JP5533822B2 - 電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のハンドル操作(操舵)をモータにてアシストする電動パワーステアリングシステムにおいて、このシステムを制御する電動パワーステアリング制御装置に関する。
車両のハンドル操作(操舵)をモータにてアシストする電動パワーステアリングシステムにおいては、ドライバーのハンドル操作に応じて適切なアシスト操舵力をモータに発生させるべく、制御装置(ECU)が、ドライバーのハンドル操作等によってハンドルの軸に加えられる操舵トルクや車両速度などの各種入力信号に基づいてアシスト操舵力を演算し、その演算結果に基づいてモータを駆動させる。
従来の電動パワーステアリングシステムは、操舵トルクが大きくなるほどモータによるアシスト操舵力も大きくなるようにモータを駆動させることを制御の基本としている。このような基本的制御により、ドライバーがハンドルを切る時には、その時の操舵トルクに応じたアシスト操舵力が発生するため、ドライバーのハンドル操作が軽くなる。
しかし、単に操舵トルクに基づいてモータのアシスト操舵力を決定するという基本制御のみでは、路面反力に応じた操舵反力の特性を実現すること、即ちドライバーに対して路面反力に応じた操舵反力がリニアに伝達されるようにすることは困難である。換言すれば、路面負荷に応じたハンドル操作感をドライバーに感じさせるべく、路面負荷に応じた目標操舵トルクを設定してそれに応じたアシスト操舵力を発生させる(つまり路面負荷に応じた目標操舵トルクを実現する)ことは困難である。
これに対し、特許文献1には、目標操舵トルクと実際の操舵トルクの偏差に基づいてモータを制御する技術が記載されている。この特許文献1に記載の技術では、実際の操舵トルク(ドライバーにより加えられるトルク)とアシストトルク(モータにより加えられるトルク)の和から出力側トルクを求めることで、タイヤ側に与えられる力(即ち路面反力)を得る。そして、その得られた出力側トルク(路面反力)に応じて目標操舵トルクが設定される。これにより、目標操舵トルクを一義的に決定できる。そのため、例えばハンドルを切り込んでいくときなどのように操舵トルクに粘性分や慣性分が重畳する場合にはこれらの影響を考慮したり、或いは車両挙動状態に基づいて補正したりすることで、出力側トルクの変動(即ち路面反力の変動)が補償された目標操舵トルクを設定できる。
しかし、特許文献1に記載の技術は、路面反力が考慮された目標操舵トルクが設定されるものの、基本的には操舵トルクというハンドル軸上にあるシャフトの捩れ量に基づいてアシストトルクが発生する構成である。そのため、シャフトの捩れを抑える(即ちハンドル操作を軽くする)ことはできるが、ハンドルを中立位置に戻す場合のような捩れが減少する状況や、操舵後にハンドルからドライバーの手が離れて捩れが少ないままハンドルが中立位置に復元するような状況下においては、モータの回転速度(ハンドル軸の回転速度)を適切にコントロールすることができず、車両の収斂性を確保することはできない。
例えば、ハンドルを切り込むときは特に問題ないものの、ハンドル戻し時には、シャフトの捻れが戻り、これによりアシストトルクも減少するため、戻る方向の回転がより速められることになり、よって車両の安定性・収斂性が損なわれてしまう。ハンドルをしっかり持って操作する分には良くても、力を緩めたり手が離れた場合の車両の動きは敏感かつ収斂しにくいものとなるため、高速走行になるほどドライバーに不安感を与えてしまう。
このように、特許文献1に記載の技術では、車両全体としての操作安定性を適切に確保すること(適切な車両運動特性を実現すること)ができない。そのため、車両の挙動不安定時にハンドルに伝わる振動的な力をドライバー自身が受け止めなければならず、運転操作に支障を来すおそれがある。収斂性を確保しようとすべく、例えばダンピングを効かせるようにすると、ハンドル戻し時には粘性が与えられて収斂性が向上するものの、逆にハンドルを切り込む際にも粘性が与えられることになり、ドライバーによる操舵フィールが損なわれてしまう。これを回避するために切り込み時と戻し時でそれぞれ制御動作を変えようとすると、制御処理が非常に複雑になって両者の適合が難しいものとなりかねない。
これに対し、操作安定性を適切に確保するための技術の1つとして、ハンドルを切る際の操作感を損なわないようにしつつハンドル戻し時には急な戻り感を低減して車両の収斂性を向上させるための技術として、例えば、操舵トルクと車速に基づいて基本的なアシスト操舵力(ベースアシストトルク)を演算すると共に、操舵トルクとモータ速度(回転角速度)に基づいて、ベースアシストトルクを補正するための補正トルクを演算し、その補正トルクによってベースアシストトルクを補正する収斂制御技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
即ち、操舵トルクは、ドライバーによるハンドルの操作状態が反映された物理量である一方、モータ速度は、ドライバーによるハンドルの操作状態に加えて路面反力の影響も反映された物理量である。そのため、操舵トルク及びモータ速度に基づき、ハンドルを切る際にはその操作感が損なわれないよう、ハンドル戻し時には路面反力による急な戻り感が低減されるような収斂制御を実現可能な制御機構を構成することができる。
そのため、特許文献2では、操舵トルク及びモータ速度に基づいて、ハンドル切り出し時とハンドル戻し時とで制御特性を異ならせるためのアシスト補償量を生成し、そのアシスト補償量によってベースアシストトルクを補正することで、ハンドル切り出し時及び戻し時の双方でドライバーの操舵フィールが損なわれるのを抑え、車両全体としての適切な操作安定性(適切な車両運動特性)を実現している。
操作安定性を適切に確保するための技術は他にも種々提案されており、例えば特許文献3には、ドライバーの意図に合った車両挙動を実現して修正操作の頻度低減および運転負荷軽減を図るためのトルク補正技術が開示されている。この技術では、ベースアシストトルクと操舵トルクとの和に基づいて車両運動状態を推定し、所望の特性となるよう、ベースアシストトルクを補正するためのトルク補正量を生成している。
特開2004−203089号公報 特開2010−264913号公報 特開2007−22373号公報
そこで、路面反力に応じた操舵反力の特性の実現と、車両全体としての適切な操作安定性(適切な車両運動特性)の実現とを両立させるために、例えば、上記各特許文献1,2に記載の技術の組み合わせを試みることが考えられる。
具体的には、図14に示すような制御機構を構築することができる。図14に示す制御機構において、電流フィードバック(FB)部142は、入力されるアシストトルク指令
Taに応じた駆動電圧Vdをモータ110に印加することによりモータ110を駆動させ、これによりアシストトルク指令Taに応じたアシスト操舵力をハンドル軸に与える。ハンドル軸から車輪に至る制御対象(操舵系メカ)100においては、モータ110の回転速度であるモータ速度ωと、操舵トルクTsとが検出される。電流FB部142は、モータ110に流れる電流(モータ電流Im)を検出してその電流値が目標電流(アシストトルク指令Taに応じた値)となるように電流FB制御する。
そして、負荷推定器121は、検出されたモータ電流Imと操舵トルクTsとに基づいて、路面負荷(路面反力)を推定し、その推定値としての推定負荷Txを生成する。そして、ベースアシスト部120が、その推定負荷Txに基づいて、ベースアシスト指令Tb*を生成する。
ベースアシスト部120は、具体的には、推定負荷Txに基づいて目標操舵トルクTs*を生成する目標生成部122と、操舵トルクTsと目標操舵トルクTs*の差(トルク偏差)を演算する偏差演算器123と、そのトルク偏差に基づき、操舵トルクTsが目標操舵トルクTs*に一致するようにモータ110を制御する(即ちトルクフィードバック制御する)ためのベースアシスト指令Tb*を生成するコントローラ124とを備えている。このようにして得られたベースアシスト指令Tb*によってモータ110を制御することで、路面反力に応じた操舵反力の特性の実現が可能となる。
即ち、負荷推定器121が推定した路面反力に対して、目標生成部122は、路面負荷に応じた目標操舵トルクTs*を設定する。そして、実際の操舵トルクTsがその目標操舵トルクTs*となるようにコントローラ124がトルクフィードバック制御することで、ドライバーは路面負荷に応じた手応えを感じることができる。
一方、補正部130は、操舵トルクTsとモータ速度ωに基づいて補正トルク指令Trを生成するトルク補正部131を備え、収斂制御を実現している。このトルク補正部131の具体的構成・機能は、上述した特許文献2に記載の制御器と同様である。
そのため、この補正部130にて得られた補正トルク指令Trによってベースアシスト指令Tb*を補正(ここでは加算器141により両者を加算)し、その補正結果をアシストトルク指令Taとして電流FB部142に与えるようにすれば、車両全体として適切な操作安定性(適切な車両運動特性)を実現することも一応は可能である。
しかし、図14に示した制御機構には、大きな問題が少なくとも1つ存在する。それは、ベースアシスト部120が、補正部130による補正動作を打ち消してしまうということである。
即ち、図14に示した制御機構では、負荷推定器121による負荷推定が、最終的にモータに供給されるモータ電流Imに基づいて行われる。このモータ電流Imは、ベースアシスト部120が生成したベースアシスト指令Tb*に補正部130が生成した補正トルク指令Trによる補正が加わったアシストトルク指令Taに応じたものである。つまり、負荷推定器121は、補正部130による補正が加味された結果としてのモータ電流Imを用いて路面負荷を推定することになる。
