JP4330599B2 - 電子写真装置用クリーニングブレード - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真装置用クリーニングブレードに関する。
普通紙を記録紙として使用する静電式電子写真複写機では、一般に、像担持体の表面に放電により静電荷を与え、その上に画像を露光して静電潜像を形成し、次に、帯電したトナーを静電潜像に付着させて現像し、そのトナー像を記録紙に転写し、最後に、トナー像が転写された記録紙を加熱加圧し、トナーを記録紙上に定着させることによって複写が行われる。
従って、複数枚の記録紙に順次複写を行うためには、上記の工程において、像担持体から記録紙にトナー像を転写した後、像担持体の表面に残留したトナーを除去する必要があり、このようなトナーの除去は、通常、電子写真装置用クリーニングブレードにより行われている。電子写真装置用クリーニングブレードは、通常、金属板等からなる支持部材及び弾性ゴム部材を有している。
近年このような電子写真装置では、より高品質な印刷物が要求されているため、従来の粉砕法トナーに比べその形状が球形(真球状、異形状)で、かつ、小粒径の重合法トナーが使用されるようになってきている。ここで、残留した重合法トナーの除去にエッジ先端角度90°の弾性ゴム部材を備えた従来のクリーニングブレードを使用すると、エッジの変形(エッジ巻き込み)により当接するニップ形状が不安定になる。このため、残留トナーがすり込まれてすり抜けが生じ、クリーニング不良となってしまう。
このような残留トナーのすり抜けは、重合法トナーが従来の粉砕法トナーに比べて転がり易いため、ブレードエッジ(カット面)と相手材(像担持体等)とが成す楔形状に容易にトナーが潜り込み、弾性ゴム部材のカット面→エッジ→クリーニング面が押し上げられることによって生じている。
特許文献1〜3には、相手材に当接するエッジ先端角度が鈍角(95〜110度等)の弾性ゴム部材を有するクリーニングブレードが開示されている。しかし、ここで記載されている95〜110°等のエッジ先端角度を有するブレードを使用した場合、重合法トナーの残留トナーがすり抜けることを充分に抑制することができず、クリーニング不良が発生してしまうことがあった。
特開平5−19671号公報 特開2002−268487号公報 特開2004−272019号公報
本発明は、上記現状に鑑み、球形(真球状、異形状)で、かつ、小粒径の重合法トナーを使用した場合であっても像担持体表面の残留トナーのすり抜けを良好に防止し、優れたクリーニング性を有する電子写真装置用クリーニングブレードを提供することを目的とするものである。
本発明は、弾性ゴム部材及び支持部材を有する電子写真装置用クリーニングブレードであって、
上記弾性ゴム部材は、相手材に当接するエッジ先端角度が95〜135度であり、かつ、先端部に上記弾性ゴム部材の厚さ方向に垂直な面であって相手材に当接する側の面(以下、クリーニング面ともいう)に垂直な面を有し、
更に刃物でカットして作製された当接エッジを有し、
上記弾性ゴム部材は、ポリウレタンからなり、上記ポリウレタンがポリカプロラクトンポリオールをポリオール成分とするものであり、
リーディング方式で相手材に当接する
ことを特徴とする電子写真装置用クリーニングブレードである。
上記弾性ゴム部材の総厚さに対する、上記弾性ゴム部材の厚さ方向に垂直な面であって相手材に当接する側の面に垂直な面の厚さの比率aは、0<a≦0.99の範囲内であることが好ましい
記弾性ゴム部材は、100%モジュラスが2〜8MPaの範囲内のものであることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電子写真装置用クリーニングブレード(以下、単に「クリーニングブレード」ともいう)の弾性ゴム部材は、相手材に当接するエッジ先端角度が95〜135度であり、かつ、先端部にクリーニング面に垂直な面を有するものである。このような構成の弾性ゴム部材を有するため、本発明のクリーニングブレードを用いると、トナーとして球形(真球状、異形状)で、小粒径の重合法トナーを使用した場合であっても、像担持体(相手材)表面の残留トナーのすり抜けを良好に防止することができる。例えば、重量平均粒子径の小粒径の重合法トナーを使用した場合であっても、良好に残留トナーのすり抜けを防止することができる。従って、本発明のクリーニングブレードを使用すると、残留トナーのすり抜けに起因するクリーニング不良を良好に防止することができる。
本発明の電子写真装置用クリーニングブレードは、重量平均粒子径6〜8μmの小粒径の重合法トナーを使用した装置において良好に使用することができる。また、重量平均粒子径5〜6μmの重合法トナーを使用した装置であっても、良好に使用することができる。
