以下、本発明の実施形態を図1〜図11を用いて説明する。まず、第1の実施形態を図1〜図7を用いて説明する。但し、各実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概要)
最初に、第1の実施形態を説明する。尚、以下の実施形態の説明では、画像形成装置として電子写真方式でデジタル式のプリンター100を例に挙げる。図1は、第1の実施形態に係るプリンター100の概略構造を示す模型的断面左側面図である。
図1に示すように、操作パネル1(入力部に相当)が、プリンター100の正面上方に設けられる。そして、操作パネル1は、プリンター100の状態や各種メッセージを表示する液晶表示部11(報知部に相当)を備える。操作パネル1には、プリンター100の各種機能の設定(例えば、印刷に用いる用紙サイズや用紙厚さの設定)などを行うための操作キー12や、プリンター100の状態(ジョブ実行中やエラー発生等)に伴い点消灯するインジケーター13(報知部に相当)なども設けられる。
そして、図1に示すように、プリンター100の本体の内部下方に、給紙部2が配置される。給紙部2には挿脱可能なカセット21が含まれる。複数枚の用紙Pをカセット21に積載することができる。そして、給紙ローラー22(給紙回転体に相当)が給紙部2に設けられる。そして、給紙ローラー22は、積載された用紙Pのうち最上位の用紙Pと接し、回転駆動する。この給紙ローラー22の駆動により、用紙Pはカセット21から送り出される。
搬送路3が給紙部2の用紙搬送方向下流に接続される。搬送路3は、給紙部2から供給された用紙Pを画像形成部6に向けて搬送する。搬送路3には、上流側から、捌き部31、中間ローラー対4(回転体に相当)、レジストローラー対5(レジスト部に相当)が配置される。
用紙同士の摩擦や、摩擦に伴う静電気や、用紙吸湿に伴う吸着等の要因により、給紙部2から用紙Pが2枚以上重なって送り出されることがある(重送)。搬送路3の捌き部31は用紙重送を防ぐ。捌き部31は、一対のローラーを含む。捌き部31の、上側の上方ローラー32は用紙Pを画像形成部6方向に送る方向に回転駆動し、下側の下方ローラー33は給紙部2に用紙Pを送り返す方向に回転する。下方ローラー33は重送された用紙Pを給紙部2に送り返し、用紙Pの重送を解消する。
中間ローラー対4はレジストローラー対5や画像形成部6に向けて用紙Pを搬送する。そして、レジストローラー対5は、用紙Pの斜行を矯正する(詳細は後述)。そして、レジストローラー対5は、画像形成部6で形成されるトナー画像とのタイミングを計り、用紙Pを画像形成部6へと送り出す。
尚、本実施形態のプリンター100には、レジストセンサーS1(検知体に相当)が設けられる。レジストセンサーS1は、中間ローラー対4の下流側であって、レジストローラー対5の上流側かつ近傍に設けられる。例えば、レジストセンサーS1は、用紙Pのレジストローラー対5近傍への到達やレジストローラー対5の回転開始のタイミングを計るために用いられる。レジストローラー対5は、基本的に、レジストセンサーS1の用紙到達検知後、予め定められた撓み作成時間W1経過した後、回転を開始する。
画像形成部6でのトナー像形成を説明する。画像形成部6には、所定の速度で回転しトナー像を担持する感光体ドラム61が設けられる。感光体ドラム61の上部の帯電部62は、感光体ドラム61を一定の電位に帯電させる。そして、画像形成部6上方の露光部63は、コンピューター200(図2参照)等からプリンター100に送信された画像データや印刷での設定データに基づき、レーザ光Lを感光体ドラム61に照射する。これにより、静電潜像が感光体ドラム61上に形成される。感光体ドラム61の右側方の現像部64は静電潜像にトナーを供給する。これにより、トナー像が現像される。そして、感光体ドラム61の下方に、感光体ドラム61と圧接する転写ローラー65が設けられる。転写ローラー65と感光体ドラム61とのニップにトナー像と用紙Pが進入しているとき、転写ローラー65に、転写用の電圧が印加される。これにより、用紙Pにトナー像が転写される。
定着部7aが画像形成部6の用紙搬送方向下流に設けられる。定着部7aは、発熱体71を内蔵する加熱ローラー72と、加熱ローラー72に圧接してニップを形成する加圧ローラー73を含む。未定着トナー像を担持した用紙Pは、定着部7aに送られ、用紙Pはニップに進入する。これにより、加熱・加圧が転写済み用紙Pに行われ、トナーが用紙Pに定着する。その後、用紙Pは、排出搬送路7bを通って上方へ送られ、本体の最上部の排出トレイ74に排出される。尚、回転駆動して排出トレイ74に向けて用紙Pを搬送する搬送ローラー対75や排出ローラー対76が排出搬送路7bに設けられる。
(プリンター100のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、第1の実施形態に係るプリンター100のハードウェア構成を説明する。図2は、第1の実施形態に係るプリンター100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係るプリンター100は内部に制御部8を有する。制御部8は、全体統制や通信制御や画像処理を行い、プリンター100の各部を制御する。例えば、制御部8は、CPU81、画像処理部82等を含む基板である。
そして、制御部8は、記憶装置83(記憶部に相当)と接続される。記憶装置83は、ROM、RAM、フラッシュROM、HDD等の不揮発性と揮発性の記憶装置の組み合わせである。例えば、記憶装置83は、プリンター100の制御プログラム、制御データ等を記憶する。又、CPU81は、中央演算処理装置であり、記憶装置83に格納される制御プログラムや設定データに基づきプリンター100の各部の制御や演算を行う。
画像処理部82は、ASICや画像処理用RAM等を含む回路である。画像処理部82は、設定に合わせ拡大、縮小、濃度変換、データ形式変換等、各種画像処理を画像データに施す。そして、画像処理部82は、露光部63に画像処理後の画像データを送る。露光部63は、この画像データを受けて走査、露光を行い、感光体ドラム61に静電潜像を形成する。
又、制御部8は、操作パネル1と接続される。制御部8は操作パネル1でなされた入力を認識する。又、制御部8は操作キー12による入力内容を認識する。例えば、制御部8は操作パネル1の操作キー12によりなされた用紙サイズや用紙種類(厚さ)の設定を認識する。又、制御部8は、操作パネル1での液晶表示部11やインジケーター13による表示を制御する。例えば、ジャムなどのエラーが発生したとき、制御部8はインジケーター13を点灯させ、エラー発生の旨を表示させる。
又、制御部8は、I/F部84(入力部に相当)と接続される。I/F部84は、印刷を行う画像データや印刷における設定データを含む印刷データの送信元となるコンピューター200(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー等)等とネットワークやケーブルを介して通信を行うための通信インターフェイスである。プリンター100は、I/F部84に入力されたコンピューター200からの画像データや印刷での設定データに基づき、印刷を行う。I/F部84が受け取るデータには、印刷に用いる用紙サイズや用紙種類(厚さ)を指定するデータも含まれ、I/F部84は、印刷に用いる用紙サイズや種類を指定する入力を受け付ける。
プリンター100内部のうち、画像形成に関する部分(エンジン部90、例えば、給紙部2、搬送路3、画像形成部6、定着部7a、排出搬送路7b)を制御するため、エンジン制御部9(判定部、駆動制御部に相当)が機内に設けられる。エンジン制御部9は、例えば、エンジンCPU91やメモリー92や計時部93などを含む基板である。
エンジンCPU91は、メモリー92内のプログラムやデータに基づき、演算や処理を行う演算処理装置である。メモリー92は、画像形成に関する制御用のプログラムやデータを記憶するROMやRAMである。例えば、給紙部2の給紙開始タイミング補正用のプログラムやデータがメモリー92に記憶される。計時部93は、制御に関する時間を計時する。尚、計時はエンジンCPU91で行うこともできる。
エンジン制御部9は、メモリー92内の印刷に関する制御プログラムや制御データに基づき、適切に画像形成が行われるようにエンジン部90の各部の動作を制御する。尚、本実施形態では、制御部8とは別途、画像形成を行う部分を専門的に制御するエンジン制御部9を設ける例を説明するが、エンジン制御部9と制御部8を統合し、制御部8にエンジン制御部9の機能、処理を負わせてもよい。
エンジン制御部9は、給紙部2、搬送路3、画像形成部6、定着部7a、排出搬送路7bでの各種回転体を回転させるモーター等のON/OFF等を行って用紙供給、用紙搬送制御や、画像形成部6でのトナー像形成制御や、定着部7aでの定着温度制御などを行って、印刷に関する制御を司る。
図2に示すように、用紙搬送に関し、搬送路3には、例えば、上述のレジストセンサーS1、中間ローラー対4、レジストローラー対5が設けられる。これらの回転体を回転させる駆動力を供給する搬送モーター34が設けられる。エンジン制御部9は搬送モーター34の回転を制御し、用紙Pを搬送する必要があるとき搬送モーター34を回転させる。
