料の少なくともいずれか一つがマイクロカプセルに内包されて前記記録層中に分散されてなることを特徴とする感熱記録付きカードを提供する(請求項10)。
ここで、前記カード状の支持基板には電子モジュールが組み込まれていることが望ましく、さらにその電子モジュールは、ICチップと、該ICチップと接続されるICモジュールとから構成されていることが望ましい。
本発明によれば、光情報記録層を有する光ディスクを支持基板とし、該支持基板の光情報記録層形成面とは反対面の面方向に、感熱記録層が形成されてなり、前記感熱記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、前記呈色性化合物、前記顕・減色剤および前記光−熱変換材料の少なくともいずれか一つがマイクロカプセルに内包されて前記感熱記録層中に分散されてなることを特徴とする感熱記録付き光ディスクを提供する(請求項12)。
本発明によれば、粘着剤層を一主面に有する薄層フィルムを支持基板とし、該支持基板の粘着剤層形成面とは反対面の面方向に、記録層が形成されてなり、前記記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、前記呈色性化合物、前記顕・減色剤および前記光−熱変換材料の少なくともいずれか一つがマイクロカプセルに内包されて前記記録層中に分散されてなることを特徴とする感熱記録付きラベルを提供する(請求項13)。
本発明によれば、呈色性化合物、顕色剤および光−熱変換材料のうちいずれか一つをマイクロカプセル中に内包することで、発色性・耐光性に優れ、かつ生産性の良い感熱記録媒体が得られると共に、レーザー印字が可能で、保存性が良い不可逆性の感熱記録を提供できるようになる。
また本発明によれば、記録層中の光−熱変換材料がマイクロカプセルに内包されたものとしたことにより、耐光性の向上を図ることができ、多数回繰り返して記録と消去とを行った場合においても、高い発色濃度を得ることができ、実用上優れた記録特性が長期に亘って維持可能な可逆性の感熱記録媒体が得られた。
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照して説明するが、本発明は、以下に示す例に限定されるものではない。
図1に本発明の感熱記録媒体の一例の概略断面図を示す。
感熱記録媒体10は、支持基板1上に、記録層2、中間層4、及び保護層5が順次積層された構成を有している。
記録層2においては、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物、及び電子受容性を有する顕・減色剤よりなる感熱記録材料と、所定の波長λの光Lを吸収し、熱に変換する光−熱変換材料とが含有されており、これら呈色性化合物、顕・減色剤および光−熱変換材料の少なくともいずれか一つが内包されたマイクロカプセル3が記録層2を構成する樹脂中に分散されている。また、マイクロカプセル3に内包されない組成物は、そのまま樹脂に溶解もしくは分散されている。
例えば、記録層2は、前記光−熱変換材料が内包されたマイクロカプセル3が分散されているものである。この場合、可逆性の感熱記録媒体となる。
また、記録層2は、前記呈色性化合物と、前記光−熱変換材料が内包されたマイクロカプセル3が分散されているものである。あるいは、記録層2は、前記呈色性化合物が内包されたマイクロカプセル3が分散されているものである。あるいは、記録層2は、前記顕・減色剤が内包されたマイクロカプセル3が分散されているものである。これらの場合、不可逆性の感熱記録媒体となる。
また、本発明の感熱記録媒体の他の一例の概略断面図を図2に示す。
図2の感熱記録媒体20は、支持基板1上に、第1の記録層11、第2の記録層12、及び第3の記録層13が、それぞれ断熱層17、18を介して積層されており、その上に中間層19、最上層に保護層21が形成された構成を有している。
第1の記録層11においては、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物、及び電子受容性を有する顕・減色剤よりなる感熱記録材料と、所定の波長λ1の光Lを吸収し、熱に変換する光−熱変換材料とが含有されており、これら呈色性化合物、顕・減色剤および光−熱変換材料の少なくともいずれか一つが内包されたマイクロカプセル14が第1の記録層11中に分散されている。
第2の記録層12においては、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物、及び電子受容性を有する顕・減色剤よりなる感熱記録材料と、所定の波長λの光Lを吸収し、熱に変換する光−熱変換材料とが含有されており、これら呈色性化合物、顕・減色剤および光−熱変換材料の少なくともいずれか一つが内包されたマイクロカプセル15が第2の記録層12中に分散されている。
第3の記録層13においては、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物、及び電子受容性を有する顕・減色剤よりなる感熱記録材料と、所定の波長λの光Lを吸収し、熱に変換する光−熱変換材料とが含有されており、これら呈色性化合物、顕・減色剤および光−熱変換材料の少なくともいずれか一つが内包されたマイクロカプセル16が第3の記録層13中に分散されている。
図1、図2の感熱記録媒体10、20の支持基板1は、耐熱性に優れ、かつ平面方向の寸法安定性の高い材料であれば従来公知の材料を適宜使用する。
例えばポリエステル、硬質塩化ビニル等の高分子材料の他、ガラス材料、ステンレス等の金属材料、あるいは紙等の材料から適宜選択できる。但し、オーバーヘッドプロジェクター等の透過用途以外では、支持基板1は最終的に得られる感熱記録媒体10に対して情報の記録を行った際の視認性の向上を図るため、白色、あるいは金属色のような可視光に対する反射率の高い材料によって形成することが好ましい。
図1における記録層2、及び図2における第1〜第3の記録層11〜13は、熱により発色状態を形成する感熱記録材料を含有するものとし、それぞれ下記において詳述する電子供与性を有する呈色性化合物、例えばロイコ染料と、所定の電子受容性を有する顕・減色剤等が含有されているものとする。
これらの記録層2、11〜13は、上記材料を樹脂母材中に分散もしくは溶解させた塗料を塗布することによって形成することができる。なお、その他の所定の添加剤や増感剤を適宜含有させてもよい。
記録層2、第1〜第3の記録層11〜13においては、所望の色に応じて所定のロイコ染料を使用する。例えば、第1〜第3の記録層11〜13において、それぞれイエロー、シアン、マゼンタに発色可能な呈色性化合物を含有しているものとし、さらに電子受容性を有する顕・減色剤が、層毎に波長選択性を材料であるものとすれば、照射光の波長を制御することにより、フルカラー画像の形成が可能となる。
電子供与性を有する呈色性化合物であるロイコ染料としては、既存の感熱紙用染料等を適用することができる。
電子受容性を有する顕・減色剤としては、従来これらに用いられている長鎖アルキル基を有する有機酸(特開平5−124360号公報、特開平7−108761号公報、特開平7−188294号公報、特開2001−105733号公報、特開2001−113829号公報に記載)等を適用することができる。
また、不可逆性の顕色剤としては、感圧紙・感熱紙等に使われているようなフェノール化合物など従来公知の顕色剤を適用することができる(特許第1669292号公報、特公昭45-14039号公報、特公昭45-14039号公報に記載)。
可逆性の顕・減色剤を用いた場合、感熱記録媒体は、繰り返し、発色・消去が可能であり、不可逆の顕色剤を用いれば、一度のみの発色となり、画像はそのまま固定される。
第1〜第3の記録層11〜13に、それぞれ異なる波長の赤外線(図1中λ1、λ2、λ3)を吸収して発熱する光−熱変換材料が含まれた構成とし、所定の波長のレーザー光を照射することによって記録を行う。
この場合には、波長について上記λ1、λ2、λ3のうち、任意のものに選択したレーザー光を記録層に照射し、記録層11〜13において所定の部分を加熱せしめ、電子供与性を有する呈色性化合物、例えばロイコ染料と、所定の電子受容性を有する顕・減色剤との間に反応を起こさせて発色させる。
第1〜第3の記録層11〜13のそれぞれにおいて、イエロー、シアン、マゼンタに発色可能な呈色性化合物を含有させ、照射するレーザー光の波長を制御するようにすれば、フルカラー画像が形成される。
次に、記録層2、及び第1〜第3の記録層11〜13中に含有される光−熱変換材料について説明する。
光−熱変換材料としては、例えば、可視波長域にほとんど吸収がない赤外線吸収色素として一般的に用いられる、フタロシアニン系染料やシアニン系染料、金属錯体染料、ジインモニウム系染料、アミニウム系染料、イミニウム系染料等を適用できる。
