JP6747193B2 - ステアリング制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ステアリング制御装置に関する。
車速の低い領域では、高速時に比べて相対的に車体やタイヤの横滑り角が小さくなり、同じ操舵角や横加速度において路面から受けるセルフアライニングトルクが小さくなる。セルフアライニングトルクが操舵機構の摩擦と同程度以下になるとハンドルは中立位置に戻り難くなるため、ドライバが意識的にハンドルを戻す操作をしなければならなくなる。
そこで従来、ハンドルを中立位置に戻す方向の補正トルクを演算しアシストトルクに付加する「戻し制御」を実行するステアリング制御装置が知られている。
例えば特許文献1に開示された装置では、戻し制御において、トーションバーの捻れにより、ハンドルが滑らかに中立位置に戻らないことを問題としている。そして、その解決手段として、モータの角加速度に基づいて、ハンドルを中立位置へ戻さない方向の反戻し指令値を演算し、アシスト指令値に加算することで、ハンドルを滑らかに中立位置に戻すようにしている。
特開2015−145216号公報
特許文献1の技術では、切り込み時にもモータの角加速度に基づいて反戻し指令値が演算されるため、ドライバが切り込み操舵したとき、操舵を阻害する方向にトルクが出力されるという問題がある。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、ハンドルの戻り速度を安定化させるステアリング制御装置を提供することにある。
本発明は、ドライバの操舵トルク(Ts)に基づいて操舵アシストモータ(80)が出力するアシストトルクを制御するステアリング制御装置に係る発明である。
このステアリング制御装置は、基本アシストトルク(Tb)を演算する基本アシストトルク演算部(11)と、基本アシストトルクに付加される補正トルクを演算する補正トルク演算部(15)と、を備える。
補正トルク演算部は、戻し状態判定部(50)と、戻り速度安定化制御部(601、602、603)とを含む。
戻し状態判定部は、ハンドルの切り込みと戻しとを判別する。
戻り速度安定化制御部は、補正トルクとして、ハンドルの戻り速度を安定化させる戻り速度安定化トルク(Tω_stb)を演算する。
戻り速度安定化制御部は、ハンドル位置と相関するハンドル位置関連情報の二階時間微分値を0に近づけるように、且つ、ハンドルの戻しのとき、戻り速度安定化トルクの絶対値を切り込みのときより相対的に大きくするように、戻り速度安定化トルクを演算する。
「ハンドル位置関連情報の二階時間微分値」は、典型的には操舵角加速度である。また、「ハンドル位置関連情報の二階時間微分値を0に近づける」とは、ハンドル回転の加減速を抑制し、戻り速度が一定となるように制御することを意味する。この制御は、感覚的には、ステアリング制御装置の制御対象である操舵系メカの慣性を擬似的に増加させることに相当する。これにより、本発明は、ハンドルの戻り速度を安定化させ、操舵フィールを向上させることができる。
また、戻り速度安定化トルクは、ハンドルの戻しのとき、切り込みのときより絶対値が相対的に大きくなるように演算される。言い換えれば、切り込み時には、戻し時に比べ、戻り速度安定化トルクが出力されない。好ましくは、戻り速度安定化制御部は、ハンドルの切り込みのとき、戻り速度安定化トルクを0にする。
したがって、切り込み操舵時には、ドライバの意図通りにハンドル回転の加減速が許容されるため、操舵が阻害されない。これにより、特許文献1の従来技術において問題であった「ドライバの切り込み操舵時に操舵を阻害する」という問題を回避しつつ、ハンドルの戻り速度を安定化させることができる。
具体的に戻し状態判定部は、ハンドル位置が中立位置に向かって変化している戻し状態であるか、中立位置から離れる方向に変化している切り込み状態であるかを判別する。
また、好ましくは、戻し状態判定部は、ハンドル位置と相関するハンドル位置関連情報と、ハンドル位置関連情報の時間変化率とから演算される戻し状態量(α)により戻し状態を判定する。そして、戻り速度安定化制御部は、戻し状態量に応じて戻り速度安定化トルクを変更する。
また好ましくは、補正トルク演算部は、補正トルクとして、ハンドルが中立位置に戻るようにアシストする戻し制御量(Tr*)を演算する戻し制御量演算部(30)をさらに含む。この場合、補正トルク演算部は、操舵角(θ)又は操舵速度(ω)の少なくとも一方に基づいて戻し制御量を演算することができる。
電動パワーステアリングシステムの概略構成図。 戻し制御における(a)操舵角の時間変化を示す図、(b)切り込み操舵から戻し操舵への移行時における状態変化を示す図。 各実施形態による戻し制御部の全体制御ブロック図。 戻し状態判定部の制御ブロック図。 戻し状態判定部の(a)速度状態量マップ、(b)角度状態量マップの例。 出力制限部による戻し制御量の制限を説明する図。 操舵状態による戻し状態量の変化を示す実機データ。 第1実施形態による戻り速度安定化制御部の制御ブロック図。 戻り速度安定化制御の作用効果を示す実機データ(1)。 戻り速度安定化制御の作用効果を示す実機データ(2)。 第2実施形態による戻り速度安定化制御部の制御ブロック図。 図11の車速ゲインマップの例。 第3実施形態による戻り速度安定化制御部の制御ブロック図。 操舵角、操舵トルクの符号の定義を説明する図。 図13の補正ゲインマップの例。
