JP4544025B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用操舵装置に関するものである。
近年、車速やヨーレイト等の車両状態量と車両の運動状態との関係をモデル化した車両モデル(車両運動モデル)に基づいて車両のヨーモーメントを制御すべく転舵輪の舵角(転舵角)を制御する所謂アクティブステア機能を備えた操舵制御システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献2に記載の車両用操舵装置では、車両モデルに基づいて、車両のヨーモーメントに関連する車両状態量の目標値(目標状態量、目標ヨーレイトや目標スリップ角等)を演算し、その目標状態量の値とセンサにより検出された実際の値(実際値)との比較により車両のステアリング特性(ステア特性)を判定する。そして、オーバーステア状態にある場合には、車両モデルに基づき演算される目標状態量の値と実際値との偏差に基づくフィードバック制御により、ヨーモーメントと逆方向に転舵角を変更するよう、即ち所謂カウンタステアをあてるように同転舵角を制御することで、車両姿勢の安定化を図るようになっている。
特開2002−254964号公報 特開2005−88648号公報
ところで、凍結路等の低μ路においては、転舵角の変化に対する車両挙動の反応が鈍く、また車両姿勢を安定に保つことのできる安定領域、即ちヨーレイトを安定的に制御可能なその変化速度(ヨー角加速度)の範囲が極めて狭くなっている。従って、こうした凍結路における転舵角の変更は、ヨーレイトの変化速度を極力低く抑える、つまり車両姿勢の急激な変化を招かないように、速やかにその変更量を最小限に留めるように行うのが望ましい。
しかしながら、上記従来の構成では、このような目標状態量の値に対して実際値が速やかに追従しない環境においては、そのオーバーステア制御時に要する時間が長くなり、またそのカウンタ量(カウンタ方向への舵角変更量)も大きなものになりやすい。このため、ヨーレイトの変化速度が安定領域を超えて過大となる可能性があり、その過大なヨーレイト変化速度に起因するオーバーシュートの発生によって、車両姿勢の速やかなる安定化が図られないおそれがある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、低μ路においてもより高い車両安定性を確保することのできる車両用操舵装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、転舵輪の転舵角を変更可能な駆動手段と、該駆動手段の作動を制御する制御手段と、車両モデルに基づいて車両のヨーモーメントに関連する車両状態量の目標値を演算する車両モデル演算手段と、前記演算された目標値とその実際値との比較により前記車両のステア特性を判定するステア特性判定手段とを備え、前記制御手段は、前記車両がオーバーステア状態にある場合には、前記ヨーモーメントと逆方向の前記転舵角を発生させるべく前記駆動手段を作動させるオーバーステア制御を実行する車両用操舵装置であって、前記演算された目標値をその絶対値が小さくなるように補正する目標状態量補正手段を備え、前記制御手段は、前記補正された補正後の目標値と実際値との偏差に基づくフィードバック演算により、前記オーバーステア制御における制御目標成分を演算すること、を要旨とする。
請求項2に記載の発明は、前記車両のヨーモーメントに関連する車両状態量は、ヨーレイト又はスリップ角の少なくとも何れか一方であること、を要旨とする。
上記各構成によれば、補正後の目標状態量は、本来の目標状態量よりもその値(絶対値)が小さくなるため、フィードバック演算に用いられる偏差は、本来の目標状態量を用いた場合の偏差よりも大きな値(絶対値)となる。従って、オーバーステア制御開始とともに、大きな値(絶対値)を有する制御目標成分が演算され、これによりそのカウンタ方向への転舵角変更の立ち上がりを早めて、同制御に要する時間を短く、及び最終的なそのカウンタ量を小さくすることができる。その結果、ヨーレイト変化速度を抑えつつ速やかにヨーレイトを変化させることができ、これにより過大なヨーレイト変化速度に起因するオーバーシュートを抑制して、迅速に車両姿勢を安定化させることができるようになる。
また、オーバーステア制御中に、運転者がカウンタ方向にステアリング操作を行うことによって、同制御の終了時、即ちニュートラルステアとなった時点において、既に目標状態量の値がカウンタ方向側に移っている場合には、上記のようなオーバーシュートが発生し反対方向のオーバーステアが発生する可能性がある。しかしながら、目標状態量の値が制御開始当初と反対側を示すものに移行した場合、フィードバック演算上のニュートラルステアとなるまでの経過時間は、ステア特性判定上のニュートラルステアとなるまでの経過時間よりも短くなる。従って、当初の方向のオーバーステアを解消するための制御が速やかに収束し、これにより、そのカウンタ方向のヨーレイト変化速度を抑えて、オーバーシュートによる反対方向のオーバーステアの発生を抑制することができる。更に、ステア特性判定では、補正前の目標状態量を用いて行うため、フィードバック演算上のニュートラルステアとなった時点からステア特性判定上のニュートラルステアとなるまでの間は、上記反対方向のオーバーステアを解消する方向に転舵角を変更すべく駆動手段が制御される。従って、当初の方向のオーバーステアを解消するための制御により生じた過剰なヨーレイト変化速度をいち早く打ち消して、それに起因するオーバーシュートを抑制し、反対方向のオーバーステアの発生を効果的に抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、路面の摩擦抵抗を推定する路面摩擦抵抗推定手段と、前記推定された摩擦抵抗に応じて変化する補正ゲインを演算するゲイン可変演算手段とを備え、前記目標状態量補正手段は、前記目標値に前記補正ゲインを乗ずることにより該目標値を補正すること、を要旨とする。