さらに、任意の光−熱変換材料のみを発熱させるために、光−熱変換材料の吸収帯が狭く、互いに重なり合わない材料の組み合わせを選択することが好ましい。
例えば、第1の記録層11が波長λ1の赤外線を、第2の記録層12が波長λ2の赤外線を、第3の記録層13が波長λ3の赤外線をそれぞれ吸収して発熱する材料を含有するものとしたとき、波長λ1、波長λ2、波長λ3とが、互いに重なりあわないように、吸収帯を選定する。
上述したことから、支持基板1の最も近傍に形成されている記録層を除いては、記録層中に、吸収スペクトルが急峻なシアニン系色素やフタロシアニン系色素を含有させることにより色かぶりを効果的に回避することができる。
一般的に、シアニン色素よりも、フタロシアニン色素の方が耐光性は良い。
また、光−熱変換材料とともに、一重項酸素クエンチャーを含有させることが望ましい。これにより、光−熱変換材料の劣化が低減化でき、長期に亘って光−熱変換効率を高く維持することができるようになる。また、色素カチオンとクエンチャーアニオンとのイオン結合体を光−熱変換材料として適用してもよい。
一重項酸素クエンチャーとしては、アセチルアセトナート系、ビスジチオ−α−ジケトン系やビスフェニルジチオール系等のビスジチオール系、チオカテコール系、サリチルアルデヒドオキシム系、チオビスフェノレート系等の金属錯体が好ましい。また、窒素のラジカルカチオンを有するアミン系化合物やヒンダードアミン等のアミン系のクエンチャーも好適である。
また、一重項酸素クエンチャーは、上記材料を単独で、あるいは複合化して用いることができ、特に限定されるものではない。一般的に使用されているものを具体例として以下に挙げる。
金属錯体系:ビス(4−テトラ−ブチル−1,2−ジチオフェノレート)M−テトラ−n−ブチルアンモニウム(MはCu、Co、Ni、Fe等)、住友精化(株)社製BBTシリーズQ2:ビス[4−(ジエチルアミノ)−α、β−スチルベンヂチオレート]ニッケル、(株)日本感光色素研究所社製NKX−114Q3:ビス[3−メトキシ−4−(2−メトトオキシエトオキシ)−2’−クロロ−α、β−スチルベンジチオレート]ニッケル、(株)日本感光色素研究所社製 NKX−1199Q4:1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体、三井東圧化学(株)社製 PA−1006等、アミン/アンモニウム塩系Q5:ビスイミニウム塩日本化薬(株)社製 IRG−03Q6:N,N,N’,N”−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)p−フェニレンジアミン、帝国化学(株)社製NIR−AM1Q7:4−ニトロソ−4’−(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン(株)日本感光色素研究所社製NKX−1549。
上記光−熱変換材料が、マイクロカプセル3、14〜16に内包されている場合には、記録層2、11〜13中においては感熱記録材料と分離・独立した状態で分散されている。これにより、両者が共存することによる光−熱変換材料の劣化が抑制される。この場合のマイクロカプセル3、14〜16は、熱応答性が低いかほとんど示さず、外部との隔離性が十分にあるカプセルとなっており、そのカプセル壁としては例えば、メラミン・ホルマリン壁や尿素・ホルマリン壁などが挙げられる。
また、不可逆性の感熱記録媒体では、呈色性化合物、顕色剤の少なくともいずれかがマイクロカプセル3、14〜16に内包されることにより、記録層2、11〜13中において呈色性化合物と顕色剤とが分離・独立した状態で分散されている。この場合のマイクロカプセル3、14〜16は、加熱によりカプセル内・外の呈色性化合物や顕色剤がカプセル壁を浸透もしくは透過して発色できることが必要であり、そのカプセル壁としては例えば、ポリウレア・ポリウレタンのアロイからなる壁、あるいはゼラチン壁が挙げられる。前記アロイは、常温では緻密なガラス状態であるが、アロイのガラス転移点(TG)以上に加熱されるとポリウレタンとポリウレアとの水素結合が切れ、カプセルに緻密な穴が開いたゴム状態となるため、浸透性のあるカプセルとなる。
なお、マイクロカプセルの製造方法としては、ポリマー溶液に分散させた芯物質のまわりにポリマーの層を分離させる相分離法、ポリマー容器中の芯物質のまわりにポリマーの硬化試験薬等によりポリマーを硬化させる液中硬化被膜法、芯物質を分散させたエマルションの内、或いは外相のいずれか一方からモノマーや重合触媒を供給し芯物質の表面をポリマーで覆うin-situ重合法、芯物質を分散させたエマルションの内相と外相の両方からモノマーを供給する界面重合法等のマイクロカプセル化技法があるが、これらの方法のうち、いずれの方法も適用でき、その他従来公知の方法を適用してもよい。
マイクロカプセル3、14〜16は、平均粒径30nm〜10μm、さらには5μm以下であることが記録層成膜工程上好ましい。
第1〜第3の記録層11〜13形成用の樹脂母材としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン等が挙げられる。これらの樹脂に必要に応じて紫外線吸収剤等の各種添加剤を併用してもよい。
記録層2、第1〜第3の記録層11〜13は、上記呈色性化合物、顕・減色剤、増感剤等の各種添加剤よりなる感熱記録材料と、マイクロカプセルに内包された光−熱変換材料とを、溶媒を用いて上記樹脂母材中に分散及び溶解させて調整した塗料を、それぞれの所定の面に塗布することによって形成することができる。使用する溶媒は、顕・減色剤の溶解性が高いものを選定する。
あるいは、記録層2、第1〜第3の記録層11〜13は、上記顕・減色剤、増感剤等の各種添加剤と、マイクロカプセルに内包された呈色性化合物と、マイクロカプセルに内包された光−熱変換材料とを、溶媒を用いて上記樹脂母材中に分散及び溶解させて調整した塗料を、それぞれの所定の面に塗布することによって形成することができる。
また、記録層2、第1〜第3の記録層11〜13は、上記顕・減色剤、増感剤等の各種添加剤と、マイクロカプセルに内包された呈色性化合物と、光−熱変換材料とを、溶媒を用いて上記樹脂母材中に分散及び溶解させて調整した塗料を、それぞれの所定の面に塗布することによって形成することができる。
また、記録層2、第1〜第3の記録層11〜13は、上記呈色性化合物、増感剤等の各種添加剤と、マイクロカプセルに内包された顕・減色剤と、光−熱変換材料とを、溶媒を用いて上記樹脂母材中に分散及び溶解させて調整した塗料を、それぞれの所定の面に塗布することによって形成することができる。
記録層2、第1〜第3の記録層11〜13は、それぞれ膜厚1〜15μm程度に形成することが望ましい。
このうち、記録層2、第1〜第3の記録層11〜13が例えばカード用途に使用される場合は、膜厚1μm〜15μm程度に形成することが望ましい。記録層の膜厚が1μm未満であると充分な発色濃度が得られず、さらに層内における熱量が大きすぎる為に、書き込み後塗膜表面が焼けて荒れてしまう。逆に厚過ぎると記録層の熱容量が大きくなることによって発色性や消色性が劣化してしまう。
また、記録層2、第1〜第3の記録層11〜13が例えばディスク用途に使用される場合は3〜15μm程度に形成し、さらには、5〜15μmにすることが望ましい。ディスクの場合、記録層の膜厚が薄すぎると、記録層が受けた傷が保護層にまで達してしまう。また厚すぎると、記録層の熱容量が大きくなることの他に、とくに30μm以上超えると、基板の反りが増大してしまい、ドライブでの再生・記録に影響する。
第1の記録層11と第2の記録層12との間、第2の記録層12と第3の記録層13との間には、それぞれ透光性の断熱層17、18を形成することが望ましい。
これによって隣接する記録層からの熱伝導が回避され、いわゆる色かぶりの発生を防止することができる。
断熱層17、18、及び中間層19は、従来公知の透光性のポリマーを用いて形成することができる。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン等が挙げられる。これらのポリマーには必要に応じて紫外線吸収剤等の各種添加剤を併用してもよい。
また、断熱層17、18、及び中間層19は、透光性の無機膜を用いて形成することもできる。例えば、多孔質のシリカ、アルミナ、チタニア、カーボン、またはこれらの複合体等を用いると、熱伝導率が低くなり断熱効果が高く好ましい。これらは液層から膜形成できるゾル−ゲル法によって形成することができる。
断熱層17、18は、膜厚1〜100μm程度に形成することが望ましく、さらには2〜50μm程度に形成することが好ましい。
これらの膜厚が薄すぎると充分な断熱効果が得られず、膜厚が厚すぎると、後述する記録方法において記録媒体全体を均一加熱する際に熱伝導性が劣化したり、透光性が低下したりするためである。
