JP5611386B2 - 電子写真装置用クリーニングブレード及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真装置用クリーニングブレード及びその製造方法に関する。
普通紙を記録紙として用いる電子写真装置では、一般に、像担持体の表面に放電により静電荷を与え、その上に画像を露光して静電潜像を形成し、次に、帯電したトナーを静電潜像に付着させて現像し、そのトナー像を記録紙に転写し、最後に、トナー像が転写された記録紙を加熱加圧し、トナーを記録紙上に定着させることによって複写が行われる。
従って、複数枚の記録紙に順次複写を行うためには、上記の工程において、像担持体より記録紙にトナー像を転写した後、像担持体の表面に残留したトナーを除去する必要があり、このようなトナーの除去は、通常、電子写真装置用クリーニングブレードにより行われている。電子写真装置用クリーニングブレードは、通常、金属板からなる支持部材、弾性ゴム部材及び支持部材と弾性ゴム部材とを接合するための接着剤層より形成されている。
近年電子写真装置でより高品質な印刷物が要求されており、従来の粉砕法トナーに比べその形状が球形(真球状、異形状)で、かつ、小粒径の重合法トナーが使用されるようになっている。このような重合法トナーは転がり易いため、残留トナーのすり抜けによるクリーニング不良が生じ易い。
この問題を解決するため、クリーニング性に有利という理由から高硬度・高反発弾性の弾性ゴム部材を備えた従来のクリーニングブレードを使用した場合、耐摩耗性(耐久性)が悪いため、その寿命は短く、短サイクルでのブレードの交換が必要となる。一方、ブレードの耐摩耗性を維持する設計とした場合は、逆にクリーニング性(特に低温低湿下でのクリーニング性)が低下してしまう。即ち、重合法トナーを使用した場合、従来の技術では、耐摩耗性とクリーニング性を両立することは極めて困難であった。
特許文献1には、感光体に当接する部位と当接しない部位との2層構造を有し、当接する部位が高反発弾性(30〜70%)、当接しない部位が低反発弾性(5〜40%)のクリーニングブレードが開示されている。特許文献2〜3には、特定の硬度、反発弾性を持つエッジ層及びベース層からなる2層構造の弾性ゴム部材と、支持部材とを有する電子写真装置用クリーニングブレードが開示されている。
しかしながら、これらのクリーニングブレードにおいて、エッジ層、ベース層のそれぞれの硬度及び反発弾性は、詳細に検討されていない。また、ここで開示されているクリーニングブレードを使用した場合、耐摩耗性(耐久性)とクリーニング性(特に低温低湿下)を両立できないことがある。
特開2003−29594号公報 特開2002−214989号公報 特開2002−214990号公報
本発明は、上記現状に鑑み、球形(真球状、異形状)で、かつ、小粒径の重合法トナーを使用した場合であっても、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下でのクリーニング性)を両立できる電子写真装置用クリーニングブレードを提供することを目的とするものである。
第1の本発明は、弾性ゴム部材及び支持部材を有する電子写真装置用クリーニングブレードであって、上記弾性ゴム部材は、エッジ層及びベース層からなる2層構造を有し、上記エッジ層は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜72°であり、かつ、反発弾性が10〜35%である材料からなり、上記ベース層は、23℃におけるJIS A 硬さが70〜80°で、上記エッジ層における硬さより大きい値であり、かつ、反発弾性が40〜70%である材料からなることを特徴とする電子写真装置用クリーニングブレードである。
上記第1の本発明において、上記エッジ層の厚み(a)と、上記エッジ層の厚み(a)及び上記ベース層の厚み(b)の和(a+b)との比(a/(a+b))が、0.05〜0.5であり、かつ、上記エッジ層の厚み(a)が、50μmを超えるものであることが好ましい。
上記第1の本発明において、上記エッジ層の23℃における200%モジュラスが3.5〜12MPaの範囲内のものであることが好ましい。
上記第1の本発明において、上記エッジ層の23℃におけるJIS A 硬さが65〜68°であり、かつ、上記ベース層の反発弾性が45〜70%であることが好ましい。
第2の本発明は、弾性ゴム部材及び支持部材を有する電子写真装置用クリーニングブレードであって、上記弾性ゴム部材は、エッジ層及びベース層からなる2層構造を有し、上記エッジ層は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜72°であり、反発弾性が37〜60%であり、かつ、23℃における200%モジュラスが3〜8MPaである材料からなり、上記ベース層は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜70°であり、かつ、反発弾性が5〜30%である材料からなることを特徴とする電子写真装置用クリーニングブレードである。
上記第2の本発明において、上記エッジ層の厚み(a)と、上記エッジ層の厚み(a)及び上記ベース層の厚み(b)の和(a+b)との比(a/(a+b))が、0.05〜0.75であり、かつ、上記エッジ層の厚み(a)が、50μmを超えるものであることが好ましい。
上記第2の本発明において、上記エッジ層は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜68°である材料からなることが好ましい。
上記第1及び第2の本発明において、上記エッジ層及び上記ベース層は、ポリウレタンからなるものであることが好ましい。
上記第1及び第2の本発明において、上記ポリウレタンは、ポリカプロラクトンポリオール及び/又はポリエステルポリオールをポリオール成分とするものであることが好ましい。
上記第1の本発明において、上記エッジ層は、ポリカプロラクトンポリオール及び/又はポリエステルポリオールをポリオール成分とするポリウレタンからなるものであり、かつ、上記ベース層は、ポリカプロラクトンポリオールをポリオール成分とするポリウレタンからなるものであることが好ましい。
上記第2の本発明において、上記エッジ層は、ポリカプロラクトンポリオールをポリオール成分とするポリウレタンからなるものであり、かつ、上記ベース層は、ポリエステルポリオールをポリオール成分とするポリウレタンからなるものであることが好ましい。
本発明はまた、遠心成形法を用いた上記第1の本発明の電子写真装置用クリーニングブレードの製造方法であって、金型の内側にシリコーンゴムの成形体を製造する工程(I)と、上記工程(I)で得られたシリコーンゴムの成形体上に、弾性ゴム部材のエッジ層を構成する成形体を製造する工程(II)と、上記工程(II)で得られたエッジ層を構成する成形体上に、弾性ゴム部材のベース層を構成する成形体を製造する工程(III)とを含み、上記エッジ層を構成する成形体は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜72°であり、かつ、反発弾性が10〜35%である材料からなり、上記ベース層を構成する成形体は、23℃におけるJIS A 硬さが70〜80°で、上記エッジ層における硬さより大きい値であり、かつ、反発弾性が40〜70%である材料からなることを特徴とする電子写真装置用クリーニングブレードの製造方法でもある。
本発明はまた、遠心成形法を用いた上記第2の本発明の電子写真装置用クリーニングブレードの製造方法であって、金型の内側にシリコーンゴムの成形体を製造する工程(I)と、上記工程(I)で得られたシリコーンゴムの成形体上に、弾性ゴム部材のエッジ層を構成する成形体を製造する工程(II)と、上記工程(II)で得られたエッジ層を構成する成形体上に、弾性ゴム部材のベース層を構成する成形体を製造する工程(III)とを含み、上記エッジ層を構成する成形体は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜72°であり、反発弾性が37〜60%であり、かつ、23℃における200%モジュラスが3〜8MPaである材料からなり、上記ベース層を構成する成形体は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜70°であり、かつ、反発弾性が5〜30%である材料からなることを特徴とする電子写真装置用クリーニングブレードの製造方法でもある。
