JP6284296B2 - 電子写真装置用クリーニングブレード - Google Patents
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特許文献2(特許第4820161号公報)では、割り金型の一方の金型に、部分層を形成する液状合成樹脂を横断面が弧状であるビード状に注型した後、金型を組み、ベース層を形成する液状合成樹脂を注型して、両樹脂を同時に加熱硬化して一体成形したポリウレタン製ゴム弾性部材を開発した。
特許文献3(特許第4818945号公報)では、当接部をエステル系ポリウレタン、背面部をエーテル系ポリウレタンとして、両ポリウレタンの特質を活かしたポリウレタン製ゴム弾性部材を開発した。
特許文献5(特開2010−66332号公報)では、当接部となるエッジ部のポリウレタンに摩擦低下剤、研磨剤、導電剤などを添加することにより、当接部のみの組成変更によって、それぞれの機能を発揮するポリウレタン製ゴム弾性部材を開発した。
特許文献6(特開2010−66333号公報)では、エッジ部分を形成するポリウレタンとしてtanδピーク温度が−3℃以上15℃以下であり、バックアップ層を形成するポリウレタンとしてtanδピーク温度が−15℃以上−5℃以下を用いることにより、低温・低湿環境下において、安定したクリーニング性能を発揮し、かつ、高温・高湿下での過酷な環境において使用されても耐久性を維持するポリウレタン製ゴム弾性部材を開発した。
特許文献7(特開2010−139737号公報)では、エッジ層ポリウレタンのイソシアネート成分が1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)を使用した硬度が80°(JIS−A)以上のポリウレタンであり、バックアップ層が、NDI系以外イソシアネート成分を用い硬度が80°未満のポリウレタンであるトナーのすり抜け防止性に優れた電子写真用クリーニングブレード用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
一方、地球資源の枯渇、エネルギーの逼迫など環境問題の観点から、リサイクルや部品の長期間の使用耐久性などが世界全体の課題となっている。
1.当接部と背面部からなる電子写真装置用クリーニングブレード用のポリウレタン製弾性ゴム部材であって、
当接部のポリウレタンは、エステル系ポリウレタンであり、背面部のポリウレタンは、エーテル系ポリウレタンであり、当接部のポリウレタンに用いられるプレポリマー中のイソシアネート基の比率は、15〜25.2重量%、架橋剤として用いられる1,4−ブタンジオールがプレポリマー100重量部に対して12.60〜19.31重量部であって、当接部のポリウレタンは、1〜50μmサイズのハードドメインを含むことを特徴とする電子写真装置用クリーニングブレード用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
2.当接部のポリウレタンのハードドメイン比率が0.1〜0.9であることを特徴とする1.に記載の電子写真装置用クリーニングブレード用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
3.当接部のポリウレタンのハードドメインのサイズは、2〜50μmであることを特徴とする2.に記載の電子写真装置用クリーニングブレード用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
4.当接部と背面部は当接部が膨らんだ円弧状であることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載された電子写真装置用クリーニングブレード用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
5.1.〜4.のいずれかに記載のポリウレタン製弾性ゴム部材が金属製支持部材に取り付けられていることを特徴とする電子写真装置用クリーニングブレード。
本発明が提供するクリーニングブレードは、例えば、60000枚以上の耐久性を発揮することが確認できた。
当接部と背面部の2層構造であって、当接部に比率0.1〜0.9のハードドメインを形成することにより、この高耐久性を実現した。そして、当接部のハードドメインのサイズは2〜50μmが好ましい。2層構造及びハードドメインを形成することにより、当接部にエステル系ウレタンあるいはエーテル系ウレタンを使用することも可能となった。
イソシアネート基15〜25.2重量%を含むプレポリマーが特にハードドメインの形成に有効である。
外周に溝を形成した回転成型ドラムを利用して連続成型する成型手段を用いた場合は、直接摺擦する当接部分のみに当接部を設けることができるので、当接部の比率を小さくすることにより2種類のポリウレタン物性の相違に基づく、歪みの原因を減少させることができ、安定したクリーニング作用を発揮できる。また、直接摺擦する当接部分のみに当接部を設ける手段として、本出願人が提案した割型を用いた特殊な方法も採用することができる。