即ち、例えばハンドルを切り込む際、補正部130においてはその収斂制御によってアシスト操舵力が低減するようにベースアシスト指令Tb*を補正する。すると、その補正した分だけモータ電流Imが低下し、これにより負荷推定器121による負荷推定値(推定負荷Tx)も低下する。そして、推定負荷Txが低下すると目標操舵トルクTs*も低下し、これによりベースアシスト指令Tb*は増加、即ち操舵トルクが軽くなるようにア
シスト操舵力を増やす方向に制御する。
つまり、補正部130による収斂制御では、アシスト操舵力を低減するために補正トルク指令Trを生成したにもかかわらず、ベースアシスト部120によって逆にアシスト操舵力が増加する方向に制御されてしまうため、結果として補正部130による収斂制御が反映されない(収斂制御がベースアシスト部120によってキャンセルされてしまう)のである。
このように、図14に示したような制御構成では、路面反力に応じた操舵反力の特性の実現と、車両全体としての適切な操作安定性(適切な車両運動特性)の実現とを両立することができない。そのため、車両の運転性能、即ちドライバーの意図通りに車両を操ることができて安心して運転できるといった感覚的な性質を向上させることは困難である。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、路面負荷に応じた操舵反力の特性の実現と、車両全体としての適切な操作安定性(適切な車両運動特性)の実現とを両立させることが可能な電動パワーステアリング制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、車両のハンドルに連結されて該ハンドルと共に回転する入力軸と、この入力軸の回転を車両の操舵輪に伝達することにより操舵輪を操舵させる入力伝達手段と、入力軸に加えられる軸回転方向のトルクである操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、ハンドルの操作による操舵輪の操舵時にハンドルの操作をアシストするためのアシスト操舵力を入力軸又は入力伝達手段に与えるためのモータと、を備えた電動パワーステアリングシステムに設けられ、モータを制御することによりアシスト操舵力を制御する電動パワーステアリング制御装置であり、基本アシスト量生成手段と、アシスト補償量生成手段と、アシスト量補正手段と、モータ駆動手段とを備えている。
基本アシスト量生成手段は、操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクに基づき、その操舵トルクが路面から操舵輪に加えられる路面負荷に応じて変化するようにハンドルの操作をアシストするための基本アシスト量を生成する。アシスト補償量生成手段は、操舵輪の挙動が予め設定した挙動特性に応じたものとなるように、基本アシスト量生成手段により演算された基本アシスト量を補正するための、アシスト補償量を生成する。アシスト量補正手段は、基本アシスト量生成手段により生成された基本アシスト量を、アシスト補償量生成手段により生成されたアシスト補償量によって補正することにより、補正アシスト量を生成する。そして、モータ駆動手段は、アシスト量補正手段からの補正アシスト量に基づいてモータを駆動させる。
更に、基本アシスト量生成手段は、路面負荷推定手段と、目標操舵トルク演算手段と、基本アシスト量演算手段とを備えている。路面負荷推定手段は、基本アシスト量生成手段自身の生成結果である基本アシスト量と操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクに基づいて路面負荷を推定する。目標操舵トルク演算手段は、路面負荷推定手段により推定された路面負荷である推定負荷に基づいて、操舵トルクの目標値である目標操舵トルクを演算する。そして、基本アシスト量演算手段は、操舵トルク検出手段により検出される操舵トルクが目標操舵トルク演算手段により演算された目標操舵トルクと一致するようにモータを制御するための上記基本アシスト量を演算する。
このように構成された電動パワーステアリング制御装置によれば、路面負荷を推定してその推定負荷に応じた目標操舵トルクを設定する機能が1つのループ(基本アシスト量演算手段)内で閉じており、アシスト補償量生成手段とは分離されており、基本アシスト量
演算手段とアシスト補償量生成手段の両者の干渉を最小限に留める(或いは完全に無くす)ことができる。そのため、基本アシスト量演算手段による、路面負荷に応じた操舵反力の特性の実現と、アシスト補償量生成手段による、車両全体としての適切な操作安定性(適切な車両運動特性)の実現とを両立させることができ、車両の運転性能を高めることができる。
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、路面負荷推定手段は、基本アシスト量と操舵トルクとの和から、予め設定した周波数帯域の成分を抽出し、その抽出した周波数帯域の成分を推定負荷として出力する。
このようにして推定負荷を得ることで、例えば車両のドライバーが不快に感じるような帯域の成分などの不要な周波数成分を除去し、ドライバーに伝えたい(伝えるべき)周波数成分に絞って伝達することができる。
一般に、ドライバーは主に10Hz以下の操舵反力情報(路面負荷)を頼りに運転し、それより高い成分はドライバーにとって不快に感じられることが知られている。そこで、上記抽出する成分の周波数帯域は、請求項3に記載のように10Hz以下にするとよい。
次に、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、目標操舵トルク演算手段は、路面負荷推定手段により推定された推定負荷に基づき、その推定負荷が大きくなるほど目標操舵トルクも大きくなるように目標操舵トルクを演算する。
目標操舵トルクをこのように演算することで、路面負荷に応じた操舵反力を適切にハンドル側(ドライバー側)へ伝えることができる。
そして、より好ましくは、請求項5に記載のように、推定負荷に対して目標操舵トルクが対数的に変化するように目標操舵トルクを演算するようにするとよい。推定負荷に対して目標操舵トルクを対数的に生成することは、いわば、路面負荷に対する操舵反力のあるべき量を示す人間感覚モデルに基づく生成であると言える。そのため、推定負荷に対して目標操舵トルクを対数的に演算するようにすることで、ドライバーに対して自然な操舵感覚を与えることができる。
次に、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、電動パワーステアリングシステムは、車両の走行速度である車速を検出する車速検出手段を備えている。そして、目標操舵トルク演算手段は、車速検出手段により検出された車速に基づき、その車速が大きくなるほど目標操舵トルクも大きくなるように目標操舵トルクを演算する。
そして、より具体的には、請求項7に記載のように、車速に対して目標操舵トルクが対数的に変化するように目標操舵トルクを演算するようにするとよい。
このように、推定負荷に対してだけでなく、車速に対しても対数的に変化するように目標操舵トルクを生成するようにすることで、ドライバーに対して車速変化時にも自然な操舵感覚を与えることができる。
次に、請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、基本アシスト量演算手段は、操舵トルク検出手段により検出された操舵トルクと目標操舵トルク演算手段により演算された目標操舵トルクとの差であるトルク偏差を演算する偏差演算手段と、この偏差演算手段により演算されるトルク偏差が0になるように基本アシスト量に相当する基本指令を演算する基本指令演算手段と、を備えている
そして、基本指令演算手段は、入力されるトルク偏差に対する、出力する基本指令の伝達関数が、所定の周波数以下の帯域におけるゲインが1よりも大きい所定のレベル以上となるように構成されている。
このように、所定の周波数以下の帯域でゲインが1より大きい所定のレベル以上(ハイゲイン)となるような基本指令演算手段を用いて基本指令を演算する(延いては基本アシスト量を演算する)ことで、操舵トルクを目標操舵トルクに追随させやすくなる。
また、特性の異なる複数の基本指令演算手段を備え、各々の基本指令を重み付け加算して基本アシスト量を演算する構成にすれば、各基本指令演算手段の特性や各基本指令の重みを適宜設定することで、ハンドル操作時の路面負荷の伝達感や手感を所望の特性とすることができる。
また、上記所定の周波数を、請求項12に記載のように1Hzとして、1Hz以下の低周波帯でハイゲインとなるようにすることで、目標への追従性を確実に高めることができる。更に、上記所定のレベルを請求項13に記載のように10倍とする(つまりゲインを10倍以上とする)ことで、目標への追従性をより確実に高めることができる。
基本指令演算手段は、請求項9に記載のように、入力されるトルク偏差を積分して出力する積分手段を備え、トルク偏差が0となるように基本指令を演算するような構成とすることができる。
このように積分手段を備えることで、基本指令演算手段のゲインの伝達関数が、低周波数帯域において左上がりの特性、即ち周波数が0に近づくほどゲインが上昇していくような特性をもつようになる。そのため、上記請求項8と同様、操舵トルクを目標操舵トルクに追随させやすくなる。
但し、積分手段を備えるようにすると、仮に目標操舵トルクに対して実際の操舵トルクの追従が遅れ続けると、積分値がどんどん上昇していくことになる。そして、積分値が大きくなりすぎると、例えばハンドル操作を切り返したとき、その大きな積分値の影響で、その切り返した方向へのアシストが遅れてしまう。
そこで、積分手段は、請求項10に記載のように、出力する積分値の絶対値が所定の積分上限値以下に制限されるような構成にするとよい。つまり、仮に目標への追従が進まなくて積分値が上昇又は下降し続けたとしても、その絶対値の上限は積分上限値までとするのである。このように積分値の絶対値に上限を設けることで、積分値の蓄積がアシスト方向の切り替わり時にその切り替わり方向への操舵を阻害してしまうのを抑止することができる。