図1は、本発明のクリーニングブレードの模式図の一例である(断面図)。図1のクリーニングブレードは、弾性ゴム部材1、支持部材2及び接着剤層3を有している。上記弾性ゴム部材1は、相手材(図示せず)に当接するエッジ先端角度4が95〜135度であり、かつ、弾性ゴム部材1の先端部(図1のクリーニングブレードでは、弾性ゴム部材1の右端部)にクリーニング面5に垂直な面6(以下、「先端垂直面」ともいう)を有している。当接エッジ7(相手材に当接するエッジ部)は、クリーニング面5及びこの面5と95〜135度(エッジ先端角度4)をなす面8(以下、「先端エッジ面」ともいう)により形成されている。
図2は、従来のエッジ先端角度90度のブレード〔(a−1)〜(a−3)〕、本発明のブレード〔(b−1)〜(b−3)〕、エッジ先端角度が鈍角のブレード〔(c−1)〜(c−3)〕、の挙動を使用した場合の像担持体(相手材)11の表面のクリーニング挙動を対比した模式図の一例である。
図2の(a−1)、(b−1)、(c−1)は弾性ゴム部材13、1が相手材11に当接する前の状態を示した模式図の一例であり、(a−2)、(b−2)、(c−2)は弾性ゴム部材13、1が静止した相手材11に当接した状態を示した模式図の一例である。(b−3)は、相手材11の動作中に、クリーニング面5及び先端エッジ面8により形成された当接エッジ7(エッジ先端角度95〜135度)と、先端垂直面6とを有する弾性ゴム部材1における当接エッジ7が相手材11上の残留トナー(図示せず)を掻き取っている状態を示した模式図の一例である。これに対し、(a−3)は、エッジ先端角度90度、(c−3)は、エッジ先端角度が鈍角の当接エッジ12を有する弾性ゴム部材13を使用した場合の残留トナー(図示せず)を掻き取っている状態を示した模式図の一例である。
本発明のクリーニングブレードを使用すると、残留トナーのすり抜けを良好に防止することができるため、重合法トナーを使用した場合であっても優れたクリーニング性が得られる。このような効果は、(b−3)で示したように、先端垂直面6及びエッジ先端角度95〜135度の当接エッジ7を有する弾性ゴム部材1を使用することによって得ることが可能となる。
このような効果が得られる理由は明らかではないが、以下に述べる作用・機能により、(a−3)、(c−3)の状態に比べて(b−3)の状態のニップ形状が安定化されるためであると推察される。
エッジ先端角度95〜135度の当接エッジ7を有することによって、当接エッジ7の振動(巻き込み)やエッジの変形を抑制できるため、ニップ形状をある程度安定化することができる。しかし、このような当接エッジ7によって得られるニップ形状の安定性は不充分なものであり、クリーニング性を充分なものとはいえない。これは、エッジ先端角度が鈍角のブレードを使用した場合には、(c−3)の状態において、大きな楔形状が形成されるため、トナーが溜まり易くなるとともに、その他の外力も作用し易くなるためであると推察される。
これに対して、本発明における弾性ゴム部材1は、エッジ先端角度95〜135度の当接エッジ7を有しているだけでなく、先端垂直面6も有している。これにより、(b−3)の動作時において、相手材11及び先端エッジ面8により形成される楔形状が小さくなり、またその他の外力が作用する確率が低減することにより外的な力を受け難くなるため、ニップ形状の安定性がより高められると推察される。そして、このような作用・機能によって、ニップ形状の安定性が高められる結果、圧接力分布が安定し、分布ピーク値の減少しないため、トナーの堰き止め力が維持され、残留トナーのすり抜けを抑制することが可能となると推察される。
また、本発明においては、エッジ形状の安定性が高いため、エッジの摩耗を抑制することもできる。更に、エッジ振動(巻き込み)を抑制することができるため、エッジ反転を防止することも可能となる。
本発明のクリーニングブレードは、弾性ゴム部材及び支持部材を有するものである。
上記弾性ゴム部材は、上記クリーニングブレードの使用時に、相手材(像担持体)表面のトナー及び外添剤等を掻き取るものである。
上記弾性ゴム部材は、相手材に当接するエッジ先端角度が95〜135度である。
上記エッジ先端角度が95度未満である場合や135度を超える場合、相手材表面の残留トナーや外添剤等のすり抜けが生じるおそれがある。100〜130度であることが好ましく、105〜125度であることがより好ましい。
上記エッジ先端角度は、弾性ゴム部材の相手材に当接するエッジ部(当接エッジ)の角度であり、クリーニング面と先端エッジ面とがなす角度である。図1のクリーニングブレードでは、エッジ先端角度4を意味する。上記クリーニング面は、図1に示したように、クリーニングブレードの使用時において、ブレードの弾性ゴム部材及び相手材を当接させた際、弾性ゴム部材の相手材に接しているブレードの長さ方向の面である。上記先端エッジ面は、図1に示したように、当接エッジにおいて、クリーニング面と95〜135度(エッジ先端角度)をなす面である。上記相手材としては、例えば、電子写真装置の像担持体等を挙げることができる。
