JP5092603B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents

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    • B62D6/008Control of feed-back to the steering input member, e.g. simulating road feel in steer-by-wire applications

Description

本発明は、車両用操舵装置に関するものである。
近年、車速やヨーレイト等といった各種の状態量を検出することにより車両のステアリング特性(ステア特性)を判定し、その判定結果に基づいて、車両のヨーモーメントを制御すべく転舵輪の舵角(転舵角)を制御する所謂アクティブステア機能を備えた操舵制御システムが提案されている。
例えば、特許文献1に記載の車両用操舵装置は、ステアリング操作に基づく転舵輪の第1の舵角にモータ駆動に基づく転舵輪の第2の舵角(ACT角)を上乗せすることにより、ステアリングと転舵輪との間の伝達比(ギヤ比)を変更可能な伝達比可変装置を備えている。そして、そのステア特性がオーバーステアである場合には、ヨーモーメントと反対方向(カウンタ方向)の転舵角を発生させるべくACT角を制御し、ステア特性がアンダーステアである場合には、切り込み操作に対する転舵角の変更量が小さくなるようにその伝達比を変更する。
また、この車両用操舵装置には、モータを駆動源として操舵系にアシスト力を付与する電動パワーステアリング装置が設けられており、上記伝達比可変装置によるアクティブステア制御の実行時には、当該アクティブステア制御と協調したパワーアシスト制御を実行する。具体的には、オーバーステア時には、運転者にカウンタ操舵を促すようなアシスト力を付与し、アンダーステア時には、それ以上の操舵角の発生を抑制するようなアシスト力を付与すべく、そのパワーアシスト制御を実行する。そして、これにより、速やかに車両姿勢の安定化を図る構成となっている。
特開2005−297719号公報
しかしながら、上記のような伝達比可変装置を備えた車両用操舵装置では、当該伝達比可変装置の作動時には、そのACT角の変化方向とは逆向きの反力トルク(モータ反力)がステアリングに作用し、そのモータ反力をトルク変動として運転者が感じ取ることによりフィーリングが低下するおそれがある。そして、特に、上記のようなアクティブステア制御時、とりわけ、ACT角の変化(及び変化速度)が大きいカウンタ制御時には、こうしたモータ反力の影響がより一層顕著となる傾向があり、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、伝達比可変装置の作動に伴う操舵トルクの変動を抑えて良好な操舵フィーリングを実現することのできる車両用操舵装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ステアリング操作に基づく転舵輪の第1の舵角にモータ駆動に基づく前記転舵輪の第2の舵角を上乗せすることによりステアリングと前記転舵輪との間の伝達比を可変させる伝達比可変装置と、ステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、基本アシスト成分に、操舵トルクの微分値に基づく補償成分を重畳することにより、前記操舵力補助装置に発生させるべき目標アシスト力を演算する車両用操舵装置であって、前記制御手段は、前記伝達比可変装置の作動時には、前記操舵トルクの微分値に基づく補償成分を増大させるように構成され、前記伝達比可変装置は、車両のステア特性がオーバーステア状態にある場合には、ヨーモーメントと逆方向に前記第2の舵角を変更すべく作動するものであって、前記制御手段は、前記ヨーモーメントと逆方向に前記第2の舵角を変更すべく伝達比可変装置が作動するオーバーステア制御時に、前記操舵トルクの微分値に基づく補償成分の増大を行うものであって、前記オーバーステア状態にある場合におけるカウンタ操舵の有無を判定するカウンタ操舵判定手段を備え、前記制御手段は、前記カウンタ操舵のない場合には、そのカウンタ操舵を促すべく前記アシスト力を低減する制御を実行するものであって、前記アシスト力の低減制御の実行時には、前記操舵トルクの微分値に基づく補償成分の増大を実行しないこと、を要旨とする。
即ち、伝達比可変装置の作動時、操舵系は、その慣性に伴う転舵輪側(及びステアリング側)の追従遅れにより、いわば「捩れた」状態となる。そして、ステアリングに作用する反力トルク(モータ反力)は、この「操舵系の捩れ」が大きいほど、即ち転舵輪側の追従遅れが大きいほど大となる。しかしながら、このとき、上記のように操舵トルクの微分値に基づく補償成分を増大、即ちトルク慣性補償制御を強化することにより、こうした慣性による「操舵系の捩れ」を抑制することができる。即ち、当該伝達比可変装置の作動による第2の舵角の変化を補助するようなアシスト力が付与されることにより、転舵輪側の追従性が向上し、上記のような「操舵系の捩れ」が抑制される。これにより、伝達比可変装置の作動に伴いステアリングに作用するモータ反力を低減することができ、その結果、該モータ反力に起因する操舵トルクの変動を抑制して良好な操舵フィーリングを実現することができるようになる。
また、転舵輪にカウンタ方向の舵角を与えるオーバーステア制御は、第2の舵角の変化(大きさ及び速度)が大きいことから、そのモータ反力の影響も極めて大きい。従って、上記構成のように、こうしたオーバーステア制御の実行時に、操舵トルクの微分値に基づく補償成分を増大し、トルク慣性補償制御の強化を行うことで、より顕著な効果を得ることができる。
