JP2018039352A - ステアリング制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基本アシストトルクに付加される補正トルクを演算する補正トルク演算部(戻し制御部)15において、戻し状態判定部50は、ハンドルの切り込みと戻しとを判別する。戻り速度安定化制御部601は、補正トルクとして、ハンドルの戻り速度を安定化させる戻り速度安定化トルクTω_stbを演算する。戻り速度安定化制御部601は、操舵角加速度(操舵速度ωの時間微分値)を0に近づけるように、且つ、ハンドルの戻しのとき、戻り速度安定化トルクの絶対値を相対的に大きくするように、戻り速度安定化トルクTω_stbを演算する。切り込み時には、戻し時に比べ、戻り速度安定化トルクTω_stbが出力されないため、ドライバの切り込み操舵時に操舵を阻害することなく、戻し操舵時のハンドルの戻り速度を安定化させることができる。
【選択図】 図3
Description
そこで従来、ハンドルを中立位置に戻す方向の補正トルクを演算しアシストトルクに付加する「戻し制御」を実行するステアリング制御装置が知られている。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、ハンドルの戻り速度を安定化させるステアリング制御装置を提供することにある。
このステアリング制御装置は、基本アシストトルク(Tb)を演算する基本アシストトルク演算部(11)と、基本アシストトルクに付加される補正トルクを演算する補正トルク演算部(15)と、を備える。
戻し状態判定部は、ハンドルの切り込みと戻しとを判別する。
戻り速度安定化制御部は、補正トルクとして、ハンドルの戻り速度を安定化させる戻り速度安定化トルク(Tω_stb)を演算する。
戻り速度安定化制御部は、ハンドル位置と相関するハンドル位置関連情報の二階時間微分値を0に近づけるように、且つ、ハンドルの戻しのとき、戻り速度安定化トルクの絶対値を切り込みのときより相対的に大きくするように、戻り速度安定化トルクを演算する。
したがって、切り込み操舵時には、ドライバの意図通りにハンドル回転の加減速が許容されるため、操舵が阻害されない。これにより、特許文献1の従来技術において問題であった「ドライバの切り込み操舵時に操舵を阻害する」という問題を回避しつつ、ハンドルの戻り速度を安定化させることができる。
また、好ましくは、戻し状態判定部は、ハンドル位置と相関するハンドル位置関連情報と、ハンドル位置関連情報の時間変化率とから演算される戻し状態量(α)により戻し状態を判定する。そして、戻り速度安定化制御部は、戻し状態量に応じて戻り速度安定化トルクを変更する。
[電動パワーステアリングシステムの構成]
図1に示すように、電動パワーステアリングシステム1はドライバによるハンドル91の操作を操舵アシストモータ80のトルクによってアシストするものである。
インターミディエイトシャフト93のトルクセンサ94と反対側の端部には、ピニオンギア961及びラック962を含むギアボックス96が設けられている。
また、車両の所定の部位には、車速Vを検出する車速センサ71が設けられている。
モータ80の回転は、ウォームギア86及びウォームホイール87を含む減速機構85を経由してインターミディエイトシャフト93に伝達される。また、タイヤ99側からのセルフアライニングトルクや路面反力によってインターミディエイトシャフト93が回転すると、この回転が減速機構85を経由してモータ80に伝達される。
また、他の実施形態では、操舵アシストモータとして、3相以外の多相交流モータや、ブラシ付DCモータを用いてもよい。
ここで、ハンドル91からタイヤ99に至る、ハンドル91の操舵力が伝達される機構全体を「操舵系メカ100」という。
ECU10における各種演算処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
基本アシストトルク演算部11は、操舵トルクTs及び操舵速度ωに基づいて、基本アシストトルクTbを演算する。
補正トルク演算部15は、基本アシストトルクTbに付加される各種補正トルクを演算する。この補正トルクには、少なくとも戻り速度安定化トルクTω_stbが含まれる。主に本実施形態では、戻し制御における戻し制御量Tr*と戻り速度安定化トルクTω_stbとを加算した戻し制御量最終指令値Tr**が補正トルクとして演算される構成を想定し、その他の補正トルクには言及しない。そこで、以下、「補正トルク演算部」を具体的に「戻し制御部15」として説明する。