請求項4に記載の発明は、前記ゲイン可変演算手段は、前記推定された摩擦抵抗が低いほど、小さな前記補正ゲインを演算すること、を要旨とする。
上記各構成によれば、路面状態に応じて精度よく目標状態量を補正することができ、その結果、オーバーステア制御の過剰応答を抑えて良好な操舵フィーリングを維持しつつ、車両安定性能の更なる向上を図ることができる。特に、請求項4の構成を採用することで、路面の摩擦抵抗が低くなり、転舵角変化に対する車両挙動の反応がより鈍く、安定領域もより狭い環境にある状況ほど、その変化速度を抑えつつ速やかにヨーレイトを変化させることができ、これにより過大なヨーレイト変化速度に起因するオーバーシュートを抑制して、迅速に車両姿勢を安定化させることができるようになる。
本発明によれば、低μ路においてもより高い車両安定性を確保することが可能な車両用操舵装置を提供することができる。
以下、本発明をギヤ比可変システムを備えた車両用操舵装置(ステアリング装置)に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のステアリング装置1の概略構成図である。同図に示すように、ステアリング(ハンドル)2が固定されたステアリングシャフト3は、ラック&ピニオン機構4を介してラック5に連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラック&ピニオン機構4によりラック5の往復直線運動に変換される。そして、このラック5の往復直線運動により転舵輪6の舵角、即ち転舵角が可変することにより、車両の進行方向が変更される。
本実施形態のステアリング装置1は、ステアリング2の舵角(操舵角)に対する転舵輪6の伝達比(ギヤ比)を可変させる伝達比可変装置としてのギヤ比可変アクチュエータ7と、該ギヤ比可変アクチュエータ7の作動を制御するIFSECU8とを備えている。
詳述すると、ステアリングシャフト3は、ステアリング2が連結された第1シャフト9とラック&ピニオン機構4に連結される第2シャフト10とからなり、ギヤ比可変アクチュエータ7は、第1シャフト9及び第2シャフト10を連結する差動機構11と、該差動機構11を駆動するモータ12とを備えている。そして、ギヤ比可変アクチュエータ7は、ステアリング操作に伴う第1シャフト9の回転に、モータ駆動による回転を上乗せして第2シャフト10に伝達することにより、ラック&ピニオン機構4に入力されるステアリングシャフト3の回転を増速(又は減速)する。
つまり、図2及び図3に示すように、ギヤ比可変アクチュエータ7は、ステアリング操作に基づく転舵輪6の舵角(ステア転舵角θts)にモータ駆動に基づく転舵輪の舵角(ACT角θta)を上乗せすることにより、操舵角θsに対する転舵輪6の転舵角θtの比率、即ち伝達比(ギヤ比)を可変させる。そして、IFSECU8は、モータ12に対する駆動電力の供給を通じてギヤ比可変アクチュエータ7の制御を制御し、これにより操舵角θsと転舵角θtとの間の伝達比(ギヤ比)を制御する(ギヤ比可変制御)。
尚、この場合における「上乗せ」とは、加算する場合のみならず減算する場合をも含むものと定義し、以下同様とする。また、「操舵角θsに対する転舵角θtのギヤ比」をオーバーオールギヤ比(操舵角θs/転舵角θt)で表した場合、ステア転舵角θtsと同方向のACT角θtaを上乗せすることによりオーバーオールギヤ比は小さくなる(転舵角θt大、図2参照)。そして、逆方向のACT角θtaを上乗せすることによりオーバーオールギヤ比は大きくなる(転舵角θt小、図3参照)。そして、本実施形態では、ステア転舵角θtsが第1の舵角を構成し、ACT角θtaが第2の舵角を構成する。
また、図1に示すように、ステアリング装置1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与するEPSアクチュエータ17と、該EPSアクチュエータ17の作動を制御するEPSECU18とを備えている。
本実施形態のEPSアクチュエータ17は、その駆動源であるモータ22がラック5と同軸に配置される所謂ラック型のEPSアクチュエータであり、モータ22が発生するアシストトルクは、ボール送り機構(図示略)を介してラック5に伝達される。そして、EPSECU18は、このモータ22が発生するアシストトルクを制御することにより、操舵系に付与するアシスト力を制御する(パワーアシスト制御)。
