JP2003029594A - 電子写真装置 - Google Patents

電子写真装置

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JP2003029594A
JP2003029594A JP2001218308A JP2001218308A JP2003029594A JP 2003029594 A JP2003029594 A JP 2003029594A JP 2001218308 A JP2001218308 A JP 2001218308A JP 2001218308 A JP2001218308 A JP 2001218308A JP 2003029594 A JP2003029594 A JP 2003029594A
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Masaya Kawada
将也 河田
Hironori Owaki
弘憲 大脇
Kunimasa Kawamura
邦正 河村
Tetsuya Karaki
哲也 唐木
Toshiyuki Ebara
俊幸 江原
Koji Yamazaki
晃司 山崎
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クリーニング性、耐久性に優れ、高画質な画
像を長期に維持することを可能とするクリーニング手段
を具えた電子写真装置を提供する。 【解決手段】 トナー像を転写材に転写した後、a−S
iの光導電性層を有する感光体103表面上に残留する
トナーを除去するクリーニング手段として、少なくと
も、感光体表面に当接される、弾性材からなるクリーニ
ングブレード100を用いたクリーニング装置を備え、
そのクリーニングブレードは、感光体に当接する部位1
02と感光体に当接しない部位101とを有し、感光体
に当接する部位の反発弾性と感光体に当接しない部位の
反発弾性とが異なるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、像担持体として、
アモルファスシリコン(以下、a−Si)の光導電層を
有する感光体を用い、その感光体表面を帯電し、その帯
電された感光体表面を可視光、ライン走査レーザー光に
より露光して画像情報の書込を行ない静電潜像を形成
し、更に現像によってトナー像化し、転写材にトナー像
を転写して画像形成を行う電子写真装置に関し、より具
体的には、前記転写工程後の感光体表面に残留するトナ
ーなどの除去を目的とするクリーニング手段として、ク
リーニングブレードを利用する電子写真装置、ならび
に、かかる感光体表面クリーニングに適するクリーニン
グブレードに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、コピー機やページプリンターなど
の画像形成機器として、a−Siを光導電性層として利
用する感光体、所謂a−Si感光体を用いた電子写真装
置が多用されている。このa−Si感光体を用いる電子
写真装置においては、下記する手順により、目的とする
画像情報をトナー像に形成し、種々の転写材、主にコピ
ー用紙上に転写・定着することにより、画像形成を行っ
ている。具体的には、a−Si感光体表面を一旦均一に
帯電した上で、その表面に所望の画像情報に従い、露光
光を照射し所定部分の帯電電位を低下して、静電潜像を
形成する。その後、形成された静電潜像を現像して、ト
ナー像化を行っている。前記露光方法によって、一般の
コピー機のように、画像情報を、光学系を介してアナロ
グ情報として露光光強度に変換するアナログ露光方式
と、例えば、レーザープリンターのように、画像情報は
デジタル情報化された後、レーザービーム露光などを利
用して、対応する点露光により二次元画像に再構成する
デジタル露光方式とに大別される。かかる露光方式を除
き、 a−Si感光体を用いる電子写真装置と、それを
用いる画像形成プロセスは、おおよそ以下に説明するも
のが、現在用いられている。
【0003】「電子写真装置」図2は、複写機の画像形
成プロセスの一例である、アナログ画像形成型装置の概
略図である。矢印X方向に回転する、電子写真感光体
(以下、単に「感光体」と称する)201の周辺には、
画像形成プロセスに従って、主帯電器202、静電潜像
形成部位203、現像器204、転写紙供給系205、
転写帯電器206(a)、分離帯電器206(b)、ク
リーナー207、搬送系208、除電光源209などが
配設されている。感光体201には、必要に応じて、そ
の内部にヒーター225等の温度制御手段を設け、感光
体表面の温度のコントロ−ルを行う構成とされる。
【0004】回転する感光体201は、その表面が主帯
電器202により均一に帯電される。次いで、画像露光
付与手段203により帯電表面を露光して、静電潜像が
形成される。なお、デジタル画像形成型装置の場合に
は、画像信号付与手段203として用いる光源は、使用
する感光体の感度やその他の特性に応じて、適宜選択さ
れる可干渉光、例えば、所定の波長のレーザー光等を使
用し、原稿に反射した光を一旦デジタル信号化し、この
デジタル信号に従って、前記レーザー光強度を変調しつ
つ、ライン状に走査して露光する方式が利用される。こ
の静電潜像は、その表面に現像剤(トナー)が塗布さ
れ、所定のac電圧またはac+dc電圧を印可した現
像器204の現像スリーブにより、トナー像として顕像
画化される。
【0005】一方、転写紙供給系205を通って、転写
材Pは供給され、感光体表面上のトナー像が転写供給さ
れる。このトナー像の転写は、例えば、7〜8kVなど
の適宜な高電圧を印加した転写帯電器206(a)を用
いて、転写帯電器206(a)と感光体201表面との
間隔において、転写材Pの背面から、トナーとは反対極
性の電界を与えることで、感光体表面のトナー像を転写
材P側に転移させる手法などが利用される。
【0006】さらに、分離帯電器206(b)且つ/又
は爪等の分離手段、ならびに、感光体201の曲率をも
利用して、感光体表面から転写材Pは分離される。その
後、トナー像を転写された転写材Pは、搬送系108を
経由して定着器223において、表面のトナー像の定着
操作を施され、最終的に装置外へ排出される。
【0007】一方、トナー像の転写後、感光体201表
面には、残留トナーや転写材に由来する残留付着物、例
えば、紙粉等の付着物が残留している。感光体201表
面に付着している、これら汚濁物は、クリーニング装置
207内のクリーニングブレード220等により除去さ
れる。クリーニング装置207には、クリーニングブレ
ード220以外に、不図示のクリーニングローラー(ま
たはブラシ)等が設置されている場合もある。
【0008】表面のクリーニングを終了した後、除電光
源209によって、感光体201表面の全面に光照射し
て残留する表面電位を除去し、静電潜像の消去がなされ
る。以上の後処理がなされた、感光体201は、再び、
次の画像形成に供される。
【0009】「クリーニング装置」上記の様に、感光体
表面に可転写のトナー像を形成し、紙などの転写材に転
写する工程を繰り返す電子写真装置においては、転写
後、感光体表面に残留するトナーや異物等を毎回除去す
るクリーニング手段が設けられている。このクリーニン
グ手段として、ブレード状クリーニング部材(以下、ク
リーニングブレードと称する)を感光体表面に当接させ
て、付着している残留トナーなどを剥離除去する手段が
広く利用されている。
【0010】図3は、クリーニングブレードを利用する
クリーニング装置の概略図である。この種のクリーニン
グ装置300においては、感光体表面に付着する残留ト
ナーなどを剥離・除去は、主として、ウレタンゴム等の
弾性材からなるクリーニングブレード301によってい
る。
【0011】クリーニングブレード301は、回転駆動
する感光体表面に対して、カウンター方向に当接され
る。クリーニングブレード301は、クリーニング装置
300本体の一部に固定する構成とすることもできる
が、付設される可動する部材302に設置して、ばね3
04等のような加圧手段により、感光体表面に加圧当接
される構成とすることもできる。
【0012】更に、クリーニングブレード301の感光
体回転方向上流側に、弾性材または磁性体等からなるク
リーニングローラー303等を設けることもできる。ク
リーニングローラー303が感光体表面と接する間に、
感光体表面に弱く付着している残留トナーの大半は、ク
リーニングローラー303に移り回収される。図3に示
す例では、このクリーニングローラー303の後方に、
クリーニングローラー表面に付いたトナー等の排除、ま
た、クリーニングローラーの表面に残るトナー量の調整
などの機能を有するドクターローラー305が配置され
ている。加えて、後方に、クリーニングローラー303
により回収された廃トナーを搬送する搬送系306を具
備している。この他に、クリーニングブレード301な
らびにクリーニングローラー303により感光体表面か
ら一旦除去されたトナー等が、クリーニング装置300
と感光体表面との間隙から下に落下し、周辺部材を汚す
のを防止する目的で、掬いシート(不図示)などを備え
る構成とする場合もある。
【0013】クリーニングブレード301は、ウレタン
ゴム等の弾性材をブレード状に成形し、材料の弾性、硬
度に応じて、その厚さは1〜4mm程度の範囲に選択し
たものが一般に使用されている。このクリーニングブレ
ードは、使用される電子写真装置における感光体の移動
速度(回転速度)等の条件を考慮し、適宜選択される当
接圧または進入量で、感光体表面に当接するように設置
されている。また、その厚さや当接する角度なども、前
記の条件を考慮して、適宜選択される。クリーニングブ
レード301は、必要に応じてイコライズ機構を付した
り、可動機構を設けたりし、感光体表面に対する当接状
態の均一性をより向上させる構成とすることもできる。
【0014】図4に、クリーニングブレードと感光体表
面との当接の様子を模式的に示す。クリーニングブレー
ド401は、感光体402と、その回転方向に対してカ
ウンター方向に、実線Aの状態で当接している。感光体
402は矢印Xの方向に相対移動する結果、クリーニン
グブレード401は、感光体402との摩擦カによりブ
レード先端が矢印X方向に引きずられるように撓み、破
線Bの状態となる。ブレードの歪み量は限界に達する
と、自体の反発弾性により破線Cの状態まで反発する。
その際、同時に感光体201表面に付着している残留ト
ナー等の異物を掻き落とす。なお、反発弾性は、JIS
K7311に準じて測定される。
【0015】「感光体」表面に設ける感光層において、
非晶質珪素(アモルフアスシリコン)を光導電性層に利
用する感光体は、アモルフアスシリコン系感光体(以下
「a−Si感光体」と称する)と総称され、感光体表面
の摩耗特性を必要とする中高速複写機等に搭載されてお
り、非常に長期間、安定した感光体特性を維持する。
【0016】図7は、本発明の属するa−Si感光体を
利用する電子写真装置において、従来からも利用されて
いる感光体の、感光体層の種々の層構成を説明するため
の模式図である。図7(a)に示す構成では、感光体7
00は、感光体用の支持体701の上に、感光層702
が設けられている。この感光層702は、少なくとも、
水素またはハロゲン原子を含むアモルフアスシリコン
(a−Si:H,X)からなる光導電性を有する光導電
層703のみで構成されている。
【0017】図7(b)に示す構成では、感光体700
は、支持体701の上に設ける感光層702は、a−S
i:H,Xからなる光導電性を有する光導電層703
と、a−Si系表面層704とからなる二層構造とされ
ている。
【0018】加えて、図7(c)〜(f)に示す構成に
例示するように、例えば、図7(c)、(e)、(f)
のように、支持体701と光導電層703との間にa−
Si系電荷注入阻止層705を設ける、あるいは、図7
(d)、(e)、(f)のように、光導電層703を、
a−Si:H,Xからなる電荷発生層707と付随する
電荷輸送層708とからなる構成とすることもできる。
【0019】感光体用の支持体は、上記の非晶質珪素
(アモルフアスシリコン)等の感光体層を形成する際の
基体としても利用され、通常、導電性材料で形成される
が、その表面に導電処理を施した電気絶縁材料で形成し
たものを利用することもできる。支持体の厚さ(肉厚)
は、所望通りの画像形成装置用感光体700を形成し得
るように適宜決定される。
【0020】また、上記の支持体の表面は、平滑表面で
あっても、非平滑表面であってもよい。特に、レーザー
光などの可干渉性光を用いて像記録を行う場合には、光
生成キャリアの減少が実質的にない範囲で、可視画像に
おいて現れる、いわゆる干渉縞模様による画像不良をよ
り効果的に解消する手法を用いて、支持体の表面処理を
行っても良い。前記の目的で、表面に凹凸を形成する方
法としては、特開昭60−168156号公報、特開昭
60−178457号公報、特開昭60−225854
号公報、特開昭61−231561号公報等に記載され
た公知の方法が挙げられる。また、機械的な傷などを付
けても良い。何れの手段を用いるにせよ、電子写真特性
に影響を及ぼさない範囲で、支持体の表面形状を操作す
ることができる。
【0021】「光導電層」感光体の表面に設ける感光層
702の主要構成要素である光導電層703は、非晶質
珪素(アモルフアスシリコン)、例えば、a−Si:
H,Xを利用して形成される。支持体701上に、必要
に応じて、下引き層(不囲示)を形成した上に、プラズ
マCVD(以下、P−CVD)法、スパッタリング法、
真空蒸着法、イオンプレーテイング法、光CVD法、熱
CVD法などの周知の薄膜堆積法を用いて、上述する図
7に示す構成の光導電層703を形成することができ
る。
【0022】上記の感光層を構成する各層は、例えば、
図8に示される様な周知の堆積膜形成装置および膜形成
方法にて製造される。
【0023】図8は、電源周波数としてRF帯を用いた
高周波プラズマCVD法(以下、「RFP−CVD」と
称する)による堆積膜形成装置の装置構成の一例を模式
的にし示す図である。
【0024】この装置は、大別すると、堆積装置(31
00)、原料ガスの供給装置(3200)、反応容器
(3111)内を減圧にするための排気装置(不図示)
から構成されている。装置(3100)中の反応容器
(3111)内には、円筒状の支持体(3112)、支
持体加熱用ヒーター(3113)、原料ガス導入管(3
114)が設置され、更に高周波マッチングボックス
(3115)が接続されている。
【0025】加えて、電源周波数にVHF帯の周波数を
用いた高周波プラズマCVD法(以下、「VHFP−C
VD」と称する)による堆積膜形成装置も、電子写真装
置用感光体の製造に利用される。VHFP−CVD装置
は、例えば、図8に示したRFP−CVD装置における
堆積装置(3100)を、図9に示すような構成の堆積
装置(4100)と交換して、原料ガス供給装置(32
00)と接続することにより、全体を構成することがで
きる。
【0026】本発明の属する電子写真装置において、光
導電層703の層厚は、所望の電子写真特性が得られる
こと、更には、使用状態における電気容量、すなわち、
帯電時の表面電位と露光による電荷発生量が目標の範囲