上記弾性ゴム部材は、先端部にクリーニング面に垂直な面(先端垂直面)を有するものである。上記先端垂直面は、弾性ゴム部材の先端部におけるクリーニング面と垂直方向の面であり、図1のクリーニングブレードでは、クリーニング面5と反対側の面(接着剤層3が形成されている面)と90度をなしている先端垂直面6を意味する。
上記弾性ゴム部材の総厚さに対するクリーニング面に垂直な面(先端垂直面)の厚さの比率a(先端垂直面の厚さ/総厚さ)は、0<a≦0.99の範囲内であることが好ましい。上記範囲内である場合、外的な力を受け難く、残留トナーの回収が容易になるため、優れたクリーニング性が得られる。a=0の場合(即ち、先端垂直面を有さない場合)やa≧0.99の場合、相手材表面の残留トナーや外添剤等のすり抜けが生じるおそれがある。0.5<a≦0.95であることがより好ましい。
ここで、上記弾性ゴム部材の総厚さは、ブレードの長さ方向の厚み(クリーニング面及びクリーニング面と反対側の面により形成される厚み)であり、図1のクリーニングブレードでは、総厚さ9で示される長さを意味する。上記弾性ゴム部材の総厚さは、通常1.5〜3mmである。上記先端垂直面の厚さは、先端垂直面の厚さ方向の長さであり、図1のクリーニングブレードでは、先端垂直面の厚さ10で示される長さを意味する。
上記弾性ゴム部材は、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、EPDM等からなるものを挙げることができるが、なかでも、ポリウレタンからなるものが好ましい。これにより、相手材の残留トナーや外添剤等のすり抜けをより効果的に防止することができる。上記弾性ゴム部材を形成するポリウレタンとしては、ポリオール、ポリイソシアネート及び必要に応じて架橋剤を反応させて得られるもの等を挙げることができる。
上記ポリオールとしては特に限定されず、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等を挙げることができる。なかでも、相手材表面の残留トナーや外添剤等のすり抜けを防止することができる点から、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールが好ましい。耐摩耗性、低温クリーニング性をより向上させることができることから、ポリカプロラクトンポリオールが特に好ましい。このような効果が得られる理由は明らかではないが、ポリカプロラクトンポリオールをポリオール成分として使用するとともに、エッジ先端角度95〜135度の当接エッジ及び先端垂直面を有する弾性ゴム部材を使用することによる相乗効果によって得られていると推察される。
上記ポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリオールは、数平均分子量が1000〜3000であることが好ましい。上記範囲内のポリオールを用いることにより、相手材表面の残留トナーや外添剤等のすり抜けを効果的に防止することができる。本明細書において、数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)測定によるポリスチレン換算の測定値である。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸とグリコールとを常法に従って反応させることによって得られるものを挙げることができる。
上記ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、それらのエステル形成性誘導体等を挙げることができる。なかでも、相手材表面の残留トナーや外添剤等のすり抜けを防止することができる点から、上記ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸が更に好ましい。上記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、p−キシレンジオール等の芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール等を挙げることができる。上記グリコールとしては、脂肪族グリコールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールが更に好ましい。これらによるポリエステルポリオールは、線状構造であるが、3価以上のエステル形成成分を用いた分枝状ポリエステルであってもよい。