本実施形態では、上記のギヤ比可変アクチュエータ7を制御するIFSECU8、及びEPSアクチュエータ17を制御するEPSECU18は、車内ネットワーク(CAN:Controller Area Network)23を介して接続されており、該車内ネットワーク23には、車両状態量を検出するための複数のセンサが接続されている。具体的には、車内ネットワーク23には、操舵角センサ24、トルクセンサ25、車輪速センサ26a,26b、横Gセンサ28、車速センサ29、ブレーキセンサ30、及びヨーレイトセンサ31が接続されている。そして、上記各センサにより検出される複数の車両状態量、即ち操舵角θs、操舵トルクτ、車輪速Vtr,Vtl、転舵角θt、スリップ角θsp、車速V、ブレーキ信号Sbk、及びヨーレイトRyは、車内ネットワーク23を介してIFSECU8及びEPSECU18に入力される。尚、本実施形態では、転舵角θtは、操舵角θsにラック&ピニオン機構4のベースギヤ比を乗じた値、即ちステア転舵角θtsにACT角θtaを加算することにより求められ、スリップ角θspは、横Gセンサ28により検出される横方向加速度及びヨーレイトRyに基づいて求められる。また、IFSECU8及びEPSECU18は、車内ネットワーク23を介した相互通信により、制御信号の送受信を行う。そして、IFSECU8及びEPSECU18は、車内ネットワーク23を介して入力された上記各車両状態量及び制御信号に基づいて、上記のギヤ比可変制御及びパワーアシスト制御を統合的に実行する。
次に、本実施形態のステアリング装置の電気的構成及び制御態様について説明する。
図4は、本実施形態のステアリング装置1の制御ブロック図である。同図に示すように、IFSECU8は、モータ制御信号を出力するマイコン33と、モータ制御信号に基づいてモータ12に駆動電力を供給する駆動回路34とを備えている。
尚、本実施形態では、ギヤ比可変アクチュエータ7及びEPSアクチュエータ17の駆動源である各モータ12,22は、ともにブラシレスモータであり、駆動回路34、及び後述するEPSECU18の駆動回路44は、入力されるモータ制御信号に基づいて、それぞれ対応するモータ12,22に三相(U,V,W)の駆動電力を供給する。また、以下に示す各制御ブロックは、マイコン33(43)が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものである。
マイコン33は、IFS制御演算部35、ギヤ比可変制御演算部36、LeadSteer制御演算部37を備え、これら各制御演算部は、それぞれ入力される車両状態量に基づいてACT角θtaの制御目標成分(及び制御信号)を演算する。
詳述すると、IFS制御演算部35には、操舵角θs、転舵角θt、車速V、車輪速Vtr,Vtl、ブレーキ信号Sbk、ヨーレイトRy及びスリップ角θspが入力される。そして、IFS制御演算部35は、これらの車両状態量に基づいて、所謂アクティブステア機能、即ち車両モデルに基づき車両のヨーモーメントを制御するためのACT角θtaの制御目標成分の演算、並びに関連する制御信号の演算を行う。具体的には、IFS制御演算部35は、アクティブステア機能を実現するためのACT角θtaの制御目標成分としてIFS_ACT指令角θifs*を演算する。そして、制御信号として車両のステア特性を示すOS/US特性値Val_stの演算を行う(IFS制御演算)。
ここで、ヨー方向の車両姿勢は「ステア特性(ステアリング特性)」として表現される。ステア特性とは、運転者がステアリング操作を行ったときに、運転者の想定する車両旋回速度と実際の車両旋回速度との差異についての特性である。そして、想定する車両旋回速度よりも実際の車両旋回速度が大きい場合をオーバーステア(OS)、小さい場合をアンダーステア(US)、その差異がない場合をニュートラルステア(NS)という。そして、この「運転者の想定する車両旋回速度」は、車両モデルでは目標ヨーレイトに置き換えることができ、車両が定常旋回状態にあり、そのステア特性がニュートラルステアである場合には、その旋回方向を車両進行方向と言い換えることもできる。
本実施形態では、IFS制御演算部35は、ステア特性がアンダーステアである場合に、転舵輪6の切れ角を小さくするための、またステア特性がオーバーステアである場合に、転舵輪6にヨーモーメントの方向と逆方向の舵角(カウンタステア)を与えるためのACT角θtaの制御目標成分としてIFS_ACT指令角θifs*を演算する。尚、OS/US特性値Val_stについては、IFS制御演算部35における内部演算処理に用いられるとともに、車内ネットワーク23を介してEPSECU18に送信される(図1参照)。そして、EPSECU18によるパワーアシスト制御に用いられる。
ギヤ比可変制御演算部36には、操舵角θs、転舵角θt及び車速Vが入力される。そして、ギヤ比可変制御演算部36は、これらの車両状態量(及び制御信号)に基づいて、車速Vに応じてギヤ比を可変させるための制御目標成分としてギヤ比可変ACT指令角θgr*を演算する(ギヤ比可変制御演算)。
LeadSteer制御演算部37には、車速V及び操舵速度ωsが入力される。尚、操舵速度ωsは、操舵角θsを微分することにより演算される(以下同様)。そして、LeadSteer制御演算部37は、これら車速V及び操舵速度ωsに基づいて操舵速度に応じて、車両の応答性を向上させるための制御目標成分としてLS_ACT指令角θls*を演算する(LeadSteer制御演算)。