に収まるように適宜選択される。加えて、経済的効率性
等も考慮して、目標とする感光体特性を達成できる範囲
で、不必要に厚くならないように決定され、好ましく
は、20〜50μmの範囲に光導電層703の層厚は選
択される。
【0027】クリーニング手段として、クリーニングブ
レードを使用する電子写真装置において、感光体表面に
除去されずに残るトナー付着、用いるクリーニングブレ
ードの変形、ならびに、クリーニングブレードの当接に
起因する感光体表面の摩耗という課題が存在している。
なお、ここで言う「トナー付着」には、表面にトナーが
凝集、凝固して付着している、「融着」も含まれる。特
に、電子写真装置の高速化、高画質化が進むにつれ、感
光体表面に除去されずに残るトナー付着量の許容範囲は
一層低くなり、感光体の回転速度が速くなるため、クリ
ーニングブレードの変形、あるいは、感光体表面の摩耗
量も増す傾向にある。すなわち、従前の比較的に低速な
装置、あるいは、極めて高い画質を要求されない際に
は、十分に機能を果たしていたクリーニングブレード、
そのクリーニング条件を用いるのでは、電子写真装置の
高速化、高画質化をなお一層進めるに際して、上記の三
課題を同時に解決することはしだいに困難となってきて
いる。
【0028】また、従来の電子写真装置では、用いるト
ナーの平均粒径が10〜20μmであるのに対し、繊細
で微細な画像形成を可能とする高画質の画像を得る目的
で、平均粒径10μm以下のトナーが使用されるように
なってきており、従前のクリーニングブレードの当接条
件では、良好なクリーニング状態の維持が困難となる場
合も生じてきている。
【0029】また、昨今のデジタル化に対応して、電子
写真装置全体、特に、複写機、プリンター等のデジタル
化が活発である。図10は、デジタル電子写真装置にお
ける、静電潜像形成における露光部の残留電位と非露光
部の表面電位を模式的に示した図である。図10の左側
は、現像する部位を露光する(イメージ露光;IAE)
所謂、反転現像方式を、右側は、現像する部位を非露光
部として残す(背景露光;BAE)所謂、正現像方式を
それぞれ図示したものである。何れの現像方式を採用す
るにしても、図10に示すように、ドット状に静電潜像
を形成し、このドット状の潜像にトナー像を現像する。
このドット部分にはトナーが集中し、使用を継続する間
に、徐々に良好なクリーニング状態の維持が困難になる
場合もある。高画質化に伴い、潜像ならびにトナー像を
より微小、且つ緻密にする高dpi化が進み、前記のト
ナーの集中とトナー自体の小粒径化とが相俟って、良好
なクリーニング状態を維持するという観点では、従前の
クリーニングブレードの当接条件では、より厳しくなる
場合が増している。
【0030】a−Si感光体自体は、機械的な寿命の長
い感光体であり、それを搭載した電子写真装置におい
て、その電子写真工程の一部であるクリーニング工程の
高効率化、ならびに、クリーニング手段の長寿命化は、
装置全体の機能寿命を延長する上で、その効果は非常に
大きい。
【0031】a−Si感光体を使用した場合、高温/高
湿度環境下では、感光体表面に付着する水分により、低
抵抗化が起こり、結果的に、形成される画像がぼやけた
ようになる「画像流れ」を防止する等の目的で、感光体
にその表面の温度調節用の保温手段(以下、ドラムヒー
ターと称する)を設けたりする。また、前述のクリーニ
ングローラー等で感光体表面を摺擦研磨して、「画像流
れ」を誘起する感光体表面に付着する汚濁物をより効率
的に除去することが、従来より行われている。装置全体
の小型化、それに伴う、装置構成の簡易化を図る上で、
ドラムヒーターやクリーニングローラーを除去する場
合、クリーニングブレードのみでも感光体表面の低抵抗
化物質の摺擦除去を可能とするため、クリーニングブレ
ードの当接圧を上げて、摺擦力を高める手法などが検討
されてきた。
【0032】クリーニング不良に起因する画質の低下に
は、先に述べた「画像流れ」以外に、例えば、クリーニ
ングブレードが一部欠けて、その欠損箇所では残留トナ
ーの除去がなされず、画像に「黒スジ」が発生したりす
るものもある。クリーニング不良には、感光体表面全体
に僅かに残留したトナーが薄くコーテイングされたよう
になる「フィルミング」、あるいは、付着物が除去され
きらず、徐々に蓄積拡大し、画像上に黒点状の画像欠陥
を引き起こす、所謂「融着」の発生するもある。
【0033】これらのクリーニング不良への対応とし
て、クリーニングブレードの当接圧を高く設定するとと
もに、クリーニングブレードの材質の硬度や反発弾性を
高くして、摺擦力を更に高くする等の方法を講じてき
た。しかしながら、このクリーニングブレードによる摺
擦力を更に高くする方法を採用すると、クリーニングブ
レードで感光体表面を過剰に摩耗させる結果、感光体自
体の機械的な寿命を低下させるという別の問題が発生す
る。また、クリーニングブレード自体も感光体との当接
部位で歪みが発生したり、感光体と当接するエッヂ部の
欠けも発生し易くなるなど、ブレードの寿命低下や、
「黒スジ」の原因となるクリーニング不良の頻度を増す
等の新たな問題が発生する場合がある。
【0034】例えば、反発弾性を増加すると、クリーニ
ングブレード欠けには耐久性が向上するものの、固着物
質に対するクリーニング性能は低下する傾向がある。逆
に、反発弾性が低い材料とした場合は、高速でのクリー
ニング性能は高いが、感光体表面に散在する感光層の突
起構造等による、クリーニングプレード欠けの発生懸念
が増す傾向がある。
【0035】前記の課題を回避する手段として、例え
ば、(1)特開平10−260620号公報等のよう
に、クリーニングブレードを、反発弾性が高い状態と低
い状態の二段階で感光体に当接させる方法、(2)特開
平08−248851号公報、特開平09−96996
号公報等のように、ブレード部材とその支持部材とが接
合されてなるクリーニングブレードにおいて、ブレード
部材に硬化層を設けたり、紫外線照射により、ブレード
部材の、感光体との当接部位を高硬度化する方法、
(3)特開平08−166674号公報等のように、コ
ロナ放電器に代えて、接触帯電装置を用いる電子写真装
置において、感光体表面の突起の形状寸法、ならびにク
リーニングブレードの使用時の硬度、更には、感光体の
移動速度を適正な範囲に調整する方法、などの幾つかの
回避方法が提案されている。
【0036】先ず、第1の手法では、反発弾性が異な
る、画像形成時と非画像形成時では、クリーニングブレ
ード部位の温度を変化させるなど、複雑な構成を必要と
する。また、クリーニングブレード自体の構成は、従来
と同様であり、反発弾性を変化させるものの、高速化に
対応して、第2の手法のように、その構成を変化させた
手段ではない。
【0037】また、第2の手法は、プレード部材を指示
部材に固定されていること、表面に硬化層を形成する
が、内部の弾性材は低硬度を維持して、低摩擦と柔軟性
の両立を図っているが、高速機において、特に、感光体
とクリーニングブレード間に介在するトナー量が少ない
際には、ブレードの振動に起因する異音の発生や、プレ
ードの捲れなどが発生する場合がある。また、この手法
は、感光体表面の摩耗やクリーニングブレード欠けに対
して、有効性を有するかに関しては、特には開示がなさ
れていない。
【0038】さらに、第3の手法は、コロナ帯電器に代
えて、オゾン発生が低減されると考えられる接触帯電装
置を用いる装置に特定される手段である。感光体表面に
散在する突起に起因する、トナーのすり抜けを防止する
ことを主目的とするものであり、前記の突起形状寸法を
制限するとともに、それに応じて、使用されるクリーニ
ングブレードの硬度を選択している。加えて、クリーニ
ングブレードの硬度を考慮の上、感光体の移動速度(回
転速度)の適正範囲を選択している。トナーのすり抜け
防止には有効であるものの、感光体の摩耗やトナーの付
着の抑制に関して、十分な効果を有するかに関しては、
開示がなされていない。また、ブレードの特性が所定の
範囲に入るようにする機構を有するなど、構成は必ずし
も単純ではない。硬度を調整するものの、クリーニング
ブレードの構成は、基本的には従来のものと同じであ
り、第2の手法の如く、構成自体を変更したものではな
い。
【0039】
【発明が解決しようとする課題】電子写真装置は、ます
ます高速化、小型化を進められる傾向にあり、それに伴
い感光体の移動速度(回転速度)が増した際にも、感光
体の摩耗やトナーの付着の抑制に有効な、汎用性の高い
クリーニングブレードを利用したクリーニング装置が要
望されている。特には、クリーニング装置自体は、従来
から利用された構成と同様であるが、利用するクリーニ
ングブレード自体に新たな構成を採用することで、優れ
たクリーニング性能を達成しつつ、感光体表面の摩耗、
損傷やクリーニングブレード欠けに対しても、有効性を
有する新たなクリーニング装置の開発が望まれている本
発明は前記の課題を解決するもので、本発明の目的は、
簡易な構成で感光体表面へのトナー付着を解消し、高画
質を得るとともに、感光体及びクリーニングブレードの
寿命向上を図ることが可能な新規な構成のクリーニング
ブレードを採用した電子写真装置、ならびに、クリーニ
ングブレードを提供するにある。
【0040】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、鋭意研究、検討を進めた結果、感光体
表面に当接させるクリーニングブレードを構成する弾性
材料を、当接部位と非当接部位とで、その反発弾性が異
なる弾性材料とすることで、感光体表面上の融着物等の
掻き取り能カと、感光体ならびにクリーニングブレード
自体の耐久性の向上とを両立させて達成できることを見
出した。さらに、当接部位と非当接部位とで、その反発
弾性が異なる弾性体材料を用いたクリーニングブレード
の使用に加えて、当接される感光体の表面層の材質、表
面粗さをも、クリーニングブレードの当接部位に利用さ
れる弾性材料に応じて、調整・選択することで、一層ク
リーニング性能を高めつつ、耐久性の更なる向上が図ら
れることも見出した。本発明者らは、これらの知見に基
づき、本発明を完成するに至った。
【0041】すなわち、本発明の電子写真装置は、静電
潜像坦持体として使用される、アモルファスシリコン
(以下、a−Si)の光導電性層を有する感光体と、前
記感光体表面を一様に帯電する帯電手段と、帯電された
前記感光体表面上に静電潜像を形成する画像信号付与手
段と、形成された静電潜像を現像してトナー像とする現
像手段と、前記感光体表面上のトナー像を転写材に転写
する転写手段とを備える電子写真装置であって、転写材
に転写する後、感光体表面上に残留するトナーを除去す
るクリーニング手段として、少なくとも、感光体表面に
当接される、弾性材からなるクリーニングブレードを用
いたクリーニング装置を備え、前記クリーニングブレー
ドは、総厚が2乃至4mmであり、感光体に当接する部
位と感光体に当接しない部位とを有し、感光体に当接す
る部位の反発弾性と感光体に当接しない部位の反発弾性
とが異なることを特徴とする電子写真装置である。特に
は、前記クリーニングブレードは、感光体に当接する部
位の反発弾性が、感光体に当接しない部位の反発弾性よ
り高く形成されていることを特徴とする電子写真装置で
ある。
【0042】その際、本発明の電子写真装置は、前記ク
リーニングブレードは、その感光体に当接する部位の反
発弾性が高い領域の厚さは、クリーニングブレードの総
厚の40%を超えない厚さに選択されていることが好ま
しい。また、前記クリーニングブレードは、その高反発
弾性の領域の反発弾性は30〜70%の範囲に、その
際、低反発弾性の領域の反発弾性は、5〜40%の範囲
であって、前記高反発弾性の領域の反発弾性より10%
以上の差を持って低く、それぞれ選択されていることが
好ましい。
【0043】本発明の電子写真装置においては、前記ク
リーニングブレードは、複数の弾性材を接合して形成さ
れているものを利用することができる。また、前記クリ
ーニングブレードは、それを形成する弾性材の一部に変
質処理が施されているものを利用することもできる。
【0044】本発明の電子写真装置内において、前記ク
リーニングブレードは、可動の設置部材に設置され、加
圧当接手段によって感光体表面に当接されている構成と
することができる。
【0045】一方、本発明の電子写真装置では、前記感
光体表面の10μm×10μm領域毎に定まる微細表面
粗さ(Ra)が、25nm以下であり、前記クリーニン
グブレードの高反発弾性領域の厚さは、クリーニングブ
レードの総厚の、5〜30%の厚さに選択されている構
成とすることができる。また、前記感光体表面の10μ
m×10μm領域毎に定まる微細表面粗さ(Ra)が、
50nm以上であり、前記クリーニングブレードの高反
発弾性領域の厚さは、クリーニングブレードの総厚の、
20〜40%の厚さに選択されている構成とすることも
できる。
【0046】加えて、前記感光体は、その光導電層より
も表面側に、主として非晶質炭化珪素からなる表面層を
有する構成とすることができる。また、前記感光体は、
その最表面に、主として非晶質炭素からなる領域を有す
る構成とすることができる。その場合、前記感光体の最
表面に設ける主として非晶質炭素からなる領域が、フッ
素を含有且つ/又は結合させた非晶質炭素からなる領域
である感光体を用いること電子写真装置とすることがで
きる。
【0047】本発明の電子写真装置では、前記感光体
は、その帯電能の温度依存性が2V/deg以内に選択
されていることが好ましい。また、画像形成方式とし
て、前記画像信号付与手段によりなされる静電潜像の形
成は、ドット状の信号付与により形成される方式である
ことを特徴とする電子写真装置とすることができる。
【0048】本発明の電子写真装置においては、現像に
用いる前記トナーは、分級品の平均粒径が10μm以下
であり、さらに潤滑剤をも含むものを用いることもでき
る。
【0049】加えて、本発明は、電子写真装置に利用さ
れるクリーニングブレードの発明をも提供しており、す
なわち、本発明のクリーニングブレードは、電子写真装
置に使用する感光体上の残留トナーの除去に利用される
クリーニングブレードであって、前記クリーニングブレ
ードは弾性材からなり、総厚が2乃至4mmであり、感
光体に当接する部位と感光体に当接しない部位とを有
し、感光体に当接する部位の反発弾性と感光体に当接し
ない部位の反発弾性とが異なることを特徴とするクリー
ニングブレードである。特には、前記クリーニングブレ
ードは、感光体に当接する部位の反発弾性が、感光体に
当接しない部位の反発弾性より10%以上高く形成され
ていることが好ましい。その際、本発明では、前記クリ
ーニングブレードは、その感光体に当接する部位の反発
弾性が高い領域の厚さは、クリーニングブレードの総厚
の40%を超えない厚さに選択されていることができ
る。
【0050】また、前記クリーニングブレードは、その
高反発弾性の領域の反発弾性は30〜70%の範囲に、
その際、低反発弾性の領域の反発弾性は、5〜40%の
範囲であって、前記高反発弾性の領域の反発弾性より低
く、それぞれ選択されていることが好ましい。
【0051】
【発明の実施の形態】本発明の電子写真装置において
は、像担持体として、a−Siの光導電層を有する感光