上記ポリエステルポリオールのなかでも、相手材表面の残留トナーや外添剤等のすり抜けを防止することができる点から、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンブチレンアジペートがより好ましい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、それらの共重合体等のポリアルキレングリコール等を挙げることができる。なかでも、相手材表面の残留トナーや外添剤等のすり抜けを防止することができる点から、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、触媒の存在下に低分子量グリコールを開始剤としてε−カプロラクトンを開環付加させることにより得られるものを挙げることができる。上記低分子量グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の2価のアルコールとトリメチレングリコール、グリセリン等の3価のアルコールが好ましく用いられる。上記触媒としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラエチルチタネート等の有機チタン系化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、塩化第1スズ、臭化第1スズ等のスズ系化合物等が好ましく用いられる。なお、上記ε−カプロラクトン以外にもトリメチルカプロラクトンやバレロラクトンのような他の環状ラクトンを一部混合してもかまわない。
上記ポリイソシアネートとしては特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート等を挙げることができる。なかでも、相手材表面の残留トナーや外添剤等のすり抜けを防止することができる点から、芳香族イソシアネートが好ましい。
上記脂肪族イソシアネートとしては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。また、ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体の変性体等を挙げることができる。上記脂環族イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)等の脂環族ジイソシアネート等を挙げることができる。上記芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、カルボジイミド変性のMDI、ウレタン変性のMDI等を挙げることができる。上記ポリイソシアネートのなかでも、相手材表面表面の残留トナーや外添剤等のすり抜けを防止することができる点から、MDI、ウレタン変性のMDIが好ましく、MDIが特に好ましい。
上記ポリウレタンにおいて、必要に応じて用いられる架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、水等を挙げることができる。なかでも、相手材表面の残留トナーや外添剤等のすり抜けを防止することができる点から、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリンが好ましく、特にエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンが好ましい。
上記ポリウレタンは、上記原料を使用し公知の方法で製造することができ、例えば、適当な有機溶剤中で必要に応じて触媒を使用し、各原料の当量比をNCO/OH=0.9〜1.1に調整して反応させること、無溶剤で溶融反応させること等により製造することができる。また、全原料を同時に反応させる方法、プレポリマー方法等により製造することができる。
上記弾性ゴム部材の成形方法としては特に限定されず、例えば、常圧注型成形、減圧注型成形、遠心成形、回転成形、押出成形、射出成形、反応射出成形(RIM)、スピンコーティング等を挙げることができる。なかでも、相手材表面の残留トナーや外添剤等のすり抜けを防止したブレードが好適に得られる点から、遠心成形により成形して製造することが好ましい。
上記弾性ゴム部材は、100%モジュラスが2〜8MPaの範囲内のものであることが好ましい。上記範囲内であると、弾性ゴム部材の当接エッジの安定した当接圧(ニップ面圧)を確保し、相手材表面とのなじみが良好となる。このため、良好なクリーニン性を得ることができる。より好ましくは、2〜6MPaの範囲内である。本明細書において、100%モジュラスは、JIS K 6301に準じて測定される値である(ダンベル状3号試験片)。