保護層5、21は、従来公知の紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂、あるいは従来公知の透光性のポリマーを用いて形成することができる。
例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリエステル等が挙げられ、塗布形成してもフィルム状のものを用いてもよい。これらのポリマーには必要に応じて紫外線吸収剤等の各種添加剤を併用してもよい。
保護層の膜厚は0.1〜50μmが好ましく、さらには0.5〜30μm程度とすることが望ましい。保護層5、21の膜厚が薄すぎると充分な保護効果が得られず、厚すぎると、全体を均一に加熱する際に伝熱しにくくなるという不都合が生じるためである。
次に、図2に示した構成を有する感熱記録媒体に対し多色記録を行うときの記録原理について説明する。先ず、第1の原理を説明する。
図2に示した感熱記録媒体のうち、可逆性の感熱記録媒体である場合、各記録層11〜13が消色する程度の温度、例えば120℃程度の温度で全面加熱し、第1〜第3の記録層11〜13を予め消色状態にしておく。あるいは不可逆性の感熱記録媒体である場合、第1〜第3の記録層11〜13を予め消色状態にしておく。
すなわちこの状態においては、支持基板1の色が露出している状態となっている。
次に、任意の部分に、波長及び出力を選択した赤外線を半導体レーザー等により照射する。例えば第1の記録層11を発色させる場合には、波長λ1の赤外線を第1の記録層11が発色温度に達する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて呈色化合物と顕・減色剤との間の発色反応を起こさせ照射部分を発色させる。
同様に、第2の記録層12、第3の記録層13についても、それぞれ波長λ2、λ3の赤外線を発色温度に達する程度のエネルギーを照射してそれぞれの光−熱変換材料を発熱させて照射部分を発色させる。
このようにすることによって、感熱記録媒体の任意の部分を発色させることができ、フルカラー画像形成や種々の情報の記録が可能となる。
また、可逆性の感熱記録媒体である場合には、上記のようにして発色させた記録層において、さらに任意の波長の赤外線を、第1〜第3の記録層11〜13が消色温度に達する程度のエネルギーで照射し、それぞれの光−熱変換材料を発熱させて、呈色化合物と顕・減色剤との間の消色反応を起こさせることによって消色化させることができる。
更に、上述のようにして一部を着色化、あるいは消色化させた感熱記録媒体の全体を、全ての記録層11〜13が消色する程度の温度、例えば120℃で一様に加熱することによって、記録情報や画像を消去することができる。上述した操作を繰り返すことによって再度記録を行うことが可能である。
次に、多色記録の第2の原理を説明する。これは、図2に示した感熱記録媒体のうち、可逆性の感熱記録媒体である場合に適用される。
先ず、各記録層11〜13が発色する程度の温度、例えば200℃程度の高温で全面加熱し、次に冷却し、第1〜第3の記録層11〜13を全て予め発色状態にしておく。
次に、感熱記録媒体20の任意の部分に、波長及び出力を任意に選択した赤外線を半導体レーザー等により照射する。
例えば第1の記録層11を消色させる場合には、波長λ1の赤外線を第1の記録層11が消色する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて記録層11を消色状態とする。
同様に、第2の記録層12及び第3の記録層13についても、それぞれ波長λ2、λ3の赤外線を、消色温度に達する程度のエネルギーで照射してそれぞれの光−熱変換材料を発熱させて照射部分を消色させることができる。
上述のようにすることによって任意の部分を消色させることができ、フルカラー画像形成や種々の情報の記録が可能となる。
上記のようにして消色させた各記録層11〜13において、さらに任意の波長の赤外線を、各記録層11〜13が発色温度に達する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換材料を発熱させて、呈色化合物と顕・減色剤との間の発色反応を起こさせることによって、記録層の任意の部分を発色化させることができる。
更に、上述のようにして一部を消色化、あるいは発色化させた記録媒体20の全体を、全ての記録層が着色する程度の温度、例えば200℃で一様に加熱し、次いで冷却することによって、記録情報や画像を消去することができ、上述した操作を行うことにより、再度繰り返し記録が可能となる。
本発明の感熱記録媒体20のうち、可逆性の感熱記録媒体である場合には、上記第1の原理、及び第2の原理に示した記録方法のうち、いずれの方法を適用するかは、記録層の特性、記録光源の性能に合わせて適宜選択する。
例えば、記録層を高温で発色してそれ以下の温度で消色する、いわゆるポジ型の層として形成してもよく、高温で消色してそれ以下の温度で発色する、いわゆるネガ型の層として形成してもよい(例えば特開平8−197853号公報)。
次に、図2に示す感熱記録媒体20を構成する記録層11〜13の積層順について説明する。
図3に、第1の記録層11、第2の記録層12、第3の記録層13においてそれぞれに含有されている光−熱変換材料の一例として好適なシアニン系色素(吸収ピーク波長λ1、λ2、λ3)の吸収スペクトルを示す。
図3に示すように、シアニン系色素の吸収スペクトルは、吸収ピークの長波長側は非常にシャープであるが、短波長側は比較的なだらかである。
図3に示すようにλ1>λ2>λ3の関係を有している。
感熱記録媒体20は、支持基板1上に、吸収ピーク波長が、それぞれλ1、λ2、λ3の第1の記録層11、第2の記録層12、第3の記録層13が、順次形成されている。
すなわち支持基板1側から順に、吸収ピーク波長が長い光−熱変換材料(赤外線吸収剤)を含有する記録層が積層されているものとする。
このような構成の感熱記録媒体においては、波長λ3の赤外線を照射したとき、第3の記録層13のみで吸収されて発熱し、この第3の記録層13のみ発色させることができる。
同様に、λ3よりも長い波長λ2の赤外線を照射したとき、第3の記録層13においては吸収されずに透過し、第2の記録層12のみで吸収されて発熱し、この第2の記録層12のみを発色させることができる。
また、λ3、λ2よりも長い波長λ1の赤外線を照射したとき、第3の記録層13、及び第2の記録層12においては吸収されずに透過し、第1の記録層11のみで吸収されて発熱し、第1の記録層11のみを発色させることができる。
本発明の感熱記録媒体は、カードや光ディスク、ラベル用の表示として使用することができる。すなわち、例えば図1において、支持基板1をカード状の合成樹脂とすることにより、感熱記録層を有する感熱記録付きカードとすることができる。このとき、支持基板には、ICチップと該ICチップと接続されるICモジュールとから構成されている電子モジュールが組み込まれているものを用いることが好ましい。
また、支持基板1を、光情報記録層を有する光ディスクとし、該光ディスクの光記録再生面とは反対面に感熱記録層2を形成することで、印刷ラベルの代わりとなる感熱記録付き光ディスクとすることができる。この光ディスクは、記録情報が書き換えまたは追記が可能なものであることが望ましい。
また、支持基板1を、PETフィルムなどの薄層フィルムとし、該薄層フィルムの記録層2形成面とは反対面に粘着層または接着層を備えることにより、任意の対象物に貼り付け可能な感熱記録ラベルとすることができる。この感熱記録ラベルを粘着層または接着層を介してカードや光ディスクに貼り合わせるようにしてもよい。
また、感熱記録組成物は、用途によって、可逆性、不可逆性の特性を適宜選択し決定すればよい。例えば、CD-R等の1回記録用のものは、不可逆性の感熱記録媒体を用い、カード式定期券やDVD−RW等の書き換え用途の光ディスクの場合は可逆性の感熱記録媒体を用いればよい。
次に、本発明の感熱記録媒体について、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明は以下に示す例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(マイクロカプセル1の作製)
光−熱変換材料(CY−10 日本化薬社製 吸収波長ピーク:795nm)0.26重量部、樹脂(VYHH)17.4重量部、トルエン80重量部、メチルエチルケトン20重量部をアジターを用いて予め分散しておき、それを水中に分散し、ホモジナイザーを用いて、回転数5000rpmで平均粒径5μmとなるように約5分間分散させた。
得られた分散液にメラミン−ホルマリン水溶液100重量部を混合し、20%酢酸水溶液を滴下し、pH6に調整した。