以下、ステアリング制御装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。各実施形態において、「ステアリング制御装置」としてのECUは、車両の電動パワーステアリングシステムに適用され、操舵アシストモータが出力するアシストトルクを制御する。また、明細書中、「本実施形態」とは、後述の第1−第3実施形態を包括していう。
[電動パワーステアリングシステムの構成]
図1に示すように、電動パワーステアリングシステム1はドライバによるハンドル91の操作を操舵アシストモータ80のトルクによってアシストするものである。
ステアリングシャフト92の一端にはハンドル91が固定されており、ステアリングシャフト92の他端側にはインターミディエイトシャフト93が設けられている。ステアリングシャフト92とインターミディエイトシャフト93との間には、トルクセンサ94が設けられている。なお、ステアリングシャフト92からトルクセンサ94を経てインターミディエイトシャフト93に至る軸全体を、まとめて操舵軸95とする。
トルクセンサ94は、ステアリングシャフト92とインターミディエイトシャフト93とを連結するトーションバーの捩れ角に基づき、トーションバーに加えられている操舵トルクTsを検出する。トルクセンサ94の検出値は、ECU10に出力される。
インターミディエイトシャフト93のトルクセンサ94と反対側の端部には、ピニオンギア961及びラック962を含むギアボックス96が設けられている。
ドライバがハンドル91を回すと、インターミディエイトシャフト93とともにピニオンギア961が回転し、ピニオンギア961の回転に伴って、ラック962が左右に移動する。ラック962の両端に設けられたタイロッド97は、ラック962とともに左右の往復運動を行う。タイロッド97がナックルアーム98を引っ張ったり押したりすることで、タイヤ99の向きが変わる。
また、車両の所定の部位には、車速Vを検出する車速センサ71が設けられている。
モータ80は、例えば3相交流ブラシレスモータであり、ECU10から出力された駆動電圧Vdに応じて、ハンドル91の操舵力をアシストするアシストトルクを出力する。3相交流モータの場合、駆動電圧Vdは、U相、V相、W相の各相電圧を意味する。
モータ80の回転は、ウォームギア86及びウォームホイール87を含む減速機構85を経由してインターミディエイトシャフト93に伝達される。また、タイヤ99側からのセルフアライニングトルクや路面反力によってインターミディエイトシャフト93が回転すると、この回転が減速機構85を経由してモータ80に伝達される。
なお、図1に示す電動パワーステアリングシステム1は、モータ80の回転が操舵軸95に伝達されるコラムアシスト式であるが、本実施形態のECU10は、ラックアシスト式の電動パワーステアリングシステム、或いは、ハンドルと操舵輪とが機械的に切り離されているステアバイワイヤシステムにも同様に適用可能である。
また、他の実施形態では、操舵アシストモータとして、3相以外の多相交流モータや、ブラシ付DCモータを用いてもよい。
ここで、ハンドル91からタイヤ99に至る、ハンドル91の操舵力が伝達される機構全体を「操舵系メカ100」という。
ECU10は、図示しない車載バッテリからの電力によって動作し、トルクセンサ94により検出された操舵トルクTsや車速センサ71により検出された車速V等に基づき、アシストトルク指令Ta*を演算する。そして、ECU10は、アシストトルク指令Ta*に基づいて演算した駆動電圧Vdをモータ80へ印加することにより、アシストトルクを発生させる。
ECU10における各種演算処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
ECU10は、基本アシストトルク演算部11、補正トルク演算部15、及び電流フィードバック部70を備える。
基本アシストトルク演算部11は、操舵トルクTs及び操舵速度ωに基づいて、基本アシストトルクTbを演算する。
補正トルク演算部15は、基本アシストトルクTbに付加される各種補正トルクを演算する。この補正トルクには、少なくとも戻り速度安定化トルクTω_stbが含まれる。主に本実施形態では、戻し制御における戻し制御量Tr*と戻り速度安定化トルクTω_stbとを加算した戻し制御量最終指令値Tr**が補正トルクとして演算される構成を想定し、その他の補正トルクには言及しない。そこで、以下、「補正トルク演算部」を具体的に「戻し制御部15」として説明する。
戻し制御部15は、操舵速度ω及び操舵角θに基づいて戻し制御量最終指令値Tr**を演算する。戻し制御部15が演算した戻し制御量最終指令値Tr**は、加算器12で基本アシストトルクTbに加算され、アシストトルク指令Ta*が演算される。
なお、各量について記した[Nm]、[deg]、[deg/s]の単位は、各量の次元を表すためのものであり、その単位での使用を限定する意図ではない。例えば角度単位として[rad]を用いてもよい。以下の図でも同様に解釈する。