体を用いる際、画像を形成する一連の工程、具体的に
は、感光体表面を帯電する工程、帯電された感光体表面
を可視光、ライン走査レーザー光などにより露光して画
像情報の書込を行ない、静電潜像を形成する工程、更
に、静電潜像を現像によってトナー像化する工程、転写
材にトナー像を転写して画像形成を行う転写工程を経た
後、次回の画像形成に先立ち、前記転写工程後の感光体
表面に残留するトナーなどの除去を目的とするクリーニ
ング手段として、クリーニングブレードを利用し、その
クリーニングブレードを、かかる感光体表面クリーニン
グに適する構造とし、加えて、長期にわたり、継続使用
した際にも、感光体表面の損傷、クリーニングブレード
自体の欠損などを防止し、装置全体の耐久性の向上を達
成したものである。
【0052】具体的には、クリーニングブレードを用い
る感光体表面のクリーニングでは、回転する感光体表面
に、クリーニングブレードの一端部を当接させて、表面
に付着、残留するトナーなどを掻き取るが、その際、感
光体表面と当接される部位を、当接されない部位とは、
異なる反発弾性を有する構成とする、好ましくは、感光
体表面と当接される部位が、より高い反発弾性を有する
ことで、接触・掻き取りを効率的に行いつつ、感光体表
面とクリーニングブレードの端部の摩擦・摺動による、
感光体表面の損傷、摩耗、あるいは、ブレードの端部の
欠け落ちを回避している。
【0053】図1は、上記の本発明の電子写真装置内に
設ける、クリーニングブレードを設置したクリーニング
装置の一部を模式的に示す図である。通常、クリーニン
グブレード100は、感光体103に、図示の如くカウ
ンターに当接させる。外形が円筒状である感光体103
との接線bと、クリーニングブレード100面とがなす
角cをもって当接角とする。本発明の電子写真装置にお
いては、好ましくは、カウンター方向において、この当
接角cを10〜40°の範囲に配置される。
【0054】画像形成工程中、感光体103は、矢印a
の方向に相対移動(回転)する。その際、先に説明した
図4に示すように、当初A状態で、感光体103にカウ
ンターに当接されているクリ−ニングブレード100
は、該感光体103との摩擦力により撓み(Bの状
態)、反発弾性により反発し(Cの状態)、同時に感光
体103表面の残留トナー等の異物を掻き落す。
【0055】本発明においては、このクリーニングブレ
ードは、感光体103との当接部位102と非当接側1
01の反発弾性が異なるように構成される。具体的に
は、前記するカウンター配置で当接する際には、感光体
103との当接側102は反発弾性が高く、非当接側1
01は反発弾性が低く構成する。この構成とすると、融
着等のトナー付着部位に対しては、非当接部101の低
反発弾性領域を設けたことにより、該トナー付着部への
衝突に伴い、ブレードが大きく撓むことを防止し、異物
の除去能力を高める。通常の残留トナーに関しては、上
述の様な作用により効率的に除去される。また、反発弾
性が低い部位101は、弾性変形し難いので、ブレード
捲れを防止する機能をも果す。
【0056】一方、全体を低反発弾性の材料のみで作製
したブレードでは、感光体の表面突起などのように強固
に固定されているものは、クリーニングブレードにて除
去し得ず、逆に、低反発弾性の材料からなるクリーニン
グブレードのエッジに欠けなどの損傷を引き起こす恐れ
がある。その懸念に対して、本発明では、感光体表面と
当接する部位(側)は、反発弾性が高い部位102とす
ることにより、表面突起などのように強固なものと衝突
した際のストレスを吸収し、ブレード欠けなどに至るこ
とを防止している。
【0057】なお、本発明においても、感光体表面に対
して、クリーニングブレード100を一定の当接圧(線
圧)で接触させるため、ばね104などにより加圧当接
する構成とすることが好ましい。また、クリーニングブ
レード全体の撓みが過度に進み、捲れた状態に至らない
ためには、非当接部101の低反発弾性領域は一定以上
の厚さである必要があり、それに伴い、反発弾性が高い
部位102の厚さは、ブレード全体の総厚の40%を超
えない範囲に留める構成とすることが望ましい。さらに
は、当接部の高反発弾性領域の厚さを総厚の5〜40%
とすることで、ブレード捲れや永久歪みを防止しつつ、
クリーニングブレード欠けをも抑制している。一方、感
光体103表面でも、クリーニングブレードと衝突する
際のストレスが当接部の高反発弾性領域により吸収され
る結果、感光体の過剰な研磨も抑制される。
【0058】加えて、非当接部101の低反発弾性領域
と、当接部102の高反発弾性領域との反発弾性は、当
接圧(線圧)と感光体の回転速度(相対速度)に応じて
選択されるものであるが、通常の場合、低反発弾性領域
の反発弾性は、5〜40%の範囲とし、その際、高反発
弾性領域の反発弾性は、30〜70%の範囲内で、両者
に有意な差違があるように選択することがより好まし
い。
【0059】この非当接部101の低反発弾性領域と、
当接部102の高反発弾性領域とを、所定の膜厚比率で
具えるクリーニングブレードとする手段としては、それ
ぞれ目的とする反発弾性を示す弾性材料を予め作製し、
この複数の弾性材料を互いに接合して、ブレード形状と
する方法が利用できる。また、クリーニングブレードを
一旦単一の反発弾性を示す弾性材料で作製した後、例え
ば、当接部102の高反発弾性領域とすべき部分に、変
質処理を施して、その反発弾性を目的とする高反発弾性
に変える方法、逆に、非当接部101の低反発弾性領域
とすべき部分に、変質処理を施して、その反発弾性を目
的とする低反発弾性に変える方法により作製してもよ
い。
【0060】本発明の電子写真装置において、感光体1
03の表面粗さは、例えば、現像に用いるトナー粒子
径、デジタル露光の際の、各ドッドのサイズなど、その
分解能に応じて、その上限は決定されるものであり、一
般にトナー粒子径と比較して、十分に小さくなる範囲に
選択される。例えば、トナー粒子径の平均粒径が10μ
mであれば、その1%、100nm程度が上限の目安と
なる。
【0061】この感光体103の表面粗さは、クリーニ
ングブレードを撓ませる摩擦力の大小などにも関係し、
本発明においても、感光体の表面粗さに応じて、例え
ば、当接部の高反発弾性領域の膜厚、あるいは、クリー
ニングブレード全体の総厚に占める比率選択することが
望ましい。具体的には、感光体表面の10μm×10μ
m領域毎に定まる微細表面粗さ(Ra)が、25nm以
下と平滑な表面である際には、この高反発弾性領域の厚
さは、クリーニングブレードの総厚の、5〜30%の厚
さに選択すると好ましい。一方、感光体表面の10μm
×10μm領域毎に定まる微細表面粗さ(Ra)が、5
0nm以上と比較的な粗い表面である際には、この高反
発弾性領域の厚さは、クリーニングブレードの総厚の、
20〜40%の厚さに選択すると好ましい。なお、表面
粗さRaは、JIS B0601−1994に規定する
算術平均粗さを指し、例えば、原子間力顕微鏡(AF
M)[QueSant社製Q−Scpoe250]を用
いて測定された表面の微視的な形状より算出できる。
【0062】感光体自体は、a−Si製の光導電層に対
して、その表面層を設け、主として、非晶質炭化珪素
(a−SiC)からなる堆積膜、あるいは、水素、且つ
/又はハロゲン、且つ/又はフッ素を含む非晶質炭素
(a−C:H:X:F)からなる堆積膜をこの表面層に
用いることが好ましい。a−C:H、a−C:H:F
は、a−SiCと同等以上の硬度を有し、加えて、材料
自体、潤滑性に富んでおり、クリーニングブレードとの
摩擦軽減など、摩耗による性能低下などを回避に利し、
良好な耐久性を有する。
【0063】a−Si系感光体を使用した電子写真装置
では、従来、感光体表面への湿気の付着を抑制する目的
などで、感光体表面の保温を図るヒーターを設けること
が少なくなかった。感光体表面の保温用のヒーターを廃
し、感光体表面温度を室温程度に低下することで、加熱
時には生じていた、トナーの融着に対するラチチュード
が拡大する。また、省エネルギーの観点からも、保温用
のヒーターを廃する、あるいは、ヒーターの容量を減少
することは、装置全体に要する電力の軽減を図る上で好
ましい。なお、保温用のヒーターを廃する、あるいは、
ヒーターの容量を減少させる際には、周囲の温度変化に
伴い、感光体表面温度も変化することになるため、用い
る感光体の帯電能などの特性は、周囲の温度変化幅程度
では、その特性変動は、実用上問題とならない程度であ
ることが必要となる。具体的には、帯電能の温度依存性
は、2V/deg以内となる感光体を用いることが望ま
しい。
【0064】本発明の電子写真装置においても、温度に
よる帯電能の変化、いわゆる温度特性等を改善した、a
−Si系感光体を使用することにより、感光体表面の保
温用のヒーターを廃した場合に、トナーの融着に対する
ラチチュードが拡大する効果と、上記のクリーニング作
用とが相乗して、得られる画質はより長期にわたり維持
することことを可能となる。この目的に適する、温度特
性等の諸特性を向上させたa−Si系感光体は、例え
ば、特開平10−069111号公報、特開平10−1
86699号公報、特開平11−065146号公報等
の方法よって得られる。
【0065】(トナー)トナーには、一般に分級品のト
ナー粒子の周囲に、添加剤(以下、「外添剤」と称す
る)をまぶした構成になったものを用いる。また、二成
分系トナーの場合は、外添剤を付したトナー粒子に加え
て、更にキャリアと呼ばれる材料が混合される。外添剤
は、一般に粒径が数〜数百nmの微細な粒子で、トナー
粒子分級品やキヤリアの平均粒径よりも十分に小さい物
を使用する。
【0066】トナーの平均粒径、及び粒度分布の測定方
法は、レーザー回折式粒度分布測定装置HEROS(日
本電子製)を使用して行った。実際の測定は、粒径0.
05μm〜200μmの範囲を32対数分割し、その頻
度分布に基づき、50%平均粒径をもって平均粒径とし
た。なお、特に断りの無い場合、トナー粒径とは、含有
されている外添剤を除き、トナー分級品やキャリア等の
みの粒径を表す。全体の平均粒径を評価する手法として
は、この他に、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によ
り、トナー分級品やキャリア等から、ランダムに100
個以上の粒子を抽出し、各粒子について、その水平方向
最大弦長を求め、その平均値を平均粒径とする手法を用
いてもよい。
【0067】また、トナーの平均粒径は、画質の面から
微小な方が良いが、クリーニング性や、製造性等から、
1〜50μmの範囲が好ましい。より好ましくは、2〜
20μmである。また、トナーの形状は、通常、球形が
好ましいが、非球形でもよく、例えば上記の平均粒径を
有する不特定数の凹凸を有していてもよい。
【0068】本発明の電子写真装置では、このトナー
に、添加剤として、固体潤滑剤を加え、感光体表面とク
リーニングブレードとの当接する部位に、残留トナーと
ともに、固体潤滑剤を継続的に供給する形態としてもよ
い。この固体潤滑剤として、PTFE、PFA、PVD
F等のフッ素化合物や例えば黒鉛、窒化ホウ素、二硫化
モリブデン等の層状格子構造物質等を挙げることができ
るその他の潤滑剤としては、ボリテトラフルオロエチレ
ンなどのフッ素原子含有樹脂、球状のアクリル樹脂およ
びボリエチレン樹脂などの樹脂粉未や酸化ケイ素および
酸化アルミニウムなどの金属酸化物粉末なども知られて
いる。特に、フッ素原子を多量に含むフッ素原子含有樹
脂は、表面自由エネルギー(γ)が著しく小さいので、
潤滑剤としての効果が大きい。
【0069】以上述べてきた、本発明のクリーニングブ
レード自体の構成に加えて、利用する感光体の選択、あ
るいは、用いるトナーの形態などの付随的手段を、組み
合わせることにより、それぞれの作用・効果は相乗的に
機能する結果、クリーニング性の向上、クリーニング装
置及び感光体表面の耐久性の向上、さらにクリーニング
装置等の小型化などの更に優れた効果を引き出すことが
可能である。
【0070】本発明の電子写真装置は、アナログ方式、
デジタル方式のいずれの形式としても、そのクリーニン
グ性の向上、クリーニング装置及び感光体表面の耐久性
の向上、さらにクリーニング装置等の小型化などの利点
は発揮されるものの、クリーニング性の低下などに起因
する画像品位の低下は、デジタル方式においては、より
回避すべきものである。すなわち、本発明の電子写真装
置は、画像形成方式として、前記画像信号付与手段によ
りなされる静電潜像の形成は、ドット状の信号付与によ
り形成される方式(デジタル方式)を採用する際に、そ
の利点はより明瞭なものとなる。
【0071】
【実施例】以下に、具体例を示して、本発明についてよ
り具体的に説明する。なお、下記する実験例ならびに実
施例は、本発明における最良の実施の形態の一例ではあ
るものの、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。
【0072】(実験例1)先ず、光導電層として、a−
Si:H堆積膜を用い、表面層として、a−SiC膜を
備える感光体を作製し、良好な帯電特性ならびに画質を
達成される感光層の構成を検証した。
【0073】感光体の感光層作製には、図8に示すRF
−PCVD法による成膜装置を使用し、支持体として、
直径φ108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリ
ンダーを用いて、感光層の堆積を行った。感光層は、シ
リンダー上に電荷注入阻止層、光導電層、表面層の順で
形成された三層構造の構成とし、電荷注入阻止層、光導
電層、表面層の各膜は、表1に示す条件で作製した。
【0074】
【表1】 作製した感光体を、試験用電子写真装置(キヤノン製G
P605をテスト用に改造)に搭載し、その帯電能の温
度依存性(温度特性)、光メモリ、ならびに画像欠陥を
評価した。
【0075】感光体の表面電位は、画像形成を行わず、
電気的特性を評価する場合には、前記試験用装置の現像
器を設置する位置に、画像形成を行う場合には、感光体
回転方向で、帯電部材と現像器の間で放電の影響を実質
的に受けない範囲で、また画像露光等に影響を及ぼさな
い位置に、それぞれ、キヤノン製GP605内蔵のドラ
ム表面電位センサーを改造した非接触型表面電位計を設
置して、測定した。なお、表面電位計と感光体表面との
距離は、現像器と感光体の距離(SDギャップ)と同等
とした。
【0076】前記電位センサーは、感光体の長軸(母
線)方向に、中央位置、前後各7cm、14cmの計5
点に設置し、同時に各点における表面電位を測定した。
長軸(母線)方向の電位むらの評価を行う以外は、感光
体長軸方向の中央位置において測定される特性を代表値
として用いた。また、中央位置において測定される、周
方向の平均電位を、基準の感光体表面電位Vdとした。
【0077】除電光源209の除電光に暴露した後、上
記の短尺帯電部材(主帯電器202)で電圧を印加し、
通紙無しの空回転状態で、帯電電流、電圧および上記の
感光体表面電位を測定した。この測定方法で、耐久前後
に、感光体の電気的特性を測定した。
【0078】[電位むら]本実験例では、作製した感光
体の帯電特性に関し、中央位置のVd(平均値)が40
0V(以下、負極性の感光体の場合は−400V)になる