尚、この積分上限値の設定方法は種々考えられるが、例えば請求項11に記載のように、積分上限値は、操舵トルク検出手段により検出された操舵トルク、ハンドルの回転角、モータの回転角、又は基本アシスト量生成手段が生成する基本アシスト量を設定用状態量として、この設定用状態量が大きくなるほど大きな値となるように設定するとよい。このようにすることで、車両の状態に応じた適切な積分上限値の設定が可能となる。
次に、請求項14に記載の発明は、請求項8〜請求項13の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、基本アシスト量演算手段は、周波数特性の異なる複
数の基本指令演算手段と、入力される第1の重み付け設定指令に従って複数の基本指令演算手段からの基本指令を重み付け加算する第1の重み付け加算手段と、を備えている。
このように、周波数特性の異なる複数の基本指令演算手段からの各基本指令を重み付け加算することで、ハンドル操作時の路面負荷の伝達感や手感を、よりきめ細かに所望の特性とすることができる。
次に、請求項15に記載の発明は、請求項1〜請求項14の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、モータの回転速度を直接又は間接的に示す情報である操舵速度情報を取得する操舵速度情報取得手段を備えている。そして、アシスト補償量生成手段は、操舵速度情報取得手段により取得された操舵速度情報、操舵トルク検出手段により検出された操舵トルク、及び路面負荷推定手段により推定された路面負荷のうち少なくとも1つに基づいて、車両の挙動を収斂させるための上記アシスト補償量を生成する。
操舵トルクはハンドル側の情報であり、操舵速度情報はハンドル側及び路面側の情報であり、路面負荷(推定負荷)は路面側の情報であるといえる。そのため、これらのうち少なくとも1つに基づいてアシスト補償量を生成するようにすることで、車両の挙動を収斂・安定化させるためのアシスト補償量を適切に生成でき、それに基づいて基本アシスト量を適切に補正することができる。
この場合において、アシスト補償量生成手段は、より具体的には、請求項16に記載のように構成するとよい。即ち、アシスト補償量生成手段は、車両の挙動を収斂させるためのアシスト補償量に相当する基本補償量を演算する、複数の基本補償量演算手段を備える。そして、各基本補償量演算手段により演算された各基本補償量を重み付け加算したものをアシスト補償量として演算する。
このように、基本補償量演算手段の基本補償量を重み付け加算してアシスト補償量を演算する構成にすれば、各基本補償量演算手段の特性や各基本補償量の重みを適宜設定することで、車両の挙動を収斂・安定化させる際の過渡特性を所望の特性とすることができる。
実施形態の電動パワーステアリングシステムの概略構成を表す構成図である。 ECUの制御機構の概略構成を表す構成図である。 図2の制御機構のより具体的な構成を表す構成図である。 負荷推定器の概略構成を表す構成図である。 目標操舵トルクTs*の生成原理を説明するための説明図である。 目標生成部に設定されている、目標操舵トルクTs*生成用のマップを表す説明図である。 コントローラ部の具体的構成を表す構成図である。 コントローラ部を構成するアシストコントローラの周波数特性を表す特性図である。 コントローラ部を構成する各補正フィルタの周波数特性を表す特性図である。 コントローラ部全体の入出力の伝達特性(周波数特性)を表す特性図である。 ハンドルトルクに対する操舵トルクの伝達特性(周波数特性)を表す特性図である。 積分器を含むアシストコントローラの構成例を説明するための説明図である。 本実施形態の制御機構の効果を説明するための説明図である。 従来の制御機構の組み合わせから考えられる制御機構の一例を示す構成図である。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の電動パワーステアリングシステム1の概略構成を表す構成図である。本実施形態の電動パワーステアリングシステム1は、ドライバーによるハンドル2の操作をモータ6によってアシストするものである。ハンドル2は、ステアリングシャフト3の一端に固定され、ステアリングシャフト3の他端にはトルクセンサ4が接続されており、このトルクセンサ4の他端には、インターミディエイトシャフト5が接続されている。尚、以下の説明では、ステアリングシャフト3からトルクセンサ4を経てインターミディエイトシャフト5に至る軸体全体を、まとめてハンドル軸とも言う。
トルクセンサ4は、操舵トルクTsを検出するためのセンサである。具体的には、ステアリングシャフト3とインターミディエイトシャフト5とを連結するトーションバーを有し、このトーションバーのねじれ角に基づいてそのトーションバーに加えられているトルクを検出する。
モータ6は、ハンドル2の操舵力をアシスト(補助)するものであり、減速機構6aを介してその回転がインターミディエイトシャフト5に伝達される。即ち、減速機構6aは、モータ6の回転軸の先端に設けられたウォームギアと、このウォームギアと噛み合った状態でインターミディエイトシャフト5に同軸状に設けられたウォームホイールとにより構成されており、これにより、モータ6の回転がインターミディエイトシャフト5に伝達される。逆に、ハンドル2の操作や路面からの反力(路面反力)によってインターミディエイトシャフト5が回転されると、その回転が減速機構6aを介してモータ6に伝達され、モータ6も回転されることになる。
また、モータ6は、本実施形態ではブラシレスモータであり、内部にレゾルバ等の回転センサを備え、モータ6の回転状態を出力可能に構成されている。本実施形態のモータ6は、回転センサからの回転状態として、少なくともモータ速度ω(回転角速度を示す情報)を出力可能に構成されている。
インターミディエイトシャフト5における、トルクセンサ4が接続された一端とは反対側の他端は、ステアリングギアボックス7に接続されている。ステアリングギアボックス7は、ラックとピニオンギアからなるギア機構にて構成されており、インターミディエイトシャフト5の他端に設けられたピニオンギアに、ラックの歯が噛み合っている。そのため、ドライバーがハンドル2を回すと、インターミディエイトシャフト5が回転(即ちピニオンギアが回転)し、これによりラックが左右に移動する。ラックの両端にはそれぞれタイロッド8が取り付けられており、ラックとともにタイロッド8が左右の往復運動を行う。これにより、タイロッド8がその先のナックルアーム9を引っ張ったり押したりすることで、操舵輪である各タイヤ10の向きが変わる。
また、車両における所定の部位には、車両速度Vを検出するための車速センサ11が設けられている。
このような構成により、ドライバーがハンドル2を回転(操舵)させると、その回転がステアリングシャフト3、トルクセンサ4、及びインターミディエイトシャフト5を介してステアリングギアボックス7に伝達される。そして、ステアリングギアボックス7内で、インターミディエイトシャフト5の回転がタイロッド8の左右移動に変換され、タイロ
ッド8が動くことによって、左右の両タイヤ10が操舵される。
ECU15は、図示しない車載バッテリからの電力によって動作し、トルクセンサ4にて検出された操舵トルクTs、モータ6のモータ速度ω、及び車速センサ11にて検出された車両速度Vに基づいて、アシストトルク指令Taを演算する。そして、その演算結果に応じた駆動電圧Vdをモータ6へ印加することにより、ドライバーがハンドル2を回す力(延いては両タイヤ10を操舵する力)のアシスト量を制御するものである。
本実施形態ではモータ6がブラシレスモータであるため、ECU15からモータ6へ出力(印加)される駆動電圧Vdは、詳しくは、3相(U,V,W)の駆動電圧Vdu,Vdv,Vdwである。ECU15からモータ6へこれら各相の駆動電圧Vdu,Vdv,Vdwを印加(各相の駆動電流を通電)することで、モータ6の回転が制御される。ブラシレスモータを3相の駆動電圧で駆動(例えばPWM駆動)する方法やその3相の駆動電圧を生成する駆動回路(例えば3相バイポーラ駆動回路)についてはよく知られているため、ここではその詳細説明は省略する。
ECU15は、直接的にはモータ6へ印加する駆動電圧Vdを制御することによりモータ6を制御するものであるが、モータ6を制御することで結果としてそのモータ6により駆動される操舵系メカ100を制御するものであると言え、よってECU15の制御対象はこの操舵系メカ100であると言える。尚、操舵系メカ100は、図1に示したシステム構成図のうちECU15を除く機構全体、即ちハンドル2から各タイヤ10に至る、ハンドル2の操舵力が伝達される機構全体を示す。
次に、ECU15の概略構成(制御機構)について、図2及び図3のブロック図を用いて説明する。尚、図2,図3に示したECU15の制御機構のうち、電流フィードバック(FB)部42を除く各部、及び電流FB部42の機能の一部は、実際には、ECU15が備える図示しないCPUが所定の制御プログラムを実行することによって実現されるものである。つまり、CPUによって実現される各種機能を機能ブロック毎に分けて図示したものが図2,図3である。但し、これら各図に示した制御機構がソフトウェアにて実現されることはあくまでも一例であり、図2等に示した制御機構全体又は一部を例えばロジック回路等のハードウェアにて実現するようにしてもよいことはいうまでもない。
ECU15は、図2に示すように、ベースアシスト指令Tb*を生成するベースアシスト部20と、補正トルク指令Trを生成する補正部30と、ベースアシスト指令Tb*と補正トルク指令Trを加算することによりアシストトルク指令Taを生成する加算器41と、アシストトルク指令Taに基づいてモータ6へ駆動電圧Vdを印加することによりモータ6を通電駆動する電流フィードバック(FB)部42と、を備えている。