さらに、「操舵角θ」及び「操舵速度ω」の用語は、ドライバの積極的な操舵によってハンドル91が回転する場合のみでなく、ドライバが手を放した状態でのハンドル91の位置及び回転速度についても拡張して用いる。
電流フィードバック部70は、アシストトルク指令Ta*に基づく目標電流に対して、モータ80に流れる実電流をフィードバック制御することにより、モータ80へ印加する駆動電圧Vdを演算する。
ステアリング制御装置における基本アシストトルク演算部11や電流フィードバック部70の構成は周知技術であるため、詳細な説明を省略する。
[戻し制御の概要]
次に、戻し制御の概要について、図2を参照する。
車速の低い領域では、高速時に比べて相対的に車体やタイヤの横滑り角が小さくなり、同じ操舵角や横加速度において路面から受けるセルフアライニングトルクが小さくなる。
セルフアライニングトルクが操舵機構の摩擦と同程度以下になるとハンドルは中立位置に戻り難くなるため、ドライバが意識的にハンドルを戻す操作をしなければならなくなる。
具体的には、トー角やキャスタトレールが小さい車両や、低転がり抵抗のタイヤを装着した車両では、復元力が小さくなる。また、ラックピニオン機構の歯打ち音低減のために部材の接触圧を高く設定した車両では、摩擦が高くなる。これらは、いずれもハンドルの中立位置への復元を妨げる要因となる。
このような問題に対し、戻し制御は、電動パワーステアリングシステムにおけるアシストトルクに、更にハンドルを中立位置に戻す方向の補正トルクを付加する制御である。
以下、本明細書では、ハンドルが中立位置から離れる方向を「切り込み方向」といい、ハンドルが中立位置に向かう方向を「戻し方向」という。つまり、ドライバの感覚にかかわらず、ハンドルと中立位置との関係で客観的に「戻し/切り込み方向」を定義する。
そして、切り込み方向及び戻し方向への操舵を、それぞれ、「切り込み操舵」及び「戻し操舵」という。また、ドライバが積極的にハンドルを戻す操作をしなくても、セルフアライニングトルク及び戻し制御によってハンドルが中立位置へ戻るときの速度を「戻り速度」という。
図2(a)は、切り込み操舵後、ドライバが手を添えた程度の状態でハンドルが中立位置(すなわち操舵角θ=0[deg])に戻るまでの操舵角θの時間変化を示す概念図である。長破線R0は、戻し制御を実施しない場合、又は、戻し制御の出力が不足し、戻り速度が遅すぎる場合、摩擦によって操舵角θが0[deg]に復元しないときの動作を示している。
これに対し、短破線R1は、好ましい戻し制御により、ハンドルが中立位置に戻る動作を示している。戻り速度が適正であるため、操舵角θが滑らかに変化している。
また、一点鎖線R2及び二点鎖線R3は、不適当な戻し制御の例を示す。一点鎖線R2の動作では、戻し制御の出力が過剰であり、戻り速度が速すぎるため、操舵を阻害する。二点鎖線R3の動作では、戻り速度が安定しないため、ドライバに違和感を与えるおそれがある。したがって戻し制御では、操舵を阻害せず、違和感の無い自然な速度でハンドルが戻る短破線R1の動作を実現することが制御目標となる。
図2(b)は、切り込み操舵から戻し操舵への移行時における状態変化を、操舵角θと操舵トルクTsとの関係により表した図である。ここで、中立位置を基準とした左右の方向に応じて操舵角θの正負の符号を定義する。また、操舵角θの符号が示す方向と共通の方向で操舵トルクTsの符号を定義する。基本的には、操舵トルクTsを正方向に加えたとき、操舵角θは正方向に変化し、操舵トルクTsを負方向に加えたとき、操舵角θは負方向に変化する。図2(b)では、操舵角θ及び操舵トルクTsが共に正の領域の図を示すが、操舵角θ及び操舵トルクTsが共に負の領域の図は、これと原点対称に現れる。
操舵移行時の状態変化は、実線で示す「切り込み期」、一点鎖線で示す「第1遷移期」、破線で示す「戻し期」、二点鎖線で示す「第2遷移期」の4つの期間に分けられる。
ドライバがハンドルを切り込んでいる切り込み期には、操舵角θの絶対値が増加する。なお、図示上のカーブ形状は、一例を示すものに過ぎない。切り込み期には、操舵を阻害しないため戻し制御を実施しない。
ハンドルを戻し始めたとき、操舵角θはほぼ変化せず、操舵速度ωの絶対値が比較的小さい。この第1遷移期には、戻し制御を積極的に実施するとドライバが強い戻され感を感じることとなるため、戻し制御を徐々に開始する。
ドライバがハンドルを戻している戻し期には、操舵角θの絶対値が減少する。この戻し期には、戻し制御を積極的に実施する。これにより、細破線で示す、「戻し制御を実施しない場合」のカーブの先が原点に向くように修正する。
ハンドルが中立位置に近づいた第2遷移期には、操舵角θの絶対値が比較的小さい範囲で0に漸近する。この期間に、戻し制御を徐々に終了させる。
また、戻し期、切り込み期、遷移期にあるときの各操舵状態を、「戻し状態、切り込み状態、遷移状態」という。戻し状態は、「ハンドル位置が中立位置に向かって変化している状態」と定義される。切り込み状態は、「ハンドル位置が中立位置から離れる方向に変化している状態」と定義される。