また、トルク慣性補償制御は、ステアリングに入力される操舵トルクの変化を伴わない転舵角の変化については、これを打ち消す方向に作用する。つまり、トルク慣性補償制御は、オーバーステア時、運転者にカウンタ操舵を促すべく実行されるアシスト力の低減制御を打ち消す方向に作用することになる。しかしながら、上記構成によれば、こうしたカウンタ操舵を促すためのアシスト力制御との干渉を防止することができる。
請求項2に記載の発明は、前記制御手段は、前記第2の舵角が大きく変化するほど、より大きく操舵トルクの微分値に基づく補償成分を増大させること、を要旨とする。
即ち、第2の舵角が大きく変更すべく伝達比可変装置が作動、つまり、その動きが急峻であるほど、そのモータ反力の影響もまた大となる。従って、上記構成によれば、より効果的に、伝達比可変装置に伴う操舵トルクの変動を抑えることができる。
本発明によれば、伝達比可変装置の作動に伴う操舵トルクの変動を抑えて良好な操舵フィーリングを実現することが可能な車両用操舵装置を提供すること。
以下、本発明を伝達比可変装置を備えた車両用操舵装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の車両用操舵装置1の概略構成図である。同図に示すように、ステアリング(ハンドル)2が固定されたステアリングシャフト3は、ラック&ピニオン機構4を介してラック5に連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラック&ピニオン機構4によりラック5の往復直線運動に変換される。そして、このラック5の往復直線運動により転舵輪6の舵角、即ち転舵角が可変することにより、車両の進行方向が変更される。
本実施形態の車両用操舵装置1は、ステアリング2の舵角(操舵角)に対する転舵輪6の伝達比(ギヤ比)を可変させる伝達比可変装置としてのギヤ比可変アクチュエータ7と、該ギヤ比可変アクチュエータ7の作動を制御するIFSECU8とを備えている。
詳述すると、ステアリングシャフト3は、ステアリング2が連結された第1シャフト9とラック&ピニオン機構4に連結される第2シャフト10とからなり、ギヤ比可変アクチュエータ7は、第1シャフト9及び第2シャフト10を連結する差動機構11と、該差動機構11を駆動するモータ12とを備えている。そして、ギヤ比可変アクチュエータ7は、ステアリング操作に伴う第1シャフト9の回転に、モータ駆動による回転を上乗せして第2シャフト10に伝達することにより、ラック&ピニオン機構4に入力されるステアリングシャフト3の回転を増速(又は減速)する。
つまり、図2及び図3に示すように、ギヤ比可変アクチュエータ7は、ステアリング操作に基づく転舵輪6の舵角(ステア転舵角θts)にモータ駆動に基づく転舵輪の舵角(ACT角θta)を上乗せすることにより、操舵角θsに対する転舵輪6の転舵角θtの比率、即ち伝達比(ギヤ比)を可変させる。そして、IFSECU8は、モータ12に対する駆動電力の供給を通じてギヤ比可変アクチュエータ7の制御を制御し、これにより操舵角θsと転舵角θtとの間の伝達比(ギヤ比)を制御する(ギヤ比可変制御)。
尚、この場合における「上乗せ」とは、加算する場合のみならず減算する場合をも含むものと定義し、以下同様とする。また、「操舵角θsに対する転舵角θtのギヤ比」をオーバーオールギヤ比(操舵角θs/転舵角θt)で表した場合、ステア転舵角θtsと同方向のACT角θtaを上乗せすることによりオーバーオールギヤ比は小さくなる(転舵角θt大、図2参照)。そして、逆方向のACT角θtaを上乗せすることによりオーバーオールギヤ比は大きくなる(転舵角θt小、図3参照)。そして、本実施形態では、ステア転舵角θtsが第1の舵角を構成し、ACT角θtaが第2の舵角を構成する。
また、図1に示すように、車両用操舵装置1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ17と、該EPSアクチュエータ17の作動を制御する制御手段としてのEPSECU18とを備えている。
本実施形態のEPSアクチュエータ17は、その駆動源であるモータ22がラック5に設けられた所謂ラックアシスト型のEPSアクチュエータであり、モータ22が発生するアシストトルクは、ボール螺子機構(図示略)を介してラック5に伝達される。そして、EPSECU18は、このモータ22が発生するアシストトルクを制御することにより、操舵系に付与するアシスト力を制御する(パワーアシスト制御)。
本実施形態では、上記のギヤ比可変アクチュエータ7を制御するIFSECU8、及びEPSアクチュエータ17を制御するEPSECU18は、車内ネットワーク(CAN:Controller Area Network)23を介して接続されており、該車内ネットワーク23には、車両状態量を検出するための複数のセンサが接続されている。具体的には、車内ネットワーク23には、操舵角センサ24、トルクセンサ25、車輪速センサ26a,26b、横Gセンサ28、車速センサ29、ブレーキセンサ30、及びヨーレイトセンサ31が接続されている。そして、上記各センサにより検出される複数の車両状態量、即ち操舵角θs、操舵トルクτ、車輪速Vtr,Vtl、転舵角θt、スリップ角θsp、車速V、ブレーキ信号Sbk、及びヨーレイトRyは、車内ネットワーク23を介してIFSECU8及びEPSECU18に入力される。