本願発明のクリーニングブレードに用いるポリウレタン製弾性部材は、当接部を表面全体に設けて背面部と積層された全体に2層構成にする例(例えば、図1の例)、当接部を当接部分のみに形成する例(例えば。図2の例)がある。クリーニングブレードは、当接部の当接部分が相手材に当接摺擦して残留トナーや外添剤を掻き取りクリーニング作用を発揮する。
クリーニングブレードは、トナーを掻き取るために感光体ドラムなどの表面にエッジを当接するものである。厚さは1〜3mm、幅5〜20mm、長さ200〜500mm程度のポリウレタン製ゴム弾性部材を金属製の支持部材に貼り付けて形成されることが多い。
当接部と背面部の物性が異なるので、歪みなどの発生を抑える観点から当接部を薄く、小さくすることが好ましい。
当接部の厚みは、背面部よりも薄く形成し、全体1/3以下であって、更に薄い方が望ましい。現実的には、成形手段による制限や均一性などの製品精度上の規制があるので、0.8mm以下とすることができる。
連続成型法、割金型成型法によって得られた図2に示す当接部分のみを当接部に形成する方法では、当接部を中心に、当接部分の大きさは、厚み×幅が0.03〜0.8mm×0.03〜5mmとすることが可能である。
製法的には、遠心成型法では、0.1〜0.8mm程度の厚みが製造可能であるので、図1に示す全層的に2層に形成することはできるが、図2に示すエッジ部のみに当接部を形成する構造は困難である。
2層構造に形成したゴム弾性部材の当接部に比率0.1〜0.9のハードドメインを形成する。そして、当接部のハードドメインのサイズは1〜50μmであり、2〜50μmが好ましい。2層構造及びハードドメインを形成することにより、当接部にエーテル系ウレタンを使用することも可能となった。
本発明に用いられるゴム弾性部材は、熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いる。
ウレタンの形成材料としては、ポリイソシアネートおよびポリオールを含有するポリウレタン組成物が用いられる。
プレポリマー中のイソシアネート濃度を高くすることがハードドメインの成長のために有効である。ハードドメインを形成する試験をした結果、ハードドメインのサイズは1〜50μmを形成する組成として、プレポリマー中イソシアネート基が15〜25.2重量%が好ましい。
ポリオールとしてはポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールを用いる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸とグリコールとを常法に従って反応させることにより得ることができるものを挙げることができる。ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、それらのエステル形成性誘導体等を挙げることができる。
これらによるポリエステルポリオールは、線状構造であるが、3価以上のエステル形成成分を用いて分枝状ポリエステルであってもよい。
ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとして、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−メチルトリメチレンオキサイド、3,3′−ジメチルトリメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキサミン等の環状エーテルの開環重合体があげられる。
ポリイソシアネートとしては、従来から用いられている、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)を主に用いる。その他、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、カルボジイミド変性MDI、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、3,3′−ビトリレン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートウレチジンジオン(2,4−TDIの二量体)、メタフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等のジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート等のトリイソシアネート、ポリメリックMDI等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