ように、帯電手段(条件)を調整し、その状態での周方
向の表面電位分布幅を、周方向の電位むらΔVd-ro
tとして、また、長軸(母線)方向における表面電位の
バラツキ、上記5点で測定されるVdの最大値と最小値
の差を、母線方向の電位むらむらΔVd-axとして、
各々評価した。
【0079】なお、以下の評価においては作製した種々
の感光体のうち、このΔVd-rot、ΔVd-axが各
々20V以内である感光体を選別の上使用した。
【0080】[温度特性]帯電能の温度依存性(以下、
「温度特性」)の評価は、キャノン製GP605を評価
用に改造した試験機(前露光(除電光)700nm、画
像露光675nm、プロセススピード300mm/se
c)を用い、画像露光信号を感光体表面に照射しない状
態における、感光体表面電位(暗電位:Vd)を、室温
(25℃)において、中央位置のVd(平均値)が40
0V(以下、負極性の感光体の場合は−400V)になる
ように、帯電手段(条件)を調整し、その帯電条件にお
いて、感光体の表面温度を室温〜45℃まで変化させな
がら測定し、その際、温度変化1℃当りのVdの変化割
合を算定して評価した。このVdの温度依存性(ΔVd
/ΔT)が2V/deg以内である感光体を、合格と判
定した。
【0081】[画出し条件]キヤノン製GP605用の
純正トナーを使用し、実際に画像形成を行い、以下の各
種特性を評価した。
【0082】なお、この画像出し評価は、下記の周囲温
度と相対湿度に調整する各環境下で、それぞれ連続画像
出し後に実施した。 35±2℃、85±10%RHの環境(以下、H/H環
境と称する) 25±2℃、45±5%RHの環境(以下、N/N環境
と称する) 25±2℃、10±5%RHの環境(以下、N/L環境
と称する) 15±2℃、10±5%RHの環境(以下、L/L環境
と称する) [光メモリー]先ず、中央位置のVd(平均値)が40
0V(以下、負極性の感光体の場合は−400V)になる
ように、帯電手段(条件)を調整し、その帯電条件にお
いて、露光照射部の電位Vlが50V(以下、負極性の
感光体の場合は−50V)となるように、画像露光付与
手段(条件)を調整した。光メモリーは、ハーフトーン
・チャート(キヤノン製テストチャート:FY9−90
42−000またはFY9−9098−000)、なら
びにゴースト・チャート(キヤノン製テストチャート:
FY9−9040−000)を原画像に使用し、複写形
成された画像に基づき評価した。
【0083】光メモリーについては、各環境下において
形成した画像の反射濃度を、マクベス社製反射濃度計を
使用して測定し、ハーフトーン部の平均反射濃度をD
r、ハーフトーン上で、光メモリー部の反射平均濃度を
Dmとした際、その差(Dm−Dr)を光メモリー量と
して評価を行なった。加えて、目視判定の結果も加味
し、下記の判定基準に従い、5段階にランク分けした。
【0084】光メモリーの判定基準 1.非常に良好 光メモリー量が0.05未満、また目視で判別不可能 2.良好 光メモリー量が0.05以上0.10未満。目視で濃度
差は殆ど見えない 3.やや良好 光メモリー量が0.10以上、0.15未満。目視で濃
度差がやや見える 4.実用上問題なし 光メモリー量が0.15以上、0.20未満。また目視
で濃度差が見える 5.実用上やや難あり 光メモリー量が0.20以上。また目視で濃度差が明確
に見える [画像流れ]また、画像流れの評価は、下記の手順で行
った。評価対象の感光体を搭載し、トナーを投入した上
で、試験用装置を前記H/H環境下に72時間以上放置
して、装置内をこの環境に安定させた。次いで、前記光
メモリーの評価と同様に、中央位置のVd(平均値)が
400V(以下、負極性の感光体の場合は−400V)に
なるように、帯電手段(条件)を調整し、その帯電条件
下で、露光照射部の電位Vlが50V(以下、負極性の
感光体の場合は−50V)となるように、画像露光付与
手段(条件)を調整した。その帯電、露光条件におい
て、5万枚の通紙耐久を行い、その後、装置の電源をO
FFにして24時間放置した。24時間放置後、下記の
チャートを使用して、画像出しを連続100枚行い、形
成された画像における細線パターンのぼやけの程度をも
って判定した。
【0085】なお、電子写真装置の機種によっては、画
像流れの発生防止のため、環境対策ヒーター(ドラムヒ
ーター)等を搭載している機種もあるが、本実験ではこ
の環境対策ヒーター等を使用しない状態で評価を行っ
た。
【0086】前記画出しチャートには、いろはチャート
(キヤノン製テストチャート:FY9−9058−00
0)、及びNA−7チャート(キヤノン製テストチャー
ト:FY9−9060−000)を使用した。
【0087】画像流れは、前記チャートにより形成され
た画像について、顕微鏡による画像観察、ならびに目視
により細線間隔のぼやけを観察し、下記の判定基準に従
い、5段階にランク分けした。
【0088】画像流れの判定基準 1.非常に良好 細線の間隔がぼやける範囲が9.0以上、また目視では
判別不可能 2.良好 細線の間隔がぼやける範囲が7.1以上、また目視でほ
ぼ判別不可能 3.やや良好 細線の間隔がぼやける範囲が5.0以上、また目視で判
別ほば不可能 4.実用上問題なし 細線の間隔がぼやける範囲が4.5以上、また目視で判
別可能 5.実用上やや難あり 細線の間隔がぼやける範囲が4.5未満、また目視で明
確に判別可 [がさつき]がさつきの評価は、下記の手順で行った。
上記の4種の各環境下で、評価対象の感光体を搭載し、
トナーを投入した上で、試験用装置を各環境下に72時
間以上放置して、装置内をその環境に安定させた。次い
で、前記光メモリーの評価と同様に、中央位置のVd
(平均値)が400V(以下、負極性の感光体の場合は
−400V)になるように、帯電手段(条件)を調整
し、その帯電条件下で、露光照射部の電位Vlが50V
(以下、負極性の感光体の場合は−50V)となるよう
に、画像露光付与手段(条件)を調整した。その帯電、
露光条件において、5万枚の通紙耐久を行い、その後、
装置の電源をOFFにして24時間放置した。24時間
放置後、下記のチャートを使用して、画像出しを連続1
00枚行い、形成された画像における細線のガサツキに
伴い切れる程度をもって判定した。
【0089】なお、電子写真装置の機種によっては、画
像流れの発生防止のため、環境対策ヒーター(ドラムヒ
ーター)等を搭載している機種もあるが、本実験ではこ
の環境対策ヒーター等を使用しない状態で評価を行っ
た。
【0090】前記画出しチャートには、NA−7チャー
ト(キヤノン製テストチャート:FY9−9060−0
00)、及びハーフトーン・チャート(キヤノン製テス
トチャート:FY9−9042−000またはFY9−
9098−000)を使用した。
【0091】がさつきは、前記チャートにより形成され
た画像について、顕微鏡による画像観察、ならびに目視
により、がさつきのため細線が切れる範囲を観察し、下
記の判定基準に従い、5段階にランク分けした。
【0092】がさつきの判定基準 1.非常に良好 細線が切れる範囲が9.0以上、また目視で判別不可能 2.良好 細線が切れる範囲が7.1以上、また目視でほぼ判別不
可能 3.やや良好 細線が切れる範囲が5.0以上、また目視で判別はば不
可能 4.実用上問題なし 細線が切れる範囲が4.5以上、また目視で判別可能 5.実用上やや難あり 細線が切れる範囲が4.5未満、また目視で明確に判別
可 [ポチレベル]さらに、白ポチ、黒ポチ等の画像欠陥を
評価した。これらの画像欠陥の評価は、中央位置のVd
(平均値)が400V(以下、負極性の感光体の場合は
−400V)になるように、帯電手段(条件)を調整
し、その帯電条件下で、露光照射部の電位Vlが50V
(以下、負極性の感光体の場合は−50V)となるよう
に、画像露光付与手段(条件)を調整し、べ夕黒(キヤ
ノン製テストチャート:FY9−9073−000)、
ハーフトーン・チャート(キヤノン製テストチャート:
FY9−9042−000)、及び白紙(転写材)を原
画像に使用して、形成した画像上に見出される白ポチ、
または黒ポチの大きさ、ならびに単位面積当たりの個数
をそれぞれ測定することにより行った。
【0093】[D.O.S.ならびにEu]一方、前記
堆積膜形成装置を用い、その円筒形の基体ホルダーに設
置したガラス基板(コーニング社7059)ならびにS
iウエハー上に、表1に示す光導電層の作製条件で膜厚
約1μmのa−Si:H膜を堆積した。ガラス基板上に
作製した堆積膜表面には、Alの串型電極を蒸着により
形成し、一定光電流(CPM)法により、サブバンドギ
ャップ光吸収スベクトルから得られる指数開数裾の特性
エネルギー(Eu)と、局在準位密度(D.O.S.)
を測定した。また、Siウエハー上に作製した堆積膜を
用いて、フーリエ変換赤外吸収(FT−IR)の測定を
行い、Si−H2ならびにSi−Hの吸収強度に基づ
き、含有水素量を算定した。
【0094】同じ条件で作製した感光体に関する特性評
価結果と、この光導電層のa−Si:H膜自体の物性と
を対比すると次ぎのような結果となった。図12に、E
uに対して温度特性の評価をプロットした結果を、図1
3に、D.O.S.に対して光メモリーの評価をプロッ
トした結果を、図14に、D.O.S.に対して画像流
れの評価をプロットした結果を、それぞれ示す。また、
図15に、Si−H2/Si−H比に対して、がさつき
の評価をプロットした結果を示す。なお、図15に示
す、いずれの試料もその水素含有量は10〜30原子%
の間であった。
【0095】図12〜図15に示す対比結果から、総合
的に判断すると、感光層を構成する光導電層に用いるa
−Si:H膜は、そのEuが50〜60meVの範囲、
かつ伝導帯端下のD.O.S.が1×1014〜1×10
16cm-3の範囲であること、更に、水素結合比(Si−
2/Si−H比)が0.2〜0.5のである範囲であ
ることが、良好な電子写真特性を得る上で好適な条件で
あると結論される。
【0096】[電気抵抗率]同様に、表1に記載する条
件で、表面層に用いるa−SiC膜のみを作製し、櫛型
電極を用いて抵抗値の測定を行なった。抵抗値の測定
は、HIOKI社(メーカー)製のMΩテスターを利用
し、250〜1000Vの印加電圧の条件で測定を行な
った。
【0097】加えて、上記抵抗値を評価した各a−Si
C膜と同一条件で表面層を形成した感光体を作製した。
作製した感光体を試験用装置に搭載し、上述の4種の各
環境下において、各々72時間以上放置して、装置内を
その環境に安定させた。その状態で、各環境下におい
て、上述の電位センサーを用いて、各感光体の電気的特
性を評価した。
【0098】更に、現像器を設置し、5万枚相当以上の
通電耐久を行った後に、先に画像欠陥評価に利用したベ
タ黒、ハーフトーン・チャート、および転写材(白紙)
を原稿として、画像出しを連続各100枚行った。その
際形成された画像をもって、感光体表面の微小欠陥から
ピンホールリークの発生に起因する画像欠陥を評価し
た。
【0099】図11に、感光体の表面層に利用するa−
SiC膜の抵抗率に対して、帯電性、耐電圧、残電の各
電気的特性の評価をプロットした結果を示す。図11に
示す対比結果を総合的に評価すると、感光体の電荷保持
能、帯電効率、ならびに残電等の電気的特性を良好な範
囲にし、また、電圧により表面層が損傷する、所謂ピン
ホールリークの発生をも防止する上では、感光体の表面
層に利用するa−SiC膜等の抵抗率を、1×1010
5×1015Ω・cmの範囲、より好ましくは、5×10
12〜5×1014Ω・cmの範囲に選択することが望まし
いと判断される。
【0100】各評価項目に対して、前述同様の環境で、
試験用に電子写真装置の現像器及びクリーニング機構を
取り外し、表面電位測定のため電位センサーを設置し
た。現像及びクリーニングの操作がなされない以外は、
上記の各評価と同様の操作条件として、上記の評価と同
じく、5万枚相当以上に相当する運転量の非通紙耐久試
験を行い、耐久に伴う感光体の電気的特性の変化および
前後の特性を評価した。なお、本耐久に際しても、環境
対策ヒーターはOFFにした。
【0101】感光体の膜厚変化や画像露光光量変化その
他による、感光体の表面電位変化の有無、およびそのレ
ベルを評価した。さらに、前述の電位センサーのうち、
現像器の設置位置以外に取り付けた電位センサーを用い
て、感光体の表面電位をモニターしながら耐久を行なっ
た。
【0102】ここで評価した感光体の何れも、かかる空
回転機での耐久後の電気的特性は各項目とも耐久前の±
5%以内に収まっており、実質的に差異は無いものであ
る。
【0103】(実験例2)光導電層として、a−Si系
堆積膜を用い、表面層として、a−C膜を備える感光体
を作製し、良好な帯電特性ならびに画質を達成される感
光層の構成を検証した。
【0104】感光体の感光層作製には、図8ならびに図
9に示す装置構成を有するVHF−PCVD法による成
膜装置を使用し、支持体として、直径φ108mmの鏡
面加工を施したアルミニウムシリンダーを用いて、感光
層の堆積を行った。感光層は、シリンダー上に電荷注入
阻止層、光導電層、表面層の順で形成された三層構造の
構成とし、電荷注入阻止層、光導電層、表面層の各膜
は、表2に示す条件で作製した。
【0105】
【表2】 更に、光導電層のa−Si膜を堆積する際、SiH4
2の混合比ならびに放電電力を変更することにより、
種々の特性を有するa−Si膜を光導電層とする感光体
を作製した。
【0106】これらa−Si膜などを堆積した後、必要
に応じて、SiC粉体やダイヤモンド粉体等により、突
起の研磨や表面荒さ処理等を施した。また、表面層にお
いて、CF4は使用せずに、a−C:H膜とした感光体
をも作製した。
【0107】加えて、実験例1において、光導電層に用
いるa−Si:H膜の特性評価を行ったと同様の手法
で、光導電層に用いるa−Si膜の特性評価を行った。
前記堆積膜形成装置を用いて、その円筒形の基体ホルダ
ーに設置したガラス基板(コーニング社7059)なら
びにSiウエハー上に、各光導電層に用いるa−Si膜
を作製する条件で、膜厚約1μmのa−Si膜試料を堆
積した。ガラス基板上の堆積膜には、Alの串型電極を
蒸着で形成し、CPM法によりEuとD.O.S.を測
定した。また、Siウエハー上の堆積膜を用いて、FT
−IRにより含有水素量の評価を行った。
【0108】実験例1と同様に、作製した感光体の温度
特性、光メモリー、画像流れを評価し、光導電層に用い
るa−Si膜のEuとD.O.S.と対比させた結果、
Euが50〜60meVの範囲に、かつ伝導帯端下の
D.O.S.が1×1014〜1×1016cm-3の範囲に
選択するが、良好な電子写真特性を得る上で好適な条件
であることが判った。
【0109】加えて、実験例1と同様に、感光体の表面
層に用いるa−C膜の抵抗率に関しても、感光体の電荷
保持能、帯電効率等の電気的特性を良好に有し、電圧に
より表面層が損傷する、所謂ピンホールリークを防止す
る上で好適な範囲を検討した。その結果、感光体の表面
層に用いるa−C膜の抵抗率を、1×1010〜5×10
15Ω・cmの範囲、より好ましくは、1×1012〜1×
1014Ω・cmの範囲に選択することが望ましいと判断
される。
【0110】(実験例3)実験例1に準じて、RF−P