尚、本実施形態では、トルクセンサ25には、一対のレゾルバにより検出されるトーションバーの捻れ角に基づいてトルク検出を行う所謂ツインレゾルバ型のトルクセンサが採用されており、同トルクセンサ25は、第2シャフトの途中、即ちギヤ比可変アクチュエータ7とEPSアクチュエータ17との間に設けられている。また、転舵角θtは、操舵角θsにラック&ピニオン機構4のベースギヤ比を乗じた値、即ちステア転舵角θtsにACT角θtaを加算することにより求められる。そして、スリップ角θspは、横Gセンサ28により検出される横方向加速度及びヨーレイトRyに基づいて求められる。
更に、IFSECU8及びEPSECU18は、車内ネットワーク23を介した相互通信により、制御信号の送受信を行う。そして、IFSECU8及びEPSECU18は、車内ネットワーク23を介して入力された上記各車両状態量及び制御信号に基づいて、上記のギヤ比可変制御及びパワーアシスト制御を統合的に実行する。
次に、本実施形態のステアリング装置の電気的構成及び制御態様について説明する。
図4は、本実施形態の車両用操舵装置1の制御ブロック図、図5は、IFSECU側の演算処理手順を示すフローチャート、そして、図6は、EPSECU側の演算処理手順を示すフローチャートである。尚、図4中の各制御ブロックは、IFSECU側及びEPSECU側にそれぞれ設けられた情報処理装置(マイコン)が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものである。
図4に示すように、IFSECU8は、モータ制御信号を出力するマイコン33と、モータ制御信号に基づいてモータ12に駆動電力を供給する駆動回路34とを備えている。
本実施形態では、ギヤ比可変アクチュエータ7の駆動源であるモータ12には、ブラシレスモータが採用されている。そして、駆動回路34は、マイコン33から入力されるモータ制御信号に基づいて、モータ12に三相(U,V,W)の駆動電力を供給する構成となっている。
詳述すると、本実施形態のマイコン33は、IFS制御演算部35、ギヤ比可変制御演算部36、及びLeadSteer制御演算部37を備えており、各制御演算部は、それぞれ入力される車両状態量に基づいて、その目的に応じたACT角θtaの制御成分(及び制御信号)を演算する。そして、マイコン33は、その演算された各制御成分に基づいて、モータ12、即ちギヤ比可変アクチュエータ7の作動を制御するためのモータ制御信号を生成する。
IFS制御演算部35には、操舵角θs、転舵角θt、車速V、車輪速Vtr,Vtl、ブレーキ信号Sbk、ヨーレイトRy及びスリップ角θspが入力される。そして、IFS制御演算部35は、これらの車両状態量に基づいて、所謂アクティブステア機能、即ち車両モデルに基づき車両のヨーモーメントを制御するためのACT角θtaの制御成分の演算、並びに関連する制御信号の演算を行う(IFS制御演算)。
具体的には、IFS制御演算部35は、入力される上記各状態量に基づいて、車両のステアリング特性(ステア特性)を判定する。そして、そのステア特性に応じたアクティブステア機能を実現するためのACT角θtaの制御成分として、IFS_ACT指令角θifs*、及びUS制御ゲインKusを演算する。
IFS_ACT指令角θifs*は、主として車両のステア特性がオーバーステア(OS)である場合に対応する制御成分であり、このIFS_ACT指令角θifs*に基づいて、ヨーモーメントの方向と逆方向の舵角(カウンタステア)を与えるべくACT角θtaを変更するオーバーステア制御が実行される。また、US制御ゲインKusは、ステア特性がアンダーステア(US)である場合に、切り込み操作に対する転舵角θtの変化量を小さくする、即ち転舵輪6の切れ角を小さくするための制御ゲインであり、当該US制御ゲインKusは、上記ギヤ比可変制御演算部36へと出力される。そして、このUS制御ゲインKusにより、ギヤ比可変制御演算部36の演算する制御成分(の絶対値)が低減されることにより、上記のようなアンダーステア制御が実行される。
尚、本実施形態では、上記ステア特性判定の判定結果を示すOS/US特性値Val_st及びUS制御ゲインKusは、同じくIFS制御演算部35において生成されるドライバ操舵状態St_ds及び実行中のアクティブステア制御の内容を示すアクティブ制御信号S_acvとともに、制御信号としてEPSECU18に出力される(図1参照)。ここで、ドライバ操舵状態St_dsは、ステアリング2の操作方向及び操作量に応じて連続的に変化するアナログ値により表現され、その操作方向(「切り込み」又は「切り戻し」)は符号(正/負)に、その操作量は、大きさ(絶対値)に示されている。そして、これらの各制御信号に基づいて、EPSECU18が、上記のようなアクティブステア制御と協調したパワーアシスト制御を実行する構成となっている。
一方、ギヤ比可変制御演算部36には、操舵角θs、転舵角θt及び車速Vが入力される。そして、ギヤ比可変制御演算部36は、これらの車両状態量(及び制御信号)に基づいて、車速Vに応じてギヤ比を可変させるための制御成分としてギヤ比可変ACT指令角θgr*を演算する(ギヤ比可変制御演算)。
また、LeadSteer制御演算部37には、車速V及び操舵速度ωsが入力される。尚、操舵速度ωsは、操舵角θsを微分することにより演算される(以下同様)。そして、LeadSteer制御演算部37は、これら車速V及び操舵速度ωsに基づいて操舵速度に応じて、車両の応答性を向上させるための制御成分としてLS_ACT指令角θls*を演算する(LeadSteer制御演算)。