レジストセンサーS1は、例えば、光センサーである。光センサーとして、搬送路3に向けて光を照射する発光部と、用紙Pで反射された光を受光する受光部を備える反射型光センサーを用いることができる。又、光センサーとして、発光部と受光部と搬送される用紙Pと接して動くアクチュエーターを備えた透過型光センサーを用いることもできる。例えば、透過型光センサーは、用紙Pが到達、通過中でないとき、アクチュエーターが発光部から受光部への光を遮り、用紙Pが到達、通過中では、アクチュエーターの位置が変わり発光部から受光部に光が到達し、出力が変化する。尚、用紙Pの到達、通過を検知できれば、光センサーとは限らず、他種のセンサーでもよい。
このように、レジストセンサーS1は、用紙Pの存在を検知しているときと検知していないときで、出力(出力電圧値)が切り替わる。そして、レジストセンサーS1の出力は、エンジン制御部9に入力される。エンジン制御部9は、レジストセンサーS1の出力により(例えば、HighかLowかにより)、レジストセンサーS1の設置位置に用紙Pが到達したか、到達した用紙Pが通過したか、といった点を認識できる。
そして、搬送モーター34からレジストローラー対5への駆動力の伝達のON/OFFを切り替えるレジストローラー用電磁クラッチ51が設けられる。エンジン制御部9は、レジストローラー対5や中間ローラー対4が予め定められた速度で回転するように、搬送モーター34を回転させる。そして、エンジン制御部9は、レジストローラー用電磁クラッチ51に対し、回転/停止を指示する信号を発し、レジストローラー対5の回転を制御する。エンジン制御部9は、レジストローラー対5を回転させるとき、搬送モーター34を回転させつつ、レジストローラー用電磁クラッチ51をON状態とする。これにより、レジストローラー対5は回転する。一方、エンジン制御部9はレジストローラー対5を停止させるとき、搬送モーター34を停止させるか、レジストローラー用電磁クラッチ51をOFF状態とする。これにより、レジストローラー対5は停止した状態で保たれる。
又、搬送モーター34から中間ローラー対4への駆動力の伝達のON/OFFを切り替える中間ローラー用電磁クラッチ41が設けられる。エンジン制御部9は、中間ローラー対4用電磁クラッチに対し、回転/停止を指示する信号を発し、中間ローラー対4の回転を制御する。エンジン制御部9は、中間ローラー対4を回転させるとき、搬送モーター34を回転させつつ、中間ローラー用電磁クラッチ41をON状態とする。これにより、中間ローラー対4は回転する。一方、エンジン制御部9は中間ローラー対4を停止させるとき、搬送モーター34を停止させるか、中間ローラー用電磁クラッチ41をOFF状態とする。これにより、中間ローラー対4は停止する。
又、図2に示すように、例えば、給紙に関し、給紙部2には、給紙ローラー用電磁クラッチ23が設けられる。給紙ローラー用電磁クラッチ23は、複数のギアを介して搬送モーター34からの駆動力が伝達される(別途、給紙ローラー用のモーターを設けても良い)。そして、エンジン制御部9は、用紙Pを給紙する必要があるとき搬送モーター34を回転させる。
給紙ローラー用電磁クラッチ23は、搬送モーター34から給紙ローラー22への駆動力の伝達のON/OFFを切り替えるためのものである。エンジン制御部9は、給紙ローラー22対用電磁クラッチに対し、回転/停止を指示する信号を発し、給紙ローラー22の回転を制御する。エンジン制御部9は、給紙ローラー22を回転させるとき、搬送モーター34を回転させつつ、給紙ローラー用電磁クラッチ23をON状態とする。これにより、給紙ローラー22は回転する。一方、エンジン制御部9は給紙ローラー22を停止させるとき、搬送モーター34を停止させるか、給紙ローラー用電磁クラッチ23をOFF状態とする。これにより、給紙ローラー22は停止する。
(用紙Pの撓み作成)
次に、図3を用いて、第1の実施形態に係るプリンター100での用紙Pの撓み作成を説明する。図3は、第1の実施形態に係るプリンター100での用紙Pの撓み作成を説明するための説明図である。
具体的に、図3は、模式的に給紙部2から画像形成部6(感光体ドラム61と転写ローラー65)までの搬送経路を示したものである。具体的に、図3では、用紙搬送方向上流側から給紙ローラー22、捌き部31、中間ローラー対4、レジストセンサーS1、レジストローラー対5、画像形成部6を示している。尚、図3は、各部材の位置関係を模式的に示したものであり、各部材の大きさの比率や各部材間の距離は実際と異なり得る。
本実施形態のプリンター100では、エンジン制御部9は、レジストローラー対5に用紙Pを突き当てつつ、中間ローラー対4に用紙搬送を行わせて、用紙Pを撓ませる。そこで、図3を用いて、本実施形態のプリンター100での用紙Pの撓み作成を説明する。
エンジン制御部9は、給紙ローラー22を回転させ、中間ローラー対4を回転させ、用紙Pをレジストローラー対5に向けて搬送させる。そして、エンジン制御部9は、レジストセンサーS1の出力に基づき、レジストセンサーS1への用紙到達を認識する。
用紙PがレジストセンサーS1に到達したとき、エンジン制御部9は、レジストローラー対5を停止状態としておく。これにより、用紙Pの先端がレジストローラー対5に突き当たる。そして、エンジン制御部9は、レジストローラー対5を停止させたまま、中間ローラー対4に用紙搬送を継続させる。その結果、撓められた用紙Pの弾性で、用紙Pの先端がレジストローラー対5のニップに沿う。これにより、用紙Pの斜行が矯正される。
そして、本実施形態のプリンター100では、レジストセンサーS1で用紙到達検知やレジストローラー対5の停止、回転によらず中間ローラー対4は、回転を続ける。言い換えると、紙間が狭くなりすぎている等の特段の事情がない限り、印刷ジョブでの1枚目から最終頁の用紙搬送が完了するまで回転を続ける。そして、レジストセンサーS1の用紙到達検知から予め定められた撓み作成時間W1が経過すると、エンジン制御部9は、レジストローラー対5を回転させる。
本実施形態では、用紙Pの撓みを作成し、レジストローラー対5が回転し用紙Pを送り出しても、中間ローラー対4は停止しない。これにより、中間ローラー用電磁クラッチ41の応答速度の個体差や、中間ローラー用電磁クラッチ41の経年劣化による応答速度の劣化などの中間ローラー対4に起因して生ずる用紙Pの撓み量のばらつきを無くす。レジストローラー対5の回転に応じて、エンジン制御部9は、画像形成部6での画像形成を開始させる。これにより、トナー像を用紙P内でのねらった位置に的確に転写することができる。
(タイミングと時間計測)
次に、図3と図4を用いて、第1の実施形態に係るプリンター100での各部材の駆動のタイミングと給紙開始タイミングを補正するための時間計測を説明する。図4は、第1の実施形態に係るプリンター100での給紙と用紙搬送を説明するためのタイミングチャートである。
まず、図4での最上段のチャートは、エンジン制御部9が給紙ローラー用電磁クラッチ23に発する給紙ローラー22の回転開始/停止を指示する信号を示す。Highは回転、Lowは停止を意味する。この信号を受けて、給紙ローラー用電磁クラッチ23は、搬送モーター34から給紙ローラー22への駆動力の伝達経路の連結、解放を切り替える。
図4での2段目のチャートは、エンジン制御部9が中間ローラー用電磁クラッチ41に発する中間ローラー対4の回転開始/停止を指示する信号を示す。Highは回転、Lowは停止を意味する。この信号を受けて、中間ローラー用電磁クラッチ41は、搬送モーター34から中間ローラーへの駆動力の伝達経路の連結、解放を切り替える。
又、図4での上から3段目のチャートはレジストセンサーS1の出力変化を示す。尚、本実施形態では、図4に示すように、レジストセンサーS1は、用紙Pの存在を検知しているときHighを出力し、用紙Pの存在を検知していないときLowを出力する。尚、各センサーの正負の論理は、逆でもかまわない。
図4での最下段のチャートは、エンジン制御部9がレジストローラー用電磁クラッチ51に発するレジストローラー対5の回転開始/停止を指示する信号を示す。Highは回転、Lowは停止を意味する。この信号を受けて、レジストローラー用電磁クラッチ51は、搬送モーター34からレジストローラー対5への駆動力の伝達経路の連結、解放を切り替える。
次に、タイミングチャートを時間の経過に沿って説明する。まず、用紙搬送のため、エンジン制御部9は給紙ローラー22を回転させる(図4でのt1の時点)。そして、用紙搬送中(1つの印刷ジョブが終わるまで)、エンジン制御部9は中間ローラー対4を回転させ続ける(中間ローラー用電磁クラッチ41への信号をHighで維持)。
給紙部2から供給された用紙Pは、中間ローラー対4によって搬送され、その結果、レジストセンサーS1に用紙Pが到達する。エンジン制御部9は、レジストセンサーS1の出力変化を認識し、レジストセンサーS1への用紙到達を認識する(図4でのt2の時点)。
そして、エンジン制御部9は、レジストセンサーS1への用紙到達から、予め定められた撓み作成時間W1(図4でのt2とt3の期間)が経過するまで、レジストローラー対5を停止状態で保つ。これにより、常時、同じだけ用紙Pは撓まされる。そして、レジストセンサーS1への用紙到達から撓み作成時間W1が経過すると、エンジン制御部9はレジストローラー対5を回転させる(図4でのt3の時点)。連続的に印刷を行うとき、給紙→レジストセンサーS1到達→待ち時間待機(撓み作成時間W1待機による撓み作成)→レジストローラー対5のONが繰り返される。