IFS制御演算部35、ギヤ比可変制御演算部36及びLeadSteer制御演算部37は、上記各演算により演算された各制御目標成分、即ちIFS_ACT指令角θifs*、ギヤ比可変ACT指令角θgr*、及びLS_ACT指令角θls*を加算器38aに出力する。そして、この加算器38aにおいて、これらIFS_ACT指令角θifs*、ギヤ比可変ACT指令角θgr*、及びLS_ACT指令角θls*が重畳されることによりACT角θtaの制御目標であるACT指令角θta*が演算される。
加算器38aにて演算されたACT指令角θta*は、F/F制御演算部39及びF/B制御演算部40に入力される。また、F/B制御演算部40には、モータ12に設けられた回転角センサ41により検出されるACT角θtaが入力される。そして、F/F制御演算部39は、入力されたACT指令角θta*に基づくフィードフォワード演算により制御量εffを演算し、F/B制御演算部40は、ACT指令角θta*及びACT角θtaに基づくフィードバック演算により制御量εfbを演算する。
F/F制御演算部39及びF/B制御演算部40は、演算された制御量εff及び制御量εfbを加算器38bに出力する。そして、その制御量εff及び制御量εfbは、加算器38bにおいて重畳され電流指令としてモータ制御信号出力部42に入力される。そして、モータ制御信号出力部42は、入力された電流指令に基づいてモータ制御信号を生成し駆動回路34に出力する。
即ち、図5のフローチャートに示すように、マイコン33は、車両状態量として上記各センサからセンサ値を取り込むと(ステップ101)、先ずIFS制御演算を行い(ステップ102)、続いてギヤ比可変制御演算(ステップ103)、及びLeadSteer制御演算を行う(ステップ104)。そして、マイコン33は、上記ステップ102〜ステップ104の各演算処理を実行することにより演算されたIFS_ACT指令角θifs*、ギヤ比可変ACT指令角θgr*、及びLS_ACT指令角θls*を重畳し、これにより制御目標であるACT指令角θta*を演算する。そして、マイコン33は、この演算されたACT指令角θta*に基づいてフィードフォワード演算(ステップ105)及びフィードバック演算(ステップ106)を行うことにより電流指令を演算し、その電流指令に基づいてモータ制御信号の出力を行う(ステップ107)。
一方、図4に示すように、EPSECU18は、IFSECU8と同様に、マイコン43と、駆動回路44とを備えている。マイコン43は、アシスト制御部45、トルク慣性補償制御部46、ステアリング戻し制御部47、及びダンパ補償制御部48を備え、これら各制御部は、それぞれ入力される車両状態量に基づいてモータ22が発生するアシストトルクの制御目標成分を演算する。
詳述すると、アシスト制御部45及びトルク慣性補償制御部46には、それぞれ車速V及び操舵トルクτが入力される。そして、アシスト制御部45は、ベースとなる制御目標成分として基本アシスト電流指令Ias*を演算し、トルク慣性補償制御部46は、モータ22の慣性を補償する制御目標成分である慣性補償電流指令Iti*を演算する。
ステアリング戻し制御部47には、車速V、操舵トルクτ、及び転舵角θtが入力され、ダンパ補償制御部48には、車速V及び操舵速度ωsが入力される。そして、ステアリング戻し制御部47は、ステアリング2の戻り特性を改善するための制御目標成分であるステアリング戻し電流指令Isb*を演算し、ダンパ補償制御部48は、高速走行時のパワーアシスト特性を改善するための制御目標成分であるダンパ補償電流指令Idp*を演算する。
また、マイコン43は、上記各制御部に加え、IFS制御時のステアリングフィールを改善するためのIFSトルク補償ゲインKifsを演算するIFSトルク補償制御部49を備えている。本実施形態では、IFSトルク補償制御部49には、操舵トルクτ、操舵角θs及び操舵速度ωsとともに、上記IFS制御演算部35において演算されたIFS_ACT指令角θifs*、及びOS/US特性値Val_stが入力される。そして、IFSトルク補償制御部49は、上記各車両状態量、IFS_ACT指令角θifs*及びOS/US特性値Val_stに基づいてIFSトルク補償ゲインKifsを演算する。
本実施形態では、上記IFSトルク補償ゲインKifsは、アシスト制御部45において演算された基本アシスト電流指令Ias*に乗ぜられ、その補正後の基本アシスト電流指令Ias**は、上記慣性補償電流指令Iti*、ステアリング戻し電流指令Isb*、及びダンパ補償電流指令Idp*とともに、加算器50に入力される。そして、これらの各制御目標成分が重畳されることにより、モータ22が発生するアシストトルクの制御目標である電流指令が演算される。
加算器50において演算された電流指令は、モータ制御信号出力部51に入力される。また、モータ制御信号出力部51には、モータ22に設けられた電流センサ52及び回転センサ53により検出される実電流及び回転角が入力される。そして、モータ制御信号出力部51は、これら電流指令、実電流及び回転角に基づいてフィードバック制御を行うことによりモータ制御信号を生成し、そのモータ制御信号を駆動回路44に出力する。
次に、IFS制御演算部におけるIFS制御演算処理について詳述する。