そして、戻し状態を定量的に示す情報が、後述する戻し状態判定部50により演算される「戻し状態量α」である。図2(b)の各期間における戻し状態量αは、切り込み期には「α=0」、戻し期には「α=1」、第1及び第2遷移期には「0<α<1」となる。
ところで、特許文献1(特開2015−145216号公報)には、モータの角加速度に基づいて、ハンドルを中立位置へ戻さない方向の反戻し指令値を演算し、アシスト指令値に加算することで、ハンドルを滑らかに中立位置に戻す従来技術が開示されている。しかし、この従来技術では、切り込み時にもモータの角加速度に基づいて反戻し指令値が演算されるため、ドライバが切り込み操舵したとき、操舵を阻害する方向にトルクが出力されるという問題がある。
この問題に対し、本実施形態の戻し制御部15は、ハンドル91が中立位置に向かって戻るときの戻り速度を安定化させる戻り速度安定化トルクTω_stbを演算する「戻り速度安定化制御部」を含む。戻り速度安定化制御部は、ハンドル位置と相関するハンドル位置関連情報の二階時間微分値、典型的には操舵角θの二階時間微分値であり、操舵速度ωの時間微分値である操舵角加速度aを0に近づけるように戻り速度安定化トルクを演算する。
「ハンドル位置関連情報の二階時間微分値を0に近づける」とは、ハンドル回転の加減速を抑制し、戻り速度が一定となるように制御することを意味する。この制御は、感覚的には、操舵系メカ100の慣性を擬似的に増加させることに相当する。
続いて、戻し制御部15の構成について詳しく説明する。
[戻し制御部の構成]
戻し制御部15の全体構成を図3に示す。
戻し制御部15は、大きく、目標操舵速度演算部20、戻し制御量演算部30、戻し状態判定部50、及び、戻り速度安定化制御部60の4つのブロックで構成される。各ブロックの機能を簡単に記すと、目標操舵速度演算部20は、ハンドル戻り時の目標操舵速度ω*を演算する。戻し制御量演算部30は、ハンドルを中立位置に戻す復元力指令値を演算する。戻し状態判定部50は、ハンドルの切り込みと戻しとを判別する。戻り速度安定化制御部60は、ハンドル戻り速度を安定化させるものである。
戻し制御部15には、各ブロックでの演算に用いられる情報量として、各実施形態共通に操舵角θ及び操舵速度ωが入力される。図3の全体構成図では、図の見やすさを考慮し、操舵角θの入力を一点鎖線で示し、操舵速度ωの入力を二点鎖線で示す。各ブロックから出力される演算結果は、いずれも実線で示す。
また、第2実施形態では車速Vが、第3実施形態では操舵トルクTsが、更に戻り速度安定化制御部60に入力される。この入力信号については、図3に破線で示す。
目標操舵速度演算部20は、操舵角θに基づいて、ハンドル戻り時の目標操舵速度ω*を演算する。
戻し制御量演算部30は、操舵速度偏差算出部31、操舵速度サーボ制御器32、舵角基準トルク演算部33、及び、加算器37を含む。
操舵速度偏差算出部31は、目標操舵速度ω*と操舵速度ωとの偏差Δωを算出する。
操舵速度サーボ制御器32は、操舵速度偏差Δωが0になるように、つまり、操舵速度ωを目標操舵速度ω*に追従させるようにサーボ制御を実行し、基本戻し制御量Tr*_0を演算する。
舵角基準トルク演算部33は、操舵角θに応じた復元力である舵角基準トルクTθを演算する。加算器37では、基本戻し制御量Tr*_0に舵角基準トルクTθが加算され、戻し制御量Tr*が演算される。戻し制御量演算部30は、こうして演算された戻し制御量Tr*を出力する。
戻し状態判定部50の構成、作用について、図4〜図7を参照して説明する。
戻し状態判定部50は、操舵角θ及び操舵速度ωに基づいて、操舵状態が「戻し状態」である否かを判定する。ここで、操舵角θは、「ハンドル位置と相関するハンドル位置関連情報」に相当し、ハンドルが中立位置にあるときの値が0であり、ハンドルの中立位置からの回転方向に応じて正又は負の値を取る。また、操舵速度ωは、「ハンドル位置関連情報の時間変化率」に相当する。
図4に示すように、戻し状態判定部50は、操舵速度判定部51、操舵角判定部52、乗算器53及び出力制限部54を含む。各状態量αω、αθ、α0、αは、いずれも無次元量[−]である。
図5(a)、(b)のマップは、それぞれ操舵速度ω及び操舵角θが正の領域のマップを示しており、操舵速度ω及び操舵角θが負の領域のマップは、これと原点対称に現れる。また、マップの数値は、一つの例示に過ぎない。
操舵速度判定部51は、操舵速度ωに基づいて、−1から+1までの値を取る速度状態量αωを演算する。速度状態量αωの絶対値が大きいほどハンドルが速く回転していることを表し、値の正負は回転方向を表す。
詳しくは図5(a)に示すように、操舵速度ωが0[deg/s]のとき、速度状態量αωは0である。
操舵速度ωが正のとき、速度状態量αωは、操舵速度ωが増加するに従って0から−1まで減少する。
操舵速度ωが負のとき、速度状態量αωは、操舵速度ωが減少するに従って0から+1まで増加する。
操舵角判定部52は、操舵角θに基づいて、−1から+1までの値を取る角度状態量αθを演算する。角度状態量αθの絶対値が大きいほどハンドルが中立位置から離れた位置にあることを表し、値の正負は方向を表す。
詳しくは図5(b)に示すように、操舵角θが0[deg]のとき、角度状態量αθは0である。
