JP5949657B2 - ステアリング制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、アシストトルクによって操舵時のフィールを調整するステアリング制御装置に関する。
従来、車両のハンドル操作(操舵)に応じたアシストトルクをモータによって発生させる電動パワーステアリングシステムの一つとして、目標操舵トルクと実際の操舵トルクの偏差に基づいてモータを制御するものが知られている。また、ドライバが路面反力に応じたフィール(手感)が得られるようにするために、操舵軸で検出される操舵トルクとモータが加えるアシストトルクから路面反力(路面負荷)を推定し、その推定結果(推定負荷)から目標操舵トルクを生成する技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平2004−203089号公報
これらの装置では、操舵時のフィールを調整する場合、実車での走行時に得られるフィールに基づいて、推定負荷から目標操舵トルクへの変換特性(マップや関数で表される)を変更することが行われている。
ところで、ドライバは、路面反力の変化を、操舵時のフィールの変化から感じ取ることは可能であるが、路面反力が具体的にどの程度の大きさなのかまで感じ取ることは困難である。従って、変換特性を調整する際に、変換特性のどのあたりを増減させればよいのかがわかりにくく、所望のフィールが得られるように適合させるのが難しいという問題があった。
このため、変換特性の評価や調整を実施する際には、例えば、推定負荷の測定値等を取得し、その取得した測定値から評価や調整の対象となる変換特性の部位の当たりをつけて、作業を進める必要があり、非常に煩わしいという問題があった。
更に、路面反力は、車両の重量等の影響を受けて変化するため、軽自動車と普通自動車など、車両の種類が異なると、変換特性で用意する必要がある推定負荷の範囲も異なったものとなる。従って、同様のフィールを実現する場合でも、車種が違えば変換特性の調整を一からやり直す必要があるという問題もあった。
本発明は、上記問題点を解決するために、操舵時のフィールを評価,調整する作業に要する手間を軽減することを目的とする。
本発明のステアリング制御装置は、負荷推定手段と、第1演算換算手段と、第2演算手段と、指令値生成手段とを備える。負荷推定手段は、操舵部材に連結された操舵軸に加わる操舵トルクに基づき、路面から操舵輪に加えられる路面負荷の推定値である推定負荷を求める。第1演算手段は、推定負荷から、車両の乗員によって知覚される現象に関する物理量である可知物理量を求める。第2演算手段は、予め設定された変換特性に従って可知物理量を操舵トルクの目標値である目標操舵トルクに変換する。指令値生成手段は、操舵トルクを目標操舵トルクに一致させるようにモータを制御するための指令値を生成する。なお、ここで言う知覚には、体性感覚,視覚等が含まれるものとする。
このような構成によれば、変換特性が、可知物理量と目標操舵トルクの関係で表現されているため、車両の乗員が知覚する現象から可知物理量の大きさ、ひいては変換特性中の該当する部位(評価や調整の対象となる部位)を、車両の乗員に直感的に理解させることができるため、変換特性の評価,調整作業に要する手間を軽減することができる。
特に、知覚として、車両が受ける横方向の加速度(いわゆる横G)等、車両の乗員に体感されるものを採用した場合、体感の度合いは車両の諸元とは関係なく決まるため、可知物理量から目標操舵トルクへの変換特性は車種によらず類似したものとなる。従って、ある車両で調整した変換特性を、微調整を行う程度で他の車両に移植することができ、多種多様な車両の評価、調整作業を効率よく行うことができる。
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、本発明は、前述したステアリング制御装置の他、ステアリング制御装置を構成要素とする各種システム、ステアリング制御装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム、ステアリング制御方法など、種々の形態で実現することができる。