なお、各量について記した[Nm]、[deg]、[deg/s]の単位は、各量の次元を表すためのものであり、その単位での使用を限定する意図ではない。例えば角度単位として[rad]を用いてもよい。以下の図でも同様に解釈する。
さらに、「操舵角θ」及び「操舵速度ω」の用語は、ドライバの積極的な操舵によってハンドル91が回転する場合のみでなく、ドライバが手を放した状態でのハンドル91の位置及び回転速度についても拡張して用いる。
ステアリング制御装置における基本アシストトルク演算部11や電流フィードバック部70の構成は周知技術であるため、詳細な説明を省略する。
次に、戻し制御の概要について、図2を参照する。
車速の低い領域では、高速時に比べて相対的に車体やタイヤの横滑り角が小さくなり、同じ操舵角や横加速度において路面から受けるセルフアライニングトルクが小さくなる。
セルフアライニングトルクが操舵機構の摩擦と同程度以下になるとハンドルは中立位置に戻り難くなるため、ドライバが意識的にハンドルを戻す操作をしなければならなくなる。
具体的には、トー角やキャスタトレールが小さい車両や、低転がり抵抗のタイヤを装着した車両では、復元力が小さくなる。また、ラックピニオン機構の歯打ち音低減のために部材の接触圧を高く設定した車両では、摩擦が高くなる。これらは、いずれもハンドルの中立位置への復元を妨げる要因となる。
以下、本明細書では、ハンドルが中立位置から離れる方向を「切り込み方向」といい、ハンドルが中立位置に向かう方向を「戻し方向」という。つまり、ドライバの感覚にかかわらず、ハンドルと中立位置との関係で客観的に「戻し/切り込み方向」を定義する。
そして、切り込み方向及び戻し方向への操舵を、それぞれ、「切り込み操舵」及び「戻し操舵」という。また、ドライバが積極的にハンドルを戻す操作をしなくても、セルフアライニングトルク及び戻し制御によってハンドルが中立位置へ戻るときの速度を「戻り速度」という。
また、一点鎖線R2及び二点鎖線R3は、不適当な戻し制御の例を示す。一点鎖線R2の動作では、戻し制御の出力が過剰であり、戻り速度が速すぎるため、操舵を阻害する。二点鎖線R3の動作では、戻り速度が安定しないため、ドライバに違和感を与えるおそれがある。したがって戻し制御では、操舵を阻害せず、違和感の無い自然な速度でハンドルが戻る短破線R1の動作を実現することが制御目標となる。
ドライバがハンドルを切り込んでいる切り込み期には、操舵角θの絶対値が増加する。なお、図示上のカーブ形状は、一例を示すものに過ぎない。切り込み期には、操舵を阻害しないため戻し制御を実施しない。
ハンドルを戻し始めたとき、操舵角θはほぼ変化せず、操舵速度ωの絶対値が比較的小さい。この第1遷移期には、戻し制御を積極的に実施するとドライバが強い戻され感を感じることとなるため、戻し制御を徐々に開始する。
ハンドルが中立位置に近づいた第2遷移期には、操舵角θの絶対値が比較的小さい範囲で0に漸近する。この期間に、戻し制御を徐々に終了させる。
そして、戻し状態を定量的に示す情報が、後述する戻し状態判定部50により演算される「戻し状態量α」である。図2(b)の各期間における戻し状態量αは、切り込み期には「α=0」、戻し期には「α=1」、第1及び第2遷移期には「0<α<1」となる。
続いて、戻し制御部15の構成について詳しく説明する。
戻し制御部15の全体構成を図3に示す。
戻し制御部15は、大きく、目標操舵速度演算部20、戻し制御量演算部30、戻し状態判定部50、及び、戻り速度安定化制御部60の4つのブロックで構成される。各ブロックの機能を簡単に記すと、目標操舵速度演算部20は、ハンドル戻り時の目標操舵速度ω*を演算する。戻し制御量演算部30は、ハンドルを中立位置に戻す復元力指令値を演算する。戻し状態判定部50は、ハンドルの切り込みと戻しとを判別する。戻り速度安定化制御部60は、ハンドル戻り速度を安定化させるものである。
また、第2実施形態では車速Vが、第3実施形態では操舵トルクTsが、更に戻り速度安定化制御部60に入力される。この入力信号については、図3に破線で示す。
操舵速度偏差算出部31は、目標操舵速度ω*と操舵速度ωとの偏差Δωを算出する。
操舵速度サーボ制御器32は、操舵速度偏差Δωが0になるように、つまり、操舵速度ωを目標操舵速度ω*に追従させるようにサーボ制御を実行し、基本戻し制御量Tr*_0を演算する。
戻し状態判定部50は、操舵角θ及び操舵速度ωに基づいて、操舵状態が「戻し状態」である否かを判定する。ここで、操舵角θは、「ハンドル位置と相関するハンドル位置関連情報」に相当し、ハンドルが中立位置にあるときの値が0であり、ハンドルの中立位置からの回転方向に応じて正又は負の値を取る。また、操舵速度ωは、「ハンドル位置関連情報の時間変化率」に相当する。