IFS制御演算部35、ギヤ比可変制御演算部36及びLeadSteer制御演算部37は、上記各演算により演算された各制御成分、即ちIFS_ACT指令角θifs*、ギヤ比可変ACT指令角θgr*、及びLS_ACT指令角θls*を加算器38aに出力する。そして、この加算器38aにおいて、これらIFS_ACT指令角θifs*、ギヤ比可変ACT指令角θgr*、及びLS_ACT指令角θls*が重畳されることによりACT角θtaの制御目標となるACT指令角θta*が演算される。
加算器38aにて演算されたACT指令角θta*は、F/F制御演算部39及びF/B制御演算部40に入力される。尚、本実施形態では、当該ACT指令角θta*は、制御信号としてEPSECU18に出力されるようになっており、上記の協調的パワーアシスト制御の実行に用いられる。また、F/B制御演算部40には、モータ12に設けられた回転角センサ41により検出されるACT角θtaが入力される。そして、F/F制御演算部39は、入力されたACT指令角θta*に基づくフィードフォワード演算により制御量εffを演算し、F/B制御演算部40は、ACT指令角θta*及びACT角θtaに基づくフィードバック演算により制御量εfbを演算する。
F/F制御演算部39及びF/B制御演算部40は、演算された制御量εff及び制御量εfbを加算器38bに出力する。そして、同加算器38bにおいて、これら制御量εff及び制御量εfbが重畳されることにより電流指令が演算され、当該電流指令は、モータ制御信号出力部42へと出力される。そして、モータ制御信号出力部42は、その入力された電流指令に基づいてモータ制御信号を生成し駆動回路34に出力する。
即ち、図5のフローチャートに示すように、マイコン33は、車両状態量として上記各センサからセンサ値を取り込むと(ステップ101)、先ずIFS制御演算を行い(ステップ102)、続いてギヤ比可変制御演算(ステップ103)、及びLeadSteer制御演算を行う(ステップ104)。そして、マイコン33は、上記ステップ102〜ステップ104の各演算処理を実行することにより演算されたIFS_ACT指令角θifs*、ギヤ比可変ACT指令角θgr*、及びLS_ACT指令角θls*を重畳し、これによりACT角θtaの制御目標となるACT指令角θta*を演算する。
次に、マイコン33は、この演算されたACT指令角θta*に基づいてフィードフォワード演算(ステップ105)及びフィードバック演算(ステップ106)を行うことにより電流指令を演算し、その電流指令に基づいてモータ制御信号の出力を行う(ステップ107)。そして、車内ネットワーク23を介して、その他の上記各種制御信号、即ちOS/US特性値Val_st、US制御ゲインKus、ドライバ操舵状態St_ds、及びアクティブ制御信号S_acv、並びにACT指令角θta*をEPSECU18に出力する(ステップ108)。
一方、EPSECU18もまた、上記IFSECU8と同様に、マイコン43と、駆動回路44とを備えている。尚、本実施形態では、EPSアクチュエータ17の駆動源であるモータ22もまた、ブラシレスモータが採用されている。そして、駆動回路44は、マイコン43から入力されるモータ制御信号に基づいて、モータ22に三相(U,V,W)の駆動電力を供給する構成となっている。
詳述すると、マイコン43は、アシスト制御部45、トルク慣性補償制御部46、ステアリング戻し制御部47、及びダンパ補償制御部48を備え、これら各制御部は、それぞれ入力される車両状態量に基づいてモータ22が発生するアシストトルクの制御成分を演算する。
詳述すると、アシスト制御部45には、操舵トルクτ及び車速Vが入力されるようになっており、同アシスト制御部45は、これら操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、アシスト力の基礎的な制御成分として基本アシスト電流指令Ias*を演算する。具体的には、操舵トルクτ(の絶対値)が大きいほど、また車速Vが遅いほど大きな基本アシスト電流指令Ias*が演算される。
また、トルク慣性補償制御部46には、操舵トルクτの微分値である操舵トルク微分値dτ及び車速Vが入力される。そして、トルク慣性補償制御部46は、EPSの慣性による影響を補償するための制御成分として慣性補償電流指令Iti*を演算する。
具体的には、図7に示すように、本実施形態のトルク慣性補償制御部46は、操舵トルク微分値dτと基礎補償量εtiとが関連付けられたマップ46a、及び車速Vと車速ゲインKvとが関連付けられたマップ46bを備えている。マップ46aにおいて、基礎補償量εtiは、入力される操舵トルク微分値dτの絶対値が大きいほど、アシスト制御部45において演算された基本アシスト電流指令Ias*(の絶対値)をより増加させる値となるように設定されている。同様に、マップ46bにおいて、車速ゲインKvは、車速Vが大きくなるほど大きな値となるように設定されている。そして、トルク慣性補償制御部46は、これらの各マップ46a,46bを参照することにより求められた基礎補償量εti及び車速ゲインKvを乗ずることにより慣性補償電流指令Iti*を演算する。
即ち、「トルク慣性補償制御」は、アシスト力を強化することにより、慣性により操舵系に生ずる「捩れ」を抑制する制御であり、モータやアクチュエータ等の慣性により発生するステアリング操作における「切り始め」時の「引っ掛かり感(追従遅れ)」、及び「切り終わり」時の「流れ感(オーバーシュート)」を抑制する効果がある。また、このトルク慣性補償制御は、ステアリングに入力される操舵トルクの変化を伴わない転舵角の変化については、これを打ち消す方向に作用する。従って、転舵輪6に対する逆入力の印加により操舵系に生じる振動を抑制する効果がある。