ベースアシスト部20は、路面反力(路面負荷)に応じた操舵反力(操舵トルク)の特性の実現、即ち路面負荷に対応した反応(反力)が準定常的にドライバーへ伝達されるようにすることで車両の状態や路面の状態をドライバーが把握しやすくなるようにすることを実現するためのブロックであり、負荷推定器21と、目標生成部22と、偏差演算器23と、コントローラ部24とを備えている。即ち、このベースアシスト部20は、操舵トルクTsに基づき、その操舵トルクTsが路面から各車輪10に加えられる路面負荷に応じて変化するようにハンドル2の操作をアシストするための、ベースアシスト指令Tb*を生成するものである。
負荷推定器21は、ベースアシスト指令Tb*と操舵トルクTsに基づいて路面負荷を推定する。目標生成部22は、負荷推定器21にて推定された路面負荷(推定負荷Tx)に基づいて、操舵トルクの目標値である目標操舵トルクTs*を生成する。偏差演算器2
3は、操舵トルクTsと目標操舵トルクTs*との差であるトルク偏差を演算する。そして、そのトルク偏差に基づき、コントローラ部24が、トルク偏差が0になるよう、即ち路面負荷に応じたアシスト操舵力(アシストトルク又はアシスト量とも言う)を発生させるための、そのアシスト操舵力を示すベースアシスト指令Tb*を生成する。
このようにして生成されたベースアシスト指令Tb*は、路面負荷に応じたアシスト操舵力を発生させるためのトルク指令であるため、このベースアシスト指令Tb*を電流FB部42に入力するだけでも、少なくとも路面負荷に応じた操舵反力の特性を実現することは可能である。
一方、補正部30は、車両全体としての操作安定性(車両運動特性)の実現、即ち、車両の挙動が不安定となることによってハンドルに伝わる不安定な挙動(振動的な挙動等)を抑制して、車両の挙動(各車輪10の操舵時の挙動)が所望の挙動特性となるように(具体的には車両が適切に収斂するように)するためのブロックであり、トルク補正部31を備えている。このトルク補正部31は、操舵トルクTsとモータ速度ωに基づき、上述した不安定な挙動を抑制(収斂)するための補正トルク指令Trを生成する。
そして、ベースアシスト部20で生成されたベースアシスト指令Tb*と補正部30で生成された補正トルク指令Trとが加算器41で加算されることにより、アシストトルク指令Taが生成される。
そして、電流FB部42が、アシストトルク指令Taに基づき、そのアシストトルク指令Taに対応したトルク(アシスト操舵力)がハンドル軸(特にトルクセンサ4よりもタイヤ10側)に付与されるようにモータ6へ駆動電圧Vdを印加する。具体的には、アシストトルク指令Taに基づいて、モータ6の各相へ通電すべき目標電流(相毎の目標電流)を設定する。そして、各相の通電電流値Imを検出・フィードバックして、その検出値(各相の通電電流Im)がそれぞれ目標電流と一致するように駆動電圧Vdを制御(通電電流を制御)することで、ハンドル軸に対して所望のアシスト操舵力を発生させる。
図14に示した制御機構と比較して明らかなように、本実施形態の制御機構では、負荷推定器21による推定負荷Txの演算が、モータ電流Imではなくベースアシスト指令Tb*に基づいて行われる。つまり、ベースアシスト指令Tb*を生成するベースアシスト部20の機能は、そのベースアシスト部20の中で閉じており、他の補正部30や電流FB部42の各種機能から独立(分離)している。そのため、ベースアシスト指令Tb*に対する、補正部30の補正演算値による干渉・影響は極めて少ない。
尚、図2に示した本実施形態のECU15の制御機構は、まずは本実施形態の制御機構の主要構成・機能を説明するために若干簡略化して図示しており、車速Vも省略している。そして、本実施形態の制御機構は、実際には、ベースアシスト部20において、路面反力に対する過渡的な特性(伝達系特性)を車速Vに応じて設定する機能ブロック(伝達系特性設定部51。図3参照。)が備えられ、その伝達系特性に応じたベースアシスト指令Tb*がコントローラ部24にて生成される。また、補正部30においても、実際には、車両挙動に対する過渡的な特性(車両運動特性)を車速Vに応じて設定する機能ブロック(車両運動特性設定部52。図3参照。)が備えられ、その車両運動特性に応じた補正トルク指令Trがトルク補正部31にて生成される。
そこで、ECU15のより詳細な制御機構を、図3に示す。図3に示す制御機構は、図2に示した制御機構をより詳細化したものであり、具体的には、上記各機能ブロック(伝達系特性設定部51、車両運動特性設定部52)をベーシスアシスト部20内の目標生成部22と共にHMI(Human Interface)部50としてグルーピングし、これに対してベ
ースアシスト部20のうち目標生成部22を除く各構成をまとめて伝達制御演算部60、補正部30を車両制御演算部70と称し、更に、伝達制御演算部60内のコントローラ部24と車両制御演算部70内のトルク補正部31の構成をより具体化したものである。以下、図3を用いて、本実施形態の制御機構の構成についてより詳しく説明する。
負荷推定器21は、図4に示すように、ベースアシスト指令Tb*と操舵トルクTsとを加算する加算器21aと、その加算結果から所定の周波数以下の帯域の成分を抽出するローパスフィルタ(LPF)21bとを備え、このLPF21bにより抽出された周波数成分が推定負荷Txとして出力される。
通常、ドライバーは、主に10Hz以下の操舵反力情報を頼りに運転をしており、それより高い周波数成分、例えばバネ下(ホイールやサスペンション周り)の十数Hz〜20Hzの帯域の振動は、ドライバーにとっては不快に感じることが知られている。そのため、本実施形態では、そういった不快な振動がドライバーに伝達されないよう、LPF21bの遮断周波数を10Hzに設定し、概ね10Hz以下の周波数成分を通過(抽出)させ、10Hzより高い周波数成分は遮断するようにしている。
次に、目標生成部22は、路面反力に応じてドライバーがハンドル操作を重い又は軽いと感じることができたり或いは路面反力の上昇に対するドライバーの操舵反力(或いは操舵トルク)の上昇度合い(勾配)を実現するための、目標操舵トルクTs*を生成するものである。
本実施形態の目標生成部22は、実際には、推定負荷Tx及び車速Vに応じて目標操舵トルクTs*が図6に示すようにマップ化されており、そのマップをもとに目標操舵トルクTs*を生成する。そこで、その図6のマップ生成の導出過程(目標操舵トルクTs*生成の導出原理)について説明する。
図4に示した負荷推定器21の構成からも明らかなように、推定負荷Txの主成分は、操舵トルクTsとベースアシスト指令Tb*の和が基になる。つまり、推定負荷Txは、タイヤ10からラック&ピニオンギアを通じてインターミディエイトシャフト5にかかる負荷であり、操舵時に路面から受ける反力に相当するものである。この推定負荷Txを近似的に路面反力と定義すると、ドライバーがハンドルを切っていくに従って路面反力が増していくことになる。そして、旋回走行時の路面反力は、車両線形領域(タイヤのグリップ力が飽和に達しない十分な線形領域)では、静的には操舵角に比例する。
ここで、仮に路面反力に比例した操舵トルクとなるようにアシストができたとすると、ハンドルの操舵角に比例して操舵トルクが増大するものとなる。すると、ドライバーは、中立付近では軽いものの、切り込むに従って急激に重いと感じるようになる。
人の感覚は、ウェーバー-フェヒナーの法則によると、感覚量=A・log(刺激量)+B、というように、物理的な刺激に対して対数で表現されることが知られている。
人が車両旋回挙動を感じ取る際に、その刺激となるのは、操舵トルクのような手に伝わる反力をはじめ、横加速度やヨーレートといった人体に作用する力や速度がある。そうした刺激によって得られる感覚においてリニアな変化を感じるには、それら刺激の強度が強いほどその刺激は大きな変化を示す必要があることを示唆している。
一定の操舵速度で切り込んで刺激の時間変化が同じときには、旋回度合いが大きいほど(刺激が強いほど)感覚的には曲がらない印象となり、旋回感に比べて反力が増え過ぎと感じる。これが前述した「切り込むに従って急激に重いと感じる」理屈と考えられる。
そこで、実際に車両で発生している挙動に対して、手に伝わる力を感覚量と同じ変化をさせることを考える。
横加速度やヨーレートは、車両線形領域においては、路面反力と同様、静的にはハンドルの操舵角に比例している。従って、旋回に関わる車両挙動と手応えを感覚上で対応づけるためには、路面反力に対して対数関係を持った操舵トルクになればよい。つまり、推定負荷Txに対して対数関数で(対数的に変化するように)目標操舵トルクTs*を規定すればよい。
具体的には、例えば|Tx|>0において、目標操舵トルクTs*を次式(1)で規定することができる。
Ts*=sgn(Tx)・(A・log(|Tx|)+B) ・・・(1)
上記式(1)において、一例としてA=0.8,B=0.5とし、またTx=0ではTs*=0とした場合、推定負荷Txに対する目標操舵トルクTs*は、図5(a)のように得られる。この図5(a)に示した特性は、言わば、路面負荷に対する操舵反力のあるべき量を示す人間感覚モデルであるといえる。
更に、目標操舵トルクTs*を生成するにあたっては、車速Vに対しても、人間の感覚を加味することとする。車速V,操舵角θsに対し、定常ヨーレートγは、次式(2)で表される。
γ=V/(1+Ks・V2)×(θs/N/L) ・・・(2)
但し、Nはステアリングギヤ比、Lはホイールベース、Ksはスタビリティファクタである。
また、定常横加速度Gyは、近似的には次式(3)のように、γにVを掛けることにより得られる(図5(d)参照)。
Gy=V2/(1+Ks・V2)×(θs/N/L) ・・・(3)
図5(b)に、ハンドルを1rad操舵した場合の、車速Vに対する定常ヨーレートγ及び定常横加速度Gyの特性例を示す。図5(b)の特性例は、同じ操舵角であっても車速Vが増すと車両挙動が増すことを示している。定常ヨーレートγはある速度から上は減衰していくが、単位時間あたりの横移動量にするとγ・Vの成分が出てくるため、前述の定常横加速度Gyと同様となり、車速Vに対して単調増加となる。