図5(a)、(b)のマップは、それぞれ操舵速度ω及び操舵角θが正の領域のマップを示しており、操舵速度ω及び操舵角θが負の領域のマップは、これと原点対称に現れる。また、マップの数値は、一つの例示に過ぎない。
詳しくは図5(a)に示すように、操舵速度ωが0[deg/s]のとき、速度状態量αωは0である。
操舵速度ωが正のとき、速度状態量αωは、操舵速度ωが増加するに従って0から−1まで減少する。
操舵速度ωが負のとき、速度状態量αωは、操舵速度ωが減少するに従って0から+1まで増加する。
詳しくは図5(b)に示すように、操舵角θが0[deg]のとき、角度状態量αθは0である。
操舵角θが正のとき、角度状態量αθは、操舵角θが増加するに従って0から+1まで増加し、操舵角θが60[deg]付近で、ほぼ+1に収束する。
操舵角θが負のとき、角度状態量αθは、操舵角θが減少するに従って0から−1まで減少し、操舵角θが−60[deg]付近で、ほぼ−1に収束する。
出力制限部54は、図6に示すように、制限前戻し状態量α0のうち、切り込み期の値に相当し、以下の演算において不要である「−1から0までの負の値」を削除する。そして、戻し期又は遷移期の値に相当する「0から+1までの正の値」のみを戻し状態量αとして、戻り速度安定化制御部60に出力する。
時刻ta以前、及び、時刻td以後の切り込み期には、戻し状態量αは0である。
時刻taから時刻tbまでの第1遷移期には、戻し状態量αは0から1まで増加する。
時刻tbから時刻tcまでの戻し期には、戻し状態量αは1である。
時刻tcから時刻tdまでの第2遷移期には、戻し状態量αは1から0まで減少する。
この実機データからもわかるように、戻し状態量αとして1が出力されているとき、操舵状態が戻し期にあると判断することができる。
なお、操舵トルクTsと操舵速度ωとの符号の積に基づいて判断した場合、正方向の操舵トルクTsが加わっているとき、操舵角θの正負に関わらず、操舵角θが増加している期間は「Ts×ω」の符号は正となる。一方、負方向の操舵トルクTsが加わっているとき、操舵角θの正負に関わらず、操舵角θが減少している期間は「Ts×ω」の符号は正となる。すなわち、操舵角θ=0となる中立位置で、「Ts×ω」の正負が切り替わらない。したがって、本実施形態では、操舵トルクTs及び操舵速度ωに基づいて戻し状態を判別しない。
続いて、第1−第3実施形態による戻り速度安定化制御部60の構成について順に説明する。各実施形態の戻り速度安定化制御部の符号として、「60」に続く3桁目に実施形態の番号を付す。
(第1実施形態)
第1実施形態の戻り速度安定化制御部601の構成を図8に示す。
戻り速度安定化制御部601は、目標操舵角加速度入力部61、微分器62、比較器63、安定化トルク制御器64、及び、戻し状態量乗算器69を含む。
例えば正方向の戻り速度が加速しているとき、実操舵角加速度aが正となり偏差が負となる。このとき、負方向の戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0が演算される。
また、負方向の戻り速度が加速しているとき、実操舵角加速度aが負となり偏差が正となる。このとき、正方向の戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0が演算される。
戻り速度が減速している場合も同様である。
これにより、戻し状態量αが1である戻し期、及び、戻し状態量αが0より大きく1未満である遷移期には、戻り速度安定化トルクTω_stbが出力され、操舵角加速度が0となるように、すなわち、戻り速度が一定となるように制御される。
一方、戻し状態量αが0である切り込み期には、戻り速度安定化トルクTω_stbは出力されない。したがって、切り込み操舵時には、ドライバの意図通りにハンドル回転の加減速が許容されるため、操舵が阻害されない。
図9、図10(a)、(b)、(c)の各横軸は共通の時間軸を示す。各図の縦軸は、(a)操舵角θ、(b)操舵速度ω、(c)戻り速度安定化トルクTω_stbである。
時刻t1を跨ぐ期間、操舵速度ωが増加し、正の操舵角加速度aが生じる。ただし、時刻t1以前には、正の速度状態量αωと負の角度状態量αθとの積が負であり、戻し状態量αが0であるため、戻り速度安定化トルクTω_stbは出力されない。時刻t1に操舵速度ωが負から正に移行すると戻し状態量αが0より大きくなり、図9(c)のc部に示すように、負の戻り速度安定化トルクTω_stbが出力される。