上記第1及び第2の本発明の電子写真装置用クリーニングブレードの製造方法において、上記シリコーンゴムの成形体は、付加硬化型シリコーンゴム組成物から得られるものであることが好ましい。
上記第1及び第2の本発明の電子写真装置用クリーニングブレードの製造方法において、上記付加硬化型シリコーンゴム組成物は、ケイ素原子に結合する脂肪族不飽和炭化水素基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、ケイ素原子に結合する水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジエンポリシロキサン、及び、白金系触媒を含むものであることが好ましい。
本発明のクリーニングブレードは、上述した構成よりなるので、球形(真球状、異形状)で、かつ、小粒径の重合法トナーを使用した場合においても、従来困難であった耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下でのクリーニング性)の両立を実現することができる。また、本発明の製造方法は、上述した構成よりなるので、エッジ層における表面不良を減少させ、生産性を向上させることができる。更に、良好な厚み精度を有する2層構造の弾性ゴム部材を得ることが可能である。
従来のクリーニングブレードと、そのクリーニング挙動を示した模式図である。 本発明のクリーニングブレードと、そのクリーニング挙動を示した模式図である。 遠心成形機の模式図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)図のA−A線断面図である。 本発明の製造方法において、遠心成形を行った際の金型内部を模式的に示した部分拡大断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔電子写真装置用クリーニングブレード〕
本発明の電子写真装置用クリーニングブレード(以下、単に「クリーニングブレード」ともいう)は、下記構成(A)の弾性ゴム部材(上記第1の本発明)又は下記構成(B)の弾性ゴム部材(上記第2の本発明)を有している。
(A)低硬度・低反発弾性(硬さ65〜72°、反発弾性10〜35%)のエッジ層と、高硬度・高反発弾性(硬さ70〜80°でエッジ層より大きい値、反発弾性40〜70%)のベース層とからなる2層構造の弾性ゴム部材。
(B)低硬度・高反発弾性(硬さ65〜72°、反発弾性37〜60%)で、かつ特定モジュラスのエッジ層と、低硬度・低反発弾性(硬さ65〜70°、反発弾性5〜30%)のベース層とからなる2層構造の弾性ゴム部材。
本発明では、上記構成(A)又は(B)の弾性ゴム部材を有しているため、クリーニングブレードとして用いた場合、トナーとして球形(真球状、異形状)で、小粒径の重合法トナーを使用した場合であっても、従来では困難であった耐摩耗性(耐久性)とクリーニング性(特に低温低湿下)の両立を見事に達成することが可能である。
本発明のクリーニングブレードを使用した場合に、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を両立できる理由は明らかではないが、以下に説明する作用が発揮されるためであると推察される。以下、従来のクリーニングブレードを使用した場合と対比して説明する。
図1(i)は、従来の高硬度・高反発弾性の単層構造の弾性ゴム部材を有するクリーニングブレードを示した概略図の一例である。図1(i)のクリーニングブレードは、高硬度・高反発弾性の弾性ゴム部材1、支持部材2及び接着剤層3を有している。また、図1(ii)は、このブレードを使用した場合の像担持体(相手材)4の表面のクリーニング挙動を示した模式図であり、相手材4の動作中に弾性ゴム部材1のエッジが相手材4上の残留トナー(図示せず)を掻き取っている状態を示している。
図1(ii)で示されているように、従来の高硬度・高反発弾性の弾性ゴム部材を有するブレードを使用した場合、クリーニング挙動において弾性ゴム部材1のエッジが巻き込まれた際、弾性ゴム部材1が高硬度であることに起因して、エッジ近傍の小さな範囲の部位に応力が集中する(応力集中部位5)。このため、相手材4との摩擦が大きくなることにより弾性ゴム部材1が剥ぎ取られるため、耐摩耗性が低下すると推察される。更に、弾性ゴム部材1の高反発弾性によるスティック−スリップ挙動に起因して、エッジの振動が激しくなるため、弾性ゴム部材1の摩耗が助長されると推察される。従って、従来のブレードを使用した場合、エッジの摩耗劣化により、残留トナーのすり抜けが起こり、クリーニング不良が生じると推察される。
一方、本発明の電子写真装置用クリーニングブレードは、例えば、図2(i)に示した構成を有するものである。図2(i)のクリーニングブレードは、弾性ゴム部材11、支持部材12及び接着剤層13を有している。また、図2(ii)は、このような構成のクリーニングブレードを使用した場合の像担持体(相手材)14の表面のクリーニング挙動を示した模式図であり、相手材14の動作中に、エッジ層21におけるエッジが相手材14上の残留トナー(図示せず)を掻き取っている状態を示している。
上記第1の本発明のクリーニングブレード(以下、「第1のクリーニングブレード」ともいう)では、図2(i)の弾性ゴム部材11は、低硬度・低反発弾性のエッジ層21及び高硬度・高反発弾性のベース層22の2層構造を有している(構成(A))。
上記第1のクリーニングブレードを使用した場合(構成(A))、図2(ii)で示されているように、クリーニング挙動において、相手材14と当接するエッジ層21が低硬度・低反発弾性であることによって、従来のブレードを使用した場合に比べてエッジ近傍に生じる応力を分散できると推察される(応力集中部位15)。また、クリーニングブレードの使用時において、相手材14と当接しているエッジの振動が抑制される。そして、これらの作用によって、クリーニングブレードの摩耗の抑制が可能になると推察される(耐摩耗性の向上)。また同時に、支持部材12と接合するベース層22が高硬度・高反発弾性であることにより、エッジのニップ位置を安定化させることができるとともに、弾性ゴム部材全体としてのゴム弾性を維持できることによりクリーニング性(特に低温低湿下)を向上させることが可能となると推察される(特に低温低湿下におけるクリーニング性の向上)。
上記第2の本発明のクリーニングブレード(以下、「第2のクリーニングブレード」ともいう)では、図2(i)の弾性ゴム部材11は、低硬度・高反発弾性、特定モジュラスのエッジ層21及び低硬度・低反発弾性のベース層22の2層構造を有している(構成(B))。
上記第2のクリーニングブレードを使用した場合(構成(B))、図2(ii)で示されているように、クリーニング挙動において、相手材14と当接するエッジ層21が低硬度・高反発弾性、特定モジュラスであることによって、従来のブレードを使用した場合に比べてエッジ近傍に生じる応力を分散できると推察される(応力集中部位15)。そしてその結果、クリーニングブレードの摩耗の抑制が可能となると推察される(耐摩耗性の向上)。また同時に、支持部材12と接合するベース層22が低硬度・低反発弾性であることによって生じるダンパー効果により、エッジのニップ位置を安定化させ(特に低温低湿下におけるクリーニング性の向上)、かつ、エッジにかかる応力を抑制して摩耗を抑制している(耐摩耗性の向上)、と推察される。
従って、上記第1及び第2のクリーニングブレードでは、以上に説明した作用機能が発揮されることにより、上記重合法トナーを使用した場合であっても、クリーニング性(特に低温低湿下)と耐久性(耐摩耗性)を両立することが可能になったと推察される。
上記第1及び第2のクリーニングブレードは、弾性ゴム部材及び支持部材を有するものである。
上記弾性ゴム部材は、上記クリーニングブレードの使用時に、像担持体表面のトナー及び外添剤等を掻き取るものであり、上記エッジ層及びベース層からなる2層構造を有するものである。
上記エッジ層は、図2で示されているように、弾性ゴム部材の相手材と当接させる側に位置するブレード長さ方向の層である。一方、上記ベース層は、弾性ゴム部材の支持部材側に位置するブレード長さ方向の層である。図2のクリーニングブレードでは、上記エッジ層は支持部材と接合しておらず、上記ベース層は接着剤層を介して支持部材と接合している。ここで、接合とは、接し合っていることを意味する。