図6は、IFS制御演算部の制御ブロック図である。同図に示すように、IFS制御演算部35は、車両モデル演算部61、跨ぎ路判定部62、ステア特性演算部63、OS制御演算部65、US制御演算部66、制御ON/OFF判定部67、及びIFS_ACT指令角演算部68を備えている。
車両モデル演算部61には、転舵角θt及び車速Vが入力される。そして、車両モデル演算部61は、この転舵角θt及び車速Vに基づいて車両モデル演算を行い、車両のヨーモーメントに関連する車両状態量の目標値、即ち目標状態量としての目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0を演算する。尚、本実施形態の車両モデル演算部61における車両モデル演算、即ち車両モデルに基づき転舵角θt及び車速Vから目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0を演算する方法については、例えば上述の特許文献1等を参考されたい。
跨ぎ路判定部62には、車輪速Vtr,Vtl、転舵角θt、車速V、及びブレーキ信号Sbkが入力される。そして、跨ぎ路判定部62は、これらの車両状態量に基づいて、車両が跨ぎ路、即ち車両の左右の車輪がそれぞれ路面抵抗の著しく異なる2つの路面(μスプリット路面)上にあるか否かの判定を行う。詳しくは、μスプリット状態における制動、即ちμスプリット制動状態にあるか否かの判定を行う(跨ぎ路判定)。
ステア特性演算部63には、操舵角θs、車速V、及びヨーレイトRy、並びに車両モデル演算部61において演算された目標ヨーレイトRy0が入力される。そして、ステア特性演算部63は、これらの車両状態量に基づいて、車両のステア特性、即ち、車両がオーバーステア、アンダーステア、又はニュートラルステアの何れの状態にあるかを演算し、その特性を示すOS/US特性値Val_stを演算する(ステア特性演算)。尚、本実施形態では、OS/US特性値Val_stは次式、Val_st=(L×Ry/V−θt)×Ry、L:ホイールベース、に基づくアナログ信号として出力される。
OS制御演算部65は、ヨーレイトF/B演算部71、スリップ角F/B演算部72を備えており、これらヨーレイトF/B演算部71及びスリップ角F/B演算部72は、それぞれ対応する車両状態量の実際値がその目標値に追従するようフィードバック演算を行う。そして、OS制御演算部65は、これら各F/B演算部におけるフィードバック演算に基づいて、ステア特性がオーバーステアである場合のACT角θtaの制御目標成分、即ちヨーモーメントと逆方向の舵角(カウンタステア)を発生させるための制御目標成分として、OS制御時ACT指令角θos*を演算する(OS制御演算)。
また、IFS制御演算部35は、車両モデル演算部61において演算された各目標状態量を、その値(絶対値)が小さくなるように補正する目標状態量補正演算部73を備えている。本実施形態では、目標状態量補正演算部73は、車両モデル演算部61により演算された目標ヨーレイトRy0を補正する目標ヨーレイト補正演算部74と、目標スリップ角θsp0を補正する目標スリップ角補正演算部75とにより構成されている。尚、本実施形態では、目標ヨーレイト補正演算部74及び目標スリップ角補正演算部75は、車両モデル演算部61から入力される目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0に、それぞれ所定のゲインを乗ずることにより、その値(絶対値)が小さくなるように補正する。そして、OS制御演算部65は、この目標状態量補正演算部73において補正された補正後の目標ヨーレイトRy0´及び目標スリップ角θsp0´に基づいてOS制御時ACT指令角θos*を演算する。
さらに詳述すると、ヨーレイトF/B演算部71には、ヨーレイトRy、及び目標ヨーレイト補正演算部74において補正された補正後の目標ヨーレイトRy0´が入力され、ヨーレイトF/B演算部71は、その偏差ΔRy´に基づいてフィードバック演算を行う。具体的には、ヨーレイトF/B演算部71は、偏差ΔRy´に比例F/BゲインKPを乗ずることによりヨーレイト比例F/B指令角θRyp*を演算し、偏差ΔRy´の微分量に微分F/BゲインKDを乗ずることによりヨーレイト微分F/B指令角θRyd*を演算する(ヨーレイトF/B演算)。同様に、スリップ角F/B演算部72には、スリップ角θsp、及び目標スリップ角補正演算部75において演算された補正後の目標スリップ角θsp0´が入力され、スリップ角F/B演算部72は、その偏差Δθsp´にスリップ角F/BゲインKslipを乗ずることにより、スリップ角F/B指令角θsp*を演算する(スリップ角F/B演算)。
これらヨーレイトF/B演算部71において演算されたヨーレイト比例F/B指令角θRyp*及びヨーレイト微分F/B指令角θRyd*、並びにスリップ角F/B演算部72において演算されたスリップ角F/B指令角θsp*は、加算器76に入力される。そして、OS制御演算部65は、この加算器76において、これらの各制御目標成分を重畳することにより、OS制御時ACT指令角θos*を演算する(OS制御演算)。