その後、液温を65℃に昇温させ、30分間重合反応を行い、その後乾燥したのち、濾過し、ふるいにかけ、平均粒径5μmのメラミン−ホルマリン壁のマイクロカプセルを得た。
(感熱記録媒体の作製)
下記に示す感熱記録材料、及びマイクロカプセル化した光−熱変換材料を、アジターにて20時間分散して塗料を作製した。この塗料を膜厚38μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなる支持基板上に、ドクターブレードにて吸光度が1.0となるようにして塗布した。
その後、80℃/30minの条件で乾燥させ、膜厚5μmの記録層を得た。
得られた記録層の上層に、紫外線吸収剤を含有した中間層を1μmの膜厚にバーコーターを用いて塗布し、さらに80℃/30minの条件で乾燥させ、紫外線硬化樹脂を用いて膜厚2μmの保護層を形成し、感熱記録媒体を得た。
(感熱記録材料)
ロイコ染料 Blue63(下記化学式(1)、山本化成株式会社製):2重量部
Figure 2005205882
顕色剤(OH−C64−NHCONH−(CH217CH3):4重量部
光−熱変換材料(マイクロカプセル化):吸光度1.0となるように調整
樹脂:塩化酢酸ビニル(ダウ・ケミカル日本株式会社製 VYHH):10重量部
溶剤:メチルエチルケトン(MEK):140重量部
〔実施例2〕
(マイクロカプセル2の作製)
共重合ポリエステル樹脂90重量部と、メチルエチルケトン137重量部を、65℃で撹拌し、共重合ポリエステル樹脂を溶解した。
樹脂が完全に溶解した後、イソプロピルアルコール46重量部添加し混合した。
その後、アクリル酸11重量部、アクリル酸エチル19重量部の混合物と、ベンソイルパーオキサイド0.74重量部(重合開始剤)をメチルエチルケトン45重量部とイソプロピルアルコール15重量部に溶解した溶液を、0.2ml/minで共重合ポリエステル樹脂溶解液に中に滴下し、2時間30分攪拌した。そこに、光−熱変換材料9重量を予めメチルエチルケトン291重量部に溶解した塗料を添加し、再度70〜80℃で撹拌した。その時余分なメチルエチルケトンを除去した。
その後、N,N−ジメチルエタノールアミン14重量部と、水244重量部を添加し、70〜80℃で1時間攪拌した。
その後、100℃まで昇温させ、メチルエチルケトン、及びイソプロピルアルコールを除去し、平均粒径0.07μmのマイクロカプセルを得た。
(感熱記録媒体の作製)
下記に示す感熱記録材料、及びマイクロカプセル化した光−熱変換材料をアジターにて20時間分散して塗料を作製し、これを、膜厚38μmの透明PETよりなる支持基板上に、バーコーターを用いて塗布した。
その後、80℃/30minの条件で乾燥させ、膜厚2μmの記録層を作製した。
得られた記録層の上層に、紫外線吸収剤を含有した中間層を膜厚1μmとなるようにバーコーターで塗布し、さらに80℃/30minで乾燥し、紫外線硬化樹脂を用いて膜厚2μmの保護層を形成し、感熱記録媒体を得た。
(感熱記録材料)
ロイコ染料 Blue63(上記化学式(1)、山本化成株式会社製):2重量部
顕色剤(OH−C64−NHCONH−(CH217CH3):4重量部
光−熱変換材料(マイクロカプセル化): 吸光度1.0となるように分散
樹脂 ポリビニルアルコール(日本合成ゴム製 ゴーセニールKP−06):10重量部
2O:140重量部
〔実施例3〕
(マイクロカプセル3の作製)
光−熱変換材料(CY−10 日本化薬社製 吸収波長ピーク:795nm)0.26重量部、クエンチャー9重量部(EST5−Ni 住友精化製)、樹脂(VYHH)17.4重量部、トルエン80重量部、メチルエチルケトン20重量部を、アジターにて予め分散しておき、それを水中に分散し、ホモジナイザーを用いて、回転数5000rpmで平均粒径5μmとなるように約5分間分散させた。
得られた分散液にメラミン−ホルマリン水溶液100重量部を混合し、20%酢酸水溶液を滴下し、pH6に調整した。
その後、液温を65℃に昇温させ、30分間重合反応を行い、その後乾燥した後、濾過し、ふるいにかけ、平均粒径5μmのメラミン−ホルマリン壁のマイクロカプセルを得た。
塗料の作製方法等、その他の条件は、実施例1と同様として感熱記録媒体を作製した。
〔実施例4〕
(マイクロカプセル4の作製)
共重合ポリエステル樹脂90重量部と、メチルエチルケトン137重量部とを65℃で攪拌し、共重合ポリエステル樹脂を溶解した。
樹脂が完全に溶解した後、イソプロピルアルコール46重量部添加し、混合した。
その後、アクリル酸11重量部、アクリル酸エチル19重量部の混合物と、ベンソイルパーオキサイド0.74重量部(重合開始剤)をメチルエチルケトン45重量部とイソプロピルアルコール15重量部に溶解した溶液を、0.2ml/minで共重合ポリエステル樹脂溶解液に中に滴下し、2時間30分攪拌した。そこに光−熱変換材料1.35重量部、クエンチャー0.68重量部(EST5−Ni 住友精化製)を予めメチルエチルケトン65.6重量部に溶解した塗料を添加し、再度70℃〜80℃で撹拌した。
その時余分なメチルエチルケトンを除去した。
その後、N,N−ジメチルエタノールアミン14重量部と、水244重量部を添加し、70℃〜80℃で1h攪拌した。
その後、100℃まで昇温させ、メチルエチルケトン及びイソプロピルアルコールを除去し、平均粒径0.07μmのマイクロカプセルを得た。
塗料の作製方法等、その他の条件は、実施例2と同様として感熱記録媒体を作製した。
〔実施例5〕
マイクロカプセルの平均粒径を3μmとし、記録層の膜厚を5μmとした。
その他の条件は、実施例3と同様として感熱記録媒体を作製した。
〔実施例6〕
マイクロカプセルの平均粒径を0.5μmとし、記録層の膜厚を2μmとした。
その他の条件は、実施例4と同様として感熱記録媒体を作製した。
〔実施例7〕
マイクロカプセルの平均粒径を0.1μmとし、記録層の膜厚を2μmとした。
その他の条件は、実施例4と同様として感熱記録媒体を作製した。
〔実施例8〕
マイクロカプセルの平均粒径を0.03μmとし、記録層の膜厚を2μmとした。
その他の条件は、実施例4と同様として感熱記録媒体を作製した。
〔実施例9〕
マイクロカプセルの平均粒径を0.07μmとし、記録層の膜厚を1μmとした。
その他の条件は、実施例4と同様として感熱記録媒体を作製した。
〔実施例10〕
マイクロカプセルの平均粒径を0.07μmとし、記録層の膜厚を5μmとした。
その他の条件は、実施例4と同様として感熱記録媒体を作製した。
〔実施例11〕
マイクロカプセルの平均粒径を0.07μmとし、記録層の膜厚を15μmとした。
その他の条件は、実施例4と同様として感熱記録媒体を作製した。
〔実施例12〕
感熱記録材料、及び光−熱変換材料を以下に示すようにし、実施例4と同様にして感熱記録層を作製した。
作製した感熱記録層(シート状)を三層積層して、可逆性感熱記録媒体を得た。
積層の順番としては、長波長に吸収のある光−熱変換材料を含有した記録層から順に支持体上に積層した。
・イエロー
(マイクロカプセル組成)
光−熱変換材料:1.35重量部
(シアニン系赤外吸収色素CY−10 日本化薬 記録層中での吸収ピーク795nm)クエンチャー(EST5−Ni 住友精化製):0.68重量部
(塗料組成)
ロイコ染料(フルオラン化合物 λmax=490nm):2重量部
顕色剤(OH−C64−NHCONH−(CH217CH3):4重量部
塩化酢酸ビニル(VYHH)ダウ・ケミカル日本株式会社製:10重量部
メチルエチルケトン:140重量部
・シアン
(マイクロカプセル組成)
光−熱変換材料:1.35重量部
(シアニン系赤外吸収色素 林原生物化学研究所製X、記録層中での吸収波長ピーク865nm)
クエンチャー(EST5−Ni 住友精化製):1.35重量部
(塗料組成)
ロイコ染料:2重量部
〔フルオラン化合物(H3035(下記化学式(2)、山田化学工業製))〕
Figure 2005205882
顕色剤(OH−C64−NHCONH−(CH217CH3):4重量部
塩化酢酸ビニル((VYHH)ダウ ・ケミカル日本株式会社製):10重量部
メチルエチルケトン:140重量部
・マゼンタ
(マイクロカプセル組成)
光−熱変換材料:1.35重量部
(シアニン系赤外吸収色素 H.W.SANDS製、記録層中での吸収波長ピーク935nm)
クエンチャー(NIRAM1 ナガセケムテックス製):0.29重量部
ロイコ染料 フルオラン化合物:2重量部
〔RED−DCF 保土ヶ谷化学社製(下記化学式(3)):2重量部
Figure 2005205882
顕色剤(OH−C64−NHCONH−(CH217CH3):4重量部
塩化酢酸ビニル((VYHH) ダウ・ケミカル日本株式会社製):10重量部
メチルエチルケトン:140重量部
(積層方法)