上記第1のクリーニングブレードの弾性ゴム部材(構成(A))において、上記エッジ層は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜72°であり、かつ、反発弾性が10〜35%である材料からなるものである。また、上記第1のクリーニングブレードの弾性ゴム部材において、上記ベース層は、23℃におけるJIS A 硬さが70〜80°で、かつ、その硬さが上記エッジ層における硬さ(65〜72°)より大きい値である材料からなるものである。更に、上記ベース層は、反発弾性が40〜70%である材料からなるものである。弾性ゴム部材として、このような硬さ及び反発弾性を有するエッジ層及びベース層からなる2層構造のものを用いることにより、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を両立することができる。
上記第1のクリーニングブレードにおいては、(i)上記特定範囲の硬さを有するエッジ層であること、(ii)上記特定範囲の反発弾性を有するエッジ層であること、(iii)上記特定範囲の硬さを有するベース層であること、(iv)ベース層の硬さがエッジ層の硬さより大きい値であること、(v)上記特定範囲の反発弾性を有するベース層であること、のすべての特性を具備した場合に、上述した応力分散効果やゴム弾性の維持効果等の作用が発揮され、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)の両立が可能となるのである。即ち、(i)〜(v)のいずれかの特性のみ具備しない場合であっても、上記両立は困難であり、単に2層構造の弾性ゴム部材を使用することのみでは、上述の目的を達成することはできない。従って、上記第1のクリーニングブレードにおいて、上記(i)〜(v)のすべての特性を具備することは極めて重要である。
上記第1のクリーニングブレードにおいて、上記エッジ層の硬さが65°未満であると、エッジのニップ巾が広くなり、トナーのせき止め能力が低下する。72°を超えると、前記理由により耐摩耗性が低下する。上記エッジ層の硬さは、65〜70°であることが好ましく、65〜68°であることがより好ましい。
上記第1のクリーニングブレードにおいて、上記エッジ層の反発弾性が10%未満であると、低温低湿下におけるクリーニング性が極端に低下する。35%を超えると、前記理由により耐摩耗性が低下する。上記エッジ層の反発弾性は、15〜33%であることが好ましく、15〜27%であることがより好ましい。
上記第1のクリーニングブレードにおいて、上記エッジ層の23℃における200%モジュラスは、3.5〜12MPaの範囲内のものであることが好ましい。3.5MPa未満であると、エッジの変形が大きくなり、耐摩耗性が低下するおそれがある。12MPaを超えると、エッジ近傍に生じる応力を分散出来なくなり、耐摩耗性が低下するおそれがある。3.5〜8.0MPaであることがより好ましく、4.0〜7.0MPaであることが更に好ましい。
上記第1のクリーニングブレードにおいて、上記ベース層の硬さが70°未満であると、エッジのニップの安定化及び低温低湿下のクリーニング性の向上に寄与しない。80°を超えると、エッジ近傍に生じる応力の水準が上がり耐摩耗性が低下する。上記ベース層の硬さは、70〜78°であることが好ましく、73〜77°であることがより好ましい。
上記第1のクリーニングブレードにおいて、上記ベース層の硬さの値が、上記エッジ層の硬さの値以下であるとエッジのニップの安定化及び低温低湿下のクリーニング性の向上に寄与しない。上記ベース層の硬さの値は、上記エッジ層の硬さの値より2°以上大きいことが好ましく、5°以上大きいことがより好ましい。
上記第1のクリーニングブレードにおいて、上記ベース層の反発弾性が40%未満であると、低温低湿下のクリーニング性の向上に寄与しない。70%を超えると、エッジのニップを不安定化させる。上記ベース層の反発弾性は、45〜70%であることが好ましく、50〜70%であることがより好ましい。
上記第1のクリーニングブレードにおいて、上記ベース層の23℃における200%モジュラスは、3.5〜12MPaの範囲内のものであることが好ましい。3.5MPa未満であると、座屈を生じ易くなるおそれがある。12MPaを超えると、エッジ近傍に生じる応力の水準が高くなり、エッジの耐摩耗性を低下させるおそれがある。3.5〜8.0MPaであることがより好ましく、4.0〜7.0MPaであることが更に好ましい。
上記第1のクリーニングブレードの弾性ゴム部材において、上記エッジ層の厚み(a)と、上記エッジ層の厚み(a)及び上記ベース層の厚み(b)の和(a+b)との比(a/(a+b))は、0.05〜0.5であることが好ましい。これにより、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を良好に両立することができる。0.05〜0.25であることがより好ましい。
上記第1のクリーニングブレードにおいて、上記エッジ層の厚み(a)は、50μmを超えるものであることが好ましく、0.2〜2.0mmであることがより好ましい。これにより、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を良好に両立することができる。0.2〜1.2mmであることが更に好ましい。
また、上記第2のクリーニングブレードの弾性ゴム部材(構成(B))において、上記エッジ層は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜72°であり、反発弾性が37〜60%であり、かつ、23℃における200%モジュラスが3〜8MPaである材料からなるものである。また、上記第2のクリーニングブレードの弾性ゴム部材において、上記ベース層は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜70°であり、かつ、反発弾性が5〜30%である材料からなるものである。弾性ゴム部材として、上記特定範囲の硬さ、反発弾性及びモジュラスを有するエッジ層と、上記特定範囲の硬さ及び反発弾性を有するベース層とからなる2層構造のものを用いることにより、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を両立することができる。
上記第2のクリーニングブレードにおいては、(i)上記特定範囲の硬さを有するエッジ層であること、(ii)上記特定範囲の反発弾性を有するエッジ層であること、(iii)上記特定範囲のモジュラスを有するエッジ層であること、(iv)上記特定範囲の硬さを有するベース層であること、(v)上記特定範囲の反発弾性を有するベース層であること、のすべての特性を具備した場合に、上述した応力分散効果やダンパー効果等の作用が発揮され、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)の両立が可能となるのである。即ち、(i)〜(v)のいずれかの特性のみ具備しない場合であっても、上記両立は困難であり、単に2層構造の弾性ゴム部材を使用することのみでは、上述の目的を達成することはできない。従って、上記第2のクリーニングブレードにおいて、上記(i)〜(v)のすべての特性を具備することは極めて重要である。
上記第2のクリーニングブレードにおいて、上記エッジ層の硬さが65°未満であると、エッジのニップ巾が広くなり、トナーのせき止め能力が低下する。72°を超えると、前記理由により耐摩耗性が低下する。上記エッジ層の硬さは、65〜70°であることが好ましく、65〜68°であることがより好ましい。
上記第2のクリーニングブレードにおいて、上記エッジ層の反発弾性が37%未満であると、低温低湿下におけるクリーニング性が低下する。60%を超えると、前記理由により耐摩耗性が低下する。上記エッジ層の反発弾性は、37〜50%であることが好ましく、37〜45%であることがより好ましい。
上記第2のクリーニングブレードにおいて、上記エッジ層の200%モジュラスが3MPa未満であると、エッジの変形が大きくなり、耐摩耗性が低下する。8MPaを超えると、エッジ近傍に生じる応力を分散出来なくなり、耐摩耗性が低下する。3.5〜7.0MPaであることが好ましく、3.5〜6.0MPaであることがより好ましい。
上記第2のクリーニングブレードにおいて、上記ベース層の硬さが65°未満であると、エッジが巻き込まれた際、座屈を生じ易くなる。70°を超えると、エッジにかかる応力の抑制効果が低下する。上記ベース層の硬さは、65〜68°であることが好ましい。