次に、本実施形態のプリンター100で給紙開始タイミング補正のための計時を説明する。本実施形態のプリンター100では、エンジン制御部9が給紙ローラー22の回転ONを指示する信号(給紙開始指示信号)を発してからレジストセンサーS1が用紙到達を検知するまでの時間(測定時間T1、図4でのt1〜t2の時間)を測定する。又、本実施形態のプリンター100では、レジストセンサーS1が用紙通過検知(用紙後端検知)から次の用紙到達検知(用紙先端検知)までの時間(紙間時間T2、図4でのt0〜t2の時間)を測定する。例えば、エンジン制御部9の計時部93が測定時間T1や紙間時間T2の計時を行う。
そして、本実施形態のプリンター100では、例えば、エンジン制御部9が判定部として機能し、測定した測定時間T1と紙間時間T2を用い、レジストローラー対5への用紙到達の遅れ、進みに対する給紙開始タイミングの補正内容を定める。
(用紙到達の遅れ、進みの判定の概要)
次に、図5を用いて、第1の実施形態に係るプリンター100での用紙到達の遅れ、進みの判定を説明する。図5は、第1の実施形態に係るプリンター100での用紙到達の遅れ、進みの判定の概念を説明するための説明図である。尚、以下の説明では、給紙ON〜レジストセンサーS1到達を検知した用紙Pを「第2用紙」と称し、第2用紙の直前に搬送された用紙P(第2用紙の前方位置の用紙P)を「第1用紙」と称して説明する。この場合、第1用紙→第2用紙の順番で搬送される。
本実施形態のプリンター100では、第2用紙の測定時間T1と、測定時間T1を測定した用紙P(第2用紙)と測定時間T1を測定した用紙Pの1枚前の用紙P(第1用紙)との紙間時間T2を用いて、給紙開始タイミングの補正の要否や補正量を定める。
具体的に、エンジン制御部9は、第2用紙の給紙開始信号からレジストセンサーS1への第2用紙の到達に要した時間(測定時間)が基準となる測定時間(基準測定時間R1)よりも長いか否かにより、給紙開始タイミングの補正の要否や補正量を場合に分けて定める。
尚、以下の説明では、以下の記号(符号)を用いて場合に分けて説明する。
T1:測定時間(第2用紙の給紙開始信号からレジストセンサーS1の用紙到達検知までの実際に測定された時間)
R1:基準測定時間(理論的、理想的な測定時間)
T2:紙間時間(レジストセンサーS1の第1用紙の通過検知から第2用紙到達検知までの実際に測定された時間)
R2:基準紙間時間(理論的、理想的な紙間時間)
[第2用紙の到達が遅れている場合(T1−R1>0の場合)]
まず、エンジン制御部9は、以下の式(1)に基づき、第2用紙(第1用紙に対して後方の用紙)が基準測定時間R1に対し遅れているか否かを判定する。
(式1) T1−R1(実測された測定時間−基準測定時間)
T1−R1>0ならば(T1>R1、(式1)の計算結果が正の値ならば)、エンジン制御部9は、第2用紙の到達が遅れていると判定する。そして、この第2用紙の判定結果に基づき、給紙開始タイミングの補正の要否と補正量を定める。
第2用紙の到達が遅れている場合(T1−R1>0の場合)、次に、エンジン制御部9は、以下の(式2)の演算を行う。
(式2) T2−R2(実測された紙間時間−基準紙間時間)
そして、エンジン制御部9は、第1用紙と第2用紙の紙間が理想的な紙間よりも広ければ(T2−R2>0、T2>R2ならば)、(T2−R2)分だけ、給紙ローラー22の給紙開始タイミングを早める旨を定める。このエンジン制御部9の補正内容の設定により、第2用紙の次の用紙では、エンジン制御部9は、第2用紙のときよりも、(T2−R2)分だけ早めた給紙開始タイミングで給紙ローラー22に給紙を行わせる(早く給紙を開始させる)。尚、給紙開始タイミングを早めると、第2用紙と第2用紙の次の用紙の紙間が狭くなるので、例外的に、第2用紙と第2用紙の次の用紙との関係における給紙開始タイミングの補正では、T2−R2分だけ基準紙間時間を短くしてもよい(第2用紙の次の用紙と第2用紙の次の用紙の更に次の用紙との関係では、基準紙間時間を戻す)。
一方、エンジン制御部9は、第1用紙と第2用紙の紙間が理想的な紙間と同じ又は理想的な紙間よりも狭ければ(T2−R2≦0、T2≦R2ならば)、給紙開始タイミングを補正しない(補正できない)旨を定める。このエンジン制御部9の補正内容の設定により、第2用紙の次の用紙では、エンジン制御部9は、第2用紙のときと同じ給紙開始タイミングで給紙ローラー22に給紙を行わせる。
次に、図5を用いて、第2用紙の到達が遅れている場合(T1−R1>0の場合)の補正をケースに分けて説明する。まず、図5での(1)は、第2用紙の到達が遅れている場合(T1−R1>0の場合)であって、第1用紙と第2用紙との紙間時間T2が基準紙間時間R2よりも長いケースである(T2−R2>0)。この場合、先の用紙との紙間が広がり、第2用紙の測定時間T1自体も基準から遅れているので、第2用紙に遅れが生じていると断定できる。そこで、第2用紙の次の用紙では、T2−R2だけ給紙開始タイミングを早め、給紙開始からレジストローラー対5への用紙到達遅れの解消を図る。尚、第2用紙の測定時間T1と基準測定時間T2の差の分、直接的に給紙開始タイミングを早めると、第2用紙以降の用紙での紙間が狭くなりすぎることがあるが、T2−R2だけ給紙開始タイミングを早めるので、用紙の紙間を考慮した補正量となり、第2用紙と第2用紙の次の用紙の紙間の一定量は確保される。
次に、図5での(2)は、第2用紙の到達が遅れている場合(T1−R1>0の場合)であって、第1用紙と第2用紙との紙間時間T2が基準と同等又は短いケースである(T2−R2≦0)。この場合、第2用紙のレジストローラー対5への到達が基準から遅れていると、通常、第1用紙と第2用紙の紙間が広がるはずであるが、紙間が狭いのであれば、給紙開始タイミングを早めることが適切な補正と判断しきれない。そこで、第2用紙の次の用紙では、第2用紙と給紙開始タイミングを変えない。
[第2用紙が早く到達している場合(T1−R1≦0の場合)]
エンジン制御部9は、上記の式(1)に基づき演算し、演算結果が(T1−R1)≦0ならば(T1≦R1、(式1)の計算結果が負の値ならば)、エンジン制御部9は、第2用紙は基準よりもレジストローラー対5に早く到達していると判定する。そして、この第2用紙の判定結果に基づき、給紙開始タイミングの補正の要否と補正量を定める。
第2用紙が早く到達している場合(T1−R1≦0の場合)、次に、エンジン制御部9は、以下の(式3)、(式4)の演算を行う。
(式3) R1−T1(基準計測時間−実測された計測時間 第1値に相当)
尚、この場合、(式3)の計算結果は0又は正の値を取る。
(式4) R2−T2(実測された紙間時間−基準紙間時間 第2値に相当)
そして、エンジン制御部9は(R1−T1)≦(R2−T2)ならば(レジストローラー対5への第2用紙の用紙到達タイミングでのずれ以上に、第1用紙と第2用紙の紙間が狭まっているならば)、このエンジン制御部9の補正内容の設定により、第2用紙の次の用紙では、エンジン制御部9は、第2用紙のときと同じ給紙開始タイミングで給紙ローラー22に給紙を行わせる(補正しない)。尚、このとき、(R1−T1)は必ず正の値を取るので、(R2−T2)も正の値を取る。従って、この場合、紙間時間T2は基準紙間時間R1よりも短いことになる。
一方、エンジン制御部9は(R1−T1)>(R2−T2)ならば(レジストローラー対5への第2用紙の用紙到達タイミングでのずれよりは、第1用紙と第2用紙の紙間のずれ幅が小さいとき)、場合に分けて補正量を異ならせる。
具体的に、エンジン制御部9は(R1−T1)>(R2−T2)であり、R2≧T2ならば(R2−T2≧0、第1用紙と第2用紙の紙間時間が同じ、又は、紙間が基準よりも狭まっていれば)、(R1−T1)−(R2−T2)だけ第2用紙のときよりも遅い給紙開始タイミングで給紙ローラー22に給紙を行わせる。
又、エンジン制御部9は(R1−T1)>(R2−T2)であり、R2<T2ならば(R2−T2<0、第1用紙と第2用紙の紙間時間が基準紙間時間よりも長く、紙間が基準よりも広まっていれば)、(R1−T1)+(T2−R2)だけ第2用紙のときよりも遅い給紙開始タイミングで給紙ローラー22に給紙を行わせる。
次に、図5を用いて、第2用紙がレジストローラー対5に早く到達している場合(T1−R1≦0の場合)の補正をケースに分けて説明する。まず、図5での(3)は、第2用紙のレジストローラー対5への到達に進みがある場合(T1−R1≦0の場合)であって、(R1−T1)≦(R2−T2)のケースである。この場合、レジストローラー対5への第2用紙の用紙到達タイミングでのずれ以上に、第1用紙と第2用紙の紙間が狭まっている。この場合、紙間が狭くなっているので、給紙部2に載置された第2用紙の先端位置が用紙搬送方向下流側にずれていた等の要因は考えられる。そこで、第2用紙の次の用紙では、第2用紙と給紙開始タイミングを変えない。
次に、図5での(4)は、第2用紙のレジストローラー対5への到達に進みがある場合(T1−R1≦0の場合)であって、(R1−T1)>(R2−T2)であり、かつ、基準紙間時間R2が第1用紙と第2用紙との紙間時間T2と同等又は長いケースである(R2≧T2)。この場合、先の用紙との紙間が狭まっていて(R2≧T2より)、第2用紙の測定時間T1自体も基準から進んでいるので、第2用紙のレジストローラー対5への到達が早くなっている(給紙開始タイミングが早くなっている)と考えられる。