初めにマゼンタに発色させることのできる感熱記録材料、及びマイクロカプセル化した光−熱変換材料をアジターにて20時間分散して作製した塗料を、膜厚38μmの透明PETからなる支持体上に、吸光度が1.0となるようにバーコーターを用いて塗布し、その後、80℃/30minの条件で乾燥させた。
その上にバリア層としてポリビニルアルコール水溶液を膜厚4μmとなるようにバーコーターで塗布し、100℃/5minの条件で乾燥させた。
その上にシアンに発色させることのできる層を上記組成に基づき同様にして塗布・乾燥させた。
その上に、同様にしてポリビニルアルコール水溶液を塗布し乾燥させた。
最後に、イエローに発色させることのできる層を上記組成に基づき、同様に塗布し乾燥させて記録層を形成した。
上層に中間層及び保護層を設け、三層の記録層を有する感熱記録媒体を得た。
〔比較例1〕
光−熱変換材料を、マイクロカプセル中に内包させず、感熱記録材料とともに混合して記録層中に分散させた。
その他の条件は、実施例1と同様として感熱記録媒体を作製した。
〔比較例2〕
マイクロカプセルの平均粒径を25μmとした。その他の条件は、実施例3と同様として、感熱記録媒体を作製した。
〔比較例3〕
マイクロカプセルの平均粒径を100μmとした。その他の条件は、実施例3と同様として、感熱記録媒体を作製した。
〔比較例4〕
マイクロカプセルの平均粒径0.02μmとなるようにした。その他の条件は、実施例4と同様として、感熱記録媒体を作製した。
〔比較例5〕
感熱記録層の膜厚を20μmとした。その他の条件は、実施例4と同様として感熱記録媒体を作製した。
〔比較例6〕
感熱記録層の膜厚を0.7μmとした。その他の条件は、実施例4と同様として感熱記録媒体を作製した。
〔評価方法〕
上述のようにして作製した実施例1〜12、及び比較例1〜6の感熱記録媒体サンプルの任意の位置に、波長800nm出力400mW、波長850nm出力400mW、波長915nm出力400mW、スポット面積5800μm2の半導体レーザー光を、それぞれ単独、又は同時に、3m/sの速度でスキャンさせながら照射することで線を記録した。この線記録を40μm毎に繰り返して行い、ベタ画像を記録した。
(初期の記録特性の評価)
ベタ画像の記録を行った実施例1〜12、及び比較例1〜6の感熱記録媒体のそれぞれについて、分光光度計(Gretag Macbeth社製)を用いて発色濃度(O.D値)の測定を行った。なお、この値が0.8以上であれば、実用上充分な濃度の発色が得られたものであると評価した。
(耐光性試験後の記録特性の評価)
実施例1〜12、及び比較例1〜6の感熱記録媒体のそれぞれに対して、キセノンウェザーメーター(XL−75 スガ試験機社製)を用いて3時間光照射を行い、その後、波長800nm出力400mW、波長850nm出力400mW、波長915nm出力400mW、スポット面積5800μm2の半導体レーザー光を、それぞれ単独、又は同時に、3m/sの速度でスキャンさせながら照射することで線記録を行い、この記録を40μm毎に繰り返してベタ画像を記録した。
その後、分光光度計(Gretag Macbeth社製)を用いて発色濃度(O.D値)の測定を行った。なお、この値が0.8以上であれば、実用上充分な濃度の発色が得られたものであると評価した。
上記初期の記録特性、及び耐光性試験後の記録特性についての評価結果を下記表1に示す。
Figure 2005205882
上記表1に示すように、光−熱変換材料をマイクロカプセル中に内包し、記録層中の呈色性化合物、顕・減色剤よりなる感熱記録材料と分離させた構成を有する実施例1〜12の感熱記録媒体においては、耐光性試験後においても実用上充分な発色濃度が得られ、記録特性の劣化が効果的に抑制されていることが分かった。
一方、比較例1においては、光−熱変換材料をマイクロカプセル中に内包させず、記録層中において、呈色性化合物、顕・減色剤よりなる感熱記録材料と混在させたため、初期においては充分な発色濃度が得られたものの、耐光性試験後においては、光−熱変換材料の機能が劣化し、著しく記録特性が悪化した。
比較例2においては、マイクロカプセルの平均粒径が10μmを超え、記録層が厚くなりすぎてしまい、熱効率が低下し、初期においても実用上充分な発色濃度が得られなかった。
比較例3のように、マイクロカプセルの平均粒径が100μmと大きく、記録層形成用の塗膜を作製することが困難となり、作製工程上の問題が生じた。
また、極めて厚い記録層を成膜した場合においては、熱効率が著しく低下し、初期においても実用上充分な発色濃度が得られなかった。
比較例4においては、マイクロカプセルの平均粒径を30nm未満となるようにしたが、このような極小径のマイクロカプセルを確実に作製することは技術的に困難であり、実用上機能するマイクロカプセルは得られなかった。
比較例2〜4の結果から、マイクロカプセルの平均粒径は、30nm〜10μmであることが好ましく、実施例1、3の結果から5μm以下程度とすることがより望ましいことが確かめられた。
比較例5においては、記録層の膜厚が15μmを超えるものであるため、熱効率が低下し、初期においても実用上充分な発色濃度が得られなかった。
比較例6においては、記録層が膜厚1.0μm未満であり、極めて薄層であるため、充分な発色濃度を確保することができなかった。また、レーザー光照射を行った際に記録層内における熱量が大きくなりすぎてしまい、記録層の表面が熱により焼けてしまうことがあり、実用上望ましくないものとなった。
比較例5、6の結果から、記録層の膜厚は、1.0μm〜15μmとすることが好ましいことが確かめられた。
〔実験例1〕
(マイクロカプセル2−1の作製)
光−熱変換材料(シアニン系色素:CY−10 日本化薬社製 吸収波長ピーク:795nm)0.26重量部、クエンチャー(EST5−Ni 住友精化製)9重量部、樹脂(VYHH)17.4重量部、トルエン80重量部、メチルエチルケトン20重量部を、アジターにて予め分散しておき、それを水中に分散し、ホモジナイザーを用いて、回転数5000rpmで平均粒径3μmとなるように約5分間分散させた。
得られた分散液にメラミン−ホルマリン水溶液100重量部を混合し、20%酢酸水溶液を滴下し、pH6に調整した。
その後、液温を65℃に昇温させ、30分間重合反応を行い、その後乾燥した後、濾過し、ふるいにかけ、平均粒径3μmのメラミン−ホルマリン壁のマイクロカプセルを得た。
(カード用感熱記録媒体の作製)
下記に示す感熱記録組成物を、アジターにて20時間分散して塗料を作製した。上記で作製したマイクロカプセルにイソプロピルアルコール(IPA)を添加したのち、これに感熱記録組成物の塗料を分散した。
この塗料を膜厚38μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなる支持基板(カード)上に、ドクターブレードにて吸光度が1.0となるようにして塗布した。
その後、80℃/30minの条件で乾燥させ、膜厚5μmの記録層を得た。
得られた記録層の上層に、紫外線吸収剤を含有した中間層を1μmの膜厚にバーコーターを用いて塗布し、さらに80℃/30minの条件で乾燥させ、紫外線硬化樹脂を用いて膜厚2μmの保護層を形成し、カード用感熱記録媒体を得た。
(ディスク用感熱記録媒体の作製)
下記に示す感熱記録組成物を、アジターにて20時間分散して塗料を作製した。上記で作製したマイクロカプセルにイソプロピルアルコール(IPA)を添加したのち、これに感熱記録組成物の塗料を分散した。
この塗料を膜厚38μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなる支持基板(ディスク)上に、スピンコートにて吸光度が1.0となるようにして塗布した。
その後、80℃/30minの条件で乾燥させ、膜厚10μmの記録層を得た。
得られた記録層の上層に、紫外線吸収剤を含有した中間層を1μmの膜厚にスピンコーターを用いて塗布し、さらに80℃/30minの条件で乾燥させ、紫外線硬化樹脂を用いて膜厚2μmの保護層を形成し、ディスク用感熱記録媒体を得た。
(感熱記録組成物)
ロイコ染料 Blue63(上記化学式(1)、山本化成株式会社製):2重量部
顕色剤(OH−C64−NHCONH−(CH217CH3):4重量部
光−熱変換材料(マイクロカプセル化):吸光度1.0となるように調整
樹脂:塩化酢酸ビニル(ダウ・ケミカル日本株式会社製 VYHH):10重量部
溶剤:メチルエチルケトン(MEK):140重量部
〔実験例2〕
(マイクロカプセル2−2の作製)
共重合ポリエステル樹脂90重量部と、メチルエチルケトン137重量部とを65℃で攪拌し、共重合ポリエステル樹脂を溶解した。
樹脂が完全に溶解した後、イソプロピルアルコール46重量部添加し、混合した。