ポリウレタン組成物には、上記ポリイソシアネートおよびポリオール以外に、架橋剤、(鎖延長剤)、界面活性剤、難燃剤、着色剤、充填剤、可塑剤、安定剤、離型剤、触媒等通常用いられている剤を配合することができる。
三級アミンとしては、トリエチルアミン等のトリアルキルアミンや、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン等のテトラアルキルジアミンや、ジメチルエタノールアミン等のアミノアルコールや、エトキシル化アミンや、エトキシル化ジアミンや、ビス(ジエチルエタノールアミン)アジペート等のエステルアミンや、トリエチレンジアミンや、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等のシクロヘキシルアミン誘導体や、N−メチルモルホリン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−ジメチルモルホリン等のモルホリン誘導体や、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N′−ジエチル−2−メチルピペラジン、N,N′−ビス−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルピペラジン等のピペラジン誘導体等があげられる。
有機錫化合物としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)等のジアルキル錫化合物があげられる。また、2−エチルカプロン酸第1錫、オレイン酸第1錫等があげられる。
外周に溝を形成した回転成型ドラムを利用して連続成型する成型手段では、反応促進剤として、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7−有機酸塩(DBU)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5−有機酸塩(DBN)またはこれらの混合物等が挙げられる。 かかる、反応促進剤は有効量としてプレポリマー100重量部に対して、0.01〜0.5重量部、好ましくは0.05〜0.3重量部の範囲で用いられる。
本発明で用いられる合成樹脂は、熱硬化性のポリウレタン樹脂である。ポリウレタンは、原料を使用し公知の方法で製造することができ、非溶剤型、有機溶剤型が使用できる。例えば、適当な有機溶剤中で必要に応じて触媒を使用し、OH基/NCO基の当量比が0.80〜1.10に調整して反応させること、無溶剤で溶融反応させること等により製造することができる。また、全原料を同時に反応させる方法、プレポリマー方法等により製造することができる。
特に、非溶剤型の2液性の熱硬化性ポリウレタンが適している。外周成型溝回転ドラムによる連続成型法では、非溶剤型の2液性の熱硬化性ポリウレタンが用いられる。注型から取り出しまでの時間が成形ドラムの一回転以内であり、60秒程度で取り出し可能な程度に重合固化している必要がある。このような条件を満たすイソシアネートとポリオール、架橋剤、触媒を選定し設計する。取り出した後の工程において、2次架橋、熟成工程を施すことができる。割型を用いる場合も、当接部となるポリウレタンの初期硬化時間を短くすることが望ましい。
当接部を形成するプレポリマーと背面部を形成するプレポリマーを別々に製造し、2回に分けて注型することとなる。
当接部のポリウレタン層と背面部のポリウレタン層の2層に形成する方法は、(a)外周に溝を形成した回転成型ドラムを利用して連続成型する方法、(b)割型による個別に成型する方法を利用することができる。(c)全面2層に形成する場合は、遠心成形法も採用することができる。
この成型手段は、本願発明者が先に提案した特許4974490号公報に開示した手段を利用することができる。ブレードに使用されているポリウレタン製弾性ゴム部材の幅と同一かそれより大きい幅を有する帯状の弾性ゴム部材を連続して製造し、その帯状の弾性ゴム部材を定寸にカットし、金属製の支持体の一側縁に接合して現像ブレード、クリーニングブレード等に仕上げる技術を基本製法とする。
この連続成型法は、複数の注型機を備えたものである。それぞれの注型機から組成の異なる合成樹脂を成形ドラムの成形溝に連続供給することにより、部分2層の合成樹脂層を備えた合成樹脂製のブレード素材を製造する方法である。連続回転する成形ドラムの成形溝に対して、注型口を前後に配置した場合は、先に注型された合成樹脂の上に後から注型された合成樹脂が被覆された状態で硬化して層が形成される。先に注型する合成樹脂の位置、供給量、合成樹脂の組成や種類、成形ドラムの回転スピードなどによって、当接部となる樹脂層の位置と幅、厚さをコントロールすることができる。後から注型する合成樹脂は、全体を充填するのに必要な量を供給することとなり、背面部(ベース層)を形成する。