そこで、第2用紙の次の用紙では、(R1−T1)−(R2−T2)だけ第2用紙のときよりも給紙開始タイミングを遅くし、適切なタイミングで用紙をレジストローラー対5に到達させる。尚、第2用紙の測定時間T1と基準測定時間T2の差の分、直接的に給紙開始タイミングを遅くすると、第2用紙と第2用紙の次の用紙との紙間が広くなりすぎるなど、補正量として多すぎることがある。しかし、(R1−T1、正の値)−(R2−T2、正の値)として、補正量を第2用紙の測定時間T1と基準測定時間T2の差の分よりもR2−T2だけ小さくするので、用紙の紙間を考慮した補正量となり、第2用紙と第2用紙の次の用紙の紙間は広がりすぎない。
次に、図5での(5)は、第2用紙のレジストローラー対5への到達に進みがある場合(T1−R1≦0の場合)であって、(R1−T1)>(R2−T2)であり、かつ、第1用紙と第2用紙との紙間時間T2が基準紙間時間R2よりも長いケースである(T2>R2)。この場合、先の用紙との紙間が広くなっていて(T2>R2より)、第2用紙の測定時間T1自体も基準から進んでいるので、第2用紙の次の用紙の給紙開始タイミングを早めても問題はないと考えられる。そこで、第2用紙の次の用紙では、(R1−T1)+(T2−R2)だけ第2用紙のときよりも給紙開始タイミングを遅くし、適切なタイミングで用紙をレジストローラー対5に到達させる。
用紙Pのある点からある点まで搬送に要した時間(本実施形態では給紙開始信号からレジストセンサーS1の用紙到達検知)が基準に対して遅れ、進みが有るからといって、必ずしも、用紙搬送に遅れ、進みが生じているといえない場合がある。そこで、本実施形態の画像形成装置(プリンター100)では、紙間を見つつ、補正の必要性や補正量を定める。これにより、用紙搬送の遅れ、進みを厳密に判定することができる。その結果、給紙部2での給紙開始タイミングが厳密に補正され、中間ローラー対4を停止させず、レジストローラー対5だけで用紙Pの撓み量を補正する画像形成装置でも、レジストローラー対5に用紙Pを適切なタイミングで到達させて用紙Pの撓み量を一定とする。これにより、安定した用紙搬送が実現される。
ここで、従来、中間ローラー4を一時的に停止させ、レジストローラー対5での用紙Pの撓み量を調整していた。しかし、中間ローラー用電磁クラッチ41の連結と開放での応答速度の誤差や個体差や経年劣化により、用紙Pの撓み量がばらつくことがあった。そこで、上述のように、本実施形態のプリンター100では、用紙搬送中(1つの印刷ジョブが終わるまで)、エンジン制御部9は中間ローラー対4を回転させ続ける(中間ローラー用電磁クラッチ41への信号をHighで維持)。
しかし、給紙開始タイミングを早くしすぎると、レジストローラー対5より下流側で最低限必要な紙間分の時間(以下、この時間を「必要紙間時間Pt」という。)を確保できないほど、紙間が詰まる場合がある。尚、紙間が詰まりすぎると、用紙のジャムの原因と鳴る場合がある。又、紙間が詰まりすぎると、トナー像を用紙の適切な位置に転写できない場合もあり得る。そして、第2用紙が早く到達している場合(T1−R1≦0の場合)、給紙開始タイミングを早くしすぎていることに起因することがある。そこで、第2用紙が早く到達している場合(T1−R1≦0の場合)であって、紙間時間T2が、必要紙間時間Ptよりも短い場合に限り、エンジン制御部9は、給紙開始タイミングを遅くするようにしてもよい。
例えば、必要紙間時間Ptを示すデータは、エンジン制御部9のメモリー92に記憶される。そして、エンジン制御部9は、第2用紙が早く到達している場合(T1−R1≦0の場合)、紙間時間T2が、必要紙間時間Ptよりも短いか否かにより、レジストローラー対5より下流側で最低限必要な紙間(時間)よりも、紙間が狭くなっているか(紙間時間が短すぎるか)を確認する。そして、エンジン制御部9は、紙間時間T2が、必要紙間時間Ptよりも短い場合に限り、給紙開始タイミングを遅くする。
(給紙開始タイミング補正の流れ)
次に、図6、図7に基づき、第1の実施形態に係るプリンター100での給紙開始タイミング補正の流れの一例を説明する。図6は、第1の実施形態に係るプリンター100での給紙開始タイミング補正の流れの一例を示すフローチャートである。図7は、第1の実施形態に係るプリンター100での給紙開始タイミング補正用データの一例を示す説明図である。
まず、本実施形態に係る給紙開始タイミングの補正では、紙間時間T2をみて、補正の必要性の有無や補正量を判定する。そのため、図6のスタートは、2枚以上の用紙Pを連続的に搬送する印刷ジョブの開始時である。言い換えると、印刷に用いるデータとして、2頁以上の画像データをコンピューター200から受信し、印刷ジョブを開始する時点である。
印刷ジョブの開始のとき、エンジン制御部9は、印刷に用いる用紙Pを確認する(ステップ♯1)。言い換えると、エンジン制御部9は、印刷にどのような用紙Pが用いられるかを確認する。
具体的に、エンジン制御部9は、印刷に用いる用紙厚さや用紙種類を確認する。例えば、用紙厚さにより、紙のコシの強弱が異なる、厚紙のようにコシが強ければ、搬送路3でのガイドを強く擦り、搬送速度が落ちることがある。そうすると、例えば、給紙開始信号からレジストセンサーS1の用紙到達検知までの時間は、厚紙の方が普通紙や薄紙よりも長くなる。又、搬送を行う部材の回転に要する負荷やスリップの程度も用紙厚さや用紙表面の状態により異なる。例えば、用紙表面がコートされた用紙P(例えば、光沢紙)は、コートのない通常のOA用紙(普通紙)よりもスリップしづらいことがあり得る。このように、用紙種類により、給紙開始信号からレジストセンサーS1の用紙到達検知までの時間は異なり、紙間時間T2も異なり得る。
そこで、メモリー92には、用紙厚さや用紙表面の状態などに応じ、基準測定時間と基準紙間時間を定めた給紙開始タイミング補正用データが記憶される。この給紙開始タイミング補正用データの概念的な説明図が図7である。図7に示すように、例えば、用紙厚さに応じて、基準測定時間と基準紙間時間が定められる。
尚、用紙厚さは坪量(g/m3)で示されることもあるが、多様な厚さの用紙が販売されているので、どのような厚さの用紙を普通紙、厚紙、薄紙と扱い、普通紙、厚紙、薄紙の基準測定時間と基準紙間時間を定めるかは、任意である。例えば、プリンター100のメーカー(出願人)が推奨する普通紙、厚紙、薄紙を用いて、実測し、基準測定時間と基準紙間時間を定めてもよい。又、現在流通している普通紙、厚紙、薄紙のそれぞれについて、統計を取り平均的な普通紙、厚紙、薄紙の厚さを求め、平均に基づき、基準測定時間と基準紙間時間を定めてもよい。又、コート紙についても同様であり、コート紙についてもプリンター100のメーカー(出願人)が推奨するコート紙を用いても良いし、統計を取り平均的なコート紙の厚さを求め、基準測定時間と基準紙間時間を定めてもよい。
又、基準測定時間と基準紙間時間は、用紙サイズによって異なり得るので、図7に示すように、用紙サイズごとにも用紙種類に応じて基準測定時間と基準紙間時間が定められてもよい。
そして、印刷に用いる用紙種類、サイズは、操作パネル1に入力して設定することができる。操作パネル1になされた用紙種類、サイズの設定入力内容は、制御部8を介して、エンジン制御部9に伝えられ、エンジン制御部9は、印刷に用いる用紙種類、サイズを認識できる。又、画像データを送信するコンピューター200には、プリンター100を使用するためのプリンタードライバソフトウェアがインストールされる。そして、プリンタードライバソフトウェア上で、印刷に用いる用紙種類やサイズを設定可能とし、設定された用紙種類やサイズは、印刷での設定データとしてプリンター100(I/F部84)に送信されてもよい。言い換えると、コンピューター200からの印刷に関する設定データに基づき、エンジン制御部9は、用紙種類、サイズを認識、確認してもよい。
そして、エンジン制御部9は、メモリー92に記憶された給紙開始タイミング用データを参照し、用紙種類(厚さ等)に応じて、給紙開始タイミング補正に用いる基準測定時間と基準紙間時間を読み出す(ステップ♯2)。
続いて、エンジン制御部9は、給紙開始を指示する信号を発し、1枚目の用紙Pの給紙がなされる(ステップ♯3)。そして、エンジン制御部9は、中間ローラー対4を回転させ、レジストローラー対5への用紙搬送と撓み生成を行わせる(ステップ♯4)。そして、エンジン制御部9は、撓み作成時間W1が経過した後、レジストローラー対5を回転させる(ステップ♯5)。
そして、エンジン制御部9は、次の用紙P(第2用紙)の給紙開始を指示する信号を発し、次の用紙Pの給紙を行うとともに、次の用紙Pの測定時間T1の計時を開始する(ステップ♯6)。又、エンジン制御部9は、レジストローラー対5から送り出した用紙P(第1用紙)の後端通過にともない、紙間時間T2の計時を開始する(ステップ♯7)。そして、エンジン制御部9は、次の用紙P(第2用紙)が到達するまでにレジストローラー対5を停止させる(ステップ♯8)。やがて、用紙PがレジストセンサーS1に到達することにより、エンジン制御部9は、レジストセンサーS1に到達した用紙P(第2用紙)の測定時間T1と、直前に搬送された用紙P(第1用紙)とレジストセンサーS1に到達した第2用紙との紙間時間T2を認識する(ステップ♯9)。