単位操舵角に対する横加速度や横移動量といった刺激をドライバーが操舵トルク(操舵反力)として感じるとき、車速Vが増加しても重すぎず且つ軽すぎず一定の感覚に収めるためには、車速Vに対して対数関数で目標操舵トルクTs*の大きさが決まるとよい。即ち、例えば次式(4)に示すようなゲイン(目標操舵トルクゲイン)Kgを設定し、この目標操舵トルクゲインKgを、上記式(1)の目標操舵トルクTs*に掛けることで、最終的な目標操舵トルクTs*を生成するようにするとよい。
Kg=C・log(V2/(1+Ks・V2)×(1/N/L) )+D ・・・(4)
上記式(4)において、一例としてC=0.25,D=1.5とした場合、車速Vに対するなる目標操舵トルクゲインKgは、図5(c)のように得られる。但し、停車時(車速V=0のとき)については対数演算ができないため、図5(c)に示すように、例えば「1」などの固定値に漸近させる。
このような演算によって、推定負荷Tx及び車速Vに対して対数的に変化するような目標操舵トルクTs*を生成することができる。但し、実際にECU15で目標操舵トルクTs*を演算させる場合は、微調整ができるよう、図6に示すようなマップとして与える。
図6は、実車で適合した際の推定負荷Txと目標操舵トルクTs*の関係を、20km/h毎に表現したマップである。図6に示すように、目標操舵トルクTs*は、推定負荷Txの上昇に対して対数的に増加すると共に、車速Vの上昇とともに飽和(即ち車速Vに対しても対数的に増加)する傾向となっている。このように、推定負荷Txの変化に対して目標操舵トルクTs*の変化が対数関数となるようにすることで、ドライバーはリニアな手応えを感じることができる。尚、図6のマップの具体的数値や傾き等は、車両に応じて適宜微調整される。
目標生成部22は、このマップを元に、線形補間によって、入力された推定負荷Tx及び車速Vに対する目標操舵トルクTs*を求める。尚、Tx<0に対するマップは、図示は省略したものの、図6のマップに対して原点対象の形状のマップとなる。
次に、コントローラ部24は、ハンドル操作時の伝達感ないし手感(ハンドルからタイヤまでの感覚的硬さ)を調整する手段であり、図3に示すように、アシストコントローラ61と、3つの補正フィルタ62,63,64と、伝達系スケジューラ65と、重み付け部66とを備えている。このコントローラ部24のより具体的な構成を図7に示す。
図7に示すように、アシストコントローラ61と3つの補正フィルタ62,63,64には、偏差演算器23にて演算されたトルク偏差が入力される。アシストコントローラ61は、コントローラ部24が最終的に生成・出力するベースアシスト指令Tb*のベースとなる基本指令を生成するものである。このアシストコントローラ61は、積分器を含む構成としてもよいし含まない構成としてもよい。
積分器を含まないアシストコントローラ61の周波数特性を、図8に示す。図8に示すように、このアシストコントローラ61のゲイン特性は、低周波(概ね1Hz以下)でハイゲイン(10倍以上)であり、操舵系メカ100の安定性を確保するために1Hzを超えたあたりから徐々にゲインを落すとともに、10Hzから100Hz程度までは微分的要素を持たせることで徐々に増加するようにしている。
特に1〜20Hzの領域は、ハンドルを操作したときの手感に影響する部分である。例えば、6Hzを局所的に窪んだ形状にするとハンドルからタイヤまでの連結が硬い印象を受け、逆に6Hzを局所的に凸形状にすると柔らかい印象を受ける。また、周波数によってはその硬さが手元付近の硬さであったりタイヤ付近の硬さであったりすることが実験的に確かめられている。
本例では、基本的なコントローラはこのアシストコントローラ61だけにして、このアシストコントローラ61にてベースとなる基本指令を生成する。そして、このアシストコントローラ61とは別に、基本指令を補正するためのフィルタを複数用意し、各フィルタからの補正量を重み付け加算してトータル的な補正量とし、そのトータル的な補正量にて基本指令を補正する。
具体的には、図7に示すように、複数のフィルタとして、4Hz帯(4Hz及びその近傍)のゲインを補正(局所的に増大)させるための第1補正フィルタ62と、6Hz帯(6Hz及びその近傍)のゲインを補正(局所的に増大)させるための第2補正フィルタ63と、12Hz帯(12Hz及びその近傍)のゲインを補正(局所的に増大)させるための第3補正フィルタ64とを備えている。各フィルタ62,63,64の周波数特性例を、図9に示す。図9から明らかなように、各フィルタ62,63,64は、そのゲイン特性が、対応する周波数帯において局所的に増大している(極大値を有している)。
一方、伝達系特性設定部51は、図7に示すように、車速Vを引数として車速Vに対する伝達特性設定値P1(P1=0〜1の範囲内)を演算するマップを備えている。このマップは、全体として、車速Vが増加するほど伝達系特性設定値P1が減少するような傾向となっている。また、伝達系特性設定値P1は、3つの各補正フィルタ62,63,64による補正の重み付けを車速Vに応じて決めるためのものである。伝達系特性設定部51は、入力された車速Vに対し、このマップに基づいて伝達特性設定値P1を演算して、コントローラ部24内の伝達系スケジューラ65に入力する。
伝達系スケジューラ65は、伝達系特性設定値P1に応じて(即ち車速Vに応じて)、各フィルタ62,63,64からの補正量の重みを示す伝達系補正ゲインK1,K2,K3をそれぞれ設定する。具体的には、第1補正フィルタ(4Hz帯補正)62からの第1補正量の重みを示す第1伝達系補正ゲインK1を設定するための第1スケジューラ65aと、第2補正フィルタ(6Hz帯補正)63からの第2補正量の重みを示す第2伝達系補正ゲインK2を設定するための第2スケジューラ65bと、第3補正フィルタ(12Hz帯補正)64からの第3補正量の重みを示す第3伝達系補正ゲインK3を設定するための第3スケジューラ65cとを備えている。これら各スケジューラ65a,65b,65cは、本例ではいずれもマップとして与えられており、入力される伝達系特性設定値P1に対して対応するマップを用いて各伝達系補正ゲインK1,K2,K3が演算される。
第1スケジューラ65aは、図7に示すように、伝達系特性設定値P1が0から1へ増加するに従って第1伝達系補正ゲインK1が−1から+1へ増加していく特性となっている。つまり、車速Vが低速であるほど第1伝達系補正ゲインK1は大きくなり、逆に車速Vが高速になるほど第1伝達系補正ゲインK1は小さくなる。
第2スケジューラ65bは、図7に示すように、伝達系特性設定値P1が0から1へ増加していくと、第2伝達系補正ゲインK2が、−1から+1へ所定の傾きで到達し、その後+1が保持され、やがて+1から−1へ所定の傾きで減少していくような特性(台形状の特性)となっている。つまり、車速Vが低速域及び高速域においては、低速になるほど或いは高速になるほど第2伝達系補正ゲインK2は減少していき、車速Vが中速域においては、第2伝達系補正ゲインK2は大きな値(+1)をとる。
第3スケジューラ65cは、図7に示すように、伝達系特性設定値P1が0から1へ増加するに従って第3伝達系補正ゲインK3が+1から−1へ減少していく特性となっている。つまり、車速Vが低速であるほど第3伝達系補正ゲインK3は小さくなり、逆に車速Vが高速になるほど第3伝達系補正ゲインK3は大きくなる。
そして、第1補正フィルタ62からの第1補正量は、第1積算器66aにて、第1スケジューラ65aからの第1伝達系補正ゲインK1が積算され、第2補正フィルタ63からの第2補正量は、第2積算器66bにて、第2スケジューラ65bからの第2伝達系補正ゲインK2が積算され、第3補正フィルタ64からの第3補正量は、第3積算器66cにて、第3スケジューラ65cからの第3伝達系補正ゲインK3が積算される。そして、それら各積算値が加算器66dにて加算されることにより伝達系総補正量が得られる。つまり、各補正フィルタ62,63,64からの各補正量が重み付け加算されるのである。そして、そのように重み付け加算して得られた伝達系総補正量が、加算器66eにて、アシストコントローラ61からの基本指令に加算されることで、基本指令が補正される。この補正結果が、ベースアシスト指令Tb*として出力されることとなる。
ここで、例えば各伝達系補正ゲインK1,K2,K3が全て−1であると仮定すると(本例の場合はそのようなケースは生じないが…)、コントローラ部24全体の入出力伝達特性は、図10に示すように、4、6、12Hzのそれぞれの帯域でゲインが低下する。
そして、このような補正が行われた場合、ハンドルトルク(ドライバーにより加えられるトルク)に対する操舵トルクTsの応答は、図11に示すような特性となる。即ち、各補正フィルタ62,63,64による補正によって、特定の周波数帯でゲインが増える。
本実施形態では、4,6,12Hzと3つの帯域でそれぞれ基本指令を補正する例を挙げたが、補正をかける周波数成分が高いほど、それだけ早いタイミングで操舵トルク信号が立ち上がる。言い換えれば、ドライバーが操舵したときに操舵反力としてドライバーに返されるタイミングが、着目する周波数や図11に示した伝達特性上のゲインによって変わるわけである。
操舵感覚で言うと、操舵反力のタイミングが早いほど、また操舵反力の振幅が大きいほど、ハンドルから車体までの力の伝達に関わる操舵系メカの中で手元付近の剛性を高く感じ、操舵反力のタイミングが遅くなるほど、操舵したわりには各部が捩れてやっと車体に伝わるといった感じになってくる。
具体的な部位で官能評価を示すと、12Hzは、ハンドルからタイヤまでのリンク機構が硬い印象を受け、6Hzはショックアブソーバが硬い印象を受け、4Hzは車体バネ上の応答が良くなる印象を受ける。こうした感覚に寄与する帯域は概ね1〜20Hzであり、よって、この1〜20Hzの帯域内における、適切に分散された一又は複数の周波数帯(本例では3つ)でそれぞれ補正するとよい。そのようにすることで、例えば硬い印象をハンドルからタイヤ、車体に至るどの部位あたりで受けるようにするか、などの車両の特徴付けを任意に行うことができる。