その後、アクリル酸11重量部、アクリル酸エチル19重量部の混合物と、ベンソイルパーオキサイド0.74重量部(重合開始剤)をメチルエチルケトン45重量部とイソプロピルアルコール15重量部に溶解した溶液を、0.2ml/minで共重合ポリエステル樹脂溶解液に中に滴下し、2時間30分攪拌した。そこに光−熱変換材料(CY−10 日本化薬社製 吸収波長ピーク:795nm)1.35重量部、クエンチャー(EST5−Ni 住友精化製)0.68重量部を予めメチルエチルケトン65.6重量部に溶解した塗料を添加し、再度70℃〜80℃で撹拌した。その時余分なメチルエチルケトンを除去した。
その後、N,N−ジメチルエタノールアミン14重量部と、水244重量部を添加し、70℃〜80℃で1h攪拌した。
その後、100℃まで昇温させ、メチルエチルケトン及びイソプロピルアルコールを除去し、平均粒径0.07μmのマイクロカプセルを得た。
感熱記録組成物を下記の通りとし、記録層の膜厚をカード用の場合を2μm、ディスク用の場合を10μmとして、塗料の作製方法等、その他の条件は、実験例1と同様としてカード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
(感熱記録組成物)
ロイコ染料:Blue63(上記化学式(1)、山本化成株式会社製):2重量部
顕色剤(OH−C64−NHCONH−(CH217CH3):4重量部
光−熱変換材料(マイクロカプセル化): 吸光度1.0となるように分散
樹脂:ポリメタクリル酸メチル:10重量部
溶剤:TOL:80重量部
IPA:65重量部
〔実験例3〕
マイクロカプセルの平均粒径を5μmとし、その他の条件は、実験例1と同様にしてカード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例4〜6〕
マイクロカプセルの平均粒径をそれぞれ0.5μm、0.1μm、0.03μmとし、その他の条件は、実験例2と同様にしてカード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例7〕
光熱変換剤と感熱記録組成物のうち、ロイコ染料のみを下記の方法でカプセル化した。
(マイクロカプセル2−3の作製)
・フタル化ゼラチン溶液の調整
アルカリ処理低イオンゼラチン(#750ゼラチン 新田ゼラチン(株)製)25.5重量部、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン(3.5%メタノール溶液)大東化学工業所(株)製)0.7286重量部、水酸化カルシウム0.153重量部、及びイオン交換水143.6重量部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作用製用ゼラチン水溶液を得た。
・カプセル化
酢酸エチル18.1重量部に、ロイコ染料(Blue63)7.6重量部、1-メチルプロピルフェニル-フェニルメタン及び、1-(1-メチルプロピルフェニル)-2-フェニルエタンの混合物(ハイゾールSAS-310、日本石油(株)製)8.0重量部、Irgaperm2140(チバガイギー(株)製)8.0重量部を添加し、加熱して、均一に溶解した。この混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン不加物(タケネートD110N 固形分75%酢酸エチル溶液) 武田薬品工業(株)製)7.2重量部、とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ミリオネートMR200)日本ポリウレタン工業(株))5.3重量部を添加し、均一に撹拌し、混合液A得た。
上記、フタル化ゼラチン水溶液28.8重量部にイオン交換水9.5重量部(Scraph AG-8 日本精化(株)製))0.17重量部及び、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3重量部を添加混合し、混合液Bを得た。
ついで、混合液Bに混合液Aを添加し、ホモジナイザーを用いて、40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に、水50重量部、テトラエチレンペンタミン0.12重量部を加え、均一化し、65℃下で撹拌し、酢酸エチルを除去しながら、3hカプセル化反応を行い、カプセル液の固形分濃度が33%になるように、濃度調節し以下に示すマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は1.0μmであった。
(マイクロカプセル)
ロイコ染料 Blue63(上記化学式(1)、山本化成株式会社製):33.3重量部
IPA:65重量部
また、下記に示すように不可逆性の顕色剤と、光−熱変換材料としてフタロシアニン系色素とを用いた感熱記録組成物とし、その他の条件は、実験例2と同様にして、カード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を得た。
(感熱記録組成物)
顕色剤:TG-SA(ビス-(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)-スルフォン 日本化薬(株)製):4重量部
光−熱変換材料:フタロシアニン : Ultragreen MX(チバスペシャリティーケミカルズ社製):光−熱変換材料に対し1.5%;吸光度1.0となるように分散
樹脂 ポリメタクリル酸メチル:10重量部
溶剤:TOL:80重量部
〔実験例8〕
光−熱変換材料と感熱記録組成物のうち、マイクロカプセルに内包させるものを不可逆性の顕色剤とし、光−熱変換材料を感熱記録組成物に含有させ、その他の条件は、実験例7と同様にして、カード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例9〕
光−熱変換材料と感熱記録組成物のうち、マイクロカプセルに内包させるものを光−熱変換材料とし、ロイコ染料を感熱記録組成物に含有させ、顕色剤としてOH−C64−NHCONH−(CH217CH3を用い、その他の条件は、実験例7と同様にして、カード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例10〕
光−熱変換材料と感熱記録組成物のうち、マイクロカプセルに内包させるものをロイコ染料と光−熱変換材料とし、その他の条件は、実験例7と同様にして、カード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例11,12〕
記録層の膜厚をそれぞれカード用の1.5μm,15μmとし、その他の条件は実験例2と同様にして、カード用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例13,14〕
記録層の膜厚をそれぞれディスク用の3μm,30μmとし、その他の条件は実験例2と同様にして、ディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例15〕
実験例2で示した記録層の形成方法で、記録層を三層に積層し、カード用感熱記録媒体を作製した。感熱記録材料、及び光−熱変換材料は以下に示すようにし、積層の順番としては、長波長に吸収のある光−熱変換材料を含有した記録層から順に支持体上に積層した。
・イエロー
(マイクロカプセル組成)
光−熱変換材料:1.35重量部
(シアニン系赤外吸収色素CY−10 日本化薬 記録層中での吸収ピーク795nm)
クエンチャー(EST5−Ni 住友精化製):0.68重量部
(塗料組成)
ロイコ染料(フルオラン化合物 λmax=490nm):2重量部
顕色剤(OH−C64−NHCONH−(CH217CH3):4重量部
塩化酢酸ビニル(VYHH)ダウ・ケミカル日本株式会社製:10重量部
メチルエチルケトン:140重量部
・シアン
(マイクロカプセル組成)
光−熱変換材料:1.35重量部
(シアニン系赤外吸収色素 林原生物化学研究所製X、記録層中での吸収波長ピーク865nm)
クエンチャー(EST5−Ni 住友精化製):1.35重量部
(塗料組成)
ロイコ染料:2重量部
〔フルオラン化合物(H3035(上記化学式(2)、山田化学工業製))〕
顕色剤(OH−C64−NHCONH−(CH217CH3):4重量部
塩化酢酸ビニル((VYHH)ダウ ・ケミカル日本株式会社製):10重量部
メチルエチルケトン:140重量部
・マゼンタ
(マイクロカプセル組成)
光−熱変換材料:1.35重量部
(シアニン系赤外吸収色素 H.W.SANDS製、記録層中での吸収波長ピーク935nm)
クエンチャー(NIRAM1 ナガセケムテックス製):0.29重量部
ロイコ染料 フルオラン化合物:2重量部
〔RED−DCF 保土ヶ谷化学社製(上記化学式(3)):2重量部
顕色剤(OH−C64−NHCONH−(CH217CH3):4重量部