CVD法による成膜装置を使用し、支持体として、直径
φ108mmのアルミニウムシリンダーを用いて、a−
SiC表面層を有するa−Si感光体を作製した。な
お、感光体の作製に当たり、支持体のアルミニウムシリ
ンダー表面の切削時の粗さの調節や、成膜後の表面研磨
等、周知の方法で表面自由エネルギー(γ)を変化させ
た。ここでいう表面自由エネルギー(γ)は、特開平0
9−297420号公報等に記載されている、トナー付
着の発生し易さの指標となる値である。
【0111】この表面自由エネルギー(γ)の測定は、
国内において一般的に用いられ、接着学会により提示さ
れた三成分での手法、所謂拡張Fowkesの理論を適
用した解析法によった。具体的には、三種類の液体(分
散力成分と双極子成分と水素結合成分の各表面自由エネ
ルギーの値が既知の媒体、例えば、α−ブロムナフタリ
ン、水、ヨウ化メチレンの組み合わせ等)を用いて、液
滴法にて接触角を測定し、そのデータを用いて拡張Fo
wkesの理論に基づいて、感光体表面の表面自由エネ
ルギー(γ)を算出する。なお、本例における表面自由
エネルギー測定は、前述の方法に従った市販の測定機、
協和界面(株)製接触角測定機「CA−SROLL」及
びその解析ソフト「EG−11」を使用して求めた。
【0112】そのa−SiC表面層表面の表面自由エネ
ルギーを種々に変化させて作製した、これらの感光体
を、キヤノン株式会社製GP605を評価用に改造した
装置に搭載し、トナーとし、粒径5μmのトナーを使用
し、クリーニングプレードの当接圧を調整して、常温/
低湿環境(25±2℃、10±5%RH)下で耐刷試験
を行い、クリーニング性の評価を行った。
【0113】[クリーニング性不良判定]クリーニング
不良、べ夕白部がトナーにより濃度を有する「かぶり」
の有無の評価には、3色[黒/ハーフトーン/白]チャ
ート(キヤノン製テストチャート:FY9−9017−
000)ならびにNA−7チャート(キヤノン製テスト
チャート:FY9−9060−000)を使用して、形
成した画像に基づき評価した。
【0114】その際、環境により画質の差が生じた場合
は、最も画質が悪い状態の画像を用いて評価した。具体
的には、3色チャートで、上記4種の各環境において画
像出しを行い、3色の各色間の境界部の鮮明度、感光体
回転方向へのトナー洩れ、スジの有無、ならびにかぶり
の程度に関して評価した。
【0115】画像上のかぶりは、反射濃度計(リフレク
トメーターモデルTC−6DS(東京電色社製))を用
いて形成された画像の濃度測定を行ない、画像形成後の
白地部反射濃度最悪値(最大濃度値)をDs、画像形成
前の転写材の反射平均濃度をDrとし、その差Ds−D
rをかぶり量として評価を行なった。
【0116】かぶり量: Ds−Drの値に依り、判定
基準は下記の通りである。 5.かぶりが非常に良好 Ds−Drが1.0%未満 4.かぶりが良好 Ds−Drが1.0〜1.3%未満 3.実質的にかぶりが良好 Ds−Drが1.3〜1.7%以下 2.実質的に問題無し Ds−Drが1.7〜2.0%未満 1.実用上、やや問題あり Ds−Drが2.0%以上 また、耐刷試験終了後クリーニング装置を取り外し、使
用済みのクリーニングブレードの欠けの有無を顕微鏡観
察、ならびに欠けに因る黒スジの有無を濃度測定によ
り、それぞれ評価した。加えて、画像サンプリング時
に、感光体表面へのトナーの残留の有無も評価した。前
記の画像濃度は、マクベス濃度計RD918型(マクベ
ス社製)でSPIフイルターを使用して反射濃度の測定
を行なった。
【0117】第1に、上記3色チャートを使用して形成
した画像をサンプリングし、感光体の回転方向への、黒
スジ、黒点状の画像欠陥の有無を評価した。
【0118】第2に、クリーニング装置を通過した位置
の、感光体表面にセロテープ(登録商標)等の粘着材を
貼付した後、その粘着材を転写材上に貼付した。粘着材
に付着した残留トナー等による反射濃度を、かぶりの評
価と同様に、反射濃度計を使用して測定した。この平均
値をDtとする。一方、感光体表面を乾拭き又はアルコ
ール拭きし、表面に残るトナー等を除去した状態で、同
位置に粘着材を貼付して、同じく残留トナー等による反
射濃度の評価を行った。この値をDnとする。両者の
差;Dt−Dnにより、クリーニング不良を判定した。
【0119】上記のかぶりと同様の評価基準に加え、D
t−Dnが2.0%以上、又は画像上の感光体回転方向
にトナーによる黒スジが発生している場合、クリーニン
グ不良と判断した。
【0120】クリーニング不良の判定基準は、 5.クリーニング不良が非常に良好 黒スジ、黒点無し、且つDt−Dnが、1.0%未満 4.クリーニング不良が良好 黒スジ、黒点無し、且つDt−Dnが、1.0〜1.3
%未満 3.クリーニング不良がやや良好 黒スジ、黒点は1.5mm以内且つ3箇所以内、且つD
t−Dnが、1.3〜1.7%未満 2.実用上問題無し 黒スジ、黒点は2.0mm以内且つ5箇所以内、且つD
t−Dnが、1.7〜2.0%未満 1.実用上やや問題あり 黒スジ、黒点が上記範囲を超えるもの、またはDt−D
nが、2.0%以上とした。
【0121】[クリーニングブレード欠け]該クリーニ
ングブレード100の当接圧を変化させて、クリーニン
グブレード欠けの評価を行った。評価に利用する感光体
には、微細表面粗さRaが約10nmの平滑な感光体
と、Raが約100nmの微細表面粗さが大きい感光体
とを使用した。なお、この微細表面粗さRaは微視的
(ミクロ)な粗さであり、支持体の切削等の、下地の巨
視的(マクロ)な粗さには依存しない、感光体膜自体の
物性であり、成膜時の条件、処方に大きく依存する。本
例においては、成膜時の放電パワーや支持体温度を調整
することによって、種々の微細表面粗さを有する膜を調
製した。
【0122】常温/低湿環境下でA4用紙300K枚の
耐刷試験を行った後、クリーニングブレードの状態とそ
れに起因する黒スジ等の画像不良とから、ブレード欠け
を判定した。ブレード欠けの判定基準は、下記の通りで
ある。 1.非常に良好 ブレード欠無し。黒スジ、黒点無し。 2.良好 ブレード欠は2箇所以内。且つ黒スジ、黒点無し。 3.やや良好 ブレード欠は5箇所以内。且つ黒スジ、黒点は1.5m
m以内且つ3箇所以内。 4.実用上問題無し ブレード欠は7箇所以内、且つ黒スジ、黒点は2.0m
m以内且つ5箇所以内。 5.実用上やや問題あり 上記範囲を超えるもの。
【0123】図5に、ブレードの当接圧に対して、クリ
ーニング性の評価結果をプロットしたもの、図6に、上
記のRaが10nmの感光体と、Raが100nmの感
光体とについて、ブレードの当接圧に対して、ブレード
欠けの評価結果をプロットしたものを、それぞれ示す。
図5ならびに図6に示す結果から、クリーニング性能と
ブレード欠けを良好な水準に保つ上では、クリーニング
ブレードの当接圧(ブレード線圧)を、2〜100gf
/cmの範囲に選択することが好ましいことが判る。よ
り好ましくは、5〜50gf/cmの範囲に選択するこ
とが望ましい。
【0124】以下に、本発明にかかる実施例を記述す
る。
【0125】実施例に示す構成は、本発明における最良
の実施 形態の一例ではあるものの、本発明はこれらの
実施例により限定されるものではない。すなわち、本発
明の作用、効果を得られる限り、実施例に示す構成例以
外の構成を有してもよい。なお、以下に記載する実施例
では、先に述べた実験例において、良好な感光体特性の
結果を与える光導電層と表面層とを有する感光体を使用
した。具体的には、各実施例や比較例に示す装置に用い
る感光体の光導電層は、先の実験例により検証された、
良好な範囲内の内、D.O.S.は1×1015〜5×1
15cm-3、Euは52〜55meVの範囲となる条件
で作製されたものを使用した。
【0126】(実施例1)図8に示すRF−PCVD法
による成膜装置を使用し、実験例1と同様に、電荷注入
阻止層、光導電層、表面層からなる感光体を作製した。
実験例1と同様、支持体として、外径φ108mmの鏡
面加工を施したアルミニウムシリンダーを用いて、a−
SiC表面層を有するa−Si感光体を作製した。作製
された感光体の表面粗さRaは32nmのものを用い
た。
【0127】また、評価機とトナーには、実験例と同様
に、キヤノン製デジタル式電子写真装置GP605を改
造したもの、ならびに平均粒径が約6.5μmのトナー
を使用した。なお、前記評価機においては、元の電子写
真装置では、クリーニング装置内に設けられているクリ
ーニングブレード及び廃トナー搬送系以外の機構、例え
ば、クリーニングローラー等は省き、クリーニングブレ
ードと廃トナー搬送系のみを設けるクリーニング装置を
使用した。
【0128】(実施例1−1)本実施例で使用したクリ
ーニングブレードの作製は、下記の様に行った。
【0129】予め、反発弾性が12%のウレタンブレー
ドと、同43%のウレタンブレードとを、それぞれ周知
の方法で形成した。前記の二種のブレードの厚さは、と
もに約1.5mmとした。この二種のブレードを、ホッ
トメルトなど周知の方法で接合し、総厚で3mmの板状
クリーニングブレードを作製した。
【0130】上記の評価機に対して、前記接合型のクリ
ーニングブレードを、反発弾性が43%のブレード面が
感光体に当接する方向となるように、可動のブレード保
持具に設置した。クリーニングブレードは、ばねにより
加圧し、15gf/cmの当接圧(ブレード線圧)で感
光体表面に当接する構成とした。また、感光体表面に対
する、クリーニングブレードの当接角は25°とした。
【0131】評価機に作製した各感光体を搭載して、N
/N(25℃、45%RH)、H/H(35℃、85%
RH)、N/L(25℃、10%RH)の3種の環境下
で、光メモリーの評価、画像流れの評価、白ポチ、黒ポ
チ等の画像欠陥の評価を行った。これらの画像の評価方
法は、実験例1に記載する方法に準ずる。
【0132】通紙耐久として、TC−Alチャート(キ
ヤノン製テストチャート:FY9−9045−000)
を使用し、各環境下で、A4用紙で300K枚ずつの耐
刷試験を行った。
【0133】その際、耐久前後と耐久中の数千枚毎に定
期的にクリーニング不良の評価、ならびに感光体の表面
自由エネルギーの評価を行った。本実施例において、ク
リーニング装置中のクリーニングブレードを感光体に当
接させる当接圧、所謂クリーニングブレード圧(線圧)
は前述の15±2gf/cmの範囲に維持して、通紙耐
久を行った。クリーニング不良の判定方法は、実験例3
に準ずる。
【0134】[画像流れ評価]表6に、前記の通紙耐久
後に、画像流れを評価した結果を示す。なお、表6中の
記号は、下記の通りである。 ◎:非常に良い 耐久後の画像流れレベルが実験例1の画像流れレベル1
〜2相当で維持 ○:良い 耐久後の画像流れレベルが実験例1の画像流れレベル3
相当 △:従来なみ〜それ以下 耐久後の画像流れレベルが実験例1の画像流れレベル4
〜5相当 なお、上記の3ランクの中間に相当する場合は、「◎〜
○」等のように表記した。
【0135】[クリーニング性]また、耐久後のクリー
ニング性を評価した結果を表6に示す。なお、表6中の
記号は、下記の通りである。 ◎:非常に良好 クリーニング性のランク変動が無い クリーニングに必要なクリーニングブレードの線圧の範
囲が、初期と同等 ○:良好 クリーニング性のランク変動が実験例3のレベル2相当 上記クリーニングブレードの線圧範囲の変化量が実質的
に問題ない鞄囲 △:従来なみ〜それ以下 クリーニング性のランク変動がレベル2を超過し、上記
クリーニングブレードの線圧範囲の変化量が従来並、ま
たはそれ以下なお、前記3ランクの中間に相当する場合
は、「◎〜○」等のように表記した。
【0136】[融着評価]耐久での融着の評価をした結
果を表6に示す。なお、表6中の記号は、下記の通りで
ある。なお、融着の評価は、黒スジ、黒点に注目して行
った。判断基準は実験例3のクリーニング評価におけ
る、黒スジ、黒点に基づく判定基準に準ずる。 ◎:非常に良好 黒スジ、黒点無し ○:良好 黒スジ、黒点は1.5mm以内且つ3箇所以内 △:従来なみ〜それ以下 黒スジ、黒点が上記範囲を超えるもの なお、前記3ランクの中間に相当する場合は、「◎〜
○」等のように表記した。
【0137】[クリーニングブレード欠け]黒スジ、黒
点の評価に加えて、さらに、クリーニングブレードの状
態観察を合せて行ない、クリーニングブレード欠けを判
定した。 ◎:非常に良好 ブレード欠レベルが1〜2で維持 ○:良好 耐久後のブレード欠レベルが3 △:従来なみ〜それ以下 上記の範囲以外。
【0138】なお、前記3ランクの中間に相当する場合
は、「◎〜○」等のように表記した。
【0139】[設計ラチチュード]また、耐久後のクリ
ーニング性に関して、設計ラチチュードをも評価した。
【0140】具体的には、更に、トナーの粒径を2〜2
0μmの範囲で種々に選択し、上記と同様の耐久を実施
し、その後、画質の評価を行った。さらに、クリーニン
グ不良が発生した際、その抑制や解消が、付設するクリ
ーニングローラーの回転の条件、クリーニングブレード
圧の調整、一定枚数のコピー毎にクリーニング装置にト
ナー等を供給し、クリーニング性の向上を図るなどの補
助的な設定、あるいは、感光体表面の拭き取り作業等の
簡便なメンテナンス操作で容易になされるか否かについ
ても、評価を行った。当然ながら、前記の各条件設定
は、実験例3等において選択された良好な範囲内でなさ
れる。表6に、結果を示す。なお、表6中の記号は、下
記の通りである。 ◎:非常に良好 トナー粒径に依らず、クリーニング性が非常に良好に維
持される。
【0141】または、プロセス条件の設定により、容易
にクリーニング不良の抑制または解消ができる。 ○:良好 トナー粒径に依らず、クリーニング性が良好に維持され
る。
【0142】または、感光体の乾拭き清掃等の簡便なメ
ンテナンス作業により、容易にクリーニング不良の解消
や、その後の発生の抑制できる。 △:従来なみ〜それ以下 トナー粒径に依っては、クリーニング性が良好に絶持さ
れない場合がある。
【0143】または、クリーニング不良の抑制や解消の
容易さは、従来なみまたはそれ以下 なお、前記3ランクの中間に相当する場合は、「◎〜
○」等のように表記した。
【0144】評価の結果は、表6に示すように、本実施
例1のクリーニングブレードを用いる装置構成において
は、良好な結果が得られた。
【0145】[クリーニングブレード捲れ、ブレード鳴
き]その他、「クリーニングブレード捲れ」に関して、
同様にトナー粒径を上記の範囲で種々に変えて、その有
無の評価を行った。表6に、結果を示す。なお、表6中
の記号は、下記の通りである。 ◎:非常に良好 トナー粒径に依らず、捲れは発生しない。
【0146】または、プロセス条件の設定により、容易
に捲れの抑制または解消ができる。 ○:良好 トナー粒径に依らず、捲れは殆ど発生しない。
【0147】または、ブレード当接圧等の簡便な条件設
定の調整により、容易に解消や、その後の発生を抑制で
きる。 △:従来なみ〜それ以下 トナー粒径に依っては、捲れが発生する場合がある。
【0148】または、捲れの抑制や解消の容易さが、従
来なみ、またはそれ以下なお、前記3ランクの中間に相
当する場合は、「◎〜○」等のように表記した。
【0149】「ブレードの鳴き、ビビリ」の現象に関し