上記第2のクリーニングブレードにおいて、上記ベース層の反発弾性が5%未満であると、低温低湿下におけるクリーニング性を阻害する。30%を超えると、ダンパー効果が低下する。上記ベース層の反発弾性は、8〜26%であることが好ましく、10〜20%であることがより好ましい。
上記第2のクリーニングブレードにおいて、上記ベース層の23℃における200%モジュラスは、3.5〜12MPaの範囲内のものであることが好ましい。3.5MPa未満であると、座屈を生じ易くなるおそれがある。12MPaを超えると、ダンパー効果が低下するおそれがある。4.0〜10MPaであることがより好ましく、4〜8MPaであることが更に好ましい。
上記第2のクリーニングブレードの弾性ゴム部材において、上記エッジ層の厚み(a)と、上記エッジ層の厚み(a)及び上記ベース層の厚み(b)の和(a+b)との比(a/(a+b))は、0.05〜0.75であることが好ましい。これにより、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を良好に両立することができる。0.25〜0.75であることがより好ましい。
上記第2のクリーニングブレードにおいて、上記エッジ層の厚み(a)は、50μmを超えるものであることが好ましく、0.2〜2.0mmであることがより好ましい。これにより、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を良好に両立することができる。0.45〜1.60mmであることが更に好ましい。
なお、本明細書において、上記JIS A 硬さは、JIS K 7312に準じて、スプリング式タイプA硬さ試験機により測定される値である。また、上記反発弾性は、JIS K 7312の反発弾性試験に準じて、測定される値である。更に、上記200%モジュラスは、JIS K 6251に準じて、測定される値である(所定伸び引張応力(Mn))。使用する試験片は、ダンベル状試験片の3号形である。
上記第1及び第2の本発明において、上述した硬さ、反発弾性、200%モジュラスを有するエッジ層及びベース層は、エッジ層、ベース層を構成する材料を適当に選択することによって得ることができる。
具体的には、上記第1のクリーニングブレードは、例えば、以下の製法により得ることができる。
上記第1のクリーニングブレードの低硬度・低反発弾性(硬さ65〜72°、反発弾性10〜35%)のエッジ層では、配合設計として、プレポリマーのNCO含有量を減らすこと、更に必要に応じて架橋剤の1,4−ブタンジオール(BD)比率を下げることにより−(MDI−BD)−からなるハードセグメント形成を抑えること、により低硬度化を実現できる。また、架橋剤のトリメチロールプロパン比率を上げることによる化学架橋点の増加により高Tg(ガラス転移温度)化し、低反発弾性化を実現できる。
上記第1のクリーニングブレードの高硬度・高反発弾性(硬さ70〜80°、反発弾性40〜70%)のベース層では、配合設計として、プレポリマーのポリオールとしてポリカプロラクトンポリオール(エステル基濃度が低い)を選択して極性を小さくし、それにより、水素結合による凝集力を下げ、その結果、高反発弾性化を実現できる。また、架橋剤の1,4−ブタンジオール(BD)比率を上げ、更に必要に応じてプレポリマーのNCO含有量を増やして−(MDI−BD)−からなるハードセグメント形成を促進することにより、高硬度化を実現できる。
更に、具体的には、上記第2のクリーニングブレードは、例えば、以下の製法により得ることができる。
上記第2のクリーニングブレードの低硬度・高反発弾性(硬さ65〜72°、反発弾性37〜60%)のエッジ層では、上記第1のクリーニングブレードのベース層と同様の手法により高反発弾性化を実現できる。また、上記第1のクリーニングブレードのエッジ層と同様の方法により低硬度化を実現できる。更に、各原材料の当量比(NCO/OH)を適当に調整することにより、エッジ層の200%モジュラスを3〜8MPaにすることができる。
上記第2のクリーニングブレードの低硬度・低反発弾性(硬さ65〜72°、反発弾性5〜30%)のベース層では、上記第1のクリーニングブレードのエッジ層と同様の手法により低高度化・低反発弾性化を実現できる。
上記第1及び第2のクリーニングブレードにおいて、上記エッジ層及び上記ベース層は、ともにポリウレタンからなるものであることが好ましい。これにより、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を良好に両立することができる。上記弾性ゴム部材を形成するポリウレタンとしては、ポリオール、ポリイソシアネート及び必要に応じて架橋剤を反応させて得られるもの等を挙げることができる。
上記ポリオールとしては特に限定されず、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等を挙げることができる。なかでも、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を良好に両立できる点から、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールが好ましい。また、上記第2のクリーニングブレードでは、ポリカプロラクトンポリオールが特に好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリオールは、数平均分子量が1000〜3000であることが好ましい。上記範囲内のポリオールを用いることにより、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を良好に両立することができる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸とグリコールとを常法に従って反応させることにより得ることができるものを挙げることができる。
上記ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、それらのエステル形成性誘導体等を挙げることができる。上記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、p−キシレンジオール等の芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール等を挙げることができる。これらによるポリエステルポリオールは、線状構造であるが、3価以上のエステル形成成分を用いた分枝状ポリエステルであってもよい。なかでも、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を良好に両立できる点から、上記ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸が特に好ましい。上記グリコールとしては、脂肪族グリコールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールが更に好ましい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、それらの共重合体等のポリアルキレングリコール等を挙げることができる。
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、触媒の存在下に低分子量グリコールを開始剤としてε−カプロラクトンを開環付加させることにより得ることができるものを挙げることができる。上記低分子量グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の2価のアルコールとトリメチレングリコール、グリセリン等の3価のアルコールが好ましく用いられる。上記触媒としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラエチルチタネート等の有機チタン系化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、塩化第2スズ、臭化第2スズ等のスズ系化合物等が好ましく用いられる。なお、上記ε−カプロラクトン以外にもトリメチルカプロラクトンやバレロラクトンのような他の環状ラクトンを一部混合してもかまわない。