塩化酢酸ビニル((VYHH) ダウ・ケミカル日本株式会社製):10重量部
メチルエチルケトン:140重量部
(積層方法)
初めにマゼンタに発色させることのできる感熱記録組成物、及びマイクロカプセル化した光−熱変換材料をアジターにて20時間分散して作製した塗料を、膜厚38μmの透明PETからなる支持体上に、吸光度が1.0となるようにバーコーターを用いて塗布し、その後、80℃/30minの条件で乾燥させた。
その上にバリア層としてポリビニルアルコール水溶液を膜厚4μmとなるようにバーコーターで塗布し、100℃/5minの条件で乾燥させた。
その上にシアンに発色させることのできる層を上記組成に基づき同様にして塗布・乾燥させた。
その上に、同様にしてポリビニルアルコール水溶液を塗布し乾燥させた。
最後に、イエローに発色させることのできる層を上記組成に基づき、同様に塗布し乾燥させて記録層を形成した。
上層に中間層及び保護層を設け、三層の記録層を有するカード用感熱記録媒体を得た。
〔実験例16〕
記録層の膜厚を各色5μmにし、スピンコーターで塗布した以外は、実験例15と同様にして、ディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例17〕
光−熱吸収材料をカプセルに内包せずに、感熱記録組成物と分散し、その他の条件は、実験例2と同様にして、カード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例18〕
光−熱吸収材料をカプセルに内包せずに、不可逆性の顕色剤(TG-SA(ビス-(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)-スルフォン 日本化薬(株)製))を用いた感熱記録組成物と分散し、その他の条件は、実験例2と同様にして、カード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例19〜21〕
マイクロカプセルを、その平均粒径がそれぞれ25μm,100μm,30nm未満(20nm目標)となるように作製し、その他の条件は、実験例1と同様にして、カード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例22〕
顕色剤として、不可逆性の顕色剤(TG-SA(ビス-(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)-スルフォン 日本化薬(株)製))を用い、その他の条件は、実験例2と同様にして、カード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例23〕
光−熱変換材料剤と感熱記録組成物のうち、マイクロカプセルに内包させるものを光−熱変換材料とロイコ染料とし、その他の条件は実験例2と同様にして、カード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例24〕
光−熱変換材料剤と感熱記録組成物のうち、マイクロカプセルに内包させるものを光−熱変換材料とし、ロイコ染料を感熱記録組成物に含有させ、その他の条件は実験例7と同様にして、カード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例25〕
光−熱変換材料剤と感熱記録組成物のうち、マイクロカプセルに内包させるものを光−熱変換材料とロイコ染料とし、光−熱変換材料をシアニン系色素(CY−10 日本化薬社製)、顕色剤を可逆性の顕色剤(OH−C64−NHCONH−(CH217CH3)とし、その他の条件は実験例7と同様にして、カード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例26〕
光−熱変換材料をシアニン系色素(CY−10 日本化薬社製)、顕色剤を可逆性の顕色剤(OH−C64−NHCONH−(CH217CH3)とし、その他の条件は実験例7と同様にして、カード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例27〕
光−熱変換材料をシアニン系色素(CY−10 日本化薬社製)、顕色剤を可逆性の顕色剤(OH−C64−NHCONH−(CH217CH3)とし、その他の条件は実験例8と同様にして、カード用感熱記録媒体及びディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例28,29〕
記録層の膜厚をそれぞれカード用の0.7μm,20μmとし、その他の条件は実験例2と同様にして、カード用感熱記録媒体を作製した。
〔実験例30,31〕
記録層の膜厚をそれぞれディスク用の2μm,35μmとし、その他の条件は実験例2と同様にして、ディスク用感熱記録媒体を作製した。
〔評価方法〕
(記録条件)
上述のように作製した実験例のサンプルの任意の位置に、波長800nm出力400mW、波長850nm出力400mW、波長940nm出力400mW、スポット面積5800μmの半導体レーザー光を、それぞれ単独または同時に、3m/secの速度でスキャンさせながら照射することで線を記録した。この線記録を40μm毎に繰り返して行い、ベタ画像を記録した。なお、光−熱変換材料としてシアニン系色素を用いた単層の場合(実験例1〜6、11〜14、19〜23、25〜31)の場合は、波長800nmのレーザー光を使用し、フタロシアニン系色素の場合(実験例7〜10、24)は、波長780nmのレーザー光を使用した。
(初期の記録特性の評価)
ベタ画像の記録を行った実験例1〜31の感熱記録媒体サンプルのそれぞれについて、分光光度計(Gretag Macbeth社製)を用いて発色濃度(O.D値)の測定を行った。なお、この値が0.8以上であれば、実用上充分な濃度の発色が得られたものであると評価した。
(耐光性試験後の記録特性の評価)
実験例1〜31の感熱記録媒体サンプルのそれぞれに対して、キセノンウェザーメーター(XL−75 スガ試験機社製)を用いて3時間光照射を行い、その後、上記記録条件でベタ画像を記録した。
その後、分光光度計(Gretag Macbeth社製)を用いて発色濃度(O.D値)の測定を行った。なお、この値が0.8以上であれば、実用上充分な濃度の発色が得られたものであると評価した。
上記初期の記録特性、及び耐光性試験後の記録特性についての評価結果を下記表2に示す。
Figure 2005205882
上記表2に示すように、実験例1〜16のように光−熱吸収材料と感熱記録組成物のうちいずれか一つをマイクロカプセルに内包し、そのマイクロカプセルの粒径を30nm〜5μmにすることにより、何層も積層することなく、発色性及び耐光性の良い感熱記録媒体を得ることができた。
これに対し、実験例17に示すように、光−熱吸収材料と感熱記録組成物のいずれをもマイクロカプセルに内包せず、感熱記録組成物と層内で共存している場合、十分な耐光性が無い為に、耐光性試験後には光−熱吸収材料の分解によりその吸収ピークが大きく低下していた。実験例1はこれを改善するものである。
また、実験例18の様に、光−熱吸収材料と感熱記録組成物のいずれをもマイクロカプセルに内包せず、感熱記録組成物が層内で共存し、なおかつ、不可逆性の顕色剤を用いた場合、塗料化直後に発色してしまい、所望の画像や各種データを記録することができなかった。実験例7,8,10はこれを改善するものである。
また、実験例19の様に、マイクロカプセルの粒径が10μmを越える場合、感熱記録層の厚みが厚くなり、熱効率が低下することにより十分な発色濃度を得ることができなかった。また、塗膜の透明性も低下した。実験例20の様に、さらに粒径が大きい場合は、塗膜を作製することも困難であった。また、実験例21の様に、マイクロカプセルの粒径を30nm未満となるように作製した場合、マイクロカプセルを作製することは出来なかった。よって、マイクロカプセルの粒径は30nm〜10μmであることが好ましく、30nm〜100nmであることがより好ましい。
実験例22,24の様に、不可逆性の顕色剤を用い、光−熱変換材料のみをマイクロカプセルに内包した場合、ロイコ染料と顕色剤が共存し、塗料時に発色してしまい、所望のデータ及び画像を表示することができなかった。よって、顕色剤が不可逆性である場合には、ロイコ染料と顕色剤が分離するようにカプセル化する必要がある。
また、実験例23の様に、熱でも壊れないカプセルを使用し、ロイコ染料と光熱変換剤をマイクロカプセルで内包してしまうと、ロイコ染料と顕色剤が反応できず、発色しなかった。よって、可逆性の感熱記録層の場合、ロイコ染料と顕色剤は共存させる必要がある。