電動パワーステアリングシステムの概略構成を表す構成図である。 ECUの制御機構の概略構成を表す構成図である。 第1実施形態におけるベースアシスト部の構成を表す構成図である。 換算係数の算出に用いたモデルを表す説明図である。 変換部にて横加速度から目標操舵トルクを生成する際に使用する変換マップの特性を表すグラフであり、(a)が軽自動車の場合、(b)が普通自動車の場合である。 第2実施形態における目標生成部の構成を表す構成図である。 (a)が換算部にて車速から換算係数を生成する際に使用する換算マップの特性を表すグラフ、(b)が変換部にてハンドル回転角から目標操舵トルクを生成する際に使用する変換マップの特性を表すグラフである。 従来装置において推定負荷から目標操舵トルクを生成する際に使用する変換マップの特性を表すグラフであり、(a)が軽自動車の場合、(b)が普通自動車の場合である。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
<全体構成>
本実施形態の電動パワーステアリングシステム1は、図1に示すように、ドライバによるハンドル(操舵部材)2の操作をモータ6によってアシストするものである。ハンドル2は、ステアリングシャフト3の一端に固定され、ステアリングシャフト3の他端にはトルクセンサ4が接続されており、このトルクセンサ4の他端には、インターミディエイトシャフト5が接続されている。なお、以下の説明では、ステアリングシャフト3からトルクセンサ4を経てインターミディエイトシャフト5に至る軸体全体を、まとめて操舵軸ともいう。また、以下では、操舵軸の回転角を舵角、操舵軸の回転角速度を操舵速度ともいう。
トルクセンサ4は、操舵トルクTsを検出するためのセンサである。具体的には、ステアリングシャフト3とインターミディエイトシャフト5とを連結するトーションバーを有し、このトーションバーのねじれ角に基づいてそのトーションバーに加えられているトルクを検出する。
モータ6は、ハンドル2の操舵力をアシスト(補助)するものであり、減速機構6aを介してその回転がインターミディエイトシャフト5に伝達される。すなわち、減速機構6aは、モータ6の回転軸の先端に設けられたウォームギアと、このウォームギアと噛み合った状態でインターミディエイトシャフト5に同軸状に設けられたウォームホイールとにより構成されており、これにより、モータ6の回転がインターミディエイトシャフト5に伝達される。逆に、ハンドル2の操作や路面からの反力(路面反力)によってインターミディエイトシャフト5が回転すると、その回転が減速機構6aを介してモータ6に伝達され、モータ6も回転することになる。
また、モータ6は、本実施形態ではブラシレスモータであり、内部にレゾルバ等の回転センサを備え、モータ6の回転状態を出力可能に構成されている。本実施形態のモータ6は、回転センサからの回転状態として、少なくともモータ速度ω(回転角速度を示す情報)を出力可能に構成されている。なお、モータ速度ωの代わりに、モータ速度ωに減速機構6aのギア比を乗じることで求められる操舵速度を用いてもよい。
インターミディエイトシャフト5における、トルクセンサ4が接続された一端とは反対側の他端は、ステアリングギアボックス7に接続されている。ステアリングギアボックス7は、ラックとピニオンギアからなるギア機構にて構成されており、インターミディエイトシャフト5の他端に設けられたピニオンギアに、ラックの歯が噛み合っている。そのため、ドライバがハンドル2を回すと、インターミディエイトシャフト5が回転(すなわちピニオンギアが回転)し、これによりラックが左右に移動する。ラックの両端にはそれぞれタイロッド8が取り付けられており、ラックとともにタイロッド8が左右の往復運動を行う。これにより、タイロッド8がその先のナックルアーム9を引っ張ったり押したりすることで、操舵輪である各タイヤ10の向きが変わる。
また、車両における所定の部位には、車速Vを検出するための車速センサ11が設けられている。
このような構成により、ドライバがハンドル2を回転(操舵)させると、その回転がステアリングシャフト3、トルクセンサ4、およびインターミディエイトシャフト5を介してステアリングギアボックス7に伝達される。そして、ステアリングギアボックス7内で、インターミディエイトシャフト5の回転がタイロッド8の左右移動に変換され、タイロッド8が動くことによって、左右の両タイヤ(操舵輪)10が操舵される。
ECU15は、図示しない車載バッテリからの電力によって動作し、トルクセンサ4にて検出された操舵トルクTs、モータ6のモータ速度ω、および車速センサ11にて検出された車速Vに基づいて、アシストトルク指令Taを演算する。そして、その演算結果に応じた駆動電圧Vdをモータ6へ印加することにより、ドライバがハンドル2を回す力(ひいては両タイヤ10を操舵する力)のアシスト量を制御するものである。