尚、本実施形態のOS制御演算部65は、上記ヨーレイトF/B演算部71及びスリップ角F/B演算部72に加え、ヨー角F/B演算部77を備えており、ヨー角F/B演算部77は、上記跨ぎ路判定部62における判定結果をトリガとして目標ヨー角θy0及びヨー角θyに基づくヨー角F/B演算を実行する。そして、OS制御演算部65は、このヨー角F/B演算部77において演算された所謂μスプリット制動時の安定性を確保するためのヨー角F/B指令角θy*が上記各制御目標成分に重畳された値を、OS制御時ACT指令角θos*として出力する。
US制御演算部66には、操舵角θs及び操舵速度ωs、並びにステア特性演算部63において演算されたOS/US特性値Val_stが入力される。そして、US制御演算部66は、これら車両状態量に基づいてUS制御時ACT指令角θus*を演算する(US制御演算)。
制御ON/OFF判定部67には、車速V、操舵角θs、ヨーレイトRy、及びOS/US特性値Val_stが入力される。そして、制御ON/OFF判定部67は、上記OS制御演算部65で演算されたOS制御時ACT指令角θos*に基づくオーバーステア制御(OS制御)、又はUS制御演算部66で演算されたUS制御時ACT指令角θus*に基づくアンダーステア制御(US制御)を行うか否かを判定し、その判定結果を制御ON/OFF信号Scとして出力する(制御ON/OFF判定)。
IFS_ACT指令角演算部68には、OS制御演算部65により演算されたOS制御時ACT指令角θos*及びUS制御演算部66により演算されたUS制御時ACT指令角θus*、並びに制御ON/OFF判定部67の出力する制御ON/OFF信号Scが入力される。そして、IFS_ACT指令角演算部68は、入力された制御ON/OFF信号Scが「OS制御ON」を示すものである場合には、OS制御時ACT指令角θos*を、制御ON/OFF信号Scが「US制御ON」を示すものである場合には、US制御時ACT指令角θus*をIFS_ACT指令角θifs*として出力する(IFS_ACT指令角演算)。尚、本実施形態では、制御ON/OFF信号Scが「NS」、即ちニュートラルステアであることを示すものである場合には、IFS_ACT指令角演算部68は、IFS_ACT指令角θifs*を「0」とする。
次に、IFS制御演算部における上記各制御演算の処理手順について説明する。
図7のフローチャートに示すように、IFS制御演算部35は、先ず、車両モデル演算を実行し(ステップ201)、次に跨ぎ路判定を実行する(ステップ202)。そして、ステア特性演算を実行する(ステップ203)。
次に、IFS制御演算部35は、上記ステップ201の車両モデル演算において演算された各目標状態量、即ち目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0を補正する(目標状態量補正演算、ステップ204)。そして、その補正後の目標ヨーレイトRy0´及び目標スリップ角θsp0´に基づいて、ヨーレイトF/B演算及びスリップ角F/B演算を実行することにより、OS制御時ACT指令角θos*を演算する(OS制御演算、ステップ205)。尚、上記ステップ202にてμスプリット制動状態にある旨の判定がなされた場合には、その判定結果をトリガとしてヨー角F/B演算が実行される。
次に、IFS制御演算部35は、US制御演算を実行することによりUS制御時ACT指令角θus*を演算し(ステップ206)、続いて制御ON/OFF判定を実行する(ステップ207)。そして、ステップ207の判定結果に基づいて、OS制御時ACT指令角θos*又はUS制御時ACT指令角θus*(又は0)をアクティブステア機能を実現するための制御目標成分、即ちIFS_ACT指令角θifs*として出力する(IFS_ACT指令角演算、ステップ208)。
(作用・効果)
次に、上記のように構成された本実施形態のステアリング装置の作用・効果について説明する。
図8は、低μ路におけるオーバーステア制御時、詳しくはその制御中に運転者がカウンタ方向(ヨーレイトRyの方向(+)に対して逆方向(−))にステアリング操作を行った場合の目標ヨーレイトRy0及びヨーレイトRyの推移を示す波形図である。尚、同図において、波形MはヨーレイトRyの推移を、波形M0は目標ヨーレイトRy0の推移を、波形M0´は補正後の目標ヨーレイトRy0´の推移を示している。また、以下、説明の便宜上、ヨーレイトRy(目標ヨーレイトRy0,Ry0´)についてのみ説明するが、その傾向はスリップ角θsp(目標スリップ角θsp,θsp´)についても同様であることはいうまでもない。
上述のように、低μ路では、転舵角θtの変化に対する車両挙動の反応が鈍く、また車両姿勢を安定に保つことのできる安定領域、即ちヨーレイトRyを安定的に制御可能なその変化速度(ヨー角加速度)の範囲が極めて狭くなっている。従って、上記オーバーステア制御によってカウンタ方向のACT角θtaを与えても、その目標状態量(目標ヨーレイトRy0,スリップ角θsp0)の値に対しその実際の値(実際値、ヨーレイトRy,スリップ角θsp)が速やかに追従せず、結果として、同制御時に要する時間は長く、またそのカウンタ量(カウンタ方向への舵角変更量)も大きなものになりやすい。このため、ヨーレイトRyの変化速度が安定領域を超えて過大となる可能性があり、その過大なヨーレイト変化速度に起因するオーバーシュートの発生によって、車両姿勢の速やかなる安定化が図られないおそれがある。