時刻t3を跨ぐ期間、操舵速度ωが減少し、負の操舵角加速度aが生じる。ただし、時刻t3以前には、負の速度状態量αωと正の角度状態量αθとの積が負であり、戻し状態量αが0であるため、戻り速度安定化トルクTω_stbは出力されない。時刻t3に操舵速度ωが正から負に移行すると戻し状態量αが0より大きくなり、正の戻り速度安定化トルクTω_stbが出力される。
また、戻り速度安定化トルクTω_stbは、戻し期及び遷移期にのみ出力され、切り込み操舵時には出力されない。よって、切り込み操舵時には、ドライバの意図通りにハンドル回転の加減速が許容されるため、ドライバの操舵が阻害されない。
戻り速度安定化制御有り、無しで共通に時刻t6にハンドルから手を放す。戻り速度安定化制御無しの場合、時刻t7に戻り動作が完了する。戻り速度安定化制御有りの場合、時刻t7から少し遅れた時刻t8に戻り動作が完了する。
(第2実施形態)
第2実施形態の戻り速度安定化制御部602について、図11、図12を参照して説明する。図11に示すように、第2実施形態の戻り速度安定化制御部602は、第1実施形態の戻り速度安定化制御部601の構成に加え、車速ゲインマップ65及びゲイン乗算器68を更に含む。
車速ゲインマップ65は、車速Vと車速ゲインKvとの関係を規定する。車速ゲインKvは、ゲイン乗算器68にて、安定化トルク制御器64が演算した戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0に乗算され、戻し状態量乗算器69に出力される。
したがって、低速領域では戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0が増幅され、高速領域では戻り速度安定化トルクTω_stbは出力されなくなる。
このように第2実施形態では、車速Vに応じた戻り速度安定化トルクTω_stbを演算することで、操舵フィールを向上させることができる。
第3実施形態の戻り速度安定化制御部603について、図13〜図15を参照して説明する。図13に示すように、第3実施形態の戻り速度安定化制御部603は、第1実施形態の戻り速度安定化制御部601の構成に加え、符号判定部(図中「sgn」)661、符号乗算器662、補正ゲインマップ67及びゲイン乗算器68を更に含む。
補正ゲインマップ67は、符号乗算後操舵トルクTs_sgnと補正ゲインKtsとの関係を規定する。補正ゲインKtsは、ゲイン乗算器68にて、安定化トルク制御器64が演算した戻り速度安定化トルク基本値Tω_stb_0に乗算され、戻し状態量乗算器69に出力される。
図14における一点鎖線Nの方向はハンドル91(以下、符号91の記載を省略する)の中立位置を示し、破線Dの方向は現在のハンドル位置を示す。操舵角θについては、中立位置に対し左側の操舵角θを正、中立位置に対し右側の操舵角θを負と定義する。また、左回転方向、すなわち反時計回り方向の操舵速度ω及び操舵トルクTsを正と定義し、右回転方向、すなわち時計回り方向の操舵速度ω及び操舵トルクTsを負と定義する。
なお、他の実施形態では、上記とは逆に、中立位置に対し右側の操舵角θ、右回転方向の操舵速度ω及び操舵トルクTsを正と定義し、中立位置に対し左側の操舵角θ、左回転方向の操舵速度ω及び操舵トルクTsを負と定義してもよい。
さらに、上述の通り、ハンドルが中立位置に向かう方向を「戻し方向」と定義し、ハンドルが中立位置から離れる方向を「切り込み方向」と定義する。
一方、操舵角θが負領域にある場合、操舵トルクTsが正のとき、戻し方向にトルクが加わっており、操舵トルクTsが負のとき、切り込み方向にトルクが加わっている。
なお、他の実施形態では、操舵角θの符号が示す方向と反対の方向で操舵トルクTsの符号を定義し、符号乗算後操舵トルクTs_sgnを演算してもよい。その場合、符号乗算後操舵トルクTs_sgnが正のとき戻し方向にトルクが加わっており、符号乗算後操舵トルクTs_sgnが負のとき切り込み方向にトルクが加わっていることを示す。
符号乗算後操舵トルクTs_sgnが0を跨ぐ「−B」から「+C」までの区間では、補正ゲインKtsは1である。
符号乗算後操舵トルクTs_sgnが負のとき、「−A」以下の区間では、補正ゲインKtsは0であり、「−A」から「−B」までの区間では、符号乗算後操舵トルクTs_sgnの増加に従い、補正ゲインKtsは0から1まで漸増する。
符号乗算後操舵トルクTs_sgnが正のとき、「+C」から「+D」までの区間では、符号乗算後操舵トルクTs_sgnの増加に従い、補正ゲインKtsは1から0まで漸減し、「+D」以上の区間では、補正ゲインKtsは0である。