本実施形態ではモータ6がブラシレスモータであるため、ECU15からモータ6へ出力(印加)される駆動電圧Vdは、詳しくは、3相(U,V,W)の駆動電圧Vdu,Vdv,Vdwである。ECU15からモータ6へこれら各相の駆動電圧Vdu,Vdv,Vdwを印加(各相の駆動電流を通電)することで、モータ6の回転トルクが制御される。ブラシレスモータを3相の駆動電圧で駆動(例えばPWM駆動)する方法やその3相の駆動電圧を生成する駆動回路(例えば3相インバータ)についてはよく知られているため、ここではその詳細説明は省略する。
ECU15は、直接的にはモータ6へ印加する駆動電圧Vdを制御することによりモータ6を制御するものであるが、モータ6を制御することで結果としてそのモータ6により駆動される操舵系メカ100を制御するものであると言え、よってECU15の制御対象はこの操舵系メカ100であると言える。なお、操舵系メカ100は、図1に示したシステム構成図のうちECU15を除く機構全体、すなわちハンドル2から各タイヤ10に至る、ハンドル2の操舵力が伝達される機構全体を示す。
<ECU>
ECU15は、図2に示すように、ベースアシスト指令Tb*を生成するベースアシスト部20と、補正トルク指令Trを生成する補正部30と、ベースアシスト指令Tb*と補正トルク指令Trを加算することによりアシストトルク指令Taを生成する加算器41と、アシストトルク指令Taに基づいてモータ6へ駆動電圧Vdを印加することによりモータ6を通電駆動する電流フィードバック(FB)部42と、を備えている。
ベースアシスト部20は、操舵トルクTsと車速Vに基づき、ハンドル2の操作をアシストするための、ベースアシスト指令Tb*を生成する。ベースアシスト部20は、横加速度(路面反力によって結果的に生じる車両状態)に応じた操舵反力(操舵トルク)の特性の実現、すなわち車両状態や路面状態に対応した反応(反力)が準定常的にドライバへ伝達されるようにすることで車両の状態や路面の状態をドライバが把握しやすくなるようにすると共に、ドライバに与える手感(ハンドルからタイヤまでの感覚的硬さ,ねばり,重さ)を調整することで操舵時のフィールを向上させることを実現するためのブロックである。
補正部30は、ドライバのハンドル操作に対する車両制御特性や操舵メカ系の伝達をドライバの意図に沿うように(具体的には車両が適切に収斂するとか、スムーズな車両旋回を発生させるなど)するためのブロックである。補正部30は、操舵トルクTsとモータ速度ωと車速Vに基づき、上述した不安定な挙動を抑制(収斂)するための補正トルク指令Trを生成する。
加算器41は、ベースアシスト部20で生成されたベースアシスト指令Tb*と補正部30で生成された補正トルク指令Trとを加算することにより、アシストトルク指令Taを生成する。
電流FB部42は、アシストトルク指令Taに基づき、そのアシストトルク指令Taに対応したアシストトルク(アシスト操舵力)が操舵軸(特にトルクセンサ4よりもタイヤ10側)に付与されるようにモータ6へ駆動電圧Vdを印加する。具体的には、アシストトルク指令Taに基づいて、モータ6の各相へ通電すべき目標電流(相毎の目標電流)を設定する。そして、各相の通電電流Imを検出・フィードバックして、その検出値(各相の通電電流Im)がそれぞれ目標電流と一致するように駆動電圧Vdを制御(通電電流を制御)することで、操舵軸に対して所望のアシストトルクを発生させる。
なお、このような補正部30および電流FB部42は公知の技術(例えば、特開2013−52793号公報参照)であるため、ここでは説明を省略し、以下では、本発明の主要部に関わるベースアシスト部20について詳述する。
<ベースアシスト部>
ベースアシスト部20は、図3に示すように、負荷推定器21と、目標生成部22と、偏差演算器23と、コントローラ部24とを備えている。
負荷推定器21は、ベースアシスト指令Tb*と操舵トルクTsとに基づいて路面負荷を推定する。具体的には、負荷推定器21は、ベースアシスト指令Tb*と操舵トルクTsとを加算する加算器211と、その加算結果から所定の周波数以下の帯域の成分を抽出するローパスフィルタ(LPF)212とを備え、このLPF212により抽出された周波数成分を推定負荷Txとして出力する。通常、ドライバは、主に10Hz以下の操舵反力情報を頼りに運転をしているため、概ね10Hz以下の周波数成分を通過(抽出)させ、10Hzより高い周波数成分は遮断するようにしている。