操舵角θが正のとき、角度状態量αθは、操舵角θが増加するに従って0から+1まで増加し、操舵角θが60[deg]付近で、ほぼ+1に収束する。
操舵角θが負のとき、角度状態量αθは、操舵角θが減少するに従って0から−1まで減少し、操舵角θが−60[deg]付近で、ほぼ−1に収束する。
乗算器53は、速度状態量αωと角度状態量αθとの積であり、−1から+1までの値を取る制限前戻し状態量α0を演算する。
出力制限部54は、図6に示すように、制限前戻し状態量α0のうち、切り込み期の値に相当し、以下の演算において不要である「−1から0までの負の値」を削除する。そして、戻し期又は遷移期の値に相当する「0から+1までの正の値」のみを戻し状態量αとして、戻り速度安定化制御部60に出力する。
図7に、低速、大舵角からの戻し操舵時における戻し状態量αの実機データを示す。
時刻ta以前、及び、時刻td以後の切り込み期には、戻し状態量αは0である。
時刻taから時刻tbまでの第1遷移期には、戻し状態量αは0から1まで増加する。
時刻tbから時刻tcまでの戻し期には、戻し状態量αは1である。
時刻tcから時刻tdまでの第2遷移期には、戻し状態量αは1から0まで減少する。
この実機データからもわかるように、戻し状態量αとして1が出力されているとき、操舵状態が戻し期にあると判断することができる。
以上のように本実施形態では、角度状態量αθと速度状態量αωとの積に基づいて制限前戻し状態量α0の符号が決まる。すなわち、操舵角θと操舵速度ωとが異符号のとき、制限前戻し状態量αが正となり、戻し状態又は遷移状態であると判定される。つまり、操舵角θ=0となる中立位置で、戻し状態又は遷移状態と切り込み状態とが切り替わる。
なお、操舵トルクTsと操舵速度ωとの符号の積に基づいて判断した場合、正方向の操舵トルクTsが加わっているとき、操舵角θの正負に関わらず、操舵角θが増加している期間は「Ts×ω」の符号は正となる。一方、負方向の操舵トルクTsが加わっているとき、操舵角θの正負に関わらず、操舵角θが減少している期間は「Ts×ω」の符号は正となる。すなわち、操舵角θ=0となる中立位置で、「Ts×ω」の正負が切り替わらない。したがって、本実施形態では、操舵トルクTs及び操舵速度ωに基づいて戻し状態を判別しない。
戻り速度安定化制御部60は、少なくとも戻し状態量α及び操舵速度ωに基づいて、戻り速度安定化トルクTω_stbを演算する。戻し制御量演算部30が出力した戻し制御量Tr*に、乗算器39で戻り速度安定化トルクTω_stbが乗算されることで、戻し制御量最終指令値Tr**が演算される。
続いて、第1−第3実施形態による戻り速度安定化制御部60の構成について順に説明する。各実施形態の戻り速度安定化制御部の符号として、「60」に続く3桁目に実施形態の番号を付す。
[戻り速度安定化制御部の構成]
(第1実施形態)
第1実施形態の戻り速度安定化制御部601の構成を図8に示す。
戻り速度安定化制御部601は、目標操舵角加速度入力部61、微分器62、比較器63、安定化トルク制御器64、及び、戻し状態量乗算器69を含む。
目標操舵角加速度入力部61は、操舵角加速度の目標値として0[deg/s/s]、すなわち、操舵速度ωが一定であるときの値を比較器63の+入力端子に入力する。微分器62は、入力された操舵速度ωを時間微分し、実操舵角加速度a[deg/s/s]を比較器63の−入力端子に入力する。
比較器63は、目標操舵角加速度(すなわち0)と実操舵角加速度aとの偏差を算出する。安定化トルク制御器64は、操舵角加速度偏差を0に追従させ、戻り速度を安定化するように、戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0を演算する。
例えば正方向の戻り速度が加速しているとき、実操舵角加速度aが正となり偏差が負となる。このとき、負方向の戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0が演算される。
また、負方向の戻り速度が加速しているとき、実操舵角加速度aが負となり偏差が正となる。このとき、正方向の戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0が演算される。
戻り速度が減速している場合も同様である。
戻し状態量乗算器69は、戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0に戻し状態量αを乗じ、戻り速度安定化トルクTω_stbを出力する。つまり、戻り速度安定化制御部601は、戻し状態のとき戻り速度安定化トルクTω_stbの絶対値を、切り込み状態のときより相対的に大きくするように、戻し状態量αに応じて戻り速度安定化トルクTω_stbを変更する。
これにより、戻し状態量αが1である戻し期、及び、戻し状態量αが0より大きく1未満である遷移期には、戻り速度安定化トルクTω_stbが出力され、操舵角加速度が0となるように、すなわち、戻り速度が一定となるように制御される。
一方、戻し状態量αが0である切り込み期には、戻り速度安定化トルクTω_stbは出力されない。したがって、切り込み操舵時には、ドライバの意図通りにハンドル回転の加減速が許容されるため、操舵が阻害されない。