この当接部用の組成のポリウレタンによって形成することにより、当接部のポリウレタンの物性の影響を弾性部材全体へ及ぼすことなく、小さく限定することができる。これによって、異なる物性のポリウレタン素材を組み合わせたことによって生ずる歪みなどの発生を小さくすることができる。
割型成型法は、1枚のポリウレタン製の弾性ブレードの大きさに相当するキャビティーを成型する2枚の型部材をあわせて、キャビティー内へ液状のポリウレタン原料を注型し、重合硬化後脱型して製造するものである。型組みする前に一方の割型の壁面に筋状に当接部を形成する液状のポリウレタン原料を塗布し、半硬化させた後に型組みして、背面部(ベース層)ポリウレタン原料を注入して、硬化させて脱型して部分2層を形成したブレード素材を得る。
この割型による部分2層の成型方法は、本出願人が出願した特許4820161号公報に開示した手段を用いることができる。
即ち、次のとおりである。当接部に相当する位置に熱硬化性樹脂である液状合成樹脂を吐出するヘッドを移動させるか、あるいは金型を移動させることにより熱硬化性樹脂をビード状に塗布するように注型した後、割り金型を組み、ベースとなる熱硬化性樹脂を注型して加熱炉で一体成形する。一体成形されたブレード素材は、割り金型を解体して取り出して所定のサイズに裁断されてブレードとして用いられる。金型を組むときに支持体の一部をキャビティー内部にセットして、ベース形成用樹脂を注型すると支持体とブレードゴム体を一体的に接合できる。
プレポリマーの製造例1〜8の組成を表1に示す。
1.プレポリマーの製造例1
ポリオールとしてポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製プラクセル220、分子量2000)を用いた。これを110℃で2時間減圧脱水させた。このポリオール100重量部に対し、ポリイソシアネートとして4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT)を150重量部加え、100℃で3時間、窒素雰囲気下で合成し、プレポリマー1を得た。このプレポリマーはエステル系である。
2.プレポリマー製造例2〜8
表1に示す組成のプレポリマーを製造例1と同様にして調整した。
なお、製造例1、3、5、7のプレポリマーはエステル系であり、製造例2、4、6、8のプレポリマーはエーテル系である。
背面部用注型機のプレポリマー用タンクにプレポリマー製造例4、ポリオール用タンクにPTG2000SN、架橋剤用タンクに1,4−ブタンジオール、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7を表1の比率になるように仕込み(液温60℃)、混合攪拌し、連続成形用金型に注型した(当接部を注入した後に)。注入量は金型キャビティーを丁度満たす量とした。 金型キャビティー断面寸法は幅25mm、深さ2mm、金型温度は140℃、架橋時間は45秒とした。
得られた連続した帯状のシートを長さ方向に232mmにカットし、次いで幅方向の中心でカットし、幅12.5mmの短冊を得た。当接部の形状は幅方向5mm、厚み方向0.3mmの概円弧状とした。
実施例2〜10、比較例1〜2
表2の組成で実施例1同様に短冊を得た。
比較例3
実施例5の当接部と同じ組成で単層を成形した。
実施例及び比較例に用いたウレタンの組成を表2に示す。
当接部のポリウレタンは、実施例1〜3、7、9がエステル系ウレタン、実施例4〜6、8、10がエーテル系ウレタン、比較例1がエステル系ウレタンで、比較例2がエーテル系ウレタンで、比較例3は実施例5の当接部と同じ組成であるが単層である。
実施例及び比較例で得られたポリウレタン製弾性ゴム部材のハードドメインを測定し、これらの弾性ゴム部材を金属製支持部材に取り付け外添剤のすり抜け試験とトナーのすり抜け試験を行って評価した。
ハードドメインサイズは、厚み100μmに成形した各当接部のウレタンを偏光顕微鏡Carl Zeiss社製Axio Scope A1(対物レンズ×100、透過、クロスニコル)で、撮影した画像よりハードドメインの直径を求めた。
ハードドメイン比率は、上記画像を画像処理ソフトWinROOFで濃淡を255段階に分け、閾値80で白黒2値化して求めた。
厚さ1.6mmの鋼板の金属製支持体にダイマー酸ベースのホットメルト接着剤を使用して、実施例及び比較例のポリウレタン製ゴム弾性部材を接合してクリーニングブレードを作製した。
このクリーニングブレードをDELL(cn3110)機に装着し、評価を行った。
10℃×15%RHの環境下で1000枚の印字テストを行った。帯電ローラーの表面状態について、外添剤の汚れの付着状態をランク分けし判定した。
28℃×85%RHで通紙試験をして、ブレードエッジの欠けに起因するトナーのすり抜けによる画像不具合発生までの通紙枚数で耐久性を評価した。通紙枚数は1000枚を単位1Kとした。