ても、「クリーニングブレード捲れ」と同様に評価を行
った。
【0150】[感光体の損傷]一方、感光体の摩耗や筋
状の削れなど、感光体の損傷に関しても、トナー粒径を
上記の範囲で種々に変えて、その発生の有無を評価し
た。表6に、結果を示す。なお、表6中の記号は、下記
の通りである。 ◎:非常に良好 トナー粒径、クリーニングブレード当接圧等の条件に依
らず、局所的な感光体の摩耗、削れ等が無い、且つ摩耗
量の変動が無い ○:良好 トナー粒径、クリーニングブレード当接圧等の条件に依
っては、摩耗量の変動はあるが、形成される画像上には
問題は無い、且つ局所的な感光体の摩耗、削れ等が無い △:従来なみ〜それ以下 上記以外 なお、前記3ランクの中間に相当する場合は、「◎〜
○」等のように表記した。
【0151】また、上記の各判定結果を元に、電子写真
装置全体としての性能を総合判定した。表6中の総合判
定における各記号は、下記の通りである。 ◎:非常に良好 ○:良好 △:従来なみ、あるいはそれ以下(やや難ある場合あ
り) 表6に、本実施例1−1のクリーニングブレードを関す
る評価結果を示す。本実施例1−1のクリーニングブレ
ードの構成とすることで、トナー付着、感光体の損傷や
クリーニングブレード自体の損傷が抑制でき、良好な結
果が得られた。
【0152】(実施例1−2)一方、クリーニングブレ
ードを、所定の反発弾性を示す材質で作製し、それに紫
外線を部分的に照射して、そのブレードの感光体当接部
位と非当接部位の反発弾性が異なる状態に変質させた。
このクリーニングブレードについても、予め反発弾性が
異なる材質で作製した二種のブレードを接合した実施例
1−1のクリーニングブレードと同様の評価を行った。
表6に、本実施例1−2のクリーニングブレードを関す
る評価結果を併せて示す。
【0153】表6に示す通り、実施例1−1のクリーニ
ングブレード、本実施例1−2のクリーニングブレード
ともに、トナー付着、感光体の損傷やクリーニングブレ
ード自体の損傷が抑制でき、良好な結果が得られ、従っ
て、総合判定において良好な結果を得られた。
【0154】加えて、別途、膜厚比率が50%の感光体
当接部位と非当接部位の反発弾性が異なり、クリーニン
グブレード総厚を種々に変えたものを作製し、それらを
評価したところ、クリーニングブレード総厚が薄くなり
過ぎると、ブレード全体の強度、弾性が不足し、ブレー
ド捲れ等が発生する場合があった。また、総厚が厚くな
り過ぎると、感光体当接部位と非当接部位の反発弾性に
差異を設ける効果が、十分に発揮されなくなることが判
った。すなわち、クリーニングブレード総厚を2乃至4
mmの範囲に選択すると、感光体当接部位と非当接部位
の反発弾性に差異を設ける効果がより顕著に発揮される
という結果が得られた。
【0155】(実施例2)クリーニングブレードにおけ
る低反発性部位と高反発性部位の厚さ比を種々に変え
て、そのクリーニング性能と耐久性を検証した。
【0156】実施例1と同様の手法で、支持体として、
外径φ30mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリン
ダーを用いて、a−SiC表面層を有するa−Si感光
体を作製した。
【0157】また、クリーニングブレードは、実施例1
に記載する予め作製した二種のブレードを接合する方法
により、高反発弾性の領域と低反発弾性の領域の反発弾
性の値、その厚さ比が様々に異なるクリーニングブレー
ドを作製した。なお、作製したクリーニングブレードの
総厚は、3mmとした。
【0158】評価機は、キヤノン製GP405を評価用
に改造した物(前露光(除電光)660nm、画像露光
655nm、プロセススピード210mm/sec)を
基に、更に、そのクリーニング部はブレード当接圧を調
節可能に改造し、また、長期耐久のため廃トナーの搬送
系を追加するなど、評価用に改造した装置とした。な
お、ドラムヒーターなど、クリーニング部や感光体表面
の温度を調節するための機構は搭載していない。また、
感光体表面に対する、クリーニングブレードの当接角は
25°とした。トナーには、平均粒径6.5μmのもの
を使用した。
【0159】その表面粗さが異なる感光体、ならびに高
反発弾性の領域と低反発弾性の領域の反発弾性の値、そ
の厚さ比が様々に異なるクリーニングブレードクリーニ
ングブレードを、前記の評価機に搭載し、クリーニング
性能などを評価した。
【0160】表5に、本実施例2において実施した評価
例;実施例2−1〜2−12において採用したクリーニ
ングブレードの反発弾性の値、厚さ比、感光体の表面粗
さ、ならびにブレード当接圧等の諸条件をまとめて記載
する。実施例1と同様に、これらの装置構成について、
A4で300K枚の耐刷試験を行い、同様の項目に関し
て評価を行った。表6に、その評価結果を併せて示す。
【0161】実施例2−1〜2−12の各例ともに、表
6に示すように、非常に良好、または良好な結果が得ら
れている。具体的には、上記二種のブレードを接合する
方法により作製した接合型クリーニングブレードにおい
て、高反発弾性部分を感光体表面とその回転方向とカウ
ンターの配置で当接させ、より好ましくは、高反発弾性
部分の層厚をクリーニングブレード総厚の5%以上、4
0%を超えない範囲とすることで、前記の実施例1より
もさらに良好なクリーニング性能とブレード欠け、感光
体損傷の発生を有効に防止されることが確認された。
【0162】また、高反発弾性部分の層厚が薄くなり過
ぎると、反発弾性に差異を設けている効果が発揮されな
くなる。具体的には、総厚が3mmの場合、高反発弾性
部分の層厚がその5%より薄くなると、反発弾性に差異
を設けている効果がしだいに発揮されなくなる。
【0163】また、上記の各層厚比率についても、別途
クリーニングブレード総厚を種々に変えたものを作製
し、それらを評価したところ、クリーニングブレード総
厚を2乃至4mmの範囲に選択すると、感光体当接部位
と非当接部位の反発弾性に差異を設ける効果がより明確
に発揮されるという結果が得られた。
【0164】(実施例3)クリーニングブレードにおけ
る低反発性部位と高反発性部位の反発弾性値の組み合わ
せを種々に変えて、そのクリーニング性能と耐久性を検
証した。
【0165】感光体に関しては、実験例2と同様にVH
F P−CVD法を利用して感光層を堆積し、支持体と
して、外径φ30mmの鏡面加工を施したアルミニウム
シリンダーを用い、a−SiC表面層を有するa−Si
感光体を作製した。
【0166】クリーニングブレードは、実施例1の記載
した接合法により、総厚3mmで、高反発弾性の領域と
低反発弾性の領域の厚さ比を30:70に選択し、両者
の反発弾性値の組み合わせを種々に変えて作製した。
【0167】その表面粗さが異なる感光体、ならびに高
反発弾性の領域と低反発弾性の領域とで、反発弾性値の
組み合わせが様々に異なるクリーニングブレードを、前
記実施例2と同様に、評価機に搭載し、クリーニング性
能などを評価した。
【0168】表5に、本実施例3において実施した評価
例;実施例3−1〜3−9において採用したクリーニン
グブレードの反発弾性の値、厚さ比、感光体の表面粗
さ、ならびにブレード当接圧等の諸条件をまとめて記載
する。実施例1と同様に、これらの装置構成について、
A4で300K枚の耐刷試験を行い、同様の項目に関し
て評価を行った。表6に、その評価結果を併せて示す。
【0169】実施例3−1〜3−9の各例ともに、表6
に示すように、非常に良好、または良好な結果が得られ
ている。具体的には、上記二種のブレードを接合する方
法により作製した接合型クリーニングブレードにおい
て、より好ましくは、感光体表面とその回転方向とカウ
ンターの配置で当接させる高反発弾性部分の反発弾性の
値を30〜70%の範囲に、対応させて、前記高反発弾
性部分と接合され、感光体とは直接当接することのない
低反発弾性部分の反発弾性の値を5〜40%の範囲に、
且つ、少なくとも高反発弾性部分の反発弾性が、低反発
弾性部分の反発弾性よりも、10%以上高い値となるよ
うに、それぞれ選択することで、前記の実施例1よりも
さらに良好なクリーニング性能とブレード欠け、感光体
損傷の発生を有効に防止されることが確認された。一
方、高反発弾性部分と低反発弾性部分との反発弾性の値
の差異が、10%未満となると、感光体当接部位と非当
接部位の反発弾性に差異を設ける効果がしだいに発揮さ
れなくなるという結果が得られた。
【0170】(実施例4)感光体表面が平坦である際、
例えば、表面粗さRaが25nmを超えない範囲とする
際には、かかる平坦化がなされている感光体表面と当接
する高反発弾性領域の層厚を、表面粗さRaに応じて、
クリーニングブレード総厚の5〜30%の範囲に選択し
ても、十分なクリーニング性能が達成されることを検証
した。
【0171】感光体に関しては、実施例1と同様にVH
F P−CVD法を利用して感光層を堆積し、支持体と
して、外径φ30mmの鏡面加工を施したアルミニウム
シリンダーを用いて、a−SiC表面層を有するa−S
i感光体を作製した。なお、感光体の作製に際し、成膜
条件の調整、特には、成膜の高周波電力、支持体温度の
適正化を図り、表面粗さRaを25nm以下の種々の値
とした感光体を作製した。
【0172】一方、クリーニングブレードは、実施例1
と同様の二種ブレードを接合する手法により、総厚3m
mで、高反発弾性の領域の層厚をブレード総厚の5〜3
0%の範囲で選択した複数種を作製した。
【0173】その表面粗さが異なる感光体、ならびに高
反発弾性の領域と低反発弾性の領域との層厚の比が様々
に異なるクリーニングブレードを、前記実施例2と同様
に、評価機に搭載し、クリーニング性能などを評価し
た。
【0174】表5に、本実施例4において実施した評価
例;実施例4−1〜4−5において採用したクリーニン
グブレードの反発弾性の値、厚さ比、感光体の表面粗
さ、ならびにブレード当接圧等の諸条件をまとめて記載
する。実施例1と同様に、これらの装置構成について、
A4で300K枚の耐刷試験を行い、同様の項目に関し
て評価を行った。表6に、その評価結果を併せて示す。
【0175】実施例4−1〜4−5の各例ともに、表6
に示すように、非常に良好、または良好な結果が得られ
ている。より具体的には、二種のブレードを接合する方
法により作製した接合型クリーニングブレードにおい
て、高反発弾性部分を感光体表面とその回転方向とカウ
ンターの配置で当接させる構成とする際、より好ましく
は、当接される感光体の表面粗さRaが25nmを超え
ない範囲に留める場合、それに対応させて、高反発弾性
部分の層厚をクリーニングブレード総厚の5〜30%を
超えない範囲にすることで、ブレード欠け、感光体損傷
の発生が有効に防止されることが確認された。
【0176】(実施例5)表面粗さRaが50nm以
上、但し80nmを超えない範囲の微細な凹凸を設けて
いる感光体表面と当接する高反発弾性領域の層厚を、表
面粗さRaに応じて、クリーニングブレード総厚の20
〜40%の範囲に選択すると、十分なクリーニング性能
を維持しつつ、ブレード欠け、感光体損傷の発生の防止
も十分に達成されることを検証した。
【0177】感光体に関しては、実施例4と同様にVH
F P−CVD法を利用して感光層を堆積し、支持体と
して、外径φ30mmの鏡面加工を施したアルミニウム
シリンダーを用いて、a−SiC表面層を有するa−S
i感光体を作製した。なお、感光体の作製に際し、成膜
条件、特には、成膜の高周波電力、支持体温度の調整を
図り、表面粗さRaが50nm以上となる微細な凹凸を
示す表面を有する種々の感光体を作製した。
【0178】クリーニングブレードは、先の実施例4と
同様に二種ブレードを接合する手法により作製し、その
総厚は3mmとした。ただし、前記微細な凹凸を示す表
面を有する感光体と当接する高反発弾性領域の厚さ比率
を、ブレード総厚の20〜40%の範囲に選択し、種々
の層厚比の構成とした接合型ブレードを作製した。
【0179】その表面粗さが異なる感光体、ならびに高
反発弾性の領域と低反発弾性の領域との層厚の比が様々
に異なるクリーニングブレードを、前記実施例2と同様
に、評価機に搭載し、クリーニング性能などを評価し
た。
【0180】表5に、本実施例5において実施した評価
例;実施例5−1〜5−5において採用したクリーニン
グブレードの反発弾性の値、厚さ比、感光体の表面粗
さ、ならびにブレード当接圧等の諸条件をまとめて記載
する。実施例1と同様に、これらの装置構成について、
A4で300K枚の耐刷試験を行い、同様の項目に関し
て評価を行った。表6に、その評価結果を併せて示す。
【0181】実施例5−1〜5−5の各例ともに、表6
に示すように、非常に良好、または良好な結果が得られ
ている。より具体的には、二種のブレードを接合する方
法により作製した接合型クリーニングブレードにおい
て、高反発弾性部分を感光体表面とその回転方向とカウ
ンターの配置で当接させる構成とする際、より好ましく
は、当接される感光体の表面粗さRaが50nm以上と
なる微細な凹凸を設けた感光体を用いる場合、それに対
応させて、高反発弾性部分の層厚をクリーニングブレー
ド総厚の20〜40%を超えない範囲にすることで、優
れたクリーニング性能を示し、同時にブレード欠け、感
光体損傷の発生が有効に防止されることが確認された。
【0182】(実施例6)クリーニングブレードと感光
体との当接部に、継続的に潤滑剤を供給する使用条件を
採用して、そのクリーニング性能と耐久性を検証した。
【0183】感光体に関しては、実施例2と同様にRF
P−CVD法を利用して感光層を堆積し、支持体とし
て、外径φ30mmの鏡面加工を施したアルミニウムシ
リンダーを用いて、a−SiC表面層を有するa−Si
感光体を作製した。なお、感光体の作製に際し、表面粗
さRaが32nmの微細な凹凸を示す表面を有する感光
体となるように、成膜条件、特には、成膜の高周波電
力、支持体温度の調整を行った。
【0184】クリーニングブレードは、先の実施例1と
同様に、予め、反発弾性が12%のウレタンブレード
と、同43%のウレタンブレードとをそれぞれ周知の方
法で形成し、この二種ブレードを接合する手法により作
製し、その総厚は3mmとした。ただし、前記微細な凹
凸を示す表面を有する感光体と当接する高反発弾性領域
の厚さ比率を、ブレード総厚の30%に選択した。
【0185】この作製された感光体、ならびに接合クリ
ーニングブレードを、前記実施例2と同様に、評価機に
搭載し、クリーニング性能などを評価した。本実施例に
おいて、クリーニング装置中のクリーニングブレードを
感光体に当接させる当接圧は、10gf/cmならびに
15gf/cmの二つの条件に選択し、それぞれ通紙耐
久を行った。
【0186】クリーニング部への継続的な潤滑剤の供給
方法は、現像に利用するトナー中に固体潤滑剤であるP
VDF粒子を数%添加したものを利用し、現像後、残留
するトナーとともに、クリーニング部へ供給する方法と
した。また、通常の画像形成に加えて、10K枚の耐久
毎に、固体潤滑剤を添加したトナーをクリーニング部へ
直接供給する、例えば、露帯状の現像操作をシーケンス
として設けた。
【0187】表5に、本実施例6において実施した評価
例;実施例6−1、6−2において採用したクリーニン
グブレードの反発弾性の値、厚さ比、感光体の表面粗