次に、第1実施形態による戻り速度安定化制御を実施した実機データについて、図9、図10を参照する。
図9、図10(a)、(b)、(c)の各横軸は共通の時間軸を示す。各図の縦軸は、(a)操舵角θ、(b)操舵速度ω、(c)戻り速度安定化トルクTω_stbである。
図9の実機データは、図9(a)に示すように、約−180[deg]から約+180[deg]まで操舵した後、ハンドル中立位置まで操舵したときのデータである。詳しくは、時刻t0から時刻t1まで操舵角θの負方向への切り込み、時刻t1から時刻t2まで戻し、時刻t2から時刻t3まで操舵角θの正方向への切り込み、時刻t3から時刻t4まで戻しの各操舵が行われている。
図9(b)に示すように、切り込み操舵から戻し操舵に移行する時刻t1及び時刻t3に操舵速度ωがゼロクロスする。
時刻t1を跨ぐ期間、操舵速度ωが増加し、正の操舵角加速度aが生じる。ただし、時刻t1以前には、正の速度状態量αωと負の角度状態量αθとの積が負であり、戻し状態量αが0であるため、戻り速度安定化トルクTω_stbは出力されない。時刻t1に操舵速度ωが負から正に移行すると戻し状態量αが0より大きくなり、図9(c)のc部に示すように、負の戻り速度安定化トルクTω_stbが出力される。
時刻t3を跨ぐ期間、操舵速度ωが減少し、負の操舵角加速度aが生じる。ただし、時刻t3以前には、負の速度状態量αωと正の角度状態量αθとの積が負であり、戻し状態量αが0であるため、戻り速度安定化トルクTω_stbは出力されない。時刻t3に操舵速度ωが正から負に移行すると戻し状態量αが0より大きくなり、正の戻り速度安定化トルクTω_stbが出力される。
このように、戻し操舵時には、操舵角加速度aとは逆方向に戻り速度安定化トルクTω_stbが出力されることで、ハンドル回転の加減速が抑制される。したがって、あたかも操舵系メカ100の慣性が増加したような感覚となり、戻り速度が安定化される。
また、戻り速度安定化トルクTω_stbは、戻し期及び遷移期にのみ出力され、切り込み操舵時には出力されない。よって、切り込み操舵時には、ドライバの意図通りにハンドル回転の加減速が許容されるため、ドライバの操舵が阻害されない。
図10の実機データは、図10(a)に示すように、約−480[deg]まで操舵し、ハンドルから手を放したときのデータである。図10(a)、(b)には、比較のため、戻り速度安定化制御無しでの操舵角θ及び操舵速度ωの変化を破線で示す。
戻り速度安定化制御有り、無しで共通に時刻t6にハンドルから手を放す。戻り速度安定化制御無しの場合、時刻t7に戻り動作が完了する。戻り速度安定化制御有りの場合、時刻t7から少し遅れた時刻t8に戻り動作が完了する。
戻り速度安定化制御を実行する場合、操舵速度ωが変動し始めると、変動を抑制するように戻り速度安定化トルクTω_stbが出力される。したがって、図10(b)のb部に示すように、戻り速度安定化制御を実行しない場合に比べて操舵速度ωの変化が小さくなり、安定したハンドル戻り動作を実現することができる。よって、操舵フィールが向上する。
次に、第2、第3実施形態による戻り速度安定化制御部の構成について説明する。第1実施形態と実質的に同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
(第2実施形態)
第2実施形態の戻り速度安定化制御部602について、図11、図12を参照して説明する。図11に示すように、第2実施形態の戻り速度安定化制御部602は、第1実施形態の戻り速度安定化制御部601の構成に加え、車速ゲインマップ65及びゲイン乗算器68を更に含む。
車速ゲインマップ65は、車速Vと車速ゲインKvとの関係を規定する。車速ゲインKvは、ゲイン乗算器68にて、安定化トルク制御器64が演算した戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0に乗算され、戻し状態量乗算器69に出力される。
図12に示す車速ゲインマップ65の例によると、約30km/h以下の低速領域で、車速ゲインKvは1より大きい最大値Fを取る。約30km/hから約60km/hまでの中速領域では、車速ゲインKvは車速Vの増加に従って最大値Fから0まで漸減する。約60km/h以上の高速領域では、車速ゲインKvは0となる。
したがって、低速領域では戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0が増幅され、高速領域では戻り速度安定化トルクTω_stbは出力されなくなる。
このように第2実施形態では、車速Vに応じた戻り速度安定化トルクTω_stbを演算することで、操舵フィールを向上させることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態の戻り速度安定化制御部603について、図13〜図15を参照して説明する。図13に示すように、第3実施形態の戻り速度安定化制御部603は、第1実施形態の戻り速度安定化制御部601の構成に加え、符号判定部(図中「sgn」)661、符号乗算器662、補正ゲインマップ67及びゲイン乗算器68を更に含む。