この点を踏まえ、本実施形態のステアリング装置1は、車両モデル演算部61により演算された目標状態量(目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0)を、その値(絶対値)が小さくなるように補正する目標状態量補正演算部73を備えている。そして、OS制御演算部65は、目標状態量補正演算部73により補正された補正後の目標状態量(目標ヨーレイトRy0´及び目標スリップ角θsp0´)の値と実際値(ヨーレイトRy及びスリップ角θsp)との偏差に基づくフィードバック演算により、オーバーステア制御のためのACT角θtaの制御目標成分であるOS制御時ACT指令角θos*を演算する(図6参照)。
即ち、図8に示すように、補正後の目標ヨーレイトRy0´は、本来の目標ヨーレイトRy0よりもその値(絶対値)が小さくなるため、ヨーレイトF/B演算に用いられるその偏差ΔRy´(ヨーレイトRyとの偏差)は、本来の目標ヨーレイトRy0を用いた場合の偏差ΔRyよりも大きな値(絶対値)となる。従って、オーバーステア制御開始とともに、大きな値(絶対値)を有するOS制御時ACT指令角θos*が出力されることになり、これによりそのカウンタ方向のACT角θtaの立ち上がりを早めて、同制御に要する時間を短く、及び最終的なそのカウンタ量を小さくすることができる。その結果、その変化速度を抑えつつ速やかにヨーレイトRyを変化させることができ、これにより過大なヨーレイト変化速度に起因するオーバーシュートを抑制して、迅速に車両姿勢を安定化させることができるようになる。
また、同図に示すように、オーバーステア制御中に、運転者がカウンタ方向にステアリング操作を行うことによって、同制御の終了時、即ち目標ヨーレイトRy0の値と実際のヨーレイトRyの値とが一致しニュートラルステアとなった時点(同図中のニュートラルポイントPn、経過時間tn)で、既に目標ヨーレイトRy0がカウンタ方向側に移っている場合がある。そして、このような場合、ヨーレイトRyの変化量が大きく、また同制御に要する時間も長くなることから、ヨーレイト変化速度も大きくなりやすく、その過大なヨーレイト変化速度によって、反対方向のオーバーステアが発生するおそれがある。
しかしながら、補正後の目標ヨーレイトRy0´は、その絶対値が小さくなるように補正されるため、目標ヨーレイトRy0の方向が反対側に移行した場合、ヨーレイトF/B演算上のニュートラルステアとなるニュートラルポイントPn´、即ち補正後の目標ヨーレイトRy0´の値と実際のヨーレイトRyの値とが一致するまでの経過時間tn´は、ステア特性判定(ステア特性演算及び制御ON/OFF判定)上のニュートラルポイントPnとなるまで経過時間tnよりも短くなる。従って、当初の方向(同図中(+)方向)のオーバーステアを解消するための制御が速やかに収束し、これにより、そのカウンタ方向(同図中(−)方向)のヨーレイト変化速度を抑えて、そのオーバーシュートによる反対方向(同図中(−)方向)のオーバーステアの発生を抑制することができる。
更に、ステア特性判定は、補正前の目標ヨーレイトRy0を用いて行うことから、ヨーレイトF/B演算上のニュートラルポイントPn´からステア特性判定上のニュートラルポイントPnまで、即ち経過時間tn´から経過時間tnまでの間は、上記反対方向のオーバーステアを解消する方向(同図中(+)方向)にACT角θtaを発生させるOS制御時ACT指令角θos*が出力される。これにより、当初の方向(同図中(+)方向)のオーバーステアを解消するための制御により生じた過剰なヨーレイト変化速度をいち早く打ち消して、それに起因するオーバーシュートを抑制し、反対方向のオーバーステアの発生を効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、本発明をギヤ比可変アクチュエータ7のACT角θtaを変更することにより、アクティブステア機能を実現するステアリング装置1に具体化したが、これに限らず、転舵輪とステアリングとが機械的に分離された所謂ステアバイワイヤ式の車両用操舵装置に具体化してもよい。
・本実施形態では、ステアリング装置1は、モータ22を駆動源とするEPSアクチュエータ17を備えることとしたが、パワーアシスト装置は、油圧式でもよい。また、パワーアシスト装置を備えない車両用操舵装置に具体化してもよい。
・本実施形態では、車両モデル演算部61及び目標状態量補正演算部73は、ギヤ比可変アクチュエータ7の作動を制御するIFSECU8側のIFS制御演算部35に設けられることとした。しかし、これらの双方又は何れか一方が、EPSECU等、IFSECU8の外部に設けられる構成であってもよい。
・本実施形態では、車両モデル演算部61は、目標状態量として目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0を演算する。そして、OS制御演算部65は、目標状態量補正演算部73において補正された補正後の目標ヨーレイトRy0´に基づくヨーレイトF/B演算、及びその補正後の目標スリップ角θsp0´に基づくスリップ角F/B演算を行うことによりOS制御時ACT指令角θos*を演算することとした。しかし、これに限らず、OS制御時ACT指令角θos*は、補正後の目標ヨーレイトRy0´又は補正後の目標スリップ角θsp0´の何れか一方により行われることとしてもよい。また、OS制御演算部65は、ヨーレイト及びスリップ角以外の車両のヨーモーメントに関連する車両状態量に基づくフィードバック演算によりOS制御時ACT指令角θos*を演算し、目標状態量補正演算部は、その目標状態量を補正する構成としてもよい。