上記第1のクリーニングブレードにおいて特に好ましい形態は、上記エッジ層がポリカプロラクトンポリオール及び/又はポリエステルポリオールをポリオール成分とするポリウレタンからなるものであり、かつ、上記ベース層がポリカプロラクトンポリオールをポリオール成分とするポリウレタンからなるものである。また、上記第2のクリーニングブレードにおいて特に好ましい形態は、上記エッジ層がポリカプロラクトンポリオールをポリオール成分とするポリウレタンからなるものであり、かつ、上記ベース層がポリエステルポリオールをポリオール成分とするポリウレタンからなるものである。これらの形態の場合、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を極めて良好に両立できる。また、これらの形態において、上記ポリエステルポリオールは、ポリエチレンアジペートエステルジオール、ポリブチレンアジペートエステルジオールが特に好ましい。
上記ポリイソシアネートとしては特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート等を挙げることができる。なかでも、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を良好に両立できる点から、芳香族イソシアネートが好ましい。
上記脂肪族イソシアネートとしては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。また、ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体の変性体等を挙げることができる。上記脂環族イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)等の脂環族ジイソシアネート等を挙げることができる。上記芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、カルボジイミド変性のMDI、ウレタン変性のMDI等を挙げることができる。上記ポリイソシアネートのなかでも、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を良好に両立できる点から、MDI、ウレタン変性のMDIが好ましく、MDIが特に好ましい。
上記ポリウレタンにおいて、必要に応じて用いられる架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、水等を挙げることができる。なかでも、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を良好に両立できる点から、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリンが好ましく、特に1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンを併用することが好ましい。
上記ポリウレタンは、上記原料を使用し公知の方法で製造することができ、例えば、適当な有機溶剤中で必要に応じて触媒を使用し、各原料の当量比をNCO/OH=1.02〜1.18に調整して反応させること、無溶剤で溶融反応させること等により製造することができる。また、全原料を同時に反応させる方法、プレポリマー方法等により製造することができる。
上記ポリウレタンからなる弾性ゴム部材の成形方法としては特に限定されず、例えば、常圧注型成形、減圧注型成形、遠心成形、回転成形、押出成形、射出成形、反応射出成形(RIM)、スピンコーティング等を挙げることができる。なかでも、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を良好に両立できる点から、遠心成形により成形して製造することが好ましい。
上記支持部材は、弾性ゴム部材を支持する機能を有するものである。上記支持部材としては特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、剛体の金属、弾性を有する金属、プラスチック、セラミック等から製造されたもの等を挙げることができる。なかでも、剛体の金属が好ましい。
上記クリーニングブレードは、接着剤層を有するものであることが好ましい。上記接着剤層は、上記支持部材及び弾性ゴム部材間に設けられる層であり、両部材を接着させる機能を有する層である。上記接着剤層は、例えば、EVA系、ポリアミド系、ポリウレタン系ホットメルト接着剤や、硬化型接着剤、若しくは両面テープによる接着方法又は板金による挟み込み等により形成することができる。なかでも、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を良好に両立できる点から、上記接着剤層は、ホットメルト接着剤を用いて形成されるものであることが好ましい。
〔電子写真装置用クリーニングブレードの製造方法〕
上記第1及び第2のクリーニングブレードの製造方法としては特に限定されず、2層構造の弾性ゴム部材を有するブレードの従来公知の製造方法によって製造することが可能であるが、以下に述べる方法が好ましい。以下に述べるクリーニングブレードの製造方法も本発明の1つである。
上記第1のクリーニングブレードの製造方法(以下、「第1の製造方法」ともいう)は、遠心成形法を用いた製造方法であって、金型の内側にシリコーンゴムの成形体を製造する工程(I)と、上記工程(I)で得られたシリコーンゴムの成形体上に、弾性ゴム部材のエッジ層を構成する成形体を製造する工程(II)と、上記工程(II)で得られたエッジ層を構成する成形体上に、弾性ゴム部材のベース層を構成する成形体を製造する工程(III)とを含み、上記エッジ層を構成する成形体は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜72°であり、かつ、反発弾性が10〜35%である材料からなり、上記ベース層を構成する成形体は、23℃におけるJIS A 硬さが70〜80°で、上記エッジ層における硬さより大きい値であり、かつ、反発弾性が40〜70%である材料からなる方法である。
また、上記第2のクリーニングブレードの製造方法(以下、「第2の製造方法」ともいう)は、遠心成形法を用いた製造方法であって、金型の内側にシリコーンゴムの成形体を製造する工程(I)と、上記工程(I)で得られたシリコーンゴムの成形体上に、弾性ゴム部材のエッジ層を構成する成形体を製造する工程(II)と、上記工程(II)で得られたエッジ層を構成する成形体上に、弾性ゴム部材のベース層を構成する成形体を製造する工程(III)とを含み、上記エッジ層を構成する成形体は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜72°であり、反発弾性が37〜60%であり、かつ、23℃における200%モジュラスが3〜8MPaである材料からなり、上記ベース層を構成する成形体は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜70°であり、かつ、反発弾性が5〜30%である材料からなる方法である。
遠心成形法とは、高速で回転する加熱した円筒形状の成形金型の内面に、熱硬化性材料を流し込み、平面形状のシートを得る成形方法である。図3は、上記遠心成形法に用いる遠心成形機の模式図の一例を示したものであり、(a)は縦断面図、(b)は(a)図におけるA−A線断面図である。図3に示したとおり、上記遠心成形機は、内壁に多数のヒータ33が配設された断熱室32の内部に有底円筒形状の金型31が設置されており、金型31は回転軸35により軸支されている。断熱室32の前面開口部は、設置された全面扉34によって開閉される。
この遠心成形法によって得られる成形体において、成形の際に内側となっていた面(以下、「空気側面」ともいう)は鏡面状の平滑面となるのに対し、金型と接触していた面(以下、「金型接触面」ともいう)の面精度は金型の内面の粗度に影響される。このため、金型表面に弾性ゴム部材材料層を形成する場合、得られた弾性ゴム部材における相手材(感光体等の回転体)と接触させる使用面としては、通常、空気側面が使用されているが、この方法では、注型時に巻き込む気泡やホコリ等の異物が遠心力によりシート内側の表面に移行して硬化し、ブレード使用面である空気側面の表面状態が不良となる場合がある。
また、従来の遠心成形法が用いられた場合、得られるシートの厚み精度(一成形分のシート厚みの最大値と最小値との差)が遠心成形機の金型の振れ精度(金型が回転する際の、金型の中心軸から金型内面までの距離の最大値と最小値との差)に左右されるという問題点もある。
これに対して、図4は本発明のクリーニングブレードの製造方法において、遠心成形を行った際の金型内部を模式的に示した部分拡大断面図の一例である(図3のB部の部分拡大断面図)。図4に示されているように、本発明の方法によれば、金型41側から、シリコーンゴム層(シリコーンゴムの成形体)42、エッジ層43及びベース層44の材料層が製造される。