評価は次の通り
×:6k未満
△:6〜12k未満
○:12〜24k未満
◎:24k以上
結果を表3に示した。
(1)実施例1〜10は、良好なクリーニングが長期間保たれることが確認できた。特に、実施例4〜6、8、10は、外添剤のすり抜けも全く無く、トナー通紙耐久性も60〜80kと良好である。当接部としてハードドメインを形成したエーテル系ポリウレタンが適していると言える。
(2)当接部であるエッジ部のポリウレタンの微細組成を調べると、ハードドメインが2〜50μmの大きさである実施例1〜10において、60k以上の耐久性が示された。これに対して、1μm未満のサブミクロンの大きさでは十分な耐久性が得られないことがわかる。このことから、ハードドメインの大きさが1〜50μmであると耐久性を満足できる
(3)当接部のハードドメインの比率は、0.11〜0.90において、外添剤のすり抜け及び通紙枚数が良好であった。したがって、当接部のポリウレタンのハードドメイン比率が0.1〜0.9が良好であると判断できる。
(4)イソシアネート基に着目するとプレポリマー中に15〜25.2重量%を含む場合にハードドメインの大きさが1〜50μmになっていることが確認された。14.7重量%である製造例3、4のポリオールを用いた比較例1、2はハードドメインが1μm未満であり、耐久性が不良の結果である。これに対して、15重量%である製造例5、6のポリオールを用いた実施例7、8はハードドメインが1μm、2μmであり、外添剤のすり抜けおよび通紙耐久性も良好であった。そして、25.2重量%である製造例7、8のポリオールを用いた実施例9、10はハードドメインが48μm、50μmであり、外添剤のすり抜けおよび通紙耐久性も良好であった。
なお、プレポリマー中のイソシアネート基の濃度をさらに高くするとイソシアネート同士の自己反応が起き、短時間しか使用できないので、実用に堪えないことが確認できたので、プレポリマー中のイソシアネート基の濃度は15〜25.2重量%が適切である。
(5)一方、比較例に着目すると、比較例1、2は当接部と背面部を設けた構造であって、当接部として比較例1はエステル系ウレタンを採用している構成でもハードドメインが形成されていない点が相違し、その結果、通紙耐久性が劣る結果となっている。
当接部として比較例2はエーテル系ウレタンを採用している構成で、実施例4〜6と同様であるが、ハードドメインが形成されていない点が相違し、その結果、通紙耐久性が劣る結果となっている。
(6)比較例3は、エーテル系ウレタンの単層の弾性ゴム部材であり、ハードドメインは12μm、比率0.23と実施例と遜色ないが、通紙枚数が不十分であることが判明している。ハードドメインサイズが大きく当接部として適しているが、単層では不適切であることを示している。
(7)なお、低温環境下で比較例1より比較例2、3が、外添剤すり抜けが良好であることは、エーテル系ポリウレタンが低温特性に優れていることを現している。
2 支持部材
5 背面部
6 当接部
Claims (5)
- 当接部と背面部からなる電子写真装置用クリーニングブレード用のポリウレタン製弾性ゴム部材であって、
当接部のポリウレタンは、エステル系ポリウレタンであり、
背面部のポリウレタンは、エーテル系ポリウレタンであり、
当接部のポリウレタンに用いられるプレポリマー中のイソシアネート基の比率は、15〜25.2重量%、架橋剤として用いられる1,4−ブタンジオールがプレポリマー100重量部に対して12.60〜19.31重量部であって、
当接部のポリウレタンは、1〜50μmサイズのハードドメインを含むことを特徴とする電子写真装置用クリーニングブレード用のポリウレタン製弾性ゴム部材。 - 当接部のポリウレタンのハードドメイン比率が0.1〜0.9であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置用クリーニングブレード用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
- 当接部のポリウレタンのハードドメインのサイズは、2〜50μmであることを特徴とする請求項2に記載の電子写真装置用クリーニングブレード用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
- 当接部と背面部は当接部が膨らんだ円弧状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された電子写真装置用クリーニングブレード用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン製弾性ゴム部材が金属製支持部材に取り付けられていることを特徴とする電子写真装置用クリーニングブレード。
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