そして、エンジン制御部9は、上述の各式に基づき、第2用紙の次の用紙での給紙開始タイミングの補正の必要性の有無や給紙開始タイミングを早めるか遅くするか、給紙開始タイミングを補正するときの補正量(補正内容)を定める(ステップ♯10)。そして、エンジン制御部9は、定めた補正内容に基づき、第2用紙の次に給紙する用紙Pの給紙開始タイミングを早める、又は、遅くして、給紙開始タイミングの補正を行う(ステップ♯11)。言い換えると、エンジン制御部9は、給紙ローラー22の回転開始のタイミングを現在よりも遅く又は早くする。尚、補正を行わないと判定したとき、給紙開始タイミングの補正を行う。
ここで、第2用紙の給紙のときよりも、給紙開始タイミングを早める、又は、遅くする量は、エンジン制御部9は、求めた(定めた)補正量よりも更に小さくしてもよい。給紙部2に載置された用紙Pの先端位置は、用紙搬送方向下流側にずれることがある。例えば、重送で重なって搬送された用紙Pが捌き部31で給紙部2方向に戻されたときや、用紙Pの摩擦力により給紙に伴って用紙Pが捌き部31方向に引きずられたとき、用紙搬送方向下流側にずれることがある。
給紙部2に載置された用紙Pの先端位置が用紙搬送方向下流側にずれていれば、用紙Pのレジストローラー対5への到達は早くなる。例えば、給紙ローラー22と捌き部31の間の搬送に要する時間が100ms程度であれば、0〜100ms程度の範囲で測定時間T1の差として現れ得る。そのため、定めた補正量でタイミングを補正すると、紙間が狭くなりすぎる場合もあり得る。
そこで、ステップ♯11の給紙開始タイミング補正では、定めた補正量よりも小さい範囲で補正してもよい。更に、給紙開始タイミングを補正するとき、エンジン制御部9は、給紙開始タイミングを早めると定めても、早める限度を用紙間で最低限必要な紙間を確保できる範囲でのみ給紙開始タイミングを早める補正を行うようにしてもよい。
ここで、3枚以上の用紙搬送を連続的に行うとき、3枚目以降の給紙のとき、給紙開始タイミング補正がなされる。そして、給紙開始タイミングを早くしたとき、紙間が狭まる可能性がある。例えば、本フローチャートのループで、給紙開始タイミングが複数回早めるように補正がなされると、紙間が狭まることがある。
そうすると、レジストセンサーS1で用紙到達検知後、中間ローラー対4を回転させたまま、撓み作成時間W1だけ待った後、直ちにレジストローラー対5の回転を開始すると、レジストローラー対5よりも下流側(画像形成部6や定着部7a)で最低限必要な紙間を確保できない場合も生じ得る。例えば、最低限必要な紙間が確保できないと、トナー像の形成が間に合わず、用紙Pへのトナー像の転写位置のずれが生じ得る。又、後ろの用紙Pが前の用紙Pに追突してジャムも生じかねない。
そこで、エンジン制御部9は、例えば、(紙間時間T2−撓み作成時間W1)<Ptのとき(但し、Pt:レジストローラー対5より下流側で最低限必要な紙間分の時間)、中間ローラー用電磁クラッチ41を用いて、中間ローラー対4を一旦停止させる。そして、エンジン制御部9は中間ローラー対4停止から、Pt−(紙間時間T2−撓み作成時間W1)だけ待った後、レジストローラー対5及び中間ローラー対4を回転させる。
このように、エンジン制御部9は、レジストローラー対5よりも下流で最低限必要な紙間を確保してから、レジストローラー対5を回転させ、レジストローラー対5に到達して撓みが生成された用紙Pを送り出す(ステップ♯12)。これは、紙間を測定していることにより可能となる。
尚、中間ローラー対4を停止させて、レジストローラー対5よりも下流で最低限必要な紙間を確保することも可能である。しかし、連続的に印刷を行うとき、中間ローラー4を停止させず、上述のように、第2用紙が早く到達している場合(T1−R1≦0の場合)であって、紙間時間T2が、必要紙間時間Ptよりも短い場合に限り、エンジン制御部9は、給紙開始タイミングを遅くして、レジストローラー対5よりも下流で最低限必要な紙間を確保してもよい。
続いて、エンジン制御部9は、給紙すべき用紙Pの全てについて給紙が完了しているかを確認する(ステップ♯13)。もし、完了していれば(ステップ♯13のYes)、エンジン制御部9は、用紙搬送や画像形成完了に伴い、搬送モーター34を停止させ、給紙ローラー22や中間ローラー対4やレジストローラー対5などの各種回転体を停止させ(ステップ♯14)、本制御は終了する(エンド)。
一方、完了していなければ(ステップ♯13のNo)、ステップ♯6に戻る。これにより、2枚目以降の用紙Pで、測定時間T1と紙間時間T2が計時され、レジストローラー対5に到達した用紙Pの次の用紙Pの給紙開始タイミングがフィードバック的に補正される。
(用紙搬送遅れに係る報知)
次に、図1を用いて、第1の実施形態に係るプリンター100での用紙搬送遅れに係る報知を説明する。
上述のように、レジストローラー対5の回転開始タイミングに用紙Pの到達が遅れたり、早く到達しすぎたりしないように給紙開始タイミングは補正される。しかし、中間ローラー対4や給紙ローラー22が寿命以上に摩耗していたり、清掃が全くなされていなければ、何度給紙開始タイミングを補正してもレジストローラー対5への用紙到達が遅れがちとなる。
そこで、エンジン制御部9は、単位時間当たりの印刷枚数をカウントし、予め定められた基準としての単位時間当たりの基準印刷枚数を確保できているか否かを確認する。基準印刷枚数は仕様上定められるものであり、例えば、A4用紙30枚/分、A4用紙40枚/分、A4用紙60枚/分、というように、PPMの形で定められることが多い。
例えば、エンジン制御部9(の計時部93)は、1枚目の給紙開始から排出ローラー対76近傍に設けられる排出検知センサーS2(図1参照)で印刷ジョブでの最後の用紙Pが排出されるまでの時間(印刷所要時間)を計時する。例えば、エンジン制御部9は、ジョブでの総印刷枚数を(印刷所要時間[秒]/60[秒])で除して、1分間当たりの印刷枚数を求める。
尚、排出検知センサーS2は、用紙Pの到達、通過を検知する光センサーである。そして、排出検知センサーS2の出力は、エンジン制御部9に入力され、用紙排出をエンジン制御部9は認識する。
もし、予め定められた回数、給紙開始タイミングを早くしても、単位時間当たりの印刷枚数が基準印刷枚数に至らないとき、給紙開始タイミング補正では、生産性維持を実現できず、中間ローラー対4や給紙ローラー22に異常が存在する可能性がある。そこで、エンジン制御部9は、予め定められた回数、給紙開始タイミングを早くしても、単位時間当たりの印刷枚数が基準印刷枚数に至らないとき、操作パネル1の液晶表示部11やインジケーター13を用いて、中間ローラー対4や給紙ローラー22の確認を促す報知を行う。
例えば、エンジン制御部9は、液晶表示部11に、中間ローラー対4や給紙ローラー22の確認を促す旨の文字やエラーコードを表示させる。あるいは、エンジン制御部9は、インジケーター13を点消灯させて、中間ローラー対4や給紙ローラー22の確認を促す旨を発光により報知する。
このようにして、本実施形態の画像形成装置(プリンター100)は、用紙Pに画像を形成する画像形成部6と、画像形成部6に向けて用紙Pを搬送するレジスト部(レジストローラー対5)と、複数の用紙Pを収容し、給紙回転体(給紙ローラー22)を含み、給紙回転体を回転させて用紙Pをレジスト部に向けて送り出す給紙部2と、レジスト部よりも用紙搬送方向上流側に設けられ、レジスト部への用紙到達を検知するための検知体(レジストセンサーS1)と、給紙部2からの第2用紙の給紙開始から検知体の第2用紙の用紙到達検知までの測定時間T1と、第2用紙の直前の用紙Pである第1用紙の検知体の通過検知から第2用紙到達検知までの紙間時間T2を計時する計時部93と、予め定められた測定時間T1の基準としての基準測定時間R1と測定時間T1を参照するとともに、予め定められた紙間時間T2の基準としての基準紙間時間R2と紙間時間T2とを参照し、給紙開始タイミングの補正内容を定める判定部(エンジン制御部9)と、を含み、給紙部2は、判定部が定めた補正内容に基づき、現在の給紙開始タイミングよりも給紙開始タイミングを早く又は遅くする。
これにより、用紙と用紙の紙間を考慮に入れつつ、総合的、正確に用紙搬送の遅れ、進みを判断したうえで、給紙開始タイミングを補正することができる。尚、「基準測定時間R1」は、遅れ、進みが無いときの予め定められた理想的な測定時間T1である。「基準測定時間R1」は、例えば、搬送時間を測定する2点間の距離を画像形成装置(プリンター100)で設計や仕様で予め定められた用紙搬送速度で除して得られる時間である。又、「基準紙間時間R2」は、遅れ、進みが無いときの予め定められた理想的な紙間としての時間である。例えば、「基準紙間時間R2」は、画像形成装置(プリンター100)で設計や仕様で予め定められた用紙Pと用紙Pの距離(紙間)を予め定められた用紙搬送速度で除して得られる時間である。
又、判定部(エンジン制御部9)は、測定時間T1から基準測定時間R1を減じた値が0よりも大きいとき(第2用紙の到達が遅れているとき)、補正内容として、紙間時間T2が基準紙間時間R2よりも長ければ(紙間からみても第1用紙に対し第2用紙が遅れていることが明らかであれば)、紙間時間T2から基準紙間時間R2を減じた時間分、現在の給紙開始タイミングよりも給紙開始タイミングを早めることを定め、紙間時間T2が基準紙間時間R2以下であれば(第2用紙が遅れて到達しているが、第1用紙と第2用紙の紙間が狭くなっていれば)、補正しないことを定めることとした。これにより、紙間を考慮に入れつつ、用紙搬送での遅れに伴う給紙開始タイミングの補正の必要性を正確に判定することができる。