目標生成部22は、負荷推定器21にて推定された路面負荷(推定負荷Tx)と自車両の走行速度(車速V)とに基づいて、操舵トルクの目標値である目標操舵トルクTidを生成する。その詳細については後述する。偏差演算器23は、操舵トルクTsと目標操舵トルクTidとの差であるトルク偏差を演算する。コントローラ部24は、トルク偏差に基づき、トルク偏差が0になるよう、すなわち操舵トルクTsが目標操舵トルクTidに追従するようなアシストトルク(アシスト量ともいう)を発生させるためのベースアシスト指令Tb*を生成する。具体的には、コントローラ部24は、トルク偏差に比例して目標操舵トルクTidを変化させる比例成分を生成する比例制御器241と、トルク偏差の時間積分に比例して目標操舵トルクTidを変化させる積分成分を生成する積分制御器242と、トルク偏差の微分に比例して目標操舵トルクTidを変化させる微分成分を生成する微分制御器243と、比例成分、積分成分、微分成分を加算してベースアシスト指令Tb*を生成する指令値演算器244とを備え、いわゆるPID制御を実現するように構成されている。
<目標生成部>
目標生成部22は、換算器221と、符号抽出器222と、絶対値演算器223と、目標演算器224と、符号付加器225とを備え、ドライバが知覚する横加速度に応じてがハンドル操作を重いまたは軽いと感じることができ、しかも、横加速度の上昇に対するドライバの操舵反力(或いは操舵トルク)の上昇度合い(勾配)が所望の大きさとなるようにするための(即ち、所望の操舵特性を実現するための)、目標操舵トルクTidを生成する。
換算器221は、推定負荷Txに予め設定された換算係数Ktrnsを乗じることで、推定負荷Txを、車両が受ける横方向の加速度である横加速度(いわゆる横G)Ayに換算する。符号抽出器222は、横加速度Ayの符号を抽出し、絶対値演算器223は、横加速度の絶対値|Ay|を求める。目標演算器224は、予め設定された変換マップを用いて、横加速度の絶対値|Ay|の大きさに応じた目標操舵トルクの絶対値|Tid|を求める。符号付加器225は、目標演算器224が出力する目標操舵トルクの絶対値|Tid|に、符号抽出器222で抽出された符号を乗じた結果を、目標操舵トルクTidとして出力する。
目標演算器224で使用される変換マップは、横加速度の絶対値|Ay|に対応する目標操舵トルクの絶対値|Tid|を、予め設定された複数種類の車速V毎にマップ化したものである(図5参照)。目標演算器224では、マップ化された車速V以外の車速では、マップの値から補間して目標操舵トルクの絶対値|Tid|を求めている。
<換算係数の導出>
ここで、換算器221で使用する換算係数Ktrnsの導出方法について説明する。
図4(a)は、前輪が操舵される車両を表す簡易的なモデルであり、このモデルから(1)(2)式が得られる。
但し、Izはヨー慣性モーメント、γはヨーレート、γ’はヨーレートを微分したヨー角加速度、Lfは前輪と重心間の距離、Lrは後輪と重心間の距離、FyfとFyrは、タイヤスリップ角αfとαrで発生するタイヤ横力、Mは車両重量、Ayは横加速度(横G)である。ホイールベースをL(=Lf+Lr)として、(1)(2)式からFyrを消去すると(3)式が得られる。
図4(b)は、ハンドルの回転がタイヤの転舵に至るまでの機械的な接続をモデル化したものである。ハンドルとモータによって操舵軸に加わるトルクを推定負荷Txとして推定している。
このトルクTxがピニオン半径Npのピニオンを回転させる。これにより、トルクTxはラック&ピニオン機構によってラック推力Frに変換され、タイヤに伝達される。実際には、左右輪があるが、図では1輪にまとめて表現している。
ラック推力Frにより、タイヤの転舵中心でタイヤを転舵させようとするトルクFr・aが発生し、一方で、タイヤ横力Fyfにより、その接地面における作用力中心でタイヤの転舵を復元させようというトルク(セルフアライニングトルク)Fyf・bが発生する。なお、aは転舵中心からラック推力Frの作用点までの距離、bは転舵中心からタイヤ接地面までの距離を表す。
機械的な慣性や摩擦、距離a,bの変動を無視した近似式は、(4)(5)式で表される。
(3)〜(5)式より、横加速度Ayを推定負荷Txで表すと(6)(7)式が得られる。
(6)式の右辺第2項には、ヨー角加速度γ’という過渡項が含まれているので、静的にはこれを無視することができる。つまり、右辺第2項を無視した場合、横加速度Ayと推定負荷Txには比例関係があることがわかる。この(7)式で定義される比例係数を、換算器221における換算係数Ktrnsとして使用する。換算係数Ktrnsは、車両設計緒元から求めてもよいし、詳細な諸元が得られない場合は、走行試験によって推定負荷Txと横加速度Ayの計測し、その計測結果を一次関数(直線グラフ)で近似したときのグラフの傾きから求めてもよい。
但し、横加速度Ayと推定負荷Txとの間の比例係数は、ある程度速度がでている状況では概ね一定に保たれるが、据え切りや極低速走行をしている状態では、タイヤゴムの引きずりに力を要するため、上述した換算係数Ktrnsより小さくなる。従って、極低速時の変換マップは、これらの誤差を補償するように設定する。