このように第3実施形態では、符号乗算後操舵トルクTs_sgnに応じた戻り速度安定化トルクTω_stbを演算することで、操舵フィールを向上させることができる。
また、第3実施形態は、第2実施形態と組み合わせて実施されてもよい。
(1)上記実施形態の補正トルク演算部15は、戻し制御量演算部30により、ハンドルを適切に中立位置に戻すための「戻し制御」を行うことを基礎として、更に、戻り速度安定化制御部60により戻り速度の安定化を実現する。ただし本発明のステアリング制御装置は、戻り速度安定化制御部60により戻り速度を安定化する機能のみを備えるものであってもよい。
その場合、戻り速度安定化制御の対象となるハンドルの動作は、必ずしも最終的に中立位置に到達しなくてもよい。
他の実施形態では、操舵角θに代えて、モータ回転角や伝達系ギアの回転角、タイヤの舵角、ヨーレート等のハンドル位置関連情報を用い、操舵速度ωに代えて、それらのハンドル位置関連情報の時間変化率を用いてもよい。
また、戻り速度安定化制御部601−603において、操舵角加速度aに代えて、「ハンドル位置関連情報の二階時間微分値」を用いてもよい。
他の実施形態では、戻り速度安定化トルクTω_stbの演算方法を変えたり、演算での数値を調整したりすることで、切り込み状態での戻り速度安定化トルクTω_stbが0以外の値になるようにしてもよい。少なくとも、戻し状態での戻り速度安定化トルクTω_stbの絶対値を切り込み状態での戻り速度安定化トルクTω_stbの絶対値より相対的に大きくするように演算すれば、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
11・・・基本アシストトルク演算部
15・・・戻し制御部
601−603・・・戻り速度安定化制御部
80 ・・操舵アシストモータ
91 ・・ハンドル
Claims (7)
- ドライバの操舵トルク(Ts)に基づいて操舵アシストモータ(80)が出力するアシストトルクを制御するステアリング制御装置であって、
基本アシストトルク(Tb)を演算する基本アシストトルク演算部(11)と、
前記基本アシストトルクに付加される補正トルクを演算する補正トルク演算部(15)と、
を備え、
前記補正トルク演算部は、
ハンドルの切り込みと戻しとを判別する戻し状態判定部(50)と、
前記補正トルクとして、ハンドルの戻り速度を安定化させる戻り速度安定化トルク(Tω_stb)を演算する戻り速度安定化制御部(601、602、603)と、
を含み、
前記戻り速度安定化制御部は、
ハンドル位置と相関するハンドル位置関連情報の二階時間微分値を0に近づけるように、且つ、ハンドルの戻しのとき、前記戻り速度安定化トルクの絶対値を切り込みのときより相対的に大きくするように、前記戻り速度安定化トルクを演算するステアリング制御装置。 - 前記戻し状態判定部は、
ハンドル位置が中立位置から離れる方向に変化している切り込み状態であるか、中立位置に向かって変化している戻し状態であるかを判別する請求項1に記載のステアリング制御装置。 - 前記戻し状態判定部は、
ハンドル位置と相関するハンドル位置関連情報と、前記ハンドル位置関連情報の時間変化率とから演算される戻し状態量(α)により前記戻し状態を判定し、
前記戻り速度安定化制御部は、前記戻し状態量に応じて前記戻り速度安定化トルクを変更する請求項2に記載のステアリング制御装置。 - 前記ハンドル位置関連情報は操舵角であり、
前記ハンドル位置関連情報の時間変化率は操舵速度であり、
前記戻し状態判定部は、
操舵角に応じて決定される角度状態量(αθ)と、操舵速度に応じて決定される速度状態量(αω)との積に基づいて、前記戻し状態量を演算する請求項3に記載のステアリング制御装置。 - 前記戻り速度安定化制御部は、
ハンドルの切り込みのとき、前記戻り速度安定化トルクを0にする請求項1〜5のいずれか一項に記載のステアリング制御装置。 - 前記補正トルク演算部は、
前記補正トルクとして、ハンドルが中立位置に戻るようにアシストする戻し制御量(Tr*)を演算する戻し制御量演算部(30)をさらに含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のステアリング制御装置。 - 前記補正トルク演算部は、
操舵角(θ)又は操舵速度(ω)の少なくとも一方に基づいて前記戻し制御量を演算する請求項6に記載のステアリング制御装置。
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