ステアリング戻し制御部47には、車速V、操舵トルクτ、及び転舵角θtが入力され、ダンパ補償制御部48には、車速V及び操舵速度ωsが入力される。そして、ステアリング戻し制御部47は、ステアリング2の戻り特性を改善するための制御成分であるステアリング戻し電流指令Isb*を演算し、ダンパ補償制御部48は、高速走行時のパワーアシスト特性を改善するための制御成分であるダンパ補償電流指令Idp*を演算する。
また、マイコン43は、上記各制御部に加え、上述のアクティブステア制御時の操舵フィーリングを改善すべく、当該アクティブステア制御と協調したパワーアシスト制御を実行するためのIFSトルク補償ゲインKifsを演算するIFSトルク補償制御部49を備えている。
本実施形態では、IFSトルク補償制御部49には、操舵角θs及び操舵速度ωsとともに、車内ネットワーク23を介してIFSECU8側から出力された上記の各種制御信号、即ちOS/US特性値Val_st、US制御ゲインKus、ドライバ操舵状態St_ds、及びアクティブ制御信号S_acv、並びにACT指令角θta*が入力される。そして、IFSトルク補償制御部49は、これら入力される各状態量、及び制御信号に制御信号に基づいてIFSトルク補償ゲインKifsを演算する。
具体的には、IFSトルク補償制御部49は、オーバーステア時には、運転者にカウンタ操舵を促すようなアシスト力付与が実行されるようなIFSトルク補償ゲインKifsを演算する。具体的には、基本アシスト成分である基本アシスト電流指令Ias*を低減するようなIFSトルク補償ゲインKifsを演算する。そして、アンダーステア時には、それ以上の操舵角の発生を抑制するアシスト力付与が実行されるようなIFSトルク補償ゲインKifsを演算する。
本実施形態では、IFSトルク補償制御部49において演算されたIFSトルク補償ゲインKifsは、アシスト制御部45において演算された基本アシスト電流指令Ias*とともに乗算器50に入力される。
乗算器50においてIFSトルク補償ゲインKifsが乗ぜられることにより補正された補正後の基本アシスト電流指令Ias**は、その他の各種補償成分、即ち慣性補償電流指令Iti*(Iti**)、ステアリング戻し電流指令Isb*、及びダンパ補償電流指令Idp*とともに、加算器51に入力される。そして、同加算器51において、これら各制御成分が基本アシスト電流指令Ias**に重畳されることにより、モータ22が発生するアシストトルクの制御目標である電流指令が演算される。
加算器51において演算された電流指令は、モータ制御信号出力部52に入力される。また、モータ制御信号出力部52には、電流センサ53により検出される実電流及び回転センサ54により検出される回転角が入力される。そして、モータ制御信号出力部52は、これら電流指令、実電流及び回転角に基づいてフィードバック制御を行うことによりモータ制御信号を生成し、そのモータ制御信号を駆動回路44に出力する。
即ち、図6のフローチャートに示すように、マイコン43は、車両状態量として上記各センサからセンサ値を取り込むと(ステップ201)、先ずアシスト制御演算を行う(ステップ202)。次に、トルク慣性補償制御演算(ステップ203)、ハンドル戻し制御演算(ステップ204)、及びダンパ補償制御演算を行い(ステップ205)、続いてIFSトルク補償制御演算(ステップ206)を行う。
次に、マイコン43は、上記ステップ202のアシスト制御演算により算出された基本アシスト電流指令Ias*にステップ206において算出されたIFSトルク補償ゲインKifsを乗ずることにより同基本アシスト電流指令Ias*を補正する。そして、この補正後の基本アシスト電流指令Ias**に上記ステップ203〜ステップ205の各演算処理により算出された慣性補償電流指令Iti*、ステアリング戻し電流指令Isb*、及びダンパ補償電流指令Idp*を重畳することにより制御目標となる電流指令を算出し、その電流指令に基づいてモータ制御信号の出力を行う(ステップ207)。
(伝達比可変装置作動時の操舵トルク変動抑制制御)
次に、本実施形態の車両用操舵装置における伝達比可変装置作動時の操舵トルク変動抑制制御について説明する。
上述のように、伝達比可変装置の作動時には、そのACT角の変化方向とは逆向きの反力トルク(モータ反力)がステアリングに作用し、そのモータ反力をトルク変動として運転者が感じ取ることで操舵フィーリングが低下するおそれがある。
この点を踏まえ、本実施形態の車両用操舵装置1では、その伝達比可変装置としてのギヤ比可変アクチュエータ7の作動時、即ちモータ駆動に基づく第2の舵角であるACT角θtaが変更される際、EPSECU18側のマイコン43が、その操舵トルクの微分値に基づく補償成分である慣性補償電流指令Iti*を増大させる。
つまり、ギヤ比可変アクチュエータ7の作動時、操舵系は、その慣性に伴う転舵輪6側(及びステアリング2側)の追従遅れにより、いわば「捩れた」状態となる。そして、ステアリング2に作用する反力トルク(モータ反力)は、この「操舵系の捩れ」が大きいほど、即ち転舵輪6側の追従遅れが大きいほど大となる。
しかしながら、このとき、上記のように慣性補償電流指令Iti*を増大、即ちトルク慣性補償制御を強化することにより、こうした慣性による「操舵系の捩れ」を抑制することができる。即ち、当該ギヤ比可変アクチュエータ7の作動による転舵角θt(ACT角θta)の変化を補助するようなアシスト力が付与されることにより、転舵輪6側の追従性が向上し、上記のような「操舵系の捩れ」が抑制される。そして、本実施形態では、これにより、上記ステアリング2に作用するモータ反力を低減し、該モータ反力に起因する操舵トルクの変動を抑制する構成となっている。