尚、どの周波数帯でどのような印象を受けるかは車両によって異なり、上記の4、6,12Hzの例はあくまでも一例である。
本実施形態では、各伝達系補正係数K1,K2,K3は、伝達系スケジューラ65に入力される伝達系特性設定値P1に応じ、各スケジューラ65a,65b,65cにて個々に設定される。
即ち、伝達系特性設定値P1が0のときは、主に12Hz帯の補正を加えることによって手元に近いリンク機構の硬さが上がった感覚になるように、また、伝達系特性設定値P1が1のときは、主に4Hz帯の補正を加えることによって比較的手元から遠い車体の応答が上がった感覚となるように、そして伝達系特性設定値P1が0〜1の中間値のときは、主に6Hz帯の補正を加えることによってショックアブソーバの硬さが上がった感覚になるよう、各スケジューラ65a,65b,65cがマップ化されている。
また、伝達系特性設定部51においては、車速Vが低速のときは車体の応答優先で、高速ではメカ的な硬さを演出してしっかりした感じが出るように、即ち低速のときは伝達系特性設定値P1が大きく高速のときは伝達系特性設定値P1が小さくなるように、車速Vと伝達系特性設定値P1とが一対一に対応付けられたマップが用意されている。伝達系特性設定部51は、このマップに基づき、車速Vに対する伝達系特性設定値P1を演算し出力する。
伝達系特性設定部51や伝達系スケジューラ65の各マップは、車両の性格を出す部分と言えるため、車両コンセプト等に応じて適宜調整すればよい。
ところで、アシストコントローラ61は、ここまでは積分器を有しないものとして説明したが、入力されるトルク偏差を積分する積分器を備えた構成としてもよい。図12(a)〜(c)に、積分器を備えたアシストコントローラの構成例を示す。
図12(a)のアシストコントローラ81は、図7に示したアシストコントローラ61
に対し、その内部に積分器を含んでいる。そのため、このアシストコントローラ81の周波数特性は、図12(d)に実線で示すように、概ね10Hz以下の領域では周波数が低くなるほどゲインが上昇していくような特性となる。
このアシストコントローラ81は、積分要素を備え、その入力(目標操舵トルクTs*と操舵トルクTsの偏差)が0となるようにモータ6を制御するためのベースアシスト指令Tb*を生成する。積分要素を備えることで、図12(d)のような低周波特性を有するため、このアシストコントローラ81を用いることで、操舵トルクTsの目標操舵トルクTs*への追従を定常偏差なく行うことができる。但し、積分要素を備えることで、操舵の切り返しで逆方向のアシストを要するようになった場合、それまでの積分蓄積が、その逆方向の操舵を阻害する方向に作用してしまう。
そこで、そういった問題を解消するために、積分器とコントローラが分離されたアシストコントローラを構成するとよい。具体的には、図12(b)に示すアシストコントローラ82のように、積分器82aとコントローラ82bの直列構造とすることができる。このコントローラ82bは、図12(a)のアシストコントローラ81から積分器82aを抜き出したもの(伝達関数)である。
更に、図12(c)に示すアシストコントローラ83のように、図12(b)のコントローラ82bからさらにゲインK83aを抜き出して積分器82aよりも前に配置して、ゲインK83a,積分器82a,コントローラ83bの直列構造にするとよい。コントローラ83bは、ゲインK83a及び積分器82aを備えていないため、その周波数特性は図12(d)に破線で示すものとなる。また、ゲインK83a及び積分器82aの直列構造(即ちK/s)の周波数特性は、図12(d)に一点鎖線で示すものとなる。
そして、積分器82aを、その積分出力の絶対値に上限がかけられる構成とするとよい。具体的には、図12(b),(c)に示すように、積分器82aに対して操舵トルクTsを入力する。そして、積分器82aに、自身の積分出力の絶対値がその操舵トルクTsの絶対値の所定倍(本発明の積分上限値に相当)を超えないように制限する、いわゆるリミッタとしての機能を持たせる。
尚、積分器82aの出力の絶対値の上限値をどのように設定するかは適宜決めることができ、操舵トルクTs以外に、例えばハンドルの回転角、モータ6の回転角、又はベースアシスト指令Tb*などの状態量に基づき、その状態量が大きくなるほど上限値も大きくなるように設定するとよい。
このように積分出力の絶対値に上限を持たせることで、操舵の切り返しによって積分値が必要以上に蓄積されるのが解消され、操舵の切り返し時においてそれまでの操舵方向へのアシストが必要以上に継続されることなく減少していき、積分値蓄積による切り返し方向への操舵阻害を抑止することができる。
図3に戻り、車両制御演算部70(補正部30)内のトルク補正部31について説明する。トルク補正部31は、車両全体としての適切な操作安定性(適切な車両運動特性)を実現する手段であり、第1車両運動コントローラ71と、第2車両運動コントローラ72と、車両系スケジューラ73と、重み付け部74とを備えている。
第1車両運動コントローラ71は、操舵トルクTsとモータ速度ωの2つの信号を入力して収斂性を向上させるためのものであり、具体的には、特許文献2に記載されている収斂制御機構を適用できる。即ち、ハンドルを切る際の操作感を損なわないようにしつつハンドル戻し時には急な戻り感を低減して車両の収斂性を向上させるための技術であり、操舵トルクTsとモータ速度ωに基づいて第1の補償量を生成する。操舵トルクTsとモータ速度ωに基づいて第1の補償量を生成する具体的方法は特許文献2に開示されているため、ここではその詳細説明を省略する。
また、第2車両運動コントローラ72は、バネ上の運動特性を調整するためのコントローラであり、具体的には、特許文献3に記載されている制御機構におけるトルク補正技術を適用できる。即ち、ベースアシスト指令Tb*と操舵トルクTsとの和を示す推定負荷Txに基づき、操舵初期のヨー応答特性を変えるためにベースアシスト指令Tb*を補正するためのトルク補正量(第2の補償量)を生成する。推定負荷Txに基づいて第2の補償量を生成する具体的方法は特許文献3に開示されているため、ここではその詳細説明を省略する。
そして、各車両運動コントローラ71,72からの各補償量を重み付け部74にて重み付け加算することで、補正トルク指令Trが得られる。この重み付け加算において、各補償量の重みをそれぞれどのように設定するかについては、車両系スケジューラ73により設定される。車両系スケジューラ73は、車両運動特性設定部52から入力される各種車両運動特性設定値に従って各補償量の重みを設定する。
車両運動特性設定部52は、車速Vを引数として、車速Vに対する車両運動特性設定値(例えばヨー減衰量ζおよび応答速度(整定時間)R)をマップ演算により決定して、車両系スケジューラ73へ伝える。
車両系スケジューラ73には、ヨー減衰量ζ及び整定時間Rを実現するための重み配分を示すマップが、官能評価の結果に基づいて予め設定されている。そこで、車両系スケジューラ73は、車両運動特性設定部52からの車両運動特性設定値に応じ、マップ演算によってヨーレートの減衰を増減するための第1のゲインを演算する。この第1のゲインが、第1の補償量の重みを示すものである。
車速Vに応じた定常ヨーレートについては、前述の目標生成部22の機能説明において式(2)等を用いつつ説明したが、過渡まで含めると車速Vの上昇につれて共振周波数の上昇や減衰低下の傾向を示すことが知られている。減衰低下は運転操作をするうえで不安を感じるため、その減衰が低下することのないよう、第1車両運動コントローラ71による収斂制御によって所望の減衰を実現する。ドライバーの感覚に合わせるならば、車速Vが変化しても減衰量が同一になるように、または所定の横加速度を出した状態から手を離したときの整定時間が同じになるように調整してやると、操作に対する反応が均一となり、馴染みやすい車にすることができる。
また、車両系スケジューラ73は、車両運動特性設定部52からの車両運動特性設定値に応じ、マップ演算によって、車速Vに応じたゲインないしは応答性を示す指標を演算して、これを第2のゲインとする。この第2のゲインが、第2の補償量の重みを示すものである。
そして、重み付け部74にて、第1車両運動コントローラ71からの第1の補償量に車両系スケジューラ73からの第1のゲインを積算し、且つ、第2車両運動コントローラ72からの第2の補償量に車両系スケジューラ73からの第2のゲインを積算して、各積算結果を加算することで、各補償量が重み付け加算された結果としての補正トルク指令Trが得られる。
このように構成された本実施形態の電動パワーステアリングシステム1の動作例として、ハンドルを中立状態から約90度操舵して手を離したときの収斂の様子を、図13に示
す。図13において、(a)はハンドル角θsの変化を示し、(b)は補正トルク指令Trの変化を示し、(c)は操舵トルクTsの変化を示す。
また、図13(a)〜(c)の各波形において、波線は、ベースアシスト部20からのベースアシスト指令Tb*をそのままアシストトルク指令Taとして(つまり補正部30による補正なしで)制御した場合の変化を示す。また、一点鎖線は、図14に示した制御構成(即ち特許文献1,2の単純な組み合わせ構成)にて制御した場合の変化を示す。つまり、トルク補正を加えつつも、路面負荷の推定には操舵トルクTsと最終的な指令値に相当するモータ電流Imとを用いる制御構成における制御結果である。そして、実線は、本実施形態のECU15にて制御した場合の変化を示す。
図13から明らかなように、ベースアシストのみ(補正なし)の場合は、車両挙動安定化のための補正がなされないことから、振動がすぐには収まらず、収斂に時間がかかる。一方、図14に示した制御構成を用いれば、補正なしの場合に比べると収斂にかかる時間が短縮される。しかし、図14の制御構成は、既述の通り、ベースアシスト部120がベースアシスト指令Tb*を生成する際、補正部130にて補正された結果としての制御出力が用いられるため、ベースアシスト部120が補正部130による補正動作を打ち消してしまう。つまり、ベースアシストとトルク補正とが干渉し、充分な収斂が行われない。