・本実施形態では、目標状態量補正演算部73(目標ヨーレイト補正演算部74及び目標スリップ角補正演算部75)は、車両モデル演算部61から入力される目標状態量(目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0)に、それぞれ所定のゲインを乗ずることにより、その値(絶対値)が小さくなるように補正することとした。しかし、これに限らず、図9に示すように、IFS制御演算部80に、路面の摩擦抵抗μを推定する路面摩擦抵抗推定演算部81、及びその推定された摩擦抵抗μに応じて変化する補正ゲインKvを演算するゲイン可変演算部82を設ける。そして、目標状態量演算部83は、目標状態量(目標ヨーレイトRy0及び目標スリップ角θsp0)にその補正ゲインKvを乗ずることにより、同目標状態量を補正する構成としてもよい。これにより、路面状態に応じて精度よく目標状態量を補正することができ、その結果、オーバーステア制御におけるACT角θtaの過剰応答を抑えて良好な操舵フィーリングを維持しつつ、車両安定性能の更なる向上を図ることができる。尚、路面の摩擦抵抗μの推定は、例えば、駆動輪と従動輪との間の車輪速差等から推定すればよい。
また、この場合、図10に示すように、路面の摩擦抵抗μが低いほど補正ゲインKvを小さくする構成とするとよい。このような構成とすれば、摩擦抵抗μが低くなり、転舵角変化に対する車両挙動の反応がより鈍く、安定領域もより狭い環境にあるほど、その変化速度を抑えつつ速やかにヨーレイトRyを変化させることができ、これにより過大なヨーレイト変化速度に起因するオーバーシュートを抑制して、迅速に車両姿勢を安定化させることができるようになる。
ステアリング装置の概略構成図。 ギヤ比可変制御の説明図。 ギヤ比可変制御の説明図。 ステアリング装置の制御ブロック図。 IFSECUにおける演算処理の態様を示すフローチャート。 IFS制御演算部の制御ブロック図。 IFS制御演算部おけるIFS制御演算処理の態様を示すフローチャート。 低μ路におけるオーバーステア制御時の目標ヨーレイト及び実ヨーレイトの推移を示す波形図。 別例のIFS制御演算部の概略構成図。 補正ゲイン可変の態様を示す説明図。
符号の説明
1…ステアリング装置、2…ステアリング、6…転舵輪、7…ギヤ比可変アクチュエータ、8…IFSECU、35,80…IFS制御演算部、61…車両モデル演算部、63…ステア特性演算部、65…低速時補正ゲイン演算部、67…制御ON/OFF判定部、73,83…目標状態量補正演算部、81…路面摩擦抵抗推定演算部、82…ゲイン可変演算部、Ry…ヨーレイト、Ry0,Ry0´…目標ヨーレイト、θsp…スリップ角、θsp0,θsp0´…目標スリップ角、θt…転舵角、θts…ステア転舵角、θta…ACT角、θifs*…IFS_ACT指令角、θos*…OS制御時ACT指令角、Val_st…OS/US特性値、Sc…制御ON/OFF信号、Kv…補正ゲイン、μ…摩擦抵抗。

Claims (4)

  1. 転舵輪の転舵角を変更可能な駆動手段と、該駆動手段の作動を制御する制御手段と、車両モデルに基づいて車両のヨーモーメントに関連する車両状態量の目標値を演算する車両モデル演算手段と、前記演算された目標値とその実際値との比較により前記車両のステア特性を判定するステア特性判定手段とを備え、前記制御手段は、前記車両がオーバーステア状態にある場合には、前記ヨーモーメントと逆方向に前記転舵角を変更すべく前記駆動手段を作動させるオーバーステア制御を実行する車両用操舵装置であって、
    前記演算された目標値をその絶対値が小さくなるように補正する目標状態量補正手段を備え、
    前記制御手段は、前記補正された補正後の目標値と実際値との偏差に基づくフィードバック演算により、前記オーバーステア制御における制御目標成分を演算すること、
    を特徴とする車両用操舵装置。
  2. 請求項1に記載の車両用操舵装置において、
    前記車両のヨーモーメントに関連する車両状態量は、ヨーレイト又はスリップ角の少なくとも何れか一方であること、を特徴とする車両用操舵装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両用操舵装置において、
    路面の摩擦抵抗を推定する路面摩擦抵抗推定手段と、
    前記推定された摩擦抵抗に応じて変化する補正ゲインを演算するゲイン可変演算手段とを備え、
    前記目標状態量補正手段は、前記目標値に前記補正ゲインを乗ずることにより該目標値を補正すること、を特徴とする車両用操舵装置。
  4. 請求項3に記載の車両用操舵装置において、
    前記ゲイン可変演算手段は、前記推定された摩擦抵抗が低いほど、小さな前記補正ゲインを演算すること、を特徴とする車両用操舵装置。
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