この場合、最初に成形されたシリコーンゴム層42の空気側面に、鏡面状の面が形成されるため、続いて成形されたエッジ層43のシリコーンゴム接触面43aも鏡面状となる。従って、本発明では、弾性ゴム部材の使用面をエッジ層43のシリコーンゴム接触面43aとすることができる。その結果、注型時に巻き込む気泡やホコリ等の異物に起因する表面不良を減少させ、生産性を向上させることができる。
また、シリコーンゴムは金型41の振れを吸収したかたちで硬化されるため、内側の空気側面が鏡面状で、しかも高い振れ精度を有するシリコーンゴム層42が形成される。その結果、0.1mm以下という良好な厚み精度を有するエッジ層43及びベース層44からなる弾性ゴム部材材料層45を作製することができる。なお、厚み精度は0.05mm以下であることが好ましい。
更に、上記第1の製造方法によると、上記特定範囲の硬さ及び反発弾性を有するエッジ層及びベース層からなる2層構造の弾性ゴム部材が得ることができる。また、上記第2の製造方法によると、上記特定範囲の硬さ、反発弾性及びモジュラスを有するエッジ層と、上記特定範囲の硬さ及び反発弾性を有するベース層とからなる2層構造の弾性ゴム部材を得ることができる。従って、上記第1及び第2の製造方法によって得られたクリーニングブレードを使用した場合、重合法トナーを使用した場合であっても、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を両立することができる。
上記第1及び第2の製造方法は、遠心成形法を用いた方法であり、先ず、遠心成形機の金型の内側にシリコーンゴムの成形体を製造する工程が行われる(工程(I))。遠心成形法に用いる成形機や金型としては、図3に示したような従来公知のものを用いることができる。シリコーンゴムの成形体の製造は、例えば、高速で回転する加熱した円筒形状の成形金型の内面に、シリコーンゴムの成形体を構成する熱硬化性材料を流し込み、加熱、硬化させることによって行うことができる。
図4に示されているように、上記工程(I)によって、金型の内面上にシリコーンゴム層42(平面形状のシリコーンゴムの成形体シート)が形成される。シリコーンゴムの成形体は、離型性に優れているため、離型剤を用いなくても、その上に形成される弾性ゴム部材材料層45を容易に剥離することができる。
上記工程(I)において、上記シリコーンゴムの成形体は、付加硬化型シリコーンゴム組成物から得られるものが好ましく、上記付加硬化型シリコーンゴム組成物としては、ケイ素原子に結合する脂肪族不飽和炭化水素基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、ケイ素原子に結合する水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジエンポリシロキサン、及び、白金系触媒を含むものが好ましい。この場合、高い振れ精度を有するシリコーンゴムの成形体が形成され、良好な厚み精度を有する弾性ゴム部材を作製できる。また、弾性ゴム部材のエッジ層における表面不良を改善できる。更に、得られたクリーニングブレードにおいて耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を両立することができる。また、有機溶媒が添加されていない組成物を使用した場合、作業者の健康を害することなく、作業環境の衛生を良好に保つことができる。
上記ケイ素原子に結合する脂肪族不飽和炭化水素基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンは、付加硬化型シリコーンゴム組成物のベースポリマーとなる成分であり、平均組成式(1):R SiO[4−(a+b)]/2で表される化合物であることが好ましい。上記式(1)において、Rは炭素数2〜10で表される1価の脂肪族不飽和炭化水素基を表す。好ましくは炭素数2〜6である。Rの具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基等のアルケニル基が好ましく、ビニル基がより好ましい。
は炭素数が1〜12の置換又は非置換の1価の炭化水素基を表す。好ましくは炭素数1〜8である。ただし、Rには、上記脂肪族不飽和炭化水素基は除かれる。Rの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子やシアノ基で置換されているもの(クロロメチル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等)を挙げることができる。なかでも、メチル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Rは92モル%以上がメチル基であることが好ましく、実質的にすべてメチル基でもよい。また、耐溶剤性が求められるときは、3,3,3−トリフルオロプロピル基等、要求特性に応じて適宜、他の基を併用することができる。
上記a、bは、それぞれ0<a≦1、1<b<3、1<a+b<3の関係を満足する数を表し、好ましくは0.0001≦a≦0.5、1.8≦b≦2.2、1.8≦a+b≦2.25の関係を満足する数である。上記式(1)で表されるオルガノポリシロキサンは、その1分子中に上記脂肪族不飽和炭化水素基の2個以上がケイ素原子と結合している。上記脂肪族不飽和炭化水素基は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していてもよく、また分子鎖中のケイ素原子のいずれかに結合していてもよく、更には両方に結合していてもよい。なかでも、上記式(1)で表されるオルガノポリシロキサンは、上記脂肪族不飽和炭化水素基(好ましくはアルケニル基、より好ましくはビニル基)が分子鎖両末端のケイ素原子に結合しているものが好ましい。
上記オルガノポリシロキサンは、その骨格が直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよいが、主鎖部分がジオルガノシロキサン単位を繰り返し単位として有し、分子鎖末端がトリオルガノシロキサン単位を有しているものが好ましい。上記トリオルガノシロキサン単位(置換又は非置換の1価の炭化水素基のみがケイ素原子に結合したトリオルガノシロキサン単位)としては、トリメチルシロキサン単位、ジメチルフェニルシロキサン単位、メチルジフェニルシロキサン単位等のビニル基を含まないもの;ジメチルビニルシロキサン単位、メチルフェニルビニルシロキサン単位等のビニル基を含むものを挙げることができ、なかでも、ビニル基を含むものが好ましい。
上記オルガノポリシロキサンの重合度(分子中のSi原子の数)は、10〜20000であることが好ましく、100〜15000であることがより好ましい。10未満であると、充分な機械的強度(強度・伸び・硬さ)を有する硬化物が得られないおそれがある。15000を超えると、得られるシリコーンゴム組成物の流動性が悪化するおそれがある。
上記ケイ素原子に結合する水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジエンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合する水素原子が上記オルガノポリシロキサンの脂肪族不飽和炭化水素基と付加反応(ヒドロシリル化)することにより、オルガノポリシロキサンの架橋剤として機能するものである。
上記オルガノハイドロジエンポリシロキサンとしては、平均組成式(2):R SiO[4−(c+d)]/2で表される化合物であることが好ましい。Rは、上記Rと同一の基を表す。なかでも、炭素数が1〜4の置換又は非置換の1価の炭化水素基が好ましい。合成のしやすさ、コストの面からアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記c、dは、それぞれ0.8≦c≦2.2、0.002≦d≦1、0.8<c+d<3の関係を満足する数を表し、好ましくは1≦c≦2.2、0.01≦d≦1、1.8≦c+d≦2.5の関係を満足する数である。上記式(2)で表されるオルガノハイドロジエンポリシロキサンは、その骨格が直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよく、またジオルガノハイドロジエンシロキサン単位とSiO単位を含有し、適宜にトリオルガノシロキサン単位やジオルガノシロキサン単位を含有している三次元網状構造の樹脂状物であってもよい。