また、実験例25〜27の様に、光−熱変換材料にシアニン系色素を使用し、カプセル化方法2−3で作成した加熱によりカプセル壁が透過浸透性を示すカプセルを用いると、発色は可能であるが、シアニン系色素とロイコ染料が共存してしまう為に、耐光性が極端に低下する。よって、光−熱吸収材料にシアニン系色素を用いた場合は、温度による浸透性の変わらない、カプセル化方法2−1、2−2であることが好ましい。
実験例28の様に、カード用の感熱記録層の厚みが1.5μm未満の場合、厚みが薄すぎる為に十分な発色濃度を得ることができず、さらに層内における熱量が大きすぎる為に、書き込み後塗膜表面が焼けて荒れてしまう。また、実験例29の様に、厚みが15μmを超える場合、光―熱吸収材料の熱効率が低下し、発色濃度が十分に得られない。よって、カード用感熱記録層の厚みは1.5〜15μmであることが好ましい。
実験例30の様に、ディスク用の感熱記録層の厚みが3μm未満の場合、厚みが薄すぎる為に、ディスクの記録及び再生を行う際に傷が感熱記録層に入った場合、下に積層されている保護層にまで傷が入ってしまう可能性がある。また、実験例31の様に厚みが15μmを超える場合、光―熱吸収材料の熱効率が低下し、発色濃度が十分に得られなく、さらに基板のそりが増大し、ドライブでの記録再生時に影響する可能性がある。よって、ディスク用感熱記録層の厚みは3〜15μmであることが好ましい。
〔実施例13〕
(マイクロカプセルの作製)
光−熱変換材料(シアニン系色素:CY−10 日本化薬社製 吸収波長ピーク:795nm)0.26重量部、クエンチャー(EST5−Ni 住友精化製)9重量部、樹脂(VYHH)17.4重量部、トルエン80重量部、メチルエチルケトン20重量部を、アジターにて予め分散しておき、それを水中に分散し、ホモジナイザーを用いて、回転数5000rpmで平均粒径3μmとなるように約5分間分散させた。
得られた分散液にメラミン−ホルマリン水溶液100重量部を混合し、20%酢酸水溶液を滴下し、pH6に調整した。
その後、液温を65℃に昇温させ、30分間重合反応を行い、その後乾燥した後、濾過し、ふるいにかけ、平均粒径3μmのメラミン−ホルマリン壁のマイクロカプセルを得た。
(感熱記録付きラベルの作製)
下記に示す感熱記録組成物を、アジターにて20時間分散して塗料を作製した。上記で作製したマイクロカプセルにイソプロピルアルコール(IPA)を添加したのち、これに感熱記録組成物の塗料を分散した。
裏面に粘着剤層を有する膜厚38μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)上に上記塗料をドクターブレードにて吸光度が1.0となるようにして塗布した。その後、80℃/30minの条件で乾燥させ、得られた記録層の上層に、紫外線硬化樹脂を用いて膜厚2μmの保護層を形成し、感熱記録付きラベルを得た。
(感熱記録組成物)
ロイコ染料 Blue63(上記化学式(1)、山本化成株式会社製):2重量部
顕色剤(OH−C64−NHCONH−(CH217CH3):4重量部
光−熱変換材料(マイクロカプセル化):吸光度1.0となるように調整
樹脂:塩化酢酸ビニル(ダウ・ケミカル日本株式会社製 VYHH):10重量部
溶剤:メチルエチルケトン(MEK):140重量部
(感熱記録付きカードの作製)
ICチップと該ICチップと接続されるICモジュールとから構成されている電子モジュールが組み込まれたカードを用意し、上記で得られた感熱記録付きラベルを貼付して、感熱記録付きカードを作製した。
(感熱記録付き光ディスクの作製)
書き換え可能な光情報記録層を備えた光ディスクを用意し、上記で得られた感熱記録付きラベルを貼付して、感熱記録付き光ディスクを作製した。
本発明の感熱記録媒体の一例の概略断面図を示す。 本発明の感熱記録媒体の他の一例の概略断面図を示す。 シアニン系色素の吸収スペクトルを示す。
符号の説明
1……支持基板、2……記録層、3……マイクロカプセル、4……中間層、5……保護層、10……感熱記録媒体、11……第1の記録層、12……第2の記録層、13……第3の記録層、14,15,16……マイクロカプセル、17,18……断熱層、19……中間層、20……感熱記録媒体、21……保護層

Claims (13)

  1. 支持基板の面方向に、記録層が形成されてなり、
    前記記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、
    前記呈色性化合物、前記顕・減色剤および前記光−熱変換材料の少なくともいずれか一つがマイクロカプセルに内包されて前記記録層中に分散されてなることを特徴とする感熱記録媒体。
  2. 前記マイクロカプセルの粒径が、30nm〜5μmであることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録媒体。
  3. 前記記録層の厚さが、1.0μm〜15μmであることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録媒体。
  4. 前記支持基板の面方向に三層の記録層が、分離・積層形成されており、
    前記三層の記録層においては、それぞれ発色色調の異なる前記感熱記録材料と、それぞれ異なる波長域のレーザー光に吸収を有する前記光−熱変換材料が含有されてなることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録媒体。
  5. 上記光−熱変換材料の吸収ピーク波長は、前記支持基板の最も近傍に形成されている記録層が最も長波長であり、積層順に表層に向かうに従って短波長となることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録媒体。
  6. 支持基板の面方向に、記録層が形成されてなり、
    前記記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、
    前記光−熱変換材料は、マイクロカプセルに内包されて前記記録層中に分散されてなることを特徴とする可逆性の感熱記録媒体。
  7. 支持基板の面方向に、記録層が形成されてなり、
    前記記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、
    前記呈色性化合物と、前記光−熱変換材料は、マイクロカプセルに内包されて前記記録層中に分散されてなることを特徴とする不可逆性の感熱記録媒体。
  8. 支持基板の面方向に、記録層が形成されてなり、
    前記記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、
    前記呈色性化合物は、マイクロカプセルに内包されて前記記録層中に分散されてなることを特徴とする不可逆性の感熱記録媒体。
  9. 支持基板の面方向に、記録層が形成されてなり、
    前記記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、
    前記顕・減色剤は、マイクロカプセルに内包されて前記記録層中に分散されてなることを特徴とする不可逆性の感熱記録媒体。
  10. 合成樹脂製でカード状の支持基板の面方向に、記録層が形成されてなり、
    前記記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、
    前記呈色性化合物、前記顕・減色剤および前記光−熱変換材料の少なくともいずれか一つがマイクロカプセルに内包されて前記記録層中に分散されてなることを特徴とする感熱記録付きカード。
  11. 前記カード状の支持基板には電子モジュールが組み込まれていることを特徴とする請求項10に記載の感熱記録付きカード。
  12. 光情報記録層を有する光ディスクを支持基板とし、該支持基板の光情報記録層形成面とは反対面の面方向に、感熱記録層が形成されてなり、
    前記感熱記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、
    前記呈色性化合物、前記顕・減色剤および前記光−熱変換材料の少なくともいずれか一つがマイクロカプセルに内包されて前記感熱記録層中に分散されてなることを特徴とする感熱記録付き光ディスク。
  13. 粘着剤層を一主面に有する薄層フィルムを支持基板とし、該支持基板の粘着剤層形成面とは反対面の面方向に、記録層が形成されてなり、
    前記記録層には、少なくとも、電子供与性を有する呈色性化合物と、電子受容性を有する顕・減色剤と、レーザー光を吸収して発熱する光−熱変換材料とが含有されてなり、
    前記呈色性化合物、前記顕・減色剤および前記光−熱変換材料の少なくともいずれか一つがマイクロカプセルに内包されて前記記録層中に分散されてなることを特徴とする感熱記録付きラベル。
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