符号判定部661は、操舵角θの符号を判定し、操舵角θが正のとき「+1」、操舵角θが負のとき「−1」を演算する。なお、操舵角θが0のときは、−1から+1までの間の任意の値としてよい。符号乗算器662は、操舵角θの符号と操舵トルクTsとを乗算し符号乗算後操舵トルクTs_sgnを算出する。
補正ゲインマップ67は、符号乗算後操舵トルクTs_sgnと補正ゲインKtsとの関係を規定する。補正ゲインKtsは、ゲイン乗算器68にて、安定化トルク制御器64が演算した戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0に乗算され、戻し状態量乗算器69に出力される。
ここで、操舵角θ及び操舵トルクTsの符号の定義について、図14を参照する。
図14における一点鎖線Nの方向はハンドル91(以下、符号91の記載を省略する)の中立位置を示し、破線Dの方向は現在のハンドル位置を示す。操舵角θについては、中立位置に対し左側の操舵角θを正、中立位置に対し右側の操舵角θを負と定義する。また、左回転方向、すなわち反時計回り方向の操舵速度ω及び操舵トルクTsを正と定義し、右回転方向、すなわち時計回り方向の操舵速度ω及び操舵トルクTsを負と定義する。
なお、他の実施形態では、上記とは逆に、中立位置に対し右側の操舵角θ、右回転方向の操舵速度ω及び操舵トルクTsを正と定義し、中立位置に対し左側の操舵角θ、左回転方向の操舵速度ω及び操舵トルクTsを負と定義してもよい。
また、操舵トルクTsに関しては、ハンドルが実際にその方向に回転しているか否かに関係なく、あくまでトルクが加わっている方向を表す。例えば路面負荷や慣性トルク等により、操舵トルクTsが加わっていてもハンドルが停止している場合や、操舵トルクTsとは逆方向に回転している場合があり得る。
さらに、上述の通り、ハンドルが中立位置に向かう方向を「戻し方向」と定義し、ハンドルが中立位置から離れる方向を「切り込み方向」と定義する。
例えば、操舵角θが正領域にある場合、操舵トルクTsが負のとき、戻し方向にトルクが加わっており、操舵トルクTsが正のとき、切り込み方向にトルクが加わっている。
一方、操舵角θが負領域にある場合、操舵トルクTsが正のとき、戻し方向にトルクが加わっており、操舵トルクTsが負のとき、切り込み方向にトルクが加わっている。
要するに、操舵角θと操舵トルクTsとが異符号で符号乗算後操舵トルクTs_sgnが負の場合、戻し方向にトルクが加わっていることを意味する。操舵角θと操舵トルクTsとが同符号で符号乗算後操舵トルクTs_sgnが正の場合、切り込み方向にトルクが加わっていることを意味する。よって、符号乗算後操舵トルクTs_sgnは、操舵トルクTsの絶対値の情報と共に、操舵トルクTsが戻し方向又は切り込み方向のいずれに加わっているかの情報を表す。
なお、他の実施形態では、操舵角θの符号が示す方向と反対の方向で操舵トルクTsの符号を定義し、符号乗算後操舵トルクTs_sgnを演算してもよい。その場合、符号乗算後操舵トルクTs_sgnが正のとき戻し方向にトルクが加わっており、符号乗算後操舵トルクTs_sgnが負のとき切り込み方向にトルクが加わっていることを示す。
図15に補正ゲインマップ67の例を示す。
符号乗算後操舵トルクTs_sgnが0を跨ぐ「−B」から「+C」までの区間では、補正ゲインKtsは1である。
符号乗算後操舵トルクTs_sgnが負のとき、「−A」以下の区間では、補正ゲインKtsは0であり、「−A」から「−B」までの区間では、符号乗算後操舵トルクTs_sgnの増加に従い、補正ゲインKtsは0から1まで漸増する。
符号乗算後操舵トルクTs_sgnが正のとき、「+C」から「+D」までの区間では、符号乗算後操舵トルクTs_sgnの増加に従い、補正ゲインKtsは1から0まで漸減し、「+D」以上の区間では、補正ゲインKtsは0である。
したがって、切り込み方向、戻し方向ともに、操舵トルクTsの絶対値が比較的小さい領域では、戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0が維持され、操舵トルクTsの絶対値が中間の領域では、戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0が減衰される。また、操舵トルクTsの絶対値が比較的大きい領域では、戻り速度安定化トルクTω_stbは出力されなくなる。
このように第3実施形態では、符号乗算後操舵トルクTs_sgnに応じた戻り速度安定化トルクTω_stbを演算することで、操舵フィールを向上させることができる。
また、第3実施形態は、第2実施形態と組み合わせて実施されてもよい。
(その他の実施形態)
(1)上記実施形態の補正トルク演算部15は、戻し制御量演算部30により、ハンドルを適切に中立位置に戻すための「戻し制御」を行うことを基礎として、更に、戻り速度安定化制御部60により戻り速度の安定化を実現する。ただし本発明のステアリング制御装置は、戻り速度安定化制御部60により戻り速度を安定化する機能のみを備えるものであってもよい。
その場合、戻り速度安定化制御の対象となるハンドルの動作は、必ずしも最終的に中立位置に到達しなくてもよい。