上記弾性ゴム部材は、23℃において、JIS A 硬度は65〜78度であることが好ましい。上記範囲内であると、弾性ゴム部材の当接エッジの安定した当接圧(ニップ面圧)を確保し、相手材表面とのなじみが良好となる。このため、良好なクリーニン性を得ることができる。本明細書において、上記JIS A 硬度は、JIS K 7312に準じて、スプリング式タイプA硬さ試験機により測定される値である。本発明において、上記範囲内の100%モジュラスや硬度を有する弾性ゴム部材は、弾性ゴム部材を構成する材料を適当に選択し、適当なエッジ先端角度、先端垂直面を選択することによって得ることができる。
上記支持部材は、弾性ゴム部材を支持する機能を有するものである。上記支持部材としては特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、剛体の金属、弾性を有する金属、プラスチック、セラミック等から製造されたもの等を挙げることができる。なかでも、剛体の金属が好ましい。
本発明のクリーニングブレードは、接着剤層を有するものであることが好ましい。上記接着剤層は、上記支持部材と上記弾性ゴム部材とを接着させる機能を有する層である。上記接着剤層は、例えば、EVA系、ポリアミド系、ポリウレタン系ホットメルト接着剤や、硬化型接着剤、若しくは両面テープによる接着方法又は板金による挟み込み等により形成することができる。なかでも、相手材表面の残留トナーや外添剤等のすり抜けを防止したブレードが好適に得られる点から、上記接着剤層はホットメルト接着剤を用いて形成されるものが好ましい。
本発明の電子写真装置用クリーニングブレードは、従来公知の製造方法により得ることができ、例えば、弾性ゴム部材を製造する工程(1)及び上記工程(1)で得られた弾性ゴム部材と支持部材とを接着させる工程(2)を含む方法、によって製造することができる。
上記製造方法において、弾性ゴム部材は、上述した弾性ゴム部材である。
上記工程(1)で弾性ゴム部材の製造は、遠心成形法等によって行うことができ、上記遠心成形法は、従来公知の方法により行うことができる。例えば、ポリウレタンからなる弾性ゴム部材は、以下に示す方法等を用いて行うことができる。
先ず、弾性ゴム部材用材料を130〜150℃に予熱した遠心成形機の金型内に注入し、25〜50分間硬化させる。上記硬化反応後、金型から取り出すことにより、厚さ1.5〜3mmのシート体を得ることができる。これを幅8〜20mm、長さ220〜500mmの短冊状にカットすることにより、短冊状のゴム部材を得ることができる。
更に得られた短冊状のゴム部材のエッジ部(当接エッジが作製されるエッジ部)をカットすることによって、所望のエッジ先端角度や先端エッジ面、及び、先端垂直面を有する弾性ゴム部材を製造することができる。エッジ部のカットは、所望のエッジ先端角度や先端エッジ面、及び、先端垂直面の厚さを得ることができる従来公知の手段によって行うことができる。
上記製造方法において、弾性ゴム部材は、プレポリマー法、ワンショット法等によって得ることができる。プレポリマー法を用いる場合には、脱水処理を行ったポリオールとイソシアネートとを混合し、温度50〜80℃で10〜600分間反応させて得られるプレポリマーに、架橋剤等を加えて金型に注入し、硬化させる方法等により、硬化した弾性ゴム部材を得ることができる。ワンショット法を用いる場合には、脱水処理を行ったポリオールと架橋剤とを計量し、更にそこにポリイソシアネートを加えて計量して混合して、金型に注入し、硬化させる方法等により、硬化した弾性ゴム部材を得ることができる。
上記エッジ部をカットすることによって、所望のエッジ先端角度や先端エッジ面、及び、先端垂直面の厚さを有する当接エッジを作製する工程は、例えば、図3に示した装置によって行うことができる。
図3は、装置を用いてエッジ部21をカットする状態を示した模式図の一例である。カットする装置は、弾性ゴム部材27を載置するためのゴムセット治具22、弾性ゴム部材27のカット位置を決めるためのゴム位置決め治具23、載置された弾性ゴム部材27を上部から押さえてカット中のゴム部材の位置を固定するための押さえ治具24、エッジ部21をカットするための刃物25、及び、カット中に刃物25を固定するための刃物固定治具26を有するものである。
図3の装置においては、先ずゴムセット治具22及びゴム位置決め治具23によって載置位置が決められたゴムセット治具22上に、弾性ゴム部材27を載置する。次いで、載置された弾性ゴム部材27の上面から押さえ治具24によって圧力をかけて押さえることによって弾性ゴム部材27の位置を固定する。このようにして固定された弾性ゴム部材27のエッジ部21を、刃物固定治具26によって固定されている刃物25を使用してカットして(短冊状長手方向に刃物を走らせる)当接エッジを作製することにより、所望のエッジ先端角度や先端エッジ面、及び、先端垂直面の厚さを有する弾性ゴム部材27を製造することができる。
上記製造方法では、上記工程(1)を行った後、上記工程(1)によって得られた弾性ゴム部材と支持部材とを接着させる工程(2)を行う。上記工程(2)は、従来公知の方法により行うことができ、例えば、上述した接着剤を用いて接着すること等により行うことができる。上記工程(2)において、支持部材は、上述したものと同様のものである。