詳述すると、図4に示すように、本実施形態では、EPSECU18側のマイコン33に設けられたIFSトルク補償制御部49は、上述のIFSトルク補償ゲインKifsとともに、上記のようなギヤ比可変アクチュエータ7の作動時におけるトルク慣性補償制御の強化を実行するための慣性補償ゲインKtiを演算する。
本実施形態では、IFSトルク補償制御部49により演算された慣性補償ゲインKtiは、トルク慣性補償制御部46により演算された慣性補償電流指令Iti*とともに、乗算器55に入力される。そして、この慣性補償ゲインKtiの乗ずることにより補正された慣性補償電流指令Iti**が加算器51に入力され、基本アシスト電流指令Ias**及びその他の補償成分に重畳されることにより、そのトルク慣性補償制御が強化される構成となっている。
さらに詳述すると、図8に示すように、本実施形態のIFSトルク補償制御部49は、IFSトルク補償ゲインKifsを演算するIFSトルク補償ゲイン演算部61に加えて、慣性補償ゲイン演算部62を備えている。そして、IFSトルク補償制御部49は、この慣性補償ゲイン演算部62により演算される慣性補償ゲインKtiを乗算器55へと出力する。
本実施形態では、この慣性補償ゲイン演算部62には、ACT角θtaの制御目標であるACT指令角θta*を微分することにより求められたACT指令角速度ωta*が入力されるようになっている。そして、慣性補償ゲイン演算部62は、このACT指令角速度ωta*に基づき「ACT角θtaの大きさ」を判定し、慣性補償ゲインKtiを演算する。
具体的には、本実施形態の慣性補償ゲイン演算部62は、ACT指令角速度ωta*と慣性補償ゲインKtiとが関連付けられたマップ63を備えており、同マップ63において、慣性補償ゲインKtiは、ACT指令角速度ωta*(の絶対値)が大きいほど、より大きく慣性補償電流指令Iti*を増大させる値となるように設定されている。尚、図中では省略するが、同マップ63における慣性補償ゲインKtiのベース値は「1」、つまり慣性補償ゲインKtiの値は「1」以上に設定されている。そして、慣性補償ゲイン演算部62は、このマップ63に基づくマップ演算の実行により慣性補償ゲインKtiを演算する。
つまり、ACT指令角速度ωta*(の絶対値)が大きい場合とは、モータ駆動に基づく第2の舵角であるACT角θtaが大きく変化する場合である。そして、このような場合、当該ACT角θtaを速やかに変更すべくギヤ比可変アクチュエータ7が急作動する場合ほど、その慣性による追従遅れが顕著となり、「操舵系の捩れ」が大となることによって、そのモータ反力の影響もまた大となる。
そこで、本実施形態では、こうしたACT角θtaが大きく変化する場合に、その変化が大きいほど、より大きく操舵トルクの微分値に基づく補償成分である慣性補償電流指令Iti*を増大させる、即ちトルク慣性補償制御をより強化するような慣性補償ゲインKtiを演算する。そして、これにより、より効果的に、上記ステアリング2に作用するモータ反力を低減して、該モータ反力に起因する操舵トルクの変動の抑制を図る構成となっている。
また、本実施形態のIFSトルク補償制御部49は、車両のヨーモーメントの方向と逆方向の舵角(カウンタ)を与えるべくACT角θtaを変更する上述のオーバーステア制御が行われている場合において、運転者によるカウンタ操舵が行われているか否かを判定するカウンタ操舵判定部64を備えている。そして、オーバーステア制御中、且つカウンタ操舵が行われていると判定される場合にのみ、上記トルク慣性補償制御を強化する慣性補償ゲインKtiの出力を実行する。
即ち、転舵輪にカウンタ方向の舵角を与えるオーバーステア制御は、そのACT角θtaの変化(大きさ及び速度)が大きいことから、そのモータ反力の影響も極めて大きい。従って、上記のようなトルク慣性補償制御の強化は、こうしたオーバーステア制御の実行時に行うことで、より顕著な効果を得ることができる。
また、本実施形態では、オーバーステア時には、IFSトルク補償制御部49が、基本アシスト電流指令Ias*を低減するようなIFSトルク補償ゲインKifsを演算し、これにより、運転者にカウンタ操舵を促すべくアシスト力の付与を低減する制御が行われる。しかしながら、トルク慣性補償制御は、ステアリングに入力される操舵トルクの変化を伴わない転舵角の変化については、これを打ち消す方向に作用する。つまり、トルク慣性補償制御は、オーバーステア時、運転者にカウンタ操舵を促すべく実行される上記アシスト力の低減制御を打ち消す方向に作用することになる。従って、本実施形態では、こうした運転者にカウンタ操舵を促すようなアシスト力付与が行われる場合には、上記トルク慣性補償制御の強化を行わない構成となっている。
さらに詳述すると、図8に示すように、本実施形態では、カウンタ操舵判定部64には、実行中のアクティブステア制御の内容を示すアクティブ制御信号S_acv、ACT指令角速度ωta*及び操舵速度ωsが入力されるようになっている。そして、カウンタ操舵判定部64は、これらの各状態量(及び制御信号)に基づいて、そのカウンタ操舵判定を実行する。
具体的には、図9のフローチャートに示すように、カウンタ操舵判定部64は、先ず、アクティブ制御信号S_acvに基づいて、オーバーステア制御(OS制御)中であるか否かを判定し(ステップ301)、OS制御中と判定した場合(ステップ301:YES)には、続いて既にカウンタフラグがセットされているか否かを判定する(ステップ302)。そして、当該カウンタフラグが未だセットされていない場合(ステップ302:NO)には、運転者によるカウンタ操舵が行われているか否かの判定、即ちカウンタ操舵判定を実行する(ステップ303)。