具体的に、第2用紙の到達に遅れが見られ(測定時間T1−基準測定時間R1>0)、第1用紙と第2用紙の紙間が基準よりも広ければ(紙間時間T2−基準紙間時間R2>0)、第2用紙に遅れがあるとして給紙開始タイミングを早める補正がなされる。一方、第1用紙と第2用紙の紙間が基準以下であれば(紙間が狭くなっていれば、紙間時間T2−基準紙間時間R2≦0)、補正しない。第2用紙に遅れがあれば、通常、第1用紙と第2用紙の紙間が広がるはずであるが、紙間が狭いのであれば、給紙開始タイミングを早めることが適切な補正と判断しきれない(例えば、給紙開始タイミングの補正を行うと第2用紙と第2用紙の次の用紙Pの紙間がかなり狭くなり得る)。そこで、紙間時間T2が基準紙間時間R2以下であるとき、補正しないことを補正内容として定める。又、単純に測定時間T1と基準測定時間R1のずれ時間分、給紙開始タイミングを早める補正をすると、紙間が狭くなりすぎる場合があるところ、給紙部2は、紙間時間T2から基準紙間時間R2を減じた時間に基づき(紙間に基づき)給紙開始タイミングを補正するので、紙間が狭くなりすぎることを防ぐことができる。
又、判定部(エンジン制御部9)は、測定時間T1から基準測定時間R1を減じた値が0以下であるとき(第2用紙のレジスト部(レジストローラー対5)への到達に遅れがない又は到達が早いとき)、基準測定時間R1から測定時間T1を減じた第1値(基準測定時間R1−測定時間T1)と、基準紙間時間R2から紙間時間T2を減じた第2値(基準紙間時間R2−紙間時間T2)とを求め、補正内容として、第2値が第1値以上であれば(レジスト部への第2用紙の用紙到達タイミングでのずれ以上に、第1用紙と第2用紙の紙間が狭まっていれば)補正しないことを定め、第1値が第2値よりも大きければ(レジスト部への第2用紙の用紙到達タイミングでのずれよりは、第1用紙と第2用紙の紙間のずれ量の方が小さいとき)、現在の給紙開始タイミングよりも給紙開始タイミングを遅くすることを定めることとした。これにより、紙間を考慮に入れつつ、用紙搬送での進みに伴う給紙開始タイミングの補正の必要性を正確に判定することができる。
具体的に、第2用紙の到達に進みが見られ(測定時間T1−基準測定時間R1≦0)、第2値が第1値以上であれば(第1値≦第2値)、第1用紙と第2用紙の紙間がかなり狭くなっていることが考えられる。このような大きな第2用紙の進みは、給紙部2の用紙Pの先端位置が用紙搬送方向下流側に寄った状態から第2用紙の給紙が開始されたこと等が要因として考えられるが、補正を避けた方が良いことが考えられる。そこで、第2値が第1値以上であれば(第1値≦第2値)、補正しない。一方、第2値が第1値よりも小さければ(第1値>第2値)、紙間におけるずれは、第2用紙の到達における基準とのずれよりも小さいので給紙開始タイミングを遅らせる補正を行う。
又、給紙部2から供給された用紙Pをレジスト部(レジストローラー対5)に向けて搬送し、複数枚の用紙Pを搬送する間、回転を続ける回転体(中間ローラー対4)を有し、測定された紙間時間T2がレジスト部よりも用紙搬送方向下流側で必要な紙間に対して短いとき、回転体は、一時的に回転を停止し、回転体とレジスト部は、必要な紙間となるまで待った後、用紙搬送を開始する(ステップ♯12)。
連続した用紙搬送中、中間ローラーを停止させない画像形成装置(プリンター100)でも、用紙Pの撓み作成やレジスト部(レジストローラー対5)の用紙Pの送り出しを開始にあわせて、適切なタイミングで用紙Pをレジスト部に到達させることができる。例えば、各ローラーの経時劣化などで、用紙Pの遅れが生じていれば、給紙開始タイミングを早め、画像形成装置(プリンター100)の生産性(PPM)が確保される。その結果、用紙Pの撓み量を一定にし、ジャムや印刷に遅れなどがなく、要求される搬送能力を満たすことができる。又、給紙開始タイミングを早めると、紙間が狭くなり得る。そうすると、検知体(レジストセンサーS1)の用紙到達検知から撓み作成時間待機して後、直ちにレジスト部(レジストローラー対5)が用紙搬送を行うと、レジスト部よりも下流で必要な紙間よりも短い間隔で用紙Pを送り出してしまうことがある。そうすると、画像形成が間に合わない、用紙Pでの画像形成位置のずれ、用紙Pの詰まり(ジャム)といった問題が生じ得る。しかし、回転体(中間ローラー対4)は、一時的に回転を停止し、回転体とレジスト部は、必要な紙間となるまで待った後、用紙搬送を開始する。これにより、紙間測定を生かし、レジスト部よりも用紙搬送方向下流側で必要な紙間を確保したうえで用紙Pを送り出すことができる。
又、判定部(エンジン制御部9)は、測定された紙間時間T2がレジスト部(レジストローラー対5)よりも用紙搬送方向下流側で必要な紙間に対して短いときのみ、現在の給紙開始タイミングよりも給紙開始タイミングを遅くする。これにより、必要な最小の紙間を確保できていれば、単位時間あたりの印刷枚数が落ちないように給紙開始タイミングを遅らせず、給紙開始タイミングを早くしすぎて、必要な最小の紙間を確保できないときのみ、給紙タイミングを遅らせるようにすることができる。
又、判定部(エンジン制御部9)は、紙間時間T2を計時する度に補正内容を定め、給紙部2は、判定部が補正内容を定める度に給紙開始タイミングを早く又は遅くすることとした。これにより、連続的に用紙Pが搬送されるとき、フィードバック的に、給紙部2は給紙開始タイミングを補正する。従って、レジスト部(レジストローラー対5)に適切なタイミングで用紙Pを到達させることができる。
又、給紙回転体(給紙ローラー22)の回転を開始させる旨の給紙開始信号を発する駆動制御部(エンジン制御部9)を含み、計時部93は、給紙開始信号が発せられてから検知体(レジストセンサーS1)が用紙到達を検知するまでの時間を測定時間T1として計時し、基準測定時間は、給紙開始信号が発せられてから検知体(レジストセンサーS1)が用紙到達を検知するまでの基準として予め定められた時間である。これにより、給紙部2への給紙開始信号(給紙ON信号)が発せられてから検知体が用紙先端を検知するまでの時間が測定時間T1として計時される。これにより、用紙搬送に要する時間に基づいて、給紙開始タイミングを補正することができる。
又、給紙部2に収容され印刷に用いられる用紙厚さを設定する入力を受け付ける入力部(操作パネル1やI/F部84)を含み、判定部(エンジン制御部9)は、設定入力された用紙厚さに応じて、基準測定時間及び紙間時間T2を切り替える。スリップの程度や搬送における負荷が異なるため、用紙種類(厚さや材質)により用紙搬送速度は異なる。例えば、同じように搬送に関する部材を駆動させても、普通のオフィス用紙Pよりも厚紙の方が搬送に要する時間が長くなる。しかし、この構成によれば、用紙種類にあわせて、給紙開始タイミングを補正することができる。
又、単位時間当たりの印刷枚数をカウントするカウント部(例えば、エンジン制御部9)と、報知を行う報知部(液晶表示部11やインジケーター13)と、を含み、給紙部2が給紙開始タイミングを予め定められた回数早くしても、カウント部がカウントした単位時間当たりの印刷枚数が、予め定められた基準としての単位時間当たりの印刷枚数である基準印刷枚数に至らないとき、報知部は、給紙部2、回転体(中間ローラー対4)及びレジスト部(レジストローラー対5)の何れか1つ又は複数の確認を促す報知を行う。給紙開始タイミングの補正を繰り返してもレジスト部への用紙Pの到達が遅れれば、給紙や搬送を行う部材に故障があるか、部材の摩耗がかなり進行している可能性がある。そこで、この構成によれば、搬送に関する部材の点検、確認の必要性を使用者に認識させることができる。
(第2の実施形態)
次に、図8を用いて、第2の実施形態に係る画像形成装置(プリンター100)での給紙開始タイミング補正を説明する。図8は、第2の実施形態に係るプリンター100での給紙開始タイミング補正の流れの一例を示すフローチャートである。
プリンター100を実際に使用するにおいて、突発的に用紙搬送での遅れが生ずる場合がある。第1の実施形態で説明した給紙開始タイミングの補正を行えば、突発的な用紙搬送の遅れに対応できる。しかし、用紙搬送遅れ(レジストローラー対5への到達遅れ)は、給紙ローラー22や中間ローラー対4の摩耗等に起因して、経時にともなう傾向としても現れる。この場合、給紙開始タイミングを補正しなければ、常時、仕様、設計上の単位時間当たりの印刷枚数(例えば、PPM)を満たさなくなり得る。
又、第1の実施形態では、測定時間T1や紙間時間T2を測定するごとに給紙開始タイミングを補正したが、エンジン制御部9での処理の負荷を軽くする観点や、経時にともなう用紙搬送遅れに対処する観点で言えば、複数枚の用紙Pの印刷を行い、複数枚の用紙Pでのレジストローラー対5での測定時間T1や紙間時間T2の平均を求め、平均に基づき給紙開始タイミングを補正すれば、十分である場合もある。
そこで、第1の実施形態は、連続した用紙搬送で、1枚ずつ測定時間T1と紙間時間T2を計時し、紙間時間T2を計時するごとに給紙開始タイミングを補正したが、第2の実施形態では、複数枚の用紙Pを印刷し、予め定められた時点で、測定時間T1や紙間時間T2の平均を求め、給紙開始タイミングを補正する。第2の実施形態では、この給紙開始タイミングの補正を行うときが、第1の実施形態と異なる。しかし、プリンター100の構成や給紙開始タイミングの補正の基本的な考え方は第1の実施形態と同様でよい。そのため、第1の実施形態と第2の実施形態で共通する点は、第1の実施形態の記載を援用できるので、特に説明する場合を除き、共通する点は、説明、図示を省略する。