本発明の電子写真装置用クリーニングブレードは、特定形状の弾性ゴム部材を有するものであるため、相手材表面の残留トナーや外添剤等のすり抜けを好適に防止することができる。従って、重合法トナーを使用した場合であっても、残留トナー等のすり抜けを抑制することができ、優れたクリーニング性を得ることができる。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
実施例1〜5、参考例1〜6及び比較例1〜7 クリーニングブレードの製造
弾性ゴム部材用材料を140℃に予熱した遠心成形機の金型内に注入し、50分間硬化後取り出して、厚さ3mmのポリウレタンのシートを得た。得られたポリウレタンのシートを320mm×15mmに裁断した後、図3で示した装置を用いてエッジ部を裁断(カット)することにより、弾性ゴム部材を製造した。次いで、得られた弾性ゴム部材をメッキ鋼板からなる支持部材に、ポリウレタン系ホットメルト接着剤を用いて接着し、クリーニングブレードを作製した。
使用したポリウレタンA〜Eは、表1に示したとおりである。また、ポリウレタンA〜Eを構成する材料は以下に示したとおりである。
<ポリウレタンA>
(1)プレポリマー〔ポリオール:ポリカプロラクトンポリオール(数平均分子量2000)、ポリイソシアネート:4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(pure−MDI、NCO含有量6.70%)〕100質量部
(2)架橋剤(1,4−ブタンジオール:トリメチロールプロパン=75:25)6.82質量部
<ポリウレタンB>
(1)プレポリマー〔ポリオール:ポリカプロラクトンポリオール(数平均分子量2000)、ポリイソシアネート:pure−MDI(NCO含有量8.0%)〕100質量部
(2)架橋剤(1,4−ブタンジオール:エチレングリコール:トリメチロールプロパン=80:10:10)6.04質量部
<ポリウレタンC>
(1)プレポリマー〔ポリオール:ポリエチレンアジペートエステルジオール(数平均分子量2000)、ポリイソシアネート:pure−MDI(NCO含有量6.25%)〕100質量部
(2)架橋剤(1,4−ブタンジオール:トリメチロールプロパン=60:40)6.56質量部
<ポリウレタンD>
(1)プレポリマー〔ポリオール:ポリブチレンアジペートエステルジオール(数平均分子量2000)、ポリイソシアネート:(pure−MDI、NCO含有量5.85%)〕100質量部
(2)架橋剤(1,4−ブタンジオール:トリメチロールプロパン=60:40)5.13質量部
<ポリウレタンE>
(1)プレポリマー〔ポリオール:ポリエチレンブチレンアジペートエステルジオール(数平均分子量2000)、ポリイソシアネート:(pure−MDI、NCO含有量8.0%)〕100質量部
(2)架橋剤(1,4−ブタンジオール:トリメチロールプロパン=80:20)7.19質量部
上記クリーニングブレードの製造において、各ポリウレタンの材料を、弾性ゴム部材用材料として金型内へ注入する方法は、以下の通りである。
〔ポリウレタンの全材料の注入方法〕
脱水処理を行ったポリオールとイソシアネートとを混合し、温度70℃で240分間反応させて得られるプレポリマーに、架橋剤を加えてから注入した(プレポリマー法)。
使用した弾性ゴム部材のエッジ先端角度(度)、先端垂直面の厚さ(mm)、総厚さ(mm)、弾性ゴム部材の総厚さに対する先端垂直面の厚さの比率a、100%モジュラス(MPa)、JIS A 硬度(23℃)は表1に示したとおりである。100%モジュラス、JIS A 硬度は、上述した方法により測定される値である。
〔評価〕
実施例、参考例及び比較例のクリーニングブレードについて、以下の印字テストにより残留トナーのすり抜け( クリーニング性) を評価した。
(印字テスト)
クリーニングブレードを市販の普通紙複写機(有機感光体使用、速度35枚/分)に装着し、印字テストを行った(テストは、23℃及び10℃の雰囲気下で行った)。印字テストは、100枚ごとにトナーのすり抜けが生じているか否かをチェックして、印刷物にトナーのすり抜けに起因するスジが認められた時点で終了とし、その印刷枚数を記録した。
30000枚印刷してもスジが発生しなかったものは、更に100000枚まで枚数を増やしてテストを行った。結果を表1に示した。また、使用したトナーの重量平均粒子径、形状を表1に示した。なお、比較例において100枚未満でトナーのすり抜けが生じていたものは、表1に示した枚数の時点ですり抜けが生じていた。