本実施形態では、このステップ303におけるカウンタ操舵判定は、ACT指令角速度ωta*の方向(符号)と操舵速度ωsの方向(符号)とが同一であるかに基づいて行われる。そして、ACT指令角速度ωta*の方向と操舵速度ωsの方向とが同一であると判定した場合(ステップ304:YES)には、カウンタフラグを「ON」として(ステップ304)、運転者によるカウンタ操舵が有るものと判定する(ステップ305)。
尚、カウンタ操舵判定部64は、上記ステップ301において、OS制御中ではないと判定した場合(ステップ301:NO)には、カウンタ操舵判定部64は、カウンタフラグを「OFF」として(ステップ306)、運転者によるカウンタ操舵が無いものと判定する(ステップ307)。また、上記ステップ304において、ACT指令角速度ωta*の方向と操舵速度ωsの方向とが同一ではないと判定した場合(ステップ304:NO)も同様に、カウンタフラグを「OFF」として(ステップ306)、運転者によるカウンタ操舵が無いものと判定する(ステップ307)。
更に、上記ステップ302において、既にカウンタフラグがセットされていると判定した場合(ステップ302)には、上記ステップ303,304の処理を実行することなく、運転者によるカウンタ操舵が有るものと判定する(ステップ305)。そして、これにより、一のOS制御の実行時において、ひとたびカウンタ操舵が有ると判定した場合には、以降、当該OS制御中はカウンタフラグが「ON」、即ち「カウンタ操舵有り」と判定する構成となっている。
本実施形態では、このようなカウンタ操舵判定部64によるカウンタ操舵判定の結果は判定信号Sdとして、上記のマップ演算により算出された慣性補償ゲインKtiとともに、切替制御部65に入力される。本実施形態の切替制御部65は、入力される判定信号Sdが「カウンタ操舵有り」を示すものである場合に慣性補償ゲインKtiを出力し、「カウンタ操舵なし」を示すものである場合には「1」を出力するように構成されている。そして、IFSトルク補償制御部49(慣性補償ゲイン演算部62)は、この切替制御部65の出力を乗算器55へと出力することにより、オーバーステア制御中、且つカウンタ操舵が行われていると判定される場合にのみ、操舵トルクの微分値に基づく補償成分である慣性補償電流指令Iti*を増大するような慣性補償ゲインKtiの出力を実行する構成となっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)EPSECU18側のマイコン43は、伝達比可変装置としてのギヤ比可変アクチュエータ7の作動時、即ちモータ駆動に基づく第2の舵角であるACT角θtaが変更される際、操舵トルクの微分値に基づく補償成分である慣性補償電流指令Iti*(Iti**)を増大させる。
即ち、ギヤ比可変アクチュエータ7の作動時、操舵系は、その慣性に伴う転舵輪6側(及びステアリング2側)の追従遅れにより、いわば「捩れた」状態となる。そして、ステアリング2に作用する反力トルク(モータ反力)は、この「操舵系の捩れ」が大きいほど、即ち転舵輪6側の追従遅れが大きいほど大となる。しかしながら、このとき、上記のように慣性補償電流指令Iti*を増大、即ちトルク慣性補償制御を強化することにより、こうした慣性による「操舵系の捩れ」を抑制することができる。即ち、当該ギヤ比可変アクチュエータ7の作動による転舵角θt(ACT角θta)の変化を補助するようなアシスト力が付与されることにより、転舵輪6側の追従性が向上し、上記のような「操舵系の捩れ」が抑制される。これにより、ギヤ比可変アクチュエータ7の作動に伴いステアリング2に作用するモータ反力を低減することができ、その結果、該モータ反力に起因する操舵トルクの変動を抑制して良好な操舵フィーリングを実現することができるようになる。
(2)マイコン43は、モータ駆動に基づく第2の舵角、即ちACT角θtaが大きく変化する場合に、その変化が大きいほど、より大きく上記の慣性補償電流指令Iti*(Iti**)を増大させる。
即ち、ACT角θtaを大きく変更すべくギヤ比可変アクチュエータ7が作動、つまり、その動きが急峻であるほど、そのモータ反力の影響もまた大となる。従って、上記構成によれば、より効果的に、ギヤ比可変アクチュエータ7の作動に伴う操舵トルクの変動を抑えることができる。
(3)マイコン43は、車両のヨーモーメントの方向と逆方向の舵角(カウンタ)を与えるべくACT角θtaを変更するオーバーステア制御の実行時に、上記慣性補償電流指令Iti*(Iti**)を増大させる制御を実行する。
即ち、転舵輪にカウンタ方向の舵角を与えるオーバーステア制御は、そのACT角θtaの変化(大きさ及び速度)が大きいことから、そのモータ反力の影響も極めて大きい。従って、こうしたオーバーステア制御の実行時に、上記トルク慣性補償制御の強化を行うことで、より顕著な効果を得ることができる。
(4)マイコン43は、オーバーステア時には、運転者にカウンタ操舵を促すべくアシスト力の付与を低減する制御を実行する。そして、当該アシスト力の低減制御の実行時には、上記トルク慣性補償制御の強化を行わない。