<効果>
以上説明したように、本実施形態では、推定負荷Txを横加速度Ayに換算し、横加速度Ayから目標操舵トルクTidへの変換特性を表す変換マップを用いて、目標操舵トルクTidを生成するように構成されている。
従って、本実施形態によれば、操舵時に所望のフィールが得られるように、実車を使って変換マップを評価,調整する際に、作業者(車両の乗員)は、横加速度Ayという体感可能な身近な情報を頼りに評価,調整を実施することができ、また、変換マップ中で評価や調整の対象となる部分を直感的に理解することができるため、評価,調整作業に要する手間を軽減することができる。
ここで、図5は、換算係数Ktrnsを用いて推定負荷Txから換算された横加速度Ayを用いて、目標操舵トルクTidを求める際に使用する変換マップの特性を表すグラフである。但し、(a)は、車両A(軽乗用車)で使用する変換マップであり、(b)は車両B(普通乗用車)で使用する換算マップである。また、それぞれ、個々に実車を使用して、操舵時に同様のフィールが得られるように調整を行った結果を示す。
図示されているように、横スケールが推定負荷Txである従来の変換マップ(図8参照)と比較して、横スケールが横加速度Ayである本実施形態での変換マップは、車種によらず、グラフの形状(初期の反力の立ち上がりや、その後の反力の上昇度合い等)が非常に類似したものとなる。
これは、車両を構成するプラットフォーム、タイヤサイズ、ナックルアーム諸元、車両重量等がそれぞれ異なることによって車種毎(場合によっては車両毎)に生じる、推定負荷Txから目標操舵トルクTidへの変換特性の相違を、本実施形態では、換算係数Ktrnsで吸収しているため、換算後のパラメータ(ここでは横加速度Ay)から目標操舵トルクTidへの変換特性(変換マップ)は、車両の種類によらず類似したものとなると考えられる。
但し、この変換マップだけで動的な特性が一意に決まるわけではないため、ある車両で調整した変換マップを、異なる種類の車両にそのまま移植することができるわけではないが、例えば、全ての車種に共通した基本的な操舵フィールを作り上げることは可能である。
従って、一つの車両で調整されたマップがあれば、異なる車種に移植して最初にデフォルト値として設定して使用し、そこから適宜、必要な微調整を加えていけば、効率よく操舵フィールを仕上げることができる。なお、このような微調整は、車両毎のコンセプトに合わせた味付けを変えることに他ならない。
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
上記実施形態では、推定負荷Txを横加速度Ayに換算し、換算した横加速度Ayから目標操舵トルクTidを生成しているが、本実施形態では、推定負荷Txをハンドル角度θsに換算し、換算したハンドル角度θsから目標操舵トルクTidを生成する点が異なっている。
つまり、本実施形態では、目標生成部22aが上記実施形態の目標生成部22とは構成が一部異なっている。以下では、目標生成部22aについて、目標生成部22と同一の構成要素については、同一符号を付して説明を省略して、構成の相違する部分を中心に説明する。
<目標生成部>
目標生成部22aは、図6に示すように、換算器226と、符号抽出器222と、絶対値演算器223と、目標演算器227と、符号付加器225とを備える。つまり、換算器226と目標演算器227に変更が加えられている。
換算器226は、推定負荷Txに車速Vに応じて変化する換算係数Kthを乗じることで、推定負荷Txを、ハンドルの回転角を表すハンドル角度θsに換算する。なお、換算係数Kthは、予め設定された係数マップを用いて算出する。符号抽出器222は、ハンドル角度θsの符号(直進時のハンドル位置を基準として左回転をプラス、右回転をマイナスとする)を抽出し、絶対値演算器223は、ハンドル角度θsの絶対値を求める。
目標演算器227は、予め設定された変換マップを用いて、ハンドル角度の絶対値|θs|に応じた目標操舵トルクの絶対値|Tid|を求める。符号付加器225は、目標演算器227が出力する目標操舵トルクの絶対値|Tid|に、符号抽出器222で抽出された符号を乗じた結果を、目標操舵トルクTidとして出力する。
換算器226で使用する係数マップは、図7(a)に示すように、車速Vが大きくなるほど小さな値となる特性を有する。但し、40[Km/h]以下では、車速が低下に伴って換算係数Kthは急激に大きな値になるため、本実施形態では、換算係数Kthの上限を300に制限している。