上記オルガノハイドロジエンポリシロキサンは、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上の水素原子がケイ素原子と結合してSiH基が形成された化合物である。この場合、H原子は、分子鎖末端のSi原子に結合していてもよく、分子鎖途中のSi原子のいずれかに結合していてもよく、更には両方に結合していてもよい。また、上記オルガノハイドロジエンポリシロキサンの重合度(分子中のSi原子の数)は3〜400であることが好ましく、4〜300であることが特に好ましい。
上記オルガノハイドロジエンポリシロキサンの具体例としては、例えば、メチルハイドロジエンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジエンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジエンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジエンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジエンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジエンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジエンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジエンシロキシ基封鎖メチルハイドロジエンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(CSiO1/2単位とからなる共重合体等が挙げられる。
上記付加硬化型シリコーンゴム組成物において、上記オルガノポリシロキサンと上記オルガノハイドロジエンポリシロキサンの配合割合は、オルガノポリシロキサン中の脂肪族不飽和炭化水素基とオルガノハイドロジエンポリシロキサン中の水素原子とがモル比で1:10〜10:1であることが好ましく、1:3〜3:1の配合割合であることがより好ましい。
上記白金系触媒は、上記オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジエンポリシロキサンとの付加反応を開始させる機能を有する成分であり、例えば、白金、塩化第2白金、塩化白金酸、これらのビニルシロキサン錯体やそのアルコール変性溶液等の白金族金属化合物;ロジウム系化合物やパラジウム系化合物を挙げることができる。上記白金系触媒の配合量は、上記オルガノポリシロキサンに対して0.1〜1000ppmであることが好ましく、1〜500ppmであることがより好ましい。
上記付加硬化型シリコーンゴム組成物は、補強用シリカを含むものであってもよい。これは、強度特性を高めるために配合される充填剤であり、例えば、フュームドシリカ、沈降法シリカ、溶融シリカ等を挙げることができる。粒子径は20μm以下であることが好ましい。また、上記補強用シリカは、オルガノシラン、オルガノシロキサン、オルガノシラザン等で予め表面処理されたものであってもよく、また上記処理剤とインプロセスで反応させたものであってもよい。上記補強用シリカの含有量は、上記オルガノポリシロキサン100質量部に対して5〜200質量部であることが好ましい。
上記付加硬化型シリコーンゴム組成物はまた、アセチレン化合物、リン化合物、ニトリル化合物、カルボキシレート、スズ化合物、水銀化合物、硫黄化合物等、公知の反応制御剤を含むものであってもよい。
上記付加硬化型シリコーンゴム組成物の市販品としては、例えば、TSE3032(GE東芝シリコーン社製)、KE103(信越ポリマー社製)等を挙げることができる。
上記工程(I)においては、例えば、上記付加硬化型シリコーンゴム組成物等のシリコーンゴムの成形体の構成材料を30〜50℃に予熱した遠心成形機の金型内に注入し、120〜180分間硬化させることによりシリコーンゴムの成形体を製造することができる。
上記工程(I)において形成されるシリコーンゴムの成形体(シリコーンゴム層)の厚みは、0.5〜3mmであることが好ましい。0.5mm未満であると、シリコーンゴム層の厚みが薄すぎるため強度がなく、金型より剥離させる際に、全てをきれいに剥離させることができないおそれがある。3mmを超えると、金型の熱を有効に伝熱させることができず、形成された弾性ゴム部材材料層の特性に悪影響が発生するおそれがある。
上記第1及び第2の製造方法は、上記工程(I)の後、工程(I)で得られたシリコーンゴムの成形体上に、弾性ゴム部材のエッジ層を構成する成形体を製造する工程が行われる(工程(II))。また、上記工程(II)の後、工程(II)で得られたエッジ層を構成する成形体上に、弾性ゴム部材のベース層を構成する成形体を製造する工程が行われる(工程(III))。遠心成形法によって工程(II)、(III)を行うことにより、エッジ層及びベース層からなる2層構造の弾性ゴム部材を良好に製造することができる。また、製造したエッジ層における平滑なシリコーンゴム接触面を使用面(相手材との当接面)とすることが可能となり、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を両立できる。
上記第1及び第2の製造方法において、エッジ層及びベース層を構成する成形体は、上述したエッジ層及びベース層のそれぞれの材料と同様のものである。上記エッジ層及びベース層を構成する成形体は、耐摩耗性とクリーニング性(特に低温低湿下)を両立できる点から、ともにポリウレタンからなることが好ましい。
遠心成形法により、上記工程(II)でエッジ層を構成する成形体を製造し、次いで工程(III)でベース層を構成する成形体を製造する方法は、従来公知の2層構造の弾性ゴム部材材料層の形成方法により行うことができる。上記エッジ層及びベース層を構成する成形体がともにポリウレタンからなる弾性ゴム部材を製造する場合、上記工程(II)、工程(III)は、例えば、以下に示す方法を用いて行うことができる。
上記工程(II)では、上記工程(I)により得られた遠心成形機の金型内のシリコーンゴムの成形体上に、エッジ層用材料を130〜150℃に遠心成形機を予熱して注入し、5〜10分間硬化させる。次いで、上記工程(III)では、上記工程(II)における硬化反応の後、ベース層用材料を硬化したエッジ層上に注入し、25〜50分間硬化させる。シリコーンゴムの成形体から2層構造の弾性ゴム部材のシート体を剥離して金型から取り出すことにより、厚さ1〜3mmの円柱状のシート体を得ることができる。これを幅8〜20mm、長さ220〜500mmの短冊状にカットすることにより、弾性ゴム部材を得ることができる。
上記第1及び第2の製造方法において、エッジ層、ベース層を構成する成形体は、プレポリマー法、ワンショット法等によって得ることができる。
プレポリマー法を用いる場合には、脱水処理を行ったポリオールとイソシアネートとを混合し、温度50〜80℃で10〜600分間反応させて得られるプレポリマーに、架橋剤等を加えて金型に注入し、硬化させる方法等により、硬化したエッジ層、ベース層を得ることができる。ワンショット法を用いる場合には、脱水処理を行ったポリオールと架橋剤とを計量し、更にそこにポリイソシアネートを加えて計量して混合して、金型に注入し、硬化させる方法等により、硬化したエッジ層、ベース層を得ることができる。
上記第1及び第2の製造方法において、2層構造の弾性ゴム部材を得た後、通常、得られた弾性ゴム部材と支持部材とを接着させる工程(IV)が行われる。上記工程(IV)は、従来公知の方法により行うことができ、例えば、上述した接着剤を用いて接着すること等により行うことができる。上記工程(IV)において、支持部材は、上述したものと同様のものである。これにより、図2に示した本発明のクリーニングブレードを製造することができる。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
実施例1〜10及び比較例1〜10 クリーニングブレードの製造(第1のクリーニングブレード)
(シリコーンゴム層の形成)