これに対し、本実施形態の制御機構(ECU15)では、ベースアシストとトルク補正とがそれぞれ独立して存在し、互いの指令値が加算される2自由度系が構築されているため、ベースアシストとトルク補正との干渉の影響はほとんどなく、よって迅速な収束・収斂が実現される。
以上説明したように、本実施形態の電動パワーステアリングシステム1(特にECU15)によれば、ベースアシスト部20が路面負荷に応じたベースアシスト指令Tb*を生成することで、操舵時に路面から受ける反力に応じたアシストが行われ、これによりハンドルにはタイヤ側にかかる力に対応した反力が準定常的に現れることになる。そのため、車両の状態や路面の状態を把握しやすくなる。また、補正部30が、車両を安定的に収斂させるための補正トルク指令Trを生成することで、車両の不安定な挙動を適切に収束させることができる。
そして、本実施形態では、路面負荷を推定してその推定負荷Txに応じた目標操舵トルクTs*を設定する機能が1つのループ(ベースアシスト部20)内で閉じており、補正部30とは分離されている。そのため、両者の干渉を最小限に留める(或いは完全に無くす)ことができる。
これにより、ベースアシスト部20による、路面負荷に応じた操舵反力の特性の実現と、補正部30による、車両全体としての適切な操作安定性(適切な車両運動特性)の実現とを両立させることができ、車両の運転性能を高めることができる。
尚、本実施形態において、ステアリングシャフト3は本発明の入力軸に相当し、操舵系メカ100におけるステアリングシャフト3よりも下流側(車輪10側)の機構全体が本発明の入力伝達手段に相当し、モータ6内の回転センサは本発明の操舵速度情報取得手段に相当し、ベースアシスト部20は本発明の基本アシスト量生成手段に相当し、補正部30は本発明のアシスト補償量生成手段に相当し、加算器41は本発明のアシスト量補正手段に相当し、電流FB部42は本発明のモータ駆動手段に相当し、負荷推定器21は本発明の路面負荷推定手段に相当し、目標生成部22は本発明の目標操舵トルク演算手段に相当し、偏差演算器23及びコントローラ部24により本発明の基本アシスト量演算手段が実現され、アシストコントローラ61は本発明の基本指令演算手段に相当し、コントロー
ラ部24内の重み付け部66は本発明の第1の重み付け加算手段に相当し、第1車両運動コントローラ71及び第2車両運動コントローラ72はいずれも本発明の基本補償量演算手段に相当する。また、ベースアシスト指令Tb*は本発明の基本アシスト量に相当し、補正トルク指令Trは本発明のアシスト補償量に相当し、アシストトルク指令Taは本発明の補正アシスト量に相当し、アシストコントローラ61からの出力は本発明の基本指令に相当し、各車両運動コントローラ71,72からの出力はいずれも本発明の基本補償量に相当し、伝達系スケジューラ65から出力される各ゲインK1,K2,K3はいずれも本発明の第1の重み付け設定指令に相当する。
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、図4に示した負荷推定器21において、LPF21bの遮断周波数を10Hzとしたが、これはあくまでも一例であり、どの帯域を通過させるか(どの帯域をカットするか)については適宜決めることができる。またLPFを用いること自体も必須ではなく、所望の周波数成分を通過させる(不要成分を遮断する)ことができる限り、フィルタの構成や通過周波数帯(遮断周波数帯)は適宜決めることができる。
また、図7に示したコントローラ部24において、補正フィルタの数を3つ(各補正フィルタ62,63,64)としたことや、伝達系スケジューラ65を構成するスケジューラの数を3つ(各スケジューラ65a,65b,65c)としたこと、各ゲインK1,K2,K3の範囲を−1〜+1としたこと、伝達系特性設定値P1の範囲を0〜1としたことは、いずれも、あくまでも一例にすぎない。
また、各スケジューラ65,73による重み設定を、車速Vに応じて行うことは必須ではない。例えば、重み設定を予め固定してもよいし、車速V以外の他の物理量・状態量に応じて設定してもよい。各スケジューラ65,73を、入力される特性設定値に対してどのような出力特性をもつようにするか(即ちどのような特性のマップを持つようにするか)についても適宜決めることができる。また、各特性設定部51,52についても、車速Vに対してどのような出力特性をもつようにするかは適宜決めることができる。
また、コントローラ部24において、各補正フィルタ62,63,64を備えることも必須ではなく、アシストコントローラ61からの出力をそのままベースアシスト指令Tb*として出力するようにしてもよい。
また、図3に示したトルク補正部31において、車両運動コントローラを複数(本例では2つ)設けることも必須ではなく、特性の異なる3つ以上のコントローラを設けても良いし、1つのコントローラのみ設けるようにしてもよい。車両運動コントローラを1つのみ設ける場合は、その1つの車両運動コントローラからの出力をそのまま補正トルクTrとして出力するようにすればよい。
また、上記実施形態のコントローラ部24は、図7に示したように、ベースとなるアシストコントローラ61を1つ設け、その出力を、3つの補正フィルタ62,63,64からの各補正量によって補正する構成としたが、このような構成もあくまでも一例であり、例えば、周波数特性の異なる複数のアシストコントローラを設け、それらの出力を重み付け加算するようにしてもよい。このように、補正フィルタは設けずにアシストコントローラ自体を複数備えるようにすることによっても、上記実施形態のコントローラ部24と同等の性能を持つコントローラを実現することができる。尚勿論、アシストコントローラを
複数設けて更に補正フィルタも1つ又は複数設けるようにしてもよい。
また、図3に示したトルク補正部31の構成についても、これは1つの例であって、他にも種々の構成を採り得る。例えば、整定時間を遅く設計した収斂制御用の車両運動コントローラと、整定時間を速く設計した収斂制御用の車両運動コントローラとを備えた構成をとることもできる。この場合、車速Vによって最終的にどの程度の整定時間R[sec]とするかを、車速と整定時間とが対応付けられたマップに基づき演算し、その整定時間Rに対してどのような配分で2つの車両運動コントローラの出力を加算するとよいかをスケジューラによってマップ演算して、重み付けのための1つのゲインKaを求める。この整定時間Rを調整するための重み付けによって得られる出力をSbとすると、このSbは、2つの車両運動コントローラの出力をそれぞれS1、S2としたとき、例えば次式(5)により得られる。
Sb=Ka・S1+(1−Ka)×S2 ・・・(5)
また、車速Vによってどれだけ車両のヨー共振を抑制するか(ダンピングを強くするか)を示す減衰レベルζを、車速と減衰レベルとが対応付けられたマップに基づき演算し、その減衰レベルζを達成しうるスケジューラによってマップ演算して、重み付けのための1つのゲインKbを求める。このゲインKbを前述のSbに掛け合せることによって、最終的な車両運動コントローラ(ここでは収斂制御)の出力Sxを求めることができる。
この例において、最終的な整定時間Rは、例えば、車速Vが低いときは速く収斂させるべく短めの整定時間Rにし、車速Vが高速のとおきはある程度長めの整定時間Rとなるようにするとよい。こうすることによって、低速でのハンドルの戻りが速やかに行われ、高速では穏やかな収斂挙動によってロール方向の車体揺り返しの低減に寄与する。また、減衰レベルについては、高速になるほど、車両ヨー振動が増大することに対応するために大きな値となるよう設定するとよい。
また、上記実施形態では、モータ6としてブラシレスDCモータを用いたが、ブラシレスDCモータを用いることはあくまでも一例であって、例えばブラシ付DCモータであってもよいし、他の各種モータであってもよい。ブラシ付DCモータを用いる場合、そのモータ速度ωは、例えばエンコーダ等の回転センサを用いたり、或いはモータの端子電圧とモータ電流を検出してこれら検出結果から推定演算すること等によって検出できる。
また、上記実施形態では、モータ6が回転センサを備え、その回転センサによってモータ速度が検出されるものとしたが、これも一例に過ぎず、回転センサをどこに備えるか、延いては必要な情報(モータ速度やモータ回転角などのモータ6の回転状態)をどのようにして検出するかは、適宜決めることができる。そのため、モータ6として例えばブラシ付DCモータを用いた場合は、モータ6に流れる電流に基づいて回転状態を推定する方法等を用いることによって回転状態を得るようにしてもよい。
また、上記実施形態では、電動パワーステアリングシステム1の方式として、インターミディエイトシャフト5の回転をモータ6でアシストする、いわゆるシャフトアシスト式の構成を例に挙げて説明したが、これもあくまでも一例であり、例えばタイロッド8の往復運動(即ちステアリングギアボックス7内のラックの往復運動)をモータでアシストする、いわゆるラックアシスト式のものにも適用できるなど、種々のアシスト方式の電動パワーステアリングシステムに対して本発明を適用することが可能である。
1…電動パワーステアリングシステム、2…ハンドル、3…ステアリングシャフト、4…トルクセンサ、5…インターミディエイトシャフト、6…モータ、6a…減速機構、7…