目標演算器227で使用する変換マップは、図7(b)に示すように、ハンドル角度θsに対応する目標操舵トルクTidを、予め設定された複数種類の車速V毎にマップ化したものである。目標演算器224では、設定された車速V以外の車速では、マップの値から補間して目標操舵トルクTidを求める。
<換算係数の導出>
ここで、換算器226で使用する換算係数Kthの導出方法について説明する。
横加速度Ayとハンドル角度θsの関係は、細かなダイナミクスを無視して静的な状態で考えると、(8)式で表される。
但し、Vは車速、Ksはスタビリティファクタ、Nはステアリングギア比、Lはホイールベースである。
(8)式を(6)式の左辺に代入して、ヨー角加速度γ’の項を無視すると、推定負荷Txとハンドル角度θsの関係は(9)(10)式で表される。
この(10)式の関係をグラフ化したものが図7(a)であり、換算係数Kthは、車速Vに応じて変化する。
<効果>
以上説明したように、本実施形態では、推定負荷Txをハンドル角度θsに換算し、ハンドル角度θsから目標操舵トルクTidへの変換特性を表す変換マップを用いて、目標操舵トルクTidを生成するように構成されている。
従って、本実施形態によれば、操舵時に所望のフィールが得られるように、実車を使って変換マップを調整する際に、作業者(車両の乗員)は、ハンドル角度θsという目視可能な身近な情報を頼りに評価,調整を実施することができ、また、変換マップ中で評価,調整の対象となる部分を直感的に理解することができるため、評価,調整作業に要する手間を軽減することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。例えば、一つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を一つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。
上記実施形態では、可知物理量として、体感可能な横加速度Ayを用いる場合と、目視可能なハンドル角度θsを用いる場合について説明したが、これらに限るものではなく、操舵に伴って知覚される現象を表す物理量であれば、他のものを用いてもよい。例えば、ヨーレートγ(定常円旋回においてγ=Ay/Vなる関係を利用)を可知物理量として用いてもよい。
上記実施形態では、ベースアシスト部20で生成されたベースアシスト指令Tb*に補正部30で生成された補正トルク指令Trを加えたものを電流FB部42に供給するアシストトルク指令Taとしているが、補正部30を省略し、ベースアシスト指令Tb*をそのままアシストトルク指令Taとするように構成してもよい。
上記実施形態では、負荷推定器21において、ベースアシスト指令Tb*と操舵トルクTsから推定負荷Txを生成しているが、ベースアシスト指令Tb*の代わりに電流FB部42で検出される通電電流Imを用いてもよい。
1…電動パワーステアリングシステム 15…ECU 20…ベースアシスト部 21…負荷推定器 22,22a…目標生成部 23…偏差演算器 24…コントローラ部 30…補正部 41…加算器 42…電流フィードバック(FB)部 221,226…換算器 222…符号抽出器 223…絶対値演算器 224,227…目標演算器 225…符号付加器

Claims (3)

  1. 操舵部材(2)に連結された操舵軸(3,5)に加わる操舵トルクに応じたアシストトルクをモータ(6)によって出力することで操舵特性を制御するステアリング制御装置(15)であって、
    前記操舵トルクに基づき、路面から操舵輪(10)に加えられる路面負荷の推定値である推定負荷を求める負荷推定手段(21)と、
    前記推定負荷から、車両の乗員によって知覚される現象に関する物理量である可知物理量を求める第1演算手段(221,226)と、
    予め設定された変換特性に従って前記可知物理量から前記操舵トルクの目標値である目標操舵トルクを求める第2演算手段(222〜225,227)と、
    前記操舵トルクを前記目標操舵トルクに一致させるように前記モータを制御するための指令値を生成する指令値生成手段(23,24)と、
    を備えることを特徴とするステアリング制御装置。
  2. 前記可知物理量は、車両が受ける横方向の加速度であることを特徴とする請求項1に記載のステアリング制御装置。
  3. 前記可知物理量は、前記操舵部材の回転角であることを特徴とする請求項1に記載のステアリング制御装置。
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