図3に示した構成の遠心成形機の成形金型ドラム(内径:700mm、奥行き:500mm、常温での振れ精度:0.06mm、成形時の回転数:800rpm、粗面状態:Ra=0.30)を40℃に加熱し、シリコーンゴム材料として、付加反応により硬化する付加硬化型シリコーンゴム組成物「TSE3032(A)」(主剤、GE東芝シリコーン社製)と「TSE3032(B)」(硬化剤)との混合液(配合質量比10:1)を、上記成形金型ドラム内に流し込み、120分間加熱硬化させ、シリコーンゴム層を形成した。得られたシリコーンゴム層は、空気側面が均一な鏡面状であり、厚さが0.7mmであった。
(弾性ゴム部材材料層の形成)
エッジ層用材料を140℃に予熱した遠心成形機の金型内のシリコーンゴム層上に注入し、10分間硬化させた。上記硬化反応の後、ベース層用材料を硬化したエッジ層上に注入し、30分間硬化させた。上記硬化反応後、2層構造の弾性ゴム部材のシート体のみ金型から取り出すことにより、所定の厚さの円柱状の2層構造シート体を得ることができた。これを幅12mm、長さ330mmの短冊状にカットすることにより、弾性ゴム部材を得ることができた。得られた弾性ゴム部材の厚み精度は、0.045mmと良好であった。また、弾性ゴム部材のエッジ層の表面状態(シリコーンゴム接触面)は、鏡面状態であり、欠陥は全く発見されなかった。
更に、得られた弾性ゴム部材をメッキ鋼からなる支持部材に、ポリウレタン系ホットメルト接着剤を用いて接着し、クリーニングブレードを得た。
なお、比較例1〜3は1層の弾性ゴム部材を有するものであるため、ベース層用材料を遠心成形機内に注入、硬化する工程は行わなかった。
使用したエッジ層用材料、ベース層用材料、エッジ層、ベース層の厚み(a)、(b)、a/(a+b)、硬さ(23℃)、200%モジュラス(23℃)、反発弾性は、表1〜2に示した通りである。エッジ層及びベース層の硬さ、200%モジュラス(23℃)、反発弾性は、上述した方法により測定される値である。
また、表1〜2中のポリウレタンは、表3に示した配合からなるものである。
実施例11〜20及び比較例11〜21 クリーニングブレードの製造(第2のクリーニングブレード)
使用したエッジ層用材料、ベース層用材料、エッジ層、ベース層の厚み(a)、(b)、a/(a+b)、硬さ(23℃)、200%モジュラス(23℃)、反発弾性を、表4〜5に示したように変更した以外は、上記実施例及び比較例と同様にして、クリーニングブレードを得た。
また、表4〜5中のポリウレタンは、表6に示した配合からなるものである。
これらの例において、得られた弾性ゴム部材の厚み精度は、0.045mmと良好であった。また、弾性ゴム部材のエッジ層の表面状態(シリコーンゴム接触面)は、鏡面状態であり、欠陥は全く発見されなかった。
なお、上記クリーニングブレードの製造において、各ポリウレタン材料(ポリウレタンa〜n、A〜Q)を、エッジ層用材料、ベース層用材料として金型内へ注入する方法は、以下の通りである。
脱水処理を行ったポリオールとイソシアネートとを混合し、温度70℃で240分間反応させて得られるプレポリマーに、架橋剤を加えてから注入した(プレポリマー法)。
(印字テスト)
実施例、比較例で得られたクリーニングブレードを市販の普通紙複写機(有機感光体使用、速度10枚/分)に装着し、印字テストを行った。テストは、(1)温度23℃、湿度50%、(2)温度10℃、湿度15%の条件下で行った。印字テストは、100枚ごとにトナーのすり抜けが生じているか否かをチェックして、印刷物にトナーのすり抜けに起因するスジが認められた時点で終了とし、その印刷枚数を記録した。条件(1)では150000枚印刷してもスジが発生しなかったもの、条件(2)では30000枚印刷してもスジが発生しなかったものは、そこでテストを終了した。結果を表1〜2、表4〜5に示した。また、使用したトナーの重量平均粒子径、形状も表1〜2、表4〜5に示した。
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表1〜2、表4〜5から、実施例で得られたクリーニングブレードは、重合法トナーを使用した場合、耐久性(耐摩耗性)とクリーニング性の両特性に優れていた。特に、低温低湿下での両特性を改良することが可能であった。一方、比較例は、耐久性(耐摩耗性)とクリーニング性を両立することはできなかった。
本発明のクリーニングブレードは、普通紙を記録紙として用いる静電式電子写真複写機に対して好適に使用することができる。
1、11 弾性ゴム部材
2、12 支持部材
3、13 接着剤層
4、14 像担持体(相手材)
5、15 応力集中部位
21 エッジ層
22 ベース層
31、41 金型
32 断熱室
33 ヒータ
34 全面扉
35 回転軸
42 シリコーンゴム層
43 エッジ層を構成する成形体
43a シリコーンゴム接触面
44 ベース層を構成する成形体
45 弾性ゴム部材材料層

Claims (9)

  1. 弾性ゴム部材及び支持部材を有する電子写真装置用クリーニングブレードであって、
    前記弾性ゴム部材は、エッジ層及びベース層からなる2層構造を有し、
    前記エッジ層は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜72°であり、反発弾性が37〜55%であり、かつ、23℃における200%モジュラスが3.96.9MPaであるポリウレタンからなり、
    前記ベース層は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜70°であり、かつ、反発弾性が29%であるポリウレタンからなり、
    エッジ層の厚み(a)と、エッジ層の厚み(a)及びベース層の厚み(b)の和(a+b)との比(a/(a+b))が、0.25〜0.75である
    ことを特徴とする電子写真装置用クリーニングブレード。
  2. 記エッジ層の厚み(a)が、50μmを超えるものである請求項1記載の電子写真装置用クリーニングブレード。
  3. エッジ層は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜68°であるポリウレタンからなる請求項1又は2に記載の電子写真装置用クリーニングブレード。
  4. ポリウレタンは、ポリカプロラクトンポリオール及び/又はポリエステルポリオールをポリオール成分とするものである請求項1、2又は3記載の電子写真装置用クリーニングブレード。
  5. エッジ層は、ポリカプロラクトンポリオールをポリオール成分とするポリウレタンからなるものであり、かつ、
    ベース層は、ポリエステルポリオールをポリオール成分とするポリウレタンからなるものである請求項1、2又は3記載の電子写真装置用クリーニングブレード。
  6. 弾性ゴム部材は、ベース層にエッジ層が直接積層されている請求項1、2、3、4又は5に記載の電子写真装置用クリーニングブレード。
  7. 遠心成形法を用いた請求項1、2、3、4、5又は6記載の電子写真装置用クリーニングブレードの製造方法であって、
    金型の内側にシリコーンゴムの成形体を製造する工程(I)と、
    前記工程(I)で得られたシリコーンゴムの成形体上に、弾性ゴム部材のエッジ層を構成する成形体を製造する工程(II)と、
    前記工程(II)で得られたエッジ層を構成する成形体上に、弾性ゴム部材のベース層を構成する成形体を製造する工程(III)とを含み、
    前記エッジ層を構成する成形体は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜72°であり、反発弾性が37〜55%であり、かつ、23℃における200%モジュラスが3.96.9MPaであるポリウレタンからなり、
    前記ベース層を構成する成形体は、23℃におけるJIS A 硬さが65〜70°であり、かつ、反発弾性が29%であるポリウレタンからなる
    ことを特徴とする電子写真装置用クリーニングブレードの製造方法。
  8. シリコーンゴムの成形体は、付加硬化型シリコーンゴム組成物から得られるものである請求項7記載の電子写真装置用クリーニングブレードの製造方法。
  9. 付加硬化型シリコーンゴム組成物は、ケイ素原子に結合する脂肪族不飽和炭化水素基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、ケイ素原子に結合する水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジエンポリシロキサン、及び、白金系触媒を含むものである請求項7又は8記載の電子写真装置用クリーニングブレードの製造方法。
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