ステアリングギアボックス、8…タイロッド、9…ナックルアーム、10…タイヤ、11…車速センサ、20…ベースアシスト部、21…負荷推定器、21a,41,66d,66e…加算器、21b…LPF、22…目標生成部、23…偏差演算器、24…コントローラ部、30…補正部、31…トルク補正部、42…電流FB部、50…HMI部、51…伝達系特性設定部、52…車両運動特性設定部、60…伝達制御演算部、61,81,82,83…アシストコントローラ、62…第1補正フィルタ、63…第2補正フィルタ、64…第3補正フィルタ、65…伝達系スケジューラ、65a…第1スケジューラ、65b…第2スケジューラ、65c…第3スケジューラ、66,74…重み付け部、66a…第1積算器、66b…第2積算器、66c…第3積算器、70…車両制御演算部、71…第1車両運動コントローラ、72…第2車両運動コントローラ、73…車両系スケジューラ、82a…積分器、82b…コントローラ、83a…ゲインK、83b…コントローラ、100…操舵系メカ

Claims (16)

  1. 車両のハンドルに連結されて該ハンドルと共に回転する入力軸と、
    前記入力軸の回転を前記車両の操舵輪に伝達することにより該操舵輪を操舵させる入力伝達手段と、
    前記入力軸に加えられる軸回転方向のトルクである操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    前記ハンドルの操作による前記操舵輪の操舵時に該ハンドルの操作をアシストするためのアシスト操舵力を前記入力軸又は前記入力伝達手段に与えるためのモータと、
    を備えた電動パワーステアリングシステムに設けられ、前記モータを制御することにより前記アシスト操舵力を制御する電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記操舵トルク検出手段により検出された前記操舵トルクに基づき、該操舵トルクが路面から前記操舵輪に加えられる路面負荷に応じて変化するように前記ハンドルの操作をアシストするための基本アシスト量を生成する基本アシスト量生成手段と、
    前記操舵輪の挙動が予め設定した挙動特性に応じたものとなるように、前記基本アシスト量生成手段により演算された前記基本アシスト量を補正するための、アシスト補償量を生成するアシスト補償量生成手段と、
    前記基本アシスト量生成手段により生成された前記基本アシスト量を、前記アシスト補償量生成手段により生成された前記アシスト補償量によって補正することにより、補正アシスト量を生成するアシスト量補正手段と、
    前記アシスト量補正手段からの前記補正アシスト量に基づいて前記モータを駆動させるモータ駆動手段と、
    を備え、
    前記基本アシスト量生成手段は、
    該基本アシスト量生成手段自身の生成結果である前記基本アシスト量と前記操舵トルク検出手段により検出された前記操舵トルクに基づいて前記路面負荷を推定する路面負荷推定手段と、
    前記路面負荷推定手段により推定された前記路面負荷である推定負荷に基づいて、前記操舵トルクの目標値である目標操舵トルクを演算する目標操舵トルク演算手段と、
    前記操舵トルク検出手段により検出される前記操舵トルクが前記目標操舵トルク演算手段により演算された前記目標操舵トルクと一致するように前記モータを制御するための前記基本アシスト量を演算する基本アシスト量演算手段と、
    を備えていることを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記路面負荷推定手段は、前記基本アシスト量と前記操舵トルクとの和から、予め設定した周波数帯域の成分を抽出し、その抽出した周波数帯域の成分を前記推定負荷として出力する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  3. 請求項2に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記周波数帯域は10Hz以下であることを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記目標操舵トルク演算手段は、前記路面負荷推定手段により推定された前記推定負荷に基づき、該推定負荷が大きくなるほど前記目標操舵トルクも大きくなるように該目標操舵トルクを演算する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  5. 請求項4に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記目標操舵トルク演算手段は、前記推定負荷に対して前記目標操舵トルクが対数的に変化するように該目標操舵トルクを演算する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記電動パワーステアリングシステムは、前記車両の走行速度である車速を検出する車速検出手段を備え、
    前記目標操舵トルク演算手段は、前記車速検出手段により検出された前記車速に基づき、該車速が大きくなるほど前記目標操舵トルクも大きくなるように該目標操舵トルクを演算する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  7. 請求項6に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記目標操舵トルク演算手段は、前記車速に対して前記目標操舵トルクが対数的に変化するように該目標操舵トルクを演算する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記基本アシスト量演算手段は、
    前記操舵トルク検出手段により検出された前記操舵トルクと前記目標操舵トルク演算手段により演算された前記目標操舵トルクとの差であるトルク偏差を演算する偏差演算手段と、
    前記偏差演算手段により演算される前記トルク偏差が0になるように前記基本アシスト量に相当する基本指令を演算する基本指令演算手段と、
    を備え
    記基本指令演算手段は、入力される前記トルク偏差に対する、出力する前記基本指令の伝達関数が、所定の周波数以下の帯域におけるゲインが1よりも大きい所定のレベル以上となるように構成されている
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  9. 請求項8に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記基本指令演算手段は、入力される前記トルク偏差を積分して出力する積分手段を備え、前記トルク偏差が0となるように前記基本指令を演算するよう構成されている
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  10. 請求項9に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記積分手段は、出力する積分値の絶対値が所定の積分上限値以下に制限されるよう構成されている
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  11. 請求項10に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記積分上限値は、前記操舵トルク検出手段により検出された前記操舵トルク、前記ハンドルの回転角、前記モータの回転角、又は前記基本アシスト量生成手段が生成する前記基本アシスト量を設定用状態量として、この設定用状態量が大きくなるほど大きな値となるように設定される
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  12. 請求項8〜請求項11の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記所定の周波数は1Hzであることを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  13. 請求項8〜請求項12の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記所定のレベルは10倍であることを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  14. 請求項8〜請求項13の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記基本アシスト量演算手段は、
    周波数特性の異なる複数の前記基本指令演算手段と、
    入力される第1の重み付け設定指令に従って前記複数の基本指令演算手段からの前記基本指令を重み付け加算する第1の重み付け加算手段と、
    を備えていることを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  15. 請求項1〜請求項14の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記モータの回転速度を直接又は間接的に示す情報である操舵速度情報を取得する操舵速度情報取得手段を備え、
    前記アシスト補償量生成手段は、前記操舵速度情報取得手段により取得された前記操舵速度情報、前記操舵トルク検出手段により検出された前記操舵トルク、及び前記路面負荷推定手段により推定された前記路面負荷のうち少なくとも1つに基づいて、前記車両の挙動を収斂させるための前記アシスト補償量を生成する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  16. 請求項15に記載の電動パワーステアリング制御装置であって、
    前記アシスト補償量生成手段は、前記車両の挙動を収斂させるための前記アシスト補償量に相当する基本補償量を演算する、複数の基本補償量演算手段を備え、該各基本補償量演算手段により演算された前記各基本補償量を重み付け加算したものを前記アシスト補償量として演算するよう構成されている
    ことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
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