(2)上記実施形態では、戻し状態判定部50における戻し状態量αの演算において、「ハンドル位置と相関するハンドル位置関連情報」及び「ハンドル位置関連情報の時間変化率」として、操舵角θ及び操舵速度ωを用いている。また、第3実施形態では、符号乗算後操舵トルクTs_sgnの演算に、「ハンドル位置関連情報」として操舵角θを用いている。
他の実施形態では、操舵角θに代えて、モータ回転角や伝達系ギアの回転角、タイヤの舵角、ヨーレート等のハンドル位置関連情報を用い、操舵速度ωに代えて、それらのハンドル位置関連情報の時間変化率を用いてもよい。
また、戻り速度安定化制御部601−603において、操舵角加速度aに代えて、「ハンドル位置関連情報の二階時間微分値」を用いてもよい。
(3)上記実施形態の戻り速度安定化制御部601−603は、操舵角加速度偏差に基づいて演算された戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0に戻し状態量αを乗じ、戻り速度安定化トルクTω_stbを出力する。切り込み状態での戻し状態量αが0であるため、切り込み状態での戻り速度安定化トルクTω_stbは0に設定される。
他の実施形態では、戻り速度安定化トルクTω_stbの演算方法を変えたり、演算での数値を調整したりすることで、切り込み状態での戻り速度安定化トルクTω_stbが0以外の値になるようにしてもよい。少なくとも、戻し状態での戻り速度安定化トルクTω_stbの絶対値を切り込み状態での戻り速度安定化トルクTω_stbの絶対値より相対的に大きくするように演算すれば、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
(4)上記実施形態では、戻し状態判定部50における速度状態量αω及び角度状態量αθの演算や、戻り速度安定化制御部602、603における車速VゲインKv、補正ゲインKtsの演算にマップを用いている。しかし、マップを用いる方式に限らず、数式によって状態量やゲインを演算してもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10 ・・ECU(ステアリング制御装置)
11・・・基本アシストトルク演算部
15・・・戻し制御部
601−603・・・戻り速度安定化制御部
80 ・・操舵アシストモータ
91 ・・ハンドル

Claims (7)

  1. ドライバの操舵トルク(Ts)に基づいて操舵アシストモータ(80)が出力するアシストトルクを制御するステアリング制御装置であって、
    基本アシストトルク(Tb)を演算する基本アシストトルク演算部(11)と、
    前記基本アシストトルクに付加される補正トルクを演算する補正トルク演算部(15)と、
    を備え、
    前記補正トルク演算部は、
    ハンドルの切り込みと戻しとを判別する戻し状態判定部(50)と、
    前記補正トルクとして、ハンドルの戻り速度を安定化させる戻り速度安定化トルク(Tω_stb)を演算する戻り速度安定化制御部(601、602、603)と、
    を含み、
    前記戻り速度安定化制御部は、
    ハンドル位置と相関するハンドル位置関連情報の二階時間微分値を0に近づけるように、且つ、ハンドルの戻しのとき、前記戻り速度安定化トルクの絶対値を切り込みのときより相対的に大きくするように、前記戻り速度安定化トルクを演算するステアリング制御装置。
  2. 前記戻し状態判定部は、
    ハンドル位置が中立位置から離れる方向に変化している切り込み状態であるか、中立位置に向かって変化している戻し状態であるかを判別する請求項1に記載のステアリング制御装置。
  3. 前記戻し状態判定部は、
    ハンドル位置と相関するハンドル位置関連情報と、前記ハンドル位置関連情報の時間変化率とから演算される戻し状態量(α)により前記戻し状態を判定し、
    前記戻り速度安定化制御部は、前記戻し状態量に応じて前記戻り速度安定化トルクを変更する請求項2に記載のステアリング制御装置。
  4. 前記ハンドル位置関連情報は操舵角であり、
    前記ハンドル位置関連情報の時間変化率は操舵速度であり、
    前記戻し状態判定部は、
    操舵角に応じて決定される角度状態量(αθ)と、操舵速度に応じて決定される速度状態量(αω)との積に基づいて、前記戻し状態量を演算する請求項3に記載のステアリング制御装置。
  5. 前記戻り速度安定化制御部は、
    ハンドルの切り込みのとき、前記戻り速度安定化トルクを0にする請求項1〜のいずれか一項に記載のステアリング制御装置。
  6. 前記補正トルク演算部は、
    前記補正トルクとして、ハンドルが中立位置に戻るようにアシストする戻し制御量(Tr*)を演算する戻し制御量演算部(30)をさらに含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のステアリング制御装置。
  7. 前記補正トルク演算部は、
    操舵角(θ)又は操舵速度(ω)の少なくとも一方に基づいて前記戻し制御量を演算する請求項6に記載のステアリング制御装置。
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