本実施形態のプリンター100では、例えば、メモリー92(記憶装置83でもよい)が測定時間T1や紙間時間T2の平均値を求めるための測定結果データを記憶する。例えば、メモリー92は、第2用紙の測定時間T1と第1用紙と第2用紙の紙間時間T2を測定結果データとして複数枚数分記憶する。そして、エンジン制御部9は、給紙開始タイミング補正を行うとき、各用紙Pの測定時間T1と紙間時間T2に基づき、測定時間T1と紙間時間T2の平均値をそれぞれ求める。
あるいは、エンジン制御部9は、第2用紙の測定時間T1と第1用紙と第2用紙の紙間時間T2を測定するごとに、測定時間T1と紙間時間T2の平均値をそれぞれ求めておく。そして、メモリー92は、測定結果データとして、複数枚数分の各用紙Pの種類やサイズごと測定時間T1や紙間時間T2の平均値を記憶する。
ここで、給紙開始タイミング補正を行う時点は、任意に定めることができる。例えば、所定枚数印刷されるごとに給紙開始タイミング補正がなされても良い。尚、所定枚数は任意に定めることができ(例えば、10枚、500枚、1000枚など)、用紙搬送の遅れ、進みの傾向を把握できる枚数であればよい。
あるいは、給紙開始タイミング補正を行う時点は、用紙補給のため給紙部2のカセット21が取り外された時点でもよい。カセット21内の用紙が無くなると、使用者は、用紙補給のために取り外す。例えば、カセット21には、普通紙で500枚程度の用紙束をセットできる。又、普通紙の包装は、一般に500枚単位でなされていることが多い。
そのため、カセット21の取り外しがあれば、500枚程度の印刷がなされたことになる。そこで、エンジン制御部9は、カセット21の挿脱を認識する。そして、エンジン制御部9は、所定枚数印刷されるごとに給紙開始タイミング補正を行っても良い。
具体的に、カセット21の取り外し、取り付けを認識するため、例えば、エンジン制御部9にはカセット21の取外、取付を検知するための挿脱検知センサーS3(図1参照、例えば、インターロックスイッチ、挿脱検知体に相当)が接続される。挿脱検知センサーS3は、カセット21が取り外された状態と、取り付けられた状態で異なる出力となる(例えば、HighとLow)。そして、挿脱検知センサーS3の出力は、例えば、エンジン制御部9に入力される(図2参照)。これにより、エンジン制御部9は、カセット21の取外、取付(挿脱)を認識できる。
あるいは、用紙搬送で遅れが生ずると、一般的な傾向として、ジャム(詰まり)が生じやすくなる。そこで、エンジン制御部9は、ジャムが発生したときに、給紙開始タイミング補正を行っても良い。給紙開始タイミング補正を行う時点は、用紙搬送において、ジャム(用紙の詰まり)が発生した時点でもよい。ジャムは、給紙開始タイミングに起因して生ずることもあり得る(紙間が狭すぎる等)。そのため、ジャムが発生すると、エンジン制御部9は、給紙開始タイミング補正を行っても良い。
具体的に、ジャム発生の検知は、例えば、エンジン制御部9が行う。搬送路には、用紙の到達と通過を検知するセンサー(以下、「用紙センサー」と称する。)が設けられる。例えば、排出ローラー対76近傍に設けられるレジストセンサーS1や排出検知センサーS2や後述する給紙センサーS4を用紙センサーとして用いることができる(図2参照)。その他、定着部7aに用紙センサーを設けても良い(定着センサーS5、図1参照)。
エンジン制御部9は、例えば、給紙開始信号から各用紙センサー(レジストセンサーS1、排出検知センサーS2、給紙センサーS4、定着センサーS5、ジャム検知部に相当)について、用紙到達を検知すべきと予め定められた、それぞれの許容時間内に用紙到達を検知できなければ、ジャム発生と認識する。あるいは、エンジン制御部9は、レジストローラー対5を回転させてから、レジストセンサーS1で用紙Pの通過に要すると予め定められた許容時間内に用紙通過を検知できなければ、ジャム発生と認識する。
次に、図8を用いて、第2の実施形態での給紙開始タイミング補正を説明する。図8でのスタートは、予め定められた給紙開始タイミング補正を行う条件を満たした時点である。例えば、上述のように、プリンター100の使用を開始してから、あるいは、先に給紙開始タイミング補正を行ってから所定枚数を印刷したことや、カセット21の挿脱や、ジャム発生の何れか1つ又は複数が条件とされる。
給紙開始タイミング補正の実行条件が満たされると、エンジン制御部9は、測定結果データに基づき、測定時間T1や紙間時間T2のそれぞれの平均値を求める(ステップ♯21)。そして、エンジン制御部9は、各時間の平均値に基づき、第1の実施形態と同様にして、補正の必要性の有無や、給紙開始タイミングを早めるか遅くするか、補正するときの補正量(補正内容)を定め、給紙開始タイミングを補正する(ステップ♯22)。そして、エンジン制御部9は、メモリー92の計測結果データを削除し(ステップ♯23)、本制御は終了する。尚、メモリー92の計測結果データは削除しないようにしてもよい。
尚、給紙部2に収容される用紙のサイズや種類が変更されることがある。そこで、メモリー92は、現在給紙部2に収容されるサイズや種類の用紙について、複数枚数分測定時間T1や紙間時間T2を記憶してもよい。そして、給紙開始タイミングの補正を行う予め定められた時点で、給紙部2に収容される用紙のサイズや種類に応じた基準測定時間や基準紙間時間と各平均値を用いて、給紙開始タイミングの補正を行ってもよい。
このようにして、複数枚の用紙分の紙間時間T2と測定時間T1の測定結果データを記憶する記憶部(メモリー92や記憶装置83)を含み、判定部(エンジン制御部9)は予め定められたときに、複数枚の用紙分の紙間時間T2の平均値と測定時間T1の平均値を求め、紙間時間T2の平均値と測定時間T1の平均値に基づき給紙開始タイミングの補正内容を定める。回転体(中間ローラー対4)の摩耗等により、累計の搬送枚数が増えるほど、用紙搬送で遅れが生ずる傾向が現れる。しかし、この構成によれば、経時的な画像形成装置(プリンター100)での搬送能力の遅延傾向に対応して、給紙開始タイミングを補正する(早める)ことができる。
又、給紙部2は、複数の用紙Pを収容する用紙収容体と用紙収容体(カセット21)の挿脱を検知するための挿脱検知体(挿脱検知センサーS3)を有し、判定部(エンジン制御部9)は、用紙収容体の挿脱が検知されたとき、複数枚の用紙分の紙間時間T2の平均値と測定時間の平均値を求め、紙間時間T2の平均値と測定時間の平均値に基づき給紙開始タイミングの補正内容を定める。これにより、一定枚数の印刷により行われる用紙P補給のタイミングに合わせて給紙開始タイミングを補正することができる。
又、画像形成装置(例えば、プリンター100)は、用紙の搬送経路でのジャムの発生を検知するジャム検知部(レジストセンサーS1、排出検知センサーS2、給紙センサーS4、定着センサーS5)を含み、判定部(エンジン制御部9)は、用紙のジャムが検知されたとき、複数枚の用紙分の紙間時間の平均値と測定時間の平均値を求め、紙間時間の平均値と測定時間の平均値に基づき給紙開始タイミングの補正内容を定める。これにより、給紙開始タイミングに起因した用紙Pのジャムの発生が無くなるように、給紙開始タイミングを補正することができる。
(第3の実施形態)
次に、図9を用いて、第3の実施形態に係る画像形成装置(プリンター100)を説明する。図9は、第3の実施形態に係るプリンター100での給紙と用紙搬送を説明するためのタイミングチャートである。
本実施形態のプリンター100では、1枚目の用紙Pについては、用紙Pの撓み作成後、中間ローラー対4を停止させ、中間ローラー対4とレジストローラー対5を同時に回転させる点で、第1、第2の実施形態で異なる。言い換えると、第3の実施形態に係るプリンター100では、レジストローラー対5が用紙Pを送り出す前に、用紙搬送の遅れを吸収するできる時間を設けるため、1枚目の用紙Pについては、中間ローラー対4を一時的に停止させる。そして、2枚目以降では、中間ローラー対4を停止させないようにする。しかし、プリンター100の構成や給紙開始タイミングの補正の基本的な考え方は第1、第2の実施形態と同様でよい。そのため、第1、第2の実施形態と第3の実施形態で共通する点は、第1、第2の実施形態の記載を援用できるので、特に説明する場合を除き、共通する点は、説明、図示を省略する。
この搬送方式を図9を用いて説明する。まず、図9での最上段のチャートは、エンジン制御部9が給紙ローラー用電磁クラッチ23に発する給紙ローラー22の回転開始/停止を指示する信号を示す。図9での2段目のチャートは、エンジン制御部9が中間ローラー用電磁クラッチ41に発する中間ローラーの回転開始/停止を指示する信号を示す。図9での上から3段目のチャートはレジストセンサーS1の出力変化を示す。図9での最下段のチャートは、エンジン制御部9がレジストローラー用電磁クラッチ51に発するレジストローラー対5の回転開始/停止を指示する信号を示す。これらの点は、第1の実施形態での図4と同様である。
次に、タイミングチャートを時間の経過に沿って説明する。まず、1枚目の用紙搬送のため、エンジン制御部9は給紙ローラー22を回転させる(図9でのt5の時点)。そして、1枚目の給紙に伴い、エンジン制御部9は中間ローラー対4を回転させる(図9のt6の時点)。