さ、ならびにブレード当接圧等の諸条件をまとめて記載
する。実施例2と同様に、これらの装置構成について、
A4で300K枚の耐刷試験を行い、同様の項目に関し
て評価を行った。表6に、その評価結果を併せて示す。
【0188】実施例6−1、6−2の各例ともに、表6
に示すように、非常に良好、または良好な結果が得られ
ている。より具体的には、接合型クリーニングブレード
と感光体表面との当接部に、固体潤滑剤を供給すること
で、優れたクリーニング性能を維持しつつ、同時にブレ
ード欠け、ブレード捲くれ、感光体損傷の発生がさらに
有効に防止されることが確認された。
【0189】(実施例7)感光体の表面層として、a−
SiCと比較して、その耐摩耗性、潤滑性がより優れ
る、水素原子を含有するアモルファスカーボン(a−
C:H)を使用する際にも、接合型のクリーニングブレ
ードを利用して、そのクリーニング性能と耐久性を検証
した。
【0190】図9に示すVHF−PCVD法による成膜
装置を使用し、実験例2と同様に、電荷注入阻止層、光
導電層、表面層からなる感光体を作製した。実験例2と
同様、支持体として、外径φ108mmの鏡面加工を施
したアルミニウムシリンダーを用いて、表3に示す堆積
条件で、a−C:H表面層を有するa−Si感光体を作
製した。作製された感光体の表面粗さRaは32nmの
ものを用いた。
【0191】なお、クリーニングブレードは、先の実施
例6と同様に、予め、反発弾性が12%のウレタンブレ
ードと、同43%のウレタンブレードとをそれぞれ周知
の方法で形成し、この二種ブレードを接合する手法によ
り作製し、その総厚は3mmとした。また、前記微細な
凹凸を示す表面を有する感光体と当接する高反発弾性領
域の厚さ比率を、ブレード総厚の30%に選択した。
【0192】
【表3】 この作製された感光体、ならびに接合クリーニングブレ
ードを、前記実施例1と同様に、評価機に搭載し、クリ
ーニング性能などを評価した。本実施例において、クリ
ーニング装置中のクリーニングブレードを感光体に当接
させる当接圧は、15gf/cmの二つの条件に選択
し、通紙耐久を行った。
【0193】表5に、本実施例7において採用したクリ
ーニングブレードの反発弾性の値、厚さ比、感光体の表
面粗さ、ならびにブレード当接圧等の諸条件をまとめて
記載する。実施例1と同様に、これらの装置構成につい
て、A4で300K枚の耐刷試験を行い、同様の項目に
関して評価を行った。表6に、その評価結果を併せて示
す。
【0194】表6に示すように、非常に良好な結果が得
られている。より具体的には、接合型クリーニングブレ
ードを当接させる感光体表面をa−C:Hとすること
で、優れたクリーニング性能を維持しつつ、同時にブレ
ード欠け、ブレード捲くれ、感光体損傷の発生がさらに
有効に防止されることが確認された。
【0195】(実施例8)感光体の表面層として、a−
SiCと比較して、その耐摩耗性、潤滑性がより優れ
る、フッ素原子をも含有するアモルファスカーボン(a
−C:H:F)を使用する際にも、接合型のクリーニン
グブレードを利用して、そのクリーニング性能と耐久性
を検証した。
【0196】図9に示すVHF−PCVD法による成膜
装置を使用し、実験例2と同様に、電荷注入阻止層、光
導電層、表面層からなる感光体を作製した。実験例2と
同様、支持体として、外径φ108mmの鏡面加工を施
したアルミニウムシリンダーを用いて、表4に示す堆積
条件で、フッ素添加a−C(a−C:H:F)表面層を
有するa−Si感光体を作製した。作製された感光体の
表面粗さRaは32nmのものを用いた。
【0197】なお、クリーニングブレードは、先の実施
例7と同じく、予め、反発弾性が12%のウレタンブレ
ードと、同43%のウレタンブレードとをそれぞれ周知
の方法で形成し、この二種ブレードを接合する手法によ
り作製し、その総厚は3mmとした。また、前記微細な
凹凸を示す表面を有する感光体と当接する高反発弾性領
域の厚さ比率を、ブレード総厚の30%に選択した。
【0198】
【表4】 この作製された感光体、ならびに接合クリーニングブレ
ードを、前記実施例1と同様に、評価機に搭載し、クリ
ーニング性能などを評価した。本実施例において、クリ
ーニング装置中のクリーニングブレードを感光体に当接
させる当接圧は、15gf/cmの二つの条件に選択
し、通紙耐久を行った。
【0199】表5に、本実施例8において採用したクリ
ーニングブレードの反発弾性の値、厚さ比、感光体の表
面粗さ、ならびにブレード当接圧等の諸条件をまとめて
記載する。実施例1と同様に、この装置構成について、
A4で300K枚の耐刷試験を行い、同様の項目に関し
て評価を行った。表6に、その評価結果を併せて示す。
【0200】表6に示すように、非常に良好な結果が得
られている。より具体的には、接合型クリーニングブレ
ードを当接させる感光体表面をa−C:H:Fとするこ
とで、前記実施例7における感光体表面のa−C:Hよ
りも、その潤滑性はさらに優れたものとなり、優れたク
リーニング性能を維持しつつ、同時にブレード欠け、ブ
レード捲くれ、感光体損傷の発生がさらに有効に防止さ
れることが確認された。
【0201】上記の各実施例における試験条件では、ク
リーニングブレードの当接角は25°とした際の結果を
代表例として表6に示すが、当接角を10〜40°の範
囲に選択する限り、表6に示される当接角が25°の場
合と同様に、良好な結果を得られた。
【0202】以下に、上記する一連の実施例に示す接合
型クリーニングブレードと対比させる、単一の材料で作
製されたクリーニングブレードを用いた際の結果を、比
較例として記載する。なお、クリーニング性能と耐久性
の試験においては、感光体表面に対するクリーニングブ
レードの当接角を25°とした際の結果を示す。
【0203】(比較例1)感光体表面に微細な凹凸を設
ける際、例えば、表面粗さRaが50nm以上、但し8
0nmを超えない範囲とする条件において、かかる微細
な凹凸を設けている感光体表面と当接するクリーニング
ブレードを、低反発弾性材料のみで作製したものとする
際、そのクリーニング性能、ならびに、ブレード欠け、
感光体損傷の発生などの耐久性を評価した。
【0204】感光体に関しては、実施例5と同様にVH
F P−CVD法を利用して感光層を堆積し、支持体と
して、外径φ30mmの鏡面加工を施したアルミニウム
シリンダーを用いて、a−SiC表面層を有するa−S
i感光体を作製した。なお、感光体の作製に際し、成膜
条件、特には、成膜の高周波電力、支持体温度の調整
し、その表面粗さRaは78nmとなる微細な凹凸を示
す表面を有する感光体を作製した。一方、クリーニング
ブレードは、反発弾性が8%と、単一の低反発弾性材料
で形成したウレタンブレードとし、その厚さは3mmと
した。
【0205】この比較的に大きな表面粗さを有する感光
体、ならびに低反発弾性のクリーニングブレードを、前
記実施例2と同様に、評価機に搭載し、クリーニング性
能などを評価した。表5に、本比較例1において採用し
たクリーニングブレードの反発弾性の値、厚さ、感光体
の表面粗さ、ならびにブレード当接圧等の諸条件をまと
めて記載する。実施例1と同様に、この装置構成につい
て、A4で300K枚の耐刷試験を行い、同様の項目に
関して評価を行った。表6に、その評価結果を併せて示
す。
【0206】表6に示すように、比較的に大きな表面粗
さを有する感光体を用いる際には、本比較例1のような
低反発弾性のクリーニングブレードを採用すると、耐久
後のクリーニング性、ならびに、感光体表面にスジ状の
削れが生じており、感光体損傷の項目は、良好〜従来並
みと評価された。加えて、クリーニングブレード自体に
も、相当の欠けが生じる場合もあり、すなわち、クリー
ニングブレード欠けの項目は、やや難があると判定され
る場合もあり、従来並み〜それ以下と評価された。
【0207】(比較例2)感光体表面に微細な凹凸を設
ける際、例えば、表面粗さRaが25nm以下の範囲と
する条件において、かかる感光体表面と当接するクリー
ニングブレードを、低反発弾性材料のみで作製したもの
とする際、そのクリーニング性能、ならびに、ブレード
欠け、感光体損傷の発生などの耐久性を評価した。
【0208】感光体に関しては、実施例4と同様にVH
F P−CVD法を利用して感光層を堆積し、支持体と
して、外径φ30mmの鏡面加工を施したアルミニウム
シリンダーを用いて、a−SiC表面層を有するa−S
i感光体を作製した。具体的には、表面粗さRaが15
nmの感光体を作製した。一方、クリーニングブレード
は、反発弾性が3%と、単一の低反発弾性材料で形成し
たウレタンブレードとし、その厚さは3mmとした。
【0209】この比較的に小さな表面粗さを有する感光
体、ならびに低反発弾性のクリーニングブレードを、前
記実施例2と同様に、評価機に搭載し、クリーニング性
能などを評価した。表5に、本比較例2において採用し
たクリーニングブレードの反発弾性の値、厚さ、感光体
の表面粗さ、ならびにブレード当接圧等の諸条件をまと
めて記載する。実施例1と同様に、この装置構成につい
て、A4で300K枚の耐刷試験を行い、同様の項目に
関して評価を行った。表6に、その評価結果を併せて示
す。
【0210】表6に示すように、比較的に小さな表面粗
さを有する感光体を用いる際には、本比較例2のよう
な、極めて低反発弾性のクリーニングブレードを採用す
ると、耐久後のクリーニング性、クリーニングブレード
欠け、ならびに、感光体損傷の項目は、従来並み〜それ
以下と評価された。特に、クリーニングブレード自体
に、相当の欠けが生じる場合もあり、すなわち、クリー
ニングブレード欠けの項目は、やや難があると判定され
る場合もあり、それに付随して、耐久後のクリーニング
性も、従来並み〜それ以下と評価された。
【0211】(比較例3)感光体表面に微細な凹凸を設
ける際、例えば、表面粗さRaが50nm以上、但し8
0nmを超えない範囲とする条件において、かかる微細
な凹凸を設けている感光体表面と当接するクリーニング
ブレードを、高反発弾性材料のみで作製したものとする
際、そのクリーニング性能、ならびに、ブレード欠け、
感光体損傷の発生などの耐久性を評価した。
【0212】感光体に関しては、実施例5と同様にVH
F P−CVD法を利用して感光層を堆積し、支持体と
して、外径φ30mmの鏡面加工を施したアルミニウム
シリンダーを用いて、a−SiC表面層を有するa−S
i感光体を作製した。なお、その表面粗さRaは79n
mとなる微細な凹凸を示す表面を有する感光体を作製し
た。一方、クリーニングブレードは、反発弾性が68%
と、単一の高反発弾性材料で形成したウレタンブレード
とし、その厚さは3mmとした。
【0213】この比較的に大きな表面粗さを有する感光
体、ならびに高反発弾性のクリーニングブレードを、前
記実施例2と同様に、評価機に搭載し、クリーニング性
能などを評価した。表5に、本比較例3において採用し
たクリーニングブレードの反発弾性の値、厚さ、感光体
の表面粗さ、ならびにブレード当接圧等の諸条件をまと
めて記載する。実施例1と同様に、この装置構成につい
て、A4で300K枚の耐刷試験を行い、同様の項目に
関して評価を行った。表6に、その評価結果を併せて示
す。
【0214】表6に示すように、比較的に大きな表面粗
さを有する感光体を用いる際には、本比較例3のよう
な、高反発弾性のクリーニングブレードを採用すると、
耐久後のクリーニング性、クリーニングブレード欠け、
ならびに、感光体損傷の項目は、最も良好〜良好の範囲
と評価されるものの、逆に、融着は、しばしば従来並み
〜それ以下と評価された。付随して、高温画像流れも、
良好〜従来並みの範囲に評価された。
【0215】(比較例4)感光体表面に微細な凹凸を設
ける際、例えば、表面粗さRaが25nm以下の範囲と
する条件において、かかる感光体表面と当接するクリー
ニングブレードを、高反発弾性材料のみで作製したもの
とする際、そのクリーニング性能、ならびに、ブレード
欠け、感光体損傷の発生などの耐久性を評価した。
【0216】感光体に関しては、実施例4と同様にVH
F P−CVD法を利用して感光層を堆積し、支持体と
して、外径φ30mmの鏡面加工を施したアルミニウム
シリンダーを用いて、a−SiC表面層を有するa−S
i感光体を作製した。具体的には、表面粗さRaが20
nmの感光体を作製した。一方、クリーニングブレード
は、反発弾性が75%と、単一の高反発弾性材料で形成
したウレタンブレードとし、その厚さは3mmとした。
【0217】この比較的に小さな表面粗さを有する感光
体、ならびに高反発弾性のクリーニングブレードを、前
記実施例2と同様に、評価機に搭載し、クリーニング性
能などを評価した。表5に、本比較例4において採用し
たクリーニングブレードの反発弾性の値、厚さ、感光体
の表面粗さ、ならびにブレード当接圧等の諸条件をまと
めて記載する。実施例1と同様に、この装置構成につい
て、A4で300K枚の耐刷試験を行い、同様の項目に
関して評価を行った。表6に、その評価結果を併せて示
す。
【0218】表6に示すように、比較的に小さな表面粗
さを有する感光体を用いる際には、本比較例4のよう
な、高反発弾性のクリーニングブレードを採用すると、
耐久後のクリーニング性、クリーニングブレード欠け、
ならびに、感光体損傷の項目は、最も良好〜良好の範囲
と評価されるものの、逆に、融着は、しばしば従来並み
〜それ以下と評価された。付随して、しばしば、高温画
像流れも、従来並み〜それ以下の範囲に評価された。
【0219】
【表5】
【0220】
【表6】
【0221】
【発明の効果】本発明の電子写真装置では、像担持体と
して、a−Siの光導電層を有する感光体を用いる際、
画像を形成する一連の工程、具体的には、感光体表面を
帯電する工程、帯電された感光体表面を可視光、ライン
走査レーザー光などにより露光して画像情報の書込を行
ない、静電潜像を形成する工程、更に、静電潜像を現像
によってトナー像化する工程、転写材にトナー像を転写
して画像形成を行う転写工程を経た後、次回の画像形成
に先立ち、前記転写工程後の感光体表面に残留するトナ
ーなどの除去を目的とするクリーニング手段として、ク
リーニングブレードを利用し、そのクリーニングブレー
ドを、感光体に当接する部位と、当接しない部位とで
は、反発弾性を異なるように構成する、例えば、感光体
との当接部側に、より高反発弾性な領域を有する構成と
することで、トナー付着部の除去能力を高く維持すると
ともに、長期間使用する間にブレード欠け等が発生し、
クリーニング不良の要因となることを防止している。加
えて、クリーニングブレードを、ばねなどにより加圧当
接する形態とすることより、このクリーニングブレード
の高反発弾性領域からなる当接部を、感光体表面の表面
粗さ、突起の有無などによらず、安定した当接状態を維
持できる。具体的には、クリーニングブレードの捲れ、
圧縮による永久歪みの発生など、効果的な当接状態を阻
害する要因を排除できる。加えて、クリーニングブレー
ドの高反発弾性領域は、感光体表面に存在する突起な
ど、除去ができない強固なものにクリーニングブレード
が衝突した折、そのストレスを吸収し、クリーニングブ
レード自体のエッジに欠けが生じる現象の回避にも多い
に役立っている。一方、感光体に対しても、同様に衝突
に伴うストレスを軽減する、あるいは、摺擦に伴う摩耗