表1から、実施例及び参考例のクリーニングブレードでは、球形(真球状、異形状)で、かつ、小粒径の重合法トナーを使用した場合であっても、23℃及び10℃の両温度において、トナーのすり抜けを良好に防止することが可能であった。特にポリカプロラクトンポリオールをポリオール成分として用いたものが優れていることが明らかとなった。また、ポリエチレンアジペートエステルジオール、ポリブチレンアジペートエステルジオール、ポリエチレンブチレンアジペートエステルジオールをポリオール成分として用いたものも実用上問題はないものであった。一方、比較例のクリーニングブレードでは、トナーのすり抜けが生じ、エッジ先端角度が95〜135度の範囲外であるブレードや先端垂直面を有さないブレードではすり抜けを良好に防止できないことが明らかとなった。
本発明の電子写真装置用クリーニングブレードは、普通紙を記録紙として使用した静電式電子写真複写機に好適に使用することができる。
本発明の電子写真装置用クリーニングブレードの模式図の一例である。 従来の電子写真装置用クリーニングブレード及び本発明の電子写真装置用クリーニングブレードのクリーニング挙動を対比した模式図の一例である。 弾性ゴム部材のエッジ部をカットする状態を示した模式図の一例である。
符号の説明
1、13、27 弾性ゴム部材
2 支持部材
3 接着剤層
4 エッジ先端角度(95〜135度)
5 クリーニング面
6 先端垂直面
7、12 当接エッジ
8 先端エッジ面
9 弾性ゴム部材の総厚さ
10 先端垂直面の厚さ
11 像担持体(相手材)
21 エッジ部
22 ゴムセット治具
23 ゴム位置決め治具
24 押さえ治具
25 刃物
26 刃物固定治具

Claims (6)

  1. 弾性ゴム部材及び支持部材を有する電子写真装置用クリーニングブレードであって、
    前記弾性ゴム部材は、相手材に当接するエッジ先端角度が95〜135度であり、かつ、先端部に前記弾性ゴム部材の厚さ方向に垂直な面であって相手材に当接する側の面に垂直な面を有し、
    更に刃物でカットして作製された当接エッジを有し、
    前記弾性ゴム部材は、ポリウレタンからなり、前記ポリウレタンがポリカプロラクトンポリオールをポリオール成分とするものであり、
    リーディング方式で相手材に当接する
    ことを特徴とする電子写真装置用クリーニングブレード。
  2. 弾性ゴム部材の総厚さに対する、前記弾性ゴム部材の厚さ方向に垂直な面であって相手材に当接する側の面に垂直な面の厚さの比率aは、0<a≦0.99の範囲内である請求項1記載の電子写真装置用クリーニングブレード。
  3. 弾性ゴム部材は、100%モジュラスが2〜8MPaの範囲内のものである請求項1又は2記載の電子写真装置用クリーニングブレード。
  4. 請求項1、2又は3記載の電子写真装置用クリーニングブレードを用いたトナーの除去方法であって、
    前記弾性ゴム部材の厚さ方向に垂直な面であって相手材に当接する側の面及び前記弾性ゴム部材の厚さ方向に垂直な面であって相手材に当接する側の面と95〜135度をなす面により形成される当接エッジが相手材上の残留トナーを掻き取ってトナーを除去する
    ことを特徴とするトナーの除去方法。
  5. 弾性ゴム部材用材料を成形してシート体を作製した後、前記シート体をカットすることにより短冊状のゴム部材を作製し、更に得られたゴム部材のエッジ部をカットすることよって、95〜135度のエッジ先端角度を備え、かつ、先端部に短冊状のゴム部材の主面に垂直な面を備えた弾性ゴム部材を作製する工程を含む電子写真装置用クリーニングブレードの製造方法であって、
    前記工程において、前記ゴム部材のエッジ部のカットは、
    前記ゴム部材を載置するためのゴムセット治具、前記ゴム部材のカット位置を決めるためのゴム位置決め治具、載置された前記ゴム部材を上部から押さえてカット中のゴム部材の位置を固定するための押さえ治具、前記ゴム部材のエッジ部をカットするための刃物、及び、カット中に刃物を固定するための刃物固定治具を有する装置を使用し、
    前記ゴムセット治具及び前記ゴム位置決め治具によって載置位置が決められた前記ゴムセット治具上に、前記ゴム部材を載置し、次いで、載置された前記ゴム部材の上面から前記押さえ治具によって圧力をかけて押さえることによって前記ゴム部材の位置を固定し、さらに、固定された前記ゴム部材のエッジ部を、前記刃物固定治具によって固定されている前記刃物を使用してカットすることにより行う
    ことを特徴とする電子写真装置用クリーニングブレードの製造方法。
  6. クリーニングブレードと、前記クリーニングブレードの相手材の像担持体とを備え、
    前記クリーニングブレードは、請求項1、2又は3記載の電子写真装置用クリーニングブレードである
    ことを特徴とする電子写真装置。
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