給紙部2から供給された用紙Pは、中間ローラー対4によって搬送された結果、レジストセンサーS1に用紙Pが到達する。エンジン制御部9は、レジストセンサーS1の出力変化を認識し、レジストセンサーS1への用紙到達を認識する(図4でのt7の時点)。そして、エンジン制御部9は、レジストセンサーS1への用紙到達から、予め定められた撓み作成時間W1(図9でのt7とt8の期間)が経過するまで、レジストローラー対5を停止状態のまま、中間ローラー対4を回転させる。これにより、用紙Pは撓まされる。
そして、レジストセンサーS1への用紙到達から撓み作成時間W1が経過すると、エンジン制御部9は中間ローラー対4を停止させる(図9でのt8の時点)。そして、エンジン制御部9は、レジストローラー対5を回転させる(図9でのt9の時点)。これにより、レジストローラー対5への1枚目の用紙到達が遅れても、エンジン制御部9は、t8〜t9の間を減らすことにより、レジストローラー対5の回転開始を遅らせずにすむ。その後、2枚目以降では、中間ローラー対4は回転させられ続け、第1、第2の実施形態と同様に、紙間時間T2と搬送の測定時間T1にもとづき、給紙開始タイミングの補正が行われる。
このようにして、本実施形態の画像形成装置(例えば、プリンター100)は、回転体(中間ローラー対4)は、ジョブの1枚目の用紙搬送中は一旦停止し、2枚目以降はジョブにおける残りの全用紙Pを搬送するまで回転を続け、レジスト部(レジストローラー対5)は検知体(レジストセンサーS1)の用紙到達検知から予め定められた撓み作成時間W1の後、用紙搬送を開始する。これにより、1枚だけの印刷ジョブの場合や、複数枚の印刷を行う印刷ジョブでの1枚目の用紙Pに対しては、レジスト部(レジストローラー対5)での待ち時間を設け、レジスト部や回転体の停止時間(待ち時間)を変動させて用紙到達遅れを吸収し、レジスト部はレジスト部以降の画像形成にあわせたタイミングで用紙Pを送り出すことができる。
(第4の実施形態)
次に、図10及び図11を用いて、第4の実施形態に係るプリンター100説明する。図10は、第4の実施形態に係るプリンター100での給紙センサーS4と用紙Pの撓み作成を説明するための説明図である。図11は、第4の実施形態に係るプリンター100での給紙と用紙搬送を説明するためのタイミングチャートである。
第1〜第3の実施形態のプリンター100では、測定時間T1として、エンジン制御部9が給紙ローラー22を回転させる給紙ローラー用電磁クラッチ23のON信号(給紙開始信号)を発してからレジストセンサーS1が用紙Pの到達を検知するまでの時間を測定時間T1として用いる例を説明した。第4の実施形態では、中間ローラー対4と給紙ローラー22の間に給紙センサーS4を設け、計時部93は、給紙センサーS4の用紙到達検知からレジストセンサーS1が用紙Pの到達を検知するまでの時間を測定時間T1として計時する点で、第1〜第3の実施形態と異なる。尚、プリンター100の構成や給紙開始タイミングの補正の基本的な考え方は第1〜第3の実施形態と同様でよい。そのため、第1〜第3の実施形態と共通する点は、第1〜第3の実施形態の記載を援用できるので、特に説明する場合を除き、共通する点は、説明、図示を省略する。
まず、図10を用いて、第4の実施形態での給紙センサーS4の設置位置を説明する。図10に示すように、中間ローラー対4の用紙搬送方向の上流側に給紙センサーS4が設けられる。給紙センサーS4は、例えば、光センサーであり、用紙Pの存在を検知しているときと検知していないときで出力電圧値が異なる。そして、給紙センサーS4の出力は、エンジン制御部9に入力され、エンジン制御部9は、給紙センサーS4の出力に基づき、給紙センサーS4への用紙到達や通過を認識する。より詳しくは、図10に示すように、給紙センサーS4は、例えば、捌き部31の近傍で、捌き部31の用紙搬送方向下流側に設けることができる。
次に、図11を用いて、第4の実施形態に係るプリンター100での各部材の駆動のタイミングと給紙開始タイミングを補正するための時間計測を説明する。図11は、第4の実施形態に係るプリンター100での給紙と用紙搬送を説明するためのタイミングチャートである。
まず、図11での最上段のチャートは、エンジン制御部9が給紙ローラー用電磁クラッチ23に発する給紙ローラー22の回転開始/停止を指示する信号を示す。図11での3段目のチャートは、エンジン制御部9が中間ローラー用電磁クラッチ41に発する中間ローラーの回転開始/停止を指示する信号を示す。図11での上から4段目のチャートはレジストセンサーS1の出力変化を示す。図11での最下段のチャートは、エンジン制御部9がレジストローラー用電磁クラッチ51に発するレジストローラー対5の回転開始/停止を指示する信号を示す。これらは、図4と同様である。
そして、図11での2段目のチャートは、給紙センサーS4の出力変化を示す。尚、本実施形態では、図11に示すように、給紙センサーS4は、用紙Pの存在を検知しているときHighを出力し、用紙Pの存在を検知していないときLowを出力する。
次に、タイミングチャートを時間の経過に沿って説明する。まず、用紙搬送のため、エンジン制御部9は給紙ローラー22を回転させる(図11でのt10の時点)。そして、用紙搬送中、エンジン制御部9は中間ローラー対4を回転させ続ける(中間ローラー用電磁クラッチ41への信号をHighで維持)。尚、第3の実施形態で説明したように、1枚目の用紙Pについては、中間ローラー対4を停止させてもよい。
給紙部2から供給された用紙Pは、捌き部31を通過し中間ローラー対4に向けて搬送される。その結果、給紙センサーS4に用紙Pが到達する。エンジン制御部9は、給紙センサーS4の出力変化を認識し、給紙センサーS4への用紙到達を認識する(図11でのt11の時点)。
給紙センサーS4に達した用紙Pは、中間ローラー対4によって搬送され、やがて、レジストセンサーS1に用紙Pが到達する。エンジン制御部9は、レジストセンサーS1の出力変化を認識し、レジストセンサーS1への用紙到達を認識する(図11でのt12の時点)。
そして、エンジン制御部9は、レジストセンサーS1への用紙到達から、予め定められた撓み作成時間W1(図11でのt12とt13の期間)が経過するまで、レジストローラー対5を停止状態で保つ。これにより、常時、同じだけ用紙Pは撓まされる。そして、レジストセンサーS1への用紙到達から撓み作成時間W1が経過すると、エンジン制御部9はレジストローラー対5を回転させる(図11でのt13の時点)。
次に、本実施形態のプリンター100で給紙開始タイミング補正のため測定される時間を説明する。本実施形態のプリンター100では、給紙センサーS4の用紙到達検知からレジストセンサーS1の用紙到達検知までの時間(測定時間T1、図11でのt11〜t12の時間)を測定する。又、本実施形態のプリンター100では、レジストセンサーS1の用紙通過検知(用紙後端検知)から次の用紙到達検知(用紙先端検知)までの時間(紙間時間T2、図11でのt14〜t12の時間)を測定する。例えば、エンジン制御部9の計時部93が測定時間T1や紙間時間T2の計時を行う。
そして、本実施形態のプリンター100では、例えば、エンジン制御部9が測定した測定時間T1(給紙センサーS4の用紙到達検知からレジストセンサーS1の用紙到達検知までの時間)と紙間時間T2を用いて、レジストローラー対5への用紙到達の遅れ、進みを判定する。
具体的な用紙搬送の遅れ、進みや計測時間T1や紙間時間T2(基準計測時間T1や基準紙間時間T2を含む)を用いた給紙開始タイミングの補正は第1の実施形態と同様でよい。但し、本実施形態のように、給紙センサーS4ON〜レジストセンサーS1ONまでの時間を測定時間T1と扱うとき、基準測定時間も、給紙センサーS4ON〜レジストセンサーS1ONまでの時間にあわせて設定される。あるいは、給紙センサーS4ON〜レジストセンサーS1ONまでの時間を測定時間T1とし、基準測定時間R1とすると、T1―R1の差分だけ給紙開始タイミングを早めても良い(T1―R1が負の時、補正しない)。
このようにして、本実施形態の画像形成装置(例えば、プリンター100)は、回転体(中間ローラー対4)と給紙部2の間に設けられ、用紙Pの到達、通過を検知する給紙検知体(給紙センサーS4)を含み、計時部93は、給紙検知体の用紙到達検知から検知体(レジストセンサーS1)の用紙到達検知までの時間を測定時間T1として計時し、基準測定時間は、給紙検知体の用紙到達検知から検知体が用紙到達を検知するまでの基準として予め定められた時間である。これにより、測定時間T1における給紙部2に載置された用紙Pの先端位置のぶれの影響を減らし、給紙からレジスト部(レジストローラー対5)への用紙搬送に要した時間を計時することができる。従って、精度良く給紙開始タイミングを補正することができる。
次に、他の実施形態を説明する。上記の実施形態では、エンジン制御部9が用紙到達の進み、遅れを判定し、ずれ時間を求める判定部であり、給紙ローラー用電磁クラッチ23に信号を発して、給紙ローラー22の駆動(回転/停止)を制御する駆動制御部でもあり、カウント部でもある例を説明した。しかし、判定部や駆動制御部やカウント部の機能はエンジン制御部9以外の部分に負わせても良い(例えば、制御部8や専用の回路、チップ等)。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。