を軽減する機能を果し、長期にわたり、継続使用した際
にも、感光体表面の損傷、クリーニングブレード自体の
欠損などを防止し、装置全体の耐久性の向上を達成して
いる。
【0222】特に、感光体の表面粗さの程度に応じて、
クリーニングブレードの全体厚さに占める、高反発弾性
領域からなる当接部の膜厚比率、その反発弾性の範囲を
調節することで、前記の耐久性を一層向上することも可
能となる。さらに、感光体の表面に、a−SiC、a−
C系の表面層を設けると、これらの材料は高硬度であ
り、長期・繰り返し使用に伴う、摩耗の抑制に有効であ
り、高速機や長寿命化により有効となる。加えて、a−
C系表面層は、それ自体潤滑性に優れ、クリーニングブ
レードの当接による摩擦負荷を軽減でき、同時に、クリ
ーニングブレードへの負荷も減少する結果、システムと
して、さらなる長寿命化に有効である。更に、フッ素を
含む表面層を用いると、付着物除去における設定ラチチ
ュードが広く、より広範囲な電子写真装置へ、かかるク
リーニングブレードの利用を可能とする。具体的には、
蓄積されたクリーニング不良に起因する、画像流れに対
しても良好な特性を有する装置とする上で役立つ。更に
は、付随的に、用いるトナーに潤滑剤を添加すると、潤
滑剤の作用により、感光体表面とクリーニングブレード
の間に介在する残留トナーの流動性が向上し、クリーニ
ングブレードが均一な状態で感光体に当接でき、クリー
ニングブレード、感光体双方のストレスを抑制し、良好
な状態をより安定して維持する上で効果を持つ。
【0223】本発明の電子写真装置における、クリーニ
ング性の向上は、高い解像度を目的とする、潜像をドッ
トで形成されるデジタル系において、クリーニング不良
による画像不良を図る上で顕著な利点を有し、特に、背
景を露光するBAE方式においては、背景部にクリーニ
ング不良の影響が更に顕著に反映されるので、このクリ
ーニング性の向上は、より顕著な利点となる。より具体
的には、平均粒径が10μm以下の小粒径トナーに対す
るクリーニング性の向上、また、常温且つ低湿環境にお
いて耐久時のトナー付着、融着、あるいは、感光体及び
クリーニングブレードの損傷防止は、何れも、デジタル
化、高dpi化などの高画質化を図る上で、長期にわた
り、その高い画質を維持する上で大きな効果を示す。
【0224】本発明の電子写真装置では、上記のクリー
ニングブレードを利用する作用で、クリーニング性が格
段に向上した結果、クリーニング機構の設計におけるラ
チチュードが大きくなることは勿論のこと、クリーニン
グ装置のメンテナンス間隔の延長や長寿命化にも寄与す
る。その他、感光体の片削れ等の、所謂、ムラ削れをも
抑制または解消でき、これも、感光体表面とクリーニン
グブレードとの均一な接触に伴い、クリーナー中のトナ
ーや異物の流動性がより良い状態で確保されたことに付
随する効果と思われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真装置のクリーニングブレー
ド、及びそれを設置したクリーニング装置の構成を模式
的に示す図である。
【図2】電子写真装置の全体構成の一例を示す概略図で
ある。
【図3】クリーニングローラーとクリーニングブレード
の双方を具えるクリーニング装置の構成・配置の一例を
模式的に示す図である。
【図4】クリーニングブレードによる感光体表面のクリ
ーニング工程における、ブレードの動きを模式的に示す
図である。
【図5】感光体表面について、その表面自由エネルギー
(γ)を35〜65の範囲で種々に変えた際、感光体表
面に対するクリーニングブレードの当接圧(線圧)に対
する、達成されるクリーニング性の依存性を示す図であ
る。
【図6】感光体表面の表面粗さに依存する、感光体表面
に対するクリーニングブレードの当接圧(線圧)と、そ
の際、発生するブレード欠け程度の差違の一例を示す図
である。
【図7】電子写真装置用の感光体における、感光層の構
成例を模式的に示す図である。
【図8】RF−PCVD法による堆積膜形成装置の構成
の一例を模式的に示す図である。
【図9】VHF−PCVD法による堆積膜形成装置に利
用される堆積装置の構成の一例を模式的に示す図であ
る。
【図10】デジタル露光方式の1ライン潜像形成におけ
る、感光体の表面電位と露光域を模式的に説明する図で
あり、右にIAE方式、左にBAE方式における表面電
位を示す。
【図11】感光体表面層の抵抗率(Ω・cm)に依存す
る、帯電性(■)、ピンホールリーク特性(耐電圧;
▲)、残留電位(△)の各特性を示す図である。
【図12】感光体の光導電層の光吸収指数関数裾の特性
エネルギーEuに対する、帯電能の温度特性の依存性を
示す図である。
【図13】感光体の光導電層中の局在準位密度(D.
O.S.)に対する、光メモリー特性の依存性を示す図
である。
【図14】感光体の光導電層中の局在準位密度(D.
O.S.)に対する、高温・高湿に起因する画像流れ特
性の依存性を示す図である。
【図15】感光体の光導電層中における、Si−H2
合とSi−H結合の吸収ピーク強度比(Si−H2/S
i−H:水素結合比)に対する、がさつき特性の依存性
を示す図である。
【符号の説明】
100:クリーニングブレード 101:非当接部(低反発弾性領域) 102:当接部(高反発弾性領域) 103:感光体 104:加圧手段 a:感光体回転駆動方向 201:感光体 202:主帯電器 203:静電潜像形成部位 204:現像器 205:転写紙供給系 206:(a)転写帯電器、(b)分離帯電器 207:クリーニング装置 208:搬送系 209:除電光源 210:ランプ 211:原稿台ガラス 212:原稿 213〜216:ミラー 217:レンズユニット 218:レンズ 219:転写紙ガイド 220:クリーニングブレード 222:レジストローラー 223:定着器 224:定着ローラー 225:環境対策ヒーター 226:電位センサー P:転写紙 X:感光体回転駆動方向 300:クリーニング装置 301:クリーニングブレード 302:ブレードホルダー 303:クリーニングローラー 304:加圧手段 305:ドクターローラー 306:搬送系 401:クリーニングブレード A:通常状態(当接時) B:撓み状態 C:反発時 700:感光体 701:支持体 702:感光層 703:光導電層 704:表面層 705:電荷注入阻止層 706:自由表面 707:電荷発生層 708:電荷輸送層 3100:堆積装置(RF−PCVD法用) 3200:原料ガスの供給装置 3111:反応容器 3112:円筒状支持体 3113:支持体加熱用ヒーター 3114:原料ガス導入管 3115:高周波マッチングボックス 3116 原料ガス配管 3117 反応容器リークバルブ 3118 メイン排気バルブ 3119 真空計 3200 原料ガス供給装置 3211〜3216 マスフローコントローラー 3221〜3226 原料ガスボンベ 3231〜3236 原料ガス ボンベ バルブ 3241〜3246 ガス流入バルブ 3251〜3256 ガス流出バルブ 3261〜3266 圧力調整器 4100:堆積装置(VHF−PCVD法用) 4111 反応容器 4112 円筒状支持体 4113 支持体加熱用ヒーター 4114 原料ガス導入管 4115 電極 4116 マッチングボックス 4120 支持体回転用モーター 4121 排気管 4130 放電空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/08 372 G03G 9/08 374 374 21/00 318 (72)発明者 河村 邦正 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 唐木 哲也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 江原 俊幸 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山崎 晃司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA08 CB00 EA05 2H068 DA05 DA12 DA20 DA23 DA37 DA38 FC15 2H134 GA01 GB02 HD01 HD05 HD11 KG07 KG08 KH01 KH02 KH15

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静電潜像坦持体として使用される、アモ
    ルファスシリコン(以下、a−Si)の光導電性層を有
    する感光体と、前記感光体表面を一様に帯電する帯電手
    段と、帯電された前記感光体表面上に静電潜像を形成す
    る画像信号付与手段と、形成された静電潜像を現像して
    トナー像とする現像手段と、前記感光体表面上のトナー
    像を転写材に転写する転写手段とを備える電子写真装置
    であって、 転写材に転写する後、感光体表面上に残留するトナーを
    除去するクリーニング手段として、少なくとも、 感光体表面に当接される、弾性材からなるクリーニング
    ブレードを用いたクリーニング装置を備え、 前記クリーニングブレードは、総厚が2乃至4mmであ
    り、感光体に当接する部位と感光体に当接しない部位と
    を有し、感光体に当接する部位の反発弾性と感光体に当
    接しない部位の反発弾性とが異なることを特徴とする電
    子写真装置。
  2. 【請求項2】 前記クリーニングブレードは、 感光体に当接する部位の反発弾性が、感光体に当接しな
    い部位の反発弾性より10%以上高く形成されているこ
    とを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置。
  3. 【請求項3】 前記クリーニングブレードは、 その感光体に当接する部位の反発弾性が高い領域の厚さ
    は、クリーニングブレードの総厚の40%を超えない厚
    さに選択されていることを特徴とする請求項2に記載の
    電子写真装置。
  4. 【請求項4】 前記クリーニングブレードは、 その高反発弾性の領域の反発弾性は30〜70%の範囲
    に、 その際、低反発弾性の領域の反発弾性は、5〜40%の
    範囲であって、前記高反発弾性の領域の反発弾性より低
    く、それぞれ選択されていることを特徴とする請求項2
    に記載の電子写真装置。
  5. 【請求項5】 前記クリーニングブレードは、 複数の弾性材を接合して形成されていることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真装置。
  6. 【請求項6】 前記クリーニングブレードは、 それを形成する弾性材の一部に変質処理が施されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    電子写真装置。
  7. 【請求項7】 前記クリーニングブレードは、 可動の設置部材に設置され、加圧当接手段によって感光
    体表面に当接されていることを特徴とする請求項1〜6
    のいずれか1項に記載の電子写真装置。
  8. 【請求項8】 前記感光体表面の10μm×10μm領
    域毎に定まる微細表面粗さ(Ra)が、25nm以下で
    あり、 前記クリーニングブレードの高反発弾性領域の厚さは、
    クリーニングブレードの総厚の5〜30%の厚さに選択
    されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1
    項に記載の電子写真装置。
  9. 【請求項9】 前記感光体表面の10μm×10μm領
    域毎に定まる微細表面粗さ(Ra)が、50nm以上で
    あり、 前記クリーニングブレードの高反発弾性領域の厚さは、
    クリーニングブレードの総厚の20〜40%の厚さに選
    択されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    1項に記載の電子写真装置。
  10. 【請求項10】 前記感光体は、その光導電層よりも表
    面側に、主として非晶質炭化珪素からなる表面層を有す
    ることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載
    の電子写真装置。
  11. 【請求項11】 前記感光体は、その最表面に、主とし
    て非晶質炭素からなる領域を有することを特徴とする請
    求項1〜9のいずれか1項に記載の電子写真装置。
  12. 【請求項12】 前記感光体の最表面に設ける主として
    非晶質炭素からなる領域が、 フッ素を含有且つ/又は結合させた非晶質炭素からなる
    領域であることを特徴とする請求項11に記載の電子写
    真装置。
  13. 【請求項13】 前記感光体は、 その帯電能の温度依存性が2V/deg以内に選択され
    ていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項
    に記載の電子写真装置。
  14. 【請求項14】 前記画像信号付与手段によりなされる
    静電潜像の形成は、ドット状の信号付与により形成され
    る方式であることを特徴とする請求項1〜13のいずれ
    か1項に記載の電子写真装置。
  15. 【請求項15】 現像に用いる前記トナーは、 分級品の平均粒径が10μm以下であり、さらに潤滑剤
    をも含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1
    項に記載の電子写真装置。
  16. 【請求項16】 電子写真装置に使用する感光体上の残
    留トナーの除去に利用されるクリーニングブレードであ
    って、 前記クリーニングブレードは弾性材からなり、総厚が2
    乃至4mmであり、感光体に当接する部位と感光体に当
    接しない部位とを有し、感光体に当接する部位の反発弾
    性と感光体に当接しない部位の反発弾性とが異なること
    を特徴とするクリーニングブレード。
  17. 【請求項17】 前記クリーニングブレードは、 感光体に当接する部位の反発弾性が、感光体に当接しな
    い部位の反発弾性より10%以上高く形成されているこ
    とを特徴とする請求項16に記載のクリーニングブレー
    ド。
  18. 【請求項18】 前記クリーニングブレードは、 その感光体に当接する部位の反発弾性が高い領域の厚さ
    は、クリーニングブレードの総厚の40%を超えない厚
    さに選択されていることを特徴とする請求項17に記載
    のクリーニングブレード。
  19. 【請求項19】 前記クリーニングブレードは、 その高反発弾性の領域の反発弾性は30〜70%の範囲
    に、 その際、低反発弾性の領域の反発弾性は、5〜40%の
    範囲であって、前記高反発弾性の領域の反発弾性より低
    く、それぞれ選択されていることを特徴とする請求項1
    7に記載のクリーニングブレード。
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