即ち、トルク慣性補償制御は、ステアリングに入力される操舵トルクの変化を伴わない転舵角の変化については、これを打ち消す方向に作用する。つまり、トルク慣性補償制御は、オーバーステア時、運転者にカウンタ操舵を促すべく実行される上記アシスト力の低減制御を打ち消す方向に作用することになる。しかしながら、上記構成によれば、こうしたカウンタ操舵を促すためのアシスト力制御との干渉を防止することができる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、ACT指令角速度ωta*と慣性補償ゲインKtiとが関連付けられたマップ63を用いたマップ演算により、ACT角θtaの変化が大きいほど、より大きく慣性補償電流指令Iti*(Iti**)を増大させる慣性補償ゲインKtiを演算することとした。しかし、これに限らず、「ACT角θtaの変化の大きさ」については、ACT指令角速度ωta*以外にも、ACT指令角速度の微分値(角加速度)や、実際のACT角速度、又はACT角加速度、或いはモータ12に通電される実電流値や電流指令値等、その他の状態量に基づいて判定する構成としてもよい。そして、慣性補償ゲインKtiもマップ演算以外の方法により算出してもよい。
・本実施形態では、オーバーステア制御中、且つカウンタ操舵が行われていると判定される場合にのみ、操舵トルクの微分値に基づく補償成分である慣性補償電流指令Iti*を増大することとした。しかし、これに限らず、伝達比可変装置の作動時であれば、非オーバーステア制御においても慣性補償電流指令Iti*の増大制御を実行する構成としてもよい。
・また、カウンタ操舵を促すためのアシスト力の低減制御の実行時であれば、伝達比可変装置を用いたオーバーステア制御が行われていない場合であっても、慣性補償電流指令Iti*の増大制御を実行しない構成としてもよい。
・更に、カウンタ操舵を促すためのアシスト力制御としては、アシスト力の低減のみならず、基本アシスト成分にカウンタ方向の制御成分を重畳する等、積極的にカウンタ方向の操舵反力を発生させるものであってもよい。そして、このような構成を有するものについても、慣性補償電流指令Iti*の増大を実行しないことで、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
・本実施形態では、慣性補償電流指令Iti*に慣性補償ゲインKtiを乗ずることにより、補正後の慣性補償電流指令Iti**を増大させることとしたが、伝達比可変装置の作動/非作動により演算マップを切り替える等して、慣性補償電流指令Iti*自体を大とする構成としてもよい。
・本実施形態では、基本アシスト成分としての基本アシスト電流指令Ias*(Ias**)に対して、補償成分として慣性補償電流指令Iti*(Iti**)以外にも、ステアリング戻し電流指令Isb*、及びダンパ補償電流指令Idp*といったその他の補償成分が重畳されることとした。しかし、操舵トルクの微分値に基づく補償成分を重畳するものであれば、その他の補償成分は、どのようなものであってもよい。
車両用操舵装置の概略構成図。 ギヤ比可変制御の説明図。 ギヤ比可変制御の説明図。 車両用操舵装置の制御ブロック図。 IFSECUにおける演算処理の処理手順を示すフローチャート。 EPSECUにおける演算処理の処理手順を示すフローチャート。 トルク慣性補償制御部の概略構成を示す制御ブロック図。 IFSトルク補償制御部の概略構成を示す制御ブロック図。 OS制御判定及びカウンタ操舵判定の処理手順を示すフローチャート。
符号の説明
1…車両用操舵装置、2…ステアリング、6…転舵輪、7…ギヤ比可変アクチュエータ、8…IFSECU、17…EPSアクチュエータ、18…EPSECU、43…マイコン、45…アシスト制御部、46…トルク慣性補償制御部、49…IFSトルク補償制御部、51…加算器、55…乗算器、62…慣性補償ゲイン演算部、63…マップ、64…カウンタ操舵判定部、65…切替制御部、θs…操舵角、ωs…操舵速度、θt…転舵角、θts…ステア転舵角、θta…ACT角、θta*…ACT指令角、ωta*…ACT指令角速度、Ias*,Ias**…基本アシスト電流指令、Iti*,Iti**…慣性補償電流指令、τ…操舵トルク、dτ…操舵トルク微分値、Kti…慣性補償ゲイン、S_acv…アクティブ制御信号、Sd…判定信号。

Claims (2)

  1. ステアリング操作に基づく転舵輪の第1の舵角にモータ駆動に基づく前記転舵輪の第2の舵角を上乗せすることによりステアリングと前記転舵輪との間の伝達比を可変させる伝達比可変装置と、ステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、基本アシスト成分に、操舵トルクの微分値に基づく補償成分を重畳することにより、前記操舵力補助装置に発生させるべき目標アシスト力を演算する車両用操舵装置であって、
    前記制御手段は、前記伝達比可変装置の作動時には、前記操舵トルクの微分値に基づく補償成分を増大させるように構成され、
    前記伝達比可変装置は、車両のステア特性がオーバーステア状態にある場合には、ヨーモーメントと逆方向に前記第2の舵角を変更すべく作動するものであって、
    前記制御手段は、前記ヨーモーメントと逆方向に前記第2の舵角を変更すべく伝達比可変装置が作動するオーバーステア制御時に、前記操舵トルクの微分値に基づく補償成分の増大を行うものであって、
    前記オーバーステア状態にある場合におけるカウンタ操舵の有無を判定するカウンタ操舵判定手段を備え、
    前記制御手段は、前記カウンタ操舵のない場合には、そのカウンタ操舵を促すべく前記アシスト力を低減する制御を実行するものであって、
    前記アシスト力の低減制御の実行時には、前記操舵トルクの微分値に基づく補償成分の増大を実行しないこと、を特徴とする車両用操舵装置。
  2. 請求項1に記載の車両用操舵装置において、
    前記制御手段は、前記第2の舵角が大きく変化するほど、より大きく操舵トルクの微分値に基づく補償成分を増大させること、を特徴とする車両用操舵装置。
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